● 目 次 No.218 巻頭言 余りに悲しすぎる『長寿医療制度』 ............................................................................ 1 札幌緑愛病院 三宅 正之 ■ 報告 後期高齢者医療制度の廃止を求める医師 100 人アピール運動 お礼とご報告 .............................. 2 ■ 連載 患者は今なにに困っているのか 第 3 回 実母と義理の父介護に際して困った・困っている件 十条通り医院 介護家族 石田 潔 .....10 労災罹患者は時代を支えた人達です .............................................................................................................13 大分県勤労者医療生協 佐伯診療所 大分安全センター佐伯真砂会会長 山内 一平 望む事 十条通り医院 介護家族 Y・O ............ 15 ■ 主張 薬害肝炎のこれから 薬害肝炎訴訟を支援する会・東京 世話人 江川 守利 ............. 16 ■これからの医療・私の実践 第 12 回 シェア 本田 徹 .................17 「グローカル」な問題意識を鍛え、足元で働く ■ おすすめの 1枚 『Balada 望郷のバラード』 亀戸ひまわり診療所 平野 敏夫 .............. 19 ■ 産業保健 札幌緑愛病院 三宅 正之................ 20 「労災診療費算定基準」の改定内容が明らかに 代替医療について−第5回 新しい鍼治療の原理と症例 脊椎圧迫骨折、脊椎損傷の治療 友和クリニック 宇土 博................ 28 ■ アスベスト問題ウォッチング 3・20 石綿健康被害救済法の見直しを求めるシンポジウム 第 19 回じん肺・アスベストプロジェクト開催 杉浦医院 杉浦 裕 ............. 32 亀戸ひまわり診療所 平野 敏夫 ............. 34 札幌緑愛病院、石綿ならびにじん肺の健康管理手帳の健診医療機関に指定決定 ....................3 8 ■ 私の失敗 第 9 回 「忘れられない 30 分」 事務局 阿部 真紀 ............. 39 ■ 短期連載 安心して老いを迎えられる住宅造り 第 5 回 介護保険と住宅改造 菅原工務店 / 中皮腫・じん肺・アスベストセンター 菅原 喜東司 ... 40 ■ 職業病入門 第 7 回 『職業がん (2)』 亀戸ひまわり診療所 平野 敏夫 .............. 42 ■ネットワーク 第9回臓器移植法改悪を考える院内集会を開催して............................................................................... 44 連載 臓器移植法改悪に反対する市民ネットワーク 川見 公子 ■会議から・スケジュール・事務局日誌・労住医連の活動姿勢 ......................................................... 46 巻頭言 余りに悲しすぎる『長寿医療制度』 札幌緑愛病院 三宅 正之 手元に 1 枚の新聞の切抜きがある。横浜市の 78 歳の男性が 3 月下旬にある全国紙の「読者の声」 欄に寄せた投稿だ。 内容を紹介すると、 「後期高齢者医療被保険者資格取得のお知らせと一緒に後期高齢者医療被保険者 証が送られてきた」 「努力をして何かの資格を得ることは喜ばしいが、申請もしていないのに『資格を 取得』と言われてもまったくうれしくない」 「さりげなく死期の近いことを悟らせ、そろそろ死に支度 をしなさいと促されているようで落ち着かない」 「後期高齢者という言葉から感じるのは過去の残照に すがっていつまでも無為に生きていられると後に続く人たちの生活が成り立たない──命名した人た ちはこのように考えたのではなかろうか」というものだ。投稿は「生きている限り生活習慣病が悪化 しないように心がけ、家族や社会に迷惑をかけないよう注意したい」 「幸か不幸か病気になったら手厚 い医療はお断りする」 「自分の口から食べられなくなったら人生は終わりにしたいものだと思っている」 と結ばれている。何とも痛切な、しかし後期高齢者医療制度の本質を見抜いた投稿ではないだろうか。 4 月から後期高齢者医療制度が始まったが、いたって評判が悪い。新聞投稿を見たのかどうか知ら ないが、福田首相は突然ネーミングがよくない、 『長寿医療制度』と呼ぼうと言い出した。舛添厚労 大臣や無知で知られる西川とかいう副大臣も説明・周知が不足していたと言っているが、2006 年 6 月に後期高齢者医療制度を含めて医療関連法案を強行採決しておきながら 2 年近くもいったい何を してきたと言うのか。 しかし、もちろん問題の本質は説明不足などにあるのではない。内容を知れば知るほど高齢者は怒 るだろう。国保に比べ低くなるはずの保険料は市町村財政からの助成がなくなったために低所得層は かえって高くなり、 多く負担してもらうはずの高所得者は保険料上限設定で逆に低くなった。他方で、 従来の被扶養者も各自が年金から保険料を天引きされる。年金の少ない人は天引きこそされないが、 保険料を 1 年滞納すると保険証は取り上げられてしまう。加えて後期高齢者は特定健診の対象から 外され、希望しても特養入居者や生活習慣病・心疾患で治療中の者は健診対象から除外する(問診 票で服薬等を確認すること)とされている。つまり、持病以外の病気はチェックできず、健康管理 さえままならない。これが『長寿医療制度』の本質だ。横浜の投稿者が言うように、高齢者は早く 死んでくれと言わんばかりの制度なのだ。高齢者を年齢で区分し、しかもこんなに粗末に扱う制度 を採用している国は世界にない。 それなのに、福田内閣はこうした問題点を何一つ変えようとしない。ネーミングを変えて誤魔化 そうなんていうのは心根が卑しいと言うほかない。 『長寿医療制度』 なんてブラックユーモアなのか? No.218 2008/4 何と皮肉な、余りに悲し過ぎる呼び名でないか。黒サギを 白サギと言い換えても黒サギはやっぱり黒いのだ。 労働者住民医療機関連絡会議 労働者住民医療 2008.4.25 1 後期高齢者医療制度の廃止を! る め 求 を 止 廃 者医療制度の 後期高齢 医 師 100 人 ア ピ ー ル 運動ご協力お礼とご報告 3 月 26 日 消えた年金 それでも天引き !? 後期高齢者医療制度の廃止を求める大集会 労住医連では、4月1日からはじまっ 能ではありません。 た後期高齢者医療制度に対して、 「後期 労住医連では、後期高齢者医療制度の 高齢者医療制度の廃止をもとめる、医師 廃止を実現し、医療費削減政策にではな 100 人アピール」運動に取り組んでいま く、安心・予防の医療制度の実現にむけ す。 て今後も取り組みを続けていきたいと思 4 月 23 日現在 120 名の賛同をいただ います。 いています。ご協力いただいた方、あり がとうございました。労住医連では4月 医師 100 人アピールの提出ご報告は次 30 日に記者会見を行い、政府・厚労省へ 号にていたします。もちろんこれだけで 制度廃止の要請を行います。 なく、種々の行動を担い、他団体とも連 携して声をあげつづけていきます。 いま、野党4党は後期高齢者医療制度 情報は今後ともお伝えしてまいりま の廃止法案を提出しています。ねじれ国 す。ぜひとも皆様のご注目・ご協力をお 会ですし、後期高齢者医療制度への人々 願いいたします。 の怒りが大きく広がっていますので、後 期高齢者医療制度の廃止は、決して不可 2 労働者住民医療 2008.4.25 (編集部) 諸活動、情報報告 後期高齢者医療制度の廃止を求める医師 100 人アピール 呼びかけ人 斎藤竜太(十条通り医院 院長) 松本文六(特定医療法人財団天心堂 理事長) 天明佳臣(神奈川県勤労者医療生活協同組合 理事長) 後期高齢者医療制度の内容が次第に明らかになってきています。それは 75 歳以上 の高齢者を従来の保険制度から切り離し、高額の保険料・厳しい取り立ての枷を負 わせるものです。また、包括診療報酬体系を導入し、検査等に制限を設けるなど、 医療者にとって、高齢者の健康管理に真摯にあたることをより難しくしてしまいま す。多くの高齢者を必要な医療から遠ざけ、生活と健康を破壊し、保険証 1 枚で誰で もどこでも安価に必要な医療にかかることができる、国民皆保険制度の根幹を破壊 してしまうものです。 日本の医療制度は、さまざまな課題をかかえています。今、必要なのは、参加・ 予防の医療を推し進めることです。そして、国民皆保険制度の理念に合致した、人 びとが安心して納得のいく医療にかかることのできる解決策づくりに早急に着手す べきです。決して、経済的に患者を医療から遠ざけ、医療費を削減し、医療者に必 要な医療行為を行いにくくし、医療崩壊を加速させることが、解決策ではありません。 私達は全ての患者さんたちと医療関係者が手をつなぐことを求め、年齢、階層、 所得、国籍などを問わず、すべての人びとの生命と健康を守るために奮闘してきた 医師として、後期高齢者医療制度の廃止を即刻求めます。 ・75 歳以上という区分けで高齢者を管理することは保険制度としても、健康管理と しても決して患者さんのためになるものではありません。 ・後期高齢者医療制度は、患者さんに高額の保険料、医療費の厳しい取り立てを強 制するもので、容認できません。 ・その結果として患者さんの納得のいく医療にはならず、医療制度への不信を高 め、ひいては医療制度の崩壊、国民皆保険制度の崩壊をまねいていくものです。 後期高齢者医療制度の廃止を求める、医師 100 人アピール 連絡先・事務局 労働者住民医療機関連絡会議(労住医連) 労働者住民医療 2008.4.25 3 後期高齢者医療制度の廃止を! 消えた年金 それでも天引き !? 後期高齢者医療制度の廃止を求める大集会 2008 年 3 月 26 日、野党4党による「消 えた年金 それでも天引き !? 後期高齢者 医療制度の廃止を求める大集会」が東京・ 憲政会館で開催されました。 国民新党も参加したので、実 質5党になります。 野党4党で、後期高齢者医 療制度廃止法案が提出されて います。その中で、大きく批 判の声を盛り上げていくため に、開催されました。 5党のアピールの他に、労 住 医 連・ 斎 藤 竜 太 議 長 も ア ピールを行いました。 4 月 21 日午後、東京は巣鴨の「おバアちゃんの原宿」―とげ抜き地蔵商店街で社民党の「後 期高齢者医療制度廃止を求める街頭宣伝」が行われ、 「天引きなんてもんじゃない。今後の暮ら しなんて全くない」と深刻な表情のお年寄りが次々と署名をしていきました。 4 労働者住民医療 2008.4.25 諸活動、情報報告 消えた年金・それでも天引き !? 後期高齢者医療制度の廃止を求める大集会決議 4 月から、75 歳以上を強制的に加入している国保や健保から切り離し、独立した 医療保険に加入させる「後期高齢者医療制度」がはじまります。いま、知れば知るほ ど驚きと怒りが広がり、 「高齢者は早く死ねというのか」 「なぜ、年齢で差別されるの か」と、制度の中止、撤回を求める声は日増しに大きくなっています。 75 歳以上の後期高齢者は全国で 1300 万人ですが、すでに「後期高齢者医療被保 険者証」が届きはじめ、4月 15 日には第1回の年金からの保険料天引きが開始され ます。自治体の窓口や広域連合、厚労省にも問い合わせが殺到し、いまや 500 万人 を超える反対署名、地方議会決議も 530 を超えました。 こうした声を受け、民主党、日本共産党、社会民主党国民新党の野党4党は 2 月 28 日、衆議院に後期高齢者医療制度廃止法案を提出し、3 月 5 日の国会内集会を大 きく成功させました。 制度導入のねらいは、高齢者にかかる医療費を削減することにあり、年齢で差別し、 長生きがつらくなるという、こんな医療制度は世界にもありません。きっぱりと、廃 止を求めます。法案はそのために、以下の3点を明確にしました。 1)70 歳から 74 歳の医療費自己負担引き上げは、廃止する。 2)75 歳以上の被扶養者約 200 万人に対する新たな保険料徴収は、廃止する。 3)保険料の年金からの天引きはやめる。どさくさまぎれに前期高齢者の国保料を 年金から天引きするのもやめる。 4野党は、党派を超えた共同を呼びかけ、国会での審議と法案成立を与党に強く求 めていきます。 とりわけ、5000 万件の消えた年金問題は解決の見通しはなく、約4割が記録の持 ち主と照合が不可能といわれています。名寄せの結果、記録に結びつく可能性のある 方々 1030 万人へのねんきん特別便の発送が終了しましたが、記録を回復した人はい まだ1割にとどきません。国民年金の加入者が領収書をもっているのに、社会保険庁 のコンピューターにも、手書き台帳にも一切記録がない「消えた年金」が少なくとも、 1541 件に上ることが明らかになっています。 消えた年金が取り戻せないまま、保険料だけはしっかり天引きする。こんな理不尽 なやり方は絶対に許されません。 4 月実施を目前に控えた今、あらためて野党4党が今日、一同に会し、制度の廃止 撤回を求めてともに闘うことを誓い合いました。さらに声を広げ、与党を追いつめ、 制度の撤回を勝ち取りましょう。長生きしてよかった、と言える社会にするために、 ご一緒に力をあわせましょう。 2008 年 3 月 26 日 消えた年金 それでも天引き !? 後期高齢者医療制度の廃止を求める大集会 労働者住民医療 2008.4.25 5 後期高齢者医療制度の廃止を! 後期高齢者医療制度の 廃止を求める 医師 100 人アピール賛同人一覧 ●磯村大(金杉クリニック) ●今井重信 (医療法人社団若林会 湘南中央病院) ●今井理恵(港町診療所 産婦人科) ●井本浩之(井本クリニック院長・精神科) 賛同人総数 120 人 (4 月 21 日現在 呼びかけ人含む) 少しずつ元気な(当方精神科ですので) 割にノーマルな老人が多い利用者からグチ が出ています <呼びかけ人> ●色平哲郎(JA 厚生連・佐久総合病院 地 ●斎藤竜太(十条通り医院 院長) 域医療部 地域ケア科) ●松本文六 ●岩本恵子(岩本内科医院) (特定医療法人財団天心堂 理事長) 老人の人権を無視したこの制度の廃止を ●天明佳臣 求めます !! (神奈川県勤労者医療生活協同組合 理事長) ●上野満雄(自治体労働安全衛生対策室) ●氏原久充 6 <賛同人> (北海道医療生協 札幌緑愛病院・精神科・ ●相澤力 心療内科) (医療法人社団若林会 湘南中央病院) ●宇土博(友和クリニック) ●青山浩一 ●大井玄(すずしろ診療所) (医療法人孝星会ますみクリニック院長) 後期高齢者医療制度は、実質的に福祉の 国民が安心して希望をもって生きていけ 削減であり、年金生活を送る人びとが医療 るようにすることが国の責任です。後期高 にあずかる道をせばめています。現場で医 齢者医療制度は国民の健康維持に対して国 療に従事する者の一人としてその様子をま の責任を放棄するものです。