GIS活用コーディネーター育成研修カリキュラム

GIS活用コーディネーター育成研修カリキュラム
月日
時
間
9/27
13:00〜13:15
(水)
13:15〜13:45
30
60
15:00〜16:00
60
60
9:30〜10:15
45
10:15〜11:00
45
(木)
11:00〜12:00
9/29
60
13:00〜14:00
60
14:00〜15:00
60
15:15〜16:15
修
項
目
講
師
開講
13:45〜14:45
16:00〜17:00
9/28
研
60
政府、農林水産分野におけるGISの取組みについて
農地GISと活用
WebGISを活用した情報の共有化の取り組み
JAグループの担い手づくり、産地づくりにおけるGISの活用と課題
GISシステムの概要
既存のGISデータの調達方法
農業委員会におけるGISの活用と課題
農業共済情報の種類と個人情報保護等
GISを成功させるポイント
全農家参加による飯島町営農センターを支援する農業情報システムの活用
農林水産省 大臣官房 情報課
課長補佐(高度情報化班担当) 三浦 晃
地域農業経営戦略研究会
代表理事 小澤克巳
島根県 中山間地域研究センター 地域研究グループ
科長 藤山 浩
JA全中 基本農政対策部 営農総合対策課
調査役 田村政司
(株)パスコ コンサルタント事業部 環境情報部 農業情報課
専門課長 三谷 歩
水土里ネットみやぎ 農地整備部 水土里情報センター
上席技術主幹 門間 隆
全国農業会議所 農地構造対策部
調査役 榊原喜久
全国農業共済協会 企画研修部
部長 徳井和久
地域農業経営戦略研修所
代表理事 小澤克巳
長野県 上伊那郡 飯島町 産業振興課
課長 齋藤久夫
16:15〜17:15
60 新潟県川西町(現十日町市)における産地づくり支援農地情報システムの導入 新潟県 十日町市 農林課 農業振興係
について
係長 田口秀樹
9:30〜10:10
40 〜「水土里ネットやまがた」の取り組み事例〜
水土里情報の事業推進
水土里ネットやまがた 総務部 総務企画課
技術管理主幹 角田五郎
10:15〜10:55
40 〜「水土里ネット岡山」の取り組み事例〜
GISの活用・提供に必要な体制と運営について
水土里ネット岡山 事業部
11:00〜11:40
40 〜「水土里ネットみやぎ」の取り組み事例〜
GISの活用・提供に必要な体制、運営等について
水土里ネットみやぎ 農地整備部 水土里情報センター
11:40〜11:55
15 質疑応答
11:55〜12:00
閉講
(金)
部長 田窪行雄
上席技術主幹 門間 隆
目
次
◆政府、農林水産分野におけるGISの取組みについて
農林水産省大臣官房情報課課長補佐(高度情報化班担当) 三浦
◆農地GISと活用
地域農業経営戦略研究会
代表理事 小澤克巳
◆WebGISを活用した情報の共有化の取り組み
島根県中山間地域研究センター
地域研究グループ科長 藤山
◆JAグループの担い手づくり、産地づくりにおけるGISの活用と課題
JA全中
基本農政対策部営農総合対策課調査役 田村政司
(株)パスコ
コンサルタント事業部農業情報課専門課長 三谷
◆GISシステムの概要
◆農業委員会におけるGISの活用と課題
全国農業会議所
農地構造対策部調査役 榊原喜久
◆農業共済情報の種類と個人情報保護等
全国農業共済協会
企画研修部長 徳井和久
◆GISを成功させるポイント
地域農業経営戦略研究会
代表理事 小澤克巳
◆全農家参加による飯島町営農センターを支援する農業情報システムの活用
長野県飯島町
産業振興課長 齋藤久夫
◆新潟県川西町(現十日町市)における産地づくり支援農地情報システムの導入について
新潟県十日町市
農林課農業振興係長 田口秀樹
歩
浩
晃
農地GISと活用
地域農業経営戦略研究会
代表理事
小澤克巳
地域農業経営戦略研究会の小澤と申します。
地域農業経営戦略研究会という名前は聞かれたことがないと思いますが、私の紹介の下にホー
ムページアドレスも書いてございますので、ぜひアクセスしていただきたいと思います。私は代
表理事となっておりますが、代表理事が5人おります。1人はBSE問題のときに座長を務めら
れ農林水産省問題ありという取りまとめをされた女子栄養大学の高橋正郎先生、元GIS学会の
農政部会の責任者であった京都大学の武部先生、中山間地域問題の研究で知られる明治大学の小
田切先生、そして元GIS学会会長の奈良大学碓井先生です。私は、地域農業の現場におけるG
ISの活用をよく把握しているということでお仲間に入れていただき、事務局を務めさせていた
だいております。
お手元に今回私が説明させていただく資料がありますけれども、これは釈迦に説法になってし
まうかもしれません。皆様は技術の方ばかりなので「GISなんか知っている」という方が多い
のでしょうけれども、先ほど研究所の所長様のお話がありましたように、今回は地図データを整
備するという大きな事業があると思いますけれども、最後に、他の農業関係機関ではどんなGI
Sの使い方をしているかということを実際のもので見ていただきたいと思います。今回、事業で
地図データを整備された、それを活用する、水土里ネットのお得意様になる方、顧客となる各関
係団体の方、そこでどう使われているかというものを見ていただきたいと思います。
最初のページ、「IT革命とGIS」です。今「IT革命」「IT革命」と言われております
が、その主役的な位置づけを占めているものはインターネットと携帯電話が代表選手のようなイ
メージがあるかもしれません。ただし、これを逆に考えてみますと、いつでも、どこでも情報の
発信・受信ができるということは、ある面で情報の分散を引き起こしていると言えます。やたら
‑ 1 ‑
情報はあるけれども、その確かさがわからない。移動して発信されているものは、どこが出所だ
か、わからないということです。そのようなことが現実に起きてきていると思います。
GISはコンピュータの進化により生まれてきました。コンピュータの初めは、電子計算機で
すから、「数値」しか扱わなかったわけです。それが進化してきてワープロのような形で「文
字」と「数値」が扱えるようになってきた。それが今やさらに進化して、画像とか、地図、音声
を扱えるものとなり、通信機能までが備わってきている。これがGISという技術を生み出して
きたと思います。
ですから、以前は、情報の伝達のための、「いつ、誰が、どこで、どのような方法で、何をし
た」の「どこで」という部分は、コンピュータの中では住所や地番という「文字」と「数値」の
形で扱われていたわけです。
しかし、今やコンピュータの機能が非常にアップしてきて、コンピュータで地図を当たり前
に使う時代が来ているわけです。グーグルマップなんかを見ていただくと、航空写真と重ねて世
界中が見えるところまで来ているわけです。これはどういうことかと言いますと、今までは文
字・数字だけのデータベースでしたけれども、逆に地図が中心のデータベースに変わっていく。
これがもう一つのIT革命だと私は思っております。
この辺からが釈迦に説法なのでしょうけれども、GISとは何か。先ほど農水省の三浦課長補
佐から話がありました地理情報システム関係省庁連絡会議では、「GISとは、地理的位置や空
間に関する情報を持った自然、社会、経済等の属性データ(空間データ)を統合的に処理、管
理、分析し、その結果を表示するコンピュータ情報処理体系」と定義づけています。
それに対して私どもの戦略研究会の代表理事でもあります碓井照子先生、GIS学会の元会長
は、「GISとは地球の大圏、地圏、水圏などにおける位置参照されたデータを観測、サンプリ
ングなどで収集し、デジタル化してコンピュータに格納し、様々な自然、社会現象の構造や、特
性を分析、解析するコンピュータベースのシステムのこと」と定義づけています。
GISのイメージはこんなイメージだと思います。現実世界です。これは二次元だけではなく
て、今度のGISというのは、空間データという三次元、もしかすると時間の概念も入ってきて
四次元という世界に変わってくると思われます。今回の事業では地図をつくることがまずスター
トとしてあるわけです。これは地域をモデル化するということです。データはそのための手段で
す。目的は地域の情報処理をする。これがGISです。出口です。表示、計測、解析をすること
によって判断とか評価を人に与える。ここがGISです。農水省の「アクションプログラム2002
―2005年」にはこの辺のことが何も書いていません。いかに地図情報を整備するかという手段の
‑ 2 ‑
みの内容となっております。本来のGISはここの目的の部分です。システムですから。
では、GISとはどういうものか。使われていて意外と気にならないかもしれませんが、まず
地図の一番よいところを利用しているわけです。それを文字・数値と合体させているということ
だと思いますけれども、地図のよいところはパッと見ただけで共通認識ができる。現状認識なん
かも行える。それから、距離、時間、面積、量が推定できる。そして、経年変化を見ていきます
と時系列の変化が読み取れる。あるいは目的、用途により縮尺を変えられる。この地図の利点
と、今までのコンピュータで扱っていた文字・数値等を組み合わせたものがGISということで
す。
なぜGISがいいかといいますと、先ほどお話ししましたように、文字と数値で表されるもの
は分散している点情報であり、周りとの比較ができないですね。この絵ではたまたま「品種」
「樹齢」「糖度」「酸度」「土壌」などと書いてありますけれども、例えばミカン産地などの選果
場では、今、光センサーで糖度、酸度、着色度などの、1個1個のミカンの評価情報が自動的に
取得されています。その評価情報によって箱詰めの仕分けをおこないブランド化を図る一方、農
家に対し精算をおこなっている。しかし、農家は、点数の悪いのは一体何をどうしたら良くなる
のかということがわからない訳です。
これはGISで展開したところです。ある農家の園地がここだとすると、周りがどうなってい
るのか。同じ品種をつくっていて、みんながまずいのだったら、そこはその品種に適さないとい
うことが判るわけです。周りがみんなおいしくて、良いものをつくっているのに自分だけが悪い
というなら、栽培技術の問題だということがはっきりしてくる。このように人の判断を促す価値
のある情報に変えていく。これが一つのGISの特徴です。「点」情報を「面」に展開すること
で価値ある情報に変化させる。ここがポイントです。
GISの一般経済産業での活用ですが、日本で最初にGISに取り組んだのは東京ガスです。
きっかけは、古いガス管の破裂です。なぜGISに取り組んだかと言いますと、紙の地図が山の
ようにあり管理はされている。しかし、その紙の地図を引き出すことは滅多にないわけです。片
や施設のデータでは管理されている。しかし、どこの位置に埋設してあるガス管がどのぐらい古
いのか、更新しなければいけないのかということが即座に検索できなかった。人の命にかかわる
ためにGISに取り組み出した。今、東京ガスのテレビのコマーシャルを見ていますと、職員の
方が車で移動しながら、GISで現場の地図を見て、その施設の台帳を引き出すところが画面に
映し出されます。あとは当然電力会社、この辺からGISへの取り組みが始まりました。
行政機関では、上・下水道の管理とか、道路台帳、固定資産税の評価情報の管理などで、GI
‑ 3 ‑
Sを活用しています。
農林水産分野で言いますと林業分野においてのGISへの取り組みは早かったんです。昭和の
時代からやっています。昭和の終わりに全国森林組合連合会から私どもが開発を受けました。そ
れから、たしか平成元年から2年ぐらいには農水省の方でも国有林を管理していこうという予算
がつきました。そして私どもも研究事業をやらせていただきました。その頃、林業は衰退してい
ってしまった。そこで平成2年には一回中断されてしまった。それが今、また再開されていると
いうことです。
民間における利用としては、ハンバーガーで有名なマクドナルドでGISが使
われていることが知られています。以前、出店計画にGISを利用していることがテレビで放送
されました。流通関係や銀行の店舗展開でもマーケティングを目的として多くの分野で利用され
ています。最初に申し上げたのはいわゆる施設管理を目的としたものでしたが、マーケティング
などの意思決定支援ということが目的となります。
それから、皆様の身近なところでは、カーナビゲーションシステムがありますが、GISの一
つの形ではありますけれども、GISとしては別のものと思われます。
GISが脚光を浴びるようになったのは、阪神・淡路大震災以降です。防災対策に効力がある
と認知されました。それ以前の農林水産省の補助事業等においてもマッピングシステムと表され
ていました。それが大震災以降、GISに変わった。よくなったのか、わかりにくくなったのか
は別ですけれども、それ以降は各事業の中でも「GIS」という言葉に変わってきています。
次は「農業とGIS」についてです。何で農業にGISが効果を発揮するか。農業というのは
農地を生産基盤として成立しているわけです。まずは農地の土地利用の現状把握をします。そし
て、その地域に合った土地利用計画を樹立して、主役となる地域農家の合意形成を得ながら計画
を実行する。これが今必要とされていますし、非常に大事な部分だと思います。それを実現する
には、「全体をとらえて把握する」とか、「一目瞭然」という先ほど地図の利点としてお話しし
た効用を活用したGISの特性と諸機能を活用することが不可欠です。
国土交通省からGISへの取り組みが始まったとされていますが、国土地理院は地図をつくる
省庁です。利用するところではありません。活用するところではない。私は農水省にずっと前か
ら関わっていますけれども、アクションプログラムには地図データの整備についてしか書いてあ
りませんが、本来、農業の現場におけるGISの活用というのは幾らでも広がりがあると思って
います。今回の事業でやることは大きな意味のあることです。これをうまく活用できたら日本の
農業が変わる。私はそのように信じております。
あと一つは、軍事技術は農業に生かされている。田植え機の植え付け部分にゼロ戦のどこかの
‑ 4 ‑
技術が活かされているなどということを聞きます。今、軍事技術の平和的利用が求められている
中で、GISも当然戦略システムです。湾岸戦争のときのピンポイント作戦、あの湾岸戦争のス
タートが若干遅れたのは地図のデータが入り切らなかったからです。軍事施設の座標をとって、
それでピンポイントで爆弾を落とした。もともと戦争というのは、部隊、人数と物資をできるだ
け多く、速く、どこへ運ぶかということで勝利が決まってくるわけです。ですから戦略システム
として生まれたGISですが、それを平和的利用として農業で使っていくのは非常に時代にマッ
チしたことですし、農業の中では多くのものに生かせると考えています。
この辺は言い古されていることですけれども、今、農業の現場ではいろいろな問題を抱えてい
る。その上に、来年からの米政策改革、経営所得安定対策への対応があります。それからポジテ
ィブリスト制度までが入ってきました。地図がなければ何もできないところにきているんです。
リンゴ等の果樹はスピードスプレーヤで、20回ぐらい防除しますね。周りの田んぼへの飛散はど
うなるのかということがあります。土地利用計画をどう考えていくかということは地域にとって
大きな問題です。避けては通れない問題だと思います。
もう一つは高齢化です。一番の問題はやる人がいなくなったということです。せっかく皆様の
事業の中で基盤整備を一生懸命進めてきている。いわゆる側(がわ)はできた。道路はできた。
しかし、それを使って物を生産してくれる人が今はいないところが一番の問題になってきている
のだと思います。
では、皆さんの地域の10年後はどのようになっているのかというのは数式でも出せます。地域
の総農地面積を現状65歳未満の農家戸数で割ってみる。そうすると、農家1戸当たりがどのぐら
いの面積を請け負っていただかなければ遊休地となってしまうのか。それが今言う経営所得安定
対策の個人であれば4haという面積で果たして済むのかどうか。
後で実際の地図もごらんいただきますけれども、皆様は御承知だと思いますが、地域の農地は
庭のように家の周りにあるわけではありません。集落と農地が離れている。そして、農地改革の
ときに平等にと土地を配っていっているから、当然いいところから順番に配分されていったの
で、分散しているわけです。北海道でさえ、当初はまとまった土地であったものが、離農する方
の土地、それに対して規模拡大する方へ平等に配っていくということで、農地が分散してしまっ
ているわけです。GISで見るとよくわかります。
分散しているということは圃場の移動に時間を相当取られるということです。スポーツカーで
移動するわけではなくて、コンバインなんかは時速が遅いわけです。ですから、今、農林水産省
の農地の流動化の中でも面的集積ということが前面に打ち出されているわけです。ただ農地を集
‑ 5 ‑
積する、担い手に集めるだけなら数字の世界でいいわけですけれども、面的に集積することにな
ったときには地図は必須のものになるわけです。1番と2番の土地が隣だというのは大体想像が
つきます。違う場合もあるかもしれません。では、農道なりを隔てて前は何番か。28番かもしれ
ません。そうすると、それが台帳だけ見ていてわかるのか。絶対にわからないですね。ですか
ら、どうしても地図が必要になってくるということです。
GISで地図に表してみました。今は皆さんのところでもやられているかもしれませんが、こ
れは農地を耕作者の年齢別に色塗りしているところです。これが日本の農業の平均的な状況だと
思います。凡例が30歳未満から10歳刻みになっていますけれども、70歳以上の方の農地だけを表
示してみます。が現状です。10年後は80歳。その中で跡継ぎがいないものは。そういう農地がど
こにどれだけあるか。跡継ぎがいなくて70歳以上の方の農地は危険信号ですね。そういう中でど
のように土地利用を考えていくか。この辺が一目瞭然です。計算値を出しても具体的に何を行動
したらいいかわからないのが、地図で見れば具体的な行動をどのように起こしたらよいのかとい
うことが見えてくる。これがGISの効果です。
行政の視点から見ると、過疎化が進む、地域環境が悪化し、税収も減少する。そして地域社会
の活性化も喪失する。高齢化、農地が荒れてくるということです。
そうすると、経済事業の農業関係機関、農協さん、共済さんをはじめとして事業計画は右肩下
がりとなります。販売額の減少とか、いろいろなことがあります。組合員の減少ということが待
ち受けているわけです。林業が、「コスト」「コスト」と言って衰退していきました。農業もも
しかするとその後を追う危険性が非常に高いと思います。
GISが農業関係機関で実際に使われていたり、これから使われようとされているものがこの
様なものかなということを整理してみました。行政だと、農振業務とか生産調整、来年からはそ
れは農業団体が行うことになっています。それから、いろいろな事業申請、そして最近言われて
いるのが鳥獣害対策です。これもただ鳥獣害の対策だけではなくて、農地をどう生かすかという
基本のところ、土地利用をどうしていくかというところから入らないで、柵をどこにつくるかで
は全然戦略的ではないわけです。このように農業関係機関ごとにもいろいろな目的によってGI
Sの活用が見込まれるということです。
今、農水省が中心になられてGISの活用研究会がありますが、ホームページから毎回の研究
会の内容がダウンロードできます。活用をいろいろと分けていますけれども、私はGISの活用
の目的をこんなふうに分けてみました。
生産支援を目的としたもの。農水省の補助事業としては生産総合対策事業があります。皆様方
‑ 6 ‑
はどちらかと言うと公共事業の方の事業を受けていらっしゃいますが、現場といいますか、生産
総合を主に受けているのは農協さんでしょうか、このようなものに取り組んできている。
あとは経営体育成・農地流動化を目的としたものです。これは農業委員会や市町村合理化法人
が、国の補助事業を利用して各種の取り組みをされてきています。
そのほか、農村振興・生産基盤を目的としたもの、この辺が皆様に近いところだと思います。
今回、水土里事業というふうに変わりましたけれども、こんな内容です。
今の生産支援、経営体育成・農地流動化、それぞれの目的です。右側が地域の関係機関です。
農業委員会、市町村の農政部門、耕地課、それからJAさん、改良区さん、共済さん、これらの
関係機関がそれぞれにGISを使って、ある目的を達成できるわけです。これにまだまだ広がり
があるというのが私の持論です。幾らでも奥が深い。
GISの導入効果は、データの正確化などの直接的効果、定性的効果、定量的効果を並べてみ
ました。
もうGISをお使いになられているところもあるでしょうし、これから取り組まれるところも
あるでしょう。今回の水土里事業について私の後の後に全中さんが農協さんとしてのGISの使
い方をお話しされるでしょうし、明日は全国農業会議さんが農業委員会としてのお話をされま
す。言葉だけではなく、実際にそれがどんなふうに使われているかというものも含めて残された
時間で見ていただいて、何かの参考にしていただければと思っています。
まず、施設管理。これは皆様方と関連するところですね。GISをご存じの方はよく「レイヤ
ー」とおっしゃいますね。道路レイヤーとか建物レイヤーとか。地図をつくるときはそういう考
え方ができると思います。
レイヤーとよく言われているのが、ここで地番界があります。今回の水土里事業では地番界を
とるか圃場界をとるかということも話題になっていますが、これが地番界です。しかし、施設の
下水道等を管理する場合には、今は上・下水道が一緒に重なっていますけれども、地番の線は要
らないのではないか。主役はどこかということを探していけばいいわけです。下水道を見たいの
であれば上水道は消す。そうすると、道路線と家屋の形状と、それから施設、これが主役になる
わけです。これだとただ白図を出すだけですけれども、GISは地図の下にデータをぶら下げて
いて検索したりするわけですから、ここであれば、この下に台帳がぶら下がってくるわけです。
平面図など紙のものはスキャナによって画像を取り込んだり写真を取り込んだりして、その地図
の位置の下にぶら下げることができます。これがGISの単純な仕掛けです。あるいは取りつけ
管の場合にはと、このように台帳とリンクしてくるわけです。付属情報などもある。それから人
‑ 7 ‑
口の情報など、皆様方が別々のシステムで管理していたり、紙の台帳で管理されているものが一
体的になったら、それは便利ですね。
断面図的なものも一緒に管理していけばいい。これは紙が大きいのでデータ量が多くなっていま
すけれども、こんな形で見られる。これが基本です。GISというのは施設管理から入ってきて
いることは間違いないです。まず地図ができたら施設を管理しようと。あとはそれに検索なんか
を入れていく。
例えば、この暗渠はどこか。ここにありますと。すると、その台帳の中を先ほどみたいに見て
いけばいいわけです。あとは、幹線の経路を追っていくような形です。
今選ばれたところが点滅していますけれども、こんな形です。こんな形で検索していくことが
できるわけです。これは、片一方がコンピュータでありましても、片一方が紙の地図ではできな
いことだと思います。
あとは、例えば何か陳情があったりした場合です。この辺は改良区さんではどうしても必要に
なってくる部分かもしれませんが、農家の方からの陳情といいますか、問題があったものを蓄え
ていく。こんな形で見ることができますし、下水道で別の陳情の詳細を見るようなこともできま
す。その場所はどこか、ここだという形です。
あとは、このあたりで陳情があったところはという形で見ていただいて、それぞれを見ていっ
て内容を知っていく。この辺は地図と台帳が一体化しているために見ることができることだと思
います。この辺は実際に今施設管理で使われているところ、これからそれに取り組もうとすると
ころの方々への参考的なものだと思います。まず皆様に近いところから、GISでどんなことが
できるかというものを見ていただいているところです。
災害復旧の補助率増高申請というのは御存じでしょうか。全国水土里ネットさんのホームペー
ジにも掲載されていますが、今年度から少し申請業務を簡便化しようということになったと思い
ます。当時は字切り図でなければいけないと。字切り図は結構曲者で使いにくい地図だったと思
うのですが、農水省の担当の方に「字切り図」という指定を外してくださいというふうに私もお
願いしました。地形図でもいけるという話でした。
これはどういうことをしていくかと言いますと、例えば災害があった。
ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、災害復旧補助率増高申請業務というのは、1
人当たりの災害復旧する工事費用が幾らから幾らだと何%の補助率になるというものです。です
から、同じ額でも人数の少ない方が大きいパーセンテージで国から補てんが来るという事業で
す。
‑ 8 ‑
この中に出てくるのですけれども、今のものを1回登録しますと、地図から場所を特定してい
くという形です。今年、災害がありました。これが字切り図です。水路が決壊します。ちょっと
いい加減にやってしまいますが、その対象となった農地はここだということですね。担当者の方
は申請図面をつくるのが大変なわけです。被災箇所。ぎざぎざで書けとか、流水方向を書けと
か、集排水溝を書けとか……。皆さんのところでは、この辺の集排水溝等はGISで管理されて
いるところもあるかもしれないのですが、そうでないところは手書きで図面をつくっていくわけ
です。農地を一個一個、色を塗る図面と引っ張り出した情報を片一方でエクセル等で計算してい
く。ですから、GISと一緒になっていると、ここを囲うと対象農地が出てきて、その農地が抜
き出せるし、対象となる農家の情報も地図から引っ張り出しができるわけです。申請はなるべく
早く出さなければいけないのだと思いますが、それが早くできるということです。
今、囲って黄色く塗られたところの対象農家はこの方たちですし、対象農地はこれだけです。
地図とデータが一緒になっているということは、こういうことを可能にするということです。
そのほか、皆様方に近いところですと、中山間の直接支払いがあります。今から6年前に中山
間事業が始まる時には、航空測量などをして対象農地の傾斜度を測るようなことをやられていた
ところが多かったと思います。私どもの考え方は、GISというのは測るだけではない。逆に言
うと、それを導入しても、何に使うかという目的がはっきりしていなければなりません。
例えばこれが対象であれば、先ほどと似たような感じです。ここで囲ったところの登記簿面積の
集計を出してきます。ですから、電卓で一個一個たたかなくて済んでしまうみたいなことです。
団地名称が今は6団地と出ていますけれども、この辺、後で紙として出力する場合に重なってい
たら嫌だなということであれば動かすとか、法線もこんな形で登録してしまう。こういう流れで
す。
今は色を同じ黄色にしてしまったのでわかりにくいかもしれません。違う色にしましょう。そ
うしますと、一団の農用地が登録されて、先ほど同じく、その中身を抜き出したりできるという
ことです。
私は明日もまたGIS成功のポイント等についてお話しさせていただきますが、GISは地図
を見るだけということでは継続して利用されないことが多いんです。地図というのは変化してい
きますね。分筆だとか、合筆だとか。そうではなくて、業務でいろいろなところに使っていっ
て、農家の方とキャッチボールをする。明日の話と重なってしまうかもしれませんけれども、そ
ういうことがあれば、必然性を持って利用されていく。この方々がやっている一団の農用地で管
理者別に出してみたりする。この辺は毎年確認したらいいだろうという場合です。あとは、同意
‑ 9 ‑
書の関係。先ほど言いましたように高齢化してきているわけですから、毎年「今年は大丈夫?」
と聞かなければいけませんね。その辺のものを地図と一体化して出していく。一体化したら、こ
んなものは簡単な話ですので、毎年確認印をもらう。そういうことであると必ず循環していきま
すね。もし地図が変わっていたら、「違うぞ」という声も聞ける。チェックもできるということ
です。ですから、業務と絡めていくことによってデータはどんどん新しくなる。チェックがかか
るということです。
例えば、現地確認の状況が必要だということになっていますが、そんなものもここから出すこ
とができるわけです。地図のシステムがなくても、今までもこのぐらいのシステムはあるわけで
す。今までの業務と地図が一体化していないとGISというのは意味がないんです。
この辺が皆様の業務にかかわるところです。
では、JAさんや農業委員会さんの方ではどんな使い方をしているか。農業委員会さんの方で
は毎月総会があるので、議案で入れていって農地が移動するとか、そんなふうになっていますけ
れども、単純にその中身をのぞいてみると、世帯員の情報が管理されていたり……。この辺は皆
さんの現場の賦課金の台帳と似ているかもしれないですね。筆別表。
この場合は、上が自作地と借入地、いわゆる経営地で、それに対して貸付地みたいな形になっ
ています。場所が確認したいのであれば、経営地はここですというふうに当然飛べるわけです。
農家の窓口サービスといいますか、農家の人が来て、「ちょっと転用したいのだけれども」、「あ
なたの言うところはどこですか」、「ここですか」というふうにわかるわけです。
あとは農家の方の経営地の分布です。先ほど言いましたけれども、これは1人の方で規模拡大
して8haぐらいやっている方ですけれども、これだけ農地がとんでいるわけです。自作地は赤い
ところ、あとは借入地です。規模拡大していく。この辺はまとめてだれかが貸してくれたのかも
しれません。こんな形です。
GISは距離が測れます。距離を測るのをどこで使うかということですね。皆さんでしたら、
道路幅がどのぐらいかなとか、そういうところに使いたくなると思いますけれども、農業経営の
方で言うと通作距離がどのぐらいになっているのだろうなという見方をするわけです。そうする
と、直線で4㎞、実際は8㎞ぐらい移動にかかっているのだなというところが見えてくるわけで
す。こんなところが農業委員会さんで、そのほか細かくは業務支援的なものがありますし、選挙
人名簿の管理とか、いろいろなところで利用されています。
あとは流動化的なものの使い方になると思いますけれども、流動化のところではどんな使い方
をされているかと言うと、地域によって違いますが、農業は原則的に1年周期ですから、秋の収
‑ 10 ‑
穫から春の作付の間に、農地の流動化といいますか、農地を動かす話し合いをされるのだと思い
ます。それに基づいて、その間に借りたい・貸したいという情報を集めてくる仕組みだと思いま
す。
先ほどの話しで行政の税務課あたりはGIS導入が早いと申しましたけれども、税務課は転用
すると元の形に戻ることがないです。農業は困ったもので、半分だけ貸すという話が出てきたり
します。それから部分転作が入ってきて部分だけの作業を委託するということがあるのが農業の
難しいところです。管理するだけではなく、実運用になってくる。
例えば、畦畔で切れているとかで、19aのうち10aだけ貸すという話になるケースもあるわけ
です。逆の場合もあるかもしれません。こんな形で貸したい情報を入れていく。それに対して借
りたいという情報ですね。どこで借りたいのか、田んぼが借りたいのか畑を借りたいのか、どの
ぐらいの面積を拡大したいのか、利用目的は何か。農地集積計画書という農業委員会で総会にか
かる時に必要な書類があるのですけれども、その中に必要な情報もこの中に取り込んでいるわけ
です。この様なものが規模を拡大したい人の情報です。
