はるこの読書法 ①

はるこの読書法
①
本を読まなければいけない(やばい)
皆さんこんにちは!私は小山研究室の院生1年の越智温子(おちはるこ)という者です。小
山せんせとの雑談が思わぬ方向に発展して、ここで文章を書くことになりました。このコ
ーナーで何度か登場するかも知れませんが、ちょっとだけお付き合いください。
ところで、このコーナーで文章を書いていますが、私は活字より漫画が大好きです。特に
高橋留美子の作品はほぼ読破しました。そのほかにもスラムダンクやらバガボンド、タッ
チに H2 にラフに有名無名の少年少女マンガもろもろ・・・要するに、漫画以外の読書をま
ともにしたことは、ありませんでした。特にノンフィクションで読んだ記憶のある本は
国語の教科書くらいでした。幸か不幸か、日本語の文法だけは小学校のころから間違えた
りすることはなく、読書をしないことについて指摘される機会を得ずにここまでやってき
ました。しかし!!!昨年度、読書量の少なさが足をひっぱる事態がついに私の人生に初
めて訪れたのです。予想がついている方も多いとは思いますが、それは卒業論文作成とい
(続くか!?)
う関門でした。
書籍紹介
★ 生物多様性はなぜ必要か?
日高
敏隆編
地球研叢書 (農学部図書館 有)
この本は 5 人の著書で構成されており、それぞれの視点から生物多様性の必要性を探っ
ていきます。題名のとおり、難しい問いを分かり易く説明してあり、活字が苦手な私も順
調に読んでいきました。この本での一番の収穫は、「なぜ生物多様性は必要なのか」を説明
できるようになったことでなく、「なぜ食肉として馬は普及せず、牛は普及したのか」を説
明できる仮説が生まれたことです。
牛や馬には食料として数種の草本さえあればいいので生物多様性は必要ないが、雑食動物
の人間には多様な生物が必要だ。と語られるところでのこと・・牛は反芻動物で 4 つもの
胃を持ち、余すことなく消化し排泄するそうです。そういえば牛糞は、まさかこれが草だ
ったのか・・と思えるほどのものです。一方、馬の主な消化器官は胃ではなく、腸や盲腸
だそうです。想像通り、胃を使わない馬のほうが消化能力は低く、その糞からも明らかで
す。そこでひらめきました。なるほど、同じ餌の量で育てていける頭数は牛のほうが馬よ
り多いだろう、と。つまり、牛のほうが生産効率が良いということです。美味しいのに馬
肉が牛肉と同等に普及しない理由はここにあったのか!と勝手に納得・・勘違いか本当か
を確かめるためにも牛以外の家畜とそうでない動物を調べる必要があるでしょう。
というように、ノンフィクションの本には新たな知識が詰まっています。新たな視点や考
えを導く材料になるわけです。小山せんせがノンフィクションを推す理由が最近よく分か
るようになってきたのでした。
はるこの読書法
②
お前はほんっとに幼稚だなーだなーだなーだなーなーなーなー(エコー)
みなさんこんにちは!越智温子(おちはるこ)です。今日は本当にあった卒論作成の話をし
ます。読書法①でお話しましたが、私は読書をまともにしたことがありません。しかし、
現在ではそのことの危うさを自覚し、進んで読むようになりました。NO読書の危うさを
どのように自覚したかというと、卒論作成時にずーーーーーっと言われ続けた上記太字の
言葉です。卒業論文は一度提出すれば終わり、というわけではなく、何稿にも渡って担当
教官にむちゃくちゃに言われ続けながら仕上げる、という形態をとっています(少なくとも
うちの研究室は)。返ってくる文章には必ず「幼稚」という言葉が書かれていました。もち
ろん書いたのは某K先生ですが・・直接にも幾度と無く言われました。科学的な文章を読
んでこなかった故に、どう書くか考えることを知らず自由気ままに文章を書いていたので
しょう。
しかしながら、一生懸命書いてこれでどうだ!と、やや自信を持って提出した文章がボコ
ボコにされるのはなかなか悔しいものがあります。そこで私は、卒業論文作成時にひとつ
(続く☆★)
の決意をしました。
書籍紹介
★ ブナの森は宝の山
平野伸明
野沢耕治
福音館書店
¥2400
とある本を買うためにレジに並び、清算しているときにこの本を見つけました。春夏秋冬
のブナ林の移り変わる表情と生息するさまざまな生物のおりなす素敵な世界・・・しかも!
