〒100-0005 東京都千代田区丸の内二丁目3 番 2 号 郵船ビル Tel:03-3284-5151(代表) http://www.nyk.com 当社グループは2009 年 1 月現在、世界最大の 110 隻の自動車専用 船隊を運航しています 。高い輸送技術に加え、ターミナルにおける 完成車の PDI( 納品前点検・補修・部品補給など)などの付加価値 サービスも提供しています 。 本レポートは、環境に配慮した印刷方式を採用しています 環境に配慮するため有害廃液を排出しない「水なし印刷」方式を採用しています。 またインキには大豆インキを、用紙は適切に管理された森林からの原料を含むFSC 認証紙を使用しています。 発行:2009 年 6 月 次回発行予定:2010 年 6 月 日本郵船株式会社 アニュアルレポート 2009 Bringing value to life. 日本郵船株式会社 アニュアルレポート 2009 Moving Forward Grange Park 物流センターにて(英国) 当 社グループは世界 36 カ国に 332 カ所 の物流センターを運 営。 複雑化する顧客ニーズに対し 、グローバルなネットワークを利用 した多様な物流サービスメニューを提供しています 。 ボーイング747-400F 航空貨物のオペレーターとして、日本航空インターナショナルに次ぐ 国内第 2 位の取扱量を誇っています。最新機種ボーイング 747-400F の導入により、さらなる競争力の強化を図っています。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 01 日本郵船グループ企業理念/ NYK グループ・バリュー 基本理念 NYK グル ー プ・バリュー わたくしたちは、海・陸・空にまたがるグロー バルな総合物流 企業グループとして、安全・確実な「モノ運び」を通じ、人々の 生活を支えます 。 120 年を超える歴史を有する日本郵船は、昔から以心伝心で引 き継がれてきた良さ、DNAというべきものを将来にわたって 引き継ぐために 、2007 年 1 月、NYKグル ープ・バリュー「誠 意・創意・熱意」を策定し、日本郵船グループ企業理念を実現す るための基本的な考え方を示しました 。 経営方針 お客様とともに お客様から選ばれ信頼されるパートナーであり続けるために、現場 第一に徹し、創意工夫に努め、新たな価値の創造を追求します。 株主・投資家の皆様とともに 公正かつ透明な経営を実践し、効率的な事業活動を通じて、企業価 値の増大を目指します。 社会とともに 良き企業市民として積極的に社会の課題に取り組み、環境の保全を はじめとして、より良い地球社会の実現に貢献します。 グループ社員とともに グローバル企業として、社員の多様性と挑戦する気概を尊重し、人材育 成に力を注ぎ、夢と誇りを持って働ける日本郵船グループを目指します。 将来見通しに関する注意事項 このアニュアルレポートには、リスク・不確実性を内包した将来見通しが記載されて おり、実際の結果とは異なる可能性があります。これらの見通しは 、現時点での情報 に基づいており、過度に依拠できないことをご承知おきください。なお 、日本郵船で は 、将来に関する見通しの記載について 、現時点以降の出来事や環境、予期せぬ事 象の発生を反映し、更新して公表する義務を負うものではありません。 02 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 誠意 Integrity 「うそいつわりのない心・私利私 欲のない心。まごころ」の意味 に加えて「お客様をはじめ、相 手を尊重して、相手の立場を徹 底的に考え抜く気持ち、思いや り」という意味を込めています。 創意 Innovation 熱意 Intensity 「これまで誰も考え付かなかった 「一途にそれに打ち込んでいる 考え。新しい思い付き」の意味 気持ち。熱心な気持ち」という に加えて「現状に満足せず、よ 意味に加えて「困難なものに対 り良いものにするための 『原動 して、継続して、達成するまで 力』、つまり 『変革』や 『挑戦』」 やり遂げる熱い思い」という意 という意味を込めています。 味を込めています。 目次 04 連結財務ハイライト 06 会長・社長メッセージ 08 社長インタビュー 06 08 A Way Forward 難局に立ち向かうべく、新たな舵取りを任された工藤新社長が 当社グループの強みと今後の経営戦略を語ります。 13 13 特集 13 Global Logistics Strategy 総合物流戦 略 当社グループの成長ドライバー である総合物流戦略とは何か ? その戦略の有効性をご紹介します 。 20 CO2 削減に向けて 20 環境問題を認識し、役職員一丸となった CO 2 削減への取組みをご紹介します 。 22 マー ケットデータ 24 事業別営業概況 26 定期船事業 28 不定期専用船事業 28 自動車船部門 30 ドライバルカー部門 32 石油、石油製品・LPG 船部門 34 LNG 船部門 36 物流事業 38 ターミナル関連事業 40 客船事業 42 航空運送事業、不動産業、その他の事業 44 50 52 89 92 94 コーポレート・ガバナンス 取締役および監査役ならびに経営委員 ファイナンシャル・セクション 主要連結子会社および関連会社 サービスネットワーク 会社情報、株主情報 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 03 連結財務ハイライト 日本郵船株式会社および連結子会社 3 月 31 日に終了した各連結会計年度 単位:百万円 単位:千米ドル 2009 2008 2007 2009 ¥2,429,973 ¥2,584,626 ¥2,164,280 $24,737,585 144,915 202,079 104,942 1,475,259 56,152 114,139 65,038 571,634 当期業績: 売上高 営業利益 当期純利益 自己資本当期純利益率( ROE ) 配当性向 9.5% 17.6% 10.6% 32.8% 25.8% 34.0% 営業活動によるキャッシュ・フロー 150,474 199,526 86,230 1,531,856 投資活動によるキャッシュ・フロー (170,253) (292,510) (178,043) (1,733,210) 設備投資 417,555 501,330 271,949 4,250,792 減価償却費 100,124 92,401 80,488 1,019,282 総資産 2,071,271 2,286,013 2,135,442 21,085,928 負債 1,490,034 1,606,976 1,434,724 15,168,824 有利子負債 1,077,956 1,022,197 890,754 10,973,805 2.0 1.6 1.4 544,121 637,962 657,089 年度末財政状態: デット・エクイティ・レシオ (倍) 自己資本 自己資本比率 利益剰余金 26.3% 426,217 27.9% 401,045 5,539,257 30.8% 312,606 4,338,970 単位:円 単位:米ドル 1 株当たり情報: 当期純利益 ¥45.7 ¥92.9 ¥53.0 $0.47 年間配当金 15.0 24.0 18.0 0.15 注:1. 米ドルへの換算は 、2009 年 3 月 31 日の為替レート1 米ドル=98.23 円の換算率で行っています。 これらのドル金額は 、日本国外の読者の便宜のために表示した ものであり、この、またはこれ以外の換算率で日本円金額が米ドルに交換された、または交換され得ることを意味するものではありません。 2. 1 株当たり情報は各連結会計年度における発行済普通株式総数の加重平均株数に基づいて計算しています。 04 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 2009 年3 月期 財務トピックス 売上高 営業利益 当期純利益 lドライバルク市況の急落、およびコ l 売上高の減少と燃料油価格の高騰 l 航空運送事業による減損損失や 、 ンテナ荷動きの鈍化と運賃の低下、 などのコスト増要因により、営業利 傭船解約金などの営業外損失を計 物流事業・ターミナル関連事業・航 益は前期比572 億円減となり、売上 上したため、当期純利益は前期比 空運送事業における取扱量の減少 高 営 業 利 益 率は2008 年 3 月期の 580 億円減となりました。 により、売上高は前期比 1,547 億円 7.8%から6.0% へと、1.8 ポイント低 減となりました。 下しました。 売上高 営業利益/売上高営業利益率 (億円) (億円) (%) 20 2,500 30,000 25,846 25,000 1,614 19,293 20,000 1,500 16,061 1,049 1,000 10,000 500 06 07 08 09 0 05 06 営業利益(左軸) 07 6,000 0 売上高営業利益率(右軸) 10,222 5,013 5,000 10,000 10,780 3.0 2,000 6,000 1,936 1,936 1.5 9.5% 06 07 08 09 (億円) (%) 40 8,000 6,571 6,380 5,754 5,441 1.4 4,000 29.0% 30 27.9% 1.0 2,000 05 06 07 08 09 0 35 30.8% 30.6% 26.3% 25 2,000 0 0 自己資本/自己資本比率 4,278 1.5 4,000 1,000 10 2.0 1.6 1.3 15 5 05 6,301 2,719 3,000 10.6% 6,000 2.0 7,660 8,000 562 2.5 8,908 4,176 4,000 20 17.6% 当期純利益(左軸) 自己資本当期純利益率( ROE ) (右軸) (倍) 12,000 650 200 0 09 (億円) (億円) 18.4% 400 有利子負債/ デット・エクイティ・レシオ 設備投資 25 8 4 08 713 18.2% 6.0% 4.8% 30 921 600 7.8% 7.3% 05 12 10.0% 15,000 5,000 800 1,449 1,405 (%) 1,141 1,000 16 2,000 (億円) 1,200 2,021 24,300 21,643 0 当期純利益/自己資本当期純利益率(ROE) 0.5 05 06 07 08 有利子負債(左軸) デット・エクイティ・レシオ (右軸) 09 0.0 0 05 06 自己資本(左軸) 07 08 09 20 自己資本比率(右軸) 注:億円未満は四捨五入して掲載しています。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 05 会長・社長メッセージ 2009 年 4 月 1 日に工藤新社長が就任し、新しい体制がスタートしました 。 経済情勢は依然厳しい状況が続いていますが 、新社長以下役員・従業員を はじめグル ープが一丸・一体となり、2009 年 1 月に策定した緊急構造改革 プロジェクト「宜候」 (ようそろ)に取組み、中期経営計画の達成に全力を尽く します 。 写真 左から: 代表取締役会長 宮 原 耕 治 代表取締役社長 工 藤 泰 三 06 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 株主・投資家の皆さま、そしてお客さま、取引先の皆さま、地域社会の皆さま、当社グループと 関係を有する各ステークホルダーの皆さまには、日頃より当社グループの活動にご理解・ご支援を いただきありがとうございます。 さて、当社グループは2008 年3 月、2008 年度から3 カ年の中期経営計画 New Horizon 2010 を発表しました。本計画では、基本戦略として、真のグローバル企業を目指す「成長」、経済情勢 の変化に対応しうる「安定」、地球市民としての責務を果たす「環境」の 3 つをキーワードとして 、 「モノ運び」グローバル企業グループを目指し、これらを支えるものとして CSR 経営の強化を掲げ ており、この目標の達成に向けグループ一丸となって努力を重ねてきました。 しかしながら、100 年に 1 度と言われる未曾有の経済情勢の中、基本戦略は堅持しつつ 、2009 年 4 月に同計画の数値目標の見直しを行いました。見直し後の計画は、最終年度の 2011 年 3 月期 には売上高 2 兆円、経常利益 1,000 億円、当期純利益 600 億円となっています。 また 、当社グループは 2009 年 1 月に、2 年間の緊急構造改革プロジェクト 「宜候」 (ようそろ) を 策定し実施しています。本プロジェクトでは、船隊規模の適正化および徹底したコスト削減、収益 構造および営業体制の抜本的見直しによる大胆な構造改革を行い、外部環境の激変に対応する体 制を整えるとともに、景気回復後の飛躍に備えます。具体的には 、定期船事業においては船費、 一般管理費、変動費の徹底した削減、不定期船事業においては産業動向の適確な分析に基づく船 隊構成の再編、日本貨物航空(株)ではコスト構造の刷新およびお客さま本位の事業運営による業 績改善などの問題に取組みます。 当社では 2009 年 4 月 1 日に工藤新社長が就任し、新しい体制がスタートしました。上述のとおり 当社グループは現在大変厳しい状況に直面していますが 、かかるピンチを乗切るとともに、逆に チャンスととらえ、新社長以下役員・従業員をはじめグループが一丸・一体となりこの緊急構造改 革プロジェクトに取組み、中期経営計画の達成に全力を尽くします。同時に、持続的かつ安定した 「モノ運び」のサービスを提供することで、世界の人々の生活の安定、向上を支えるという社会的 責任を果たします。 (注) 「宜候」とは船長が掛ける号令で、ここからは真直ぐに進め、と言うときに発するものです。当社グループが、現在の難局を切抜け、目標に 向かって直進するという思いから名づけたものです。 2009 年 6 月 代表取締役会長 代表取締役社長 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 07 社長インタビュー Q1 強み A Way Forward 経営環境が厳しさを増す中、自社の「強み」を最大限に活用すること が必要と思われます。まず NYKグループの「強み」についてお聞か せください。 A 当社グループの強みはなんと言っても人材力―― 創意工夫によって 付加価値を生む人材力にあると考えます。 この厳しい経営環境の中で生き残るには 、なんと言って 力させていただきました。一方、世界の自動車の海上荷動 も、お客さまと強い信頼関係を築くことが必要です。そのた きは 、2008 年前半までの極めて旺盛な需要により、とにか めには 、生産工場の海外移転などによってお客さまが抱え く船が恒常的に足りなくなっていました。需要と供給の関係 込むことになった問題の解決に、私たちも一緒になって取組 から成立つ海運市況においては、運賃が上昇する局面です。 むことが求められています。また、船というハードと同時に、 ところが 、当社自動車船部門は 、お客さまのご協力を得つ 人材力というソフトパワーを使った創意工夫のある提案力が つ 、逆に、運賃値下げにチャレンジしました。それまでは 、 欠かせません。当社グループにとっては 、これこそ競合他 大型船は欧州・北米航路に、中小型船は南米・中近東・豪州 社と差別化を図れる最大の強みだと考えています。 航路に配船するのが通常のパターンでしたが 、荷動き拡大 私自身が自動車船部門を担当していた時代のことです。 に対応する船隊整備をすべて大型船に統一すると同時に、 日系の自動車メーカーさんが多数タイに進出され 、現地生 お客さまには、従来は中小型船で便数を確保した航路でも、 産・販売に加え、輸出も拡大するプロジェクトが始まりまし 若干便数を犠牲にし、大型船のご利用をお願いしたのです。 た。ところが、完成車を国内配送したり、輸出するために港 船型の大型化による経済性のメリットはもちろんありました まで輸送を行ったりする業者が極端に不足するだけでなく、 が、船型が統一されたことで、ある船が遅れても他船を簡単 輸出するための自動車専用積出しターミナルもないという に代替投入する柔軟な配船が可能となり、全体のロスタイム 状況で、自動車メーカーさんは大変お困りでした。これに対 を大幅に削減することが可能になりました。そこで、これら 応 すべく、当社は完 成 車の陸 上 輸 送 会 社を設 立、また 、 のメリットを運賃を下げるという形でお客さまに還元したわ ターミナル建設を決断し、お客さまの抱える問題解決にご協 けです。重要な点は、必要なスペースを、運賃を低減しつつ 提供する、というお客さまのニーズを満たしたことであり、 これは創意工夫によってのみ可能なことでした。 世界の海上荷動き量推移と今後の予測 こうした努力の積重ねによって 、強い信頼関係に基づく (予想指数) win-win の関係が当社とお客さまとの間に構築されていま 250 200 す。現在、お客さまの経営環境が悪化する中においても、 2000 年=100 運賃水準に対する要望が限られていることも、このような信 150 頼関係を重視した当社の方針が正しかったからであると自負 100 50 しています。 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10(年) (予想) 鉄鉱石 100 100 107 115 131 147 158 176 194 196 205 コンテナ 100 104 117 132 151 166 182 205 214 202 200 一般炭 100 111 117 129 140 147 148 162 171 174 179 自動車 100 97 102 111 125 136 151 166 166 137 149 原料炭 100 97 98 102 103 106 108 113 128 124 127 穀物 100 105 109 107 111 115 96 99 106 125 125 原油 100 102 101 107 112 114 114 116 123 120 123 備考:自動車に関しては地域間荷動き台数であり一部陸送も含んでいます。 出典:Clarksons Shipping Review & Outlook( Spring 2008) 等 08 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 海運市況はここ2 ∼3 年厳しいかもしれませんが、物流量 は世界人口の増加に比例する傾向があります。物流業界は 間違いなく需要が増加する成長産業のひとつです。当社グ ループが成長を続けるために、問題解決能力を備え付加価 値を創造できる人材の育成に、さらに積極的に取組んでい こうと考えています。 緊急構造改革プロジェクト Q2 A 急速な景気後退を受けて立上げられた「緊急構造改革プロジェクト」 のねらいをお聞かせください。 継続すべき戦略と軌道修正が必要な戦略を明確に区別し、市況変動 の影響を受けにくい強い事業構造への転換を目指します。 まず、申上げなければならないのは、 「緊急構造改革プロ 略を進めました。これが幸いし、2008 年度後半の市況急落 ジェクト」は、厳しい業績を否定的にとらえるものではない、 時には 、収益への影響を比較的軽いレベルにとどめること ということです。好業績が継続していれば見過ごしかねな ができました。 かった問題点を洗い出して解決しようという考え方で、当社 また 、自動車船部門では 、過去に日本からの完成車輸出 グループをより強い事業構造に転換していくための好機とし が半減した経験から、好況時といえども新造船の一括発注 てとらえたものです。 はリスクが高いと考えました。海運市況が悪くなればスクラッ このプロジェクトには 、短期と中長期の 2 つのフェーズが プすることもできる老齢船をメンテナンスによりうまく使い あります。第 1 フェーズは、2009 年 3 月( 2009 年 1 ∼3 月) ま 続け 、新造船は海運市況の好不況に係わらず常に一定の隻 でで 、今までに経験したことのない市況の急激な悪化によ 数を発注するという戦略で事業を行いました。この戦略によ り拡大した「需要と供給のギャップ」を解消するために、船 り、今回の自動車輸出の減少にも、老齢船をスクラップする 隊規模を縮小するという対策を講じました。具体的には、自 ことで柔軟に対応できています。この 2 つの戦略について 動車船 13 隻のスクラップ、17 隻の係船を決定し、コンテナ は今後も継続していきます。 船やバルカーの傭船においても期限前返船などを実施しま 一方、軌道修正が必要な戦略は、コンテナ船の船隊整備で す。世界のコンテナの荷動きは過去10 年間で3 倍にも達する した。 第2フェーズは、中長期的な戦略の実行期間で、継続すべ ペースで増大しました。これを受けた新造船発注をはじめと き戦略はさらに深化させる一方、軌道修正が必要な戦略に する船隊整備が若干急速過ぎたため、結果的に必要以上の ついては速やかに修正を行います。 コンテナ船を保有することになった点を反省しています。 継続すべき戦略の例として、ドライバルク部門での長期契 今後はコンテナ船隊の規模を調整し、自社の船隊に係わら 約路線があげられます。当社ではドライバルク市況の上昇 ず足りないスペースはもっと他社から借り入れるなどの方法 時においても、短期契約による利益よりも、あくまでお客さ により、景気後退局面でもその影響が軽微に済むような柔軟 まとの長期的に安定した取引を重視した長期契約主体の戦 な船隊構成を目指します。 緊急構造改革プロジェクト 2009 年 1 月 1 日、当社グループは 2 カ年の「緊急構造改革プロジェクト」を立上げ、外部環境の激変 に対応する体制を整え、景気回復後の一層の飛躍を目指しています 。 l 収益構造の改革 l 船隊規模の適正化 l グループ全体にわたるコスト削減 l 外部環境の激変に対応する 強い事業体制の確立 営業体制の抜本的見直し NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 09 中長期的な成長戦略 Q3 A 中長期的に持続的成長を目指す上で 、優先して取組むべき戦略に ついて、その詳細をお聞かせください 。 中長期的な成長に向けた戦略のキーワードは「総合物流」と「アジア 地域」です。 今後の当社グループの成長を語る上で、 「総合物流戦略」 中国は現在、世界最大の自動車販売市場となりつつあります は極めて重要なキーワードです。これまでも私たちは、 「お が、近い将来中国からの自動車輸出が増加すると見込まれて 客さまの抱える問題の本質は何か? 」という点を深く考え、そ おり、輸出に対応するための自動車船専用ターミナルの整備 の答えを探し続けてきました。 に取組んでいます。さらに、中国政府によるインフラ関係の 港から荷揚げした後の通関や内陸輸送がお客さまにとって 大規模な景気刺激策の実施により、鉄鉱石、石油関係の需 問題となっているケースが多くあります。こうした問題の解 要増加も見込まれます。バルク・エネルギー輸送部門 * はこ 決には、コンテナ船や物流といった事業の垣根を取払った「総 の成長機会をとらえるべく、ドライバルク船、タンカーの船隊 合物流」の視点からの提案がどうしても必要となります。す 整備を積極的に推進していきます。 なわち、海上・陸上どちらの物流にも精通したハイブリッドな 航空運送事業でも、アジアから欧州向けの航空運送の荷 営業マンが欲しいということになります。こういった人材はま 動きが過去 10 年間で約 3 倍にも成長しました。今後も中長 だまだ不足しており、今後もさらに育成を進めていきます。 期的な成長が期待できる分野です。足下では景気後退の影 物流事業については、効率的な物流をお客さまに提案で 響を強く受け、当面は厳しい経営環境が続くことが予想され きる営業力やオペレーションのノウハウを欧州・北米などで ますが、最新機材であるボーイング747-8F 型貨物機の世界 培ってきました。今後はこうしたノウハウを成長著しいアジ に先駆けての導入などによって競争力を強化し、数年後に ア地域でも取入れ 、アジア地域での取扱量のさらなる拡大 は黒字化を実現したいと考えています。 と、総合物流サービスの充実につなげていきます。 アジア地域へのアプローチという点では、自動車船部門 * バルク・エネルギー輸送部門:ドライバルカー部門および石油、石油製品・LPG 船部門、 LNG 船部門の 3 部門。 の取組みにも大いに期待しています。この部門では、中国を 中心とするアジア諸国における営業展開を加速しています。 NYK グループ中期経営計画 New Horizon 2010 実績と目標 (実績・計画ともに 2009 年 4 月 27 日時点) (億円) 各年 3 月期 売上高 経常利益 当期純利益 2009(実績) 2010(計画) 2011(計画) 24,300 1,408 562 18,800 400 180 20,000 1,000 600 2009 2010 2011 ¥100.82/$ $503.21/MT ¥95/$ $275/MT ¥90/$ $300/MT (計画の前提) 各年 3 月期 為替 バンカー 10 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 CSR 経営 Q4 グローバル企業であるNYKグループにとって、CSR 経営は極めて 重要な考え方であると思われますが、具体的な取組みをお聞かせ ください 。 A 持続的に安定した「モノ運び」を提供することこそが、社会的責任 を果たすことにつながるものと考えています 。 当社グループの中期経営計画「 New Horizon 2010」で は少なく環境にやさしいとされてい 「 CSRレポート2009」では は、3 つの基本キーワードである「成長」 「安定」 「環境」、そ ますが 、環境問題への取組みは重 いて特に重要と考えられる して、これらを支える「 CSR 経営の強化」を掲げています。物 要課題のひとつです。2008 年 4 月 を中心に報告しています。 流は重要な社会インフラであり、世界経済の血管として重要 には 、環境特命プロジェクト 「 NYK 掲載サイト な役割を果たしています。当社グループが提供する安定した Cool Earth Project 」を立上げて CO2 排出量の削減目標を定め 、取 「モノ運び」というサービスは、世界の人々の生活の安定・向 当社グループの事業にお 社会的課題に対する取組み http://www.nyk.com/ profile/csr/report.htm 上に直結するものです。安定したサービスを提供し続けるこ 組んできました。具体例としては 、減速航海への取組みを とが、当社グループの社会的使命であると思っています。 あげることができます。船舶はスピードを10% 落とせば約 そうした重要な社会的責任を担う存在であるからこそ、安 30% もの 燃 料 消 費 を 削 減 できます。海・陸 間 コミュニ 全に対する配慮は最優先しなければなりません。過去のタ ケーションを密にすることによりきめ細かな運航管理を実践 ンカー座礁の経験を踏まえ、安全運航を最優先課題としてさ し、正確なスケジュールと減速航海の両立を図っています。 まざまな推進活動を実践し、グループを含めた全社員に安全 こうした取組みを評価する人事システムである運航マイス 運航を徹底しています。 ター制度の導入も行い 、CO2 排出量削減への意識をさらに 加えて当社では、地球環境保全にも積極的に取組んでい 根づかせたいと考えています。 ます。海運は、その他の輸送モードと比較するとCO2 排出量 当社グループの CSR 概念図 社会的責任投資( SRI )対象銘柄に選定 社会からの期待と信頼に応える企業 Dow Jones Sustainability World Index(米国)6 年連続選定 NYKグループ社員 l 健全で透明性の高い企業経営 l 安全の確保と環境活動 FTSE4 Good Global Index(英国)6 年連続選定 l 誇りを持って働ける職場づくり 誠意 創意 熱意 お取引先 メディア 地域社会 金融機関 株主・投資家 NPO・NGO お客さま 行政 モーニングスター社会的責任投資株価指数(日本)5 年連続選定 「イノベスト社 Global 100(最も持続可能な世界の 100 社)」3 年連続選定 スイスの SRI 格付評価会社、SAM( Sustainable Asset Management )の 「 Bronze Class 」2 年連続選定 CSR 優良企業の中で、 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 11 企業価値向上 Q5 A 株主還元およびコー ポレート・ガバナンスについての考えをお聞 かせください 。 株主還元については 、成長に向かっての投資とのバランスを勘案 して実施していきます。また、株主の皆さまからご信頼いただける よう、ガバナンス機能を強化することで、透明性の高い経営を実践 していきます。 当社グループでは、株主の皆さまへの利益還元を経営上 コーポレート・ガバナンスについては、2008 年 6 月より社 の最重要課題のひとつとして位置づけ 、 「 New Horizon 外取締役制度を導入し、社外の目を加えることで、経営の透 2010」では目標連結配当性向を25% 以上としています。当 明性をより一層高める体制を構築しました。国際間での競争 期の配当は、当社グループを取巻く事業環境が厳しさを増し 力を高めるため、社外取締役の世界経済に関する専門的な ていることから前期より9 円減少し、年間 15 円とさせていた 見識を有効に活用しています。今後も、コーポレート・ガバ だきましたが、連結配当性向は 32.8% になっています。 ナンス機能の強化・活性化を推進し、当社グループの長期的 安定配当を維持しつつ 、一方で持続的に企業価値を高め な発展につなげていきます。 るためには 、成長を見据えた事業投資には積極的に取組む ことで資本を有効活用し、収益をさらに拡大していくことが 必要であると認識しています。 1 株当たり配当金と配当性向の推移 (円) 24 25 20 NYK グループ中期経営計画 New Horizon 2010 成長と財務安定性のバランス (%) 18 18 (実績・計画ともに 2009 年 4 月 27 日時点) 100 80 18 60 10 34.0% 30.8% 25.8% 23.9% 5 0 05 06 32.8% 07 08 40 20 09 0 1 株当たり配当金(左軸) 配当性向(右軸) 12 期末有利子負債 期末自己資本 15 15 (億円) 各年 3 月期 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 自己資本比率 デット・エクイティ・レシオ (倍) 営業キャッシュ・フロー 投資キャッシュ・フロー 2009(実績) 2010(計画) 2011(計画) 10,780 5,441 26.3% 2.0 1,505 (1,703) 10,100 5,900 29.2% 1.7 1,700 (1,000) 10,150 6,400 30.5% 1.6 1,800 (1,750) 特集 Global Logistics Strategy 総合物流戦略 経済のグロー バリゼーションとともに、私たちの生活を支える「モノ」の流れは複雑さを増し ており、物流サービスに広範な役割が求められるようになってきました。当社グループの総合物 流戦略は、この日々高度化するお客さまのニーズに「最適解」を提供しようとするものです 。 当社グループは、 「お客さまの直面する課題」を解決するため、 「海」 ・ 「陸」 ・ 「空」にまたがる「モ ノ運び」のノウハウを提供し、さらに現場に根ざした改善を継続的に加えていくことで、 「お客さま から選ばれる総合物流企業グループ」となることを目指します。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 13 現在の物流管理の要求レベル 物流業界の市場環境 部品メーカー 顧客ニーズが高度化 過去の物流管理の要求レベル 需要の流れ 需要の流れ セットメーカー 部品メーカー 供給の流れ 需要の流れ 販売倉庫 供給の流れ 需要の流れ 小売店 供給の流れ 消費者 供給の流れ 個々のバリューチェーンでのコントロール(部分最適) お客さまニー ズの高度化 ―「部分最適」から「全体最適」へ ― 物流事業者に対するこれまでのお客さまのニーズは、例 えば製造業であれば「購買・調達」 「製造」 「出荷」 「販売」 「消費者」のそれぞれのステージ間でのスムーズな輸送に ありました。物流事業者はこうしたニーズに応えるために、 それぞれの段階を最適化することに主眼をおきながら、海 運・陸運・空運といった個々 の輸送モードごとに、言わば 「部分最適」のサービスを提供してきました。 ところが近年、経済のグローバリゼーションとともに、お 客さまの物流ニーズに変化が生じました。例えば、生産工場 の海外移転といった事業構造の変化により、調達から製造、 あるいは製造から販売へ 、国をまたがった輸送や保管手配 が必要となります。また、リードタイムが伸びることに伴い、 市場変化に柔軟に対応する調達・生産計画の立案がより難し くなり、輸送途上在庫や関税などのキャッシュ・フロー負担 も増加します。このようにサプライチェーンの最適化が企業 の競争力を左右する経営の重要課題として認識されるよう になりました。 つまり、物流事業者にはこれまでのような「部分最適」の 物流サービスに加え、在庫管理も含めた部材・部品生産か ら、消費者への配送までを総合的に管理し、 「全体最適」を 構築できる能力が求められるようになっているのです。 14 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 部品メーカー グロー バル生産部品調達 製品保管、配送、設置 販売倉庫 倉庫 セットメーカー 小売店 需要の流れ 部材・部品生産 VMI 製品組立・生産 流通販売 消費者 倉庫 在庫管理 サービスパーツ 保管・配送 倉庫 倉庫 小売店 サプライチェーン全体でのコントロール (全体最適) 世界レベルの ロジスティクス・ インテグレーター へ 総合物流事業の方向性 当社グループでは、中長期的な総合物流事業強化の軸と して 、 「サービスメニュー の一層の充実」 「成長経済への地 産業別ソリューション能力 広い 理的カバレージ拡大」 「産業別ソリューション能力の強化」 を設定し、常に「お客さまの直面する課題を解決できる」世 界レベルのロジスティクス・インテグレーターとなることを目 サービスメニュー 指しています。 多数 単一 特定 ローカル NYK グループ(現在) グローバル 地理的カバレージ NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 15 顧客ニーズに対応する 営業力 当社グループは、 「お客さまの直面する課題を解決する」 また 、総合物流事業には複数の部門が係わるため 、統制 ため、 「海」 ・ 「陸」 ・ 「空」にまたがる「モノ運び」のノウハウ のとれた部門横断的な営業管理が非常に重要です。そのた を有機的に組合わせたサービスを提供し、継続的に現場に め当社グループでは 、各部門の縦割りの事業運営の壁を越 根ざした改善を続けていくことで、 「お客さまから選ばれる えて情報を共有し、複数部門・地域にまたがる案件に対し総 総合物流企業グループ」となることを目指しています。 合的な提案をする「総合物流本部」を設置しています。 クロスドック 総合物流の概要 現コンテナの中に混載された複数 の製品を揚地の倉庫で開梱し、お客 内陸輸送 航空輸送 世界36カ国で332カ所の物流セン 少量貨物、高価な貨物および緊 ターを運営。在庫管理の適正化やト 急輸送ニーズに対する高速輸送手 ラック輸送の最適化を提案するなど、 段としての役割を果たします 。 複雑化する物流ニーズに対応してさ さまの各種オーダー に基づき、仕分 け・配送を行います 。輸送効率向上と 同時に、より販売マーケットに近い時 点・地点で配送先を決められることか ら、市場動向に柔軟に対応しながら、 発注から納品までの時間を短縮する ことができます 。 まざまなサービスメニューを提供して います。 海上輸送 コンテナ船部門 全 世 界をカバ ー する航 路ネット ワークにより、総 合 物 流 のバック ミルクラン 現地調達など一定の地域内で部品 調達をする場合 、各仕入先から別々 に完成車工場に輸送するのではなく、 複数の部品工場を巡回し 、一度に部 ボーンの役割を果たします 。 同時に 、利用運送によるサービ ス提供も強化し、より広範にお客さ 品を集め 、完成工場に輸送すること まのニーズにお応えしています 。 で 、輸送効率の向上と輸送頻度の最 自動車船部門 適化を可能にします 。 消費者 完成車を安全かつ精度の高いスケ ジュールで輸送するのはもちろんの こと、物流部門と連携して内陸輸送 も手がけています。 PDI( 納品前点検) ターミナルにおける完成車の納品 前 点 検・補 修・部 品 補 給などの付 加 価値サービスです 。 お客さまの競争力を 高めるサービス PDIの実施により、自動車メーカーの 厳しい品質管理への要求に対応して います。 16 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 お客さまの満足を高める 現場力 総合物流サービスにおいてお客さまの満足を得るために は 、提案力もさることながら、提案をオペレーションに落と 顧客のニー ズ (物流事業者の選定規準) し込み 、それを日々改善していく現場での地道な活動もま 要因 TOP3 た、極めて重要な要素です。 1 価格 改善活動のコンセプト • 付加価値サービスの提供 • 先進的な情報システム • 顧客サイドの改善効果見込み • 新しい技術・サービスの提供 • 全世界対応できる能力 • サプライチェーンについての 2 オペレーションの品質 お客さまが物流事業者を選定する際に重視する基準とし て、 「価格」、 「オペレーションの品質」、 「継続的な改善能 力」が常に上位にランキングされます。これらの要請に応え コンサルティング能力 るためには、 「作業の安全」を基盤として、 「保管・輸送の品 収益 3 継続的な改善能力 効率 日々の改善活動により各 要素の強化を図り、収益 増加へとつなげます 。 品質 質」を向上させ、さらに「業務を効率化」していく必要があり ます。当社グループでは 、日々 の改善活動を通じて各要素 の強化を図っています。 安全 改善活動 改善活動の浸透 SOP( Standard Operation Procedure )の作成 それぞれの現場で 、作業工程と作業のポイントを写真を用いて示した「 SOP 」 を作成しています。 「 SOP 」は現場に係わるすべての当事者の認識共有化を可能 にします。また、より迅速かつ確実な作業を行うべく「 SOP 」を継続的に見直して いくことで、さらなる高品質と高効率を実現しています。 標準 KPI の採用 各現場の実績、スタッフの目標達成度を評価するために、作業を数値化した 「 KPI 」 ( Key Performance Indicator ) を導入し、改善意識の高揚を図っていま す。こうした「 KPI 」の採用は作業の定量比較が可能となり、異常の早期発見にも つながります。さらに、本社にある品質管理チームでは、世界各地から集まって くる「 KPI 」を細かく分析し、最も効率的なモデルを導き出した「優良モデル」をグ ループ内で標準化することで、全体の効率性の向上を図っています。 改善シートの作成 日々の業務の中で、各現場の作業スタッフは、安全性や効率性の向上に向けた 改善シートを作成します。このシート1 枚の中には、改善前の状況( Before ) と改 善後の状況( After )が記載されています。