国は「国際競 ざまざと見ることができるのです。 争力をつけるために・・・と言って、大企業や ●大井武正(すずしろ診療所) 資本家を優遇する政策を執り続けています 年金の管理・運営で醜態をさらし国民に が、どの国よりも国民の命を大切にするこ 大迷惑をかけている政府が、年金から保険 とこそが評価される事だと思います。命が 料を徴収すること自体がお笑い−傲慢不遜 最も大切なのです。 である。 ●足達七郎(寝屋川南病院・一般内科) 保険料を長期に支払えない苦境に立つ高齢 ●足立光平(あだち医院) 者から保険証もとり上げ、医療から排除す ●阿部知子 るのは、許されない非人間的政策だ。ほか (あべともこ こどもクリニック・小児科医) 保険料の逆進性、同制度のおかれた財政基 ●安藤慎吾 盤の脆弱性(将来になるほど、貧しい地域 (北海道医療生協 札幌緑愛病院・内科) ほど保険料が高くなる!)、医療機関や医師 ●池亀卯女(池亀小児科医院) の間にもちこまれる分断と事務的繁忙のお ●石川節(内科医) しつけなど、患者からも医療者からもまと ●石橋徹(整形外科) もな医療を遠ざけるものである。 弱者である高齢者の医療費の自己負担が ●大竹進(大竹整形外科) 増大することを危惧致します。 後期高齢者医療制度は「団塊うば捨て山」 労働者住民医療 2008.4.25 諸活動、情報報告 制度です。団塊の世代も立ち上がり、制度 が不可欠な課題と思います。 の廃止を目指しましょう! ●栗坂昌宏 ●大渕辰雄 (防治会いずみの病院 脳神経センター) (医療法人社団若林会 湘南中央病院) 老人に希望と安らぎを ! ! ●緒方俊一郎(緒方医院) ●小島正道(葛西中央病院) 75 歳以上を棄民するように差別するこ ●五島幸明 と、周知徹底がないままにスタートしたこ (五島メンタルクリニック・精神科) と、当地域(熊本県)のようにわずかな基 ●近藤真一(勤労クリニック) 礎年金しか収入のない高齢者から保険料を ●斎藤有(太陽クリニック院長・内科) 天引きすることで、毎日の食費にも事欠く ●酒井悠次(駒ヶ根共立クリニック・内科) 人が大勢いる。 ●佐々木宏起(防治会 いずみの病院) このような制度は撤廃すべきである。 ●佐藤和洋 ●岡本茂樹 (山口赤十字血液センター・検査医) (医療法人おかもと小児科クリニック) ●佐藤文秀(さくら医院) 1.後期高齢者医療制度を 「長寿医療制度」 ●沢田貴志(港町診療所) と呼びかえる福田政権は、欺瞞にみちあふ ●篠島文隆(北海道医療生協 札幌緑愛病院・ れた高齢者、国民抑圧政権です。 内科・消化器内科) 2.財界の番頭として大企業優先、新自 ●清水陽一(新葛飾病院) 由主義資本主義(金儲け第一主義)を強引 ●下野英世 にすすめてきた、自公政権(それが小泉 - (医療法人千里丘協立診療所 内科・胃腸科) 安倍 - 福田政権に一貫している)の社会政 地元で色々の機会にこの法案の問題点を 策の行きつく先が、この制度です。少なく 患者さんに訴えてきました。多くの人びと ともそのひとつです。 が怒っています。しかしデモまでには参加 3.後期高齢者医療制度の廃止を実現さ されません。皆、年を取り、疲れ切ってお せるためには、この財界主導の自公政権を られるのでしょう。その代わり今度こそ自 打ち倒す気概をもってとりくまねばならな 分の一票を有効に使おうと思っておられる いと思います。 ような感じがしています。権力を恣にする ●賀来秀文(都立駒込病院) 者どもよ、恐怖を知れ。 ●梶原徹(ひらの亀戸ひまわり診療所) ●下野卓爾(医療法人千里丘協立診療所) ●加藤幸雄(天心堂へつぎ病院) 今の医政は経済第一主義で短絡的なもの ●金杉和夫(金杉クリニック) ばかり。制度そのものもまとまらない状況 ●兼崎暉(北九州小倉病院・内科) での開始。おかしなことばかりまかり通っ ●亀井克典(かわな病院院長) ています。しっかりとした判断をすべきで ●川瀬典夫(川瀬クリニック) あり、後期高齢者医療制度ははじめから見 ●河村忠雄(天心堂へつぎ病院) 直すべきです。 ●木村孝文 ●首藤治(天心堂へつぎ病院 麻酔科) (秋津レークタウンクリニック・内科) ●杉浦裕(杉浦医院) ●久米行則 ●杉浦和夫(港町診療所・外科) (大分県勤労者医療生協 佐伯診療所) ●鈴木厚(川崎市立井田病院・内科) 従米軍事予算を縮小して社会保障の再建 ●鈴木豊 労働者住民医療 2008.4.25 7 後期高齢者医療制度の廃止を! (北海道医療生協 札幌緑愛病院・外科) あるように思います。当事者、関係者が広 ●千住典男 く参加して話す基本に戻るために賛同しま (ひまわり医療生協 田島診療所) す。 ・保険証がなかなか確認できない。現場 ●仁科晴弘(江東病院・外科) が混乱しております。 ●西村有史(医療法人財団つばさ・院長) ・4 月に入る前に廃止の方向を示すべき ●新田誠(富岡市立高橋診療所) ではと考えます。 (4 月では遅い) へき地で医療に従事したいと京都市内か ・年齢 75 歳以上の患者さんの受診率が ら兵庫県北部のへき地山村に移住して 42 少しずつ減ってきている感じです(医療抑 年経ちました。 制が始まっております) 。 今も、私は市立診療所に勤務している現 ●田口純(医師) 役の医師です。 ●武井良憲(防治会 いずみの病院) 現在 78 歳なので「後期高齢者」に該当 ●谷脇広道(勤労クリニック) すると言われ「後期高齢者医療被保険者証」 ●椿恒雄(医療法人つばき医院) が送り付けられてきました。 ●坪井秀雄(三郎丸診療所所長・内科) 現在も昼間 7 時間毎日診療し、夜間も 4 ●坪中信幸(関越病院) 時間、往診や書類作成のために毎夜深夜迄 ●局哲夫(天心堂へつぎ病院) 診療所に出勤しています。深夜の往診も週 ●堂垂伸治(どうたれ内科診療所) に2∼3回有ります。現役並みの所得が有 疾病の可能性の高い年齢層だけを対象と るからとの理由で、一部負担金の割合は「3 して「保険」と称するのは根本的に間違っ 割」との事です。健康保険の診療報酬制度 ています。例えば、交通事故率の高い 20 の改悪が続き、患者数は減少していないの 歳代だけをくくった自動車保険など、民間 に、数年前から診療所の利益は毎年減少し、 保険会社は絶対に作らないはずです。この 赤字経営になっています。 一点だけでも、官僚の発想は間違っており、 「後期高齢者医療制度」が実施されると診 「うば捨て山」保険制度だと言えます。 ●東保みづ枝 増えるでしょう。高齢者いじめをするだけ (大分県中央児童相談所 所長) でなく、へき地医療を崩壊させる後期高齢 ●東保裕の介(とうぼ小児科医院・理事長) 者医療制度の廃止を強く求めます。 ●徳丸進一(天心堂へつぎ病院) ●長谷川誠 ●知見秀雄(ともみ内科医院) (湘南メンタルクリニック・精神科) ●中里武(栗田病院) ●原田正純 ●中嶋元次(内科・神経内科) (熊本学園大学教授 精神神経学) ●長田裕典(防治会 いずみの病院) ●春田明郎(横須賀中央診療所 内科) ●永渕成夫 (医療法人社団若林会 湘南中央病院) 8 療所の赤字は更に増え、患者さんの負担も 医療費抑制政策の出発点となった医療費 (をはじめとする社会保障費)の増大が経済 ●柳楽翼(大分県勤労者医療生協・理事長) の発展を損なうという考え(医療費亡国論) ●名取雄司(ひらの亀戸ひまわり診療所) がそもそも間違っていたのだと思います。 大事な制度が十分議論されずに法律として むしろ社会保障をないがしろにする政策が、 成立し、その後に制度化の中で問題が国民 年金制度を崩壊させ、内需を低迷させ、国 的となる「過程」に、この国の「危機」が を滅亡させる元凶になっています。 労働者住民医療 2008.4.25 諸活動、情報報告 ●林良彦(天心堂へつぎ病院 外科) 悪法 ●原恵美(天心堂へつぎ病院 眼科) ●平野敏夫 (ひらの亀戸ひまわり診療所・理事長) ●藤田和丸(藤田医院) ●布施幸彦(館林厚生病院 内科) ●細川正雄(新居浜医療生協 中萩診療所) 国民皆保険制度にフリーアクセス原則は 崩さないよう。費用増大は予防的医療、介 護の実施から止まるもの。 ●本田哲史(北海道医療生協 札幌緑愛病院・ 呼吸器内科) ●本田徹(内科・シェア=国際保健協力市 民の会代表理事) ●牧野舜二(牧野クリニック・外科) ●松野治雄(松野脳神経外科クリニック 院長・脳神経外科) ●松本泰祐(医療法人財団 天心堂) 実際の年金者の生活状況を具体的に示し た方が理解されると思います。地域格差、 所得格差などを示していただけると助かり ます。 ●松山家芳(かるが医院) 後期高齢者医療制度は小泉政権のもとで 作られた高齢者、弱者の切り捨ての医療制 度で、このようなことを許していると医療 崩壊は目にみえているので絶対反対である。 高齢者に対してもっと暖かい思いやりのあ る医療制度を作らないとこの国の未来はな い。 ●松山幸宏(天心堂へつぎ病院) ●真鍋英夫(久山療育園診療部長・外科) ●馬宮姫京(防治会 いずみの病院) ●丸本百合子(百合レディースクリニック) ●水谷淳子(谷中耳鼻咽喉科医院) ●光山正雄(京都大学医学部) ●三橋徹(整形外科) ●宮田信之(宮田医院院長 胃腸科・外科) ●宮本真理夫(諏訪中央病院) ●村上佐代子(村上医院・院長) ●村上冬彦(村上医院・理事長) ●村上正治(ろっこう医療生協 灘診療所) 国は医療保険制度を自由に操って地域医 療や救急医療を破壊しています。今度は医 療を平等に受ける高齢者の権利まで奪おう としている。この暴挙を許してはいけない! ●村上優(精神科) ●望月清隆(相州病院) ●元森照夫(天心堂へつぎ病院) ●安田ちえ(天心堂へつぎ病院) ●山口研一郎(やまぐちクリニック) 「後期高齢者」との呼び方は、高齢者の中 でも特に「後期」にさしかかっており、お 迎えが近いとのことから不必要な検査や治 療はひかえるようにとの意図が感じられま す。現在進められている「尊厳死」などの 風潮と期を一にするものであり、絶対に認 めるわけにはいきません。 ●山口秀樹(内科) 後期高齢者保険。なにぃ長寿保険だと! ますます腹が立ちます。 ●山田真(八王子中央診療所) ●山田秀雄(山田こどもクリニック) ●山村淳平(港町診療所) ●山本真(大分県勤労者医療生協・院長) ●横須賀均(横須賀歯科医院) 施行されてしまった制度が直ちに廃止さ れたことはないと記憶している。が、本制 度は国民を苦しめるモノであることに間違 いはないし、1 年後には破綻することも容 易に想像できる。いろいろな改革を推進す る言い続けている(自民党)政府に、即時 廃止の英断を求めます。 ●吉川徹(医師) ●吉田周平(天心堂へつぎ病院 形成外科) ●ラナ美代子(十条通り医院・内科) ●渡邉充春(松浦診療所・歯科) 以降賛同いただいたた方は、 次号掲載させていただきます。 労働者住民医療 2008.4.25 9 患者 労住医連社会保障プロジェクト 企画・連載 は今なにに困っているのか 第3回 医療制度改悪による様々な医療費抑制策の中で、医療・介護現場でいったい患者さんは何 に困り、いかに頑張っているのか。患者さんご自身や家族の方、医療・介護機関の職員の目 線でご投稿いただく連載企画の第 3 回です。 本連載は労住医連社会保障プロジェクトとの連動企画。今後の諸活動の貴重な参考にさせ ていただくと共に、政府に対する積極的な提言の糧としていきたいと思います。 引き続き、皆様の投稿、ご協力をよろしくお願いいたします。 (事務局) 実母と義理の父介護に際して 困った・困っている件 ∼ 母は心臓病、義父は高血圧からの血管性認知症の介護を通して ∼ 神奈川県・十条通り医院 介護家族 石田 潔 ( 通信販売会社勤務) 1) 母のこと として立ち上げを依頼されて入社後やっ と波に乗ってきていた時期でした。多少 10 母は 14 ∼ 15 年前、結婚以前に心筋梗 早く会社を上がり病室に向かう毎日でし 塞で横浜市大の救命救急の当時の木村セ た。ちょうど母の夕食時で、看護師さん ンター長にお世話になり、数回の救命救 に、度々もう帰られるのですかと言われ 急の入退院を繰り返し、一命を取り留め る毎日で、人手不足を目の当たりにして ました。以前の会社で通販部門の責任者 おりました。又、看護師の方と先生には 労働者住民医療 2008.4.25 連載 連載 患者は今なにに困っているのか 本当に頭の下がる思いと、単なる理想と ました。 か夢ではできない事なのだなと、痛感さ せられました。 ―― 母の介護で困った事 帰宅途中に自分の夕食を買い自宅に戻 10 年ほど前のことですので、介護保険 ると、9 時 10 時。病院の連絡に備え枕元 も無く暗中模索でした。当初、住まいが に電話を置き寝ておりました。独身で父 根岸でした。 も大学卒業の年に亡くしておりますので、 先ず、何も情報が無い心臓病の後です 孤軍奮闘で当時の会社の社長が理解者で ので、安定剤を含めて心臓の薬がなかな 助かりました。診断としては手術不可能 か合わず、当初は、痴呆というよりも元 で余命 3 年と言う事で、結果十数年の命 の生活に戻すことが大変でした。しばら を頂きました。人間とは凄いなと思いま くして風呂場で転び肩を脱臼整形外科の した。頑張り屋の母でした。 病院通いが始まり、幸い院長の息子さん 当時はデイサービスも無く、現在のホー が根岸の駅前にクリニックを開院したば ムの様なイメージもアピールも少なく、コ かりで、時間を決めて決まったバスに乗 ンビニも無く何をするにも大変でした。 り決まったリハビリを受け通院仲間のほ 退院後結婚、同時に 南林間に引越 し ぼ同年代の方々との談笑をして、という 日当たりの良さで、現住まいに決め何と 生活を続けるうちに頭もはっきりして欝 言っても妻との関わりが母の顔色まで 的な引き篭もり気味の生活も見る見る良 をぐんぐんと良くし、まるで心臓病がう くなりました。しかし、肩の調子が良く そのようでした、今度は十条通り医院の なると、通院の必要もなくなってしまい、 院長斎藤竜太先生にお世話になる事とな また多少元のように元気が無くなり、先 り、暗中模索の中大変お世話になりまし 生に内容を話しお願いして通院を再開し た。当初、前述しましたリハビリも兼ね て頂いたことが御座います。 心臓病ですので通院、ある日帰り方がわ 当時は別の意味で何も情報を得る事が からなくなり、近所の酒屋さんから電話 できず、どこに相談に行けばよいのかも で迎えに行き、おかしいなと思いつつ、 判らず。完全な痴呆というわけでもなく、 今度はこれも仕事を敢えて作る為に夕食 転勤転勤でたどり着いた横浜根岸ですの 材料屋さんを頼み母に作ってもらってい で近隣のお付き合いもお隣くらいでそれ たのですが、ラーメンの夕食で帰宅した もお年寄り、本当に途方にくれました。 ら、多分 16 時くらいに作ってあり痴呆 その後結婚後母の様子は妻との折り合 を確信し、妻も仕事をリタイヤ、課長迄 いが良く又、話をする機会が増え十条通 なって可哀想な事をしてしまいました。 り医院院長の斎藤竜太先生にお世話にな 一昨年平成 18 年 10 月に病院で亡くなり り、みるみる良くなりました。 労働者住民医療 2008.4.25 11 連載 患者は今なにに困っているのか ―― その後、認知症 性格や、年配の方には難しい。しかし受 一般には現在より認知症の情報がな け入れる病院も施設もぼろぼろで、窮状 く、どう対処して良いかわからず。