文部科学省スーパーサイエンスハイスクール研究開発学校 平成17年度指定スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告書 第4年次 (研究開発課題) 未知な課題への挑戦力,国内外とのコミュニケーション力を育成するための, 高大接続を活かした科学技術教育システムの研究開発 平成21年3月 国立大学法人 東京工業大学 附属科学技術高等学校 本報告書に記載されている内容は,学校教育法施行規則第57条の3(同規 則第65条の5第1項並びに第2項で準用する場合を含む。)並びに第55条 及び第65条の5第1項で準用する第26条の2の規定に基づき,教育課程の 基準改善のために文部科学大臣の委嘱を受けて実施した実証研究です。 したがって,この研究の内容のすべてが直ちに一般の学校における教育課程 の編成・実施に適用できる性格のものでないことに留意してお読み下さい。 はじめに 平成17年4月から5年間の指定を受けたスーパーサイエンスハイスクール研究開発も, 4年目に入りました。前回平成14年4月から3年間実施したスーパーサイエンスハイスク ールの研究成果は,その後の本校の教育課程の中に積極的に取り入れ,着実に定着させてき ました。すなわち,教育内容を「わかる」「つくる」「えがく」の三領域に分けて,それぞれ に対応する力を生徒に身につけさせるという骨子を築きあげ,この骨子に基づく教育により, 科学技術を志向する全人的教育を目指しています。本校における学習の中心となる「課題研 究」や本校独自の「科学技術基礎」 「数理基礎」 「人と技術」 「科学技術」 「先端科学技術入門」 等を通してこれらの力を育むことが,今回の研究開発を行うためのベースとなっています。 今回の研究課題は, 「未知な課題への挑戦力,国内外とのコミュニケーション力を育成する ための,高大接続を活かした科学技術教育システムの研究開発」に設定しています。キーワ ードは「いどむ力」と「わかりあう力」です。具体的には,①発想をまとめる訓練,②科学 的なものの見方・考え方を育てる実験,③仮説検証思考型実験の3項目からなる新科目「科 学技術研究入門」の開発,東京工業大学と連携しながら,高大接続を活かして発展的内容を 取り入れた「さきがけ教育」の開発,東京工業大学留学生TAの協力を得て,国際性の育成 を図るための「科学技術を題材にした英語によるプレゼンテーション」 「英語で聞く講演会」 等様々な取り組みの開発,高大連携の一環として実施している「サマーレクチャー」 「サマー チャレンジ」等によって,未知な課題への挑戦力,国内外とのコミュニケーション力の育成 を目指しております。推薦入試・AO入試合格者対象の「3年3学期さきがけ講座」も含め, 学習指導要領を核にさらに発展的な内容を取り入れて,より高度な力も備えた生徒の育成を 図るための教育も提案しています。これら本校の研究開発の成果は,成果普及促進委員会の 活動により,迅速に公開し,普及に努めます。 また,本年度は,ロシア,韓国,台湾,タイ,ベトナム,英国の教育プログラムに関心の 高い方々が本校を視察され,本校のSSH開発事業の現状を紹介する機会が持てました。ま た,本校はタイ・バンコクのカセサート大学附属高校との国際交流協定により,夏と秋に生 徒の交換留学プログラムを実施し,教員同士の交流も積極的に行ないました。今後,この交 流プログラムの推進によって,生徒の「いどむ力」や「わかりあう力」を更につけていくこ とができるでしょう。以上に関する今年度の研究成果について,本報告書で詳細にまとめて おります。 最後となりましたが,スーパーサイエンスハイスクール研究開発の機会を与えて下さった 文部科学省の関係各位,活動を進める上でご支援下さった科学技術振興機構の関係各位,研 究開発について指導と助言をいただいている運営指導委員会の委員各位に篤くお礼申し上げ ます。また,高大連携の推進にあたり献身的な協力を惜しまなかった東京工業大学の教職員 ならびに学生の皆様に謝意を表します。 平成21年3月 東京工業大学附属科学技術高等学校 校 長 市 村 禎二郎 目 次 A SSH研究開発実施報告(要約) B SSH研究開発の成果と課題 C 実施報告書(本文) C-1 Ⅰ 研究の概要 研究の概要および本校の概要等 1 研究開発の実施期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2 研究開発課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 3 研究の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 4 学校の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 Ⅱ 研究のねらいと研究計画 1 研究開発の実施規模 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 2 研究の内容・方法・検証等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 3 研究計画・評価計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 4 平成20年度の研究開発の概要 Ⅲ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 研究組織 1 研究組織の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 2 研究担当者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 3 運営指導委員会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 C-2 Ⅰ スーパーサイエンスハイスクール研究開発の実施内容 科学技術研究入門研究会の活動報告 1 概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24 2 経緯 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24 3 内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24 4 実施の効果とその評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 46 5 実施上の課題及び今後の方向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49 Ⅱ 国際性育成研究会の活動報告 1 概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51 2 経緯 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51 3 内容及び実施の効果とその評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52 4 実施上の課題及び今後の方向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66 Ⅲ さきがけ教育研究会の活動報告 1 概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67 2 経緯 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67 3 内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 68 4 実施の効果とその評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 実施上の課題及び今後の方向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・102 Ⅳ 成果普及促進委員会の活動報告 1 概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・103 2 経緯 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・103 3 内容及び成果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・103 4 実施の効果とその評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・116 5 実施上の課題及び今後の方向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・116 C-3 D 82 第4年次の研究のまとめと今後の課題 Ⅰ 研究第4年次に実施したSSH意識調査の結果報告 ・・・・・・・・・117 Ⅱ 第4年次の研究のまとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・125 Ⅲ 今後の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・127 関係資料 Ⅰ 運営指導委員会の記録 Ⅱ 連絡協議会等の記録 Ⅲ SSH関連の出張の記録 Ⅳ 報道機関による取材・報道の記録 Ⅴ 平成20年度教育課程表 Ⅵ 科学技術研究入門研究会で用いた調査用紙 Ⅶ 国際性育成研究会の報告に関する資料 Ⅷ 研究第4年次における「B SSH研究開発の成果と課題」の根拠となるデータ A SSH研究開発実施報告(要約) 東京工業大学附属科学技術高等学校 17~21 平成20年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告(要約) ① 研究開発課題 未知な課題への挑戦力,国内外とのコミュニケーション力を育成するための, 高大接続を活かした科学技術教育システムの研究開発 ② 研究開発の概要 新科目「科学技術研究入門」では科目の熟成化を目指し,テキスト及び授業内容のブラッシュアップを図った。 タイ王国カセサート大学附属高校との交流において,授業交流を行った。「国際性育成」ではタイ王国カセサート大 学附属高校との交換留学の2年目を迎え,危機管理体制及び交流の充実化を図り,8月に生徒5名を 派遣した。現地では自己紹介・課題研究等のプレゼンテーションを英語で行い,本校教員による「環境」をテ ーマにした授業を実施した。帰国後は全校生徒へ報告と所属クラスでの報告会を行い,貴重な海外体 験の共有化を図った。その他,10月には相手校から生徒5名の派遣を受け入れ,「英語Ⅱ」「科学技 術研究入門」の授業に参加した。課題研究での「英文アブストラクト作成」の実践,東工大留学生による英語 で聞く講演会,英国科学実験講座参加等も実施した。「さきがけ教育」では第2・3学年「数学さきが け」と第3学年「3学期さきがけ」の授業実践,「物理さきがけ」の本格的な授業実践,教育実習生・本 校卒業生への調査・追跡,副読本「数学さきがけ(試作版2008)」への改訂等を行った。「成果普及促 進」では11月に神戸大学でのSSH評価研修会での発表を行い,国内外からの視察・訪問を受け入れた。 ホームページ上のニューズレターで14件紹介した。 ③ 平成20年度実施規模 第1・第2学年生徒全員及び第3学年生徒のうちの希望者を対象に実施する。 平成20年度の生徒数は,第1学年201人,第2学年190人であるが,第3学年「数学さきがけ」の授業 を受けた生徒は2学期に19人,第3学年「物理さきがけ」の授業を受けた生徒は1学期に33人,2学期に 26人おり,第3学年で推薦入試・AO入試で早期に大学進学が決まった生徒に対して行う「3学期さき がけ」の授業では55人が対象となった。この他,課題研究が第3学年全員必修であるのに加え,コンテス ト等に参加した生徒も多数おり,さらに平成14年度から平成16年度までのSSH成果を取り入れた授業 (既にカリキュラムの中に位置づけられている科目)も含めれば,全校生徒が対象であったとも言える。 ④ 研究開発内容 ○研究計画 第1年次 新科目「科学技術研究入門」について,開発科目の目標を達成するために,その理念を具体的 に実践できる教育方法を提案し,「発想をまとめる訓練,科学的なものの見方・考え方を育てる 実験,仮説検証思考型実験」からなる3部構成の構想に基づいたテキストを作成した。本格実施とな る来年度に備え,校内勉強会を実施し,教員間のコンセンサスを得るとともに,新たなカリキュラム編成, 複数の教科間にまたがったTT実施のために教員配置などを整備した。「国際性育成」について, 第2・第3学年における国際交流の素地作りとして,科学・技術をテーマに,1年生全員を対象に, 英語科目「オーラル・コミュニケーションI」において東京工業大学留学生を招いた授業展開を実施した。また, 2年生以上を対象に「英語で聞く講演会」も実施した。「さきがけ教育」について,第2学年の「数学 さきがけ」と第3学年の「3学期さきがけ」についての授業実践,各種アンケート調査の実施,第3学年 の「数学さきがけ」,「物理さきがけ」についての教育内容・方法の検討,さらに,調査・追跡な どを行った。「成果普及促進」について,ホームページ活用,学会発表,視察受け入れなどを通して 行った。さらに,出張などの機会でも,他のSSH校との研究交流を行った。第1年次のSSH実施 報告書を作成した。 第2年次 新科目「科学技術研究入門」について,第1年次に完成させたテキストを活用しながら,第2年次よ り本格的な授業実践を行った。「①発想をまとめる訓練」でブレインストーミングにより発想を引き出し, KJ法でまとめる訓練をしたあとは,「②科学的なものの見方・考え方を育てる実験」または「③仮 説検証思考型実験」に進み,応用化学・情報システム・機械システム・電気電子・立体造形のそれぞれ の分野において課題に応じた活動を行うこととなった。複数の教科間にまたがったTT実施のた めの教員配置を行い,評価については4観点別評価を導入した。「国際性育成」について,第1年 次に研究対象外として実践した第1学年生徒全員対象の試行を生かし,第1学年生徒全員を研究 対象に追加して,第1年次から行っている,国際交流の素地作りとしての英語科目における東 工大留学生を招いた授業展開や東工大留学生による「英語で聞く講演会」などに加え,新たに「国 際交流を開始するにあたっての具体的相手国の検討,選定」「専門分野の授業における東工大留 学生による授業の実施」「ブリティッシュ・カウンシルや日本化学会との校内・外での協力」なども行った。タ イ王国カセサート大学附属高等学校と国際交流協定を締結した。同校の校長以下2名の教員が本校を 訪問し,各分野の課題研究の見学を行ったり3年生から英語による説明を受けたりした。生徒 との英語での質疑も行われた。「さきがけ教育」について,第2学年の「数学さきがけ」では,研究 第1年次に行った実践形態をベースに新たに2学期にも「数学科教員と科学・技術科教員との連携授 業」を導入した。第3学年の「数学さきがけ」では,研究第1年次に検討した実施方法,運営形態 などをベースに,類型選択の数学Ⅲの2学期中間試験終了後から2学期終了時までの17時間を利用 して実施した。これらでは補助プリントを作成・蓄積しながら副読本「数理応用」も併用して授業実 践を行った。事前・事後の学力調査等も行った。「物理さきがけ」では第1年次に抽出した5つの 実施内容の候補を検討の上3つに絞り,それらの内容項目を整理して次年度に試行する2つの項 目を選定した。第3学年の「3学期さきがけ」では,第1年次の実践を踏まえ,さまざまな科目に 「成果普及促進」 ついて授業を実践した。特に科目選択方法等の運営形態について改善を施した。 について,今年度も多くの学校視察・学校訪問があった(13件中9件が海外からの訪問)。生徒 の各種大会等における賞・記録については今年度も多くの賞などをいただいた。東工大大岡山 キャンパスの「ものつくり教育研究支援センター」に本校の「課題研究」の成果を特別展示し,大学のみな らず学外にも広く紹介した。最新ニュースをホームページ上のニューズレターで紹介した(この1年間の間に掲載 されたSSH関連トピック数は15件)。さらに,出張などの機会でも他のSSH校との研究交流を行った。 第1年次の年度末に実施した意識調査の分析を行った。第2年次のSSH実施報告書を作成した。 第3年次 新科目「科学技術研究入門」について,「(2)科学技術に関する課題の発見・設定と解決の方法」の 部分,および「(4)討論と相互理解」の部分について,授業実践に基づく問題点を踏まえて,改善のた めの教材改訂を行った。また,国外とのコミュニケーションに関する部分について,科学技術研究入門研究 会が国際性育成研究会と連携しながら,アジアの高校生との授業交流で実施可能な授業内容の検討 を進めた。本科目の履修の有無が翌年度の「課題研究」への取り組みに及ぼす影響を評価するため の追跡調査をした。「国際性育成」については,国外とのコミュニケーションに関する部分について,実施要 領の作成を進め,国際交流を開始した。研修授業としてタイに生徒を派遣し,またタイの高校生を受け 入れた。本年度の実施を鑑み,授業形態・指導方法・成績評価の方法・留学生TA導入のあり方・タイの 高校生との交流について,検討・改善を行った。「さきがけ教育」については,副読本「数理応用」を副 読本「数学さきがけ(試作版)」に改訂する作業を行い,予定より半年ほど早く作成できた。第2学年の 「数学さきがけ」では,副読本「数理応用」,副読本「数学さきがけ(試作版)」と補助プリントを用いて授業 実践を行った。第2年次に拡充された形態を維持し,第1,第2,第3学期のそれぞれにおいて「数学科 教員と科学・技術科教員との連携授業」を実施した。第3学年の「数学さきがけ」では,類型選択の数学 Ⅲの2学期中間試験終了後から,2学期終了時までの時間を利用し,副読本「数学さきがけ(試作版)」 を用いて実施した。事前・事後の学力調査等も行った。「物理さきがけ」では,第2年次に抽出した3つ の実施内容から,2つの項目を選定し,教材プリントを作成して試行した。事前・事後の調査等も行っ た。第3学年の「3学期さきがけ」では,AO入試などで一般入試よりも早期に大学進学が決まった生徒 に対して,より発展的な内容を学習させる教育内容の改善を行い,さまざまな科目について授業を実 践した。「成果普及促進」については,今年度も多くの学校視察・学校訪問があった。生徒の各種大会 における賞・記録については,今年度も多くの賞をいただいた。タイ王国カセサート大学附属高等学校との 間で国際交流研修を実施し,相互に生徒・教員を派遣して国際交流に努めた。最新ニュースをホームペー ジ上のニューズレターで紹介した。さらに,課外活動や出張などの機会でも,他のSSH校との研究交流を 行った。「SSH研究開発中間報告会」を開催し,全国からの参加者に研究の成果を公開し,研究の評 価のためのアンケート調査を行った。第3年次のSSH実施報告書を作成した。 第4年次 新科目「科学技術研究入門」について,完成度の高い授業実践を行い,アジアの高校生との交流 を実施する。授業形態・指導方法・成績評価の方法・留学生TA導入のあり方について検討を進 め,アジアの高校生との交流の方法などについても,問題点を明確にし,円滑に実施するための 方策を検討する。「課題研究」について,第3学年生徒のうちの希望者が,アジアの高校生と研究を 通じた国際交流を行う。第2学年生徒がアジアの高校生と次年度に行う「課題研究」における国際 交流の希望調査を実施する。「数学さきがけ」について,年度始めに副読本「数学さきがけ(試作 版)」を発行し,これを用いて,第2学年,第3学年1,2学期,及び,第3学年3学期の授業実践を 行いながら,見直し検討作業を行う。事前・事後の学力調査を行う。東京工業大学教員に,副 読本「数学さきがけ(試作版)」をベースにした,教材の内容に関するアンケート調査を行う。「物理さき がけ」について,教材プリントで授業を実践する。事前・事後の学力調査を行う。物理と化学につ いて,AO入試などで一般入試よりも早期に大学進学が決まった生徒に対して,より発展的な内 容を学習させる教育内容の充実を行い,3学期に授業を実践する。研究対象生徒への意識調査 を行う。教員から見た生徒の変容を調査する。理工系大学に進学した卒業生への追跡調査を行 う。教員対象の意識調査を行う。第4年次のSSH実施報告書を作成する。他のSSH校との研究交 流を行う。 第5年次 新科目「科学技術研究入門」について,研究発表会など外部からの評価を受けるための授業実 践を行い,アジアの高校生との交流を実施する。授業形態・指導方法・成績評価の方法・留学生 TA導入のあり方・アジアの高校生との交流の方法などについて,完成を目指す。「課題研究」につ いて,第3学年生徒のうちの希望者が,アジアの高校生と研究を通じた国際交流を行う。「数学さ きがけ」について,副読本「数学さきがけ(試作版)」で,第2学年,第3学年1,2学期,及び,第3 学年3学期の授業実践を行いながら,副読本「数学さきがけ」の完成作業を行う。事前・事後の 学力調査を行う。「物理さきがけ」について,改善された教材で授業実践を行いながら,見直し 検討作業を行い,「物理さきがけ」の教材完成を目指す。事前・事後の学力調査を行う。理工系 大学に進学した卒業生への追跡調査を行う。生徒の変容についてのまとめを行う。SSH研究開 発の活動に関する意識調査を本校教員に対して行い,教員の変容についてのまとめを行う。研 究全体の評価をまとめる。「SSH研究開発発表会」を開催し,研究の評価のためのアンケート調査を行 う。第5年次のSSH実施報告書を作成する。他のSSH校との研究交流を行う。 ○教育課程上の特例等特記すべき事項 教育課程の特例は必要とならない。学校設定科目としては,新科目を開発するために「科学技術 研究入門」を設置する。 ○平成20年度の教育課程の内容 (アンダーラインつきの太字は開発科目,太字はSSH関連科目,斜字は前回のSSH成果を生かした科目) 第1学年:国語総合,世界史A,数学Ⅰ,数学A,理科総合A,物理Ⅰ,化学Ⅰ,体育,芸術,英語Ⅰ 英語Ⅰ, 英語Ⅰ 科学技術基礎,数理基礎,人と技術,情報技術基礎 第2学年:現代文,現代社会,数学Ⅱ 数学Ⅱ,数学B,物理Ⅰ,化学Ⅰ,体育,保健,英語Ⅱ, 数学Ⅱ 応 用 化 学分野;科学技術,科学技術研究入門 科学技術研究入門, 科学技術研究入門 先端科学技術入門,工業物理化学,有機工業化学,地球環境化学 情 報 シ ス テ ム分野;科学技術,科学技術研究入門 科学技術研究入門, 科学技術研究入門 先端科学技術入門,ハードウェア技術,プログラミング技術 機 械 シ ス テ ム分野;科学技術,科学技術研究入門 科学技術研究入門, 科学技術研究入門 先端科学技術入門,実習,製図 電 気 電 子分野;科学技術,科学技術研究入門 科学技術研究入門, 科学技術研究入門 先端科学技術入門,電気基礎,電子技術 建築デザイン分野;科学技術,科学技術研究入門 科学技術研究入門, 科学技術研究入門 先端科学技術入門,製図,建築構造,建築構造設計,建築計画 第3学年:現代文,日本史A,現代社会,体育,保健,リーディング,ライティング,家庭基礎, 類型選択;「数学Ⅲ 数学Ⅲ,専門」or「数学Ⅲ 数学Ⅲ,物理Ⅱ 数学Ⅲ,化学Ⅱ」or「古典講読,日本史B,リーディング」 数学Ⅲ 数学Ⅲ 物理Ⅱ」or「数学Ⅲ 物理Ⅱ 数学Ⅲ 応 用 化 学分野;課題研究 課題研究,工業物理化学,有機工業化学 課題研究 情 報 シ ス テ ム分野;課題研究 課題研究,ハードウェア技術,ソフトウェア技術,プログラミング技術 課題研究 機 械 シ ス テ ム分野;課題研究 課題研究,機械設計,機械工作 課題研究 電 気 電 子分野;課題研究 課題研究,電気基礎,実習 課題研究 建築デザイン分野;課題研究 課題研究,製図,建築構造,建築計画 課題研究 ○具体的な研究事項・活動内容 新科目「科学技術研究入門」については,年度計画に基づき,科目としての着実な熟成化を目指し た活動を実施した。昨年度,一昨年度の授業実践の経験を踏まえ,各分野では,テキストおよび授業内 容のブラッシュアップを図りつつ,よりレベルアップした授業展開とすべく,精力的に取り組んだ。授業実践3年 目となる今年度も前年に引き続き,科目開発の有効性について,生徒の評価を通した分析を行った。 また,同様に,本科目を受講した生徒が3年生の課題研究の取り組みにどのように影響し,成果を もたらしているかに関して分析した。本年度は以上の2点に加え,国際性育成研究会とともに,タイ 王国カセサート大学附属高校の交換留学生に対し,本科目の授業交流を行った。 「国際性育成」については,SSH研究2年次にあたる平成18年度に交流協定を結んだタイ王国カセサート 大学附属高校との交換留学が2年目となり,さらに充実した内容で無事実施することが本年度の主 な活動とした。交換留学初年度の平成19年度は,すべて試行錯誤の連続であったが,2年目とな る20年度は,派遣する生徒・引率教員の安全を第一に確保し,国外での不測の事態にも落ち着いて 対応できるような危機管理体制を整えることを重視した。また今年度は,4月の年度当初からタイ派 遣のアナウンスを行い,派遣生徒の家庭がホストファミリーとなることを原則としたため,10月のタイ生徒受入時 には本校生徒の家庭でのホームステイを実現させることができた。さらに,科学技術研究入門研究会との 連携を行い,各分野でタイ生徒の授業参加を実施した。生徒・教員を対象とした「英語による講演」 も継続的に行い,タィ王国のみならず,諸外国の人々と接し,直接情報を収集する機会を作ることが できた。留意したい点として,語学「英語」学習という観点からではなく,様々な分野での情報交 換を可能とする場として設定し,各分野の参加者が情報を取捨選択する機会を設けることができた。 昨年に引き続き,英国科学実験講座クリスマスレクチャー2008への参加,なども実施した。 「さきがけ教育」については,第2学年及び第3学年の「数学さきがけ」と第3学年の「3学期さきがけ」 についての授業実践,各種アンケート調査の実施などに加えることによって,充実を図った。「物理さき がけ」については,昨年度の試行を踏まえて教材プリントを見直して新たに開発し,第3学年における類 型選択科目「物理Ⅱ」を利用し,履修者の中から希望の生徒に対して本格的な実践を行った。アンケー ト調査による教育実習生・本校卒業生への調査・追跡も引き続き行った。昨年度,1回目のSSH研究 開発で作成した副読本「数理応用」に「確率と統計入門」「線形代数入門」「解析学入門」の3つの章を加え て,副読本「数学さきがけ(試作版2007)」に改訂したが,さらに検討を行い新たな内容を加えて副読 本「数学さきがけ(試作版2008)」に改訂し充実化を図った。第2学年の「数学さきがけ」では,1・2・3 学期とも,数学科教員と科学・技術科教員のTTを継続した。 「成果普及促進」については,例年通りこれまでの活動を継続的に行い,国内外からの学校視察・ 学校訪問を受け入れた。また,11月に神戸大学で開催された「SSHの評価に関する研修会」に発表 校として参加し,第1期SSH第2期SSHの取り組みと評価について,プレゼンテーションを行った。生徒の各種 大会等における賞・記録については,今年度もいくつかの賞をいただいた。科学系クラブの活動とし て,他のSSH校(群馬県立桐生高等学校)やSSH校でない学校(成蹊高等学校)との研究交流を行った。 東京工業大学「ものつくり教育研究支援センター」に,本校の「課題研究」の成果を1月から3月末まで特別 展示して一般公開した。本校ホームページ上のニューズレター(News Letter)では,平成20年3月から平成21年2月 までの1年間に,14件のSSH関連のトピックを紹介(公開)した。 ⑤ 研究開発の成果と課題 ○実施による効果とその評価 今年度に新科目「科学技術研究入門」を履修した2年生(平成19年度入学生)に対する記述式のテストによる 事前・事後調査の分析では,科学・技術科の5分野のうち4分野において,有意差が認められた。有意差が 認められなかった分野は,事前のテストの平均値が高かったためと考えられる。「国際性育成」においては, 科学技術研究入門研究会と連携し,タイ生徒の授業参加が実現した。課題研究における生徒による「英 文アブストラクト作成」実施後の調査では,約80%の生徒が難しいと感じている一方で,約90%以上の生徒 が英語の重要性と必要性を認識していることが分かった。「さきがけ教育」における第2学年「数学さ きがけ」で事前・事後に実施した小テストによる学力調査の比較では,研究第3年次の3学期・研究第4 年次の1学期・2学期のいずれの調査において有意差が認められた。第3学年の「数学さきがけ」で実 施した事前・事後調査の比較では,「「数学の学習」はどの程度必要だと感じていますか」「「数学」と「物 理や化学,工業」はどの程度関連性があると感じていますか」「未知の値を求めたり事象を解析した りする際に,「数学」はどの程度役立つと感じていますか」のいずれにおいても,昨年度と同様に事 前の平均値が既にかなり高い値であった。第3学年の「物理さきがけ」で実施した事前・事後調査の 比較でも,「高校の物理に興味・関心がありますか」「教科書には載っていない発展的な内容を学習し たいと思いますか」のいずれにおいても事前の肯定的意見の割合がかなり高く,差もほとんど無か った。第3学年の「3学期さきがけ」では「授業の内容が理解できたか」について比較的高い数値のもの 「成果普及促進」では,学校視察・学校訪問の受け入れにおいて, が多く,すべてが3.00を上回った。 ロシア,韓国,台湾,タイ,ベトナムからの視察も含まれた。 ○実施上の課題と今後の取組 新科目「科学技術研究入門」については,科目の履修を通した生徒の評価において,科目の性格上 難しい部分が多く,客観的な評価法の確立には,さらに今後も継続的な検討が必要である。国際交 流に関連した活動に関しては,タイの生徒が本校の授業に参加することができたが,課題が残った。 タイ生徒が参加する授業展開では,国際性育成研究会と協力し,言葉での説明に依存せず,観る・触 る・つくるといった共同活動や科学技術を共通言語とした展開により,体験を共有する授業とする 工夫によって改善を試みたい。「さきがけ教育」については,第2,3学年の「数学さきがけ」では,最 終年次に向けて,更なる充実・完成を目指していきたい。「成果普及促進」については,これまでの 活動を継続的に行っていくとともに,来年度予定の成果発表会に向けて,準備を進めていく。 B SSH研究開発の成果と課題 東京工業大学附属科学技術高等学校 17~21 平成20年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発の成果と課題 ① 研究開発の成果 昨年度と同様に,今年度に新科目「科学技術研究入門」を履修した2年生(平成19年度入学生)に対 する,記述式のテストによる事前・事後調査の分析を行った。合格者(5点満点で4点以上を獲得した生 徒を指すが,教師側の意図を十分に理解できている場合のみを合格者とするため,このレベル設定は かなり高い)人数の総人数に対する割合について,χ2検定を行った結果,応用化学分野が0.01%水 準,情報システム分野が5%水準,機械システム分野が1%水準,電気電子分野が0.01%水準で,それぞれ有 意差が認められた。建築デザイン分野では,有意差が認められなかったが,事前の合格者の人数が多 いためだったのが,一つの要因と思われる。 「国際性育成」については,タイ・カセサート大学附属高校生徒受入時に,科学技術研究入門研究会と協 力し,「科学技術研究入門」および「英語Ⅱ」の授業にタイ生徒が参加し,合同授業を実現した。課題 研究の「生徒による「英文アブストラクト作成」」実施後の調査では,約80%の生徒が難しいと感じてい る一方で,約90%以上の生徒が英語の重要性・必要性を認識し,前回のSSHで開発した科目「先 端科学技術入門」で取り組んでいる専門英語の課題もアブストラクト作成に役立っていることが分 かった。 「さきがけ教育」における第2学年「数学さきがけ」で事前・事後に実施した小テストによる学力調査の 比較では,研究第3年次の3学期,および研究第4年次の1学期・2学期のいずれにおいても,事前の 平均値より事後の平均値が上回り,それぞれ1%水準,5%水準,1%水準で有意差が認められた。 第3学年の「数学さきがけ」で実施した事前・事後調査の比較では,「「数学の学習」はどの程度必要だ と感じていますか」「「数学」と「物理や化学,工業」はどの程度関連性があると感じていますか」「未知 の値を求めたり事象を解析したりする際に,「数学」はどの程度役立つと感じていますか」のいずれ においても事前の平均値が既にかなり高い値であり,事前の平均値と事後の平均値には有意差は認 められなかった。今年度本格的に開始した第3学年の「物理さきがけ」で実施した事前・事後調査の 比較でも,「高校の物理に興味・関心がありますか」「教科書には載っていない発展的な内容を学習し たいと思いますか」のいずれにおいても事前の肯定的意見の割合がかなり高く,差もほとんど無か った。第3学年の「3学期さきがけ」で行った調査で「授業の内容が理解できたか」についても比較的高 い数値のものが多く,すべてが平均値の3.00を上回った。 「成果普及促進」では,国際性育成研究会と協力し,タイ派遣生徒の校内報告会を実施した。学校視 察・学校訪問の受け入れにおいては,ロシア,韓国,台湾,タイ,ベトナムからの視察も含まれた。 (参照:根拠となるデータ等は,実施報告書の「D ② 関係資料」のⅧの部分に添付してある) 研究開発の課題 「科学技術研究入門」について,タイ生徒が参加する授業展開では,国際性育成研究会と協力し,言 葉での説明に依存せず,観る・触る・つくるといった共同活動や科学技術を共通言語とした展開に より,体験を共有する授業とする工夫によって改善を試みたい。 「さきがけ教育」について,第3学年の「数学さきがけ」において確実な学力向上を目指したい。 「成果普及促進」について,最終年次の発表会の準備を早い段階から開始していく。 (参照:根拠となるデータ等は,実施報告書の「D 関係資料」のⅧの部分に添付してある) C 実施報告書(本文) C-1 Ⅰ 研究の概要 研究の概要および本校の概要等 1 研究開発の実施期間 指定を受けた日から平成22年3月31日まで 2 研究開発課題 未知な課題への挑戦力,国内外とのコミュニケーション力を育成するための, 高大接続を活かした科学技術教育システムの研究開発 3 研究の概要 過去3年間のSSHの成果をもとに,創造性の基盤となる力,すなわち, 「わかる」力, 「つくる」力, 「えがく」力を育む「東京工業大学附属科学技術高等学校」へ改組し,東 京工業大学と連携しながら新SSHに臨む。 「高大接続を活かして発展的内容を取り入れ た科学技術教育を行うことによって,未知な課題への挑戦力,国内外とのコミュニケー ション力が育成される」という仮説に基づき, 『理論や法則と科学技術との関連を理解さ せ,自ら課題を発見・設定し,その解決をはかる方法を理解させるとともに,得られた 知見や成果を表現・発表し,討論を通して相互理解する』力を育み,海外の高校生と科 学技術をテーマとした国際交流も行う第2学年の新科目「科学技術研究入門」を開発す る。外国人留学生もTAとして活用する。希望生徒は第3学年の「課題研究」でも国際 交流を行う。挑戦力の育成強化のために高大接続を活かして発展的内容を取り入れた「さ きがけ教育」を第2・第3学年の数学と第3学年の理科に導入する。 4 学校の概要 と う き ょ う こ う ぎ ょ う だ い が く ふ ぞ く か が く ぎ じ ゅ つ こ う と う が っ こ う (1)学 校 名 校 長 名 (2)所 在 地 東 京 工 業 大 学 附 属 科 学 技 術 高 等 学 校 市 村 禎二郎 〒108-0023 東京都港区芝浦三丁目3番6号 電話番号 03-3453-2251 FAX番号 03-3454-8571 - 1 - (3)課程・学科・学年別の生徒数,学級数及び教職員数 ① 課程・学科・学年別の生徒数,学級数 課程 学科 第1学年 第2学年 第3学年 計 生徒数 学級数 生徒数 学級数 生徒数 学級数 生徒数 学級数 全日制 科学・技術科※ 201 5 190 5 191 5 582 15 計 201 5 190 5 191 5 582 15 ※第1学年では全教科を共通に履修する。第2学年以降の専門教科では, 材料科学・環境科学・バイオ技術分野 (応用化学分野) 情報・コンピュータサイエンス分野 (情報システム分野) システムデザイン・ロボット分野 (機械システム分野) エレクトロニクス・エネルギー・通信分野(電気電子分野) 立体造形・ディジタルデザイン分野 (建築デザイン分野) の5分野に分かれて履修する。 (括弧内は各分野の略称である。平成20年4月1日 に,立体造形・ディジタルデザイン分野の略称を立体造形分野から建築デザイ ン分野に変更している。) ② 教職員数 校 長 副校長 1 Ⅱ 1 主幹教諭 教諭 1 42 養護教諭 非常勤講師 実習助手 1 7 ALT 8 0 事務職員 司書 11 (2) 計 72 研究のねらいと研究計画 1 研究開発の実施規模 第1・第2学年生徒全員及び第3学年生徒のうちの希望者を対象に実施する。 (研究第1年次に研究対象外として実践した第1学年生徒全員対象の試行を 生かし,研究第2年次より,「第1学年生徒全員」を研究対象に追加している) 2 研究の内容・方法・検証等 (1)「現状の分析と研究の仮説」 日本経団連のアンケート調査によれば,企業に入社した産業技術人材の現状の問題点 として指摘の多かった事項に,創造性,問題設定能力の不足,積極性,問題意識の低下 がある。また,外国語を含むコミュニケーション力の不足や専門領域の狭さを指摘する 意見も多かった。文部科学省の調査においても,ほぼ同様の傾向が示されており,民間 企業を対象に行った調査では,若手研究者の資質が低下していると認識している回答が 向上しているという回答を大幅に上回っている。さらに,ほとんどの大学関係者も理工 系人材育成において,創造性に富む人材や主体性・積極性に富む人材の育成が欠けてい るとの認識を抱いているのが現状である。この現状に対し,産業界は,わが国の将来を 担う産業技術人材の現状に大きな危機感を抱いている。*1 - 2 - 我が国は,これまでのようなキャッチアップ型の国からフロントランナー型の国への 移行の中にあり,我が国の研究者は,世界的な水準において,極めて高い能力が求めら れている。能力の具体的な中身としては,これまでも様々な場で指摘されているように, 独創性,創造性,未知なものへのチャレンジ精神,豊かな感性,主体的な課題設定能力 や論理的思考力,国際的なコミュニケーション能力などが求められ,より困難な場面に 直面することが多くなることから,強い意志,ねばり強さなど精神的な力もこれまで以 上に求められる。さらに,科学技術と社会との関わりがますます強まっていることから, 倫理観や社会への説明能力も重要になってきている。*2 また,社会・経済活動全般にわたる急速な情報化及び国際化の進展に伴い,科学技術 ・学術分野においても厳しい国際的競争環境の下で,国際化推進施策を積極的に展開す ることが急務となっており,平成13年に定められた第2期科学技術基本計画を指針と し,科学技術・学術活動の国際協力・交流の現状と動向を踏まえて,国際化推進の諸施 策を講じるに当たっては, 「先端研究における国際協力の戦略的推進」, 「地球規模の問題 解決への取組みの強化」及び「アジア諸国との研究パートナーシップの構築」の3点を 特に重視するとともに,これを支える「国際交流・協力の基盤強化」を強力に推進する ことを基本とすべきであるとの結論が報告*3されている 一方,児童・生徒は,学習が受け身で,覚えることは得意だが,自ら調べ自ら判断し, 自分の考えを表現する力が十分育っていないこと,一面的なものの見方や考え方はでき ても,多面的な見方や考え方が十分に育っていないこと,算数・数学や理科の学習につ いて諸外国よりも得点平均は高いものの,積極的に学習しようとする意欲等が高くはな いなどの問題が指摘*4されている。また,初等中等教育と高等教育の接続に関して,入 学者選抜の問題だけではなく,カリキュラムや教育方法などを含め,包括的に接続を考 えていくべきであり,高等学校と大学の両者がいかにしてそれぞれの責任を果たしてい くかという観点から,両者の教育上の連携を拡大することが必要であることも提言*5さ れている。教養教育における初等中等教育の役割においては,自分で課題をみつけ,考 え,判断し,問題を解決していく力を育成する上で,特に後期中等教育の段階は重要*6 であるとされる。特に,高等学校における教養教育においては,物事を自分の頭で納得 が行くまで論理的に粘り強く考える訓練をし,それを習慣づけていくことや,物事を科 学的に調べる能力,科学的なものの見方や考え方を体得することが求められている*7。 近年,OECDが平成15年(2003年)に実施した国際的な学習到達度調査の結 果によると,日本は「数学的応用力」が前回の1位から6位になり,誤差を考慮すると 統計的には1位の香港と差がないものの,厳しい現状の認識が示されたこと*8や,国際 教育到達度評価学会(IEA)が同年に実施した学力調査においても,日本は,理科及 び数学で低下傾向が見られたこと*9が新聞等に報道されたことは,記憶に新しい。 これらの状況のもと,新学習指導要領の基本的なねらいである[生きる力]の育成を 目指しながら, [生きる力]を知の側面からとらえた[確かな学力]育成のための取組の 充実が必要*10である。また,国際化の進展に伴い,国際社会の中で日本人としての自覚 をもち主体的に生きていく上で必要な資質や能力を育成することも極めて重要*4である ことから,将来の国際的な科学技術系人材の育成を図る上で,本校は,未知な課題へ「い どむ」力-“未知な課題への挑戦力”-,及び,我が国を含めた国際社会の中で「わか - 3 - りあう」力-“国内外とのコミュニケーション力”-を育成することが極めて重要であ ると考える。平成17年度の改組では,創造性の基盤となる力として「わかる」力, 「つ くる」力, 「えがく」力を育む教育を実施する。この教育課程をもとにして,さらに,世 界最高の理工系総合大学の実現を目指す東京工業大学の附属学校としての本校は,現在 のSSH研究開発をはじめとして東京工業大学との高大接続教育の研究と実践を推進し ている。そこで, 「高大接続を活かして発展的内容を取り入れた科学技術教育を行うこと によって,未知な課題への挑戦力,国内外とのコミュニケーション力が育成される」と いう仮説を立て,その検証のために,本研究開発を行うものである。 ベースとなる教育課程で育成 される力 「創造性の基盤となる力」 本研究開発で育成される新たな力 未知の課題への挑戦力 いどむ わかる つくる えがく わかりあう 国内外とのコミュニケーション力 (平成14年度~16年度 のSSHの成果) 将 来 の 国 際 的 な 科 学 技 術 系 人 材 (平成17年度からの新SSH) *1 平成15年3月(社)日本経済団体連合会「産学官連携による産業技術人材の育成促進に向けて」 *2 平成14年7月科学技術・学術審議会人材委員会「世界トップレベルの研究者の養成を目指して -科学技術・学術審議会人材委員会 第一次提言-」 *3 平成15年1月科学技術・学術審議会国際化委員会「科学技術・学術活動の国際化推進方策について報告」 *4 平成10年7月教育課程審議会「幼稚園,小学校,中学校,高等学校,盲学校,聾学校及び養護学校の教育課程の基準の改善 について(答申)」 *5 平成11年12月中央教育審議会 「初等中等教育と高等教育との接続の改善について(答申)要旨」 *6 平成12年12月中央教育審議会 「新しい時代における教養教育の在り方について(審議のまとめ)」 *7 平成14年2月中央教育審議会「新しい時代における教養教育の在り方について(答申)」 *8 平成16年12月7日朝日新聞「15歳対象のOECD国際調査」 *9 平成16年12月15日朝日新聞「学力,中二6位,小四3位 国際学会調査」 *10 平成15年10月中央教育審議会「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について(答申の概要)」 (※[確かな学力]とは,知識や技能に加え,思考力・判断力・表現力などまでを含むもので, 学ぶ意欲を重視した,これからの子どもたちに求められる学力) (2)「研究内容・方法・検証」 ① ベースとなる教育課程 本研究開発を行うために基本となる教育課程は,本校で平成14年度から行った3 年間のSSH研究開発の成果を生かした,5つの学校設定科目「科学技術基礎」,「数 理基礎」,「人と技術」,「科学技術」,「先端科学技術入門」を含む,本校独自の教育課 - 4 - 程である。この教育課程の骨格は,実験・実習,観察やものづくりを中心とした,次 の3科目である。第1学年の「科学技術基礎」で,工業の各分野にわたる基礎的な科 学技術を,実験・実習によって理論を確かめながら体験させ,第2学年の「科学技術」 で,科学技術の各専門分野における,専門性のある,より高度な内容を実験・実習を 通して学び,第3学年の「課題研究」で,自ら課題を設定し,その課題を解決する学 習を通して,独創性,創造性を養うことに主眼を置く。これらに加え,第1学年にお いて, 「数理基礎」で理科及び工業教科を理解するために必要な基礎的数学知識を習得 させ,数理的にとらえるセンスを磨き, 「人と技術」で科学技術に対する興味・関心を 喚起し,自ら調べ,学ぶ態度を育てると共に,科学者・技術者としての倫理観を考え, 身につけさせ,第2学年において, 「先端科学技術入門」で先端科学技術の研究や成果 およびその基盤となっている部分に触れさせ,基礎的な学力の必要性や重要性を認識 させる,というものである。この教育課程により, 「わかる」力, 「つくる」力, 「えが く」力が育成される。一方,未知な課題へ「いどむ」力-“未知な課題への挑戦力” -,及び,我が国を含めた国際社会の中で「わかりあう」力-“国内外とのコミュニ ケーション力”-の育成が十分であるとは言えなかった。 ② 研究内容 本研究開発では,この教育課程を元にして,平成17年度より「東京工業大学附属 科学技術高等学校」に改組し, 「サイエンスにテクノロジーという要素を加えて,スー パーサイエンス&テクノロジーハイスクールとして取り組む」というスピリットを貫 きながら,新たなSSH研究開発に臨み,東京工業大学と連携しながら,工業の専門 教育を主とする高等学校の立場から,国際的な展開という新たな状況に対応できる, 科学技術・理科,数学教育の革新的方法を提案するものである。 第2学年において, 『理論や法則と科学技術との関連を理解させ,自ら課題を発見・ 設定し,その解決をはかる方法を理解させるとともに,得られた知見や成果を表現・ 発表し,討論を通して相互理解する』力を育成する新科目「科学技術研究入門」を開 発する。この新科目では,背景となる理論や法則と科学技術との関連を理解させると きに,できるだけ各専門分野に共通する事象を例として扱い,同時に,理数科科目と の関連を理解させる。科学技術に関する事象を深く観察させ,多面的に考察する力を 養う。さらに,実証的なデータに基づいて科学的に表現する力を養い,得られた知見 や研究の成果を明解に発表する力を養う。そして,論理的な意見交換,質問とその回 答のしかたなどを学ばせ,討論や意見交換を通じて相互理解をはかる。また,そこか ら,新たな発見ができる可能性があることを理解させる。その学習の中で,東京工業 大学の国際室及び留学生センターの協力を得て,アジアの高校生と科学技術をテーマ とした国際交流も体験させる。次に,第3学年の「課題研究」においても,第2学年 で培った国際交流の経験を活かし,意欲的に国際交流の継続を希望する生徒を対象に, 研究を通じた国際交流の機会を与え,国際的なコミュニケーション力を育成するため の教育方法を開発する。上記2科目の円滑な運営のために,東京工業大学の留学生も ティーチングアシスタント(以下,TA)として活用する。*1 また,未知な課題へ「いどむ」力については, 「課題研究」などでも育成される機会 があるが,さらに育成を強化するために,高大接続を活かして発展的内容を取り入れ - 5 - た「さきがけ教育」の内容を開発する。この「さきがけ教育」では,生徒の「いどむ」 意欲を喚起するために高大接続を意識した発展的な内容を取り入れ,高校の学習と大 学の学習をなめらかに接続するための内容や,大学教員が高校において「ここまでは 学習させて欲しい」と考えている内容などを教育する。 「数学さきがけ」及び「物理さきがけ」を,第2学年と第3学年における数学,及 び,第3学年における物理の中に,互いに独立に*2,選択的に導入し,発展的内容の 学習をも希望する生徒に対して適切と考えられる教育内容を開発する。また,AO入 試などで一般入試よりも早期に大学進学が決まった生徒に,学部学習につなげる学習 をさせるために,数学・物理・化学などで,第3学年3学期における教育内容につい ても検討する。 *1 これらを支えるために,第1学年の「英語Ⅰ」においても,英語によるプレゼンテーションを含む指導を行う。 *2 数学さきがけと物理さきがけの選択はそれぞれ任意であり,生徒は自らの希望によって,両方選択することも,片方だけ選 択することも,両方とも選択しないこともできるものとし,選択しない場合は,従来の数学や物理を学習するものとする。 「本SSH研究開発と平成17年度から本校で新編成する教育課程との関連図」 理工系大学学部1年 AO入試など合格者への3学期の指導 (数学・物理・化学など) 第3学年 課題研究 (国際交流も可能) 数学さ きがけ 物理さ きがけ 数学 物理 数学さ きがけ 第2学年 第1学年 ※ 先端科学 技術入門 科学技術 数理基礎 は新科目の開発, 科学技術研究入門 (国際交流も必須) 科学技術基礎 人と技術 は教育方法の開発, - 6 - 数学 英語Ⅰ (英語によるプレ ゼンテーションを含む) は教育内容の開発 これらの教育を行うことにより,未知な課題への挑戦力,国内外とのコミュニケー ション力が育成されるものと期待される。 ③ 方法 ・新科目の開発 第2学年生徒全員必修となる新科目「科学技術研究入門」は2単位の科目であり, 国際交流を行う相手側の高校の都合上,現時点では,まだ,確定した時間帯は定ま らないが,第2学年5クラスすべてにおいて,例えば,火曜日の第3時限,第4時 限に設置するなどの時間割編成を想定している。教材は,研究第1年次から開発を 始め,研究第3年次の年度末までの完成を目指す。科目の内容などについては,次 の(3) 「必要となる教育課程の特例」の方に,詳細を示してある。授業形態,指導 方法,成績評価の方法,留学生TA導入のあり方などの検討を予定している。 ・課題研究の拡充 第3学年生徒全員必修の「課題研究」は,第3学年5クラスすべてにおいて,例 えば,木曜日の第1時限,第2時限,第3時限,第4時限に設置するなどの時間割 編成を想定している。「課題研究」における国際交流のあり方の可能性を探る。 ・「さきがけ教育」 第2学年における「数学さきがけ」は, 「数学Ⅱ」 (4単位)・「数学B」 (2単位) の中で生徒の希望により選択的に行うため,それらの学習内容にも配慮しながら実 施する。各学期末に特別時間割を組み,計20~25時間程度を当てて実施し, 「数 学さきがけ」を希望しない生徒には,従来の「数学Ⅱ」・「数学B」の内容をより定 着させる。第3学年における「数学さきがけ」は,類型選択(6単位)の4コース のうち, 「文化系dコース」以外の「専門系aコース」, 「理科系bコース」, 「理科系 cコース」で履修する「数学Ⅲ」(3単位)の中で行うため,「数学Ⅲ」の学習内容 にも配慮しながら実施する。1,2学期の「数学Ⅲ」用のクラス編成の中に「数学 さきがけ」を設け,生徒の希望により選択的に実施し, 「数学さきがけ」を希望しな い生徒には,従来の「数学Ⅲ」の内容を学習させる。教材は,通常の教科書と共に, 平成14年度から平成16年度までのSSH研究開発で作成した副読本「数理応用」 (資料として,別途添付する)を活用し,授業実践を行いながら,副読本「数学さ きがけ」に改訂する。 第3学年における「物理さきがけ」は,上述の「理科系bコース」で履修する「物 理Ⅱ」(3単位)の中で生徒の希望により選択的に行うため,「物理Ⅱ」の学習内容 にも配慮しながら実施する。第3学年における「物理Ⅱ」用のクラス編成の中に「物 理さきがけ」を設け,1,2学期末に特別時間割を組み,計16時間程度を当てて 実施し, 「物理さきがけ」を希望しない生徒には,従来の「物理Ⅱ」の内容をより定 着させる。まず,指導内容を検討して,教材プリントを作成・蓄積し,授業実践で は,通常の教科書と共にそれらの教材プリントを使用しながら教材を開発する。 3学期には,特別時間割を組み,AO入試などで一般入試よりも早期に大学進学 が決まった生徒に,学部学習につなげる学習をさせるための,より発展的な内容を 学習させる。数学では計30時間程度,物理では計10時間程度,化学では計10 時間程度を想定している。教材は,指導内容を検討して教材プリントを作成・蓄積 - 7 - し,授業実践でそれらを使用しながら教材開発を行う。 なお,これら「さきがけ教育」の教材開発にあたっては,東京工業大学教員の助 言も得て行われる予定である。 ・その他の活動 研究対象生徒には「いどむ」心, 「わかりあう」心を芽生えさせるために,科学技 術に関する講演会・校外研修などを実施する。 科学技術をテーマとした国際コンテスト参加など,国際性を高めるための課外活 動などを推進する。 研究課題を達成するために,教員の資質向上を目指した講演会・研修会などを実 施する。 ④ 検証 成果は,文部科学省から示されている「SSHにおける研究開発を進めるに当たっ ての留意点と評価について」に配慮しながら,次のような方法などにより評価を行い, 検証する。 未知な課題へ「いどむ」意欲や態度,我が国を含めた国際社会の中で「わかりあう」 意欲や態度などに関する,生徒への意識調査を行い,生徒の意識の変容を評価する。 理工系大学に進学した卒業生についても,追跡調査を行い,変容を評価する。 教員から見た,生徒の未知な課題へ「いどむ」力,我が国を含めた国際社会の中で 「わかりあう」力の変容は,観察・生徒の作品・学力調査などによって評価する。 SSH研究開発の活動に関する意識調査を本校教員に対して行い,教員の変容を評 価する。 「SSH研究開発中間報告会」, 「SSH研究開発発表会」などの機会に行うア ンケート調査による外部評価をもとに,研究を評価する。 - 8 - (3)「必要となる教育課程の特例」 教育課程の特例は必要とならない。学校設定科目としては,新科目を開発するために 「科学技術研究入門」を設置する。 ・科学技術研究入門 教 科:工 業 科 目 名:「科学技術研究入門」 目 標: 科学技術の背景となる理論や法則と科学技術との関連を理解させ,自ら課題 を発見・設定し,その解決をはかる方法を理解させるとともに,得られた知見 や成果を表現・発表し,討論を通して相互理解する態度を育てる。 履修学年:第2学年 単 位 数:2単位 内 容: (1)理論・法則と科学技術との関連 (2)科学技術に関する課題の発見・設定と解決の方法 (3)知見・成果の表現と発表 (4)討論と相互理解 指導方法: (1)については,背景となる理論や法則と科学技術との関連を理解させると き,できるだけ各専門分野に共通する事象を例として扱うこと。同時に, 理数科科目との関連を理解させること。 (2)については,科学技術に関する事象を深く観察させ,多面的に考察する 力を養うこと。 (3)については,実証的なデータに基づいて科学的に表現する力を養い,得 られた知見や研究の成果を明解に発表する力を養うこと。 (4)については,論理的な意見交換,質問とその回答のしかたなどを学ばせ, 討論や意見交換を通じて相互理解をはかること。また,そこから,新たな 発見ができる可能性があることを理解させること。情報通信ネットワーク 環境を活用して,遠隔地との交流を実施し,外国語による国際交流も実施 することが望ましい。 既存の教科・科目との関連: 第2学年の学校設定科目「科学技術」では,科学技術の各専門分野における, 専門性のある,より高度な内容を実験・実習を通して学ぶのに対し,本科目で は,科学技術の各専門分野共通の一般的な理論や法則と科学技術との関連を学 ぶとともに,将来において,科学技術に関する研究活動を行う際に必要とされ る,基本的な姿勢や態度を学ぶ。 第1学年の学校設定科目「科学技術基礎」で学ぶ内容との一貫性に留意する 必要がある。 第3学年の「課題研究」で学ぶ内容に接続するものと考えられる。 「工業技術英語」との学習内容の重複が考えられるが,本科目では,科学技 術を主題とした討論や相互理解,国際交流に重点を置く。 - 9 - この他,元となる教育課程編成のために,5つの学校設定科目「科学技術基礎」,「数 理基礎」,「人と技術」,「科学技術」,「先端科学技術入門」を設置する。 ・科学技術基礎 教 科:工 業 科 目 名:「科学技術基礎」 目 標: 工業の各分野にわたる基礎的科学技術を実験・実習によって理論を確かめな がら体験させ,かつ,各分野における技術と基本的な科学の概念や原理・法則 を理解させ,科学技術に関する広い視野を養うとともに,科学技術者としての 必要な能力を養う。 履修学年:第1学年 単 位 数:3単位 内 容: (1)力学分野 ア メカニズム模型の設計と製作 イ 水と空気の流体力学 ウ 長さの測定と有効数字 エ 力のつりあい オ 気体とタービンで熱力学 カ 金属材料の強さを学ぼう キ フックの法則 ク 重力加速度の測定 (2)電気分野 ア 分圧と分流 イ コンピュータの演算 ウ 抵抗の製作と測定 エ キルヒホッフの法則 オ コンデンサと電荷 カ 電気と磁気 キ 交流回路の基礎 ク 半導体とダイオード (3)化学分野 ア 塩化銅(Ⅱ)の化学式の決定 イ 水と食塩水溶液の凝固現象 エ 化学的方法による水質検査 ウ H2, O2, Cl2を発生させる オ 中和反応(中和滴定)とpH カ 分子の大きさの測定 キ コロイド溶液 (4)製図分野 ア 製図の基礎 イ 図面の表示方法 ウ 投影図法 エ 相貫体模型を作る オ 柱を作る(力を加えて強さを調べる) 内容の取扱い: (1)科目の目標を達成するために,次の点に留意する。 ア 日常生活と関係の深い科学技術に関する実験・実習を通して,科学技 術への興味関心を養うとともに,その理論を理解させる。 イ 技術と理科(物理・化学)との関連について理解を深めさせる。 ウ 定性的考え方に加え,定量的考え方の重要性を認識させ,その取り扱 い方を身につけさせる。 エ 他分野の基礎的技術と知識を実験・実習を通して系統的に学ぶことに より,広い視野を養うとともに,実際に活用する能力を養う。 (2)科目の目標から1年次において,3単位程度履修させることが望ましい。 (3)指導に当たっては, 「人と技術」, 「数理基礎」等の共通に履修される科目 と密接な関連を図ること。 (4)指導計画にあたっては, 「工業技術基礎」との違いについて留意すること。 つまり科目の目標にあるとおり,各分野における技術と,基本的な科学の 概念や原理・法則を理解させることに重きを置くこと。 - 10 - ・数理基礎 教 科:工 業 科 目 名:「数理基礎」 目 標: 理科及び工業教科を理解するために必要な基礎的数学知識を習得させること により,科学や技術の分野に興味・関心を持たせ,工業教科の学習をスムーズ に進められるようにする。 履修学年:第1学年 単 位 数:2単位 内 容: (1)式の計算 文字式の通分,約分など分数式の基本的な計算や,複数の文字から成る 式の変形などを取り扱う。これらの計算は,小学校で学習した分数の知識 や計算方法及び中学校で学習した式の計算の発展であることを理解できる ように指導する。分数式の計算の応用例として,オームの法則を利用した 合成抵抗の計算などを取り扱う。 (2)指数の計算 理科及び工業の各科目にしばしば現れる指数表示された数値の計算方法 を取り扱う。各種の量は指数表示をした方がわかり易いものが多くあり, これらの計算方法に慣れることが各種の量をより深く探求するのに必要で あることを理解できるように指導する。 (3)有効数字 測定値には,必然的に真の値との間に誤差が生じるため,有効数字の概 念が必要であることを理解させ,その四則演算について取り扱う。 (4)ギリシャ文字と単位 理科及び工業の各科目にしばしば現れるギリシャ文字に親しみを感じさ せる。理科及び工業教科で扱われるSI単位の仕組みを簡潔に紹介し,そ の特長や役割を理解させる。また,科学技術の基礎を学習する上で必要と なるSI単位の換算について,質量,速度,力,仕事などを例にして理解 を深めさせる。 (5)三角比 直角三角形の辺の比と角との関係として,正弦,余弦及び正接を導入し, これらを利用して理科や工業で扱う物体に関する計量について,長さ,角 の大きさ,面積,体積などの計算や直接測定できないものを間接的に測定 する方法を身につけさせる。また,三角比の角が0゜,90゜の場合まで 拡張する。 (6)ベクトルの計算 平面上のベクトルについて,その意味と相等,加法,減法及び実数との 乗法などを理解させる。具体的な対象として,力の合成と分解,速度の和 と差などを取り扱い,これらの向きと大きさを持った物理量が有向線分で 表せることを理解させる。 (7)常用対数の計算 対数としては,主に底が10のものを取り扱う。指導に当たっては,実 際に対数表を活用して数値計算を行わせることなどに重点を置き,この過 程を通して,非常に大きい数値あるいは0に近い非常に小さい数値を扱う ときに有効な計算手段であることを理解させる。自然現象の中に多く見ら れる指数関数的変化を伴う事象を可視領域の変化としてとらえやすくする ために,対数表示の活用を取り扱う。 (8)三角関数 内容の(5)で扱った0゜から90゜までの三角比を一般角まで拡張し - 11 - て三角関数の概念を導入し,周期性を中心として,三角関数の特徴を理解 させる。理科及び工業で扱う現象には周期的である場合が少なくなく,そ の現象をより正確に表現し,応用するために,三角関数が必要となること を理解させる。また,弧度法の基本についても取り扱う。 (9)式とグラフ 自然科学や工学では,現象を究明するために実験を行い,その結果をグ ラフで表して,式で示すことが多い。比較的単純な1次関数や2次関数な どで表される現象を例にして,実験結果の数式化の方法を理解させ,自然 現象や工学現象を定量的にとらえる方法を身につけさせる。 内容の取扱い: (1)科目の目標を達成するために,次の点に留意すること。 ア 高等学校の理科及び工業教科で使用する数式の基本を学習し,数式の 理科及び工業教科への応用を学び,深化を図る。 イ 基礎的な計算処理方法を身につけ,事象を文章化し,数式や方程式を 組み立てる能力を養う。 ウ 理科及び工業教科で学ぶ事象をグラフ化し,一般法則を数式的に処理 する能力を養う。 エ 理科や工業等の科学技術の基礎教育において,原理・法則,未知の現 象等に対して数理的な見方,考え方を自ら積極的に行わせるとともに, 実験・実習をより客観的に捉え,数理的処理方法の要領を自ら会得で きるようにする。 (2)2単位程度で履修されることを想定して内容を構成している。 (3)科目の目標から1年次において履修させることが望ましい。 (4)指導に当たっては, 「科学技術基礎」, 「人と技術」などの共通に履修させ る科目と密接な関連を図り,理科及び工業の各分野に共通に必要とされる 基礎的な能力と態度を育成するように配慮することが必要である。 (5)指導計画の作成に当たっては, 「工業数理基礎」との違いについて留意す る必要がある。 「工業数理基礎」は事象があってそれを解析する過程におい て必要な数式の適用を学習するものであるのに対して, 「数理基礎」は数学 を基礎にして理科及び工業の事象を論理的に理解しようとする能力や態度 を育成するものである。 (6)理科及び工業に関する各分野を横断的に学べる科目なので,生徒が興味 ・関心を持つような良い題材を選んで学習させ,理科及び工業の境界領域 を学習するための定礎となるように工夫すること。 (7)内容の(2)において,指数の範囲は有理数までを扱うものとする。 (8)内容の(6)において,ベクトルで表される物理量を扱う際には,ベク トルが有向線分で表わされることのよさを理解させ,ベクトルを活用して 考察する能力を養うようにすること。 (9)内容の(7)において,星の明るさ等級,水素イオン濃度,音圧などの 具体的な事例を通して,対数のよさを気づかせ,対数の理解を深めるよう にすること。 - 12 - ・人と技術 教 科:工 業 科 目 名:「人と技術」 目 標: 工業の各分野における科学技術に対する興味・関心を喚起し,自ら調べ,学 ぶ態度を育てることにより,創造的に問題解決を図ることができるような人材 を育てる。また,科学技術を学ぶものあり方を生徒自身に考えさせ,技術者と しての倫理観を涵養する。 履修学年:第1学年 単 位 数:1単位 内 容: 各テーマは,科目横断的・総合的な学習をはかるものとし,技術者としてあ るべき姿を考えさせるものとする。 (1)ロボット (2)電 力 (3)都 市 (4)環境と人間 (5)技術者倫理 (6)情報モラル 内容の取り扱い: 学習活動は,(1)科学技術に対する興味・関心の喚起,(2)学習の動機付 け,(3)問題解決学習への導入,(4)発表と討議の4つの段階よりなる。 (1)科学技術に対する興味・関心の喚起 生徒の興味を沸きたてる授業,最先端の科学技術を体験する特別講義や 体験学習によって,生徒の目を科学技術に向けさせ,科学技術の問題点, すなわち,地球全体の問題から我が国の問題,そして地域特有の問題も含 め,総合的に学習する。そのために,科目を横断したテーマの設定が望ま れる。 (2)学習の動機付け 科学技術の現状,最先端の技術等を紹介し,各テーマを理解するために 不可欠な基礎的学習を行う。その際,各テーマが抱えている問題点を客観 的に指摘し,問題点を解決するためにさらに科学技術の発展が望まれてい ることを示す。なお,問題点の指摘にあたっては,技術者のモラル・倫理 観についても自ら学ぶことができるよう配慮する。また,各テーマについ てより深く学び,問題解決を図るための,上級学校・職業等を紹介し,進 路選択に具体的な助言をすることが望ましい。 (3)問題解決学習への導入 問題解決学習は, 「受ける学習」から「調べる学習」への転換を図るもの だが,そのためには,生徒自身が主体的にテーマを設定し,取り組むこと が望まれる。生徒が問題解決学習に取り組むことができるよう,[2]との 連携をはかりながら,問題解決学習のための方法を示すものとする。その 際に,調べるための施設・文献を紹介するとともに,マルチメディアを活 用した調べ方についても紹介することが望ましい。 (4)この科目は,工業に関する科目の基礎となるものであり,全テーマにつ いて第1学年で履修することが望ましいが,自分の選択した1つのテーマ について,より深く学習するため,第2学年に継続し,第3学年の課題研 究につなげていくことも可能である。 (5)指導計画の作成にあたっては,科目を横断した授業,体験のための特別 授業,生徒発表会,討議,校外研修等が,効果的に配置されることが望ま れる。また,マルチメディアの活用等が積極的になされなければならない。 - 13 - ・科学技術 教 科:工 業 科 目 名:「科学技術」 目 標: 第1学年で学習した「科学技術基礎」を踏まえ,科学技術の各専門分野にお ける技術を実験・実習を通して総合的に習得させ,工業の意義や役割を理解さ せながら,科学技術の発展に主体的に対応できる能力と態度を育てる。 履修学年:第2学年 単 位 数:2単位 内 容: (1)各専門分野における科学技術 (2)各専門分野に関係する環境と倫理 内容の取扱い: (1)内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮する。 ア 内容の(1)に基づく,専門的な実験・実習を主体とするテーマを設 定する。 イ 単に実験や実習のみを取り上げることのないよう注意すること。 ウ 指導に当たっては,基礎的な内容を用いて生徒の興味・関心等を持た せるとともに,発展的内容に対応できるよう工夫すること。 エ 内容の(2)に関しては,単一の項目で実施するのではなく,内容(1) で取り扱う科学技術と関係の深い具体的事例を取り上げるよう配慮 し,1テーマの中に取り入れて行うこと。 (2)科目の目標から,第2学年において2単位程度履修させることが望まし い。 (3)内容の範囲については,「科学技術基礎」から継続できるよう配慮する。 (4)内容の程度については, 「科学技術基礎」の発展形として扱えるものとす る。 (5)第3学年において履修する「課題研究」や他の専門科目にも学習した内 容が活用できるよう配慮すること。 - 14 - ・先端科学技術入門 教 科:工 業 科 目 名:「先端科学技術入門」 目 標: 工業の各分野における先端科学技術の研究や成果およびその基盤となってい る部分に触れさせ,基礎的な学力の必要性や重要性を認識することで,理数系 科目の基礎力の定着を目指し,自然科学ならびに技術に対する意欲と挑戦への 動機付けを図る。 履修学年:第2学年 単 位 数:1単位 内 容: (1)各専門分野における工業技術及び科学技術 (2)各専門分野における先端科学技術の研究内容・研究成果 (3)各専門分野における具体的事例に深く関係する理科・数学 (4)各専門分野に関係する科学技術系英語文献を用いた技術系英語 内容の取扱い: 本科目は,先端の科学技術を研究・開発している大学教員や技術者が講師と して参画し,本校教員と協力して行う科目である。 第2学年以上で,1単位で実施することが望ましい。 (1)科目の目標を達成するために,次の点に留意する。 ア 内容(2)及び(3)に基づくテーマを,年間を通して6テーマ程度 と設定する。また,1テーマにつき授業を4回程度実施し,第1,2 回目を本校教諭による準備授業,第3回目を講師による授業,第4回 目を本校教諭によるまとめの授業となるように配慮する。テーマ設定 に関しては,次のイによる。 イ 内容の(1)及び(2)に関しては,生徒の興味・関心を沸きたたせ る内容となるよう配慮すること。特に(2)に関しては,先端の科学 技術の研究や成果に,理科や数学の基礎的な内容が必ず基盤となって いることが理解できるようなものする。 ウ 内容(3)に関しては,必ず内容(2)で取り上げたものと関連させ ながら,理解の深化を図ること。 エ 内容(4)に関しては,内容(2)で取り上げた先端的な研究内容・ 成果と関連している文献とするよう配慮すること。 (2)内容の範囲や程度については,次の点に配慮する。 ア 内容(1)に関しては,本校の各専門の教育課程内に含まれているこ とが望ましいが,生徒の興味・関心を喚起するものであればその限り ではなく,柔軟に適応してかまわない。 イ 内容(2)に関しては,本校の各専門の教育課程と関係の深い先端的 な科学技術の研究内容・成果を題材にするよう配慮するが,発展的な 内容であっても生徒の興味・関心を喚起し,本校の理科・数学の教育 課程に含まれているものであればかまわない。その際には,準備授業 によって生徒が理解し易くなるよう配慮する。 ウ 内容(4)に関しては,内容(2)に関連する科学技術系英文等の和 訳を課し,事象・現象を読み解く基礎・基本の力としての文系の力の 養成を行う。特に国際社会で必要とされる英語力の強化を図る。様々 な文献を読むことで,科学技術への興味・関心を高めて,加えて英語 学習の必要性を認識させるよう配慮する。 なお,研究第4年次(平成20年度)の教育課程表は,「D - 15 - 関係資料」に添付する。 3 研究計画・評価計画 (1)第一年次 【第一年次の計画】 新科目「科学技術研究入門」について,「(1)理論・法則と科学技術との関連」及び 「(3)知見・成果の表現と発表」の部分の教材の内容を検討し,作成する。 「(2)科学 技術に関する課題の発見・設定と解決の方法」及び「(4)討論と相互理解」の部分の教 材の内容を検討し,作成作業を開始する。授業形態・指導方法・成績評価の方法・留学 生TA導入のあり方・アジアの高校生との交流の方法などの検討を行う。 「課題研究」について,国際交流のあり方の可能性を探る。 「数学さきがけ」について,第2学年用及び第3学年3学期用の教育内容の検討・抽 出を行い,副読本「数理応用」を用いて,授業を試行する。事前・事後の学力調査を行 う。東京工業大学教員に,副読本「数理応用」をベースにした,教材の内容に関するア ンケート調査を行う。 「物理さきがけ」について,教育内容の模索・検討を行う。 意識調査の内容・方法を検討し,年度内に研究対象外の生徒に意識調査を行う。SS H研究開発の活動に関する意識調査を,本校教員に対して行う。 第一年次のSSH実施報告書を作成する。他のSSH校との研究交流を行う。 【実施報告】 新科目「科学技術研究入門」について,開発科目の目標を達成するために,その理念 を具体的に実践できる教育方法を提案し, 「発想をまとめる訓練,科学的なものの見方・ 考え方を育てる実験,仮説検証思考型実験」からなる3部構成の構想に基づいたテキス トを作成した。本格実施となる来年度に備え,校内勉強会を実施し,教員間のコンセン サスを得るとともに,新たなカリキュラム編成,複数の教科間にまたがったTT実施の ために教員配置などを整備した。 「国際性育成」について,第2・第3学年における国際交流の素地作りとして,科学 ・技術をテーマに,1年生全員を対象に,英語科目「オーラル・コミュニケーションⅠ」 において東京工業大学留学生を招いた授業展開を実施した。また,2年生以上を対象に 「英語で聞く講演会」も実施した。 「さきがけ教育」について,第2学年の「数学さきがけ」と第3学年の「3学期さき がけ」についての授業実践,各種アンケート調査の実施,第3学年の「数学さきがけ」, 「物理さきがけ」についての教育内容・方法の検討,さらに,調査・追跡などを行った。 「成果普及促進」について,ホームページ活用,学会発表,視察受け入れなどを通し て行った。さらに,出張などの機会でも,他のSSH校との研究交流を行った。 第一年次のSSH実施報告書を作成した。 (2)第二年次 【第二年次の計画】 新科目「科学技術研究入門」について,2年生全員を対象として,第一年次に作成し た新テキストによる授業実践を開始することで, 「発想をまとめる訓練,科学的なものの 見方・考え方を育てる実験,仮説検証思考型実験」からなる3部構成による学習の有効 性・問題点を明らかにし,改善のための方策を提案する。また, 「国際性育成」と連携を - 16 - 図りながら,アジアの高校生との交流を計るための実施要領を策定する。これらのこと により,授業形態・指導方法・成績評価の方法・留学生TA導入のあり方・アジアの高 校生との交流の方法などについて,改善する。なお,「 (2)科学技術に関する課題の発 見・設定と解決の方法」の部分,及び,「(4)討論と相互理解」の部分の教材のうち, 国内とのコミュニケーションに関する部分の作成については,当初の計画では第二年次 に作成を進める予定であったが,前述の3部構成の中に位置づける形で,既に第一年次 に作成を終了している。 「国際性育成」について,第一年次の試行を生かして研究対象に「1年生全員」を追 加し,国際交流の素地作りとして1年生全員を対象に,科学・技術をテーマに,英語科 目「オーラル・コミュニケーションⅠ」における東京工業大学留学生を招いた授業展開 を実施する。また,2年生以上を対象に「英語で聞く講演会」も実施する。また, 「課題 研究」における国際交流の具体的な方法を検討する。第2学年生徒がアジアの高校生と 次年度に行う「課題研究」における国際交流の希望調査を実施する。留学生TA導入の あり方の検討を行う。 「さきがけ教育」については,まず, 「数学さきがけ」について,第3学年1,2学期 用の教育内容の検討・抽出を行う。第2学年用及び第3学年3学期用の補助プリントを 作成・蓄積しながら,副読本「数理応用」と併用して授業実践する。第3学年1,2学 期に関しては,第一年次の検討結果を踏まえ,2学期中間試験以降に実施時期を設定し, 副読本「数理応用」を用いて,授業を試行する。事前・事後の学力調査を行う。また, 「物 理さきがけ」について,第一年次に抽出した5つの実施内容の候補をベースに,教材プ リントを作成・蓄積する。さらに,第3学年の「3学期さきがけ」については,第一年 次に,当初の計画よりもかなり多い科目の授業実践が実現したため,物理と化学を含め, 様々な科目について,AO入試などで一般入試よりも早期に大学進学が決まった生徒に 対して,より発展的な内容を学習させる教育内容の検討を行い,3学期に授業の試行を 重ねるとともに,運営形態についても検討を行う。 「成果普及促進」については,ホームページ活用,学会発表,視察受け入れなどを積 極的に継続する。 研究対象生徒への意識調査を行う。教員から見た生徒の変容を調査する。教員対象の 意識調査を行う。 第二年次のSSH実施報告書を作成する。他のSSH校との研究交流を行う。 【実施報告】 新科目「科学技術研究入門」については,第一年次に完成させたテキストを活用しな がら,第二年次より本格的な授業実践を行った。 「①発想をまとめる訓練」でブレインス トーミングにより発想を引き出し,KJ法でまとめる訓練をしたあとは, 「②科学的なも のの見方・考え方を育てる実験」または「③仮説検証思考型実験」に進み,応用化学・ 情報システム・機械システム・電気電子・立体造形(現,建築デザイン)のそれぞれの 分野において,課題に応じた活動を行うこととなった。複数の教科間にまたがったTT 実施のための教員配置を行い,評価については4観点別評価を導入した。 「国際性育成」については,第一年次に研究対象外として実践した第1学年生徒全員 対象の試行を生かし,第1学年生徒全員を研究対象に追加して,第一年次から行ってい - 17 - る,国際交流の素地作りとしての英語科目における東工大留学生を招いた授業展開や東 工大留学生による「英語で聞く講演会」などに加え,新たに「国際交流を開始するにあ たっての具体的相手国の検討,選定」 「専門分野の授業における東工大留学生による授業 の実施」 「ブリティッシュ・カウンシルや日本化学会との校内・外での協力」なども行っ た。タイ王国カセサート大学附属高等学校と国際交流協定を締結した。同校の校長以下 2名の教員が本校を訪問し,各分野の課題研究の見学を行ったり,3年生から英語によ る説明を受けたりした。生徒との英語での質疑も行われた。 「さきがけ教育」については,第2学年の「数学さきがけ」では,研究第一年次に行 った実践形態をベースに,新たに2学期にも「数学科教員と科学・技術科教員との連携 授業」を導入した。第3学年の「数学さきがけ」では,研究第一年次に検討した実施方 法,運営形態などをベースに,類型選択の数学Ⅲの2学期中間試験終了後から,2学期 終了時までの17時間を利用して実施した。これらでは補助プリントを作成・蓄積しな がら,副読本「数理応用」も併用して授業実践を行った。事前・事後の学力調査等も行 った。 「物理さきがけ」では,第一年次に抽出した5つの実施内容の候補を検討の上3つ に絞り,それらの内容項目を整理して,次年度に試行する2つの項目を選定した。第3 学年の「3学期さきがけ」では,第一年次の実践を踏まえ,さまざまな科目について授 業を実践した。特に,科目選択方法等の運営形態について改善を施した。 「成果普及促進」については,今年度も多くの学校視察・学校訪問があった(13件 中,9件が海外からの訪問)。生徒の各種大会等における賞・記録については,今年度も 多くの賞などをいただいた。東京工業大学大岡山キャンパスの「ものつくり教育研究支 援センター」に本校の「課題研究」の成果を特別展示し,大学のみならず学外にも広く 紹介した。最新ニュースをホームページ上のニューズレターで紹介した(この1年間の 間に掲載されたSSH関連トピック数は15件)。さらに,出張などの機会でも,他のS SH校との研究交流を行った。 第一年次の年度末に実施した意識調査の分析を行った。 第二年次のSSH実施報告書を作成した。 (3)第三年次(昨年度) 【第三年次の計画】 新科目「科学技術研究入門」について,「(2)科学技術に関する課題の発見・設定と 解決の方法」の部分,および「(4)討論と相互理解」の部分について,授業実践に基づ く問題点を踏まえて,改善のための教材改訂を行う。また,国外とのコミュニケーショ ンに関する部分について,実施要領の作成を進め,部分的には授業実践を行い,アジア の高校生と交流する。なお,授業形態・指導方法・成績評価の方法・留学生TA導入の あり方・アジアの高校生との交流などについて,改善を行う。 「課題研究」について,第3学年生徒のうちの希望者が,アジアの高校生と研究を通 じた国際交流を行う。第2学年生徒がアジアの高校生と次年度に行う「課題研究」にお ける国際交流の希望調査を実施する。 「数学さきがけ」について,副読本「数理応用」を副読本「数学さきがけ(試作版)」 に改訂する作業を行う。副読本「数理応用」と補助プリントで,第2学年,第3学年1, 2学期,及び,第3学年3学期の授業実践を行う。事前・事後の学力調査を行う。年度 - 18 - 末までに試作版の原稿を完成する。 「物理さきがけ」について,教材プリントで授業を試行する。 物理と化学について,AO入試などで一般入試よりも早期に大学進学が決まった生徒 に対して,より発展的な内容を学習させる教育内容の改善を行い,3学期に授業を実践 する。 研究対象生徒への意識調査を行う。教員から見た生徒の変容を調査する。教員対象の 意識調査を行う。SSH研究開発の活動に関する意識調査を,本校教員に対して行う。 「SSH研究開発中間報告会」を開催し,研究の評価のためのアンケート調査を行う。 第三年次のSSH実施報告書を作成する。他のSSH校との研究交流を行う。 【実施報告】 新科目「科学技術研究入門」について,「(2)科学技術に関する課題の発見・設定と 解決の方法」の部分,および「(4)討論と相互理解」の部分について,授業実践に基づ く問題点を踏まえて,改善のための教材改訂を行った。また,国外とのコミュニケーシ ョンに関する部分について,科学技術研究入門研究会が国際性育成研究会と連携しなが ら,アジアの高校生との授業交流で実施可能な授業内容の検討を進めた。本科目の履修 の有無が翌年度の「課題研究」への取り組みに及ぼす影響を評価するための追跡調査を した。 「国際性育成」については,国外とのコミュニケーションに関する部分について,実 施要領の作成を進め,国際交流を開始した。研修授業としてタイに生徒を派遣し,また タイの高校生を受け入れた。本年度の実施を鑑み,授業形態・指導方法・成績評価の方 法・留学生TA導入のあり方・タイの高校生との交流について,検討・改善を行った。 「さきがけ教育」については,副読本「数理応用」を副読本「数学さきがけ(試作版)」 に改訂する作業を行い,予定より半年ほど早く作成できた。第2学年の「数学さきがけ」 では,副読本「数理応用」,副読本「数学さきがけ(試作版)」と補助プリントを用いて 授業実践を行った。第二年次に拡充された形態を維持し,第1,第2,第3学期のそれ ぞれにおいて「数学科教員と科学・技術科教員との連携授業」を実施した。第3学年の 「数学さきがけ」では,類型選択の数学Ⅲの2学期中間試験終了後から,2学期終了時 までの時間を利用し,副読本「数学さきがけ(試作版)」を用いて実施した。事前・事後 の学力調査等も行った。 「物理さきがけ」では,第二年次に抽出した3つの実施内容から, 2つの項目を選定し,教材プリントを作成して試行した。事前・事後の調査等も行った。 第3学年の「3学期さきがけ」では,AO入試などで一般入試よりも早期に大学進学が 決まった生徒に対して,より発展的な内容を学習させる教育内容の改善を行い,さまざ まな科目について授業を実践した。 「成果普及促進」については,今年度も多くの学校視察・学校訪問があった。生徒の 各種大会における賞・記録については,今年度も多くの賞をいただいた。タイ王国カセ サート大学附属高等学校との間で国際交流研修を実施し,相互に生徒・教員を派遣して 国際交流に努めた。最新ニュースをホームページ上のニューズレターで紹介した。さら に,課外活動や出張などの機会でも,他のSSH校との研究交流を行った。 「SSH研究 開発中間報告会」を開催し,全国からの参加者に研究の成果を公開し,研究の評価のた めのアンケート調査を行った。第三年次のSSH実施報告書を作成した。 - 19 - (4)第四年次(今年度) 新科目「科学技術研究入門」について,完成度の高い授業実践を行い,アジアの高校 生との交流を実施する。授業形態・指導方法・成績評価の方法・留学生TA導入のあり 方について検討を進め,アジアの高校生との交流の方法などについても,問題点を明確 にし,円滑に実施するための方策を検討する。 「課題研究」について,第3学年生徒のうちの希望者が,アジアの高校生と研究を通 じた国際交流を行う。第2学年生徒がアジアの高校生と次年度に行う「課題研究」にお ける国際交流の希望調査を実施する。 「数学さきがけ」について,年度始めに副読本「数学さきがけ(試作版)」を発行し, これを用いて,第2学年,第3学年1,2学期,及び,第3学年3学期の授業実践を行 いながら,見直し検討作業を行う。事前・事後の学力調査を行う。東京工業大学教員に, 副読本「数学さきがけ(試作版)」をベースにした,教材の内容に関するアンケート調査 を行う。 「物理さきがけ」について,教材プリントで授業を実践する。事前・事後の学力調査 を行う。 物理と化学について,AO入試などで一般入試よりも早期に大学進学が決まった生徒 に対して,より発展的な内容を学習させる教育内容の充実を行い,3学期に授業を実践 する。 研究対象生徒への意識調査を行う。教員から見た生徒の変容を調査する。理工系大学 に進学した卒業生への追跡調査を行う。教員対象の意識調査を行う。 第四年次のSSH実施報告書を作成する。他のSSH校との研究交流を行う。 (5)第五年次 新科目「科学技術研究入門」について,研究発表会など外部からの評価を受けるため の授業実践を行い,アジアの高校生との交流を実施する。授業形態・指導方法・成績評 価の方法・留学生TA導入のあり方・アジアの高校生との交流の方法などについて,完 成を目指す。 「課題研究」について,第3学年生徒のうちの希望者が,アジアの高校生と研究を通 じた国際交流を行う。 「数学さきがけ」について,副読本「数学さきがけ(試作版)」で,第2学年,第3学 年1,2学期,及び,第3学年3学期の授業実践を行いながら,副読本「数学さきがけ」 の完成作業を行う。事前・事後の学力調査を行う。 「物理さきがけ」について,改善された教材で授業実践を行いながら,見直し検討作 業を行い,「物理さきがけ」の教材完成を目指す。事前・事後の学力調査を行う。 理工系大学に進学した卒業生への追跡調査を行う。生徒の変容についてのまとめを行 う。SSH研究開発の活動に関する意識調査を本校教員に対して行い,教員の変容につ いてのまとめを行う。研究全体の評価をまとめる。 「SSH研究開発発表会」を開催し,研究の評価のためのアンケート調査を行う。 第五年次のSSH実施報告書を作成する。他のSSH校との研究交流を行う。 - 20 - 4 平成20年度の研究開発の概要 新科目「科学技術研究入門」については,科目としての着実な熟成化を目指した活動 を実施した。昨年度,一昨年度の授業実践の経験を踏まえ,各分野では,テキストおよ び授業内容のブラッシュアップを図りつつ,よりレベルアップした授業展開を目指し取 り組んだ。授業実践3年目となる今年度も前年に引き続き,科目開発の有効性について, 生徒の評価を通した分析を行った。また,同様に,本科目を受講した生徒が3年生の課 題研究の取り組みにどのように影響し,成果をもたらしているかに関して分析した。 本年度は以上の2点に加え,国際性育成研究会とともに,タイ王国カセサート大学附属 高校の交換留学生に対し,本科目で授業交流を行った。 「国際性育成」ではタイ王国カセサート大学附属高校との交換留学の2年目を迎え, 危機管理体制及び交流の充実化を図り,8月に生徒5名を派遣した。現地では自己紹介 ・課題研究等のプレゼンテーションを英語で行い,本校教員による「環境」をテーマに した授業を実施した。帰国後は全校生徒へ報告と所属クラスでの報告会を行い,貴重な 海外体験の共有化を図った。10月にはカセサート大学附属高校から生徒5名を受け入 れ, 「英語Ⅱ」「科学技術研究入門」の授業に参加した。課題研究での「英文アブストラク ト作成」の実践,東工大留学生による英語で聞く講演会,英国科学実験講座クリスマス レクチャー2008への参加等も実施した。 「さきがけ教育」については,第2学年及び第3学年の「数学さきがけ」と第3学年 の「3学期さきがけ」についての授業実践を行い,各種アンケート調査の実施などを行 った。昨年度,試行という形で実施した「物理さきがけ」については,本格的な実践を 行った。アンケート調査による教育実習生・本校卒業生への調査・追跡も引き続き行っ た。昨年度,副読本「数理応用」を副読本「数学さきがけ(試作版2007)」に改訂した が,さらに検討を重ね新たな内容も加えて副読本「数学さきがけ(試作版2008)」とし て改訂した。 「成果普及促進」については,国内外からの学校視察・学校訪問(ロシア,韓国,台 湾,タイ,ベトナムからの視察もあった)を受け入れた。11月に神戸大学で開催され たSSHの評価に関する研修会に発表校として参加した。生徒の各種大会等における賞 ・記録について今年度も幾つかの賞などをいただいた。科学系クラブの活動として他の SSH校との研究交流を行った。東京工業大学「ものつくり教育研究支援センター」に 「課題研究」の成果を特別展示した。ホームページ上のニューズレターでは,この1年 間に14件のSSH関連トピックを紹介した。 - 21 - Ⅲ 研究組織 1 研究組織の概要 SSHの取組には下の図に示す研究組織に本校の全教員が所属し,教育研究活動を行 う。また,これに伴う事務業務を全事務員が全面的に支援する。 「SSH研究開発研究組織図」 東京工業大学 本校 教育推進室 科学技術研究入門研究会 教 員 国際室 国際性育成研究会 に よ 教育工学開発センター さきがけ教育研究会 る 研 留学生センター 成果普及促進委員会 究 組 各担当事務部 SSH研究開発委員会 織 事務部(経理等の事務処理) SSH運営指導委員会 ◎各研究会・委員会の役割分担 校内の各研究会・委員会の役割分担は,次の通りである。 ○科学技術研究入門研究会 新科目「科学技術研究入門」の開発 ○国際性育成研究会 海外の協力校との連携,東京工業大学留学生センターとの連携, 「課題研究」における国際交流導入のための指導方法の開発 ○さきがけ教育研究会 数学,物理,化学などにおける「さきがけ教育」の指導内容の開発 ○成果普及促進委員会 SSH研究開発の成果等の他校への普及の促進 ○SSH研究開発委員会 SSH研究開発における全般的な企画立案,渉外活動,業務のとりまとめ - 22 - 2 研究担当者(○印 氏 研究主任) 名 職 校 名 担当教科(分野) 市 村 禎二郎 長 門 馬 進 杉 原 了 三 教諭・SSH研究開発委員会幹事 理科 井 口 実千代 教諭・SSH研究開発委員会幹事 英語 ○ 山 口 正 教諭・SSH研究開発委員会幹事 工業(ロボット分野 副校長 システムデザイン・ 勝 ) 情報・コンピュータ 大 森 好 明 教諭・SSH研究開発委員会幹事 工業(サイエンス分野 ) 情報・コンピュータ 仲 道 嘉 夫 教諭・科学技術研究入門研究会幹事 工業(サイエンス分野 ) 材料科学・環境科学・ 森 安 勝 教諭・国際性育成研究会幹事 工業(バイオ技術分野 ) 立体造形・ディジタル 清 水 保 立 泰 雅 大河原 3 紀 勲 教諭・さきがけ教育研究会幹事 工業(デザイン分野 教諭・成果普及促進委員会幹事 地理歴史・公民 ) 事務長 運営指導委員会 ①組織 氏 名 所 属 ・ 職 名 備考(専門分野等) 小 川 浩 平 東京工業大学・教授 化学工学 太 田 幸 一 富士通エフ・アイ・ピー(株)・会長 産業界 岸 本 喜久雄 東京工業大学・教授 機械工学 佐 藤 義 雄 山形県立米沢工業高等学校・校長 教育行政 廣 瀬 幸 夫 東京工業大学・教授 留学生教育 広 瀬 茂 久 東京工業大学・教授 生理学一般 牟 田 博 光 東京工業大学・理事・副学長・教授 教育行政 武 藤 昭 一※ 東京電力(株)・開発計画部長 産業界 秋 山 光 明※ 大田区・副区長 行政機関 (五十音順) ※東京電力(株)・開発計画部長後藤清氏の後任の武藤昭一氏が,研究第2年次 より,本校SSH運営指導委員をお引き受け下さっている。また,品川区教 育委員会・教育長の若月秀夫氏に替わって大田区・副区長の秋山光明氏が, 研究第4年次より,本校SSH運営指導委員をお引き受け下さった。 ②活動計画 1年に2回程度の運営指導委員会を開催し,研究内容に即した授業の参観,研究 内容に関する討議を行い,指導と助言を受ける。 - 23 - C-2 Ⅰ スーパーサイエンススクール研究開発の実施内容 科学技術研究入門研究会の活動報告 1 概要 年度計画に基づき,科目としての着実な熟成化を目指した活動を実施した。昨年度, 一昨年度の授業実践の経験を踏まえ,各分野では,テキストおよび授業内容のブラッシ ュアップを図りつつ,よりレベルアップした授業展開とすべく,精力的に取り組んだ。 授業実践3年目となる今年度も前年に引き続き,科目開発の有効性について,生徒の 評価を通した分析を行った。また,同様に,本科目を受講した生徒が3年生の課題研究 の取り組みにどのように影響し,成果をもたらしているかに関して分析した。 本年度は以上の2点に加え,国際性育成研究会とともに,タイ王国カセサート大学附 属高校の交換留学生に対し,本科目の授業交流を行った。 2 経緯 「科学技術の背景となる理論や法則と科学技術との関連を理解させ,自ら課題を発見 ・設定し,その解決をはかる方法を理解させるとともに,得られた知見や成果を表現・ 発表し,討論を通して相互理解する態度を育てる」とした科目の目標に従い,既習の知 識を適用することで解決可能な応用課題を生徒に提示するテキストの作成を,研究開発 初年度に実施した。2年度は,授業計画の立案を進めるとともに,授業実践を開始し, 3年度は授業実践を重ねた。本年度は,さらに授業内容の熟成化を目指し,昨年度の実 施形態を踏襲し,機械システム分野は通年2時間授業(2単位),他の4分野は後期半期 のみの4時間授業(単位数2単位)で実施した。また,国際性育成研究会と連携し,タイ 王国カセサート大学附属高校の交換留学生に対し科学技術研究入門の授業を実施した。 3 内容 開発科目の目標に基づいた具体的な指導方法,授業実践の内容について報告する。 (1)科目開発の理念と指導方法 今スーパーサイエンスハイスクール研究開発においては,「いどむ」力と「わかり あう」力の育成をキーワードとして掲げている。この課題達成のために立ち上げられ たのが,本新科目の開発である。開発の理念,および,指導方法について,以下に概 略する。詳細は一昨年度の報告書に譲る。 ① 科目開発の理念 高等学校における授業形態としては,従来,一斉授業のスタイルをとるものが一般 的である。これは生徒が,教師側から一方的に与えられる知識を習得するという形態 をなすものであり,いわゆる,教授主義的学習観に基づいた教育方法である。ここで は,知識と技能の習得について,いかに量的な充実が達成できるかが一つのポイント となる。初等中等教育過程において,「読み・書き・そろばん」に当たるような基礎 知識・基礎技能の詰め込みは,無意識のうちに科学技術的なセンスを身に付けさせる 点で非常に重要であり,その必要性は決して否定されるものではない。しかし,高等 教育課程に進学後,解答の有無さえ分らぬ課題を前にしたときに必要となるものは, 既習知識の絶対量だけではなく,それを用いた解法構築能力にもあると考える。すな わち,すべての科目で教授主義的学習観に基づいた教育法を取るのではなく,習得し - 24 - た知識の使い方について,多少なりとも訓練する機会を設けることが,主体的な学習 姿勢の育成には重要であると考える。さらには,自らが構築した思考を自己の中で解 決するだけではなく,外部に対して適切に表現・発信していくためには,思考の論理 的な説明能力の必要性も欠くことはできないと考える。本科目では,構成主義的学習 観に基づいた教育方法を導入することにより,自ら課題を発見・設定し,その解決を 図る方法を理解させるとともに,得られた知見や成果を表現・発表し,討論を通して 相互理解する態度を育てることを目的とする。 本科目は,①発想をまとめる訓練,②科学的なものの見方・考え方を育てる実験, ③仮説検証思考型実験からなる。この中では,ブレインストーミング(発想支援法) や KJ 法的創造技法(発想整理法)を積極的に取り入れ,生徒の解法構築能力の育成 (いどむ力の育成)を目指す。また,プレゼンテーションを取り入れることにより, 導き出した思考の自己理解の深化,および,他者との理解の向上(わかりあう力の育 成)を目指す。 (2)各分野における取り組み 昨年度の授業実践の本格始動から3年目に当たる今年度は,各分野とも,授業内容 および授業運営の着実な成熟化を目指し,研究開発に取り組んだ。昨年度の経験を生 かしながら授業を進める中で,新たな内容の導入を試行したり,教科書の内容につい て一部追加修正した。以下に,本年度の各分野における取り組みの様子について概略 を記す。 ①応用化学分野 (ア)今年度の概要 応用化学分野の科学技術研究入門の授業も,昨年度と同様,9月下旬から後期授業 として週4時間の2単位,1日4時間連続授業として実施した。授業の基本は,クラ スを四分し,2週間を1クールとして2テーマに取り組み,ローテーションにより合 計7テーマを実施した。また一昨年度に試行的に導入した内容(科学的なものの見方 ・考え方を育てる実験)に関しても,具体的な教材化に向け,引き続き検討した。さ らに,発想をまとめる訓練においては,昨年度取り入れた地歴・公民科の教員の支援 をもとに,応用化学分野の教員が実施した。なお本年度は,アジアの高校生との授業 交流が開始したことに伴い,当分野においては,タイ・カセサート大学附属高校から の生徒一名を受け入れ,「科学的なものの見方・考え方を育てる実験」の一回分を本 校生徒ともに受講してもらった。 (イ)実施テーマ ○第1,2回目 ブレインストーミングおよび発想をまとめる訓練(クラス全員) 今年度は,昨年度の地歴・公民科の教員の支援を活かし,応用化学分野の教員が「ブ レインストーミングと光の観察(クラス全員)」をテーマに,KJ 法の考え方に則って ブレインストーミングおよび発想をまとめる訓練を行った。科目の趣旨説明の後,ク ラス40名を6班に分け,「光を発するもの」をキーワードに,班別作業で思いつくも のを出し合った。その後,各班で挙げられたものにどのような特徴があり,また,各 々でどのような関連性があるのかを議論し,いくつかのグループに分類した。話し合 いの結果は班毎に発表し,その内容に対しクラス全体で意見交換を行った。 - 25 - 次いで,簡易分光器を用いた光の観察に取り組 んだ。生徒各人が,「潜望鏡型 DVD 分光器」を 工作した後,異なるいくつかの光(太陽光,白色 光,Na ランプ等)を観察し,光の構造について 学習した。 ブレインストーミングでは,例年と同じように, 当初は要領がつかめない様子を示していた生徒た ちも,時間の経過とともに次第に積極的な発言を 見せていた。また,これまでに学習した専門知識 図1 分光器による光の観察 を積極的に表現する様子が随所に見られた。概念 地図化においても各班で活発な議論がなされ,加えて,班と班の間の発表においても, 多くの興味深い意見が交わされた。 ○第3~10回目 科学的なものの見方・考え方を育てる実験,および,仮説検証思 考型実験(4グループに分かれてのローテーション形式) 「科学的なものの見方・考え方を育てる実験」,および,「仮説検証思考型実験」に ついて,従来のテーマをベースにしながらも,内容にマイナーチェンジを加えながら 授業を展開した。 ≪科学的なものの見方・考え方を育てる実験≫ 【水質を調べる】 「水質汚濁」の原因物質や発生原因,浄化機構について議論した。また,化学的酸 素要求量(COD)の測定に関する実験を通し,化学反応を利用した水質検査法の原 理について学習した。 【混合物の分離】 昨年までと同様に,混合物から目的物質を抽出するための技術に関するいくつかの 実験を取り入れながら,混合物の分離について学習した。ただし今年度は,実験内容 の一部を増補し,当分野の他のテーマで実施している内容(光と色)ともリンクさせ ることにチャレンジした。具体的には,緑色を示す植物の葉からの葉緑体成分の分離 に関する実験において,試験管に抽出した葉緑体成分に光を当てたときの,溶液の色 および透過光の色の観察から,光合成に使われる光の成分について考察した。また同 時に,海水中の植物のように,緑色を示さない葉における光合成のしくみについても 学習した。 今年度の科学技術研究入門における大き なテーマの一つに,国外高校生との授業交 流の具現化が上げられている。当分野にお いては,本テーマの一部において,タイ・ カセサート大学附属高校の生徒一名を受け 入れ,本校生徒との授業交流を実施した。 「混 合物の分離」に関してはいくつかの実験テ ーマが提供可能だったわけだが,自身の体 図2 の一部を実験対象にするテーマは,他分野 - 26 - 国際交流授業に用いたスライドの一例 を含めても数少ないものであることから,「ヒトの頬裏細胞からの DNA の抽出」を 取り上げた。初めに,DNA の所在や構造,役割について学習した後,自分の頬裏細 胞から DNA を抽出する実験に取り組んだ。実験の中では,細胞から DNA を抽出す るためには何が必要かを考察しながら,抽出操作の中に現れるいくつかの化学的処理 について,「目的物質の分離」という観点から,その目的と作用メカニズムについて 考えさせるよう心がけた。DNA に関する解説や実験操作の説明については,日本語 と英語を併記したスライドを用いたバイリンガルなスタイルを採り,本校生徒と同時 に作業できるようにした。 【光と色】 光を発するものについて列挙するとともに分類化し,我々が感知する光と色につい て考察した。また,光と色との関係を理解するために,自作の簡易分光器を用いて各 種光源を観察するだけでなく,ディジタルカメラで分光スペクトルを撮影し,PC を 用いて画像処理を行い,波長-光度曲線を得た。これにより,①線スペクトルと帯ス ペクトルを示す光源の違い,②熱放射による光の分布と強さの関係,③光の吸収と色 の違い,について議論し,④ランベルト・ベールの法則の理解,を目指した。 ≪仮説検証思考型実験≫ 【弱酸・弱塩基の電離と pH】 溶液の pH 変化を抑制する「緩衝作用」について,自然界に見られる事例をリスト アップしながら学習した。また,弱酸,弱塩基,および,それらの塩を用いて,異な る pH を示す緩衝溶液の調製方法について議論し,実験結果との比較・考察を行った。 【光による化学分析】 溶液のもつ色と含有成分,および光に対する吸光特性について議論した。また,溶 液内に捕集(呈色反応の利用)した大気汚染物質について,吸光度測定を用いた定量 法の原理を学習するとともに,大気中窒素酸化物の実測定を通した環境調査に取り組 んだ。 【炭化水素の性質】 鎖式炭化水素を代表する 3 つの化合物(メタン,エチレン,アセチレン)について, 分子の結合形態や立体構造の違いを調べ,そこから導かれる各炭化水素の性質や化学 反応性について議論した。また,各炭化水素を実験的に発生させ,燃焼性や臭素との 反応性,還元性に関する簡単な実験を行い,それぞれの結果を比較・検討した。 【エタノールの性質】 アルコールは,炭化水素分子内に電気陰性度の高い酸素をもつ化合物である。アル コールにおいて,酸素の結合によりもたらされる炭化水素との違いについて,物理的 性質と化学的性質の観点から議論した。また,身近なアルコールであるエタノールを 用い,各種化学反応性(ヨードホルム反応,金属 Na との反応,酸化性,誘導体の還 元性,エステル化)について実験的に検討・学習した。 ○第11~13回目 課題研究さきがけと教材化に向けた試行的実験 3学年において実施する課題研究について,さきがけて実施した。また,一昨年度 から教材化に向けて試行し始めた内容のうち,「Find My Rule」について継続的に試 行した。本授業内での本格的な導入を目指し,さらなる内容の吟味を進めた。また, - 27 - 「HaptiChem」を用い,ファンデルワールス力と クーロン力についての授業を展開した。 「HaptiChem」とは,8方向から糸とモーターで 制御された玉を操作することで,力の働きを再現 できる教材装置「SPIDAR-G」と専用ソフトウェ アを組み合わせて,分子の間に働く引力,斥力(反 発力)を体感できるという教材である。従来は想 像で補わなければならなかった理論を体験的に学 図3 HaptiChemの体験 習させることで,より理解を深められるものとし た。 (ウ)生徒の評価基準 生徒評価基準としては,昨年度に引き続き,評価項目を①生徒の関心・意欲・態度, ②思考・判断,③技能(プレゼンを含む)・表現,④知識・理解に細分化して評価する よう心がけ,授業内容の定着を図った。 (エ)生徒の様子 プレゼンテーション能力に関しては,昨年の生徒と同様,既に高いレベルにあり, 本SSH研究開発を通した継続的な能力育成の成果が現れていることがうかがえる。ま た今年度は,一部のテーマ間で内容をリンクさせることを試みたが,眼前で起こる現 象の理解や,原理についての気付きの点において,大いに効果があった。知識の定着 を深化させるためにも,今後も継続的に取り入れていくことが必要と思われる。 (オ)留学生との交流 今年度から本授業において,国外生徒との授業交流が具現化した。しかし,今年度 の取り組みの中では,生徒間で積極的にコミュニケーションを取るところまでには至 らなかった。これは,国外生徒が実際に授業に参加した時間が短かったことや,本校 生徒および国外生徒とも,実験内容の理解に集中しすぎた点に起因すると考えられる。 また,当該クラス内に,相手国に派遣された生徒が含まれなかったことも遠因にある と考えられる。 (カ)今後の課題 本科目の本格的な実施から3年目となり,テーマ内容の工夫が,懸案であった基礎 的知識・技能の習得量の低下に対し,補完効果として現れてきたのを感じられ始めた ところである。今後も継続的にテーマ内容を吟味することが必要であると考える。国 際交流に関しては,実施テーマや形式,資料等の準備について,まだまだ多くの改善 が必要である。着実な向上を目指して,今後も取り組みたいと考えている。 ②情報システム分野 (ア)今年度の概要 例年通り,情報システム分野の科学技術研究入門は10月より後期授業として週4時 間の2単位として行った。授業は生徒38人を6班に分け,テーマに対してブレインス トーミングを行い KJ 法でまとめるという作業を行った。 今年はそれに加え。タイ王国カセサート大学附属高校の交換留学生に対し,ライン トレースプログラムの作成を行った。 - 28 - (イ)実施テーマ ○高校生の宝物 (a)概要 本年度も昨年度に引き続き,「高校生の宝物」とい うテーマで,KJ 法とブレインストーミングについて, 実際に体験させた。自分の大切なものとして思い浮か んだものを付箋紙に書き込み,模造紙に大まかに分類 して貼り付ける。そして自分の考える大切なものの条 図4 KJ法で意見をまとめる 件とは何かを考え,プレゼンテーションを行い,質疑応答を行った。 (b)生徒の様子 本年度の生徒も,ブレインストーミングの特徴である自由に意見を言うことは達成 できた。しかし,今年度の生徒はトップダウン式に分類したグループが多かった。 (c)発表の様子 本年度もグループによって様々な宝物が提示され,活発な意見が交換された。しか し,今年度の生徒は人の価値観を尊重する態度が強く,質問して,回答,で終わるパ ターンが多かった。 ○凄いコンピュータを製作する (a)概要 昨年度,「最速のパソコン」というテーマで実施したが,CPU,メモリなど,構成部 品がほぼ2種類(Intel 系と AMD 系)になってしまったので,今年は「すごい PC」 というテーマで行った。その結果,「すごく軽い PC」「すごい素材の PC」「すごい高 性能な PC」「最速の PC」「使いやすい PC」「すごく薄い PC」「すごいナイスな PC」 というサブテーマで,そのサブテーマに合ったパソコンを製作するにはどのような構 成にすればよいか?どの部品が必要となるか?を調べ,指定された予算の範囲内での 製作を試みた。 (b)生徒の様子 基本的には昨年度と同じように,アイデアを出し,結果を分類していたが,一部の グループで,実現不可能そうだ,とか,とても高価で実現できない,といった具合に, まとめ上げる前に分類するといった所があった。これは,出てきたアイデアに対して 新たなラベルを貼っていくというボトムアップの流れではなく,トップダウン式の流 れになっているので,それとなく,指導したが,直らなかった。 (c)発表の様子 発表は,最初に模造紙に意見を貼り付け,それら を分類した状態で発表した。そこでは,CPU の高速 に力を入れたり,メモリをたくさん積むことが結果 的に速くなるといった,通常のアイデアの他,折り たたみ式本体や豹柄にするなど,個性的な発表にな った。 その後,方針に合うコンピュータに必要な部品を 調べ,選定して,最終的に組み立て可能な,コンピ 図5 凄いコンピュータのチラシ - 29 - ュータを考えた。そして,自分が考えたコンピュー タを紹介するプレゼンテーションと販売促進チラシ を作成した。 ○ライントレースロボットのプログラムを考える (a)概要 昨年度に引き続き,実習で製作したライントレー スロボットの動作プログラムについてブレインスト ーミングと KJ 法を行った上で,ソフトウェアを開 図6 ロボットのアイデアを出す所 発した。センサの反応がラインのどの状態であるか判断し,機体の移動をどのように 制御させるかがアイデアのポイントとなった。実際のプログラミングでは,自分達の アイデアの問題点と実際にラインをトレースできたアイデアとの比較を行った。 (b)生徒の様子 班で出たアイデアをまとめて発表。その後,実際にプログラミングをした。班ごと に出し合ったアイデアであるが,機体は1人1台であるので,発表したアイデアの中 から各自が1つアイデアを採用しプログラミングをした。実際に上手く動く生徒も, 動かない生徒もいたが,各自楽しみながら,また相談しながらプログラムを開発した。 (c)発表の様子 昨年と同様,プログラミングを行う前(アイデアのみ)の段階での発表は,イメー ジのみであり,質問する側も受ける側も漠然とした雰囲気であった。 昨年度の生徒は,プログラミング開発途中でハードウェアが故障したり,アイデア が高度すぎてそこまでたどり着けなかったり,結構てこずっていた。最終的に,S 字, クランクを含むコースを完走したのは14名でクラスの半分程度で,完走したプログラ ムの内容も最初のアイデアをかなり改良したものが多かった。 本年度は進行中であるので,完成後の発表の改良点や気付いた様子を期待したい。 (ウ)生徒の評価基準 昨年度と同様に,生徒の評価は「関心・意欲・態度」「思考・判断」「プレゼン技能 ・表現」「知識・理解」の4点を基にして行った。 「関心・意欲・態度」では,テーマへの関心,ブレインストーミングでの発言内容 およびその様子,模造紙への意見の集約への対話,他人の意見に対する対応等を観察 し評価した。 「思考・判断」では主に模造紙上にグループを作りその関係を記述する際の討論や 実際に作成した関係図などに基づいて評価した。 「プレゼン技能・表現」では模造紙をベースに,班員の発表の順番,発表内容のつ ながり,最終的な意見のまとめ,等を総合的に評価し,論理矛盾や飛躍がないか,他 人に判ってもらおうとしているかなどを評価した。また,「凄いPC」ではスライド を作成させたので,スライド作成技能を含んで評価した。 「知識・理解」では発表等のまとめや結論から実際に得たと思われる知識や理解を 評価した。ライントレーサではその知識がプログラムに反映するので,レポートの内 容,プログラムソース,および,実際に,あるコースを完走できるか?また,コース 一周を走らせた時間等に基づいて評価した。具体的には複雑なコースでも完走でき, - 30 - コース一周を速く回れるプログラムを作成した者を良い評価とした。 (エ)アンケート結果 昨年度に引き続き2006,2007,2008年卒のアンケート結果を示す。共通部分は全体 の評価に譲り,情報・コンピュータサイエンス分野について述べる。 アンケート結果を表 1 に示す。問 1 の「あなたがコンピュータを自作するとき・・」 の問題で,なんらかの答えを書いたものは,2006年度 51.2%,2007 年度 87.5%,2008 年度 91.4%であった。これは今回の「科学技術研究入門」を履修した学年(2007,2008) の記述の割合が圧倒的に高い。もともと情報・コンピュータサイエンス分野にはコン ピュータに興味がある者が集まっており,自作 PC を持っている者が多かったことを 考えると,知識があるだけでなく,知識をアピールする力がついたと考えられる。 問2の「速い PC」を作成するとき「最も重視するポイント」は,3年度とも CPU がトップだった。また,「2番目に重視するポイント」はメモリが多く,「3番目に重 視するポイント」は2006年卒2007年卒は様々な部品に分かれており,これといった部 品は選ばれなかったが,2008年卒はグラフィックボードを選ぶものが多かった。この 結果から速い PC を作るには「CPU」と「メモリ」が重視されるのは例年どおりだが, 2008年度はグラフィックボードを重要な部品と考えている。これは,2008年度は全て の班で「高速な PC」で KJ 法を行ったせいだと考える。なぜなら,CPU,メモリが 表1 卒業時アンケート調査結果 2006[人] [%] 2007[人] [%] 2008[人] [%] 問1PC自作時の注目点 記述がある 22 51.2 28 87.5 32 91.4 問2速いPC CPU 14 32.6 20 62.5 23 65.7 メモリ 4 9.3 2 6.3 1 2.9 GraB(グラフィックボード) 0 0.0 0 0.0 2 5.7 13 30.2 17 53.1 16 45.7 1 2.3 2 6.3 1 2.9 1 2.3 2 6.3 2 5.7 1 2 メモリ MB (マザーボード) 3 MB 軽いPC 1 GraB(グラフィックボード) 2 4.7 3 9.4 8 22.9 OS 4 9.3 3 9.4 3 8.6 ケース 6 14.0 8 25.0 7 20.0 メモリ 4 9.3 11 34.4 5 14.3 CPU 1 2.3 1 3.2 7 20.0 2 CPU 5 11.6 5 15.6 4 11.4 電源 0 0.0 3 9.4 0 0.0 3 HDD 2 4.7 7 21.9 3 8.6 2 4.7 0 0.0 2 5.7 メモリ キーボード 静かなPC 1 0 0.0 2 6.3 0 0.0 ファン 13 30.2 12 37.5 19 54.3 ケース 0 0.0 3 9.4 1 2.9 5 11.6 6 18.8 5 14.3 4 9.3 3 9.4 1 2.9 2 HDD ファン CPU 0 9.3 2 6.3 7 20.0 3 HDD 2 4.7 5 15.6 2 5.7 電源 1 2.3 4 12.5 0 0.0 問4ライントレーサ 記述がある 31 72.1 30 93.8 35 100.0 問5反映できたか? (何らかの)反映できた 19 44.2 18 56.3 26 74.3 - 31 - 同じなら,あと,速さで違いを出すにはグラフィックボードしかない,と結論を出し たグループがあったからだと考えられる。 「軽い PC」では2006年卒では「ケース」を重視するものが多かったが,2007年卒 ではメモリを重視したものが多かった。2008年度卒では「ケース」と「CPU」を重視 したものが多かった。「静かな PC」では,3年度ともファンを重視するものが多かっ たが,2008年卒は「CPU」が2番目に多く,前年度までない特徴である。これは「速 い PC」で述べたようにテーマの方向性を限定したせいかと思われる。 (オ)留学生との交流 今年の新しい試みとして,タイ国カセサート大学附属高校の生徒を 1 名受け入れた。 テーマは「ライントレースロボットのプログラム開発」を行った。ハードウェアの製 作には時間がかかるので,あらかじめ完成したライントレースロボットを用意し,プ ログラミングだけ行ってもらったが,コンピュータの画面等が日本語になっているた め,戸惑ったようである。クラスの中にホストファミリの生徒がいたので,主にその 生徒と話していたが,その生徒も初めての内容であり,あまり効率よくプログラムを 開発できていないようであった。 (カ)今後の課題など 「高校生の宝物」は例年扱っているテーマであったが,毎年アイデアが発散し,ま とめるのに苦労していた。また,今年は分類を先にする傾向があり,出てきた意見を まとめ上げるといった,本来の形の指導を徹底する必要があった。 昨年度は,部品選定の視点が CPU とかグラフィックボードに偏ってしまった。本 年度は「凄いPC」としたことで,テーマが散らばり,さまざまな視点から部品を選 定できたのでよかったが,実現可能,不可能で分類してしまうので,意見集約がボト ムアップにならなかった。そこが課題である。 ライントレースロボットでは,KJ 法に取り組む前に,簡単なサンプルプログラム を例示して,動作させたので,実現不可能そうなアイデアは出にくくなり,改良でき たが,科学技術研究入門の最後のテーマであるプログラム作成まで間が開きすぎてい る問題点は解決できなかった。今後の課題である。 ③機械システム分野 (ア)今年度の概要 習得した細切れの知識に対して,それらを総合的に扱える能力を育成し,さらに実 際のものづくりで生じる様々な問題に様々な角度から挑み,それらを解決する力を体 得させ,あわせて発想力やプレゼンテーションを通してのコミュニケーション能力を つけさせることを目的に本授業を進めた。 機械システム分野での授業は,4月当初から通年2単位で1回50分×2時間で実 施した。また授業内容では「流体分野」と「熱分野」の2つの分野を用意し,クラスを二 分して1学期は4週,2学期は6週そして3学期は2週ごとに交互に入れ替わりなが らそれぞれの分野で生徒は課題に取り組んだ。また3学期には,各分野で1時間づつ 補足やまとめの時間を設定した。なお,実施にあたっては,機械システム分野の教員 に加え,物理科教諭2名によるTT(TeamTeaching)を行った。 (イ)実施内容 - 32 - -流体分野における取り組み- ○1学期 (a)流体の静力学その1(浮沈子に関して,グループ発表) 内容:圧力に関する説明を受けた後に,浮沈子という科学玩具の機構を調べる。 実験を行い,測定データをまとめてプレゼンテーションを実施する。 (b)流体の静力学その2(アルキメデスの原理に関して,グループ発表) 内容:圧力と浮力について簡単に説明した後に,台はかりやばねはかりを用いて, 浮力の大きさがどのように定まるのかを調べる。実験内容を自分たちで考えて, 測定データをまとめてプレゼンテーションを実施する。 (c)流体の動力学その1(ベルヌーイの定理に関して,グループ発表) 内容:ベルヌーイの定理についての簡単に説明を受けた後に,定性的な実験をいく つか用意し,その実験に取り組む。 (d)流体の動力学その2(トリチェリの定理に関して,グループ発表) 内容:ベルヌーイの定理から導かれるトリチェリの定理を導出し,水の流出速度と 水平到達距離に関して実験を行い,測定データをまとめてプレゼンテーション を実施する。 (e)補足等 内容:1学期の授業内容を補足した。 (f)筆記試験:1学期の授業の特徴:2時間連続授業の中で目的を明確に意識して実 験を行い,結果を考察し,プレゼンテーションを実施した。 ○2学期 (a)タービンデザインコンテストその1(説明・製作) 内容:コンテストの概要を説明を受けて簡単な風車を製作する。風車が風のエネル ギーを電気エネルギーに変換することを簡単に説明し,さらに風車を製作する。 (b)タービンデザインコンテストその2(製作・発表準備) 内容:複数製作した風車をどのような観点で比較検討するのかに関する明確な指示 を受けた後,プレゼンテーションの準備をする。 (羽根の枚数や羽根の断面積, 羽根の形などを比較検討したものが多かった。) (c)タービンデザインコンテストその3(個人のプレゼンテーション) 内容:1テーマ5分程度のプレゼンテーション (d)タービンデザインコンテストその4(風車の理論説明) 内容:教員による補足説明を受け,力学的観点から風車のはたらきを考察する。 (e)ポンプの分解 内容:身近なところで用いられるポンプを分解して機構を調べる。 (f)ポンプの資料作成 内容:(e)で調べた内容に関して,各自プリントにまとめる。 (g)筆記試験 2学期の授業の特徴:代表的な流体機械である風車とポンプを題材にして,その原 理を調べ,性能向上のためにはどのような工夫が必要なのかなどを考察した。その結 果を考察し,プレゼンテーションを行った。 - 33 - ○3学期 (a)油の粘度測定 各種油に温度変化を与えたときの粘度の変化をまとめ る。低温の場合,測定に時間がかかるので,できるだけ うまく加熱して実験を進める。 グラフ例:横軸(温度;℃)-縦軸(粘度;秒) データ数:3~5点 図7 油の粘度測定 (b)圧力センサを用いた空気圧の測定 物理量を電気信号に変換するのがセンサである。ここ では,アナログ入出力ボード上で圧力センサを用いて, 空気圧を測定し,その結果をまとめる。結果は VisualC# のプログラムにより,リアルタイムで画面表示ができる ようにする。 グラフ例:横軸(時間;秒)-縦軸(圧力;Pa) テータ数:タイマープログラムを用いてサンプリング 図8 圧力センサによる 空気圧測定 タイムを設定して,連続的にデータを取り込む (c)動力が不要な噴水と水車の製作 ペットボトルやビニールチューブ等を利用して,水の 位置エネルギーを利用した噴水と水車を製作する。 本年度は授業展開などを工夫して2学期までに従来の 内容を実施し,3学期はすべて新たな内容にして取り組 んだ。これまでプレゼンテーションは実施してきたもの の,その内容に定量的な内容が少なかったため,3年次 の「課題研究」に生かすことができるように,アナログ 入出力装置を用いた測定なども取り入れた。また,測定 データをエクセルに取り込んで,散布図にまとめるなど 図9 位置エネルギーによる 噴水製作 の操作に関して,研究論文に対応できるように指導を行 った。 -熱分野における取り組み- ○1学期 (a)蒸気タービン模型の製作と考察 発生させた蒸気を,各自が考案・製作したいろいろな種類の蒸気タービンの紙模型 にあて,その蒸気の動力を求めることを通して動力とは何かの理解を深めると同時に, 変換効率と動力を向上させるための方策を検討し,物理的なアプローチも行った。ま た体験から得られた事柄や問題点について調査・考察した内容をまとめたグループご とのプレゼンテーションにも取り組んだ。そして流体分野同様,筆記試験も実施した。 ○2学期 (a)蒸気で動く船・ポンポン船の製作と考察 水蒸気の力を利用して動く船として,古くからおもちゃとして親しまれているポン ポン船を取りあげ,このポンポン船の製作を通して,その動く原理のみでなく,ポン - 34 - ポン船で見られるさまざまな現象について検討・考 察し,運動量保存の法則の実際の応用ケースに触れ る等,最後に物理的なアプローチも試みた。またグ ループごとのプレゼンテーションおよび筆記試験の 実施は1学期と同様である。 (b)熱エネルギーの利用と変換 ここではスターリングエンジンを教材として取り 上げた。ビー玉が入った試験管を暖めることによっ 図10 製作したポンポン船の概観 て生じる,空気の膨張と収縮を利用して走行するス ターリングエンジンカーを活用し,生徒は改良を繰り返す中でスターリングエンジン についての考察および検証を行い,さらに熱の本質とは何かを体験的に学習した。 (c)摩擦力 物を動かそうとするときには抵抗力が働く。この力が摩擦力であるが,物が動く直 前の最大静止摩擦力について,定量的な関係,摩擦の法則を実験や生徒が考えた方法 で確認した。例えば物体を水平な机の上で引張るのに,どのくらいの力が必要なのか。 生徒の多くは(重力+摩擦力)以上の力がいると考える。重力が生徒の頭の中ではま だ未分化の状態でもやもやしている。そこを討論と実験で考察させた。 そしてその後,静止摩擦係数の測定に取り組ませた。測定法としては,①物体をバネ ばかりで水平に引っ張って測定する方法,②摩擦角より求める方法,および③接触面 の材質や重さ等を変えて測定する方法を取り上げ,体験的に学習させた。 ○3学期 (a)比熱と熱容量 まず水熱量計を用いて,熱量の保存より金属の比熱を測定させ,外見の特徴と測定 した比熱の値より,試料がどのような金属なのかを考察させた。そしてさらに期待さ れる値からの誤差は何が原因か,および実験中にどの 様な事柄に注意すればより良いデータが得られるかを 検討・考察させた。 (b)熱力学の基礎 1 学期に学習した熱力学の基礎についての内容確認 をまず行い,学習の定着度を確認した。次に理想気体 の状態方程式,定積変化・定圧変化と熱力学第1法則, 図11 比熱と熱容量の実験① 等温・断熱変化および熱機関のサイクルと熱効率等, 演習形式で理解を深めさせ,数式の展開を含めた古典 物理的内容を学習することで,従来から教えてきた内 容の一部削減・簡略化による学力定着不足の問題を解 消した。 (ウ)生徒の評価基準 例年と同様,生徒の意欲・態度,思考・発想力,理 解度,プレゼンテーションを通してのコミュニケーシ 図12 比熱と熱容量の実験② ョン能力および筆記試験とレポートの完成度を評価基 - 35 - 準とした。また発表の技術(プレゼンテーションソフトの使い方など)や発表内容が 正しいかどうかを評価の中心にするのではなく,いかに科学的にアプローチし,論理 的に考えて結論を得ているかを評価基準の中心として評価した。 (エ)留学生との交流 本年度10月14日(火),タイ王国・カセサート大学附属高等学校の女子生徒1名が, 熱分野の授業に参加し,スターリングエンジンについての体験学習をした。言葉の壁 が大きく,当初は戸惑い気味であったが,この夏にタイへ派遣された本分野の女子生 徒が隣に座り,お互いのノートに授業における話の内容を図で示したり,コメントを 書く等,終始サポートに努めていた。そのようなこともあり,最終的には楽しく課題 に取り組んでいた。 (オ)科学技術研究入門の授業を実施しての教育的効果と今後の課題 2学期の熱分野で取り組んだ,ポンポン船の動力を求める方法の考察についての結 果を例として挙げる。 生徒はこの課題に関して,概ね次の4通りの方法で考察・説明した。 ①滑車などを通しておもりを持ち上げさせて,その仕事率を求める方法。 P = mgh/t(m:おもりの質量,h:持ち上げた距離,t:かかった時間) ②ばねばかりでポンポン船が前に進む力を測定し,直線運動で求める方法。 P = Fv(F:ポンポン船が進む力,v = x/t:船の速さ) ③ばねばかりでポンポン船が前に進む力を測定し,回転運動で求める方法。 P = Fr ω(F:ポンポン船が進む力,r:回転半径,ω= 2 π n/60:角速度) ④ポンポン船の運動を調べて加速度を求め,それを用いて求める方法。 P = ma × v(m:船の質量,a:船の加速度,v = x/t:船の速さ) これは例年とほぼ同様の答え方であった。自らの体験や生徒間同士の検討(コミュ ニケーション)を通して,動力の定義 を理解し,具体的に何を測定して,どんな式 で動力が求められるかを多数の生徒が説明できていることから,科学技術研究入門の 学習により,科学的なものの見方・考え方を育んでいる効果が現れている良き一例が, 今年度も明らかに見られたといえる。 また以前より問題となっている,この取り組みの実施によって生じる,従来から教 えてきた内容の一部削減・簡略化による学力定着不足の問題も,それぞれの分野での 教えるべき学習内容の精選とプレゼンテーションのバランスを検討する事で徐々に改 善されつつある。 本分野では,この「科学技術研究入門」を通して,主体的に物事に挑戦し,さらに 創意工夫して,習得した様々な知識や多様な情報を活用する等,自分の力で問題解決 ができる生徒を育成するためにも,絶えず新しい教材とテーマの工夫をこれからも継 続して試みることが必要であると考えている。 ④電気電子分野 (ア)今年度の概要 本授業実践は,CAI教材のような個別学習を目的とするものではなく,さまざま なツールを活用した集団学習である。その意味では,グループによるプレゼンテーシ ョン制作と全体発表・討議という場面が,一種のゲーミングと見立てることも出来る。 - 36 - ゲーミングの設計手法には,Greenblat(1988)*1 に代表されるように,ゲーミングを専 門的に扱ってきた立場からの方法論もあるが,教育の分野では,授業や教材を設計す るためのインストラクショナル・デザインの理論や手法が体系化されており,これに 基づいて設計された教育ゲームもある。特に,知的 CAI の研究では,コーチング理 論に基づいた教育ゲームの研究が行われ(Wenger 1987)*2,最近注目されているシリ アスゲームは,GBS 理論(Schank et al. 1999)*3 と呼ばれるインストラクショナルデ ザイン理論を背景にしている。本授業実践で扱う事例は,総体的理解(プレゼンテー ションを構成している要因とそれらの間の相互作用の理解)を目標とするケースと, 態度変容を目標にする場合との2つのケースに分類できる。前者は,Duke(1974) *4 の「ゲーミング=総体コミュニケーション」という捉え方に代表される。この場合, 補助的な目標としてメタ認知能力の習得を扱うことも考えられるが,本実践事例では そこまでは目標に含めていない。後者は Greenblat(1988)でも教育目的の1つとして 示されており,環境問題や異文化理解など,やはりゲーミングの手法が効果的と考え られる領域である。以上述べた2つのケースのそれぞれについて,テーマごとに授業 実践を複数のゲーミングとして,実践・評価をした。ここで着目すべきは,本報告に おけるゲーミングの設計は,「いかに正確に目標達成状況を把握したり,フィードバ ックしたりするか」という視点を重視している点である。つまり,ゲーミングをコミ ュニケーション過程と捉えた時,そこでの働きかけには情報伝達(マンド)を意図し たものと,学習制御(タクト)を意図したものとの両方がある(坂元 1991)*5。Duke の総体コミュニケーションも,基本的には情報伝達を中心に考えているが,目標達成 支援のための形成的評価を重視するならば,学習制御の側面に着目することは重要で あり,それが前述したコーチング理論のベースにある。教育のためにゲーミングを設 計するには,評価とフィードバックのためのコミュニケーション過程を設計の柱の1 つに据えることは非常に重要である。 そこで,研究第4年次にあたる今年度は,タイ王国カセサート大学附属高校の生徒 を受け入れるという国際交流の実践を含めつつも,基本的にはゲーミングの手法を授 業実践に取り込みながら,生徒の論理性を育てる指導を行った。また,実施について は,10月からの半期(4時間連続授業)で行い,4年間同じ方法を踏襲した。また, 指導に当たる教員は4名(電気電子分野3名・地歴・公民科1名のTT)とし,テー マによるクラスの分割は行わず,共同で指導にあたった。 (イ)実施テーマ ○課題1 ブレインストーミング 教材そのものを指すゲームに対して,ゲーミングはゲームを用いた行為そのものを 指す。プレイヤーに配役を決める寸劇やシチュエーションを仮想するシミュレーショ ンの場合もゲーミングにあたる。電気電子分野が行っているブレインストーミングは, 一種のゲーミングの形態をとっている。発想を引き出すのは,ルールに基づいた各生 徒の自発的な行為だが,それをまとめていく作業は,コンセプトマップ(概念地図法) 化を意味し,コンセプトの置き方やグループの作り方,コンセプト間を結ぶリンクや 必要なリンクワードを書き加える必要があった。従来教師による助言は行わないこと で,作成を見守っていたが,総括的な評価だけではなく,発表前の形成的評価が必要 - 37 - であるという認識から,生徒の作業に助言を与える こととした。これは生徒の自由な発想を阻害するも のではなく,コンセプトマップの描画方法に対する コメントを主としている。コンセプトマップの描画 方法は,1年時にも指導を受けているが,題材が異 なると応用することが難しいのが生徒の実態であ り,今後引き続いて行われる,「科学的なものの見 図13 ブレインストーミング 方・考え方」に関する実験,3年時の課題研究の「テ ーマの紹介」に続き,「課題研究」の内容をシミュレーションする動画による独自の プレゼンテーションへと続くものであり,正に基礎基本を見直した1年であったと言 える。 ブレインストーミングのテーマは昨年度と同様の,「高校生の宝物」「大切なものは なに?」「好きなものの条件」「本当の友達とは?」から1つ選択させた。今年度は形 成的評価に基づくフィードバックを導入したため,図13のように描画そのものは満足 する結果を得られた。 ≪科学的なものの見方・考え方を育てる実験≫ 科学は論理的でなければならない。思いつきや根拠のないイメージで語ることに意 味を持たない。自分のことばで語れないことは,自分のものになっていないことを自 覚させながら,実験を進めてた。 ○課題2 災害時の通信方法(+国際交流の授業として) 災害が起こった場合,電気が使えないことが想定される。その場合,どのようにし て情報を伝達させるかが,このテーマの課題となる。昨年度は伝書鳩や烽火という考 え方も披露されたが,今年度は非実用的な例は散見せず,電池や自家発電機による電 化製品の利用をあげているグループが多かった。人力による発電機の話が出たところ で,電気の質について考えさせる次のテーマへ移行する。なお,授業の一部だが,カ セサート大学附属高校の生徒を1名受け入れ,グループ内に配置した。ホストファミ リーを引き受けている生徒と同じグループとし,通訳をしてもらいながらの実践であ ったが,雰囲気になれないこともあり,あまり活発な議論をしてくれるところまでは 至らなかった。しかし,本校独自の授業形態を体験するには十分な成果があったと言 える。 ○課題3 使える電気とは? 「使える」ということばをどのように捉えるか,質という問題にまで考えがおよぶ のは難しいが,電圧が安定しない発電方法では,実用にあたらないところまでは,す べてのグループが認識できた。次回に行われる手回し発電機の実験を通じて,理解を 深め「使える」という定義そのものを見直させることとした。 ○課題4 発電してみよう・手回し発電機の内部 手回し発電機の内部部品の役割について,類推させることを目的とした。課題とし て取り上げたのは昨年同様,①ダイオードブリッジ,②コンデンサ(大容量),③外部 入力切替用スイッチの3点である。解答は以下の通りである。 ・ダイオードブリッジはハンドルを正・逆転させても,充電極性が変わらないように - 38 - するためのもの ・大容量コンデンサは蓄電のためのもの ・スイッチは外部電源入力用スイッチ コンデンサについては,すべてのグループが正解できたが,その他の各部品の働き については,正答を導けなかった。授業の最後には,教師側が,オシロスコープを用 いるなど,机上実験を導入しながら,正答を解説した。 ここで,一つ落とし穴があった。昨年度,この授業を受けた生徒達が,ある場所で 手回し発電機の分解と部品の説明をするプレゼンテーション課題を受けた。当該生徒 は,本時と同じ回答をして不正解となった。本人はおそらく自信満々で発表したこと だろう。敗因は何か。提示された手回し発電機と本実践のものとは,内部構造が異な っていたのである。まずは先入観を取り除き,そこから一つ一つ帰納的に導くべきで あるのに,論理性を重視した授業が無駄になってしまった。今後の指導に生かす必要 があることを実感させられた。 ○課題5 階段の照明 階段や長い廊下にある照明を1階/2階~n階・入口/出口~任意の場所のどこから でも「ON・OFF」できる回路図または接続図を考える。今回生徒たちには,階段 の上下にスイッチを設けることで,登る前に1階のスイッチで照明を点け,登った後 に2階/3階~n階のスイッチで消灯するためにはどうしたらよいのか,考えさせた。 なお,以下のような前提条件を設けた。 照明器具:各階段に1灯 スイッチ:2個~n個 リモコンなどの遠隔操作は使わない 2階程度であれば,2つの三路スイッチを組み合わせるだけという比較的簡単な配 線だが,今年度は応用課題を同時に与えたため苦戦していたが,半数以上のグループ が,回路シミュレータを活用した。パソコン上で動作を確認しながらの検討し,n階 の場合も解決していた。n階の場合,連動スイッチという発想がなければ解決できな いが,PC上で動作する回路シミュレータが大きく役立ったようである。 ≪仮説検証思考型実験≫ 今年度は速いペースで実験を進め,11月の最終週には,電気電子分野の全先生方の 協力を得ながら,課題研究の説明とグループ分けが行われた(テーマ選定に際しては, 電気電子分野の4名の教員が審査し決定)。なお,テーマは,以下の8テーマである。 ・インバータの製作 ・電動車いすの製作 ・多車輪連結ロボットの製作 ・PIC によるファンクションジェネレータの製作 ・スロットマシーンの制御 ・ライントレーサの製作 ・PIC による鉄道模型の自動制御 ・アンプの製作 本来,課題研究は,製作し実際に動作することが求められるが,科学技術研究入門 では,実施に至る思考過程や計画の合理性,実現の可能性などについて,仮説を検証 することが目的となる。そのため,実際に製作物を完成させる必要はなく,プロトタ イプで良い。むしろ,いかに説得できるかにかかっている。 ○課題6 テーマ選定の動機と問題点 - 39 - 動画によるプレゼンテーションの前に,「テーマ紹 介」を主たる目的としたプレゼンテーションを課し ている。ブリーフィングでは,昨年度と同様に,テ ーマ選定の思考過程を明確にし,何が自分たちのオ リジナルなのか,何を解決したいのか,仮説を立て させることを目的に発表が行われた。十分な説得力 の得られないグループもあり,テーマの修正を求め 図14 昨年例(UFOキャッチャー) 昨年例(UFOキャッチャー) られる場面もあったが,おおむね目的を達成できた。 ○課題7 動画による課題研究シミュレーション 電気電子分野では,既存のプレゼンテーションソフト に依存しない動画によるプレゼンテーションをリテラシ ーとして定着させたいと思っている。そのための実践の 1つが,動画を編集し番組を作成することで,課題研究 シミュレーションを行わせることである。 前述のゲーミングの設計でいえば,課題6の作業がす でにブリーフィングにあたり,番組の構成・シナリオづ くりが,第1のフェーズとして形成的評価の対象となる。 ここで指導教員のチェックを経たもの,すなわち教師に 図15 動画編集に使用したNAS よるフィードバックがなされたものが,動画編集に進む ことが出来る。 生徒にとっては,動画の収集そのものが,第2フェーズにあたり,さらにそれを効果 的に編集するという構成主義的な授業が展開されている。本来,動画完成までには時 間を要するが,今年度はNAS(LAN接続型ハードディスク)の導入により,昨年 度よりも安全でスムーズな作業展開となった。 (ウ)生徒の状況と変化 科学的とは,必ずしも実験で証明することではない。人を説得し自分の考えをわか ってもらうことも科学的でなければならないことに,生徒達は気づいていく。このこ とがわかれば,人はなぜ勉強しなければならないのか,という疑問にぶつかっても自 分なりの解決が出来るのではないだろうか。このようないわば訓練が,真に科学技術 高校の生徒としてふさわしいものとなっていくと信じている。このことは,結果とし て生徒による発表内容にも反映されているし,発表に対する質問も,無意味な揚げ足 取りや個人攻撃,質問のための冗長な質問はほとんど行われることがない。自由な活 動がむしろ自分たちの行動を律する結果となっている。ただし,このことが,生徒の 日常モラルの向上には至っていないことは,残念である。 本実践の成果を総括的に評価できるのは,課題研究であると言える。もちろん,授 業の最終回に行っている発表会も,総括的評価およびディブリーフィングの場となっ ているが,それを生徒自身が身につけることが出来たかどうかについては,課題研究 の実践を待たなければならないと考えている。 (エ)生徒の評価 表2の通り,4観点について5段階で評価した。この成績は,担当した4教員の合 - 40 - 議の結果をまとめたものである。テーマにより,力点を置くべきものが異なっている ことがわかり,生徒への指導方針に修正を加えれば,さらによりよいものとなると考 えている。形成的評価に基づくフィードバックが,なかなか成果として現れてこない ことが残念である。 表2 生徒の評価(電気電子分野) 科学的なものの見方・考え方 仮説検証思考型 通信 手段 使える 電気 手回し 発電機 階段の 照明 課題研究 (PPT) 課題研究 (動画) 平 均 ① 関心・意欲・態度 3.55 3.30 3.69 3.28 3.93 4.20 3.66 ② 思考・判断 3.25 3.25 2.97 3.38 3.53 4.15 3.42 ③ 技能・表現 2.38 3.20 3.74 4.00 3.43 4.08 3.47 ④ 知識・理解 3.35 3.38 2.49 3.20 3.55 4.05 3.41 (数値は全生徒の平均値) (エ)まとめと考察 生徒の自由な活動を重視する場合,どの時点で評価を与え,フィードバックするの かが問題となる。考えをまとめている段階でのアドバイスは意味のないものとなって しまうし,遅すぎるフィードバックも軌道修正が間に合わないことになるだろう。こ の点を明確に示せなかったのは,教師側の実践計画に,曖昧な部分があったためであ ると反省しなければならない。他方,受け止める生徒側にも,他人の意見を素直に聞 く態度が必要となるが,その意味でも全人的な教育を目指すことにブレはないものと 思う。今年度は,形成的評価,および総括的評価を重視する上で,教育実践そのもの を集団学習におけるゲーミングと解釈したが,ゲーミングには厳格なルールと統制が 必要であり,授業実践がその域に達していなかったことは否めない。その意味では教 師側の準備と教師間の打ち合わせを綿密にする必要があり,最終年度に向けての反省 点としたい。 ⑤建築デザイン分野 (ア)今年度の概要 建築デザイン分野の科学技術研究入門の授業は,10月中旬から後期授業として昨 年・一昨年同様に,半期・週4時間の2単位・1日4時間連続授業として行われた。 授業は,クラスを二分しテーマも2テーマ用意し,2班構成の進行とした。実施にあ たっては,建築デザイン分野の教員に加え,物理科教諭1名によるTeamTeachingも同 様に行った。 今年度は10月下旬に国際交流の一環として交友関係にあるタイのカセサート大学 附属高校の生徒も参加しての授業も行われたこともあり,昨年度同様「仮説検証的な テーマ」の授業を一部早く行った。今年度も生徒たちのモチベーションあげるため, 班ごとに結果を争う授業形式の多く取り入れた。また,「科学的ものの見方・考え方 を育てる実験」による話し合い中心の授業と「仮説検証思考型実験」による実験を交 えての授業が同時進行することにより,授業の回数の進行に伴い低下しがちな生徒た - 41 - ちのモチベーションを維持するとともに,求める性 能を得るために,どのような知識を必要とし,どの ように課題をクリアせねばならないか考え,実践し てゆくものとした。 (イ)実施テーマ ○第1回目 ブレインストーミング(クラス全員) 過去2年間と同様に「高校生の宝物」という課題 でKJ法の考え方に則って行った。今年度はクラス 図16 カセサート大学附属高校生徒 参加の授業 を約6名・5グループに分け,はじめは各自の考え る宝物を紙片に書き出し,その後班員で話し合いながら出てきたものを内容でグルー プ分けし,数色の付箋を使い色により分類することによりコンセプトマップを作成し, それから模造紙にわかりやすく表示し発表した。過去2年同様,生徒は,はじめは相 当とまどっていたが,要領がわかりはじめるに従い,話し合ったり,分担して作業し たり,だんだんするようになった。 ≪科学的なものの見方・考え方を育てる実験≫ 基本的に第1回目のブレインストーミングの手法と同様の手順で行う。ただしクラ スを2等分し,半数の人数で行う。班分けは1班5,6人で毎回構成が変わるように 配慮した。 ○第2回目 A班 地震予知1 (B班 アルミニューム管タワーの製作1) 最初に課題の主旨説明と基礎的な知識を確認し た。次いで下記に示す5つの課題に対する個人の意 A:プレートの境界線で地震が発生する仕組み プレートの境界線で発生する弾力は、地震の大きな原因の1つです。 一般にプレートの境界線で起こるというのが、幅広く知られている のではないでしょうか。 見を考えさせ,意見を記録させた。 (1)地震予知は何を対象にしているのか。 (2)地震の発生原因.。(3)地震に対する備え。 (4)地震予知の有効性。(5)地震予知の可能性 プレートが動こうとすることによりずれが生じ、 耐え切れなくなった時に爆発が起こる感じです。 地球の土台ですが固いというイメージは崩して、 木の板のように「弾力があるもの」として考えると解るかと思います。 個人的意見がまとまったところで,5,6人のグル ープに分かれ,それぞれの班長と書記を決め,班長 図17 スライドの内容 を中心に,意見の集約を行い,書記が結果を記録した。 ○第3回目 A班 地震予知2 (B班 アルミニューム管タワーの製作) 前回の記録をもとに,プレゼンテーションソフトで発表用 の内容をスライドでまとめた。 スライドの完成後,班ごとに発表。発表は班長中心に行っ たが,班の構成員全員が分担して発表した発表の後,発表内 容に対して,発表班以外の全員に一ずつ意見を求めた。その 後,自由討論を行った。自由論では,特定の生徒に発言が偏 っていた。質疑応答では地震予知の精度とその可能性に関す る意見が多く出た。誤って解釈しているしい点や教師に対す る質問事項などに関して,多少の説明を加えた。 図18 タワーの製作 ≪仮説検証思考型実験≫ ○第4回目 A班 アルミニューム管タワーの製作1 (B班 - 42 - 地震予知1) 長さ30㎝,直径2㎜のアルミニュウム管50本を40㎝角の台座の上に粘土だけ をを接着剤として,出来るだけ高い塔を立ち上げる課題である。まず生徒一人ずつ各 自のアイデアを紙に描く。それを班ごと集まり各案の善し悪しを検討し1つの案を決 定する。その案に従いアルミニューム管のタワーを製作してゆく。模造紙に製作した タワーの高さ,構造,作り方などの特徴をまとめた。 ○第5回目 A班 アルミニューム管タワーの製作2 (B班 地震予知2) 前回作成した模造紙を元にして,パソコンによるプレゼンテーションを作成をする。 前回撮影していたアルミニューム管タワーの製作途中や完成の写真を使用して分かり やすい表現を考えさせる。班ごとに複数のパソコンを使用し,文章を書くこと,図を 描くこと,インターネットで調べることなど,分担して作業した。授業の後半は発表 会となった。タワーの高さが2m以上のものもあれば,1mちょっとで倒れてしまっ たものもあり,その原因究明等に活発で積極的な議論が行われた。 ○第6回目 A班 月面基地 (B班 ヒートアイランド) 実現可能な月面基地をテーマに,まず月面の環境について重力,大気,温度など説 明をうけ,建設する基地の材料や構造をどうするか。空気や水をどう供給するのかな ど,出来るだけ具体的に考え,月面基地を提案する。つまり現実的な問題として「ど う作るか?」。クレーンやブルドーザなどは,重力が地球の6分の1の月面でどのよ うな挙動を示すのか,材料として何が適しているかはどこから調達するのかなど考え, 現実的方策を議論し発表した。重力減少は摩擦力も6分の1に減少する。これが大き な問題となった。これらをまとめ発表した。月面基地で手に入る材料,基地というよ り都市としての提案などがあった。 ○第7回目 A班 ヒートアイランド (B班 月面基地) 近年の大都市の気温上,いわゆるヒートアイランド現象について説明した後,班ご とでその原因と対策を出来るだけ沢山考え議論し,その結果をまとめ発表した。本校 が東京の港区芝浦と,高層ビルの林立する地域にあるので生徒にとっては結構リアリ ティのあるテーマのようだ。どうしてこのような現象が起きているのか,原因究明に ついては一般的見解が多く,ユニークなものは少なかった。しかし対策については様 々なアイデアが出ていた。メディアで紹介されるものもあったが,地下水を利用した り,都市河川を大幅に緑化するなど可能性を感じさせるものが出たほか,建築ならで は屋上緑化なども取り上げられた。 ≪仮説検証思考型実験≫ ○第8回目 A班 コンクリートの強さ1(B班 ピラミッドを考える) 建築物の主要な構造材料であるコンクリートの強さについて考えた。コンクリート はセメント・水・砂利・砂などを練り混ぜたもので,型枠などに流し込まれセメント の水和反応により硬化する。1回目は,班ごとにセメント・水・砂利・砂の割合,練 り混ぜ方,型枠への流し込み方などを検討して,実際に強度試験を行うための試験体 をつくった。練り混ぜ作業では,汚れ仕事にも関わらず子供が泥遊びをしているがご とく楽しんでいた。 ○第9回目 A班 コンクリートの強さ2(B班 音の制御) 2回目は,前回つくった試験体の強度試験を行い,結果よりどんなコンクリートが - 43 - 強いのか,破壊性状を含め班ごとに発表し議論した。結果的には期待したような高強 度は得られなかったが,強度試験は強さを競うとあって結果に一喜一憂して,ことの ほか盛り上がった。 ○第10回目 A班 ピラミッドを考える (B班 コンクリートの強さ1) 巨大ピラミッド建設の謎をテーマに,(1)正確な方位はどのように決めたのか? (2)巨大で正確な正方形をどのように縄張りしたか?(3)重くて大きな石をどの ように運び高いところへ積み上げたか?(4)水平や垂直,頂点の位置などをどのよ うに導き出したか?(5)ピラミッドは何のためにあるのか? 以上について考え,議論し,出てきた結論について評価しそれらをまとめて発表した。 星や太陽をもとにした方位との同調,直角の作り方,正方形の特性からの作り方,余 弦定理などの利用等,幾何学の知識を総動員することとなった。生徒の水平・垂直に 対する概念があまり理解されてなくそれが結果的に,ディスカッションの活気や作業 能率に影響を与えた。 ○第11回目 A班 音の制御 (B班 コンクリートの強さ2) 現代社会において騒音問題は深刻で,音を制御することは重要である。防犯ブザ ー(100dB)を騒音源に定められた材料だけで如何に減音させるかを競う。遮音,吸 音の原理を上手に適応した班が,好成績(約50dB減)をおさめた。防音成果の成績を 競わせるためにモチベーションは高い。例年同様,製作・実験・まとめ・発表は4時 間では時間的にいそがしすぎたようだ。 ○第12回目 課題研究さきがけ 3年生で行う課題研究をさきがけて始めた。 (ウ)生徒の評価基準 評価基準は4観点評価。①関心・意欲・態度 ②思考・判断 ③表現・プレゼン技 術④知識・理解である。この授業の特徴として,知識を教え込むのではなく科学的に ものごとを捉え,考えることと,それを表現する能力を養うところにある。逆に言え ば,良い生徒とは,課題に積極的に取り組み,科学的思考と判断を行い,それを他の 班員と活発に討議し,グループとしての結論に導き,それらを上手に他者へ知らせる 能力のある生徒である。また他班の発表をよく聞き,的確な質問・意見を述べること の出来る生徒である。この授業では,普段教室での授業では,あまり目立たない生徒 が積極的に発言したり成績の良いとされている生徒が戸惑ったりすることが多々あ る。表3は2学期までの評価をテーマごとに平均で示した。今年度は,過去2年間と 比較すると全体的に評価が低くなっている。 生徒に授業の終りに自己評価のアンケートを行っている。過去2年間と同様に真面 目な生徒ほど自己に厳しく評価する傾向は昨年と同様であり,参考資料とした。 表3 ① ② ③ ④ 観 点 関心・意欲・態度 思考・判断 表現・プレゼン技術 知識・理解 生徒の評価(建築デザイン分野) ヒートアイランド 3.78 3.44 3.63 3.50 月面基地 3.84 3.47 3.81 3.34 - 44 - アルミニューム管タワー 1,2 3.66 3.31 3.25 3.22 地震予知 1,2 3.59 3.63 3.81 3.75 平 均 3.72 3.46 3.63 3.45 (エ)留学生との交流 タイ,カセサート大学附属高校の生徒の授業参加では,タイの生徒もグループの一 つに入ってアルミニューム管タワーの課題に取り組んだ。授業では,双方ともできる だけコミュニケーションをとることに心がけ,協力しながら作業を行っていた。しか し,タイの生徒は一人だけでグループに参加しており,言葉の壁もあって,ともする とタイの生徒は見ているだけという状況にもなっていた。今後は,タイの生徒も複数 で参加することを考えた方がより交流が活発に行われるのではないかと感じられた。 (オ)今後の課題 1テーマを4時間もしくは8時間で,その回の課題を科学的に捉え,考え,そして 解決する。さらにその成果を発表するの手順で実行した。4時間のケースではかなり いそがしかった。しかし,時間的余裕を与えすぎるとだらけてしまい,むしろ発言が 少なくなってしまう。一昨年は前半のブレインストーミング形式の授業ばかりで,生 徒は途中で飽きてしまった。前述したが今年度も昨年同様,「科学的ものの見方・考 え方を育てる実験」と「仮説検証思考型実験」を行った。両者が混在するようなプロ グラムとなったことが生徒の反応を見ていると,良かったように感じられた。一方こ の科目はどうしても生徒の性格(内向的か外向的か)が評価に関係する部分が少なく ない。内向的生徒に科目の主旨をよく説明し積極的に発言をするよう求めてもなかな かうまく行かない。大きな課題である。 この科目が引き継ぐ上位の科目として第3年学年の課題研究がある。今年度の3年 生は早くに,自分で課題を考え・発見する訓練を始めていたため課題研究のテーマの 決定など比較的にスムースに行われていた。課題研究の取り組みを,この科目を履修 していない平成18年度卒業生とアンケートで比較すると,テーマを設定する時,卒 業生は,「1人で考える」が多かったが,平成19年度卒業生と同様に平成20年度 3年生は「仲間と相談する」,「先生と相談する」など話し合う傾向が目だつ。またア イデアを紙片に書いて整理するなど若干KJ法的な手法をとっているところが見られ この科目の影響を感じることが出来た。 (3)「科学技術研究入門」における国際交流の実施 本年度は,国際性育成として,タイ王国カセサート大学附属高校との交換留学活動 において「科学技術研究入門」の授業を行った。内容については,これまで検討して きた結果を踏まえ,以下のテーマを用意した。 材料科学・環境科学・バイオ技術分野:「自分の細胞からの DNA 抽出」 情報・コンピュータサイエンス分野:「ライントレーサ」 システムデザイン・ロボット分野:「蒸気で動く船(ポンポン船)の製作と考察」 エレクトロニクス・エネルギー・通信分野:「災害時の通信方法」 建築デザイン分野:「アルミニュウーム管タワー」 どのテーマを受けてみたいか交換留学生に選ばせたところ,ホームステイ先の生徒 がいる分野のテーマが選ばれ,各1名ずつ各分野の内容を学習した。具体的な内容は 各分野の報告に譲る。 全体的な傾向として,ホームステイ先の生徒と話すのが主になるが,その生徒が専 門的な内容をよく理解していればよいが,そうでない生徒にあたると,内容について - 45 - よく理解できない留学生もいた。そのような事態に対処するためにも留学生 TA をう まく活用できれば,と考える。 4 実施の効果とその評価 「科学技術研究入門」に関しては,授業実践の本格的な開始から3年目を迎え,各分 野とも,構成主義的学習観に基づいた教授方略に対し,少しずつではあるが,教員側の 適応性も向上してきたところである。 研究開発に対する評価としては,本年度においても,昨年度同様,本科目履修に対す る事前・事後調査を行う予定である。設問内容は昨年度のものと同一とし,調査結果の 経年比較が可能となるよう配慮する。具体的な調査内容は,附録に掲載参照されたい。 採点方法は,昨年度と同様に,各解答に対して評価基準に基づき5点満点で評価した (評価基準;5…よくできている 2…一部に正解がある 4…だいたいできている 3…一部に間違いがある 1…完全に誤り)。 昨年度の事前・事後調査の分析結果を表4に示す。表中の合格者は,5点満点で4点以 上を獲得した生徒とした。例年と同じように,本科目実施の効果が出ていると思われる。 表4 問1 問2 問3 問4 問5 問6 平均 合格者数 /総 数 検定 応 用化学 事前 事後 2.36 3.58 2.15 3.70 2.51 3.58 2.03 3.75 2.26 3.65 0/39 17/40 χ 2= 21.12 P<0.00000431 0.01%水 準で有意 情報 システ ム 事前 事後 3.14 3.62 2.86 3.50 3.03 3.65 2.77 3.38 2.69 3.68 2.34 3.62 2.81 3.58 2/35 9/35 χ 2=5.29 P<0.0215 5%水準 で有意 実施の効果 機 械システ ム 事前 事後 3.74 3.89 3.15 3.42 3.67 3.97 2.67 3.76 電 気電子 事前 事後 3.00 4.28 2.79 3.85 3.08 4.00 2.82 3.51 建 築デザイ ン 事前 事後 2.66 3.03 3.00 3.09 3.00 3.09 3.22 3.22 3.31 3.76 5/40 15/40 χ 2=6.67 P <0.00982 1%水準 で有意 2.92 3.91 2/39 17/39 χ 2= 15.66 P <0.0000760 0.01%水 準で有 意 2.97 3.11 8/33 8/33 χ 2=0.00 P<1.0 有 意差なし 昨年度に引き続き,本科目が,課題研究への取り組みにどのように影響し,成果をもた らしているかについての評価を行った。現3年生に対し,課題研究を終了した段階でア ンケート調査を実施し,本科目履修の効果について分析した。なお,同様のアンケート は平成18年度から実施しており,平成18年度の生徒は本科目未履修である。平成18年と それ以降のデータで,本科目履修生との対照データが得られる。アンケート内容として は,分野共通のものと分野独自のものの 2 部構成とした。以下に,分析結果について概 観する。 【分野共通項目】 課題研究への取り組みに対する3つの設問について,線結び式内容分析法を用いて分 析した。分析に当たっては,広島県立教育センターの Web 上に公開されている分析ツ ールを参考にした。 以下に,各設問について回答内容を分析し,その結果を視覚化したものを示す。これ らは,各カテゴリー間の線結び作文について,回答数の多かった上位 3 項目を取り上げ, 得票率(%)とともに矢印を引いて示したものである(赤実線:得票率1位,黒実線: 同2位,黒点線:同3位)。得られた結果を俯瞰すると,平成18年,19年,20年度の3年 - 46 - 生,いずれの設問に対しても,選択した項目内容については明確な差異は見られない。 しかし,その得票率を精査すると,興味深い結果がいくつか認められる。 《設問 1》課題研究のテーマを決めるときは,・・・,決めた。 平成 18 年度 ①ひとりで ②グループのみんなで ③先生と一緒に ④先生が ⑤友達が ⑥その他 10.8 ①ノートに書いて ②小さな紙に書いて ③頭の中で考えて ④アイデアを出し合って ⑤テーマを出してくれて ⑥その他 ①持ち寄って ②模造紙に貼って ③プレゼンソフトで編集して 16.2 ④紙にまとめて ⑤メールで送って 17.7 ⑥該当なし ①ノートに書いて 40.0 ②小さな紙に書いて ③頭の中で考えて 12.4 ④アイデアを出し合って ⑤テーマを出してくれて 14.7 ⑥その他 ①持ち寄って ②模造紙に貼って ③プレゼンソフトで編集して 16.6 ④紙にまとめて ⑤メールで送って 23.1 ⑥該当なし ①ノートに書いて ②小さな紙に書いて 46.5 ③頭の中で考えて ④アイデアを出し合って 8.6 ⑤テーマを出してくれて ⑥その他 ①持ち寄って ②模造紙に貼って ③プレゼンソフトで編集して 20.5 ④紙にまとめて ⑤メールで送って 22.7 ⑥該当なし 13.1 36.2 10.0 平成 19 年度 ①ひとりで ②グループのみんなで ③先生と一緒に ④先生が ⑤友達が ⑥その他 16.0 平成 20 年度 ①ひとりで ②グループのみんなで ③先生と一緒に ④先生が ⑤友達が ⑥その他 7.6 11.9 設問 1 のテーマの決め方に関する内容では,平成18年度は「ひとりで」考えてアイデ アを出すという傾向が強く表れているのに対し,平成19,20年度は「グループのみんな で」や「先生と一緒に」-「アイデアを出し合って」など,グループ内の議論が活発に 進められたことがうかがえる。 《設問 2》課題研究の具体的な研究内容を決めるときは,・・・,決めた。 平成 18 年度 ①ひとりで ②グループのみんなで ③先生と一緒に ④先生が ⑤友達が ⑥その他 17.7 ①ノートに書いて ②小さな紙に書いて 30.0 ③頭の中で考えて 27.7 ④アイデアを出し合って ⑤テーマを出してくれて ⑥その他 ①持ち寄って ②模造紙に貼って ③プレゼンソフトで編集して 24.8 ④紙にまとめて ⑤メールで送って 23.3 ⑥該当なし 13.2 平成 19 年度 ①ひとりで ②グループのみんなで ③先生と一緒に ④先生が ⑤友達が ⑥その他 ①ノートに書いて ②小さな紙に書いて 49.1 ③頭の中で考えて 17.8 ④アイデアを出し合って ⑤テーマを出してくれて ⑥その他 8.9 - 47 - ①持ち寄って ②模造紙に貼って ③プレゼンソフトで編集して 26.5 ④紙にまとめて ⑤メールで送って 22.9 ⑥該当なし 17.6 平成 20 年度 ①ひとりで ②グループのみんなで ③先生と一緒に ④先生が ⑤友達が ⑥その他 9.3 ①ノートに書いて ②小さな紙に書いて 39.3 ③頭の中で考えて 14.8 ④アイデアを出し合って ⑤テーマを出してくれて ⑥その他 ①持ち寄って ②模造紙に貼って ③プレゼンソフトで編集して 23.4 ④紙にまとめて ⑤メールで送って 18.5 ⑥該当なし 13.0 設問 2 の具体的課題の決定に関する内容では,平成18年度に比べて平成19年度は, 「グ ループのみんなで」-「アイデアを出し合って」とした割合が顕著に増加している。ま た,平成20年度も同じ傾向であるのが分かる。すなわち,教員からアイデアをもらうも のの,具体的な内容決定では,生徒間の話し合いを重視したことが読み取れる。 《設問 3》課題研究の中間発表の内容を整理するときには,・・・,整理した。 設問 3 の成果の整理に関する内容についても,「グループのみんなで」-「アイデア を出し合って」まとめたという傾向が,平成18年度から平成19,20年度にかけて増加し ている。さらに,思考の整理方法として,平成18年度に高い得票率を示した「頭の中で 考えて」という傾向が平成19,20年度は弱まっている様子が伺える。 平成 18 年度 ①ひとりで ②グループのみんなで ③先生と一緒に ④先生が ⑤友達が ⑥その他 14.0 ①ノートに書いて ②小さな紙に書いて 28.7 ③頭の中で考えて ④アイデアを出し合って 10.9 ⑤テーマを出してくれて ⑥その他 14.7 ①持ち寄って ②模造紙に貼って ③プレゼンソフトで編集して 34.1 ④紙にまとめて ⑤メールで送って ⑥該当なし 11.6 平成 19 年度 ①ひとりで ②グループのみんなで ③先生と一緒に ④先生が ⑤友達が ⑥その他 ①ノートに書いて 13.2 ②小さな紙に書いて 34.1 10.2 ③頭の中で考えて ④アイデアを出し合って ⑤テーマを出してくれて ⑥その他 8.3 ①持ち寄って 8.9 8.3 30.4 8.3 ②模造紙に貼って ③プレゼンソフトで編集して ④紙にまとめて ⑤メールで送って ⑥該当なし 平成 20 年度 ①ひとりで ②グループのみんなで ③先生と一緒に ④先生が ⑤友達が ⑥その他 11.9 ①ノートに書いて 34.6 ②小さな紙に書いて ③頭の中で考えて 11.9 ④アイデアを出し合って ⑤テーマを出してくれて 10.3 ⑥その他 9.7 ①持ち寄って 8.6 39.8 ②模造紙に貼って ③プレゼンソフトで編集して ④紙にまとめて ⑤メールで送って ⑥該当なし 以上,課題研究への取り組みについて,設問毎に分析結果を眺めたが,少ないデータ による分析ではあるものの,本科目履修の有効性が充分示されていることが分かる。こ れらのデータからは,生徒側だけではなく,教員側の対応の変化についても読み取れ, - 48 - 生徒の自主的な活動を支援する意識が高まっている傾向にあることが分かる。今後の継 続的なデータの蓄積により,より詳細な分析を進めていきたいと考えている。 【分野独自の設問】 各分野における独自な内容の問題を作成し,3年生に対し,課題研究終了時に解答さ せた。各分野の設問内容については附録に示す。各解答に対しては5点満点で評価した。 評価基準については,2年生に対する事前・事後調査のものと同一(5…よくできてい る 4…だいたいできている 3…一部に間違いがある 2…一部に正解がある 1… 完全に誤り)とした。表5に,設問毎(機械システム分野のみ全体平均)に出した得点 の平均を平成18,19,20年度分の結果を示す。各分野のすべての項目において,平成18年 度に対し平成19,20年度の得点がアップしているのが分かる。科目評価に対する分析に ついては,さらに継続的なデータの蓄積を待つ必要があると思われるが,本科目の目標 である,発想力やプレゼンテーション能力,相互理解力の育成に重点をおいた授業の実 践により,それらの学習効果があったものと考えている。 表5 3年生対象事後調査アンケート結果 5 実施上の課題及び今後の方向 本科目で目指している「新たな課題に対して生徒自らが主体的に考える力」の育成は アンケートの結果および3年次の課題研究のテーマ決め等からそれなりに達成しつつあ ると考える。しかし,本科目の導入で授業時間が減ることによる,従来の専門的素養の 知識・技能レベルが低下するのではないか,という懸念はまだ十分に晴れてはいない。 課題研究取り組み中の自主的な学習,研究活動など,これからも,他の授業科目との連 携を図りながら,継続的に検討していく必要があると考える。 本科目の履修を通した生徒の評価については,科目の性格上難しい部分が多く,客観 的な評価法の確立には,今後も継続的な検討が必要と考える。今のところ,上述のよう なデータ処理を行って,評価しているが,先生方の実際に生徒を相手にしての感触など, - 49 - まだまだ,評価方法の検討が必要である。もちろん,今までに得られた評価結果に関し ては,今後も着実にデータの蓄積を進め,時系列での評価もする必要がある。その上で, 最終的に妥当な評価を行わなければならないと考えている。 国際交流に関連した活動に対しては,過去に経験がないので,特に特別なテーマを設 けるのではなく,通常のテーマで実施した。その結果,授業の流れの説明や今時実施し ている内容の説明など,説明しなければならないことがたくさんあった。それらの一部 はホストファミリーの努力で何とか説明実施できたが,そうではないところもある。来 年も科学技術研究入門の中で実施するのならば,外国人TAを導入し,つまずいている点 や指示のわからない点等をアシストしていただくと,今より順調に実施できると考える。 (参考文献) 1. Greenblat,C.S.(1988)Designing games and simulations,Sage Publications,(新井潔,兼田敏之訳『ゲ ーミング・シミュレーション作法』共立出版,1994 年) 2. Wenger, E.(1987) Artificial Intelligence and Tutoring Systems. Morgan KaufmannPublishers. 3. Schank, R.C., Berman, T.R., and Macpherson, K.A.( 1999)Learning by Doing, in Reigeluth, C.M.( ed.) Instructional-Design Theories and Models (Volume II), Mahwah NJ: Lawrence Erlbaum. 4. Duke,R.D,(1974)Gaming;The Future's Language(中村美枝子,市川新訳『ゲーミング・シミュレーシ ョン:未来との対話』,アスキー,2001 年) 5. 坂元昂(1991)『教育工学』,放送大学教育振興会. 6. Dick, W, Carey, L. and Carey, J.O.(2001)The Systematic Design of Instruction (5th ed.). New York: Longman - 50 - Ⅱ 国際性育成研究会の活動報告 1 概要 (1)組織の概要 海外の協定校との連携,東京工業大学(以下,東工大)留学生センターとの連携, 「科学技術研究入門」他研究会における国際交流のための指導方法の開発 (2)目標 情報化により加速的に国際化の進む近年,科学技術・学術活動の国際協力・交流は 急務と言える。こうした現況において異文化,異なる言語の人々と「分かり合い」 「協 力しあい」,共存していく国際的な科学技術系の人材の育成が本校に求められている ことである。本研究会はその基盤となる「異なる文化の人たちに心を開いて,科学技 術を共通言語とし,積極的にコミュニケーションを図ろうとする意欲や能力」の育成 を目指す研究を支援する。 (3)仮説 異文化を持つ人々と交流する時間を設定し,コミュニケーションを図ることは生徒 ・教員の海外への興味を起こさせ,学習・指導への新たな関心を喚起し,さらなる展 開を促す。 (4)SSH4年次国際性育成研究会の目標 ・タイ王国カセサート大学附属高校との交換留学の実施 ・タイ王国との交換留学における,危機管理体制を充実させる。 ・「科学技術研究入門」「成果普及促進」他研究会との連携により,国際交流における 「交換授業」のさらなる展開を検討・実施する。 ・SSH最終年度に向けて,これまでの活動を総括したうえで最終的な評価への準備 を行う。 2 経緯 (1)国際性育成研究会の活動 SSH研究2年次にあたる平成18年度に交流協定を結んだタイ王国カセサート大学 附属高校との交換留学が2年目となる。さらに充実した内容で無事実施するというのが 本年度の主な活動となる。交換留学初年度の平成19年度は,すべて試行錯誤の連続で あったが,2年目となる平成20年度は,派遣する生徒・引率教員の安全を第一に確保 し,国外での不測の事態にも落ち着いて対応できるような体制を整えることが大きな課 題である。 本第2期SSH研究開始年度は,国際性育成研究会委員の関心に比べ,教員全体の意 識が高まってはいなかったが,3年次にタイ国より生徒が来日し,1週間ほど滞在を経 験することで,学校全体の取り組みとしての認識が生まれて来ていると言える。特に交 換2年目となる3年次は科学技術研究入門研究会との連携を深め,タイ生徒受け入れの 際には各分野でそれぞれの課題を提示し,タイ生徒の授業参加を実施した。 生徒・教員を対象とした「英語による講演」も継続的に行い,タイ王国のみならず, 諸外国の人々と接し,直接情報を収集する機会を作ることも重要な活動である。特には, 語学「英語」学習という観点からではなく,様々な分野での情報交換を可能とする場と して設定し,各分野の参加者が情報を取捨選択する機会となることを目標とする。 - 51 - (2)研究4年次の活動 ① タイ王国カセサート大学附属高校に生徒を派遣する。 ② タイ王国カセサート大学附属高校から生徒の派遣を受け入れる。 ③ ブリティッシュ・カウンシルとの継続的協力 ④ 危機管理セミナーへの委員の定期的参加。 ⑤ 3年次に引き続き 「-スポーツを科学する-というテーマ」を設定し,体育科教 員が中心となって肉体的活動の理論と実践までを海外の講演者を招き英語で実施す る。 ⑥ 英語での講演の実施 ⑦ 応用化学分野課題研究での英文によるアブストラクトの作成 3 内容及び実施効果とその評価 (1)タイ王国 カセサート大学附属高等学校への生徒派遣 平成18年度12月に協定を結んだカセサート大学附属高校 ① 平成20年8月10日~14日 ② 派遣生徒選抜の経緯 ⅰ)4月初旬に,カセサート大学附属高等学校との国際交流生徒派遣についてのアナ ウンスを行った。 ⅱ)5月下旬,2,3学年から希望者を募ったところ15名が応募した。 ⅲ)希望者に対し,応募の動機,健康状態(既往症)の有無,ホームステイ受け入れ の可否等を調書として提出させ,各分野教員,担任が評価を点数化して選抜した。 ⅳ)得点順により各分野から2名を選出し,1名を派遣生徒,もう1名は補欠とした。 「英語力」を問わず学習,健康への自己管理が十分にできる生徒を選抜の対象と することとした。派遣生徒は以下のとおりである。 3年A組 男子 材料科学・環境科学・バイオ技術分野 2年B組 女子 情報・コンピュータサイエンス分野 2年C組 女子 システムデザイン・ロボット分野 2年D組 男子 エレクトロニクス・エネルギー・通信分野 2年E組 男子 立体造形・ディジタルデザイン分野 女子2名 男子3名 引率教員:市村校長,森安,井口,山口 ⅴ)渡タイに対する準備(JCSOSへのセミナー参加) a)平成20年6月JCSOS(特定非営利活動法人 海外留学生安全対策協議会) 第21回海外派遣・研修における危機管理セミナーに国際性育成研究会より2名の 委員が参加し,海外での留学生の状況,不測の事態への対応についての研修を受け た。 b)平成20年8月JCSOSに入会した。2ヶ月に1度程度の研修が開催される。 本研究会からは都合のつく教員が2名参加するようにしている。参加教員は職員会 議にてその内容を報告している。 なかでももっとも懸念されるのは昨今の鳥インフルエンザの流行である。 ●セミナーに参加した委員の報告 - 52 - 鳥インフルエンザのうち,鳥が大量に死亡するなど特に病原性の強いものを「高 病原性鳥インフルエンザ」という。近年,海外では人への感染例がみられた。日本 では,人への感染はないが,鶏への感染は確認されている。このウイルスが突然変 異し,人の間で流行するようになったとき,「新型インフルエンザ」と呼ぶ。感染 予防として,サージカルマスクの着用,手洗い,うがいがあげられ,それぞれ正し い方法が提示された。政府は,新型インフルエンザ発生に備え,対処体制,ワクチ ンの備蓄等準備を進めている。WHOがフェーズ4*を発動した際には,航空機等 の乗り入れが制限あるいは停止する。学校は,フェーズ4が発表される前に帰国の 措置を講じることが重要である。予兆は,1.外務省渡航情報(感染症危険情報), 2.厚生労働省注意情報(検疫強化)があげられる。留学先の国で新型インフルエ ンザが発生した際に学生を帰国させたり,日本で発生した場合には留学生を帰国さ せたりする決断を迫られることになるが,人命を第一とし,情報収集に努め早期に 決断することが重要である。情報収集源としては,外務省,厚生労働省,国連WHO 世界保健機構等が挙げられる。新型インフルエンザは,夏時期でも流行の可能性が あるとのこと。本校では,8月,10月が交換留学の時期ではあるが,情報収集は怠 ってはならないと痛感した。また,今後もこのようなセミナーが開催される時には, いずれかの委員が積極的に参加し,情報を入手していく予定である。 *フェーズ4とは,ヒト-ヒト感染が確認され,新型インフルエンザを確認した状態をいう。 c)平成20年7月財団法人全国修学旅行研究協会による海外教育旅行安全対策セ ミナーに2名の委員が参加した。 d)保護者説明会の実施 派遣生徒5名および保護者の出席により,選抜の経緯,SSH国際交流の意義を再 確認したうえで,校医の安宅氏より,心配される疾病・感染症等に関しての説明を 行った。副校長,国際性研究会の委員より治安状況,生活,海外への渡航における 諸注意を行ったうえで,質疑応答を行った。 e)研修会の実施 タイ王国への渡航するため,7月10日,22日,31日,8月1日,8日の5 回にわたり勉強会を実施した。勉強会の主な内容は以下の通りである。 1)カセサート大学附属高校で行うプレゼンテーションの作成 2)タイ王国に関する文化・生活の学習 3)派遣生徒それぞれの分野に応じた研究テーマ検討 タイの言語,習慣,歴史,文化等については個人の興味・関心に応じてさらに学 習することを課題とした。全員に参考文献を貸し出した。また派遣生徒は研修日以 外も自主的に登校し,自己研修に励んだ。 ③ タイ王国滞在 ⅰ)授業参加 カセサート大学附属高校は日本を始めとする多くの国々と長年交流を行ってきて いる。そのため,平成19年度本校との交流初年度のプログラムにさらに改訂を加 え,充実したプログラムを提供してくれた。主にはタイ,日本両校の生徒による自 己紹介のプレゼンテーションを中心とした授業,また英語,タイ古典芸能,タイ料 - 53 - 理(トム・ヤム・クン)の授業に参加した。 ⅱ)出前授業の実施 本校応用化学分野教員により「タイと日本の環境 について考える」授業をタイ生徒(40名),本校生 徒に英語で実施した。両国の高校生にとって関心が 高く共通の話題として相応しいと思われる「環境」 をテーマとし,両校生徒の共存の意識を高め,生徒 写真1「環境」の出前授業1 間のコミュニケーションを活発化することを目的と した。プレゼンテーションソフトを利用したスライ ドをもとに進行し,環境に関する項目を質問する形 式でタイ,本校生徒が共に挙手,もしくは発言によ り意見交換を行う展開で行った。それぞれの国の現 状,対策を認識した後,共に暮らす地球の「環境」 について考えていこうということであった。 写真2 出前授業の様子 ・プレゼンテーション作成の際の留意点 「平成20年度版環境統計集:環境省総合環境政策局/編」のデータを主に引用 し,日本とタイ国の比較ができる項目から導入した。最新の具体的な数値やグラ フ,表を多用した。タイ,日本の高校生がどちらも主体的に参加できるように, クイズ形式で資料を作成した。最後に感想を記述してもらい,レクチャーの評価, 印象を今後の参考と出来るようにした。 ・考察 タイの生徒たちは本校の生徒と同様,もしくはそれ以上に「環境問題」に興味 ・関心を示し,積極的にレクチャーに参加してくれた。「環境問題」は世界共通 のテーマであり,教材としても適切であることが分かった。環境問題に関するキ ーワードを書いてもらうと,日本の高校生と同様なキーワードが集まった。この 点では,日本と大きな差違は見られなかった。しかし,最も顕著な相違点は「ダ イオキシン」や「環境ホルモン」という用語に対してタイの生徒達はほとんど知 らなかったことである。ダイオキシンの化学式に対しても反応が乏しく,日本や 一部の国特有の環境問題だということが分かった。「最も重要な,あるいは興味 のある環境問題は?」という質問には「地球温暖化(global warming)」という予 想通りの答えが返ってきた。日本,タイ両国において約80%の生徒がこのように 答えることが分かった。そこで,レクチャー後半は「温暖化」についてのレクチ ャーとした。しかし,京都議定書の背景やその効果を実際に認識しているタイの 生徒は少なく,環境教育の難しさと大切さを実感した。 ⅲ)校外研修 タイ南部地方塩田,水上運河地域の見学を行った。 「タイ文化パーク」を訪問し, タイ,アジアの歴史上の人物のグラスファイバー製の精巧な人形を見学しながら, タイの政治経済,アジアの歴史のレクチャーを受けた。同園内に移築されているタ イ東西南北それぞれの地域の住居を見学し,地域の風土,習慣が建築に及ぼす影響 についてのレクチャーを受け,観察を行った。また時代の変遷がタイの仏像形式に - 54 - 与える影響につても講習を受け,それぞれの時代の仏像を見学した。 ⅳ)教員の要所への訪問 平成20年度の派遣での国際性育成研究会にとっ ての課題は「危機管理」対策の充実であった。その ためタイ滞在最終日14日は教員が生徒引率,要所 訪問の2グループに分かれ行動した。危機管理グル ープはカセサート附属高校内保健室,カセサート大 学キャンパス内保健管理センター,近隣の総合病院, 写真3 校内の保健室 写真4 保健室の様子 日本領事館の訪問を行い,写真撮影,調査を実施し た。 a)カセサート大学附属高校内 小学校から高校まであるキャンパス内には2つ の保健室がある。従来は一つしかなかったが,キ ャンパス自体が広いため,一室増設した。新しい 方の保健室はベッド数も少なく,本校の保健室程 の広さである。従来からある保健室には,ベッド が3床ずつ置かれた男女別々の部屋があり,かなり広いスペースを有している。 その保健室には看護士が常駐している。月水金の15:30~17:00には医 師が2名時間勤務し,生徒だけではなく教職員も診てもらうことができる。保健 室の使用方法は日本と同じである。ちなみにカセサート高校は,これまでに20 年ほど国際交流を続けてきているが,この間,大病,大怪我をした日本の生徒は 皆無であるとのことだった。 b)カセサート大学内 保健管理センター (Health Center) が設置され ている。高校から近い大学のキャンパス内におお よその疾病に対応してくれる保健管理センターが ある。規模・設備は,東工大の保健管理センター より大きく充実している。日本の医院・診療所な 写真5 保健管理センター みと思われる。生徒,学生はもとより近隣の住民 も診てくれるそうである。生徒・学生は無料,カ セサート大学の教職員は,その場では支払うが後 に返金されるということなので,基本的に関係者 は無料である。カセサート大学には日本語学部が あるため,日本語を話せる人を捜すことはそう難 しいことではない。症状の説明等に不安を感じる 必要はないと言うことだった。 写真6 保健管理センター内 c)私立病院 大学キャンパスより車で5分程度の所に総合病院がある。現在日本語のパンフ レットを作成中であるということであり,多くの国の人が訪れることができるか なり大きな病院であった。 - 55 - 写真7 隣接の私立病院 写真8 私立病院玄関 写真9 私立病院外観 d)日本大使館領事部 こちらは写真を許可していない。地下鉄,BTS(日本の電車)の駅より歩い ていける地の利,治安の良い所にある。パスポートの紛失等の場合の,手続き方 法,書類等,具体的に確認をすることができた。 ④ 今後の課題 ⅰ)参加生徒 平成20年度は3年生1名,他2年生4人という構成だったため,各分野の研究 情報を詳細にプレゼンテーションすることはできなかったが,派遣生徒それぞれが 自己の分野への興味・関心については個性を生かしつつ英語で自己の紹介を行っ た。またそれぞれがホームステイ先で印象に残る歓待を受け,充実した滞在を経験 したという感想を述べている。 ⅱ)派遣時期 今回の実施も平成19年同様8月であった。日本の海外旅行シーズンの始まりに あたり,航空券や教員の宿泊場所を確保するにあたって,もっとも難しい時期であ った。しかし今年度は昨年の経験を踏まえて,保護者生徒への応募の周知,応募, 選抜を早い時期に行ったため,昨年度よりはスムーズに実施することができた。平 成21年度は今年度の経験を踏まえ,さらに順当な手配を行う必要がある。 ⅲ)危機管理 今後も JCSOS を始めとするセミナー等に委員は積極的かつ継続的に参加し,生 徒を派遣,受け入れる際の法略をさらに身につけ,情報を得る必要があることを実 感している。交通,情報手段の発達により,世界が狭くなると同時に,世界の気候 の変化,政治・経済的影響,伝染病の感染等の影響を身近なものとして認識する必 要性を意味している。 ⅳ)成果普及 平成19年度の反省として,派遣した生徒の成果をより広く本校全体の生徒に普 及させることが挙がった。そこで平成20年度は「成果普及委員会」と協力し,そ れぞれの生徒のクラスで報告会を実施した。 (2)タイ王国カセサート大学附属高校生徒受け入れ ① 平成20年10月8日~14日 ② 11年生5名 ③ タイ生徒の授業参加 男子3名 女子2名 - 56 - ⅰ)普通科科目「英語Ⅱ」 「科学技術研究入門」に先立ち,生徒間のコミュニケーションを活発化にする ため,タイ生徒5名,本校生徒38名が英語授業「英語Ⅱ」においてタイ,日本 の両国の文化,国事情の差違について英語で検討を行った。 対象2学年 B組38名,タイカセサート大学附属高校生徒5名 ⅱ)事前指導 本校生徒それぞれが持つタイ王国のイメージ,タイの生徒達と話してみたいテ ーマをアンケート調査した。生徒の提出したそれらのテーマに基づき5グループ に分かれ,司会,書記等役割分担を決め,話し合いの進め方について検討した。 タイの生徒達も自己の希望によりテーマを選択し,それぞれのグループに参加し た。本校生徒が選んだ5つのテーマは:1.タイの若者文化(タイで格好良い男 子の基準とは)2.タイの食生活 3.タイ語を教えてください(日本語を教え てあげます)4.日本に来た動機は何ですか。5.マンガは好きですが(どのよ うな日本のマンガがタイで人気があるのでしょうか) 本校の生徒達へは事前・事後でアンケートを実施した。 ⅲ)指導過程 表1 時間 5分 導入 5分 展開 30分 まとめ 10分 指導内容・指導上の留意点 *活動・指示 *挨拶,本時の目標の説明 *タイの生徒に黒板に名前をタイ 語で書いてもらう。 ●指導上の留意点 ◎評価 ●本授業中は日本人同士も英語で会話をする。 ●タイ語と日本語の違いを提示し,共通の言語 の必要性を認識させる ◎英語の必要性を認識する。 *タイ生徒自己紹介 ●名前等重要な点ははっきりと発音する。 英語で言ってもらい,名前とニッ ◎コミュニケーションは互いの名前を知ること クネームを言ってもらう。 から始める。 *意見交換 ●自己紹介,意見交換へとスムーズに移行でき タイの生徒がそれぞれのグループ るか。 に入る。グループ内自己紹介。テ ◎グループ内での自分の役割を認識し,全体へ ーマについての意見交換を始める。 の貢献ができるか。 *グループの発表者はグループで ●伝えたい内容を充分に表現できているか。 の意見交換のまとめを英語で発表 ◎文法,発音等気を取られすぎずコミュニカテ する。 ィブな態度が取れているか。 *最も意見が交換されたグループ を投票する。 ⅳ)評価: ・SSH研究開発の今後の授業の一環として,「異文化理解」の授業の端緒とす る。 ・コミュニケーションの手段としての英語を認 識し,「英語」の自己の学習責任を認識させ, 科目への取り組みの動機を向上させる。 ・カセサート大学附属の生徒の日本滞在最初の 授業として「英語」の授業に入ることで日本, タイ双方の生徒がうち解けるきっかけを作り 写真10 2年英語授業への参加 やすい。 - 57 - 本校生徒へ実施した「事前」「事後」アンケートの結果と考察 問1 「英語」は好きですか(下表左側) 問2 あなたが英語を勉強する理由は何ですか後(下表右側) 実施前 実施後 1.学校の授業科目としてあるから 1.大好き 0 0 2.好き 10 8 2.受験の時必要だから 3.ふつう 11 12 3.外国へ行きたいから 4.きらい 10 0 4.外国人と話したいから 5.大嫌い 4 3 5.自分の将来に必要だから 実施前 実施後 9 6 8 10 2 5 4 0 12 6 タイとの生徒との授業後の方が,平均が低くなっている,すなわち英語が好きと答える生 徒が増える傾向にあった。この授業をきっかけに英語が好きになった生徒が増えたと言え る。また問2で1.学校の授業科目だからという自分の意志とは無関係な選択肢を選ぶ生 徒が減ってはいるが,事前アンケートで複数の選択肢を選んだ生徒が多かったため,2と 3が増え,4は逆に減少している。 問3 日常で英語力を向上させるために何かしていますか(下表左側) 問4 世界の情勢に興味を持っていますか(下表右側) 1.外国のニュースをTV・インターネットで見る 2.英字新聞を読んでいる 3.外国の音楽を聴く 4.外国の映画を見る 5.英語で小説を読む 6.特に何もしていない 無回答 実施前 実施後 2 1 1.とてもある 0 0 2.ある 4 8 3.ふつう 5 6 4.あまりない 1 0 5.ほとんどない 22 18 1 実施前 実施後 8 12 11 7 6 10 7 0 2 0 4・5の「興味がない」と答えた生徒が減少し,かわりに1,3の「とてもある」 「普通」 と答えた生徒が増加していた。 問5 英語が使えるとどんなことが可能になると思いますか。(下表左側) 問6 あなたが特に興味を持っている国はありますか。(下表右側) 実施前 実施後 実施前 実施後 1.海外旅行 5 7 1.中国 4 5 2.世界の情報を入手出来る 13 11 2.韓国 1 1 3.外国人の友達が作れる 6 4 3.アメリカ 10 9 4.留学が出来る 1 1 4.イギリス 7 1 5.将来海外で仕事ができる 10 9 5.特にない 7 7 無回答 1 6.その他 5 7 無回答 1 3 問6の6.その他の内訳 実施前 イタリア 日本 フランス アイルランド スペイン イスラエル ウズベキスタン イラン スウェーデン フィンランド 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 実施後 イタリア ウズベキスタン メキシコ ノルウェー 南米、中南米 ドバイ スウェーデン フィンランド ニュージーランド オーストリア 5 1 1 1 1 1 1 1 1 1 注)1人で複数回答あり - 58 - 問7 あなたはタイ王国にどんなイメージを持っていますか。下線部に記入してください。 タイは 国だと思う。 実施前 仏教 暑い 食事が辛い 良い 米 イメージが湧かない 象がたくさんいる 料理が安くておいしい アジアの 日本に比べ物価が安い よく分からない 楽しい 国王をとても尊敬している 交流があまりない 頭がいい カレーを食べてる 果物がおいしい 辛い これから急速に発展する 親切な人が多い 王 大 異 きれいな 色々とスローな 自然豊かな 治安が不安定な 不思議な 3 3 2 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 実施後 日本に似た タイ語(の発音)がむずかしい 仏教 楽しそうな 寺がたくさんある 英語が得意な 日本に詳しい おしゃべり好きな 活気のありそうな 良い 遠くない 日本に友好的な きれいな女性が多い 美しい よくわからない 明るい 親切な人の多い これから発展する 王国 6 3 3 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 事前に比べて,事後はより具体的に記述し,また複数の生徒が「日本と似ている」等同じ 回答している点は意見交換の結果を反映している。本問において事前と事後の差がもっと も顕著な差が見られる。 問 問 問 発言 1.とてもあった 発言する機会はありましたか。 2.あった コミュニケーションはできましたか。 3.あまりない 4.ほとんどない 11 16 3 3 コミュニケーション 1.とてもうまくできた 2.うまくできた 3.あまりできなかった 4.ほとんどできなかった 今回の意見交換を通して,もっとも印象に残ったことは何ですか。 日本とあまり変わらないこと タイの人は英語がうまい 自分の英語力では伝えられないことがたくさんあった、英語力不足 発音をしっかりしないと通じなかった 自分ががんばって伝えようと努力すれば、相手も聞く努力をしてくれるので案外通じるものだ 英語が通じた 皆いい子だ タイに行ってみたいと思った 寺が多いこと サッカーが人気であること タイの生徒が日本語を勉強していて、少し日本語が話せたこと 日本語の「~ね」「~よ」のような語尾チェンジがタイにもあることがわかった 発言できなくて恥ずかしいと思った タイではサッカーが一番人気のあるスポーツであること タイの学生の間では、CONVERSEが流行っているらしいこと 緊張していてもお互いにフレンドリーだったと思う タイ語を少し教えてもらえたこと 国によっての英語の発音の違い - 59 - 5 4 3 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 11 18 3 ④ 今後の課題 ⅰ)受け入れの環境 平成19年度は初めて交換留学で準備不足のため,生徒の家庭でのホームステ イを実施することができなかった。平成20年度は,派遣生徒を募る際にタイの 生徒が訪日している間,自宅への受け入れを条件とした。そのため各家庭での負 担は増えたが,生徒達はより身近にタイの生徒達を感じることができたようだ。 ホームステイ最終日は受け入れた生徒だけではなく,同じクラスの生徒達も一緒 に校外研修に出かけた生徒もいたと報告されている。平成21年度も同様な手続 きで実施する予定である。 ⅱ)タイ生徒の授業参加と交流 平成19年度は主には文化祭の後夜祭にタイ生徒が参加し,本校生徒との交流 をはかった。しかしながら,本校生徒の人数が多く,意見交換が展開されにくか った。そこで平成20年度はまず「英語Ⅱ」において同学年の生徒と一クラス単 位で意見を交換し,交流を行った後,「科学技術研究入門」の各分野へ一名ずつ 参加し,科学技術についての研修を行った。しかしタイ生徒,本校生徒共にまだ 積極性に欠けるところがあり,活発な意見交換とは成り得なかったようである。 英語を使用しての会話という点もあるが,共通の興味・関心での共感は得られな かったようであった。平成21年度も「英語」等の授業での交流を行ったうえで 科学技術の授業での意見交換が望ましいと考える。また「科学技術研究入門」と 東工大留学生センターとの連携により東工大留学生をTAとして活用することも 検討する必要がある。 (3)第19回英国科学実験講座クリスマスレクチャー2008「からだの神秘」 8月6日(木),7日(金)於文京シビック大ホール 開場10分前には席の確保が難しいほどの盛況であった。本校市村 校長とBC(British Council)とのパートナーシップにより,多く の聴講券を手配していただき,両日とも約30名の生徒と教職員が 参加した。なお本レクチャーはラジオのFM波で英語のまま聴講も可 能である。本年度はユニバーシティ・カレッジ・ロンドン準教授ヒ ュー・モンゴメリー博士(Dr. Hugh Montgomery)による「からだ神 秘」であった。本校生徒のステージボランティア本年度はなかった。 図1 8/6(水)・Lecture 1 パンフレット 「最大の能力(Peak Performance)」 http://sc-smn.jst.go.jp/8/bangumi.asp?i_series_code=B087003&i_renban_code=019 ・Lecture 2 「もし極限状態になったら(Completely Stuffed)」 http://sc-smn.jst.go.jp/8/bangumi.asp?i_series_code=B087003&i_renban_code=020 8/7(木)・Lecture 3 「灼熱と酷寒の中で(Grilled and Chilled)」 http://sc-smn.jst.go.jp/8/bangumi.asp?i_series_code=B087003&i_renban_code=02 ・Lecture 4 「からだが恐怖を感じたとき(Fight, Flight and Fright)」 http://sc-smn.jst.go.jp/8/bangumi.asp?i_series_code=B087003&i_renban_code=02 *各レクチャーは,「サイエンスチャンネル」の示されたアドレスで視聴することができる。 - 60 - クリスマスレクチャーは,常に科学の世界をいろいろな切り口から提示し。ワクワクド キドキを子供達に提供してくれる。参加した生徒達は,得難い経験をした。クリスマスレ クチャーは,生徒だけでなく教師にとっても,プレゼンテーション技術のよい教材である。 昨年のクリスマスに行われた"The Royal Institution Christmas Lecture 2008"の情報: "Hi-tech Trek" / Professor Christopher Bishop 「コンピュータの科学(仮題)」 A digital revolution is upon us. From laptops to mobile phones; washing machines to credit cards, computers are everywhere, even if sometimes they seem invisible. In the 2008 Christmas lectures, Professor Chris Bishop explores the science behind the latest innovations in computing and hunts for the answers to questions such as: Why do computers get smaller to run faster? How does a search engine find your favourite website in seconds from 60 billion pages? and How can I prove that I’m not a robot?! So, what are you waiting for? Join Chris now on his quest to find the ultimate computer. You can explore key lecture themes, then really get under the surface of each topic by following the links to our fantastic science-packed activities. ・Lecture 1: Breaking the speed limit ・Lecture 2: Chips with everything ・Lecture 3: Ghost in the machine ・Lecture 4: Untangling the web ・Lecture 5: Digital intelligence http://www.rigb.org/christmaslectures08/index.htmより (4)「課題研究」での英文アブストラクト(要旨)の作成(応用化学分野) ① 目的 昨年と同様に,「課題研究」の内容を400字前後の日本語と250word前後の英語にま とめ,要旨を作成させた。その目的は,以下の通りである。 ⅰ)自己の研究を簡潔な文にまとめ,論理的な文章を書く力を養うと共に,その内容 を他に発信する。 ・・・「わかりあう」 ⅱ)ⅰ)でまとめた内容を英訳することにより科学技術英語を習得し,その内容をタ イとの国際交流などに活用するとともに,国際語である「英語」の必要性を認識 する。 ② ・・・「国際化」 授業計画および授業内容 ⅰ)授業計画 英文アブストラクト作成に向けて,「課題研究」発表会終了後の授業計画を表2 のように立てた。1クラス40名の生徒は,課題研究のテーマに沿って,2班に分 けて行った。なお,1回の授業時間は,木曜日1~4時限の4時間である。 表2 月 日 1 10/ 2 9 16 30 11/ 6 13 20 27 英文アブストラクト作成授業計画2008 内 容 2 3 4 実験室の片付け 文化祭ポスター準備 ガイダンス アブストラクトを書くための 日本語アブストラク (森安) 基本的なポイント(大島・森安) ト作成 実 験 1 英語論文を書くために(大島・森安) 英文アブストラクト作成・提出(豊前・成田・鈴木・森安) 実 験 2 鈴・森班:アブスト返却1・訂正・提出 豊・成班:報告書作成 実 験 3 豊・成班:アブスト返却1・訂正・提出 鈴・森班:報告書作成 アブストラクト返却2 実 験 4 報 告 書 作 成 ・ 提 出 - 61 - * 実験1~4ローテーションおよびアブストラクト作成班分け ① 実験1~4ローテーション 出席番号 1~10 :1→2→3→4 出席番号11~20:2→3→4→1 出席番号21~30 :3→4→1→2 出席番号31~40:4→1→2→3 実験1(豊前):頬裏の細胞からのDNA抽出 実験2(成田):Dumasの蒸気密度法による分子量決定 実験3(鈴木):ショ糖の転化速度・液体の屈折率の測定 実験4(森安):メチルオレンジの合成 ② アブストラクト作成班分け 鈴木班(10)+森安班(9)=19名 豊前班(12)+成田班(9)=21名 ⅱ)昨年度との改良点 日本語のアブストラクト(要旨・要約* * Résumé=abstract=summary)は,400字 詰め原稿用紙を使用し,課題研究の指導教諭がそれぞれ担当・指導して作成した。 英語のアブストラクトは,昨年同様(株)ジャンプトゥスペース(〒305-0014茨城 県つくば市松栄983番地4)の大島佳世さんにお願いした。昨年度のアンケートを参 考に,今年度は以下の点を改善して指導した。 a)英語論文の構成と要旨の位置づけをアブストラクト作成前に講義 昨年度は化学論文やアブストラクトの構成・要素や位置づけを十分に理解しな いまま作成に入った。このため,アブストラクトに必要な要素が十分でないもの があった。今年度は,その点が改良されたと考えられる(図2)。また,「先端化 学技術入門」で学習した化学英語やそのとき使用した教材の活用についても注意 を行ったため,それらの経験が活用できたと考えられる(図3)。 b)各自で自分のアブストラクトを作成 昨年度は各自で作成したアブストラクトを班毎に1本にまとめて作成させた が,今年度は各個人毎に1本作成させた。このため,英文のアブストラクト作成 は,難しいと感じたようである(図5)。しかし,日本文では昨年度より難しかっ たと答える生徒が減少しており,これは事前に化学論文やアブストラクトについ ての講義をした効果ではないかと考えられる(図4)。 c)2度添削指導 面接形式での添削済アブストラクト返却は,今年も生徒側からいろいろな質問 があり,大変効果的であった。また,それぞれの研究の指導教諭が同席すること により,生徒・添削者双方に専門的なサポート及びアドバイスをすることができ, この方法も大変有効であった。さらに,要旨返却に同席した教員自身の学習にも 大いに役立ったことを付け加えておく。今年度は返却された英文アブストラクト を1,2日のうちに再校正させて提出させたが,これも効果的であったと思う。 ⅲ)まとめ アンケートの記述を読んでみると,日本語での要約は400字程度に必要な内容を 入れて自分の研究をまとめるのが難しいという意見が多かった。また,英文要約で は,専門用語の語彙や使い方,日本文のをそのまま英語に訳すとおかしくなるので, 直訳にならない英文作成に苦労したようである。この経験を楽しいと感じたり,今 後も是非やっていって欲しいといった前向きな意見も多く見られた。さらに,今回 の経験は今後大変役に立ち,英語の必要性を実感した生徒が非常に多かった(図6, 7)。ただ,受験の大切な時期と重なるため,受験勉強との両立がつらいと感じた 生徒もいた。 - 62 - * 青ブロック2007年度,赤ブロック2008年度 要約の三要素、目的・方法・結果と 考察を意識して書きましたか 「先端科学技術入門」などの授業で 専門英語を読んだ経験が 全然役立たな かった あまり役立たな かった どちらともいえない 役立った 非常に役立った 全然意識しなかった 意識しなかった どちらともいえない 意識した 非常に意識した 0 20 40 60 0 20 アンケート結果:要約の三要素 図3 アンケート結果:他科目との関連 研究内容を日本語で要約することは 研究 内容を英語で要約することは 非常に難しかった 非常に難しかった 難しかった 難しかった どちらともいえない どちら ともいえない 易しかった 易しかった 非常に易しかった 非常に易しかった 0 20 40 0 60 20 40 60 [%] [%] 図4 60 [%] [%] 図2 40 アンケート結果:要約の難易(日本語) 図5 アンケート結果:要約の難易(英語) 研究内容を英語で要約する経験は、 今後の自分にとって 今後、「英語力」は自分に 必要だと思いますか 全く必要 でない 全然 役立たない あまり役立たない どちらともいえない 役 立つ 非常に役立つ あまり必 要でない どちらともいえない 必 要である 非 常に必要である 0 20 40 60 0 20 40 60 80 [%] [%] 図6 アンケート結果:今後の自分にとって 図7 アンケート結果:英語力は必要? 来年度に向けての反省として, d)時間的な制約と,生徒の負担の軽減を考えた授業計画を立てること。 e)同時に行っている実験項目の精選。 f)他の分野への普及。 g)英語科・国語科の教員との連携 などについて検討・考慮し,「国際化」に向けてより有効な教育となるよう検討し - 63 - ていく必要がある。 (5)東京工業大学外国人研究者による「英語で聞く講演会」 ① 方法 実施日:平成21年2月4日(水)15:40~17:00 対象:全学年希望者,教職員希望者,保護者 (58名) 場所:本館212教室 講師:Chris Salim氏 ② 東京工業大学大学院理工学研究科国際開発工学専攻 助教 内容 "How to Preserve Our Water Environment? - Water Treatment Method -" とい うタイトルで,環境分野における水資源・水処理について英語による講演が行われた。 地球上の水の循環から,現在の水処理方法,そしてChris Salim氏が現在取り組んで いる研究にいたるまで写真や図を利用してわかりやすい講演であった。事後アンケー トを実施した。 ③ 考察 今回の講演会の内容に興味を持って参加した者が 多く,また参加者の印象に残っているものの多くは 講演会の内容についてであったことからも,参加者 の興味・関心の高さを見て取ることができる。英語 については聞き取るのに困難を示した者が多くいた 一方で,内容について理解を示した者が多かった。 写真11 Chris Salim氏の講演風景 このことから,参加者は英語だけでは聞き取れなか った部分を,自分が持っている背景知識やChris Salim氏の写真や図による説明など で補いながら,講演の内容を理解していったと思われる。またその際参加者の興味・ 関心の高さが講演内容を理解しようとするモチベーションを強く支えていたと考えら れる。 国際的な科学者に必要なものを答える項目では,興味・関心・意欲など,科学者と して何かに「いどむ」ために必要な精神を挙げている者が多い中で,英語・語学力・ コミュニケーション力を挙げている者も多かった。講演を理解するために「英語」の 壁にぶつかり,質問しようとして,再び「英語」の壁にぶつかる。今回の講演会を通 して,英語で「わかりあう」ことの難しさを実感したことにより,生徒は新たなる課 題を見つけるきっかけになったと思われる。今回の講演会で受けたよい刺激が日々の 学習に波及することを願っている。 (6)スポーツを科学する実践編No.2「トレーニングセミナー2008」 2007年「-スポーツを科学する-」講演Ⅱ:実践編「海外講師招聘セミナー20 07」の継続として, 「トレーニングセミナー2008」を平成21年1月12日(月) 本校体育館及び大講義室にておこなった。昨年同様国際的にスポーツのパフォーマンス を向上させるための取り組みとして「科学者とスポーツ現場指導者の連携」を普及推進 しているThe National Strength and Conditioning Association(NSCA)Japanが主催と - 64 - なり開催した。本年度はストレングス&コンディショニング(S&C)の具体的な方法に 関しての理論と実践が行われた。国際性育成研究会の活 動の一環として,同セミナーには本校生徒及び教員が参 加した。 ① 講演概要 *1 プライオメトリックエクササイズ の理論と実践 図子浩二 PhD (鹿屋体育大学教授) 競技スポーツのためのスピード&アジリティエクササ 写真12 イズの実践 吉田直人 (CSCS, NSCA-CPT ウイダー・トレーニングラボ) *1プライオメトリックエクササイズとは,筋は伸張後に短縮すると,大きな張力を効率よく発揮する(Stretch -shortening cycle movement)事を活用したトレーニング方法である。 写真13 ② 本校参加者 講演会の様子 生徒 20名 写真14 教員 エクササイズの実践 3名 参加生徒コメント A君:スポーツトレーニングを科学的見地から捉えると,普段と視点が異なり,より 深くトレーニングを理解することができた。 B君:スポーツトレーニングで,パフォーマンスを上げるためには,「PLAN」→ 「DO」→「CHECK」が大切である事を再認識した。 C君:フォースプレートで,自分のジャンプ時の地面反力が客観的に見られて,かな り新鮮だった。 D君:物理で教わった,運動方程式 F = m a。スポーツは根性論というが,自然の法 則をしっかり理解し,「真の理にかなったトレーニング」を進めないと効果が ないことが分かった。 ③ 考察 平成19年度は海外からトレーナーを招聘したため,体育館での実践の際,一つの ドリルの英語での説明の後,通訳の方の日本語が入り,身体が冷えてしまうという欠 点があった。しかしながら本年度は日本語による説明だったため,スムーズに展開さ れ,参加者は科学的に分析されたトレーニングを爽快な汗をかきながら経験した。ま - 65 - た講義では国際的に認知されているトレーニング方法が,如何なる理論の裏付けで実 施されているかを,客観的データ及び実験・実技で知る良き機会になり,教員・生徒 達は,改めてスポーツは科学である事の認識を強く持ったようであった。さらに,競 技パフォーマンス向上には,学業への取り組み同様のプロセスがあることも再認識し たようであった。 4 実施上の課題および今後の方向 平成17年度から始まった本SSH研究活動において, 「国際性育成研究会」は交流国, 高校の選定から着手した。タイカセサート大学附属高校と協定を結び,平成19,20年 度に交換授業を実施した。平成21年度最終年度は3回目の交流を実施することになる。 交流の実施に際しては各委員の多大な協力,配慮により無事執り行われてきている。今年 度の大きな進展は4月当初に保護者への説明を行い,派遣,受け入れについての理解・協 力を呼びかけたことである。その結果タイの生徒達の本校生徒家庭でのホームステイが実 現した。カセサート大学附属高校との協定締結後,本校生徒の派遣,タイ生徒の受け入れ, 実際にはすべて試行錯誤の連続であったが,各委員の創意・工夫により無事実施されてき ている。また何よりもカセサート大学附属高校が交流のベテランであったことが幸いし, すべてリードしてもらう形で交流を進めてきた。国際性育成研究会委員は常に一丸となり, 生徒の安全を確保し,交流の場を確保してきた。双方の生徒,教員の健康と無事の確保を 目指すことにより,各委員が世界の出来事に留意し,世界の情勢,変化をより身近なもの として捉えることにより,教員の国際性は非常に高まってきているといえる。しかしなが ら各委員が交流のスムーズな実施,生徒の安全な滞在,往来を果たすため,受け入れ終了 後,タイ生徒の無事な帰国を確認すると安堵し,その後の活動については,やや余裕のな い状態となっていたことは否めない。そのため,本研究会が当初計画した国際交流以外の 活動を充分に実施できたとは言い難い面もある。そこで最終年度となる平成21年度の活 動においては国際交流の定着と方略を確立したうえで,委員のそれぞれの担当,役割を再 確認し,実施計画を再検討したうで,各活動の完成形を目指すことが課題となる。 - 66 - Ⅲ さきがけ教育研究会の活動報告 1 概要 本研究開発で新たに育成しようとしている2つの力のうち,未知な課題へ「いどむ力」 -“未知な課題への挑戦力”-については,「課題研究」などでも育成される機会があ るが,さらにその育成を強化するために,高大接続を活かして発展的内容を取り入れた 「さきがけ教育」の内容を開発する。この「さきがけ教育」では,生徒の「いどむ」意 欲を喚起するために高大接続を意識した発展的な内容を取り入れ,高校の学習と大学の 学習をなめらかに接続するための内容や,大学教員が高校において「ここまでは学習さ せて欲しい」と考えている内容などを教育する。 具体的には,「数学さきがけ」及び「物理さきがけ」を,第2・第3学年における数 学,及び,第3学年における物理の中に,互いに独立に*1,選択的に導入し,発展的内 容の学習をも希望する生徒に対して適切と考えられる教育内容を開発する。また,AO 入試などで早期に大学進学が決まった生徒に,学部学習につなげる学習をさせるために, 数学・物理・化学などで,第3学年3学期における教育内容についても検討する。 これらを,研究開発期間である平成17年度から平成21年度までの5年間において 計画的に順次実現していく。 *1 「数学さきがけ」と「物理さきがけ」の選択はそれぞれ任意であり,生徒は自らの希望によって,両方選択することも,片方だ け選択することも,両方とも選択しないこともできるものとし,選択しない場合は,従来の数学や物理を学習するものとする。 2 経緯 本校では,数学と科学技術的事象・理論を有機的に結びつけるべく,高校教育の早い 段階に学習させる第1学年用科目「数理基礎」*2を平成7年度からの研究開発において 開発し,高校における理科・科学技術の学習の展開に貢献するよう努めてきた。また, 先の平成14年度からのSSH研究開発では,さらに応用的な内容まで範囲を広げた第 2・第3学年用教材「数理応用」*3を副読本として開発し,発展的な学習の機会を与え てきた。一方,理科と科学技術的事象・理論を有機的に結びつけるべく,実験・実習や 作業を通じて学習させる第1学年用科目「科学技術基礎」*2を平成7年度からの研究開 発において開発し,先のSSH研究開発でも理科教員(公民科教員も含む)が工業科教 員と連携して第2学年用科目「科学技術」*3を開発し,それぞれ教育実践を積み重ねて きた。 さらに,平成16年度には,AO入試・推薦入試などで早期に大学進学が決まった3 年生に対して,大学に入学した直後の学習における,高校までの知識や理解との段差の 軽減をはかるために,「3学期補習」を試行的に実施した。 今回はこれらの経験を基に,教育内容の精選,教育方法の改善,受講機会の拡充など, 発展的な形での実施を検討するため,「さきがけ教育」を設定した。 *2 平成7年度~平成9年度に文部省より指定を受けて行った研究開発で,第1学年用科目として「数理基礎」及び「科学技術基礎」 を開発した。「数理基礎」では,中学と高校並びに高校の数学,理科,工業の架け橋の役目をする科目として,中学校までには取 り扱われていないが高校の第1・第2学年の理科及び工業教科で使用される数式を理解し,抵抗無く取り扱えるようにするため の基礎的な数学的内容を学習する。さらに,理科や工業の事象を数理的に理解し,処理する能力を育成する。内容は,「式の計 算,指数の計算,有効数字,ギリシャ文字と単位,三角比,ベクトル,常用対数の計算,三角関数,式とグラフ」である。「科 学技術基礎」では,科学技術の法則・事項に関わる基本的な実験を行い,理論を確かめながら体験的に指導し,環境に配慮しつ つ,科学技術についての生徒の興味・関心を高めると共に,基礎学力と実験の方法を習得させる。内容は,「力学分野,電気分 野,化学分野,製図分野」である。 - 67 - *3 平成14年度~平成16年度に文部科学省より指定を受けて行ったSSH研究開発で,第2・第3学年用副読本として「数理応 用」を,第2学年用科目として「科学技術」を開発した。「数理応用」は,「数理基礎」と一体のものとして捉え,さらに応用的 な内容まで範囲を拡げて「数理基礎」から飛躍無しにつながるようなものを構築し,数学,理科,工業とのより強い連携をはか りながら数理重点化を総合的に実現することを目指すものである。内容は,「微分入門,積分入門,ベクトルの利用,いろいろ な関数とその性質,数列と行列,複素数入門,いろいろな関数の微分,いろいろな関数の積分,微分方程式入門,多変数関数と 微分,ベクトル解析入門,複素解析入門」である。「科学技術」では,第1学年で学習した「科学技術基礎」を踏まえ,科学技 術の各専門分野における技術を実験・実習を通して総合的に習得させ,工業の意義や役割を理解させながら,科学技術の発展に 主体的に対応できる能力と態度を育てる。内容は, 「各専門分野における科学技術,各専門分野に関係する環境と倫理」である。 3 内容 (1)仮説 「2 経緯」で述べたように,本校第1学年における「数理基礎」や「科学技術基 礎」の学習が,中学までの数学・理科と本校における理科・科学技術との段差を軽減 し,高校におけるそれらの学習に大いに貢献してきた実績がある。また, 「数理基礎」 や「数理応用」,「科学技術基礎」や「科学技術」の学習によって,数学や理科と科学 技術的事象・理論を有機的に結びつけ,学習の深化が大いにはかられてきた。これと 同様に,「さきがけ教育」,すなわち,高校における通常の教科学習で学ぶことの一歩 先の概念を題材として取り入れ,数学や理科と科学技術的事象・理論をより一層強く 有機的に結びつけた学習をすることは,既習事項を深化し,学習意欲を高揚させ,学 習目標の指針を与えることができるものと期待される。「さきがけ教育」を高校段階 で経験し理解することは,生徒個人の将来の理工系学習の発展に寄与し,未知な課題 への挑戦力を備えた科学技術者の輩出に貢献することができるであろう。さらに,こ の「さきがけ教育」を数学・理科・科学技術分野で有機的に検討することで,さらな る展開が望めると考える。 そこで,本研究開発全体として掲げた「高大接続を活かして発展的内容を取り入れ た科学技術教育を行うことによって,未知な課題への挑戦力,国内外とのコミュニケ ーション力が育成される」という仮説に鑑み,本研究では,「さきがけ教育」の導入 という視点から,具体的に, ① 高大接続を意識した発展的な内容を取り入れることによって, 未知な課題へ「いどむ」関心・意欲が喚起される。 ② 高大接続を意識した発展的な内容を取り入れることによって, 通常の教科学習で扱う内容に対する知識・理解が深まる。 ③ 高校の学習と大学の学習の接続をなめらかにすることによって, 大学の学習に対する予備的な技能・表現が向上する。 という3つの仮説を掲げた。これら3つの仮説について,生徒への意識調査,理工系 大学に進学した卒業生への調査・追跡,教員から見た授業観察・生徒の作品・学力調 査などで評価を行いながら,少しずつでも地道に検証していきたいと考える。 研究開発第4年次である本年度(平成20年度)の具体的な評価方法としては,2 年生と3年生の受講生に意識調査を実施し,実施方法や教材内容の検討・改善を行う。 講義を担当した教員にもアンケートをとり,異なる観点からも検討・改善を行う。ま た,本校卒業生のうち「さきがけ教育」を受講した生徒を中心に,大学1年・4年の - 68 - 段階でアンケートを行い,「さきがけ教育」の影響を追跡すると共に,実施方法や科 目の内容などにも細かく検討・改善を加えていく。さらに,本校教育実習生に対して も本校卒業生と同様なアンケートを行う。 (2)実施内容 前述の仮説を実践的に検証するために,「さきがけ教育」を,第2・第3学年の学 習過程において行う「数学さきがけ」,第3学年の学習過程において行う「物理さき がけ」と,本校での通常の学習が一通り終了した後に行う「3年3学期さきがけ」 (以 降,略して「3学期さきがけ」と書く。)に分類し,実施することとした。 「数学さきがけ」では,前回のSSH研究開発で副読本として作成し,これまで課 外活動的に指導実践を試行していた「数理応用」の内容改善や授業としての指導方法 の開発を行いながら,第2学年における必修の数学Ⅱの授業の一部,及び,第3学年 における類型選択の数学Ⅲの授業の一部を利用して,希望者を募って授業実践を実施 する。希望しない生徒には,通常の授業を実施する。 「物理さきがけ」では,教材プリントなどを新たに開発し,第3学年における類型 選択の物理Ⅱの授業の一部を利用して,希望者を募って実施する。 「3学期さきがけ」では,推薦入試やAO入試などで,一般入試よりも早期に大学 進学が決まった生徒に対して実施する。これは,平成16年度に実施した「3学期補 習」を基に数学・物理・化学などの授業を設定し,実施方法の改善,指導内容の改善, 教育方法・教材の改善などを検討する。 今年度は,第2学年及び第3学年の「数学さきがけ」と第3学年の「3学期さきが け」についての授業実践,各種アンケート調査の実施,「物理さきがけ」についての 教育内容・方法の検討と授業の試行,さらに,アンケート調査による教育実習生・本 校卒業生への調査・追跡を行った。以下に,それぞれにおける今年度の活動報告を行 う。なお,研究会の運営は,表1のように「全体」, 「数学さきがけ」, 「物理さきがけ」, 「3学期さきがけ」の4つの作業グループに,工業(科学・技術科)6名,数学4名, 理科6名,地理歴史・公民1名の計17名を配置した。それぞれのグループには, 「ま とめ役」,「授業・教材」,「調査・追跡」の各係を設けて,全員で取り組んだ。 表1 平成20年度 まとめ役 さきがけ教育研究会の役割分担 全 体 工業(幹事) 数学(副幹事) 授業・教材係 調査・追跡係 ① 工業(2名) 理科(4名) 地歴公民(1名) 数学さきがけ 数学(1名) 物理さきがけ 理科(1名) 3学期さきがけ 工業(2名) 数学(1名) 工業(2名) 理科(2名) 数学(1名) 理科(1名) 工業(2名) 数学(1名) 理科(2名) 工業(3名) 第2学年の「数学さきがけ」 研究第4年次における第2学年の「数学さきがけ」では,研究第1・第2・第3年 次に行った実践形態をベースに,すべての学期において,「数学教員と専門分野教員 - 69 - との連携授業」の形態で実施した。なお,実施報告書作成締切の日程の関係で研究第 3年次の実施報告書に掲載できなかった,研究第3年次の3学期の実践内容も併せて 報告する。 研究第4年次における実践の時間枠については,研究第1・第2・第3年次とほぼ 同様に,必修の数学Ⅱの授業の一部を利用して,1学期に2時間×2回,2学期に2 時間×3回を設定した。さらに,3学期にも2時間×4回を設定する予定である。各 学期とも,実施の1ヶ月ほど前に,「数学さきがけ」実施に関する説明を行い,「数学 さきがけ」または,「数学ⅡB演習」(現在履修中の数学Ⅱ・数学Bの復習・定着を目 標として設定)のいずれかを選択する形(3学期は「数学さきがけ」のみで実施)で 希望調査を実施し,生徒の希望で選択させた。希望調査の結果は以下の通りである。 表2【研究第3年次の第2学年3学期希望調査結果】(昨年度の2年生) クラス 数学さきがけ 表3 A B 13 C 7 D 5 E 3 合 計 6 34 研究第4年次の第2学年1学期希望調査結果】(今年度の2年生) クラス 数学さきがけ 数学ⅡB演習 合 計 A B 22 18 40 C 32 6 38 D 21 19 40 E 29 11 40 合 14 19 33 計 118 73 191 表4【研究第4年次の第2学年2学期希望調査結果】(今年度の2年生) クラス 数学さきがけ 数学ⅡB演習 合 計 A B 15 25 40 C 33 4 37 D 21 19 40 E 27 13 40 合 11 21 32 計 107 82 189 (ア)研究第3年次の第2学年3学期の「数学さきがけ」(昨年度の2年生) 研究第1・第2年次の3学期と同様に,2時間×4回のうち,前半の6時間で数 学科教員が「ベクトルの外積」の導入,「モーメントとトルク」,「重心と図心」の 数学的原理の解説を行い,後半の2時間で建築デザイン分野の教員が「重心と図心」 の実例に則した応用の講義を行った。 (ⅰ)「ベクトルの外積」の導入と「モーメントとトルク」,「重心と図心」の 数学的原理の解説(前半の6時間分) 研究第1年次と同様に行った。(参照:研究第2年次実施報告書P.80) (ⅱ)「重心と図心」の実例に則した応用の講義(後半の2時間分) 研究第1年次と同様に行った。(参照:研究第2年次実施報告書P.81) (イ)研究第4年次の第2学年1学期の「数学さきがけ」(今年度の2年生) 研究第1・第2・第3年次の1学期と同様に,2時間×2回のうち,前半の2時 間で数学科教員が「最小2乗法」の数学的原理を解説し,後半の2時間で5つの専 門分野の各教員が「最小2乗法」のパソコンを利用した各分野の応用演習を指導し た。研究第3年次には教育システムの一般化を目指し,前半について研究第2年次 までと異なる数学科教員が授業を担当して実践を行うことが実現したので,研究第 4年次では,再び,研究第2年次までの数学科教員が担当する形に戻し,授業内容 の充実を目指した。後半のパソコンを利用した応用演習は,パソコンの台数を考え, - 70 - 4展開とした。 (ⅰ)「最小2乗法」の数学的原理の解説(前半の2時間分) 研究第1年次と同様に行った。(参照:研究第1年次実施報告書P.69) (ⅱ)「最小2乗法」のパソコンを利用した応用演習(後半の2時間分) 研究第1年次と同様に行った。(参照:研究第1年次実施報告書P.69) (ウ)研究第4年次の第2学年2学期の「数学さきがけ」(今年度の2年生) 研究第2・第3年次の2学期と同様に,2時間×3回の全6時間のうち,はじ めの5時間を数学科教員が担当し,数学Ⅱで既習である三角関数の加法定理およ び複素数の発展として「複素数平面」の導入と「交流回路」への数学的活用につ いて,副読本「数学さきがけ(試作版2008)」を用いて講義・演習形式で行い, 最後の1時間を電気電子分野の教員が担当し,「三相交流」について,プレゼン テーションソフトを活用しながらプリントを用いての講義を行った。また,教育 システムの一般化を目指し,研究第3年 次は前半のうち4時間分について研究第 2年次までと異なる数学科教員が授業を 担当して実践を行うことが実現したので, 研究第4年次では,再び,研究第2年次 までの数学科教員が担当する形に戻し, 授業内容の充実を目指した。さらに,一 般化を広げるため,後半1時間分を,研 教育システムの一般化を目指し,研究第3年 究第3年次と異なる電気電子分野教員が 次と異なる電気電子分野教員が授業を担当 授業を担当した。 (ⅰ)「複素数平面」の導入と「交流回路」への数学的活用(はじめの5時間分) 研究第1年次と同様に行った。(参照:研究第1年次実施報告書P.70) (ⅱ)「三相交流」を題材とした応用の講義(最後の1時間分) 研究第2年次と同様に行った。(参照:研究第2年次実施報告書P.82) 教授内容をプレゼンテーションソフトを活用して提示できるように改善し,授業 効率を上げた。 (エ)研究第4年次の第2学年3学期の「数学さきがけ」(今年度の2年生) 研究第1・第2・第3年次の3学期と同様に,2時間×4回のうち,前半の6時 間で数学科教員が「ベクトルの外積」の導入,「モーメントとトルク」,「重心と図 心」の数学的原理の解説を行い,後半の2時間で建築デザイン分野の教員が「重心 と図心」の実例に則した応用の講義を行う予定である。 (オ)「数学さきがけ」を希望しなかった生徒に対して実施した「数学ⅡB演習」 研究第2・第3年次と同様に行った。(参照:研究第2年次実施報告書P.82) ② 第3学年の「数学さきがけ」 研究第4年次における第3学年の「数学さきがけ」では,研究第2・第3年次に行 った実践形態をベースに,類型選択の数学Ⅲの2学期中間試験終了後から,2学期終 了時までの14時間を利用して実施した。(2学期中間試験までに現行の学習指導要 領による数学Ⅲの学習内容を一通り終了した上での実施である) - 71 - 9月末に「数学さきがけ」実施に関しての説明を行い,2学期中間試験の直前に, 「数学さきがけ」または「数学演習X」,「数学演習Y」,「数学演習Z」の3コースの いずれかを選択する形で希望調査を実施し,生徒の希望で選択させた。各コースの内 容については,研究第3年次と同様である。(参照:研究第3年次実施報告書P.77) 希望調査の結果は以下の通りである。 表5【研究第4年次の第3学年希望調査結果】 クラス 数学さきがけ 数学演習X 数学演習Y 数学演習Z 合計 A B 2 12 17 9 40 C 4 14 10 8 36 D 7 15 12 4 38 E 5 8 12 10 35 合 1 17 11 4 33 計 19 66 62 35 182 ただし,研究第2・第3年次と同様に,2学期中間試験までの習熟度を考慮して, 習熟度の低い生徒は自動的に「数学演習基礎」に所属することとしたため,実際の各 コースの受講人数は「数学さきがけ」が19名,「数学演習X」が66名,「数学演習 Y」が59名,「数学演習Z」が22名,「数学基礎演習」が16名となった。 (ア)研究第4年次の第3学年の「数学さきがけ」 研究第2年次と同様に,全14時間を数学科教員が担当し,通常の2学期期末試 験の日程中に期末試験を実施した。内容的には,物理・化学・工業で扱われる事象 と既習の数学Ⅰ・数学A・数学Ⅱ・数学B・数学Ⅲとの関連付けをはかり,未知の 事象にいどむ際の数学的な見方・考え方を学ばせ,必要に応じて,やや発展的な数 学も新たに導入しながら扱った。使用教材は副読本「数学さきがけ(試作版2008)」 を用いた。詳細は,以下の通りである。 (ⅰ)「微分・積分を活用した見方・考え方」(3時間分) 研究第2年次と同様に行った。(参照:研究第2年次実施報告書P.83) (ⅱ)「ベクトルを活用した見方・考え方」(3時間分) 研究第2年次と同様に行った。(参照:研究第2年次実施報告書P.83) (ⅲ)「微分方程式の導入とそれを活用した見方・考え方」(3時間分) 研究第2年次と同様に行った。(参照:研究第2年次実施報告書P.83) (ⅳ)「場(位置ベクトルと物理量との対応)を活用した見方・考え方」(5時間分) 研究第2年次と同様に行った。(参照:研究第2年次実施報告書P.84) (ⅴ)「テイラー展開の導入とそれを活用した見方・考え方」(若干時間) 研究第2年次と同様に行った。(参照:研究第2年次実施報告書P.84) (イ) 「数学さきがけ」を希望しなかった生徒に対して実施した「数学演習」 (4コース) 研究第2・第3年次と同様に,「数学演習X」,「数学演習Y」,「数学演習Z」の 3コースでは入試問題を題材とした演習を中心にプリント教材で実施した。習熟度 の低い生徒が自動的に所属することとした「数学演習基礎」は数学Ⅲの基礎固めを 目的として実施した。(参照:研究第3年次実施報告書P.77) ③ 「物理さきがけ」 研究第3年次の計画に基づいて,第3学年類型選択理科系bコースで履修する「物 理Ⅱ」の授業の一部を利用して,1学期に「回転系の力学入門」を2時間×3回,2 - 72 - 学期に「特殊相対論入門」を2時間×2回,「物理さきがけ」として実施した。いず れも,昨年度(研究第3年次)に試行した内容を充実させたものである。各学期とも 実施前に,「物理さきがけ」実施に関する説明を行い,「物理さきがけ」の受講を希望 するかどうかの調査を実施し,生徒の希望で選択させた。また,「物理さきがけ」の 受講を希望しなかった生徒に対しては, 「問題演習を中心に取り組むグループ」と「基 本事項の定着をはかるグループ」に分けて授業を行った。各学期毎のグループ分けは 以下の通りである。 表6 1学期 希望調査結果に基づくグループ分け A 物理さきがけ(回転系の力学入門) 問題演習を中心に取り組むグループ 基本事項の定着をはかるグループ 合 計 表7 2学期 2 19 1 22 B 11 9 9 29 C 12 11 7 30 D E 7 13 7 27 1 10 13 24 合計 33 62 37 132 % 25.0 47.0 28.0 合計 26 68 38 132 % 19.7 51.5 28.8 希望調査結果に基づくグループ分け A 物理さきがけ(特殊相対論入門) 問題演習を中心に取り組むグループ 基本事項の定着をはかるグループ 合 計 4 14 4 22 B 5 12 12 29 C 10 13 7 30 D E 5 14 8 27 2 15 7 24 (ア)1学期の「物理さきがけ」(「回転系の力学入門」) 高等学校で学習する,「力のモーメントのつり合い」に続く内容として,「回転系 の力学入門」を実施した。教材として,自作のプリントを使用した。プリント作成 に際して,昨年度の試行で部分的に使用した「なっとくする一般力学」(小暮陽三 著・講談社2002),「大学1・2年生のためのすぐわかる物理」(前田和貞著・東京 図書2002)の2冊を参考にした。本校では第1学年で学習する「剛体の静力学」の 復習から始めて,角運動量の導入,剛体の運動方程式,慣性モーメント,剛体の運 動の順に学習した。授業計画は以下の通りに立てた。また,今年度からは,事前・ 事後に学力調査を実施した。 0 事前学力調査(0.5 時間) 1 剛体の静力学(復習事項)(事前学力調査の解説を兼ねて 0.5 時間) (1)力のモーメント 2 (2)剛体のつり合いの条件 角運動量(1時間) (1)ベクトルの外積 3 4 (2)角運動量 剛体の運動(3時間) (1)回転系の運動方程式 (2)剛体の運動方程式 (3)慣性モーメント (4)固定軸周りの回転運動 (5)回転の運動エネルギー (6)剛体の運動 事後学力調査(0.5 時間)(解説 0.5 時間) 3(4)の「固定軸周りの回転運動」では,本校第1学年の「物理Ⅰ」や「科学 技術基礎」で学習した「アトウッドの滑車」を再び取り上げた。「科学技術基礎」 - 73 - では滑車の慣性モーメントが無視できるという条件で実験を行っているが,その時 の重力加速度の測定値が少し小さくなる理由を理解させた。 (イ)2学期の「物理さきがけ」(「特殊相対論入門」) 高等学校で習う物理・数学で十分理解できると考えられる特殊相対論の導入部分 (マイケルソン-モーレーの実験・ローレンツ変換など)を,「特殊相対論入門」 として実施した。教材として,自作のプリントを使用した。プリント作成に際して, 昨年度の試行で部分的に使用した「物理の考え方5 相対性理論の考え方」(砂川 重信著・岩波書店1993)を参考にした。本校では第1学年で学習する「位置,速度, 加速度」について微積分を用いてまとめることから始め,ガリレイ変換,マイケル ソン‐モーレーの実験およびその結果,ローレンツ変換の順に学習した。授業計画 は以下の通りに立てた。また,今年度からは,事前・事後に学力調査を実施した。 0 事前学力調査(0.5 時間) 1 運動の相対性(0.5 時間) (1)位置,速度,加速度 (2)相対速度 (3)ガリレイの相対性原理 2 3 光(1時間) (1)光 (2)光の媒質 (3)光の相対速度 (4)マイケルソン‐モーレーの実験 アインシュタインの特殊相対性理論(1.5 時間) (1)相対性理論の二つの要請 (2)ローレンツ変換 (3)様々な時間と空間の性質 4 事後学力調査(0.5 時間) 3の「アインシュタインの特殊相対性理論」では,マイケルソン‐モーレーの実 験結果に矛盾しないように,2つの基本的な要請(相対性原理と光速度不変の原理) から,ローレンツ変換を導く過程を理解させた。 (ウ)「物理さきがけ」の受講を希望しなかった生徒に対する授業 「問題演習を中心に取り組むグループ」では,通常の授業では多くの時間を割く ことが難しい問題演習を,生徒各自で問題を解かせる形式で実施した。教員は生徒 の理解度を見ながら,必要に応じて解説を行った。2学期には大学入試センター試 験形式の問題を取り扱った。 一方,「基本事項の定着をはかるグループ」では,通常の授業中に学習した内容 の基本事項について,教科書を用いて復習した。復習した内容について,定着度を はかる意味で簡単な確認テストを実施した。 ④ 第3学年の「3学期さきがけ」 3年3学期さきがけ講座(以下3学期さきがけ)では,講座開設から生徒の希望調査・講座 実施にいたるまで運営上のシステムはほぼできあがりつつあることを確認し,これまで検討し 改善してきた基本方針に従い、今年度も昨年度同様に実施することとなった。以下にこれま での基本方針を示す。 • 3学期さきがけとして必須科目と選択科目を設定し,事前に受講科目を生徒自身に決 めさせ受講登録をさせる - 74 - • 学校長推薦により進路が決定した者については,必修科目を必ず受講する • 欠席日数を記録し,指導要録・調査書に反映させる また、生徒の3学期さきがけの授業に対する受講態度を高めるために、推薦先の大 学との連携をはかる試みをしているが、各大学自身が生徒に対して入学前に多くの課 題を課していたり、大学入試課の事務手続きが煩雑になることからなかなか連携は実 現していないが、今年度も引き続き本校進路部と連携を取りながら,可能性を探って いる。 受講希望生徒は,推薦入試やAO入試などで一般入試よりも早期に大学進学が決ま った生徒55名である。理工系大学進学者と文科系大学進学者に分け,受講講座を設 定した。(表8) 表8 設定講座一覧及び受講登録人数 講 座 名 対 象 国語① 全 10 日本についての知識を学び,思考力・表現力をつける 国語② 全 10 大学に進学しても対応できる,基礎的な考え方や知識をつける 日本史特講I 文系 8 古代史を中心に基本的な史料を読みながら理解し学習する 解析学入門A 理系 数理I 理系 数理A 理系 時数 内 容 12 解析 8 微分方程式と運動方程式,反応速度 22 偏微分・全微分と化学平衡,ベクトル解析と電磁気学, 人数 13 2 1 21 49 28 複素解析と量子化学 衛星授業A 理系 10 東工大講義「化学第一(理工系基礎化学)」 線形代数I 理系 10 線形代数 原子物理学入門I 理系 10 原子物理学の初歩 有機化学I 理系 10 有機反応を電子の観点から考える講義と実験 英語I 理・文 10 長文読解、リスニング 英語A 理・文 10 TOEICのリスニング,リーディング ALC 理系 化学実習英語A 化学系 20 実験・講義 プログラミングI 情報系 10 Javaによるプログラミング,オブジェクト指向の考え 電磁気学I 電子系 10 電磁気学の基礎、ベクトルにおける微分積分、電束・電界 15 語学学習ソフトを用いた,リスニング・文法問題のトレーニング 電磁気学A 電子系 10 電磁気学の導入としてのベクトル演算と座標系,静電界の基礎 数値計算A 電子系 10 代表的な数値シミュレーションのアルゴリズム紹介 電子情報実験A 電子系 10 変調・検波,ディジタルICなどの実験 機械システム特論 機械系 20 機械力学,設計,製図 電気理論I 電気系 建築計画A 建築系 10 建築計画および西洋近代建築史の概論 建築構造A 建築系 10 鉄筋コンクリート構造の設計手法および構造材料の性質・品質管理 8 回路理論 18 47 22 4 15 31 30 4 0 0 3 3 0 11 3 8 10 これらを元に各教科・分野より生徒向けの講座選択・登録の際の資料として,表 9のような内容の案内文書を配布し,この案内に基づいて生徒に希望調査を行ったと ころ,表10のような受講状況となった。平成20年度は、昨年度よりも受講対象者が 7名ほど少ないこともあって,平成19年度では講座「ALC」において,機器の関 係上希望しても受講できない生徒がいたが,平成20年度は生徒が希望した講座は全 て受講できた。 - 75 - 表9 講 座 名 必修・選択 国語①I 選択 ※ 国語② 選択 日本史特講I 必修 解析学入門A 選択 ※ 数理I 必修 数理A 選択 ※ 衛星授業A 選択 ※ 線形代数I 必修 原子物理学入門I 選択 (※) 有機化学I 選択 (※) 講座概要 概 要 備 考 理系の大学に進学しても対応できる考え方の基礎と,日本 についての知識を学び,思考力・表現力をつけることを目的 とする。 大学に進学しても対応できる,基礎的な考え方や知識をつ 文系や教育系の大学 けることを目的とする。 に進学する者は受講 が望ましい。 大学の一般教養として日本史概論があるが,当講座では古 代史を中心に基本的な史料を読みながら理解し学習する 「定義」と「定理」と「証明」が繰り返される「大学の数学」に慣 数 学 科 進 学 者 も 必 れ親しむことを目的としています。そのための題材として「極 修。 限とは何か」をあらためて考え,ε-δ論法を紹介します。 東工大に入学する人,数学科に進む人は必ず受講してくだ さい。また,国公立や早慶など,ハイレベルな大学に進む人 にもお勧めです。「ε-δ」で悩まず,楽しい大学生活を送 るためにがんばりましょう! 多くの理系大学の学部1~2年(東工大では学部1年)で学 数理30時間の内,最 習する物理・化学・工学の数学的背景を学習します。「数理 初の 8 時 間 分が 数 理 Ⅰ」では,変数分離型の微分方程式の解法,簡単な偏微分 I,後の22時間分が数 ・全微分,重積分などの基本的な内容を扱います。理系大 理A。 学に入学する人は必ず受講してください。(数学さきがけ: 第9章,第10章P.433~437,443~452) 多くの理系大学の学部1~2年(東工大では学部1年)で学 習する物理・化学・工学の数学的背景を学習します。「数理 A」では,ベクトル解析,複素変数関数など,やや発展的な 内容を扱い,電磁気学,量子化学への応用を学びます。東 工大に入学する人は必ず受講してください。また,国公立 や早慶など,ハイレベルな大学に進む人にもお勧めです。 「ガウスの発散定理やストークスの定理,シュレディンガーの 波動方程式」と聞いても驚かないようになっておきましょう! (数学さきがけ:第10章P.438~442,453~455,第11章, 第12章)なお,「数理A」とあわせて「衛星授業A(東工大の 化学第一の受講体験)」も選択すると,第12章の内容が実 際に必要となることをひしひしと実感できるでしょう。 衛星通信システムを利用し,東工大の学部1年前期の「化 学第一(理工系基礎化学)」という授業(市村禎二郎教授ご 担当)を,本校の教室で,はじめの5回分受講体験します。 東工大に入学する人は必ず受講してください。また,国公 立や早慶など,ハイレベルな大学に進む人にもお勧めで す。講義内容の詳細については http://www.cradle.titech.ac.jp/koudai/koudai2008.pdfを参 照して下さい。(終了後には,希望すればネット配信を利用 して第6回以降の講義も受講できる見込みです) 線形代数学の基礎を解説します。課題の提出もあります。 ・一般の行列とその演算 ・基本変形 ・行列の階数 ・連立1次方程式の解法 ・行列式と逆行列 など。 原子物理学の初歩を学習します。大学で学習する量子力 特 別 選 抜 者 の う ち 応 学に接続する内容を含みます。 用化学分野は必修。 ・電子と原子 ・光の粒子性 それ 以外 は ,原子 物 ・粒子の波動性 ・水素原子モデル 理学入門I・有機化学 ・放射線と原子核 I,どちらかを選択。 「電子で考える有機化学」「Grignard 反応」「FriedelーCrafts 応用化学分野以外の 反応」「ベンゼン環の反応性を利用した有機合成」 特別選抜者は,原子 物理学入門I・有機化 - 76 - 英語I 必修選択 英語A 必修選択 ※ ALC 必修 化学実習英語A 選択 ※ プログラミングI (専門2) 必修選択 電磁気学I (専門1) 必修選択 電磁気学A (専門1) 必修選択 ※ 数値計算A (専門2) 必修選択 電子情報実験 A (専門2) 必修選択 機械システム特論 (専門) 選択 ※ 電気理論I (専門) 選択 ※ 建築計画A (専門1) 選択 ※ 建築構造A (専門2) 選択 ※ 学I,いずれかを選 択。 様々なリーディング,リスニング教材を用いる予定(時事英 英語A受講者以外の 語を含む)。 希望者も受講可。 教材は授業時にプリント等を配布する予定。 また,TOEIC用の問題演習も一部取り入れる予定。 TOEICのリスニング,リーディングを中心とし,テストを実施し 特別選抜者以外は, た後,解説を行う。 英語I・英語A,どちら かを選択。 語学学習ソフトを用いた,リスニング・文法問題のトレーニン グを行う。マルチメディア教室のパソコンを利用する。 科学英語と課題研究の概要をA4に英語でまとめ、ポスター 課題研究 概要( 13時 を作る。 また、実習を伴うのでレポートの提出は不可避。 間)、科学英語(7時 間)の予定 プログラム言語Javaを学習し,オブジェクト指向の概念を学 特別選抜者以外はプ ぶと共に,実際にウインドウアプリケーションを開発する。ア ロ グ ラ ム I ・ 電 磁 気 学 プリケーションの開発にあたっては,eclipsという開発環境を A,どちらかを選択。 用い,統合環境での開発方法等も学ぶ。 高校で学ぶ電磁気学(物理)の復習を行う。また,大学で開 特別選抜者以外は, 講される電磁気学の導入部分を学習し基礎知識を身につ 電磁気学I・数値計算 ける。 A,どちらかを選択。 ・ベクトルにおける微分積分の扱い方 ・電束,電界の学習 物理学の基礎分野である電磁気学を学ぶ。電磁気学とは 特別選抜者以外はプ 電気と磁気を考える学問である。実際には電気的な空間や ロ グ ラ ム I ・ 電 磁 気 学 磁気的な空間を見ることができないので,この学問を理解す A,どちらかを選択。 ることは難しい。よって,目に見えない場(空間)をイメージ すること,また式から場をイメージできるようになることが必要 となる。そこで本講座では大学の電磁気学の導入として,ベ クトル演算と座標系,そして静電界の基礎の学習を通して, 場をイメージし理解することを目的としている。 これまでの授業では扱わなかった以下の数値計算アルゴリ 数 値 計 算 A , 電 子 情 ズムを紹介するとともに,C言語によるプログラミング実習を 報実験Aのいずれか 行い,ポインタ・関数への配列渡し等を再確認する。 を選択。 連立方程式の解法,数値微分,数値積分,微分方程式 大学で開講される基礎実験等をさきどりする。実験を行い, 数 値 計 算 A , 電 子 情 レポートを提出してもらう。 報実験Aのいずれか 変調・検波,ディジタルICなど。 を選択。 機械力学,設計,製図等の専門内容を中心に,基礎から応 特にレベル設定はせ 用に至る広い範囲で専門知識を活用できるスキルを養成す ず,I~Aにわたる内容 る を用意。 ・ノーベル賞クラスの論文,中村修二氏の青色LEDの一部 抜粋を和訳(英和辞典,英英辞典必携のこと) ・複雑な回路を接点解析法で解く。計算と演習 ・通信トラフィック理論入門 ・応用的な電子回路の設計と回路シミュレーション これまでの建築計画の授業では扱わなかった劇場,駐車場 建築 計 画を 履 修 し て などさまざまな種類の建築の計画および西洋近代の建築史 いる者が望ましい。 の概論。 これまでの建築構造の授業で詳しく扱うことができなかった 建築 構 造を 履 修 し て 鉄筋コンクリート構造の設計手法および建築構造材料の性 いる者が望ましい。 質と品質管理。 難易度の目安としてIntermediateレベルとAdvancedレベルを講座名の末尾に略記してある。 ※印は東工大特別選抜者に対しては必修であることを示す。 なお,専門または専門1・専門2は,進学先の学科等に応じて相応しいものを選択すること。 - 77 - 表10 所属 応用化学 応用化学 応用化学 応用化学 応用化学 応用化学 応用化学 応用化学 応用化学 応用化学 応用化学 応用化学 応用化学 応用化学 応用化学 応用化学 情報システム 情報システム 情報システム 情報システム 機械システム 機械システム 機械システム 機械システム 機械システム 機械システム 機械システム 機械システム 機械システム 機械システム 機械システム 機械システム 機械システム 機械システム 電気電子 電気電子 電気電子 電気電子 電気電子 電気電子 電気電子 電気電子 電気電子 電気電子 氏名 (55名) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 受講状況 学東理国国日解数数衛線原有英英 A 化プ電電数電機電建建 校工系語語本析理理星形子機語語 L 学 ロ 磁磁値子械気築築 長大/①②史学 I A 授代物化 I A C 実 グ 気気計情シ理計構 推特文 特入 業数理学 習 ラ 学学算報ス論画造 薦別系 講門 A I 学 I 英 ミ Ⅰ A A 実テ I A A 選 I A 入 語ン 験ム 抜 門 A グ A 特 I Ⅰ 論 ○○理○ ○ 理 ○ 理 理 理 理 理 理○ ○ 理 ○ 理 ○○理○ ○ 理 ○ 理 ○ 理 ○ 理 ○ 理 ○○理 ○ 理 ○○理○ ○○理○ ○○理○ 理 ○ 理 ○○理○ ○ 理 ○ 理 ○ ○ 理 ○ 理○ ○ 理 ○○理○ ○ 理 ○ ○○理○ 理 理 ○ 理 ○ 理 ○ 文 ○ 理 就 ○ 理 ○ 理 ○ 理 理 ○○理○ ○○○○○○ ○ ○ ○ ○ ○○○ ○ ○ ○ ○○ ○ ○ ○ ○ ○ ○○ ○○○○○○ ○ ○ ○ ○ ○○ ○ ○ ○ ○○○○○○ ○○○ ○○ ○○ ○○ ○ ○○ ○○ ○○○○○ ○○ ○○○○ ○ ○○○ ○○ ○ ○○○○○○ ○○ ○ ○ ○ ○○○○○○ ○○ ○○○○○○ ○○ ○○○○○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○ ○○ ○ ○○ ○○○○○○ ○○ ○○○○○○ ○ ○○○○○○ ○ ○○○ ○ ○○ ○○○ ○ ○ ○○ ○○○ ○○ ○ ○○○○○○ ○ ○○○ ○ ○ ○ ○○○○○○ ○○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○○ ○○○○○○ ○ ○ ○ ○○ ○ ○ ○○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○○○ ○○ ○ ○ ○ ○ ○○ ○○ ○○○○○○ - 78 - ○○ ○○ ○○ ○ ○○ ○ 建築デザイン 45 理 ○ 理 ○ 理 ○ 理 理 ○ 理 ○ 文 理 ○○理○ 理 ○ 理 建築デザイン 46 建築デザイン 47 建築デザイン 48 建築デザイン 49 建築デザイン 50 建築デザイン 51 建築デザイン 52 建築デザイン 53 建築デザイン 54 建築デザイン 55 ○ ○○ ○○○ ○ ○ ○ ○○ ○ ○ ○ ○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○ ○○ ○ ○○ ○○ ○○ ○ ○ ○ ○○○○○○ ○ ○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○ ○○ ○○ ○○ 平成17年度の改善点として実施した「所属の専門分野にかかわらず,進学先の専 門分野に応じて専門講座を選択できるようにする」ことについては,平成19年度と 同様に平成20年度の実施においてもそのまま踏襲することとした。結果として今年 度は以下(表11)のようになった。 表11 講座 生徒 応用化学 応用化学 情報システム 機械システム 電気電子 建築デザイン 3 情報システム 機械システム 分野別の専門の受講状況 3 1 10 電気電子 1 3 建築デザイン 10 以下に,複数の講座から選択できる開講例として,情報システム分野での実践例を 挙げる。(電子・情報系進学者に対し「電磁気学 I」または「電磁気学 A」のいずれ か,および「プログラミング I」または「数値計算 I」「電子情報実験 A」のいずれか を選択できることとした。)いずれも週2時間×5週で実施し,内容は所属分野によ らず同じとした。なお、今年度「電磁気学 I」 「プログラミング I」 「電子情報実験 A」 は残念ながら選択希望者が「なし」のため開講されなかった。 「電磁気学 A」 理工学系の大学では必修として学ぶことが多く,また多くの学生が苦労する科 目である電磁気学について,ベクトル・スカラから,もっとも重要な「場」につ いて式からイメージすることに重点を置いた。高校までの物理との違いは本講座 ではベクトル式で電磁気学を学ぶことである。 1週目:ベクトル・スカラ,線積分 2週目:直角・極・円筒形座標 3週目:電位と立体角 4週目:ガウスの定理(積分形),発散 5週目:ガウスの定理(微分系),実験 - 79 - 「数値計算」 正規の授業において,素数判定や検索・ソートなど簡単なアルゴリズムについ ては習得済みの生徒に対し,より高度な数学的・論理的思考を要する数値計算ア ルゴリズムを紹介した。 1週目:連立方程式の解法(クラメルの公式,ガウス-ジョルダン法) 2週目:連立方程式の解法(ガウスの消去法) 3週目:数値積分法(区分求積法,台形公式,シンプソンの公式) 4週目:微分方程式の解法(オイラー法,ルンゲ-クッタ法) 5週目:総合演習 もちろん,単に公式を紹介するだけでな く,その導出・物理的な意味等も含めて講 義し,さらに自らプログラミング演習をさ せることで理解を深めさせた。N 次の行列 やその行列式,あるいは無限級数,場合に よってはテイラー展開など高度な内容に踏 み込んだが,理解度は高かったように思う。 もうひとつ所属学科によって内容を変えて開講しているものとして、応用科学分野 の「化学実習英語 A」を挙げる 1回4時間連続の講座ではじめの1~2時間は分野共通で「大科学者のこと ばⅡ」東京工業大学科学史ゼミナール編(講談社)から化学に関係する学者を取 り上げて、英文を訳しながらその学者の業績を紹介するような輪講の形をとって 科学英語を学んだ。後半の時間を用いて応用 化学分野の生徒は学会主催の学生発表大会発 表のために課題研究の続きとそのまとめを行 い。他分野の生徒に対し進学先で重要だと思 われる内容の化学実験を実施した。今回は、 生命理工学系に進学予定の生徒であったので 以下に示すような内容の実験を実施した。 ⑤ 1週目 アスピリンの合成 2週目 スルファミン酸の合成 3週目 DNA、クロロフィルのの抽出 4週目 分光分析(クロロフィル、過マンガン酸水溶液) 5週目 緩衝溶液 調査・追跡 さきがけ教育の研究開発に有益な情報を提供するために,調査・追跡担当は詳細な アンケート・学力調査を行うこととした。 まず,アンケート名とそれらのねらい等は表12の通りである。表12において,(ア), (イ)は「実際に授業に関わってどうであったか」について調べるために設定した。(ア) は本校生徒を対象に行い,一連の講座の前後で行う。設問は,全講座共通のものと講 - 80 - 表12 アンケート名 対象者 アンケートとねらい等 ねらい 実施 時期 (ア) 生徒対象 本校生徒 授業前後におけ 各科目の 「数学さきがけ」, (各科目 る「いどむ」力 授業実施 の変化を定量的 前後 「物理さきがけ」, 受講生徒) 「3学期さきがけ」 実施・分析 担当者 各科目担当者 備考 「数 学さきがけ」と 同一時間帯に行う「数 学Ⅱ B演習」受講者 に明らかにする。 にも ,一部「数学さ に関する事前事 授業改善に関す きが け」と共通のも 後のアンケート る意見を収集す のを行った。 及び学力の調査 る。 (イ) 教員対象 本校教員 授業改善に関す 各科目の 「数学さきがけ」, (各科目 る意見を収集す 授業実施 同一時間帯に行う「数 る。 後 学Ⅱ B演習」担当者 「物理さきがけ」, 授業担当教員) 各科目担当者 「3学期さきがけ」 にも ,一部「数学さ に関する きが け」と共通のも アンケート (ウ)教育実習生対象 のを行った。 教育実習生 大学での履修や 教育実習 大学での履修 (東工大生,本 高校時代の授業 実施時 等に関する 校卒業生;主に 改善に関する意 アンケート 大学4年生) 見を収集する。 (エ) 卒業生対象 卒業生 大学での履修や 大学での履修 (大学1年生, 高校時代の授業 等に関する 4年生) アンケート (オ) 大学教員対象 調査・追跡係 教育 実習担当者の協 力が必要 (6月, 9月) 12月 調査・追跡係 郵送による 1年次は1月に実施 改善に関する意 見を収集する。 副読本「数理応 1年次 副読本「数理応用」 用」をベースに 9月 をベースにした した教材内容に 教材内容に関す 関する意見を収 るアンケート 集する。 (カ) 大学教員対象 「数 学さきがけ」と 東工大教員 東工大教員 副読本「数学さ 副読本「数学さき きがけ (試作版) 」 が け ( 試 作 版)」 をベースにした をベースにした 教材内容に関す 教材内容に関す る意見を収集す るアンケート る。 副読本 大学の協力が必要 「数理応用」 郵送による 作成者 4年次 副読本 大学の協力が必要 「数学さきが 郵送による け(試作版)」 作成者 座ごとのものとがある。必要に応じ学力調査(学習内容に関する2問程度の小テスト) を行う。なお,詳しい設問内容は,各分析結果に併記する。(イ)は,授業終了後に行 い,授業運営上の問題点等を明らかにする。(ウ),(エ)は,「通常の高校の教育課程に はないが,大学での学習の準備として必要な内容とは何か」等を明らかにするために 設定する。(ウ)の対象は本校の教育実習生とし,教育実習中に依頼する。(エ)は,卒業 生に対して郵送で依頼する。大学での学習を進めることにより考え方が変わるとの予 想から,同一の卒業生に対して大学1年の時と4年の時の2回行う。(オ),(カ)は,各 テキストが大学教員から見てどう判断されるかを明らかにするためにそれぞれ依頼す る。 また,各アンケートの分析担当は次の通りとする。(ア),(イ)は科目の内容に大きく 関わることなので,授業を担当した教員が中心に行う。今年度の結果は後述の通りで ある。(オ),(カ)は,教材の内容に大きく関わるので教材作成者が行う。今年度行った 結果は後述の通りである。調査・追跡係としては,(ウ),(エ)を中心に取り組む。 次に,5年間の実施計画は表13の通りである。本年度は研究4年次の分を実施した。 - 81 - 表13 5年間の実施計画 研究 (ア) 生徒対象 (イ) 1年次 「数学さきがけ」, 「数学さきがけ」 , 2005 平成 17 教員対象 (ウ)教育実習生対象 「3学期さきがけ」 「3学期さきがけ」 に関する事前事 に関する 後のアンケート アンケート 及び学力の調査 (ア) 生徒対象 (イ) 2年次 「数学さきがけ」, 「数学さきがけ」 , 平成 18 教員対象 に関する 後のアンケート アンケート 等に関する 等に関する アンケート アンケート (ウ)教育実習生対象 「3学期さきがけ」 「3学期さきがけ」 に関する事前事 大学での履修 大学での履修 等に関する 等に関する アンケート アンケート 及び学力の調査 (ア) 生徒対象 (イ) 3年次 「数学さきがけ」, 「数学さきがけ」 , 大学での履修 大学での履修 2007 「物理さきがけ」, 「物理さきがけ」 , 等に関する 等に関する 平成 19 「3学期さきがけ」 「3学期さきがけ」 アンケート アンケート 教員対象 に関する 後のアンケート アンケート をベースにした 教材内容に関す (エ) 卒業生対象 大学での履修 研究 に関する事前事 (オ) 大学教員対象 副読本「数理応用」 るアンケート 研究 2006 (エ) 卒業生対象 大学での履修 (ウ)教育実習生対象 (エ) 卒業生対象 研究 及び学力の調査 (ア) 生徒対象 (イ) 4年次 「数学さきがけ」, 「数学さきがけ」 , 大学での履修 大学での履修 2008 「物理さきがけ」, 「物理さきがけ」 , 等に関する 等に関する 平成 20 「3学期さきがけ」 「3学期さきがけ」 アンケート アンケート 教員対象 (ウ)教育実習生対象 (エ) 卒業生対象 (カ) 大学教員対象 「数学さきがけ (試作版)」を ベースにした に関する事前事 に関する 教材内容に関す 後のアンケート アンケート るアンケート 及び学力の調査 研究 (ア) 生徒対象 (イ) 5年次 「数学さきがけ」, 「数学さきがけ」 , 教員対象 大学での履修 大学での履修 2009 「物理さきがけ」, 「物理さきがけ」 , 等に関する 等に関する 平成 21 「3学期さきがけ」 「3学期さきがけ」 アンケート アンケート に関する事前事 に関する 後のアンケート アンケート (ウ)教育実習生対象 (エ) 卒業生対象 及び学力の調査 4 実施の効果とその評価 ① 第2学年の「数学さきがけ」 (ア)生徒用アンケート 研究第4年次も,研究第1・第2・第3年次と同様に,各学期ごとに事前・事後 に,次の項目について,5段階評価で意識調査を行った。(「数学さきがけ」グルー プは事前と事後の両方実施,「数学ⅡB演習」グループは事前のみ実施。)なお,実 施報告書作成締切の日程の関係で,研究第3年次の実施報告書に掲載できなかった 研究第3年次の3学期の調査結果も併せて報告する。 ・数学は好きですか。(事前) ・普段,ものごとの原理をとことん知りたいと思っていますか。(事前) ・普段,通常の学習としては本来学ぶ予定では ないようなことがらまで学びたいと感じていますか。(事前) ・普段,未知の値を求めたり事象を解析したりする際に, 「数学」はどの程度役立つと感じていますか。(事前) ・今回の授業の内容は理解できましたか。(事後) ・数学の授業と専門分野の授業とを組み合わせた今回の授業形態は 良かったですか。(3学期:事後) - 82 - ・数学の授業とパソコンの利用とを組み合わせた今回の授業形態は 良かったですか。(1学期:事後) ・今回の授業を受けて,ものごとの原理をとことん知りたいと思いますか。(事後) ・今回の授業を受けて,通常の学習としては本来学ぶ予定では ないようなことがらまで学びたいと感じますか。(事後) ・今回の授業を受けて,未知の値を求めたり事象を解析したりする際に, 「数学」はどの程度役立つと感じますか。(事後) 結果は次の通りである。 (ⅰ)研究第3年次の第2学年3学期の「数学さきがけ」(昨年度の2年生) さorなし さきがけ 合計 平均値 度数 標準偏差 平均値 度数 標準偏差 数学好き 4.10 31 .700 4.10 31 .700 原理知前 3.94 31 .998 3.94 31 .998 学びた前 3.77 31 1.175 3.77 31 1.175 役立つ前 4.42 31 .672 4.42 31 .672 内容理解 3.80 30 1.064 3.80 30 1.064 授業形態 4.57 30 .679 4.57 30 .679 原理知後 3.87 30 .973 3.87 30 .973 学びた後 4.07 30 1.143 4.07 30 1.143 役立つ後 4.57 30 .568 4.57 30 .568 事前・事後の比較では,「ものごとの原理をとことん知りたいと思っています か」「通常の学習としては本来学ぶ予定ではないようなことがらまで学びたいと 感じていますか」「未知の値を求めたり事象を解析したりする際に,「数学」はど の程度役立つと感じていますか」のいずれについても,事前の平均値と事後の平 均値には有意差は認められなかった。 事後アンケートの自由記述では授業内容に関して次のようなものが見受けられ た。建築デザイン分野の工学的な視点に,とまどったり,納得したりしている生 徒の様子がうかがえる。 ・工学的な表記に若干とまどった ←[応用化学分野の生徒] ・数学と工学の知識がうまくつながった ←[応用化学分野の生徒] ・今回初めて数学さきがけを受けたのだけど,数学が科学技術分野においてどれ程活 躍してるかを学べて,実に有意義だった ←[情報システム分野の生徒] ・数学の内容をどう利用するかが分かると理解が深まるので,他の授業でもこのよう な形態を取り入れるべきだと思う ←[情報システム分野の生徒] ・建築っておもしろい ←[応用化学分野の生徒] (ⅱ)研究第4年次の第2学年1学期の「数学さきがけ」(今年度の2年生) さorⅡB さきがけ 数学ⅡB 合計 平均値 度数 標準偏差 平均値 度数 標準偏差 平均値 度数 標準偏差 数学好き 3.68 111 1.088 3.28 69 1.305 3.52 180 1.189 原理知前 3.83 111 1.035 3.28 69 1.211 3.62 180 1.135 学びた前 3.55 111 1.181 3.01 69 1.118 3.34 180 1.183 役立つ前 3.98 111 1.087 3.61 69 1.140 3.84 180 1.119 内容理解 4.12 114 .961 授業形態 4.33 114 .838 原理知後 3.75 114 1.003 学びた後 4.09 113 1.057 役立つ後 4.28 112 .932 4.12 114 .961 4.33 114 .838 3.75 114 1.003 4.09 113 1.057 4.28 112 .932 まず,事前アンケートにおける「数学さきがけ」グループと「数学ⅡB演習」 グループの比較では,「数学は好きですか」「ものごとの原理をとことん知りたい と思っていますか」「通常の学習としては本来学ぶ予定ではないようなことがら まで学びたいと感じていますか」「未知の値を求めたり事象を解析したりする際 に,「数学」はどの程度役立つと感じていますか」のいずれにおいても「数学さ きがけ」グループの平均値が「数学ⅡB演習」グループの平均値を上回り,かつ, 「ものごとの原理をとことん知りたいと思っていますか」「通常の学習としては - 83 - 本来学ぶ予定ではないようなことがらまで学びたいと感じていますか」について は1%の有意水準で,「数学は好きですか」「未知の値を求めたり事象を解析した りする際に,「数学」はどの程度役立つと感じていますか」については5%の有 意水準で,有意差が認められた。 また,「数学さきがけ」グループにおける事前・事後の比較では,「ものごとの 原理をとことん知りたいと思っていますか」については事前の平均値よりも事後 の平均値が下回ったが有意差は認められず,一方,「通常の学習としては本来学 ぶ予定ではないようなことがらまで学びたいと感じていますか」「未知の値を求 めたり事象を解析したりする際に, 「数学」はどの程度役立つと感じていますか」 については事前の平均値よりも事後の平均値が上回り,かつ,前者については1 %水準で,後者については5%水準で,有意差が認められた。 なお,「数学さきがけ」グループにおける事後アンケートの自由記述では授業 内容に関して次のような回答が見受けられた。表計算ソフトの印象が強かったよ うだ。 ・Excelは使ったことがなかったが,便利だった。 ・Excelを学べてよかった。 ・Excelはすごい。 ・パソコンは苦手なのだがおもしろかった。 (ⅲ)研究第4年次の第2学年2学期の「数学さきがけ」(今年度の2年生) さorⅡB さきがけ 数学ⅡB 合計 平均値 度数 標準偏差 平均値 度数 標準偏差 平均値 度数 標準偏差 数学好き 3.75 104 1.095 3.33 78 1.202 3.57 182 1.158 原理知前 3.70 104 1.122 3.19 79 1.220 3.48 183 1.190 学びた前 3.56 104 1.213 2.89 79 1.261 3.27 183 1.275 役立つ前 3.97 103 1.080 3.54 78 1.136 3.78 181 1.122 内容理解 3.68 98 1.041 原理知後 3.71 98 1.112 学びた後 3.87 98 1.061 役立つ後 4.14 97 .979 3.68 98 1.041 3.71 98 1.112 3.87 98 1.061 4.14 97 .979 まず,事前アンケートにおける「数学さきがけ」グループと「数学ⅡB演習」 グループの比較では,「数学は好きですか」「ものごとの原理をとことん知りたい と思っていますか」「通常の学習としては本来学ぶ予定ではないようなことがら まで学びたいと感じていますか」「未知の値を求めたり事象を解析したりする際 に,「数学」はどの程度役立つと感じていますか」のいずれにおいても「数学さ きがけ」グループの平均値が「数学ⅡB演習」グループの平均値を上回り,かつ, 「ものごとの原理をとことん知りたいと思っていますか」と「通常の学習として は本来学ぶ予定ではないようなことがらまで学びたいと感じていますか」につい ては1%有意水準で,「数学は好きですか」と「未知の値を求めたり事象を解析 したりする際に,「数学」はどの程度役立つと感じていますか」については5% 有意水準で有意差が認められた。 また,「数学さきがけ」グループにおける事前・事後の比較では,「通常の学習 としては本来学ぶ予定ではないようなことがらまで学びたいと感じていますか」 については事前の平均値よりも事後の平均値が上回り,かつ,5%有意水準で有 意差が認められ, 「ものごとの原理をとことん知りたいと思っていますか」と「未 - 84 - 知の値を求めたり事象を解析したりする際に,「数学」はどの程度役立つと感じ ていますか」については事前の平均値と事後の平均値には有意差は認められなか った。 なお,「数学さきがけ」グループにおける事後アンケートの自由記述では,次 のようなものが見受けられた。 ・電気の授業を受けられる機会はあまりないので授業を受けて良かったです。三角関 数の復習もできて勉強になりました。 ←[応用化学分野の生徒] ・今までやっていたけれど理解できていなかった部分が理解できてよかった。でも計 算がめんどくさい・・・ ←[情報システム分野の生徒] ・勉強はただ受験のためであってはつまらないし,意味が無い。今日の「さきがけ」 では内容が面白く,楽しく勉強できたので良かった。 ・レジュメもあり,パワーポイントも使っており,分かりやすかったです。 ・むずかしい! ・今日ノ授業ハ楽シカッタ。 ・とても良かったです。 ・さきがけサイコー☆ 第2学年2学期の「数学さきがけ」の希望者は,一昨年度62名,昨年度90 名,今年度は107名と着実に増加しており,ついに2人掛けの机に3人掛けの 配列を強いられる生徒すら現れたが,専門分野教員が板書に頼らずにプレゼンテ ーションに工夫を凝らし,レジュメも用意したことにより,昨年度までたびたび 聞かれた「座席の位置によっては見づらかった」という不満は聞かれなくなった。 (イ)事前事後の学力調査 (ⅰ)研究第3年次の第2学年3学期の「数学さきがけ」(昨年度の2年生) 研究第1・第2年次と同様に,事前・事後に,4点満点の小テストを行った。 (「数学さきがけ」グループのみの実施) 【事前小テスト問題】 研究第1年次と同様。(参照:研究第2年次実施報告書P.98) 【事後小テスト問題】 研究第1年次と同様。(参照:研究第2年次実施報告書P.98) 結果は次の通りである。 事前・事後の比較では,事前の平均値よりも事後の平均値が上回り,かつ,1 %有意水準で有意差が認められた。 なお,事後小テストでは,「2直線の平行条 さorなし さきがけ 件と垂直条件を知っているだけ書きなさい。 合計 (ベクトルに限らない。文章でも式でもよい)」 平均値 度数 標準偏差 平均値 度数 標準偏差 小テ点前 1.10 31 1.777 1.10 31 1.777 という質問も尋ねた。こちらは,次のような 回答が多く見受けられた。 -平行条件- → → → → ・a × b =0(外積が0) (8人) ・m=m’ (6人) → → ・a = k b (6人) - 85 - 小テ点後 3.20 30 1.448 3.20 30 1.448 -垂直条件- → → ・a ・ b =0(内積が0) ・m・m’=-1 (20人) (6人) 研究第3年次までと同様に,平行条件や垂直条件を考える際にベクトルの「外 積」や「内積」の活用を積極的に思い浮かべている様子がうかがえ,授業の題材が 授業者の意図を伝えるのにある程度適した(効果のある)内容であったと言えよう。 (ⅱ)研究第4年次の第2学年1学期の「数学さきがけ」(今年度の2年生) 研究第1・第2・第3年次と同様に,事前・事後に,4点満点の小テストを行 った。(「数学さきがけ」グループは事前と事後の両方実施,「数学ⅡB演習」グ ループは事前のみ実施。) 【事前小テスト問題】 研究第1年次と同様。(参照:研究第1年次実施報告書P.78) 【事後小テスト問題】 研究第1年次と同様。(参照:研究第1年次実施報告書P.78) 結果は次の通りである。 さorⅡB さきがけ まず,事前小テストの得点における「数学さ きがけ」グループと「数学ⅡB演習」グループ 数学ⅡB の比較では,「数学さきがけ」グループの平均 合計 値が「数学ⅡB演習」グループの平均値を上回 平均値 度数 標準偏差 平均値 度数 標準偏差 平均値 度数 標準偏差 小テ点前 1.21 112 1.325 1.00 69 1.176 1.13 181 1.271 小テ点後 1.57 113 1.603 1.57 113 1.603 ったが,有意差は認められなかった。 また,「数学さきがけ」グループにおける事前・事後の比較では,事前の平均 値よりも事後の平均値が上回り,かつ,5%水準で有意差が認められた。 なお,「数学さきがけ」グループにおける事後小テストでは,「今回の「最小2 乗法」の授業の中に出てきた数学Ⅱ・数学Bの公式を思いつくだけ書き出しなさ い。(式でも,公式の名前でもOK)」という質問も尋ねた。以下に示してある上 位2項目は,研究第1・第2年次の結果と同一項目である。 ・点と直線の距離(52人) ・平方完成 (12人) (ⅲ)研究第4年次の第2学年2学期の「数学さきがけ」(今年度の2年生) 研究第1・第2・第3年次と同様に,事前・事後に,4点満点の小テストを行 った。(「数学さきがけ」グループは事前と事後の両方実施,「数学ⅡB演習」グ ループは事前のみ実施。) 【事前小テスト問題】 研究第1年次と同様。(参照:研究第1年次実施報告書P.79) 【事後小テスト問題】 研究第1年次と同様。(参照:研究第1年次実施報告書P.79) 結果は次の通りである。 まず,事前小テストの得点における「数学さきがけ」グループと「数学ⅡB演 習」グループの比較では, 「数学さきがけ」グループの平均値が「数学ⅡB演習」 グループの平均値を上回り,かつ,1%有意水準で有意差が認められた。 - 86 - また,「数学さきがけ」グループにおける事前 さorⅡB さきがけ ・事後の比較では,事前の平均値よりも事後の 平均値が上回り,かつ,1%有意水準で有意差 数学ⅡB が認められた。 合計 なお,「数学さきがけ」グループにおける事後 平均値 度数 標準偏差 平均値 度数 標準偏差 平均値 度数 標準偏差 小テ点前 1.46 105 1.599 .85 81 1.352 1.19 186 1.523 小テ点後 2.23 99 1.577 2.23 99 1.577 小テストでは,「三角関数の加法定理と関係する 公式を知っているだけ書きなさい。」という質問も尋ねた。こちらは,次のよう な回答が多く見受けられたが,研究第1・第2・第3年次と同様に,「三角関数 の合成」をあげた回答はほとんど見受けられなかった。 ・加法定理 (45人) ・2倍角の公式 (22人) 小テストの結果とあわせると,研究第3年次までと同様に,生徒は無意識のう ちに「加法定理」そのものを「三角関数の合成」の形に変えて活用するようにな ったものと考えられよう。 (ウ)教員用アンケート (ⅰ)研究第3年次の第2学年3学期の「数学さきがけ」(昨年度の2年生) 研究第1・第2年次と同様に,1学期・2学期と同様のコメント式のアンケー トを以下の項目に対して実施した。主な傾向を示す。 【生徒の希望で「数学さきがけ」を実施し「数学ⅡB演習」を実施しなかったことについ て】 ・成績提出後の3学期に実施していることから良いと思う。 【補講期間に,2時間×4回という時間数で実施したことについて】 ・多数の意見が「よい」であったが,少し多いがやむを得ないという声もあった。 【数学と専門の教員による連携という形態で授業を実施したことについて】 ・本校ならではの取り組みであり,この形態を継続してほしい。 ・大学では多面的なアプローチが必要となるので,様々な見方を高校のうちから知るこ とは数学を学ぶ意味を知ることも出来て良い。 【「数学さきがけ」の授業内容について(反省点,改善点,生徒の様子,レポート結果など)】 ・生徒はやる気のあるように見えるので良い。 ・1回も出席しなかった生徒が何人かいたが,本当に希望していたのでしょうか? 【その他,今後の「数学さきがけ」に関連して何かありましたらお書き下さい。】 ・研究第5年次まではこの形でお願いいたします。 ・他の連携も出来るかもしれないと思った。(専門-専門,数学-専門-専門など) (ⅱ)研究第4年次の第2学年1学期の「数学さきがけ」(今年度の2年生) 研究第1・第2・第3年次と同様に,コメント式のアンケートを以下の項目に 対して実施した。主な傾向を示す。 【今年も生徒の希望で「数学さきがけ」と「数学ⅡB演習」に分けて実施したことについ て】 ・「よい」,「希望で分けるべき」が多数であったが,「さきがけ」は希望ではなく,全員 必修でもよいのではないか,という声もあった。 【補講期間に,2時間×2回という時間数で実施したことについて】 ・良い,適当 【数学と専門の教員によるティーム・ティーチングの形態で授業を実施したことについて】 ・それぞれ補い合うことによる相乗的な効果があり,また,分野に関係したデータ例を 扱えてとてもよい。 最小2乗法のこのテーマについては完成形となったと思う。 【「数学さきがけ」の授業内容について(反省点,改善点,生徒の様子,レポート結果, - 87 - 事前準備など)】 ・生徒の様子は熱心でいいと思う。 ・(実習に関して)日頃の授業とどのように結びついているのか,また,分野ごとに違 いがあるのか興味がある。また,3年次どのように活用しているかも知りたい。 ・2年ぶりに「さきがけ」の座学を担当したが,一昨年までの感覚を少し忘れてしまっ ていた。 ・パソコンを使い慣れている生徒は早いので,進度が違うので応用問題等を解かせない と遊んでしまう。 (インターネットを使って他のことを始めてしまうので注意が必要) ・作業,パソコン操作に想定より時間を取り,後半の時間配分が十分でなかった。 ・パソコン演習について,1クラス単独実施はやりやすかった。例年より生徒のレベル は下がったように思える。 ・初めて先生どうしのパソコン勉強会なしで行ったので私としては楽だった。その意味 で完成形でしょう。 【「数学ⅡB演習」の授業内容について(反省点,改善点,生徒の様子, レポート結果,事前準備など)】 ・何人かやる気のない生徒がいたり,今までよりばらつきを感じるが,全体的には良い。 ・プリントを回収すると復習しづらいとは思ったが,内容その他は全く問題ないと思う。 【2学期にも数学と専門の教員によるティームティーチングを行うとしたら, どのような内容が考えられますか?】 ・専門の分野でも重要な部分で,数学のカリキュラム上(または少しこえているもの) がいいと思う。 ・昨年までと同様に三相交流や送電の話題を専門分野の方で取り入れてTTで進めなが ら,そのベースに数学の活用を位置づけて行ければと思う ・フーリエ変換とか微分方程式による回路解析など(でも2年には無理ですよね) 【その他,ご意見がありましたらお書き下さい。】 ・良いサイクルになっているので,この形を継続させたい。 (ⅲ)研究第4年次の第2学年2学期の「数学さきがけ」(今年度の2年生) これも研究第1・第2・第3年次と同様に,コメント式のアンケートを以下の 項目に対して実施した。主な傾向を示す。 【生徒の希望で「数学さきがけ」と「数学ⅡB演習」に分けて実施したことについて】 ・生徒の主体的な選択により履修することは良いが,「演習」を希望しないから「さき がけ」を受講するという選択が行われていることも考えられます。 【補講期間に,2時間×3回という時間数で実施したことについて】 ・演習組にはやや多い。「さきがけ」で2時間×2回が可能ならば4時間くらいが良い が,取り扱う内容に照らして適当と思う。 【数学と専門の教員によるティームティーチングの形態で授業を実施したことについて】 ・良い。観点を違えた話が聞けるということで有効なものと思います。 ・今年度は専門教員の授業担当が替わりましたが,事前準備の段階から前年度担当教員 が行った過去の授業ビデオを見て研究するなど,大変熱心に取り組み,良好な協力関 係が昨年度までと同様に継続されました。 【「数学さきがけ」の授業内容について(反省点,改善点,生徒の様子,レポート結果など)】 ・生徒は熱心だが,受講生徒が多かった分,やる気のない生徒も多かった。希望調査時 の指導を細かく行った方がよい。 ・2年ぶりに前半部分の授業を担当しましたが,通常の授業では扱わないような様々な 話題を取り上げることが出来,やっていてとても楽しかった。 ・時間に対して内容が不足する結果となり,改善が必要であると思います。 【「数学ⅡB演習」の授業内容について(反省点,改善点,生徒の様子,レポート結果など)】 ・欠席がとても多い。取り組む生徒も内容を忘れていたので,解説しながらやっている と,とても時間がかかりました。 ・演習プリントは集めないか,集めてもすぐ返却する方がいいと感じました。(復習し づらい) 【その他,今後の「数学さきがけ」に関連して何でも結構ですのでお書き下さい。】 - 88 - ・(昔の入戸野先生のような)一目で目を引く何かのネタがあるといいと思います。な かなか難しいのは良く分かりますが,例えば,最初に「配電に使われていることです」 のように,あまりネタバレにならない程度に興味を引いてみることがあると良いかも しれません。 ・このような試みはとても良いと思います。物理や化学でも2年のうちにあるといいの ではないでしょうか。 ・SSH5年次終了後どのように対処するのか,(「数学さきがけ」を含め,さきがけ全 般について)考える時期かと思います。 1.どう充実させるのか(精選も必要か?) 2.どう教員の負担を減らすのか ② 第3学年の「数学さきがけ」 (ア)生徒用アンケート 研究第4年次も,研究第2・第3年次と同様に,事前・事後に,次の項目につい て,5段階評価で意識調査を行った。(事後に尋ねた,「現時点(今日現在)で進路 先は既に決まっていますか。」についてだけは,「はい・いいえ」の二択で尋ねた) ・普段,「数学の学習」はどの程度必要だと感じていますか。(事前) 「数学」と「物理や化学,工業」はどの程度関連性があると感じていますか。(事前) ・普段, ・普段,未知の値を求めたり事象を解析したりする際に, 「数学」はどの程度役立つと感じていますか。(事前) ・現時点(今日現在)で進路先は既に決まっていますか。(事後:はい・いいえ) ・今回扱った,次のそれぞれの内容はどの程度理解できましたか。(事後) 区間に無限大を含む積分(広義積分)の計算 積分したときの積分定数Cが,保存する物理量を意味すること lim Σを積分に直して計算する方法の,さまざまな場面における活用 内積を活用して,2つのベクトルの同じ方向の成分を扱うこと 外積を活用して,2つのベクトルに対して垂直な方向の量を扱うこと 置換積分を活用して,エネルギーや電場・磁場などのさまざまな量を計算すること 微分方程式を活用して,物体の運動や反応速度などのさまざまな事象を扱うこと 微分・積分を活用して,交流電流や交流電圧などの時間的に変化する量を扱うこと ・今回の授業を受けて,「数学の学習」はどの程度必要だと感じますか。(事後) ・今回の授業を受けて,「数学」と「物理や化学,工業」はどの程度関連性が あると感じますか。(事後) ・今回の授業を受けて,未知の値を求めたり事象を解析したりする際に, 「数学」はどの程度役立つと感じますか。(事後) ・今後,あなたにとって未知な課題に挑む際に,「数学」はどの程度有効な 道具になり得ると思いますか。(事後) ・今後,あなたにとって未知な課題に挑む際に,「数学」をどの程度積極的に 活用したいですか。(事後) ・今回の授業では,実は,「高大接続」を意識して,高校では本来学習しない ような発展的な内容を数多く題材として取り入れていました。(事後) このことについて,実施前(2学期後半の授業開始時)に不安はありましたか。 [※「不安はあった」方を1,「不安はなかった」方を5として尋ねた] このことは,実施後の現時点(今日現在)では,結果的にはよかったですか。 結果は次の通りである。 さきor演 さきがけ 合計 平均値 度数 標準偏差 平均値 度数 標準偏差 必要前 4.53 19 .513 4.53 19 .513 関連性前 4.63 19 .496 4.63 19 .496 役立つ前 4.58 19 .607 4.58 19 .607 必要後 4.72 18 .575 4.72 18 .575 関連性後 4.72 18 .575 4.72 18 .575 - 89 - 役立つ後 4.78 18 .428 4.78 18 .428 有効だ 4.50 18 .514 4.50 18 .514 活用 4.06 18 1.056 4.06 18 1.056 前不安無 3.17 18 1.505 3.17 18 1.505 後結果良 4.39 18 .850 4.39 18 .850 さきor演 さきがけ 合計 平均値 度数 標準偏差 平均値 度数 標準偏差 無限積分 4.39 18 .608 4.39 18 .608 C保存 4.22 18 1.215 4.22 18 1.215 limΣ 4.17 18 .707 4.17 18 .707 内積活用 4.44 18 .856 4.44 18 .856 外積活用 4.22 18 1.003 4.22 18 1.003 積エ電磁 4.39 18 .778 4.39 18 .778 微方程式 4.22 18 .878 4.22 18 .878 微積交流 4.33 18 .970 4.33 18 .970 事前・事後の比較では, 「「数学の学習」はどの程度必要だと感じていますか」 「「数 学」と「物理や化学,工業」はどの程度関連性があると感じていますか」「未知の 値を求めたり事象を解析したりする際に,「数学」はどの程度役立つと感じていま すか」のいずれにおいても,研究第3年次と同様に事前の平均値が既にかなり高い 値であり,事前の平均値と事後の平均値には有意差は認められなかった。 「「高大接続」を意識して,高校では本来学習しないような発展的な内容を数多 く題材として取り入れていました」ということに関して事後に尋ねた結果では, 「実 施前に不安はありましたか」の平均値と「実施後の現時点では,結果的にはよかっ たですか」の平均値の比較から,研究第2・第3年次と同様に,事後ではかなり肯 定的に受け止められるようにまでなっていた様子がうかがえる。なお,事後に尋ね た「今回扱った,次のそれぞれの内容はどの程度理解できましたか」における8つ の項目については,平均値が8項目すべてについて4.1以上となり,研究第2年次 には平均値が4項目について3.5未満,研究第3年次には平均値が8項目すべてに ついて3.5以上であったことと比較して,大幅な向上が見受けられた。 (イ)事後の学力調査 研究第2・第3年次における第3学年の「数学さきがけ」では成績評価と研究評 価を兼ねた学力調査を目指したが,研究第2年次と研究第3年次で異なる形式とな ったため,年次間の比較ができなくなってしまった。そこで,研究第4年次では, 成績評価のための学力調査とは別に,事前・事後に4点満点の小テストを新たに導 入し,成果を検証を試みた。 【事前小テスト問題】 置換積分および半角の公式を利用する積分に関する出題 【事後小テスト問題】 上述の事前小テストと同等程度の出題 さきor演 さきがけ 結果は次の通りである。 事前・事後の比較では,事前の平均値よりも事 合計 後の平均値がわずかに上回ったが,有意差は認め 平均値 度数 標準偏差 平均値 度数 標準偏差 小テ点前 2.74 19 1.522 2.74 19 1.522 小テ点後 2.84 19 1.675 2.84 19 1.675 られなかった。 なお,定着度を評価(成績評価)するために事後に実施した100点満点の2学 期期末試験では,「数学さきがけ」の生徒19名の平均値は83.6点と概ね良好であ った。(なお,成績については,テストのみでなく,課題レポートの提出状況・学 習態度などを総合的に判断して評価した) (ウ)教員用アンケート 以下の項目に対するコメント式のアンケートを実施した。主な傾向を示す。 【「数学さきがけ」と「演習」4コースの分け方について】 - 90 - ・おおむね良いが,Xを選んで苦労した生徒がいたり,コースにより偏りができたよう なので,X と Y の間に基準(テストの得点など)を設けたり,1回目の教材を配布す るなど,事前の説明をもう少し詳しく行う方がよい。 【コース毎の授業実施に伴い,苦労されたことについて】 ・「さきがけ」では(毎年のことだが)少数のモチベーションの低い生徒に対する指導, 「演習」では教材準備,テストの実施,採点等 が大変だった。 【コース毎の授業を実施した上での問題点について】 ・レベル差がありすぎて,どこに合わせるべきかで苦労しました。 ・生徒の実力に開きがあり,問題の難易度に工夫が必要だったり,希望で選んだのに問 題を全く解かない生徒がいた。 【コース毎の授業における生徒の様子について】 ・だいたいの生徒は真剣に取り組んでいたが,中には欠席の多い生徒も数人いた。 ・真剣に取り組む生徒と,もう大丈夫と気がゆるんでいる生徒が混在する。 【来年に向けての改善点について】 ・さきがけコースの事前・事後の小テストが,対象の生徒たちにとっては問題が易しす ぎたようで平均点が高く,有意差が見られませんでした。今後は適切な難易度・分量 を検討したい。 ・XとYの人数調整,レベル調整をしてもよいのでは。40人以上のコースができてし まったので,授業効率が上がるように,担当教員を増やしてほしい。 ・期末試験共通問題の配点を変更したのは良かったと思う。 【その他,「数学さきがけ」全般に関連して何でも結構ですのでお書き下さい。】 ・来年度でこのSSHが終わりますが,終了後にどうするかをそろそろ考えておいた方 が良いと思います。 ・さきがけの実施はとてもいいことだと思います。大学の授業は説明が分かりづらく, 内容も今までとは異なる部分も多いので,高校で少しでも学べるのはとてもいいと思 います。 (エ)副読本「数学さきがけ(試作版)」に対する東京工業大学教員アンケート 平成14~17年度のSSHで開発した副読本「数理応用」をベースに作成を進 めている副読本「数学さきがけ(試作版2008)」について,主に新たな記述を加えた 部分に関して,東京工業大学教員アンケートを実施した。東京工業大学名誉教授の 藤井光昭先生(元理学部長,元大学院情報理工学研究科数理・計算科学専攻教授) から,以下のご回答をいただいた。(文中のX教授は原文では実名であるが伏せてあ る) 「検定」の考え方まで記載したことについては,副読本としては,大変結構ではない でしょうか。ドモアルブル・ラプラスの証明を加えたことについては,たしかに「なぜ 正規分布で近似できるのか」という疑問は当然起こりますので,それに答えるために入 れられたものと思い,そのご意欲には敬意を表します。私も東工大の数学科と情報科学 科の講義だったから入れたのですが,他の学科の講義だったらこのような証明は省き意 味を詳しく説明する方法をとったかも知れません。また現在,X教授が担当しておられ ますが,X教授らが東工大2年次を頭において書かれたテキスト「工学のためのデータ サイエンス入門」(数理工学社)では中心極限定理は結果とシミュレーションによる確 認のみしか書かれていません。多くの大学の講義で,省いておられるのではないかと思 います(数学科の専門講義では別ですが)。数学的な準備が十分でない高校生が果たし て理解できるのかがよく分かりません。副読本だから良いのではとも考えられますが, せっかく苦労して書かれても読み飛ばされる可能性はないのでしょうか? まず,例えば「検定」のような発展的な内容を扱うこと自体については,副読本と いう位置づけならば容認できるという評価をいただいたものと言えよう。一方,数学 - 91 - 的な準備が十分でない部分については,数学科や情報科学科のような理学系をターゲ ットにするか工学系をターゲットにするかで判断が分かれるという示唆も含まれた。 一概に「理工系」とくくってよいか,あらためて考える必要があるかも知れない。 ③ 「物理さきがけ」 (ア)生徒用アンケート 昨年度(研究第3年次)の試行の際と同様に,各学期毎に生徒アンケートを実施 した。次の項目について,5段階で意識調査を実施した。「物理さきがけ」グルー プは事前と事後の両方で実施し,その他のグループは事前のみ実施した。 1.高校の物理に興味・関心がありますか。(事前・事後) 2.教科書には載っていない発展的な内容を学習したいと思いますか。 (事前・事後) 3.今回の授業を理解できたと思いますか。(事後のみ) 4.今回の授業は大学での学習に役立つと思いますか。(事後のみ) 結果の概略は以下の通りである。 (ⅰ)1学期 生徒アンケート結果 選択した授業グループごとに分析すると,以下の通りとなった。 全体的な傾向は,昨年度の試行の際に実施したアンケートと比べ,大きな変化 はなかった。①「物理さきがけ」を選択した生徒は,「1.高校の物理に興味・関 心がありますか。」と「2.教科書には載っていない発展的な内容を学習したいと 思いますか。」の質問に対し,事前・事後ともに肯定的な意見が多かった。 また,「4.今回の授業は ① 物理さきがけ(回転系の力学入門)選択者 回答数 33名 (2008年7月 事前・事後) 大学での学習に役立つと 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 思いますか。」の質問に 前1興関 対して,90 % を超える 前2発展 生徒が肯定的な意見であ 後1興関 った。これは,「回転系 後2発展 非常に思う 5 4 3 2 全く思わない1 後3理解 の力学入門」を内容とし 後4役立つ て選んだ際に意図した, 「専門分野や大学初年度 ② 問題演習を中心に取り組むグループ 回答数 62名 (2008年7月 事前のみ) への学習になめらかに接 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 続させる」ことに対して, 非常に思う 5 4 3 2 全く思わない1 前1興関 意図した通りの結果が得 られたと考えられ,評価 前2発展 できる。一方,「3.今回 ③ 基本事項の定着をはかるグループ 回答数 36名 (2008年7月 事前のみ) の授業を理解できたと思 いますか。」で肯定的な 回答した生徒は昨年度よ 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 非常に思う 5 4 3 2 全く思わない1 前1興関 り若干減少した。これは, 前2発展 今年度から,事後学力調 査を実施しため,生徒に 図1 1学期「物理さきがけ」生徒アンケート結果 (授業グループごと) よっては肯定的な回答を - 92 - 避けた結果と思われるが,今後,「物理さきがけ」としての授業内容を工夫する ことにより,肯定的意見を増加させたい。 (ⅱ)2学期 生徒アンケート結果 選択した授業グルー ① 物理さきがけ(特殊相対論入門)選択者 回答数 25名 (2008年12月 事前・事後) プごとに分析すると, 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 以下の通りとなった。 前1興関 1学期と同様に,全 前2発展 体的な傾向は,昨年度 非常に思う 5 4 3 2 全く思わない1 後1興関 の試行の際に実施した 後2発展 アンケートと比べ,大 後3理解 きな変化はなかった。 後4役立つ ①「物理さきがけ」を ② 問題演習を中心に取り組むグループ 回答数 68名 (2008年12月 事前のみ) 選択した生徒では, 「1. 高校の物理に興味・関 心 が あ り ま す か 。」 と 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 非常に思う 5 4 3 2 全く思わない1 前1興関 「2.教科書には載って 前2発展 いない発展的な内容を 学習したいと思います ③ 基本事項の定着をはかるグループ 回答数 33名 (2008年12月 事前のみ) か。」の質問に対し,肯 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 定的な回答をした生徒 非常に思う 5 4 3 2 全く思わない1 前1興関 の割合は,事前に比べ て事後の方がそれぞれ 前2発展 十数ポイントずつ増加 図2 している。これは,「特 2学期「物理さきがけ」生徒アンケート結果 (授業グループごと) 殊相対論入門」を内容 として選んだ際に意図した,「2つの基本的な公理から新しい理論を導き出す過 程を学習することで「いどむ」力を育む」ことに対して,意図した通りの結果が 得られたと考えられ,評価できる。一方,「3.今回の授業を理解できたと思いま すか。」で肯定的な回答した生徒は,1学期と同様に昨年度より減少した。これ も,事後学力調査を実施したことの影響が考えられる。概念的に難しい内容であ るため,今後,「物理さきがけ」としての授業内容を工夫することにより,少し でも肯定的な意見を増加させたい。 (イ)事前・事後の学力調査 今年度(研究第4年次)から,「物理さきがけ」を受講した生徒に対して,事前 ・事後の学力調査を実施した。結果の概略は以下の通りである。 (ⅰ)1学期「物理さきがけ」 事前・事後の学力調査 【事前学力調査の問題】 - 93 - 1.アトウッドの滑車についての問題 (1) 滑車の質量が無視できる条件で運動方程式を立て,それを解く ことで,重力加速度の大きさ g を mA ,mB ,a を用いて表す。 2 (2) (1)の方法で実験して g を求めると 9.8〔m/s 〕より小さい値 になるが,その理由を考察する。 A a B なめらか な壁 B 2.剛体のつり合いについての問題 (1) なめらかな壁とあらい床に立てかけた梯子を 人が登る状況を設 定。力のモーメントの つり合 いと,力のベクトルのつり合いから,床から加 えられる垂直抗力と静止摩擦力の大きさを求め る。 a はしご 梯子 G 4.0〔m〕 x (2) 静止摩擦係数を与え,人が梯子を登っていく A あらい床 3.0〔m〕 と,どこで梯子がすべり出すかを求める。 【事後学力調査の問題】 1.アトウッドの滑車についての問題 (1) 滑車の慣性モーメントが無視できる条件で運動方程式を立て,それを解くこと で,重力加速度の大きさ g を mA ,mB ,a を用いて表す。 (2) 滑車の慣性モーメントを考慮し,滑車の回転の運動方程式も合わせて解くこと で,重力加速度の大きさ g を mA ,mB ,a ,および滑車の質量 M を用いて表す。 ※ この 1(2) が今回の「物理さきがけ」で新しく学習した内容である。 2.剛体のつり合いについての問題 (1) あらい壁に軽い棒を当て,棒の他端を壁から 斜めに糸でつるして棒を水平に保つ。この棒に 質量 m〔kg〕のおもりをつるす状況を設定する。 (棒は軽くて質量は無視できる。)力のモーメ ントのつり合いと,力のベクトルのつり合いか ら,壁から加えられる垂直抗力と静止摩擦力の A 大きさを求める。 (2) 静止摩擦係数を与え,おもりをつるす位置を 壁側に近づけていくと,どこで棒がすべり出す かを求める。 3 sinθ = 5 l x θ P B m 事前・事後学力調査の結果は以下の通りである。 表14 事前 事後 1学期「物理さきがけ」 1 アトウッドの滑車 (1)の正答率 (2)の正答率 57.2 % ※1 92.7 % 55.8 % 事前・事後学力調査の結果 2 剛体のつり合い (1)の正答率 (2)の正答率 25.7 % 9.1 % 74.3 % 30.3 % ※1 事前1(2)では,重力加速度の値が小さくなる理由を考察させた。 - 94 - その理由として挙げられた主なものは,以下の通りである。 滑車の摩擦力のため … 21 人(63.6 % ) 空気抵抗のため ……… 11 人(33.3 % ) 糸の質量のため ……… 3 人( 9.1 % ) 測定時の誤差のため … 3 人( 9.1 % ) 糸の伸び縮みのため … 2 人( 6.1 % ) 滑車の質量のため …… 1 人( 3.0 % ) 事前の1(1)と事後の1(1)は同じ内容で,本校では第1学年で学習済みである。 正答率を比較すると,事前の 52.7 % に対して,事後は 92.7 % と大きく向上し ている。また,事前の2と事後の2は,剛体の静力学についての同程度の問題で, 本校では第1学年の「物理Ⅰ」で学習した内容である。(事前事後とも(1)が一般 的な問題,(2)がやや難易度の高い問題である。) こちらの正答率も,事前に比 べて事後の方が大きく向上している。このことは,発展的な内容を学習したこと で,それに関連する既習事項についての理解が深まったと考えられる。 一方,事後の1(2)は,今回の「物理さきがけ」で新しく学習した発展的内容 についての問題である。これに関連して事前1(2)では,重力加速度の値が小さ くなる理由を考察させた。この設問に対して,発展的な内容として学習した「慣 性モーメント」につながる理由と考えられる「滑車の質量のため」を挙げた生徒 は1人(3.0 % )しかいなかった。事後の1(2)では「慣性モーメント」を考え て回転の運動方程式を解くことで正答を得られる。それを踏まえると,事後の1 (2)の正答率 55.8 % は,発展的な内容がかなりの割合で定着したと評価できる。 (ⅱ)2学期「物理さきがけ」 事前・事後の学力調査 【事前学力調査の問題】 1.速度の合成に関する問題 川の速さは u〔m/s〕であり,川幅は L〔m〕である。静水中を c〔m/s〕で進む 船が川岸に対して平行に L〔m〕の距離を往復する時間と,川岸に 対して垂直に L〔m〕を1往復する時間を答える。 静水中を c〔m/s〕で進む船 L〔m〕 u〔m/s〕 L〔m〕 L〔m〕 u〔m/s〕 静水中を c〔m/s〕で進む船 2.ガリレイ変換に関する問題 物体の時間と位置を調べた表より,物体の加速度を求める。また,観測者が運動 している場合の加速度はどうなるか答える。 3.フィゾーの光速測定に関する問題 光の速さを求めるフィゾーの実験の原理を答える。 4.マイケルソン干渉計に関する問題 光が2方向に分かれて進む場合,光の道すじの差による干渉に関する問題を答える。 - 95 - 【事後学力調査の問題】 1.速度の合成に関する問題 鏡 M2 図のような実験装置があり,光は二つの道すじを 通って検出器に到達する。この二つの道すじで,光 が OM1 を往復する間の時間と,OM2 を往復する間 の時間を答える。 半透鏡 O 鏡 M1 光 2.ガリレイ変換に関する問題 物体の時間と位置を調べた表より,物体の加速度 を求める。また,観測者が運動している場合の加速 度はどうなるか答える。 地球の速度 v 検出器 3.ローレンツ変換に関する問題 2 つの慣性座標系 O-x,O' -x' を設定することと,光速度不変の原理より,ローレ ンツ変換である次の式を導く。 x '= v x c2 t- x-v t 1 -β 2 , t'= 1 -β 2 事前・事後学力調査の結果は以下の通りである。 表15 2学期「物理さきがけ」 事前・事後学力調査の結果 速度の合成 ガリレイ変換 光速測定 干渉計 ローレンツ変換 正答率 正答率 正答率 正答率 正答率 事前 66.0 % 32.0 % 42.4 % 42.0 % 事後 86.3 % 30.0 % 71.2 % 速度の合成に関しては,事前調査の「船が川を往復する」問題は,本校では第 1学年で学習済みである。事前調査の問題と事後調査の「光が鏡を往復する」問 題は絶対静止系で考えると全く同じ形式であり,正答率を比較すると,事前の 66.0 % に対して,事後は 86.3 % と大きく向上している。このことは,発展的な内容 を学習したことで,それに関連する既習事項についての理解が深まったと考えら れる。また,ガリレイ変換に関する問題は,事前の 32.0 % に対して,事後は 30.0 % となっている。ガリレイ変換による加速度運動の不変性について,さらなる 指導の改善が必要であると考えられる。 光速測定や干渉計については,事前調査のみ行い,ローレンツ変換については 事後調査のみとした。これは,ローレンツ変換に関しては,特殊相対性理論を学 習していない状態で調査することに意味がないと考えたためである。事後調査で のローレンツ変換の問題では、正答率は 71.2 % となり,発展的な内容がかなり の割合で定着したと評価できる。 ④ 第3学年の「3学期さきがけ」 (ア)生徒用アンケートの内容 次のような質問を受講した生徒に尋ねた。 - 96 - 3年生3学期さきがけ講座アンケート 3学期のさきがけ講座についてのアンケートです。今後の参考にしたいと思いますので, 協力して下さい。分析の都合上,氏名も記入してもらいますが,結果が成績や進路等に 影響することはありませんので,正直に回答して下さい。 さきがけ教育研究会・教務部・進路部 3年 科 番 氏名 1.次の項目について5段階評価で評価し,その数字に○印をつけて下さい 数字に○印をつけて下さい。 数字に○印をつけて下さい (1)講座の総時間は………… 多い 5 4 3 2 1 少ない (2)講座の科目数は………… 多い 5 4 3 2 1 少ない 2.受講した科目すべてに○印をつけ,それらの科目に対して 受講した科目すべてに○印をつけ,それらの科目に対して次のア~ウの項目 受講した科目すべてに○印をつけ,それらの科目に対して について5段階評価で評価し,その数字を 数字を□の中に記入して下さい。 の中に記入して下さい ア:授業の内容が理解………… できた 5 4 3 2 1 できなかった イ:内容に興味・関心が……… 持てた 5 4 3 2 1 持てなかった 思う 5 4 3 2 1 思わない ウ:大学での学習に役立つと…… (1)国語① ア: イ: ウ: (2) 国語② ア: イ: ウ: (3)日本史特講I ア: イ: ウ: (4)解析学入門A ア: イ: ウ: (5)数理I ア: イ: ウ: (6)数理A ア: イ: ウ: (7)衛星授業A ア: イ: ウ: (8)線形代数I ア: イ: ウ: (9)原子物理学入門I ア: イ: ウ: (10)有機化学I ア: イ: ウ: (11)英語I ア: イ: ウ: (12)英語A ア: イ: ウ: (13)ALC ア: イ: ウ: (14)化学実習英語A ア: イ: ウ: (15)プログラミングI ア: イ: ウ: (16)電磁気学Ⅰ ア: イ: ウ: (17)電磁気学A ア: イ: ウ: - 97 - (18)数値計算A ア: イ: ウ: (19)電子情報実験A ア: イ: ウ: (20)機械システム特論 ア: イ: ウ: (21)電気理論I ア: イ: ウ: (22)建築計画A ア: イ: ウ: (23)建築構造A ア: イ: ウ: 3.その他,講座のやり方や内容について,意見・感想を書いて下さい。 ご協力ありがとうございました (イ)生徒用アンケートの結果 結果は次の通りである。 (ⅰ)総時間・科目数 有効人数 総時間 科目数 45 (56) 45 (56) 評価と人数分布 5 4 3 2 10 16 17 1 (11) (14) (13) (4) 8 14 22 1 (10) (11) (30) (8) 平均 1 1 (1) 0 (1) 3.73 (3.54) 3.64 (3.45) 下段カッコ内の数値は,昨年度の結果である。「総時間」に関しては昨年度落 ち着いた感があったが、元にもどり多いと感じる生徒が増えた様子が伺える。ま た,科目数の多少については、選択することのできる科目数が増えた影響か今年 はさらに多いと感じる生徒が増えている。 (ⅱ)授業の内容が理解できたか 有効人数 国語① 国語② 日本史 解 析 数理I 数理A 衛 星 代 数 原子物 有機化 英語I 英語A ALC 化学英 13 2 0 19 41 25 17 41 17 4 23 19 30 6 5 1 0 0 4 10 3 0 13 6 4 4 5 16 3 評価と人数分布 3 2 4 4 2 0 0 0 5 9 18 9 10 7 7 6 18 8 7 2 0 0 7 10 8 5 10 4 3 0 平均 4 - 98 - 1 3 0 0 1 1 2 3 2 0 0 2 1 0 0 1 0 0 0 3 3 1 0 2 0 0 0 0 0 3.08 4.00 3.63 3.76 3.32 3.12 4.02 3.88 5.00 3.57 3.89 4.40 4.50 プログ 電磁I 電磁A 数 値 電情実 機 械 電 気 建計画 建構造 0 0 3 3 0 8 2 5 6 0 0 0 1 0 3 1 0 2 0 0 3 2 0 4 1 3 3 0 0 3 0 0 1 0 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4.00 4.33 4.25 4.50 3.60 4.17 講座数が増えたことと選択制を導入したことにより,全般的にデータ数が少な いが,平均値として3.00を下回ったのはこれまで「衛星授業A」であったが、今 年は 3.12 となった。授業内容・担当教授が変わったことによるものであろうが、 東工大の学部1年向けに行われている授業を衛星回線を通じて受信・録画し,生 徒にそのまま再生して見せる形式のため,難易度も高いし授業展開も速いことは 変わらないため、他の科目に比べると敷居が高いようだ。これに反して理解度が 比較的高いのは,理科と専門に属するものであった。特に理科の講座は,選択科 目であり意欲のある生徒が集まり,授業運営も行いやすかったと担当教員がアン ケートに答えており,選択制導入の効果が現れている。また専門科目でも,各分 野ごとに実験・実習を伴う具体的な内容のものや、進路先の専門をより深く知ろ うとする生徒の態度により理解度が高くなったものと考えられ,この傾向は、継 続して同様に見受けられるものである。 (ⅲ)内容に興味・関心が持てたか 有効人数 国語① 国語② 日本史 解 析 数理I 数理A 衛 星 代 数 原子物 有機化 英語I 英語A ALC 化学英 プログ 電磁I 電磁A 数 値 電情実 機 械 電 気 建計画 建構造 13 2 0 19 41 25 17 41 17 4 23 19 30 6 0 0 3 3 0 8 2 5 6 5 2 1 0 4 7 8 1 5 3 3 1 4 8 4 0 0 1 2 0 3 1 0 3 評価と人数分布 4 3 3 2 1 0 0 0 9 3 21 6 10 4 7 7 17 16 8 3 1 0 9 9 7 7 10 9 2 0 0 0 0 0 2 0 1 0 0 0 4 4 1 0 3 2 2 1 平均 2 4 0 0 2 5 1 0 3 1 0 2 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 2 0 0 1 2 2 2 0 2 0 2 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2.92 4.50 3.68 3.63 3.84 3.29 3.59 3.53 4.75 3.22 3.68 3.73 4.67 4.33 4.67 4.25 4.50 3.60 4.33 やはり,(ⅱ)と同様に少人数で行っている専門系で高い数値を示している。 - 99 - (ⅳ)大学での学習に役立つと思うか 有効人数 国語① 国語② 日本史 解 析 数理I 数理A 衛 星 代 数 原子物 有機化 英語I 英語A ALC 化学英 プログ 電磁I 電磁A 数 値 電情実 機 械 電 気 建計画 建構造 13 2 0 19 41 25 17 41 17 4 23 19 30 6 0 0 3 3 0 8 2 5 6 5 2 1 0 13 25 16 8 20 10 4 9 7 10 6 0 0 0 0 0 3 1 2 4 評価と人数分布 4 3 3 2 1 0 0 0 5 0 9 5 4 3 5 1 9 11 2 4 0 0 3 9 8 3 11 7 0 0 0 0 0 0 3 0 2 1 0 0 2 3 1 0 2 1 1 1 平均 2 2 0 0 1 1 1 1 1 0 0 2 1 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 4 0 0 0 1 1 2 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2.77 4.50 4.58 4.37 4.32 3.94 4.17 4.18 5.00 3.83 4.11 3.97 5.00 4.00 3.67 4.00 4.50 4.20 4.50 概して高い数値を示しているが,中でも「解析A」「数理Ⅰ」「数理A」などの 数学の科目は,必ずしも理解度は高くないものの大学で必要と感じており、この ような講座が複数あるのは特筆すべき点で,このような講座こそ3学期さきがけ で重点的に取り組むべき内容と考える。 (ⅴ)意見・感想 記述されたもののうち、時間割に対する要望が今年も大半を占めた。また、本 講座を受けることができたことで、大学での授業にスムーズに対応できると感じ ていると記入している生徒も複数いた。 ⑤ 調査・追跡 (ア)“教育実習生対象 大学での履修等に関するアンケート”の実施内容 “教育実習生対象 大学での履修等に関するアンケート”は以下の通り実施した。 実施時期 平成20年6月,9月 依頼方法 本校教育実習期間中に本人に直接依頼 対象者 本校教育実習生(東京工業大学学生,本校卒業他大学生) 回答者数 20名(6月),10名(9月) 昨年度と同様に,後述の“卒業生対象 大学での履修等に関するアンケート”と比 較のためほぼ同一のものとした。 アンケート用紙は第2年次報告書の関係資料とほぼ同じである。 (イ)“教育実習生対象 大学での履修等に関するアンケート”の結果 - 100 - 表16 高校でも扱っておいた方がよい内容(発展領域)と高校時代にもっと学習しておいた方 が よ い 内 容 (高 校 領 域 )の 大 学 で の 所 属 系 ご と の 領 域 別 平 均 大学での所属系 回答者数 数学発展 物理発展 数学系 12 3.03 2.76 物理系 10 2.33 2.99 化学系 13 2.51 2.91 機械系 5 3.25 3.17 電気系 4 3.25 3.07 情報系 7 2.94 2.56 建築系 1 2.50 2.43 材料系 5 2.63 3.23 生物系 3 2.97 3.94 医薬系 0 その他 3 3.58 3.38 全体 63 2.82 2.97 表17 化学発展 数学高校 物理高校 化学高校 1.80 4.05 3.68 2.88 2.02 3.11 3.15 2.67 3.51 3.25 4.00 3.87 2.30 3.63 3.70 3.85 3.85 4.16 4.00 2.00 2.49 3.75 3.25 3.11 2.00 3.75 4.00 3.25 3.36 3.35 4.05 4.47 3.73 4.50 4.25 3.92 3.27 2.61 3.29 3.70 3.25 3.65 3.50 3.31 高校でも扱っておいた方がよい内容(発展領域)と高校時代にもっと学習しておいた方 が よ い 内 容 (高 校 領 域 )の 大 学 で の 所 属 系 ご と の 高 得 点 で あ っ た 内 容 大 学 で の 所 属 系 回 答 者 数 発 展 領 域 の 内 容 (平 均 4.2以 上 ) 数学系 12 複 素 平 面 , 集 合 論 理 物理系 10 化学系 13 機械系 5 複素平面,微分力学,微分方程 式を用いた運動方程式 電気系 4 外積,複素平面 情報系 建築系 材料系 生物系 医薬系 その他 全体 7 1 微分方程式を用いた運動方程 式,偏微分全微分,回転力学 5 複素平面,熱力学 3 線形代数,微分力学,微分方程 式を用いた運動方程式,生命化 学他 0 3 複素平面他 63 高 校 領 域 の 内 容 (平 均 4.2以 上 ) 行列 指数対数,微分積分,力学 三角関数,指数関数,ベクトル ベクトル,微分積分,行列, 電磁気 力学,電磁気 微分積分,力学,無機化学他 三角関数,指数関数,微分積 分,波,電磁気学,酸化還元, 有機化学 微分積分他 まず表16より,大学での所属系に関わらず,発展領域より高校領域が概して高得点 である。これは,発展領域は内容によっては扱ってもよいが,まずは高校領域をしっ かりと学習すべきと考えていると思われる。 次に,数学系,物理系,化学系の回答者は,それぞれ対応したの発展領域で高得点 である。このことから,自分の進む所属系の内容に関しては,高校段階で発展領域を 学習してもよいと考えていると思われる。他の所属系に関しては,回答者数が少なく, またそれぞれの所属系で学習する内容も複合していると思われることもあり,一概に は言えない。 また,大学での所属系ごとの高得点な内容は表17の通りである。回答者によって, 得点の平均が高かったり低かったりするので,差異を見いだすのは難しいが,例えば - 101 - 建築系で回転力学が,生物系で生命化学が高得点であることから,自分の所属系に, より密接に関連している内容で高得点となる傾向があると思われる。 (ウ)“卒業生対象 大学での履修等に関するアンケート”の実施内容 は,以下の通り実施した。 5 実施時期 平成21年1月 依頼方法 郵送により文書で依頼 対象者 推薦入試等により大学に進学した本校卒業生 対象者数 大学4年生29名,大学1年生47名 回答者数 現在アンケート用紙を回収中である。 実施上の課題及び今後の方向 それぞれの活動における実施上の問題点や今後の方向性を示すが,最終年度となる研 究第5年次にはこれらについて充分に考慮しながら,研究を完成させたいと考える。 ① 第2学年の「数学さきがけ」 研究第4年次には,第3年次から引き続き,数学教員と科学・技術科教員のティー ム・ティーチングを継続でき,ティームティーチングの形態が確立できた。また,一 般化を目指して,異なる教員が担当することにおいても,第3年次に続き第4年次で は,従来とは異なる科学・技術科教員が授業を担当することを試みることができた。 今後は,実践事例を積み重ねて充実・完成させていきたい。 ② 第3学年の「数学さきがけ」 研究第4年次には,2学期後半に行う形としての実施形態がほぼ確立し,課題とな っていた事前・事後の小テストの導入も実現することができた。今後は,最終年度に 向けて,着実な学力向上も目指したい。 ③ 「物理さきがけ」 研究第4年次には,研究第3年次の試行を基に,2つの内容(「回転系の力学入門」 と「特殊相対論入門」)で「物理さきがけ」を実施できた。また,今年度から事前・ 事後学力調査も実施した。来年度の研究最終年次では,生徒アンケートや事前・事後 の学力調査の結果を参考にして,教材プリントの修正とともに,指導内容にも更に工 夫を加えていきたい。 ④ 第3学年の「3学期さきがけ」 教員アンケートについては,現在,収集し集計中であるため,結果報告等は,研究 第5年次報告書に掲載する。 ⑤ 調査・追跡 今年度もアンケートを実施できた。今後は,回答者の大学での所属系ごとに結果の 差があるか,高校での専門分野ごとに結果の差があるかを詳しく分析していきたい。 - 102 - Ⅳ 成果普及促進委員会の活動報告 1 概要 「成果普及促進のあり方についての研究」について,事業計画で以下のように記して いる。 “東京工業大学附属科学技術高等学校におけるスーパーサイエンスハイスクール研 究開発で得た科学技術教育における様々な成果を広く公開し,その普及をはかる。具体 的には日本教育工学協会などにて研究成果の報告を行う。また,他のSSH校と積極的 に交流し,情報交換につとめる。本校のホームページにSSH専用のホームページを立 ち上げ,研究成果をリアルタイムで公開し,その普及につとめる。” 2 経緯 初年度のSSHの活動からも,確実にその成果が得られている。その成果を広く校外 へ発信することにより,本活動の理解を社会的に深めることができるだけでなく,本校 の教育を理解して頂く一助となる。また,校外からの反応は,本校の活動をより促進す る力ともなり得ると考えられる。そこで,本年も生徒の校外での活動を奨励し,ホーム ページの充実を心がけた。 3 内容 (1)タイのカセサート大学附属高校への生徒派遣について 平成20年8月10日~14日にわたりタイ王国カセサート大学附属高校へ生徒5 人を派遣した。派遣にあたっては,国際性育成研究会主導のもと派遣生徒に対し,海 外渡航に関する事項や国際交流ということをふまえた事前指導を7月,8月に実施し た。また,2年生の「現代社会の授業において,同様にタイの文化・歴史・経済等の 授業を実施した。 (2)タイ派遣生徒校内報告会 タイでの体験の共有化わ図るため,2学期の始業式時に,全校生徒への簡単な報告 を実施し,2学期補講期間を利用して,所属クラスを対象にプレゼンテーションによ る報告会を開催した。プレゼンテーションは,前半は「タイでの体験に関する内容」, 後半は「タイと日本とが関係する所属の専門分野関連の調査内容」で行われた。 応用化学分野 12月16日(火)4限:報告者 3A生徒 テーマ「遺伝子組み換え技術(GM)とタイの関係」 情報システム分野 12月16日(火)2限:報告者 2B生徒 テーマ 「インターネットの環境とPCについての日本とタイの比較」 機械システム分野 テーマ 12月17日(水)5限:報告者 2D生徒 「タイ国内の電力供給について」 建築デザイン分野 テーマ 2C生徒 「自動車について:日本とタイの比較」 電気電子分野 テーマ 12月17日(水)2限: 報告者 12月16日(火)3限:報告者 2E生徒 「タイ王国-4つの地域と建築-」 報告会でアンケートを実施,以下の集計結果を得た。 質問1 今日の発表を見て(聞いて),タイに対するイメージはどう変わりましたか? 1.はい 2.いいえ - 103 - 質問2 今日の話を聞いて,(タイに限らず)海外への興味は高まりましたか? 1.はい 2.いいえ アンケート結果(グラフ内の数値は「人数」を示す) 2C 2A 2B 質問2 23 12 20 質問1 9 3 9 質問2 20 13 1 質問1 20 14 0 質問2 30 7 質問1 29 8 1 1 0% 50% 1 2 0% 100% 50% 1 なし 2D 質問2 27 質問1 28 0% 1 0% 50% 1 なし 2 100% なし 2E 9 1 5 4 50% 2 なし 2 100% 22 質問2 質問1 7 19 7 0 3 100% 0% 50% 1 2 100% なし (3)『「SSH事業の自己評価の取り組みについて」実施報告ならびに研究協議会』 平成20年11月14日神戸大学にて,SSH研究事業の自己評価に関しての実施 報告ならびに研究協議会が開催(主催神戸高校)された。 「SSH事業の自己評価の方法 や活用等について,各校の実践発表を通じて情報を得るとともに,研究協議を通じて 評価に関する成果や課題を共有し,SSH事業の質的向上への道筋をつける」という 主旨のものであり,本校も現段階での評価に関する状況について発表した。多くのS SH指定校が,自己評価について不十分であると感じており,またどのように行うべ きか悩んでいるという現状を踏まえて, 「自己評価」についての研究協議が行われるこ とになった。 実践報告した学校・教員は,以下の通りである(発表順,敬称略)。 群馬県立高崎高等学校 茂木 茂 東京工業大学附属科学技術高等学校 山口正勝 福井県立高志高等学校 三谷和範 岐阜県立岐山高等学校 加藤寿朗 岡山県立倉敷天城高等学校 辻 泰史 兵庫県立神戸高等学校 濱 泰裕 本校は,今後の研究活動を展開するにあたって,お互いの情報を共有することを目 的とし,集計結果を本実施報告書に掲載を予定することとして,アンケート調査を出 席者に依頼した。アンケートと集計結果を以下に記載するが,おおまかな傾向として, SSH研究活動全般では, 「理数系以外の教員の協力」に苦慮しており,学校全体での実 - 104 - 施に関しての苦労が伺える。また,この会の趣旨通り「自己評価」の方法にも苦労して いることが分かった。国際性に関しての今後については,「考慮中」「検討中」 が多かった。 アンケートの内容及び結果 *アンケートでは「□」の欄にチェック,また必要に応じてご記入をお願い致します。 (1)本校の発表内容についてお伺いします。 ① どのような点に最も興味を持たれ 80.0% ましたか。(複数回答可) 60.0% □活動組織形態 40.0% □科目等教育方法開発 20.0% 0.0% (「先端科学技術入門」,「科学 技術研究入門」,「さきがけ」) 組織形態方法開発 国際育成高大連携評価方法 □国際性育成に関わる取り組み □高大連携 □評価の方法 □その他(具体的にお書き下さい) ② 本日の発表の中でもっと詳しくお聞きになりたかった点がございましたら,ご記入下さい。 (2)SSHにおける生徒・教員の「国際性」を向上させるにあたってお伺いします。 ①「国際性」に関して,どのような活動, 50.0% 40.0% 30.0% 20.0% 10.0% 0.0% 研究を行っていますか。(複数回答可) □授業の中に教材を入れる □交換留学(国名等をお願いします □テレビ会議システムを用いた交流 □その他(具体的にお書き下さい) 授業教材 ② 交換留学 テレビ会議 国際交流をする場合,生徒と現地を訪 れる,海外の生徒を受け入れる際に,何 40% か実施していましたらお教え下さい。(複 30% 数回答可) 20% □早朝,放課後特別な研修会を開く 10% □社会や理科の時間を利用して現地の 0% 地理・歴史等について学習している 放課後 社会理科 英語時間 プレゼン □英語の時間に教材を導入している □事前にプレゼンテーションの指導をしている □その他(具体的にお書き下さい) ③ 国際交流後は,どのようなことを実施し ていますか。(複数回答可) □感想文やレポート(日本語,英語, 日本語と英語) 60.0% 50.0% 40.0% 30.0% 20.0% 10.0% 0.0% □現地で学習した事のプレゼンテーション 感想文 □意見交換会 - 105 - 現地学習 意見交換 □その他(具体的にお書き下さい) ④ SSH研究活動終了後,国際性を向上させるためには,どのように研究活動を行っていくお 考えですか。具体的に計画をた 35.0% ていますか。(複数回答可) 30.0% □現在の活動(活動記述)を 25.0% そのまま続けていく 20.0% □現在の交流をそのまま続け 15.0% ていく 10.0% □交流・活動の規模を縮小し 5.0% て行っていく □続行しない 0.0% 活動継続 現在交流 規模縮小 続行しない 考慮中 英語科 検討中 □考慮中である □英語科の先生にお任せする □まだ検討中である (3)科目開発についてお伺いします。現在最も工夫されている点,ご苦労なさっている点があり ましたらお聞かせ下さい。(複数回答可) □開発していない □テキストの作成 □評価方法(具体的に, □ テスト実施 □ レポート提出 □ 作品製作 □ その他) 50.0% 40.0% 30.0% 20.0% 10.0% 0.0% 開発ない テキスト 評価方法評価基準 異教科間 □評価の基準 □校内の異教科間の連携 (具体的に, □ 数学+物理 □ 数学+化学 □ 理数系全教員 □ その他) (4)SSH研究活動全般についてお伺いし 80.0% ます。現在最もご苦労なさっている点が 60.0% ありましたら,お聞かせ下さい。(複数 40.0% 回答可) □理数系以外の教員の協力 20.0% 0.0% □活動全体の自己評価 教員協力 自己評価 保護者 生徒関心 □地域,保護者への協力の呼びかけ □生徒の理数への関心の向上 □その他(具体的にお書き下さい) (5)以下は本校のSSH研究活動が他校の 先生方にどの程度認知していただけてい るか,お伺いしたく作成したものです。 「はい」か「いいえ」に○印をつけて下さ 100.0% 80.0% 60.0% 40.0% 20.0% 0.0% い。 ① ①東工大附属高校がSSHに認定されてい ることを以前から知っていましたか。 - 106 - ② ③ ④ ⑤ ②東工大附属高校のSSH活動に興味がありますか。 ③成果発表会についてのホームページをご覧になったことがありますか。 ④東工大附属高校のSSH成果発表会に参加したことがありますか。 (「はい」の方は,以下に○印をお願いします) 平成16年度開催,平成19年度開催の発表 会(該当するものに○印) ⑤平成21年度の成果発表会に興味をお持ちですか。 (6)本校の活動につきまして,ご意見ご助言などございましたら,お願いいたします。 (4)第1回SSH東京都指定校合同発表会 平成20年12月21日(日),スーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されて いる東京都内の都立高4校,国立高2校の計6校が集い,第1回目の「SSH東京都 指定校合同発表会」が東京都庁第1庁舎において開催され,本校も参加した。 (5)学校視察・学校訪問・学校見学について 昨年度ほどの件数はなかったが,今年度も学校視察・学校訪問があった。また,国 内の訪問者についても,SSHの取り組み,科学技術教育や高大連携教育についての 現状を聞かれることが多かった。表1に,今年度の学校視察・学校訪問の一覧を記す。 表1 件数 1 2 3 視察・訪問・見学者 等 石川県立小松工業高等学校 教諭 赤土悦崇・平木勉 H20.02.22(金) 13:00~15:00 H20.03.12(水) 10:00~ 宮崎県立宮崎工業高等学校 教諭(教務主任)中別府勇治先生 東京都庁 人事部職員課: 役山孝志先生,月山良明先生 指導部高等学校教育指導主事: 藤井大輔先生 岐阜県立可児工業高等学校 教諭(機械科・3学年主任) 荻野祐司先生 ロシア連邦共和国,ガスプロム教育センター (私立)・中等普通教育学校ニズヴェニズ ヴェーツカヤ,エレーナ・アナトリエヴ ナ校長ほか教員計5名。文部科学省初等 中等教育局教育課程課(SSH担当)小林 様ほか計3名。 タイ科学技術振興機構より9名,通訳1 名。 中華民国,国立台湾師範大学教授・LIN 先生, 高級職業学校校長ら14名。 韓国・慶北大学校Kyungpook National University 朴 鐘錫教授他5名 タイMahidol Wittayanusorn(マヒド・ウ ィッタヤヌソン科学高校)School,スチ ャダ教授,他6名 立命館中学校・高等学校,木本教頭先生 他1名 H20.03.25(火) 13:00~15:30 5 H20.04.25(金) 13:00~15:30 6 H20.09.8 (月) 13:30~16:00 H20.10.30(水) 13:00~16:00 H21.2.3(火) 10:00~11:30 H21.2.16(月) 11:30~13:00 8 9 学校視察・学校訪問 日 時 H20.02.21(木) 13:00~15:00 4 7 平成20年度 10 H21.2.16(月) 11:30~13:00 - 107 - 一覧(敬称略) 概 要 等 工業高校における“情報モラル”教 育実践のための教育システムの開発 についての研修 授業力アップ研修のため来校 学校外から任用した校長に対する実 務研修の一環 学校運営・教科の取り組み・SSH等 SSH研究開発の説明,「人と技術」 の授業見学,「技術者倫理」の授業 見学,質疑等 SSH研究開発の説明,「先端科学技 術入門」授業見学,質疑応答等 SSHの取り組み等の説明等 SSHの取り組み,教育課程,「科学 技術研究入門」の授業視察等 SSHの取り組み,進学状況,施設設 備見学等 SSHの取り組み,課題研究の取り組 み方,指導方法,施設設備見学等 11 H21.3.10(火) 9:30~11:00 ベトナム文部省,Le Quan Tand氏他9名 SSHの取り組み,教育課程,進学 率,運営費,施設設備見学等 (6)各種大会等の賞・記録について 平成20年度の,各種大会での生徒の活躍の記録を表2に示す。 参加者名 等 ○○○○(平成18年 度卒業) 3年B組 ○○○,○○○○○ ○○○○,○○○○ ○○○○,○○○○ 3年B組 ○○○,○○○○○ ○○○○,○○○○ ○○○○,○○○○ 3年C組 ○○○○,○○○○○ ○○○○,○○○○ ○○○○ 表2 大会名 朝霞市博物館の 企画展「平安王 朝-源氏物語の 時代-」 第2回高校生理 科研究発表会 各種大会等の賞・記録 主催 者 賞・記録 朝霞市博物館 東三条殿の復元模型と パネル(平成18年度の 課題研究) 受賞した日 等 2008年10月11 日~11月24日 展示 千葉大学 優秀賞 2008年9月27日 第52回日本学 生科学賞 読売新聞社 入選2等 2008年12月24 日 第6回技術・ア イデアコンテス ト 全国工業高等 学校長協会 佳作 2009年2月6日 (7)平成20年度の部 活 動 等 に 関 す る 賞 ・ 記 録 平成20年度の,各種大会での生徒の活躍の記録を表3に示す。 表3 参加者名等 コンピュータ愛好会 3年 ○○ ○,○○○○, ○○○○,○○ ○ コンピュータ愛好会 3年 ○○ ○,○○○○, ○○○○,○○ ○, 2年 ○○○○,○ ○○, ○○○○ コンピュータ愛好会 1年 ○○○○,○○ ○, ○○○○,○○○○, ○○○○ 2年 ○○○○,○○ ○, ○○○○,○○○○ コンピュータ愛好会 1年 ○○○○ コンピュータ愛好会 3年 ○○○○,○○ ○ コンピュータ愛好会 部活動等に関する賞・記録 大会名 主催者 賞・記録 受賞した日等 アジア太平洋情報オリ APIO委員会 ンピック(APIO)2008 参加 2008年5月10日 IT選手権大会 FE部門(団体の部) 学校法人 立志舎 敢闘賞 2008年7月23日 IT選手権大会 IT部門(団体の部) 学校法人 立志舎 敢闘賞 2008年7月24日 IT選手権大会 IT部門(個人の部) 学校法人 立志舎 優秀賞 2008年7月24日 Super Con2008 東京工業大学 大阪大学 準優勝 2008年8月1日 Super Con2008 東京工業大学 4位 2008年8月1日 - 108 - 3年 ○○ ○,○○○○ コンピュータ愛好会 1年 ○○○○ コンピュータ愛好会 3年 ○○○○,○○ ○ 1年 ○○○○,○○ ○ コンピュータ愛好会 1年 ○○○○ 大阪大学 Super Con2008 東京工業大学 大阪大学 EPOCH@まつやま 愛媛大学 日本情報オリンピック 日本情報オリンピ ック委員会 1級認定 2008年8月1日 5位 2008年11月24日 ベストパートナー賞受賞 全国大会出場 本選出場 2008年11月23日 2009年2月8日 (8)科学系クラブの活動 科学系クラブの活動として,以下に記す成果を挙げている。 ①小惑星サーチ:科学部が幹事校となって,所属するDISC(Digital Image for School Collaboration)の参加校に呼びかけ,共同研究『小惑星ハンティングプロジェクト』 を立ち上げた。群馬県立桐生高等学校(SSH校)・成蹊高等学校天文気象部等と,ぐ んま天文台において冷却CCD観測によるリレー観測と解析を分担して実施してい る。平成21年3月26日に,日本天文学会ジュニアセッションで発表予定。 ②缶サット:研究テーマ「缶サット(空缶サイズ模擬人工衛星)による飛行制御技術」を 設定し,缶サットの製作を行ない,飛行の成功と制御技術の検証に成功した。当初, 早稲田大学高等学院等との共同研究であったが,各校がそれぞれの課題を設定するた め発展的に解消し技術交流会に変更して,平成20年8月3日,平成21年2月(1 5日予定)に実施した。次段階の研究目標として,モデルロケットへの搭載と連係動 作技術の検証を予定している。自校主催の気球投下試験は,天候不良のため年度内に は行なえない見込み(用地借用の都合で来年度5月頃を予定)。 (9)ニューズレター 本校では,最新のニュースを本校公式Webサイト(ホームページ)上のニューズレ ター(News Letter)で紹介している。平成16年3月から始まったこの試みも,まもな く5年になる。上記で報告した事柄を含め,平成20年3月以降からニューズレター に掲載しているSSHに関連したトピックを以下に紹介する。 ) ニューズレター Vol.5 No.1 (2008/4) 理研出前授業 去る3月21日,独立行政法人・理化学研究所の加藤忠史先生をお招きして「精神の脳 科学」というタイトルで,出前授業が実施されました。これは本校の3年生(当時2年生) が昨年,理研の脳科学総合研究センターによる作文コンクールで入賞したのに伴い,受賞 者の在学高校に副賞として与えられた貴重な機会でした。当日は加藤先生による脳科学の 最先端の内容が盛り込まれた丁寧でわかりやすい講義に生徒たちの目も輝き,1時間があ っという間に過ぎてしまいました。また,その後の質疑応答も活発に行われ,参加した50 余名の生徒たちは大いに満足しました。加藤先生,ありがとうございました。この場をお 借りしてお礼申し上げます。皆様の温かいご対応に感謝いたします。 (3年A組担任 - 109 - 長谷川清隆) ロシア・ガスプロム教育センター来校 4月25日13時~15時30分頃まで,ロシアの私立教育機関である株式会社ガスプロム教 育センター・中等普通教育学校のニズヴェーツカヤ,エオレーナ・アナトーリエヴナ(N edzvetskaja, Elena Anatoljevna)校長をはじめとする5名の教員が,本校を訪問されました。 また,文部科学省初等中等教育局教育課程課(SSH担当)の小林様をはじめとする3名 の方々も来校され,授業の視察をされました。市村校長の歓 迎の挨拶から始まり,文部科学省の方の挨拶,本校教員によ るスーパーサイエンスハイスクール研究開発への取り組みに ついて,プレゼンテーションによる説明を行いました。その 後,第1学年「人と技術」の授業見学においては,5クラス の教室を回り,5つのテーマ(都市,ロボット,電力,技術 者倫理,環境と人間)の授業を見学されました。技術者倫理 の授業見学では,教室に入るや生徒たちからロシア語による 歓迎の言葉によって迎えられました。見学後に質疑が行われ, 特に進級状況,進学状況に興味を持っておられ,熱心に質問 をなさっていました。 (SSH研究開発委員会幹事 山口正勝) ニューズレター Vol.5 No.3 (2008/6) ) 「人と技術」特別講義が行われました 去る6月27日(金),東京工業大学の先生方をお迎えして, 「人と技術」特別講義が行われ ました。 「人と技術」とは本校独自の科目で,工業高校で実施している「工業技術基礎」の "人・技術・環境"に相当します。例年,授業の一環として東京工業大学の先生方を5名お 招きし,特別講義をお願いしています。平成7年度に「人と技術」が開始されて以来,今 年でのべ85名の先生方をお招きすることができました。今後も東京工業大学と連携しな がら,高校生に先端技術を垣間見る機会を設け,科学技術に対する興味・関心を喚起でき ればと思っています。1年生を対象に行った今回の特別講義では,その魅力的な講義内容 に生徒諸君は,目を輝かせていました。日頃,認知的領域の知識・理解にとらわれがちな 高校の授業とは異なり,情意的な領域にまで浸透するような教授方法を目の当たりにして, 授業を担当する教師側も反省させられる思いがしました。今後も生徒に内包する科学技術 への興味・関心を顕現すべく,努力して参ります。*今年度の講義は以下の通りです。 「創薬研究における有機合成化学の現状と将来」 大学院理工学研究科応用化学専攻 高橋 孝志先生 「コンピュータアーキテクチャの魅力」 大学院情報理工学研究科計算工学専攻 吉瀬 謙二先生 「屋外で活躍するロボット」 大学院理工学研究科機械宇宙システム専攻 福島E.文彦先生 「携帯電話のシステムとその発展」 大学院理工学研究科集積システム専攻 府川 和彦先生 「震災復興のまちづくり」 大学院社会理工学研究科社会工学専攻 真野 洋介先生 (「人と技術」研究会 - 110 - 遠藤 信一) ) ニューズレター Vol.5 No.4 (2008/7) 「人と技術」校外研修 去る7月16日(水),1年生を対象に,授業の一環として「人と技術」校外研修を実施 しました。 「人と技術」は本校独自の科目で,いわゆる「工業技術基礎」の「人・技術・環 境」部分に相当します。この科目では,自分が疑問に思ったことを自分で出かけていって 調べる,フィールドワークを奨励していますが,普段の授業では,なかなか実践できない のが現状です。そこで例年,この夏休み前の時期に,横浜みなとみらい地区~関内・山下 公園地域をグループで巡ります。幸いこの地区には,多くの技術館・博物館・開港に関す る港湾施設等があり,フィールドワークには適しています。生徒は,科学技術に関するテ ーマを事前に考え,フィールドワークによって調査し,レポートを提出することになって います。当日は幸い好天に恵まれ,楽しいグループ行動となりました。三菱みなとみらい 技術館のロボット「WAKAMARU」が,リアルな人型ロボットになる日も,そう遠い日 ではないと思います。この研修をきっかけに,本校の生徒が技術の発展に寄与してくれる ことを期待 (「人と技術」研究会 遠藤 信一) ) ニューズレター Vol.5 No.5 (2008/8) 第5回 東京工業大学サマーチャレンジ開催 東京工業大学主催の「サマーチャレンジ」が,今年も高大連携教育の一環として湘南国 際村センターの国際会議場を中心に,8月5~7日の2泊3日の日程で行われ,本校3年生の中 から52名の生徒が参加しました。この3日間,生徒たちは日常から離れ,緑豊かな自然環境 と充実した設備の中,東工大の先生方による趣向を凝らした様々な講義や課題に頭をひね り,持ち前の好奇心を存分に発揮して新たな知見を得たり仲間と議論したり,あるいはち ょっぴり緊張しながら発表したりと,実に内容の濃い時を過ごしました。 本年のサマーチャレンジの内容は,以下の通りです。 チャレンジ1 「ものづくり―化学の不思議と夢―」 応用化学専攻 碇屋隆雄 先生 チャレンジ2 「身の回りのものを分解してみよう!」 有機・高分子物質専攻 扇澤敏明 先生 チャレンジ3 「分解したものの観察結果の発表」 有機・高分子物質専攻 扇澤敏明 先生 チャレンジ4 「電力とエネルギー」 電気電子工学専攻 赤木泰文 先生 チャレンジ5 「ブラックホールとは何か」 基礎物理学専攻 細谷暁夫 先生 チャレンジ6 「建築デザインと幾何学」 人間環境システム専攻 奥山信一 先生 休憩時間にまで先生方に質問に群がっている姿が印象的でした。参加した生徒たちは,こ の得がたい貴重な体験をきっと役立ててくれることでしょう。末筆ながらサマーチャレン ジの成功にご尽力くださった東工大の先生方をはじめ,スタッフの方々に厚くお礼申し上 げます。 (高大連携特別委員会 - 111 - 石川幸治) スーパーサイエンスハイスクール平成20年度生徒研究発表会 8月7日,8日にパシフィコ横浜でSSH生徒研究発表会(主催:文部科学省,日本科学技 術振興機構)に今年も参加してきました。SSH生徒発表会では全国に指定されたSSH校が集 結し,日頃の研究成果をプレゼンテーションやポスターセッションで発表を行います。 本校は今年,ポスターセッションに参加し,材料科学・環境科学・バイオ技術分野から 「有機ELにおける発光体の検討と素子の試作」,情報・コンピュータサイエンス分野から 「群知能のアリゴリズムの研究」と「マルチプラットフォーム対応P2Pファイル共有ソフ トの開発」を発表しました。代表生徒だけでなく一般参加で生徒も来て他校の発表に質問 するなど,会場の雰囲気は白熱した様子でした。当日発表をした研究は,本校の課題研究 で行っており,課題研究発表会や文化祭で見ることができます。興味を持たれた方は是非, 見学にいらしてください。お待ちしております。 (SSH研究開発委員会幹事 大森 好明) 第2回タイ王国・カセサート大学附属高校との国際交流生徒派遣について 平成20年8月10日から14日の4泊5日の日程で,校長先生を団長に教員3名が生徒5名を 引率し,タイ王国カセサート大学附属高等学校との生徒交換派遣事業のため,タイ・バン コクへ赴きました。