結構マニアック(生態学チック)な観察写真とそれについてのコメントもされており、これか
らフィールドを歩くことが増える学部生にはうってつけの導入本だと思います。この本の
すごいところは、森を歩けば必ず目につく花や動物について、そのほとんどが写真で紹介
されているところです。この花は何だろう?と本をめくると大抵のものの名前が分かりま
す。図鑑なら当たり前ですが、これは写真集です。この本の作成者はブナ林とその周辺の
生態を深く理解し、その主要なエッセンスを厳選して写真集にしたすごい人だということ
がわかります。
★
あなたの手のひら
星野富弘
偕成社 (農学部図書館 有)
私は図書館でバイトをしています。その最中に借りました。事故で寝たきりになってしま
った著者は、ペンを口にくわえて植物の絵を描きます。この本はその画集です。絵に添え
てある言葉がぐっときます。しかし、なによりも感心するのはその観察眼です。彼は生態
学を学んでいませんが、植物の鋭い観察によって図らずも生態学的な言葉を添えているこ
とがあります。その無意識の言葉の奥深さを知っている我々には別の視点で楽しめる画集
です。また、自分が見たことの無い樹木の花も描いてあるので知識も増えます。
はるこの読書法
③
あたしゃねえ、本を読むよ!!
みなさんこんにちは!毎度おなじみの越智温子(おちはるこ)です。以前お話したとおり、
文章の幼稚さを指摘され続けながら卒論を仕上げました。なんとか幼稚さを脱却したかっ
たのですが、なんといっても自分の文章のどんなところが幼稚なのかも分からない状態で
す。卒論は仕方なく、幼稚な文章のままで終わっていると思われます。しかし、私は修士
課程に行く人間です。修士論文作成時には、このような根本的なところから指摘されるよ
うなことがあってはならない!と、心に誓いました。以後、私は本を積極的に読むように
しています。自分の書く自由気ままな文章が一般的なものとどう違うのかを知るために、
まずは小説やエッセイ以外の著書の文章を読んで、書き方を頭に叩き込むことが必要だと
考えました。22 年間の遅れを取り戻すのは容易なことではないと思います。しかし、やら
なきゃいけない時って、来るのです!効果が出るまでには長い道のりが必要だろうな・・
と思っていたのですが、なんだか最近、文章を書くときの気持ちに変化が表れました。
(続く★)
書籍紹介
★ 植物の生き残り戦略
井上健
平凡社
(農学部図書館
有)
以前もお話しましたが、私は図書館のバイトをしています。返却図書を元の場所に戻す際
に、気になる題名の本を探して借りています。この本もそのひとつです。10 ページほどで
ひとつの植物や生物の生態について説明してあり、私にはちょうど良い文章の長さです(や
っぱり活字は苦手です)。そのなかの一つ、イチジクとイチジクコバチの共生関係の話に私
は大いに感動しました。イチジクコバチという昆虫がイチジクの花粉媒介を行い、また、
イチジクはイチジクコバチの産卵場所として機能しています。イチジクコバチの雌はイチ
ジクの実の中に進入し、中にある雌花に産卵します。そのとき体についていた花粉が付着
して、受精が成功します。ちなみに、この花粉は別のイチジクからもたらされたものです。
孵化した子供は雄花を踏みつけてイチジクから出て行きます。このとき体に花粉が付着し
ます。そして外界に出た子供のうち、雌はイチジクの実の中に進入し、中にある雌花に産
卵します。そのとき体についていた花粉が付着し、受精が成功します。ちなみに、このと
きの花粉は・・・(4 行前にもどる)
というように、イチジクにとっては他個体の花粉での受精の促進、イチジクコバチにと
っては産卵場所の確保というギブ&テイクの関係が成り立っているのです。このほかにも、
外来種で有名なオオブタクサの生活史や、ホテイアオイのたくましい生活力、マングロー
ブ植物の散布・定着方法など、興味深い話が分かりやすく紹介されています。超おすすめ
です。
はるこの読書法
④
一度弱くなってまた伸びる
夏がすぐそこですね。越智温子(おちはるこ)です。私は剣道を中学から続けています。最
近は長年の悪い癖を直すために試行錯誤中で、相手には負け続け、調子の乗らない時期を