介護 はすぐに見てとれる。 保険前で市役所の福祉課か民生委員しか 非常に好くして頂いた。ベテランの看 ないが先方からのアクションも案内があ 護師さんがほとんどで或いは卒業したて るわけでもなく、引っ 越したばかり で の新人さん。 子供がいて知り合いができるわけでもな 近藤病院で亡くなりました。入院中も く、特にマンション住まいで近隣との深 胃瘻で検査を色々して頂く事で、長期間 いお付き合いができるわけでもなく、七 入院できましたが、先生が代わる中で退 転八倒、暗中模索の日々でした。 院の勧告数回あり、最後も面識ない医師 当初、妻からデイサービスを勧められ に酸素を付けるか否かの判断を預けられ たが、母の欝状態から母も私も断り、妻 私が判断、色々ですが止むを得ずだし、 が相談する人もおらず困惑。 総じて感謝の限りですが。 その後、週 5 日デイサービス、2 ヶ月 に 1 回のショートステイを利用、精神的 に限界になっていた。妻も仕事を退職、 2)義父の件 私も介護での休みの問題で、以前の会社 を退職、栗原ホームの担当医の先生の講 妻の実家は茅ヶ崎で車で約1時間の距 義を聞き又、痴呆に詳しい精神科の院長 離です。 で認定医でしたので介護保険開始時に妻 義父は母の葬儀に風邪を押して出席 がタイミング良く手続きをしてくれて母 し、翌日に体調を崩しその後、認知度が が入所できて我々も命拾い。 ひどく進み現在妻の実家の茅ヶ崎で義母 入所後今度は、金額も大変だが入所さ が自宅老々介護中、妻も仕事先 ( 新橋 ) せてしまった事での負い目というか、罪 から直接実家に帰ったり南林間に戻った 悪感というかで精神的に特に妻が鬱を感 り、私も土曜日には極力出向いて介護の ずる。 施設、医師との交渉、住まいの改造等分 業をしております。 ―― 施設から東海大救命救急、 そして近藤病院へ これは、どちらもそうですが月々 20 12 ―― 健康で掛かりつけ医無しの為、 往診不可 万円以上の費用負担、こちらとしては金 サービス利用に際し、施設ごとの契約 があれば別だが、心ある医師に訴えかけ が煩わしい。各施設の面談はしょうがな ること必死、これもアピールができない いが、契約書などは、全て違うため共通 労働者住民医療 2008.4.25 連載 連載 患者は今なにに困っているのか 様式か、1 回記入捺印すれば有効になる 金が無い人は介護保険のサービスも受 様にならないか。 けられない、我々も必死で費用を捻出し 今後施設入所の場合、どの施設も待機 た。又自宅介護時は睡眠不足、ストレス 人数が多い。いずれ、どこかの施設に入 で捻出せねばならない勤務にも大きな影 所できるあてがあれば、精神的に少し軽 響。負の循環。 くなるが見えない。 労災罹患者は時代を支えた人達です 大分県勤労者医療生活協同組合佐伯診療所 大分安全センター佐伯真砂会会長 山内 一平 ある集会で、労災認定者は税金を食い 教養など無縁。自信の体力で高収入を得 物にしていると恥じらいもなく話を始め る仕事場を求め、出稼ぎ就労で家族に送 た。聴く者達は疑わずして聴く耳を信じ 金する働き蜂であった。ところが事業主 不審が一般常識化されることの恐ろしさ は利益優先で就労者への気配りなど皆 を感じました。労災保険の本質を理解さ 無で、事業場の環境、工具等について安 れず労働者が脅される現今であります。 全衛生は無視と言っても言い過ぎではな それでは患者たちが何をしたか。 い。その後遺障害が労災患者である。じ それぞれの職場で体力の限界まで一生 ん肺患者達は当時、豊後士工と言われ日 懸命、時間制限のない労働を強いられな 本列島全国へ出稼ぎトンネル工夫として がら、家族のために働き収入を求めた。 名声轟き重宝されたが、加年とともに体 真面目に就労、一途に働いた結果が暴露 調を患う悲運に見舞われ、若年で家族を を受けるという知識はなかった。それが 案じながら他界して逝った患者。現在も 我々患者である。無念の一言に尽きる。 病み苦しんで居る患者、その家族に慰め 労働者住民医療 2008.4.25 13 連載 患者は今なにに困っているのか の日々はない。 でない。ならば厚生労働省は、労働者保 尚多くの罹患者が潜在していることを 護の任務責任はどうなる。現在の行革労 忘れてはならない。林業においては、伐 働行政は、就労現場の声や実情を取り上 出造林作業にチェンソー・刈払機は就労 げる窓口などは、合理化により嘱託職員 工具の必需機械であります。昭和 34 年 での事務的処理では、本来の労働行政と 頃、当初のチェンソーは、誰でも使用出 掛け離れ信頼が出来るでしょうか。罹患 来る機械ではなかった。林業の先進国で 者は不安でならない。尚患者会員は加齢 は使用中止されていた機械工具を国は輸 による課題が様々生じる中で行政の問題 入し普及使用させた。このようなことは を抱え心労は尽きません。安心して治療 一例である。10 年後に防振装備される を受けられることを願望の会員一同であ に至った。しかし現在の工具とは比較に ります。安全センター、医療生協、佐伯 ならない粗末そのもので、その工具で生 診療所久米先生、スタッフの皆様に見守 産向上を強いられ長時間酷使したその代 られて診療を受けられることを感謝申し 償が体調の異変、悪化、原因不明で長期 上げます。 入院、後に振動障害認定となった。認定 労働者住民医療機関連絡会議の関係者 当初は全身障害の治療を受けていたが、 へ。全国の有識者先生方の活動は真の医 現在の部位による治療制限は納得いくも 療の在り方について大変勉強になりま のではない。振動障害について、307 号 す。多くの方々へ周知していただきたい 通達が何故だされるのか。罹患者を法に です。更なる活動、活躍を御期待申し上 より裁き殺伐することなど許されるもの げます。 投稿のお願い 連載企画「患者は今なにに困っているのか」では、皆様からのご投稿をお待ちし ております。医療・介護機関職員、患者さん、ご家族、支援者の方、その他の方々、 どなたでも! 皆様の率直な声をどしどしお寄せください。 ■投稿先:労住医連事務局まで ■字数:1200 字前後 お願い①タイトル、執筆者名、地域・肩書きをご記入ください。 お願い②校正のために連絡先住所もしくは FAX 番号をお書き添えください。 ( 編集部) 14 労働者住民医療 2008.4.25 連載 連載 患者は今なにに困っているのか 望む事 神奈川県・十条通り医院 介護家族 Y・O 私が母の介護をし始めてから 8 年が 妹がいない方が良かったとさえ思いま 過ぎました。母は今、86 歳です。軽い す。自分の母親をあれほどよく知らんふ 認知症が初めにあったのでマンションの りできるものだと。出かけれられないの 上下で暮らす様にしましたが、領収書を も困っています。自由に出られない事は 持ち支払いと勘違いし外に出て行ってし 相当のストレスです。 まいました。他にも大変な事があり、今 そしてヘルパーさん達の基本、忘れな は私が母の部屋で暮らしています。私は いでほしいという事。仕事から帰ってみ 午前中、仕事をしているので、その間は ると、ヘルパーさんの来た気配がない。 ヘルパーさんにお願いしています。娘、 そして不注意でケガをさせないでほし 息子がいた時は、娘は母の髪を切る、留 い。人間のミスだから仕方ないのかも知 守番等、いろいろ手伝ってくれましたが、 れませんが基本です。そしてヘルパーさ 娘は海外で仕事をし、息子も結婚したの んの仕事範囲も広がれば…。髪を切る(ほ で、私一人で頑張っています。肩を骨折 んのえり足だけでも)、傷の手当て(褥創) した今では、寝たきりになり、自分で食 等、できれば食事作りもせめていろどり 事もできません。 ぐらい考えて。望む事が多いですが、私 介護保険料、その他ももろもろのかか 達の老後には、子供に迷惑かけないで住 る費用、生活費は母の貯蓄があるので大 める世の中であってほしいです。 丈夫ですが、やりきれない時があります。 世話をしている私の悪口をあること、な いこと人に言う事。知らない人は本気に します。認知症の症状とわかってはいて も腹立たしく思います。必死に世話をし ているのに…。しかも、様子を見に来な い二人の妹を良く言って…、ストレスの 原因です。せめて妹達が「どう?」「悪 いね!」「ありがとう」くらい言ってく れれば…。私だけの母ではないのに。姉 労働者住民医療 2008.4.25 15 主張 薬害肝炎のこれから 薬害肝炎訴訟を支援する会・東京 世話人 江川 守利 薬害肝炎訴訟は、本年 1 月 15 日、原 の対立で審議が打ち切られてしまいまし 告被害者が国と交わした基本合意書に基 た。3 つ目は繰り返される薬害の根絶。 づき各地で和解手続が進行しています。 抗がん剤の薬害イレッサ訴訟もいまだ係 東京高裁では、本年 2 月 29 日、東京地 争中です。 裁では、3 月 28 日、国と和解が成立し これら 3 つの課題に対しては医療機関 ました。これまでご支援ご協力をいただ の協力なくして達成することは出来ませ きありがとうございました。 ん。支援する会では原告・弁護士と一緒 この和解に至るまで原告被害者は自ら にいまだに救済されていない薬害被害者 の被害を街頭や国会をはじめ政府機関・ の掘り起こしを医療機関に協力要請して 各団体を回り訴えてきました。今回の和 いるところです。また恒久対策について 解は原告被害者にとって自らの肝炎の闘 は肝臓病の患者会と一緒になって署名活 病とともに提訴以来 5 年間にわたる長い 動を行っています。今、行っている署名 闘いの成果であります。 は 5 月に国会請願のときに国会に提出し しかし、被告企業とは、まだ和解が出 ます。これからもご支援ご協力よろしく 来ていません。そして、原告被害者が求 お願いいたします。 めてきた薬害肝炎被害者だけでなく全て の肝炎患者の救済は、まだまだこれから です。マスコミ報道等でも世間の風潮は、 和解によって解決したかのような風潮で すが、まだまだ道半ばです。 原告被害者と厚生労働省の定期協議も 始まりましたが、これからの課題は大き く 3 つあります。1 つ目は薬害被害者の 個別救済。問題の血液製剤が投与され薬 3.29 薬害肝炎訴訟・東京和解報告集会 害肝炎訴訟での和解に至った原告はまだ わずかです。2 つ目は全ての肝炎患者の 医療費助成や医療体制の充実といった恒 久対策。国会では肝炎対策法案が与野党 16 労働者住民医療 2008.4.25 先月号で皆様にお送りいたしました署名 は、至急先方にお送りください。引き続き、 取り組みへのご協力をお願いいたします (事務局)。 これからの医療・私の実践 これからの 私の 第 12 回 これからの医療について、ご自身の夢を語っていただきます。 「グローカル」な問題意識を鍛え、足元で働く シェア=国際保健協力市民の会・浅草病院 本田 徹 病院を辞めて 世界保健紀行に出る り越えて家庭医学やホームレス者の医療 2007 年3月いっぱいで、14 年間ほど 様子を直に見聞して大いに励まされ、刺 お世話になった東京・葛飾区の堀切中央 激を受けました。さらに、畏友・工藤芙 病院を辞め、いったんフリーの身となり 美子看護師が JICA の専門家として、グア ました。6 月に先輩 NGO である JVC(日 テマラの先住民族地域で創意豊かに取り 本国際ボランティアセンター)の、アフ 組む子ども保健プロジェクトを見学した ガニスタン、ジャララバード県における り、私自身アフガニスタンの JICA 母子保 地域保健事業を視察・評価させていただ 健プロジェクトに招かれ、 「医療倫理」の いたことを皮切りに、カンボジア、メキ ワークショップを開かせていただいたり、 シコ、アメリカ、カナダ、グアテマラ、 尊敬してやまない、プライマリ・ヘルス・ パレスチナ、東ティモール、そして最後 ケアの大先達デビッド・ワーナー氏にア にもう一度アフガニスタンと、計 12 カ メリカで再会し、08 年シェアの 25 周年 国ほどをめぐる世界一周の保健紀行に、 のために来日し講演することをお願いし、 足掛け5ヶ月ほどかけて出かけました。 快諾を得たこと、最後に占領封鎖下でパ や訪問看護にいきいきと取り組んでいる おり 30 年間病院での臨床医を続け、疲労が澱 レスチナ人が置かれている、あまりにひ のように溜まっていましたので、風来坊 どい医療の現状を再確認するなど、学び、 よろしく、世界各地の友人や仲間を頼っ 目を開かれることの多い旅となりました。 て渡り歩き、彼らがさまざまな試練を乗 労働者住民医療 2008.4.25 17 これからの医療・私の実践 山谷の医療に戻る 今年に入りすぐ、台東区・山谷に隣接 する東浅草の病院に職を得て、訪問看護 ステーション・コスモスの元気な看護師 たちと、ドヤ(簡易宿泊所)への訪問診 療活動を開始したり、療養病棟の入院患 者さんを担当しはじめたり、急に忙しく なりました。 路上生活者のための健診会 1 年近くブランクを置いての日本の都市 ー訪問看護ステーション・コスモス主催 の医療現場は、報道されている通り、急 速に危機感と疲労の色を深めているよう に見えます。この病院では都内の二次救 護師)のような、霊性と献身性を併せ持 急医療機関の中でも有数の、月平均 300 つすぐれた働き手との出会いの機会を得 件前後の救急車を受け入れていますが、 ました。 地域性もあってか、半数以上の方々がホー 山谷で今起きているのは、恐るべき日 ムレスや一人暮らしの孤老の患者さんで 本の医療や福祉の荒廃・劣化と、それと す。台東・荒川・墨田区内でも、救急患 者を積極的に受け入れる医療機関は極端 鬩ぎ合いの現場と言えなくもありません。 に減少し、特に山谷地域からの発生とい 浅草と山谷は、日本の都市がもつ「晴と うと、それだけで満床を理由に断る病院 褻(け) 」の対照と緊張と、互いに相手を も多くなっています。一般の外来患者さ 必要とする関係性とを否応なく突きつけ、 んも生活保護を受けたり、ぎりぎりの年 思い出させるのです。 金くらしで、国保に加入しているご老人 1997 年に刊行された山谷俳句会・二十 が大多数を占め、ある意味で、当病院は、 周年記念句集「泪橋(なみだばし) 」に収 日本の都市型貧困者医療のひとつの拠点・ 載された、山友クリニックの忘れがたい つっかえ棒に、好むと好まざるとに拘ら 患者、故・小野瀬訓央さんの秀逸な句は、 ずなっている、という感じがします。 褻=日常の中で必死に働き、生き延びる 私にとって山谷は、1983 年にシェア 人びとの息遣いを、よく伝えています。 が創設されて翌年にはじまった山友会の 無料診療所活動への参加を通して、洗礼 を受けた、いわば日本における真のボラ ンタリ医療のモデルと言うべき土地です。 そこで、メリノール会のシスター・リタ(看 18 明るくしぶとく闘おうとする人たちとの せめ 労働者住民医療 2008.4.25 ひ が ん さまざまの視線に秋彼岸リヤカー曳 露含む故紙の軽量わずか増え 献体をきめて湯島の梅を観る これからの医療・私の実践 さかさま医療ケアの法則 ―市民社会の形成に向けて この、世界普遍的な「さかさまケアの 英国の優れた地域医療医、トュドー・ の改善のためにそれぞれの医療現場・市 ハートは、「よい医療ケアの確保は、そ 民運動の持ち場でたたかい、人びとが連 のサービスが提供されるグループの医療 帯していくことは、酷薄な国家からひと ニーズが高いほど、反対に難しくなる傾 り一人の主権を取り戻し、21 世紀の当事 向 が あ る 」 と 1971 年 に 早 く も 喝 破 し、 者主体の市民社会を形成していく上で欠 この考え方はこの国のメインストリーム かせないモメントとなるのでしょう。