この国際交流は,平成17年度からスタートしたスーパーサイエンスハ イスクール研究事業での重要な柱のひとつである 「国際的に活躍できる科学技術者の育成」 のプログラムの一貫として行われているものです。今年で2回目を迎えました。 一行は,10日夕刻にバンコクに到着。空港からカセサート高校へ直行し,生徒はカセサー ト高校長らの出迎えを受けホストファミリーと対面,各ホームステイ先の家庭へと向かい ました。2日目は王妃の誕生日(8/12)の前日にあたり,朝一番に学校行事として,王妃誕 生を祝うセレモニーに参加しました。小学校から高校までの全生徒約3000名を収容するホ ールで行われ,カセサート大学生によるタイの伝統的な踊りも披露されて,タイ王国なら ではの学校行事でした。午後は,アカデミックディスカッションを行い,本校生徒の英語 による自己紹介プレゼンテーションと本校材料科学・環境科学・バイオ技術分野の森安教 諭による「環境を考える」をテーマにした英語による合同授業を行 いました。3日目は,バンコク南部の水上生活地域を中心に市内調 査・校外研修を行いました。4日目は,カセサート高校での英語の 授業に参加し,生徒とのアカデミックディスカッションを行いまし た。午後は,2グループに分かれ,生徒と校長・教員1名はカセサ ート大学内の昆虫資料館などの施設を訪れ見学しました。他教員2 名は,危機管理の一貫として,キャンパス内及びキャンパス近隣の 医療施設,日本大使館を訪問し,不慮の事態への対策を整える上で の調査を行いました。5日目は,早朝の便でバンコクを立ち,無事 帰国しました。10月8日からはカセサート大学附属高等学校の生徒 が来日し,本校の授業や行事に参加する予定です。 (SSH研究開発委員会幹事 ニューズレター Vol.5 No.6 (2008/09) ) 東京工業大学サマーレクチャー2008開催 - 112 - 山口 正勝) 9月3日,今年も本校2年生を対象とした夏期特別授業「東京工業大学サマーレクチャー」 が開催されました。東京工業大学との高大連携教育の一環として行われるこのプログラム は,2学年生徒全員(約200名)が丸1日をかけて東工大大岡山キャンパスを訪問するとい う大々的なプログラムです。当日は,大きなトラブルもなく,無事に全日程を終了するこ とができました。今年のサマーレクチャーは,以下のような内容で行われました。講演1 では,東工大材料工学専攻の鶴見先生を講師にお迎えし,セラミックスの電気的性質につ いて最新の研究成果などをもとに講義をしていただきました。午後からの研究室見学では, 総計18研究室にご協力いただき,実施することができました。各生徒は,この中から興味 ある2つの研究室を訪問し,大学で行われている先端研究の現場を,各30分以上をかけ, じっくりと見学させていただきました。最後の質問コーナーでは,高校生の抱く疑問に対 して,東工大の先生と学生の合計12名の皆様に答えていただきました。 高校入学から約1年半が経過したこの時期に開催された本プログラムが,生徒たちにとって 新たな興味と目標の発見の一助となることを願っています。 (1)講演 「オモシロ無機材料の電気的性質」 理工学研究科 材料工学専攻 「無窮・無題・無想」 附属科学技術高校 鶴見敬章 科学・技術科 教授 井上道男 教諭 (2)研究室見学 理工学研究科 地球惑星科学専攻高橋研究室,物質科学専攻佐藤研究室,物質科学専攻永田・林研究室,材 料工学専攻松尾・竹山研究室,機械制御システム専攻北川・塚越研究室,機械制御システム 専攻佐藤・齊藤研究室,機械宇宙システム専攻広瀬・福島研究室,電気電子工学専攻赤木・ 藤田研究室,電気電子工学専攻荒木研究室,電気電子工学専攻安藤・廣川研究室,電気電子 工学専攻石井研究室,電気電子工学専攻安岡研究室,建築学専攻藤井研究室,建築学専攻湯 淺研究室,国際開発工学専攻高橋研究室 情報理工学研究科 計算工学専攻・亀井研究室,情報環境学専攻・宇治橋・中島研究室 学内共同研究教育施設等 量子ナノエレクトロニクス研究センター,小田・内田研究室 (3)質問コーナー 材料工学専攻・丸山俊夫先生,応用化学専攻・田中浩士先生,機械制御システム専攻・佐藤 勲先生,建築学専攻・五十嵐規矩夫先生,生体分子機能工学専攻・石川智久先生,物質科学 専攻・市村禎二郎先生(附属高校校長),東工大の学生6人(学部生4人,大学院生2人) (高大連携特別委員会 タイ科学技術振興機構 来校について 9月8日13時~16時頃まで,タイ科学技術振興機構の企画に よる見学の先生方9名が,本校を訪問されました。市村校長 の歓迎の挨拶から始まり,本校教員によるスーパーサイエン スハイスクール研究開発への取り組みについて,プレゼンテ ーションによる説明を行いました。その後,第1学年の情報 - 113 - 長谷川 大和) 技術基礎の授業と第2学年「先端科学技術入門」の3クラスの授業を見学し,さらに実習 室等の見学も精力的に行われました。質疑応答では,特に,進級状況,進学状況に興味を 持っておられ,熱心に質問をなさっていました。 (副校長 門馬 進) ) ニューズレター Vol.5 No.7 (2008/10) タイ・カセサート大学附属高等学校との国際交流 昨年度から始まりましたタイ王国・カセサート大学附属高等学校との国際交流の一環で, 10月8日(水)から14日(火)の日程で,教員1名生徒5名が来日しました。8日の夕刻に成田空 港に到着しました。今回は,最初の2泊は宿泊施設で過ごしますが,10日からの4泊5日は, この夏にタイへ派遣された生徒のご家庭でホームステイをしました。登校初日の9日(木) の午前中は,3年課題研究の見学と2年英語授業への参加,午後はお台場の科学未来館での 研修,夕刻本校に戻り Welcome Party を行いました。10日(金)は終日校外研修をして, 本校生徒と共にホームステイ先に向かいました。11日(土),12日(日)は本校の文化祭に 参加してもらいました。生徒会が中心になってお世話をし,昨年度と同様にタイブースを 設置して,タイフードを提供しました。我々の口に合うよう辛さを整えてあり大変好評で した。13日(月)は祝日でしたので,タイの生徒はホストファミリーと1日過ごし,それぞ れが楽しんだようです。最終日14日(火)の午前は,5名の生徒が専門5分野に別れて2年生 の「科学技術研究入門」の授業に参加し,体験学習をしました。お昼休みに簡単なお別れ 会を開き,午後4時頃の便で成田を発ちました。タイ生徒の受け入れ2回目の今年は,本校 生徒宅でのホームステイや複数の科目への授業参加などを行うことができました。ホスト ファミリーとなっていただいたご家庭をはじめ,沢山の先生や事務の方々,生徒のご協力 により無事終了できましたことを感謝いたします。 (SSH研究開発委員会幹事 山口 正勝) 1年オープンキャンパス 東京工業大学との高大連携教育活動の一環として毎年開催されている1年オープンキャ ンパス。今年度は,10月25日の土曜日,肌寒さをおぼえる曇り空の中で行われました。 この行事は,東京工業大学の大学祭(工大祭)の中で同時開催されるオープンキャンパ スに,本校1年生が全員で参加するものです。ここでは,日ごろ東工大で行われている先端 的な研究が,80を超える団体により一般公開されています。生徒たちには,このイベント に参加する中から,今後の学習意欲の向上につながる何かを見出してほしいと期待したと ころです。さて,当日は大学祭の初日ということで,イベント見学についても一部制限さ れたものもあったようですが,限られた時間の中,生徒たちは思い思いの体験を楽しんだ - 114 - ようです。中間試験明けとなったこの日,大学祭という賑やかな中に大学の雰囲気を味わ いながら,多少疲れ気味な頭や身体のリフレッシュにもなってくれていたなら幸いです。 (1学年担任 「台湾日本見学訪問団」 豊前太平) 来校について 10月30日13時~16時過ぎまで台湾から本校へ見学がありました。台湾では「High Science Highschool」というSSHと類似した研究開発が行われており,SSH校の見学で日本に来たよ うです。その中で,この日は科学・技術教育に力を入れている本校へ見学に来ました。本校 の紹介後,1年生対象の課題研究発表会の見学,施設見学をし,質疑応答という流れで行いま した。工業教育の関係者が多く来校されたこともあり,熱心に見学や質問をされ,それに答 える形で市村校長も熱心に説明もされ,予定時間を大幅に越えてしまうほどでしたが充実し た見学となりました。 (SSH研究開発委員会幹事 大森 好明) ニューズレター Vol.5 No.8 (2008/11) ) サマーレクチャー研究室見学レポート発表会の開催 去る11月12日(水),「2008年度 東京工業大学サマーレクチャー研究室見学レポート発表 会」が開催されました。この発表会は,東工大との高大連携教育の一環として9月に2年生 を対象に行われた「東京工業大学サマーレクチャー」に関連する行事で,東工大からは,電 気電子工学専攻の水本哲弥教授と機械制御システム専攻の佐藤勲教授に,来賓として参加 していただきました。サマーレクチャーでは,東工大大岡山キャンパスにある研究室のう ち2つを見学してもらいましたが,生徒には,その研究室で行われている研究内容につい て,事前・事後調査および当日の説明に基づき,レポートを作成するよう課題が出されて いました。今回の発表会では,その提出レポートが非常に優秀と評価された5名の生徒に ついて,2年生約200名を前に,その内容をプレゼンテーションしてもらいました。発表タ イトルと見学した研究室名を下記に示します。発表時間6分という制限の中,各発表者は, 研究室見学を通して学んだ研究内容について,自分の言葉を用いて,簡潔かつ明確に説明 していました。各発表に対しては,多くの質問が投げかけられ,予定時間を上回るほどの 活発な質疑応答となりました。発表会の最後には,聴講者となった2年生および先生方に よる投票が行われ,『パワーエレクトロニクスの最前線』の発表が最優秀賞を獲得いたしま した。 記 (1)「パワーエレクトロニクスの最前線」2年D組生徒 (理工学研究科 電気電子工学専攻 赤木・藤田研究室) (2)「ヘビ型ロボットの機構」2年C組生徒 (理工学研究科 機械宇宙システム専攻 広瀬・福島研究室) (3)「高分子と水」2年A組生徒 (理工学研究科 物質科学専攻 佐藤(満)研究室) (4)「遺跡探査と科学技術」2年B組生徒 (情報理工学研究科 計算工学専攻 亀井研究室) (5)「環境と建築」2年E組生徒 (理工学研究科 建築学専攻 湯淺研究室) (高大連携特別委員会 - 115 - 長谷川 大和) ) ニューズレター Vol.5 No.9 (2008/12) スーパーサイエンスハイスクール東京都指定校合同発表会 平成20年も残すところあと10日余りとなった12月21日(日),スーパ ーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されている東京都内の都 立高4校,国立高2校の計6校が集い,第1回目の「SSH東京都指 定校合同発表会」が東京都庁第1庁舎において開催されました。 午後1時からの開会を前に,午前10時前から口頭発表のリハーサル,ポスターセッショ ンの準備,ボランティアとして参加してもらう運営補助員の打合せが行われました。本校 からは,口頭発表及びポスターセッションに課題研究成果の発表を行うため3年生12名が, 運営補助員として2,1年生の生徒7名が参加しました。口頭発表では,システムデザイ ン・ロボット分野の生徒3名が,新科目「科学技術研究入門」,「さきがけ教育」,「国際性 育成」に関する取り組みを生徒の視点で説明し,その後,課題研究成果「ペットボトル処 理マシンの製作」についての発表を行いました。ポスターセッションでは,下記に示す11 テーマの研究内容を展示しました。 「もの」と「デモ」がある本校のブースは,いつも盛況 で人が絶えませんでした。ポスター発表テーマと参加校をご紹介いたします。 ポスター発表研究テーマ 有機ELにおける発光体の検討と素子の試作(材料科学・環境科学・バイオ技術分野) 群知能のアルゴリズムの研究(情報・コンピュータサイエンス分野) 音声入力電卓ソフトの開発(情報・コンピュータサイエンス分野) からくり装置の製作(システムデザイン・ロボット分野) イルカ型ロボットの製作とその水中動作の考察(システムデザイン・ロボット分野) ペットボトル処理マシンの製作(システムデザイン・ロボット分野) 設計競技会に参加した4テーマ(立体造形・ディジタルデザイン分野) 『星の井戸』,『光運』~エコロジーな住宅~,『天と地を結ぶ式』,『生き物の家』 大スパン構造の研究(トラス構造に関する実験)(立体造形・ディジタルデザイン分野) 参加校:1.都立日比谷高等学校,2.都立戸山高等学校,3.都立小石川高等学校, 4.都立科学技術高等学校,5.国立筑波大学附属駒場高等学校, 6.国立東京工業大学附属科学技術高等学校 (SSH研究開発委員会幹事 4 山口 正勝) 実施の効果とその評価 科学技術研究入門研究会,さきがけ教育研究会の活動は4年間で本格的なった。また, 国際性育成研究会によるタイのカセサート大学附属高校との国際交流が2年目となり, 本年もタイから生徒を迎えることができた。これらの成果を踏まえて,最終年度に向け て更なる発展を目指したい。 5 実施上の課題及び今後の方向 これまでの活動を継続的に行っていくとともに,最終年次の研究成果発表会への準備 を進めていく。 - 116 - Cー3 Ⅰ 第4年次の研究のまとめと今後の課題 研究第4年次に実施したSSH意識調査の結果報告 研究第4年次の研究のまとめを述べる前に,研究第4年次の意識調査の結果について報 告する。これらは,研究第1年次から実施している意識調査と同様,本来,本校が文部科 学省から意識調査の依頼を受ける以前の平成16年12月におけるSSH実施希望申請の 段階から, 「検証」の1つとして5ヶ年の計画に位置づけ,平成17年度の実施希望調書及 び実施計画書にも明記していたものである。しかしながら,本校が独自に計画していた生 徒及び教員対象の意識調査について,その後に文部科学省より要請のあった意識調査と実 施時期が重なり,かつ,内容の重複する部分が多かったため,生徒らに余分な負担をかけ ることは好ましくないと判断して文部科学省からの要請の意識調査で代替し,調査対象に ついては予定より拡充することとなり,その形式にて研究第1年次より意識調査を行って いる。研究第4年次においては12月下旬から1月上旬にかけて,第1・第2・3学年の 全生徒とその保護者,全教員,連携先の大学教員などを対象に意識調査を実施した。定量 的なデータに関する結果を以下に示す。 (なお,調査項目は文部科学省が定めたものである が,データ入力・分析は本校で独自に行ったものである) 【研究第4年次(平成20年度)SSH意識調査:生徒対象】 区分 1年生 2年生 3年生 全校生 回答人数 187 186 191 564 問1 a.あなたはSSH参加にあたって以下のような利点をそれぞれ意識していましたか [①意識していた,②意識していなかった,のうち,一つのみ回答可] b.SSH参加によって以下のような効果はありましたか [①効果があった,②効果がなかった,のうち,一つのみ回答可] (1)理科・数学の面白そうな取組に参加できる(できた) (2)理科・数学に関する能力やセンス向上に役立つ(役立った) (3)理系学部への進学に役立つ(役立った) (4)大学進学後の志望分野探しに役立つ(役立った) (5)将来の志望職種探しに役立つ(役立った) (6)国際性の向上に役立つ(役立った) 割合(%):一つのみ回答可 区分 問1(1)-a1問1(1)-a2問1(1)-b1問1(1)-b2問1(2)-a1問1(2)-a2問1(2)-b1問1(2)-b2問1(3)-a1問1(3)-a2問1(3)-b1問1(3)-b2 1年生 68.4 31.0 73.8 22.5 69.0 30.5 64.7 31.6 69.0 30.5 58.8 35.8 2年生 65.6 33.9 74.7 23.7 71.5 28.0 80.6 16.7 72.6 26.9 62.9 34.4 3年生 63.9 34.6 70.2 26.2 69.1 29.3 73.3 23.0 66.5 31.9 63.9 32.5 全校生 66.0 33.2 72.9 24.1 69.9 29.3 72.9 23.8 69.3 29.8 61.9 34.2 区分 問1(4)-a1問1(4)-a2問1(4)-b1問1(4)-b2問1(5)-a1問1(5)-a2問1(5)-b1問1(5)-b2問1(6)-a1問1(6)-a2問1(6)-b1問1(6)-b2 1年生 61.0 38.5 61.5 33.2 52.9 46.5 55.1 40.1 23.0 76.5 31.0 64.2 2年生 63.4 36.0 67.7 29.6 56.5 42.5 57.0 39.8 36.6 62.9 42.5 54.8 3年生 71.2 27.2 69.6 26.7 60.7 37.7 59.7 36.1 29.8 68.6 31.9 64.4 全校生 65.2 33.9 66.3 29.8 56.7 42.2 57.3 38.7 29.8 69.3 35.1 61.2 問2 SSHに参加したことで,科学技術に関する興味・関心・意欲が増しましたか [(1)大変増した,(2)やや増した,(3)効果がなかった,(4)もともと高かった,(5)分からない,のうち,一つのみ回答可] 割合(%):一つのみ回答可 区分 問2(1) 問2(2) 問2(3) 問2(4) 問2(5) 1年生 25.1 44.4 4.3 12.8 12.8 2年生 21.0 49.5 6.5 11.3 11.3 3年生 22.0 46.6 7.9 10.5 11.5 全校生 22.7 46.8 6.2 11.5 11.9 - 117 - 問3 SSHに参加したことで,科学技術に関する学習に対する意欲が増しましたか [(1)大変増した,(2)やや増した,(3)効果がなかった,(4)もともと高かった,(5)分からない,のうち,一つのみ回答可] 割合(%):一つのみ回答可 区分 問3(1) 問3(2) 1年生 23.0 43.9 2年生 21.0 46.8 3年生 23.0 41.9 全校生 22.3 44.1 問3(3) 5.3 11.8 11.5 9.6 問3(4) 9.1 8.1 5.2 7.4 問3(5) 18.7 11.8 16.2 15.6 問4 SSHに参加したことで,あなたの学習全般や理科・数学に対する興味,姿勢,能力に どれくらいの向上がありましたか [①大変増した,②やや増した,③効果がなかった,④もともと高かった,⑤分からない,のうち,一つのみ回答可] (1)未知の事柄への興味(好奇心) (2)理科・数学の理論・原理への興味 (3)理科実験への興味 (4)観測や観察への興味 (5)学んだことを応用することへの興味 (6)社会で科学技術を正しく用いる姿勢 (7)自分から取り組む姿勢(自主性,やる気,挑戦心) (8)周囲と協力して取り組む姿勢(協調性,リーダーシップ) (9)粘り強く取り組む姿勢 (10)独自なものを創り出そうとする姿勢(独創性) (11)発見する力(問題発見力,気づく力) (12)問題を解決する力 (13)真実を探って明らかにしたい気持ち(探求心) (14)考える力(洞察力,発想力,論理力) (15)成果を発表し伝える力(レポート作成,プレゼンテーション) (16)国際性(英語による表現力,国際感覚) 割合 (%):一つのみ回答可 区分 問4(1)-1 問4(1)-2 問4(1)-3 問4(1)-4 問4(1)-5 問4(2)-1 問4(2)-2 問4(2)-3 問4(2)-4 問4(2)-5 問4(3)-1 問4(3)-2 問4(3)-3 1年生 26.2 44.4 7.5 10.2 11.8 23.0 42.8 13.9 9.1 11.2 24.6 39.6 13.9 2年生 22.6 50.0 10.8 10.2 5.9 25.8 40.9 15.6 5.9 10.8 24.7 42.5 17.2 3年生 25.1 51.8 8.9 10.5 3.7 25.1 44.0 20.4 5.2 5.2 26.7 41.4 20.4 全校 生 24.6 48.8 9.0 10.3 7.1 24.6 42.6 16.7 6.7 9.0 25.4 41.1 17.2 区分 問4(4)-1 問4(4)-2 問4(4)-3 問4(4)-4 問4(4)-5 問4(5)-1 問4(5)-2 問4(5)-3 問4(5)-4 問4(5)-5 問4(6)-1 問4(6)-2 問4(6)-3 1年生 20.9 32.0 23.5 9.1 14.4 20.9 38.5 21.4 3.7 15.5 15.7 35.3 18.2 2年生 17.2 4.6 20.4 7.5 7.5 23.7 44.6 13.4 6.5 10.8 22.6 37.6 19.4 3年生 20.9 41.9 24.1 6.8 5.8 24.1 41.9 23.0 3.1 7.9 24.6 40.3 21.5 全校 生 19.7 39.5 22.7 7.8 9.2 22.9 41.7 19.3 4.4 11.3 24.3 37.8 19.7 区分 問4(7)-1 問4(7)-2 問4(7)-3 問4(7)-4 問4(7)-5 問4(8)-1 問4(8)-2 問4(8)-3 問4(8)-4 問4(8)-5 問4(9)-1 問4(9)-2 問4(9)-3 1年生 19.3 32.6 26.7 7.0 14.4 16.6 35.3 23.0 6.4 18.2 18.2 33.7 25.1 2年生 21.5 41.4 23.7 3.8 8.6 21.5 44.1 19.4 4.3 10.2 25.3 35.5 21.5 3年生 27.2 38.7 23.6 3.1 6.8 26.2 38.2 23.0 4.7 6.8 26.7 41.9 18.8 全校 生 22.7 37.6 24.6 4.6 9.9 21.5 39.2 21.8 5.1 11.7 23.4 37.1 21.8 区分 問4(10)-1問4(10)-2問4(10)-3問4(10)-4問4(10)-5問4(11)-1問4(11)-2問4(11)-3問4(11)-4問4(11)-5問4(12)-1問4(12)-2 問4(12)-3 1年生 19.3 36.9 19.3 8.6 16.0 16.0 39.6 20.9 3.7 19.8 16.6 39.0 20.9 2年生 25.8 37.6 17.2 7.0 11.8 25.3 37.6 19.9 3.8 12.4 25.3 40.3 18.3 3年生 24.1 40.8 21.5 5.8 7.9 22.0 44.5 20.9 4.2 8.4 23.6 41.4 20.4 全校 生 23.0 38.5 19.3 7.1 11.9 21.1 40.6 20.6 3.9 13.5 21.8 40.2 19.9 区分 問4(13)-1問4(13)-2問4(13)-3問4(13)-4問4(13)-5問4(14)-1問4(14)-2問4(14)-3問4(14)-4問4(14)-5問4(15)-1問4(15)-2 問4(15)-3 1年生 21.9 42.8 16.0 8.0 11.2 18.7 48.1 12.3 6.4 14.4 27.8 31.6 20.3 2年生 23.7 39.8 17.2 8.1 10.2 24.2 45.7 12.9 6.5 9.7 32.8 39.8 17.2 3年生 25.1 43.5 20.4 5.8 5.2 26.7 46.1 13.6 6.3 7.3 41.4 38.2 13.1 全校 生 23.6 42.0 17.9 7.3 8.9 23.2 46.6 12.9 6.4 10.5 34.0 36.5 16.8 区分 問4(16)-1問4(16)-2問4(16)-3問4(16)-4問4(16)-5 1年生 12.8 21.9 38.0 2.7 23.5 2年生 11.3 22.6 47.8 1.6 16.1 3年生 11.5 27.2 42.9 3.7 14.7 全校 生 11.9 23.9 42.9 2.7 18.1 問4(3)-4 12.3 7.0 7.3 8.9 問4(6)-4 3.7 7.0 4.7 5.1 問4(9)-4 6.4 6.5 6.3 6.4 問4(12)-4 4.3 5.9 3.1 4.4 問4(15)-4 4.3 2.2 1.6 2.7 問4(3)-5 9.6 7.0 3.7 6.7 問4(6)-5 16.6 11.8 8.4 12.2 問4(9)-5 16.6 9.7 6.3 10.8 問4(12)-5 19.3 9.7 11.0 13.3 問4(15)-5 15.5 7.5 5.8 9.6 問5 問4の(1)~(16)のうちSSHにより最も向上したと思う興味,姿勢,能力は何ですか [問4の(1)~(16)のうち,三つまで回答可] 割合(%):三つまで回答可 区分 問5(1) 問5(2) 1年生 34.2 25.1 2年生 25.8 24.7 3年生 24.1 26.7 全校生 28.0 25.5 区分 問5(9) 問5(10) 1年生 5.3 15.0 2年生 15.1 18.8 3年生 17.8 14.7 全校生 12.8 16.1 問5(3) 問5(4) 23.5 11.2 22.0 8.6 25.7 10.5 23.8 10.1 問5(11) 問5(12) 9.6 9.6 11.8 12.4 9.4 13.1 10.3 11.7 問5(5) 問5(6) 17.6 15.5 16.7 11.3 9.9 8.4 14.7 11.7 問5(13) 問5(14) 15.0 15.5 12.9 16.1 9.9 17.8 12.6 16.5 - 118 - 問5(7) 9.6 9.1 13.6 10.8 問5(15) 27.3 36.6 41.9 35.3 問5(8) 9.6 10.2 10.5 10.1 問5(16) 7.0 5.4 4.7 5.7 問6 あなたはこれまでSSHに参加していましたか [(1)今年度初めて参加,(2)昨年度から参加,(3)一昨年度から参加,のうち,一つのみ回答可] 割合(%):一つのみ回答可 区分 問6(1) 問6(2) 1年生 97.9 1.6 2年生 1.1 96.2 3年生 0.0 0.0 全校生 32.8 32.3 問6(3) 0.0 2.7 98.4 34.2 問7 あなたがこれまでに参加したSSHの取組はどれですか [(1)~(11)のうち,複数回答可] (1)理科や数学に多くが割り当てられている時間割 (2)科学者や技術者の特別講義・講演会 (3)大学や研究所,企業,科学館等の見学・体験学習 (4)個人や班で行う課題研究(自分の高校の先生や生徒との間で行うもの) (5)個人や班で行う課題研究(大学等の研究機関と一緒に,あるいは,指導を受けて行うもの) (6)個人や班で行う課題研究(他の高校の先生や生徒と一緒に,あるいは,指導を受けて行うもの) (7)科学コンテストへの参加 (8)観察・実験の実施 (9)フィールドワーク(野外活動)の実施 (10)プレゼンテーションする力を高める学習 (11)英語で表現する力を高める学習 (12)他の高校の生徒との交流 (13)科学系クラブ活動への参加 割合(%):複数回答可 区分 問7(1) 問7(2) 1年生 78.1 53.5 2年生 81.7 71.0 3年生 82.7 76.4 全校生 80.9 67.0 問7(3) 63.1 74.2 72.3 69.9 問7(4) 28.9 43.0 82.7 51.8 問7(5) 6.4 11.8 17.3 11.9 問7(6) 4.3 10.2 15.2 9.9 問7(7) 1.6 9.7 19.4 10.3 問7(8) 51.3 54.3 55.5 53.7 問7(9) 8.0 10.2 8.9 9.0 問7(10) 16.0 62.9 75.4 51.6 問7(11) 問7(12) 25.1 3.2 21.0 9.1 33.0 16.2 26.4 9.6 問7(13) 4.3 7.5 6.3 6.0 問8 問7の(1)~(13)のうち参加して特によかったと思うSSHの取組は何ですか [問7の(1)~(13)のうち,複数回答可] 割合(%):複数回答可 区分 問8(1) 問8(2) 1年生 49.2 35.8 2年生 52.7 47.3 3年生 46.6 42.4 全校生 49.5 41.8 問8(3) 46.0 47.8 40.3 44.7 問8(4) 17.1 24.7 58.6 33.7 問8(5) 5.9 5.4 12.0 7.8 問8(6) 3.2 4.8 10.5 6.2 問8(7) 2.1 5.4 7.9 5.1 問8(8) 27.3 27.4 22.5 25.7 問8(9) 5.9 3.8 3.7 4.4 問8(10) 8.0 36.6 41.4 28.7 問8(11) 問8(12) 9.6 1.6 9.7 4.3 12.6 5.8 10.6 3.9 問8(13) 4.8 3.8 4.7 4.4 問9 あなたがSSH参加にあたって,困ったことは何ですか [(1)~(10)のうち,複数回答可] (1)部活動との両立が困難 (2)学校外にでかけることが多い (3)授業内容が難しい (4)発表の準備が大変 (5)レポートなど提出物が多い (6)課題研究が難しい (7)授業時間以外の活動が多い (8)理数系以外の教科・科目の成績が落ちないか心配 (9)特に困らなかった (10)その他( ) 割合(%):複数回答可 区分 問9(1) 問9(2) 1年生 12.3 1.6 2年生 12.4 4.3 3年生 14.1 3.7 全校生 12.9 3.2 問9(3) 41.2 34.9 33.5 36.5 問9(4) 5.9 25.3 49.7 27.1 問9(5) 70.1 74.7 73.3 72.7 問9(6) 15.5 21.0 37.2 24.6 問9(7) 4.3 8.1 24.1 12.2 問9(8) 25.1 35.5 25.7 28.7 問9(9) 15.0 11.8 9.4 12.1 問9(10) 3.2 2.7 5.2 3.7 問10 あなたは当校がSSHに取り組んでいることを入学前に知っていましたか [(1)~(3)のうち,一つのみ回答可] (1)知っていて,当校を選択した理由の1つとなった (2)知っていたが,当校を選択した理由ではなかった (3)知らなかった 割合(%):一つのみ回答可 区分 問10(1) 問10(2) 1年生 58.8 29.9 2年生 52.7 32.3 3年生 41.4 38.2 全校生 50.9 33.5 問10(3) 9.6 11.3 16.2 12.4 問11 将来,どのような職業に一番就きたいと考えていますか [(1)~(10)のうち,一つのみ回答可] (1)大学・公的研究機関の研究者 (2)企業の研究者・技術者 (3)技術系の公務員 - 119 - (4)中学校・高等学校の理科・数学教員 (7)看護師 (8)その他理系の職業( 割合(%):一つのみ回答可 区分 問11(1) 問11(2) 1年生 12.3 31.0 2年生 17.2 33.3 3年生 12.0 38.2 全校生 13.8 34.2 問11(3) 問11(4) 8.0 2.1 7.5 4.8 5.8 3.1 7.1 3.4 (5)医師・歯科医師 ) (9)その他文系の職業( 問11(5) 問11(6) 2.1 3.7 2.2 1.6 1.6 2.6 2.0 2.7 問11(7) 0.0 0.5 0.0 0.2 (6)薬剤師 ) (10)わからない 問11(8) 問11(9) 問11(10) 6.4 0.5 31.6 9.7 5.4 16.7 7.9 6.3 18.3 8.0 4.1 22.2 問12 SSH参加によって,問11の職業を希望する度合いは強くなったと思いますか [(1)~(5)のうち,一つのみ回答可] (1)まったくその通り (2)ややその通り (3)どちらでもない (4)やや異なる (5)まったく異なる 割合(%):一つのみ回答可 区分 問12(1) 問12(2) 1年生 17.6 29.4 2年生 28.0 36.6 3年生 21.5 35.1 全校生 22.3 33.7 問12(3) 問12(4) 43.9 3.7 25.8 2.2 27.7 2.1 32.4 2.7 問12(5) 2.7 5.4 8.4 5.5 問13 SSHに参加する前に大学で一番専攻したいと考えていた分野はどれですか [大学進学を考えている場合のみ,(1)~(14)のうち,一つのみ回答可] (1)理学系(数学以外) (2)数学系 (3)工学系(情報工学以外) (4)情報工学系 (5)医学・歯学系 (6)薬学系 (7)看護系 (8)農学系(獣医学含む) (9)生活科学・家政学系 (10)教育学系(理数専攻) (11)その他理系( ) (12)文系 (13)その他( ) (14)決まってなかった 割合(%):一つのみ回答可 区分 問13(1) 問13(2) 1年生 16.0 5.3 2年生 17.7 8.1 3年生 17.8 4.7 全校生 17.2 6.0 問13(3) 問13(4) 28.9 14.4 29.0 9.7 35.1 9.9 31.0 11.3 問13(5) 問13(6) 4.8 4.3 2.2 4.8 0.0 3.7 2.3 4.3 問13(7) 0.0 0.5 0.5 0.4 問13(8) 問13(9) 問13(10) 問13(11) 問13(12) 問13(13) 問13(14) 1.1 0.0 0.0 1.1 2.1 1.1 15.0 3.2 0.5 1.6 2.7 2.7 1.1 12.9 2.1 0.5 0.5 0.0 3.1 0.5 14.7 2.1 0.4 0.7 1.2 2.7 0.9 14.2 問14 SSHに参加したことによって,あなたの専攻志望は参加前と変わりましたか [大学進学を考えている場合のみ,(1)~(3)のうち,一つのみ回答可] (1)参加前と変わっていない (2)SSHへの参加が理由ではないが,変わった (3)SSHへの参加によって,変わった [上で(2),(3)を選択した場合は変更後の志望を(1)~(14)のうち,一つのみ回答可] (1)理学系(数学以外) (2)数学系 (3)工学系(情報工学以外) (4)情報工学系 (5)医学・歯学系 (6)薬学系 (7)看護系 (8)農学系(獣医学含む) (9)生活科学・家政学系 (10)教育学系(理数専攻) (11)その他理系( 学部) (12)文系 (13)その他( ) (14)決まっていない 割合(%):一つのみ回答可 区分 問14(1) 問14(2) 問14(3) 1年生 76.5 5.9 10.2 2年生 64.5 11.8 19.9 3年生 61.3 12.6 17.3 全校生 67.4 10.1 15.8 区分 14(2,3)-1 14(2,3)-2 14(2,3)-3 14(2,3)-4 14(2,3)-5 14(2,3)-6 14(2,3)-7 14(2,3)-8 14(2,3)-914(2,3)-1014(2,3)-1114(2,3)-1214(2,3)-13 14(2,3)-14 1年生 1.6 1.6 6.4 2.1 0.5 1.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 1.1 2.1 2年生 4.3 2.2 12.9 0.5 0.5 1.1 0.5 1.6 0.5 0.0 1.1 2.7 1.1 2.7 3年生 3.7 0.0 9.4 1.0 1.0 0.0 0.0 3.1 0.0 1.0 1.0 5.8 1.0 2.1 全校生 3.2 1.2 9.6 1.2 0.7 0.7 0.2 1.6 0.2 0.4 0.7 2.8 1.1 2.3 【研究第4年次(平成20年度)SSH意識調査:保護者対象】 区分 回答人数 1年保護者 96 2年保護者 88 3年保護者 85 全校保護者 269 問1 お子さんの学科・学年 (1)性別 (2)学年(平成19年度の学年) [①男,②女,のうち,一つのみ回答可] [①~⑩のうち,一つのみ回答可] - 120 - ①普通科1年 ④普通科2年 ⑦普通科3年 ②理数科1年 ⑤理数科2年 ⑧理数科3年 ③その他1年( ⑥その他2年( ⑨その他3年( ) ) ) ⑩その他( ) 割合(%):一つのみ回答可 区分 問1(1)-1 問1(1)-2 問1(2)-1 問1(2)-2 問1(2)-3 問1(2)-4 問1(2)-5 問1(2)-6 問1(2)-7 問1(2)-8 問1(2)-9 問1(2)-10 1年保護者 82.3 16.7 22.9 26.0 49.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 2年保護者 84.1 15.9 0.0 0.0 0.0 5.7 39.8 52.3 0.0 0.0 0.0 0.0 3年保護者 89.4 10.6 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 10.6 35.3 48.2 1.2 全校保護者 85.1 14.5 8.2 9.3 17.5 1.9 13.0 17.1 3.3 11.2 15.2 0.4 問2 a.お子さんをSSHに参加させるにあたって,あなたは以下のような利点をそれぞれ意識していましたか [①意識していた,②意識していなかった,のうち,一つのみ回答可] b.SSH参加によって,お子さんにとって以下のような効果はありましたか [①効果があった,②効果がなかった,のうち,一つのみ回答可] (1)理科・数学の面白そうな取組に参加できる(できた) (2)理科・数学に関する能力やセンス向上に役立つ(役立った) (3)理系学部への進学に役立つ(役立った) (4)大学進学後の志望分野探しに役立つ(役立った) (5)将来の志望職種探しに役立つ(役立った) (6)国際性の向上に役立つ(役立った) 割合(%):一つのみ回答可 区分 問2(1)-a1 問2(1)-a2 問2(1)-b1 問2(1)-b2 問2(2)-a1 問2(2)-a2 問2(2)-b1 問2(2)-b2 問2(3)-a1 問2(3)-a2 問2(3)-b1 問2(3)-b2 1年保護者 86.5 13.5 83.3 15.6 89.6 9.4 74.0 24.0 78.1 21.9 64.6 26.0 2年保護者 87.5 10.2 87.5 6.8 83.0 12.5 78.4 14.8 79.5 15.9 78.0 17.0 3年保護者 82.4 11.8 88.2 5.9 83.5 10.6 82.4 11.8 83.5 12.9 74.1 18.8 全校保護者 85.5 11.9 86.2 9.7 85.5 10.8 78.1 17.1 80.3 16.7 71.0 20.8 区分 問2(4)-a1 問2(4)-a2 問2(4)-b1 問2(4)-b2 問2(5)-a1 問2(5)-a2 問2(5)-b1 問2(5)-b2 問2(6)-a1 問2(6)-a2 問2(6)-b1 問2(6)-b2 1年保護者 75.0 25.0 72.9 20.8 75.0 25.0 66.7 27.1 32.3 66.7 33.3 60.4 2年保護者 79.5 15.9 75.0 17.0 72.7 22.7 67.0 25.0 28.4 67.0 39.8 53.4 3年保護者 78.8 17.6 74.1 18.8 76.5 21.2 71.8 21.2 31.8 62.4 32.9 58.8 全校保護者 77.7 19.7 74.0 19.0 74.7 23.0 68.4 24.5 30.9 65.4 35.3 57.6 問3 SSHに参加したことで,お子さんの科学技術に関する興味・関心・意欲は増したと思いますか [(1)大変増した,(2)やや増した,(3)効果がなかった,(4)もともと高かった,(5)分からない,のうち,一つのみ回答可] 割合(%):一つのみ回答可 区分 問3(1) 問3(2) 1年保護者 22.9 54.2 2年保護者 40.9 46.6 3年保護者 38.8 45.9 全校保護者 33.8 49.1 問3(3) 4.2 2.3 3.5 3.3 問3(4) 6.3 1.1 5.9 4.5 問3(5) 12.5 8.0 4.7 8.6 問4 SSHに参加したことで,お子さんの科学技術に関する学習に対する意欲は増したと思いますか [(1)大変増した,(2)やや増した,(3)効果がなかった,(4)もともと高かった,(5)分からない,のうち,一つのみ回答可] 割合(%):一つのみ回答可 区分 問4(1) 問4(2) 問4(3) 問4(4) 問4(5) 1年保護者 20.8 51.0 8.3 9.4 10.4 2年保護者 30.7 48.9 8.0 1.1 10.2 3年保護者 38.8 38.8 10.6 5.9 4.7 全校保護者 29.7 46.5 8.9 3.7 10.0 問5 SSHによってお子さんの学習全般や理科・数学に対する興味,姿勢,能力にどれくらいの向上が あったと感じますか [①大変増した,②やや増した,③効果がなかった,④もともと高かった,⑤分からない,のうち,一つのみ回答可] (1)未知の事柄への興味(好奇心) (2)理科・数学の理論・原理への興味 (3)理科実験への興味 (4)観測や観察への興味 (5)学んだことを応用することへの興味 (6)社会で科学技術を正しく用いる姿勢 (7)自分から取り組む姿勢(自主性,やる気,挑戦心) (8)周囲と協力して取り組む姿勢(協調性,リーダーシップ) (9)粘り強く取り組む姿勢 (10)独自なものを創り出そうとする姿勢(独創性) (11)発見する力(問題発見力,気づく力) (12)問題を解決する力 (13)真実を探って明らかにしたい気持ち(探求心) (14)考える力(洞察力,発想力,論理力) (15)成果を発表し伝える力(レポート作成,プレゼンテーション) (16)国際性(英語による表現力,国際感覚) - 121 - 割合(%):一つのみ回答可 区分 問5(1)-1 問5(1)-2 1年保護者 15.6 55.2 2年保護者 15.9 56.8 3年保護者 21.2 54.1 全校保護者 17.5 55.4 区分 問5(4)-1 問5(4)-2 1年保護者 14.6 45.8 2年保護者 17.0 44.3 3年保護者 22.4 51.8 全校保護者 17.8 47.2 区分 問5(7)-1 問5(7)-2 1年保護者 10.4 49.0 2年保護者 21.6 54.5 3年保護者 28.2 41.2 全校保護者 19.7 48.3 区分 問5(10)-1 問5(10)-2 1年保護者 8.3 43.8 2年保護者 13.6 35.2 3年保護者 25.9 42.4 全校保護者 15.6 40.5 区分 問5(13)-1 問5(13)-2 1年保護者 6.3 55.2 2年保護者 10.2 50.0 3年保護者 27.1 45.9 全校保護者 14.1 50.6 区分 問5(16)-1 問5(16)-2 1年保護者 5.2 34.4 2年保護者 11.4 29.5 3年保護者 10.6 36.5 全校保護者 8.9 33.5 問5(1)-3 8.3 4.5 4.7 5.9 問5(4)-3 15.6 14.8 7.1 12.6 問5(7)-3 18.8 18.2 7.1 14.9 問5(10)-3 17.7 17.0 10.6 15.2 問5(13)-3 13.5 9.1 8.2 10.4 問5(16)-3 33.3 29.5 20.0 27.9 問5(1)-4 9.4 8.0 9.4 8.9 問5(4)-4 6.3 2.3 4.7 4.5 問5(7)-4 5.2 0.0 9.4 4.8 問5(10)-4 9.4 6.8 3.5 6.7 問5(13)-4 5.2 4.5 7.1 5.6 問5(16)-4 3.1 3.4 0.0 2.2 問5(1)-5 10.4 11.4 8.2 10.0 問5(4)-5 16.7 17.0 11.8 15.2 問5(7)-5 15.6 3.4 11.8 10.4 問5(10)-5 19.8 25.0 16.5 20.4 問5(13)-5 17.7 23.9 9.4 17.1 問5(16)-5 22.9 23.9 29.4 25.3 問5(2)-1 20.8 29.5 23.5 21.6 問5(5)-1 7.3 13.6 28.2 16.0 問5(8)-1 9.4 12.5 25.9 15.6 問5(11)-1 6.3 10.2 18.8 11.5 問5(14)-1 10.4 20.5 28.2 19.3 問5(2)-2 38.5 38.7 42.4 45.0 問5(5)-2 57.3 53.4 50.6 53.9 問5(8)-2 44.8 51.1 55.3 50.2 問5(11)-2 53.1 40.9 50.6 48.3 問5(14)-2 57.3 52.3 48.2 52.8 問5(2)-3 15.6 8.0 11.8 12.3 問5(5)-3 12.5 14.8 5.9 11.2 問5(8)-3 13.5 13.6 5.9 11.2 問5(11)-3 12.5 12.5 9.4 11.5 問5(14)-3 9.4 8.0 5.9 7.8 問5(2)-4 8.3 4.5 7.1 7.1 問5(5)-4 0.0 1.1 1.2 0.7 問5(8)-4 5.2 2.3 3.5 3.7 問5(11)-4 6.3 5.7 3.5 5.2 問5(14)-4 11.5 3.4 7.1 7.4 問5(2)-5 15.6 14.8 14.1 12.3 問5(5)-5 21.9 11.4 11.8 15.2 問5(8)-5 26.0 18.2 8.2 17.8 問5(11)-5 19.8 27.3 15.3 20.8 問5(14)-5 10.4 11.4 8.2 10.0 問5(3)-1 25.0 13.6 28.2 27.5 問5(6)-1 15.6 15.9 24.7 18.6 問5(9)-1 8.3 17.0 29.4 17.8 問5(12)-1 7.3 17.0 23.5 15.6 問5(15)-1 16.7 34.1 43.5 30.9 問5(3)-2 40.6 53.4 41.2 40.1 問5(6)-2 49.0 47.7 52.9 49.8 問5(9)-2 49.0 48.9 40.0 46.1 問5(12)-2 46.9 43.2 52.9 47.6 問5(15)-2 53.1 35.2 38.8 42.8 問5(3)-3 6.3 14.8 9.4 7.8 問5(6)-3 18.8 10.2 5.9 8.9 問5(9)-3 14.6 10.2 10.6 11.9 問5(12)-3 12.5 11.4 5.9 10.0 問5(15)-3 6.3 9.1 2.4 5.9 問5(3)-4 17.7 1.1 9.4 10.8 問5(6)-4 5.2 5.7 1.2 2.6 問5(9)-4 6.3 5.7 8.2 6.7 問5(12)-4 5.2 2.3 3.5 3.7 問5(15)-4 3.1 1.1 3.5 2.6 問5(3)-5 9.4 11.4 9.4 11.2 問5(6)-5 15.6 18.2 12.9 18.2 問5(9)-5 19.8 15.9 10.6 15.6 問5(12)-5 25.0 22.7 10.6 19.7 問5(15)-5 18.8 17.0 8.2 14.9 問6 お子さんに特に人気や効果があったと感じていらっしゃるSSHの取組はどれですか [(1)~(13)のうち,複数回答可] (1)理科や数学に多くが割り当てられている時間割 (2)科学者や技術者の特別講義・講演会 (3)大学や研究所,企業,科学館等の見学・体験学習 (4)個人や班で行う課題研究(お子さんが通われてる高校の先生や生徒のみとの間で行うもの) (5)個人や班で行う課題研究(大学等の研究機関と一緒に,あるいは、指導を受けて行うもの) (6)個人や班で行う課題研究(他の高校の先生や生徒と一緒に,あるいは,指導を受けて行うもの) (7)科学コンテストへの参加 (8)観察・実験の実施 (9)フィールドワーク(野外活動)の実施 (10)プレゼンテーションする力を高める学習 (11)英語で表現する力を高める学習 (12)他の高校の生徒との交流 (13)科学系クラブ活動への参加 割合(%):複数回答可 区分 問6(1) 1年保護者 60.4 2年保護者 55.7 3年保護者 47.1 全校保護者 54.6 問6(2) 41.7 43.2 40.0 41.6 問6(3) 63.5 61.4 52.9 59.5 問6(4) 17.7 42.0 70.6 42.4 問6(5) 13.5 22.7 25.9 20.4 問6(6) 5.2 3.4 9.4 5.9 問6(7) 5.2 9.1 18.8 10.8 問6(8) 30.2 28.4 24.7 27.9 問6(9) 2.1 1.1 3.5 2.2 問6(10) 15.6 35.2 64.7 37.5 問6(11) 13.5 11.4 14.1 13.0 問6(12) 1.0 3.4 2.4 2.2 問6(13) 7.3 8.0 8.2 7.8 問7 お子さんの現在の大学進学志望は理系・文系のいずれですか [(1)~(5)のうち,一つのみ回答可] (1)理系 (2)文系 (3)決まっていない (4)わからない (5)大学進学を希望していない 割合(%):一つのみ回答可 区分 問7(1) 問7(2) 1年保護者 81.3 1.0 2年保護者 85.2 5.7 3年保護者 84.7 5.9 全校保護者 83.6 4.1 問7(3) 12.5 6.8 1.2 7.1 問7(4) 4.2 2.3 2.4 3.0 問7(5) 1.0 0.0 4.7 1.9 問8 SSHの取組を行うことは,学校の教育活動の充実や活性化に役立つと思いますか [(1)~(5)のうち,一つのみ回答可] (1)まったくその通り (2)ややその通り (3)どちらでもない (4)やや異なる (5)まったく異なる 割合(%):一つのみ回答可 区分 問8(1) 問8(2) 1年保護者 43.8 50.0 2年保護者 62.5 33.0 3年保護者 63.5 31.8 全校保護者 56.1 38.7 問8(3) 3.1 2.3 2.4 2.6 問8(4) 2.1 0.0 1.2 1.1 問8(5) 1.0 1.1 0.0 0.7 - 122 - 【研究第4年次(平成20年度)SSH意識調査:教員対象】 区分 教員 回答人数 49 問1 あなたが現在指導している担当教科をお答えください [(1)~(6)のうち,一つのみ回答可] (1)数学 (2)理科 (3)情報 (4)外国語(英語等) (5)文系教科(国語,地理歴史,公民) (6)その他の教科(保健体育,芸術,家庭等) 割合 (%):一つのみ回答可 区分 問1(1) 問1(2) 教員 8.2 12.2 問1(3) 4.1 問1(4) 10.2 問1(5) 12.2 問1(6) 53.1 問2 高校教員としての経験年数をお答えください(担当教科・科目は限りません) [(1)~(8)のうち,一つのみ回答可] (1)1年未満 (2)1年以上3年未満 (3)3年以上5年未満 (4)5年以上10年未満 (5)10年以上15年未満 (6)15年以上20年未満 (7)20年以上30年未満 (8)30年以上 割合(%):一つのみ回答可 区分 問2(1) 問2(2) 教員 4.1 4.1 問2(3) 10.2 問2(4) 4.1 問2(5) 10.2 問2(6) 16.3 問2(7) 32.7 問2(8) 18.4 問3 あなたのSSH活動へのかかわり度合いをお答えください [(1)~(5)のうち,複数回答可] (1)SSH主担当(各指定校において1人を想定) (2)SSH校内委員会などのメンバー (3)SSH活動の企画立案に関与 (4)SSH活動の実施に補助的に関与 (5)その他( ) 割合(%):複数回答可 区分 問3(1) 問3(2) 教員 4.1 51.0 問3(3) 6.1 問3(4) 49.0 問3(5) 0.0 問4 SSH活動において,学習指導要領よりも発展的な内容についてどれくらい重視しましたか [(1)大変重視した (2)やや重視した (3)重視しなかった,のうち,一つのみ回答可] 割合(%):一つのみ回答可 区分 問4(1) 問4(2) 教員 28.6 63.3 問4(3) 6.1 問5 SSH活動において,担当教科・科目を越えた教員の連携をどれくらい重視しましたか [(1)大変重視した (2)やや重視した (3)重視しなかった,のうち,一つのみ回答可] 割合(%):一つのみ回答可 区分 問5(1) 問5(2) 教員 36.7 55.1 問5(3) 8.2 問6 SSHに参加したことで,生徒の科学技術に関する興味・関心・意欲は増したと思いますか [(1)大変増した,(2)やや増した,(3)効果がなかった,(4)もともと高かった,(5)分からない,のうち,一つのみ回答可] 割合(%):一つのみ回答可 区分 問6(1) 問6(2) 教員 18.4 40.8 問6(3) 0.0 問6(4) 20.4 問6(5) 18.4 問7 SSHに参加したことで,生徒の科学技術に関する学習に対する意欲は増したと思いますか [(1)大変増した,(2)やや増した,(3)効果がなかった,(4)もともと高かった,(5)分からない,のうち,一つのみ回答可] 割合(%):一つのみ回答可 区分 問7(1) 問7(2) 教員 24.5 38.8 問7(3) 4.1 問7(4) 14.3 問7(5) 18.4 問8 SSHによって,生徒の学習全般や理科・数学に対する興味,姿勢,能力にどれくらいの向上が あったと感じますか [①大変増した,②やや増した,③効果がなかった,④もともと高かった,⑤分からない,のうち,一つのみ回答可] (1)未知の事柄への興味(好奇心) (2)理科・数学の理論・原理への興味 (3)理科実験への興味 (4)観測や観察への興味 (5)学んだことを応用することへの興味 (6)社会で科学技術を正しく用いる姿勢 (7)自分から取り組む姿勢(自主性,やる気,挑戦心) (8)周囲と協力して取り組む姿勢(協調性,リーダーシップ) (9)粘り強く取り組む姿勢 (10)独自なものを創り出そうとする姿勢(独創性) (11)発見する力(問題発見力,気づく力) (12)問題を解決する力 (13)真実を探って明らかにしたい気持ち(探求心) (14)考える力(洞察力,発想力,論理力) - 123 - (15)成果を発表し伝える力(レポート作成,プレゼンテーション) (16)国際性(英語による表現力,国際感覚) 割合(%):一つのみ回答可 区分 問8(1)-1 問8(1)-2 教員 14.3 51.0 区分 問8(4)-1 問8(4)-2 教員 12.2 40.8 区分 問8(7)-1 問8(7)-2 教員 6.1 61.2 区分 問8(10)-1 問8(10)-2 教員 20.4 42.9 区分 問8(13)-1 問8(13)-2 教員 16.3 51.0 区分 問8(16)-1 問8(16)-2 教員 14.3 53.1 問8(1)-3 4.1 問8(4)-3 4.1 問8(7)-3 8.2 問8(10)-3 6.1 問8(13)-3 4.1 問8(16)-3 10.2 問8(1)-4 14.3 問8(4)-4 16.3 問8(7)-4 6.1 問8(10)-4 4.1 問8(13)-4 12.2 問8(16)-4 4.1 問8(1)-5 問8(2)-1 16.3 10.2 問8(4)-5 問8(5)-1 26.5 14.3 問8(7)-5 問8(8)-1 18.4 8.2 問8(10)-5 問8(11)-1 26.5 14.3 問8(13)-5 問8(14)-1 16.3 16.3 問8(16)-5 18.4 問8(2)-2 46.9 問8(5)-2 46.9 問8(8)-2 46.9 問8(11)-2 53.1 問8(14)-2 49.0 問8(2)-3 8.2 問8(5)-3 8.2 問8(8)-3 10.2 問8(11)-3 6.1 問8(14)-3 4.1 問8(2)-4 問8(2)-5 18.4 16.3 問8(5)-4 問8(5)-5 10.2 20.4 問8(8)-4 問8(8)-5 4.1 30.6 問8(11)-4 問8(11)-5 8.2 18.4 問8(14)-4 問8(14)-5 8.2 22.4 問8(3)-1 14.3 問8(6)-1 8.2 問8(9)-1 8.2 問8(12)-1 16.3 問8(15)-1 34.7 問8(3)-2 44.9 問8(6)-2 46.9 問8(9)-2 53.1 問8(12)-2 49.0 問8(15)-2 46.9 問8(3)-3 6.1 問8(6)-3 10.2 問8(9)-3 10.2 問8(12)-3 4.1 問8(15)-3 2.0 問8(3)-4 18.4 問8(6)-4 4.1 問8(9)-4 4.1 問8(12)-4 6.1 問8(15)-4 8.2 問8(3)-5 16.3 問8(6)-5 30.6 問8(9)-5 24.5 問8(12)-5 24.5 問8(15)-5 8.2 問9 生徒に特に人気や効果があったと思うSSHの取組はどれですか [(1)~(13)のうち,複数回答可] (1)理科や数学に多くが割り当てられている時間割 (2)科学者や技術者の特別講義・講演会 (3)大学や研究所,企業,科学館等の見学・体験学習 (4)個人や班で行う課題研究(自校の教員や生徒のみとの間で行うもの) (5)個人や班で行う課題研究(大学等の研究機関と一緒に,あるいは、指導を受けて行うもの) (6)個人や班で行う課題研究(他の高校の教員や生徒と一緒に,あるいは,指導を受けて行うもの) (7)科学コンテストへの参加 (8)観察・実験の実施 (9)フィールドワーク(野外活動)の実施 (10)プレゼンテーションする力を高める学習 (11)英語で表現する力を高める学習 (12)他の高校の生徒との交流 (13)科学系クラブ活動への参加 割合(%):複数回答可 区分 問9(1) 問9(2) 教員 12.2 26.5 問9(3) 28.6 問9(4) 46.9 問9(5) 22.4 問9(6) 10.2 問9(7) 22.4 問9(8) 14.3 問9(9) 2.0 問9(10) 34.7 問9(11) 20.4 問9(12) 14.3 問9(13) 4.1 問10 SSHによって,学校の先進的な科学技術や理科,数学に関する取組が充実したと思いますか [(1)大変充実した,(2)やや充実した,(3)効果がなかった,(4)分からない,のうち,一つのみ回答可] 割合(%):一つのみ回答可 区分 問10(1) 問10(2) 教員 18.4 57.1 問10(3) 4.1 問10(4) 20.4 問11 SSHの取組を行うことは,下記のそれぞれの項目においてどれくらいの影響を与えると思いますか [①まったくその通り,②ややその通り,③どちらでもない,④やや異なる,⑤まったく異なる,のうち,一つのみ回答可] (1)生徒の理系学部への進学意欲によい影響を与える (2)新しい理数のカリキュラムや教育方法を開発する上で役立つ (3)教員の指導力の向上に役立つ (4)教員間の協力関係の構築や新しい取組の実施など学校運営の改善・強化に役立つ (5)学校外の機関との連携関係を築き,連携による教育活動を進めるうえで有効だ (6)地域の人々に学校の教育方針や取組を理解してもらう上で良い影響を与える (7)将来の科学技術系人材の育成に役立つ 割合(%):一つのみ回答可 区分 問11(1)-1 問11(1)-2 教員 28.6 57.1 区分 問11(3)-1 問11(3)-2 教員 14.3 57.1 区分 問11(5)-1 問11(5)-2 教員 8.2 55.1 区分 問11(7)-1 問11(7)-2 教員 24.5 59.2 問11(1)-3 12.2 問11(3)-3 22.4 問11(5)-3 32.7 問11(7)-3 14.3 問11(1)-4 0.0 問11(3)-4 6.1 問11(5)-4 4.1 問11(7)-4 2.0 問11(1)-5 問11(2)-1 問11(2)-2 問11(2)-3 問11(2)-4 問11(2)-5 2.0 20.4 61.2 16.3 2.0 0.0 問11(3)-5 問11(4)-1 問11(4)-2 問11(4)-3 問11(4)-4 問11(4)-5 0.0 10.2 46.9 34.7 8.2 0.0 問11(5)-5 問11(6)-1 問11(6)-2 問11(6)-3 問11(6)-4 問11(6)-5 0.0 4.1 46.9 32.7 12.2 4.1 問11(7)-5 0.0 【研究第4年次(平成20年度)SSH意識調査のまとめ】 「科学技術に関する興味・関心・意欲は増した(と思う)か」 「科学技術に関する学習 に対する意欲が増した(と思う)か」について,1・2・3年生徒,1・2・3年保護 者,教員とも,「増した」の割合(「大変増した」「やや増した」の合計の,「もともと高 かった」を除く「大変増した」 「やや増した」 「効果がなかった」 「分からない」全体に対 する割合)は7割以上であった。 「学習全般や理科・数学に対する興味,姿勢,能力にど - 124 - れくらいの向上があった(と感じる)か」については, 「増した」の割合(同上)が1・ 2・3学年のすべての学年において7割以上であった項目は,生徒では「未知の事柄へ の興味(好奇心)」 「理科・数学の理論・原理への興味」 「理科実験への興味」 「考える力(洞 察力,発想力,論理力)」,保護者では「未知の事柄への興味(好奇心)」 「理科実験への興 味」「考える力(洞察力,発想力,論理力)」「成果を発表し伝える力(レポート作成,プ レゼンテーション)」であり,また,教員においては「未知の事柄への興味(好奇心)」 「理 科・数学の理論・原理への興味」など, 「増した」の割合(同上)が7割以上であった項 目は,9項目あった。教員において「SSH活動において,担当教科・科目を越えた教 員の連携をどれくらい重視しましたか」が「重視した」の割合(「大変重視した」「やや 重視した」の合計の割合)で9割以上あり,教科間の連携を重視している。 「学校の教育 活動の充実や活性化に役立つと思うか」については,1・2・3学年の保護者とも, 「そ の通り」の割合(「まったくその通り」「ややその通り」の合計の割合)が9割以上であ った。 「困ったことは何か」について,回答した生徒の割合が5割以上であった項目は, 1・2・3学年の生徒とも,過去3年間と同様に「レポートなど提出物が多い」であっ た。 Ⅱ 第4年次の研究のまとめ 新科目「科学技術研究入門」については,科目としての着実な熟成化を目指した活動を 実施した。昨年度,一昨年度の授業実践の経験を踏まえ,各分野では,テキストおよび授 業内容のブラッシュアップを図りつつ,よりレベルアップした授業展開を目指し取り組ん だ。授業実践3年目となる今年度も前年に引き続き,科目開発の有効性について,生徒の 評価を通した分析を行った。また,同様に,本科目を受講した生徒が3年生の課題研究の 取り組みにどのように影響し,成果をもたらしているかに関して分析した。 本年度は以上の2点に加え,国際性育成研究会とともに,タイ王国カセサート大学附属高校 の交換留学生に対し,本科目で授業交流を行った。しかしながら,英語という言葉の壁が 高く円滑な授業展開とはならなかった。言葉の壁を低くする手立てを考え,授業内におけ るコミュニケーションの向上に向けた工夫が必要である。今年度に新科目「科学技術研究 入門」を履修した2年生(平成19年度入学生)に対する,記述式のテストによる事前・事後 調査の分析を行った。合格者(5点満点で4点以上を獲得した生徒を指すが,教師側の意図 を十分に理解できている場合のみを合格者とするため,このレベル設定はかなり高い)人数 の総人数に対する割合について,χ2検定を行った結果,応用化学分野が0.01%水準,情報 システム分野が5%水準,機械システム分野が1%水準,電気電子分野が0.01%水準で,そ れぞれ有意差が認められた。建築デザイン分野では,有意差が認められなかったが,事前 の合格者の人数が多かったためだったのが,一つの要因と思われる。 「国際性育成」については,SSH研究2年次にあたる平成18年度に交流協定を結ん だタイ王国カセサート大学附属高校との交換留学が2年目となり,さらに充実した内容で 無事実施することが本年度の主な活動とした。交換留学初年度の平成19年度は,すべて 試行錯誤の連続であったが,2年目となる平成20年度は,派遣する生徒・引率教員の安 全を第一に確保し,国外での不測の事態にも落ち着いて対応できるような危機管理体制を 整えることを重視した。また今年度は,4月の年度当初からタイ派遣のアナウンスを生徒 - 125 - 及び保護者に対して行い,派遣生徒の家庭がホストファミリーとなることを原則としたた め,10月のタイ生徒受入時には本校生徒の家庭でのホームステイを実現させることができ た。 8月のタイ派遣事業では,交流初年度のプログラムにさらに改訂を加え,充実したプログ ラムを提供していただき,派遣生徒は充実した体験が得られたと思われる。また,本校応 用化学分野教員により「タイと日本の環境について考える」授業をタイ生徒(40名),本 校生徒に英語で実施した。両国の高校生にとって関心が高く共通の話題として相応しいと 思われる「環境」をテーマとし,両校生徒の共存の意識を高め,生徒間のコミュニケーシ ョンを活発化することを目的として行った。プレゼンテーションソフトを利用したスライ ドをもとに進行し,環境に関する項目を質問する形式でタイ,本校生徒が共に挙手,もし くは発言により意見交換を行う形で実施することができた。10月のタイ生徒受入時には, 第3学年の課題研究の見学と質疑,新たな試みとして,第2学年の「英語Ⅱ」及び科学技 術研究入門研究会との連携を行って各分野の「科学技術研究入門」でタイ生徒の授業参加 を実施した。 「英語Ⅱ」では,1クラスにタイ生徒5名が参加し,授業展開もそれを意識し た形式で行われたため,終始,タイ生徒とのコミュニケーションが継続できている様子で あった。しかし, 「科学技術研究入門」では,5クラスにタイ生徒が1人ずつ分かれて参加 したこともあって,生徒相互の交流がままならず,新たな課題となった。生徒・教員を対 象とした「英語による講演」も継続的に行い,タイ王国のみならず,諸外国の人々と接し, 直接情報を収集する機会を作ることができた。留意したい点として,語学「英語」学習と いう観点からではなく,様々な分野での情報交換を可能とする場として設定し,各分野の 参加者が情報を取捨選択する機会を設けることができた。昨年に引き続き,英国科学実験 講座クリスマスレクチャー2008への参加,なども実施した。課題研究における生徒による 「英文アブストラクト作成」実施後の調査では,約80%の生徒が難しいと感じている一方 で,約90%以上の生徒が英語の重要性を認識し,今後意識的に英語を学習しようと考える 傾向が見られた。 「さきがけ教育」については,第2学年及び第3学年の「数学さきがけ」と第3学年の 「3学期さきがけ」についての授業実践,各種アンケート調査の実施などに加えることに よって,充実を図った。 「物理さきがけ」については,昨年度の試行を踏まえて教材プリン トを見直して新たに開発し,第3学年における類型選択科目「物理Ⅱ」を利用し,履修者 の中から希望の生徒に対して本格的な実践を行った。アンケート調査による教育実習生・ 本校卒業生への調査・追跡も引き続き行った。昨年度,1回目のSSH研究開発で作成し た副読本「数理応用」に「確率と統計入門」「線形代数入門」「解析学入門」の3つの章を 加えて,副読本「数学さきがけ(試作版2007)」に改訂したが,さらに検討を行い新たな内 容を加えて副読本「数学さきがけ(試作版2008)」に改訂し充実化を図った。第2学年の「数 学さきがけ」では,1・2・3学期とも,数学科教員と科学・技術科教員のTTを継続し た。第2学年「数学さきがけ」で事前・事後に実施した小テストによる学力調査の比較で は,研究第3年次の3学期・研究第4年次の1学期・2学期のいずれの調査においても事 前の平均値より事後の平均値が上回り,それぞれ,1%水準,5%水準,1%水準で有意差が 認められた。第3学年の「数学さきがけ」で実施した事前・事後調査の比較では,「「数学 の学習」はどの程度必要だと感じていますか」「「数学」と「物理や化学,工業」はどの程 - 126 - 度関連性があると感じていますか」「未知の値を求めたり事象を解析したりする際に,「数 学」はどの程度役立つと感じていますか」のいずれにおいても,研究第3年次と同様に事 前の平均値が既にかなり高い値であり,事前の平均値と事後の平均値には有意差は認めら れなかった。第3学年の「物理さきがけ」で実施した事前・事後調査の比較では, 「高校の 物理に興味・関心がありますか」 「教科書には載っていない発展的な内容を学習したいと思 いますか」のいずれにおいても,1学期の調査では,事前の肯定的意見の割合がかなり高 く,差もほとんど無かったが,2学期の調査では,同じ質問に対し,肯定的な回答をした 生徒の割合は,事前に比べて事後の方がそれぞれ十数ポイントずつ増加していた。