これをGISにどう展開していくかというところです。この土地を貸したいという情報と、こ
のあたりで借りたいという情報を入れると、こんな形になります。水色が貸付申し出地、いわゆ
る貸したいと出てきた土地です。それに対してモスグリーンみたいな色、これが借りたい人で
す。
私どもの考え方では地番と面積と人の情報を出すようにしています。ただし、ここでは、この
土地はこの人か、この人に借りてもらいたいと。借り手主義ですね。借りたい人がどれだけ効率
が上がるか。この地図情報は人間関係まで持っていないので何とも言えませんが、例えばこっち
の人が借りたらというと、今、黄色く変わったところがこの農地を耕作している三宅さんの現状
の経営地の分布状況です。これも結構飛んでいますね。それに対して左隣の人はどうなのか。こ
の人も飛んでいますね。でも、こっちの方がいいかなということであれば、こちらの方に地図上
からリンクさせてしまうわけです。これは杉村さんにリンクさせる。逆に、ある特定の方、山路
さんを選んでいただくと、その方の耕作地がわかりますので、そこに周辺の農地を優先的につけ
ていこうということもできます。
今、地図で何をしていたのかなと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、貸付地が左に
出ていて、杉村さんに2筆ぐらい、そして山路さんとあとの方に貼り付けていましたけれども、
地図でリンクさせたものがこっちへ反映してくる。
実際の使い方は、先ほども言いましたように人間関係等がわかりませんから、あいつだけは嫌
‑ 11 ‑
だとか、近い人の方が仲が悪いことがどうも多いらしいです。それを考えると、先ほどの水色と
グリーンで塗られた地図を地域に落として、世話役の方に調整をしてもらう。その結果をこの中
で相手方とつなぎ合わせをしていく。その方が少し無責任でいいかもしれません。これによって
関係する書類が全部システムでできるんです。各筆明細書というのは貸し借りの契約書です。
今、全国で来年の経営所得安定対策に向けてJAグループでは保有合理化法人をとっていこう
と。大豆、麦の作付面積を持っていきますね。あれが賃貸借などのときに、どの農地につけるか
ということでトラブルが起きそうだと。その辺の調整役をJAさん、合理化法人がやっていこう
という取り組みをされようとしています。そういった面では農協さんがこの辺の業務に入ってく
ることは来年からもっと増えてくると思います。このことで契約書ができたりする。実際に農業
委員会に提出して、総会を通って公告されたら決定とすると、地図上に表示されていた人の名前
も自動的に変わっていく。つまり、業務で利用する中でデータも変えていってしまうという流れ
です。
あとは、これだけデータを持っていると、今まで地図が無い中でもやらなくてはなかったこと
が一体的に処理できます。例えば小作料の引落書はこんな形ですね。ですから、地図は地図、デ
ータはデータというふうに切り分けずに、一体的になったものがGISです。あとは、農協さん
から引き落とし、振替をするためのデータもここから出してしまえば、それは一連の流れです
し、それが仕組みになっていったら2年目から急に変わるということはないわけです。
あと10分ほどなので、もう少し見ていただきます。逆に、ちょっとおもしろいものを見ていた
だきましょうね。
農業委員会さんは今、有休農地をしっかり管理していけということで、これが業務になってき
ているわけです。その場合に有休農地をどうやって調べているか。GISがあるとこんなことが
できますというところを見ていただきます。
私どものお客様ではこういう使い方をしています。例えばまずは白地図を出力します。白地図
があって、これを持ち運びできる大きさのB4でと選択すると、このようにメッシュを切ってい
きますので、これがあなたの担当範囲と言って農業委員さんに紙地図を渡す。すると、紙地図を
持って有休農地とか荒廃地や不作付地など、色を塗ってもらうなど何か印をつけてきてもらう。
そうしますと、例えばこれが不作付地だとすれば、今度は地図から書き込むことができます。
この裏には当然人の名前も全部ぶら下がっていますし、集計もできるし、話し合いをしてどうし
ていくか。不在地主の問題もありますが、そういうことができる。GISですから、当然、この
中身を見にいけるわけです。そのほか家族構成的なものの世帯内の所有地がどうなっているかと
‑ 12 ‑
か。地図からおかしいものを見に行くようなものが、データベースがGISに変わっていくとい
うことだと思ってください。こんな使い方もできます。
それから、先ほど経営所得安定対策に絡めて農家の土地が飛んでいて、まとまっていないとい
う話をしたと思いますが、これは集落です。実際の集落を東京の名前に置きかえてありますけれ
ども、これがある集落の状況です。経営所得安定策の集落要件は、20ha×8×8ですね。法人化
の計画があり、経営安定対策の対象になっています。例えば、赤いところは比較的まとまってい
ますけれども、今は耕作地で表示していますが、所有地で出してもいいですね。これが集落の方
が耕作している農地です。これで効率の上がる農業が本当にできるか。先ほども言いましたけれ
ども、農家個々は移動のための燃料費をかけているし、時間を食われている。集落営農をやって
も同じことですね。
私どもの戦略研究会では、今、日本型農場制農業ということを打ち出しているのですけれど
も、出入作があまりないようなところでの一つの集落という考え方です。集落ということでは一
番下の集落を考えているところが多いのですけれども、去年、水田農業ビジョンで農林水産大臣
賞をとった花巻管内は、集落のもう一つ上の組織ですね。農事組合、複数の集落で一つという考
え方をしています。そうでないとスケール的にもメリットが出ません。これも現状として、先ほ
どの年齢別もそうですし、この辺のところを地域に示すことが話し合いのもとになるわけです。
集落営農に参加するがために今まで借りていた人から貸し剥がしが起きてきていることも確か
なようなので、その辺をどう考えていくかは難しい問題だと思います。
最近私どもが力を入れているのはこれが基本になっているのですけれども、これは平成4〜5
年ぐらいにできたシステムです。先ほど班長が衛星とGISを組み合わせたとおっしゃってい
て、今回の事業の中でも北海道の上川地区は衛星画像で食味のたんぱく値の解析という話があり
ましたけれども、あれは費用がかかり過ぎるということで、続いていないのが現状です。でも、
考え方としては、先ほどミカンの話をちょっとしたと思いますが、これが米の品種の分布だとし
ます。ミカンは光センサーで一個一個の評価情報をとってくれますが、米は、皆さんもご存じた
と思いますけれども、検査員の方が一生懸命に白い皿と黒い皿で検査しているんです。それ以外
にも食味計とか穀粒判別器とかいろいろ利用していますが、それは参考にされているだけです。
今後の、方向性としては、カントリーの受け入れで米の選別等ができるようになるのではないか
と思っています。今、私どものお客様では、こんな形でコシヒカリの食味によって、農家にとっ
ては手間がかかりますけれども、おいしいものをつくるというものに参加する人には圃場単位に
出荷してもらっています。そのことで圃場ごとの食味が出てくる。
‑ 13 ‑
あとは何をしたらいいいかといいますと、ここで土地条件です。これは標高です。本来は三次
元の方がいいのでしょうけれども、等高線のラインです。これは標高750m、800mです。写真を
重ねませんでしたけれども、重ねていただくとわかります。これは山です。ここは天竜川です。
あした飯島町の齋藤課長がお話しされると思いますけれども、そこの地図です。食味はデモデー
タですから、こんなに低い食味ではありません。あくまでも私どもでつくりました。あとは土壌
の条件です。
これはデモデータです。標高750m以上で、ある一定の条件のところでは、コシヒカリを誰が
つくってもおいしくないという結果が出てくれると本当はいいんです。だったら、ここではコシ
ヒカリはつくらないんです。この標高に合った作物をどう入れていくか。団地的にどう作付をす
るか。景観も考えそばを植えようというようなことができる。
でも、これが絵にかいた餅にならないように、地図上からここで必要な情報を抜き出すんで
す。こんな形です。すると、全部でこのぐらいの規模の団地が仕組めるわけです。この方たちに
集まっていただいて、今の地図を見ていただきながら話し合いを進めて、どこまでが団地化とし
ていけるかということですね。逆に、ここで飯米をつくっている方は違うところへ移っていただ
く。皆さんは県のレベルですが、市町村レベルでは転作等で団地化するときに実際に農地が動い
ています。それと同じような考え方です。
転作という話を出しましたので、転作のGISも一つだけごらんいただきたいと思います。こ
れも情報を入れた結果になってしまうのですけれども、この情報を入力するのが大変だろうと思
われる方もいらっしゃると思いますが、そんなに手間はかかりません。
これはバラ転の状況です。航空写真はちょっとうるさい。航空写真が無い方が見やすいときも
あります。航空写真も必ず入れかえないといけません。地図が一目瞭然と言ったのと同じよう
に、写真はもっとアピール力が強いんです。お見合い写真と同じで、10年前の写真を見たら、昔
の君は若かったという話にしかなりません。今、横を見ると違う女房がいるというのと似たよう
なことになるので、写真もどのぐらいのペースで更新していくか。更新しなければ情報としての
価値が落ちるというのが写真だと理解してください。
今は地域水田農業ビジョンに基づいて団地加算金等を決めていますけれども、3年前までは転
作で4haの団地をつくると反当たり4万円出るという仕組みがありました。4haになるのはこれ
だけまとめるのだぞと。これが内訳の面積です。こんな形です。今ここは田んぼで米をつくると
言っているけれども、ここも合わせてやってもらわないと4haにならないという場合に、例えば
この地図と先ほどのような一覧表が出るので、関係農家に集まっていただいて説得するというこ
‑ 14 ‑
とです。
わかりやすいんです。俺だけ反対しているからできないんだとなると何となく嫌ですから、思
わず協力してしまうということもありますからね。こんな形で使っていただいている。今、これ
を利用しているのが行政であったりJAだということです。
ほかの農業関係機関ではGISがこんな使われ方をしていると。先ほども言いましたけれど
も、今年から始まる事業の中での顧客になるところ、使っていただくところ、これだけニーズが
あるのだ、すごいものを持つのだということをぜひ認識していただきたいと思います。
‑ 15 ‑
WebGISを活用した情報の共有化の取り組み
島根県中山間地域研究センター
地域研究グループ科長
藤山
浩
中山間地域研究センターの藤山です。今、皆さんのお手元には、島根県中山間地域研究センタ
ーのWebGIS通信があります。
今日は、当然ながら農地一筆マップを中心に御紹介するんですが、私どものセンターは、幅広
い GIS の取り組みをやっていまして、小学生の流域環境調査や交通計画そしてイノシシの研究、
それから現在 15 のWebGISのサイトまであります。例えば、「おいしさ満載ネット」で産直
市などを紹介したり、全県の森林情報も全部これで見ることができます。あるいはクマの出没状
況やリサイクルの搬入先の道案内そして土砂災害危険地まで、いろいろやっています。
きょうはこれらのことをすべて御紹介する時間はないのですが、ただ冒頭申し上げておきます
と、GISというのは分野縦割りでやると本当に面倒くさいですし、お金もかかります。こうい
う感じで分野横断型でやっていくのが正しい方向じゃないかと思います。
特に、従来日本のGISは全部縦割りで来ちゃったんですね。ここに非常に大きな間違いがあ
り、今後はどんどんどんどん重ねていく、束ねていくことが必要だと思います。ですから、きょ
うは美土里ネットの皆さんお集まりですが、あんまり狭い分野に閉じこもるということではなく、
どんどんそこから攻めていっていただいて、農業から林業へとか、どんどんほかの部門も含めて
攻めていかれるようなお気持ちが、非常に重要なんじゃないかと考えております。
それではお手元の資料にあります、実際のパワーポイントに従ってやっていきたいと思います。
これ、実は我が家でして、私はセンターの近くに農家を借りて住んでいます。私どものセンタ
ーは、中国地方の真ん中にある島根県立の研究機関です。なぜ真ん中にあるかというと、中国地
方5県知事会の中山間地域に関する共同研究センターという広域的な役割も担っているので、で
きるだけ中国地方の真ん中に置こうということで、ここに置かれています。
-1-
また、全国で初めてかつ唯一、中山間のことを横断的にやっていく研究機関ですので、最近は
いろんなところから声がかかったり、あるいは視察に来られたり、データ提供を求められて、私
を初め職員は非常に忙しい日々を送っています。どんなセンターかというと、多分初めて来られ
た方はびっくりされます。いきなり中国山地の真ん中にこんなものが忽然とあらわれるわけです
が、島根県もよくこれだけのものを、特にど真ん中につくったものだなと思います。全体で 36ha
と広いところですが、ここには今 80 人の職員と、牛、イノシシから羊までいろんな生き物もい
ます。
何が特徴かというと、分野横断型の研究展開です。林業部門の研究員が一番多いのですが、島
根県の場合、研究員を全部ここへ集めています。それから私のような地域研究部門があります。
これは社会、経済、あるいは交通、コミュニティーなど広く研究しています。今は限界集落とか
いろいろ取りざたされていますね。この間、農業新聞でも全国的に紹介されたように、先月 200
人の全国シンポをやったわけですが、非常にこちらの方も今、関心が高まっています。農業、畜
産はそれぞれ専門の試験場はあるのですが、ここでは林業とか畜産とか農業、そして鳥獣対策み
たいなものを、例えば資源循環や土地利用として束ねて分野横断型の研究スタイルを展開しよう
としています。
そして、センターは、中に閉じこもって研究している機能だけじゃなく、いろんな会議室とか、
あるいはお泊まりしていただける宿泊施設〜 1810 円です、PRしておきます。ぜひお泊まりく
ださい。〜もあり、県民に開かれた研究施設を目指しています。
そしてきょう、いろいろ御紹介したのは情報センターですね。ですから研究センター、研修セ
ンター、情報センターをあわせ持つ複合的なセンターになっています。
この施設が整備されたのは 2002 年ですね。機関ができたのは 1998 年で、私はその時公募で入
ったわけですね。そのときにいろいろ新しい研究機関のあり方を考えました。そして、これから
の研究は、分野で横断しなきゃいけない、縦割りはいけない、現場と密着して住民と情報を共有
するやり方でないとこれからだめなんじゃないかという思いがありました。そこで、入った年か
らGISに注目して、いろんな研究をしてまいりました。GISというのは、繰り返しになりま
すが、分野横断して、しかも現場の住民と情報を共有するのに非常にいいツールだと思います。
さて、その現場ですがどういうことが進んでいるかというと、これは島根県西部の匹見町とい
うところですけれども、今、集落の人口や世帯がどんどん減っています。ついには、集落自体が
消えるという段階を迎えています。
こちらは、まだ人が住んでいらっしゃるのですが、奥の家は住んでいらっしゃらないのですね。
-2-
どんどん緑の波にのみ込まれるように、麗しい言葉で言ったら自然に回帰しているのですが、無
秩序であることが非常に問題点です。こういったことが今現に、進行しようとしているわけです。
私は長期的には、中山間地域は非常にポジティブに考えていまして、東京に来るたびに、長い
目でみれば中山間の方が持続性があるなと思って帰るのですが、ここ5年、10 年は昭和1けた
世代がどうしてもごそっと抜けますから、これはかなりしんどい時期になります。
実際には、放棄されて 15 年たつと家が隠れるような放棄が進みます。ここは、1000 年続いた
集落ですが、今まさに幕を閉じようとしている。実はそう思った矢先に、ある人が入ってワサビ
をつくり始めています。そういう新規参入の有無が、本当はこれからすごい再生の鍵なのですね。
そのとき問題になるのは何かというと、所有権なのですね。こういうふうにお墓だけはきれい
にして出るみたいなのはまだいい方で、山林の方がひどいですが、どんどん所有権や境界がわか
らなくなっているということなのです。
実際にはこの 30 年ぐらいで、大体耕地面積が半分ぐらいになった集落が5割ぐらいあります。
島根県の場合農業センサスで言うと、この 30 年間で4割ぐらい減った集落が5割を超えてしま
っている状況なわけです。
実際に私もいろいろアンケート調査していまして、「相続予定者が決まっている」という世帯
が3戸に1戸しかいません。今度はその相続予定者が「境界がちゃんとわかっていますか」と聞
いたら、3人に1人しかわかってないんですね。これは非常に危機的な相続状況です。
ですから、まず今農地とか山林も含めて、今、いわゆる昭和ひとケタの 70 代の人まではおぼ
ろげながらわかっている土地の記憶を、GISデータみたいなちゃんとした記録に残していかな
いと、これは空洞化しちゃうのですね。
実際にどのくらい空洞化しているかという現状を、島根県益田市匹見町で実際に調べました。
地目ごとにどういうふうに固定資産税の納税義務者、つまり実質的な所有者がどれぐらいの地域
に散らばってしまっているのでしょうか。
赤いところが町内にいる人ですね。墓地なんかは住所不明つまり完全に空洞化した筆数が7割
となっています。田んぼではまだそれは数%でしかないのですが、でも7割ぐらいしか町内の地
主では所有されていません。山林については、町内の地主で所有している面積は、実は半分切っ
ているという状況なのです。
次ぎに面積で分析しても大体似たような状況になります。結構東京なんかに、土地の流出が始
まっています。昔の一種の荘園制みたいなものになり始めています。
先ほどの、納税義務者が住所不明となっている割合をグラフに表すと、こうなります。墓地は、
-3-
固定資産税がかからないので、行政も本気で追いかけないのかも知れませんが、住所不明の面積
割合が7割を超えています。
今や、匹見町という小さな町の土地の所有者は、この全国地図のように、26都府県に散らば
っています。果たしてこの後収拾がつくのか、本当に懸念されます。そして、大きな税収がある
かというと、ほとんどありません。免税点以下の所有が多く、保安林には固定資産税やりません
から。ですから、地元の自治体やコミュニティにとっては、世帯が消えて、管理の手間はどんど
ん増えても相続した所有者は遠くにいて、コストが負担されないという中山間地域にとって物す
ごいしんどい状況になりつつあります。
今GISをやる意義というのは、基盤のところではこういった非常に深刻な状況があります。70
代以上の人の記憶に頼るところが非常に多いので、今やらないと手遅れになります。島根県でも
山間部は、特に山林も含めて地籍調査が全部済んでいるところは数町村しかありません。
さて今度は、農業振興も含めて、農地一筆マップの取り組みに話しを進めたいと思います。同
じ匹見町でも、ここは去年の段階で、農地一筆データを町全体の半分ほどつくり終えました。予
算額は 200 万で非常に安くできました。一筆マップをやって様々なデータを入れました。所有者
がだれで、お年がどれぐらいで、管理者はだれで、お年はどのぐらいか、今どういう管理をして
いる、してない、直接支払いしている、していない等です。
これはどういうデータかというと、75 歳以上の農地を赤で示しています。皆さんもそうお感
じと思いますし、我々もいろんな集落調査をしていますが、担い手としての力は 75 歳でがくっ
と落ちますね。本当に 75 歳前後でけがをされたり、入院されたりが増えます。
ちなみに、74 歳までの前期高齢者と、75 歳の後期高齢者では、要介護認定率は5〜6倍違い
ます。島根県の場合は前者は 5.6 %ですが、後者は 29.6 %とか、そんな差になります。ですから、75
歳というのは一つ分かれ目になります。
これは、高齢化率 39 %の集落でシミュレーションしてみました。実際に後継者がいるか、い
ないか。いる場合、決まっていれば、その人の年齢でやっていったわけですね。現在がどうか、
5年後がどうか、10 年後はどうかというのをやってみると、どんどん赤いところがふえます。
高齢化率 39 %というのは、この町にしては結構若い集落ですけども、実は 10 年後には 75 歳
以上の農地が6割を超えちゃう結果になりますね。この現実から逃げちゃいけないと思います。10
年後は本当にこのままじゃ絶対済まないわけですね。
だったらどうするのかというのを、今考え始めてもらうために、こういった農地一筆マップを
つくるのは、今、非常に緊急の課題じゃないかと考えています。
-4-
ちなみに、もっと高齢化率が進んだ高齢化率 56.8 %の集落では、5年後で5割近くなっちゃ
うんですね。ですから5年後が見えない。
今度は現在高齢者 67.9 %の集落になると、5年後で9割が 75 歳を超えてしまいます。ですか
らこれは本当のところ、今どうしようかというのを、みんなが本音で語り始めるしかないと思い
ますね。例えば、「おまえのところは帰ってくるのか、帰って来ないのか。帰って来なければど
うするんや」といったことを、話し合っていただかないといけないと思います。高齢化した集落
でも圃場整備して頑張ろうというところはあるんです。ただ5年後、10 年後になって、それで
もやっていけるような営農チームをつくるとか、一部外部委託をやるとか、そういうことを今や
らなきゃいけないですね。
センターの方では、こういった状況が目の前にあり進行していますので、GISを活用して、
あなたたちの集落の土地の棚卸しをしましょうということを、きょう紹介する農地一筆マップな
んかの仕組みをつかって提唱しています。
そのときは、農地だけの分野縦割りじゃなくて、米をつくるんだったらこのエリアに集中しな
いといけないんじゃないか。森に返すところは返す。また農地の周辺は、牛とか羊で省力化して、
景観保全も含めて放牧をやるといったゾーニングされ団地化された土地利用を再設計する必要が
あります。同時に実は、耕作放棄が無秩序に進んだ結果、イノシシが今どんどんどんどん攻めて
きていますから、これに対してどういうふうに守り固めるのかいう鳥獣対策も、一緒に計画すべ
きです。場合によっては、この谷はまとめて、かつての荘園じゃないですが、都市住民に貸し出
しましょうとか、こういったことを今、勝負かけ、計画する必要があると思います。
今のようなばらばらで各個撃破されていく形でやると、本当にドミノ倒しというか、雪崩的に
耕作放棄がどんどんどんどん広がるといったことが目に見えています。
実際には非常に高度なシステムというよりは、一番大切なのは、集落の人が、集落の山林も
含めた地図を広げて、「本当のところ今どうなのか。あと5年後、本当のところみんなどうなん
や」というのを車座になり、語り始めることが一番の出発点だと思います。そういう活動をコー
ディネートする人材が、実は一番貴重なのですね。システムだけ幾らあってもだめなのですね。
人材があって、初めて車の両輪として、回っていきます。従って、一番基本的なことは、うちの
研究員も田中さんという農業改良普及出身の研究員が頑張っていますが、こういった作業を多い
ときは集落に 10 回ぐらい行って、いろいろひざ詰めでやっているんですね。そういった中で、
実際には活用が始まろうとしているのが実情です。システムだけつくっても集落レベルでは余り
役に立たない結果になります。
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集落の皆さんも御経験あると思いますが、こういった大きな航空写真の地図を広げ、自分の家
を確かめるところからがスタートです。そうなると、集落の方が語り始めます。「ここからこう
行ったらこういう田んぼがある」とか、
「この木はわしのおじいちゃんがあのとき植えた」とか、
そういうストーリーが展開されていくのですね。ですから、こういった紙ベースで大きな地図を
出せる機能、これはA0で出せるのをうちは備えていますが、実はとても重要です。
ですから、航空写真は重要で、これがあるかないかで、けた違いにみんなの反応が違います。
島根県の場合は何とか今年度から来年度で、平成 12 年まで年次を遡れば、解像度 30cm から 50cm
ぐらいのものが全県で整備できるんじゃないかと思います。
こういった航空写真の上に、今の農地の現況はどうで、どこが耕作放棄しているとか、イノシ
シの防護柵はどういうふうに張ってあるか、といった現状を地図で重ねていきます。最近の新し
い鳥獣防護柵の手法としては、田んぼの間際に貼るのではなく、里山と奥山の間を広域で囲む方
がかえって距離が短くて済む場合があるんですね。こんな鳥獣対策も、地図で見ながら検討でき
ます。
それから島根県の場合は、森林のGISの整備が終わってうちのWebGISで公開していま
すから、どこに何が生えていて、樹齢、林齢とかが全部わかるのですね。こういった里山管理も
本当は一体の問題ですから。特にイノシシなんか、実は竹林の放置がいけませんね。
こういった多分野の情報を総合に集約して、農地一筆にとどまらず、先ほどのような所有権も
含めて非常に危機的にある状況で地域の棚卸しをしてもらう道具として、昨年度の農業経営課の
予算を使って、共同でこういう農地一筆マップ、我々は「総合的土地利用マップ」と呼んでいま
すが、これを開発しました。
実際にはインターネットでデモ部分がありますので、ぜひアクセスしてみてください。これは
全部、インターネット対応ですから、ブラウザーさえあればだれもが使えます。
そういう意味では、使えば使うほど安くなります。開発には 600 万円かかりました。まぜ、600
万円で済んだかというと、先ほどみたいに 15 ぐらい兄弟がいまして、15 階建ての建物の上に 16
階目をつくったみたいな感じでやっていますから、安く開発できていますね。同じサーバー、同
じソフト、同じデータを共有するからこそコストが節約できます。
実際にはこういった地域で、集落数で言えば大体 50、地域数で言えば 20 ぐらいで利用されて
います。ですから、集落で割ったら1集落当りは 12 万ということになるので、どんどん使えば
使うほど安いと思います。
WebGISなので、本当は、地図画像の背景さえもらえれば、全国どこでも使えます。海外
-6-
だって本当はできます。そして、使えば使うほど安くなります。規模の利益がありますから、私
は、将来的にはGISセンターみたいなものが県や地方ブロックごとに整備され、集中していく
方向になると思います。ただし、先ほど言いました人の配置、ヒューマンウェアが一番重要なの
で、これは各県に1カ所程度で、皆さんのようなGISコーディネーターの配置が、実際には進
むんじゃないかなと思っています。
開発した農地一筆マップの仕組みは、地図と台帳そして一覧表の3つのモードで自由自在に切
りかわるような仕組みにしています。エクセルでもデータを吐き出せます。
今までの農地一筆データがなぜだめになったか、行き詰まっているかというと、これはデータ
更新に問題があるんですよね、数千万かけたけど、結局 10 年後に使ってないというケースもあ
ります。そこが一番ボトルネックなのですね。
Webに乗せた1つの理由としては、インターネットでリアルタイムにデータ更新をかけるこ
とを可能にすることです。家庭でインターネットさえあれば、毎年、あるいは栽培管理では日々
更新できる仕組みを実現するために、WebGISにしたわけです。
航空写真等の背景データについても、全県でまとめて整備しておいて、定期的に更新をかけて
いくことで手間が省けます。しかもうちの場合は、森林も鳥獣も分野横断の仕組みになっていま
すので、背景画像は1つ変えれば、16 のシステムは全部同時に変わります。そういったことで、
これからWebGISにするメリットは非常に大きいと思いますし、かなりのシステムはWeb
GISの方向にいくと思います。
もう一つは、スタンドアローンでは、非常に廉価なGISソフトが出てきました。私のところ
の大学生なんかには使わせていますが、「地図太郎」という、ダウンロードしたら 3500 円のGI
Sソフトが出ており、結構使いやすいものになってきています。これは、コミュニティで住民を
中心に地図で計画づくりをするために十分な機能を持っています。
ですから、GIS では、こうした2つの方向で進化していくという感じはしております。また、
この2つの方向は決して矛盾するものではなく、前者の Web-GIS センターが、後者のコミュニ
ティベースの GIS のための基盤データセンターの役割を果たすような形で、両者が連携して成
長できるものだと思っています。
さて、新しく開発したこのWebGISの「農地一筆マップ」ですが、こういう形で初期の画
面が出てきますね。いろんな機能があるわけですが、例えばこれをこういう主題図で色分けしな
さいといったのがネット上でどんどんできるわけですね。
これは、農地所有者がだれかで色分けするという、よくあるパターンですね。農地管理者だっ
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たらだれなのか、あるいは年齢とか、いろんな独自項目、フィールドも用意していますから、集
落によっては5年後とか 10 年後の年齢で色分けすることもできるようにしています。
それから、集落営農に加入しているかどうかとか。利用権が設定されるかどうか、これから非
常に重要なことですね。
それから作付けですね。こういったのも1年に1回とは言わず、どんどんこれをアクセスして、
今までが大豆だったけど麦やろうかとか、どんどん変えていけばいいですね。
それから水稲の品種でやる。こういうのが全部栽培管理の基礎になりますね。
直接支払いの計画もどんどんネット上でやればいいわけですね。IDなんかをラベルでも表示
できる。もちろん、拡大、縮小できる。
どうしても皆さん、台帳で使いたいというのがありますから、台帳に切りかえてやることもで
きるんですね。これでデータを更新していきます。
こういうエクセル的な一覧表でもやった場合は、各筆を選択すればその集計がここへ出る機能
もあり、資料作成にも便利で、作業日程も組みやすいですね。
ですから、これさえあれば基本的な農地管理ができるような仕組みにしています。実際には、
今日はモバイルで実演していますからあんまり速くありません。少し時間が地図の更新にかかっ
ちゃうのですが、実際にはもっと速いですね。これは皆さんもアクセスしたらごらんいただけま
す。
ただ、実際に利用している 50 集落分は、所有者名等の個人情報が入っているので、一般には
当然ながら公開していません。ただし集落の方が、この町の担当者には見せてくれと。この水土
里ネットには情報を共有してやりたいから見せてくれと要請があれば、そうした権限を全部設定
できる仕組みになっています。そういうのがまたWebのいいところですね。
あるいは、お米を買ってくれる消費者に「この人にはうちの集落の田んぼの様子を見せたいん
や」という集落は、そういう人の権限をIDとパスワードで設定すれば、見れるような仕組みに
なっています。
実際には沢山レイヤーがありまして、農地、農道、水路、防護柵〜イノシシの柵ですね〜があ
って、それぞれ地図を色分けすることがが可能です。例えば先ほどの管理者年齢みたいなので色
分けしなさいとやると、それで色分けして返してくれる。
それから集落独自項目で、それこそ環境に優しい農業で、ここの田んぼにはこういうカブトエ
ビがおりますとかとやってもいいと思いますね。