い の医療の中でもコンセンサスとなった観 ま、グローバルでもあり、ローカルでも があります。 ある認識と行動が求められているのだと "The Inverse Care Law (Tudor Hart): − 思います。 法則」を日本の現状において直視し、そ The availability of good medical care tends to vary inversely with the need for it in the population served." (Oxford Handbook of Public Health Practice. Seventh Edition 2006) おすすめの 1枚 平野 敏夫(亀戸ひまわり診療所) Balada 望郷のバラード 1. 望郷のバラード ( ポルムベスク ) 2. シャコンヌ ト短調 ( ヴィターリ ) 3. 愛の悲しみ ( クライスラー ) 4. トロイメライ ( シューマン ) 5. ルーマニア民俗舞曲 ( バルトーク / セーケイ編 ) 6. スペインのセレナード ( シャミナド / クライスラー編 ) 7. アヴェ・マリア ( バッハ , グノー ) 8. アヴェ・マリア ( シューベルト ) 9. ロマンス第 2 番ヘ長調 op.50 ( ベートーヴェン ) 10. 望郷のバラード ( 無伴奏 )( ポルムベスク ) Balada 望郷のバラード 演奏:天満敦子 2003 年 11 月 6 日 レーベル:キング ASIN:B0000CBC3X ビオラ、ピアノ、ギター、チェロと来 たので今回はバイオリン。天満敦子という バイオリニストは、<望郷のバラード>の 演奏で有名になったバイオリニストで、 根強いファンが多い。<望郷のバラード> は、ルーマニアでは広く知られている名 曲だそうだが、国外ではあまり知られて いない。作曲したボルムベスクという人 (1853 ∼ 1883)は、ルーマニアの独立 運動に参加して投獄され、獄中で故郷を 偲び、恋人に思いを馳せながら作曲した といわれています。天満のバイオリンは、 バリバリと弾きまくるというわけではな いが、メロディーの歌いまわしが美しい。 労働者住民医療 2008.4.25 19 産業保健 「労災診療費算定基準」の改定内容が明らかに 札幌緑愛病院 三宅 正之 2008 年度の診療報酬の改定を受けて、 まったくがらっと変わるということ自体 労災保険における診療費がどのようにな が信じられないことだろう。世間の常識か るのか注目されていたが、厚生労働省は、 ら言えば「周知期間がまるでない」 「準備 2008 年 3 月 31 日付で 5 本の通達や事務 も何も間に合わない」わけで、恐らく厚労 連絡を出した。列挙すると下記の 5 本で 省以外の他官公庁から見ても「シンジラレ ある。 ナーイ」ことだろうと思うが、医療の世界 ①「 『労災診療費算定基準』の一部改定に ではそれが 2 年おきに繰り返されている (厚労省労働基準局長名) ついて」 のが悲しいかな実情だ。 ②「労災診療費算定基準の一部改定に伴う 労災診療費の改定について言えば、むし (労災補償 運用上の留意事項について」 ろ今回は早く改定内容が公表された方だと 課長名) さえ言える。もっとも、正式な平成 20 年 ③「労災保険における看護料算定基準の一 度版の『労災診療費算定基準』はまだ公表 (労働基準局長名) 部改正について」 されていない。いつもなら 5 月頃に公表 ④「労災保険における看護料算定基準の一 され、たぶん今年もそうだろうが、今回の (労災 部改正に係る留意事項について」 通達類でその改定内容は十分にわかる。 補償課長名) ところで、日医はこうした厚労省の通 ⑤「 『労災保険におけるリハビリテーショ ン医療について』の一部改正について」 (労働基準局長名) 達発出を受けて、 「平成 20 年度労災診療 報酬の一部改定について〔主な改定項目〕 」 という新旧一覧表を作成して各都道府県医 師会に通知し、北海道医師会のホームペー ●相変わらずの直前ドタバタ通達 ジ等にいち早く掲載されたので一読願いた 翌 4 月 1 日から健保の診療報酬が改定 い(P 22 ∼表参照) 。 され、これを受けて労災診療費の算定基準 今回の主な改定項目は次のとおりである。 も同日から改定されるというのに、その前 日付けで通達をどっと出して翌日から変更 20 ●主要な改定項目(新旧の比較) しますというやり方は相変わらずだ。こう (1)健保改定で不評を買った再診時の外来 したドタバタ劇は健保改定もまったく同 管理加算の「5 分ルール」は、労災には導 様だが、医療以外の世界から見れば、前日 入しない。 「従来どおりの計画的な医学管 の通達でその翌日から制度や金額までもが 理を行った場合は所定点数に 52 点を加算 労働者住民医療 2008.4.25 産業保健 して算定できる。 」とされている。従って、 あるからだ。 診察が 5 分未満でも、また来院者が本人 (6)労災で算定日数を超えてリハビリを でなく家族であっても従来どおり算定でき 継続しようとする場合の手続きについてだ ることになる。また、健保では軽い検査以 が、今般新たに「傷病にかかわらず、リハ 外の検査を行った場合は外来管理加算の対 ビリを継続する場合はその医学的所見をレ 象外になるが、労災ではそれが 52 点に満 セプトの摘要欄に記載すること」とされた たない検査等の場合は外来管理加算を算定 ( 但し、 「労災リハビリ評価計画書」を添付 できる ( =つまり最低 52 点以上は算定で している場合はレセプト記載は不要 )。 きるということで、従来からある労災特例 の一つ)とされている。 (7)健保に導入された、小処置を処置点 数から外して基本診療料に包括する扱いに (2) 「再就労療養管理指導料」 (=就労可 ついては労災も健保に準拠する。処置点数 能な通院患者に対して療養上・就労上の指 から外された小処置とは、① 100 平方 cm 導事項を記した「指導管理箋」を交付して 未満の第 1 度の熱傷処置、② 100 平方 cm 指導した場合に算定できる)月 1 回 3,000 未満の皮膚科軟膏処置、③狭い範囲の湿布 円を引き上げて 420 点に点数化した。 処置による消炎鎮痛等処置(=半肢の大部 (3)リハビリテーションは、各疾患別リハ とも健保では引き下げられた(運動器リハ (Ⅰ)180 点→ 170 点、呼吸器リハ ( Ⅰ) 又は頭部・頸部・顔面の大部以上にわたる ものでないもの)である。 以上が改定の主な項目である。 180 点→ 170 点)が、労災では現状維持。 労災保険での実施件数はそれほど多くない と思われるが、心大血管リハ・脳血管疾患 リハも点数は下がらず。 (4)健保で廃止された入院患者のベッドサ ●評価できる リハビリ継続手続きの簡素化 ところで、前述のうち、上記(6)のリ ハビリを継続するための手続きが改められ イド等での訓練に対する ADL 加算は労災 たことの意義は、実はかなり大きい。 では残った。但し、健保で新設された早期 なぜなら、従来リハビリを継続するため リハビリ加算(=新設とはされているが、 には、①算定日数を超えてリハビリを行う 実際は以前にあった 90 日間の早期加算の 患者のうち状態の改善が期待できると医学 部分的な復活だ)は労災には導入されず。 的に判断される場合はレセプトの摘要欄に (5)健保の「リハビリの標準的算定日数」 その理由を記載すること、又は②算定日数 を超えた場合の「1 か月 13 単位まではリ の上限の除外対象疾患とならなかった傷病 ハビリ実施可」は労災には適用しない。そ であって、上限を超えてリハビリを行う必 れは、労災では必要ならば算定日数を超え 要性と効果が認められる場合はレセプトに てリハビリを継続できることが原則として 「労災リハビリ評価計画書」を添付するこ 労働者住民医療 2008.4.25 21 産業保健 と、とされていた。この手続き要件によっ からである。 て実質的には毎月のレセプトに「労災リハ われわれはこれまでこうした理由書の提 ビリ評価計画書」を作成・添付することが 出間隔を大幅に伸ばすか、あるいは必要な 事実上義務付けられていたのである。 時だけ提出を求めるように改善すべきだと この度これが、傷病にかかわらず、レセ 強く要求してきた。今次の改定ではそこま プト摘要欄にその医学的所見を書けばよい でには到らなかったものの、労災医療を担 と変更された。即ち「労災リハビリ評価計 当する医師・医療機関側の作業負担は大幅 画書」を書く必要はなくなったわけで、手 に軽減されるだろう。 続きは大幅に簡素化されたと言ってよい。 従来の「労災リハビリ評価計画書」は、 こうして書き上げてみると、今回の労災 負傷災害ならばともかく、振動障害のよう 診療費算定基準の改定については、 「外来 に長期の運動器リハビリによって機能回復 管理加算の 5 分ルールの不採用」 「リハビ を図ったり、じん肺のように病気の進行に リテーション点数の維持」等の点では労災 伴う肺機能の低下に対して予防的観点から 特例という独自性を守ったと言える。また も呼吸器リハビリを施すといった症例につ リハビリ継続の際の手続きの簡素化は一歩 いては、そもそもわずか 1 か月前からの 前進と率直に評価してよいだろう。 改善点を毎月書かせるという書式自体が不 尚、これらは自賠責保険にも準用される 適であり、担当医師を大いに悩ませていた ことになる。 日医発第 1208 号(保 227) (2008 年 3 月 31 日) 「平成 20 年度労災診療費算定基準の一部改定について」 別紙① 主な改定項目(下線が改定箇所) 改定後(H20.4.1 ∼ ) 1 初診料 22 現行(∼ H20.3.31) (金額に変更なし) 3,640 円 ア 健保点数表(医科に限る。 )の初診 料の注 2 前段にかかわらず、健康保険 等他保険及び自費(医療保険給付対象 外) (以下「他保険等 という。 )によ り傷病の診療を継続している期間中に、 当該診療を継続している医療機関にお いて、業務上の事由又は通勤による負 傷又は疾病により初診を行った場合、 または、健康診断に引き続いて、当該 健康診断を受けた医療機関において、 業務上の事由又は通勤による疾病によ り、初診を行った場合は、初診料を算 定できるものとする。 イ 健保点数表(医科に限る。 )の初診 ただし、健保点数表(医科に限る。) 料の注 2 のただし書きに該当する場合 の初診料の注2のただし書きに該当す 労働者住民医療 2008.4.25 産業保健 (上記アに規定する場合を除く。)につ る場合については、1,820 円を算定す いては、1,820 円を算定できる。 る。 具体的な算定例については、厚生 労働省労働基準局労災補償部補償 課長通知の別紙 1 を参照のこと。 〔 〕 2 救急医療 (金額に変更なし) 管理加算 同一傷病につき1回限り(初診時) 入院:6,000 円 入院外:1,200 円 (取扱いに変更はないが、次の点に留意 初診の傷病労働者について救急医療 する) を行った場合に、上記金額を算定する ※ 上記「1 初診料」のアに規定す ことができる。(指定医療機関が傷病労 る場合に算定する初診料についても、 働者を受け入れる際に、当該労働者が 算定要件を満たせば救急医療管理加算 初診である場合は、一般に緊急性があ の算定が可能であり、イに規定する場 ることから、入院した場合、初診に引 合については、従来どおり、救急医療 き続き7日間を限度として、入院外の 管理加算の算定は不可である。 場合は初めて来院した日に限り算定で きる。 ) また健保点数表における「救急医療 管理加算」、 「特定入院料」及び「特定 療養費(初診時自己負担金)」とは重複 して算定することはできない。 3 外来管理加算 (取扱いに変更はないが、次の点に留意 の特例取扱い する) ※ 健保点数表の再診料の注 6 にかか わらず、従前どおりの計画的な医学管 理を行った場合に所定点数に 52 点を 加算して算定できる。 健保点数表では、一般病床の病床数 が 200 床未満の病院又は診療所におい て、入院中の患者以外の患者に対して、 慢性疼痛疾患管理並びに別に厚生労働 大臣が定める検査、リハビリテーショ ン、精神科専門療法、処置、手術、麻 酔及び放射線治療(以下「検査等」と いう。)を行った場合には、外来管理加 算の算定はできないこととなっている が、労災保険では、健保点数表で外来 管理加算の算定ができないこととなっ ている検査等を行った場合であっても、 外来管理加算の所定点数(52 点)に満 たない検査等の点数がある場合に外来 管理加算を算定することができる。 (以下略) 月1回 420点 月1回 3,000 円 4 再就労療養 指導管理料 入院治療後、通院療養を継続しなが 入院治療後、通院療養を継続しなが ら就労が可能と医師が認める者及び入 ら就労が可能と医師が認める者及び入 院治療を伴わず、通院療養を3カ月以 院治療を伴わず、通院療養を3カ月以 上継続している者で就労が可能と医師 上継続している者で就労が可能と医師 が認める者に対し、就労に当たっての が認める者に対し、就労に当たっての 療養上必要な指導事項及び就労上必要 療養上必要な指導事項及び就労上必要 な指導事項を記載した「指導管理箋(別 な指導事項を記載した「指導管理箋」 紙様式) 」を傷病労働者に交付し、指導 を傷病労働者に交付し、指導を行った を行った場合に算定できるものとする。 場合に算定できるものとする。 また、傷病労働者の主治医が、当該 労働者の所属事業場の産業医(主治医 また、傷病労働者の主治医が、当該 労働者住民医療 2008.4.25 23 産業保健 が当該労働者の所属事業場の産業医を 労働者の所属事業場の産業医(主治医 兼ねている場合を除く。)に対して文書 が当該労働者の所属事業場の産業医を をもって情報提供をした場合について 兼ねている場合を除く。)に対して文書 も算定できる。 をもって情報提供をした場合について ただし、同一傷病者につき各々3回 も算定できる。 を限度(慢性的な疾病を主病とする者 ただし、同一傷病者につき各々3回 で現に就労しているものについては、 を限度(慢性的な疾病を主病とする者 医師が必要と認める期間)とする。 で現に就労しているものについては、 別紙様式の新様式については、 医師が必要と認める期間)とする。 別添の厚生労働省労働基準局長 通知を参照のこと。 〔 〕 5 リハビリテ ア 疾患別リハビリテーションを算定 ① 四肢の傷病に対する疾患別リハビ する場合は、健保点数表のリハビリ リテーション:健保点数の 1.5 倍 ーション テーションの通則 1 にかかわらず、 ② 四肢の傷病以外の疾患別リハビリ 次の点数で算定することができる。 