各現場で作成された改善シートを本社 で 集 約 し、これらの 情 報 を 世 界 中 に 発 信 し、共 有 する 取 組 みを「横 展 ( YOKOTEN )」と呼んで積極的に運用し、グループ全体のサービスレベルの底上 げにつなげています。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 17 強い信頼関係を構築する 提案力 多くの企業は、新たなビジネス展開の局面ごとに、物流に 業を越えて展開・運用することで、当社グループのさらなる 関するさまざまな課題に直面します。こうした事業機会をい 成長の糧となります。 ち早く察知し、グループの総合力を結集して解決策を提案し また、お客さまとの信頼関係構築は、ビジネスの継続性に 続けることが、お客さまに信頼をいただく出発点となります。 もつながるため 、市況に影響されにくい利益の確保、すな これらお客さまとの新たなビジネスの展開によって蓄積さ わち当社グループの長期的収益ポートフォリオに安定をもた れた物流のノウハウは、そのエッセンスを見極めて地域・産 らします。 タイでの事例 お客さまの成長過程における物流の課題 解決策を提案 機資材輸送ニー ズが発生 CKD の輸出に向けて 内陸輸送の問題を解決 1990 年 代、国 内 の 自 動 車 タイにおける自動車の生産体 次いで完成車の内陸輸送が新 メーカーが海外に生産拠点を求 制 が 確 立 されるにつれ 、CKD たな課題として浮かび上がって めタイに進出を決定しました。ま ( Complete Knock Down ) と呼 きました。ボトルネックは工場か ず、現地に工場を建設するため機 ばれる組立用自動車部品のタイか らディーラーに完成車を輸送す 資材の輸送ニーズが発生しまし らの輸出が増大しました。CKDを るキャリアカーが不足していたこ た。このようなプロジェクト貨物の 効率的にコンテナに積込むために とでした。 そこで 当 社 は NYK タイからの完成車輸出の 50% のシェアを獲得 さらに、完成車を積出すため、 ROROターミナルが必要となりま した。 当 時 タ イ には 満 足 な ROROターミナルが存在しなかっ 輸送には、重量物輸送・建設計画 は 、高度な梱包のノウハウが必 Auto Carrier Thailand 社(キャ たため、自社での整備に踏み切 にあわせたスケジュール管理など 要となります。1997 年、当社グ リアカー運行会社) を立上げ、工 のノウハウが重要となります。当 ループ で は CKDを 梱 包 す る 場からカーディーラーまでの全 りました。1998 年 のタ イ から 社グループはこのニーズに応え、 Logistics Alliance Thailand 社 国配送を引き受けました。また、 現場にスキルを持った要員を配置 を合弁で立上げました。現在、年 近年ではタイからの完成車輸出 オーストラリア向けの初輸出は わずか 300 台足らずでしたが、 お客さま重視の姿勢を貫き通し、 して、重量貨物船とRORO 船を手 間約45,000 台のCKDを取扱って 拡大に伴い 、工場から港までの 配。同時にオープントップやフラッ います。 内陸輸送も取扱うようになりま 運航を続けたことでお客さまか トラックコンテナを使用した金型 また、物流会社 NYK した 。 輸送も引受けました。 Thailand 社では、CKD 梱包に前 ら強い信頼をいただき、結果的 Logistics には多くの自動車メーカーから 後する、部品メーカーからのミル 完成車輸送を引受けることにな クランによるトラック集荷、コンテ りました。現在ではタイからの完 ナ詰め後の輸出通関、港までのト レーラー 輸 送を 行っており、グ 成車輸出の50%にあたる台数の ループで一貫した物流サービスを 輸送を手がけています。 手がけています。 当社グループの成長とノウハウの蓄積 重量物輸送の ノウハウ 18 CKD 輸送の ノウハウ NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 完成車内陸輸送の ノウハウ シェア 50%を獲得 写真:首都バンコク さらなる競争力強化に向けて 人の力が総合物流戦略の鍵 当社グループはこれまで 、世界をリードする「海」 ・ 「陸」 ・ 「空」の総合物流企業グループとなるべく、 サービスを拡充してきました。 これまでの数年間で、船・倉庫・トラック・航空機などのハードウェアの基盤整備はある程度進めることが できました。しかし、総合物流戦略の成功の鍵は、ソフトウェア面、特に「海」 ・ 「陸」 ・ 「空」のサービスすべ てに精通し、お客さまのニーズを引き出し、対応できる人材であり、その育成については特に力を入れてい きたいと考えています。 まずはグループ内の人事交流を活発化させることでそれぞれの事業の現場経験を積ませ 、幅広くかつ深 い総合的な物流知識を植えつけていくことを計画しています。加えて 、社員教育システムを質・量ともに充 実させ、従業員が積極的に学びたいという気持ちを奮起させる環境整備も行い、人材の質をさらに高めてい きます。 人材の成長なくして、総合物流事業の成長はありません。ソフトウェア=人の力を充実させ、営業力を徹底 的に強化してこそ、当社グループの戦略が実を結ぶものと確信しています。 工藤 泰三 代表取締役社長・社長経営委員 総合物流本部長 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 19 デッキ上に 328 枚 の太陽光パネルを 設置 CO 2 削減に向け て 太陽光活用エネルギー船が出帆 2008 年 12 月、新日本石油(株)との共同プロジェクトとして総発電量 40 キロワット、328 枚の太陽光パネル を備えた自動車運搬船「アウリガ・リーダー 」が就航しました。 本船にて、今後、約2 年間、塩害・風圧・振動下での耐久性と、太陽光発電と船舶電力系統との連系を検証し、 省エネルギー船の実用化を目指します。 AURIGA LEADER 環境特命プロジェクト∼ NYK Cool Earth Project ∼ 認識し、明確な目標を定めた、社長直轄の環境特命プロジェ 2007 年の国際海運からのCO2 排出量は約8.5 億トン、世界 クト 「 NYK Cool Earth Project 」を立上げました。当プロ 全体の約 2.7%と試算されています。将来においても、途上 ジェクトでは、CO2 排出量削減に向けた技術革新と、国際的 国の経済発展による国際物流の増加に伴って世界の船腹量 な環境規制にも対応可能なビジネスモデルへの変革に取組 も増加するとともに、CO2 増加が懸念されています。 んでいます。 このような状況の中、当社グループは果たすべき役割を 環境特命プロジェクト ー NYK Cool Earth Project(2008 年 4 月スタート) 当社グループ CO ₂ 削減目標 当社グループの取組み 長期ビジョン • 革新的環境技術開発などに 700 億円投資( 6 年間) 2050 年までの世界の温室効果ガス排出半減に貢献 削減目標 2013 年までに 2006 年度比原単位で最低 10% 削減 20 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 • 海運に対する国際的環境政策討議をリード • ビジネスモデル変革へ の挑戦 環境保全と成長を両立させる技術革新・ ビジネスモデルの変革へのチャレンジ 環境特命プロジェクトでは、2050 年までの世界温室効果 海上荷動き量が年率 3% 増加すると、40 年後の荷動き量は3.3 倍 350 かし、今後、仮に海上荷動き量が年率 3% ずつ伸び続けると 200 2050 年、船腹量が 3 倍を超えながらCO2 排出量を総量で 150 半分にするためには 、原単位( 1トンの貨物を1 マイル輸送 するために排出するCO2 の量)当たりでは約 85% の削減が 100 必要となります。 50 トンマイル当たりの CO 2 排出量を 85% 削減する必要あり。 CO2 総排出量 100 50 トンマイル当たりCO2 排出量 15 当社グループはこれを達成不可能と諦めることなく、さらな 0 る技術革新・ビジネスモデルの変革へチャレンジしています。 1 荷動き量 250 すると、それに必要な船腹量は 40 年間で 3 倍を超えます。 CO 2 総排出量を 2050 年に半減する ためには 300 ガス排出量半減に貢献する長期ビジョンを掲げています。し Challenge 330 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050(年) 2050 2010 さらなる 技術革新へ チャレンジ 燃料費節減をはじめとする運航面のベストプラクティスの実施 船舶の技術面での対策に加え、運航の工夫による取組み 2008 年度は「 Save Bunker Innovation 」キャンペーン もCO2 削減のためには大事な活動です。 活動を通じて目標を大きく上回る実績を達成することができ 当社では 2008 年度「 NYK Cool Earth Project 」で掲げ ました。また、当社グループの運航船全船を対象とした「燃 た CO2 削減目標の実現のために、従来より実施してきた燃 節改善コンペ」を実施し、さらなる燃料費削減活動の浸透を 料節減活動を継続して行っています。 図っています。 Challenge 2 2010 年度、50% 省エネ自動車運搬船の開発 当社では、2010 年度を目指して50% 省エネ自動車運搬船 の開発に取組んでいます。 具体的な省エネ部分は、太陽光発電だけでなく、船型開発 そ の他 太陽光発電 運航 省エネ 省エネ 省エネ 2% (大型化、スリム化風圧、波浪抵抗削減)で 27% 、機関で 16% 、荷役効率向上で8% 、モニタリングやウェザールーティ ングなどの運航面で5%などの省エネ効果を見込んでいます。 また、同じ2010 年度を目指して、30% 省エネコンテナ船の開 1% 5% 荷役促進 機関 船型 省エネ 省エネ 省エネ 16 % 8% 27 % 発も行っています。 Challenge 3 未来船「 NYKスーパーエコシップ2030」を考案 海上輸送におけるCO2 排出削減を目指し、未来のコンセプト 当 社は「 NYK スーパーエコシップ 2030」を通じて 、今 シップ「 NYK スーパーエコシップ 2030」 を考案しました。 後、継続的に取組むべき技術開発のロードマップを明確にし 同船は①船体重量の軽量化や摩擦抵抗の削減により必要 ていきます。そしてさらなる環境技術 とされる推進力を低減② LNGをエネルギー源とする燃料電 の開発、向上に取組んでいきます。 ※ 池や太陽光発電、風力から推進力を獲得することにより、1 コンテナ当たりのCO2 排出量を現在と比較して69% 削減する NYKスーパーエコシップ 2030 ことが可能です。 ※ 本プロジェクトは当社の技術開発会社(株)MTI 、イタリアのデザイン会社 Garroni Progetti S.r.l.(ガローニ)ならびにフィンランドの船舶技術コンサルタント会社の Elomatic (エロマティック)と共同で行われました 。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 21 マー ケットデー タ 当社グループは世界市場での輸送ニーズに対応するべく、多様な船隊ポートフォリオ を構築しており、それぞれの船隊規模において世界最大級を誇っています。 NYKグループの運航船舶(各年 3 月期末) 2008 所有(含共有) 船種 隻数 傭船等 Kt( DWT ) 隻数 運航船舶合計 Kt( DWT ) 隻数 2009 所有(含共有) Kt( DWT ) 隻数 傭船等 Kt( DWT ) 隻数 運航船舶合計 Kt( DWT ) 隻数 Kt( DWT ) コンテナ船 (セミコンテナ船を含む) 33 1,143,308 122 4,642,472 155 5,785,780 31 1,083,978 123 4,864,187 154 5,948,165 撤積船(ケープサイズ)*1 32 5,265,122 43 7,943,768 75 13,208,890 32 5,281,964 49 9,242,122 81 14,524,086 撤積船(パナマックス)*2 31 2,463,975 46 3,762,347 77 6,226,322 32 2,543,975 42 3,476,982 74 6,020,957 撤積船 (ハンディサイズ)*3 40 1,565,774 94 3,943,415 134 5,509,189 46 1,832,189 88 3,743,199 134 5,575,388 チップ船 14 612,116 41 2,021,661 55 2,633,777 13 574,285 44 2,212,393 57 2,786,678 自動車船 45 677,600 68 1,085,234 113 1,762,834 35 554,852 77 1,306,735 112 1,861,587 タンカー(油槽船) 42 5,939,495 36 6,383,948 78 12,323,443 45 6,856,270 35 5,645,788 80 12,502,058 LNG 船 29 1,088,438 1 1,094,939 30 2,183,377 30 1,132,913 3 1,279,394 33 2,412,307 2 13,417 1 8,160 3 21,577 2 13,417 1 8,160 3 21,577 20 252,190 17 226,263 37 478,453 27 353,589 24 233,301 51 586,890 客船 その他 合計 288 19,021,435 469 31,112,207 757 50,133,642 293 20,227,432 486 32,012,261 779 52,239,693 備考:1. 日本郵船非連結子会社の所有船舶、傭船は除いてあります。 2. 3. 4. 5. 6. 共有船の重量トンは日本郵船および日本郵船連結子会社が当該船舶に有する自社持分になります。 運航船舶合計 には共有船持分に限らない運航船舶重量トンがすべて含まれているため、 傭船等 には一部共有船の持分以外の重量トンが含まれています。 2009 年 3 月期より対象船舶を外航船舶に限定し、2008 年の数値をこれに基づき見直しております。 2009 年 3 月期より従来「冷凍船」として独立して区分表示していた冷凍船を「その他」に含めることとなりました。2008 年の数値をこれに基づき見直しています。 2009 年 3 月期よりバルカーの分類基準を以下のように見直しました。2008 年の数値をこれに基づき見直しています。 *1 ケープサイズ:Over 120,000 DWT *2 パナマックス:60,000–111,999 DWT *3 ハンディサイズ:Under 60,000 DWT フルコンテナ船オペレーター別運航船腹量ランキング(2009 年1 月現在) 川崎汽船 Wallenius Wilhelmsen Line HOEGH CCCS GRIMALDI(NAPLES) N.M.C.C. Evergreen(台湾) Hapag-Lloyd(ドイツ) COSCO(中国) APL(シンガポール) トヨフジ海運 China Shipping Container Lines (CSCL) (中国) その他 CSAV 114 423 日本郵船 商船三井 シェア Orient Overseas Container Line (OOCL) (香港) 日本郵船 Hanjin Shipping(韓国) 17.5% 川崎汽船 Yang Ming(台湾) Hamburg-Sud(ドイツ) 22 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 2,000 TEU 出典:MDS2009 年 1 月版をベースに日本郵船調査グループにて集計 1,600 1,200 800 400 0 (千 TEU) 隻数 出典:Hesnes Shipping As The Car Carrier Market 2008 備考:キャパシティ2,000 台以上の自動車船のみを対象としております。 150 商船三井 110 EUKOR CMA-CGM(フランス) 120 MSC(スイス) 90 日本郵船 60 Maersk Line(デンマーク) 30 0 (隻数) 500 400 300 200 100 0 (隻数) 世界の主要船社 自動車専用船隊ランキング(2009 年 1 月 1 日現在) ドライバルカー船隊ランキング(2009 年 1 月 1 日現在) 20,000 16,000 12,000 日本郵船 14,722 173 商船三井 商船三井 日本郵船 川崎汽船 56 10,937 Teekay Shipping Zodiac Maritime Agency NIOC Cardiff Marine Inc. Sovcomflot Group 正栄汽船 Overseas Shipholding China Shipping MISC Euronav(UK) K.G.Jebsen General Ore Corp. Zodiac Maritime Agency Enterprises Shipping Angelicoussis Group Excel Maritime Carr. Vela International Hanjin Shipping Bergesen Worldwide HOSCO A.P. Moller Bergesen Worldwide Tsakos Group 150 120 90 60 30 0 (隻数) 500 400 300 200 100 0 重量トン 隻数 出典:Clarkson 8,000 Fredriksen Group COSCO (隻数) 4,000 0 (千 DWT) 20,000 16,000 12,000 8,000 4,000 0 (千 DWT) タンカー船隊ランキング(2009 年 1 月 1 日現在) 重量トン 隻数 出典:Clarkson s Bulkcarrier Register 2009 s Tanker Register 2009 LNG 船保有隻数比較(2008 年 12 月期中完工分まで) 150 120 90 60 日本郵船 商船三井 30 0 (隻数) 57 川崎汽船 その他日本船主 韓国 Project / メジャー MISC Bergesen Worldwide Exmar Teekay Shipping Golar その他 キャパシティシェア 日本郵船 8.7% 備考:LNG 船は、複数の会社によって共有されるケースが多くあります。隻数について は、共有持分の割合にかかわらず、1 隻として数えています。積載能力について は、1 隻に対する共有持分の割合に応じて、按分計算しています。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 23 事業別営業概況 定期船事業 売上高構成比 売上高推移 営業利益(損失)推移 (億円) (億円) 8,000 6,000 23% 6,665 5,740 200 5,954 0 4,000 –100 2,000 l自動車船部門 lドライバルカー部門 0 売上高構成比 l石油、石油製品・LPG 船部門 07 08 09 売上高推移 42% P.28 08 09 7,833 1,785 1,728 2,000 1,500 1,046 6,000 1,000 3,000 500 0 売上高構成比 07 (億円) 10,391 10,871 12,000 9,000 –300 営業利益推移 (億円) lLNG 船部門 物流事業 –99 –200 –243 P.26 不定期専用船事業 116 100 07 08 09 売上高推移 07 08 09 営業利益推移 (億円) 6,000 0 (億円) 4,827 5,269 200 4,481 161 160 150 17% 4,000 100 49 2,000 50 P.36 ターミナル関連事業 0 売上高構成比 07 08 09 売上高推移 ※ ※ 09 111 120 1,514 P.38 08 (億円) 2,000 5% 07 営業利益推移 (億円) 1,500 0 1,269 1,320 90 79 61 1,000 60 500 30 0 07 08 09 0 07 08 09 「航空運送事業」として独立して区分表示することといたしました。 2007 年 6 月期より従来「その他の事業」に含めて表示しておりました航空運送業を、 2007 年 9 月期よりセグメントの名称を「その他海運事業」から「不定期専用船事業」に変更しております。当該変更は名称変更のみであり、事業区分の方法に変更はありません。 24 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 客船事業 売上高構成比 売上高推移 営業利益推移 (億円) (億円) 467 441 500 442 60 51 53 400 2% 40 300 200 13 20 100 P.40 航空運送事業 0 売上高構成比 07 08 09 売上高推移 970 不動産業 794 –100 –150 –200 07 08 09 売上高推移 115 117 36 08 09 20 60 10 07 08 09 売上高推移 07 (億円) 2,500 2,000 0 営業損失推移 (億円) 2,051 2,079 1,781 0 –5 1,500 –10 –9 1,000 –15 500 P.42 35 30 30 0 8% 09 90 30 売上高構成比 08 40 116 120 その他の事業 –220 07 (億円) 150 P.42 –250 –179 –216 営業利益推移 (億円) 0% –50 600 0 売上高構成比 09 0 1,026 300 P.42 08 (億円) 900 3% 07 営業損失推移 (億円) 1,200 0 0 07 08 09 –20 –15 –18 07 08 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 09 25 定期船事業 定期船事業 売上高推移 定期船事業はコンテナ船部門と在来貨物輸送部門からなり、日本郵船およびその連結 対象子会社である東京船舶(株)と日之出郵船(株)を中心に事業を展開しています 。 (億円) コンテナ船部門は、日本郵船が 、欧州 、北米、大西洋 、豪州、中南米・アフリカ航路 8,000 を運営し て い ま す 。東京船舶( 株 )は 、アジア域内航路を中心に運営し て おり 、日 6,000 本 – タイ間 、日本 – インドネシア間におい て高いマー ケットシェアを占め ています 。 5,954 4,000 在来船貨物輸送部門は 、日之出郵船(株)が在来定期船航路(東南アジア・インド・ 中東・欧州・地中海・東アフリカ・豪州・南太平洋)で 、重量物と鋼材輸送を中心に事 2,000 業を展開して おり、この分野で は、世界最大級の規模を誇ります 。 部門の特徴 6,665 5,740 0 07 08 09 市場環境と業績概要 日本郵船、Hapag-Lloyd(ドイツ)、MISC(マレーシア)、 2009 年 3 月期の荷動きは、上期は前期並であったのに対 して、下期は2008 年 9 月のリーマンショックを契機とする世 OOCL(香港)の 4 社が結成する定期コンテナ船共同運航組 織「グランドアライアンス」では、142 隻( 2009 年 3 月現在) 界的な景気後退の影響を受け、大幅に悪化しました。特に、 のコンテナ船の共 同 運 航を実 施しています。また 、 「ザ・ 北米、欧州、アジアでは 、自動車関連貨物などの減少が顕 ニューワールドアライアンス」などとの業務提携をとおし、ア 著に見られました。 ジアと北欧州・地中海を結ぶ航路、アジアと北米東岸を結ぶ 業績面においては、夏場にかけての原油価格の高騰によ 航路において共同運航を行っています。これら業務提携に り燃料費の著しい増加を招いたことや、荷動きの低迷による よって得られるスケールメリットは 、あらゆるニーズに対応 賃収減少により、前期比で大幅な減収減益となりました。 以上の結果、2009 年3 月期の定期船事業の売上高は5,954 できる航路ネットワークの実現を意味し、当社グループの競 争力を支えています。 億円(前期比 10.7% 減)、営業損失は 243 億円となりました。 コンテナ荷動き量 TEU 当たり運賃推移 アジア – 米国航路 (千 TEU ) アジア – 欧州航路 (千 TEU ) 15,000 15,000 10,000 10,000 5,000 0 5,000 07 08 09(予想) アジア 米国 米国 アジア 出典:Trade 26 HORIZONS Winter 2009 0 アジア – 米国航路 アジア – 欧州航路 (米ドル) 07 08 09(予想) アジア 欧州 欧州 アジア 出典:Drewry Shipping Consultants Ltd 2009/1Q NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 (米ドル) 2,500 2,500 2,000 2,000 1,500 1,500 1,000 1,000 500 500 0 05 06 07 08 アジア 米国 米国 アジア 出典:Containerization 0 05 06 アジア 欧州 欧州 アジア International 07 08 今後の取組み コスト競争力を高めて収益確保を図るとともに 、総合物 流戦略の展開による多様なサービスの提供により、他社 との差別化を図って い きます 。 水島 健二 取締役・常務経営委員 事業体質の変革 料と燃料費のバランスを勘案し、コストが削減できると判断 2009 年 3 月期は 、世界同時不況の影響による荷物のボ したからです。またこの航路変更は 、海賊被害が多発する リューム減少と運賃の下落により、非常に厳しい結果となり ソマリア沖を回避できるため、安全運航面でも効果を発揮し ました。2010 年 3 月期も引続き厳しい状況が続くと見込まれ ました。 ますが 、このような時こそ事業体質の問題点を徹底的に洗 このように、コストに対する意識は非常に高まっており、 い出し、オペレーションの効率化およびコスト競争力の向上 一部ではこれらの取組みの効果も現れ始めています。今後 を図るなど 、市況回復時に力強く前進するための変革を進 もさらなるコスト競争力の強化を図るべく、これらの取組み めていきたいと考えています。 を継続していきます。 コスト競争力の強化 中長期的な戦略 価格競争が熾烈なコンテナ船事業において 、持続的なコ 基幹航路であるアジア – 米国航路およびアジア – 欧州航 スト削減への取組みは至上命題です。当部門では、2008 年 路の需要回復には時間がかかると見ています。そのため当 前半の燃料油の急激な値上がりの対応として 、荷役の積下 面は 、中国政府の大規模な景気刺激策などにより、先に荷 ろし工程を詳細に見直し、ムダを省き、オペレーションを効 動きが回復すると見込まれるアジア域内で収益を確保でき 率化させる取組みに注力しました。また、荷動きが鈍化して る事業戦略を推進します。また、今後成長が見込まれる南北 いる航路では、あえて投入隻数を増加させて、減速航海す 航路にも注力していきます。 ることで燃料コストを削減させるなど、従来とは逆の考え方 長期にわたって多種多様なお客さまとの信頼関係を構築 をした柔軟な配船戦略も実施しました。航路についても見 してきた当部門は、当社の進める総合物流戦略においてお 直しを進め、コスト削減を図っています。例えば、2009 年 2 客さまとの窓口の役割を果たしています。今まで築いてき 月にはアジア欧州航路の一部を、アフリカ喜望峰沖を経由 た世界中のネットワークを有効活用し、当社グループの収益 する航路に変更しました。スエズ運河を通過せずに迂回す および成長に貢献していきます。 るため、運航距離は伸びますが、高額なスエズ運河の通行 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 27 不定期専用船事業 自動車船部門 不定期専用船事業 売上高推移 自動車船部門で は 、従来は日本から海外へ の完成車輸出を中心に事業を展開してき (億円) ました が 、近年は自動車メー カー の現地生産化に伴い 、三国間輸送へ の対応を進め 12,000 ています 。また 、中国、東南アジア、欧州地域の沿岸輸送網の構築、各地で の完成車 9,000 専用ター ミナルの建設・運営、内陸輸送網の構築など、他社に先駆けたインフラ整備 に取組んでいます 。さらに、海外から日本への輸送や中古車輸送の拡大を図るととも に、ター ミナルにおけ る完成車の PDI( 納品前点検)を提供して います 。 7,833 6,000 3,000 0 部門の特徴 10,391 10,871 07 08 09 数は 、2007 年には 614 万台、2008 年には 627 万台と2 年 当部門では 、世界最大規模となる112 隻( 2009 年 3 月現 連続で過去最高記録を更新しましたが 、2009 年は初頭か 在)の自動車専用船隊を運航しています。また、総合物流の ら荷動きがより一層落ち込んでおり、2009 年の同台数は 一環として 、陸上の生産部品調達(ジャストインタイム)、 前年比を大きく割り込む見込みです 。 一 方、当 社の船 腹 供 給 状 況は 、2004 年 以 降 新 造 船が ディーラー店舗までの補給部品配送、コンテナ輸送によるグ ローバル部品調達などにも対応が可能となっています。こ 続々と竣工しましたが 、輸出の伸びに供給が追いつかない のような完成車輸送の実績と付加価値サービスの提供によ 状況が続き、2009 年 3 月期に竣工した新造船 17 隻を投入す り、日系自動車メーカーをはじめとするお客さまとの長期安 ることで安定輸送の維持に努めてきました。しかしながら、 定的な信頼関係を築いています。お客さまとのこうした信 2008 年秋頃を境に船腹需給バランスの潮目が変わり、2009 頼関係が、運賃変動などといった市況の変動に比較的影響 年の年明けは一転して大幅な船腹余剰が生じる状況となり を受けにくい収益構造につながっています。 ました 。 このような急激かつ短期間の経済状況の悪化に対応する 市場環境と業績概要 べく、2008 年 12 月から2009 年 3 月において 、自動車専用 船隊の船齢 25 歳以上の老齢船を対象に 14 隻を処分するな 2008 年は 、秋の金融危機に端を発した世界的な経済危 ど、船腹需要バランスの調整に努めています。 機の影響が後半に響き、世界新車販売台数が前年比微減 の約 6,800 万台割れとなりました 。日本からの新車輸出台 日本の自動車輸出推移(仕向地別) (千台) 世界自動車荷動き台数(地域間荷動き) (各年 12 月期) 2,500 (万台) 1,500 2,000 1,200 1,500 900 1,000 600 500 300 0 01 アジア 中米 02 03 04 05 06 07 08 中近東 ヨーロッパ 北米 南米 アフリカ 大洋州 その他 0 01 02 967 03 1,086 04 出典:日本郵船調査グループ 出典:日本自動車工業会 28 845 884 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 1,178 05 1,316 06 1,446 1,441 07 08 今後の取組み 自動車船タ ー ミナルの整備や PDI( 納品前点検 )、内陸 輸送など、付加価値サービスを兼ね備えた総合物流体制 を整え、お客さまのニーズに応える世界一の完成車キャリ アを目指します 。 加藤 正博 代表取締役・専務経営委員 2010 年 3 月期の見通し 米国市場における2009 年の新車販売台数は 、経済危機 の影響により、前年比約300 ∼400 万台減の1 千万台割れま 中長期的な戦略 があげられます。サービスの多 様 化については 、良質な で落ち込むという厳しい需要予測があります。米国向け荷 サービスを維持し、さらに高めるための船隊整備が重要とな 況は 、急激に伸びた 2005 ∼2007 年とは一転し、日本から ります。高品質なサービスとお客さまの要請にお応えできる の輸出は大幅に減少する見込みです。2008 年夏場まで急 船隊を提供するとともに、配船効率の向上に努めていきま 激に伸びた欧州向けや中東ロシアなど新興国方面への輸出 す。具体的には、完成車の海上輸送の主要港(ハブ港) を拠 も目下大幅に減少しており、2009 年の国内生産台数も大幅 点に最終仕向港まで輸送する(ハブ & スポーク)サービス網 な削減が避けられない状況です。このように 2010 年 3 月期 の拡充を追求していきます。さらに、自動車船ターミナルの は、過去に例を見ない、非常に厳しい状況にあると認識して 整備や PDI( 納品前点検)、内陸輸送など 、付加価値サービ います。 スを兼ね備えた総合物流体制を整えていきます。自動車船 今後の注力分野としては 、サービスの多様化と環境対策 船隊整備については、中長期的な需給動向と見込みを総 部門では、トータルな完成車輸送を支えるインフラを構築す 合的に判断していくこととなります。当部門では 、2010 年 ることで 、お客さまのニーズに応えられる世界一の完成車 3 月期に 6,500 台積みを中心に 11 隻の自動車船の新造船を 投入する予定で 、2012 年 3 月期までの船隊整備について は、新造船発注残(含む傭船)が約 27 隻となっています。少 なくとも2010 年 3 月期中は荷況低迷が続くと見込まれるこ とから、その対策として全船減速航海や実施済みの4 隻に加 え、さらに約 10 隻程度の係船(長期間、船を一カ所に停泊さ キャリアを目指していきます。 環境対策については、船舶の省エネ化に引続き取組んで いきます。2008 年 12 月には 、国際輸送 CO2 削減の一環と して 、世界初の太陽光パネル設置の 6,200 台積自動車専用 船「アウリガ・リーダー」が竣工し運航を始めました。さらに、 せること) を実施することで、実質稼動船腹量を一時的に絞 当 社 グ ループ の(株)MTI( Monohakobi Technology Institute )と協働で 、新しい船型の開発や燃料節減のため 込む予定です。 の対策に取組んでいます。 以上により、ターミナル、内陸輸送、PDI などの差別化要 因を磨くとともに、顧客ニーズを汲んだ提案を積極的に行う ことで、安定した収益確保を目指します。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 29 不定期専用船事業 ドライバルカー部門 不定期専用船事業 売上高推移 ドライバルカー部門では 、鉄鉱石、石炭、穀物、鋼材、木材、セメント、チップなどの (億円) 貨物を輸送しています 。船種として は 、ケ ープサイズバルカー、パナマックスバル 12,000 カー、ハンディマックスバルカー、ハンディバルカー、鉱石専用船、チップ専用船、 9,000 オープンハッチ・バルカー、冷凍船を運航しています 。世界有数の船隊規模を有し、世 10,391 10,871 7,833 6,000 界のグロー バル企業をお客さまとして輸送サービスを提供しています 。 3,000 0 07 08 09 市場環境と業績概要 部門の特徴 ドライバルカー部門の製鉄原料、燃料炭、製紙原料各グ ループの主要なお客さまは 、日本をはじめ中国、インド、欧 州、南北米の製鉄会社、製紙会社、電力会社、資源会社、 商社に広がっています。これらのお客さまとは、不安定な市 況変動を避けるため長期輸送契約を締結し安全・安定輸送 に努めており、きめ細かな情報提供と輸送技術は高い評価 を得ています。また 、市況性の高いハンディマックスバル カー、ハン ディバ ル カー のビジ ネスにお いても、NYKグ ローバルバルク (株)は 、長期 COA(数量輸送契約)や専航 船契約の締結に努め、安定的な経営を目指しています。 ドライバルクの需要は、2003 年夏以降、中国やインドを中 心とする新興国の高度経済成長による資源・エネルギー需 要に支えられ、高い水準で推移してきました。しかし、2008 年 5 月に最高値を更新して以降、調整局面に入りました。さ らに同年 9 月のリーマンショック以降は、先進国の景気後退 および金融市場の混乱が顕在化し、中国をはじめ世界の製 鉄、製紙、資源メーカーが減産体制に入りました。こうした 影響を受けて海上荷動きが大幅に減少し、ドライバルク市況 は急落しました。2009 年に入り、中国向けの鉄鉱石や穀物 の荷動きが戻り、市況は底値を脱しましたが、米国をはじめ とする世界経済および金融市場の先行きが不透明なことか ら、市況の低迷が続きました。 このような状況の中、第 3 四半期以降、部門の業績は低迷 しましたが 、それまでが好業績であったため 、2009 年 3 月 期収益への影響は概ね軽微なものにとどまりました。 ドライバルク運賃指標 ドライバルク海上荷動き量と見通し ( BDI ) (百万トン) 1,200 12,000 10,000 800 8,000 6,000 400 4,000 2,000 0 01 02 03 04 05 06 07 08 09 0 98 03 08 09 10 11 一般炭 285 鉄鉱石 426 原料炭 穀物 448 593 602 619 638 517 869 878 922 969 169 178 222 215 221 229 239 251 226 264 314 369 370 380 392 402 出典:日本郵船調査グループ 30 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 12 13 667 738 (予想)(予想)(予想)(予想)(予想)(予想) 1,012 1,057 今後の取組み 全船隊の平均コストを下げてコスト競争力を高めること、 そして長期契約と中短期契約のバランスを勘案した、市況 変動に強いポートフォリオの形成を目指します 。 寶納 英紀 代表取締役・専務経営委員 市場環境の認識 重要課題であることを改めて認識しています。まずコスト削 世界経済の減速を受けた2008 年後半のドライバルク市況 減策として早急に着手すべきこととして 、好況時の高額な 急落の衝撃は 、予想をはるかに超えるものでした。特に中 傭船契約の見直しがあげられます。運航による収益と傭船 国向けの鉄鉱石輸送激減の影響を強く受けたケープサイズ 価格との間に逆ザヤが生じる場合は 、契約の打切りや傭船 バルカー市場においては 、各船種の中で最も高いはずの 期間延長による料金の引下げなどの対応を図っています。 ケープサイズバルカー の平均運賃が 、パナマックスバル そのほか 、2010 年以降に竣工が予定されている高額な新 カーの平均運賃よりも安くなるという異常事態も発生しまし 造船については、価格の見直しも検討しています。 た。ドライバルク市況が本格的に回復する時期は、世界景気 が回復すると見込まれる2010 年以降と予想されるのに加 え、大量の新造船竣工が予定されているため 、時間を要す 中長期的な戦略 中長期的には、ドライバルクの海上荷動き量は増加すると ると考えられます。一方で中国、インドなど新興国の潜在成 予測されています。そのため、市況回復時には優位性を発 長率は高く、資源・エネルギー需要も大きいため、調整期間 揮できるよう、引続き全船隊の平均コストを下げてコスト競 が過ぎれば、市況が上向くことも期待できます。 争力を高めるとともに 、長期契約と中短期契約のバランス を勘案した、市況変動に強いポートフォリオを形成していき 取組むべき課題 ます。 私たちが取組むべき最も重要な課題は 、全船隊の平均コ また、国内のお客さまとの関係を強化して収益基盤を確保 ストを下げて 、いかにコスト競争力を高めていくかというこ しつつ、中国やインドなど高い成長が見込まれる地域のお客 とです。