これは, 「特殊相対論入門」を内容として選んだ際に意図した, 「2つの基本的な公理から新しい理 論を導き出す過程を学習することで「いどむ」力を育む」ことに対して,意図した通りの 結果が得られたと考えられ,評価できると考えられる。第3学年の「3学期さきがけ」に おいて,開講した講座に対する「授業の内容が理解できたか」についての質問に対しては, 比較的高い数値のものが多く,すべてが3.00を上回った。 「成果普及促進」については,国内外からの学校視察・学校訪問(ロシア,韓国,台湾, タイ,ベトナムからの視察もあった)を受け入れた。11月に神戸大学で開催されたSSHの評 価に関する研修会に発表校として参加し,本校の取組を他のSSH校に知っていただく良 い機会となった。生徒の各種大会等における賞・記録については,今年度も幾つかの賞を いただいた。科学系クラブの活動として他のSSH校との研究交流を引き続き行った。東 京工業大学「ものつくり教育研究支援センター」に「課題研究」の成果を特別展示した。 ホームページ上のニューズレターでは,この1年間に14件のSSH関連トピックを紹介し た。 Ⅲ 今後の課題 本SSH研究開発も研究第4年次の終了時点を迎えた。本年度は,これまでの実践を振 り返り,研究最終年次の平成21年度を見据えた活動を行った。各研究会で行っている取 り組みは,全教職員の協力により,着実な成果を挙げつつある。残る1年間を一歩ずつ確 実に歩んでいき,5年間の総まとめとなる1年としていきたい。 新科目「科学技術研究入門」では,本科目で目指している「新たな課題に対して生徒自 らが主体的に考える力」の育成は,アンケートの結果および3年次の課題研究のテーマ決 め等からそれなりに達成しつつあると考える。しかし,本科目の導入で授業時間が減るこ とによる,従来の専門的素養の知識・技能レベルが低下するのではないか,という懸念は まだ十分に晴れてはいない。課題研究取り組み中の自主的な学習,研究活動など,これか らも,他の授業科目との連携を図りながら,継続的に検討していく必要があると考える。 本科目の履修を通した生徒の評価については,科目の性格上難しい部分が多く,客観的 な評価法の確立には,今後も継続的な検討が必要と考える。今のところ,上述のようなデ ータ処理を行って,評価しているが,先生方の実際に生徒を相手にしての感触など,まだま だ,評価方法の検討が必要である。もちろん,今までに得られた評価結果に関しては,今 後も着実にデータの蓄積を進め,時系列での評価もする必要がある。その上で,最終的に 妥当な評価を行わなければならないと考える。 国際交流に関連した活動に関しては、タイ生徒の本校の授業への参加が実現した。想定 - 127 - 内ではあったが、言葉(英語)を使用して内容を理解に導くことは容易ではないことを生 徒、教員共に実感した。次年度への課題としては、言葉での説明に依存した授業ではなく、 観る・触る・つくるといった共同作業や創作、実験などを主体として展開される、科学技 術を共通言語とした、お互いの体験を共有する授業となるような授業案を作成し実施する というような改善が必要である。 「さきがけ教育」について,第2学年の「数学さきがけ」では,実践事例を積み重ねて 充実・完成を目指すこと,第3学年の「数学さきがけ」では,最終年度に向けて,着実な 学力向上も目指したい。 「物理さきがけ」では,生徒アンケートや事前・事後の学力調査の 結果を参考にして,教材プリントの改良とともに,指導内容にも更に工夫を加えて,充実 化を図る。 「成果普及促進」については,これまでの活動を継続的に行っていくとともに,最終年 次の成果発表会の準備を開始する。 - 128 - D Ⅰ 関係資料 運営指導委員会の記録 平成20年度に開催された第1回運営指導委員会,及び,第2回運営指導委員会につい て記載する。 1 平成20年度第1回運営指導委員会 (1)日 時:平成20年9月9日(火)午後3時より午後5時30分まで (2)場 所:キャンパス・イノベーションセンター7階713会議室 (3)出席者: ① 運営指導委員 ② 秋 山 太 田 武 藤 佐 藤 小 川 岸 本 廣 瀬 広 瀬 本校 光 明 幸 一 昭 一 義 雄 浩 平 喜久雄 幸 夫 茂 久 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 大田区・副区長 富士通エフ・アイ・ピー(株)・会長 東京電力(株)・開発計画部長 米沢工業高等学校・校長 東京工業大学・教授 東京工業大学・教授 東京工業大学・教授 東京工業大学・教授 校長,副校長,事務長,SSH研究開発委員会幹事,各研究会・委員会幹事, 庶務係長,管理係長,教務係長,庶務係主任 (4)内 容: ① 校長挨拶 ② 校長より運営指導委員会出席者の紹介 副校長より本校職員出席者の紹介 ③ 各研究の取組状況についての説明・報告 (ⅰ)全体 (ⅱ)各研究会・委員会 (ア)科学技術研究入門研究会 (イ)国際性育成研究会 (ウ)さきがけ教育研究会 (エ)成果普及促進委員会 ④ 大森 仲道 森安 清水 保立 質疑応答,助言,講評 小川委員;3年,5年,都合8年間の報告を出す場合,本研究が「附属工業高校で なくてもいいのでは」という問に対する答を出さなければならない。教 育なので8年で成果が出るか。当然そこを出た卒業生が社会に出て活躍 して,世の中から評価される。高校として「さきがけ」をはじめとして いろいろな研究を,評価に耐えうるような答を出す必要がある。例えば, 「芽生えのような」ものでも,「高校生がこんな風に変わってきた」,ま た「大学に入って,その学生に対して大学側から評価が聞こえてきた」 等が報告書にいくつか書けるような形で書いて欲しい。 市村校長;高大連携で東工大に入学し,いろいろな成果をあげている。特別選抜が 始まって今年度が4年目なので,卒業研究などの評価を聞いてみたい。 また,修士での,その後の社会人になってからの評価なども追跡調査し たい。 高校側 ;東工大で卒研の担当先生に,高校側から評価を取らせてもらってよいも のか。 小川委員;学生の評価を聞かせて欲しいというのは,一向にかまわないと思う。 廣瀬委員;「科学技術研究入門」を経験した生徒と,経験しなかった生徒にとったア ンケートの違いはあったのか。成績とかモチベーションとかよくわから なかったので教えて欲しい。 高校側 ;昨年度の報告書p44~48にあるように,アイデアの出し方などで, ある程度の成果は出ていると思う。 広瀬委員;「科学技術研究入門」で,教員のサポートが必要とのことだが,実感はあ るのか。 高校側 ;全員に聞いたわけではないが,サポートできる生徒と出来ない生徒との 二極化になっている。サポートできていない生徒は暴走した意見を出し ているが,それが活発な様子が見られ盛り上がっている。サポートでき る生徒は盛り上がりに欠けている印象を受けているが上手くまとまった 発表ができているといった印象です。 岸本委員;いろいろな取り組をして効果が出ていると思うが,この高校だけで終わ るのか。他校にこのモデルをもっていきもう1校作れるのか。理工系離 れがまだ進んでいるので,モデル校になりえるのか,それが大きな効果 になると思う。新しい科学技術高校に,どのような影響を与えているの か。これからどのように考えていくのか。教員免許を「科学技術」の面 から変えていかないと。ドクターを出た人たちが産業界に進み,教員に ならない問題もある。 市村校長;ドクターをもった教員をもっと増加させたいが,なかなか来ない。 廣瀬委員;国際性のステップアップするためには,今後保護者の協力がますます必 要になろう。この点どう考えているか。 高校側 ;今年度は,タイ交流した生徒は,タイの生徒が交流で日本に来た場合, ホームステイが可能か調査して実施した。他の資料なども用いて,保護 者にも情報を流して積極的に動けるよう説明していきたい。 秋山委員;大田区もタイとは技術協力している。協力できることがあれば,協力し ていきたい。特に,大田区ではアナログ技術での交流で,教育にももっ とアナログ技術も入れてもらいたいと思う。技術力の大切さを知る人が 必要になる。 太田委員;「さきがけ教育」はある程度体系化されてきているのではないか。昨年の 中間発表での展示は感心しており,生徒の成果集などとして何らかの発 表をして欲しい。国際性の応募人数が少ない。タイの交流での校内発表 など,もっと生徒発表等を活用したらどうか。 高校側 ;生徒の発表などを行っている。 太田委員;地方の工学部系大学は苦労している。地方の技術教育にこれらの研究を 活用して地方の技術者の増加に役立つようなことはできないか。 佐藤委員;調査官時代に柱にしたこと(技能系)の成果は,昨年の技能五輪の工業 高校卒業者がメダルの大半を取得など成果が出た。しかし,ここまで10 年の時間が必要となった。地方の工学部の定員不足の問題があり,工業 高校として,新たな改革が必要であるが,これも時間が必要。しかし工 業高校の半分が大学進学の実情であり,これまでの「技能系」と別に「科 学・技術系」の工業高校の改革を行いたい。大学で学生を育てている現 実を,高校で学生を育て,大学で発展的に自ら学ぶ人間を育てられるよ うにしたい。そのためには,興味・関心の強い心を育てれば,自ずと勝 手に学ぼうとするであろう。 「ものづくり系科学・技術高校」として,東 工大附属は先頭を切って欲しい。 武藤委員;評価については,悪い結果も客観的に書くようにしなければ信用性がな い。例えば,推薦入学した生徒の成績なども調べ,一般入学した生徒と の比較も必要になる。高大連携については,他大学との連携なども考え てみてはどうか。 「技術のおもしろさ」を一般の高校への効果についても 考えたらどうか。 2 平成20年度第2回運営指導委員会 (1)日 時:平成21年2月19日(木)午後3時より午後5時30分まで (2)場 所:キャンパス・イノベーションセンター8階806会議室 (3)出席者: ① 運営指導委員 ② 秋 山 太 田 佐 藤 岸 本 廣 瀬 広 瀬 本校 光 明 幸 一 義 雄 喜久雄 幸 夫 茂 久 委員 委員 委員 委員 委員 委員 大田区・副区長 富士通エフ・アイ・ピー(株)・会長 米沢工業高等学校・校長 東京工業大学・教授 東京工業大学・教授 東京工業大学・教授 校長,副校長,事務長,SSH研究開発委員会幹事,各研究会・委員会幹事, 庶務係長,管理係長,教務係長,庶務係主任 (4)内 容: ① 校長挨拶 ② 校長より運営指導委員会出席者の紹介 副校長より本校職員出席者の紹介 ③ 各研究の取組状況についての説明・報告 (ⅰ)全体 (ⅱ)各研究会・委員会 (ア)科学技術研究入門研究会 (イ)国際性育成研究会 (ウ)さきがけ教育研究会 (エ)成果普及促進委員会 山口 仲道 森安 清水 保立 ④ 質疑応答,助言,講評 廣瀬委員:国際交流の成果普及に関し,昨年より大いに進展が見られるが,最終的 にタイに行かなかった生徒に対しての波及効果を数値化することは考え ているか。 高校側 :現在報告会等アンケート等で記述しているが,留学生センターで使用し ているノウハウがあったら,是非ご指導願いたい。 廣瀬委員:派遣した生徒の報告より,受け入れたタイの生徒と実施したことの方が 波及効果は高いのではないか。 高校側 :今回は「科学技術研究入門」にタイの生徒が一人ずつ授業に参加したが, なかなかスムーズに行かないため,今後の課題となっている。 広瀬委員:英語でアブストラクトを作成することは大変良いことだが,その指導を してくれる人への予算はSSHの予算で捻出できているのか。 高校側 :本校国語科,英語科の協力も仰ぐ予定だが,予算として計上し,支払わ れている。 広瀬委員:カセサート大学附属高校の学校としてのレベルは高いと聞いているが。 高校側 ;高いが,生徒達は化学系より物理が好きだという生徒が多かった。 広瀬委員:「科学技術研究入門」の中で行っているブレーンストーミングは生徒に定 着しているか。 高校側 :行き渡ってきていると言えるが,しみ込んでいるかという点においては 疑問がある。しかし,一例として,建築設計のコンペにおいて, “一人ブ レーンストーミング”のような手法で与えられた課題に取り組んだ生徒 がいた。このように,生徒に依っては非常に定着したといえる。 秋山委員:今回の運営指導委員会の先生方の報告においてのポイントは,コミュニ ケーションの大切さであると考える。大田区でもタイとの交流を行って いる。言語の違い,生活習慣の違いから種々の苦労がある。教育の中で も同様の問題があることが理解できた。今後の活動に期待する。 太田委員:朝日新聞に依れば,昨今の大学入学試験においてAO方式で選抜を実施 する大学が40%ということである。東工大附属の場合,SSHの学校 で学んだということで一つの「ブランド」とはなっていないか。また東 工大附属の生徒の他大学での様子はトレースできないのか。特区のよう な形で小~大への連携はできないか。東工大附属に来る生徒は理科離れ している訳ではないので,問題ないが。理科離れに対してSSHとして 何か地域に貢献できる形はないのか。 市村校長:推薦で東工大に行った生徒に関しては17年間追跡調査をする。地域貢 献に関しては東工大から教授が小学生に理科を教える機会はある。 岸本委員:昨年の交流の状況に比べると本年度はかなりの進展が見られている。焦 らず実施していって欲しい。波及効果に関しては,共通のテーマを設定 しておき,派遣前に双方で検討しておいてはどうか。そして一つのミッ ションとして具体的なことを,タイ滞在中に現地で調査をさせてはどう か。滞在が短くても周りの人々に尋ねたりはできないか。 高校側 :今回も事前の研修で各生徒の分野に沿ったテーマを課しておいたが,現 地に行ってからではないと,校外研修の予定があまりはっきりしないた め,テーマに依っては調査しきれない生徒もいた。そこで報告会では後 付で調査させた。 廣瀬委員:JCSOSへの参加等危機管理への関心は大変良いことである。たとえ ば,昨年は派遣の後すぐに空港閉鎖があり,大学でも学生と連絡がとれ ないということがあった。現在はレベル1であるが,常に情報を確認す る必要がある。 広瀬委員:附属の先生方の努力により進歩が見られる。交流の継続は多くの努力も 必要であるが期待している。その際先生方のオーバーワークとならない よう,負担は少なく効果は大となる方法を,是非考えていって欲しい。 Ⅱ 連絡協議会等の記録 1 平成20年度スーパーサイエンスハイスクール情報交換会 (1)日 時:平成20年12月26日(土)午前9時30分~午後4時30分まで (2)場 所:学術総合センター (3)出席者:門馬副校長・大森・山口(SSH研究開発委員会幹事) (4)内 容:SSH事業における研究開発に関し,JSTによる活動支援の一環として, 各SSH指定校関係者による成果や課題についての協議を行う機会を目的 とし,更に,ここでの有用な情報を共有することで,今後の研究開発を一 層効果的に実施することも目的に開催された。 (5)備 考:本校は分科会において,校長分科会と第二分科会,第四分科会に参加し, 第二分科会では本校の大森教諭が司会を務めた。 Ⅲ SSH関連の出張の記録 平成20年度におけるSSH関連の出張について記載する。 (タイ国カセサート大学附属 高校への生徒引率については,実施報告書本文の「国際性育成研究会の活動報告」を参照) 1 「SSH事業の自己評価の取り組みについて」実施報告ならびに研究協議会 (1)日 程:平成20年11月14日(金) (2)出張者:大森,杉原,山口(SSH研究開発委員会幹事) (3)場 所:神戸大学附属図書館 社会科学系フロンティア館3階プレゼンテーションホール (4)内 容:SSH事業の自己評価の方法や活用等について,各校の実践発表を通じて 情報を得るとともに,研究協議を通じて評価に関する成果や画題を共有し, SSH事業への質的向上への道筋をつける目的で開催された。 本校は,発表校として指定され,平成14年度からの第1期SSHの取 り組み・評価から現在の取り組みについて発表した。 (5)本校の活動への影響 年度当初になかった研究協議会であったにも関わらず,参加校が70校以上で あった。多くの学校が自己評価に悩んでいることは,参加校の数のみならず質疑 での活発なやり取りでも伝わった。本校がSSH校の中で評価される取り組みを 行っていることを実感できる機会となった。今後,これまで以上に本校の活動が 注目されることから,使命感を持って努力していく意識が持てたと言える。 Ⅳ 報道機関による取材・報道の記録 1 日刊工業新聞社による取材・報道の記録 (1)取材日:平成21年1月13日(火)午前10時~13時 (2)場所:本校 (3)対応者:市村校長・門馬副校長・大森(SSH研究開発委員会幹事) (4)内容: 日刊工業新聞社の「理科好きを増やせ」という特集の一環 で,本校がSSHによる先進的な取り組みを行っているこ とを評価していただき,取材が申し込まれた。主に,今回 の研究開発での開発科目「科学技術研究入門」を中心に取 材され,実際に授業風景を視察した。本校のSSH研究開 発の目的や取り組みに関して校長をはじめ,対応者と授業 担当者がインタビューに応えた。右の写真は,平成21年 1月30日(金)に掲載された記事である。 Ⅴ 平成20年度教育課程表 平成18年度・19年度・20年度入学生教育課程履修科目 必 修 選 択 教科 科 目 1年 2年 3年 小計 類型 自由 国 語 表 現 Ⅰ 国 語 表 現 Ⅱ 国語 国 語 総 合 4 4 0,2,4 現 代 文 2 1 3 古 典 講 読 2 世 界 史 A 2 2 地理 日 本 史 A 2 2 日 本 史 B 2 0,2,4 歴史 世 界 史 B 地 理 A 公民 現 代 社 会 2 1 3 0,2,4 数 学 Ⅰ 3 3 数 学 A 1 1 数 学 Ⅱ 4 4 0,2,4 数学 数 学 B 2 2 数 学 Ⅲ 3 数 学 C 理 科 総 合 A 2 2 理 科 総 合 B 物 理 Ⅰ 1 2 3 物 理 Ⅱ 3 0,2,4 理科 化 学 Ⅰ 1 2 3 化 学 Ⅱ 3 生 物 Ⅰ 地 学 Ⅰ 保健 体 育 3 2 2 7 体育 保 健 1 1 2 音 楽 Ⅰ 芸術 美 術 Ⅰ 2 2 書 道 Ⅰ 英 語 Ⅰ 4 4 外 英 語 Ⅱ 4 4 0,2,4 国 リ ー テ ゙ ィ ン ク ゙ 2 2 2 語 ラ イ テ ィ ン ク ゙ 2 2 家庭 家 庭 基 礎 2 2 小 計 23 21 13 57 3,6 0,2,4 科 学 技 術 基 礎 3 3 数 理 基 礎 2 2 工 人 と 技 術 1 1 情 報 技 術 基 礎 2 2 科 学 技 術 2 2 業 科学技術研究入門 2 先端科学技術入門 課 題 研 究 各 分 野 科 目 ※ 小 計 ホームルーム活動 合 計 卒業時単位数 1 8 1 32 2 1 4 4 5 4 9 3,0 10 8 26 3,0 1 1 3 32 22 86 6 92,94,96 ← 新科目 0,2,4 0,2,4 0,2,4 前ページの表で「※」部分の詳細は,下の表のようになる。 材料科学・環境科学・バイオ技術分野の科目 必 修 科 目 1年 2年 3年 小計 工 業 物 理 化 学 1 2 3 有 機 工 業 化 学 2 2 4 地 球 環 境 化 学 2 2 工 業 技 術 英 語 生 物 工 学 合 計 5 4 9 情報・コンピュータサイエンス分野の科目 必 修 科 目 1年 2年 3年 小計 ハードウェア技術 3 1 4 ソフトウェア技術 2 2 プログラミング技術 2 1 3 合 計 5 4 システムデザイン・ロボット分野の科目 必 修 科 目 1年 2年 3年 実 習 3 製 図 2 機 械 設 計 2 機 械 工 作 2 自 動 車 工 学 合 計 5 4 9 小計 3 2 2 2 9 選 類型 0,2,4 1 2 0,3 選 類型 1 2 類型選択(6単位)の4コース 教科 専 数 理 コース 門 学 物理 専門系 a 3 3 理科系 b 3 3 理科系 c 3 文科系 d 科 化学 0,2,4 択 自由 0,2,4 0,3 0,2,4 選 類型 2 択 自由 0,2,4 1 0,3 エレクトロニクス・エネルギー・通信分野の科目 必 修 選 科 目 1年 2年 3年 小計 類型 電 気 基 礎 4 2 6 電 子 技 術 1 1 実 習 2 2 電 子 計 測 制 御 2 電 気 機 器 1 合 計 5 4 9 0,3 立体造形・ディジタルデザイン分野の科目 必 修 科 目 1年 2年 3年 小計 実 習 製 図 2 2 4 建 築 構 造 1 1 2 建 築 構 造 設 計 1 1 建 築 計 画 1 1 2 合 計 5 4 9 択 自由 選 類型 3 0,2,4 択 自由 0,2,4 0,2,4 択 自由 0,2,4 0,3 0,2,4 国 語 地理 歴史 英 語 2 2 2 3 平成20年度に在籍する各学年生徒に予定される教育課程表 平成20 平成19 平成18年入学3年生 教科 科 目 年入学 年入学 類型 自由 必修 1年生 2年生 選択 選択 国 語 表 現 Ⅰ 国 語 表 現 Ⅱ 国語 国 語 総 合 4 0,2,4 現 代 文 2 1 古 典 講 読 2 世 界 史 A 2 地理 日 本 史 A 2 日 本 史 B 2 0,2,4 歴史 世 界 史 B 地 理 A 公民 現 代 社 会 2 1 0,2,4 数 学 Ⅰ 3 数 学 A 1 数 学 Ⅱ 4 数学 0,2,4 数 学 B 2 数 学 Ⅲ 3 数 学 C 理 科 総 合 A 2 理 科 総 合 B 物 理 Ⅰ 1 2 物 理 Ⅱ 3 理科 0,2,4 化 学 Ⅰ 1 2 化 学 Ⅱ 3 生 物 Ⅰ 地 学 Ⅰ 保健 体 育 3 2 2 体育 保 健 1 1 音 楽 Ⅰ 芸術 美 術 Ⅰ 2 書 道 Ⅰ 英 語 Ⅰ 4 外 英 語 Ⅱ 4 国 0,2,4 リ ー テ ゙ ィ ン ク ゙ 2 2 語 ラ イ テ ィ ン ク ゙ 2 家庭 家 庭 基 礎 2 小 計 23 21 13 3,6 0,2,4 科 学 技 術 基 礎 3 数 理 基 礎 2 工 人 と 技 術 1 情 報 技 術 基 礎 2 科 学 技 術 2 科学技術研究入門 業 2 先端科学技術入門 1 課 題 研 究 4 各 分 野 科 目 ※ 5 4 3,0 0,2,4 小 計 8 10 8 3,0 0,2,4 ホームルーム活動 1 1 1 合 計 32 32 22 6 0,2,4 ・ 「※」部分の詳細は,前ページ,及び,前々ページの表を参照。 ← 新科目 Ⅵ 科学技術研究入門研究会で用いた調査用紙 附録1;応用化学分野 附録3;機械システム分野 事前・事後調査用紙 事前・事後調査用紙 附録2;情報システム分野 事前・事後調査用紙 附録4;電気電子分野 附録5;建築デザイン分野 事前・事後調査用紙 事前・事後調査用紙 附録6;課題研究事後アンケート (分野共通項目) 附録8;課題研究事後アンケート (情報システム分野独自) 附録7;課題研究事後アンケート (応用化学分野独自) 附録9;課題研究事後アンケート (機械システム分野独自) 附録10;課題研究事後アンケート (電気電子分野独自) 附録11;課題研究事後アンケート (建築デザイン分野独自) Ⅶ 国際性育成研究会の報告に関する資料 1.タイ国カセサート大学附属高校での「環境」についてのプレゼンテーション資料 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 Answer Paper 18 (Aug.11/2008) Tokyo Tech Highschool of Science and Technology The Field of Applied Chemistry Masaru Moriyasu * There are 15 questions. Please circle a right answer that you think, except Q5, Q6 and Q15 ! Q1 : Thailand Q3 : Yes Japan Q2 : Thailand No Q4 : Yes Japan No Q5 : Please write the key words of the global environmental issues that you know. Q6 : Q7 : Yes No Q8 : Yes No Q9 : Yes No Q10 : Yes No Q11 : Yes No Q12 : Yes No Q13 : Yes No Q14 : Thailand Japan Q15 : Please write your impressions that took my lecture. "Let's think about Global Environmental Issues"に寄せられたコメント ・Very hard to understand, because I don't like chemistry. ・Good! There is many things I don't know, It's good to learn new knowledge. But I love Physics and Math more. ・Interested! ・I think global environmental is topic we chose know. ・The lecture make me think about global warming more than latter. ・I have got many knowledge from your lecture. Thank you very much.(3) ・I think I know about global environmental better. Thank you! It very useful and I think I shoud do something for our world. ・The teacher are nery lovely, like your students. ・We have lots of knowledge from your lecture, and we can feel the kindness and anything you trying to let us know. ・I think that youe lecture is interesting. You make me want to save the earth. And I want to go to Japan. ・I think it very interesting for us. I feel that we have a great friend ship. Thanks for information that you try let us know. Thank you very much !! ・really like ・very good English. very great presentation. fun and enjoyable. lots of information. Thank You ! ・The global warming is the big ploblem for everyone. Each should know how to deal with this ploblem. I think the lecture should mention about methods. ・It give me a lots of knowledge. And the teacher is very kind and take care of the students. ・It makes me realize that I should care about global environmenal. ・I'm quite impressed in data you show, such as the population of Bangkok and Tokyo, so it is interesting lecture. ・Cool !! I've got more interesting information about global warming. ・usefull and interesting ! Actually, I quite like Chemistry but less than Biology. ・It was very interesting. When I heard of the word "Global", it made me aware of our environmental situation. Thank you very much. ・Your lecture is funny. Know a new knowledge. Teachers is lovely. ・Your lecture make me get more interesting in taking care of our earth after your lecture. I'm willing to see the environmental, eventhough, It is just a little thing. ・I must help problem of global warming! Your lecture is very great. ・It givees me much environmental knowledge and urges me more global environmental preservation enthusiasm. ・The teacher make me enjoy your class. ・It's good lecture because I've know more about Global Environment and some knowledge between Japane and Thailand. ・Your lecture made me reakize more in environmental faet.(I always put my eyes on environmental and energy before, and I'm so glad that I have participate in this activiity.) ・It's interesting! The global warming is the very important problem that we have to solve it together. ・I could know about Global Warming. I did'nt like chemistry so much, but I am interested in it by your lecture. Thank You.(J) ・I think students in Thailand are thinking about global environmental issues than Japaness students. First we have to think about issure in each country, and we should make the earth much better.(J) ・I could think about environmental issuers again. So, I felt how important environment for us. It was a great lecture. (J) ・It is sometimes very interesting.(J) ・I understand the difference between Japan and Thailand about way of thinking about environment!! Thank you!(J) 2.タイ派遣生徒対象アンケート タイ派遣生徒に対するアンケート内容 Q1.『カセサート大学附属高校と交流(受け入れを含む)が始まる前』において,外国の方と接する機会は多かっ たですか。 5 非常にそう思う 4 やや思う 3 どちらとも言えない 2 あまり思わない 1 全くそう思わない Q2.『カセサート大学附属高校へ渡航するまで(準備段階)』において,次の項目に回答して下さい。 a.自身の英語力に自信を持っていましたか。 5 非常にそう思う 4 やや思う 3 どちらとも言えない 2 あまり思わない 1 全くそう思わない b.タイに関する情報を知っていましたか。(該当項目に○,複数回答可) ・地理 ・気候 ・歴史 ・文化 ・その他具体的に( ) c.タイに関する情報について,情報収集や勉強をしましたか。(該当項目に○,複数回答可) ・地理 ・気候 ・歴史 ・文化 ・その他具体的に( ) d.タイを訪問する前のタイのイメージはどのようなものでしたか。具体的に書いて下さい。 e.タイへの渡航準備で説明会や勉強会を実施しました。その他にも学校に希望することはありますか。具体的に 書いて下さい。 Q3.『カセサート大学附属高校へ訪問・滞在している間』において,次の項目に回答して下さい。 a.自身の意志は,ホストファミリーに正しく伝わりましたか。 5 非常にそう思う 4 やや思う 3 どちらとも言えない 2 あまり思わない 1 全くそう思わない b.ホストファミリーの意志を正しく理解することができましたか。 5 非常にそう思う 4 やや思う 3 どちらとも言えない 2 あまり思わない 1 全くそう思わない c.ホストファミリーとのコミュニケーションは,楽しめましたか。 5 非常にそう思う 4 やや思う 3 どちらとも言えない 2 あまり思わない 1 全くそう思わない d.ホストファミリーとの生活は楽しめましたか。 5 非常にそう思う 4 やや思う 3 どちらとも言えない 2 あまり思わない 1 全くそう思わない e.自身の意志は,カセサート大学附属高校の生徒に正しく伝わりましたか。 5 非常にそう思う 4 やや思う 3 どちらとも言えない 2 あまり思わない 1 全くそう思わない f.カセサート大学附属高校の生徒の意志を正しく理解することができましたか。 5 非常にそう思う 4 やや思う 3 どちらとも言えない 2 あまり思わない 1 全くそう思わない g.カセサート大学附属高校の生徒とのコミュニケーションは,楽しめましたか。 5 非常にそう思う 4 やや思う 3 どちらとも言えない 2 あまり思わない 1 全くそう思わない h.カセサート大学附属高校の授業内容を理解することはできましたか。 5 非常にそう思う 4 やや思う 3 どちらとも言えない 2 あまり思わない 1 全くそう思わない i.カセサート大学附属高校の授業内容は,楽しかったですか。 5 非常にそう思う 4 やや思う 3 どちらとも言えない 2 あまり思わない 1 全くそう思わない j.タイの文化研修で印象に残っているものは,何ですか。(該当項目に○,複数回答可) ・カセサート大学附属高校内の見学 ・授業への参加 ・水族館,昆虫館の訪問 ・水上マーケット ・塩田 ・ホストファミリーとの散策(具体的な場所を記入: ) ・その他具体的に( ) Q4.『カセサート大学附属高校から帰国して』,次の項目に回答して下さい。 a.自身の英語力に自信を持ちましたか。 5 非常にそう思う 4 やや思う 3 どちらとも言えない 2 あまり思わない b.本校の代表という意識はありましたか。 5 非常にそう思う 4 やや思う 3 どちらとも言えない 2 あまり思わない c.タイやカセサート大学附属高校について,説明会で聞いたとおりの場所でしたか。 5 非常にそう思う 4 やや思う 3 どちらとも言えない 2 あまり思わない d.タイから帰国後のタイのイメージはどのようなものでしたか。具体的に書いて下さい。 1 全くそう思わない 1 全くそう思わない 1 全くそう思わない Q5.国際性育成研究会では,「異なる文化の方々と科学技術を共通言語として,積極的にコミュニケーションする 意欲や能力を育成する」ことを基盤に活動を行ってきました。皆さんは,どのように思って活動に参加してい ましたか。感想,意見,良かった点・悪かった点など,自由に書いて下さい。 アンケート結果 タイ派遣生徒対象アンケート結果 0% 20% 40% 60% 80% 100% Q1 Q2a Q3a Q3b Q3c Q3d Q3e Q3f Q3g Q3h Q3i Q4a Q4b Q4c 5 4 3 2 1 非常にそう思う ややそう思う どちらともいえない あまり思わない 全くそう思わない タイの情報について 調べたこと 文化 歴史 気候 知っていたこと 地理 0% 「Q2d 20% 40% 60% 80% 100% タイを訪問する前のイメージはどのようなものでしたか。」に対する回答 生活水準が日本より低い(発展途上国) 仏教色が強い 礼儀正しい 仏教を深く信仰していて厳格 食事がとても辛い 市場がにぎわっている 国王が中心となっている 科学技術があまり進んでいない 少し田舎的 亜熱帯に属する 発展途上で成長し続けている 英語が通じない 暑い ご飯が辛い 象がいる 笑顔 Q2e に対する回答 よく使う日常英会話を少しでも良いから復習しておいた方がよかった 説明会の時に去年の派遣メンバーから直接,話を聞けたのがとても良かった 「勉強会」をもっと多く開いて欲しい 印象に残った研修 カセサート附属高校内見学 授業参加 水族館,昆虫館の訪問 水上マーケット 割合 塩田 ホストファミリーとの散策 その他 0% 20% 40% 60% 80% 100% Q4d に対する回答 とても文化的・友好的 生活は,日本に近い(似ている) 学生は,英語力に優れ,国際性がある 文化を重んじる 顔が合うと誰でも笑顔を返してくれる みんな優しい レディーファーストを気遣う 食事は,ただ辛いだけではない 科学技術が想像以上に進んでいた 街の中心部には大きなデパートがあり, 都会的 国内での貧富の差が大きい 礼儀正しく,歴史や文化を大切にしている 近年,急成長を遂げた 街を見てみると大きな格差があった まだ発展の余地がある あまり辛いものは出されなかった 象に会えなかった 日本より涼しい気がした Q5 に対する回答 ・私は英語による積極的コミュニケーションと異文化との接触・理解を心がけて参加 した。 ・英語に関しては,ホストファミリーの人々ともカセサート附属高校の生徒たちとも コミュニケーションを取ることができ,文化について学ぶことができた。しかし, 科学技術の話題については,あまり触れられなかったと思う。授業への参加では数 学や化学・物理の授業に参加できなかったことを残念に思う。数学も一つの言語で あ る か ら ,そ れ も コ ミ ュ ニ ケ ー ショ ン に な り 得 る と 思 う 。 ・タイの文化を実際に体験し,英語でのコミュニケーションを取ることができた。し かし,科学技術については,学校で話し合う場や授業を受けることができず,街並 み か ら 推 測す る こ と し か で き な かっ た の で 残 念 だ っ た 。 ・ホストファミリーやその友達ともっと話す機会が欲しかった。とても短い期間だっ た が , タ イの 文 化 に つ い て は 深 く学 べ た 。 ・ 異 な る 文 化を も つ , 同 年 代 の 子 たち と の 交 流 は と て も 楽 しか っ た で す 。 ・英語が上手く伝わらず,お互いに困ったときもありましたが,ジェスチャーをつか っ た り , 絵に 描 い た り し て コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン を 取 る こ とが で き ま し た 。 ・他国の人と科学技術について考えるのは初めての経験でしたが,向こうの学生と一 緒に環境について考え,お互いの環境問題に対する意識がわかり,良い機会となり ました。 ・コミュニケーションを取ることによって,タイの文化をできるだけ多く学べるよう に と 意 識 をし て 活 動 に 参 加 し ま した 。 ・ホストファミリーとの会話や体験授業などでたくさんのことを学びましたが,見学 全体を通して,一般の観光客と同じくらいの目線でしか「タイ」を見て来られなか ったように思います。他の生徒で,街もよく見て来られたと話しているメンバーも い ま し た が, 自 分 は 「 街 の 様 子 」な ど に つ い て , 移 動 中 に見 る 程 度 で し た 。 ・「 タ イ で の 普 通 の 生 活 」 に 近 い 体 験 内 容 も あ っ た 方 が 「 文 化 」 を 学 ぶ 上 で よ り 良 い の で は な い かと 思 い ま す 。 ・上手く意思を伝えられないというのは,思っていた以上に大変でした。しかし,言 葉や文化が違えども「人が生活している」ことにおいては,日本でもタイでも変わ らないものだと知りました。そして,あまり英語に優れていない僕でも,向こうに いる間に自然と英語的な思考ができるようになりました(それでも知らない単語や 文 法 は 使 え ま せ ん )。 し か し な が ら , 悲 し い こ と に そ の 能 力 は 日 本 に 帰 っ て か ら 数 日 で 消 え て しま い ま し た 。 3.タイ派遣生徒の作文 第 3 学年 A 君:「タイ交換留学プログラムを終えて」 今の私に足りないものは何だろうか。私は高校生のうちに外国に行き、そこで新たな目標を見つけたい と思っていた。そのためこの交換留学プログラムは私にとって絶好のチャンスだった。このプログラムは 私が高校 2 年生のときに始まったのだが、その時は補欠メンバーであったためにタイに行くことは出来 なかった。今年は、私がメンバー唯一の 3 年生としてこのプログラムに参加することになった。 このプログラムにおいて、今の私に足りないものが三つあることに気づいた。一つは英語のスキル、二 つ目はプレゼンテーション能力、三つ目は社会性である。 最初に、私は英語のスキル不足を感じた。タイ初日、私はカセサート大学付属高校へ行き、そこでホス トファミリーと合流した。ホストファミリーの方々は皆アメリカへの留学経験を持っているので、とても 英語が流暢だった。私はうまく聞き取れないので、もう一度言ってもらう場面がいくつも見られた。その 度にコミュニケーションの難しさを痛感した。家では一緒にテレビゲームをしたり、日本語やタイ語を教 えあったりした。もちろん共通語は英語だ。彼らと話すだけで、かなり英語の勉強になった。 それに加え、カセサート大学附属高校の生徒達は皆英語が上手だった。森安先生のレクチャーや英語の 授業に参加した時も、生徒達は英語でコミュニケーションをとることが出来た。しかし、決して彼らは高 度な英文法を学習しているわけではない。タイの英語教育は日本よりもコミュニケーションに重点を置き、 より実用的であると感じた。 プレゼンテーションについては大成功だったと思う。タイに出発する前から、私たちは日本や自分自身 についてのプレゼンテーションを作成し、リハーサルを繰り返した。私は何度か日本語でのプレゼンテー ションの経験があったが、英語では初めてだった。作成において考慮した点は、シンプルで分りやすい英 語を使う事だ。なぜなら、タイの生徒達も私たちと同じく英語を第二言語として学んでいるからだ。そし て、プレゼンテーションの際にはっきりとした発音と立派な態度を心がけることだ。私は何度も先生のア ドバイスを元にこれらを改善した。このような能力はプレゼンテーションの際に非常に重要だと思う。 私が最も驚かされたのは、タイの人々の優れた社会性だ。タイの人々はとても親切で礼儀正しいと思う。 学校内では、生徒達はさも当たり前の様に立派な自己紹介をして、決して挨拶を忘れない。彼らは誰とで も仲良くなることが出来る。だから、5 日間という短い間でも彼らの親切なリードのお陰で私たちはリラ ックスでき、友好関係を気づくことが出来た。日本人は社会性に乏しいとよく言われている。だからとい って、私たちはそれを学校で学ぶ事は出来ない。私はこの交換プログラムを通して、自分が大人になった ときにこの社会性が必要になると感じた。 私はとても大きな収穫と共に、タイを楽しむことが出来た。コミュニケーションは自分が思っていた以 上に難しい事を再認識することが出来た。これからは、英語のスキル・プレゼンテーション能力・社会性 を身につけることを目標とし、一層努力していきたい。そして 10 月にタイの生徒たちが日本にやってき た時精一杯歓迎し、互いに勉強になるよう楽しんでもらいたい。 The New Aim of Study What is the aim of study? I wanted to go to foreign country while I am a high school student and to find new aims of my study. So, this exchange program was special chance for me. I was in 11th grade when exchange program began. But I was not able to go to Thailand because I was a substitute member. This year, I took part in this exchange program as an only 12th grade student. There are three lacking things I noticed through this trip to Thailand: English skill, presentation skill and social ability. I noticed that I was lacking for English skill. First day, I visit Kasetsart University Laboratory School and met my host family. They are very good at English because they all have the experience of studying abroad to the United States. Sometimes, I asked them to repeat the word. I felt the difficulty of communication. At home, I played video games with them. I really enjoyed it very much. Of course our common language is English. So, talking with them is studying English. In addition, students in Kasetsart University Laboratory School are good at English during Mr. Moriyasu’s lecture about environment and English classes. Thai English education puts an emphasis on speaking and listening while Japanese puts emphasis on grammar. So Thai English education is more practical than that of Japanese. About presentation, I think that it was very successful. Before going to Thailand, we made a presentation about us and Japan and we gave rehearsals. I have some experiences of presentation in Japanese, but this presentation is in English. We had to make it with simple and fine English because Thai students study English as second language like us. And we also had to give it with distinct voice and dignified attitude. I think that these abilities are important when we give presentations. The most surprising thing was social ability of Thai students. I think that Thai people are very kind and polite because they can introduce themselves with sweet smile, and never forget greeting. They can make friend with everyone. Thanks to their great kindness, we able to relax and to deepen our friendship. It is said that Japanese lack social ability. But, we cannot learn about it in school. I think that Social ability will be very important when I become an adult. I really enjoyed Thailand and get these big harvests. I noticed that communication is very difficult than I had expected. I also find my new aims of my study. I want to study various things more and more. And I want to welcome Thai students with great kindness and hospitality. 第 2 学年 B さん:タイ滞在記 私は本校の交換留学生として、5日間タイカセサート附属高校で過ごしました。そしてカセサート附属 高校の生徒の家に滞在させてもらいました。今回のこの研修で私にとって、忘れがたい経験となったのは、 附属高校での研修と同時に、このタイの家庭でのホームステイでした。ホストファミリーの家での生活に は、当初とても不安がありました。自分の意思が英語で伝わるかどうか、とても心配だったのです。しか し、出迎えてくれたホストファミリーの人々に会った瞬間、その不安は解消しました。ホストシスターの ピムは、以前から私の姉妹であったかのように素敵な笑顔を見せてくれ、ホストマザーは「あなたは今日 から私の娘よ」と言ってくれました。私は自分がホストファミリーに歓迎され、家族として迎えられてい ることを実感しました。この出会いにより、日本から持っていった緊張も解けました。そして滞在中は毎 日私にとても親切にしてくれました。人とのコミュニケーションは共通の言語だけではないということを 実感した貴重な体験となりました。 午前中は高校で授業、研修に参加し、午後はホストファミリーに食事や買い物に連れて行ってもらいま した。滞在初日の夜はタイ料理のレストランに行きました。タイ料理を食べるのは初めてでしたが、辛い ものが多いと学校の研修などで聞いていました。実際、ほとんどの料理が非常に辛く感じられたのですが、 同時に甘い味付けも多いという印象を持ちました。料理の味付けは気候と関連していると聞いています。 タイの気候に合う味なのだろうと思いました。食事の後、ホストマザーは私にタイのスイーツと洋服をお 土産としてくれました。洋服はまさに私の好みのデザイン、色でした。本当にホストマザーの娘になった 気分になりました。 日本のデパート「伊勢丹」にも買い物に行きました。ピムから「伊勢丹」という店の名前が何を意味する のかを尋ねられましたが、うまく答えることができませんでした。このほかにもちょっとした日本の知識 を聞かれ、あいまいな答えしかできませんでした。日本に関してもっと知り、正確な知識を持たなければ いけないと痛感しました。相手の国の事情を正確に聞き取り、理解し、また自分の国の事をきちんと話し、 理解してもらうことが本当の交流なのだろうと思いました。デパートの中の店は日本のものとほとんど同 じでした。しかし、店の前に飾ってある人形は「サワディカ」というタイの挨拶の時に行う合掌をして立 っていました。「郷に入っては郷に従え」なのか、興味深く感じました。 滞在最後の夜、仕事で家にいなかったホストファーザーから電話がかかってきました。顔の見えない相 手と英語で電話で会話をするということは最も難しいことだと聞いていたので緊張しましたが、ホストフ ァーザーは本当に優しく話しかけてくれたため、リラックスして話すことができました。 滞在の記念にホストファミリーに折り紙を教えました。折ったものにメッセージを書き、プレゼントし ました。そして一緒に写真を撮りました。そうしているうちに、その翌日にはタイを出なければならない、 ということを改めて感じ、とても悲しくなりました。ピムは私のために「あなたがいなくて寂しい」とい う意味の歌を歌ってくれました。滞在中英語で自分の意思がうまく伝えられているのかどうか自信のなか った私は、そのピムの歌を聞いて、それでも私たちは通じ合うことができたのではないかと思いました。 自然に涙があふれ、気がついたら、皆で泣いていました。とても感動的な夜になりました。 私にとってタイでの滞在はとても短く、科学技術や文化について知りたいことがまだ山ほどあります。 しかし、短い間であってもホストファミリーと分かり合い、お互いに思い合う気持ちを実感し、本当に有 意義な5日間を過ごせたと思います。 A Short Stay in Thailand I stayed in Thailand for 5 days as an exchange student with other 4 students and 4 teachers of our high school. Before I left for Thailand, I had a lot of anxiety to stay alone in Thai host family’s house for 5 days, because my English was not so good enough. But when I first met Pim, my host student, she gave me a warm smile. And also my host mother said to me “You are my daughter from today.” Their smiles and words made me happy and my anxiety disappeared. Besides, all of the members of my host family were very kind to me. Thanks to them I had a very good time for 5 days. On the first day's night, we went out for dinner. We had typical Thai food such as Tom Yam Kung. They were very hot but sweet for me though this taste surprised me very much. After dinner, my host mother gave me Thai sweets and a set of Thai costume. The costume was my favorite color. I felt I became her daughter. In the living room of my host family's house, there were two notebook computers with key boards of Thai letters. Thai language has more vowels and consonants than Japanese does, so there are more than two letters on one key. The operation systems of their computers were Windows XP. After school we went to a Japanese department store, “Isetan”. Pim asked me what the store's name meant. I couldn’t answer but then I found I had to know more about Japan. The shops in the department store were almost the same as that of in Japan, but the dolls in front of the shops saying “Sawadii kha” with their hands clasped in prayer. The night of my staying, my host father who was not at home because of his work called and we talked on the phone. His English was the most difficult for me to listen to on the phone but his kind words made me relaxed. I taught the host family Japanese Origami and we took some photos. The thought that I had to leave Thailand the next day made me very sad. Pim sang a song which said “I miss you” for me. We might not understand each other fully in English during my stay, but we could communicate each other with our hearts. Finally tears flowed down naturally. That night impressed me a lot. Our staying was too short to know Thailand and to enjoy living together. I really wanted to stay longer and to know more about Thai culture and Thai technology, but this short stay made me grown up. I got not only exciting, but also much good experience. 第 2 学年 C さん:タイへの派遣研修を終えて 私は今年の夏、とても貴重な経験をしました。それは、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の 研究開発事業の一環である、タイへの派遣研修です。私はこれを、とても良いチャンスだと思い、研修メ ンバーへの応募を決めました。研修に参加をすることで、実際に英語を話し、自分の英語力を試せるので はないかと考えました。普段の生活では、単語や文法の勉強はしているものの、実際に英語を話す機会は ほとんどありませんが、研修を通して、いろいろな国の人と英会話を体験したいと思いました。また、こ の研修では、異文化について学んだり、タイの学生たちと一緒に、科学技術について考え、話し合ったり することもできます。そうすることで、私の持つ世界観が変わり、物事を考える視野も広がるのではない かと思いました。 今回の研修は、私を含めて五人の研修メンバーと、校長、SSH関連の先生方との計九人での参加とな りました。約六時間の飛行機での長旅を終え、私たちは無事にタイに到着することができました。向こう について私がまず思ったたことは、日本車が多いということです。トヨタ、日産、イスズなど、見慣れて いる会社のものばかりを目にしました。日本に帰ってきてから調べたところ、タイの自動車市場の特徴は、 約九割が日本車であるということがわかりました。これには驚きましたが、確かに道を走るほとんどの車 が、日本のものだったのを思い出しました。日本車は、故障が少ないことや工作精度が高いことが人気の 理由となっているようです。また、自動車だけに限らず、冷蔵庫や掃除機など、日本の家電製品もよく見 られました。外国で日本の企業が人気だということは、日本の技術が認められていることだと思います。 私はこのことを、とても喜ばしく、また誇らしくも思いました。 今回の研修でのメインとは、ホームステイをすること、また、タイの学生たちと一緒に、学校生活を送 ることでした。私がお世話になった家族は、とても仲の良い五人家族で、皆が私のことを温かく迎えてく れました。知らない家での生活に、最初は何をするにも緊張をしていました。けれど、時間が経つに連れ、 だんだんと慣れていくことができました。ホストファミリーのお父さんは、笑顔がとても優しい人で、私 を安心させてくれました。お母さんには、いろいろな所へ連れて行ってもらい、一緒に買い物をして楽し みました。日本が大好きな長女とは、たくさんおしゃべりをしました。彼女からもらった手紙は、私の大 事な宝物の一つです。元気で明るい妹とは、日本の漫画の話で盛り上がりました。家族想いで優しい長男 とは、一緒にゲームをして楽しみました。 四泊五日という短い期間でしたが、わたしのことを家族の一員として迎えてくれたことに、心から感謝 しています。秋には、今度は私がホストファミリーとして、タイからの学生を受け入れます。その時には、 私が今回のホームステイでしてもらったように、温かく迎えてあげたいと思います。そして、一つでも多 くの日本の良さを伝えられたらと思っています。 ホストファミリーと過ごした時間は、とても充実したものでした。それと同様に、私はタイの学生たち とも、素晴らしい時間を過ごすことができました。私たちが訪ねたカセサート大学附属高校は、小学校か ら大学までが同じ敷地内にあり、その広さには本当に驚かされました。私たち研修メンバーは、そこでい ろいろなことに挑戦をしました。英語でプレゼンテーションをしたり、タイ楽器を演奏してみたり、代表 的なタイ料理であるトムヤムクン作りにもチャレンジしました。時間は限られていたものの、私はタイの 学生たち一緒に、と様々な経験を積むことができました。引率して下さった森安先生の講義を、タイの学 生たちと一緒に受けられたこともその一つです。講義のテーマは「環境問題」でした。講義の途中、私た ち生徒はそれぞれ配られていた紙に、思いつく限りの環境に関するキーワードを書くように言われました。 日本語ではわかっていても、英語がわからなかったり、すぐには思いつくことができなかったりして、私 は少ししか挙げることができませんでした。ふとタイの学生の紙を見ると、環境汚染に酸性雨、食糧不足 など、そこにはたくさんの単語が書かれていました。日本人の学生より、タイの学生たちのほうが多くの 言葉を挙げていたのは明らかでした。その理由の一つとして、私たちよりも、タイの学生たちの方が環境 問題を身近なものとして捉え、深刻に考えているからだと思います。タイでの滞在中、私が特に感じた日 本とタイとでの環境の違いは、「水」です。日本では技術の進歩もあり、今では水道水でさえおいしく飲 むことができますが、タイではそうはいきません。私は今回のホームステイ中、ホストファミリーから市 販の水を渡されていました。観光スポットとして有名な水上マーケットに行った時も、そこの水は決して きれいとは言えませんでした。しかし、そこで生活をする人々は、その水で洗濯や洗い物をせざるを得な いのです。同じアジアでありながら、こんなにも環境が違うものかと考えさせられました。今回の研修で は、実際にいろいろなところへ行って、タイの環境を見て、また、タイの学生たちと環境について一緒に 考えられて本当に良かったと思っています。私たちはこれから、もっと真剣に環境問題について考えてい かなければならないと思いました。私はまず、知ることから始めたいと思います。身近にある問題につい て知る、いろいろな国の環境の現状ついて知る、そのようにしたうえで、自分に出来ることは何なのかを 考え、実行に移していきたいと思います。 今回の研修の中でも最も楽しかったのは、タイの学生たちと共に過ごした時間です。英語がなかなか伝 わらず、悩んだ場面もありましたが、それでもお互いにしっかりとコミュニケーションをとることができ、 たくさんの思い出をつくることができました。 私は今回、タイへの研修派遣に参加できたことをとても嬉しく思っています。この研修を通じて、いろ いろな人に出会い、多くの優しさに触れることができました。彼らと私たちとでは、母国語は違うものの、 「英語」を用いることにより、コミュニケーションをとることができました。一概に、英語が話せればコ ミュニケーション能力がつくとは言えないかもしれません。しかし、自分の持つ世界観が広がることは確 かです。私は今回の研修で、そのことを身をもって感じることができました。また、私は今回の研修中に、 自分に言い聞かせていたことがあります。それは、「何事も挑戦してみよう!」ということです。日本で 見たこのない食べ物が出てきても、食べてみる。英語が通じるかわからなくても、話してみる。何もしな かったり、話さなかったり、それでは研修の意味が全くなくなってしまうと思ったからです。このことは、 今回の研修に限らず、何事にも当てはまると思います。自ら積極的に行動すること、そうすることで新た な発見ができたり、チャンスが訪れたりするのではないでしょうか。私はこれからも、何事も積極的にチ ャレンジしていきたいと思います。 最後になりましたが、今回、このような研修に行かせてくれた両親、いろいろと指導をしてくださった 先生方、タイでお世話になった先生方や学生たち、みなさんにお礼を言いたいと思います。ありがとうご ざいました。 