テーション:健保点数に準拠 (ア)心大血管疾患リハビリテーショ ン料(1 単位) (Ⅰ)250 点 (Ⅱ)100 点 (イ)脳血管疾患等リハビリテーショ (Ⅰ)250 点 ン料(1 単位) (Ⅱ)190 点 (Ⅲ)100 点 (ウ)運動器リハビリテーション料 (1 単位) (Ⅰ)180 点 (Ⅱ) 80 点 (エ)呼吸器リハビリテーション料 (1 単位) (Ⅰ)180 点 (Ⅱ) 80 点 イ 疾患別リハビリテーションについ 疾患別リハビリテーションについては、 ては、リハビリテーションの必要性 医師が必要と認め、かつリハビリテー 及び効果が認められるものについて ションの効果が認められるものについ は、疾患別リハビリテーション料の ては、健保点数表に定める制限日数を 各 規 定 の 注 1 の た だ し 書 に か か わ 超えて算定できるものとする。 らず、健保点数表に定める標準的算 定日数を超えて算定できるものとす る。 ウ 入院中の傷病労働者に対し、訓練 室以外の病棟等において早期歩行、 ADL の自立等を目的とした疾患別リ ハビリテーション料(Ⅰ)を算定す べきリハビリテーションを行った場 合は、1 単位につき 30 点を所定点 数に加算して算定できる。 エ 健保点数表の疾患別リハビリテー なお、健保点数表の「心大血管疾患 「脳血 ション料の各規定の注 2 及び注 3 に リハビリテーション料」の注 2、 ついては、適用しないものとする。 管疾患等リハビリテーション料」の注 2、 「運動器リハビリテーション料」の 「呼吸器リハビリテーション料」 注 2 及び の注 2 並びに「心大血管疾患リハビリ 、 「脳血管疾患 テーション医学管理料」 24 労働者住民医療 2008.4.25 産業保健 等リハビリテーション医学管理料」 、 「運 動器リハビリテーション医学管理料」 及び「呼吸器リハビリテーション医学 管理料」については、適用しないもの とする。 (上記取扱いの他、次の点に留意する ) ※ 1 四肢の傷病に対する疾患別リハ ビリテーションについては、上記アに 規定する点数の 1.5 倍により算定する。 ※ 2 健 保 点 数 表 の 疾 患 別 リ ハ ビ リ テーション料の各規定の注 2 を適用し ないこととしたことから、労災保険で は、早期リハビリテーション加算は、 算定できないものである。 ※ 3 健 保 点 数 表 の 疾 患 別 リ ハ ビ リ テーション料の各規定の注 3 を適用し ないこと及びリハビリテーションの必 要性及び効果が認められるものについ ては、疾患別リハビリテーションの各 規定の注 1 ただし書にかかわらず、健 保点数表に定める標準的算定日数を超 えて算定できるものとすることとした ことから、労災保険では、標準的算定 日数を超えて継続して疾患別リハビリ テーションを行う者は、傷病にかかわ らず、次の取扱いを行うものである。 【リハビリテーションの継続理由を記載 【リハビリテーションの継続理由を記載 する書面について】 する書面について】 傷病にかかわらず、標準的算定日数 ①算定日数の上限を超えて疾患別リハ を超えて疾患別リハビリテーションを ビリテーションを行う患者のうち、治 継続して行う場合は、診療費請求内訳 療を継続することにより状態の改善が 書の摘要欄に標準的算定日数を超えて 期待できると医学的に判断される場合 行うべき医学的所見等を記載すること。 は、診療費請求内訳書の摘要欄に継続 なお、労災リハビリテーション評価 の理由等の必要事項を記載する又は労 計画書を診療費請求内訳書に添付して 災リハビリテーション評価計画書を診 提出している場合には、診療費請求内 療費請求内訳書に添付させること、② 訳書の摘要欄に標準的算定日数を超え 算 定 日 数 の 上 限 の 除 外 対 象 と な ら な て行うべき医学的所見等を記載する必 かった傷病であって、算定日数の上限 要はないこと。 を超えて疾患別リハビリテーションを 行う必要性及び効果が認められるもの また、労災リハビリテーション評価 は労災リハビリテーション評価計画書 計画書を変更する。(新様式について を診療費請求内訳書に添付させること は、別添の厚生労働省労働基準局労災 と取り扱っていた。 補償部補償課長通知の別紙 3 を参照の こと。) 労働者住民医療 2008.4.25 25 産業保健 ※ 4 健保点数表の改定により、ADL 加算は削除されたが、労災保険では、 入院中の傷病労働者に対し訓練室以 外の病棟等において、疾患別リハビ リ テ ー シ ョ ン 料( Ⅰ ) を 算 定 す べ き訓練が行われた場合に算定できる ADL 加算を継続することとしたもの である。 なお、ADL 加算の算定要件は、改 定前と変わるものではない。 1 日につき 380 点 6 職業復帰 訪問指導料 ア 入院期間が 1 月を超えると見込ま れる傷病労働者が職業復帰を予定して (新設) いる事業場に対し、医師又は医師の指 示を受けた看護師及び准看講師(以下 「看護職員」という。 ) 、理学療法士若 しくは作業療法士が傷病労働者の職場 を訪問し、当該職場の事業主等に対し て、職業復帰のために必要な指導を行 い、診療録に当該指導内容の要点を記 載した場合に、当該入院中及び退院後 の通院中に合わせて 3 回(入院期間が 6 月を超えると見込まれる傷病労働者 にあっては、当該入院中及び退院後の 通院中に合わせて 6 回)に限り算定で きるものとする。 イ 医師、看護職員、理学療法士又は 作業療法士のうち異なる職種の者 2 人 以上が共同して訪問指導を行った場合 は、320 点を所定点数に加算して算定 できるものとする。 (上記取扱いの他、次の点に留意する) ※ 傷病労働者の職場復帰に向けた指 導を行うに当たり、異なる職種の者 2 人以上が共同して指導を行った場合に 所定点数に加えて 320 点の加算を算定 できるものであり、同一の職種の者 2 人以上が共同して指導を行った場合で あっても、所定点数に加えて 320 点の 加算は算定できないものであること。 なお、事業主には、事業主に代わっ て監督又は管理の地位にある者も含む ものである。 7 入院室料 加算 26 入院室料加算の地域区分の甲地とは、 入室室料加算の地域区分の甲地とは、 一般職の職員の給与に関する法律(昭 一般職の職員の給与に関する法律(昭 和 25 年法律第 95 号)第 11 条の 3 に 和 25 年法律第 95 号)第 11 条の 3 に 基づく人事院規則 9 − 49(地域手当) 基づく人事院規則 9 − 49(地域手当) に よ り 支 給 区 分 が 1 級 地 か ら 5 級 地 により支給区分が 1 級地から 5 級地と とされる地域及び当該地域に準じる地 される地域をいい、入院室料加算の地 域(平成 20 年 3 月 5 日付け保医発第 域区分の乙地とは、同地域区分の甲地 0305002 号「基本診療料の施設基準等 以外の地域をいう。 労働者住民医療 2008.4.25 産業保健 及びその届出に関する手続の取扱いに ついて」の別添 3 第 8 の別紙の人事院 規則で定める地域に準じる地域のうち 4 級地及び 5 級地。 )をいい、入院室料 加算の地域区分の乙地とは、甲地以外 の地域をいう。 (上記取扱いの他、次の点に留意する) ※ 健保点数表において、地域加算の 対象地域に国家公務員給与の地域手当 に準じる地域が追加されたことから、 新たに追加された同地域の 4 級地から 5 級地についても、甲地として算定す ることとしたものである。 (追加された地域は、別添の厚生労働省 労働基準局労災補償部補償課長通知の 別紙 2 を参照のこと。) 8 その他 ①入院基本料 入院基本料については、平成 20 年 4 月 1 日以降は、改定後の健保点数表に おける入院基本料に係る点数を適用し、入院の日から起算して 2 週間以内の期 間については、健保点数の 1.30 倍、それ以外の機関については、健保点数の 1.01 倍により算定する。 ②基本診療料 に含まれる 処置等につ いて 平成 20 年度健保点数表の改定により、「消炎鎮痛等処置(湿布処置)の狭い 、 「100cm2 未満の皮膚科軟膏処置」及び「100cm2 未満の 範囲のもの:24 点」 熱傷処置(第 1 度熱傷)」が基本診療料に含めて評価(包括)されたことにとも ない、労災保険における取扱いについても、健保点数表の取扱いに準ずるもの である。したがって、これら基本診療料に包括される処置を実施した場合には、 四肢の傷病に対する処置に係る特例の取扱いについても適用されないものであ る。 ③後期高齢者 後期高齢者医療確保法の規定による療養の給付は、高齢者の医療の確保に関 医 療 に つ い する法律(昭和 57 年法律第 80 号)第 57 条の規定により、労災保険法による て 療養(補償)給付を受けることができる場合には行わないとされていることから、 労災診療費算定基準では、後期高齢者に係る点数の適用を受けないこと。 ④その他 文言等の修正が行われている。 (詳細については、別添の厚生労働省労働基 準局長通知及び労働基準局労災補償部補償課長通知を参照のこと。) (日本医師会保険医療課作成) 労働者住民医療 2008.4.25 27 産業保健 代替医療について ------ 第 5 回 新しい鍼治療の原理と症例 脊椎圧迫骨折、脊椎損傷の治療 友和クリニック 宇土 博 産業保健シリーズの第 5 回は、新しい鍼治療(経絡治療)による脊椎圧迫骨折、脊 椎損傷の治療の原理と治療例をお話します。脊椎損傷については、一例のみですが治 療を試みた症例をお話します。 1、脊椎圧迫骨折による慢性疼痛と 経絡治療の原理 骨粗鬆症は女性に多く、50 歳以上では 4 人 に 1 人 が、70 歳 以 上 で は 2 人 に 1 経絡治療は経絡という神経とは独立 人が骨粗鬆症だと言われています 。 これ した経路を介して、バイパス的にエネル を基盤にして起こります(図 1、図 2) ギーのやり取りを行う治療をすることに 好発部位は胸腰椎移行部(第 11、第 より、脊椎圧迫骨折による慢性の疼痛を 12 胸椎と第 1 腰椎)です。 改善させることができます。 高齢者の脊椎圧迫骨折は日常の外来で 症状は慢性の頑固な背部痛や腰痛で 最もよく遭遇する疾患の一つです。時に、 す。中には円背変形による歩行障害を来 スポーツ外傷や転落によって発生する若 たす症例もあります。 年者の脊椎圧迫骨折も遭遇しますが稀で 稀に、遅発性脊髄麻痺(骨折の破片に す。 より神経が圧迫され麻痺を起こす状態) 今回は骨粗しょう症を基盤として発生 を来たす事もあるので注意が必要です。 する高齢者の脊椎圧迫骨折による疼痛の 治療は安静が基本で、コルセットを着 治療を中心に述べます。 用させます。例え、軽度な骨折であって 図 1.脊椎圧迫骨折の形状 28 労働者住民医療 2008.4.25 図 2.骨粗しょう症の脊椎 産業保健 も、経過とともに潰れてゆき、中には麻 2.症例報告 痺を来たす症例もあるので、初期のコル セット療法は重要です。 症例 1(図 3) 圧迫骨折に気づかないまま無理して生 57 歳女性 活していると、骨折部が癒合せずに痛み 病名 L1 腰椎圧迫骨折 が残存したり、骨折した椎体がつぶれて H18 年 3 月、犬小屋を持ち上げる際に、 後方の神経を圧迫し、下肢の麻痺や膀胱 重みがかかり圧迫骨折。初診の病院では、 直腸障害などの重篤な症状を引き起こし 正常と診断されたが、1 ヶ月後圧迫骨折 手術が必要となることがあるので、初期 と診断。その後、3 ヶ月間コルセットを 治療が非常に重要です。 行う。 現在、急性期に圧迫骨折した背骨(脊 現在、畑仕事をすると腰にこたえる。 椎)に針を刺して、そこから医療用のセ 左足が突っ張り歩きにくい。 メント(骨セメント、ポリメチルメタク 治療経過は、以下の通りです。1 回の リレート)を注入し、潰れた背骨を固め 治療で、足のだるさが軽快しました。3 る治療方法も一部の医療機関では行われ 回の治療で足の痛み改善、歩行改善がみ ていますが、発症後 1 ヶ月以内の新鮮例 られます。 が主な対象であり、これを過ぎた症例で 9 回の治療で症状完治し、その後も再 は適用されていません。 発はない。 今回、主に取り上げるのは、急性期を 過ぎて、頑固に痛みが続く症例を中心に お話します。 治療原理は、圧迫骨折を起こした脊椎 レベルの経絡が詰まり、痛み、重み、し びれを生じます。そして損傷レベルから 下位および水平方向に向かって、症状が 伝播します。この経絡に沿った治療を行 うことにより頑固な疼痛を治すことがで きます。 図 3.第一腰椎圧迫骨折 労働者住民医療 2008.4.25 29 産業保健 このように、新経絡治療では、1 回の がっていることを指摘される。 治療で直ぐに反応がでて快方に向かいま H18 年 2 月に胸痛を自覚。あさりを取 すので、患者は大変驚かれます。 りに行ったり、百姓をする時に感じる。 胸壁を動かすと痛みがある。また、早足 症例 2 で歩くと胸痛がある。 74 歳女性 4 回の治療で、胸痛が軽快し、早足で 病名 T10・11 胸椎圧迫骨折 歩けるようになる。 平成 9 年に第 11 胸椎を骨折、右下肢 が動かなくなった。平成 11 年に第 10 胸 症例 4(図 4) 椎を骨折する。H 病院に入院したが変化 78 歳女性 なし。コルセットをしていたがくしゃみ 病名 T10、L1 胸腰椎圧迫骨折 をすると右脇腹にひびく。 H13 年 7 月中旬、引ったくりに会い、 亀背で左側彎の状態。7 年間整形外科、 転倒して側溝の角で強打し、T10、L1 胸 指圧に通うも改善し ない。ウォータ ー 腰椎圧迫骨折を生じる。H 整形外科に 1 ヶ ベッドを購入したが症状が改善しない。 月入院し、その後 1 年間治療するも、背 2 回の治療で、背中の痛み低下してい 腰部痛が継続している。その後も、鎮痛 る。3 回の治療で、背中の痛み無くなり、 剤を内服するが改善していない。H15 年 くしゃみをしても、背中にひびかなくな 10 月から経絡治療を開始する。 る。痛み 10 点から 5 点に改善。 9 年ぶりに 1.5km 先にある繁華街まで 歩けたと喜ぶ。8 回の治療で症状完治し、 その後の再発なし。 この症例は、発症後 9 年以上も背中の 疼痛症状が続いており、通常の鎮痛剤は 全く効果がない例です。このような症例 でも、短期間の治療で症状が完治します。 症例 3. 71 歳女性 病名 第 7 胸椎の圧迫骨折 20 年前に、胸椎圧迫骨折。6 年前に第 二回圧迫骨折。整形外科では、胸椎が曲 30 労働者住民医療 2008.4.25 図 4.第一腰椎圧迫骨折 産業保健 亀背が強くかなり頑固な背腰部痛で 入る感じがするようになり、屈曲角度が あったが、17 回の治療で完治した。本人 改善する。 は、治らないと諦めていたので、大変喜 第 4 回の治療で、下肢のしびれは改善 んでいる。 している。下肢の立つ力は大きく変わら ないが、曲げやすくなる。大腿内側を使 症例 5 用して曲げていたが、大腿外側で曲げら 40 代男性 れるようになる。 病名 T12 − L1 胸腰椎圧迫骨折、 この事例は、4 回の治療で終了したが、 脊椎損傷 脊椎損傷でも不全麻痺の場合にはかな バイク乗務中、対向の 2t トラックが右 り治療効果があることを示唆する例であ 折して衝突して、脊椎損傷を起こす。 り、今後の治療効果が期待される。 A 病院に、両下肢のしびれで通院。