あるいは棚田のオーナー制をやっていて、オーナーの色別で色分けるということも、できるん
-8-
じゃないかなと思いますね。
あるいは農道についても、現況を補修が必要かどうか色分けして検討し、実施状況で更新して
いくようなマネジメントにも使えます。
それから、農業水利施設保全対策事業において、水路にしても現況を調査しその補修計画を地
図化することもできます。こういう様々な地域農業に関する情報共有を全部1つのマップの中で
切りかえて使えるようにしたらいいんじゃないかなと思います。今実際の活用は、まず集落営農
の計画や展開に使っているところがかなり多いですね。それから、高齢化が深刻なところは冒頭
申し上げたように、5年後、10 年後をどうするかという計画づくりですね。そして進んでいる
ところでは、環境保全型の農業でいろんな水田生物の分布みたいなのを既に入れ始めているとこ
ろもあります。そういったのは来年以降、非常に楽しみな部分じゃないかと思います。あとはイ
ノシシ対策とか、できれば里山管理も含めたモデルづくりをぜひやっていきたいと考えていると
ころです。
これは、私の個人的な構想なのですが、こんなことも実現したらよいと思っています。実は同
じWebGISのサイトで「おいしさ満載ネット」というのがあります。きょうも 200 人ぐらい
の人が見に来られていますが、これは島根のおいしいものが何千品目も、産直市とか農家さんと
か、あるいは加工所とかレストランと結びついて紹介されています。
例えば、「コスモ 21」という、米づくりを頑張っている会社があります。どんなメンバーかと
いうと、ここにありますね。本当にこだわった米づくりをしています。実はこのサイトはブログ
的に、〜きょうも入ってますね〜、ちゃんと今の田んぼの様子なんかが、無料で携帯電話から写
メールを送れば公開できるようになっていますね。これいいですね、きょうは、島根県は晴れて
ますね。「きょうは社長もコンバインを操っています」とありますね。こういう顔が見える仕組
みがあると、消費者は、ちょっと高く買ってもいいかなというストーリーにもなるのではないで
しょうか。
それから取り扱い商品のところに行けば、すぐに直販サイトにリンクできるようになっていま
す。
実は今、エコロジー農産物の栽培管理システムでエコファーマーとして認証をとるときに、ネ
ット上でうちのサーバーに登録されていますから、この「おいしさ満載ネット」の個々の農家や
商品そして対応する農地の地図に、栽培管理情報をリンクして飛ばすということも実現可能と思
っています。そうなれば、「どこでこのお米つくっとるんや」と言われたら、「ここでっせ」と
地図で示せるようになると、消費者にとって非常に身近に感じるトレーサビリティが完成します。
-9-
そして「今度ここへ来てくださいよ」という感じで現地の集落にお誘いできるという訳です。
「おいしさ満載ネット」もWebGISですので、全部地図と連動しています。「マップ」と
いうのを押すと、そこの所在地がわかるようになっています。また更にナビ機能もついておりま
す。例えば、広島からコスモ 21 に行き、その後出雲大社に行く最短経路を案内して、時間を集
計することが可能です。出雲大社まで行ったら 222.8km、272 分ですから4時間半かかりますね。
こういったことまで案内できる仕組みがあります。
こういうふうに多方面にどんどんつなげていくのがGISの面白さであり、WebGISのこ
れからの攻め方じゃないかなという気がしています。
以上は一例ですが、一筆マップをつくるというのはそこで終わってはいけない。貪欲にどんど
ん、ほかのところにつなげていくようなコーディネート、プロデュースを望みたいと思います。
私どもの Web-GIS を見ていただければわかりますが、いろんなものを複合的に一緒にやって
いるわけですね。例えば先ほど言いましたが、「どこにイノシシとかクマが出ていますか」みた
いなものも、本当は一緒にやっていくべきです。
先ほどの農地一筆マップにも、どこに鳥獣が出たかを入れる仕組みがあるわけで、今も市町村
の職員が実は、こういった鳥獣害の被害みたいなのを入れています。例えば、クマがどこでつか
まったかみたいなデータです。
実際に鳥獣情報ステーションという Web-GIS で、地図を拡大してみましょうか。先ほどの匹
見町あたりで見てみましょうかね。
鳥獣出没情報は、実は、1 km メッシュで出しているんですね。入れるのはピンポイントなの
ですが、風評被害が広がってもいけないので。「おまえのところは、体重 100kg のクマが出たら
しいな」みたいなだと、観光地は困りますから。
ここはちなみに、イノシシの箱穴に 47kg の雌が入ったという状況が明らかになっていますね。
うちにもクマの研究員はいますが1人しかいませんから、全県調べることができないんですね。
それこそ参加型で、WebGISで情報をすばやく共有していくことが必要なわけですね。そし
て、理想から言えば、集落が農地一筆マップを持っていて、それに鳥獣害の様子もどんどん入れ
ていくといったことが、本当は非常に重要じゃないかなと考えているんですね。
ですから、21 世紀は持続可能性を本当に高める時代ですが、そういう神経系の整備が一番大
切なんですね。どこで何が起こっているかをみんなで共有していくことが不可欠です。
今、神経系の話が出てきましたが、今度は水の問題ですね。小学生も含めて、水生生物の調査
をやっています。宍道湖というシジミのおいしい湖があります。汚くはないのですが、なかなか
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きれいにもならない。流入河川が問題なのですね。
ここでは2年前から、小中学生たちがこういった形で水質調査の結果を Web-GIS に入れてい
ます。GPS携帯からも、入力できるような仕組みになっていますね。
こうした水質の調査に対して、土地利用の状況を重ね合わせて〜冒頭申し上げたように土地利
用が激変していますね、どんどん耕作放棄が広がるとか〜、土地利用が変わったときと水質の関
係はどうなのか、ある程度継続して流域全体でデータを集約して初めて流域の水と土の管理が可
能となります。今、島根県の場合は、森林情報については、全部GIS化が進みました。できて
いないのが実は農地なのですね。この農地の部分が、農地一筆マップでボトムアップ的に、草の
根的に整備されると、初めて流域管理の全体像が見え始めるわけです。今、私どもセンターでは、
島根大学の汽水域研究センターと共同して、全部の流域を集水域、水が集まる区域ごとに分けて、
森林や水田の面積を集計する研究プロジェクトを展開しています。水田の面積のデータの根拠は
今、センサスデータしかないんですね。農地一筆マップが積み上がって、それで土地利用を把握
できることを目指すべきです。流域でどんどん水が集まるように、データ的も流域全体で集まる
仕組みが出来て、初めて本当に水と土と里をつなぐ情報の共有ができると思っています。
ですから、今までGISのソフトを増やしていたのですが、GIS を使いこなす人材を増やすこ
とがもっと大切です。しかも、自分の専門分野だけじゃなくて、例えば森林のデータとクマのデ
ータを重ねたらこういうことがわかってきます、だったらこうしましょうと分野を横断して、G
ISの活用をコーディネートできる人材の育成並びに配置が非常に重要になると思います。
ちなみに、GISの先進国アメリカでは、州ごとにそういうGISのセンターがあります。そ
こはWebGISもやったり、データを共同で利用したりしますが、必ずあるのはトレーニング
センターですね。そこに人材育成の機能を持っています。そこがこれからの、GISが地域現場
で活用されるかの鍵になります。国としても、ここを本当は一番後押ししてほしいなという気が
しております。
私は、ある意味でどこが核になってもいいと思うんですが、ぜひ県ごとにGISのデータセン
ター、WebGISのセンターだけじゃなくて、人材育成の GIS センターが整備されるといっ
たことが、これから長期的に見て非常に重要じゃないかと思っております。
今回の研修も、まずは農業面でそういった1つの核となるGISセンターづくりを展望された
のも、非常に意義があると思っています。ぜひこういった新しい技術、あるいは本当のところ、
一番重要なヒューマンウェアといった重要性を皆さんと共有させていただいて、そういった正し
い方向に、これからのGISの整備や活用が進むことを祈っております。
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○質問
このシステムが、IDパスワードで該当の部署のみに公開すると言われていましたが、これだ
け横断的にいろんな情報をこれにのせていく、それから利用者がデータを更新することについて、
そういう仕組みをどうやってつくり上げられたかが、これは一朝一夕じゃないと思いますが、そ
こをちょっと教えていただきたい。
◆回答
まずWebGIS自体は、2002 年に新しい施設をつくるときに、どうせこれは新しい情報の
サーバーとか全部要りますので、それと連動してWebGISの基礎となるサーバーとか基盤の
データは、実質的にWebGISにしたために、新たに上乗せして投資した部分は、多分 3500
万円相当じゃないかと思いますね。それでサーバー2台とか、いろんな基盤だのデータも 700 〜
800 万円ですね。それからやっぱりWebGISのエンジンとか、SQLサーバーみたいなのも
結構高いんですね、ソフトが。これはやっぱり 1000 万弱投資したわけですね。あとはプログラ
ム費用です。
そのときに実は、ちょうどデータ的には森林GISのデータがあったので、鳥獣の仕組みも一
緒に複合的に開発しました。そういったところで、最初からかなり分野横断でできていた。
あとは基盤がありますから、安いものだと 150 万円ぐらいで新しいシステムができるわけです
ね、応用、応用でいけば。ビルの3階部分が最初にできたので、こういった形であとはどんどん
足していったということです。
ただし、ここまで伸びた背景は、これが一番肝心なことですが、実はこの裏側にあると思いま
すが、専属スタッフがいるかいないかでGISのシステムは勝負が決まります。専属スタッフが
いずに、県庁なんかでは3年交代でやっていって生き延びるシステムというのは、逆に私は珍し
い部類に入るかもしれないなとさえ思っています。
ただし私も含めて、GISで県庁職員になる者はいないので、県庁職員に、「ずっとおまえは
転勤せずに、このセンターで骨を埋めなさい」と言うことはなかなかできないので、うちとして
は、実は去年までは嘱託職員3名を確保して、ずっとそういったデータのメインテナンスとか、
応対とかトレーニングに当たらせました。
しかし嘱託職員というのは、正職員に比べて余りにも待遇がよくないわけですね。物すごく頑
張っているのに、申しわけないんです。
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ことしからは、ちょっとそこに小さな字で書いてありますが、LLP中国総合GISセンター
ができましたので、そこに業務自体を委託するということで、どんどん業務量がふえますので、
それに対応して一緒になって、仕事を一緒にこなしてもらうといった体制に切りかえています。
本当はシステムの整備だけじゃなくて、それをお守りする人材というのを、ずっと継続的にど
う確保するか。今度はそれを養うお金をどういうふうに稼ぎ出すかという問題に直面すると思う
んですね。
今までは年に1〜2本のペースでどんどん開発を進めてきましたので、システム全体もアップ
デートすると。それから基盤データは一遍に変えればいいという方向で来ました。
今後は島根県にとどまらず、より広域のGISセンターとして機能していくような方向が、1
つは望まれるんじゃないかと思います。
WebGISですから、例えば山口のデータもお預かりできます。山口からも利用できるわけ
ですね。ですから、その辺のところをどうするのか。
ただし、こういった人材というのは中国地方で1つあればいいんじゃなくて、水土里ネットさ
んみたいに各県1カ所はないと、各集落の現場に行けないと勝負になりません。そういった人材
配置が、実は非常に重要であると思っています。
全部が御満足する回答じゃないかもしれませんが、そういうふうに思っています。
○質問
1点が、WebGISでユーザー側からデータを更新できるということで、その信憑性を確認
するというか、管理をどのようにしているのかということと、修正をした履歴とかはとっている
のかなという2点を教えていただけたらと思います。
◆回答
これも最初のときに非常に議論しました。2つ方法があるんですね、事前か事後かと。どんど
ん勝手に入れさせておいて、それを見て担当者がネットに上げていくという方法もあると思うん
ですが、これでは非常に手間ですし、それこそ瞬間的には間違った情報も上げかねないんですね。
我々のやり方は、最初は、先ほどのクマのシステムでも森林でもだれでも見れます。入れると
きはIDとパスワード、場合によってはIPアドレスの管理を行います。それは一般の分では、
事前に入れるための特派員登録をしてもらっていまして、それでちゃんと連絡先を明らかにした
人に、初めてIDパスワードを郵送するという形でやっています。
集落について基本的な立場は、我々としては集落からデータをお預かりしているという基本姿
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勢でやっています。ですから、集落の人が我々のサーバー上のものに対して、自己責任は持って
いただくという基本的な姿勢をとっています。
ただし、で年ごとに丸ごと更新するみたいなのはエクセルで送っていただいて、それでうちで
データベースに直接流し込むといったことは、どんどん円滑に進めてもいいと考えています。
それと、今2年目に入りましたので、実際には「あっ、間違ってやってしまった」という場合
もあると思うんですね。そのためには、1つマスターはマスターで「御本尊」として置いておい
て、編集用のものでやるといったデータベース上の仕組みはつくっております。ですからいつで
もあれなら、マスターにかえれるといった形で考えています。
よろしいでしょうか。
○質問
ほぼ完成形に近いGISのセンターだと思うんですけども、この運営の経費的なものは年間に
どの程度かかるのかというのと、それからその経費負担を、市町村の利用者が結構いらっしゃる
ようなお話でもあったんですが、そういったところからの負担的な話はどのようになっているの
か、ちょっと教えていただければと思うんですけど。
◆回答
経費は今年度から業務委託していますので、ぴたっと出ているんですが、今年度が約 1300 万
円。情報ステーションにかかわる業務、2人の常駐のスタッフ。あと3人はシンポというか、そ
のプロジェクトに応じてやってもらうという契約をしています。
加え得るに、保守管理は開発した会社に別途委託しています。これが約 600 万円ぐらいですね。
となると、大体 2000 万円という数字が出ます。これは確かに、これからずうっと島根県として
出していくのは、ある程度稼いでいくということをしないと、ちょっといけないなと思っていま
す。
ちなみにこちらの一筆マップは、我々の研究のモデルとしてやる場合は無料でおつくりしてい
る場合もあります。あるいは県がリーディング事業的に、ある町なんかは丸ごとこういった中山
間の振興策としてもつくっていくこともありますが、ほかの一般集落は基本的に自分で払ってい
ただいています。
大体 500 筆ぐらいのところでデータ作成費、こういったシステムの組込費を入れると、大体 30
万円台ぐらいの計算が成り立ちます。
ただ、ちょうど昨年は直接支払い制度の二期目のスタートがあって、地図をつくらないと2割
カットという年だったんですね。これは必ずしもGISマップでなくてもいいんですが、我々と
- 14 -
しては努力して、この2割でちゃんと済むような中で何とか経費は抑えました。
ちなみに匹見町というところでは、先ほど言いましたように、町の半分の 6000 筆ぐらいやり
ましたが、200 万円ぐらいで大体データができて、システムに組み込めたのです。みんなで一緒
にやればやるほど、システム組込費は一括になるので安くなりますね。あそこは 20 集落ぐらい
が 200 万ぐらいでいっていますから、1集落当たり 10 万ぐらいでデータ整備とシステム組み込
みができちゃいました。
ちなみに保守管理費用は幾らかというと、これは農業経営課から「頼むから安くしてくれ」と
言われたので、破格の2万 4000 円で保守管理、データ更新等の手間は集落から受けるといった
価格設定をしております。
- 15 -
GISシステムの概要
(株)パスコ コンサルタント事業部
農業情報課専門課長
三谷
歩
私からは、GISの具体的なシステムの構成、GISの機能、既存システムとの具体的な連携
方法、GISのシステムのメンテナンスについて極めて概論的となりますが、お話をさせていた
だきます。
まずGISの構成ということで、どういうポジションにGISのエンジンがあるのかというこ
とを前面の説明図を使って御説明したいと思います。
皆さんがお使いになられているパソコン、これはハードウェアでございますけれども、その上
にOSが実装されます。これは「Windows」「リナックス」なんかも含まれています。
このOSの上にGISエンジンがのるわけです。その並びに、その他のアプリケーションという
のがありますけれども、これは Windows でいえば Office のエクセルとかワードとか、それから
皆さんがほかでお使いになっているCADと同じ位置づけになると思います。このOSの上に、
アプリケーションと同様、GISエンジンも存在するということでございます。
さらに、こういった基本のGISのエンジンを利用していきながら、施設管理型のGISのシ
ステムを構築していく、農地管理型のGISを構築していく、それから、計画支援型のGISを
構築していくという形で、それぞれの個別のアプリケーションをシステム的につくりまして、基
本エンジンと連動させながら、業務特化型のそれぞれの機能を利用して業務に活用していくとい
うような流れになっております。
したがって、このGISのエンジンというのは、まず最初に、パソコンでいうところのメモリ
ーなどのスペックによって制限を受けるということ、そして、OSによってもさらに制限を受け
るということでございますので、GISのエンジンを選定する場合は、まずこの2つの条件をク
リアしつつ、目的に応じたアプリケーションを作成するというところが1つのポイントになると
-1-
思います。
あとは、これは全体的なパソコンの容量の中で、そのデータを含めたシステムがどれだけのポ
ジションにいるのかということも、計画の段階で見定めていかなければならないところでござい
ます。
次の図は、GISエンジンとは何なのかというところを書いてございますけれども、コンピュ
ータ上で図形情報と個々の図形にかかわる文字情報を統合的に管理し、地図の重ね表示、空間参
照、空間検索、空間解析等が実施可能なソフトウェアということです。
これは改めて言うまでもないと思いますが、GISエンジンの定義というのはご覧の図にある
ような定義になるということです。具体的には、重ね表示と空間参照、空間検索、それから、一
番大事な空間解析です。GISエンジンとは、空間解析が実施可能なソフトウェアであるという
ことでございます。したがって、これを満足していないものはGISエンジンとはいえないとい
うことになります。
次にアプリケーションの方の話でございます。アプリケーションは、GISエンジンの上で必
ず動作するということです。ですから、このエンジンがダウンしてしまうと、このアプリケーシ
ョンもダウンしてしまうという基本的な性格は持っておりますけれども、使用するエンジンの制
限によってアプリケーションの機能も制限はされてくるということでございます。
一般的には、ここはVBAで組んでみたり、C++で組んでみたりということで、多様なコン
ピュータの言語を用いて構築されていくところでございますけれども、それについても、このG
ISの基本的なエンジンが使用する言語にどれだけ対応しているのかというところにも制限がか
かってきますので、その目的に応じた業務の中でどれぐらいのボリュームが要求されるのか、ス
ピードが要求されるのか、そういったところをよく検討していきながら、この基本エンジンの選
定にかかわっていただければと思っております。
後ほど、どういう視点でエンジンを選定したらよいかということもお話はさせていただきます
けれども、基本的にはこういうことを目的としてシステムが構築されているので、GISの基本
エンジンとはどういう性格でなければいけないのかということを、今、申し上げているところで
ございます。
このアプリケーションの考え方は、大きくは2つの傾向に分類できます。特定業務特化型のも
のと汎用型というようなことでございます。
汎用型の方から先に御説明します。身近な例でいきますと、これは統合型GIS、市町村とか
自治体さん、県も含めてですけれども、統合型のGISが該当します。クライアント側が利用目
-2-
的に応じて機能を選択して、そのGISを利用していくというようなことでございます。
それから、これが特定業務特化型でございますが、これはその業務に限定されたアプリケーシ
ョンを開発していきながら、特定業務以外での利用はできない、その業務のみに徹して作られて
いるものということでございます。したがって、低コストで量産性が高いものということもある
意味では言えますし、こちらは多様なニーズに応じた、いわゆる拡張性を持ったタイプであると
いうところでございます。ですから、そういう意味でも、使用するプログラムによってかなり制
限のかかり方が変わってまいりますので、どちらかというと、これは余り応用性がないものにな
ってくるということになります。そのかわり、その業務については徹底的に効率的な開発のされ
方をしますので、今申し上げたとおり、低コストで量産性があるというメリットを持っておりま
す。以上のようにアプリケーション開発には2つの分類がなされているということでございます。
今まではソフトウェアの話をさせてもらいましたけれども、今度はGISを構成する上でのハ
ードウェアのお話をさせていただきたいと思います。GISそのものの構成は、大きくはハード
ウェア、ソフトウェアは当然のことですが、あと、データ、そして、一番大事な構成要素であり
ます人的資源、人でございます。人があって初めて運用ができるというところでございますので、
どんなにいいGISのアプリケーションをつくって、お金をかけてデータを構築したとしても、
だれもこれを利用しなければシステムは死んでしまいます。ですから、昨今の、この研修会も含
めてそうなんですけれども、人的資源をいかに確保するのかという問題でありまして、そういっ
たものの中で、初めてハードウェアとソフトウェア、データというものが運用されていきながら、
効果のあるGISができ上がっていくというふうに、私ども、いつも考えているところでござい
ます。
そういった上で、4つの構成があるということを前提に、ソフトウェアとハードウェアのお話
をさせていただきたいと思います。
まずGISの個別ソフトとしてクライアント、皆様が机の上で広げているパソコンですね。デ
スクトップ型とかノートとかいろいろな種類があると思いますけれども、そういったものの上で
動いているGISがあります。ですから、このクライアント側のものは、個別のスタンドアロー
ンというふうに我々言っておりますけれども、スタンドアローン型のGISがここに存在してい
るということでございます。
ところが、これを同一業務の中で3人の方、4人の方が1つのデータを扱うということになり
ますと、Aさんがある地区のデータを修正して、その 30 分後にBさんがまた同じ地区のデータ
を修正している。そうすると、それぞれのパソコンの中で、同じデータがAさんとBさんの中で
-3-
修正していきながら、データを共有していればいいんでしょうが、共有してない場合は、自分が
直したところだけのデータがデータとして生きている。次の日の作業で、お互いが修正をするな
どを繰り返し、どんどんどんどん日がたつにつれて違うデータを持っていくということになりま
す。
当然、そこを確認し合って、お互いがエクスポートし合ってデータを共有するというようなハ
ードウェアの環境があれば、正確なデータを運用するという点で構わないんでございますけれど
も、担当者によっては当然出張に出ていったりとか、週末、休みを挟んで月曜日になると前のこ
とをうっかり忘れてしまったというようなこともあると思います。
そういうことで、同じ地区をスタンドアローン型でやっていくと、データを共有する上ではさ
まざまな弊害が出てくることもありますので、それを避けるために、社内のネットワークを活用
してこのデータを共有していきながら、AさんとBさんが 1 つのデータを修正していく、または、
利用していくということでございますね。
そういうふうになりますと、ここに管理型のデータサーバというのが必要になります。したが
って、これを結ぶのが社内のイントラネットワークということになります。これでサーバの管理
型のGISというものができ上がってくるというところでございます。
大体どこのGISを利用されている官庁、それから、企業も、このネットワーク型によってG
ISの業務を構築しているということです。統合型のGISもこういった同じような考え方で、
市町村さんは運営されています。基幹の管理型のサーバにデータを全部置きまして、そこでユー
ザー制限をかけたネットワークを利用して、各クライアントが自分の業務に応じたGISのデー
タをつくっているということでございますね。これを支えるのが管理型のサーバということでご
ざいます。
さらに、所内でつくったこのデータを、ここに書いてございます県、市町村、改良区さん、J
Aさん、共済さんといった関係機関の皆さんにこの情報を配信していくときは、もう一つ、イン
ターネットを利用することもあります。これを実現するためにはインターネット用のウェブサー
バというものを立ち上げなければなりません。データ型のサーバを管理型のサーバに外付けをす
るような形で、さらにここにウェブサーバというハードウェアがもう一つ存在しております。
そして、ここを結ぶ上で、当然、この中でまたプロッタだとか、プリンタといった外部接続機
器のために、ハブを入れたりとか、それから、当然外部の不正侵入の関係もありますので、ファ
イヤーウォール等、そういったハードウェアによるセキュリティー制限などもこの中に細かく構
築される話が出てまいりますが、ここでは概念的にサーバというものの関係を御理解いただけれ
-4-
ばと思います。
ウェブ型の場合、相手方の方は、ブラウザという機能を利用しますので、クライアント側のそ
れぞれ 1 台 1 台にGISのソフトウェアをインストールしなくてもGISデータを見ることがで
きるという特徴でございますので、多くの方が同じようなデータを見るといった場合は、このイ
ンターネットを利用して、WebGISでもって皆さんに活用してもらう。個々にオリジナルの
ソフトウェアを入れなくても閲覧、ダウンロードが可能であるということが、このWebGIS
のメリットでございます。
それから、ハードウェアの話をする上でもう一つ、モバイルというのがあります。モバイルは、
現地調査などによく活用されているツールでございますけれども、最近では転作確認の作業で、
自分の確認する現場の地図を、スタンドアローンのクライアント側で動いている、もしくは、サ
ーバで動いているものを、クライアントを経由してモバイルの中にインポートし、その範囲の地
図を現場に持っていって、アプリケーションを立ち上げて、確認コマンドを押していきながら、
その確認作業にGISを使っていくという例がございます。現場にGISデータを持ち出せると
いう意味で、このモバイルGISというのがあります。
PDA(個人用携帯情報端末)を利用していきながら、PDA用のGISのソフトウェアもご
ざいますので、そういうものを活用していきながら、あとはもう一つ、GPSですね。GPSを
取りつけられるという利点もありますので、これはまた後ほどお話ししますけれども、こういっ
た現場用のハードウェアに応じたGISの活用ということも、今は実現できます。
したがって、現地型のモバイルから情報公開型のウェブに至るまで、GISを利用する場合は、
それぞれのハードウェアを利用していきながら、それを運営していくということになりますので、
それぞれのハードウェアを選定する上では、以下のような留意事項が出てきます。
まず、サーバです。整備されたデータの一元管理、相互利用が目的であるというところでござ
います。タワー型とかフラット型とか、いろいろなハードウェアの種類がございますけれども、
データを一元的に管理していくんだということです。
それから、ウェブの方になりますと、これは発信していくサーバになりますので、相互利用と
いうことが目的になってまいります。2CPUなで、CPUの数も変わってまいりますし、それ
から、ハードウェアの一番根幹をなすデータのディスク容量、こういったものも、タワー型なん
か一見同じように見えますけども、全然性能が違います。
したがって、価格も当然変わってくるというところでございますけれども、ネットワークにし
ても、インターネットにしても、このサーバをまず選定していくということが、データボリュー
-5-
ムを見定めていきながら、なおかつ、個別機能のシステムの拡張性というものをにらみながら、
この辺で数量なりスペックを選定していくということが肝要であるということでございます。
それから、クライアント型ですね。最近、大分ハードウェアの変遷もありまして、デスクトッ
プ型といわれているパソコンよりも、ノート型のパソコンの方が価格も下がってきたので、ノー
ト型を利用されている方も非常に多くなってきております。ノート型もかなりハイスペックで、
価格も今、安くなっておりますので、我々の方も推奨する場合はノート型の方のパソコン、これ
は自由に持ち運びができるということが一番のメリットなんでございますけれども、推奨させて
いただいております。それから、WebGISの場合やクライアントサーバ型でもそうですけれ
ども、端末に使用することもできますね。
それから、記録媒体、これはすべて内装、外付けございますけれども、ハードディスク、MO、
CD、DVD、それからUSBを介在して使うフラッシュメモリーですね。スティックメモリー
とかいろいろな言い方がありますね。フラッシュメモリーとここでは言いますが、そういったも
のを外付けにしていきながら、データのディスク容量をカバーしていくということでございます。
これもデータの容量によって価格も当然変わってまいりますけれども、大体 1 万円から3万円前
後ぐらいの中で、いろいろなハード容量に応じて、価格も大分安くなってまいりましたので、簡
単にデータが追加できるということですね。そういったもの活用も大きな特徴でございます。
したがって、動作環境の中ではメモリー、それから、ディスク容量というのが選定の大きな決
め手になるというところでございます。
それから、入力機器です。よく使われる入力機器としてデジタイザー、タブレット、スキャナ
を前の写真に示してございます。今回の事業の中では、地番図なんかもこういったものを利用し
てGISのデータを構築していくということが多く予想されるところでございます。ひところ、
かなりこのデジタイザが活用されていました。今は余り見る機会も少なくなってきましたが、こ
れはA0サイズやA3サイズの原図をここに張りつけまして、原図に示された地物形状に対して、
このX、Yの軸を使いながら、自分のプロットしたいエリアの端点を次々クリックしていくと、
データがデジタイザの外部接続されているケーブルを使って、自分のパソコンの中にXとYを示