2008 年前半までの好況時には、収入の伸びがコス さまとの取引をさらに拡大し、製鉄原料輸送、燃料炭輸送、 トの増加を大きく上回り、コスト面への対応意識をやや欠い 製紙原料輸送のいずれにおいても高いシェアを獲得できる ていた部分がありました。しかし、市況の変動率が激しく先 よう、営業を展開していきます。 行きが不透明な状況を受け、コスト競争力の強化が当部門の NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 31 不定期専用船事業 石油、石油製品・LPG 船部門 不定期専用船事業 売上高推移 石 油 、石 油 製 品・LPG 船 部 門 で は 、原 油 を 輸 送 す る VLCC 、ア フラ マックス タン (億円) カー、石油製品を輸送するプロダクトタンカー、石化製品、無機化学品、動植物油 、メ 12,000 タノ ー ル を 輸 送 す る ケ ミカ ル タ ン カー、LPG 、ア ン モ ニ ア を 輸 送 す る LPG タ ン 9,000 カー を運航しています 。2009 年 3 月現在 81 隻のタンカー を運航しており、世界の 10,391 10,871 7,833 6,000 大手石油 、石油化学 、エネルギ ー会社との長・短期輸送契約により、輸送サ ービスを 3,000 提供して います 。 0 部門の特徴 07 08 09 同様に、長期契約により収益は安定しています。プロダクト VLCC 市況(中東/日本)は、中国やインドの堅調な輸入需要 と顧客のシングルハル傭船回避、減速航海、VLCCによる原 油貯蔵などの船腹供給抑制により上昇し、2008 年 7 月上旬 には WS ※ 1 240 台に達しました。その後、乱高下しながらも 10 月までは WS 100 台を超える高水準を維持していました タンカーやアフラマックスタンカーは市況変動の影響を受け が 、石油需要の減少、石油・石油化学業界の減産、原油在 ますが 、将来の需要を見込み船隊整備を図っています。な 庫の増加により市況は軟化し、2009 年 3 月には WS 30 台ま お 、1997 年東京湾での VLCC 座礁事故を教訓に、ダブルハ で下落しました。 VLCC は 、船隊の約 9 割を日本、中国、韓国、米国の大手 石油会社と長期輸送契約を締結しており、安定性の高い収 益構造となっています。ケミカルタンカー、LPGタンカーも 石油製品タンカー市況も、アジア各国のナフサ、中国のガ ル(二重船殻)化や船員教育訓練の徹底、船陸間コミュニ ケーションの改善に積極的に取組んでおり、こうした環境と スオイル、欧州のディーゼル油の堅調な需要に支えられ 、 安全を重視した運航はお客さまから高く評価されています。 2008 年10 月にはLR2 ※2 WS 350 台、MR ※3 WS 340 台の高 値を記録しましたが 、大量の新造船竣工、石油需要の減少 市場環境と業績概要 により下落に転じ、2009 年 3 月にはLR2 WS 50 台、MR WS 2009 年 3 月期の原油タンカー市況は、先進国の景気後退 の直接的な影響を受けることも少なく、2008 年 10 月までは 70 台の水準に落ち込みました。 高水準を維持しました。その後、世界的な石油需要の減少 LPG 船部門の2009 年3 月期の経常収支は、前期比増益を達 の影響を受け、2009 年 1 月以降は大幅な下落となりました。 成しました。 市況は下期に調整局面を迎えましたが、石油、石油製品・ ※1 Worldwide Tanker Nominal Freight Scale の略。国際的なタンカー運賃指標 Large Range 2 の略。プロダクトタンカーのうち、105,000 重量トンクラスの船型 ※ 3 Medium Range の略。プロダクトタンカーのうち、45,000 重量トンクラスの船型 ※2 原油タンカー市況(中東→日本) 原油海上荷動き量と見通し ( WS ) (百万トン) 400 2,500 300 2,000 200 1,500 100 0 01 02 03 04 05 06 07 08 09 0 98 03 1,585 1,770 出典:日本郵船調査グループ 32 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 08 09 10 11 12 13 (予想)(予想)(予想)(予想)(予想)(予想) 2,037 1,990 2,031 2,052 2,105 2,157 今後の取組み 船隊規模の拡大を図りつつ事故を起こさない安全・効率運 航の徹底に努め、お客さまとの強い信頼関係を構築します。 三木 賢一 経営委員 適切なポートフォリオの形成 もう一つの柱と考えているのは、提案・情報力です。長期 原油タンカー部門では、船隊の大半が中・長期契約となっ 契約が中心のビジネスをしていると、どうしても世界の動向 ていますが、一定の収入レベルを確保する中・長期契約は、 に鈍感になります。したがって 、フリー船によるスポット契 インフレ時のコスト増をカバーしにくい一面もあります。そ 約で世界中のさまざまなトレードへの配船を色々なチャンネ のため、長期契約を基本としつつ、中短期契約のメリットも ルを活用して行うことで、リアルタイムでの現場の情報を適 考えたポートフォリオの形成を図り、安定収益の確保を目指 確に入手し、お客さまへの提案力や営業力の強化につなげ しています。 ていきたいと考えています。情報力は競争力の重要な柱と とらえ、今後も強化を図っていきます。 競争力を高める 2 つの柱 競争力を高めていく上で最も重要な柱は 、安全運航の徹 底であり、事故を起こさないことがお客さまからの信頼を獲 中長期的な戦略 中長期的には、新興国の経済発展に伴い、石油の需要は 得するための絶対条件と考えています。この考えに基づき、 これからも着実に伸びると見込まれています。今後は、日本 NAV9000という安全運航に対する独自の基準を設け、その や中国・韓国のお客さまに加え、オイルメジャー や中東、ブ 実施状況について定期的に監査を行い 、必要な改善を行っ ラジル、インドなどの産油国のお客さまとの関係を強化し、 ていますが 、これに 加 えてオ イル メジャーによるTMSA 国際マーケットでの存在感を高めていきたいと考えていま ( Tanker Management Self Assessment )に基づく、監 す。また、船隊整備は着実に進めており、主力であるVLCC 査・検船でも高い評価を得られるよう力を注いでいます。 については、現在の 34 隻から今後 2 ∼3 年間で 40 隻に増加 また、以前から目標として進めていた VLCC 全船のダブル ハル化を、2009 年 2 月に予定どおり終えました。誰からも信 頼される、世界トップクラスの船舶管理、安全運航体制の構 築へ向け、努力を積み重ねていきます。 させる計画であり、さらには近い将来には 50 隻規模の船隊 にしたいと考えています。 安全かつ効率的な運航体制の整備を徹底し、 「モノ運び、ア ブラ運び」を通じて社会の信頼を得、そのニーズにしっかりと応 えていきます。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 33 不定期専用船事業 LNG 船部門 不定期専用船事業 売上高推移 LNG 船部門は、1983 年に日本で初めて LNG 船を就航させて以来 、日本の電力・ガ (億円) ス会社とともに発展してきました 。そ の た め 、当社グル ー プ運航シェアに占め る日 12,000 本のお客さま向けの比率は、非常に高くなっています 。世界でさらなる LNG 需要の 9,000 高まりが予想される中 、運航隻数を着実に伸ばすとともに世界一の LNG キャリアを 6,000 目指し、海外展開も着実に進め て います 。 10,391 10,871 7,833 3,000 0 部門の特徴 07 08 09 現在、環境問題の高まりを背景に、二酸化炭素の排出量 が少ないクリーンエネルギーとして 、LNG の需要は世界中 LNG 輸送におけるビジネスモデルは長期契約が前提であ り、20 ∼25 年の契約が主流です。LNG 船部門においても 多くの運航船が20 ∼25 年の長期貸船契約を締結しているた ジェクトを活発化させ、中東やインドネシア、豪州に加えナイ め 、市況に影響されにくい安定した収益基盤を有していま ジェリア、サハリンなどのプロジェクトが動き出しています。 で高まっています。需要の高まりは世界各地での LNGプロ す。市況の変動が業績を大きく左右してきた海運業にあっ 当社グループはこうした新規プロジェクトに積極的に参画し て 、特に安定的な収益源として位置づけられています。今 てビジネスを拡大しており、2010 年 3 月期中には、当社グ 後も長期契約に基づく安定稼動により、一定の収益確保を ループの関与隻数は65 隻(うち管理隻数35 隻) にまで拡大す 見込んでいます。 る予定です。その他、豪州・インドネシア・ロシアをはじめ各 国で検討されている新規プロジェクトは、開始時期の遅れこ 市場環境と業績概要 そ考えられますが、実現する可能性が高いと考えています。 2009 年3 月期は、大阪ガス・RasGas・サハリンなどの各プ ロジェクトに投入する新造船が加わり、当社グループ運航の LNG 船の現在関与隻数(他社との共有船含む)は 59 隻に増 加し、船員の手配・運航などを行う管理船も30 隻にまで達し ました。金融危機による世界的なLNG 需要の減退がありま したが、既存契約の船が概ね順調に稼動したことから、業績 は増収となりました。 LNG 需要予測(高需要ケース) (百万トン) 3 大市場における LNG 取引量 (百万トン) 500 200 400 160 300 120 200 80 100 40 0 2006 2010 2020 2030 0 98 99 00 n 北米 n アジア・オセアニア n 欧州 n 北米 n アジア・太平洋 n 欧州 出典:日本エネルギー経済研究所 出典:BP 34 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 01 02 Statistical Review of World Energy 2008 03 04 05 06 07 今後の取組み 船舶管理の質の向上に徹底して取組み 、競争力の強化を 図ります 。同時に、船隊整備も進め 、世界最大級の LNG 船運航会社を目指します 。 長澤 仁志 常務経営委員 質の高い船舶管理体制の構築を図る LNG 輸送の最優先事項は、安全運航を遂行するための船 中長期的な戦略 LNGの需要は、家庭用が3 割程度で、残りは工業・商業用 舶管理です。当社グループでは質の高い船舶管理体制を構 のため 、世界景気の回復が重要になります。現段階では 、 築するため、船舶管理を第三者に委託せずに、NYK LNGシッ ( Tanker Management Self Assessment )基準が一定のレ 2011 年 3 月期までは需要回復が難しいと見ており、収益面 においてもやや厳しい状況が続くと想定していますが、2013 年 3 月期以降からは従来の収益水準に戻ると見ています。 船隊整備については、2012 年3 月期までには関与隻数72 隻(うち管理隻数 40 隻)に拡大する予定です。これによって 世界の LNG 船の約 2 割の船に関与することになります。も ベルに満たない会社は、新プロジェクトへの参加権利を得るこ ちろん「規模」だけではなく、 「品質」 「収益」も同時に追求 とができません。さらに、LNG 船やタンカーなど危険物を運 し、目標である「世界最大級の LNG 船運航会社」となること ぶ船は、万一大きな災害事故を起こすと、それが原因で市場 を目指します。 プマネージメント (株) (日本)、NYK LNG Shipmanagement ( UK ) といったグループ企業による管理体制を敷いて、質の 向上を図っています。 船舶管理の質において、オイルメジャーが規定するTMSA から撤退しなければならなくなる危険性もあるため、何よりも またロシアやナイジェリアなど、大規模なLNG 開発が見込 安全運航が重要になります。今後も船舶管理体制の質に磨き まれる地域の海運会社とのパートナーシップを強化していき をかけ、お客さまから高い信頼を獲得することで、国際競争 ます。ロシアにおいては、すでにソブコムフロット (ロシア国 力の強化を図っていきます。 営船社) とパートナーシップを構築し、強い信頼関係のもと プロジェクトを進めています。こうした実績の積重ねが、ロ シアでの今後の営業展開に大きく寄与していくものと確信し ています。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 35 物流事業 物流事業 売上高推移 物流事業では、陸上輸送・倉庫・配送や海上フォワー ディング業を中心とした「 NYK ロジスティックス」※ 、航空フォワ ー ディング業を中心とした郵船航空サ ービス(株) が 、物流事業を展開して います 。 (億円) 6,000 ※ 同ブランド名で世界各地に展開する陸上物流事業を中心とした連結対象子会社群 4,827 5,269 4,481 4,000 2,000 0 部門の特徴 07 08 09 市場環境と業績概要 当部門は当社グループの非海運業事業の中核であり、 NYKグループのお客さまに対して、海上輸送にとどまらない 2009 年 3 月期は、世界的な景気後退の影響を受け、大幅 に取扱量が減少し、業績は低迷しました。NYKロジスティッ 総合物流サービスを提供しています。具体的には、中国、ア クスでは、主要顧客である自動車・電機などの製造業や流通 ジア、欧州、北米各地で、お客さまの商品や貨物の収集、倉 業のお客さまの荷動きが下期から大幅に減少しました。特に 庫での保管、検品、仕分け、ラベリングや再包装などの物流 米国・欧州・日本では 、落ち込みが大きく、取扱いが減少し 加工、指定先への配送、IT による情報管理などのサプライ ましたが 、急激な需要の縮小に対応すべく、あらゆるコスト チェーン・マネジメントサービスを提供するほか、トラックや の削減やオペレーションのさらなる効率化に努めています。 鉄道による陸上輸送、通関、フォワーディング、海運・空運 アジア・中国でも、年末以降、製造業のお客さまの減産や、 において他社スペースも活用した利用運送、輸入者の代行 輸出先となる先進国での消費低迷の影響を受け 、輸出入関 として輸出地で出荷・船積みの手配・管理を行うサービスな 連の荷動きは低迷していますが、国内物流は比較的安定的 ど、さまざまな物流サービスを提供しています。このように、 に推移しており、商機をとらえ営業拡大に努めています。 海・陸・空にまたがる多様な輸送・物流サービス網を有する 郵船航空サービス (株)では、営業強化に努めてまいりま ことで 、個々 のお客さまのニーズに沿った物流サービスの したが、世界的な航空貨物輸送需要の大幅な減少に直面し、 提供が可能となっています。 減益となりました。特に日本の輸出航空貨物量が大幅に落 ち込みました。 以上の結果、2009 年 3 月期の物流事業の売上高は 4,481 億円(前期比15.0% 減)、営業利益は49 億円(前期比69.6% 減) となりました。 物流拠点推移 NYK ロジスティックス (カ所) 郵船航空サービス (カ所) 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 日本 14 14 20 20 21 21 22 アジア・中国 31 30 44 52 63 66 70 9 11 12 13 13 11 9 16 16 22 24 24 25 32 米州 欧州 20 21 21 22 22 21 21 世界合計 67 92 92 98 105 114 113 オセアニア 米州 欧州 世界合計 37 60 56 67 69 67 68 107 131 154 176 190 190 201 2002 2003 2004 2005 2006 2007 日本 ̶ 20 19 19 19 22 20 アジア・中国 19 23 25 30 37 43 44 オセアニア 備考:1. 日本国内の拠点に関しては、一部「倉庫兼事務所」も含んでいます。 2. 2002 年度に関しては、国内拠点の集計を行っていなかったため、総計は日本以外の拠点の集計となります。 3. 集計は各年 9 月時点での数字となります。 36 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 2008 2 2 2 2 2 3 3 26 26 25 25 25 25 25 今後の取組み ネットワ ー クビジネスの 拡 大と合 理 化による筋 肉 質 な 事 業 体 の 構 築を図りま す 。 服部 浩 取締役・常務経営委員 筋肉質な組織体制の構築 物流事業では、今後の物流量の回復時に競争優位性を発 NVOCCには最適物流を提案できるというほかに、「面展 開による取扱量の拡大」と「物流量の波動性への対応」とい 揮すべく、筋肉質な組織体制の構築に取組んでいきます。 う2 つの利点があります。これまではアメリカはアメリカの 具体的には、稼動率の低い倉庫スペースの絞込みやそれに み 、ドイツはドイツのみといった地域内での展開、もしくは 伴う人員削減を実施していきます。もちろん、規模を縮小す 点と点を線で結んだだけの、いわば「単一の物流」が中心で るだけではなく、中長期的には荷動きが成長すると見込ま した。NVOCC 機能を強化することにより「面としての物流 れるBRICs 地域などにおいては 、市場の動向と案件内容を 展開」が可能になり、お客さまとの接点を増加させ、取扱量 精査した上で、積極的な投資も行っていきます。 を拡大させることができると期待しています。また、ネット また、お客さまのニーズを的確にとらえ、迅速な経営判断 ワークビジネスを推進することにより、資産が肥大化しがち を可能する現場に密着した運営体制を構築すべく地域本社 な事業体質をライトアセット型に変えていくことになり、経 機能を強化してきましたが、今後はこの取組みをさらに強化 済環境の変化により柔軟に対応することができる体制が可 していきます。 能となります。 ネットワークビジネスの拡大 「営業力」 ・ 「提案力」 ・ 「現場力」の強化 これまでは地域内で顧客に密着したコントラクトロジスティ お客さまとの強い信頼関係を構築するには 、お客さまの クスに重点をおいて取組んできましたが 、グローバル化す 直面するニーズや潜在的ニーズを引出すための踏み込んだ るお客さまのサプライチェーン運営に関するニーズに、より 「営業力」、そのニーズにお応えするためのソリューション 柔軟かつ機敏にお応えするため、ネットワークビジネスを強 を設計し提案する「提案力」、そして提案したソリューション 化していきます。ネットワークビジネスのコアになるのが を実行し、実現するための「現場力」を高めることが総合物 NVOCC( Non-Vessel Operating Common Carrier )と OCM( Origin Cargo Management )で 、これらの機能を 流業者として必要と考えています。これら3 つの「力」を向 上するために、あらゆる施策を講じていきます。 お客さまのニーズにあわせて有機的に組合せたソリューショ ンを提供できるようにします。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 37 ターミナル関連事業 タ ー ミナル関連事業で は 、日本 、アジア 、北米、欧州 、豪州の主要港に幅広く拠点を 展開してコンテナ船 、自動車専用船 、客船などのターミナルサービス事業を運営して います 。特にコンテナタ ー ミナルにお いて は 、高品質の サ ービスを安定的に提供す ることによって 、当社グルー プのコンテナ定期船運航をサポートするとともに、今後 の成長が期待できるインド・ベトナム地域での新規事業参画をとおして、業容の拡大 を図って います 。 ターミナル関連事業 売上高推移 (億円) 2,000 1,514 1,500 1,269 1,320 1,000 500 0 部門の特徴 07 08 09 市場環境と業績概要 主力であるコンテナターミナル事業に関しては、現在国内 国内ターミナルでは2008 年 10 月以降、特に輸出コンテナ 外に 14 拠点を有しています。中でも国内ターミナルは最も の取扱いが急減し、荷動きは低迷しています。環境面では、 長い運営経験があり、そこで培われた効率性や正確性、安 応えられるようサービスレベルの底上げと均一化を図ってい 2008 年11 月に東京(大井)のコンテナターミナルに、ハイブ リッド式トランスファークレーンを新たに 2 基配備するなど、 省エネ・CO2 削減の対応を進めています。 国内曳船事業は、2009 年 3 月期の第 1 四半期は燃料油価 ます。また、荷役機器においては、CO2 や NOx 削減効果の 格の急騰により収益が悪化しましたが、作業料金の改定によ 高い先進環境技術を積極的に導入しています。 り同第 2・第 3 四半期は収益が好転しました。しかし、第 4 四 全性などに関するノウハウを国外ターミナルにも応用するこ とで、全世界のターミナルにおいてユーザーの高い要望に 半期は作業機会の急減により再び収益が悪化しました。 北米ロサンゼルスの Yusen Terminals Inc.( YTI )では取 扱い契約の更新がありましたが 、大幅な荷動き減少で他 ターミナルとの競争が激化し、コスト上昇分を十分反映でき ませんでした。 日本郵船のコンテナターミナル取扱量および拠点数 ターミナル事業 欧州アムステルダムのCeres Container Terminals Europe (各年 12 月期) B.V.( CTE )においては、2008 年 5 月にグランド・アライアンス の欧州航路の新サービスが寄港開始したものの、荷動き減少 2003 2004 2005 2006 2007 2008 取扱量(百万 TEU ) 5.4 5.6 5.5 5.7 6.2 6.4 拠点数(ターミナル) 13 13 14 13 13 14 2003 2004 2005 2006 2007 2008 取扱量(百万 TEU ) 2.5 2.6 2.9 2.6 2.6 2.7 拠点数(ターミナル) 18 19 20 21 19 20 2003 2004 2005 2006 2007 2008 取扱量(百万 TEU ) 7.9 8.3 8.4 8.3 8.8 9.1 取扱量が前期を下回り、売上高は1,320 億円(前期比 12.8% 拠点数(ターミナル) 31 32 34 34 32 34 減)、営業利益は 61 億円(前期比 45.4% 減) となりました。 ステベドアリング事業 台湾、高雄港のNYK Terminals( Taiwan )Inc.( NTTI )で は、2008 年 11 月より北米航路貨を中心に荷動きが減少しま 合計 38 の影響で同年 12 月に同サービスは休止となりました。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 した。それに伴う航路合理化により当ターミナルへの寄航が 一時中止となったことで、取扱量は前期比で約 7% の減少と なりました。 以上の結果、2009 年 3 月期はコンテナターミナル全体の 今後の取組み 国内ター ミナルの高いオペレー ションノウハウを海外の ターミナルにも浸透させ 、グロー バルに顧客の高い要望 に応えられるサービス体制の構築を目指します 。 赤木 聰之 経営委員 高度なオペレーション 大幅に簡略化できる画期的なものです。また、当格納庫はシ 港湾事業の最大の役割は、お客さまのニーズに合わせて ステム面のみならず、環境面でも優れています。リーファー・ 柔軟なサービスができる体制を構築し、維持していくことと コンテナは低温度を維持するため電力を大量に消費しますが、 考えています。そのため、当社グループでは、国内ターミナ 格 納 庫 の 庇 部 分 に 搭 載 したソーラーパ ネ ル により、 ルでの作業会社を当社グループの関係会社のみで組織して リーファー・コンテナに必要な電力の一部を太陽光エネル おり、グループ間のコミュニケーションを増やして結束力を ギーでまかなうことができます。さらには直射日光を受けな 高め、グループ一体となった組織運営を行っています。この いため 、より少ない電力で低温度を保つことができます。 組織体制の構築には 、長い年月と大変な労力を注ぎ込んで 当社グループでは、この画期的な格納庫に関する特許を出願 います。こうした取組みがしっかりと結実し、グループが一 し、今後は海外への展開も視野に入れています。 体となって運営するターミナルは、確かな連携で統一された 指揮命令系統による精度の高い荷役作業はもちろんのこと、 中長期的な戦略 お客さまの難しい要求にも柔軟に対応できる、極めて品質 中期的に展開地域を広げていくにあたっては 、日系企業 の高いサービスを提供しています。また、海外のターミナル の倉庫や工場のある地域が、基本になります。現在は、急速 においても、この一体運営の考え方や国内で培った精度の な経済成長により物流量が拡大し、潜在的にも需要の高い 高いオペレーションなどの運営ノウハウを浸透させていくこ インドおよびベトナムを注力地域として考えています。実際 とに取組んでいます。 に現地に足を運び、その国の持つ歴史的背景や特有の文化 までしっかりと見極め 、経済環境も勘案した上で 、2012 年 立体格納庫の建設 2011 年 3 月に、大井コンテナ・ターミナルに世界初の蚕棚 方式の立体格納庫の完成を予定しています。蚕棚方式の採 頃までにはターミナルを建設したいと考えています。一方 で 、需要が減少している地域については撤退も検討してお り、選択と集中を進めることで収益性の向上を図ります。 用は、長年の課題であった段積されたコンテナの荷役作業を NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 39 客船事業 客船事業で は 、主に日本の お客さま向け の「 飛鳥Ⅱ」、米国を中心としたインタ ー ナ ショナルなお客さま向けの「 Crystal Symphony 」と「 Crystal Serenity 」の 3 隻 の客船を投入して 、日米そ れぞ れに設置した事業子会社を通じてクル ー ズ事業を展 客船事業 売上高推移 (億円) 500 開して います 。世界に数あ るクル ー ズ客船の中でも 、最上級の「 LUXURY 」クラス 400 の ハ ードウェアを擁し 、心のこもっ た お も て なしで世界中の お客さまから高い評価 300 をい ただ い ています 。 200 441 467 442 100 0 部門の特徴 07 08 09 増進の要素(スパなどの設備の充実)などをバランス良く取 客船事業はB to Cビジネスのため、お客さま一人ひとりか ら厳しい評価の目を向けられることになる一方、ご満足をい 込んだ質の高い商品として、米国・欧州を中心に好評を博し ています。 ただくことで継続的な利用につながるケースも少なくありま しかしながら、2008 年 9 月のリーマンショック以後、世界 せん。海運会社としての当社グループの総合力の上に、誠 的な景気減速の波が急激に押し寄せる中で 、好調であった 意・創意・熱意を発揮して、他の追随を許さない類稀な高品 クルーズの販売状況も北米市場を中心に調整局面を迎えて 質のクルーズを創り出していくこと、そしてお客さまに船旅 います。北米では高額商品全般に買い控え現象が顕著となっ を通じて人生の幸福を感じていただけるようにすることが、 ており、クルーズ商品においても同様の理由から販売が鈍 当部門の大きな使命です。 化しました。一方で 、日本市場は北米市場に比べれば景気 減速の影響は小さいと言えますが 、それでも一部長期ク 市場環境と業績概要 ルーズでは販売目標を下回ることとなりました。 クルーズは 、優れた旅行商品として世界の市場で認知さ さらにコスト面でも、燃料費の高騰や保険費用の増加と れはじめています。具体的には、観光の要素(世界のさまざ いったコスト増が当期の利益を圧迫する要因となりました。 まな港や街、美しい自然や世界遺産を堪能できること)、エ 以上の結果、2009 年 3 月期の売上高は 442 億円(前期比 ンターテインメントの要素(船内で豊かな時を過ごすための 5.4% 減)、営業利益は 13 億円(前期比 75.1% 減)と、減収 多彩な演出)、食の要素(数ある選択肢の中から洗練された 減益となりました。 世界の料理や飲み物を楽しめること)、さらに近年では健康 世界のクルー ズ人口 格付け:Berlitz Complete Guide to Cruising & Cruise Ships 2009 (万人) 2,000 1,500 1,607 1,610 1,666 1,220 1,257 1,364 1,000 500 0 02 n 日本 n 北米 n その他の欧州 03 04 n イギリス n その他 05 06 07 n アジア (日本を除く) nドイツ 出典:北米 CLIA 日本 国土交通省海事局外航課作成統計資料、Berlitz Complete Guide to Cruising & Cruise Ships 2009 世界 Berlitz Complete Guide to Cruising & Cruise Ships 2009 40 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 Crystal Symphony Crystal Serenity ★★★★★ ★★★★★ (Five-Stars) (Five-Stars) Asuka II ★ ★ ★ ★+ 今後の取組み 「 質 の 高 い サ ー ビス」 「 魅 力 あ る客 船 」 「 高い安全運航 品質」といった総合力を磨き、ラグジュアリークルー ズオ ペレー ターとして のさらなる質の向上を図ります 。 葛谷 信美 客船事業グループ グループ長 市場の成長性 や経験・知識が異なる多様な人材が、互いに価値観を共有し 2008 年 9 月以降、北米市場を中心として販売面での調整 一体感を持って業務に取組めるように、理念や哲学といった 局面に入り、足元は厳しい状況にありますが、北米クルーズ 根本的な部分を重視したカリュキュラムを組んでいます。ま 人口は今日に至るまで 、20 年以上にわたって右肩上がりの た、海陸の基幹コンピューターシステムを先進的で汎用性の 増加が続いています。さらに旅行商品全体の中で見た場合 高いものに変更し、事務効率化に取組んでいます。この基 には、クルーズ商品が占める割合はまだまだ小さく、拡大余 幹システムの変更により、顧客管理や船員の就労管理など 地は大きいと見られています。加えて 、イギリスやドイツを が飛躍的に改善し、全体的な生産性向上につながるととも 中心とした欧州やアジアでもクルーズ人口は増加傾向にあ に、サービス向上にも寄与しています。 り、市場の成長性は十分にあると確信しています。 一方、ハード面においては、本船のコンディションを常に お客さまにご満足いただける状態に維持できるよう、随時必 さらなる質の向上 需要回復時にタイムリーに事業機会をとらえ、さらなる成 要な改装を行っていき、将来の新造船につなげていきます。 私たちは、 「船旅を通じてお客さまに喜んでいただくこと 長 につなげたいと考えています。そのため 、ラグジュア が何よりも大切である」と考え、サービスを行ってきました。 リークルーズオペレーターとしてのさらなる質的向上に向 その成否はお客さまに評価していただくことになります。幸 け 、ソフトとハードの両面から改善を続けることが重要と考 いにも、現在は世界的に高い評価をいただいており、とて えています。 も励まされます。これからも「質の高いサービス」 「魅力あ ソフト面では、まず第一に、事業の基盤となる人材育成に 注力しています。海陸の要員をトレーニングする際には、国 る客船」 「高い安全運航品質」といった力を磨き、さらなるレ ベルアップを図っていきます。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 41 航空運送事業 航空運送事業 売上高推移 航空運送事業は 、当社の連結対象子会社で あ る日本貨物航空(株) ( NCA )にて 、大 型貨物専用機の運航と内外航空会社との提携を通じ、主として日本発着を中心とした (億円) 北米、欧州、アジアとの国際航空貨物運送事業を展開して います 。 1,200 970 1,026 794 900 600 300 0 部門の特徴 07 08 09 荷動きの大幅な収縮と燃料単価の乱高下という前例のな NCAでは、新鋭機材(ボーイング 747-400F )での運航とと い環境のもと、NCA では 、自立した運航・整備体制での安 もに、世 界 に 先 駆 け、次 世 代 貨 物 専 用 機(ボーイング 全運航の堅持と定時性の確保に努め 、きめ細かな営業努力 747-8F )を導入する予定です。これらの新機材は、燃費効率・ とあらゆる費用の見直しによるコスト削減に努めました。 以上の結果、2009 年 3 月期は、期初に旧型機材の退役に 航続距離・積載量などの性能に加え、静粛性、CO2 排出量削 よる運航規模の削減などがあったため 、売上高は 794 億円 減などといった環境性能面で秀でています。NCAでは、最新 鋭の機材での運航と自立化した運航・整備体制で、安全運航 (前期比 22.6% 減)となりましたが 、損益は前期比 41 億円 改善され、営業損失は 179 億円となりました。 を堅持しつつ、コスト・効率・品質・環境面で世界トップクラス の貨物専業航空会社に成長することを目指しています。 市場環境と業績概要 2009 年 3 月期の荷況動向は、米国発の金融危機を発端と 今後の航空貨物の需要見通し (10 億RTKs ) する景気低迷の影響を受け、夏場以降、北米向けの荷動きが 800 低下、さらに秋からは、欧州向け・アジア向けについても、荷 600 動きが急速に低下し、2009 年に入ってからは、前期と比較し た荷動きが50%に達しないという未曾有の事態となりました。 燃料価格については、高騰した2008 年の流れを受け、夏 前まではさらに上昇しましたが、以降は景気低迷を受け、急 予想 実績 400 平均年間成長率 2007‒2027 高 6.7% 基準 5.8% 低 4.8% 年間 4.1% の成長率 200 0 1997 2002 2007 2012 2017 2022 2027 高 基準 低 速な価格下落となりました。 出典:Boeing 社 World 不動産業、その他の事業 どを行っている連 結 対 象 子 会 社の事 業で構 成されます。 Air Cargo Forecast 2008/2009 不動産業は、日本郵船および不動産業を営むグループ会社 2009 年 3 月期は、商事業は船舶用燃料油や船用品の好調な が保有する不動産の運営により行われる事業です。2009 年 販売により、前期を大幅に上回る業績となりました。製造加 3 月期は、市況悪化の中で、丸の内郵船ビルを中心に高い稼 工業は船舶の修繕の受注増加および燃料油の添加剤の好調 動状況を維持しつつ賃料の値上げに努めた結果、前期比で増 な販売により、前期比で増収増益となりました。レストラン 収増益となりました。また、事業効率化のために2009 年 4 月 事業および船舶代理店事業は、コストの削減に努めた結果、 より運営主体を完全子会社である郵船不動産(株)へ集約しま 概ね前期並みの業績となりました。 した。 (億円) 2007 2008 2009 その他の事業は 、石油製品や舶用機器販売を主に取扱う 不動産業 売上高 116 115 117 郵船商事(株)のほか 、船舶代理店業、レストラン観光業な その他の事業 売上高 1,781 2,051 2,079 42 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 今後の取組み 着実に強固な事業基盤の構築が進んでいます 。今後は、 高い成長が見込まれるアジア市場の需要をとらえること が重要と考えて います 。 大鹿 仁史 経営委員 NCA の自立化 2005 年 8 月にNCAを連結子会社化して以降、自立自営の 中長期的な戦略 当部門における競争力の最大の源泉は、高性能な機材に 事業基盤の構築を目指し、自社による機材整備、運航管理、 あると考えています。機材の新旧によって燃費や整備費、お IT 化など、事業運営体制の変革を推進しました。ボーイング 747-400Fの整備業務につきましては、国土交通省航空局よ り航空機整備に係わる事業場認定を取得し、2007 年 7 月に よび騒音などの環境性能が大きく異なるため、これらのコス トを下げて競争力を維持するためには 、最新鋭の機材の導 自立化を達成しました。同社ではすでに、飛行機の格納庫 ロマネージメントにも取組んでいますが、最新鋭の機材を適 や乗組員育成のシミュレーターなども含め、基本的な設備投 時に配備し、シンプルなコスト構造で管理・運営していくこ 資も終えています。 とが最も重要と言えます。当部門は、旅客機を持たずに単一 業績面での厳しさの主な要因は、近年の燃料油高に加え、 入が必要となります。もちろん、日々の運航におけるマイク の機材を揃えているため 、運航および整備体制を他社に比 前述のスタートアップコストであったことを踏まえると、今後 べ簡素にでき、規模のメリットを得ることができます。この はこれまで構築してきた事業基盤を活かし、さらなる成長が シンプルなコスト構造、競争力の高い最新鋭機材が、当部門 果たせるものと考えています。 の強みであると考えています。私たちは 2009 年夏ダイヤよ り太平洋航路や一部アジア航路で(株)日本航空インターナ 航空貨物市場の成長力 当期の航空貨物市場は、世界的な景気後退の影響を最も 強く受けた市場の一つであると言えます。2009 年 3 月期第 4 四半期おいては 、売上高が前年同期比 50 ∼60% 減とい ショナルとのコードシェアサービスを開始したわけですが、 これも、より高いサービスクオリティーを特段の追加コストを かけずに提供する取組みといえます。 今後、1 ∼2 年は厳しい状況が見込まれ、早期の業績回復 う、過去に経験のない状況に直面しました。しばらくは厳し は難しいと思われますが、コスト競争力や高品質のサービス い状況が続くものと見込んでいますが 、中期的に見ればア といった当部門の強みを一層磨き、アジアなどの成長する市 ジアを中心とした貨物需要の拡大傾向に変化はなく、少なく 場をしっかりととらえていきます。そして、国際物流での存 とも年率約 5% の成長が見込まれる成長産業であるとの予測 在感を高め、安定したサービスが提供できるまでに強化して もあります。こうした状況の中で、今後においても成長性の いきたいと考えています。 高いアジア市場での積極的な事業展開が成長への鍵である と考えています。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 43 コーポレート・ガバナンス 当社は、株主の皆さまをはじめ顧客・取引先・地域社会などのステークホルダー の信頼を得 て 、その期待に応えるべく、経営の透明性・効率性を担保し、最適な経営管理体制の維持・構築 に努めて います 。 会社の機関の内容 こうした体制により、業務執行の権限と責任を明確にし、 当社は監査役制度を採用しています。監査役会は、社外 迅速かつ適正な意思決定を図り、経営の透明性や効率性の 監査役 2 名を含む監査役 4 名で構成され、監査役は取締役の 向上に努めています。 職務の執行を監査しています。また 、監査役会は監査役専 従の監査役室を設置しています。 内部統制システム等の整備の状況 当社の取締役会は、社外取締役 2 名を含む取締役 15 名で 当社の内部統制システムについては、以下の施策を実施 構成され( 2009 年 3 月末時点)、法定事項の決議、重要な経 し、監査役が有効な監査を行う体制を整えるとともに、内部 営方針・戦略の策定、業務執行の監督などを行っています。 監査部門である内部監査室がグループ各社も含め事業活動 当社は 、経営委員制度を導入し、取締役(除く社外取締役) の有効性や効率性を点検・評価しています。 