治 療手段が無く抗うつ剤を投与される。 今回、多くは治らないと諦められてい 現在の症状は、左足での体重の支えは る脊椎圧迫骨折による慢性疼痛の治療例 1 分が限界で、長下肢装具を付けている。 を報告した。発症後長期間を経た症例で 知覚は膝より下は無い。大腿は、前面は も新経絡治療は著効を示すことから、高 あるが後面はない。 齢者の治療への導入が望まれます。 右足では体重は支えられ、屈曲、伸展 は一応可能である。 大腿部のこむら返りがある。週に 1 回 ぐらい、1 分ぐらい続く。運転中に起こ ると問題と心配している。 臀部から下肢にジンジンする痺れが常 時ある。また、夜間頻尿があり、2 時間 毎に通うのが苦痛である。 第 1 回の治療後に、左下肢のしびれ解 消した。右臀部、大腿後面、内面のしび れが消失した。右下腿の外側のしびれが 残っている。 第 2 回 の 治 療 で、 右 足 の 痺 れ 治 療 前 10 点→ 6 点に改善している。夜間頻尿 が減少している。 第 3 回の治療で、右大腿部後面の力が 労働者住民医療 2008.4.25 31 アスベスト問題ウォッチング 3・20 石綿健康被害救済法の 見直しを求めるシンポジウム 杉浦医院 杉浦 裕 シンポの午前中は宣伝も行われた 3 月 20 日東京、水道橋の全水道会館で 石綿対策全国連絡会議の主催でシンポが (PPP)を乗り越え、被害発生への構造的 あり、行ってきました。120 名の会場に な「責任ある関与」を考え、これに基づ 200 名が参加し、熱気にあふれた集会で く費用負担原則が必要とした。2007 年 8 した。 月の東京大気汚染訴訟での和解、都の救 済新制度では行政と自動車メーカーが拠 第 1 部は、4 人。東京経済大学・除本 出(従来の PPP では、車の所有者や運転 理史さんの「アスベスト被害補償におけ した人が責任者) 。2008 年 1 月の薬害肝 る責任と財源論」 。 「今回の救済法のスキー 炎救済法では国の責任を明記。というよ ムは、国、自治体、アスベスト企業、そ うに、行政や国の責任(規制制限不行使) れ以外の企業がなんとなく負担を分かち を求める原理である。 合っているだけで」 「結局『誰も責任は負 32 わないが、緊急の問題だから救済する』 ついで、一橋大・山下英俊さんは、医 という制度」という竹内の批判(名取の 薬品副作用救済制度・公害補償制度と比 「救済のための企業カンパ論」と同じ)を 較して、石綿救済法の給付水準と費用負 受けて、費用負担原理を新しく考えよう 担のおかしさを指摘した。環境省の検討 という提起。PPP(汚染者負担原則)では、 会の試算では、 「石綿 170 トンに 1 人の 建築については、施主や建築会社が直接 中皮腫と肺癌が発生。平均して暴露 38 年 の汚染者で、石綿産業の役割はあいまい 後に発病して、2 年後に死去。半数が労 で間接的になる。従来の汚染者負担原則 災で、 残りの半数が救済法の対象」として、 労働者住民医療 2008.4.25 アスベスト問題ウォッチング 費用の予測は「医療費月 10 万円、療養費 3 人目の立命館大・南慎二郎さんは、 月 10 万 3870 円、 合計年 244 万 6440 円、 アスベスト問題研究会の事務局として、 葬祭料 19 万 9000 円」から「2006 年度 ヨーロッパの現状、特にフランスを報告、 72.7 億 円、2007 年 度 80.1 億 円 」 と し 4 人目の関西労働者安全センター・片岡 ている。しかし、会社・国に民事責任な さんは、イタリア・カザーレのエターニッ しという医薬品副作用救済制度(以下①) ト社の石綿セメント工場による被害を報 や会社に民事責任ありという公害健康被 告。クボタとそっくりで、4 万 7 千人の 害救済制度(以下②)に比べ、 極めて低い。 町で、1000 人以上の訴訟がおこり、被 石綿が仮に有用としても医薬品と同じ意 害者団体に 1600 名以上が参加している。 味で有用ではなく、会社(クボタやニチ 本人たちも支援する医師や法律家も、エ アスなど)の民事責任を中心としつつも ターニットのひどさには心底怒りまくっ 環境被害という直接民事責任が明らかで ていると報告。これは既に 2001 年には ない被害者も広範に含むので、①よりは 英語文献にもなっていて、日本のわが方 高くし②に近づけることが理論上は妥当 の医師はクボタ・ショックの時には誰も と主張。①とすると 2006 年度 103.6 億円、 「何でじゃ」と言っていた。 知らなかった、 ②とすると 183.6 億円と算出。また、費 またニチアスは韓国へ 45%出資の会社が 用負担についても、現行の「特別事業主 石綿被害を起こし、韓国労働者が日本に 要件は、(1) 石綿使用量累計が 1 万トン以 交渉にきても門前払いをするというひど 上、(2) 所在地の中皮腫死亡数が全国平均 い対応を指摘し、ニチアスを徹底的に追 以上、(3) 中皮腫・肺癌の労災認定が 10 及していこうと提起した。 9 事業所・ 件以上」というのは厳しすぎて、 4 社だけで、(1) または (3) とすべきと提 言。そうすれば石綿企業の費用負担は現 名古屋労災職業病研究会 機関紙「もくれん」3 月 28 日発行号より転載 行でも、 72.7 億円×(523 万 t / 967 万 t) + 1.1 億 円 ×(156 件 / 860 件)= 39.5 億円/年の負担と なると計算している。他の制 度との公平性から見て、給付 は 低 す ぎ て、1.5 倍 か ら 2 倍 以上の給付が妥当。また石綿 企 業( 特 別 事 業 主 ) の 要 件、 負担額も少なすぎると指摘し た。 労働者住民医療 2008.4.25 33 アスベスト問題ウォッチング 3・1-2 第 19 回じん肺・アスベストプロジェクト開催 石綿新法見直しに向け 積極的な取組みを! 亀戸ひまわり診療所 平野 敏夫 34 3 月 1 日から 2 日にかけて、第 19 回じ に相変わらずアスベスト被害が多発し、引 ん肺・アスベストプロジェクトが東京で開 き続き取組みを進めているとの報告があっ 催された。今回のプロジェクトは、施行さ た。東京労働安全衛生センターからは、こ れて 2 年になる石綿健康被害救済法(石綿 の間の全建総連とのじん肺再読影健診の取 新法)の見直しに向けて、何をどう取り組 組みを報告され、今後全国展開する予定な むかがメインテーマであった。中皮腫・じ ので各地域センターや労住医連の医療機関 ん肺・アスベストセンター、石綿対策全国連、 に協力の呼びかけがあった。 中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会、 第 1 部の後半は公務員災害補償基金へ 各地域センターを中心に全国から 41 名が結 の対応と不服審査の課題について報告が 集して中身の濃いプロジェクトとなった。 あった。この間水道局の労働者などの中 第 1 部は、恒例で各地域から取組みの報 皮腫や肺がんなど公務災害の申請が相次 告がなされた。四国の愛媛労働安全衛生セ いでいるが基金の対応は非常に遅くかつ ンターは、旧西条火力発電所で働いていた 不支給決定が多い。アスベストセンター 下請け労働者の証言を元に火力発電所での の斎藤さんは、石綿曝露歴に民間労働者 悲惨な石綿曝露の実態を報告した。高知勤 の期間と地方公務員の期間がある被災者 労クリニックの近藤さんは、39 年余にわ の事例を紹介し、労働基準監督署と基金 たりスレート施工に従事した労働者の石綿 が連携せずなかなか認定されない、両者 肺合併続発性気管支炎と良性石綿胸水が労 が連携し労基署が調べた内容を基金で生 災認定されるまで不当にも 2 年 4 ヶ月もか かせるようにすべきであると強調した。 かった事例を報告した。神奈川労災職業病 神奈川労職センターの池田さんは、衆議 センターから、横須賀において住友重機械 院営繕課で働き中皮腫になった被災者の と米海軍横須賀基地の従業員・退職者の間 公務災害申請の取り組みを報告した。 労働者住民医療 2008.4.25 アスベスト問題ウォッチング 不服審査の課題では、兵庫労働安全衛 付けアスベストなどからの曝露では認定さ 生センターの西山さんは、中皮腫で申請 れにくく、東京でも築地市場内での建物曝 するも肺がんとされ石綿肺も胸膜プラー 露による胸膜中皮腫が現在再審査請求中で クもないため不支給決定、やはり肺がん ある。名取さんは、教員の中皮腫の公務災 で胸膜プラークがなく石綿小体も 408 本 害申請に際しての医師意見書を紹介しなが ということで不支給決定でいずれも再審 ら、これを突破するためには詳細な問診で 査請求を取り組んでいる。アスベストセ 職歴、ライフイベント、居住歴などを明ら ンターの斎藤さんは 12 例の再審査請求事 かにしアスベストがあった建物の中での労 例を報告した。いずれも困難事例であり 働以外アスベスト曝露がないことを証明す 今後の取組みが重要である。 る。更に低濃度の短期曝露でも中皮腫を発 第 2 部は今後の課題の整理ということ 症する可能性があることを外国の事例など で関係者から問題提起があった。先ず働い を紹介しながら強調する。また、石綿低濃 ていた建物のアスベスト曝露による中皮腫 度曝露の気中濃度推定とそのリスク評価を の労災認定について中皮腫・じん肺・アス 行う必要性があると提起した。リスク評価 ベストセンターの名取さんから問題提起が については東京労働安全衛生センターの外 あった。認定基準では、 「対象が石綿暴露 山さんから、気中濃度×曝露時間を指標に 作業またはその周辺等において間接的な暴 して発ガンのリスクを推定する手法を紹介 露を受ける作業」となっており建物の吹き した。 労働者住民医療 2008.4.25 35 アスベスト問題ウォッチング 36 中皮腫に比べて肺がんの認定率が圧倒的 綿被害の実態が報告された。泉南地域には に低い。石綿肺か胸膜プラークがあること 多くの中小零細の石綿工場が住宅地に混在 が条件になっているためで、今後相談が増 していた。工場の中の写真が紹介されその えることが予想され、これをどう突破する 劣悪な労働環境に参加者がため息をついて かが課題である。名取さんは、様々な石綿 いた。水嶋さんが中心になって取り組んだ 曝露による肺内の石綿小体数の調査や建築 住民健診で明らかになった近隣曝露による 労働者の肺がん症例での石綿濃度×年数の 健康被害の実態が報告された。症例のレン データなどから、石綿肺がんの診断には曝 トゲン写真を示しながら、石綿新法の対象 露歴の聴取が重要であり、とりわけクリソ 外である石綿肺やびまん性胸膜肥厚が少な タイルの場合は石綿小体や胸膜プラークな からず見られることを強調され、新法の見 どは補助的な役割になると結論づけた。 直しを求めるべきと提起された。神奈川労 クボタショック以降環境曝露の被害が全 職センターの西田さんは、横浜市鶴見町に 国で顕在化している。しかし、環境曝露の あった旧朝日石綿(現 A & A マテリアル) 被災者を救済すべき石綿新法の対象疾病は の近隣住民の石綿被害を報告した。中皮腫 中皮腫と肺がんに限られている。石綿肺や の被災者が 1 名出ており、横浜労災病院の びまん性胸膜肥厚も対象とすべきである。 T 医師の健診でも多数の胸膜プラークのあ 環境曝露の被害について、東大阪生協病院 る住民の存在が明らかになった。 「旧朝日 の水嶋潔さんから大阪泉南地域における石 石綿住民被害者の会」が結成され会社と補 労働者住民医療 2008.4.25 アスベスト問題ウォッチング 償交渉を行い、横浜市に対してもきちんと いのではないかと疑問を呈し、労災認定の した調査を要求している。 問題点を改善すべきと強く訴えている。要 石綿の測定と分析の方法はリスクアセス 注意である。 メントのための重要な指標であるが未だそ 2 日目の第 3 部では石綿新法の見直しに の手法は完成されていない。東京安全セン 向けての今後の取組みについて議論した。 ターの外山さんは、分析法により石綿濃度 中皮腫・じん肺・アスベストセンターの名 に違いが出ることがあり、分析手法の検討 取さんと斎藤さん、石綿対策全国連の古谷 では産業界側の影響力が強く問題である。 さん、関西労働者安全センターの片岡さん、 とにかく測定結果をリスクコミュニケー 中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会 ションに活かすことが重要であると強調し の中村實寛さん、そして古川武志弁護士か た。最後に横須賀中央診療所の安元さんか らそれぞれ今後の課題について問題提起を ら、じん肺合併続発性気管支炎の喀痰検査 受けた。名取さんは、今後の石綿対策の重 の問題で注意を喚起した。岩見沢労災病院 点ポイントとして、①現在の制度の十分な の医師らが、2006 年に「じん肺症におけ 運営と活用をせまる②「飛散させない第一」 る労災認定の諸問題―続発性気管支炎につ の石綿除去業界の持続的な発展③自治体に いて―」という論文を発表している。この 地域石綿対策計画を制定させる④被災者の 論文で続発性気管支炎の労災認定の根拠に 完全な救済を挙げ最後に石綿対策基本法制 なっている喀痰検査が正確に行われていな 定の必要を強く訴えた。古谷さんは、不公 労働者住民医療 2008.4.25 37 アスベスト問題ウォッチング 平・隙間だらけの石綿新法の見直しとして、 結果、位置づけなどを整理し、今年の注目 ①「経過措置」の延長②生存中手続き・手 点として札幌のホテルボイラーマンの中皮 続き後給付要件の見直し③石綿肺をはじめ 腫で高裁判決が出るなど、低濃度曝露の中 対象疾病の拡大などを挙げ、救済基金の費 皮腫について一定の整理が出来る可能性が 用負担のあり方の見直しや石綿被害の事項 ある。しかし、石綿肺に合併しない肺がん 適用を中止するといった労災保険法の改正 の問題や国の責任などまだ課題は多いと指 も必要と指摘した。また今年中に行われる 摘した。斎藤さんは、アスベストセンター であろう総選挙での争点化をにらみ各党の の 5 回にわたる省庁交渉のまとめと残され マニフェストにアスベスト問題を入れさせ た課題を報告した。各省庁交渉いずれも内 る取り組みの必要性を訴えた。片岡さんは、 容は多岐にわたり細かい点まで追求してお 環境被害について河内長野市から東京大田 り十分に答えられていない部分もまだまだ 区まで全国の状況を整理し、地方自治体や 多い。今後のつめが重要である。 専門化によって行われている実態調査に注 その後討論になり、兵庫安全センターの 目する必要があるとした。そして、今後の 西山さんから、新法施工後に労災が時効に 取組みとして5月ごろ出るであろう環境省 なった2例の肺がんで新法が適用されない 内山検討会の健康影響リスク調査の 2007 相談事例が報告された。新法は、生存中の 年度報告内容が重要であると強調した。ま 申請しか受け付けず、亡くなった後の申請 た、長期的な視野で見て、系統的で網羅的 は受け付けないという極めて不当な内容も なアスベスト問題関連資料の蓄積が必要と ある。抜本的な見直しも重要であるが、こ 訴えた。