した点データが記録されていくということでございます。直接入力ということで非常に代表的な
例です。
それから、もう一つは、今、非常に急速な勢いで伸びてきているのがスキャナです。カラース
キャナ、白黒スキャナがありますが、今はカラースキャナがほとんど一般的でございます。コピ
ー機でも、A3サイズまではスキャナかけられますし、A0サイズもこういったタワー型のもの
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があります。カラースキャナA0でも、今は、大体 100 万円前後ぐらいでありますが、大分安価
になってきました。
スキャニングをするということは、1回ラスタデータを作っていくということです。すなわち
画像情報を取得するということです。この中で画像情報を取得させて、パソコンにつないで、そ
の画像情報を利用してスタンドアローン型でデータを下に敷いて、上からヘッドアップデジタイ
ズをしていくということです。デジタイザと同じことでございますけれども、自分のパソコンの
中でヘッドアップデジをしていくということです。したがって、この入力機器の選定の中で大き
く異なるのは、直接ベクトルデータをつくれるということでございます。スキャナを利用すると、
もととなる資料、こちらはもととなる資料は自分でファイリングして保管しておかなければいけ
ませんけれども、スキャナを利用した場合は、もととなる資料もデータとしてパソコンの中に格
納できる、かつ、あとはデジタイザと同じことでございますけれども、ベクトルデータも利用で
きるということで、そういう意味で、スキャナの活用としては、ラスタとベクターがアウトプッ
トとしては結局両方できることになりますので、古い資料をもとにデータを起こしていくという
場合は、資料を風化させないためにも、データが壊れてもまた再現ができるということから、こ
のスキャナを利用されるというケースがだんだん増えてきております。それがこの入力機器の大
きな特徴ですね。
次は、出力機器でございます。これはあえて申し上げるまでもないですが、レーザープリンタ、
それから、インクジェットプロッタということで、前に写真を掲載させてございます。A3サイ
ズ、A4サイズぐらいの出力資料は、カラーレーザーのプリンタを使い、A0サイズ、A1サイ
ズといったような大判の図面については、プロッタを利用していくというところでございます。
恐らく、本日いらっしゃっている皆さんはこれからGISを運用される場合、恐らくA0サイズ
で図面を作るといいますか、お見せする場面が多いとおもいます。図面を見せる場合、(第三者
の方に対してもそうでしょうけれども)こういったA0サイズの図面を使用する機会が多いと想
像しております。なかなかA3版だけのプリンタというのは、内部作業には便利でいいかもしれ
ませんけれども、一定の精度や等倍の精度を持って、大きなスケールで相手へお話をしようとい
うときは、当然このA0サイズ、A1サイズが必要になってくると思います。2500 分の1の地
形図や地番図になりますと、当然こちらになりますので、多分こちらのプロッタを利用されると
思います。そういう意味で、出力時間、出力機器の静粛性といったものが選定のポイントになり
ます。カラーで、オルソ画像なんかを含めた地番図を印刷するということになりますと、1枚 15
分から 20 分ぐらいは大体かかってきます。それは、品質にもよりけりです。高速とか標準とか、
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高画質とか、選択はできますけれども、納品用の高画質のタイプになりますと、大体画像情報に
もよりますが、1 枚 30 分ぐらいかかるということもあります。ですから、その辺大分技術も進
歩してまいっておりますので、カタログをよく見ていただいて、出力時間に気をつけていただい
て選定していただければと思います。時間がかかって色が悪いとなると何も効果がございません
ので、そういうことがないように選定するということでございますね。
それから、先ほども軽くお話しさせていただきましたモバイルGISです。モバイル用のGI
Sのソフトウェアをインストールしまして、外付けにGPSをつけられるということですね。こ
れはちょっとモデルが違うGPSでございます。この部分がケースになっておりまして、このケ
ースの中にPDAそのものが入るということでございます。
PDAは、今や電気量販店でもかなりお安くなっております。代表的な使用スペックはここに
書いてございますが、安いもので大体3万円、高いものでは8万円前後ぐらいでしょうか。価格
の差は、メモリー仕様が違うということがありますね。この中にオルソ画像なんかを部分的に入
れるとかなりメモリーを食いますので、その場合は追加用のメモリーカードが要ることになりま
す。カードの中に地図を格納してGPSを連動させると地図上に位置情報が表示できます。GP
Sの機能を利用したトラッキングも便利な機能です。観測者の移動関係を記録できますので、ト
ラクターに実装させて走行性能の検証を行ったりすることも可能になってくるということです
ね。
それから、施設を調査する上で、A地点からB地点、C地点と行く場合、どういう経路が一番
効率的な移動経路かを判断するネットワークの利用もできますし、カスタマイズすることによっ
て、これは先ほど冒頭で申し上げました特定業務型のアプリケーションになりますが、専門に開
発すれば、このように作付けだとか転作の情報をイエス、ノーといったようなコマンドをプルダ
ウンで選択して、ぱっぱっぱっぱっ見て回って入力していくことにも使って頂けるということで
すね。
これをスタンドアローンにつなげると、調査結果の情報がそのまま自分のGISの動いている
環境の中にインポートできるということでございます。現地調査用には、徐々にブームになって
きておりますモバイルGISといった利用の仕方もあるということを覚えておいていただければ
と思います。
次に、GISの機能ということでございます。大きく機能分類しますと、基本機能と応用機能
というものがあるということでございます。地図の表示にかかわる機能、属性データベースとの
リンクの機能です、空間データの読み出し・書き出し、図形の編集、印刷といったものが当たり
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前にできるのがGISであるということでございます。
それから、オプションの話になりますけれども、空間解析です。あとはプログラミングの対応
がどこまであるのかエンジンによって差異があると思いますが、大きく分けるとこういった機能
分類で、皆さんがGISのエンジンの選定をされるのではないかと思っております。
それを比較していく上で具体的にはどんな項目があるのかといいますと、1 番からここの 12
番までですね、これはスタンドアローン型のGISの機能比較になっております。内容について
は、プラットフォーム、CPU、メモリー、ハードディスクの容量、それから、対応する地図の
数の違い、対応するデータフォーマットの種類がどれぐらい対応できるのかということ、それか
ら、表示機能など表に示してある諸々の点でございます。それから、選定する上で一番大きなウ
ェイトを占めますが「分析機能をどれぐらい持っているか」ということも、選定のポイントにな
ってくると思います。
その分析の機能がどれぐらいあるのかとなると、1つは空間解析です。図形をクリックすると
その属性が見られるという属性の検索。逆に、属性を与えることによってその場所を特定してい
くという図形の検索ということで、大きく2つ分かれております。
もっと高度といいますか、もうワンランク上の検索になりますと、絞り込み検索というのがあ
ります。今ここに新橋市、西新橋なんて書いてありますけれども、新橋市ということを与えるこ
とによって新橋市の図形情報が全部ピックアップされてくる。さらに、大字西新橋という絞り込
みを行うと、その大字の中に存在する図形の情報がピックアップされてくるということになりま
すので、徐々に徐々に絞り込んでいきながらこの検索をかけていくということを含めて(これは
標準であるGISのエンジンとないエンジンがございますけれども)検索の手法というものが確
実に対応できるエンジンでなければいけないということを申し上げたいと思います。
それから、オーバーレイもGIS独特の機能でございます。一言にオーバーレイといっても、
一般的には6つぐらい機能があります。1 つ目は「内包」です。1つの円の中に入っている図形
がどれだけあるのかということですね。
2つ目は「内接」です。1つの円に接するものがどれだけあるのかということです。
あとは「論理和」、絵の中では用水と排水の受益がそれぞれあった場合に、全体の受益がどれ
だけあるのかというものです。これは、論理和を使えば、AレイヤとBレイヤのもの全体の面積
がわかるというようなことです。
「論理積」というのは、そのうちお互いが持っているもの、AプラスBの部分がどれだけある
のかということです。
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次に「否定」です。これは逆にA単独区域がどれだけあるのかということを選定する場合、こ
の否定というコマンドを使うとこういった条件を調べることができるわけですね。
「排他的論理和」は逆ですね。AプラスB以外のA単独、B単独を足したものは幾らでしょう
かということを使うというものです。こういった6つの機能を使うことによって、オーバーレイ
ができるということでございますね。
それから、バッファリングですが、バッファリングにも点バッファ、線バッファ、面バッファ
と3種類ございます。1つのポイントを置いて、半径何百m以内、何 km 以内にどれだけあるの
かということです。1つの農家から1 km 以内にあるその人の農地をピックアップするときは、
点バッファの機能を使います。線バッファも、1 つの線から両側 50 m以内とか 100 m以内とか、
5mでも何でもいいですけれども、こういったように中心線からそれぞれ幅を設定すると、その
図形をつくって、その中に対象となる図形がどれだけあるのかというのをピックアップしてくる
機能です。バッファリングは、点・線・面、それぞれベクトルデータに対して行うことができま
す。
それから、ボロノイ分割です。これは洪水解析でもよく使いますけれども、ティーセン法と同
じ考え方ですね。アメダスの気象観測所とか測候所を結んでいったときに、その中で流域線をつ
くっていくということです。その点間を結ぶ線に対して二等分線を直行に分割していくというこ
とですね。それで、ティーセン法に基づく図形分割を行っていくということで、ボロノイ分割と
もいいますけれども、こういった機能があるというところでございます。
それから、ネットワークです。これは、今、カーナビでは当たり前でございますけれども、多
様な図形情報の中で、ライン情報を使って、「A地点からB地点に行く場合に最短の距離を求め
なさい」ということに活用します。仮に通行止めがあった場合、「迂回した場合の最短距離を求
めなさい」ということにも使用できます。この例はX、Yの距離抽出に限った解析例でございま
すが、高度なネットワーク解析になりますと、これに速度を同時にパラメーターとして入れて解
析ができるということもできます。ここからここまでが時速 20km、ここからここまでが時速 15km
とか5 km とかを設定して、その上で最短な道路経路をネットワークとして選びなさいといった、
速度解析ができるものもあります。
それから、3次元機能が最後の機能紹介になります。DMでいうところの点データですが、こ
れが 1 つの高さ情報というふうに御理解いただけると思いますが、この点データを、X、Y、Z
の情報を三角形に結んだものを地形モデルといいます。またはTINモデルといいます。トライ
アングルのX、Y、Zを三角形で結ぶことによって、
(前図は 1 つの例でございますが)尾根線、
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谷線がくっきり浮かび上がって出てくるということでございます。このようにTINでカバーリ
ングされたデータを地形モデルといいますね。
したがって、この点密度が高ければ高いほど、より細密な地形が再現されるということです。
この地盤高を結線したモデル、TINによってでき上がったモデルを、我々はDTMと呼んでお
ります。Digital Terrain Model ですね。もう一つは、既存のポリゴンデータですね、ラインデータ
もポリゴンデータでもポイントデータでもよいのですが、こういったデータをDTMに重ね合わ
せていくと、こういう形でため池があったり、用水路があったり、排水路があったり、その背後
地の山の状況も同時に再現できます。DTMのようにオルソ画像を重ねて既存のポリゴンを含め
ると、このような3次元画像が再現できるということです。
利活用の場合にはさまざまな場面が想定されておりますので、あえてこの機能がないといけな
いということは申し上げませんが、解析の機能についてこういうことができるという御紹介でし
た。
次は今度は既存システムとの連携というところでございます。汎用性の高いデータのフォーマ
ットというのはどういう要件があるのかということでございます。まずは公開されているデータ
フォーマットであるかということ、オープン性を持っているかということです。オープン性があ
るものは、当然広く互換性があるということになりますので、フォーマット要件の 1 つは、「公
開されているデータ型式」なのかということです。
それと、その情報そのものがテキスト型なのかバイナリ型なのかということでもって情報量が
全く変わってまいりますので、これもフォーマットとしては1つ重要な案件になっていると思い
ます
主にどんな特徴があるのかということ、前表に示しているのが現在公開されている主なフォー
マットです。Shape、mif、SIMA、G-XML、空間データ基盤、それから、デジタルマップの DM
データですね。汎用性ということで、これは転用がききやすいかききにくいかということで○か
△をつけております。それから、変換するソフト数の情報、どれだけ対応されているのか、イン
ポート、エクスポートについても評価をつけております。それから、格納形式、これはテキスト
形式なのかバイナリ形式なのかということもあわせ含めて一覧表にしています。こういう特徴が
あるということを、ここでは覚えていただければと思います。
最後に、メンテナンスに関わるシステムの保守運用計画の話です。構築されたGISのシステ
ムがどういう形でメンテナンスをしていかなければいけないのか、どういう視点に立ってそれを
やっていかなきゃいけないのかということでございます。先ほど申し上げましたように、ハード
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ウェア、ソフトウェア、それから、リリースの管理、データの管理ということで、大きく4つの
視点に立って保守運用計画、メンテナンスの計画を立てていかなければいけないといわれており
ます。ハードウェアにつきましては、構成変更時の管理、IPアドレス管理、ネットワークの管
理、システムの管理ということ、これは当たり前のことでございますけれども、これの管理規定
をそれぞれつくっていきます。発注者側と受注者側がそれぞれこれの役割分担をしながら作らな
ければいけないということです。
ソフトウェアについては、1番と2番の構成変更、システムの管理をしなくてはいけないとい
うことです。それから、リリースについてはその手順・方法を明確化すること。それから、アプ
リケーションの管理については、どういうバージョンで管理していくのかということや、併せて
マニュアルを作らないといけないということです。あと、データの更新方法、新規登録の方法も
明確にマニュアルの中でうたっていかなければいけません。一番これは頻繁に発生するところの
話でございますので、そういう規定を設けるということが重要であるということでございます。
以上のように4つの視点に立ってメンテナンスの計画を立てていくということでございます。
当然、その効果を見定めていきながら、その管理手法も適正に決めていくということもござい
ますので、その辺も事業予算とあわせて向かい合って検討していかなければならないというとこ
ろでございます。
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GISを成功させるポイント
地域農業経営戦略研究会
代表理事
小澤克巳
昨日に続きまして、またお話をさせていただきます。2日目、お昼も過ぎて、大分お疲れのと
ころだと思います。今回、大変重要な課題をいただきました。「GISを成功させるポイント」、
じゃあ、私の話を聞いたら絶対成功するのかというと、なかなかそうもいかないかもしれません
が、何かの参考になればということでお話をさせていただきます。
よく今、行政機関で統合型GISという言葉を聞いたことがあるかもしれません。行政の方で
よく間違えるのが、ここに書いてありますように、一つのGISを導入すれば庁内すべてで利用
ができる。GISがあそこに入っているらしい、何課でも何課でも何課でも使えるんじゃないか、
というような考え方をされるんですね。
既存のシステム。きのうお話ししましたけれども、GISは、単に地図を見るというシステム
も、その入り口の部分ではあるでしょうけれども、きのうのIT革命でお話ししたように、デー
タベースが地図にかわる、今の業務で地図に絡む、位置情報を持つものは地図と一体化されてい
く、これがGISですね。
それを考えますと、これは行政さんにお話しするときに、じゃ住民基本台帳の管理システムで
すとか、固定資産税の管理システムですとか、水道料金徴収システム、これは一つのシステムで
でき上がっているわけではないですね。それぞれの目的ごとに開発しているわけです。業者さん
も違ったりするということです。
10 年ぐらい前ですか、役場へ営業にお伺いしましたら、役場の担当者の人が、うちはだめだ
ぞと。何でですかと聞いたら、ワープロ一台買ってもらったら、町長が、コンピューター買った
から何でもあれでできるだろうと言って、全然その後、買ってくれない。そういう理解。まあ今
はそこまではないでしょうけれども、それこそパソコンを買ったら、その中にソフトがあるとい
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うことも知らないような方も、まだ現実にはいらっしゃるわけです。今もうGISはそれよりも
先のところですけれども、それぞれの目的によって開発されているわけですね。
GISで大事なのは、「共有化」というような言葉がずっと出てきていますけれども、GIS
のもととなる地図データは可能な限り共有化ができるし、それがコストダウンにつながる、ここ
がポイントなんですね。何でもできるシステムというのは、やはりないんです。何でもできるの
は、ある程度のところまで。浅く広く融通がきくというシステムはあるでしょうけれども、目的
を持っていきますと、やはりそれぞれにシステムは開発されていかなければいけないというとこ
ろを御理解いただけたらと思います。
一つ、今回の水土里情報の中で地図データをつくられますね。その地図データについて、これ
もきのうに引き続き釈迦に説法で、技術者の方なので、ふだん地図はもう見なれていらっしゃい
ますし、実際にGISを使われている方も多くいらっしゃると思いますけれども、一応お聞きい
ただけたらと思います。
国土交通省という話も、きのうお出ししましたけれども、市町村、行政統合型GISで共有化
を目指す地図として求められる精度というのがあります。固定資産税などで使うのは、建物の評
価、それから地籍、土地の評価というところで使いますけれども、建物形状図は、1,000 分の1
程度の精度のものを使いなさい。道路台帳なんかは 500 分の1と言われます。地籍図も 500 分の
1。それから都市計画図。都市計画図というのは、農業の方で言うと農業振興地計画、いわゆる
面的な計画を立てるもので、2,500 分の1でいい。あと写真図は大体 1,000 分の1です。
この縮尺というのは何から決まってきているか。道路台帳が 500 分の1というのは、相当拡大
された状態ですね。きのうも申しましたけれども、国土交通省さんなり国土地理院さんというの
は、地図をつくるという省庁なわけです。ですから道路台帳が何で 500 分の1になったか。当然、
精度は高い方がいいんですが、500 分の1でないと書き込めないものが管理されているというこ
と。そこに数字を書いたり、文字を書いたりというのが、500 分の1程度でないと書けませんよ
と。
2,500 分の1の地図、今回、整備していこうという地図ですけれども、それには道路台帳とし
て管理すべきもの、紙の図面の上には手書きで幾ら小さく書いても書けない。そういうところか
ら本来は来ているんですね。正確なものを出しなさいということよりも、そこに書き込まれる情
報の大きさの問題です。その辺をご理解いただけたらいいと思います。
統合型GISに関して、うまくいかないというお話がよく聞きますけれども、結論的にはこう
なっているんですね。GISは、地図をコンピューターで管理してしまえば、画面のサイズによ
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っても、本来は縮尺が違うんですね。よく説明で、はい、500 分の 1 ですと。それではこちらの
パソコンの画面にあらわしたときには 500 分の1ではなくなるわけですね。本来1/500 というの
は、500 分の 1 の精度を持っているというような意味ですから、画面に出たときは 100 分の 1 に
なっているかもしれないということです。
新しい最高精度のものを……。本来はこれを幾つも幾つも、道路なら道路に関して 500 分の1
でもつくる、ある目的では都市計画の方でも 2,500 分の 1 の形で道路をつくるわけです。これを
何か一つの形のもの、これを重複しないでできないだろうかというのが今の一つの課題なんです。
変な言い方ですけれども、測量の仕事ばかりが発注されるんじゃないかというような悪口を言う
人もいます。
今、地図の「精度」と言いましたけれども、当然、精度は高い方がいいんです。ある市町村で
は航空写真から、職員の方が田んぼの形状をなぞって、そこで面積を測る。きのう、GISで距
離が計算できるというのをお見せしたと思います。それを水張り面積だということで、全部、農
家ごとに紙を出しまして、地図上で測ったものを水張り面積だとして同意書、同意印を取って面
積を確定してしまったという話しもあります。
確かに水張り面積、先ほどの共済のお話でも出ましたし、転作とか共済で使う面積なんですけ
れども、これは今のところ自己申告が多いんです。圃場整備が終わったようなところは、確定測
量がされて、その辺のデータもしっかり持っていらっしゃるところもあるかもしれません。それ
以外の部分をということで地図上から測ったんですけれども、お金が絡むのに、果たしてそれが
本当にいいのかという疑問点も残ります。
国土調査が終わらなければなかなかGISが始められないとおっしゃるところもあるんですけ
れども、じゃ国土調査の成果である地籍図の精度。まあ精度はもちろんあるんですよ。ただし、
昔のものは測量精度の低い手法・機器で測量されているんです。ですから当然、狂いがあるわけ
です。今の方が測量機器も精度がどんどん上がっている。
よくあるのが、前年度に調査したものと翌年度に調査したもの、その境が一つの線にならない
んですね。重なっちゃう。それだけ狂いがあるということですね。きのう見ていただいたように、
一つの地図として利用するためには、新しい測量年度の方を正としてくっつけている。ここでち
ょっと本当は実際とは狂っているんですね。こんなことがあります。
あと地番図ですね。行政から借りられる場合にはというのが今回の事業の中でもあると思いま
すけれども、いわゆる税務課で地籍調査が終わってないところで地番図をどのようにつくるのか。
御存じの方もいらっしゃると思いますけれども、実際は飛行機を飛ばして航空写真を撮ります。
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当然、法務局で管理している公図を収集する。マイクロフィルム撮影なんかをするわけですね。
公図というのは何枚にもわかれているんですね。3筆、4筆が一枚の地図になっていたりする。
ただし、公図というのは公の地図なので、これが法的に正とされている地図です。どんなにゆが
んでいても、これが正なんです。たまたまつくった人が間違っていたとしても、登録して認めら
れていれば法律的にはこれが正です。確かに裁判なんかが起きた場合には、現地測量をするんで
すけれども、仕組みとしては法務省、そこが管轄しているのが正ということです。
それでは公図を張り合わして、つなげていったらば、その地域の一枚の地図になるのかといっ
たら、絶対一枚にならないんですね。ゆがんでいってしまう。そういうものです。それを集めて
きて、航空写真から識別できる、固定できる道路や河川の線を押さえていくんです。そして、そ
の区画の中にある公図を寄せ集めていって、その中に無理やり押し込んでいる。ゆがむんですよ
ね。ゆがめてでも、押し込まないといけない、全体が一つにならない。そういうものが税務課で
使っている地番図です。
先ほど 500 分の1とかいいましたけれども、あくまで精度というのは誤差の範囲を規定したも
のです。真値と最確値というんですけれども、本当の位置じゃないですね。それに一番近い誤差
というものを規定したものが精度というわけです。
きのうも、国の今後のGISの進め方の中で、確かに建設省さんの方なんかは、2,500 分の1
の地形図で工事図面などを出すという仕組み、電子化というのが出ていますけれども、そこでは
そんなに精度は求めていないわけですね。
それに比べて、GISと違うものでCAD。これは皆さま方の方がご存じかもしれません。設
計するわけですね。設計であれば、精度が必要ですよね。ずれちゃうと困るわけです。ですから
GISとCADというのは、システムも違うんです。ですからソフト会社で、CAD専門の方が
GISに入ってくると、必ず行き詰る。考え方が違うということです。CADは精度。
GISももちろん精度があった方がいいけれども、きのう、GISのイメージというのを絵で
お見せしましたけれども、地図は手段的なものです。目的は、それを用いて何をするか。結果を
出すか、判断するか、表示するか、というところだということをご理解いただけたらと思います。
あと、地図データを作成するという手法が幾つかあります。最近少なくなりましたけれども、
デジタイザーという白板みたいな大きなものに紙の地図を張るんですね。これは座標読み取り装
置といいまして、白板に対して地図を張る。四隅を押さえるんですね。四隅には座標が入ってい
る。四隅が正、座標点で押さえる。あとは中身を区切っていくんですね。紙の地図を見ながら、
点を落としていくわけです。
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田んぼだったら、四角ければ1、2、3、4、それで5点目でもとに戻る。昔、地図の入力シ
ステムというのが出始めのころは、1、2、3、4、5で戻りますけれども、どんなにやっても
同じ点を絶対押さえられないわけです。だけどソフトというのは、「起点に戻る」という命令を
出すと、そこにピタッといく。人間の力だと、同じ点は押さえられない。そういうのが入力シス
テムで開発されてきた。これはGISの成長の段階といいますか、進歩の段階です。
それとあと、やっぱり人がやることですから、もとの地図にもよりますけれども、粗いような
地図だったり、コピーが粗かったりすれば、線の左側の点をとるか、右側をとるかということで
も、もともとの紙のものからさらに狂うということもある。入力者の技術力によって精度が変わ
るということです。
地図入力センターの紹介で、今まではよくデジタイザーとパソコンのセットみたいな入力シス
テムが写真で紹介されていましたけれども、最近は紙の地図をスキャナーで読み込みます。その
上から点を押さえていくというやり方です。
たとえば 2,500 分の1の精度の地図をスキャンニングします。きのう、集落排水のシステムで
横断図とかをお見せしましたが、あれがスキャンニングしたデータです。座標のデータではない
ですから、拡大すると、線は太くなります。あれは絵ですから、写真と同じです、拡大したら太
くなっていく。入力方式としてはその上の点を押さえていって、座標を落としていくんですね。
正確を期そうと思うと、やはりそれだけ線が太くなったら、線の上のどの点をとっていくかとい
うことでも変わってきてしまうということです。
それから航空写真画像による地図データ入力、これも今、共済さんの方でも画像解析との話が
ありましたけれども、やはりこれも田んぼの畦畔に草が生えていたりすると、影があって、どこ
が端だかというのはなかなかわからないですね。それと、人がやることであれば、やっぱり若干
ずれる。気持ちのムラも出るということですね。
あと最近は、画像の色を解析して、線を勝手に出していく。それこそ畦畔を除いた水張り面積
の縁を出していくというような開発もされていますが、まだまだ研究段階です。
あともう一つ、地番と圃場とありますけれども、筆界、権利の境というのは、絶対、写真に写
らないわけです。きのうもちょっとお話ししたかもしれないですけれども、見えるものしか判断
できないというのが画像だということです。
農地GISで利用される地図。土地改良区さんなんかでは、やはり農業施設が大事だろうとい
うことで、この施設図のデータ化に取り組まれています。これは農業独自のものでしょう。それ
に対して権利の境ということでは、先ほど言いました地籍図、もしくは地番図、それから道路が
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必要になってきます。それから建物はあった方がいいですね。それから地形図、今回整備しよう
としている。それから写真。
それと今回の水土里情報の中でも研究会のレポートなどにありますように、この辺は行政が管
理するものと同じなんですね。行政機関も上下水道課なんかは、当然、施設を管理しているわけ
ですし、建物、道路、道路台帳と先ほど言いましたが、この辺を全部管理している。行政で持っ
ていないのは何かというと圃場図です。農業でしか使わないと言った方がいいか、農業分野でし
か使わない。ほかのところでは、まずつくってこないものですね。これが圃場図。これが行政に
はない地図です。農地GIS特有ということです。
農地GISで利用する地図の問題点。地籍図。先ほども言いましたように、地籍図の整備が終
わらなければと言われますが、土地情報と地図のリンクは通常、地番をキーにするので、地籍図
というのは一番簡単にリンクがとれるんですね。そのため、農業関係機関の中では、農業委員会
の許認可業務においては、一筆ごとの法的根拠が基本となるため、地番と地籍図のリンクによる
データベース管理となる。
農業委員会さんは、地番が中心です。ですから、本来の許認可業務だけを言ったら、地籍図が
あれば一番いい。
ただし、ここにずらずら書きましたけれども、地籍の調査というのは地べたをとるんですね。
ですから、川には橋がかかっていないんです。それから、例えば道路を拡幅する場合に、田んぼ
を分筆していくわけですが、分筆した分だけ線が入っていくために、どれが道路でどれが田んぼ
だか、線ばっかりになってしまって見にくいんですね。
公図というのを見ていただいたらわかると思いますが、それこそ現地確認とか、そういうよう