を含めた 42 名で構成される経営委員会が、取締役会の決議 と監督のもとに、業務執行を行っています。 また、特に経営戦略上の重要案件については、専務経営 ( 1)法令・定款の遵守 2006 年 5 月施行の会社法への対応および内部統制の強 委員以上で構成される経営戦略会議にて審議し、取締役会 化を図り、2006 年 4 月より社長を委員長とする内部統制委 に方向性を示します。さらに、グループ会社社長会を設置 員会を設置し、また企業倫理担当部門としてコンプライアン し、グループ一体となった経営の強化と透明性の確保に努め ス・リスク管理グループを設置しています。役員・従業員が ています。 遵守すべき憲章・準則として 1997 年に「日本郵船株式会社 当社の経営組織( 2009 年 3 月末時点) 株主総会 選任・解任 選任・解任 監査 取締役会 社内取締役 13 名 + 社外取締役 2 名(経営意思決定・業務執行 監督) 監査役会(社外監査役 2 名 + 社内監査役 2 名) 会計監査人 選任・解任・監督 経営戦略会議 グループ会社社長会 (重要案件の審議) 報告 経営委員会(業務執行) 本社各部門 グループ各社 44 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 内部監査 内部監査室 企業行動憲章」を、1999 年に「行動規準」をそれぞれ制定 当社では取締役社長を委員長とする情報開示委員会を設 し、これら具体的な行動規範に基づいてコンプライアンスの 置し、開示統制の整備・運用状況を検証し、有価証券報告書 徹底を推進しています。社内体制については、2003 年にコ などの適正性を確認するための体制の整備に取組んでい ンプライアンス委員会、チーフ・コンプライアンス・オフィ ます。 サー( CCO ) を設置しました。2007 年 4 月には、2006 年 4 月 に施行された公益通報者保護法に基づいた内部通報規則を ( 4 )金融商品取引法に基づく内部統制体制の構築 制定しました。内部通報窓口を整備し、小さな問題や予兆も 当社では「内部統制プロジェクト室」を推進母体として同 事前に見逃すことなく吸上げる体制を構築しています。法 法に基づく内部統制体制を構築し、制度への対応を進めて 令遵守意識の浸透およびその実践については 、毎年「コン きました。金融庁企業会計審議会の公表した実施基準に示 プライアンス総点検月間」を実施し、当社の役員・従業員に されている内部統制の基本的枠組みに準拠して、財務報告 対する定期的なチェックを行い、その徹底に努めています。 に係わる内部統制を整備および運用を行っています。 (2) リスクマネジメントの状況 役員報酬の内容 当社の業務上リスクについては、それぞれ主管部門が対 当事業年度における取締役および監査役に対する役員報 応し各リスクに応じた社内規定を定めるなど 、そのコント 酬は以下のとおりです。 ロールに努めています。さらに、コンプライアンス・リスク管 なお、取締役の報酬には第 122 期定時株主総会において 理グループにリスク管理チームを設置し、社内全体の内部 付議予定の取締役賞与金 127 百万円を含めており、また 、 統制の体制整備と適切なリスクマネジメントを推進していま 当事業年度に退任した取締役 4 名に対する支給額を含めて す。また 、 「損失の危険の管理」として社内全体のリスクマ います(ただし、百万円未満切捨て)。 ネジメントを実施するため、全社的にリスクを収集統括し、定 期的にリスクの認識、評価、対応策の検討と実施、そのモニ タリングと改善を行っています。 役員報酬 ( 3)財務報告の信頼性確保と開示統制 取締役 監査役 (うち社外取締役)(うち社外監査役) 合 計 611 百万円 90 百万円 ( 28 百万円) ( 24 百万円) 701 百万円 当社の財務報告は 、一般に公正妥当と認められる企業会 当社は 、2005 年 6 月 28 日開催の第 118 期定時株主総会 計の基準に準拠しており、当社はその信頼性の確保に努め において 、役員退職慰労金制度の廃止に伴う打切り支給に ています。また 、会社情報の適時開示の重要性に鑑み 、金 ついてご承認いただきました。この決議に基づき、上記支 融商品取引法、会社法などの法令に準拠した書類などの作 給額のほか 、当事業年度に退任した取締役 2 名に対し退職 成や証券取引所の定める規則に基づく適時適切な情報開示 慰労金 108 百万円を打切り支給しました。 に努めるとともに、IR 活動やウェブサイトなどを通じ、株主・ 投資家をはじめとするステークホルダーに対し積極的に企 業情報の提供に努めています。決算関連の開示情報の収集 体制については 、開示情報の種類ごとに報告部門を定め 、 当該各部門より開示情報が漏れなく収集されるようにチェッ ク体制の整備を行っています。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 45 監査報酬の内容 内部監査および監査役監査組織、会計監査の状況に ①【監査公認会計士等に対する報酬の内容】 ついて 前連結会計年度 当社の内部監査室は 、取締役会で承認された「内部監査 当連結会計年度 監査証明業 非監査業務に 監査証明業 非監査業務に 務に基づく報 基づく報酬 務に基づく報 基づく報酬 酬(百万円) (百万円) 酬(百万円) (百万円) 区分 規則」に基づいて 、当社および国内グループ会社の内部監 査ならびに当社の入出金統制状況の監査を実施しています。 なお、海外グループ会社の内部監査は、内部監査室の方針 提出会社 – – 155 21 連結 子会社 – – 132 17 およびオセアニア)の地域統轄会社に所属する内部監査人 計 – – 287 39 により実施され 、内部監査室および地域統轄会社の長へ報 ②【その他重要な報酬の内容】 財務諸表監査および内部統制監査を受ける主要な海外連 結子会社は、当社の監査公認会計士等と同一のネットワーク ( Deloitte Touche Tohmatsu )に属している会計事務所と 監査契約を締結しています。 ③【監査公認会計士等の提出会社に対する非監査業務の 内容】 当社が監査公認会計士等に対して報酬を支払っている非 監査業務の内容は、内部統制プロジェクト コンサルティング 費用であります。 ④【監査報酬の決定方針】 当社は 、適正かつ効率的な監査を実現するために必要 な監査日数および人員数などにつきまして、監査法人と十 分な協議を重ねた上で、監査報酬を定めるように努めてい ます 。 と指導のもと、海外5 カ所(米州、欧州、東アジア、南アジア 告が行われています。 社外監査役 2 名を含む監査役( 4 名)は 、監査役会が定め た監査計画に従い、取締役会その他重要な会議に出席する ほか 、取締役、内部監査室などからその職務執行などの状 況を聴取し、重要な決裁書類などを閲覧するなど監査業務 を遂行しています。なお 、監査役室(専任者 2 名)が監査役 監査業務の遂行をサポートしています。監査役は会計監査 人の独立性を監視しつつ 、会計監査人と有機的な連携を保 ち、双方向情報交換により相互補完し、各々 の監査の質の 向上と効率化に努めています。また 、監査役は 、毎月監査 役会を開催し、監査結果その他情報の共有を図るほか 、定 期的に内部監査室と打合わせを行うことに加え、会計監査 人を交えた打合わせを実施し、三者の連携強化に努めてい ます。 当社の会計監査業務を執行した公認会計士は永田高士 氏、板垣雄士氏、松浦利治氏、五十嵐徹氏であり、いずれも 監査法人トーマツに所属し、継続監査年数は 7 年以内です。 また、当社の監査業務に係わる補助者の構成については、 公認会計士 15 名、その他 49 名であり、一般に公正妥当と認 められる監査の基準に準拠して監査を行っています。 46 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 当社と当社社外取締役および社外監査役の人的関 株券等の大規模買付等に対する対応策(買収防衛 係、資本関係または取引関係その他の利害関係 策)の導入に関して 2009 年 3 月末時点の社外取締役 2 名および社外監査役 2 当社株券等の大規模な買付行為が行われた際に、該当買 名につきましては 、当社との間に特別の利害関係はありま 付に応じるべきか否か 、あるいは株主の皆さまが判断に必 せん。社外取締役岡本行夫氏、翁百合氏は社外有識者から 要な情報や時間を確保することにより当社グループの企業 構成される当社アドバイザリー・ボードメンバーとして 2006 価値ひいては株主共同の利益の確保・向上につなげるため、 年 7 月より当社から報酬を受けていましたが、2008 年 6 月23 株券等の大規模買付等に対する対応策(買収防衛策) を導入 日をもってアドバイザリー・ボードメンバーを辞任しました。 し、2008 年 6 月24 日開催の株主総会において株主の皆さま のご承認を得て発効しました。 当社のコーポレート・ガバナンス充実に向けた最近 詳細については2008 年 3 月27 日付当社プレスリリースを 1 年間における実施状況 ご覧ください。 当社は2008 年 6 月開催の株主総会で社外取締役 2 名を選 http://www.nyk.com/news/2008/0327_2/index.htm 任しました。社外取締役の招聘により、さらに経営の透明性 を高め、コーポレート・ガバナンスを強化していきます。 責任限定契約の内容の概要 また、当社はグローバルに事業活動を展開しており、国内 当社と各社外取締役および社外監査役は、会社法第 427 外グループ会社のコンプライアンス意識の周知徹底および 条第 1 項の規定により、同法第 423 条第 1 項に定める責任に 実践を重要課題として取組んでいます。2008 年度は 19 回 ついて 、その職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がな にわたって国内グループ会社を対象としたコンプライアンス いときは、20 百万円以上であらかじめ定めた額と法令の定 研修を実施し、コンプライアンスに関する知識の習得および める最低責任限度額とのいずれか高い額を限度とする契約 意識の徹底を強化したほか 、国内外グループ会社 127 社を を締結しています。 対象にコンプライアンス態勢のセルフチェックによって明確 になった問題点の改善に取組みました。 取締役の定員 また、2006 年から導入した e-ラーニングの受講修了者数 当社の取締役は16 名以内とする旨を定款に定めています。 は2009 年 3 月末現在で約 6,000 人であり、2009 年度以降も グループ会社社員のコンプライアンス意識徹底と知識向上 取締役の選任の決議要件 の一環として継続実施していきます。 当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使する また、内部監査活動については、内部監査室および海外 ことができる株主の議決権の 3 分の 1 以上を有する株主が出 各 地 域 統 轄 会 社 の内 部 監 査 人による国 内 および 海 外グ 席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款に定めてい ループ会社に対する内部監査ならびに内部統制の現状に関 ます。 する質問状調査を実施しました。 今後とも、公正かつ透明な経営を実践し、コーポレート・ ガバナンスの充実に努めていきます。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 47 自己の株式の取得 株主総会の特別決議要件 当社は、会社法第165 条第2 項の規定により、取締役会の 当社は 、会社法第 309 条第 2 項に定める株主総会の特別 決議によって市場取引などにより自己の株式を取得すること 決議要件について 、議決権を行使することができる株主の ができる旨を定めています。これは 、事業環境の変化に対 議決権の3 分の 1 以上を有する株主が出席し、その議決権の 応した機動的な資本政策の遂行を可能とすることを目的と 3 分の2 以上をもって行う旨を定款に定めています。これは、 するものです。 株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、 株主総会の円滑な運営を行うことを目的とするものです。 中間配当金 当社は 、取締役会の決議によって 、毎年 9 月 30 日の最終 の株主名簿に記載または記録された株主または登録株式質 権者に対し、会社法第 454 条第 5 項に定める剰余金の配当 (中間配当)をすることができる旨を定款に定めています。 これは 、株主への機動的な利益還元を行うことを可能とす ることを目的とするものです。 48 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 社外取締役からのメッセージ 岡本 行夫 社外取締役 今の世界で企業が求められてい 今のとてつもなく深刻な経済危機は 、100 年に 1 度の ることは 、 「適 法」であることにと 変革期の中で起こっているひとつの事象と考えていま どまらない 、 「適正」を意識した業 す。私は、この危機を決して悲観的にはとらえておらず、 務執行です。 「適法」とはあたりま むしろ荒波に挑戦できるやり甲斐のある時代と受止めて えの法 令 遵 守のことですが 、 「適 います。大切なことは、危機が収束した次の時代を見据 正」はその上位概念です。例えば え、長期的な視点で必要な投資をしていくことです。投 人間性の尊重、公正さ、弱者への 資は設備に対するものばかりではなく、人材に対するも 配慮などです。当社は国際的な事 のもあります。苦しい今の時期こそ、将来を見据えた企 業展開をしており、多種多様な価値観や文化を持つ人々 業戦略や人材育成が必要だと思います。世界全体の構 が働いています。国や地域の制度はそれぞれ異なるた 造を見据え、長期的な視点に立脚した戦略、そしてそれ め、最終的には各国の規則や法令よりも上位の概念で包 を担う人材の価値向上が、そのまま企業価値の向上につ 摂しなければなりません。したがって、全世界のグループ ながると考えています。 社員をまとめる規範は 、必然的に「適正」であること以 今後も、社外取締役という立場にあって国際情勢に関 外にないと思っています。 する提言を続けていきたいと思っています。 当社が2008 年 6 月に社外取締役 昨今の金融危機が引き金となり、世界経済は一変しま 制度を導入し、取締役会に独立性 した。これまではアメリカでの旺盛な消費需要が世界経 の高い社外からの目が加わったこと 済を牽引し、グローバルな資金移動が起きていました は 、コーポレート・ガバナンス機能 が、金融危機によってこうした構図が崩れ、経済環境の のさらなる強化に向けた意義深い 変化がダイナミックに進行しています。今後は、世界の 一歩であったと思っています。また 消費需要の中心がアメリカや欧州だけではなく、中国を 当社がこうした透明性の高い体制 はじめとする新興国にシフトするなど 、新しい動きが出 を整えたことで、株主の皆さまはも てくると思います。こうした状況の中で 、グローバルに ちろんのこと、取引先を含めたステークホルダーの皆さ 物流事業を展開している当社は、世界経済の動向を注視 まに対しても良い影響を与えることができると思います。 し、新たな成長機会を模索するために最大限の努力をす 私は金融分野が専門であり、マクロ視点から世界経済 る必要があります。その努力こそがさらなる成長の源泉 を研究していますので、取締役会議では、特に資金調達 となり、企業価値を高める最大の要素となると考えてい に関する経営判断が必要な場合などに、私の見解を述べ ます。 るように努めています。また審議の場では、私自身が疑 今後も私の経験や知見が 、当社のコーポレート・ガバ 問に思うことや 、その内容が株主の皆さまにわかりにく ナンスの強化、ひいては企業価値の向上に役立つよう、 いと考えられる場合には 、質疑応答を繰り返し、執行部 社外取締役としての役割をしっかりと果たしていきます。 翁 百合 社外取締役 に対して意見を述べることで株主の皆さまに対するアカ ウンタビリティー(説明責任) を果たそうと考えています。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 49 取締役および監査役ならびに経営委員 (2009 年 6 月 23 日現在) 宮原 耕治 山脇 康 工藤 泰三 加藤 正博 寶納 英紀 内藤 忠顕 服部 浩 田澤 直哉 平松 宏 代表取締役会長・会長経営委員 代表取締役・専務経営委員 取締役・常務経営委員 50 代表取締役副会長・副会長経営委員 代表取締役・専務経営委員 取締役・常務経営委員 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 代表取締役社長・社長経営委員 代表取締役・専務経営委員 取締役・常務経営委員 倉本 博光 代表取締役・副社長経営委員 小林 進二 草刈 隆郎 社 外 取締 役( 非常 勤 ) 常務 経営 委員 岡本 行夫 山下 俊憲 翁 百合 野崎 哲一 代表取締役・副社長経営委員 取締役・相談役 坂本 深 長澤 仁志 諸岡 正道 取締役・専務経営委員 水島 健二 経 営 委員 大槻 哲史 赤峯 浩一 左光 真啓 楢岡 孝武 土屋 廣明 力石 晃一 碓井 康之 中井 拓志 三好 邦彦 甲斐 幹 敏 丸山 英聡 磯田 裕治 村上 章二 伊藤 隆夫 楠瀬 俊一 赤木 聰之 阿部 隆 三木 賢一 イアン・ヴィー チ 和崎 揚子 大鹿 仁史 湯川 毅 田中 康夫 小笠原 和夫 高田 泰 大野 直幸 チャック・クォック・ワイ 取締役・常務経営委員 監 査 役( 常勤 ) 監査 役( 非常 勤 、 社外 監査 役 ) 小澤 幸夫 春 英彦 高畑 尚紀 國松 孝次 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 51 ファイナンシャル・セクション 目次 53 54 58 60 62 63 65 66 87 88 52 5 年間財務要約 経営者による財政状態および経営成績の解説と分析 事業等のリスク 連結貸借対照表 連結損益計算書 連結株主資本等変動計算書 連結キャッシュ・フロー計算書 連結財務諸表注記 財務報告に係る内部統制報告書 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 5 年間財務要約 日本郵船株式会社および連結子会社 単位:百万円 2009 2008 2007(2) 2006 2005 ¥2,429,973 ¥2,584,626 ¥2,164,280 ¥1,929,302 ¥1,606,098 3月31日に終了した各連結会計年度 売上高 売上原価 2,054,595 2,128,849 1,840,785 1,594,598 1,283,769 販売費及び一般管理費 230,463 253,698 218,553 194,223 160,954 営業利益 144,915 202,079 104,942 140,481 161,375 税金等調整前当期純利益 77,660 200,491 115,137 145,560 127,213 法人税等 30,997 78,790 44,172 53,839 51,366 (11,969) 3,122 4,430 (3,262) 580 2,480 4,440 1,497 2,924 3,941 56,152 114,139 65,038 92,059 71,326 流動資産合計 ¥ 490,589 ¥ 602,068 ¥ 539,971 ¥ 460,536 ¥ 399,501 流動負債合計 697,050 612,155 477,865 法人税等調整額 少数株主利益 当期純利益 各3月31日現在 574,989 775,067 有形固定資産(償却後簿価)合計 1,167,657 1,131,946 946,328 856,065 701,157 資産合計 2,071,271 2,286,013 2,135,442 1,877,440 1,476,227 長期有利子負債 811,715 699,241 584,566 506,231 464,196 純資産額 581,237 679,037 700,718 575,366 427,771 利益剰余金 426,217 401,045 312,606 266,568 203,774 単位:円 普通株式1株当たり情報 (1) 当期純利益 潜在株式調整後当期純利益 純資産 年間配当金 ¥ 45.73 ¥ 92.93 ¥ 52.99 ¥ 75.04 ¥ 58.12 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 443.16 519.51 534.90 471.05 350.10 15.00 24.00 18.00 18.00 18.00 注:(1) 1 株当たり情報は各連結会計年度における発行済普通株式総数の加重平均株数に基づいて計算しています。 ( 2 ) 2007 年 3 月 31 日に終了した連結会計年度から、 「 貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」 (企業会計基準委員会 平成 17 年 12 月 9 日 企業会計基準 第 5 号)および「 貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準等の適用指針」 (企業会計基準委員会 平成 17 年 12 月 9 日 企業会計基準適用指針第 8 号)を適 用しています 。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 53 経営者による財政状態および経営成績の解説と分析 業績概況 当期の世界経済は、2008 年9 月の米大手金融機関の破綻を契機 た、売上原価は前期比で 743 億円減(3.5% 減) となりましたが、売 に金融危機が深刻化し、これが実体経済にも急速に波及したこと 上高の大幅な減少と燃料油価格の高騰などのコスト増要因により、 から、未曾有の不況に陥りました。2008 年 10 月から12 月の経済 営業利益は前期比 572 億円減(28.3% 減)の 1,449 億円となり、売 成長率は、多くの先進国が年率 6 ∼12% のマイナスになり、中国な 上高営業利益率は前期の 7.8% から6.0% へと、1.8 ポイント低下し ど新興国も大きく下がりました。世界的規模で工業製品や一次産 ました。この結果、経常利益は前期比で 577 億円減(29.1% 減)の 品の需要が後退し、貿易量は急速に落込みました。 1,408 億円となりました。当期純利益は航空運送事業による減損 このような厳しい事業環境のもと、5 月にドライバルク市況が歴 損失、定期船事業ソフトウエア開発費用の損失処理、価格カルテル 史的な最高値を記録し、コンテナ船の運賃修復も北米航路を中心 等による独占禁止法関連引当金繰入額、傭船解約金および投資有 に一定の成果を上げましたが、米国発の金融危機を発端とする世 価証券評価損により、842 億円の特別損失を計上したため、前期 界的な景気後退の影響で状況は一変し、ドライバルク市況の急落、 比 580 億円減(50.8% 減)の 562 億円といずれも大幅な減益となり およびコンテナ荷動きの鈍化と運賃の低下、物流事業・ターミナル ました。 なお、為替レートと燃料油価格の変動が 2009 年 3 月期の経常利 関連事業・航空運送事業における取扱量の減少により、売上高は 前期比 1,547 億円減(6.0% 減)の 2 兆 4,300 億円となりました。ま 2008 年 3 月期 平均為替レート 2009 年 3 月期 115.29 円/ US$ US$402.77 / MT 平均燃料油価格 益に与えた影響は以下の通りです。 差額 100.82 円/ US$ US$503.21 / MT 影響額 14.47 円円高 US$100.44 高 △ 289 億円 △ 301 億円 注:1 為替レート変動が経常利益に与える影響額は US$1 当たり1 円の変動で年間約 20 億円です。 :2 燃料油価格変動が経常利益に与える影響額は US$1 / MT の変動で年間約 3 億円です。 事業の概況 の影響で 、下期は運賃水準・積高ともに急激な下落に転じたため セグメント別事業の業績は次の通りです。 大幅な減収となりました。一方、燃料消費量の節減活動をはじめと するコスト削減やサービスの合理化にも継続的に取り組みました 定期船事業 北米航路や中南米航路など一部の航路において運賃水準が良化 が、上記事情に加え、高水準で推移した燃料油価格と円高による した局面もあり、特に上期は当社全体の積高も前期実績を上回りま 影響も収支を圧迫したため、定期船事業全体としては前期実績を したが、米国で発生した金融危機を発端とする世界的な景気後退 大きく下回りました。 売上高 営業利益/売上高営業利益率 (億円) (億円) 20 2,500 30,000 25,846 25,000 2,021 24,300 1,614 19,293 20,000 16 2,000 21,643 1,500 16,061 1,449 1,405 10.0% 15,000 1,049 1,000 10,000 05 06 07 08 09 0 05 06 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 07 (%) 1,141 1,200 1,000 10 921 800 713 600 4.4% 4.8% 8 6 650 4.4% 562 8 09 売上高営業利益率(右軸) 4 400 4 08 (億円) 12 6.0% 4.8% 500 営業利益(左軸) 54 7.8% 7.3% 5,000 0 当期純利益/売上高当期純利益率 (%) 0 3.0% 2.3% 200 0 05 06 当期純利益(左軸) 07 08 09 2 0 売上高当期純利益率(右軸) 不定期専用船事業 自動車船部門では、上期は新興国向けを中心に輸送台数を伸ば ターミナル関連事業 国内外コンテナターミナルの取扱量は、上期は前期を上回る水準 しましたが、下期は世界的な景気後退の影響で荷動きが急激に減 でしたが、下期は世界的な景気後退の影響で荷動きが急激に減少 少した為、輸送台数は前期実績および所期目標をやや下回る結果 したため、全体としては前期に比べやや減少しました。また、北米 となりました。新造船 17 隻を投入しましたが、荷動きが急減した下 西岸では各ターミナルの競争激化により、コストの上昇分を料金に 期に老朽船を中心に 14 隻を解撤売船処分した他、4 隻の係船を実 十分反映できなかったことなどもあり、ターミナル関連事業の業績 施して 、環境変化への対応に努めました。一方、海上輸送を補完 は、前期に比べ減収減益となりました。 する自動車物流事業においては、中国での自動車部品および完成 車陸送、完成車ターミナル事業の運営は順調で 、欧州の完成車 客船事業 ターミナル事業も取扱量が増加しています。さらに、シンガポール 世界的な景気後退の影響で、特に下期は米国市場において高額 では新たに合弁で完成車ターミナルを開業した他、インドでも新た 商品の買い控えが顕著で販売が減少し、比較的景気減速の影響が にターミナル周辺事業へ参画するなど、積極的に事業を拡大して 小さかった日本市場でも一部長期クルーズの販売が伸びず 、クリ います。 スタル・飛鳥Ⅱともに乗船率が前期実績に及びませんでした。また、 ドライバルク部門では、高水準を続けていたドライバルク市況 が、2008 年5 月に歴史的な最高値を記録した後、調整局面を経て、 燃料油価格の高騰などが収支を圧迫し、客船事業全体では前期に 比べ減収減益となりました。 世界的な景気後退の影響により急落しました。中国やインドなどの 新興国の旺盛な需要に支えられ、鉄鉱石・石炭・穀物などの海上荷 航空運送事業 動きが好調に推移し、豪州・ブラジル諸港において滞船を余儀なく 日本貨物航空㈱は、自立した運航管理・整備・IT 体制のもと、新 された年度当初の状況は一変し、当期半ば以降は、世界の主要鉄 鋭の B747-400F で統一された運航機材で事業運営を行いました。 鋼メーカーや資源会社などの減産による影響で、荷動き量が激減 上期は、燃料油価格の高騰に対応する燃油サーチャージの徴収や しました。この結果、前期に比べ減益となりました。 タンカー部門では、上期は中国などの新興国の堅調な原油需要 運航・整備費用の削減に努め、前期比で赤字幅を大幅に縮小しまし たが、下期は、世界的な景気後退に伴う荷動きの急激な減少の影 とシングルハル・タンカーの解撤・改造や減速航海などにより船腹 響を受けました。その結果、通期では、前期に比べ減収となりまし 需給が逼迫し、市況が高水準を維持しましたが、下期は世界的な景 たが、継続的な燃料消費量の節減活動や運航・整備を含むコスト削 気後退で石油需要が減少し、市況が大幅に下落しました。石油製 減に努めた結果、赤字幅が縮小しました。 品タンカー市況も上期は高水準で推移しましたが、下期は石油需 要減少の影響を受けました。この様な状況下、長期契約船を主力 不動産業、その他の事業 とする当社の原油タンカーや LNG 船が概ね順調に稼動したことも 不動産業では、賃料更改時の値上げに努め、オフィスビルの稼 あり、タンカー部門全体としては、前期に比べ増益となりました。 働状況も比較的高い水準を維持しました。その他の事業では、商 事業で船舶用燃料油や船用品の販売が好調であり、製造加工業で 物流事業 NYKロジスティックス部門では、世界的な景気後退により、自動 車・電機などの製造業や流通業を中心とした荷動きが下期から大 も船舶の修繕の受注増加および燃料油の添加剤の販売が堅調でし た。その結果、不動産業、その他の事業ともに、前期に比べ増収 増益となりました。 幅に減少したことが影響し、業績が低迷しました。特に米国・欧州・ 日本での取扱量が大幅に減少しましたが、急激な環境への変化に 対応するため、あらゆるコストの削減やさらなるオペレーションの 効率化に努めています。またアジア・中国でも、下期以降、製造業 の減産や 、欧米など主要な輸出先での消費低迷の影響により、輸 出入関連の取扱量は減少していますが、国内物流は比較的安定的 に推移しており、引き続き商機をとらえ営業拡大に努めています。 郵船航空サービス㈱においても世界的な航空貨物輸送需要の大幅 な減少に直面し、減益となりました。以上の結果、物流事業全体で は、前期に比べ減収減益となりました。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 55 財政状態に関する分析 なりました。これは、主に借入金の増加により、有利子負債が 558 資産の状況 総資産は前期末に比べて 2,147 億円減少し、20,713 億円となり ました。これは、主に受取手形及び営業未収入金の減少などによ 億円増加した一方で、支払手形及び営業未払金および未払法人税 等が減少したことによります。 り流動資産が1,115 億円減少したことに加え、株価の下落などによ り投資有価証券が1,240 億円減少し、固定資産が1,031 億円減少し たことによります。 純資産の状況 純資産の部では、株主資本6,104 億円と評価・換算差額等の合計 である自己資本が5,441 億円となり、これに少数株主持分 371 億円 を加えた純資産の合計は、5,812 億円となりました。これらにより、 負債の状況 負債合計額は前期末に比べて 1,169 億円減少し、14,900 億円と 負債自己資本比率(デット・エクイティ・レシオ)は 2.0となりました。 資産の財源および資金の流動性についての分析 物件費などの一般管理費があります。 キャッシュ・フロー の分析 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益 一方、設備資金需要としては船舶投資や物流設備・ターミナル を777 億円、減価償却費を1,001 億円計上しましたが、法人税等の 設備などへの投資があります。当期中に 4,176 億円の設備投資を 支払 952 億円などにより1,505 億円となりました。投資活動による 行っています。 キャッシュ・フローは、主として船舶投資を中心とする固定資産の 定期船事業および不定期専用船事業において、船舶建造を中心 取得による支出などにより△ 1,703 億円となりました。また、財務 としてそれぞれ 1,176 億円および 2,346 億円、物流事業において 活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払 307 億円がありまし 倉庫建設などに 52 億円、ターミナル関連事業についてターミナル たが、借入金の増加などにより296 億円となりました。以上に現金 機器などに76 億円、航空運送事業において航空機器などに471 億 及び現金同等物に係る換算差額等を加味した現金及び現金同等物 円の設備投資を実施しました。それ以外の部門については、客船 の当期末残高は期首残高比 108 億円増の 1,268 億円となりました。 事業において 22 億円、不動産業において 8 億円、その他の事業に おいて 25 億円の設備投資を実施しました。 資金需要および設備投資 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ の定期船事業や不定期専用船事業運営に関する海運業費用です。 財務政策 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金については、財 この中には貨物費・燃料費・港費などの運航費、船員費・船舶修繕 務の健全性を損なうことなく、また、過度に特定の市場リスクに晒さ 費などの船費および借船料などが含まれます。このほか物流事業 れることなく安定的に確保するために、金融機関からの借入、社債や やターミナル関連事業、航空運送事業などの運営に関する労務費 コマーシャル・ペーパーの発行による資金調達に加え、一部船舶・航 等の役務原価、各事業についての人件費・情報処理費用・その他 空機に関してはリースや船主からの中・長期傭船を行っています。 総資産/総資産当期利益率( ROA ) (億円) 25,000 20 22,860 21,354 (億円) (倍) 12,000 10,222 20,713 18,774 20,000 15,000 有利子負債/デット・エクイティ・レシオ (%) 16 10,000 12 1.5 5.0% 5.5% 5.2% 0 05 06 総資産(左軸) 56 4 3.2% 07 2.6% 08 09 0 30 4,278 1.6 1.3 1.5 1.4 4,000 18.2% 18.4% 4,000 1.0 2,000 0.5 0 総資産当期利益率( ROA ) (右軸) NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 05 5,441 2.0 2,000 5,000 40 5,754 6,000 2.0 7,660 8 10,000 50 6,571 6,380 6,301 6,000 (%) 8,000 2.5 8,908 8,000 14,762 10,780 3.0 自己資本/自己資本当期純利益率( ROE ) (億円) 06 有利子負債(左軸) 07 08 09 0.0 デット・エクイティ・レシオ (右軸) 0 17.6% 10.6% 05 06 07 08 20 9.5% 10 09 0 自己資本(左軸) 自己資本当期純利益率( ROE ) (右軸) まず当社グループの主要な設備である船舶設備投資のために は、個々の船舶が営業活動によって将来収受する運賃、もしくは貸 船料収入の通貨や期間にあわせて借入通貨や条件を決め、長期の 借入を行うことを原則としています。このほか物流・ターミナル施 設など設備資金についても同様に将来のキャッシュ・フローにあわ せた安定的な資金の調達を行っています。2009 年 3 月 31 日現在 在 2,112 億円の発行残高となっています。 なお、当社は国内2 社、海外1 社の格付機関から格付を取得してい ます。2009 年 6月23日現在の負債格付は、日本格付研究所( JCR ) : 「 AA 」、格付投資情報センター(R&I ) : 「 AA– 」、ムーディーズ・インベ スターズ・サービス: 「 A3」となっています。 不安定な金融情勢が続く中、当社グループは、資金の流動性確 の長期借入金の残高は 6,136 億円で 、円建て資金に加えて米ドル 保が従来に増して重要と考え、これまでに有していた1,000 億円の 建て 、ユーロ建てなどの外貨建て借入金を含んでおり、金利は変 コマーシャル・ペーパー の発行枠、金融機関からの 500 億円のコ 動金利および固定金利です。 ミットメントライン (借入枠) に加え、当期中に新たにシンジケーショ 次に運転資金については、主に期間が 1 年以内の短期借入金な ン方式による金融機関からの1,500 億円のコミットメントライン並び らびにコマーシャル・ペーパーの発行により調達していますが、昨 に複数の金融機関からの総額 530 百万米ドル相当の日本円・米ドル 今の不安定な金融環境に鑑み、一部は長期の借入を実行していま マルチカレンシーのコミットメントライン設定などを行いました。ま す。また 、設備・運転資金全般の資金需要に対応するため、資本 た 、キャッシュマネージメントシステムなどのグループ内金融によ 市場からの社債発行による調達を行っており、2009 年 3 月 31 日現 る資金効率向上にも取り組んでいます。 利益配分に関する基本方針および当期・次期の配当 当社は、株主の皆さまへの利益還元を経営上の最重要課題のひ とつとして位置付け 、安定配当を基本に、業績の見通しや配当性 に耐え得る内部留保の水準にも留意した結果、当期の期末配当金 については、2009 年 1 月 30 日に公表した通り1 株当たり2 円とし、 向などを総合的に勘案し、利益配分を決定してまいりました。しか 同中間配当金 13 円と合わせた年間配当金は、1 株当たり15 円とす しながら、下期以降、未曾有とも言うべき世界景気後退による影響 る予定です。また、次期については、中間および期末ともに1 株当 が急速に拡大し、海運業を取り巻く事業環境は未だ非常に厳しい状 たり2 円、年間配当金 4 円とする予定です。 況となっています。当社の財務状況、配当性向および市況の変動 次期の見通し 次期の業績は、売上高18,800 億円、営業利益530 億円、経常利 益 400 億円、当期純利益 180 億円を予想しています。 および非海運部門である物流事業・ターミナル関連事業・航空運送 事業などでは、引き続きコスト削減活動や業務の効率化による収支 不定期専用船事業では、ドライバルク市況が中国の粗鋼生産量 改善を目指していますが、電機・自動車関連産業を中心とした荷動 増加などで足元やや上昇基調にありますが、今後の動向を慎重に きの回復は次期後半以降になるものと見込んでおり、当社の業績 見極め、適正な船隊規模の維持に努めてまいります。定期船事業 は厳しいものになると予想しています。 キャッシュ・フロー (億円) 3,000 2,000 1,995 1,755 1,468 1,387 1,000 1,505 974 862 403 296 0 –414 –1,000 –1,351 –2,000 –1,705 –2,925 –3,000 –4,000 –1,703 –1,780 05 06 07 08 09 営業活動によるキャッシュ・フロー 投資活動によるキャッシュ・フロー 財務活動によるキャッシュ・フロー NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 57 事業等のリスク 当社グループの主たる事業である海上輸送および総合物流事 業、客船事業、航空運送事業などの事業活動において、世界各国 の拡大により、当社グループの業績および財務状況が影響を受け る可能性があります。 