過ごしています。もうちょっとで良い癖が身につきそうなのですが・・みなさんはいかが
お過ごしですか?さて、幼稚な文章しか書けなかった私に読書によって変化が表れた、と
いうところまでお話しました。もしや、まともな文章が書けるようになったのか!?と予
測されているかもしれませんが、実はその逆です。文章が書けなくなってしまいました。
文頭のすべり出しは今までどおりなのですが、書き進めていくうちに、この先どうやって
書けばよいのか分からなくなり、文頭と文末で文法もめちゃくちゃ、文章の趣旨も途中で
変わっているという事態に陥っています。おそらく、うまい文章を読むうちにその書き方
が中途半端にインプットされてしまい、今までの自分のスタイルが崩されてしまったので
しょう。この文章も右往左往しながら仕上げています。しかし、運動部に所属したことが
ある人は知っているはずです。一時期調子が悪くなる、または弱くなるというのは、更な
る飛躍をするときの過渡期であるということを・・。したがって私は、もうちょっとがん
ばって本を読めばきっといい文章を書けるはずだ!と信じて今日も本を読みます。
書籍紹介
★ 昆虫―大きくなれない擬態者たち
大谷剛
農文協
(農学部図書館
有)
山はもう夏です。調査中には虫が寄ってきます。あまりにうるさいので、ただでさえ過
酷な調査なのに、奴らは我々に更なるイライラと集中力の消耗を促します。皆さんもいず
れ経験するはずです。そんなうるさい虫の中でも、私が最も嫌いな虫は「アブ」です。迷
惑なことに、奴らは蜂に擬態しているものが多いのです。それを知っていたので、またし
てもバイト中にこの本を借りました。さまざまな昆虫や幼虫の擬態の謎が写真や系統図と
ともに紹介されています。人気のあるカブトムシやクワガタ等の昆虫は一切出てきません。
擬態者というだけあって、マイナーでちょっと気持ち悪いと悪評の高いアブ、蛾、または
その幼虫にスポットが当たっています。調査中にアブがやってきたとき、調査団には一瞬
の緊張が走ります。なぜなら蜂に擬態しているからです。結局、それが本物の蜂だったの
かアブだったのか我々には確かめる術はないのですが、この本によってついに両者を見分
ける方法がわかったのです!!蜂の羽は 4 枚、アブの羽は 2 枚らしいのです。そんなの現
地で分かるかい!と思った方が多いでしょう。もちろんわかりません。面白いのはこの先
です。蜂をイメージしたマスコットやキャラクターは多くのアニメで登場します。製作者
が天使をイメージしたのか、その辺の意図は分からないのですが、とにかく羽が 2 枚のマ
スコットが多いそうです。ディズニーにも羽が 2 枚の蜂のようなキャラクターがいました。
蜂にそっくりで、羽が 2 枚って・・蜂に擬態したアブとしか思えない、と著者は語ります。
アブがマスコットに採用されるとは、蜂に擬態した甲斐があったというわけですね。
はるこの読書法
⑤
英語を読書しなければいけないときもある
今後のためにも本を読まなければならないという話をしてきましたが、学部生のときから
文章を読むような勉強をしてこなかったわけでは決してありません。・・・英語の論文は読ん
でいました。なぜなら私の研究の内容に深くかかわる文献は海外の雑誌の論文が多かった
からです。決して頭良いとかそういうことではありません。むしろ英語は苦手です。しか
し、みなさんもいずれ必要に応じて読むようになるはずです。ご想像のとおり、英文を訳
しながら内容を理解しなければいけないというプロセスがある以上、日本語の文献よりも
格段に読むスピードは落ちます。しかし、どんな難解な文章に出会っても一つ一つ乗り越
えていくしかないから、ため息ついたり飽きたり中途半端に読んだものが溜まったりしな
がら今日も一つ一つ解決していきます。学部生のときはそんな日々を過ごしていました。
さて、核になる論文は読んだし、これで万全だ・・(にやり)。と思って卒論を書き始めたそ
のとき(ほぼ文頭において)、この偏った勉強方法には落とし穴があることに気がつきました。
さて、その落とし穴とは・・
書籍紹介
★ さおだけ屋はなぜ潰れないのか?