中村さんは、患者の立場から、石 のような今の枠の中でも見直させる内容 綿新法の不十分製を指摘し、行政との交渉 はあり今国会でも早急に政党に働きかけよ や「FAX 作戦」 、 「はがき作戦」で議員へ う、とにかくやれることから積極的に取り の要請を根気よく続けていくと決意を述べ 組もうと決意を新たにしてプロジェクトを た。古川弁護士は、これまでの訴訟の内容、 終えた。 札幌緑愛病院、石綿ならびにじん肺の 「健康管理手帳」の健診医療機関に指定決定! 札幌緑愛病院は、4 月 1 日付で北海道労働局から石綿とじん肺の「健康管理 手帳」所持者に関する健康診断の医療機関として指定を受けました。 労住医連では高知の勤労クリニックに続いて 2 番目です。 38 労働者住民医療 2008.4.25 私の 失敗 リレーエッセイ 私の失敗 人は長らく生きてくると、成功もあるが、反対に大いなる失敗もたくさんあ る。しかし、その失敗が、単に失敗に終わらず、新たな成功の基になること もある。失敗から引き出される教訓が得られるよう、 失敗談を語って欲しい。 第 9 回 忘れられない 30 分 都内某企業に就職して 3 カ月。学校を卒 鈴木光雄さんに面識はなくお人柄を存じ上 業して初めての職場だった。仕事は総務。 げないが、ご立腹にちがいない。とはいえ 月末のルーティンワークに、関係者の方々 事の次第はあまりに明快。意を決してご自 への書類発送があった。こちらから先方へ 宅に電話する。鈴木さんが電話口に出られ お渡しする書類 3 点、ご本人に返送いただ ると開口一番お詫びした。人の名前を間違 く書類 1 点を封入し発送する。ある関係者 えるのは大変失礼です、きちんと確認しな の方、いま仮に、鈴木光雄さんというお名 くてはいけませんよ。抑制されたトーンで 前だったとしよう。その方は特におつきあ お叱りがあった。その後――鈴木光雄さん いの厚い大切な関係者の方だったのだが、 が打ち合わせで来社されると、あとの会食 あるときその鈴木光雄(仮名)さんから返 に加えていただくことがたびたびあった。 信用封書が届いた。なかの書類を確認する 鈴木さんはお酒が進むと笑いながらおっ と、1 枚のメモが付いている。――私は鈴木 「私は鈴木光子ですから」 。私の失 しゃる。 光子ではありません。―やってしまった!! 敗は毎度、格好の酒の肴であった。 仕事の多くはまだまだ手作業で、同封書 最初のメモを見てから電話を終えるま 類 3 点のそれぞれに、手書きでお名前を書 で、せいぜい 30 分ほどだったと思うが、 き入れていた。すぐさま保存用のコピーを その後長く記憶に残った。我ながらあきれ 「鈴木光雄様」 になっている。 確認。…すべて る大失敗だったこともあるが、時間をおか 残るは…封筒の宛名。控えはないが、そこ ずすぐにお詫びしたことで状況が変わった しかない。どうやら手が勝手に動いて、封 からだろう。落ち込んでいる暇があったら 書の宛名に「鈴木光子様」と書いてしまっ リカバリーせよ、つまずきや過ちはその後 たらしい。封書の宛名の誤りではなおさら の対応次第で、本当の失敗、決定的な失敗 失礼にあたるように思え、ますます憂鬱に になるぞ。仕事を始めた早い時期にそう気 なっていく。そそっかしい性分はそうそう 付けたのは、むしろよい経験だったかもし 変わらない。私ならやりかねない失敗だ。 れない。 (事務局 阿部 真紀) 労働者住民医療 2008.4.25 39 短期連載 安心して老いを迎えられる住宅造り 江戸川区 菅原工務店・アスベストセンター事務局員 菅原 喜東司 第 5 回 介護保険と住宅改造 住宅改造の改造費は 20 万円以内であれ い) ば 1 割ですむが、施設などに入所してい 旅行先の病院なども事前に調べておく る高齢者の一時帰宅は適用されないので、 全額個人負担となる。 次に高齢世帯は男性が 65 歳以上で女性 が 60 歳以上の世帯を高齢世帯と言う。こ 一時帰宅の際は気を付けなくてはなら こに若い人が入ると高齢世帯とは言わな ないことがある。 い。 1 施設などでは室内の温度や湿度が管理 介護保険ではこのことは言っていられ されているので帰宅の時は気を付けな ない。脳卒中などで改造が必要になれば くてはならない 仕事をしなくてはならない。 期間はあまり長くない方が良い。2 泊 介護保険では 40 歳からが適用になる 3 日ぐらいが最適 が、それ以前であれば福祉事務所との連 常備薬は持参するように(「前にもらっ 携も必要になる。また障害の程度が決ま たのが有るから」はだめ) れば等級によっては自治体などから資金 事前に身体の状況を施設側から良く聞 の援助もしてもらえる。 いておく 介護保険が使えれば介護保険と福祉事 介護に必要な介護用品は施設側と相談 務所との関連も出てくる。介護保険では をしてレンタルにしておく 当初は改造場所の図面はいらなかったが お風呂は熱すぎないように、状態に 最近では必要になる。住宅改造では 20 万 よっては半身浴にする 円まで出るが補助器具は 10 万円まで。い 足首の所まで浸かっているだけでもお ずれも 1 割負担となる。 「気をつけなくて 風呂に入った気分になる はならないのは」住宅の改造では経費を 食事は食べ過ぎてしまうので気を付け 必要に応じて見ることが出来るが、補助 る 器具では経費を見ることが出来ない、補 緊急に行ける病院等を探しておく、 (出 助器具では一つの物を、対価として考え 来れば旅行なども行けるようにした るからにすぎない。杖もそうである。自 2 3 4 5 6 7 8 40 労働者住民医療 2008.4.25 安心して老いを迎えられる住宅造り 治体によっては頂ける物もある。杖をつ 介護保険の認定基準は先頃、要支援が 1 いて歩くことも「ステッキ」に見えるよ つ増えて要支援 1 と 2 になり、要介護度 うに歩きたいものである。 は同じ 1 ∼ 5 まである。 たとえば部屋の出入り口に段差が在る 住宅改造は間 2 段階悪くならないと(例 場合はスロープを付けるが、置くだけだ えば介護 1 が 4 になる) 、あらたな改造費 と補助器具になる、これを固定すると住 は出ない。 宅改造になる。手摺りを付ける時など OT 又、認知症になると大変である家族は や PT、Dr、Cm(ケアマネージャー)な 介護に振り回されてしまう。重度になる どと、取り付ける位置などを決める事が と哺乳動物の種類が言えないことがある。 多いが、筆者が指摘した位置ではなく他 聞く時は、 「お乳を飲んで大きくなった動 の所に取り付ける事が在る。この場合 2, 物はいくつあるか」聞き取りするとたい 3 ヶ月過ぎてからそのお宅を訪ねるとたい がい2、3頭目から鳥類が出てくる。中 がい「やり直しが出る」 。図の 1 前、図の には哺乳動物でなくて花類や機械類電気 2 でやり直したケース。このケース(生活 製品など在るが、男性は機械類が得意で 保護の時)ではやり直しの書類をまた出 女性は花類が得意なので、使えないでも さなくてはならないので、結局は奉仕仕 花類では同じ花でも呼び名が違う場合が 事になってしまった。 ある。ポピーは、ひなげし、と呼ぶなど まして(生保以外で)限度額 20 万円ま しているので使えない。 で使ってしまえば、後の修理は奉仕とな る。簡単に言うと使い切った時はだめで ある。 図1 図2 洗い場から浴槽への移動のために手すりを付けた例。右麻痺の患者さん。医師の指示で縦に手すり を一旦付けた(図 1) 。筆者は、利用しにくい旨を説明したが、結局施工。後日、患者さんから「使 えない」との依頼で、右側写真(図 2)のように付け直した。横の手すりを利用して横移動しやすく なった。 労働者住民医療 2008.4.25 41 職業病 入門 亀戸ひまわり診療所 平野 敏夫 第 7 回 職業がん(2) 機関誌 217 号で挙げた職業がんで最も多 しかにタバコには強い発がん性がありま いのが肺がんです。有害物質、発がん物質 すが、その陰で職業がんが見落とされて の体内への入り口として呼吸器があり、ま います。石綿による肺がんがまさにそう た気管支は肺胞で行き止まりになっている です。中皮腫は石綿によるものがほとん ため発がん物質が蓄積されることにより一 どでタバコは一切関係ないので、医療者 定の潜伏期間(発がん物質の曝露開始から発 も職業が原因と気付きやすいのですが、 病までの期間)を経て発がんにつながります。 肺がんとなるとそうは行きません。ここ 肺がんに限らず他にも多くの職業性呼吸器 数年の労災認定状況を見ると、2005 年 6 疾患が少なくありません。じん肺や石綿肺 月に石綿問題が社会問題化し中皮腫など が、間質性肺炎、肺線維症あるいは慢性気 の石綿関連疾患が世に知れ渡るようにな 管支炎などの病名をつけられていることは り中皮腫の労災認定は急激に増え続けて しばしばです。従って、呼吸器疾患を見た います。しかし肺がんの労災認定は必ず ら先ず職歴を聞き取り粉じん職場あるいは しも増えていません。国際的な専門家の 石綿などの発がん物質の曝露について出来 認識では、石綿関連疾患の中で最も死亡 るだけ詳しく聞き取る必要があります。石 数が多いのは肺がんで中皮腫の約 2 倍と 綿やクロムなどの発がん物質に曝露される いわれています。タバコによる肺がんと 職場で働いていればもちろんのこと(217 号、 石綿による肺がんは組織型などに相違は p.36 表 2 参照) 、粉じん職場の職歴があり、 ないので区別がつきません。喫煙者で石 胸部レントゲンでじん肺の所見がある肺が 綿曝露歴のある労働者の肺がんの原因は んはすべて労災の適応になります。もちろ 両者にあると思われますが、石綿の曝露 ん作業年数や作業条件などの認定基準はあ が明白である限り労災で補償されるべき りますがあきらめずに申請しましょう。 なのです。喫煙者についてはタバコで原 因究明が止まってしまいがちです。患者 42 見落とされやすい職業性肺がん さんや家族のほうでもタバコ以外の原因 肺がんというと原因はすぐ喫煙につな について思いあたらない場合が多く、医 げられてしまう傾向が強い昨今です。た 療者の側で注意をすることが重要です。 労働者住民医療 2008.4.25 職業病入門 次に筆者が医者になって職業病に関心を 働者です。肺がんは早期に見つかったと 持ち始めたころに出会った肺がんの患者 はいえ医療費はかかり仕事も約 3 ヶ月休 さんの例を紹介します。 まざるを得ませんでした。そこで労災申 請を考えたのですが、当時はじん肺に合 やっと労災になった肺がん 併する肺がんは、管理 4 のみが労災の対 58 歳の M さんは、普段から咳や痰が出 象でした。当然 3 のイでは対象になりま ていましたが、4 ∼ 5 日熱が下がらず咳と せん。しかし軽症のじん肺に合併する肺 痰もひどいということで病院を受診したの がんも少なくないという調査結果もあり は 1980 年、まだ石綿の健康被害はほとん とにかく労災申請をしました。当然監督 ど社会問題になっていない頃でした。すぐ 署は業務外決定の方向で動き始めました。 肺炎を疑って胸部のレントゲンを撮りまし 頻回に労基署交渉を重ねるうちに、M さ た。先ず目に入ったのは右の上肺野に肺炎 んの作業の聞き取りの中から、川崎の石 にしては濃度の濃い影で、両肺にはじん肺 油プラントの配管の溶断の際に回りに巻 と思われる粒状影が散らばっていました。 きつけてあった石綿をはがしながらの作 ちょうどじん肺の勉強をし始めた頃でし 業をしたことが判明し、更にその他にも た。すぐに肺がんを疑いがん研究会付属病 ボイラーなどにも石綿があったことが明 院を紹介。気管支鏡などの検査の結果扁平 らかになったのです。あらためてがん研 上皮がんと診断されました。実は、がん研 に手術の際の所見を問い合わせたところ、 の先生はレントゲンを見て「肺炎の治りか 手術時に肺の壁側に胸膜肥厚が認められ け」と考えられたようですが、せっかくの たということでした。また切除肺の石綿 紹介だったのと、万が一のことも考えて精 小体を調べたところ多数検出され、まと 密検査をされたそうです。がんは極めて早 めて意見書を監督署に提出し、結局石綿 期で手術をして完治しました。 による肺がんとして労災認定されました。 M さんの仕事は、様々なガスレンジや 2003 年に法律が改訂されて、管理 2 以 冷蔵庫などの電気製品、工場のパイプや 上のじん肺に合併した肺がんはすべて労災 バルブ゙などの廃品をガス溶断してスク として扱われるようになったので、今なら ラップにする作業です。溶断をする際に 管理 3 のイのじん肺合併肺がんとして速や は溶接と同様に金属を多く含むヒューム かに労災認定される事例ですが、当時は難 が発生します。それを吸入するとじん肺 航しました。最近問題になっているのは、 になります。M さんは 30 年以上防塵マス 石綿による肺がんで、胸部レントゲンで石 クもせずに作業をしておりじん肺になっ 綿肺と胸膜プラークがないケースが労災認 ていることは明らかでした。管理区分は 3 定されにくいということです。認定基準に のイ相当でした。M さんはまだ現役の労 問題があり改訂すべきであると思います。 労働者住民医療 2008.4.25 43 ネットワーク 第 9 回臓器移植法改悪を考える 院内集会を開催して 臓器移植法改悪に反対する市民ネットワーク 川見 公子 44 『臓器移植法』が施行されて 10 年が経過 講師は日弁連人権擁護委員会特別委嘱委員 し、法的脳死判定を受け(68 人)ドナー の光石忠敬弁護士( 「臓器移植のために死 として臓器摘出された患者が 67 人を数え の定義変更は許されるのか!」 )と「脳死」 る。一方で、脳死と診断された後も長期に 臓器移植に反対する関西市民の会代表の岡 生存できることが明らかになり、臓器移植 本隆吉氏( 「臓器移植法も守らない臓器摘 先進国アメリカでも脳死を人の死の基準と 出現場」 ) 。光石弁護士は提出されている A する概念の崩壊は明確になってきた。先日 案は移植用臓器を増やす目的のためだけに もオクラホマシティの 21 歳の青年が交通 出されたもので、法律案とはなり得ない科 事故に遭って脳死宣告されたが、4ヵ月後 学的根拠のないものだ、と厳しく批判され に意識を取り戻したというニュースが流れ た。大阪から来られた岡本隆吉氏は法的脳 たばかりである。 死判定で提出を義務付けられている脳波記 衆議院厚生労働委員会には前国会までに 録が無くても「判定に問題はない」とされ 三つの改定案(A・B・C 案)が提出され継 る検証会議や現場の現状を批判、違法行為・ 続審議となっている。昨年 12 月には「臓 ガイドライン違反は処罰されるべきだと報 器移植法改正案審査小委員会」での参考人 告された。 質疑も行われた。今国会で再びこの小委員 出席議員は 8 名。C 案提出の枝野幸雄議 会が立ち上がり、4 月末にも審議入りかと 員(民主)ははじめて参加され、 「脳死の基 いう緊迫が続く。また愛媛県宇和島市立病 準や現場での運用、長期脳死を考えたとき、 院や宇和島徳州会病院などで病気腎移植を 国会内外で時間をかけた議論が必要、現在 行なった万波医師に対して、厚労省は「保 はそのスタートラインに立ったばかりであ 険医指定取消」を決定、これに対して国会 る」と市民と共に議論を深める重要性を強 議員による「修復腎移植を考える会」が発 調した。川条志嘉議員(自民)は「立場上 足するなど、さまざまな動きが起きている。 