の経済情勢、政治的または社会的な要因などにより、当社グループ の事業や業績が悪影響を受ける可能性があります。当社グループ の経営成績、株価および財務状況などに影響を及ぼす可能性のあ ( 5 )グロー バルな事業展開における各地域の経済状況などによる 影響につ い て るリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将 当社グループの活動の範囲は、日本、北米、欧州、アジア並び 来に関する事項は、2009 年 3 月 31 日現在において当社グループ に中近東その他の地域に及んでおり、各々の地域における経済状 が判断したものです。 況などにより影響を受ける可能性があります。具体的には、以下に 掲げるいくつかのリスクが内在しています。これらリスクに対して (1)重大な事故などによる影響について は、グループ内での情報収集、外部コンサルタント起用などを通じ、 当社グループは、海・陸・空にまたがるグローバルな総合物流企 その予防・回避に努めていますが、これらの事象が発生した場合 業グループとして、安全・確実な「モノ運び」を通じ、人々の生活を には、当社グループの業績および財務状況が影響を受ける可能性 支えるという企業理念のもと、世界中で船舶や航空機を運航・管理 があります。 しています。これらの安全運航および環境保護対策を最重要課題 ① 不利な政治的または経済的要因 と認識し、船舶においては独自の安全管理システム「 NAV9000」 ② 事業・投資許可、租税、為替管制、独占禁止、通商制限など による品質保証活動を実施するなど、安全運航に努めています。 公的規制の影響 船舶をはじめ各現場での実行状況は、社長を委員長とする「安全 ③ 他社と合弁・提携する事業の動向により生じる影響 環境対策推進委員会」で定期的にレビューされ、安全品質レベルを ④ 戦争、暴動、テロ、海賊、伝染病、ストライキ、コンピューターウ さらに向上・改善させるシステムが構築されており、また、緊急事 イルス、その他の要因による社会的混乱 態に際しては、適切な対応ができる体制を整えています。しかしな ⑤ 地震、津波、台風などの自然災害の影響 がら、もし不測の事故、特に油濁、環境汚染につながる重大な事故 などが発生した場合には、当社グループの業績および財務状況が 影響を受ける可能性があります。 (6) システム開発・運用における事故などによる影響について 当社グループにおいても、その業務遂行には、IT の円滑な運用 は今や欠かせない企業基盤となっており、地震・火災などの罹災に (2)一般的な海運市況・荷動きなどの変動による影響について 当社グループは、一般的な海運市況の変動に左右されない安定 的な営業収益の確保に努めていますが、国際間の荷動き需要減退、 際しても、システムの安定稼動の確保並びにシステムダウンに至っ た場合でも、その速やかな復旧を図るべく、努めています。しか し、システムダウンが一定期間以上に及び、お客さまへの情報提供 競争激化または船舶需給バランスなどの影響により、運賃収入およ や業務処理が滞ることとなった場合には、当社グループの業績お び貸船料収入などが大きく変動する可能性があり、その結果、当社 よび財務状況が影響を受ける可能性があります。 グループの業績および財務状況が影響を受ける可能性があります。 (7)環境保全、安全・保安対策に係る規制強化などによる影響について (3)為替レートの変動による影響について 当社グループの事業においては、外貨建て取引が多く、為替 レートの変動が損益に影響を与える可能性があります。費用のドル 当社グループは、環境保全活動および物流サプライチェーンの 安全・保安対策の重要性を認識しつつ、グローバルに事業を展開・ 拡大しています。例えば 、座礁などによる原油や燃料油流出を防 化を進めるとともに、為替予約や通貨スワップなどのヘッジ取引に 止するためのダブルハル(二重構造船体)化の推進、燃費節減によ より、為替レート変動の影響の軽減に努めています。また、当社グ るCO2 排出量削減、低硫黄燃料使用によるSOx 排出量削減、NOx ループの連結財務諸表作成にあたっては、海外の連結子会社の財 排出低減のため電子制御エンジン導入などの環境保全対策を実施 務諸表を円換算しており、為替レートが変動した場合、当社グ しています。今後、地球温暖化や大気汚染の防止、生物多様性の ループの業績および財務状況が影響を受ける可能性があります。 保全など環境保全、安全・保安対策に対する規制の強化や社会の 期待の高まりなどにより、これらに関連する対策費用が増加した場 (4)燃料油価格の変動による影響について 当社グループは、世界中で運航する船舶や航空機に使用される 合、当社グループの業績および財務状況が影響を受ける可能性が あります。 燃料油を常時購入しています。燃料油価格は世界的な原油需給、 産油国やOPEC の動向などにより変動しますが、当社グループとし (8)事業再編などによる影響について て、燃料油調達地域の分散や先物予約取引、燃料油の消費量節減 当社グループは、過年度において事業再編などを実施していま などの対策を講じて業績に与える影響の軽減に努めています。し す。今後とも事業再編などを実施した場合、当社グループの業績 かしながら、燃料油価格の高騰や船舶に対する低硫黄燃料油規制 および財務状況に変動が生じる可能性があります。 58 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 (9)投資計画に係る影響について 当社グループは、船隊や航空機の整備などに係る投資を計画し ていますが、今後の市況および公的規制などの動向によって 、こ れらが計画どおりに進捗しない場合、当社グループの業績および その判断を行った期間に繰延税金資産を減額し、税金費用を計上 することになります。 その結果として、当社グループの業績および財務状況が影響を 受ける可能性があります。 財務状況が影響を受ける可能性があります。 (15 )重要な訴訟事件などの発生について (10 )金利動向による影響について 当社グループは、船舶や航空機、輸送関連施設などの取得に係 当社グループの主たる事業である海上輸送および総合物流事 業、客船事業、航空運送事業などの事業活動において、各種の訴 る設備投資需要や事業活動に係る運転資金需要に対し、内部資金 訟に巻き込まれるおそれがあります。以下 2 社の事例も含め、訴訟 を充当する他、外部から資金を調達しています。これらの外部資金 などの内容および結果によっては、当社グループの業績および財 については、現在、変動金利で調達する部分もあり、金利環境を 務状況が影響を受ける可能性があります。 勘案の上、金利固定化などにより、金利変動による影響の軽減に ①日本貨物航空㈱について 努めていますが、将来の金利変動によっては、当社グループの業 世界各国の主要航空会社は航空貨物輸送に関わる価格カルテル 績および財務状況が影響を受ける可能性があります。また、将来の などに関連して米欧当局などの調査を受けており、連結子会社で 資金調達コストが金利変動により、影響を受ける可能性があります。 ある日本貨物航空㈱も、米国、欧州委員会および韓国の各当局の 調査を受けこれら調査に協力しています。欧州においては、欧州 (11 )船舶等の売却などにおける影響について 委員会より異議告知書を受領しました。米国当局の調査について 当社グループは、海運市況の需給関係により、または船舶や航 は、2009 年 4 月、米国司法省と罰金を支払うことに同意したことな 空機の新技術開発・導入に起因する陳腐化ないし安全規制・諸規 どを受け相当額を、および 、欧州委員会の調査については、将来 則の変更などによる物理的使用制限などにより、当社グループが 発生しうる損失の現時点での見積額をそれぞれ独禁法関連引当金 保有する船舶や航空機を売却する場合、または当社グループが傭 として計上しています。さらに米国において、日本貨物航空㈱は、 船する船舶の傭船契約解約を実施する場合があります。 請求金額を特定しないまま損害賠償請求訴訟(集団訴訟) を提起さ その結果として、当社グループの業績および財務状況が影響を 受ける可能性があります。 れています。 ②郵船航空サービス㈱について 連結子会社である郵船航空サービス㈱を含む国内主要国際航空 (12 )投資有価証券における評価損による影響について 当社グループは、有価証券の評価基準および評価方法として 、 貨物利用運送事業者は、公正取引委員会から国際航空貨物利用運 送に関し、独占禁止法の規定に違反する行為を行っていたとして、 投資有価証券のうち時価のあるものについては期末前 1 ケ月の市 2009 年 3 月に排除措置命令および課徴金納付命令を受けました。 場価格の平均などに基づく時価法を採用しています。その結果、 その後、郵船航空サービス㈱では本命令の内容を精査、確認し、 株式市況の変動などにより当社グループの業績および財務状況が 慎重に検討を重ねた結果、その内容には承服できないものがある 影響を受ける可能性があります。 として、2009 年 4 月開催の臨時取締役会にて、公正取引委員会に 対し審判手続の開始を請求するなどの手続きをとることを決議しま (13 )退職給付制度による影響について 当社グループは、確定給付型の制度として、確定給付企業年金 制度、適格退職年金制度、厚生年金基金制度および退職一時金制 した。 しかしながら、当期において 、公正取引委員会からの命令に基 づいた課徴金納付額を独禁法関連引当金として計上しています。 度を設けています。また、適格退職年金制度は、法令により、平成 2012 年 3 月末までに他の制度への移行が義務付けられており、当 社は、2007 年 4 月 1 日付けで確定給付企業年金制度に移行しまし 主なリスクを具体的に例示したものであり、これらに限定されるも た。このような年金制度の変更、年金資産運用の状況および退職 のではありません。 なお 、上記は当社グループが事業を継続する上で 、予想される 給付会計において設定される前提条件の変更などにより、当社グ ループの業績および財務状況が影響を受ける可能性があります。 (14 )繰延税金資産の回収可能性の評価における影響について 当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて、繰延税 金資産の回収可能性を評価しているため、その見積額が減少し繰 延税金資産の一部または全部を将来実現できないと判断した場合、 あるいは税率変動などを含む各国税制の変更などがあった場合、 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 59 連結貸借対照表 日本郵船株式会社および連結子会社 (2009 年および 2008 年 3 月 31 日現在) 資産の部 単位:百万円 単位:千米ドル (注記2) 2009 2008 2009 ¥ 126,768 779 ¥ 115,964 2,457 $ 1,290,524 7,932 172,458 32,856 5,130 256,204 54,357 8,482 1,755,657 334,481 52,227 155,613 (3,015) 490,589 170,552 (5,948) 602,068 1,584,167 (30,701) 4,994,287 688,860 76,164 5,222 29,567 6,500 59,952 295,424 5,968 1,167,657 624,896 83,611 9,402 41,181 8,263 61,287 296,041 7,265 1,131,946 7,012,726 775,360 53,162 300,994 66,169 610,323 3,007,472 60,759 11,886,965 172,978 88,887 13,521 31,699 16,439 20,043 73,070 (3,612) 413,025 ¥2,071,271 291,782 94,102 15,908 9,388 36,618 28,798 76,367 (964) 551,999 ¥2,286,013 1,760,950 904,885 137,644 322,701 167,350 204,045 743,875 (36,774) 4,204,676 $21,085,928 流動資産 現金及び現金同等物(注記9) 有価証券(注記4及び9) 受取手形及び営業未収入金 たな卸資産(注記5) 繰延税金資産(注記10) 前払費用及びその他の流動資産(注記9) 貸倒引当金 流動資産合計 有形固定資産(償却後簿価) (注記6,7及び9) 船舶 建物及び構築物 航空機 機械装置及び車両運搬具 器具及び備品 土地 建設仮勘定 その他 有形固定資産(償却後簿価)合計 投資その他の資産 投資有価証券(注記4及び9) 非連結子会社及び関連会社に対する投資 長期貸付金 繰延税金資産(注記10) 無形固定資産(注記9) のれん その他の資産(注記9) 貸倒引当金 投資その他の資産合計 資産合計 連結財務諸表注記参照 60 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 負債の部及び純資産の部 単位:百万円 単位:千米ドル (注記 2) 2009 2008 2009 ¥ 164,245 ¥ 208,772 $ 1,672,040 流動負債 短期借入金(注記8及び9) コマーシャル・ペーパー 1年以内返済予定の長期有利子負債(注記8及び9) 支払手形及び営業未払金(注記9) 未払法人税等 賞与引当金 事業損失引当金 独禁法関連引当金 繰延税金負債(注記10) その他の流動負債(注記9) 流動負債合計 4,000 19,000 40,721 97,997 145,088 12,400 95,184 215,614 50,998 997,631 1,477,018 126,232 8,044 9,381 2,825 81,889 ̶ 86,717 3,743 1,367,497 5,853,488 ̶ 8,518 368 134,329 574,989 3,414 169,879 775,067 ̶ 固定負債 長期有利子負債(注記8及び9) 811,715 16,061 2,571 13,499 1,728 10,504 58,967 915,045 1,490,034 54,215 52,889 831,909 1,606,976 8,263,413 163,502 26,176 137,422 17,594 106,938 600,291 9,315,336 15,168,824 2009年─発行済株式数 1,230,188,073株 88,531 ̶ 901,263 2008年─発行済株式数 1,230,188,073株 ̶ 退職給付引当金(注記18) 役員退職慰労引当金 特別修繕引当金 独禁法関連引当金 繰延税金負債(注記10) その他の固定負債(注記9) 固定負債合計 負債合計 699,241 15,857 2,761 6,946 ̶ 契約債務及び偶発債務(注記14) 純資産の部 資本金─普通株式 授権株式 2,983,550,000株 資本剰余金(注記11) 利益剰余金(注記11) その他有価証券評価差額金 繰延ヘッジ損益 為替換算調整勘定 97,189 426,217 10,936 (37,890) (39,369) 88,531 97,212 401,045 85,668 (20,712) (12,443) ̶ 989,409 4,338,970 111,330 (385,725) (400,788) 自己株式─取得原価 2009年─2,376,101株 2008年─2,181,765株 合計 少数株主持分 純資産合計 負債純資産合計 (1,493) ̶ 544,121 37,116 581,237 ¥2,071,271 ̶ (1,339) 637,962 41,075 679,037 ¥2,286,013 単位:円 1株当たり純資産 ¥443.16 (15,202) ̶ 5,539,257 377,847 5,917,104 $21,085,928 単位:米ドル (注記2) ¥519.51 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 $4.51 61 連結損益計算書 日本郵船株式会社および連結子会社 (2009 年および 2008 年 3 月 31 日に終了した連結会計年度) 単位:千米ドル (注記2) 単位:百万円 2009 2008 2009 ¥2,429,973 ¥2,584,626 $24,737,585 2,054,595 2,128,849 20,916,167 売上総利益 375,378 455,777 3,821,418 販売費及び一般管理費 230,463 253,698 2,346,159 営業利益 144,915 202,079 1,475,259 11,334 13,785 115,381 4,205 11,040 42,806 (22,367) (22,781) (227,695) 固定資産除売却損益(純額) 4,180 12,220 42,551 有価証券及び投資有価証券売却損益(純額) (注記4) 6,957 4,738 70,823 (27,050) (7,299) (275,375) 売上高 売上原価 その他の収益(費用) 受取利息及び受取配当金 持分法による投資利益 支払利息 減損損失(注記12) 事業損失引当金繰入額 ̶ ̶ (3,246) ソフトウエア開発費用(注記13) (14,412) ̶ (146,716) 独禁法関連引当金繰入額 (10,246) ̶ (104,311) (8,872) ̶ (90,319) 傭船解約金 その他(純額) (10,984) その他の収益(費用) (純額) 税金等調整前当期純利益 (10,045) (111,809) (67,255) (1,588) (684,664) 77,660 200,491 790,595 法人税等 法人税、住民税及び事業税 法人税等調整額 法人税等合計額 少数株主利益 当期純利益 ¥ 30,997 78,790 315,553 (11,969) 3,122 (121,840) 19,028 81,912 193,713 2,480 4,440 25,248 56,152 ¥ 114,139 単位:円 $ 571,634 単位:米ドル (注記2 ) 普通株1株当たり情報 当期純利益 潜在株式調整後当期純利益 配当金 連結財務諸表注記参照 62 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 ¥45.73 ¥92.93 $0.47 ̶ ̶ ̶ 15.00 24.00 0.15 連結株主資本等変動計算書 日本郵船株式会社および連結子会社 ( 2009 年および 2008 年 3 月 31 日に終了した連結会計年度) 単位:百万円 2007 年 4 月 1 日現在高 発行済株式数 (千株) 資本金 資本剰余金 利益剰余金 その他 有価証券 評価差額金 1,230,188 繰延ヘッジ 損益 為替換算 調整勘定 自己株式 ¥ (859) ¥ 657,088 ¥ 88,531 ¥ 97,188 ¥ 312,606 ¥ 136,954 ¥ 14,361 ¥ 8,307 当期純利益 ̶ ̶ 114,139 ̶ ̶ ̶ ̶ 配当金( 1 株当たり21 円) ̶ ̶ (25,794) ̶ ̶ ̶ 自己株式の取得 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 自己株式の処分 ̶ 24 ̶ ̶ 連結範囲の変動 ̶ ̶ 601 持分法の適用範囲の変動 ̶ ̶ (0) その他 ̶ ̶ (507) ̶ 株主資本以外の項目の期中変動額(純額) ̶ ̶ ̶ (51,286) 連結会計年度中の変動額合計 少数株主 持分 純資産合計 合計 ¥ 43,629 ¥ 700,717 114,139 ̶ 114,139 ̶ (25,794) ̶ (25,794) ̶ (518) (518) ̶ (518) ̶ ̶ 38 62 ̶ 62 ̶ ̶ ̶ ̶ 601 ̶ 601 ̶ ̶ ̶ ̶ (0) ̶ (0) ̶ ̶ ̶ (507) ̶ (507) (35,073) (20,750) ̶ (107,109) (2,554) (109,663) ̶ 24 88,439 (51,286) (35,073) (20,750) (480) (19,126) (2,554) (21,680) 88,531 97,212 401,045 85,668 (20,712) (12,443) (1,339) 637,962 41,075 679,037 当期純利益 ̶ ̶ 56,152 ̶ ̶ ̶ ̶ 56,152 ̶ 56,152 配当金( 1 株当たり25 円) ̶ ̶ (30,699) ̶ ̶ ̶ ̶ (30,699) ̶ (30,699) 自己株式の取得 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ (301) (301) ̶ (301) 自己株式の処分 ̶ (23) ̶ ̶ ̶ ̶ 147 124 ̶ 124 連結範囲の変動 ̶ ̶ (6) ̶ ̶ ̶ ̶ (6) ̶ (6) 連結子会社の決算期変更に伴う増減 ̶ ̶ 187 ̶ ̶ ̶ ̶ 187 ̶ 187 持分法の適用範囲の変動 ̶ ̶ 482 ̶ ̶ ̶ ̶ 482 ̶ 482 2008 年 3 月 31 日現在高 1,230,188 在外子会社の会計処理の変更に伴う増減 ̶ ̶ 161 ̶ ̶ ̶ ̶ 161 ̶ 161 その他 ̶ ̶ (1,105) ̶ ̶ ̶ ̶ (1,105) ̶ (1,105) 株主資本以外の項目の期中変動額(純額) ̶ ̶ ̶ (74,732) (17,178) (26,926) ̶ (118,836) (3,959) (122,795) 連結会計年度中の変動額合計 ̶ (23) 25,172 (74,732) (17,178) (26,926) (154) (93,841) (3,959) (97,800) ¥88,531 ¥97,189 ¥426,217 ¥ 10,936 ¥(37,890) ¥(39,369) 2009 年 3 月 31 日現在高 1,230,188 ¥(1,493) ¥ 544,121 ¥37,116 ¥ 581,237 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 63 連結株主資本等変動計算書 単位:千米ドル(注記 2) 2008 年 3 月 31 日現在高 発行済株式数 (千株) 資本金 資本剰余金 利益剰余金 その他 有価証券 評価差額金 1,230,188 繰延ヘッジ 損益 為替換算 調整勘定 自己株式 $(13,633) $ 6,494,578 合計 少数株主 持分 純資産合計 $418,147 $ 6,912,725 $901,263 $989,641 $ 4,082,713 $872,117 $(210,853) $(126,670) 当期純利益 ̶ ̶ 571,634 ̶ ̶ ̶ ̶ 571,634 ̶ 571,634 配当金( 1 株当たり$0.25) ̶ ̶ (312,519) ̶ ̶ ̶ ̶ (312,519) ̶ (312,519) 自己株式の取得 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ (3,063) (3,063) ̶ (3,063) 自己株式の処分 ̶ (232) ̶ ̶ ̶ ̶ 1,494 1,262 ̶ 1,262 連結範囲の変動 ̶ ̶ (59) ̶ ̶ ̶ ̶ (59) ̶ (59) 連結子会社の決算期変更に伴う増減 ̶ ̶ 1,899 ̶ ̶ ̶ ̶ 1,899 ̶ 1,899 持分法の適用範囲の変動 ̶ ̶ 4,908 ̶ ̶ ̶ ̶ 4,908 ̶ 4,908 在外子会社の会計処理の変更に伴う増減 ̶ ̶ 1,640 ̶ ̶ ̶ ̶ 1,640 ̶ 1,640 その他 ̶ ̶ (11,246) ̶ ̶ ̶ ̶ (11,246) ̶ (11,246) 株主資本以外の項目の期中変動額(純額) ̶ ̶ ̶ (760,787) (174,872) (274,118) ̶ (1,209,777) (40,300) (1,250,077) 連結会計年度中の変動額合計 ̶ (232) 256,257 (760,787) (174,872) (274,118) (1,569) (955,321) (40,300) (995,621) $901,263 $989,409 $4,338,970 $111,330 $(385,725) $(400,788) $(15,202) $5,539,257 $377,847 $5,917,104 2009 年 3 月 31 日現在高 1,230,188 連結財務諸表注記参照 64 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 連結キャッシュ・フロー計算書 日本郵船株式会社および連結子会社 ( 2009 年および 2008 年 3 月 31 日に終了した連結会計年度) 単位:百万円 営業活動によるキャッシュ・フロー 税金等調整前当期純利益 税金等調整前純利益の営業活動によるキャッシュ・フローへの調整 減価償却費 減損損失 ソフトウエア開発費用 有形及び無形固定資産除売却損(益) 有価証券及び投資有価証券売却損(益) 有価証券及び投資有価証券評価損 持分法による投資利益 受取利息及び受取配当金 支払利息 為替差損(益) 売上債権の減少(増加)額 たな卸資産の減少(増加)額 仕入債務の増加(減少)額 その他 小計 利息及び配当金の受取額 利息の支払額 法人税等の支払額 営業活動によるキャッシュ・フロー 投資活動によるキャッシュ・フロー 有価証券の取得による支出 有価証券の売却による収入 有形及び無形固定資産の取得による支出 有形及び無形固定資産の売却による収入 投資有価証券の取得による支出 投資有価証券の売却による収入 連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出 連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出(注記15) 貸付金の増加額 貸付金の減少額 その他 投資活動によるキャッシュ・フロー 財務活動によるキャッシュ・フロー 短期借入金純増減額 コマーシャル・ペーパーの純増減額 長期借入による収入 長期借入金の返済による支出 社債の発行による収入 社債の償還による支出 少数株主への株式の発行による収入 自己株式の取得による支出 自己株式の売却による収入 株主への配当金の支払額 少数株主への配当金の支払額 その他 財務活動によるキャッシュ・フロー 現金及び現金同等物に係る換算差額 現金及び現金同等物の増減額 現金及び現金同等物の期首残高 連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額 連結子会社の合併による現金及び現金同等物の増減額 連結子会社の決算期変更に伴う現金及び現金同等物の期首残高増減額 現金及び現金同等物期末残高 2009 2008 ¥ 77,660 ¥ 200,491 100,124 27,050 14,412 (4,180) (6,957) 8,851 (4,205) (11,334) 22,367 (4,166) 69,944 22,423 (66,164) 6,241 252,066 16,488 (22,903) (95,177) 150,474 (1,852) 3,226 (417,555) 248,234 (15,125) 13,012 ̶ (331) (6,675) 9,275 (2,462) (170,253) (35,523) (15,000) 223,311 (94,520) ̶ (16,000) ̶ (301) 124 (30,699) (779) (1,042) 29,571 (2,478) 7,314 115,964 3,476 ̶ 14 ¥ 126,768 92,401 7,299 ̶ (12,220) (4,738) 656 (11,040) (13,785) 22,781 1,403 (29,630) (16,554) 18,811 (242) 255,633 18,181 (22,607) (51,681) 199,526 (356) 251 (501,330) 217,084 (20,005) 10,322 (47) ̶ (5,266) 5,862 975 (292,510) 46,847 19,000 175,304 (106,326) 59,789 (21,000) 121 (518) 62 (25,794) (656) ̶ 146,829 (27,290) 26,555 87,710 1,623 76 ̶ ¥ 115,964 単位:千米ドル (注記 2) 2009 $ 790,595 1,019,282 275,375 146,716 (42,551) (70,823) 90,106 (42,806) (115,381) 227,695 (42,417) 712,042 228,269 (673,564) 63,537 2,566,075 167,854 (233,158) (968,915) 1,531,856 (18,848) 32,841 (4,250,792) 2,527,068 (153,976) 132,471 ̶ (3,370) (67,954) 94,418 (25,068) (1,733,210) (361,628) (152,704) 2,273,348 (962,232) ̶ (162,883) ̶ (3,063) 1,262 (312,519) (7,929) (10,612) 301,040 (25,221) 74,465 1,180,534 35,386 ̶ 139 $ 1,290,524 連結財務諸表注記参照 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 65 連結財務諸表注記 日本郵船株式会社および連結子会社 (2009 年および 2008 年 3 月 31 日に終了した連結会計年度) 1. 連結財務諸表開示の基本的事項 添付の連結財務諸表は、日本の金融商品取引法及びその関連 は、日本の財務省および証券取引所に提出するために公表された 会計規則で定められた規定に従い 、日本で一般に公正妥当と認 連結財務諸表で報告された連結会社の財政状態、経営成績および められた会計原則(国際財務報告基準の適用および開示要求と キャッシュ・フローには影響を与えるものではありません。 は異なる点があります)に準拠して作成されています。 連結財務諸表を作成するにあたっては、海外の読者に理解しや すい様式で連結財務諸表を表示するために、一部の勘定科目を組 これに加えて、2009 年において使用されている分類との整合 性のため、2008 年の財務諸表に対して一定の組替えを行ってい ます。 替え、また一部の情報を追加して表示しています。これらの組替え 2. 米ドル金額 添付の連結財務諸表は、日本円で表示されており、米ドルの金 以外の読者の便宜のためのものであり、その円表示の金額がその 額は、2009 年 3 月 31 日現在の 1 米ドル =98.23 円の為替相場を用 為替相場あるいは他の相場で米ドルにいつでも転換されたり、決 いて米ドルに換算したものです。米ドル表示の計算書は、単に日本 済されたりするということを意味するものではありません。 3. 重要な会計方針の要約 A. 連結方針 (1)連結財務諸表には、日本郵船株式会社(以下、 「当社」)及びそ の 連 結 子 会 社 693 社(2009 年 3 月 31 日 現 在)及 び 687 社 (2008 年 3 月 31 日現在)の勘定が含まれています。 従来連結子会社であった3 社は、株式の一部売却により持分 法適用関連会社となりました。 会社を清算した 1 社は 、持分法適用の範囲から除外されま した。 2009 年 3 月31 日に終了した連結会計年度には、当連結会計 持分法適用会社のうち10 社は、連結財務諸表に与える影響 年度中に新たに設立した 17 社、及び連結財務諸表に与える影 が重要性をもつにいたったと判断され、連結の範囲に含めるこ 響が重要性をもつににいたったと判断された 16 社が、新たに ととされたため、持分法適用の範囲から除外されました。 連結範囲とされました。 (3)連結対象とした年度において子会社に対する投資原価とその 持分法適用会社のうち10 社は、連結財務諸表に与える影響 子会社の純資産に対する持分対応金額との間の重要な差額は、 が重要性をもつにいたったと判断されたため、持分法適用の その差額の原因が明確に把握され 、該当する勘定に組替えら 範囲から除外し、新たに連結範囲とされました。 れない限り、のれんまたは負ののれんとして計上し、5 年間∼ 会社を清算した 29 社は、連結範囲から除外されました。 合併により5 社が、連結の範囲から除外されました。 20 年間にわたって定額法により償却しています。 (4)当社は、連結子会社の資産・負債の全額を支配獲得時現在の 従来連結子会社であった 3 社は、株式の一部売却により持 時価で評価する「全面時価評価法」を採用しています。 分法適用関連会社となったため、連結の範囲から除外されま (5)全ての重要な連結会社相互間の債権と債務及び取引高並びに した。 未実現損益は連結財務諸表上消去しています。 当社は、NYK ARMATEUR S.A.S.の議決権の過半数を自己の 計算において所有していますが、重要な財務及び営業又は事 業の方針の決定に関する契約等の存在により、意思決定機関 当社の会計期間は、毎年 4 月1 日に開始し、翌年の 3 月31 日に終 を実質的に支配していないため、子会社とせず 、持分法適用 了します。 の関連会社としています。 2009 年 3 月31 日現在、連結子会社 59 社の決算日は12 月31 日、 1 社の決算日は2 月28 日となっています。3 月31 日と各決算日につ (2)非連結子会社及び関連会社に対する投資は、その影響度及び 重要性の程度に従って原価法もしくは持分法により計上されて おり、非連結子会社21 社・関連会社57 社(2009 年 3 月31 日現 在)及び非連結子会社31 社・関連会社 43 社(2008 年 3 月31 日 現在)に持分法を適用しています。 2009 年 3 月31 日に終了した連結会計年度には、当連結会計 年度中に新たに設立した1 社、及び連結財務諸表に与える影響 が重要性をもつにいたったと判断された 11 社が新たに持分法 適用の範囲に含まれることとなりました。 66 B. 会計期間 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 いて必要な調整を行っています。 また、決算日が12 月31 日の会社 1 社については、連結決算日現 在で実施した仮決算に基づく財務諸表を使用しています。 C. 外貨建財務諸表項目の換算 F. 支払利息の資産化 海外連結子会社の貸借対照表項目については、発生時の為替相 支払利息については原則として発生時に費用処理しています 場で換算される資本項目を除き、決算日の為替相場で円換算して が、特に船舶プロジェクトのように建造期間が長期かつ建造期間中 います。換算によって生じた換算差額は、連結貸借対照表の純資 の発生利息金額が重要な場合には、建造期間中の支払利息は、事 産の部に為替換算調整勘定として区分表示しています。海外連結 業用資産の取得原価に算入しています。 子会社の損益計算書項目については、決算日における平均為替相 場により円換算しています。 G. 引当金の計上基準 (1)貸倒引当金 D. 資産の評価 (1)有価証券及び投資有価証券は、下記に示すように分類、計上 売上債権、貸付金及びその他の債権の債務不履行により生 じる損失に備えるため、当社及び連結子会社は、一般債権に されています。 ついては貸倒実績率により引当金を計上しています。貸倒懸 ①満期保有目的の債券 念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し、 主として定額法による償却原価法で評価しています。 ②その他有価証券 ( a )時価のあるもの 主として決算日前 1 ヶ月の市場価格の平均等に基づく 時価法(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売 却原価は主として移動平均法により算定) で評価して います。 ( b )時価のないもの 主として移動平均法による原価法で評価しています。 (2)デリバティブは、時価法で評価しています。 (3)たな卸資産は、主として移動平均法による原価法(収益性の低 下による簿価の切下げの方法)で評価しています。 回収不能見込額を引当金として計上しています。 (2)賞与引当金 賞与引当金は、従業員に支給する賞与に充てるため、将来 の賞与の支給見込額のうち、当連結会計年度の負担額を計上 しています。 (3)役員賞与引当金 役員賞与引当金は、役員に支給する賞与に充てるため、将 来の支給見込額のうち当連結会計年度の負担額を計上してい ます。 (4)退職給付引当金 従業員の退職給付に備えるため、当社及び連結子会社の当 連結会計年度末における退職給付債務の年金数理計算による 見積現在価値及び年金資産の見積時価に基づき退職給付引当 E. 減価償却の方法 (1)有形固定資産(リース資産を除く)の減価償却方法は、以下の 金を計上しています。過去勤務債務は、主としてその発生時の 従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(8 年)による定 とおりです。 額法により費用処理しています。未認識の数理計算上の差異 主として日本の法人税法の規定による定額法により減価償 は、主として各連結会計年度の発生時における従業員の平均 却しています。 残存勤務期間以内の一定の年数(8 年) による定額法により按分 なお、取得価額が 10 万円以上 20 万円未満の資産について した額をそれぞれ発生の翌連結会計年度から費用処理してい は、主として法人税法の規定に基づき3 年間で均等償却してい ます。 (2)無形固定資産(リース資産を除く)の減価償却方法は、以下の ます。 (5)役員退職慰労引当金 取締役及び監査役の退職慰労金の支出に備えるため、連結 とおりです。 子会社は、内規に基づき期末要支給額を役員退職慰労引当金 ソフトウエアは、主として社内における利用可能期間(5 年) に に計上しています。 基づく定額法により償却しています。その他の無形固定資産は、 (6)特別修繕引当金 日本の法人税法の規定による定額法により償却しています。 (3)リース資産の償却方法は、以下のとおりです。 特別修繕引当金は、船舶の特別修繕に要する費用の支出に備 えるため船舶の将来の見積修繕額に基づいて計上しています。 所有権移転ファイナンス・リース取引に係るリース資産は自 己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法によ り償却しています。所有権移転外ファイナンス・リース取引に 係るリース資産は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼ ロとする定額法により償却しています。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 67 (7)独禁法関連引当金 (2) コンテナ船以外 独禁法関連引当金は、下記の二つの分類で計上されてい コンテナ船以外の輸送に係る収益及び費用は、主として発港 ます 。 地から帰港地を一単位とする航海完了基準を採用しています。 ①世界各国の主要航空会社は航空貨物輸送に関わる価格カル テル等に関連して米欧当局などの調査を受けております。連 結子会社である日本貨物航空㈱も2006 年2 月より米国当局の、 同年 12 月より欧州委員会の調査を受けており、これら調査に J. リース取引の会計処理 リース物件の所有権が借主に移転すると認められるもの以外の ファイナンス・リース取引のうち、リース取引開始日が 2008 年 3 月 協力しております。