(続く)
山田真哉
光文社新書
(図書館
無)
この題名は皆さん聞いたことがあるのでないかと思います。題名のとおり、た∼けや∼
さおだけ∼♪のさおだけ屋は、さほど儲かっているように見えないのに、なぜ商売として
成り立っているのか、ということを足がかりにして会計学の本質を教えてくれるかなり初
歩的な本です。さおだけ屋だけでなく、プロの会計士である著者から見て謎めく経営形態
を取っている「お店」はいくつもあります。それらの経営の実態の解明を進めていく著者
に導かれて、いつの間にか我々も会計学が身近なものに感じられるようになるはずです。
その一節で、商品が山積みになっている自然食品店(各種健康商品を売っているお店。よく
商店街の中にある)を取り上げています。会計学の常識では「在庫は少ないほど良い」とさ
れています。なぜなら、在庫とはそもそも売れていない商品なので、売れないうちはそれ
だけで赤字です。さらに、在庫を管理する人や場所に金がかかるので、在庫はあるだけで
損なのだそうです。それなのに在庫だらけの自然食品店はなぜ経営が成り立っているのか、
という謎が解明されています。謎めく経営の答えが気になった方は、お待ちしています!
本は手元にありますので♪
さて、植物は光合成産物を成長と貯蔵に配分しますが、資源を貯蔵にまわしている分、あ
る程度成長や繁殖を犠牲にしなければなりません。上述した在庫管理と貯蔵資源の存在が
似ているように感じたのですが、みなさんはどう思われますか?なにか新たな仮説につな
がるのではないかと思いを馳せているのですが・・。
はるこの読書法
⑥
この考えをどう日本語にすればいいの
「植物の種子サイズは種の間の広いばらつきに対して遺伝的に決定されている」
・・・学部生のときはいくら読書しなかったとはいえ、英語論文だけは読んでいたというと
ころまで前回お話しました。有名な論文や、そこに引用されている論文などを読み、いく
つかの浅い知識をためて卒論に挑みました。自分でじっくり読んだ内容は不思議なことに
頭にしみこんだような知識になり、
「理解する」ということの面白さに目覚めました。しか
しながら、「わかった、理解した」という自負が強かっただけに、文章にすることをかなり
あなどっていたように思います。もしかして私やばいんじゃない・・?と最初に感じたのは、
早くも卒論の「はじめに」の第一段落からでした。ふわふわ雲のように掴みどころ無く頭
に浮かんでいる「理解した」内容を、日本語にしなければいけないからです。題名通りの
状態でした。私の頭と誰かの頭にパソコンのアダプターをつないで、こういうことデス!
