二次大戦の空襲を経験した身としては灯火管制が当たり前と思っていたが、さらに 世界中からやってきたジャ-ナリストが明かりの灯ったホテルの窓から爆撃の状況 を眺めている映像に驚いたが、如何に正確に着弾するかを知っているかこそ安心し て観ていられたのだろう。 この時世界が驚愕したのは、トマホ-クの性能 の良さで、目標に正確に命中する性能の良さ、更 に驚愕したのは入り口のドアを破って内部に入っ てから爆発するという余りにも高性能に驚かされ た。 このテレビ中継の映像は世界中の軍事関係者の 関心を集め、映像の分析の研究が行われ、特に中 国軍関係者は、台湾海峡危機で出動したアメリカ 海軍の 2 隻の空母に圧倒され、すごすごと引き返 した時の悔しさと、イラク攻撃にみるアメリカ軍 が持つハイテク兵器の凄さに驚き、その当時の抑止効果としてはあったかもしれな いが、反面中国軍が人海戦術からハイテク兵器開発に転換し最大の努力を傾注しだ したのは、湾岸戦争の副産物かも知れない。 まもなく最新鋭の空母を完成させ外洋艦隊が遊弋することになるが周辺国家は何 の対策もない、なにも出来ない。 第 二 次 大 戦 中 我 が 国 の 主 要 都 市 は B-29 の 猛 爆 撃 で 廃 墟 に な っ た が 、 猛 爆 撃 と は 盲爆撃で、ある地域にガソリンの雨を環状に降らせてから焼夷弾と爆弾の雨を降ら せるという戦術であったが、時代は換わって目標を正確に破壊する戦術であり、木 造建築が殆どないイラクでは爆撃による火災発生は少なかった。 このような状況下で開戦後僅か 10 日目の 1 月 27 日 、アメリカ中央軍司令官ノ- マン・シュワルツコフ大将は「絶対航空優勢宣言」を宣言し、多国籍軍が絶対優勢 で進展していることを強調した。 一方 、追い詰められたフセイン大統領は突如として新たな敵を作り攻撃を命じた 。 そ れ は イ ス ラ エ ル に 対 し ミ サ イ ル 攻 撃 を 始 め た こ と で 、 1 月 18 日 、 イ ラ ク 国 内 か ら スカ ッド ミサ イ ル 「 ア ル ・ フ セ イ ン」 と「 アル ・ フ ァ ジ ャ ラ 」 計 43 基 を 発 射 、 イスラエル最大の都市テルアビブに着弾し、死傷者がでた。 当然イスラエル政府・国民は怒り沸騰し、イラク侵攻の世論があったが、これを 必死で抑えたのがアメリカ政府で、此処に中東の難しさがある。 フセイン大統領の狙いはイスラエルを怒らせて参戦させることにあり、もし狙い 通りイスラエルが参戦すれば、イスラム教対ユダヤ教の宗教戦争になる。 そうすると多国籍軍に参加しているペルシャ湾岸のイスラム国家は大義名分を失 い、イスラム国家としてイラク側に加担するようになる。そうするとキリスト教・ ユダヤ教連合軍対イスラム教国軍の戦争になり、まさに宗教戦争になればイスラム 教国軍が勝利するのは確実との読みがフセイン大統領にあり、まさに狙いはそこに -9-
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