欧州においては、2007 年 12 月に、欧州委 31 日以前のものについては、通常の賃貸借取引に係る方法に準じ 員会より異議告知書を受領しました。 た会計処理によっています。 これらのうち米国当局の調査については、2009 年 4 月、米 国司法省と罰金を支払うことに同意したこと等を受け、相当額 を計上し、また欧州委員会の調査については、将来発生しうる K. 重要なヘッジ会計の方法 債権及び債務における金利変動リスク、為替変動リスクあるい 損失の現時点での見積り額を計上しております。 はキャッシュ・フロー変動リスクを相殺するためのデリバティブ取 ②連結子会社である郵船航空サービス㈱を含む国内主要国際 引等に対し、当社及び連結子会社はヘッジ会計を適用しています。 航空貨物利用運送事業者は、公正取引委員会から国際航空貨 また 、燃料油購入等における価格変動リスクに備えるためのデリ 物利用運送に関し、独占禁止法第 3 条(不当な取引制限の禁 バティブ取引についても、同様にヘッジ会計を適用しています。 止)の規定に違反する行為を行っていたとして、2009 年3 月18 ヘッジ会計については、当社及び連結子会社は、ヘッジとして有 日に排除措置命令及び課徴金納付命令を受けました。その後、 効なデリバティブ取引を時価評価し、評価損益を繰り延べる繰延 郵船航空サービス㈱では本命令の内容を精査、確認し、慎重 ヘッジを適用しています。会計基準に基づく所定の要件を満たす に検討を重ねてまいりましたが、その内容には承服できないも 通貨スワップ及び為替予約については、当社及び連結子会社は、 のがあるため、2009 年 4 月17 日開催の臨時取締役会にて、公 ヘッジ対象の外貨建債権・債務をこれらの予約相場で換算してい 正取引委員会に対し審判手続の開始を請求する等の手続きを ます。なお、金利スワップ及び金利キャップのうち会計基準に基づ とることを決議いたしました。然しながら、当連結会計年度に く所定の要件を満たすものについては契約に基づいて受取り・支 おいて、公正取引委員会からの命令に基づいた課徴金納付額 払いをする関連金利差額を、ヘッジ対象の金融資産・負債の受取 を引当金として計上しております。 利息・支払利息に含めて計上しています。また、借入金・社債等の 金利変動リスクに対しては金利スワップ等を、金銭債権・債務、予 H. 法人税等 定取引等の外貨建取引の為替変動リスクに対しては通貨スワップ・ 当社及び国内子会社は、会計上と税務上の資産・負債との間の一 為替予約・外貨建金銭債権債務等を、燃料油等の価格変動リスク 時差異に税効果を認識しております。法人税等は、連結損益計算書 に対してはスワップ等をヘッジ手段として利用しています。当社及 に記載の税金等調整前当期純利益に基づいて計算されています。 び連結子会社は、毎期末及び中間期末に会計基準に基づく所定の 財務会計目的と税務目的での資産・負債の一時的差異に関連して生 要件を満たす金利スワップ及び金利キャップを除いて、ヘッジ手段 じる、将来において予想される税効果に対しては、資産・負債アプ の有効性についてヘッジ手段とヘッジ対象の相場変動またはキャッ ローチを使用して繰延税金資産・負債が認識されています。 シュ・フローの累計金額の比率分析を行うことによって評価してい ます。 I. 海運業収益及び費用の計上基準 海運業収益及び費用は、貨物輸送の種類により二つの方法によ り計上されています。 (1) コンテナ船 68 外貨建ての短期および長期の債権債務は、貸借対照表日時点に おける為替レートにて円貨に換算されています。ただし為替予約 による短長期債権債務は予約レートによって円換算されています。 予約レートと、債権債務の換算により発生する取引日レートとの コンテナ船による輸送に係る収益及び費用は、主として個々 間に差異があるときは、該当契約が終結するまでの期間にわたり、 の貨物の輸送期間の経過に応じて計上しています。 利益または費用として認識されています。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 L. 1 株当たり情報 (2) 「リース取引に関する会計基準」 (企業会計基準委員会 平成 5 1 株当たり当期純利益は、期中における発行済普通株式総数の 加 重 平 均 数に基 づいて計 算しています。2008 年 3 月 31 日及 び 2009 年 3 月 31 日に終了した連結会計年度の潜在株式調整後 1 株 年 6 月 17 日 最終改正平成 19 年 3 月 30 日 企業会計基準第 13 当たり当期純利益については、希薄化効果を有している潜在株式 企業会計基準適用指針第16 号) を当連結会計年度から適用し、 がないため記載しておりません。1 株当たり配当金は、中間配当 所有権移転外ファイナンス・リース取引については、通常の賃 金と決算日後に支払われる期末配当金で構成されております。 貸借取引に係る方法に準じた会計処理から通常の売買取引に 号)及び「リース取引に関する会計基準の適用指針」 (企業会 計基準委員会 平成 6 年 1 月 18 日 最終改正平成 19 年 3 月 30 日 係る方法に準じた会計処理に変更しております。なお、所有権 M. 現金及び現金同等物 現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及 移転外ファイナンスリース取引のうち、リース取引開始日が 2008 年3 月31 日以前のものについては、通常の賃貸借取引に び 、容易に換金可能であり、かつ 、価値の変動について僅少なリ 係る方法に準じた会計処理を引き続き採用しております。これ スクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期 らによる損益への影響は軽微であります。 投資からなります。 (3) 「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する 当面の取扱い」 (企業会計基準委員会 平成18 年5 月17 日 実務 N. 会計処理方法の変更 (1) 「棚卸資産の評価に関する会計基準」 (企業会計基準委員会 平成 18 年 7 月 5 日 企業会計基準第 9 号) を当連結会計年度か 対応報告第 18 号) を当連結会計年度から適用し、連結決算上 必要な修正を行っております。なお、この変更による損益への 影響は軽微であります。 ら適用しております。この変更による損益への影響は軽微で あります。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 69 4. 有価証券及び投資有価証券 (1)2009 年及び 2008 年 3 月 31 日現在の満期保有目的の債券で時価のあるものの内訳は、以下の通りです。 単位:百万円 2009 連結貸借 対照表 計上額 時価 ¥ 281 803 1 1,085 100 45 10 155 ¥1,240 単位:千米ドル (注記 2) 2009 2008 差額 連結貸借 対照表 計上額 連結貸借 対照表 計上額 時価 差額 ¥ 286 810 1 1,097 ¥ 5 7 0 12 ¥ 381 803 1 1,185 ¥ 387 815 1 1,203 ¥ 6 12 0 18 $ 2,865 $ 2,914 8,172 8,244 15 15 11,052 11,173 $ 49 72 0 121 99 42 6 147 ¥1,244 (1) (3) (4) (8) ¥ 4 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ¥1,185 ¥1,203 ¥18 1,022 1,015 458 423 102 63 1,582 1,501 $12,634 $12,674 (7) (35) (39) (81) $ 40 時価 差額 時価が連結貸借対照表計上額を超えるもの 国債等 社債 その他 小計 時価が連結貸借対照表計上額を超えないもの 国債等 社債 その他 小計 合計 (2)2009 年及び 2008 年 3 月 31 日現在のその他有価証券で時価があるものの内訳は、以下の通りです。 単位:百万円 2009 取得価額 連結貸借 対照表 計上額 差額 単位:千米ドル (注記 2) 2009 2008 取得価額 連結貸借 対照表 計上額 差額 連結貸借 対照表 計上額 取得価額 差額 連結貸借対照表計上額が 取得原価を超えるもの 株式 ¥ 67,205 ¥102,093 58 59 国債等 ¥ 34,888 1 社債 ̶ ̶ ̶ その他 ̶ ̶ ̶ 67,263 102,152 34,889 (16,659) 小計 ¥125,464 ¥264,651 ¥139,187 303 309 6 209 213 4 76 82 6 126,052 265,255 139,203 $ 684,158 $1,039,330 590 596 $ 355,172 6 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 684,748 1,039,926 355,178 連結貸借対照表計上額が 取得原価を超えないもの 株式 60,135 43,476 13,754 9,305 612,184 442,589 国債等 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 社債 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ その他 小計 合計 70 119 81 60,254 43,557 ¥127,517 ¥145,709 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 (38) (16,697) ¥ 18,192 (4,449) 139 138 (1) 13,893 9,443 (4,450) ¥139,945 ¥274,698 ¥134,753 1,210 826 613,394 443,415 $1,298,142 $1,483,341 (169,595) ̶ ̶ (384) (169,979) $ 185,199 (3)2009 年及び 2008 年 3 月 31 日に終了する連結会計年度中に売却したその他有価証券の売却額及び売却損益は、以下の通りです。 単位:百万円 2009 売却額 ¥10,698 2,989 (13) 売却益の合計額 売却損の合計額 単位:千米ドル (注記2) 2009 2008 $108,908 30,433 (131) ¥9,959 4,769 (133) (4)2009 年及び 2008 年 3 月 31 日現在において、時価評価されていない主な有価証券の内容は、以下の通りです。 単位:百万円 単位:千米ドル (注記2) 2009 2008 2009 ¥25,635 ¥16,096 $260,965 その他有価証券 非上場有価証券 (5)2009 年及び 2008 年 3 月 31 日現在のその他有価証券のうち満期があるもの及び満期保有目的の債券の今後の償還予定は、以下の 通りです。 2009 年 3 月31 日に終了する連結会計年度 種類 単位:百万円 1 年以内 1 年超 5 年以内 5 年超 10 年以内 10 年超 ¥ ̶ 100 2 ¥102 ¥340 320 ¥̶ ¥660 ¥100 425 10 ¥535 1 年以内 1 年超 5 年以内 5 年超 10 年以内 10 年超 ̶ $3,461 3,258 $̶ 債券 (1)国債・地方債等 (2)社債 (3)その他 合計 ̶ 2009 年 3 月31 日に終了する連結会計年度 種類 ̶ ̶ ¥̶ 単位:千米ドル (注記 2) 債券 (1)国債・地方債等 $ (2)社債 1,018 15 $1,033 $6,719 $1,017 4,327 102 $5,446 1 年以内 1 年超 5 年以内 5 年超 10 年以内 10 年超 ¥409 213 1 ¥623 ¥281 400 ¥ ̶ 403 ¥̶ ̶ ̶ ̶ ¥681 ¥403 ¥̶ (3)その他 合計 ̶ 2008 年 3 月31 日に終了する連結会計年度 種類 ̶ ̶ $̶ 単位:百万円 債券 (1)国債・地方債等 (2)社債 (3)その他 合計 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 ̶ 71 5. たな卸資産 2009 年及び 2008 年 3 月 31 日現在のたな卸資産の内訳は、それぞれ以下の通りです。 単位:百万円 製品及び商品 販売用不動産 燃料油及び貯蔵品 その他 合計 単位:千米ドル (注記2) 2009 2008 2009 ¥ 4,005 1 28,075 775 ¥32,856 ¥ 5,054 1 48,799 503 ¥54,357 $ 40,772 12 285,812 7,885 $334,481 6. 有形固定資産 2009 年及び 2008 年 3 月 31 日現在の有形固定資産の内訳は、それぞれ以下の通りです。 単位:百万円 2009 2008 単位:千米ドル (注記2) 2009 有形固定資産(取得原価) 船舶 ¥1,353,666 152,500 28,171 74,154 25,387 59,952 295,424 12,488 2,001,742 (834,085) ¥1,167,657 建物及び構築物 航空機 機械装置及び運搬具 器具及び備品 土地 建設仮勘定 その他 合計 差引:減価償却累計額 有形固定資産(償却後簿価)合計 ¥1,263,183 158,917 51,841 90,449 27,654 61,287 296,040 14,398 1,963,769 (831,823) ¥1,131,946 $13,780,568 1,552,483 286,782 754,902 258,444 610,323 3,007,472 127,133 20,378,107 (8,491,142) $11,886,965 7. 圧縮記帳額 法人税法の規則及び日本公認会計士協会の意見書に従って、保 険金によって取得した有形固定資産の取得価額から控除されてい る保険差益等による圧縮記帳額は、2009 年及び 2008 年 3 月 31 日 72 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 現在、それぞれ 5,740 百万円(58,437 千米ドル)及び 5,930 百万円 です。 8. 短期有利子負債及び長期有利子負債 (1)2009 年及び 2008 年 3 月 31 日現在における短期借入金の平均利率は 1.27% 及び 2.29% です。 (2)2009 年及び 2008 年 3 月 31 日現在の長期有利子負債の内訳は、以下の通りです。 単位:百万円 単位:千米ドル (注記2) 2009 2008 2009 ¥688,559 ¥567,159 $7,009,661 9,956 ̶ 101,354 ̶ 15,000 20,000 30,000 15,000 20,000 20,000 30,000 10,000 10,000 203,604 305,405 152,703 203,604 203,604 305,405 101,802 101,802 銀行及びその他の金融機関からの借入金 2009 年 3 月31 日現在平均金利 1.70% 2008 年 3 月31 日現在平均金利 2.27% 返済期間 2010 年∼2031 年 リース債務 2009 年 3 月31 日現在平均金利 5.35% 返済期間 2010 年∼2021 年 普通社債、金利 0.52% 、償還期限 2009 年 2 月20 日 普通社債、金利 0.81% 、償還期限 2009 年 10 月16 日 普通社債、金利 1.67% 、償還期限 2012 年 6 月20 日 普通社債、金利 1.01% 、償還期限 2013 年 2 月21 日 普通社債、金利 1.58% 、償還期限 2014 年 6 月9 日 普通社債、金利 2.06% 、償還期限 2016 年 6 月22 日 普通社債、金利 2.05% 、償還期限 2017 年 6 月20 日 普通社債、金利 2.36% 、償還期限 2024 年 6 月7 日 普通社債、金利 2.65% 、償還期限 2026 年 6 月22 日 2026 年満期ユーロ円建現金決済条項及び転換制限条項付転換社債型 新株予約権付社債、償還期限 2026 年 9 月24 日 ユーロ円建普通社債、変動/固定金利、償還期限 2008 年 小計 1 年以内返済/償還予定金額 合計 20,000 30,000 15,000 20,000 20,000 30,000 10,000 10,000 56,197 ̶ 909,712 (97,997) ¥811,715 ̶ 572,100 56,266 1,000 794,425 (95,184) ¥699,241 ̶ 9,261,044 (997,631) $8,263,413 銀行及び他の金融機関からの長期借入金、転換社債型新株予約権付社債、普通社債並びにリース債務の 2009 年 3 月31 日現在の年度 別返済/償還予定金額は、以下の通りです。 3 月31 日に終了する連結会計年度 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年以降 合計 単位:百万円 単位:千米ドル (注記2) $1,168,938 564,226 867,322 925,977 4,736,950 $8,263,413 ¥114,825 55,424 85,197 90,959 465,310 ¥811,715 新株予約権付社債に関する記載は次の通りです。 2026 年満期ユーロ円建現金決済条項及び 転換制限条項付転換社債型新株予約権付社債 発行すべき株式 普通株式 新株予約権の発行価額 株式の発行価格 発行価額の総額 ̶ 843 円(8.58ドル(注記 2)) 55,000 百万円(559,910 千米ドル(注記2)) 新株予約権の行使により発行した株式の発行価額の総額 ̶ 新株予約権の付与割合( % ) 新株予約権の行使期間 100 自 2006 年 10 月 4 日 至 2026 年 9 月 10 日 社債を社債金額より高い価額で発行したため、当期末残高は償却原価法に基づいて算定しております。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 73 9. 担保資産及び担保付債務 2009 年 3 月 31 日現在、短期借入金、1 年以内返済予定の長期有利子負債、長期有利子負債等の担保として供している資産は、以下 の通りです。 担保資産 単位:百万円 船舶 単位:千米ドル (注記2) ¥51,098 4,966 1,897 5,375 7,094 4,166 ¥74,596 建物及び構築物 航空機 土地 投資有価証券 その他 合計 担保付債務 単位:百万円 短期借入金及び 1 年以内返済予定の長期有利子負債 $520,187 50,553 19,314 54,720 72,219 42,409 $759,402 単位:千米ドル (注記2) ¥12,195 21,434 240 ¥33,869 長期有利子負債 その他 合計 $124,148 218,197 2,445 $344,790 10. 法人税等 (1)2009 年及び 2008 年 3 月 31 日現在の繰延税金資産・負債の主要な内訳は、以下の通りです。 単位:百万円 2009 単位:千米ドル (注記2) 2009 2008 繰延税金資産 賞与引当金 退職給付引当金 有価証券評価損 固定資産評価損 固定資産減損損失 繰越欠損金 未実現固定資産売却益 特別修繕引当金 未払費用 繰延ヘッジ損失 その他 繰延税金資産小計 評価性引当額 繰延税金資産合計 ¥ 2,989 5,326 3,190 1,172 11,286 52,545 4,322 4,341 2,838 18,528 9,920 116,457 (57,577) 58,880 ¥ 3,328 6,878 2,674 1,572 7,028 29,242 4,576 1,927 2,513 10,537 10,845 81,120 (38,547) 42,573 $ 30,426 54,221 32,478 11,935 114,896 534,913 43,997 44,186 28,894 188,619 100,988 1,185,553 (586,142) 599,411 (3,754) (6,390) (8,527) (5,389) (9) (2,573) (6,281) (32,923) ¥ 25,957 (3,754) (49,308) (7,508) (6,556) (108) (5,799) (9,299) (82,332) ¥(39,759) (38,220) (65,051) (86,810) (54,857) (89) (26,194) (63,943) (335,164) $ 264,247 繰延税金負債 退職給付信託設定益 その他有価証券評価差額金 減価償却費 法人税目的積立金 未実現固定資産売却損 繰延ヘッジ利益 その他 繰延税金負債合計 繰延税金資産(負債)の純額 74 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 (2)法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との差異の原因となった主な項目別の内訳は、以下の通りです。 法定実効税率 2009 2008 37.5% 37.5% 0.9 3.3 (2.0) 3.3 (3.2) 28.5 (36.3) (7.9) 0.4 24.5% 0.3 (調整) のれん償却額 のれん減損額 持分法による投資利益 交際費等永久に損金に算入されない項目 受取配当金等永久に益金に算入されない項目 評価性引当額の増減 関係会社株式評価損 海外子会社免税額 その他 税効果会計適用後の法人税等の負担率 ̶ (2.1) 1.2 (0.8) 2.7 ̶ ̶ 2.1 40.9% 11. 純資産 連結財務諸表には、日本の会社法が適用されています。 (1)配当 会社法では定時株主総会での決議による配当に加えて 、事 (2)資本 会社法では、利益準備金と資本準備金の合計が資本の 25% になるまで、配当の 10%を利益剰余金の内訳である利益準備 業年度中のいつでも配当を実施することができます。 金もしくは、資本剰余金の内訳である資本準備金として積み立 以下の要件(①取締役会の設置、②会計監査人の設置、③ てることとなりました。 監査役会の設置、④取締役の任期をその選任後 1 年以内の最 会社法では、資本準備金及び利益準備金の全額が資本剰余 終の決算期に関する定時総会の終結の時までとしていること) 金及び利益剰余金にそれぞれ振り替えることができ、これらを を満たす会社においては、定款に記載することにより取締役 配当原資とすることができます。 会決議により配当を行うことができます。 また 、会社法では株主総会の決議によって一定の条件の下 また会社法では一定の要件を満たした場合、現物配当を実 に資本の部の計数を変動させることができます。 施することができます。 (3)自己株式及び自己新株予約権 取締役会決議で中間配当を実施する旨を定款で規定するこ 会社法では、取締役会決議により自己株式を取得すること ともできます。 及び処分することを認めています。但し、自己株式取得額は、 配当、自己株式の取得においては資本剰余金及び利益剰余 剰余金の分配可能額を超えることはできません。 金に一定の制限の規定があり、配当可能利益の範囲内で認め 会社法では、新株予約権を純資産の部に独立掲記しています。 られますが、配当後の純資産額を300 万円以上に維持する必 また 、会社法では自己株式及び自己新株予約権を購入でき 要があります。 る旨を規定し、自己新株予約権は純資産の部の新株予約権に 独立掲記するか、控除することとしています。 ( A )発行済株式に関する事項 2009 年及び 2008 年 3 月 31 日に終了する連結会計年度における発行済株式の増減は下記の通りです。 普通株式(千株) 2008 年 3 月31 日現在 増加株式数 減少株式数 2009 年 3 月31 日現在 自己株式(千株) 1,230,188 ̶ ̶ 1,230,188 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 2,182 421 (227) 2,376 75 ( B )配当に関する事項 (1)2009 年 3 月 31 日に終了する連結会計年度に支払われた配当金総額は下記の通りです。 単位:百万円 2008 年 6 月24 日定時株主総会決議 単位:千米ドル (注記2) ¥14,737 15,962 ¥30,699 2008 年 10 月27 日取締役会決議 合計 $150,021 162,498 $312,519 (2)2009 年 3 月 31 日現在の利益剰余金に含まれ、配当の効力発生日が翌連結会計年度となるものは下記の通りです。 単位:百万円 2009 年 6 月23 日定時株主総会決議 単位:千米ドル (注記2) ¥2,456 ¥2,456 合計 $25,000 $25,000 12. 減損損失 当社及び連結子会社は、原則として事業資産においては管理会 当連結会計年度において 、売却予定資産については売却予定 計上の区分であり且つ投資の意思決定を行う事業ごとにグルーピ 価額が帳簿価額を下回ることにより、また賃貸不動産及び遊休資 ングを行い、賃貸不動産、売却予定資産及び遊休資産等において 産等については地価の下落等により、事業資産については業績の は個別物件ごとにグルーピングを行っています。 低迷等により、収益性が著しく悪化した資産グループについて、帳 簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失 27,050 百万円(275,375 千米ドル) として計上しました。 その内訳は、以下の通りです。 場所 用途 種類 千葉県成田市他 貨物運送、遊休資産 建物、航空機、機械装置、のれん等 その他 主に貨物輸送、売却予定資産 船舶、建物等 合計 単位:百万円 単位:千米ドル (注記2) ¥25,745 1,305 ¥27,050 $262,092 13,283 $275,375 場所ごとの減損損失の内訳 単位:百万円 千葉県成田市他 その他 ¥ 25,745 ¥2,396、航空機 ¥7,835、機械装置 ¥2,833、のれん ¥6,889、その他 ¥5,792) ¥ 1,305 (内、船舶 ¥831、建物 ¥231、その他 ¥243) (内、建物 単位:千米ドル (注記 2) 千葉県成田市他 その他 $262,092 (内、建物 $24,395、航空機 $79,763、機械装置 $28,844、のれん $70,135、その他 $58,955) $ 13,283 (内、船舶 $8,467、建物 $2,343、その他 $2,473) なお、当資産グループの回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い価額としています。正味売却価額は不動産鑑定士 による鑑定評価額等により評価し、使用価値は将来キャッシュ・フローを主として 3.1% で割り引いて算定しています。 13. ソフトウエア開発費用 当社定期船事業の業務システム OSCAR は2008 年11 月の北米 航路への導入をもって全世界展開が完了しましたが、展開の完了 に伴い費用削減効果をあらためて確認したところ、当初見込んで 76 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 いた費用削減効果はないと認められるに至りましたので 、当該ソ フトウエア開発費用を損失処理しております。 14. 契約債務及び偶発債務 (1)当社及び連結子会社による2009 年 3 月 31 日現在の契約債務 ドル)です。 残高は、船舶建造に係る555,105 百万円(5,651,071 千米ド 2009 年 3 月 31 日現在の受取手形の割引及び裏書、債務保 ル)、航空機購入に係る377,517 百万円(3,843,190 千米ドル) 証及び連帯債務に係る偶発債務は、以下の通りです。 及びその他の設備購入にかかわる2,994 百万円( 30,481 千米 単位:百万円 受取手形割引高及び裏書譲渡高 ¥ 7 104,755 11,701 ¥116,463 債務保証 連帯債務 合計 (2)以下に示す連結子会社がそれぞれ船舶に関して締結している 単位:千米ドル (注記2) $ 72 1,066,428 119,120 $1,185,620 は以下の通りであり、当該オペレーティング・リ−ス契約の購入 オペレ−ティング・リース契約には残価保証の条項が含まれて 選択権を行使せずにリ−ス資産を返却することを選択した場合 います。残価保証による潜在的な最大支払額及びその支払月 に支払を実行する可能性があります。 最大支払額 連結子会社 NYK Orion Corporation NYK Terra Corporation Raja Maritima S.A. NYK Theseus Corporation NYK Triton Corporation Moet Shipholding S.A. (3)連結子会社である日本貨物航空(株)が航空機に関して締結し ているオペレ−ティング・リース契約の一部には残価保証の条 単位:百万円 単位:千米ドル (注記2) ¥2,549 3,375 811 2,089 2,125 5,041 残価支払月 2018 年 3 月 2018 年 7 月 2018 年 9 月 2018 年 11 月 2018 年 12 月 2014 年 3 月 $25,951 34,365 8,257 21,267 21,639 51,322 の調査を受けております。 また 、上記に関連して 、米国において 、日本貨物航空(株) 項が含まれています。残価保証による潜在的な最大支払額は は、請求金額を特定しないまま損害賠償請求訴訟(集団訴訟) 17,100 百万円(174,081 千米ドル)であり、リース期間終了後 を提起されております。 に当該リース資産を返却することを選択した場合に支払いを実 このうち、米欧当局の調査については、当連結会計年度よ 行する可能性があります。なお、当該オペレーティング・リース り引当金を計上しております。その他の調査及び訴訟の結果 契約は 2013 年 12 月までの間に終了します。 (4)世界各国の主要航空会社は航空貨物輸送に関わる価格カルテ ル等に関連して米欧当局の調査を受けており、連結子会社で は、日本貨物航空(株)の経営成績に影響を及ぼす可能性もあ りますが、現在においても調査が進行中であり、それらの結果 を合理的に予測することは困難であります。 ある日本貨物航空(株) も米国、欧州委員会及び韓国の各当局 15. キャッシュ・フロー計算書 株式の売却により3 社を連結の範囲から除外したことに伴い除外された資産および負債の内訳は次の通りです。 単位:百万円 流動資産 固定資産 資産合計 流動負債 固定負債 負債合計 単位:千米ドル (注記2) 2009 2009 ¥ 1,547 9,792 ¥11,339 ¥23,585 2,760 ¥26,345 $ 15,751 99,685 $115,436 $240,098 28,104 $268,202 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 77 16. リー ス取引の会計処理 リ−ス取引開始日が2008 年 3 月31 日以前のものについては、通常 注記 3.Jに記載しましたとおり、リ−ス物件の所有権が借主に移 の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理によっています。 転すると認められるもの以外のファイナンス・リース取引のうち、 (1)リース取引開始日が 2008 年 3 月 31 日以前である、通常の賃貸借取引として会計処理したファイナンス・リース (借主側) a. 2009 年及び 2008 年 3 月31 日現在のリース物件を資産に計上していたと仮定した場合の連結貸借対照表に計上される取得価額相当 額、減価償却累計額相当額、減損損失累計額相当額及び期末残高相当額(利息相当額を含む)は、以下の通りです。 単位:百万円 取得価額 減価償却累計額相当額 船舶 航空機 ¥5,408 3,229 ¥29,427 8,991 5,442 14,994 減損損失累計額相当額 期末残高相当額 ̶ 2,179 2009 器具及び 備品 その他 合計 船舶 ¥69,567 37,788 ¥1,393 801 ¥105,795 50,809 5,442 49,544 ¥5,516 2,897 ̶ ̶ 31,779 592 2008 航空機 器具及び 備品 その他 合計 ¥29,427 6,539 ¥74,938 34,527 ¥2,091 985 ¥111,972 44,948 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 2,619 22,888 40,411 1,106 67,024 単位:千米ドル (注記 2) 船舶 取得価額 減価償却累計額相当額 減損損失累計額相当額 期末残高相当額 航空機 器具及び 備品 2009 その他 合計 $55,054 $299,574 $708,203 $14,176 $1,077,007 32,876 91,531 384,687 8,153 517,247 ̶ ̶ ̶ 55,397 55,397 22,178 152,646 323,516 6,023 504,363 b. 2009 年 3 月 31 日現在の利息相当額を含む未経過リース料期末残高相当額及びリース資産減損勘定期末残高は、以下の通りです。 単位:百万円 1 年以内 1 年超 ¥ 9,905 41,083 ¥50,988 ¥ 5,442 合計 リース資産減損勘定期末残高 単位:千米ドル (注記2) $100,840 418,228 $519,068 $ 55,397 c. 2009 年および 2008 年 3 月 31 日に終了した連結会計年度の支払リース料、減価償却費相当額、支払利息相当額及び減損損失は、 以下の通りです。 単位:百万円 支払リース料 減価償却費相当額 支払利息相当額 減損損失 78 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 単位:千米ドル (注記2) 2009 2008 2009 ¥11,753 11,379 1,174 5,442 ¥13,429 11,843 1,552 $119,650 115,837 11,956 55,397 ̶ d. 減価償却費相当額の算定方法 リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとする定額法によっています。 e. 利息相当額の算定方法 リース料総額とリース物件の取得価額相当額との差額を利息相当額とし、各期への配分方法については利息法によっています。 (2)オペレーティング・リース取引 (借主側) 2009 年 3 月 31 日現在の未経過リース料期末残高は、以下の通りです。 単位:百万円 1 年以内 1 年超 合計 ¥ 69,416 390,869 ¥460,285 単位:千米ドル (注記2) $ 706,670 3,979,120 $4,685,790 (貸主側) 2009 年 3 月 31 日現在の未経過リース料期末残高は、以下の通りです。 単位:百万円 1 年以内 1 年超 合計 ¥1,362 3,287 ¥4,649 単位:千米ドル (注記2) $13,863 33,462 $47,325 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 79 17. デリバティブ取引 (1)取引の内容、取引に対する取組方針及び取引の利用目的 当社及び連結子会社は、営業活動を遂行する上で必要な資金に d. ヘッジの有効性評価の方法 ヘッジ 対 象とヘッジ 手 段 の 相 場 変 動 又 はキャッシュ・フ ついて様々 な金融手段を利用しており、また債権・債務全体に占 ロー変動の累計の比率分析を行います。 める外貨建の割合も大きなものとなっているため、必然的に発生 ただし、特例処理によっている金利スワップ及び金利キャッ する金利変動や為替変動等のリスクを回避・管理する目的でデリバ プについては、有効性の評価を省略しています。 ティブ取引を利用しています。具体的には、借入金、社債等に係る 金利変動リスクを回避するために金利スワップ、金利キャップ等 (2)デリバティブ取引に係るリスクの内容 を、外貨建の債権・債務に係る為替変動リスクを回避するために為 デリバティブ取引には、将来の市場価格(為替・金利・株価等)の 替先物予約、通貨スワップ等を、燃料油、傭船料の価格変動リスク 変動によって発生する損失に係る市場リスクと、取引の相手方が倒 等を回避するために燃料油スワップ、運賃(傭船料)先物取引等を 産等により当初の契約通りに取引を履行できなくなった場合に発生 利用していますが、売買差益を目指すようなトレーディング目的や する損失に係る信用リスクがあります。当社及び連結子会社の利 投機目的のためのデリバティブ取引は行っていません。 用しているデリバティブ取引は、基本的に特定の債権・債務を対象 なお、デリバティブ取引に係るヘッジ会計についての方法等は、 にしており、デリバティブ取引と債権・債務とが互いに市場リスク を減殺する働きをするためデリバティブ取引の時価の変動による 以下の通りです。 重要なリスクはありません。また、取引相手として信用度の高い金 融機関等と取引を行っており信用リスクもほとんどないものと考え a. ヘッジ会計の方法 当社及び連結子会社は、主として繰延ヘッジ処理を採用して ています。 おり、ヘッジとして有効なデリバティブ金融商品を時価評価し、 評価損益を繰り延べています。会計基準に基づく所定の要件 (3)取引に係るリスク管理体制 を満たす為替予約及び通貨スワップについては、ヘッジ対象 当社及び連結子会社のデリバティブ取引は、 「金融商品を用いた とされた外貨建債権・債務を予約相場で換算しています。ま リスク管理に関する規程」等に定められている社内承認規定等に た、会計基準に基づく所定の要件を満たしている金利スワップ 基づき主として経理関連担当部門で管理されています。また、不 及び金利キャップについては契約に基づく当該金利の受取・支 正な取引が行われないように、取引の実行と管理は異なる担当者 払差額をヘッジ対象の金融資産・負債の受取・支払利息に含め により行われています。デリバティブ取引の契約額等の情報は定 ています。 期的に担当取締役に報告されることになっており、必要に応じて 取締役会に報告されます。 b. 主なヘッジ手段とヘッジ対象 主なヘッジ対象 通貨スワップ 外貨建借入金、外貨建社債 金利スワップ 借入金、社債、貸付金 換金利を計算するための算出基礎であり、実際の交換金額を表す 燃料油スワップ 燃料油購入価格 ものではないため、当社及び連結子会社における市場リスク・信 為替予約 外貨建予定取引 用リスクを測る指標とはなりません。 c. ヘッジ方針 「金融商品を用いたリスク管理に関する規程」等の内部規定 に基づき、ヘッジ対象に係る相場変動等のリスクを相殺する ヘッジ取引を行います。 80 (4) 「取引の時価等に関する事項」に係る補足説明 主なヘッジ手段 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 金利スワップ取引、通貨スワップ取引における契約額等は、交 (5)取引の時価等に関する事項(2009 年及び 2008 年 3 月 31 日現在) 単位:百万円 2009 契約額等 評価益(損) 単位:千米ドル (注記 2) 2009 2008 契約額等 評価益(損) 契約額等 評価益(損) 1. 