なんてことができたらいいのになあ。という妄想までしました。先生には内緒ですが、あ
まりにも文章が書けないので英語論文の一段落をまるまる微妙な日本語訳をして卒論を提
出したことがありました。始めの一文はその一つです。かなり錯乱状態でした。結果、や
っぱりこんなコメントが返ってきました。
「日本語を書きましょう!」
書籍紹介
★ 畜産行動学
三村
耕
養賢堂 (農学部図書館 有)
図書館で「生物多様性はなぜ必要か」という本を読み、牛肉が馬肉より普及している理
由についての仮説をたてたことを紹介しました。その裏づけを取るべく、家畜に関する本
を借りました。おそらく生物生産学科の学生さんだと思うのですが、図書館に返却してく
ださった本をカウンターにてそのまま借りました。さすが専門分野の方が選ぶ本だけあっ
て、家畜についての知識がほとんど無い私でも理解することが出来る良い本です。家畜の
社会行動や生理的な特徴、さらには表情や癖、好奇心や遊びの行動など面白い行動が様々
紹介されていますので、しゃべらない、動かない植物を相手にしている私は面白く読むこ
とが出来ました。牛にはグループ内での優位性、つまり「偉い牛順序」があるそうです。
横軸に牛の体重、縦軸に優位性をとるときれいな正の相関があり、体の大きい牛ほど位が
高いという傾向がありました。優位性の高い牛ほど放牧地では自由に食草し、牛舎では風
通しの良い位置を占め、繁殖行動も自由なのだそうです。放牧中の優勢牛、劣勢牛の行動
の特徴も細かく説明されていましたので、今度機会があれば月山牧場で観察したいです。
しかしながら、体(バイオマス)の大きい個体の有利性は植物の世界でも似たようなことがあ
りますが、牛の世界で体の小さい者の生き残り戦略みたいなものはあるのでしょうか。植
物生態学の知識で家畜行動と照らし合わせてみるのも楽しそうです。
はるこの読書法
⑦
本の著者を本気で尊敬する
英語論文に知識を頼りすぎていたら日本語が困難になってしまった越智です。かといっ
て、ついつい English を speak してしまうといったレベルには至っていません。
さて、前回は読んだ論文の日本語訳を文章に載せたが、日本語になっていなかったとい
う話をしました。幼稚でわかりにくく、しかも日本語ではない文章しか書けず悩んでいる
中、私を助けてくれたのが生態学の参考書でした。3 年の後期から持っていたはずなのに、
研究が進むにつれて意識から遠ざかっていたことに気がつきました。自分で筋道を考えな
がら文章を書くというハードルにぶち当たってみて、初めて参考書の著者の凄さがわかり
ました。生態学についてなにも知らない頃の私が読んでも内容を理解することができ、生
態学の様々な視点から基礎を教えてくれた本でした。読んでいて苦も無く自然に理解でき
る文章の凄さというのは、(一生懸命書いたつもりの)自分の微妙な文章と比較してみて初め
て気がつくものなのだとわかりました。しかし・・参考書の丸写しは敗北を感じます。なん
とかオリジナルで、しかも上手な文章を書きたい!と思いましたが、やはりついつい参考
書の書き方に引っ張られてしまいました。スポーツにしても勉強にしても、まずはお手本
を真似するものです。それは良いと思うのですが、私の問題点は、学部 4 年生にしてまだ
手本の真似レベルだったことです。この一年で私はブランクを埋めることはできるでしょ
(つづく)
うか。いいや!埋めてみせる、越智温子の名にかけて・・✵
書籍紹介
★ 植物の繁殖生態学 菊沢喜八郎
★ 保全生態学入門 鷲谷 いづみ
蒼樹書房 (図書館 有)
谷原 徹一 文一総合出版
(図書館
有)
この二冊がお世話になった参考書です。生態学を学ぶ学生のバイブルといっても過言で
はないと思っています。生態学のかなりディープで難しい内容にまで踏み込んでいますが、
分かりやすいのでじっくり読めば生態学の奥深いところまで理解することができます。
★
気になる木
山田
正篤
東京化学同人
(図書館
