第4回 関西ヘルニア研究/1109 14.4.24 18:10 ページ9 一 般 演 題 併存型鼠径ヘルニアに対する TEPP 手術 >市立枚方市民病院 外科 菅 敬治、木下 隆、西村東人、鱒渕真介、森田眞照 はじめに 74 歳、男性。162cm 50kg。右鼠径部の膨隆を 30 年前頃から認めていた。4ヶ月程前から膨隆の増大傾 向を感じたため受診した。診察時には左側にも膨隆を認め、両側鼠径ヘルニア診断で TEPP 手術加療と なった。 手術所見 先行して腹腔内観察をおこなった。右側は外・内鼠径ヘルニアと大腿ヘルニアの併存型、左側は内・外 鼠径ヘルニアの併存型発症形態であった。TEPP 法を施行すべく、腹膜前腔アプローチを開始した。型 の如くバルーニングをおこない腹膜前腔を確保して、各々のヘルニア嚢を剥離して腹腔側へ展開した。 各々のヘルニア門を確実に被覆できるようにメッシュシートをトリミングして適切な大きさとして固定 し手術は終了した。術後経過は良好で3病日に退院となった。TEPP 法による併存型鼠径ヘルニア手術 では、ポート創、バルーニング、剥離など一連の操作はその他の鼠径ヘルニアと同様であり、またメッ シュシートを使用することで完全にヘルニア門を被覆できる有用な手術方法であると考える。 TEPP 手術における後腹膜腔剥離について >京都第二赤十字病院 外科 泉 浩、柿原直樹 TEPP 手術において後腹膜腔を剥離するのに腹膜外腔拡張バルーン(以下 PDB)を用いない方法を前回の研究会で荻野 らが発表した。手術材料費を抑えることは急務であり、我々も後腹膜剥離を従来の器具で行い、剥離方法に若干の知見 を得たので報告する。 剥離のコツは他の鏡視下手術と同じようにランドマークを確実に見つけていくことである。恥骨結合、下腹壁動静脈、 iliopubic tract、外腸骨静脈を順次確認していけば、PDB を用いた方法と同じ術野が得られ TEPP が完遂できる。 尚、剥離に要する時間は約 20 分である。 3
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