14 章章末問題 11.カレッジタウンの映画館には 2 種類

14 章章末問題
11.カレッジタウンの映画館には 2 種類の顧客がいる。学生と大学教授だ。カレッジタ
ウンには 900 人の学生と 100 人の教授がいる。各学生のチケットに対する支払い意欲額は
5 ドルで、教授のそれは 10 ドルだとしよう。各顧客は最大で 1 人 1 枚のチケットを購入す
る。映画館のチケットの限界費用は 1 枚につき 3 ドルで一定であり、固定費用は存在しな
い。
a. 映画館は価格差別が不可能で、学生と教授の両方に同じチケット代を提示しなくてはい
けない。映画館がチケットを 5 ドルにしたら、誰がチケットを購入し、映画館の利潤は
どれだけになるか。また、消費者余剰の大きさはどれだけか。
映画館がチケットを 5 ドルにしたら、学生も大学教授もチケットを購入する。映画館の
利潤は(900 人の学生+100 人の教授)×チケット代金 5 ドル-(チケット売上枚数×チケット
限界費用 3 ドル)=2000 ドル。
消費者余剰はこの場合、学生のチケットに対する支払い意欲額が 5 ドルであるので、教
授のみに発生する。消費者余剰の大きさは教授の(支払い意思額 10 ドル-実際の価格 5 ド
ル)×教授 100 人)=500 ドル。
価格($)
10
5
3
MC
100
1000
チケット枚数
b. 映画館がチケットを 10 ドルにしたら、誰がチケットを購入し、映画館の利潤はどれだ
けになるか。また、消費者余剰の大きさはどれだけか。
映画館がチケットを 10 ドルにしたら、大学教授がチケットを購入し、映画館の利潤は
(100 人の教授×チケット代金 10 ドル)-(チケット売上枚数×チケット限界費用 3 ドル)
=700 ドル。教授の支払い意欲額は 10 ドルなので、消費者余剰は生まれない。
c. 学生に学生証の提示を求めることで、学生と教授の間で価格差別を実行できるようにな
ったとしよう。映画館がチケットを学生には 5 ドル、教授には 10 ドルで販売したら利
潤はどれだけとなるか。また消費者余剰の大きさはどれだけか。
映画館が学生には 5 ドル、教授には 10 ドルでチケットを販売すると、利潤は(学生 900
人×チケット代金 5 ドル)+(教授 100 人×チケット代金10 ドル)-(チケット売上枚
数 1000×チケット限界費用 3 ドル)=2500 ドル。消費者余剰は、それぞれの支払い意欲額と
実際の価格が同額なので、生まれない。
第15章章末問題
3.フランスでは、ミネラルウォーターの市場はペリエとエビアンという 2 つの巨大企業
の支配下にある。各企業の固定費用は 1 ユーロ、ミネラルウォーター1 本の生産にかかる
限界費用は 2 ユーロで一定だ。次の表は、ミネラルウォーターの需要表だ。
ミネラルウォーターの価格
ミネラルウォーターの需要量
(1 リットル当たり、ユーロ)
(リットル)
10
0
9
1
8
2
7
3
6
4
5
5
4
6
3
7
2
8
1
9
a.2 つの企業はカルテルを形成し、独占企業として行動している。カルテルの限界収入を計
算しなさい。独占価格と数量はどれだけか。企業が生産を等しく分け合うなら、各企業は
どれだけ生産し、どれだけの利潤を得るか。
・総収入=ミネラルウォーターの価格×販売量(ミネラルウォーターの需要量)
=もう 1 単位の生産増による収入の変化額
・限界収入=
独占企業として行動したとき、利潤最大化生産量では限界収入=限界費用が成立する。こ
こで限界費用は 2 ユーロである。下表より、需要量が 3 から 4 へ増えるときの限界収入が 3
ユーロ、4 から 5 に増えるときの限界収入が 1 ユーロなので、4 当たりで限界収入が 2 ユー
ロになることが予想できる。なので、独占価格は 6 ユーロ、数量は 4 リットル。
このとき2社で生産量を等しく分けあうなら 2 リットルずつ生産する。利潤は総収入-
総費用。総収入は 6 ユーロ×2 リットルで求められる。総費用は限界費用 2 ユーロ×数量 2
リットル+固定費用 1 ドルで求められる。生産は各々で行っているので、1 つの企業として
生産したときの総費用÷2 ではないことに注意。計算すると各企業の利潤は 7 ユーロ。
MW の需要量(ℓ)
総収入
10
0
0
9
1
9
8
2
16
7
3
21
6
4
24
5
5
25
4
6
24
3
7
21
2
8
16
1
9
9
MW の価格
限界収入
利潤
(1ℓ当たり、ユーロ)
9
7
5
3
1
-1
-3
-5
-7
b. いま、ペリエが生産量を 1 リットル増やすことを決めた。エビアンは生産量を変更しな
い。新しい市場価格と数量はどうなるか。また、ペリエの利潤とエビアンの利潤はそれぞ
れどのようになるか。
今、各企業が 2 リットルずつ生産しているので、ペリエが生産量を増やすと 3 リットル。