なときには、一体自分がどこにいるのかわからなくなってしまう、それだけでは道に迷う地図と
いうのが地籍図の一つの特徴だと思います。
あと、地籍自体は、先ほど建物が必要ですと申し上げましたけれども、筆界、筆界線だけなの
で、建物形状とかいう目標になるものがないんですね。ですから、どこかだけ切り出されて、こ
れがどこだと言ったら、見なれた人でもなければ、なかなか場所の特定ができないということが、
農業で使うのに大きな欠点だと思います。
それから北海道なんかでは、一筆の一辺が 500 メートルを超える。すごく筆が大きいんですね。
そんな大きな田んぼをつくったら、水が保てませんから、当然、中の田んぼは分かれているんで
す。ですから、北海道は地籍図だけでは水田管理のGISにつながってこないということです。
あと地形図。2,500 分の1の地図が行政さんなんかでも整備されています。森林基本図という
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のでしか整備されていないところもあります。それは 5,000 分の1。東北の岩手とか、あのあた
りは確かそんな縮尺の地図が用意されていたと思います。
地形図はどうやってつくるかというと、航空写真を写して、今までは職人さんが両目で見なが
らつくっていった地図です。ただし、航空写真から起こしてあるので、ふだん農家の皆さん、地
域の皆さんが歩いていて、目にしたものをそのまま地図にしているので、場所の特定、地図を見
て、ああ、と非常にわかりやすいという利点があります。
問題点としましては、原則的には地形図は地番が入っていないんですね。ですから農地とのリ
ンクができない。それと 2,500 分の1の地図と、実際の税務課の土地台帳なりとぶつけてみます
と、30 %ぐらいのものは地図に表記がされていない。100 平米の土地というと4ミリ四方ぐらい
ですから、そんなのは 2,500 分の1の地図には表されていない。その辺が一つ問題点と言えます。
実際に、今申し上げたことを画面で見ていただきます。これは地籍図です。こういうふうに見
たときに、この辺は田んぼだろうなと思いますね。これは道路かなと思いますね。実際、写真を
重ねると、そういった面では航空写真は解りやすいんです。これが地籍図です。現場はこうです
ね。ですから地籍図だけだと、建物もないし、川に橋もかかっていないためちょっと足りないか
なというイメージですね。
先ほど申し上げました北海道の水田地帯、これが地番界です。これが圃場界です。大分違いま
すね。やはり田んぼの圃場界より地番界の方が大きい。
北海道の十勝あたりの大規模畑作地帯。これが地番です。航空写真を重ねます。この黒い線が
地番界です。そうすると、航空写真から地番界なんか想像もできない。こういう切り方。圃場は
こういうふうに使っているんですね。地番はここで分かれています。土地の権利を管理するには
いい地図かもしれないですけれども、じゃ実際に営農分野とか、先ほどの共済さんで使う場合は、
作付面積で、その位置がどこかと衛星で画像解析したいわけですが、地番とは全然違うものです
ね。あと北海道なんかは、こういう林がたくさんあるんです。これが現状です。
これは北海道に限らず、水田は先ほどの逆もあるわけです。圃場整備されていないような昔の
田んぼは、小さいので、自分で畦畔を取っている人もいますよね。地番二つを一枚の田んぼとし
て管理している。
先ほど共済さんとすれ違うときにお話ししたんですけれども、先ほどの管理項目の中に、耕地
番号、その後に地番と書いてありました。先ほどの資料のアクセスの画面を見ていただくとわか
るんですが、地番はあそこには出ていないんですね。地番は参考です。共済さんが使っていらっ
しゃるのは耕地ナンバーです。ですから、どちらかというと、さっきの農業特有の圃場図、あれ
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とリンクしているんです。共済さんが欲しい地図というのは、あそこです。地番図じゃないとい
うことです。
柑橘園地なんかも整備をというふうに先ほど共済さんからありました。これはちょっと違う目
的でお出ししたんですけれども、静岡県の三ヶ日農協さんの地図です。これは園地の地図を色塗
りしているんですが、費用を安く上げるために、いわゆる園地だけをベクトル化して、デジタル
化したんですね。あと 2,500 分の1の背景は、そのままラスター、画像として裏に張りつければ
いいじゃないか、必要ないところはお金をかけない、こんなつくり方をしています。
それと、これも目的によって変わってくるんですけれども、きのうもちょっとお話ししました
ように、光センサーで一個一個、糖度や酸度などの評価情報を園地単位に返す。それによって周
辺園地との差を見ていって、技術の向上なんかを図っていこうというのが目的だと申し上げまし
たけれども、じゃ小さな園地一個一個に評価の情報を返せるかというと、そんなことはありませ
ん。
ミカンは田んぼと違って、やっぱり熟れてきたものから収穫して出していく。いっぺんにザッ
と収穫してしまわないわけです。大体、2園地から、小さければ3園地ぐらい、それをまとめて
出しているわけです。そうすると評価情報も、その三つがまとめて返ってきてしまうわけです。
そうすると、この三つの園地を1園地と考えた方が、システム上はわかりやすい。三つに分けて
も意味がない。
そういう使い方もあるんですね。だから、地番とか何とかは絶対ではないんです。何に使うか、
何の目的で、それに何を表現しようとするかによって、地図の種類も変わってくるということで
す。
あともう一つは、先ほど共済さんもおっしゃっていましたけれども、昨日のお話の中でも申し
上げましたが、転作で部分転作というのが入ってくるわけです。柑橘園地なんかは、混植という
のがありますね。複数の品種を植えている。青森県の方がいらっしゃったらおわかりだと思いま
すが、リンゴはほとんど混植なんです。そうじゃないと受粉しないんです。それをどういうふう
に表していくかということがあります。
その表し方は、色を塗るときも二重に塗っていったり、複数あるよということで色を変えたり
するというアイデアも一つはあります。はがしていくと、何と何が植わっていると見える。逆に
言うと、二種類あったとしたら、筆をダミーで切ってしまう。それで、こっちとこっちに表すと
いうやり方もあると思います。ですから、目的ごとに地図というのは違ってくるということです。
昨日の続きみたいになりますけれども、GISは「地域のモデル化」による「地域の情報処理」
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の道具なんですね。モデル化をするための材料が地図なんです。これを前提とする。
最低限で言うと、周辺との位置関係、点数が判別できるというのは、四角形なのか五角形なの
か六角形なのかという精度は必要であろう。もちろん入力基図は、なるべく精度の高いものを準
備するということです。あとは目的に応じた地図を選択する。地番図、圃場図ですね。
先ほど共済の方がおっしゃっていましたように、早く整備していただいて……。でも地図はで
きますけれども、圃場の番号と、誰が耕作しているかは、写真には写っていないんですね。それ
を次にどうつくっていくか、その手法が必要になってくるはずです。地番は法務局に行けばわか
るかもしれませんし、地番図であれば、農業委員会さんへ行ったら農地基本台帳というのがあり
ます。
実際に平成 12 年ですか、農水省の緊急補正予算で、12 月国会で決まったんですけれども、農
地基本台帳と転作の水田台帳の整備をするという予算がポーンと付いたんですね。結構な金額が
出たんです。当然、市町村さんとしては町議会が 12 月で終わってしまっていて、3月議会しか
ないというと、なかなか取り組めなかったということもありますが、逆にこの機会にといって取
り組んだところも幾つかあったんです。私どもも受けさせていただいたものがありますが、地番
と共済さんの使われている圃場番号とは合わないんですね。
整備する手法として、片側に全部、農業委員会さんで管理する地番を並べて、こっちに共済さ
んの番号を並べる。つなぎ合わせをしてください、となるわけですが、合ってこないんです。で
すから、この辺が、この後のGIS、実際に地図はつくるけれども、それをどう使うかとか、そ
の辺のところで非常に大事だと思います。
ただし、税務課で利用している評価、税金をとっている地図でも、100 %はマッチングしてい
ないです。ですから 100 %そろわなきゃスタートしないということではなくて、成功する一つの
ポイントというのは、余り神経質にならない。技術の方というのは 100 %を求めるかもしれませ
んけれども、まあこんなところからスタートしようかというところからでもスタートして、使っ
ていく中で整備をしていくというような概念を持つ、これが一つのポイントだと思います。次は、
いかにしてアンマッチをつぶしていくか、その手法を確立する。
台帳に関してお話ししますと、このように整理されます。今言いました、行政で言うと農政課
の水田台帳。生産調整のためのもの。これも平成 12 年ぐらいからですか、もうちょっと前から
かもしれませんが、昔は共済さんの台帳と、転作の台帳が別々に管理されていたわけです。これ
を会計検査に指摘されたわけです。別々に管理されていると、面積が 100 なのに対して、70 と 50
というのがあっても、チェックがかからないというところから、それが一体化されるようになっ
-9-
たという歴史があるんですが、農政課では、今、生産調整に使われている水田台帳、圃場台帳、
これ以外のものは持っていません。
それから耕地課。これは皆さんと関連が深いところかもしれませんけれども、土地改良事業の
申請だとか管理台帳というところがありますが、事業対象外は整備されていない。
それから農業委員会、農地基本台帳。これも今、経営所得安定対策で、経営面積というところ
でいろいろと話題になっていると思いますけれども、農業委員会というのは属地主義で管理され
ている場合が多いんです。ですから出作地は持っていない。それで経営面積をどうやって証明す
るんだという話が、今出てきているわけです。逆に言うと、入作地というのは、村外とか町外と
いう形で管理されている。
あと改良区さんで管理しているのは、皆様のところなので、賦課金台帳。実際に土地改良をし
ていれば、従前地と一時利用地の管理台帳。ただし、これももちろん組合員さん以外のところは、
事業対象外はないという形ですね。
ここで驚くべきことというか、意外と持っているようで持っていないのが、JAさんが農地の
情報を全く持っていないんですね。GISとかをやっているところでない限りは、全く農地の情
報は持っていない。ですから来年から、農業団体で生産調整をやっていくという中で、これを見
れば本当は農協さんではできないんですよね。
農家の人も、JAさんが持っているんじゃないかというような勝手な概念がありますけど、持
っていない。ですから、出荷予約、米をどのくらい出してくれますか、何俵と出てきます、あれ
だけが頼りなんです。今は農協さんもどんどん広域合併していって、担当者が農家の顔もわから
なくなり出してきていますし、その方々がどこの田んぼを持っているかというのがわからなくな
ってきているというのが現状だと思います。非常に困った状態。
それは何を意味するかというと、共済さんはさっきそれに乗っていきたいとおっしゃいました
けれども、ターゲットだということですね。この事業ででき上がったものを使って、利用料なり
を頂戴するターゲットになるということです。
共済組合さんは、さっきありましたけれども、加入している分しかない。共済組合さんなんか
ともよくお話しするんですけれども、先ほど地図がなぜ必要かとお話されていましたが、田んぼ
が 10 筆あっても8筆しか共済を掛けない場合もある。被害に遭ったときに、ここ、ここと言わ
れても、一体それが本当にその圃場なのかどうか全くわからない。7掛けで掛けておいても、被
害に遭ったらここだと。耕地番号ですから、わからないですね。似たり寄ったりの面積であった
り、それも作付面積でしょうということです。
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あと、これは参考までになんですけれども、先ほどの三ヶ日農協さんで園地台帳をつくるとき
の一つのパターンです。行政の方から土地の台帳とかが出ませんでした。台帳なんかなくたって、
何とかすればできるぞというところです。
どういう手法をとったかといいますと、これは農協さんの一つの踏み絵です。我々はGISを
使って、皆さんにこういう情報を提供していきます。個人情報取り扱いの基本ですよね。こうい
う目的で、あなた方のこういう情報を使いたいです、ということで農家に対しアンケート調査を
かけました。
世帯員の情報ですとか、全部は要らない、経営者だけでもいいという形で、書けるところを書
いてください。それで農家の情報を入手した。それから保有農機具ですとか、この辺も必要なも
のは入手したということです。
あとは園地名、住所。実際は、先ほどお話があったように俗称名ですね。農家の方は、地番で
頭に入っていないんです。住宅と違って、15 枚持っていて、その地番を全部言えますかという
と、なかなか言えない。やっぱり道東だとか、小屋下とか、いろいろ名前をつけている。それと、
あとは園地名ですね。そうすると住所も、大字、字、地番がわかれば教えてください。実際はこ
の前に、園地ナンバー1、2、3、4、5と振ってあるんです。あなたの1番でいいという調べ
方をしています。
ちょっとここ、抜けているみたいですが、植栽距離ですとか……。これは何をとっているかと
いうと、システムで必要な項目をとっているわけですね。密植具合がひどいんじゃないか。周り
と比較して糖度が上がっていない、隣はいわゆる植栽距離、植えている距離をちゃんとあけてい
るけど、ここは全然あけていないということをとろうということで、そういう項目をとっている。
そこの農家の人に書いてもらっている。
このときも、こういうことをやってくれるんだという期待感のある人は、実際に巻尺を持って、
植栽距離をはかって一生懸命書いている。期待があればやりますよね。こんな形でも、田んぼで
もやれないことはないということだと思います。
ちょっと戻りますが、あなたの1番、2番、3番、4番と言いましたね。次にどうしたかとい
うと、2,500 分の1の地形図を机の上に広げて、エリアごとに、あなたの1番と言っているのは
どこ、と聞いていったんですね。2番ってどこ、3番ってどこ……。農家の人に書いてもらうと
読めなくなってしまうので、我々、農家番号と、その後ろに 01、02、03 と書いた小さなシール
を用意しまして、それをペタペタペタと張っていった。
本当は樹園地ですから、地形図には写っていない境とかありますので、ここですというものを、
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逆に言うと先ほどみたいに座標でとっていって、地形図と重ねているわけですね。もとが地形図
なので、当然重なります。そんなやり方をしています。ですから、圃場図だけあって、次どうし
たらいいんだというと、やっぱり目的があれば、そういう手法でも実現ができるということだと
思います。
これは田んぼの方。我々が昨年から取り組んでいる、昨日ちょっとお話ししたかもしれません
が、衛星画像ではなくて、食味計とか穀粒判別機で米の評価情報を圃場単位にとっているもので
すから、それを返そうということになったときに、やはり地番図はあるけれども圃場図がないと
いうところがあったので、圃場図をつくっていく中で、圃場図と、農家とのマッチングですね。
地番図があれば、後ろで重ねれば、この圃場は大体誰のものかなというのは当然わかるんです。
ですから、行政から地番図が借りられたら地番図を借りる。だけど主役は圃場図ですよね。転作
も、主役は圃場図です。
あと、今回の事業の目的もいろんなところに書いてあるでしょうけれども、これは一昨年、私
どもの方で研究会の中で利用したものです。この事業の始まる前ですね。
今、行政機関でもいろんな地図を持っています。農業委員会でも持っている、JAさんでも一
部持っている、こういう補助事業を使ったりして、土地改良区さんも、たしか山形県さんが相当
な面積をやっているというのは資料で拝見しましたけれども、やっていらっしゃる。あと県の方
でも確測のデータを持っていらっしゃる。ばらばらに管理されているものを一つにしていこう、
そこで足りない分をつくっていきましょう、というのが今回の事業ですね。
これは県レベルなのかどうかわかりません。私のイメージは、市町村単位だろうというふうに
思っています。この最後の、部分に入ってくる。ここでは一つの地図、それに対してそれぞれ農
業委員会は農業委員会の台帳を持っていらっしゃるでしょうし、農政課では生産調整の関係の水
田台帳を持っている。それを統合するのが難しければ、何かで連携をする。どっちかを動かした
ら、ちゃんともう一方も移動する。
先ほど、「移動申請をしていただく」というふうにおっしゃっていましたけれども、一ヵ所で
やったら、それが何らかでもう一つにも反映する。もちろん確認して、反映させるんですね。勝
手に変えられちゃうと、お互いの領域を荒らすことになります。それを皆で使っていこうと。
流れとしては、やはり「個人情報相互利用に関する農家の同意」が必要になるでしょう。先ほ
どの三ヶ日さんですとか、ほかの水田地帯でもやっているのは、目的があって自分から申請して
きたんですから、それはそれでいいんですね。それ以外にも一応、同意書を取っています。こう
いう目的、皆さんにこういうデータを提供します、このためにあるんです、そのためにあなた方
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のデータが必要です。そのかわり、これ以外の目的には使いません。これはJAさんが出したん
ですから、組合長名で誓約書も後ろに添付して回しているんですね。
昔の取り方は、その一枚紙に集落ごとの人の名前をザーッと並べて、首長さんが押すとサッと
押してくれたという流れも一つにはあるんですけれども、最近は個人情報と言われてきたので、
一つ一つ封筒に入れないとまずいかな。そういうようなことも今はやっています。
ただ個人情報って余り神経質になることはなくて、先ほどの公告みたいにしてパッとやってお
くとか、それからもしかしたらきのうの全中の田村さんの話の中であったかもしれませんが、い
わゆる水田農業ビジョンの中でポッと入れてしまって、文句を言ってこなければいい。これは逃
げじゃない、それでも堂々と何かで農家に返して、何で知ってるの、皆さんのために必要なんだ
というようなことを理解させるのが前提ですけれども、できるだろう。同意を取って、「GIS
による情報の共有」。
話がちょっと横にそれますけれども、行政というのは、統合型というと農業まで入れたがるん
ですね。でもコンサルで有名な方ともお話しするんですけれども、統合型から農業を外してくれ
と僕は言っているんです。彼もそう言います。目的でシステムというのはできてくるわけですか
ら、行政、農業委員会、土地改良区さん、JAさん、こっちが目的は一緒なんです。GISとい
う概念から見ると、本当はこっちで統合していくべきではないか。
建物が同じだからみんな一緒、仲間というのはわかるんですけれども、システムを使っていく
場合は、そっちで統合していった方が、二重管理とか二重手間というのがなくなるということで
すね。
それによって「関係機関の相互情報補完による適切な現状把握」。農業委員会さんは権利しか
見てないですけれども、やはりその人がちょっと苦しくて土地を売りたいといった場合には、一
体何をつくっているんだ、というところも必要なのかもしれないですね。農家の相談相手になる
のに、権利だけでは話にならないと思います。
それによって、「的確な判断に基づく地域農業経営戦略」を立てていくというようなことです
ね。あとは「メンテナンス業務の軽減・経費の圧縮」が図られるというのが、今回の目的だと思
います。
情報共有化の効果というところになりますけれども、当然、コストダウンですよね。二重にや
っているもの、データを作成するときもそうですし、更新する費用、あと労力、その削減だとい
うことです。
それと今申し上げましたように、農業関係機関の皆さんは、一つの農地を、それぞれの業務の
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目で見ていて、断片的にしか見ていないわけですね。それをお互いの情報で相互補完する。補完
でいいんです。そっちまで侵してしまって変えてしまったらおかしなことになりますが、補完す
ることによって本当の姿が見えてくるということです。それで初めて農家サイドに立てるんだろ
う。
あとは、そのために情報の共有化をする。今よくワンフロア化とか言われていますね。農家の
ために、農家が一ヵ所に行ったら何でも手続が済むようにしよう。流行みたいに全国各地で取り
組みがされています。今言いましたように、業務が分かれて、ワンフロア化した形だけのもので
あったら形骸化してしまうわけです。横に座っていても、仲が悪ければ話さないわけです。だけ
どワンフロア化しなくても、情報の共有化ができたら、擬似的なワンフロア化ができる。確かに
農家はいろんなところに行かなきゃいけないかもしれないけれども、目的はどこに行っても同じ
回答が返ってくるということだと思います。
よくあるのは、農地の流動化。農地を動かすときに、農業委員会さんで隣の農地を動かしてい
るけど、隣はJAの保有合理化事業で動かしているというのがある。情報が寸断されているわけ
です。それで面的集積ができるかって、できるわけがない。だったら原則、農地の動かす窓口は
JAなり、市町村公社の窓口だというようにして、どうしても何か事情がある例外においては農
業委員会がやるとかにするべきだと思います。それも情報の共有化ができていないとできないこ
とです。
あとは、よく活用されなくなる要因を聞くと、もともと何に使えるんだかわからないけど、何
か地図が出たからいいなと思って導入した。大体使っているのは、ちょっと色塗りをして、白地
図を出していたりする、そのレベルで終わってしまう。
それとやはりデータの正確さに自信がなくなってくる。メンテナンスをちゃんとしない。
あとは担当者が移動したとかで、既に導入されていたけど、一体何に使っていいかどうかわか
らない。
最近、やっぱり行政もきつくなってきたので、予算が確保できなくなっている。予算を削減さ
れたとか……。削減したら、本当は大変なことになるんですね。システムは死んでしまうんです
けれども、そんなことがよくあります。
それから、業者さんがちょっとなまけてバージョンアップをしない。国の政策はいろいろ変わ
ったりしますし、地図自体のデータの更新、システム自体も何かを変えていくとか、ウィンドウ
ズもバージョンアップされていくわけですから、バージョンアップしていかないと古いマシンで
しか使えなくなっちゃうわけです。そういうふうなことで死んでいくんですね。
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あと、システムの処理に時間がかかるため利用機会が減少してしまう。今私がやっている、こ
れもいろんなものが入っているからか、きょうは特に立ち上がりがおそかったんですけれども、
ウィンドウズの立ち上がるのを待っているのも、ちょっと嫌ですよね。よし、あの地図をといっ
てスイッチを入れて、ウィンドウズが立ち上がって、メニューから何か選んで、また地図が出て
くるのを待とうと思ったら、時間がないからやめようということにもなるので、やっぱりスピー
ドというのはすごく大事なわけです。早く目的にたどりつける。
ですから、きのうの島根県さんのウェブもありますけれども、ウェブというのはスピードをど
こまで求められるかということはあるかもしれません。
あと補助事業で導入したけれども、その後、ハードの更新がされない。これはよくあるパター
ンなんですね。買い取りになっているから、補助事業で、今、4年たったら、パソコンなんかは
変えていいはずなんですね。だけども、まだ使えるからとずっと残っちゃって、10 年ぐらいパ
ソコン使っているというところもありますよね。地図のスピードが遅くってと。それは仕方ない
けど、その辺もうまく計画的にやっていかなくちゃいけない。
それから理想的に、こんなこともこんなこともやりたいと思ったけれども、その情報が入らな
い、取れないというのがありますよね。農業委員会さんなんかでよく会計検査で指摘されるのは、
いわゆる農家の保有機械なんていうのを管理するようになっているんですですね。うちのもなっ
ているんですけれども、じゃ機会の更新されたという情報をどこから取るのかですね。その仕組
みがない限りは古いままです。
ですから農業委員会さんでも、8月1日のハチイチ調査とかあるんですけれども、整理のうま
いところは、毎年、農家に台帳を落としているんですね。修正があったらということで、修正し
てもらって、印鑑ついて返ってきている。これを正としますよ、なんですね。めくら判の農家も
ありますけれども、一回これを正とします、というやり方をしています。
あとは他機関との整合性が取れていない。よくあるパターンですね。こんなことで余り活用さ
れないということがあると思います。
今のは失敗というか、余り使われなくなる要因です。継続的に活用されるには、その要因をつ
ぶしていくと、いいんだろうということですね。やっぱり利用目的をはっきりさせる。業務に沿
ったシステムを入れていくということです。それと必要とされる情報取得の仕組みづくり。どう
してもシステムですから、表示ですとか、評価だとか、いわゆるアウトプットするものが必要な
わけです。アウトプットがどうしても必要だとしたら、それに必要な情報をどう集めるかという、
そこの仕組みをつくらない限り、アウトプットはないということです。
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あとはデータ更新。簡便なシステムが、どうも死んでいくのは、よくある作業の受委託の何作
業ずつ委託しているかという地図が出ます。じゃその情報をどうやって取るのといったときに、
1、2、3作業と入れるといった場合、だれがその情報を集めて、この圃場では耕起、代かき、
田植え、コンバイン、幾つ頼んでいるんですかって農家に一々聞いて回って、そんな地図をつく
っても、意味がないわけです。そんなことしないで処理する。
結果として、情報を入れたら必ずGISというのは地図が出るんですね。1は赤、2は青、3
は黄色と決めておいたら、コードで管理したら全部色塗りされて出る。だけど、その1に対応す
る情報が取れるかが問題です。
それから昨日申しましたように、日常業務の中でデータが更新される仕組みをつくっていかな
いと、多分やり切れなくなってしまう。GISを持ったがために経費がかかる。よくコンピュー
ターって、電算化すると労力が軽減できると思っていたら、結果として多くなっていたというケ
ースも実際にはあるんですけれども、業務と別に地図情報に労力を割くということは多分しない
だろう。運用にかかる経費等の予算の確保。先ほどのメンテナンスができなくなったというのは、
まずいわけで、やっぱり何かを動かしていくには、本来金がかかるわけですね。
最近は、補助金がいろんな交付金にかわってきているわけですから、我々が考えるのは、農家
にとっていいことで、皆さんというか、地域の農業関係機関がサポーターであれば、農家の拠出
金により運営するという方法も堂々と考えていくべきだろう、というように考えています。
ですから今、産地づくり交付金ですか、変わってきた転作の助成金ですね。ああいうようなも
ので、事務負担金というのは最大 20 %まで取れるわけです。ですから、ああいうものを農家に
説明して、本来は農家に行くものだけれども、それをサポートするために必要なものとして、経
費をしっかり計画の中に入れてやっていく。多分、今年度は相当余る。返還だと思うんですけど
ね。
あとは関係機関との情報の共有化。先ほどから言っていますけれども、キャッチボールをする。
関係機関でもキャッチボールをする、農家ともキャッチボールをすることによって、情報が浄化
されるんです。抱え込んだものは、大体だめになる。
農業委員会さんがGISをやりたがらないのはなぜかというと、台帳が整備されていないから
です。無理なんです。人間がやっていることですから。紙の台帳に、Aさんの1番という土地が
Bさんに動いた、いつからいつまでという契約だ。紙の台帳というのは、今度はBさんの方に、
Aさんから借りた、いつからいつまでと書かなきゃいけないんですね。片一方だけ書いて終わっ
ているというのがたくさんあるんですよ。
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紙の上では、面積どのくらい借りたというのが、こっちは 30 アールだったけれども、こっち
は 31 に見えたりするケースもある。これが本当に同じ土地かどうか、わからなかったりするん
ですね。
今の台帳のシステムにしても、必要なときだけ引っ張り出してくるんです。移動更新。いわゆ
る転用するとか、賃貸借をするというときに、その情報を引っ張ってきて、ポンと移動をかけた
ら、後、しまっちゃうんですね。もう次の移動までは、この土地は出てこないんですよ。コンピ
ューターのストックルームですね。そのボンと落としたときに間違っていたら、これはずっと全
然発見されないままになる。
ですから、もっと皆さんで使い回していくことによって、間違いは間違いで発見されるだろう
ということです。それを転作の方で使えないのか、別の何かで使えないのか、どこかでチェック
が複数にかかるようなことが必要だろうということです。それが最後のところですね。
ポイントは、どう使うか。地図データが整備されたら皆さんの業務の中では使えるでしょうけ
れども、今度はその金を稼ぎ出さなきゃいけないですね。そうすると、ある面では地域の農業関
係機関、これは県レベルじゃなくて市町村レベルをターゲットにするんだと思いますけれども、
やっぱりその関係機関をサポーターとして、何か農家の話し合いの場の創出ができるような材料
を提供していこうということですね。
あとは農家の意識改革。ここで一番大きいのは、やっぱり流動化が進まないとか、よく言われ
ていますけれども、農地はもともと個々の財産なんです。70 歳以上の人は農地を貸したがらな
いという話は、現実的にあると思います。それは何でかということですよね。やっぱり戻ってこ
ないという不安が、まだ残っているんだろう。本質的には、経営基盤強化法とか、期限が来たら
必ず戻るというように国の方の法律は言っているんですけれども、本当にそれを農家が知って、
信じているかということも疑問符がつくのかな。
逆に言うと、GISでまず1番は……。ここ、杉村さんになっていますね。きのうちょっとお
話ししたかもしれないですけれども、これは経営者ですが、これを所有者に切りかえるんですね。
何が大事かというと、まずはGISであなたの所有権が確保されたということ、保証されたとい
うことです。上だけやっていても不安になっちゃうわけです。経営者が動いていくわけですから、
誰のものだかわからなくなってしまう。もちろん、法務局へ行ったら権利は保証されていますが、
それがどこの場所かというのがわからなかったりするから不安なわけです。だから荒らしておい
た方がいいという人、実際にいますよね。
ある農協さんと話していたんですけれども、先祖代々のものを守るということに忠実だという
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ことは、本来大事なことだ。不安があるうちは貸しちゃいけないというのも、本来はあっていい
