中期為替相場見通し 2015 年 3 月 31 日みずほ銀行国際為替部みずほ銀行|中期為替相場見通し目次【見通しの概要】 P.2 ◆ ドル/円相場の見通し～基礎的需給の現状と展望～円相場の需給環境：円売りのピークは 14 年上期だった？ P.3 日銀の金融政策の現状と展望：払拭しきれない可能性 P.6 米金融政策の現状と展望～ドル高を受け止める覚悟はあるのか～ P.8 基本シナリオへのリスク～2016 年は円安シナリオで割り切れず～ P.11 ◆ ユーロ相場の見通し～佳境を迎えるユーロ売り～ ECB の金融政策の現状と展望～相変らず混乱中の QE のコンセプト～ P.14 最近のユーロ相場の水準感について～佳境を迎えるユーロ売り～ P.17 2015 年 3 月 31 日 1 みずほ銀行|中期為替相場見通し【見通しの概要】国際為替部チーフマーケット・エコノミスト唐鎌大輔ドル/円相場に関し、需給面、金利面から見て、円を買う理由が乏しい状況は不変であり、「放って置けば円安」の基本シナリオは継続である。ここにきて基礎的需給環境がやや円買いに振れていることに着目し、円高への揺り戻しを懸念する声もあるが、基本的に年内は国内から海外への対外証券投資主導で円売り超過の環境が続くものと考えたい。目先、米国でドル高に対するノイズが増えていることを踏まえれば、円安基調がもたつくこともあるだろう。だが、足許の運用環境や公的年金改革の影響を背景とすれば新年度は対外証券投資の加速が見込まれ、ドル/円の底値はしっかりしたものになると想定したい。年内「130 円」は引き続き黒田日銀による追加緩和を当て込んだ水準であり、そのタイミングとしては 7 月ないし 10 月を予想する。だが一方で、GPIF のアロケーション変更は今秋を目途に落ち着きそうなことや、原油価格の低位安定を背景に断続的な貿易黒字を予想する声が出始めていること、そして日米金融政策格差というテーマも今年がピークになりそうなことなどを踏まえると、来年以降の円相場は単純な円安シナリオでは割り切れない局面に入ってくる可能性もある。片や、ユーロ相場は年初来安値をつけた後、小康を得ている。引き続き、FRB と ECB の金融政策格差は如何ともし難いものがあり、両者の実体経済格差を踏まえれば、域内から域外への対外証券投資が相場を押し下げる状況は続きそうである。この点、FRB が利上げに着手するであろう 9 月（ないし 12 月）にかけて再度安値を試す展開はあり、過去のボラティリティを踏まえれば、1.05 付近を割り込む可能性はある。だが、本欄で再三述べてきたように、ファンダメンタルズに照らす限り、今のユーロ安は「壮大な投機」と表現すべきものである。2005～07 年の超円安局面において経常黒字とディスインフレを理由に円高を予想する声はあったが、当時は誰も耳を貸さなかった。既にユーロ圏経常黒字は往時の日本を凌駕しており、ユーロ買いの実需フローは相当大きい。「2007 年の夏」を境に潮目が変わったように、ユーロ相場にも同様の急変は十分想定される。例えば、実際に FRB が最初の利上げに着手した後は材料出尽くし感からそのような動きが発生する可能性がある。【見通し総括表および為替相場の推移と予想】ドル/円 2015年 1～3月（実績） 4～6月期 7～9月期 10～12月期 115.86 ～ 122.04 (120.10) 117 ～ 125 (122) 118 ～ 127 (124) 1.06 ～ 1.14 (1.10) 127 ～ 137 (134) ユーロ/ドル 1.0458 ～ 1.2170 (1.0839) ユーロ/円 126.94 ～ 145.30 (130.18) 2016年 1～3月期 4～6月期 120 ～ 130 (125) 121 ～ 131 (126) 121 ～ 131 (124) 1.04 ～ 1.12 (1.08) 1.03 ～ 1.12 (1.08) 1.05 ～ 1.14 (1.10) 1.08 ～ 1.18 (1.13) 128 ～ 138 (134) 131 ～ 141 (135) 133 ～ 143 (139) 135 ～ 145 (140) (注) 1. 実績の欄は3月31日までで、カッコ内は3月31日の午前10時頃。　2. 実績値はブルームバーグの値などを参照。 3. 予想の欄のカッコ内は四半期末の予想レベル。 140 130 120 110 ドル/円 100 90 80 70 07/1Q 08/1Q 09/1Q 10/1Q 11/1Q 12/1Q 13/1Q 14/1Q 15/1Q 16/1Q 1.7 175 165 1.6 1.5 ユーロ/ドル 155 145 1.4 135 1.3 125 1.2 115 105 ユーロ/円 1.1 95 1.0 07/1Q 08/1Q 09/1Q 10/1Q 11/1Q 12/1Q 13/1Q 14/1Q 15/1Q 16/1Q 85 07/1Q 08/1Q 09/1Q 10/1Q 11/1Q 12/1Q 13/1Q 14/1Q 15/1Q 16/1Q 2015 年 3 月 31 日 2 お客さま各位ここではレポートの一部をご紹介しています。レポート全ページをご希望の方は、お取引いただいているみずほ銀行のお取扱店、またはお取引担当部までお問い合わせください。以上