エビアンは生産量を変更しないので、2 リットル。新しい数量は足し合わせて 5 リットルと
なり、市場価格は 5 ユーロになる。
ペリエの利潤は(5 ユーロ-2 ユーロ)×3 リットル-1 ユーロ=8 ユーロ。
エビアンの利潤は(5 ユーロ-2 ユーロ)×2 リットル-1ユーロ=5 ユーロ。
c. もしペリエが生産量を 3 リットル増やすとどうなるか。やはりエビアンは生産量を変更
しない。設問 b と比較して、市場価格と数量はどのようになるか。
ペリエが生産量を 3 リットル増やすと 5 リットル。エビアンは生産量を変更しないので 2
リットル。新しい数量は 7 リットルで市場価格は 3 ユーロとなる。設問 b と比較すると市
場価格は下落し、数量は増加している(ペリエの利益は(3−2)× 5 - 1= 4 で、カルテ
ルを結んでいたときの方が高い)
。
d. 以上の結果から、このカルテルで裏切りが起こる可能性について、何が言えるか。
生産量を増やすことによって産業全体では利潤が減少するとしても、自社の利益は増や
すことができるので、カルテルを組む各社は相手を裏切るインセンティブを持っている。
しかし、生産量を増やしすぎると(価格を下げすぎると)、逆に利益が減ることもある。
これは、生産量効果(利潤に対してプラス)が価格効果(利潤に対してマイナス)効果
を下回るからである。つまり、カルテルを組む各社がカルテル破りをする時は、ほんの
少し生産量を増やす(価格を下げる)という裏切りをする可能性が高いということが言
える。
6.アンタイド社とエアーらス(air’R’Us)社はカレッジビルとビッグタウンを結ぶ航空路線
を運航している 2 社しかない航空会社だ。つまり、複線の下で操業している。各航空会社
はチケット代を高価格と低価格のどちらかに設定する。次の表は、2 つの航空会社の 1 席
当たりの(ドル単位の)利得を示している。利得は 2 つの航空会社の選択によって決まる。
エアーらス
低価格
高価格
20 ドルの利潤
0 ドルの利潤
低価格
20 ドルの利潤
アンタイド
50 ドルの利潤
50 ドルの利潤
40 ドルの利潤
高価格
0 ドルの利潤
40 ドルの利潤
a.2 つの航空会社は 1 回ゲームをプレーしている。つまり、2 社は一度だけ競争し二度目は
ない。この 1 回ゲームのナッシュ(非協力)均衡はどうなるか。
ナッシュ均衡は最適対応の組である。つまり、ナッシュ均衡では、相互に相手の戦略に
対して最も利得の高い戦略を選択している。本問の仮定では、相手が高価格を選択したと
き、自社が高価格を選択すれば 40 ドル、低価格を選択すれば 50 ドルの利潤を得る。つま
り最適対応は低価格である。また、相手が低価格を選択した場合、自社が高価格を選択す
れば 0 ドル、低価格を選択すれば 20 ドルの利潤を得ることができる。この場合も最適対応
は低下価格である。つまりここでの最適戦略は相手がどのような戦略であっても低価格を
選択することである(低価格が支配戦略となっている)。よって、ナッシュ均衡は「両社が
低価格」である。
b.2 つの航空会社はこのゲームを 2 回プレーするとしよう。そして、各社は次の 2 つの戦略
のうち 1 つを選ぶ。1 つは「常に低価格」だ。もう 1 つは「しっぺ返し」で、つまり 1 期
目は高価格を設定することでスタートし、2 期目は相手が 1 期目に選んだ価格をつけると
いうものだ。次の 4 つの可能性のすべてについて、アンタイドの利得を求めなさい。
ⅰ.アンタイドは「常に低価格」をプレーし、エラーらスも「常に低価格」をプレーする。
アンタイドの利得は、
一回目のゲームで両社低価格なので 20 ドルの利得を得る。
二回目のゲームも両社低価格なので 20 ドルの利得を得るので全体では 40 ドルの利得。
ⅱ.アンタイドは「常に低価格」をプレーし、エアーらスは「しっぺ返し」をプレーする。
アンタイドの利得は、
一回目のゲームでアンタイドが低価格、エアーらスが高価格なので 50 ドルの利得。
二回目のゲームはアンタイドが低価格、エアーらスが低価格なので 20 ドルの利得。
全体では 70 ドルの利得となる。
ⅲ.アンタイドは「しっぺ返し」をプレーし、エアーらスは「常に低価格」をプレーする。
アンタイドの利得は、
一回目のゲームでアンタイドが高価格、エアーらスは低価格なので 0 ドルの利得。
二回目のゲームはアンタイドが低価格、エラーらスも低価格なので 20 ドルの利得。
全体では 20 ドルの利得となる。
ⅳ.アンタイドは「しっぺ返し」をプレーし、エアーらスも「しっぺ返し」をプレーする。
アンタイドの利得は、
一回目のゲームでアンタイドが高価格、エアーらスも高価格なので 50 ドルの利得。
二回目のゲームもアンタイドが高価格、エアーらスも高価格なので 50 ドルの利得。
全体では 100 ドルの利得となる。