んじゃないか。だったら、その不安をどう取り除くかですよね。ということは所有が、それが地
番であっても、圃場であっても、あなたの場所はGISによってここだと保証されていますよ、
その上でどう使っていきましょうか、という話ですね。
この保証なくして、農地をどんどん動かしちゃおうなんていうのは、本当はやっちゃいけない
ですね。そう思います。
あと出したついでにちょっと言ってしまうんですけれども、きのう申し上げましたが、地番と
面積と人の情報といいましたね。これがあればいいだろうというのが我々の考え方なんです。目
的は、後ろで色を塗ればいいだろう。利用権設定がいつ切れるのかというので色を塗っていって
もいいわけですね。
この三つで、あとは目的によって、所有者ですとか、経営者ですとか、切りかえればいいし、
2番目は先ほど共済の方がおっしゃっていた水張り面積ですね。そして登記簿面積、もし持って
いるのであれば張りつけていく。
この情報というのは、農業では必要なんです。なるべく少ない方がいいんです。紙の地図に出
したときに、文字情報が重なっちゃうんですね。8段出したら、隣の筆と重なっちゃいますよね。
1,000 分の1とか、もっと大きなもので出さないと。農業の場合、2,500 分の1ぐらいの地図で使
うときが非常に多いんです。
税務課の地図というのは、地番だけでいいんです。だから真ん中に出しておけばいいですね。
だけど農業の地図というのは、転作確認するにしても、何かいろいろ計画を立てようとしたとき
に、地図にこの三つの情報が出ている方が使いやすいんです。地番だけだと、また台帳をこっち
へ引っ張ってこなきゃいけないんですよ。転作の団地をつくろうよといったときに、地番だけあ
って、ここはどのくらいの面積、誰がやっているのというのを調べていく、これじゃあGISで
はなくなってしまう。
紙に出力したとしたら、これだけあれば、この後ろに大豆が植わっている、麦がというので色
さえ塗っておけば、誰々さんに、ここを麦にかえてもらえば団地になるね、という話が地図一枚
でできてしまうわけです。
だから我々はよく、このレイアウトもふります。2,500 分の1程度で情報を出したときに、隣
の田んぼなり、筆なり、圃場と重ならない位置に、これも本当は自動でできるようにというので
今開発しているんですけれども、人が目で見ながら動かしたりしてやっている。そうすると、地
図だけで話せるようになります。いろんな目的はあるでしょうけれども、地番だけ出ているんじ
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ゃ、なかなか多用途には使えないんじゃないかという気がします。
よくここに作物も出してくれと。出して出せないことはないですけれども、それじゃどんなと
きに必要なのか。裏でここに作物の色が塗ってあれば、それでいいんじゃないか。当然、転作も、
現地確認だったら、確認野帳というのもセットで出るからいいんじゃないか。一々読む必要はな
いだろうという考え方ですね。まずは所有権の保証というところで使われるということです。
あと、今この辺をお話ししてきましたけれども、最後は、やっぱり農業というのは一年のサイ
クルになっていますので、いつ、誰が、何を目的として、どの作業をするかというのをはっきり
すること。業務として位置づけられていないものは誰もしない。地域の仕組みとして、年間の役
割分担が決まっていたら、人が変わっても必ず動いていくということですね。
これは現場の方ですよ。皆さんのところではなくて、現場でGISを動かすとしたら、例えば
こんな形で、昨日お見せしたような農用地利用調整というのは、いつごろに何を出力してという
ようなことをはっきりさせるということですね。全然使わない時期もあるかもしれませんけど、
こういう年間のスケジュールに基づいてシステムを運営していくということです。
イメージとしては、こういうようなイメージになるのかな。私どもは地域農業経営戦略研究会
ですが、地域での戦略会議を開くことになっていくだろうということです。
あと私見ですけれども、県レベルの水土里ネットさんでGISとして必要であろうと私が思っ
ているのは、県全体の農業用施設の管理的なところですね。それから地図データの更新システム。
水土里事業で地図データをつくった後、その事業を本当は受けられたらいいんじゃないかな。更
新することによって、金を稼げる。
それから昨日ちょっと見ていただきましたけれども、災害復旧補助率増高申請。これは私ども
がつくって市町村に導入していただいたんですけれども、4〜5年に1回しかない災害ですから、
次の担当者になったときは、また操作方法から教えなきゃいけない、余り効率よくなかったなと
いうところもあります。
あと賦課金業務というのも、一時、確かに1万円ぐらいで配付されたものもあったと思います
が、県レベルでシステム化してもよいのでは。
あと換地業務の支援システム。いわゆる従前地と計画図を重ねて換地計画をたてていく。
それと最近思うのは、土地分級評価システム。今、中山間地の直接支払制度で中山間地域を守
っていますけれども、鳥獣被害が増えたりして、大変失礼ですけれども、本当は山に戻さなきゃ
いけない農地というのが多分出てきているんだと思います。ただし、地元の人はなかなか言えな
いんですね。あなたの土地、山に戻しましょうよとは言えないので、やっぱり県の中で、どこが
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農地に適正なのか、ここはもう山に戻していくべきじゃないかみたいなものが出るようなシステ
ムが必要かなと思っています。
貸し借りにしても、先ほど等級という話がありましたけれども、標準小作料だけじゃなくて、や
っぱり先祖代々、手塩にかけた土地をちゃんと評価してあげなくちゃいけないのかなと。みんな
一緒じゃないよ。じいちゃんが頑張って、やっぱりいい土地なんだから、それだけ評価してくだ
さい、何かそういう評価システムというものを県域で持っていたらいいのかなというところです。
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全農家参加による飯島町営農センターを支援する
農業情報システムの活用
長野県上伊那郡飯島町
産業振興課長
齋藤久夫
きょう私がここへ来て事例報告させていただく一番のもとのところは、情報システムをどうい
うふうに使っているかという事例ということだと思います。これから説明しますけれども、私ど
も、営農センターという組織を立ち上げまして、もう 20 年余やっておるわけです。その中で、
本当に早い段階から情報システムというものを開発してやってきております。
先ほど小澤代表理事さんのお話にもありました。さっきの話から感じますのは、卵が先か鶏が
先かではありませんが、意外と情報システムから入ってしまうというところがあるんじゃないか。
買ってみたけど、どうやって使ったらいいんだというふうになるということですが、私が一番思
うのは、やはりこれは組織、仕組みがなければ使えない、また目的がはっきりしていなければ意
味がないということになると思います。そういったところを中心に、これから私どもの事例を報
告させていただきます。
ちょっと最初の方、情報とは関係ない、私どもの営農の仕組みから説明させていただきたいと
思いますけれども、よろしくお願いいたします。
ご覧いただけますように、私どもの町は長野県の南部です。こちらが中央アルプスということ
で、主峰が南駒ヶ岳ですけれども、3,000 メートル級の山並みであります。私たちの町は、ここ
から流れ出る水で農業もし、それからまた生活もしているということで、水に恵まれております。
それから手前が南アルプスですね。やっぱり 3,000 メートル級の山です。そこの谷あいの町と
いうことですけれども、ここで町ぐるみで営農センターという組織を立ち上げまして、そして実
践は、昔の村単位に地区営農組合というのを立ち上げて、もう 20 年やってきました。
この地域が、七久保地区営農組合のエリアです。下の方が本郷地区営農組合のエリアです。真
-1-
ん中が飯島地区営農組合のエリア、ここから北が田切地区営農組合のエリアということで、全町
四つの営農組合でカバーしてやっている。
さっき水がいいと言ったんですけれども、ちなみに、ここに見えますのが養命酒です。それか
らまたこちらには内堀醸造さんという大きな酢の会社もあったり、みそ、馬肉の加工とか、水に
こだわった産業も非常に多くあります。それを地図上で表示しますと、こういった営農組合のエ
リア。
そして私たちの町の位置ですけれども、ほとんど日本のど真ん中のようなところです。駒ヶ根
市、飯田市のちょうど中間あたりにある町であります。中央道を介しまして、東京へ3時間、名
古屋へ1時間半ぐらいというところであります。したがって、農産物は首都圏から中京、京阪神
の方に出ていっている状況です。
また気象は内陸性の気候でカラッとしていまして、一日の温度差が 15 度くらいある。また年
間では、マイナス 10 度から 30 何度までいきますので、50 度ぐらいの温度差があります。カラ
ッとしておって気温の差がありますので、この条件が農業をするの非常にいいということで、稲
なんかですと、ほとんど防除をやらなくてもできるというような状況になっております。
農地は水田が8割、樹園地が1割、畑が1割というようなところでございます。したがって、
水田中心の営農システムであります。
農家数、専業農家が花等を中心に 11 %ぐらいあるということですけれども、あとは兼業農家
ですので、先の担い手をどうするかというようなところが課題になっているということです。
営農センター立ち上げ以降、やはり水田を基盤としながら、米だけに頼らない農業をつくると
いうことで、「花とキノコと果物の里づくり」という形でやってきましたが、ある程度バランス
がとれてきている。これからの農政というのは、やっぱり米だけに頼らないというのが一つのキ
ーワードではないのかなと思っております。
日本農業の課題は、これはどこでも同じなんですけれども、一番がWTOということで、やっ
ぱり農業が国際化している形になりますから、土地利用型農業等では国際化に対抗できない。そ
の中で品目横断というような形が出てきておりますけれども、できるだけ国際化に対応できるよ
うなコストの安い農業体制をどうつくるか、また高齢化が進む中での受け皿をどういうふうにつ
くっていくか、日本農業の構造改革をどう進めるかというような形で言っておるようですけれど
も、まさしくそこに課題があるのかなと思っております。
本来、農業は家族経営が中心ですので、一戸一戸みんなばらばらにやっているという形ですけ
れども、ばらばらにやっていたんでは、国際化という中での強い体制づくりができない。個別農
-2-
家を支える全体の組織ということで、営農センター方式を立ち上げておりますが、これが全戸参
加ということになっております。後でも言いますけれども、農家がお金を拠出してくれています
ので、拠出している農家の数ということであります。それから設立が 61 年の9月ということで、
もう 22 年くらいになっております。
これは設立当初からの目的にしておるところですけれども、営農センターは町の農業の企画・
調整、そして農家の合意づくり、そしてもう一つ最初から掲げておるのが、農村をどう守ってい
くか。農業と農村、農地というのは表裏一体の関係ですので、やはり農村が守られないと農業は
守れないということで、農村を守るということを大きな目標に掲げてやってきました。
営農センターの仕組みですけれども、こんなふうになっています。営農センター、これは人間
でいうと、ちょうど頭の機能ですけれども、町の農業者と農業関係団体、それぞれの関係者全員
で集まって組織しております。そしてここでは農業や農村の振興施策、町としてどういうふうに
農業を振興していったらいいか、農村を振興していったらいいかという企画・立案・評価をやっ
ている。
そこで一本の方針が出てきますので、そのものを地区別に実施していくということで、旧村単
位につくられました四つの地区営農組合が実践組織ということでやってきております。旧村単位
につくってありまして、地域の農業のマネジメント、また農地をどういうふうに利用し、それを
守っていったらいいのか。さらには実践組織としての作業受託、それから全農家参加ですので、
農用地の利用改善団体ということにもなっております。まさしく今のが手足の機能ということで、
実践の組織であります。
機構図に書きますと、どうなっているかということですけれども、町の専門委員会です。です
から、町の下についています。60 年までは、営農センターというテーブルがなかったんですが、61
年に営農センターというテーブルをつくりました。この機能は、さっきも言いましたように、町
の農業・農村をどうやっていったらいいかという企画・立案・評価、また合意づくりの機能です。
60 年まではそれぞればらばらに取り組んでおったんですけれども、このテーブルをつくりま
したので、町の農業に関係する人たちが、この周りにぐるぐるっと集まって、例えば今度の品目
横断でいいますと、これをどういうふうにやっていったらいいのか。うちは 15 年から取り組ん
で、早目に方針も出していますが、そういう戦略的な部分をやっているということです。
そこでみんなで相談しますので、飯島はこうやっていこうじゃないかというような計画が一本
化されます。一つの目標に向かって、それぞれ農協は農協、農家は農家で、自分たちの持ち場・
持ち場によって実践をしていくというような形です。
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これは町の委員会ですので、事務局は私たち役場が持っていまして、幹事長は私です。この幹
事会は定例会になっていまして、最低毎月一回は開かなくちゃならないということになっていま
す。品目横断とか、いろんな問題がありますので、恐らく週一回程度は何だかんだで集まってや
っていると思います。
それから実践ということになりますと、今度は農協が事務局機能を担いまして、各地区営農組
合がそれぞれ地区の実情を生かして実践をしているという状況です。
今、いろいろな組織というか機構をつくれといわれていますけれども、飯島では営農センター
に例えば水田農業の推進協議会だとか、今度の担い手育成協議会だとかいう看板をつけろと言わ
れると、これに看板をかけているだけですので、こういう意味でも対策なり目標が完全に一体化
しているという状況であります。
ちょっと足取りを整理してみたんですけれども、60 年に、営農センターづくりをやろうじゃ
ないか、みんなで力を合わせてやっていこうじゃないかという形で意見が出てきまして、そして
検討していって、61 年9月に営農センター設立ですから、もう二十何年になります。最初は、
全部の集落に集落営農組合をつくりました。しかし、その形では思うように効果が出なかったと
いうことで、平成2年までには旧村単位の営農組合につくりかえた。
ここに書いてありますけれども、早い段階、62 年ころ、もう全町体制ができてきておりまし
て、そういう中から、これを支援していくためには、やはり鉛筆と紙だけではどうしようもない
ぞ。例えば農地を有効に使うためにも、地図をベースに情報システムが欲しい、このころ情報シ
ステムというような言葉はなかったと思うんですけれども、今になると情報システムということ
になりました。
全国に照会をかけたんですけれども、こういう形でやっているところはないということになっ
てしまいました。小さい集落をパソコンでやっている程度のものはあったようですけれども、そ
れも地図と土地のデータだけというような形でしたので、そうなれば自分でつくるしかないなと
いうことで、地図に強いというメーカーと一緒になって、足かけ3年で、A−GIS 21 という
ものをつくり出したわけです。
私たちの方は、農業上のノウハウだとか、こういうものが欲しいんだという情報を業者さんの
方に投げかけて、業者さんの方はそれを、これでどうですかという形で足かけ3年やったという
ことです。
これから説明するシステムは、平成4年から、ほとんど今の形で動いております。もう 15 年
近くになると思いますけれども、恐らく情報システムをこういうふうに広範に活用している例と
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いうことになると、私は全国で飯島のほかにはあまり無かったと思っております。
その後、A−GISは、それぞれ農業の制度が変わりますので、業者とキャッチボールしなが
ら、バージョンアップしながら、やってきているという形の中で、今では次のところで出てきて
おります品目横断、ここをこれからつくって支援システムを立ち上げていかなくちゃならないな
ということで始める段階になっています。
もう一つは、品目横断の中で、この担い手をどうするかという問題で、私たち 15 年からかか
って、今、地区営農組合の二階建て法人化というのを進めています。品目横断はもう方針を決め
ていますので、農地・水をどうやってやるかというようなところをやっている足取りになってお
ります。
今日は情報の関係ですので、できるだけ組織づくりというようなところは簡単にいきたいと思
いますが、営農センターという形のものは、なかなか全国にないです。国も今、営農組合をつく
って、そこを品目横断の担い手にすると言っているんですけれども、それは手足の機能ですね。
実践集団です。そこの上の戦略的な部分をどうこうするというのは実はないんですが、私は長く
やってきて、やっぱりこのことが何より一番大事だなと思っております。
そのものをどうやってつくるのかというときに、まとめ役はだれかというと、やっぱり自治体。
私たち町が投げかけて、そしてまとめてきたものですけれども、自治体というものの役割と機能
ですね。いろいろ言われておる私たち自治体、地方公務員ですけれども、やはり持っている機能
というのはあるわけです。純粋に市町村の将来を方向づけしていくとか、そして投げかけの中で
地域の皆さんに訴えかけていけば、幅広い人たちが集まっていただけるということもあります。
また自治体として、町の将来というものを示していかなくちゃならないというような役割もあ
るわけですので、やはりここのところは、だれがやるかと言えば、自治体の役割かなと思うわけ
です。飯島はそういうことで町が投げかけて、組織づくりをしてきました。
目的は、WTOといっても何が課題かといったら、日本農業の規模が零細だということなんで
すね。結論は見えているわけです。ヨーロッパが大体 10 倍、アメリカが 100 倍というような規
模ですので、一切の関税をなくしてしまえば、これはもう結論は見えているわけです。ですから
品目横断といっても、あれは限界もあるし、例えば 400 ヘクタールというもので飯が食えるかと
いう話じゃないわけですよね。そういう形になっていると思いまして、ここに根本的な問題があ
るわけです。
やはり日本の中でどれだけ規模のメリットを追求できるか、そういう手だてはどういうものが
あるか、そこを求めたいということで、個人の経営はそれでいくんですけれども、共同の力でそ
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れを補う。その役割は何なのかなというようなこと、これが非常にたくさんあると思います。
それからさっきも言いましたように、ばらばらであった推進体制ですね。みんながあっちやこ
っちを向いておるというのでなくて、やっぱりみんなで同じところを見つめて進むんだ、そして
そのために協力し合ってやるんだという体制ですね。これが零細を克服する一つの手段ではない
のかなと思います。
もう一つは、日本農政の中で、12 年に開始されました食料・農業・農村基本法に「農村」と
入ってきておるんですけれども、今度は農地・水が若干そういう傾向はあるんですが、農村とい
うものはどうなのかという部分がよく見えない。私たち中山間までいくと、農村自身が農業その
ものなんですよね。農村のないところで農業なんかあり得ないんです。
今度の品目横断にしても、やはり目指しているのは農家をつくるというところだと思うんです
けれども、その中では一部の農家が支援を受けられる、それ以外のものはどちらかといえばやめ
ていただきたいなという形になるということで、やめる人たちが多いわけですよね。そういうと
きに農村はどういうふうになっていくのかな。ここの部分を地方の自治体としては考えていかな
いといけない。
例えば飯島に大きな農家が 10 軒、20 軒できても、それでよかったなというわけにはいかない
じゃないかというあたりのところで、私ども発足の段階から「農村」というものに着目してやっ
てきている。このものを解決するためにみんなで力を合わせてやっていこうじゃないかというこ
とで、営農センターを立ち上げてやってきたという経過です。
きっかけとかはいろいろあるんですけれども、組織づくりの中では非常に大事なことなんです
が、飛ばしていきたいと思います。今もそうですけれども、品目横断をやるということで、やら
なきゃならないなということですけれども、これを話から動きに変えるきっかけが何かないと、
いつまでも話でいってしまうということだと思います。どんなものでも、確かにやればいいねと
いうことで終わってしまうということが非常に多いわけです。それを実際の地域の動き、農家の
動きに変えていくには、何かのきっかけを見つけて動かさないと、私たちが話を聞いてもらった
だけで終わってしまうという形になると思います。
私たち営農センターは、農業委員会の建議というものを使ってきっかけをつくったということ
ですけれども、今度の品目横断は、麦・大豆等つくっているところは、これに取り組めば、その
結果としていただけるものもあるわけですので、そこら辺のところをきっかけにしていくという
形でいけばいいのかなと思っています。
もう一つが、関係機関が、農業者も含めてばらばらではだめだということですね。さっき農業
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関係団体の連携ということを小澤理事さんも言っておられましたけれども、まさしくそういうこ
とだと思います。みんなで力を合わせたところに、1+1=2以上の力が出てくるんだなという
ことであると思います。
ちょうど品目横断で、個人の経営体になれない人たちを拾うために集落営農ということでやっ
ておるんですけれども、私たち、これも二十数年前にやったことです。ちょうどこの言葉が、集
落説明に行ったときに使った言葉なんです。そのままです。営農センターづくりもえらかったん
ですが、一番えらかったのは、全集落に営農組合をつくるということがえらかったんですよね。
行政が中心になってやりましたが、リーダーのいるところに営農組合をつくればいいというの
ではなく、全部のところにつくるということでいきましたので、非常に大変だった。ある意味、
考え方の革命ですので。
ここでポイントと書いたのは、「この指とまれ」というのをだれがやったらいいのか。農家一
人一人は、そういう希望も悩みも持っておるかもしれないんですけれども、依然ばらばらでまと
める人がいない。今度の品目横断で、国は地域にリーダーを育てるということを言っています。
飯島は、リーダーはいなかったんですけれども、営農センターでこういう方針でいくよという目
標を決めましたので、そのものを営農センターの委員と私たち事務局が分担して、恐らく3班か
5班つくったと思うんですが、わかっていただけるまで説明に行くよということで集落に説明に
行きました。
そこで言ったのは、まず集落に営農組合をつくってください。なぜ集落に営農組合なんだとい
うことになるんですけれども、ここでさっきも言いましたが、日本の農業はやっぱり零細です。
そこのところを克服しないと、世界の農業どころじゃない、日本の中で生き残れない。
まず営農組合をつくって、今は一人一人が農地を使っておるんだけれども、これからは営農組
合のエリアで最高に効率の上がる、メリットの上がる土地利用というものを、みんなの合意でつ
くり出していこう。いつまでも一人一人で農地を使っておってはだめだ。さっきの小澤さんの言
葉でいきますと、所有と利用の分離ということですよね。一人一人のものだけれども、使うのは
みんなの合意で使うんだ。
そうすると今度、一番の部分は土地利用型ですよね。米だとか、麦、ソバ、大豆、こういった
ものはやはり大型化して、極限までコストを下げなければならない作目です。土地が広く使える
ようになると大型機械化ができるという形で、極限までコストダウンしよう。残った労力は、
「花
とキノコと果物の里づくり」をしようということで、やってきたという形です。
私たち、さっきもいいましたけれども、営農センターをつくろうというのは 60 年のときに―
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―私は 60 年から来たんですが――そういう提案をして、61 年の1月からかかっておるんです。
ここの営農組合づくりまでは、62 年の3月までに全部つくってしまいました。全くゼロのとこ
ろから、営農センターをつくって全部の集落に営農組合をつくって、それを昔の旧村単位にまと
めた地区協議会というものまで、15 ヵ月でつくっちゃったわけです。だから、やりようによっ
たら、そんなに時間をかけなくてできるし、時間をかけたら逆にできないということを、私は言
っております。
そんなことでやってきたんですけれども、実際にやってみたら、集落営農組合では思ったよう
な効果が上がらないということが結果として出てきちゃったんですね。まず規模が小さい。30
ヘクタールや 40 ヘクタールでは、コストダウンといっても、大きいコンバインを入れるわけに
もいかんしというふうになってしまいますので、これは規模が小さ過ぎてだめだ。
もう一つは、大事な要素ですが、土地利用ですね。土地利用調整を営農組合がやるんですけれ
ども、入り作が多くて、よそへ行って断ってこなければ土地利用計画が立てられない、非常に手
間がかかる。これじゃ余りよくないなということで、昔の村単位というところに広げて、つくり
直しをしたわけです。
やっぱり営農組合づくりの中では、エリアどりをどうするかということをよく考えてやる必要
があると思います。小さいと、つくっても余り意味ないです。そして、次の段階では営農計画や
土地利用調整だけじゃだめだ、実践までやらなきゃだめだということで、13 あった水稲協業組
合を全部統合して、四つの営農組合で回す体制を平成2年ごろまでにつくってしまった。
この段階から、さっき言ったA−GIS、農業情報システムという話が出てきているわけです。
例えば土地利用だとか、作業の問題だとか、いろんな問題で情報システムが欲しい。
最初に言ったように、私たちの場合は最初に情報システムが欲しいということでかかっていな
いんですね。組織をつくってやっていってみたところで、情報システムが欲しいというふうに入
っているわけです。ここがやっぱりポイントだと思います。多くの場合、情報システムを先に買
っちゃうんですよ。どうやって使うんだというふうになってしまうんですね。ここらがポイント
かなと思います。
営農組合の仕組みは、農事組合法人を目指していましたので、農協の仕組みと全く同じであり
ます。総代会制、理事会制で、中に営農企画だとか土地利用、機械利用というのがあります。機
械利用と労働調整を一緒にやっておるんですけれども、後で言いますが、ここの部門が次の二階
建ての法人につながっていくわけです。
最初につくった営農組合は、部落ごとにありますので、農家意向の取りまとめ等々というよう
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な機能になっております。
ここで役割分担ということであるんですが、組織の問題になるんですけれども、役割分担とい
うものが組織を活発化させていく上でも非常に大事だなということで書きました。
まず行政の役割です。私たちは行政には大きな役割があると思っております。町の農村の将来
はどうあるべきか、また町の農業はどうやって振興していったらいいのかという方針は、やっぱ
り行政が示さなければならないという形の中で、営農センターを持って、その機能を担っており
ますので、車の両輪というか、半分ぐらいの機能は行政が背負っております。
それから実践の方にいきますと、営農組合のつくりかえをやったんです。営農組合をつくった
んだけれども、2年ばかりのうちに地区営農組合という話をまた持っていきましたので、農家の
皆さんには何を言っておるんだといって怒られたんですが、さっき言ったような説明をして、そ
れならわかったけれども、それだけやられると、事務局の機能は農家じゃ無理だよという問題が
出てきました。わかりました、事務局の機能、いわゆる縁の下の部分は農協が幹事長になって、
私たち役場も普及所も入って、給料をもらっている者が担っていきます。飯島で四つですので、
そのくらいの数だったら担えるということです。
ただ実際の営農組合の方は、これは農家だけでやるんですよという形ですので、この中には役
場や農協は入っていません。したがって、農家だけの力で回さなくちゃならないというシステム
になっておるものですから、それでやっぱり農家が力をつけながら、続いてきておる。
これにもし農協とかが入っておったら、おんぶに抱っこ方式になっておると思いますけれども、
うちの場合はそうなっていないということです。そこら辺にポイントがあるかなということで、
書いてみました。
その組織が、ここに書いてあるように 450 戸から 200 戸ぐらいの営農組合員、そして面積で 400
ヘクタールから 200 ヘクタール前後の規模を持っておる。この規模の中で、土地利用や機械整備
ができるという形で、とてもアメリカと競争なんていうわけにはいかないんですけれども、中山
間の中では一つのスケールメリットが求められる体制ができておるというのが一番のねらいかと
思います。
そこで、これを支えるために農家が拠出しています。1,200 何戸というのがあったんですけれ
ども、センサス上は 1,130 戸ですので、センサスより多い農家の人たちが、この営農システムを
支えるために拠出をしておる。この中では、地域とも補償で 4,000 円。それから営農センターの
活動という形の中で 1,700 万ぐらいを拠出しておるわけです。
どういうことに使っているかといいますと、営農センターの活動、法人化を進めなきゃならん
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ので、そういうことだとか、地区営農組合の活動。そしてもう一つの生き残りということで環境
保全型農業ですね。これももう5年ばかり取り組んできています。
そして、きょうのテーマである情報システムというのを持っても、後で言いますが、お金がか
かります。これはさっきも言いましたが、金の出所がないので、これをという話がありましたが、
やっぱりそういう問題じゃないんですね。ここで大事なのは、メリットが農家に実感できる形に
ならないと農家は拠出してくれませんよね。
恐らく行政の分も含めると、データメンテナンス料が年間 200 万から 200 万ちょっとかかって
いると思います。それを動かしているオペレーターの賃金が、500 万の半分ぐらい、300 万ぐら
いかかっていますので、ランニングに約 500 万はかかっていると思います。
地域複合営農の目的は、さっきも言いましたので飛ばしていきますが、地域複合営農といって
いるんですが、何で「地域」かということは、集落じゃなくて広いということですね。広くなき
ゃだめだ。さっきも言いましたように、エリアどりをどうするか。昔の村単位ぐらいになれば、