通貨関連取引 為替予約取引: 米ドル買円売 米ドル売円買 ユーロ買円売 ¥ 1,371 3,684 306 ユーロ売円買 ̶ 米ドル買ユーロ売 188 1,913 シンガポールドル買米ドル売 ¥ 3 ̶ (1) ̶ (5) 27 香港ドル買円売 ̶ ̶ タイバーツ買円売 ̶ ̶ 1,874 18 403 96 ̶ ̶ その他 ¥ 838 7,029 448 1,092 ¥ (7) 55 5 8 ̶ ̶ ̶ ̶ 180 56 1,654 $ 13,959 37,500 3,118 $ ̶ (6) ̶ ̶ 1,915 19,478 (50) 270 ̶ (3) (1) (1) 31 ̶ ̶ ̶ 19,077 188 4,098 982 ̶ ̶ 通貨スワップ取引: 受取円・支払米ドル 受取香港ドル・支払米ドル 1,264 997 257 2 2. 金利関連取引 金利スワップ: 受取固定・支払変動 受取変動・支払固定 ¥26,909 66,919 ¥(909) 221 ¥59,571 67,808 ¥ 1,250 (2,272) $273,937 681,248 $(9,249) 2,254 ¥ 351 574 ¥ (69) 291 ¥ 1,515 1,239 ¥ $ 3,575 5,844 $ (698) 2,967 80 (5) ̶ 818 (48) 3. 商品関連取引 運賃(傭船料)先物取引: 傭船料買建 傭船料売建 (69) (1,634) 燃料油スワップ: 受取変動・支払固定 ̶ (注)1. 為替予約取引における連結会計年度末の時価は、先物相場を使用しています。 2. 通貨スワップ取引、金利スワップ取引、運賃(傭船料)先物取引及び燃料油スワップにおける連結会計年度末の時価は取引先金融機関等から提示された価格等に基づき 算定しています。 3. ヘッジ会計が適用されているものについては、上記の開示対象から除いています。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 81 18. 退職給付の会計処理 (1)退職給付制度の概要 当社及び国内連結子会社は、確定給付型の制度として、確定給 付企業年金制度、適格退職年金制度、厚生年金基金制度及び退職 一時金制度を設けています。 当社は、2007 年4 月1日付けで、税制適格退職年金制度を中心と する退職給付制度から確定給付企業年金制度へ移行しています。 また、一部の在外連結子会社でも確定拠出型あるいは確定給付 型の制度を設けています。 (2)退職給付債務に関連する事項(2009 年及び 2008 年 3 月 31 日現在) 単位:百万円 2009 退職給付債務 年金資産 未積立退職給付債務 ¥(86,700) 79,860 (6,840) ¥ (90,464) 118,117 27,653 未認識年金資産 ̶ ̶ 会計基準変更時差異の未処理額 ̶ ̶ 未認識数理計算上の差異 未認識過去勤務債務 連結貸借対照表計上額純額 前払年金費用 退職給付引当金 単位:千米ドル (注記2) 2009 2008 11,934 2,495 7,589 23,650 ¥(16,061) (27,568) 2,900 2,985 18,842 ¥ (15,857) $(882,623) 812,992 (69,631) ̶ ̶ 121,491 25,400 77,260 240,762 $(163,502) (3)退職給付費用に関する事項(2009 年及び 2008 年 3 月 31 日に終了した連結会計年度) 単位:百万円 2009 勤務費用 利息費用 期待運用収益 ¥ 4,948 1,839 (1,401) 会計基準変更時差異の費用処理額 数理計算上の差異の費用処理額 過去勤務債務の費用処理額 退職給付費用 単位:千米ドル (注記2) 2009 2008 ¥ 4,541 1,908 (1,611) ̶ $ 50,370 18,724 (14,268) ̶ (3,873) 429 ¥ 1,942 (3,811) 422 ¥ 1,449 ̶ (39,427) 4,370 $ 19,769 (注)上記退職給付費用以外に、一部の連結子会社における確定拠出型の退職給付費用として 2009 年及び 2008 年 3 月31 日に終了した連結会計年度においてそれぞれ 1,981 百万円( 20,615 千米ドル)及び 1,559 百万円を計上しています。また、上記退職給付費用以外に、一部の国内連結子会社は総合設立の厚生年金基金への要拠出額を退 職給付費用として処理しています。 (4)退職給付債務等の計算の基礎に関する事項(2009 年及び 2008 年 3 月 31 日現在) 退職給付見込額の期間配分方法 割引率 2009 2008 期間定額基準 期間定額基準 主として 2.0% 主として 2.0% 主として 2.0%–3.0% 主として 2.0%–3.0% 過去勤務債務の額の処理年数 主として 8 年 主として 8 年 数理計算上の差異の処理年数 主として 8 年 主として 8 年 期待運用収益率 82 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 19. 事業の種類別セグメント情報 当社及び連結子会社は、定期船事業、不定期専用船事業、物流事業、ターミナル関連事業、客船事業、航空運送事業、不動産業、そ の他の事業の 8 部門に属する事業を行っています。 以下の表は、2009 年および 2008 年 3 月 31 日に終了した連結会計年度のセグメント情報を表しています。 2009 年 3 月31日に終了した連結会計年度 定期船事業 単位:百万円 不定期 専用船事業 物流事業 ターミナル 関連事業 客船事業 航空運送 事業 不動産業 その他の 事業 消去又は 全社 計 連結 I 売上高及び営業損益 売上高 (1)外部顧客に 対する売上高 (2)セグメント間の 内部売上高又は振替高 計 営業費用 営業利益 ̶ ¥589,710 ¥1,081,267 ¥445,576 ¥100,690 ¥44,191 ¥ 70,537 ¥ 9,104 ¥ 88,898 ¥2,429,973 ¥ ¥2,429,973 5,662 5,819 595,372 1,087,086 619,701 914,290 ¥ (24,329) ¥ 172,796 2,563 448,139 443,252 ¥ 4,887 31,320 132,010 125,950 ¥ 6,060 10 44,201 42,883 ¥ 1,318 8,896 79,433 97,340 ¥ (17,907) 2,612 11,716 8,103 ¥ 3,613 118,985 175,867 207,883 2,605,840 209,416 2,460,935 ¥ (1,533) ¥ 144,905 ̶ (175,867) (175,867) 2,429,973 (175,877) 2,285,058 ¥ 10 ¥ 144,915 ¥197,618 7,286 79 5,161 ¥131,854 5,737 ¥39,769 1,787 ¥ 71,430 1,825 25,745 47,146 ¥51,215 1,123 ¥492,525 ¥2,528,226 2,015 100,132 150 27,050 2,546 417,555 ¥(456,955) ¥2,071,271 (8) 100,124 ̶ 27,050 ̶ 417,555 その他の 事業 消去又は 全社 II 資産、減価償却費、減損損失及び資本的支出 資産 減価償却費 減損損失 資本的支出 ¥298,419 ¥1,245,396 11,006 69,353 ̶ 1,076 117,613 234,557 ̶ ̶ 7,564 2,181 ̶ 787 単位:千米ドル(注記 2) 客船事業 航空運送 事業 不動産業 $6,003,357 $11,007,507 $4,536,045 $1,025,041 $449,872 $ 718,080 $ 92,681 $ 905,002 $24,737,585 $ 57,640 59,236 26,096 318,844 6,060,997 11,066,743 4,562,141 1,343,885 6,308,671 9,307,646 4,512,395 1,282,194 $ (247,674) $ 1,759,097 $ 49,746 $ 61,691 103 449,975 436,562 $ 13,413 90,560 808,640 990,941 $(182,301) 26,587 1,211,294 1,790,360 119,268 2,116,296 26,527,945 82,487 2,131,890 25,052,786 $ 36,781 $ (15,594) $ 1,475,159 $404,852 18,193 $ 727,169 18,572 262,091 479,952 $521,375 $5,013,995 $25,737,817 $(4,651,889) $21,085,928 11,433 20,516 1,019,363 (81) 1,019,282 ̶ ̶ 1,527 275,375 275,375 ̶ 4,250,792 8,014 25,915 4,250,792 定期船事業 不定期 専用船事業 物流事業 ターミナル 関連事業 計 連結 I 売上高及び営業損益 売上高 (1)外部顧客に 対する売上高 (2)セグメント間の 内部売上高又は振替高 計 営業費用 営業利益 ̶ $24,737,585 ̶ (1,790,360) (1,790,360) 24,737,585 (1,790,460) 23,262,326 $ 100 $ 1,475,259 II 資産、減価償却費、減損損失及び資本的支出 資産 減価償却費 減損損失 資本的支出 $3,037,963 $12,678,366 $2,011,792 $1,342,305 112,041 706,029 74,171 58,408 ̶ ̶ 10,951 806 1,197,325 2,387,835 52,544 77,000 ̶ 22,207 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 83 (1)事業区分の方法については、役務の種類・性質の類似性に経 (2)当連結会計年度の資産のうち、消去又は全社の項目に含めた 営組織との一体性を加味して区分しておりますが、経営管理 全社資産の金額は、23,236 百万円(236,549 千米ドル)であ 上採用している区分に合わせる為に、従来「その他の事業」に り、その主なものは、当社での余資運用資金(現金及び預金) 含めて表示しておりました旅行業を当連結会計年度から「物流 等であります。 事業」に含める事と致しました。 2008 年 3 月31日に終了した連結会計年度 単位:百万円 定期船事業 不定期 専用船事業 物流事業 ターミナル 関連事業 ¥660,289 6,169 666,458 654,865 ¥ 11,593 客船事業 航空運送 事業 ¥1,032,406 ¥524,248 6,704 1,039,110 860,659 ¥ 178,451 ¥1,290,192 59,211 不動産業 その他の 事業 ¥115,192 ¥46,713 2,689 526,937 510,890 ¥ 16,047 36,168 151,360 140,272 ¥ 11,088 ̶ 46,713 41,417 ¥ 5,296 ¥247,500 7,689 104 9,537 ¥148,754 6,269 267 7,083 消去又は 全社 計 ¥ 92,218 ¥ 9,049 ¥104,511 ¥2,584,626 10,397 102,615 124,662 ¥ (22,047) 2,471 11,520 8,046 ¥ 3,474 100,582 165,180 205,093 2,749,806 206,926 2,547,737 ¥ (1,833) ¥ 202,069 ̶ (165,180) (165,180) 2,584,626 (165,190) 2,382,547 ¥ 10 ¥ 202,079 ¥109,244 4,780 6,893 50,958 ¥61,361 947 ¥546,136 2,062 35 1,952 ¥(478,580) ¥2,286,013 (9) 92,401 ̶ 7,299 ̶ 501,330 連結 I 売上高及び営業損益 売上高 (1)外部顧客に 対する売上高 (2)セグメント間の 内部売上高又は振替高 計 営業費用 営業利益 ̶ ¥ ¥2,584,626 II 資産、減価償却費、減損損失及び資本的支出 資産 ¥317,102 9,535 減価償却費 減損損失 資本的支出 ̶ ̶ 135,100 291,822 ¥44,304 1,917 ̶ 1,540 ̶ 3,338 ¥2,764,593 92,410 7,299 501,330 2008 年 3 月 31 日に終了した連結会計年度の資産のうち、消去又は全社の項目に含めた全社資産の金額は、17,592 百万円であり、そ の主なものは、当社での余資運用資金(現金及び預金)等であります。 20. 所在地別セグメント情報 各セグメントに属する主な国又は地域は以下の通りです。 北米: 米国、カナダ 欧州: 英国、ドイツ、オランダ、イタリア、フランス、ベルギー アジア: シンガポール、タイ、香港、中国 その他の地域: オーストラリア 以下の表は、2009 年および 2008 年 3 月 31 日に終了した連結会計年度のセグメント情報を表しています。 単位:百万円 2009 年 3 月31日に終了した連結会計年度 I 日本 北米 欧州 アジア その他 計 消去又は全社 連結 ¥1,840,127 ¥172,614 ¥273,163 ¥133,573 ¥10,496 ¥2,429,973 ¥ 41,219 1,881,346 1,782,327 ¥ 99,019 ¥1,748,962 36,271 208,885 201,433 ¥ 7,452 ¥ 94,521 18,230 291,393 268,066 ¥ 23,327 ¥323,854 18,300 151,873 137,942 ¥ 13,931 ¥282,548 3,020 13,516 12,807 ¥ 709 ¥ 8,144 117,040 2,547,013 2,402,575 ¥ 144,438 ¥2,458,029 ̶ (117,040) (117,040) 2,429,973 (117,517) 2,285,058 ¥ 477 ¥ 144,915 ¥(386,758) ¥2,071,271 売上高及び営業損益 売上高 (1)外部顧客に対する売上高 (2)セグメント間の内部売上高 又は振替高 計 営業費用 営業利益 II 資産 84 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 ̶ ¥2,429,973 単位:千米ドル(注記 2) 2009 年 3 月31日に終了した連結会計年度 I 日本 北米 欧州 アジア その他 計 消去又は全社 $18,732,835 $1,757,242 $2,780,854 $1,359,799 $106,855 $24,737,585 $ 419,616 19,152,451 18,144,433 $ 1,008,018 $17,804,764 369,246 2,126,488 2,050,624 $ 75,864 $ 962,243 185,590 2,966,444 2,728,963 $ 237,481 $3,296,888 186,297 1,546,096 1,404,275 $ 141,821 $2,876,392 30,740 1,191,489 (1,191,489) 137,595 25,929,074 (1,191,489) 130,376 24,458,671 (1,196,345) $ 7,219 $ 1,470,403 $ 4,856 $ 82,909 $25,023,196 $(3,937,268) 連結 売上高及び営業損益 売上高 (1)外部顧客に対する売上高 (2)セグメント間の内部売上高 又は振替高 計 営業費用 営業利益 II 資産 ̶ $24,737,585 ̶ 24,737,585 23,262,326 $ 1,475,259 $21,085,928 当連結会計年度の資産のうち、消去又は全社の項目に含めた全社資産の金額は、23,236 百万円(236,549 千米ドル)であり、その主な ものは、当社での余資運用資金(現金及び預金)等であります。 単位:百万円 2008 年 3 月31日に終了した連結会計年度 I 日本 北米 欧州 アジア その他 計 消去又は全社 連結 ¥1,975,820 ¥207,260 ¥248,950 ¥142,064 ¥10,532 ¥2,584,626 ¥ ̶ ¥2,584,626 23,698 1,999,518 1,844,989 ¥ 154,529 ¥1,902,301 40,244 247,504 231,459 ¥ 16,045 ¥101,103 18,840 267,790 246,719 ¥ 21,071 ¥345,618 15,684 157,748 148,015 ¥ 9,733 ¥305,358 3,545 14,077 13,586 ¥ 491 ¥11,280 102,011 2,686,637 2,484,768 ¥ 201,869 ¥2,665,660 (102,011) (102,011) (102,221) ¥ 210 ¥(379,647) 2,584,626 2,382,547 ¥ 202,079 ¥2,286,013 売上高及び営業損益 売上高 (1)外部顧客に対する売上高 (2)セグメント間の内部売上高 又は振替高 計 営業費用 営業利益 II 資産 ̶ 2008 年 3 月 31 日に終了した連結会計年度の資産のうち、消去又は全社の項目に含めた全社資産の金額は、17,592 百万円であり、そ の主なものは、当社での余資運用資金(現金及び預金)等であります。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 85 21. 海外売上高 各区分に属する主な国または地域は以下の通りです。 北米: 米国、カナダ 欧州: 英国、ドイツ、フランス、イタリアなど欧州各国 アジア: 東南アジア、東アジア、南西アジア、中近東各国 その他の地域: オセアニア、中南米、アフリカ各国 以下の表は、2009 年および 2008 年 3 月 31 日に終了した連結会計年度の海外売上高を表しています。 単位:百万円 2009 年 3 月31日に終了した連結会計年度 I 海外売上高 北米 欧州 アジア その他の地域 計 ¥585,073 ¥525,587 ¥548,706 ¥395,820 ¥2,055,186 2,429,973 84.6 II 連結売上高 III 連結売上高に占める海外売上高の割合( % ) ̶ ̶ ̶ ̶ 24.1 21.6 22.6 16.3 単位:千米ドル (注記 2) 北米 欧州 アジア I 海外売上高 $5,956,154 $5,350,576 $5,585,927 II 連結売上高 ̶ ̶ ̶ 24.1 21.6 22.6 III 連結売上高に占める海外売上高の割合( % ) その他の地域 16.3 84.6 単位:百万円 2008 年 3 月31日に終了した連結会計年度 I 海外売上高 計 $4,029,528 $20,922,185 ̶ 24,737,585 北米 欧州 アジア ¥661,493 ¥533,395 ¥552,613 II 連結売上高 III 連結売上高に占める海外売上高の割合( % ) その他の地域 ¥427,898 ̶ ̶ ̶ ̶ 25.6 20.6 21.4 16.6 計 ¥2,175,399 2,584,626 84.2 22. 関連当事者情報 当連結会計年度から「関連当事者の開示に関する会計基準」 (会計基準委員会 平成 18 年 10 月17 日 企業会計基準第 11 号)及び「関連 当事者の開示に関する会計基準の適用指針」 (企業会計基準委員会 平成18 年10月17日 企業会計基準適用方針第13 号) を適用しています。 なお、これによる開示対象の変更はありません。 2009 年及び 2008 年 3 月 31 日に終了した連結会計年度における関連当事者との取引は以下の通りです。 単位:百万円 債務保証等 単位:千米ドル (注記2) 2009 2008 2009 ¥33,909 ¥40,818 $345,196 23. 後発事象 (1)剰余金の処分 2009 年 6 月 23 日、当社の株主総会で下記の剰余金の処分が承認されました。 単位:百万円 現金配当、1 株当たり¥2.0( $0.02) ¥2,456 単位:千米ドル (注記2) $25,000 (2)当社及び太平洋海運㈱は、太平洋海運㈱の緊急の資金需要に 式数79,700 千株) の実施、及び株式交換による太平洋海運㈱の 応じてその財務基盤を強化した上で 、迅速に太平洋海運㈱の 完全子会社化の方針について決議し、完全子会社化に関する 86 事業体制及び事業計画の見直しを行うために太平洋海運㈱を 基本合意書を締結しております。上記第三者割当増資につい 当社の完全子会社化とすることが、当社グループの企業価値 て、当社は、同年6 月12日に全ての払込を完了しております。な の向上に資すると考え、2009 年 5 月 28 日に開催した両社の取 お、太平洋海運㈱の完全子会社化については、今後、国内外の 締役会において 、太平洋海運㈱による当社を割当先とした第 法規制、市場環境等を勘案して株式交換以外の方法により実施 三者割当増資(総額 7,492 百万円(76,268 千米ドル)、発行株 する可能性もあります。 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 財務報告に係る内部統制報告書 1. 財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項 代表取締役社長工藤泰三及び代表取締役内藤忠顕は、当社グループの財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任 を有しており、企業会計審議会の公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統 制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して財務 報告に係る内部統制を整備及び運用している。 なお 、内部統制は 、内部統制の各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで 、その目的を合理的な 範囲で達成しようとするものである。このため、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全に防止又は 発見することができない可能性がある。 2. 評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項 財務報告に係る内部統制の評価は 、当連結会計年度の末日である2009 年 3 月 31 日を基準日として行われており、評価 にあたっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠した。 本評価においては、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(全社的な内部統制)の評価を行った 上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定している。当該業務プロセスの評価においては、選定され た業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制上の要点につ いて整備及び運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行った。 財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、会社並びに連結子会社及び持分法適用会社について 、財務報告の信頼性に 及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲を決定した。財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、金額的及び質的影響 の重要性を考慮して決定しており、全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合 理的に決定した。ただし、財務報告に対する影響の重要性が僅少である事業拠点については、全社的な内部統制の評価範 囲には含めていない。 業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については 、連結売上高の概ね 3 分の 2 に達する事業拠点を重要な事業拠点に 選定した。選定した重要な事業拠点においては、企業の事業目的に大きく関わる勘定科目として、売上高、売上原価、営業 未収金、有形固定資産に至る業務プロセスを評価の対象とした。さらに、選定した重要な事業拠点及びそれ以外の事業拠 点について、財務報告への影響を勘案して、重要性の高い業務プロセスについては、個別に評価対象に追加した。 3. 評価結果に関する事項 上記の評価の結果 、当連結会計年度末日時点において 、当社グル ープの財務報告に係る内部統制は有効であると 判断した 。 日本郵船株式会社 代表取締役社長 工藤 泰三 2009 年 6 月 23 日 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 87 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 日本郵船株式会社 取締役会御中 当監査法人は、日本郵船株式会社及び連結子会社の、日本円で表示された添付の 2008 年 3 月 31 日現在及び 2009 年 3 月 31 日現在の 連結貸借対照表並びに 2008 年 3 月 31 日及び 2009 年 3 月 31 日に終了した連結会計年度の連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書 及び連結キャッシュ・フロー計算書について監査を行った。この連結財務諸表の作成責任は経営者にあり、当監査法人の責任は監査に基 づき連結財務諸表に対する意見を表明することにある。 当監査法人は、日本において一般に公正妥当と認められた監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準は、当監査法人に連結財 務諸表に重要な虚偽の表示がないかどうかの合理的な保証を得ることを求めている。監査は、試査を基礎として行われ 、経営者が採用 した会計方針及びその適用方法並びに経営者によって行われた見積りの評価も含め全体としての連結財務諸表の表示を検討することを 含んでいる。当監査法人は、監査の結果として意見表明のための合理的な基礎を得たと判断している。 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、日本において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、日本郵船株式会社及 び連結子会社の 2008 年 3 月 31 日現在及び 2009 年 3 月 31 日現在の財政状態並びに 2008 年 3 月 31 日及び 2009 年 3 月 31 日に終了した連 結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているものと認める。 当監査法人は、日本郵船株式会社の 2009 年 3 月 31 日現在の連結財務諸表の財務報告に係る内部統制報告書について監査を行った。 財務報告に係る内部統制を整備及び運用並びに内部統制報告書を作成する責任は、経営者にあり、当監査法人の責任は、独立の立場か ら内部統制報告書に対する意見を表明することにある。また、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又 は発見することができない可能性がある。 当監査法人は、日本において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。 財務報告に係る内部統制の監査の基準は、当監査法人に内部統制報告書に重要な虚偽の表示がないかどうかの合理的な保証を得ること を求めている。内部統制監査は、試査を基礎として行われ、財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果についての、 経営者が行った記載を含め全体としての内部統制報告書の表示を検討することを含んでいる。当監査法人は、内部統制監査の結果とし て意見表明のための合理的な基礎を得たと判断している。 当監査法人は、日本郵船株式会社が 2009 年 3 月31 日現在の連結財務諸表の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の 内部統制報告書が、日本において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部 統制の評価について、すべての重要な点において適正に表示しているものと認める。 米ドルで表示された金額は、単に読者の便宜のために提供されたものであり、添付の連結財務諸表の注 2 に記載した基準で換算され ている。 監査法人トーマツ 2009 年 6 月 23 日 (注)本監査報告書は 、英文アニュアルレポートに対して表明された Independent Auditors Report を和文に翻訳したものです。日本語の日本郵船株式会社及び連結子会社の 連結財務諸表に対する監査意見については、 「有価証券報告書」に掲載されている監査報告書以外には表明されておりませんので、そちらをご参照ください。 88 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 主要連結子会社および関連会社 ( 2009 年 3 月 31 日現在) 国内 (百万円) 会社名 持分比率( % )+ 売上高 総資産 資本金 NYK LINE JAPAN(株) 東京船舶(株) 100.00 100.00 100.00 ¥3,613 45,991 76,916 ¥503 39,986 6,379 ¥100 2,100 1,899 69.66 ¥10,956 ¥7,023 ¥495 25.00 51.00 55.00 68.79 100.00 30.01 40.93 100.00 100.00 50.00 55.00 26.99 22.81 32.17 7,030 6,043 14,069 18,808 19,440 10,694 8,546 137,027 790 2,057 4,782 109,261 17,947 10,406 1,132 1,379 15,690 6,488 13,307 13,846 22,392 94,469 1,089 2,815 2,529 68,615 19,896 6,834 80 400 242 500 465 2,850 1,500 4,150 99 10 35 8,100 2,750 2,100 20.00 2,939 1,132 95 95.00 97.83 78.50 83.56 63.52 59.78 47.82 59.78 53.80 59.78 59.78 59.78 53.80 59.78 59.78 70.19 79.92 59.78 ¥12,466 15,732 22,623 2,706 559 218 438 504 723 327 610 65,225 545 787 4,332 2,621 11,293 4,040 ¥8,778 2,908 13,395 2,339 419 177 256 479 492 133 522 41,547 321 194 431 1,276 2,784 5,104 ¥100 490 934 446 30 20 50 30 50 30 50 4,301 36 20 20 50 100 270 95.00 55.00 78.47 80.25 100.00 100.00 100.00 61.85 99.86 96.13 51.00 50.78 50.00 69.23 50.00 ¥12,466 14,069 1,379 3,830 1,048 4,264 345 211 800 5,790 11,526 7,751 3,314 2,387 5,949 ¥8,778 15,690 1,257 3,455 718 3,423 507 712 1,173 7,244 7,419 2,102 3,007 1,354 9,362 ¥100 242 90 50 100 90 20 10 90 98 250 250 50 30 90 不定期専用船事業 旭海運(株) バダック・エル・エヌ・ジー 輸送(株)*1 カメリアライン (株) (株)ジェネック*3 八馬汽船(株) 近海郵船物流(株) 共栄タンカー(株)*1 三菱鉱石輸送(株)*1 NYKグローバル バルク(株) NYKLNGシップマネージメント(株) 小笠原海運(株)*1 パシフィック・マリタイム (株) 新和海運(株)*1 太平洋海運(株)*1 太平洋汽船(株)*1 トランスオーシャン・エルエヌジー 輸送(株)*1 物流事業 旭運輸(株)*3 NYKロジスティックスジャパン(株) (株)ユニエツクス *3 横浜共立倉庫(株) 郵船航空中国(株) 郵船航空北陸(株) 郵船航空北関東(株) 郵船航空九州(株) 郵船航空信州(株) 郵船航空東北(株) 郵船航空つくば(株) 郵船航空サービス (株) 郵船航空京浜トランス (株) 郵船航空ロジネット (株) 郵船航空ロジテック (株) 郵船海陸運輸(株)*3 郵船港運(株)*3 郵船トラベル(株) 持分比率( % )+ 苫小牧海運(株) 定期船事業 日之出郵船(株) (百万円) 会社名 (株)ユニエツクス *3 (株)ウィングマリタイムサービス *4 郵船海陸運輸(株)*3 郵船港運(株)*3 売上高 総資産 資本金 100.00 78.50 100.00 70.19 79.92 828 22,623 4,075 2,621 11,293 889 13,395 9,907 1,276 2,784 40 934 490 50 100 100.00 ¥14,256 ¥14,693 ¥2,000 83.99 ¥78,658 ¥71,027 ¥50,574 50.00 71.39 100.00 ¥331 459 4,651 ¥1,863 1,240 11,468 ¥225 215 450 100.00 100.00 100.00 100.00 78.19 100.00 100.00 47.34 100.00 56.19 98.91 100.00 100.00 99.98 78.19 59.28 45.05 100.00 93.42 99.83 100.00 ¥2,760 352 655 594 5,352 1,669 3,510 640 2,825 1,813 1,474 1,793 1,746 17,194 155,138 577 9,522 811 3,138 2,696 1,096 ¥2,097 489 855 148 1,633 1,551 1,288 268 1,402 1,744 1,336 862 1,673 3,403 21,717 632 5,784 919 1,848 881 456 ¥30 30 35 300 60 300 30 50 99 42 20 99 10 99 1,246 50 100 100 35 80 80 客船事業 郵船クルーズ(株) 航空運送事業 日本貨物航空(株) 不動産事業 名郵不動産(株)*1 横浜貿易建物(株) 郵船不動産(株) その他の事業 (株)ボルテック*5 千葉海運産業(株) (株)クリスタルスポ−ツクラブ (株)クリスタルヨットクラブ (株) ヒカワマリン (株)日本海洋科学 京浜ドック (株) (株)丸の内ポールスター (株)MTI 日本ノッズル精機(株) 日本油化工業(株) (株)郵船アカウンティング 郵船エンジニアリング (株) (株)NYKシステム総研 郵船商事(株) 菱和ダイヤモンド航空サービス (株) 三洋商事(株) (株) タイヨーグラフィック 郵船コーディアルサービス (株) 郵船情報開発(株) 郵船ナブテック (株) ターミナル関連事業 旭運輸(株)*3 (株)ジェネック*3 (株) ヒロクラ (株)ホンマ 宝洋海運産業(株) 海洋興業(株) 海洋産業(株) 関東曳船(株) 名古屋汽船(株) 内海曳船(株) 日本コンテナ・ターミナル(株) 日本コンテナ輸送(株) 西日本海運(株)*1 大分臨海興業(株) 三洋海事(株)*1 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 89 国外 (百万) 会社名 持分比率( % )+ 売上高 総資産 資本金 定期船事業 N.Y.K. Songkhla Co., Ltd. NYK de Mexico, S.A. de C.V. NYK Fil-Japan Shipping Corp. NYK Group Europe Ltd.*3 NYK Group South Asia Pte. Ltd. NYK Information Service ( Guangzhou )Ltd. NYK Line( Australia )Pty Ltd. NYK Line( Bangladesh )Ltd.*3 NYK Line( Benelux )B.V. NYK Line( Canada )Inc. NYK Line( China )Co., Ltd. NYK Line( Deutschland ) GmbH NYK Line( Europe )Ltd. NYK Line( HK )Ltd. NYK Line( India )Ltd. NYK Line( Korea )Co., Ltd. NYK Line( Macau )Ltd. NYK Line( New Zealand )Ltd. NYK Line( North America )Inc. NYK Line( Thailand )Co., Ltd. NYK Line do Brasil Ltda. NYK Sudamerica( Chile )Ltda. Pacific Rim Container Depot ( S )Pte Ltd. Sun Tay Kee Ltd. TSK Line( S )Pte Ltd. Wangfoong Terminal Services Ltd. 53.35 100.00 51.00 100.00 100.00 B15 MXN68 PHP349 £71 SP$33 B38 MXN73 PHP311 £114 SP$65 B5 MXN12 PHP52 £82 SP$13 100.00 100.00 98.00 100.00 100.00 100.00 CHY14 A$13 BDT110 EU11 C$6 US$25 CHY7 A$12 BDT109 EU7 C$3 US$31 CHY4 A$2 BDT32 EU0.5 C$0.3 US$2 EU12 EU13 £0 £6 HK$126 HK$572 INR360 INR1,411 KRW8,055 KRW5,317 MOP5 MOP8 NZ$4 NZ$9 US$106 US$120 B371 B1,052 BRL31 BRL23 CLP5,380 CLP18,684 EU1 £2 HK$55 INR46 KRW1,304 MOP0.1 NZ$1 US$5 B10 BRL7 CLP197 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 88.91 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 SP$3 HK$4 SP$7 SP$3 HK$3 SP$2 SP$1 HK$2 SP$0.4 100.00 HK$11 HK$29 HK$1 100.00 EU6 EU5 EU0.1 100.00 EU35 EU123 EU103 49.00 49.00 US$17 US$34 US$47 US$29 US$0.04 US$8 100.00 EU42 EU41 EU7 50.00 US$13 US$37 US$1 100.00 EU8 EU106 EU3 不定期専用船事業 Accessory Plant Zeebrugge N.V. Antwerp Car Processing Center N.V. Asia LNG Transport Dua Sdn. Bhd.