有)
生態学というよりは樹木と草本の雑学が満載の面白い本です。文頭には日立グループの
宣伝で有名な「気になる木」の紹介がされています。ハワイ島のマメ科の樹木で、日本の
ネムノキとそっくりなのだそうです。しかしながらネムノキは分類学上マメ科からネムノ
キ科に変更になりました。ネムノキってどんな木だろうと思った方は、啓明寮の前を通っ
てみてください。花は、ピンクの雄しべを針みたいに立て花火のような丸い形をしており、
マメ科特有の蝶形の花とはかなり違います。科の変更の原因でしょうか。本文でケシにつ
いても紹介がありました。ケシ属の植物は数種あり、阿片の原料になる「阿片ケシ」と原料
にならない「普通ケシ」があります。普通ケシの種子はアンパンの表面の粒など、お菓子の
化粧粒として使われているそうです。いつもなにげなく見ている植物の素性についてほん
の少しの知識を与えられると、もっと知りたいという欲求が沸いてきて私は萌えます。
はるこの読書法
⑧
そして大人の女を目指す✵
卒論作成の年は自分の何かが変わります。大きく成長する人も周囲にいましたが、私の
場合は初めてスタートラインを見つけた年でした。生まれたときのままの自分を「大人」
に導いていくためのスタートラインです。恥ずかしながら 4 年生の途中まで、私は自分の
ことを分別のある大人だと思っていました。しかし、卒論を通して自分自身の現状を 1 つ
残らず正確に把握することができたとき、私は周囲より圧倒的に子供だということを知り
ました。時事問題が苦手、すぐ泣く、漢字に弱い、感情の起伏がすごい、無邪気で童顔❤
など・・その他もろもろありますが、誰よりも子供っぽい原因は、自分を全く客観視できな
いことでした。客観的にならなければ決して公衆が理解できるような文章は書けません。
客観視出来ないことと読書不足で語彙が少ないことがあいまって、私の幼稚な卒論の文章
は仕上がっていったのでしょう。しかし、こうして一週間にひとつみなさんに宛てた文章
を書くことになり、作文が苦手な私にとってこれとない練習の機会を得ました。毎週私の
下手な文章にお付き合いくださったことを、ここにお礼申し上げます。雰囲気から察する
ことができると思いますが、今回が最終回です。しかし皆さんはこれから研究室配属され
るわけですし、むしろお近づきになる機会が多くなるかと思いますので、その際の案内と
してこの場で言い残しておきたいことがあります。私のファンクラブ会員登録手続き方法
は小山せんせが知っているので気軽に研究室に来てください(大嘘です)。では、研究を通じ
て皆さんと顔を合わせる機会を楽しみにしています。卒論作成がんばってください✌
書籍紹介
★ 身近な雑草のゆかいな生き方
稲垣栄洋
三上修
草思社
(図書館
有)
雑草の生き残り戦略はものすごいらしい・・幅広い分野の読書をしてこなかった私の知
識はかなり偏りのあるもので、雑草のものすごい戦略はうわさで聞くのみでした。しかし、
またしても図書館でいい本を見つけてしまいました!これほど分かりやすく端的に雑草の
戦略をまとめてくれた本は初めてです。しかも、スポットをあてられているのはすべて道
端でよく見かける身近な雑草で、挿絵も必ず載っていますのでどの雑草のことなのかすぐ
に分かります。ひとつひとつの異なる戦略を知るたびに雑草を見る目が変わりそうです。
本の中にスベリヒユという植物が紹介されていました。花の中央部の雄しべを刺激すると、
一斉に刺激された方向に曲がるそうです。これは、花粉媒介者に効率よく花粉を付けるた
めの仕組みです。その他にも、ネジバナはなぜねじれているのか、コオニユリはなぜ下向
きに花を咲かせるのか、シロツメクサはなぜ一斉に小花を咲かせないのか、ヒシの実はな
ぜトゲを持つのか、ツユクサ、カラスビシャクの驚くべき受粉方法、カタバミの省エネ戦
略などが紹介されています。寿命が短い分、すべての草本はさまざまな生活史の場面で繁
殖効率を上げるために手の込んだ工夫をしているのです。