こういう体制ができるわけです。複合という形の中では、いつまでも個人だけでやりきる農業で
はだめだよ、そこのところをいろんな形で補完したり、作目も複合していくような形が大事だよ
ということで、地域複合という名前をとっております。
ここはちょっと言っておきたいんですが、やはりこの先、非常に重要になってくるのが農地の
利用調整機能です。65 歳以上の人が約6割になっていますので、非常に短期間に圧倒的に農地
が出ていきます。出てくるというんだけど、どこへ出したらいいの、どういうふうに使ったらい
いの、ということを受けて調整する機能が余りないわけですね。
そこで飯島では、平成2年から農用地利用調整システムというのを持っていまして、全農家参
加の営農組合が利用改善団体でやっています。全農家、地主が参加していますので、農地利用は
ここで決められるわけですよね。この組合員が、いいと言えばいいわけです。この機能を持って
いる中で土地利用部が中心となって、毎年 10 月ごろ、農地の出し手、ほかの農地を借りたい人
の意向を取りまとめて、この中で、こういうのがいいね、担い手になっていく人を集めていくと
か、そういうことをやったり、また営農組合として団地的に土地を使うというようなことを決め
ているということでやっております。
その農地の貸し借りの部分は、ここで決めた計画に基づいて基盤強化法の手続ですね。農協の
農地保有合理化法人になっていますので、一たん全部ここへ入れてしまいます。ここから農家に
貸しつける。これをA−GISで支援しているという形で、後でちょっと説明したいと思います。
これは非常に重要な機能です。重要な機能ですけれども、余りないですね。恐らく5年、10
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年の間には、全国で 50 %とかいう農地が流動化で出てくると思います。それをどういうふうに
活用して、どういうふうに維持・管理していくかというのは、ものすごい問題になると思うんで
すね。これはやはり情報システムがないとやれないと思います。
その中で、団地的に使っていますし、機器械も減ってきております。そういうことでコストも
下がってきておる状況になっていまして、さっき言った麦・ソバ・大豆は営農組合が全部やって
いますので、こういう形になっていますけれども、この先はここの部分を法人化ということで、
今やってきているわけです。
さっきの話にもありましたけれども、米は地帯別栽培をやっていまして、お米の価格は、全部
プール精算しています。どこでつくっても、どんなものをやっても、米の所得は同じということ
でプールをかけちゃっています。これはどういうことかというと、農家の思惑で米をつくっちゃ
だめだよ、消費者の方から求められた形のものをつくっていかなきゃだめだよ、それをやるため
に昭和 63 年からやってきたんですけれども、まさしく今度、米政策の中でこれが言われるよう
になりまして、今は郡農協全域でこれが広がっております。これをやるにも情報システムが当然
要るわけです。
そんな中で水田は基盤になるんですけれども、米作からの脱却というか、ほかの柱を立てると
いうようなこともやってきている。
担い手は 75 の認定農業者がいるんですけれども、今度の品目横断もそうですが、認定農業者
の中の米・麦・大豆の部分にかかってくる。その担い手というのはなかなかふえていないと思い
ますし、それぞれの町村で、この部分はそんなにいないと思います。
農村の元気というのは、女性の方が元気なら元気ですけれども、こういうこともやってきまし
た。
自治体農政の課題ということですけれども、「自治体農政」という言葉がどういうふうにとら
えられるかは別として、これは私が言っておるだけかもしれませんが、さっき言ったような形の
中で自治体というものの役割がある。その中で、新農政の実施に向けて、全町体制で将来展望の
持てる農業ですね。
これだけ変わっていく中で、経営所得安定等対策というやつですね。今度、三つの柱がやられ
るんですけれども、あれを国がああいうふうに出してきたのは、やっぱり自治体ごと、自分たち
の立地に合わして、その地域・地域に合ったものにしながらやっていかなくちゃならないという
中で、自治体としてどういう展望をつくっていくのか、持てる農業を示していくのかというのが
大事なことだな、これはやっぱり自治体の役割なんじゃないのかなということで書いてあります。
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また後からも言うんですけれども、国はそう言っておるんですが、もう一つ日本の農業にしか
ない力というのもあるんですね。日本の自然とか環境というものと表裏一体のものですので、そ
ういったものの中に生き残りを見出すということも、戦略の中に位置づけていく必要があるんじ
ゃないか。特に 21 世紀はそういう時代ですよね。やはり自治体として、この先、農業が大転換
される中で将来像を示していく、このことが求められておるのではないかなということをここに
書いたわけです。
さっきも言いましたが、これは全国のデータと同じです。65 歳以上の人が 58 %ですね。これ
はもう全国同じです。ですから、飯島よりもうちょっと中山間になると、この率がもう7割とか
言っているところもあると思います。一番若い人が 65 歳ですので、その人も 10 年たてば 75 と
いうことですので、少なくとも 10 年の間には、ほとんど全部の人がリタイアするというふうに
考えてもいいと思うんです。この受け皿をどういうふうにつくっていくかということが、今一番
求められているかなと思うわけです。
いろいろアンケートをとりましたので、そんなことが書いてあります。農業経営を縮小するか、
もうやめちゃうという人が非常に多い。そして農家の中でも、家の跡継ぎはおっても農業は継い
でくれないという人が 75 %ですね。4分の3。この受け皿をどうするかということになるんで
すけれども、飯島の場合ですと、営農組合でやってきましたので、営農組合で頼むわということ
になっておりますが、営農組合のないところでは、これをどういうふうにしていくかということ
があると思います。
そんな中で、パートⅢということで次の目標を立ててきているんですけれども、やっぱり小さ
な政府、小さな役場がする中では、今まで行政が担ってきた役割というものを営農センター自身
が持ってかなくちゃならないなという部分ですね。マネジメント機能の強化。
そして営農組合の体制の中では、全戸参加の営農組合の法人化というものも挙げてあります。
これは、今回はならなかったんですけれども、米が品目横断になった場合には、やはり今言って
おるような営農組合の形の中で、全部そこへ出しちゃうという形が簡単にできるのかどうか。や
はり米に対する執着は相当ありますので、そういう中で農事組合法人の二号法人ですね。この形
が求められるかなということですけれども、当面の問題とすると、営農組合の二階に会社法人を
つくるということでやってきております。
担い手育成ということで、個別の認定農業者は第一義的に育成するんですけれども、それでは
補い切れない部分、二階建ての法人ということで進めております。
どういうことかというと、飯島では二十何年やってきた一階があるわけです。地区農業の企画、
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農地利用調整等をつくる組織ですけれども、現在の組織は活動をそのまま続けていきます。全農
家・地主全員参加であります。全農家が出ていますので、地域農業の計画や土地利用調整、地域
の合意形成はできるわけですね。それから機械・施設等の保有だとか、作業等の取りまとめ、農
地を貸し出す取りまとめ等は、依然として一階の部分がやっていきます。
会社をつくりました。これは任意組織ですので、参加できませんので、持ち株会というものを
つくって、その代表者が二階の法人に――これは有限でつくりましたので―― 300 万以上という
ことで、150 万持ってここに参加している。一階・二階の関係ですが、さらに経営にも参加して
おるわけです。
そしてもう一つは、農地・水もありますけれども、これからにおいて農村をみんな参加の中で
守っていく。そういう部分の二階に、今度の品目横断も視野に入れながら法人をつくってきてい
ます。これは有限会社でつくりまして、地区の有志ということで、手挙げでやりました。こうい
うことでやるよという中で、私やってみるよという人です。主になるのは3人から5人で、あと
は地域の代表も入れて、15 人ぐらいの法人、有限会社です。
ここはどういうことをするかといいますと、今まで一階がやっておった水稲の機械作業、6割
以上が営農組合へ委託、それからここにある麦・ソバ・大豆は全部、営農組合に委託ですが、そ
れは全部この法人が再受託を受けて、今、作業をやっています。
それから今度の品目横断の麦・ソバ・大豆等については、経営委託という形の中で、全部、法
人が受けてやります。これから出てきてしまう農地ですけれども、これも借り受けて経営をして
いく。
そして何より会社法人にしたのは、一次産業だけではだめだという中で、加工からアグリビジ
ネス、サービス業までやる。今、そういう施設もつくりながら、体制を整えております。
そして、この法人は特定農業法人ということですので、営農組合、農家と一緒になって、地域
の農地を守っていくという機能を果たしていくということでやっています。
平成 15 年以降、やってきまして、この春先までに三つの法人ができまして、今四つ目が準備
会という段階です。19 年の品目横断までには間に合わせないといけないということでやってお
るわけです。
品目横断への対応ですけれども、今でも営農組合の機械利用対応でやってきたんですけれども、
19 年からは麦・ソバ・大豆については担い手法人に経営を委託してしまう。生産から販売まで、
全部委託してしまう。今までも3年間やってきましたので、同じことなんですけれども、形上そ
ういうふうにする。
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出し手農家は共益作業ということで、できる作業を受け持つということで共益配分を受け取る
という考え方でいく。
米は選択方式ということで、米政策はほとんど残りましたので、認定農業者になっている人は
自分でやればいいし、そうでない人は今までどおり米をつくる。あそこの中で、経営確立と何と
か対策というのが出まして、ならしの部分も出ますので、米はこの3年間の間に次の体制をつく
るということで考えております。お金の配分等はこんなふうになる。
もう一つのポイントとしてやっているのが、日本にしかない自然、これとリンクした農業、共
生する農業を組み立てることにおいて生き残りをかけたいということで、これも5年ぐらい前か
ら取り組んでいます。「1,000 ヘクタール自然共生農場づくり」というタイトルをつけてやってお
ります。
1,000 ヘクタールというのは、農地が 1,080 ですので、全部の地域でやりたい。水はだれにも
負けない水がありますので、水を売るというようなことやら、農業をすることにおいて、環境と
共生できる農業。土をつくりかえて、農薬を減らすということで、こんな取り組みをしておりま
すが、その中で新たな物流を組み立てたいということも進めております。
今、約 30 ヘクタール実施をしていまして、大分売れ始めてきました。実際につくってみると、
化学肥料は置きかえちゃっていますので、使っていませんし、農薬も半分で、非常にいいものが
できます。
結局、農家は予防ということで、病気が出ないように薬を使っているんですね。農協の指導も
全くそうなんです。あれはやめてみても大丈夫です。細かく注意していて、出たときにやるとい
う形でいけば、相当、もう半分以下にはできます。そんなこともやっています。
今、自然共生農場基本計画づくりというのを3年前からやっているんですけれども、ことし、
その報告が来ます。自然と共生する農業、それをどう進めていったらいいのか、その安全の度合
いを図る生き物の物差しづくり、そしてまたそれを物流にするにはどうするかというようなこと
をやっております。
そのための消費者との生き物調査をやっていまして、消費者の皆さんも非常に熱心です。交流
もやっている。
そのための農家の育成ということで、こういう学校も開いてやっています。非常に勉強してい
ます。私もそういうところへ出たんですけれども、非常にいい勉強ができました。勉強というの
は大事ですね。その中で、環境の度合いとかも見ながらやっている。都市との交流とか、こんな
ことも結構力を入れてやっております。
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この情報という問題なんですけれども、今言うようなことになってきましたので、やっぱり全
部、紙と鉛筆と消しゴムだけではとても無理だということで、さっき言いましたように、平成2
年からこれに取り組んできました。
この中でポイントになるのは、さっきの小澤代表理事さんのお話にもありましたけれども、整
備の目的・計画というものが最初になければだめだと思います。自動車だったら、買ってしまえ
ば、いい車を買えば気持ちよく乗れるんですけれども、こういうものはいいものを買っても使う
体制がなければ使えないということだと思います。
その次に大事なのは、開発とか管理はどこがやるかということです。だんだん情報管理が厳し
くなって、さっき小澤理事さんの話の中でも、後でも触れてみたいんですけれども、個人の名前
を出すだけでも今は非常に難しいです。一方では、情報システムの一番大事なことは、絶えずメ
ンテナンスをしていかなくちゃ情報の意味がない。古い情報なんか絶対だめです。死んじゃった
人に請求書なんか出したら、これはもうだれも信じてくれないという形になりますので、絶えず
情報はデータメンテナンスをしていかなくちゃならない。どこができるかということですね。
次は整備後ですけれども、さっきの小澤さんの話にもコストダウンとあったんですが、情報機
器を整備するコストダウンというのは私は余りないと思うんです。逆に、活用を広げることなん
です。いろいろなことに使ってコストを下げる。この情報システム、パソコンを安いやつを買う
とか、ソフトをたたいて買うという問題じゃないんです。そこのところをどうするかという形か
なと思います。
一たん整備したら、小澤理事さんの話のように、私も意見は同じです。いろんな行政の税金取
るシステムまで、そんなものじゃないけど、やっぱり農業関連を包括した活用システムがいいな
と思いますけれども、そういうところに広げていくことによってコストを下げる。特に経済行為
に使うことにおいてコストを下げるということですね。その実感というのは、農家が、これがな
きゃだめだわと思うようなところまでいかなければならないんじゃないか。
そのためには使いこなす組織とか体制がなければだめです。飯島にこの体制があるから、本当
に活用しているんですけれども、これがなかったら、使えないですね。だからシステムが欲しい
なと買っちゃった。だれが使うの。さっき農家台帳システムとありましたが、確かに農業委員会
なんかが使ったって、あれは意味ないんですよね。私も担当はしていますけれども、あれは経済
行為は余り出てきません。正しい情報が提供できるとか、そういうことはあるんですけれども、
だから幾らという問題にはならない。まあ幾らかはなるんだと思いますけれども、かけたコスト
からすると、費用対効果という形では出てこないと思います。
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もう一つが情報の管理というものです。これが非常に難しくなっていますので、情報をもらう
ことも大変なんですけれども、管理というものに意を配していかないと、一たんここから信用が
なくなってしまうと、もう動かせなくなってしまうと思います。
運営に当たってのポイントですけれども、今も言いましたが、データメンテナンスはリアルタ
イムでやる必要がある。少なくとも年1回、2回、3回とかはやらなくちゃだめだということで
す。飯島の場合は、私たち行政が持っていますので、住民基本台帳のデータから農家の部分だけ
もらってくるとか、固定資産のところから土地のデータをもらってくるということで、これを動
かしているわけですが、例えばこれが農協にあった場合、その情報は出るのかなということがあ
ると思います。
それから、システムの維持には相当な費用がかかるということですから、これを安上がりにや
るということじゃなく、さっきも言った活用の中で、これをこなす採算がなければ、さっきの小
澤さんの話のように、お金がないからシステムをというふうになっていっちゃう場合もあります。
ですから、ここに書いてあるのは、費用を上回る活用をどうするか、そのための体制づくりが大
事かと思います。
やっぱり情報システムのメリットを拡大していくと、最終的に一番メリットをこうむっている
のは農家ということなんですよね。ここのところを、農家に実感があるような形まで持っていか
ないと、なかなか理解を得られない。例えば飯島でいきますと、後でも説明しますけれども、農
家が一番いろんな事務から開放されているわけです。そういうところまでいくと、情報を出すと
いうことにも農家は同意してくれるという関係になるのかなと思います。
いずれにしても組織が必要だ。農地利用調整だとか、営農組合だとか、土地改良区だとか、土
地改良区は理解が得られるだろうし、いろんな意味でいいと思うんですけれども、ただ土地改良
区の中でランニングコスト、費用対効果がどのくらいというふうになると、これはなかなか難し
い。私たち経済行為に使っていますのでいいんですけれども、そこら辺のところで、ある程度の
コスト負担を覚悟しないと持っていても大変だなと思います。
どんなことに使っているかということですけれども、ベースになるのは農地台帳システムです
ね。この中に農家のデータ、それから土地のデータも入っています。このデータがあれば、さっ
きの小澤理事さんの話にもありましたけれども、ほとんどいろんなものに使えるわけです。
例えば飯島では、農用地の利用調整だとか、農作業の受委託だとか、水田農業の支援、それか
ら地域振興作物、さっきの地帯別栽培とか、経営体の育成、災害の直接支払い、今度の品目横断
等々に使えるということになります。
- 16 -
この中の一つ一つが、農家の経済行為にかかわる部分に使っておるものですから、費用対効果
ということになってくるわけですよね。行政の使うシステムというものは、費用対効果はわかり
にくい。だから最初から予算が負担できる範囲内のシステムを整備するのでなければ無理だとい
うふうに思います。
一つには農用地利用調整ですけれども、さっき言いましたが私ども 22 %、何年かの間に3割、
4割と出てくると思いますけれども、その農地を効率よく使って、そして責任を持って管理して
いくということです。このために情報システムは要ります。
これは地目等を表示したものですけれども、さっき部長さんのお話にもありましたが、これは
経営者、所有者が表示できます。そしてまた写真を重ねれば、現況も確認できる。
これをベースに、農地の利用権の設定です。これが終期ですね。赤いのが、本年、終わりが来
ます。その終期の一覧表。そして終期に伴う通知。終わりですよ、どうしますか、また借りてく
ださいということで、取りまとめると出てきます。
黄色が担い手ですので、担い手のところに今度出てくる青いのをくっつけてやれば、担い手の
規模拡大につながっていくわけですけれども、地図上から、利用権設定各筆明細書がつくれます
ので、これで営農組合を通じて判こを取ってくれば、農地の貸し借りが完了。
時期が来れば、A−GISの中から精算の通知が行きます。12 月にやっているんですけれど
も、これを貸し手と借り手に配って、ここから出たデータで、農協のコンピューターを動かして、
口座間で小作料の精算をかけているということで、非常にここら辺のところから大きく解放され
ているわけです。
何より農地は、個人の財産ですので、あそこに預けたら安心だわ、営農組合に出したら安心だ
というのがなければなんですけれども、飯島ではこれで 22 %、二百何十ヘクタールという土地
が出てきています。営農組合にお願いします、と簡単に出てきます。
次に農作業なんですけれども、6割以上の農作業は営農組合がやっていますし、麦・ソバ・大
豆等は全部営農組合がつくっています。
これを情報システムでやっていますけれども、作業の取りまとめ、地図、営農組合の作業の指
示書も出すわけです。指示書と立て札と地図を出します。そうすると営農組合は、今度は法人で
すけれども、法人はその立て札を農家に配って立ててもらいます。法人は、指示書と地図に基づ
いてカタオシに農作業をやっていって、終わると完了報告を出します。そうすると完了報告に基
づいて、さっき言ったように個人通知を出しまして、農協のコンピューターを動かして精算をか
ける。
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さっきも言いましたように、今までは農家が作業の取りまとめ、お金の精算、お金を集める、
全部やっておったわけです。全部解放されていますので、だから飯島までくると、情報を出すの
はいいわけですね。出さなかったら自分でやるということですので。
こういうことで経済行為に使っていますので、コストが回収できるわけです。例えば水田農業
も、計画からこれでやっておりますし、地域振興作物の地帯別栽培とかもこれでやっている。ま
た経営体の育成というような問題、中山間の直接支払いですね。
私ども使いましたけれども、きょうは水土里ネットの方が多いんですが、災害が出ますと、補
助率増高というようなことで、字切図の作成が大変です。これは県の方に頼みまして、公図に色
を塗るということですが、もうやめてくれと。うちの場合は、A−GISの図面にしてくれとい
うことで認めてもらいました。A−GISで塗れば、あっという間に塗れちゃうんですよね。大
きい災害が出ると、これは職員が半月ぐらいかかってやるんですよね。そういうことにも使って
いるということです。
これは写真が出ていますけれども、水のかけ口・出口、それから水路の受益、これを出したも
のです。
さっきの生き物環境調査のデータもこの中に落としていきたい。また今度の基盤強化法の整備
の中で、遊休荒廃農地の管理というのが非常に厳しく言われています。まだ飯島ではやっていま
せんけれども、こういったものの支援も、この情報システムでやるようにしたいなと思っていま
す。
何よりこれからの課題は、今度の農地・水ですね。農地・水というものが出てきた場合、これ
についても、この情報システムを活用していきたいなということ。特に営農の支援ということが
出てきていますので、そこでどういうものがつくられているのか、そこでどういう作付がされて
おるのかということあたりがデータとして求められます。そういったものも、これからやってい
きたいなと思っております。
一番最後になりましたけれども、中央アルプスと南アルプス、二つのアルプスがこれだけきれ
いに見えるのは、あの地域でも私たちの町だけです。そこから流れ出る水、これで私たちは生活
もしたり農業もしているということで、これもちょっと宣伝ですけれども、書きました。以上で
す。
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新潟県川西町(現十日町市)における
産地づくり支援農地情報システムの導入について
新潟県十日町市農林課
農業振興係長
田口秀樹
今回、産地づくり支援農地情報システムについて説明をするようにということでお声がけをい
ただき、本日、寄せていただいたわけですが、私どもがシステム導入をした年は平成 16 年でご
ざいます。皆様方も御承知かと思いますけれども、その年の 10 月 23 日に中越地震がございまし
た。私どもは、ちょうどその最中、システムの構築等に向けた活動をしておりましたので、かな
り無理なスケジュールの中でやったものであります。今回ここでお話をしても、皆様方の参考に
なるかどうか、ちょっと不安があるわけですが、よろしくお願いしたいと思います。
まず、川西がどういった地区かということでございます。川西町というところなんですが、形
状はほぼ四角形であります。面積は 73.55 平方キロメートル、標高は 200 〜 250 ぐらい、関田丘
陵が南北に走っておりまして、川西町を二つに分けております。
その関田丘陵の東部、東側は、信濃川ということで肥沃な土地であります。そこが農業、産業
の中心となっておりまして役所もございます。西側には、山合いを渋海川が流れておりますが、
いわゆる山間地で山菜の宝庫になっております。
この地域は雪が多く、平均的には1メートル 50 から2メートルぐらいですが、地震後は2年
連続で3メートルを超えております。特に昨年の 12 月 11 日は、すごい勢いで降りまして、1シ
ーズンの予算 12 億の内、12 月だけで5億のお金を使いました。津南町の映像等をごらんになっ
た方もいらっしゃると思いますが、いろいろなところから御支援をいただきました。
川西町の農家数ですけれども、およそ 1,100 戸でございます。総世帯の約半分でありまして、
農業が市の産業ということであります。
水田の面積ですが、1,050 ヘクタール。そのうち 90 %が水田ということで、稲作が中心の営農
-1-
形態ということであります。
東部地区、うちの方では平場と言っているんですが、この地区は昭和 40 年の後半から 50 年の
前半にかけまして、県営の圃場整備によりまして、30 アール区画の圃場整備がされました。そ
の面積は 716 ヘクタールで、全体の 85 %程度です。
これと併せて、第2次農業構造改善事業を導入いたしまして、任意の団体でございますけれど
も、集落、地域を単位とした稲作の作業を受ける生産組織が立ち上がりまして、それが全地域を
網羅する形となっております。
その組合員ですが、全体の 76 %ほど。作業の受委託面積は 81 %ぐらいをカバーしていたとい
うことなんですが、ただ作業の受委託ということでありますので、互助的な組織という位置づけ
でありました。兼業農家の方には非常にありがたい組織だったんですが、そこで働くオペレータ
ーの方については、やはり処遇、待遇、そういったものが余りよくなかったということですが、
その形態がずっと続いて平成 15 年を迎えたわけです。
平成 15 年といいますと、米政策改革といいますか、担い手の方へシフトするような形の政策。
生産調整につきましても、15 年までは休む面積の配分だったのが、16 年度からは生産する数量
に変わる中で、各種研修会に呼ばれて行きますと、悪い例ということで、よくとりざたされまし
た。
悪い例とは、昭和 40 年、50 年にかけては非常に先進的な地域であったというところで、視察
も結構来たんですが、ただそれがゆえに、先ほどお話ししたように互助組織ということで経営体
が育成されずに、そのままの昔の形で来た、一向に法人化が進まない悪いところだということで、
かなり厳しい言葉をいただいたところであります。
現在なんですが、そういった言われ方、御指摘等をいただいておったんですけれども、370 町
歩ほどの水田区域があります千手という地区に、347 名の株主で構成されます株式会社千手が、
平成 17 年の3月に設立しました。また平成 18 年の3月には、水田面積は 35 ヘクタールという
ことでかなり小さいところなんですけれども、そこにある農地の 75 %利用権設定をした株式会
社橘というのが始まりました。ほかの地区につきましても、それに続けということで、今、品目
横断的経営安定対策に向けた取り組みをしているところでございます。ざっと、川西の紹介であ
ります。
ここからは本題の資料に基づいた説明をさせていただきたいと思うんですが、私、正直、余
りシステム関係というのはよくわかっておりません。構想、思い描いていたイメージを業者の方
から具現化していただくというやり方をとっておりました。ここでの話については、システムの
-2-
内容よりも、合意をどういった形で形成してきたかという流れを説明させていただければなと思
っております。
資料の2ページに「川西町産地づくり支援農地情報システム導入の背景」というのがございま
す。これについて、ちょっと説明をさせていただきます。
一番上に、
「13 年度に町民有志 400 人が・・・」というところですが、私どもの町では、平成 12
年度に町民参加のまちづくりをという形で、学習塾として「川西有機」という組織を立ち上げま
した。その中で、家庭の生ごみのリサイクル、堆肥づくりといった話が出てまいりまして、町民
有志の中で、じゃそれに取り組もうやということで 400 人の組織ができまして、堆肥化に向けた
取り組み、活動をしておりました。
その活動が、リサイクルに対する意識を高めまして、ここにも「化石燃料の消費抑制」という
言葉がありますが、かなり好評で、それを発展させるという形で、全町 2,200 世帯への拡大とい
うことになってきました。
この動きに合わせまして、平成 15 年3月でございますが、「環境先進町エコタウン川西」とい
う位置づけで、環境に係ります基本計画をつくり、堆肥センター、年間 600 トンほどの堆肥を生
成する施設の建設に向けて動き出したということでございます。これが一番の内部環境というこ
とであります。
右下のところに外部環境というのがございますが、消費者ニーズの中に、環境重視、安全志向
といった消費者の動向が出ております。その消費者の考えと、私どもが今までしてきたこと、こ
れが合致するのではないかというところが見えてまいりました。
それから大綱にもございますように、売れる米づくりと言うことで競争が激化しております。
川西も、魚沼産コシヒカリの産地でございます。魚沼コシは、このままでも売れるよという根強
い農家の方おられますが、やはりそれだけでは維持できないのではないかということで、「競争
激化」ということを書かせていただきました。
では、この取り組みで何が必要なのかというところで疑問が出たわけですが、それが次の3ペ
ージです。堆肥利活用に何が必要かということで、いろいろ検討してまいりました。その結果、
土壌の成分、バランス調整、それから過剰施肥を避けると言ったことが必要で、分析に基づいた
施肥の設計システムの構築、それから手法を確立する必要があるという考え方が出てまいりまし
た。
それには何が必要かということで、下の左側ですが、分析にはいろいろな情報が必要でありま
す。それを収集するための体制が必要だということで、生産組合、先ほど全地域に組織があると
-3-
いう話をさせてもらいましたが、その協力がぜひ必要ということ、それから、モデル地区、実証
圃、そういったものを設置して、情報を集めていく必要があるということです。
下の右側の解析支援ですが、情報を集めて、ペーパーで管理していくだけでは、やはり分析に
は無理があるのではないかなということで、今回お話しします、産地づくり支援農地情報システ
ム、GISの導入に至ったということであります。
4ページでございますが、これから経過について順番に説明をさせて頂きますが、全体像とい
うことで、イメージ図をつけさせていただきました。平成 15 年に「産地づくり支援農地情報シ
ステム導入に向けた検討、農業関係機関との意思統一」、この部分が先ほど説明させていただき
ました2ページから3ページ、この中の動きということであります。
平成16年に入りまして、4月に「川西地域水田農業ビジョン策定」をしております。次のペ
ージにビジョンの内容が書いてありますけれども、こちらを作って、その後、「農業者に対する
啓発」、「関係機関との調整」を行い、「システム構築に係る当初構想」を作り、そしてまた「啓
発」、「個人情報の手続」、「システム開発」を行い、平生17年に「運用開始」といった流れで
きました。