*1 Asia LNG Transport Sdn. Bhd.*1 Combined Terminal Operators N.V. Eminence Bulk Carriers Pte. Ltd.*1 International Car Operators ( Benelux )N.V. International Car Operators Ltd. NYK Armateur S.A.S.*1 NYK Bulkship( Asia )Pte. Ltd. NYK Bulkship( Atlantic )N.V. NYK Bulkship( China )Ltd. NYK Bulkship( Korea )Co. Ltd. NYK Finance( U.K. )Plc NYK Group Europe Ltd.*3 NYK Line( Europe )Roro Ltd. NYK LNG( Atlantic )Ltd.*6 NYK LNG Finance Co., Ltd. NYK LNG Shipmanagement ( UK )Ltd. NYK Reefers Ltd. NYK RORO( Thailand )Co., Ltd. NYK Shipmanagement Pte. Ltd. 90 £7 £2 £0.01 100.00 60.00 EU14 EU9 EU0.04 100.00 US$250 US$228 US$8 100.00 US$394 US$331 US$26 100.00 HK$36 HK$21 HK$3 100.00 KRW84,146 KRW82,749 KRW11,386 £0 £26 £4 100.00 £71 £114 £82 100.00 £0 £1 £0.3 100.00 100.00 US$79 US$47 US$15 100.00 US$13 US$235 US$0.01 100.00 100.00 94.34 100.00 US$5 US$86 B108 US$27 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 US$7 US$197 B78 US$57 US$2 US$33 B27 US$0.5 (百万) 会社名 NYK Cool AB Saga Shipholding( IOM )Ltd. Saga Shipholding(Norway)AS. Straits Auto Logistics Sdn. Bhd.*1 Tata NYK Shipping Pte. Ltd.*1 United European Car Carriers B.V.*1 Zeebrugge Shipping and Bunkering Company N.V. 持分比率( % )+ 売上高 総資産 資本金 100.00 100.00 100.00 SEK536 US$0 US$180 SEK89 US$4 US$499 SEK60 US$0.3 US$6 40.00 50.00 RM79 US$109 RM67 US$55 RM2 US$49 50.00 EU318 EU245 EU62 100.00 EU7 EU15 EU0.3 15.65 100.00 100.00 100.00 100.00 B1,145 EU33 EU3 EU10 EU6 B697 EU9 EU1 EU4 EU2 B150 EU0.2 EU0.04 EU1 EU0.2 97.83 SP$2 SP$5 SP$0.1 94.34 100.00 98.00 B183 £71 BDT110 B91 B50 £114 £82 BDT109 BDT32 51.00 ZAR10 ZAR23 ZAR0.4 55.00 99.98 LKR677 US$851 LKR157 US$204 LKR7 US$3 99.98 US$10 US$6 US$1 100.00 100.00 100.00 100.00 A$74 EU56 CHY1,000 £6 A$14 EU34 CHY365 £2 A$7 EU19 CHY158 £0.00009 100.00 CK1,126 CK844 CK387 100.00 100.00 100.00 100.00 EU73 EU8 £0 EU29 EU27 EU4 £3 EU42 EU3 EU0.02 £7 EU13 100.00 CHY0 CHY19 CHY22 100.00 100.00 100.00 98.00 97.83 55.08 100.00 HK$818 HUF1,335 INR701 EU27 EU26 PHP202 PZ76 HK$379 HUF341 INR440 EU22 EU7 PHP322 PZ27 HK$116 HUF200 INR367 EU3 EU0.1 PHP100 PZ2 100.00 SEK102 SEK31 SEK7 100.00 100.00 CHY4 TW$333 CHY4 TW$433 CHY3 TW$220 78.25 B3,046 B3,399 B70 100.00 100.00 97.83 £0 £2 £21 £321 £107 SP$36 SP$22 £41 SP$0.3 81.45 B41 B22 B3 物流事業 Logistics Alliance( Thailand ) Co., Ltd.*1 Lorang France S.A.S. Mondia Arras S.A.S. Mondia Charleroi S.A. Mondia Logistics S.A. Nanhai Business Solutions Pte Ltd NYK Auto Carrier( Thailand ) Co., Ltd. NYK Group Europe Ltd.*3 NYK Line( Bangladesh )Ltd.*3 NYK Logistics & BLL of South Africa Pty.Ltd. NYK Logistics & Kusuhara Lanka( Private )Ltd. NYK Logistics( Americas )Inc. NYK Logistics( Americas )Inc. ( INSD ) NYK Logistics( Australia )Pty. Ltd. NYK Logistics( Belgium )N.V. NYK Logistics( China )Co., Ltd. NYK Logistics( CIS )Ltd. NYK Logistics(Czech Republic) S.R.O. NYK Logistics( Deutschland ) GmbH NYK Logistics( Edam )B.V. NYK Logistics( Europe )Ltd. NYK Logistics( France )S.A.S. NYK Logistics( Fuzhou Bonded Zone )Ltd. NYK Logistics( Hong Kong ) Ltd. NYK Logistics( Hungary )Kft. NYK Logistics( India )Ltd. NYK Logistics( Italy )S.P.A. NYK Logistics( Nederland )B.V. NYK Logistics( Philippines)Inc. NYK Logistics( Polska)Sp.Zo.O. NYK Logistics( Scandinavia ) AB NYK Logistics( Shenzhen )Ltd. ( Futian ) NYK Logistics( Taiwan )Co., Ltd. NYK Logistics( Thailand )Co., Ltd. NYK Logistics( UK )Consumer & Retail Ltd. NYK Logistics( UK )Ltd. NYK Logistics 2008 Pte. Ltd. NYK Logistics INSD( Thailand ) Ltd. (百万) 会社名 NYK Logistics Kaisha Iberica S.A. OOO NYK Logistics( CIS ) P.T. Yusen Air & Sea Service Indonesia Patrick Autocare Pty Ltd.*1 PT. NYK New Wave Logistics Indonesia PT. NYK New Wave Warehousing Indonesia PT. NYK Puninar Logistics Indonesia Yusen Air & Sea Service ( Australia )Pty Ltd. Yusen Air & Sea Service ( Beijing )Co., Ltd. Yusen Air & Sea Service ( Benelux )B.V. Yusen Air & Sea Service ( Canada )Inc. Yusen Air & Sea Service ( China )Ltd. Yusen Air & Sea Service ( Deutschland )GmbH Yusen Air & Sea Service ( France )S.A.R.L. Yusen Air & Sea Service( Hong Kong )Ltd. Yusen Air & Sea Service ( Italia )S.R.L. Yusen Air & Sea Service ( Korea )Co., Ltd. Yusen Air & Sea Service ( Philippines )Inc. Yusen Air & Sea Service ( Singapore )Pte. Ltd. Yusen Air & Sea Service ( Taiwan )Ltd. Yusen Air & Sea Service ( Thailand )Co., Ltd. Yusen Air & Sea Service( U.K. ) Ltd. Yusen Air & Sea Service( USA ) Inc. Yusen Air & Sea Service ( Vietnam )Co., Ltd. Yusen Air & Sea Service Management( Thailand ) Co., Ltd. Yusen Shenda Air & Sea Service( Shanghai )Ltd. Yusen Travel( Hong Kong ) Ltd.*2 Yusen Travel( Singapore )Pte., Ltd.*2 Yusen Travel( U.S.A. )Inc.*2 持分比率( % )+ 売上高 総資産 資本金 100.00 100.00 EU15 RUB464 EU7 RUB355 EU1 RUB0.3 47.82 20.00 US$40 A$201 US$15 A$96 US$0.2 A$34 92.94 US$9 US$4 US$1 97.83 US$2 US$7 US$5 59.39 US$14 US$19 US$10 59.78 A$25 A$12 A$2 44.84 CHY84 CHY28 CHY9 59.78 EU38 EU26 EU1 59.78 C$15 C$19 C$5 59.78 HK$7 HK$71 HK$11 59.78 EU45 EU25 EU4 59.78 EU14 EU11 EU5 59.78 HK$1,308 HK$681 HK$55 59.78 EU9 EU4 EU1 59.78 KRW28,183 KRW13,597 KRW2,000 30.49 PHP1,863 PHP541 PHP175 59.78 SP$74 SP$60 SP$17 59.78 TW$1,078 TW$775 TW$23 62.59 B2,281 B718 B100 59.78 £20 £8 £1 59.78 US$145 US$66 US$14 29.29 US$30 US$8 US$1 65.29 B26 B69 B10 29.89 CHY516 CHY118 CHY16 59.78 HK$11 HK$24 HK$2 59.78 59.78 SP$2 US$1 SP$3 US$1 SP$0.1 US$1 29.92 EU28 EU89 EU0.2 100.00 69.51 22.00 100.00 US$289 TW$618 B1,226 US$253 US$249 TW$493 B1,320 US$163 US$0.001 TW$150 B100 US$3 ターミナル関連事業 Amsterdam Port Holdings B.V.*1*7 NYK Terminals( North America )Inc. NYK Terminals( Taiwan ), Inc. Tips Co., Ltd.*1 Yusen Terminals Inc. (百万) 会社名 持分比率( % )+ 売上高 総資産 資本金 100.00 US$302 US$135 US$0.04 100.00 NOK8 NOK4 NOK2 100.00 US$1 US$0.03 US$0.01 83.99 HK$76 HK$3 HK$39 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 US$106 EU3 US$0 US$29 £71 US$4 £2 ¥71 US$4 US$4 ¥182 US$25 EU89 US$4 US$1,802 £114 US$186 £58 ¥5,270 US$143 US$188 ¥14,923 US$0.1 EU10 US$1 US$5 £82 US$2 £20 ¥0.1 US$0.001 US$0.001 ¥0.1 客船事業 Crystal Cruises, Inc. International Cruise Management Agency A/S International Cruise Services Ltd. 航空運送事業 NLV Ltd. その他の事業 NSRI( USA )Inc. NYK Euro Finance Plc NYK Finance( Cayman )Ltd. NYK FTC( Singapore )Pte. Ltd. NYK Group Europe Ltd.*3 NYK International( USA )Inc. NYK International Plc NYK JP Finance, Ltd. NYK US Finance, Ltd. YAC International Fc Inc. YAC International Inc. *1 *2 *3 *4 *5 *6 *7 持分法適用関連会社 持分法適用子会社 複数の事業区分に所属する。 (株)日本海洋社は 2009 年 1 月 1 日をもって、 (株)ウィングマリタイムサービスに変更。 横浜電工(株)は 2008 年 10 月 1 日をもって、 (株)ボルテックに変更。 NYK Bulkship( Europe )Ltd. は 2008 年 8 月 1 日をもって、NYK LNG( Atlantic )Ltd. に 変更。 Ceres Container Terminals Europe B.V. は 2009 年 2 月 23 日をもって、Amsterdam Port Holdings B.V. に変更。 + 間接所有割合を含む 使用通貨 A$ オーストラリア・ドル タイ・バーツ B BDT バングラディッシュ・タカ BRL ブラジル・レアル C$ カナダ・ドル CHY 中国元 CK チェコ・コルナ CLP チリアン・ペソ EU ユーロ HK$ 香港ドル HUF ハンガリー・フォリント INR インド・ルピー KRW コリアン・ウォン LKR スリランカ・ルピー MOP マカオ・パタカ MXN メキシコ・ペソ NOK ノルウェー・クローネ NZ$ ニュージーランド・ドル PHP フィリピン・ペソ PZ ポーランド・ズオチ RM マレーシア・リンギ RUB ロシア・ルーブル SEK スウェーデン・クローナー SP$ シンガポール・ドル TW$ 台湾ドル US$ 米ドル ZAR 南アフリカ・ランド £ 英ポンド NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 91 サービスネットワーク Antwerp Dunkirk Zeebrugge Tewkesbury Bristol Tamworth Rotherham Boulogne Romford Brackmills Northampton Immingham Redcar Castleford Hartlepool Manchester Scapa Flow Liverpool Dumfries Glasgow Hunterston Belfast Dublin South Ockendon Derby Port Talbot Avonmouth Birmingham Wellesbourne Southampton Egham Milton Keynes Montoir Vigo Gijon Leixoes Santander London Le Havre Lisbon Sines Casablanca Huelva Bilbao Nouadhibou Gibraltar Algeciras Courcelles Heppignies Cartagena Sagunto Tarragona Arzew Brussels Bethioua Ransart Barcelona Arras Paris Algiers Lyon Grenoble Fos Lavera Genova/Savona Takoradi Brass Okono Bonny Qua Iboe Yoho 92 Rotterdam Edam Terneuzen Flushing Ymuiden Amsterdam Gdansk Kaarsto Duisburg Bremen Emden Bremerhaven Tonsberg Hamburg Arhus Oslo Drammen Kalundborg Copenhagen Gothenburg Helsingborg Malmo Karlshamn Stockholm Düsseldorf Murman Sak Koln Hanko Helsinki Kotka Noshiro Akita Pyeongtaek Onsan Pohang Seoul Kwangyang Kunsan Masan Hadong Chinhae (Jinhae) Ulsan Donghae Inchon Daesan Yosu Busan Samchonpo Okkye Vanino Sakata Yamagata Naoetsu Niigata Toyama Uchiura Nanao Kanazawa Tsuruga Komatsu Maizuru Sodeshi Sakaiminato Hamada Nakatsu Nagasaki Taizhou Shenyang Zhenjiang Dalian Zhangjiagang Jinzhou Nanjing Prigorodnoe Qinhuangdao Suzhou Tianjin Shanghai Vityaz Beijing Wuxi Kokkola Ustluga Xingang Hangzhou St.Petersburg Sillamae Qingdao Wuhan Paldiski Frankfurt Ningbo Rizhao Moscow Gdynia Szczcin Wenzhou Lianyungang Stuttgart Wroclaw Charleroi Luxembourg Prague Torun Kuwait Metz Basrah Kolin Odessa/Iliychevsk Soroosh Warsaw Muenchen Vostochnyy Constantza Bandar Khomeini New Delhi Budapest Xiamen Istanbul Kharg Island Raoping Thessaloniki Tehran Porto Marghera Padova (Huanggang) Trieste Novorossiysk Ju’aymah Milan Chongqing Koper Tuapse Ras Tanura Venice Livorno Chengdu Assaluyeh Derince Shantou Piombino Varna Eregli Mersin Bahrain Fiumicino Zhoushan Izmir Dortyol Yarimca Zirku Island Shekou Taranto Piraeus Iskenderun Tunis Das Island Shenzhen Salerno Beirut Chang chun Jebel Dhanna Guangzhou Gioia Tauro Lattakia Augusta La Spezia Dubai/Sharjah Yantian Banias Damietta Shuidong Bandar Abbas El Sider Tartous Cam Pha Khor Fakkan Benghazi Hedera Port Sultan Qaboos Haiphong El Dakheila Hualien Limassol Shalang Guangdong Makung Sidi Kerir Aqaba/Eilat Port Bin Qasim Cailan Keelung Calcutta Dhaka Dapeng Sohar Safaga Yanbu Mai-liao Karachi Mundra Idku Taipei Hanoi Muscat Rabigh Kaohsiung Taoyuan Alexandria Kandla Chittagong Haldia Qalhat Hong Kong Jeddah Taichung Hoping Yung An Port Said Port Sudan Chiwan Port Papav Hazira Dahej Paradip Chiangmai Yang Pu Mumbai Huangpu Suez Laguna Tabangao Bashayer Mina Al Fahal Pune Vung Ang Macau Ras Isa Nhava Sheva Manila Bataan Adabiya Fujairah Bangkok Da Nang Massawa Ratnagiri Yap I. Batangas Mauban Subic Ain Sukhna Ras Al Khaimah Sriracha Hodeidah Visakhapatnam Saipan Bangalore Tripoli Jebel Ali Ko Sichang Djibouti Bachiho Mormugao Surigao Guam Cochin Salalah Qui Nhon Zawia Chennai Koror M Ho Chi Minh City Abu Dhabi Tuticorin Bouri Mina Al Ahmadi Siam Seaport Villanueva Sandakan K Map Ta Phut Qatar Valletta Kota Kinabalu Laem Chabang Cebu Jubail P Colombo Tg. Mani Ruwais Sarroch Tawau Tha Thong Taganito Ras al Khafji C Halul Island Kuantan Tg. Salirong Rio Tuba Caglian Al Shaheen Messai’eed Arun Tarakan Davao Doha Ras Laffan Bintulu Kuching Penang Djeno Bul, Gee, Mornopo Sitra Malili Mombasa Muara Kerteh Cabinda Damman Tanjung Bara Madang Miri Kuala Lumpur Rabau Mahe Tarahan Dar es Salaam Lae Malongo Berau Bay Shah Alam Cigading Bontang Kizomba Port Moresby Port Klang Samarinda Weipa Jakarta Singapore Adang Balikpapan Gove Cape Flattery Semarang Bay Johor Bahru Surabaya Groote Eylandt Bayuundan Tanjung Uban Probolinggo Port Darwin Dumai Banjarmasin Cairns Wandoo Sungai Pakning Taboneo Townsville Port Hedland Pasir Gudang North Pulau Laut Abbot Point Port Walcott Off Karimun Pulau Laut Withnell Bay Bintan Island Maputo Sebuk Hay point Johannesburg Cape Cuvier Dampier Richards Bay Senipa Gladstone Saldanha Bay Durban Port Bonython Brisbane Kwinana East London Thevenard Cape Town Perth Port Lincoln Port Elizabeth Port Giles Fremantle Adelaide Bunbury Portland Albany Burnie Geelong Esperance Melbourne Spring Bay Hastings Port Latta Bell Bay Launceston NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 o Majuro Kosrae Ponpei Chuuk Sapporo Ishikari Kushiro Tokachi Aomori Matsushima Kamaishi Onahama Soma Nagano Utsunomiya Hitachi Kashima Chiba Baraki Kimitsu Tokyo Yokohama Atsugi Ogishima Shimizu Hamamatsu Nagoya Toyohashi Gamagori Owase Chita Kobe Himeji Kakogawa Senboku Shimotsu Naoshima Kawanoe Fukuyama Sakaide Susaki Niihama Kanokawa Hikari Nakanoseki Tokuyama Yanai Kure Muroran Tomakomai Otaru Hachinohe Sendai Haramachi Ishinomaki Hitachinaka MacKenzie Anchorage Kenai Valdez Yakutat Hoonah Kake Klawock Afognak Quebec Metlakatla Port Cartier Ketchikan Montreal Hydaburg Kawasaki Seven Islands Prince Rupert Negishi Portland Vancouver (BC) Newark Higashi Ogishima Hartford Roberts Bank Cleveland Boston Omaezaki Kitimat Detroit Davisville Tagonoura Ferndale Columbus Halifax Hekinan New Westminster Milwaukee Point Tupper Yokkaichi Seattle Chicago Port Murray Kinuura Tacoma Minneapolis New York Vancouver (WA) Kawagoe Indianapolis New Jersey Longview Cincinnati Summer Philadelphia Osaka Aberdeen Denver Johnstown Kansas City Portland Sakai Pittsburg Baltimore Nanaimo Shikama Oakland Bentonville Newport News Dallas Charlotte Port Alberni Chesapeake Lake Charles Memphis Atlanta Wakayama Boise Norfolk Houston Macon Komatsushima Coos Bay Mobile Waco Charleston Takehara Hamilton Benicia Galveston St. Eustatius Savannah Freeport/Nassau Mizushima San Francisco Loop Caucedo Jacksonville Port Au Prince New Namikata Redwood City Garyville St. John’s Tampa St. Domingo Orleans Barbers Las Vegas Southwest Pass Basseterre Miami San Juan Matsuyama Point Piaquemine Altamira Port Hueneme Point A Pitre Kingston Kudamatsu Veracruz Los Angeles Roseau Honolulu Coatzacoalcos Tonda Long Beach Fort de France St. Tomas de Castilla Ube Puerto Cortes Puerto Drummond San Diego Port Castries Puerto Limon Puerto Bolivar La Guaira Iwakuni Phoenix Bridgetown Cartagena Hiroshima Cedros Island Port of Spain Kingstown Point Fortin Kinoe Mazatlan St. George’s Guanta/Puerto Sucre Aruba Pajaritos Hirohata Puerto Cabello Palua Manzanillo Curacao Tsukumi Saiki Point Lisas Puerto Ordaz Bonaire Mexico City Saganoseki Kokura Macapa Lazaro Cardenas Ponta Da Madeira Hososhima Nichinan Belém Manaus Acapulco Fortaleza Oita Hibikinada Puerto Quetzal Hakata Moji Acajutla Recife Tarawa Fukuoka Karatsu San Lorenzo Imari Matsuura Corinto Tobata Hikoshima Puerto Caldera Salvador Tachibana Reihoku Manzanillo Matarani Misumi Panama Tubarao Honiara Punta Patadre Shibushi Yatsushiro Balboa Vitória Asuncion Iquique Kagoshima Kiire Buenaventura Itaguai Tocopilla Apia Esmeraldas Santos Pago Pago Lautoka Antofagasta São Paulo Guayaquil Tsubarao Suva Punta Padrones Paranagua San Nicolas Santo Papeete Ponta Do Ubu El Barquito Bahia Blanca/Sao Callao Port Vila Nukualofa Huasco Francisco do Sul Santiago Noumea Guayacan Itajai Newcastle Las Ventanas Whangarei Rio Grande Sydney Valparaiso Marsden Point Zarate Botany Bay Lirquen San Antonio Port Taharoa Montevideo Talcahuano Port Kembla Tauranga Buenos Aires San Vicente Eden Port Taranaki/New Plymouth Coronel San Lorenzo Napier Corral Gisborne Calbuco Nelson Picton Lyttelton Timaru Punta Arenas Bluff Port Chalmers Narita Sodegaura NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 93 会社情報 (2009 年 3 月 31 日現在) 株主情報 (2009 年 3 月 31 日現在) 創立 事業年度 1885 年 9 月 29 日 4 月 1 日から翌年 3 月 31 日まで 資本金 定時株主総会 88,531,033,730 円 6 月下旬開催 第 122 期定時株主総会 2009 年 6 月 23 日 主な事業 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 海上運送事業 株式 陸上運送事業 発行可能株式総数 航空運送事業 海運、陸運及び航空運送の代理業 倉庫業 港湾運送事業 海上、陸上、航空通し運送事業及びその代理業 海洋開発に関する事業 船舶の売買 船舶及び海洋構造物の建造、 改修に関するコンサルタント業務 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 輸送情報処理に関する事業 他の事業に対する貸付、保証及び投資 2,983,550,000 株 発行済株式の総数 1,230,188,073 株(自己株式 2,336,590 株を含む) 大株主(上位 10 名) 当社への出資状況 株主名 日本マスタートラスト信託銀行株式会社 所有株式数(千株) 出資比率( %) 82,059 6.68 79,543 6.48 74,067 6.03 (信託口) 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社 (信託口) 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社 (信託口 4G ) 不動産の売買及び賃貸 東京海上日動火災保険株式会社 57,275 4.66 マリン・レジャー施設の所有、貸借、管理及び経営 日本マスタートラスト信託銀行株式会社 54,717 4.46 明治安田生命保険相互会社 38,899 3.17 株式会社三菱東京 UFJ 銀行 36,978 3.01 株式会社みずほコーポレート銀行 22,867 1.86 資産管理サービス信託銀行株式会社 18,324 1.49 16,692 1.36 旅行業法に基づく旅行業 石油製品及び機械器具の販売・製造 前各号に附帯し又は関連する事業 従業員 (三菱重工業株式会社口・退職給付信託口) (証券投資信託口) 1,619 名(陸上 1,251 名、海上 368 名) 全国共済農業協同組合連合会 (注)出資比率は自己株式( 2,336,590 株) を控除して計算しています。 本店 〒100-0005 東京都千代田区丸の内二丁目 3 番 2 号 単元株式数 1,000 株 電話:03-3284-5151(代表) URL:http://www.nyk.com 株主構成 事業法人 6.5% 個人・その他 94 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 証券会社 1.2% 自己株式 18.4% 0.2% 外国人 金融機関 22.9% 50.8% 上場金融商品取引所 米国預託証券( ADR ) 東京、大阪、名古屋の各市場第一部 シンボル:NPNYY 株主名簿管理人および特別口座管理機関 三菱 UFJ 信託銀行株式会社 東京都千代田区丸の内一丁目 4 番 5 号 〈同連絡先〉 三菱 UFJ 信託銀行株式会社 証券代行部 〒137-8081 東京都江東区東砂七丁目 10 番 11 号 0120-232-711 公告方法 CUSIP:654633304 取引所:OTC(店頭市場) 比率 (ADR: 普通株) :1 : 2 ADR 名義書換代理人 The Bank of New York Mellon 101 Barclay Street, New York, NY10286, U.S.A. 電話:(212)815-2042 米国フリーダイヤル:888-269-2377( 888-BNY-ADRS) URL:http://www.adrbnymellon.com 電子公告により行い、次の当社ウェブサイトに掲載します。 URL:http://www.nyk.com/koukoku/ ただし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告ができな い場合は、日本経済新聞に掲載する方法で行います。 貸借対照表および損益計算書を当社ウェブサイトの次のアドレス に掲載しています。 URL:http://www.nyk.com/jyoho/ 株価の推移 (円) 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 2007 2008 2009 NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA Annual Report 2009 95 〒100-0005 東京都千代田区丸の内二丁目3 番 2 号 郵船ビル Tel:03-3284-5151(代表) http://www.nyk.com 当社グループは2009 年 1 月現在、世界最大の 110 隻の自動車専用 船隊を運航しています 。高い輸送技術に加え、ターミナルにおける 完成車の PDI( 納品前点検・補修・部品補給など)などの付加価値 サービスも提供しています 。 本レポートは、環境に配慮した印刷方式を採用しています 環境に配慮するため有害廃液を排出しない「水なし印刷」方式を採用しています。 またインキには大豆インキを、用紙は適切に管理された森林からの原料を含むFSC 認証紙を使用しています。 発行:2009 年 6 月 次回発行予定:2010 年 6 月 日本郵船株式会社 アニュアルレポート 2009 Bringing value to life. 日本郵船株式会社 アニュアルレポート 2009 Moving Forward
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