My Precious Summer Last summer I went to Thailand and stayed at a Thai family’s house for five days. This was as one of the programs of SSH (Super Science High School). During my staying in Thailand, I found a lot of interesting things. First, I was very surprised to see a lot of Japanese cars everywhere. For example, there were TOYOTA, NISSAN and ISUZU cars, all of which are made by famous companies in Japan. I wondered why they were so popular among Thai people, and asked my host family. They told me that Japanese technology was very high, so cars made in Japan were stronger than any of Thai’s. They praised Japanese people for its high technology. I was very glad to know that Japan was considered as the country of high and advanced technology. Second, I was surprised to visit Satit Kaset High School. The school was very large. There were a few beautiful auditoriums and many classrooms on campus. I had a very good time with Thai students at their school. I took part in a music class and played the Thai stringed instrument with them. It was very difficult for me, but the music teacher and Thai students taught me very courteously. So I enjoyed the class very much. When I was in the school, we did not only play but also study together. We had a lecture about environmental problems. In the lecture, Mr. Moriyasu our school teacher of science said, “Think some words which were related to environmental problems, and write it down on your paper.” I wrote pollution, acid rain and smog. I could write only a few words. Then I saw Thai students’ paper and was shocked to know there were so many words on them, oil spill, ozone layer, garbage pollution, and so on. I thought that they were thinking about such problems more seriously than I. Living in Japan, I tended to forget about those problems, but Thai students made me think more seriously. Moriyasu sensei’s lecture gave me the first opportunity to think about environmental problems with foreign students. This was an unforgettable experience. In Thailand, I had a very good time with Thai people. Sometimes I couldn’t make myself understood in English, and then made exaggerated gestures to communicate with them. Some people say that they don’t like studying foreign languages because it is very difficult to master. However, I like it because if I can speak a foreign language, I can communicate with a lot of foreigners. In the future, I would like to travel the whole world, and meet a lot of people. Lastly, I would like to express a word of thanks to my parents, friends, host family and teachers. Thanks to a lot of people, I enjoyed a study and training in Thailand. Thank you very much. 第 2 学年 D 君:タイ派遣後レポート 今回、研修生としてタイのカセサート大学附属高校に行ってきました。以前から、日本企業の進出先や 日本人の主要な移住先として国交が深まりつつあるタイについて興味を持っていましたが、正直に言うと 研修に申し込むまでにはタイに関する知識はあまり持っていませんでした。日本の企業が電気事業を受注 するなど日本との関わりがあることは知っていましたが、どちらかと言うと電力関連産業がまだまだ発達 していないイメージを持っていました。そこで、研修ではタイのバンコクにおける現在の電気事情や日本 との違いを実際に見てみたいと考えていました。 実際に行ってみると走っている車のほとんどが日本車だったり、日本語で書かれた看板が立っていたり、 高層ビルが立ち並ぶ様子が日本国内とほとんど変わらない眺めだったので、関わりの深い国だという事が 改めて感じられました。イメージしていたよりも街が近代的だったのが意外でした。 ホストファミリーと合流してホームステイも始まりましたが、僕がお世話になった家はとても裕福な家 庭でした。他にもアメリカから来た学生を三人も受け入れているなど、タイのホストファミリーが日本で は考えられないような豊かな生活を送っていたように思います。電化製品も沢山あり、バンコクでの生活 に電気が浸透しているのも感じられました。 また、家族内でも流暢な英語で会話するなど、自分の英語力が通じるか不安になる程の環境でした。英語 で会話するときには出来るだけ分かりやすいように気を遣ってくれましたが、アメリカ人に対して英語で 冗談が言えるなど、同じ学年とは思えないようなタイの学生の英語力にはとても驚かされました。本人は 学校で習っているから話せるのだと言っていましたが、今回の研修全体を通して見ても、タイの学生が日 本の学生よりも勉強への意欲をかなり高く持っていたのが印象に残っています。誰も寝ないで話を聞くな ど授業態度も積極的で、学習意欲を持っているだけでなく先生を尊敬しているから真面目に授業を受けて いるのだと聞きました。校内で先生とすれ違うときに合掌して挨拶をする生徒の姿も見られましたが、礼 法を大切にするタイでは学生だけに限らず誰であっても目上の人を尊敬しています。 王妃の誕生日に行われる式典には講堂に集まった全校の先生や生徒が参加していましたが、街中に国王 や王妃の写真を飾ったり肖像が入ったペンダントを身に付けたりしている人が多い理由も分かるほどに、 タイの人々からの国王への敬意は大きなものでした。公衆電源があまり普及していない関係で夜の街は真 っ暗でしたが、その環境の中でも電灯に照らされて見えるようになっていた国王の肖像画はとても印象に 残っています。 宗教的な観点から、お坊さんも尊敬を集めていました。「托鉢」と呼ばれる、お供え物を鉢に集めて回 る宗教的な習慣が浸透しており、僕も手伝いをさせて頂きました。現地で日本語を教えている先生から「仏 教国の日本から来た学生」として紹介され、托鉢に出る前のお坊さんと話をする機会もありましたが、い わゆる「外国人」である僕がタイの宗教的な事に関与させて貰えるとは思っていなかったので良い経験が 出来たと思います。タイに住む誰もが敬意を払っているお坊さんが、意外にも気さくに話しかけてきて下 さったのが印象的でした。 タイは文化がとても豊かな国なので、街中にも象やお坊さんの姿が日常的に見られます。古い建築物や 活気付いた市場など、タイの伝統文化も数多く現存しています。バンコクに住む人々に古くからの伝統が 根付いているのが分かりましたが、国の発展に伴ってその生活環境も変わりつつあります。住居は一戸建 てから高層マンションへ、買い物をする場所は市場からデパートやスーパーに移ってきているのだそうで す。ホストファミリーとの買い物も、街中で見かけた市場ではなくスーパーやコンビニを利用しました。 セブンイレブンや伊勢丹があるなど、タイに入国した時に感じたように、バンコクでの生活は日本とほと んど同じでした。 人々の生活基準は、確かに先進国のものに近づいています。ですが、技術的な観点から見ると、まだ改 善できる点が多かったように感じました。僕は配電用の電線のつなぎ方や管理状態などに注目して研修に 取り組んで、よりきめ細かい配慮が必要だと思われる場所もまだまだ多いという印象を受けました。電源 を無理に引いていたり切れた電線が垂れ下がったりしている様子を見て、事故が多いと言われている理由 も分かりました。バンコクの電気事情を体験してみて、日本における電源の管理状態の高さを再確認でき たように思います。森安先生から受けた現在のタイと日本の環境について講義では、東京の方がバンコク よりも人口が多いことや GDP に大きな差が存在することなど、初めて知ることが多くてとても勉強にな りました。バンコクにはタイ国内からたくさんの人々が集まり続けているというので、将来はバンコクも 東京のような大都市になることが予想できます。現在のバンコクでは度々停電が起こったり、電圧も不安 定になったりする状態です。急激に人口が増加したときにも安全が保てるように、電源設備の近代化も建 築物の近代化と共に進めていく事がタイの持つ課題点だと思いました。 一方で、壊れた電化製品を修理して使い続けようとするなど、タイの人々の生活には日本人が見習うべ き点もたくさんあると思います。ホームステイ先の家庭にも電化製品がたくさんありましたが、買い換え たり捨てたりすることは滅多にないと聞きました。森安先生の講義で見た様子からも、タイの生徒が環境 問題に対して関心を持っていることがよく分かります。先進国になった今でも、地球のために日本が出来 ることを実行していく必要があると考えさせられました。ゴミ問題なども真剣に考えている文化を、失っ て欲しくないと強く感じます。 バンコク全体で起こっている建設ラッシュを見ても、急速に豊かな国になっているのが分かります。農 村部には未だに貧しい暮らしをしている人々が居るそうですが、国家を挙げて格差を無くす事業に取り組 んでいるそうです。近い将来にタイが日本を凌ぐほどの先進国になるのは確実だと思いました。将来、タ イと日本が協力して環境問題の解決に取り組める日が来ると思います。今回学んだことを生かし世界に貢 献できる技術者になりたいです。 My Thai Report My view of the world that I had was changed by visiting Kasesart University Laboratory School as an exchange student this time. It s a shock to see the gap between the life of the host family and the life of the people in the water market. It was the difference that I have not seen in Japan. In Bangkok, also my image of Thailand as a developing country disappeared, because there were parts in Bangkok which are similar to Japan. I strongly felt that Thai people valued tradition and culture even in the modernization. The host family who took care of me was well off. I think that they spent the wealthy life that I have never seen in Japan. Moreover, they accepted three students from USA when I was staying with the family. There were a lot of electric appliances, and I felt that electricity seemed to be necessary for their lives in Bangkok. On the other hand, I understood that only limited Thai people could live a wealthy life like my host family by looking at the water market in Bangkok. The gap between wealthy and poor people seems to be growing big. I think that it is bigger than Japan. In this program, I was able to watch the life of various people, and was shocked by the gap. I was surprised at the English of Thai students. I was told that a Thai student could speak English just because he learned it from teachers at school. It seems that Thai students were more highly motivated to study than Japanese students. At the same time, I felt that many students who went to the school lived a wealthy life. In Thailand, it seems to be impossible to have a good education if they are not wealthy. It was the situation that was severe than Japan, but the intention of the Thai students who study for their future taught me something important. I knew how Japanese students were lucky. I felt that Thailand has a deep relation with Japan. I knew it from high buildings, and running cars made in Japan, and signboards written in Japanese. It was unexpected that a town was more modern than I imagined. The life standard of Thai people is surely becoming like a developed nation. But, seeing from a technical point of view, I felt that there were many points that could be more improved. I paid attention to how to connect an electric wire for the supply of electric power or the management state of the wire. I had an impression that there were more things that need more careful consideration. To see an electric wire cut and a wire that was pulled forcibly, I understood why it was said that there were many accidents. I saw electric circumstances of Bangkok and realized the good management of the power supply in Japan. I learned a lot of things in Mr. Moriyasu’s lecture: a big difference in population and GDP between Japan and Thailand, and the current environments of the two countries. I also learned from a Thai student that a blackout often happens in Bangkok, and that the voltage is unstable. I expect that the power supply factories and buildings will be modernized in order to keep safety in case of overpopulation in Bangkok, because a lot of people continue to gather from all over Thailand. In the future, Bangkok will be a bigger city like Tokyo. On the other hand, the Thai people repair the electric appliances and continue to use them. I think that there are a lot of customs in the life of Thai people that Japanese people should follow. Although there were a lot of electric appliances in the house of the host family, they said that it was rare to abandon what they bought. I knew that Thai students are interested in environmental problems in the lecture of Mr. Moriyasu. In this program, I felt that Thai people used personal belongings carefully and respected for elderly people. For example, on the birthday of the queen, all the teachers and students gathered in a lecture hall to cerebrate the queen. I felt that the king and queen earned respect from many Thai people. Also, I saw photograph of the king and queen in the downtown. They were lighted up in the darkness at night, so it was very impressive to me. From a religious point of view, Buddhist priests were earning respects from many people. There is a religious custom, what we call “Takuhatsu” in Japan. I experienced it. I had a chance to talk with a priest before appearing for the “Takuhatsu”. I was introduced as “ a student who came from Japan of a Buddhism country” by a teacher who teaches Japanese. I was lucky, because I did not imagine that I, so-called “foreigner”, experienced such a religious custom. Thailand has a rich culture. Actually, I saw Buddhist priests and elephants everywhere in the downtown. A lot of traditional things exist such as old buildings and lively markets. I knew that the tradition roots in people living in Bangkok, but the living environment is changing with the development of the country. The houses change from single-family houses to high-rise apartments, and the shopping places seems to change from the road markets to development stores and super markets. Even if Thailand is modernized, I would not like the Thai people to lose the traditional culture. I felt that they are making a developed country when I saw construction rush happening everywhere in Bangkok. I heard that the Thai government was trying to reduce the number of poor people living in the farm-village. Thailand is sure to be a developed country like Japan in the near future. Also, Thailand will cooperate with Japan to solve environmental problems. I would like to become the engineer who can contribute to the world by marking use of what I learned this time. 第 2 学年 E 君:タイ王国派遣報告 私はタイ王国カセサート大学附属高校への派遣生に選出され、多くの事を学び、帰ってきました。私が タイとの交換留学生に応募したのは、 “カルチャーショック”というものを体験してみたかったからです。 そして願望は見事に叶えられました。 タイの町並みには、多くの日本製品が見られます。車や電化製品は、むしろ日本製の方が多かったよう に思います。まさかそのようなことは予測できる筈もなく、「これが“カルチャーショック”なのだろう か」とさえ感じました。とはいえ、日本とタイの違いは顕著でした。タイ人は愛国心が強いと予め聞いて いましたが、バスの乗り口正面に国王の写真が貼ってあったり、高層建築物の側面に大きく国王が描かれ ていたり、個人の住宅からタイの国旗が立てられていたりと、日本では見ることのない光景、そしてその 数の多さに圧倒されました。タイの憲法では、宗教の自由が保証されているとのことですが、タイ人のほ とんどは仏教徒です。そのため、タイに滞在している間は仏像や仏壇等を多く見ることになりました。ホ ストファミリーの家には仏像があり、また我々の行ったカセサート大学附属高校にも大きな仏壇が校門前 に設置されていました。生徒達は、登下校時に拝みます。 建築物自体も、日本とは異なりました。まず学校のどの階の廊下にも窓がありませんでした。ちょうど 腰の位置あたりに石製の腰掛けのようなものがあり、その上も下も吹き抜けになっていました。これは、 平均気温が高いため、涼しくするための設計だと思います。そして何より、敷地が広大なため、一つ一つ の建造物が大きく、配置にもゆとりがありました。日本でそのような構造を持つ学校の建物は見ることが できないと思います。 ホストファミリーに連れて行ってもらったデパートでは、店の種類や売っているもの基本的には日本と 違いませんでしたが、天井が吹き抜けの開放的なデザインや、曲線的な通路等と贅沢な空間の使い方がさ れていて、やはり日本では見られないものでした。 私は“海外では家の中に土足で上がるものだ”という偏見を持っていましたが、私が滞在していたホス トファミリーの家は、日本のような玄関はありませんが、靴を脱いで中へ入るようになっていました。一 回の床は石製で、二階の床はカーペットでした。庭には、パイナップルやマンゴーの木が生い茂っていて、 車庫には4台も車がありました。それもまた、日本では滅多にお目にかかれない光景であると思います。 同じアジアにありながら、国民性、宗教、天候、人口密度等と日本と異なる部分が多いので、建築物も 当然違うのだろうと想像はしていましたが、やはり体感するのとしないのではまったく異なりました。 ホストファミリーは、全員英語を使いこなしているようでした。そのおかげでコミュニュケーションが まったく成り立たないということはおこりませんでしたが、それでも英語が苦手であった私は、意思を伝 えることに対して多大な苦労を要しました。諦めたことも何度かあります。せっかくタイに来ているのに、 コミュニュケーションがあまりできないというのは非常に悔しいことでした。その体験から共有できる言 語の大切さと、身振り言語の偉大さを理解できました。 英語を苦手としている私でも、二日目あたりか ら“英語で考える”癖がついてきました。文法も単語もひどく不足しているために、酷く中途半端なもの にはなりましたが、その体験は不思議で、面白くもありました。この感覚は海外に行かなければ、確実に 起こりえないものであったと思います。しかし残念なことに、帰りの成田空港についた途端、脳内は日本 語一色に戻ってしまいました。 私の4泊5日のタイ派遣はとても充足した時間であったと思います。しかし今考えれば自らの行動にも 反省すべき点が多々ありました。それらの口惜しさは、自分自身がより積極的に行動し、知ろうとするこ とによって解消されるのだと思います。このように考えるようになったのもタイ派遣を通じ私の中に発生 したものです。実際、私はタイから帰ってきてから大分外向的になりました。現代は、科学技術、芸術、 どのような分野でも国際化が進んでいるといいます。これからの日本を担う我々の世代は、その国際化の 波に飲まれぬようにより広い視点で世を見られるようになるべきだと思います。そして、そのためには海 外に興味を持ち、実際海外に行くことが非常に有効な手段であるということを学びました。 A Report of Thailand I had never been to any foreign countries, but I really wanted to experience a culture shock which might make me drastically changed. I usually wanted to change myself. That is because I applied for this exchange program. Fortunately I was chosen as one of the five students dispatched to Thailand. Before I went Thailand, I only knew that Thai food was hot, but once I was there I expected I would see and feel something different from Japan. When I arrived at the airport in Thailand, however, I found the country looked almost like Japan except smell of coconuts. I was so confused and a little disappointed, “Am I now in a foreign country? Can I get any culture shock here in Thailand?” But on the contrary to my first impression at the airport, during my staying I could get a lot of experiences to change myself. Because I like to look around some architecture, and also designing buildings, now I’m in the architecture course of our high school. So after I was told that I was chosen as the member of the study tour, I was looking forward to seeing a lot of houses and buildings in Thailand. Especially I really wanted visit the Siam Cultural Park, and in fact there I was impressed very much. The park had the local buildings of Thailand and showed us the trait of Thailand. Each building had some features from each area of Thailand. For example the house of the south area, where the temperature was high had a design to have lots of winds and to make the rooms cooler. The houses in the north had to be more protective against the cool climate, and it had the trait of ancient Lanna culture. Lanna culture is from the dynasty which prospers in Thailand in the 14th centuries. It had a rich rice farming culture. The northeastern houses had influenced by the culture of the Tai Laos minority. Its roof was either thatched with clumps of hay woven together or made of corrugated iron for better protection when the rainy season comes. In fact, Thai houses in the central were very simple structure, using local materials, with no separate bedrooms or partitions in a house. Despite of those features there had the same part with those buildings. The first floor of those buildings didn’t have a wall. The purpose of it was a damage decrease in the tidal wave. I heard the characteristics of these architectures. Though my stay in Thailand was very interesting, one hard thing for me was to speak English. Honestly I cannot speak English so much. Therefore, it was very difficult for me to communicate in English. I stayed in my host family’s house. Their house was very big, and my host family lent me a big room. In the house, I could not speak to them a lot. I tried to talk in English as much as I could, and I used the gesture to tell my intention. But I did not think that I could talk what I really wanted to. The way of living of the Thai and of Japanese is basically different. I learnt it in Thailand. I think that it is a just “international sensibility”. Maybe this sensibility is important to the future of the world. I turned in Thailand. It was good that I went to Thailand. 4.タイ王国カセサート大学附属高校生徒受け入れ授業の事前事後アンケート項目 「英語」に関するアンケート(事前) 1.「英語」は好きですか。 ①とても好き ②好き ③ふつう ④きらい ⑤大きらい 2.あなたが英語を勉強する理由は何ですか。 ①学校の授業科目としてあるから ②受験の時必要だから ③外国へ行きたいから ④外国人と話したいから ⑤自分の将来に必要だから 3.日常で英語力を向上させるために何かしていますか。 ①外国のニュースを TV・インターネットで見る ②英字新聞を読んでいる ③外国の音楽を聴く ④外国の映画を見る ⑤英語で小説を読む ⑥特に何もしていない 4.世界の情勢に興味を持っていますか。 ①とてもある ②ある ③ふつう ④あまりない ⑤ほとんどない 5.英語が使えるとどんなことが可能になると思いますか。 ①海外旅行 ②世界の情報を入手できる ③外国人の友達が作れる ④留学ができる ⑤将来海外で仕事ができる 6.あなたが特に興味を持っている国がありますか。 ①中国 ②韓国 ③アメリカ ④イギリス ⑤特にない ⑥その他具体的に( ) 7.あなたは,タイ王国にどんなイメージを持っています か。下線部に記入してください。 タイは, 国だと思う。 「英語」に関するアンケート(事後) 1.「英語」は好きですか。 ①とても好き ②好き ③ふつう ④きらい ⑤大きらい 2.あなたが英語を勉強する理由は何ですか。 ①学校の授業科目としてあるから ②受験の時必要だから ③外国へ行きたいから ④外国人と話したいから ⑤自分の将来に必要だから 3.日常で英語力を向上させるために何かしていますか。 ①外国のニュースを TV・インターネットで見る ②英字新聞を読んでいる ③外国の音楽を聴く ④外国の映画を見る ⑤英語で小説を読む ⑥特に何もしていない 6.あなたが特に興味を持っている国がありますか。 ①中国 ②韓国 ③アメリカ ④イギリス ⑤特にない ⑥その他具体的に( ) タイの生徒さんたちとの意見交換に関して,以下の質問に 答えてください。 7.発言する機会はありましたか。 ①とてもあった ②あった ③あまりない ④ほとんどない 8.コミュニケーションは上手くできましたか。 ①とても上手くできた ②上手くできた ③あまりできなかった ④ほとんどできなかった 9.今回の意見交換を通して,もつとも印象に残ったこと は何ですか。 4.世界の情勢に興味を持っていますか。 ①とてもある ②ある ③ふつう ④あまりない ⑤ほとんどない 10.あなたがタイ王国にどんなイメージを持ちましたか。 下線部に記入してください。 タイは, 国だと思う。 5.英語が使えるとどんなことが可能になると思いますか。 ①海外旅行 ②世界の情報を入手できる ③外国人の友達が作れる ④留学ができる ⑤将来海外で仕事ができる 5.ホストファミリーへのアンケートと回答 タイ交換留学生受け入れに関するアンケート項目 1.これまでにも海外の生徒さんをお預かりしたことがありますか。 1.はい 2.いいえ ↓ これまでにどちらの国の方々をお預かりなさいましたか。 2.今回のタイの生徒さんについて,特にお気を使われたことはございますか。 ○食事等 ○就寝・入浴等 ○その他具体的に 3.意志の疎通に問題はありませんでしたか。 4.休日はどのようにお過ごしになられましたか。 5.今後,日本の家庭に滞在する際に,持参するべきもの,準備しておいた方が良いと思われるものはありますか。 6.受け入れしていただく前に,本校が指導しておくべきこととして,お気づきの点がございましたら,是非お書き 下さい。今回は,日本の風呂・トイレの使用方法については,事前に説明しておりますが,食事のマナー等につ いては,いたしませんでした。 7.今後本校で海外の生徒の受け入れを行う場合,再度受け入れ家庭をお引き受け願えますか。 8.その他,ご意見・ご感想などございましたらお書き下さい(派遣時の事でも結構です)。 1.これまでにも海 2.今回のタイの生徒さんについて、特に気を使われ 外の生徒さんをお たことはございますか。 預かりしたことが ありますか。 は い Aさん い い どちらの え 国の方 食事等 ですか。 ○ Bさん ○ その他 本人の食べたい物 が一番だと思いまし たので外食では好き な物を選んで食べま した(吉野屋、寿司な ど)。家庭では和食、 インドカリーを作りま した。野菜サラダや カットフルーツは口を つけて頂けなかった ので苦手だったの か?食べないように 指導されてきたのか なと思いました。 一部屋用意しま して、ベッドは寒く ないようにしまし た。パソコンも自 由に使って頂き ました。帰宅後す ぐにシャワーにし ました(タイでは そうしている)。お 風呂は湯船にお 湯を張りました が、熱く感じたよ うで、「お風呂を 張らないでほし い」との事でし た。 学校から遠 ありませんでし 友人といっしょに本人の 季節の変わり目である く、電車の時 た。 希望で秋葉原でショッピ ので上着を一着。 間も長いので ングをして、浅草へ行っ 疲れていた て観光したようです。近 時はグリーン 所のダイソーにも行きま 車を何度か した。 使いました。 洋食ではなく和食中 心の食事で、いつも 自分たちが食べてい るものを出しました。 特に気を使ったとい うことはありません。 朝食はごはんとパン を交互にしました。和 食では納豆もトライし てくれ、ほとんど食べ てくれたので良かっ たです。日本に来た ら和食がいいという ことで外食した際も 和食でした。 娘の部屋を一人 で使ってもらいま した。洗面所やお 風呂の使い方、 ゴミ箱、ふとんの 敷き方など初日 に説明しました。 特に問題はあり ませんでした。 Dさん Eさん ○ ○ ○ いつも通りの和食で した。外食の時はメ ニューを見てもらい 好きなものを注文す るようにしました。苦 手なものは無理しな いよう話しました。 家庭の食事を食べて もらうように心がけま した。食べたいもの、 食べられないものが ないかを気にかけた のですが、とくにな かったようです。食が 細かったので心配し ましたが元々あまり 食べないそうです。 特にありません。 健康管理だ けは気をつけ ていました。 気温が低くなって きた時季でもあっ た為、毛布や布 団を用意し、入浴 後は湯冷めしな い様、早めに寝 室に向かわせた 点。 就寝が早く、起床 も早かったのでで きるだけ合わせ るようにしまし た。入浴はシャ ワーしか使わな いそうで時期的 にちょっと寒く風 邪を引かせてし まいました。 タイとの気候 の違いから か、比較的薄 着の準備で あったた事を 知り、上着な どを用意しま した。 1日目 5.今後、日本の家庭に 滞在する際に、持参した り、準備しておいた方が よいと思われるものはあ りますか。 就寝、入浴等 アメリカ 特にありません。 Cさん 3.意志の疎 4.2日間どのようにお 通に問題はあ 過ごしになりましたか。 りませんでした か。 6.受け入れしていただく 前に、本校が指導してお くべきこととして、お気づ きの点がございましたら、 是非お書き下さい。 2日目 7.今後本 8.その他、ご意見・ご感想などご 校で海外の ざいましたらお書き下さい。 生徒の受け 入れを行う 場合、再度 受け入れ家 庭をお引き 受け願えま すか。 初めて留学生を受け入れたがとて も楽しく勉強になった5日間でし た。特に食文化の違いは実感しま した。和風味で辛さのインパクトの ない味つけはお口に合わなかった のかなと反省です。逆に日本の味 もわかって頂けたかも?学校から 遠く(電車で1時間以上)コンパクト な我が家でびっくりされたかと思い ますが、ホストファミリーとして、精 一杯させて頂きました。良い経験 をさせて頂きありがとうございまし た。タイの家族の写真や幼い時と 旅行の写真アルバムを持ってきて 見せて頂き、話しが盛り上がりまし たので、こちらから行く時にも持参 すると互いの理解を深められると 思います。 はい。構い アンケートは早めにお願いしたいと 私たちは英語 日曜の夜は主人が空手 部屋で着るもの(パジャ お風呂、トイレ、分別ゴ が得意という 教室をしているのですが マ)が薄かったので気に ミ、食事のマナー等、必 ません。家 思いました。記憶が新しいうちにお 訳ではありま 一緒に体験してもらいま なりました。日中は暖か 要であれば家庭で説明し 族全員、タ 答えできた方が良いと思います。 せんが、だい した。翌日の祝日は鎌 くても朝晩は冷えるので ますので特に学校で指導 イの生徒さ このたびは親子共々貴重な体験を たい通じ合え 倉散策、大仏、長谷寺、 もう少し厚いものを持っ していただかなくてもいい んと仲良く することができ感謝しております。 なれました ただ、SSHの国際交流ということで たと思います。 鶴ヶ岡八幡宮、建長寺、 て来た方が良いと思いま と思います。 ので、同じ すのでもう少し科学的なことが体 娘もはじめのう 小町通り、そのあと藤沢 す。娘の服を貸してあげ ような礼儀 験できたらなお良いとのではない ちは聞き取り に戻ってショッピング。八 たので問題はありません 正しい子で かと思います。 づらかったこと 幡宮では七五三、結婚 でしたが。 あればまた もあったようで 式、弓道のセレモニーな 引き受けた すが、日にち どが見られ、日本の文 化に触れることができ良 いと思いま が経つにつ す。 れ、慣れてきた かったです。かなり歩か のか問題はあ せてしまったので疲れた ようでした。 りませんでし た。 ありませんでし 東京観光。 タイでの日常の写真を 特にありません。玄関で はい。 タイの生徒を受け入れ、とれも充 た。 持ってきてもらうと会話も 自分の靴をそろえるな 実した時間を過ごすことができまし 弾むので良いと思いま ど、とても礼儀正しく驚き た。ありがとうございました。 す。 ました。 問題ありませ 学校の友人と本人の希 その時の気候にもよりま 電車を利用する際、ラッ 来年は受験 貴重な体験をさせて頂き感謝申し ん。 望する秋葉原へ買い物 すが、風邪をひく事がな シュ時の様子を予めお知 の時期とな 上げます。最終日はお土産を持っ に行き、夜は外食に出 い様上着を用意した方 らせ頂ければと思いま る為、要検 てのラッシュ時の登校、心配しまし 掛けました。 が良いと思います。 す。 討事項とさ たが、無事に帰国され安心致しま せて頂きま した。校長先生をはじめ先生方大 す。 変お世話になりました。 だいたいのこと は通じたので すが、細かい 事は通じてい ないことがあり ました。もっと タイ語を知って おけばよかっ たと思います。 本人が自然が好きとの ことで、高尾山に行き、 早目に戻って都庁と新 宿の街を見ました。 日本に何度か着ている子 卒業してし だったので特にありませ まうので無 んでした。 理かと思い ますが… 電機製品のコンセントが 食事のマナーは家庭に 異なるので注意が必要 よっても異なるので難し です。日本の10月の気 いところと思います。 候はタイの方にはかなり 寒いのですが、防寒着 は持っていないのでしょ うから対応を考えておく 必要があると考えてま す。 受け入れは したいと 思っており ますが、来 年度は受験 があるので 難しいで す。 多くの予算とお手間をかけて実施 されていることですので、滞在期間 をもう少し長くしていただきたいと 思います。また在日期間を文化祭 に合わされるとお世話する時間が ほとんどありませんので、ずらす か、別な機会にしたほうがよいの ではないでしょうか。受け入れする 以上はもっとお互いに理解できる ようにしたいと思いました。 6.東京工業大学外国人研究者による「英語で聞く講演会」アンケート 「環境分野における水資源・水処理」Chris Salim 氏の英語による講演会アンケート項目 1.英語に関して ①よく聞き取れた ②聞き取れた ③半分程度 ④あまり聞き取れなかった 2.今回の参加の理由は(複数回答可) ①自分の興味がある事柄,また分野の内容だから ②英語力アップのため ③友達に誘われて ④その他( ⑤ほとんど聞き取れなかった ) 3.水資源・水処理に関する事柄を理解することができましたか。 ①よく理解した ②理解した ③半分程度 ④あまり理解できなかった ⑤ほとんど理解できなかった 4.特に印象深かったことは何ですか。お書き下さい。 5.将来,国際的に活躍する科学者になるために必要なことはどのようなことだと思いますか。 あなたの思う事柄を必要な順に3つ挙げてください。1つだけでも構いません。 1番必要だと思うこと: 2番 3番 6.今後講演に関するリクエストはありますか? 「環境分野における水資源・水処理」に関する選択部分のアンケート結果 「環境分野における水資源・水処理」に関する記述部分のアンケート結果 5.国際的な科学者に必要なもの 1番目 2番目 3番目 科学の知識 英語 1 Chrisさんが日本語もできたこと。 値段は高いが海水できれいな水を作れるということ。 世界の現状を見て回り、よ 解決するために考え 2 く知ること。 る。 地球上に"Fresh Water"が約3%しか存在しないこと。 「現在」の世界をよく見て考 3 えること。 才能 4 CDMについてよく理解できなかったがすごいものだと思った。 沈殿による小石・砂の除去。 原因と対策を追求するこ 5 と。 豊かな知識 英語を話すことができる 6 化学的に水をきれいにする方法を多様することで値段も安くする プレゼンテーション力 こと。 難しくて何もわからなかった。 日本語の力をしっかりつけ 7 る。 水質汚染についてP10(Other Water Pollutions)地球環境を良く 探求心・好奇心 語学力 創造性 するために、こういう所がないようにしたいと思った。 8 No. 4.特に印象深かったことは何ですか。 国などによっては相当水処理の状況がかなり悪いところもあるこ 9 とにびっくりしました。せっかくの機会だったのに英語があまりき きとれなくて残念です。 私たちと同じで、アメリカなど英語を話す国でない人が英語で話 すということを聞いていたが、難しい単語ばかり並ぶのではと心 10 配だったが、大半はわかる単語が出てきたので英語に対する難 しいという感覚が自分でも出来るかもという自信につながった。 自分の国についても時々とり入れていて聞いていてとても楽しく トイレの水が川にそのまま流されてしまうことが問題になってい 11 ること。 興味のあることは自ら調べ 他との関係性を考え てみる。 る。 自分の国とスピーチする国 の文化の違いを利用して、 スピーチできること。 様々な視点から1つの問 題について考えることがで きる力。 英語 12 「議定書」のことを"Protocol"ということ 13 触媒を使って水を処理する方法が細かくわかったのでよかった。 自分のテーマを持つ。 語学力 14 多くの水質浄化プロセスがあることを知り驚いた。 英語力 15 自分の英語力のなさを改めて実感した。 英語がわからなかった。 興味関心を持ったらすぐに 16 実行すること。 17 2025年には38%の人が水不足となる。私達が出したきたない水を 科学者としての絶対的能 18 きれいにするのにさまざまなことがなされていたこと(O3、活性 力 炭、UVなど) 想像力 19 海上(水上)トイレ 酸化チタンでの浄化というものを以前にも聞いたことがあり、そ そのものへの興味 20 の講義を英語で聞けたことがよかった。正直30%くらいしか聞き取 れませんでしたが。 今流行の光触媒について英語で説明を頂いた。コスト面、効率 興味・関心 21 面も考慮した環境配慮は難しく感じた。ろ過方法について興味深 水を浄化する際に何枚ものフィルターを使って浄化を行っている 意欲・関心 22 ということ。汚染にもいろいろな物質(有機、無機、放射性etc.)に よるものがあるということ。 全体の利益を考える。 23 ゼオライトと触媒の利用。 水処理の仕方、光を使ったもの。 いろいろな言葉で説明でき 24 るようになること。 水を浄化する仕組みがいろいろあっておもしろかったです。もっと 科学が好きなこと。 25 よく理解できるように頑張りたいです。 語学 26 水の循環システムはとてもよくできているのだなと思った。 英語力 27 水の循環の部分。自然はとてもよくできていると思った。 行動力 28 紫外線を使った水処理について。 TiO2の光触媒について、可視光域で励起させる研究をしている 世界全体を見るセンス。 29 ということなど、最新の水処理の方法・研究について分かりやす い解説があったこと。 英語を身につけようとする 30 意識。 ゼオライト 英語 31 32 Cheaper, Easier and Faster treatment mothod is necessary. Kyoto Protocol 努力 国語力 水以外に関する世界中の環境問題を知り たい。 「電気」関連の講演も開いてほしい。 もう少しゆっくり途中日本語も入れて説明 してほしい。 ROBOTについて。 More slowly and Japanese. テーマは問わないがまたやってほしい。僕 は海洋資源について学びたいので今回こ のような話が聞けてよかったです。語学力 ももっとつけます。 建築科の方に日本語で講演会をしてほし いです。 最近話題になっている「ブルーレイ」につ いて。 様々な問題に対応でき る柔軟性。 専門的な単語は意味を推測できないので わかりやすくしてほしいです。 やる気 あきらめないこと。 異文化理解 論理的な思考 積極性 能力 探求心 倫理を守る態度 英語力 英語力 その勉強 コミュニケーション力 その他の勉強 四則計算 英語力 情報についての話を聞きたい。 外国の文化について。 この内容と同じものを日本語でも聞いてみ たい。 もう少し短く。 共通語の習得(今は英 実力(研究における) 語) 英語力 経験 コミュニケーション力 英語での講義が新鮮でいつもより集中し て聞けてよかったです。 根気 もっと簡単な語を使ってください。 英語 語学力 英語力 度胸 技術力 33 34 光触媒による水の浄化 水は循環していてなくなりはしないけれど処理は大変なのだと感 35 じました。大切に使わないといけないなと思いました。 処理にゼオライトを利用していたところ。英語が流暢だったとこ 36 ろ。 都市で行われている水処理について。身近なことが分かって良 37 かった。ゼオライトを用いた水の処理について。とても興味のあ る技術だった。 実用性を考えて、浄水化する方法が印象深かったです。光触媒 38 の説明はよくわかりませんでしたが、家に帰って理解してみたい 水の97%は海水であること。 39 6.リクエスト 科学以外のことを応用 ぜひ情報系の講演を。 する力。 手元の冊子は日本語のほうがよい。休憩 時間を入れてほしい。 重要な単語だけでもいいので意味を載せ てほしいです。 エネルギー問題。 国際理解力 電気・情報系をお願いします。今回はおも しろかったです。ありがとうございました。 未知のものへの探求心 情報・コンピュータに関する内容。 コミュニケーション力 英語を学習すること。 語学力 人と話すこと。 いろいろな可能性を見 つけること。 人前で話せること。 好きなことを突きつめる バイオマスエタノールについて、ヒトゲノム こと。 について、生分解プラスチックについて。 英語がしゃべれること。 社交性 語学力 研究に向ける情熱やそれ 技術や能力やひらめ に対する好奇心。 き。 大変分かりやすくおもしろかった。個人的にはもっと専門的なこと 自分の意見を言う訓練。 英語の壁を崩す。 40 が聞きたかった。 きれいな発音に感銘した。 英語力 たくさんの分野に興味 41 を持つこと。 英語力 興味をもつこと。 42 この分野の研究がかなり進化し始めていることです。 知的好奇心 英語力 専門に対する熱意やビ ジョン。 好奇心 音楽とか技術以外にも広いジャンルで 行ってください。 動物関係(生物学)。恐竜の話。 Ⅷ 研究第4年次における「B SSH研究開発の成果と課題」の根拠となるデータ 「成果」を示す根拠 【今年度に新科目「科学技術研究入門」を履修した 2 年生(平成 19 年度入学生)に対する,記述式のテスト による事前・事後調査の分析を行った。合格者(5 点満点で 4 点以上を獲得した生徒を指すが,教師 側の意図を十分に理解できている場合のみを合格者とするため,このレベル設定はかなり高い)人数の 2 総人数に対する割合について,χ 検定を行った結果,応用化学分野が 0.01 %水準,情報システム分野 が 5 %水準,機械システム分野が 1 %水準,電気電子分野が 0.01 %水準で,それぞれ有意差が認められ た。建築デザイン分野では,有意差が認められなかったが,事前の合格者の人数が多いためだったの が,一つの要因と思われる。】という成果の根拠となるデータ 実施の効果 問1 問2 問3 問4 問5 問6 平均 合格者数 /総 数 検定 応 用化学 事前 事後 2.36 3.58 2.15 3.70 2.51 3.58 2.03 3.75 情報 システ ム 事前 事後 3.14 3.62 2.86 3.50 3.03 3.65 2.77 3.38 2.69 3.68 2.34 3.62 2.81 3.58 2/35 9/35 χ 2=5.29 P<0.0215 5%水準 で有意 2.26 3.65 0/39 17/40 χ 2= 21.12 P<0.00000431 0.01%水 準で有意 機 械システ ム 事前 事後 3.74 3.89 3.15 3.42 3.67 3.97 2.67 3.76 電 気電子 事前 事後 3.00 4.28 2.79 3.85 3.08 4.00 2.82 3.51 建 築デザイ ン 事前 事後 2.66 3.03 3.00 3.09 3.00 3.09 3.22 3.22 3.31 3.76 5/40 15/40 χ 2=6.67 P <0.00982 1%水準 で有意 2.92 3.91 2/39 17/39 χ 2= 15.66 P <0.0000760 0.01%水 準で有 意 2.97 3.11 8/33 8/33 χ 2=0.00 P<1.0 有 意差なし 【約 80 %の生徒が難しいと感じている一方で,約 90 %以上の生徒が英語の重要性・必要性を認識し, 前回のSSHで開発した科目「先端科学技術入門」で取り組んでいる専門英語の課題もアブストラ クト作成に役立っていることが分かった。】という成果の根拠となるデータ 今後、「英語力」は自分に 必要だと思いますか 研究 内容を英語で要約することは 非常に難しかった 全く必要 でない あまり必 要でない どちらともいえない 必 要である 難しかった どちら ともいえない 易しかった 非常に易しかった 非 常に必要である 0 20 40 60 0 20 40 60 [%] [%] 「先端科学技術入門」などの授業で 専門英語を読んだ経験が 全然役立たな かった あまり役立たな かった どちらともいえない 役立った 非常に役立った 0 20 40 [%] 60 80 【「さきがけ教育」における第2学年「数学さきがけ」で事前・事後に実施した小テストによる学力調査の比 較では,研究第3年次の3学期・研究第4年次の1学期・2学期のいずれにおいても事前の平均値 より事後の平均値が上回り,それぞれ,1%水準,5%水準,1%水準で有意差が認められた。】とい う成果の根拠となるデータ [研究第3年次第2学年3学期の「数学さきがけ」グループにおける事前・事後比較] (対応サンプルとしての比較データ) 対応サンプルの統計量 ペア 1 小テ点前 小テ点後 平均値 1.03 3.17 N 標準偏差 1.742 1.466 29 29 平均値の 標準誤差 .323 .272 対応サンプルの検定 対応サンプルの差 ペア 1 小テ点前 - 小テ点後 平均値 -2.138 標準偏差 1.995 差の 95% 信頼区間 下限 上限 -2.897 -1.379 平均値の 標準誤差 .370 t値 -5.771 自由度 28 有意確率 (両側) .000 [研究第4年次第2学年1学期の「数学さきがけ」グループにおける事前・事後比較] (対応サンプルとしての比較データ) 対応サンプルの統計量 ペア 1 小テ点前 小テ点後 平均値 1.21 1.58 N 112 112 標準偏差 1.325 1.603 平均値の 標準誤差 .125 .151 対応サンプルの検定 対応サンプルの差 ペア 1 小テ点前 - 小テ点後 平均値 -.366 標準偏差 1.519 差の 95% 信頼区間 下限 上限 -.650 -.082 平均値の 標準誤差 .143 t値 -2.551 自由度 111 有意確率 (両側) .012 [研究第4年次第2学年2学期の「数学さきがけ」グループにおける事前・事後比較] (対応サンプルとしての比較データ) 対応サンプルの統計量 ペア 1 小テ点前 小テ点後 平均値 1.51 2.23 N 99 99 標準偏差 1.625 1.577 平均値の 標準誤差 .163 .158 対応サンプルの検定 対応サンプルの差 ペア 1 小テ点前 - 小テ点後 平均値 -.727 標準偏差 1.316 平均値の 標準誤差 .132 差の 95% 信頼区間 下限 上限 -.990 -.465 t値 -5.500 自由度 98 有意確率 (両側) .000 【第3学年の「数学さきがけ」で実施した事前・事後調査の比較では,「「数学の学習」はどの程度必要だ と感じていますか」「「数学」と「物理や化学,工業」はどの程度関連性があると感じていますか」「未知の 値を求めたり事象を解析したりする際に,「数学」はどの程度役立つと感じていますか」のいずれにお いても事前の平均値が既にかなり高い値であり,事前の平均値と事後の平均値には有意差は認めら れなかった。】という成果の根拠となるデータ [研究第4年次第3学年の「数学さきがけ」グループにおける事前・事後比較] (対応サンプルとしての比較データ) 対応サンプルの統計量 ペア 1 ペア 2 ペア 3 必要前 必要後 関連性前 関連性後 役立つ前 役立つ後 平均値 4.50 4.72 4.61 4.72 4.56 4.78 N 18 18 18 18 18 18 標準偏差 .514 .575 .502 .575 .616 .428 平均値の 標準誤差 .121 .135 .118 .135 .145 .101 対応サンプルの検定 対応サンプルの差 ペア 1 ペア 2 ペア 3 平均値 -.222 -.111 -.222 必要前 - 必要後 関連性前 - 関連性後 役立つ前 - 役立つ後 標準偏差 .548 .471 .548 平均値の 標準誤差 .129 .111 .129 差の 95% 信頼区間 下限 上限 -.495 .050 -.346 .123 -.495 .050 t値 -1.719 -1.000 -1.719 自由度 17 17 17 有意確率 (両側) .104 .331 .104 【第3学年の「物理さきがけ」で実施した事前・事後調査の比較でも,「高校の物理に興味・関心がありま すか」「教科書には載っていない発展的な内容を学習したいと思いますか」のいずれにおいても事前の 肯定的意見割合が既にかなり高く,差もほとんど無かった。】という成果の根拠となるデータ [研究第3年次第3学年の「物理さきがけ」グループにおける事前・事後比較] ① 物理さきがけ(回転系の力学入門)選択者 回答数 33名 (2008年7月 事前・事後) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% ① 物理さきがけ(特殊相対論入門)選択者 回答数 25名 (2008年12月 事前・事後) 100% 0% 前1興関 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 前1興関 非常に思う 5 4 3 2 全く思わない1 前2発展 後1興関 後2発展 前2発展 非常に思う 5 4 3 2 全く思わない1 後1興関 後2発展 後3理解 後3理解 後4役立つ 後4役立つ 【第3学年の「3学期さきがけ」で行った調査で「授業の内容が理解できたか」についても比較的高い 数値のものが多く,すべてが平均値の3.00を上回った。】という成果の根拠となるデータ [授業の内容が理解できたか] 有効人数 国語① 国語② 日本史 解 析 数理I 数理A 衛 星 代 数 原子物 有機化 英語I 英語A ALC 化学英 プログ 電磁I 電磁A 数 値 電情実 機 械 電 気 建計画 建構造 13 2 0 19 41 25 17 41 17 4 23 19 30 6 0 0 3 3 0 8 2 5 6 5 1 0 0 4 10 3 0 13 6 4 4 5 16 3 0 0 0 1 0 3 1 0 2 評価と人数分布 4 3 2 4 4 3 2 0 0 0 0 0 5 9 1 18 9 1 10 7 2 7 6 3 18 8 2 7 2 0 0 0 0 7 10 2 8 5 1 10 4 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 3 3 0 2 0 0 0 0 0 4 1 0 1 0 0 3 2 0 3 1 0 平均 1 1 0 0 0 3 3 1 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3.08 4.00 3.63 3.76 3.32 3.12 4.02 3.88 5.00 3.57 3.89 4.40 4.50 4.00 4.33 4.25 4.50 3.60 4.17 【「成果普及促進」では,学校視察・学校訪問の受け入れにおいては,ロシア,韓国,台湾,タイ,ベトナムか らの視察も含まれた。】という成果の根拠となるデータ [平成20年度 件数 日 時 1 H20.02.21(木) 13:00~15:00 2 H20.02.22(金) 13:00~15:00 H20.03.12(水) 3 10:00~ 4 H20.03.25(火) 13:00~15:30 5 H20.04.25(金) 13:00~15:30 6 H20.09.8 (月) 13:30~16:00 7 H20.10.30(水) 13:00~16:00 8 H21.2.3(火) 10:00~11:30 9 H21.2.16(月) 11:30~13:00 10 H21.2.16(月) 11:30~13:00 11 H21.3.10(火) 9:30~11:00 学校視察・学校訪問 視察・訪問・見学者 等 石川県立小松工業高等学校 教諭 赤土悦崇・平木勉先生 宮崎県立宮崎工業高等学校 教諭(教務主任)中別府勇治先生 東京都庁人事部職員課:役山孝志,月山良明先生 指導部高等学校教育指導主事:藤井大輔先生 岐阜県立可児工業高等学校教諭(機械科・3 学年 主任)荻野祐司先生 ロシア連邦共和国,ガスプロム教育センター(私立)・中 等普通教育学校ニズヴェニズヴェーツカヤ,エレー ナ・アナトリエヴナ校長ほか教員計 5 名。文部科 学省初等中等教育局教育課程課(SSH 担当)小林 様ほか計 3 名。 タイ科学技術振興機構より 9 名,通訳 1 名。 一覧(敬称略)] 概 要 等 工業高校における“情報モラル”教育実践のた めの教育システムの開発についての研修 授業力アップ研修のため来校 学校外から任用した校長に対する実務研修の一 環 学校運営・教科の取り組み・SSH 等 SSH 研究開発の説明,「人と技術」の授業見学, 「技術者倫理」の授業 見学,質疑等 SSH 研究開発の説明,「先端科学技術入門」授業 見学,質疑応答等 SSH の取り組み等の説明等 中華民国,国立台湾師範大学教授・LI N 先生, 高級職業学校校長ら 14 名。 韓 国 ・ 慶 北 大 学 校 Kyungpook National SSH の取り組み,教育課程,「科学技術研究入 University 朴 鐘錫教授他5名 門」の授業視察等 タイ Mahidol Wittayanusorn(マヒド・ウィッタヤ SSH の取り組み,進学状況,施設設備見学等 ヌソン科学高校)School,スチャダ教授,他6名 立命館中学校・高等学校,木本教頭先生他1名 SSH の取り組み,課題研究の取り組み方,指導 方法,施設設備見学等 ベトナム文部省,Le Quan Tand 氏他9名 SSH の取り組み,教育課程,進学率,運営費, 施設設備見学等 「課題」を示す根拠 【「科学技術研究入門」について,タイ生徒が参加する授業展開では,国際性育成研究会と協力し,言葉 での説明に依存せず,観る・触る・つくるといった共同活動や科学技術を共通言語とした展開によ り,体験を共有する授業とする工夫によって改善を試みたい。】という課題の根拠となるデータ [「科学技術研究入門」における実施上の課題及び今後の方向] 国際交流に関連した活動に対しては,過去に経験がないので,特に特別なテーマを設ける のではなく,通常のテーマで実施した。その結果,授業の流れの説明や今時実施している内 容の説明など,説明しなければならないことがたくさんあった。それらの一部はホストファ ミリーの努力で何とか説明実施できたが,そうではないところもある。来年も科学技術研究 入門の中で実施するのならば,外国人TAを導入し,つまずいている点や指示のわからない点 等をアシストしていただくと,今より順調に実施できると考える。 【「さきがけ教育」について,第3学年の「数学さきがけ」において確実な学力向上を目指したい。】とい う課題の根拠となるデータ [第3学年の「数学さきがけ」] 研究第2・第3年次における第3学年の「数学さきがけ」では成績評価と研究評価を兼ね た学力調査を目指したが,研究第2年次と研究第3年次で異なる形式となったため,年次間 の比較ができなくなってしまった。そこで,研究第4年次では,成績評価のための学力調査 とは別に,事前・事後に4点満点の小テストを新たに導入し,成果を検証を試みた。結果は 次の通りである。事前・事後の比較では,事前の平均値 さきor演 小テ点前 小テ点後 さきがけ 平均値 2.74 2.84 よりも事後の平均値がわずかに上回ったが,有意差は認 度数 19 19 められなかった。なお,定着度を評価(成績評価)する 標準偏差 1.522 1.675 合計 平均値 2.74 2.84 ために事後に実施した100点満点の2学期期末試験で 度数 19 19 は,「数学さきがけ」の生徒19名の平均値は83.6点と概 標準偏差 1.522 1.675 ね良好であった。 平成21年3月31日発行 スーパーサイエンスハイスクール研究開発学校 代表者 校長 市 村 禎二郎 所在地 〒108-0023 東京都港区芝浦三丁目3番6号 学校名 東京工業大学附属科学技術高等学校 (TEL 03-3453-2251) (FAX 03-3454-8571) 国立大学法人 東京工業大学附属科学技術高等学校 平成十七年度指定スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告書・第四年次 平成二十一年三月
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