真ん中ほどに「中越地震」というのがありますが、ここでバタバタバタとかなり緊迫したムー
ドになったということであります。
次の5ページの水田農業ビジョンでどういったうたい込みをしているかということなんです
が、先ほども説明しましたが、平成 15 年までは転作面積、面積の配分、これが 16 年度からは数
量の配分にかわるということで、大綱の中にうたわれておったわけですが、地域がこれからどう
いった方向に向かうのかというビジョンを各地域ごと、市町村ごとに作りなさいということであ
りました。
ここに水稲にかかわる部分の抜き出しをさせていただきましたが、(2)にあります
ように、経営・生産の総合的な振興に関する基本方針ということで、魚沼コシの中の川西コシヒ
カリ、それに付加価値を高めて、環境保全型農業を推進しようということであります。
その取り組みとして、徐々に全町に拡大していこうということ、化学肥料等に頼っており、か
なり地力が落ちているということで、堆肥利用による土づくりを行って、地力を回復するという
こと、ブランド米と言うこと、トレーサビリテイということを盛り込みました。
後段のところですが、有機センターで生産された堆肥の利活用の促進を図りますよということ、
この政策として、行政や関係機関が有する営農情報を一体化させた営農情報システムを早期に構
築しますよということをうたいこみ、それをもとに、的確な指導やアドバイス、そういった体制
をつくることが必要不可欠であるという結びをにしております。
-4-
ですので、水田農業ビジョンの作成と、産地づくり支援システムの構想の動き、これは並行し
て行ってきたというものであります。
では個々の話し合いは、どのようにしてきたかということが、6ページの川西町産地づくり支
援農地情報システム構築の経過です。平成 15 年度になりますが、一番最初は、今のシステムを
つくるという構想ではありませんでした。
①ですが、私どもの町も五つの市町村が一つになるという市町村合併が計画されておりました
が、そのうちの三つの市町村が既に水張りのデータを持っていたり、取得を計画していました。
水張りのデータというのは、地図上に、筆の境界をつけ、面積がどれだけあるか分かるようにし
たものです。
市町村合併に向けて、私も農の部分でいろいろな調整に参加しておったのですが、このままで
は川西が取り残されるというあせりから、上司や財政と相談をした結果、9月補正で水張り面積
データを取得する予算を計上することができました。
②ですが、堆肥生産消費検討会ということで、バイオマス利活用フロンティア整備事業を活用
して、堆肥センターを建設しようということで、堆肥の利活用をどういうふうに進めるか、堆肥
の成分はどうするのかという話し合いをしてきました。
堆肥の利活用の計画ですが、国の事業を導入するに当たって、北陸農政局の方から、家庭用の
生ごみを使って堆肥を作るという条件とごみが、ごみを生むという形には絶対にしないでくれと
いう厳しい言葉をいただきました。
私どもも知らなかったんですが、堆肥を生成したが、それを還元できない、農地にまくことが
できずにそのまま売れ残りになっているという事例もあるので、それは絶対に避けるようにとい
うことでした。
あと堆肥の成分比の検討ですが、成分の中で一番議論になったのは窒素で、窒素分を上げるか、
下げるかで非常にもめました。というのは、有機栽培をされている方、堆肥を主に使って米づく
りをしたい方からすれば、窒素の量を非常に高くしたいという気持ちがあり、逆に、営農指導を
する立場の農協、普及指導センターからすると、下げたいということなんですね。
何故かといいますと、堆肥によっていろいろなくせがありまして、すぐ植物が吸える状態にな
るものと、何年もかかるものがございます。その成分がわからないうちは、非常に怖い。冷夏の
ときには、窒素が消費されずに後半になって効いて、倒伏したり、一等米比率が下がるというこ
とです。
次に③ですが、いろいろな検討や情報の収集を行なっているうちに、食料庁のホームページで
-5-
16 年度からの新規事業として「産地づくり支援農地情報整備促進事業」、が掲載されておりまし
て、これを活用しようと言うことで、ここから一挙に、単独事業から補助事業へ転換したという
ことです。
次の7ページですが、私どももしょせん素人で、どれをどういうふうにしていいのか、さっぱ
りわかりませんでしたので、まず、いろいろな業者から話を聞き、一つの業者に絞り、そこに基
本設計の委託をしました。単費で 180 万ほどの契約です。
そして基礎データとして川西にどういったものがあるのかという聞き取り調査、それから合意
形成を取るためのコーディネート、それと、航空写真での求積の検証をしました。
検証ですが、県営事業で、500 分の1精度の換地の情報がありました。それと航空写真を図化
機にかけて求めた水張り面積が本当に正しいか対比し、使えると言うことになりました。
⑤、⑥ですが、どういった情報があるかということで、まず聞き取りの依頼を 12 月 18 日にし
ました。私たちはこれからこういうことをしたいので情報提供を願いますと言うことで、承諾を
頂きました。相手は、農業委員会、農済、JA、土地改良区の4団体です。次に、2月 24 日に
聞き取り調査を開始し、調査内容をまとめる作業を始めました。
正直、業者も、使える情報が本当にあるのかどうか非常に不安でありましたので、こういった
取り組みを懇談会で始めました。
⑦の準備委員会ですが、平成 16 年 3 月 10 日に構築に向けて意思統一を図るということで、委
員会を開催をしました。先ほどの聞き取り調査の四団体、それと県の普及指導センターにも参加
していただき、また、コーディネーターを委託した業者も参加し、進行をして頂きました。
それから何度かワークショップを重ね、意思統一を図りながら、次の段階へと進むわけですが、
そのときに先ほどお話をしました堆肥の利活用が、各団体ともかなり気になっており、それを進
めるためには、このシステムが必要だという認識の中で同意を頂いたというふうに思っておりま
す。
ただ、それをするに当たっても、各機関、団体だけの話では片手落ちだという指摘を受けまし
て、ぜひ農業者、それから生産組合の方々も話の中に入る構成をするようにという話をいただき
ました。
8ページ、16 年度でございますが、新規事業ということで、ちょっと時間を食ってしまいま
したが、新潟県の9月補正を待って事業展開という形になりました。
①の聞き取り調査は、データの形式、種類、管理・更新、そういったところまで聞き取りを行
ないました。そうこうしているうちに 10 月 23 日、5時 56 分、一発目の地震があり、二度、三
-6-
度と来たわけでございます。
②、第1回のワークショップは 11 月 24 日実施なんですが、地震があったということで1ヵ月
位遅れての実施となりました。
ワークショップにどういった人たちが集まったかということですが、次の9ページにあります
ように、この段階から生産者の代表等も参画して頂きました。
左の一番上にございます千手地域機械施設利用組合の関係面積は 370 町歩ほど、上野機械施設
利用組合が 210 町歩ほど、橘機械施設利用組合が 270 町歩ほど、併せて 850 町歩でこの三つが東
部を賄う団体となっております。
右の備考欄ですが、川西有機センター管理組合と書いておりますけれども、この人たちが堆肥
をつくる有機センターの管理を賄うという形にしております。つまり自分たちで堆肥をつくり、
自分たちで使うという形にしたわけです。
次の 10 ページですが第1回ワーキングチーム検討会ということで、産地づくり支援農地情報
システムの基礎データの検討ということで検討を行ないましたが、ここがかなりもめました。メ
ンバーは、私ども農林課と、農業委員会、農済さんでしたが、属性のデータについてどれを基と
するか、基盤の属性をどの情報にするかということで、悩みました。
データとしては、まず農業委員会さんの農地・農家台帳ですが、筆の位置、面積、所有者そう
いったものがすべてわかりますし、法務局等に収められており、法的にも裏づけをされたデータ
でありますので、これを「法的データ」というふうに位置付けました。
もう一つは、農済さんが持っておられます農業共済のデータです。私ども生産調整に係ります
水田台帳で平成 15 年までは市町村に備えておくことになっていたものであります。これを「現
況データ」と位置付けておりますが、どちらを使うかということで、非常に悩みました。
というのは、法的に根拠が明らかなものは非常に大事だという思いもあったんですが、ただ個
人情報の部分で、農地・農家台帳ですと、地主さんだけではなくて、家族、その世帯の情報まで
入っております。それを一人一人同意を取るということは非常に難しいのではないかという思い
がありました。
それと法的データでありますので、あくまでも属地主義であります。つまり土地が主になって
おりますので、川西に住んでいない方が所有者になる場合があります。そうなりますと、その人
から同意を得るというのも非常に大変です。ここも悩んだところであります。
あと、やみ耕作、農業委員会とすれば、やみ耕作はだめだよという話にはなっているんですが、
実際はやはり結構ございました。そうなると、農家台帳のところで名前が載っている地主さんと
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実際の営農活動をしている人が違う人になりますので、私ども営農を支援するシステムをつくる
に当たって、実際に管理をされていない方の名前で登録してもいかがなものか、という悩みがあ
りました。これが法的データでネックになったところです。
では水張りはどうかということでありますが、正直、法の縛りが本来あるんですけれども、や
み耕作はだめですよということで指導等しなきゃいけないところなんですが、実際は作られてい
る方の名前が登録されております。あくまでも一人の名前、経営者の名前となっております。
それから、現況データは、生産調整の関係で毎年毎年更新されます。つまり移動があった場合
にはタイムリーに変わってくるということです。そうなりますと、やはり現況を主とした考え方
に進んだ方がいいなということで、農済さんのデータ、町が持っている水田台帳、こちらを使う
ことに決まりました。
その次の段階で、法務局の農家台帳、そちらに収めてあるデータと現況のデータ、何とかリン
ク、関連付けできないかという議論もしましたが、これは結果として無理であるという結論にな
りまして、対比をするにはGISで重合させて確認をするのみにとどめることになりました。
④の第2回ワーキングチーム検討会ですが、産地づくりの主な内容と予想される効果、どうい
った扱い方があるのか、正直、私は知識がありませんでしたので、現場を指導する方々、それか
ら共済関係で事務をされている方、そういった方にお聞きする場が必要だということでそこに書
かれている方々に集って頂きました。
まず、農済さんからは、無人ヘリの防除をしているが、今まで台帳で面積、地番、所有者とい
うものはわかったが、図面に落とすということができなかったので、共済の台帳と水張りのレイ
ヤー、地図が結びつくようにしてもらいたいという強い要望が出ました。
農協さんからは、川西で平成7年から食味の関係、土壌分析を実際に行っており、平成9年に
図面に落として、各戸に配付をしたが、土地にかかわる色々な分析結果のデータと地図が別々の
ページにあり、番号を見ながら見比べて見るしかないし、位置がよく分からないし、これを作る
のも大変だったと言うことで、何とかそれをGISの方で作り、目に訴えるような形にできない
かといった要望がありました。
これを目に訴えるような形にすると、大体この地区はこういう土だから、食味の部分でこれだ
けのものだから、もっといい方のデータを持っているところに合わせた指導をしていこうじゃな
いかというところに使えるのかなということで希望が出されました。
土地改良区さんからは、今後、法人化や大きな組織がつくられるとなると、水系の関係を把握
できるようにしておく必要がある。今まで、自分の土地はどこから水が来ているのかよく分かっ
-8-
ているが、組織となるとすべてがわかるというわけにはいきませんので、何らかの形で情報を得
られるシステムが欲しいなという要望を頂きました。
このころから、各団体とも、これを何とか使い勝手のいいものにしたいなという気持ちが盛り
上がってきたように感じております。
11 ページの農業委員会全員協議会、1月 25 日ですが、中越地震復旧対策作業の中で、どうい
ったところにどういった被害があるのか、それからもう耕作できない状態になっているのか、そ
れともこれからもまたつくる意思があるのか、そういったものと合わせながら、空から見た写真
をもとに作成した水張りのデータと共済のデータ、属性、台帳データを結びつける作業が必要だ
ったんですが、私ども農林課だけではちょっとできないなというものがありまして、農業委員会
の委員さんにお願いしました。
このときにオルソ画像をペーパーに落としたものと、地形図と、それから地籍構成図、それと
水張りデータを重合した図面を二つ並べて説明をさせていただいたんですが、このときかなりの
驚きがありました。「おお、ここまでおまえたちやってくれたのか、それなら、おらもやらなき
ゃなんねえな」という気持ちになっていただきました。
農業委員さんの中には、「合併前にやっと農業委員会の委員らしいことができるな。おら、何
でもするから言ってくれよ」という方もおられました。
委員へのお願いですが、5万分の1の図面にメッシュを切り、番号を振りまして、おたくさん
のところ、どの図面が必要ですかという照会をし、必要な番号の図面を渡すという方法でお願い
しました。
⑥の川西・中里の合同打合せですが、中里さんも私どもと同じシステムでの取り組みをされて
おりましたが、まだ現況データ、それから法的データのどちらにするか迷っておられました。し
かし市町村合併で一緒になりますので、同じシステムでないとちょっとうまくないぞという指導
を県の方からも頂いておりましたので、ここで意思統一をし、現況データ一本とするということ
で合意できました。
⑦ですが、構想の関係等について、国の方では農地情報整備推進協議会、新たな協議会をつく
りなさいというお話だったんですが、うちの方は既に生産調整に係ります協議会がございます。
こちらにも会計の規約だとか、かなり細かな部分が整備されておりますので、こちらでやりたい
という話をしましたら、OKをいただきましたので、幹事会でそれを諮り、下のところ⑧ですが、
協議会にかけて、構想等について承認をいただいたということです。
⑨ですが、こちら生産目標数量等に関する配分会議ですが、正直、農業委員会の委員さんだけ
-9-
では、特定照合が難しいと思いましたので、生産調整に協力いただいている協力委員さんにも、
説明し協力をお願いしたということです。この際にも、システムについて評価を頂きまして、私
どもでもやりますよという承認を頂きました。そして、突合ができました。
⑩の東部地区合同営農委員会ですが、生産組織の代表の方、認定農業者といった方々に声かけ
をし、60 名ほどの参加者にシステムの説明をしました。その際に、土壌分析等への協力依頼を
し、17 年の7月から稼動したいということでの協力も依頼しました。
この間、かなり短い間で、結構、会議を開いたわけですが、これによりまして、各団体、それ
から農業者の方々と合意形成がとれたのかなという気がしております。こういったプロセスを踏
まないと、かなり農業者の方からも厳しい言葉を受け、うまくいかなかったんじゃないかなと思
います。
正直、堆肥についても、最初のときには、「おまえたちが勝手につくった堆肥なんて、おらは
使わんぞ」と。つまり堆肥を使った米の良い事例がなかったんです。悪い事例はありますけれど。
「おまえら、そんな農業がよくわからねえようなやつがつくったのはだめだごて」と言われてき
ました。
それがこういった会議を進めている中で、17 年の 7 月に堆肥センターが完成しましたが、今
の状況では、「いつになったらおれのところに来るんだ」というふうに言われている状態です。
まあ、うれしい悲鳴ということなんですが、何とかそこで結果を見たかなというふうに思ってお
ります。
13 ページ、こちらが構築に係る当初の構想ですが、1番では、感覚ではなく数値に基づいた
施肥の設計というものを挙げております。あと担い手への集積、トレーサビリテイですね。4番
は、行政の活動の中でも有効に活用できますということを書いております。
14 ページは、構想の三本柱ということで、イメージ的なもので書いておりますが、中心に産
地づくり支援システムを位置付けております。
15 ページですが、左側がどういったデータがあるのかということでデータの種類を書いてお
ります。右側がそのデータの提供元で、データとの関係を矢印を結んでいるということです。
16 ページは、すごくごちゃごちゃとして申しわけないんですが、法的データ、現況データ、
属性データ、これらがどういった絡みになっているのかということをイメージ的に整理したもの
です。
一番上に法的データと書いておりますが、これが農業委員会さんのデータで、そのすぐ下に地
籍図数値化データ(地籍図)というのがありますが、これと法的データは結ばれているというこ
- 10 -
とです。ただ、これにつきましては、農業者の方からの同意を得ておりませんので、町、行政の
みで管理をするデータです。
その下に、土壌分布図データから全域水張り区域図及び面積データまであります。これも基図
ですが、こちらについては現況データの方とリンクをさせて行くということで進めました。その
現況データの中には、経営の意向だとか、土壌の分析のデータ、食味の関係、その他の属性、そ
ういったものを入れ込んでいくということです。
これがうまく回れば、ビジョンのキーワードである環境保全だとか土づくり、そういったとこ
ろは目標達成できるのではないかなということであります。
次の 17 ページですが、これまでも「個人情報」という言葉を使いましたが、うちの条例では
どうなっているかということで条例を抜粋しておりますが、(1)にありますように、やはり「同
意に基づいて」というものがありますので、これに基づいて対応することとしました。
18 ページは所有者に対する同意の取得ということで、農業委員さんの力を借りながら、突合
とあわせて同意を取得しましたが、「何を」「何に」ということで、水田台帳、共済台帳、それ
を産地づくり支援システムの中に移行しますよ、データを移しますよというもの。それから何に
使うのか、だれが使うのかということで、水田農業ビジョン、米づくり、そういったところの支
援のために、農協さんを初めとした諸団体で使いますよということを書いております。
下の図ですが、左下にありますように所有者から個人情報の同意を川西町が受けて、川西町が
生産調整の関係がありますので、水田台帳のデータ更新を行います。それを農済さんが吸い上げ
るという形をとり、これを、右側のデータの移行ということで、産地づくり支援システムに移行
させ、それを利用する団体は下のとおりということであります。
19 ページが、同意を頂く際、それから特定照合をいただく際に使ったものであります。ちょ
っと小さくて見づらいんですが、網かけの部分が共済台帳から引っ張ったデータを活字に落とし
ている部分で、個人の名前、住所、下のところにはおのおのの土地の情報、地番、面積、そうい
ったものを表示しております。
右上のところに、先ほど見ていただきました同意内容を記述しております。下の網かけのすぐ
隣にですが、地番特定照合、水張り管理番号というのがございます。これが各地区に配付させて
いただいた図面を見ながら、おらっちの田んぼはこれだなということで確認をいただいた番号を
書いていただく欄であります。ここに書いていただきますと、データの修正をかけて、初めてリ
ンクがされる。ボタンを押すと、そこに土地の情報が出てくるという形になる、本当に大もとの
部分であります。
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その右側ですが、被災があったか・なかったか、あった場合には、これからどうしますかとい
うところですね。17 年に作付されますか、できますか。今後どういうふうなお考えがあります
か。その土地は放棄しますか、そういった聞き方をさせていただいている部分であります。
次の 20 ページのメンテナンスの役割分担というところですが、今のところ、市側といいます
か、町の方からの負担のみであります。システムの保守ということで、1台 25 万円、カスタマ
イズ、データの更新、それで 100 万円ほど上げております。
100 万円の金額なんですが、正直、システム自体、どんどんどんどん進化していくといいます
か、これもあれもというものが出てきます。そのカスタマイズの費用が大きいのかなという気が
しております。
データの更新ですが、日常、各機関が行っている業務をもとにして情報が更新されて、鮮度が
高くなるというところに目を向けてやっております。産地づくりの支援システム、GISが入っ
たから特別なデータ更新が必要だということになると、非常に使い勝手の悪いものになりますの
で、日常の業務の中でデータが更新されるようにしております。
川西町のところであれば、圃場整備のときに区画図を変更するだとか、あと生産調整の関係で
計画書を農家の方からいただきます、その内容を変えていくということです。
農業委員会は、デジタル化されました構成図を、1年に1回、更新をかけます。これも日常の
業務の中であり、それを産地づくりシステムの方に入れて頂くということです。
共済システムは、町の水田台帳と一緒ですので、同じ内容で動きます。
農協さんは、平成7年からやっております活動を、そのまま引き続いてやる。その情報が集ま
って、一つのものになる。ですので、今までやっていたもののみで更新がされるという考え方で
す。
21 ページの「苦労」、それから「追い風」ということですが、苦労としては、団体、それから
農業者の理解を得るのが非常に苦労しました。分析データ、それから食味値データについて、そ
んなものはシステムに入れなくたっていいよという声が非常に最初は多かったです。つまり必要
性を感じていなかった感じがしております。これもだんだんと変わってきたわけです。
どうしてそうなったかというと、解析の手法といったものが全然確立をしておりませんし、先
進地というものがありませんので、皆さんの御理解が頂けなかったいうことです。
あと属性基盤データの選定。先ほど言いました法的、現況、これで悩みました。あと個人情報。
属性と基図の特定照合も悩みました。
追い風ということですが、やはり競争激化、魚沼産コシヒカリでも、今のままじゃだめですよ
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という意識づけが、危機感というところに結びついて、生産者さんの方からも協力頂けるように
なったということです。
それから、環境保全型農業、消費者ニーズがございます。これもやはり必要だという意識の中
で進んできたのかなという気がしております。
昭和 50 年ごろから立ち上がりました生産組織、それの協議会が平成元年に立ち上がりました。
これの存在も非常に大きかったなと思っております。ですので、追い風というところに挙げさせ
て頂きました。
22 ページ、導入の効果ということですが、位置情報、それから作物情報ということで、共通
認識が容易になるということです。※印のところに「無人ヘリ」というのが書いてあります。こ
ちらは平成 17 年度、およそ 100 町歩ほどの団地だったんですが、地上のスパウダーって、わか
りますでしょうか。大型の機械で、すごい風圧をかけて、一気に農薬をまくというやつです。100
メートル、200 メートル、ガーッと飛ぶやつです。今までそれを使っていたんですけれども、組
織の中で、やはりこれは余りにも飛散がひど過ぎるということで、スポット的に防除する無人ヘ
リにかえるという動きがありました。
それを受けて、有機栽培農家の方々、100 町歩の中にあるわけなんですが、虫食い状態といい
ますか、点々としております。私どもからすると、スパウダーの方が飛散がある、関係のない圃
場まで農薬が飛びますよと思っています。ただ認証団体とすると、スパウダーはあくまでも地上
防除なので、緩衝帯、1メートル、間をあければいいですよという考えです。無人ヘリは空を飛
んでやる航空防除、5メートル以上離さないとだめですよというのがあります。
つまり私どもの考えと、認証する団体の考えがちょっとずれておりまして、これは大変なこと
だということで、有機栽培農家の方から私のところに直接電話がありまして、
「どうしてくれる、
あんた」ということで話がありました。
その際に、このGISを使って本当によかったなと思ったんですが、共済の台帳のところには、
この圃場は慣行栽培ですよ、有機栽培ですよ、減減栽培ですというのがあります。有機栽培の圃
場について、図面に落としました。それをもとに防除を実施する団体の方、それと有機栽培をさ
れている方に来ていただきまして、まずその図面を見ながら位置を確認します。
圃場ごとに農道があったり、水路があったりします。その部分、認証団体から求められている
5メートルより農道が広ければ、そこには緩衝帯は必要ない。あぜ一本であれば、ここはちょっ
とまずいので緩衝帯を設けましょう。じゃ、その緩衝帯の幅については、両方から立ち会ってい
ただいて、札、旗といったものを立てて、迷惑がかからないようにしましょうよという話し合い
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がされました。
この際に、農家の方からも本当によかった、こういったものを私も求めていたというような言
葉をいただきまして、ありがたかったなと思っております。これにつきましては、18 年度も同
じようなやり方をさせていただいているところです。
あとは「期待」というところなんですが、ことし、JAさん単独で土壌分析器を導入いただき
ました。今までは新潟の肥料工場さんの方にお願いをしていたんですが、それだけではなくて、
みずからも分析をしたいということで購入頂きました。
栽培履歴管理への期待ということで、今まで農協さんはペーパーでありました。組織との話し
合いの中で、それを産地づくり支援の中にどうにか入れることはできないかなという要望が起き
ているところです。
あと生育センサーによる独自の測定ということです。これは株式会社千手さんの方で、140 万
ほどの機械なんですが、圃場に行ってかざすだけで、ヨウショクが判定できて、窒素がどのくら
いあるかというのがわかる機械なんですね。これは、ことしやっと商品化されたものなんですが、
GPSを搭載することができます。GPSというのは位置を確認できるものですね。ですので、
そのデータを即産地づくり支援システムの中に入れられるようにしてもらえねえかなという話
も、今頂いております。
次に、食味値測定による区分貯蔵ということなんですが、こちらは中里さんでやっておるやつ
です。カントリーエレベータで 1,000 トンのものが今までありました。これを 17 年に 2,200 に増
築しました。その際に、今までですと 250 を4つという大きなくくりだったんですが、それを 100
トンを3つ、それから 50 トンを 18 基に小分けにしました。
こちらを分析をかけて、内容的には水分量とたんぱく質の含有量を判定するものなんですが、
規定値よりたんぱく質が多い場合には食味が落ちますので、それはこっち。優良なものについて
はこっち、という区分出荷を貯蔵するという方向で今動いております。導入当時には、農家ごと
の区分というふうにしていたんですが、GISが入りましたので、土地の区分ごとに分けようと
いう動きです。
次に民官学一体ということですが、私どもの取り組みを新潟大学の教授さんが目にとめまして、
1月に上がりました人工衛星「だいち」を使ったリモセンで、農業にどうにか使えないかという
研究をしたいという話がありました。私どもの方に相談がありまして、そちらと一緒になった進
め方をしたいなということで今動いております。
実際に川西地区で 40 点ほど、新潟大学の方で生育調査、土壌分析していただいております。
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ランク的には、標高でちょっと分けさせてもらったんですが、100 のところと、150 〜 160、あ
と 200 を超えるところ、この3段階ぐらいの区分けで、今、情報収集をしているというところで
す。
そういった取り組みをしていましたら、やはり組織の方も、今後そういう研究団体と綿密な調
整を取りながらしたいなという声がありまして、8月に教授と、それから生産組織連絡協議会、
それを対象とした講演といいますか、集まりをさせていただきました。そのときには行政でなく
て、JA、農協さんが主になって進めていただいたというものです。
あと行政事務の軽減なんですが、先ほども話がございましたが、中山間の直払いについて、単
独費用でカスタマイズをさせてもらったというものであります。これは非常に便利なものであり
ました。
23 ページは、分析、食味、そういったもののデータを収集して分析してフィードバックする、
その繰り返しをしていくと、いつかはビジョンに向かった方向づけがされるかなというイメージ
図です。
24 ページは、内部の力を強くしていけば、外圧にも耐えられるかというイメージ図です。
25 ページ、こちらは堆肥の利活用の拡大、それから農薬の低減といったものを進めていくこ
とが質の向上につながるのかなというイメージ図です。
26 ページ、最後ですが、今、十日町市の中でネットワークを組むということで、県単事業で
支援をいただく方向性になっております。これは9月補正で通りましたので、今、採択申請を出
しているところですが、県が 50 %、JAさんが事業主体となって 45 %、それで市が5%、その
事業負担の中で展開をしているというものです。
左側のくくり、これが農協さんなんですが、1台サーバーを置いて、各支所、営農センターを
結ぶライン。真ん中が行政側のネットワークラインであります。右側が農済さんの単独、スタン
ドアローンで動く。この間の情報については、記憶媒体を介して交換をするという位置づけであ
ります。
最後になりました。私、この取り組みをして思ったんですが、やっぱり情報化というのは、人
と人がつながって初めてなるのかなというのを痛感しました。頭だけで動いて、いいシステムを
つくったから、おまえ使ってくれやといっても、使う側、利用する側、それが納得しないと自己
満足で終わるのかなという気がしました。
本当によかったのかどうかというところでは、今後の評価になると思うんですが、そういった
合意形成、皆様方もこれからコーディネートされていくというお話を聞いておりますが、そうい
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ったところに注目をしながらいければなというふうに思っております。
あと、このシステムについては、今ある程度の機能はついております。ただ、これはどんどん
どんどん成長していくものかなと思っております。次から次へと、あれはどうだ、これはどうだ。
農業者の方からもいろいろ要望をいただいております。ですので、生産者の皆様、農業者団体、
それから我々が手を取り合って、どんどんシステムを実のあるものにつくり上げていきたいなと
いうふうに思っております。
非常に走り走りの説明で申しわけありませんでしたが、私の方からは以上とさせていただきた
いと思います。どうもありがとうございました。
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