B 案だが脳死・移植には反対、A 案を進める そんな状況下で私たちは 9 回目の【臓 自民党議員から脅される場面もあった」と 器移植法改悪を考える院内集会】を開催し 語る。移植のために多額の募金を集め海外 た(2 月 28 日、衆議院第一議員会館にて) 。 に行く人がいる一方で政治によって生命の 労働者住民医療 2008.4.25 ネットワーク 線引きがされる人もいる、生の声を聞き政 とを国から否定されると考えてしまうよう 治はいかにあるべきかを真剣に考えようと だ。生きているって何なのか、考えてくだ する参議院新人議員が頼もしく見える。 さい。こういう子どもたちがどれだけ一生 この日は、読売ウィークリーに『脳死を 懸命生きようとしているのか汲み取ってほ 生きる子どもたち』を書いた山崎記者から しい。 」と訴えた。30 代前半とは思えない も発言があった。 「自分の長女もお産のトラ 落ち着きと自らの体験や丁寧な取材に基づ ブルで意識も自発呼吸もない状態で 1 年半 いた山崎記者の話に議員をはじめ参加者一 生きた。機械で生かされているだけなのか 同から大きな拍手と共感が寄せられた。 と悩んだ時期もあったが、娘は死んだ状態 この報告を書いていた 4 月 11 日、A案提 から這い上がり、いくつもの感染症を乗り 案者の中山太郎議員とB案提案者の斉藤鉄 越え、その小さな回復を見るたび親として 夫議員が会談し、 AB案一本化の動き と 喜び、この子は生きたい意思があると感じ のネット記事が流れた。A案推進の移植学 た。同じような状況の子どもの親の気持ち 会は「臓器提供のときのみ脳死を人の死と を聞いてみたいと、アンケートを行い 14 人 みなす現行法の枠では絶対に反対」と、こ からの回答を得たが、 『臨床的脳死』と診断 の一本化案に怒りをあらわにしているとい されている子、遷延性と診断されている子、 う。話を聞いて回った他の提案議員秘書も 脳の状態は違うが体の状態や生活の質は変 「寝耳に水、個人的会談に過ぎない」という。 わらないと感じる。体温調節が出来る、涙 推進派も混乱しているのか、97 年現行法制 を流す、動く、ウンチをする、私の目には 定時の再現か?と憶測してしまう。 決して『死』とは見えなかった。親たちは ともあれ、私たちは移植用臓器拡大のた 皆一様に臓器移植改定案に関心が高くかつ めに命を切り捨てる法律案に反対してこれ 恐れている。そういう状態で生きているこ からも院内集会を継続していきます。 日弁連人権擁護委員会特別委嘱委員 読売新聞 編集局科学部記者 光石 忠敬さん 山崎 光祥さん 「脳死」臓器移植に反対する 関西市民の会代表 岡本 隆吉さん 第 10 回「臓器移植法」改悪を考える院内集会 日時:08 年 5 月 22 日(木)15:30 ∼ 17:30 会場:衆議院第2議員会館第4会議室 講師:古川哲雄氏(神経内科医・千葉西病院顧問) 「脳死者には意識が残っている場合がある」 労働者住民医療 2008.4.25 45 会議から 「後期高齢者医療制度廃止を求める 医師 100 人アピール」の大展開を! ■ 07-10 労住医連事務局会議報告 07 年度事務局会議も、早や最終日。桜のつぼみがほころんできた 3 月 21 日、亀戸 事務所に議長、高山・平野・幹事、事務局員メンバーが集まり、緊急の取り組み、総 会企画などを協議した。 1)主な報告事項 ① アスベスト問題関連―〇石綿新法 2 周年「3.20 石綿健康被害救済法の見直しを求 めるシンポジウム」に 200 余名の参加。地方、患者・家族多数。時効、死亡後申請 却下など欠陥法の見直しに向け運動強化。労災認定事業所名公表へ。②医療・介護・ 社会保障関連―「後期高齢者医療制度に反対する労住医連決議文」を首相、厚労大臣 に送付。③産業保健― 3/1-2 じん肺・アスベストプロジェクト報告。④ NGO 向けケー スワーク講座 ( 全 7 回 ) 終了。相談活動の原則的対応が必要。初の講座。全講座記録 を参加者に配布、冊子として今後も活用していく。⑤ 2 月 29 日、勇美記念財団助成 事業「維持期脳血管疾患患者の QOL と地域格差、医療・介護制度改定の影響に関す る調査研究」中間報告を提出。 2)検討事項 ① 第 26 回労住医連総会 総会企画―ろっこう医療生協の取り組みをメインに 、 高齢者医療など、地域医療の取 り組みの課題を医療生協形態をとる院所、非医療生協院所とシンポジウムをしてはど うか。4 月 2 日、ろっこう医療生協と現地で煮詰める。 ②後期高齢者医療制度への対応について 今後、パンフレット作成、 「廃止を求める医師 100 人アピール」の取り組みを展開し ていく。3.26 野党 4 党「後期高齢者医療制度廃止を求める集会」に参加していく。 ③ その他プロジェクト諸活動 06 年改定介護保険を検証するため、シンポジウムなどを検討していく。 ④ 事務局体制―会計担当を坂巻から吉田に引き継いでいく。 以上討議の後、お花見なしで解散。 次回 08 年度第 1 回目の事務局会議は、幹事会前の 4 月 25 日 ( 金 )14:30 より、 亀戸会議室にて 4/29 幹事会討議にむけた準備を主に討議する。 46 労働者住民医療 2008.4.25 スケジュール 5/25 ひまわり医療生活協同組合第 9 回 労住医連 4/29 学習会「日本版メタボリックシ ン ド ロ ー ム を 検 証 す る ( 仮 題 )」 (10:00-12:00、講師:小島正道さ ん ( 亀戸ひまわり診療所 )、東京 亀戸事務所 4F 会議室)/ 08-1 幹 事会(13:00- 東京亀戸事務所 4F 会議室) 4/30 「後期高齢者医療制度の廃止を求 める」医師 100 人アピール記者 会見および厚労省アピール申入れ (10:30 −、厚生労働省厚生労働 記者クラブ記者会見室) 会員・加盟機関・関係団体 5/22 「 ア レ イ ダ・ ゲ バ ラ さ ん を 囲 ん で」 、 「キューバの医療を神戸で聞 く会」実行委員会主催(参加団体 / ろっこう医療生協他) (14:00 − 総会(10:00 −尼崎市今北総合 センター) 5/30 北海道医療生活協同組合第 27 回 通常総代会 (15:00 −ポールスター 札幌) 5/31 ろっこう医療生活協同組合第 24 回総代会(13:00 −シマブンコー ポレーション本社ビル・ホール) 5/31 大分県勤労者医療生協第 27 回総 代会(14:00 −全労済ソレイユ) 5/31 大分県勤労者安全衛生センター第 27 回 総 会(13:00 − 全 労 済 ソ レ イユ) 6/1 名古屋労災職業病研究会第 5 回総 会(14:00 −ウィルあいち) 6/7 すずしろ医療生活協同組合第 25 回 総代会(14:00 −桜台産業会館) 6/28 神奈川県勤労者医療生協 2008 総 代会(14:00 −港町診療所会議室) 6/28 神奈川労災職業病センター第 25 回 16:00、原田の森ギャラリー、ア 総会(15:00 −港町診療所会議室) レイダ・ゲバラさん講演「キュー 6/29 紀 の 国 医 療 生 協 第 15 回 総 代 会 バの医師として生きて」 、ろっ (10:30 −ほっと生活館しんぼり) こ う 医 療 生 協 理 事 長・ 村 上 正 治 6/25 兵庫医療生協神戸診療所 2008 総 さ ん「 キ ュ ー バ 医 療 視 察 報 告 」 、 代会(18:00 −神戸市立総合福祉 参 加 費 当 日 1,000 円 / 前 売 り センター) 800 円、 問 合: サ ラ シ ャ ン テ ィ 7/6 中皮腫・じん肺・アスベストセン TEL078-802-5120/ ろっこう医療 ター第 6 回総会(13:00 −東京亀 生協 TEL078-802-3424) 戸事務所 4F 会議室) 5/23 東京労働安全衛生センター第 9 回 総会(18:30 −亀戸・カメリアプ ラザ) 5/24 新 居 浜 医 療 生 協 第 24 回 総 代 会 (14:00 −ユアーズ) 5/25 阪神医療生活協同組合第 39 回総 代会(9:30 −尼崎市立小田地区会 館) ネットワーク 5/22 第 10 回「臓器移植法」改悪を考 え る 院 内 集 会(15:30 − 17:30、 講師:神経内科医・古川哲雄さん 「脳死者には意識が残っている場 合がある」 、衆議院第 2 議員会館 第 4 会議室) 労働者住民医療 2008.4.25 47 5/27 ハスカップ・セミナ 2008NO.04 「 住み替え のいまとこれから」 市民福祉情報オフィス・ハスカッ プ主催(ゲスト:NPO 法人シニア ライフ情報センター事務局長 池田 敏史子さん、18:30 − 20:30、東 京ウィメンズプラザ視聴覚室、参 加費 1,500 円) 5/29-6/1 水 俣 へ の 旅 ∼ 事 件 史 を 歩 き、 患 者 さ ん の 言 葉 を 聞 く( 水 俣 フ ォ ー ラ ム 主 催、 主 な 訪 問 予 定先:チッソ水俣工場・百間排水 口・ 水 俣 病 セ ン タ ー 相 思 社・ ほ たるの家・月浦湯堂地区他、費用 44,000 円、募集定員先着順 25 名、 事務局日誌 3/28 薬害・医療被害をなくす厚労 省交渉実行委員会第 69 回交渉 3/29 神奈川県勤労者医療生協三診 会議 4/1-2 ろっこう医療生協・総会企画打 ち合わせ、阪神医療生協訪問 4/5 ひまわり診療所花見会 4/8 医療事故防止議員連盟勉強会 4/9 石綿対策全国連運営委員会 4/11 編集会議 412 地域医療研究会「診療行為関連 死因究明在り方試案勉強会」 4/15 「後期高齢者医療制度」社民党 レクチャー 申込締切:5 月 16 日、申込方法 4/15 シェア 25 周年記念連続講座 TEL03-3208-3051 にて仮予約) 4/24 社民党「後期高齢者ホットラ。 6/10 ハスカップ・セミナー 2008「ケ イン」協力 アマネジメントのいまとこれか ら」市民福祉情報オフィス・ハス カップ主催(18:30 − 20:30、ゲ ス ト:NPO 法 人 神 奈 川 介 護 支 援 専門員協会理事長 高砂裕子さん、 東京ボランティア・市民活動セン ター会議室、参加費 1,500 円) 6/14-15 第 7 回移住労働者と連帯する 全国フォーラム・かながわ 2008 ∼のりこえて、つながって、わか 編集 後 記 ●飼い主が口笛で呼んでいる。まさかねぇ ∼と眺めていると、上半身をすっくと起こ し、身も軽やかに飼い主の元へ走り寄る猫! 往年の気ままさはどこへやら。気まま、気 まぐれな存在が減っていくのは、ときに寂 しい。(あ) ●保険料の取り方について誰かと議論してい ると、法人だけでなくだんだん個人の収入差、 ちあって―多民族多文化共生社会 資産に応じて払うべきという話になるが、す の明日のために∼、第 7 回移住労 ると国や行政が個人を微にいり管理・介入し 働者と連帯する全国フォーラム・ かながわ実行委員会主催(川崎市 教育文化会館、14 日 13:00 −分科 てもいいよと同じことを言ってる自分に気づ く。気をつけよーうっと。 (よ) 「労働者住民医療」次号予告! 会、18:00 −交流会(産業振興会 館) 、15 日 9:00 −分科会、13:00 −全体集会、特別ゲスト:ピアニ スト崔善愛さん、参加費:2 日間 = 2000 円、1 日のみ= 1000 円) 48 労働者住民医療 2008.4.25 (2008 年 6 月 25 日発行予定) 新連載 改定介護保険を問う 後期高齢者制度反対アピール報告 労住医連総会議案書 「労住医連の活動姿勢」 (2004.6.27 ∼) 1. 私たち医療従事者と医療機関は、労働者・住民の命と健康を守ることを目的として活動し ます。 2. 今日なお、労働者は自らが働く職場にあって、また住民は自らが暮らす地域にあって、命 と健康を阻害するさまざまな要因や環境の中で生活しています。私たちは、労働者・住 民の健康を阻害するあらゆる要因や環境を改善するために力を注ぎ、疾病の予防と健 康の維持・回復のために医療活動を実践します。 3. 医療は患者をはじめとする労働者・住民のために実践されるべきものです。患者をはじめ とする労働者・住民こそが、よりよい医療を実現する主体です。医療従事者である私た ちは、これらの人びとと共同してよりよい医療の実現をめざします。 4. 私たちは、医療従事者としての知識と技術の向上のために研鑚を重ねます。 また、患者の訴えに謙虚に耳を傾け、患者が必要とする医療情報を提供するとともに 、 患者への説明責任を果たします。 5. 医学の進歩の名の下に、一人といえども人間としての尊厳が冒されてはならないと考え、 私たちはそれを守るための活動を続けます。 6. それぞれの院所にあって、労使は協力して職場の安全衛生の確保・向上に取り組むととも に、自らの健康の維持・増進を図ります。 7. 私たちは、この国に居住し 、 労働する諸外国・諸地域の人びとに、国と企業は必要な医療 と生活を保障すべきである、と考えます。その実現のためにこれらの人びとと共同して活 動します。 8. 何人も 、 必要な医療を受ける機会は均等に保証されるべきです。私たちは、医療を受け る上で差別や受診抑制につながる医療制度の改悪に反対し、労働者・住民が安心してか かれる医療の提供及び医療制度の実現に向けて活動します。 9. 平和は医療実践の前提です。私たちは 、平和を脅かすあらゆる策動に反対し、平和を守 り 、 築くために断乎として発言し 、 行動します。 労働者住民医療 2008.4.25 49 読者通信 ○機関誌「労働者住民医療」へのご意見・ご感想をファックス等でお寄せください。 (FAX:03-3636-2372/E-mail:[email protected]) (1)本号でよかった記事は何ですか? (2)本号でよくなかった記事は何ですか? (3)今後取り上げてほしいテーマは何ですか? (4)その他ご自由にご意見をお書きください。 ご意見を本誌で紹介する場合がありますが、掲載してよろしいですか? (はい・いいえ) 紹介させていただく場合、お名前を掲載してかまいませんか?(はい・いいえ) お名前 お電話番号 ご住所(所属機関名) 労働者住民医療【通巻第 218 号 4 月号】2008 年 4 月 25 日発行 発行 労働者住民医療機関連絡会議 労住医連の活動を支えてください 〒 136-0071 東京都江東区亀戸 7-10-1 機関会員 別途規定 Z ビル 5F 印刷 50 個人会員 年額 10,000 円 TEL 03-3636-2371 FAX03-3636-2372 購読会員 年額 5,000 円 E-mail:[email protected] ◇振込先口座◇ http://park18.wakwak.com/ roujyuiren/ 郵 便 振 替 有限会社だいもん印刷 三井住友銀行 亀戸支店 普通 3515058 〒 112-0014 東京都文京区関口 1-44-7 中央労働金庫 亀戸支店 普通 7581493 TEL 03-3269-1491 FAX 03-3269-0688 名称はいずれも 労働者住民医療機関連絡会議 労働者住民医療 2008.4.25 00110-0-126495
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