ポイント5: 宣伝は一般家庭の個人のお客さんをターゲットにする

ポイント5: 宣伝は一般家庭の個人のお客さんをターゲットにする
一般的によく言われるのは、商売のなかで現金収入の日銭商売が一番強いと言われている。現金収入の日銭商売の
ありがたさは私自身、身をもって実感した。開業当初、所持金がほとんど底をついていた私にとって、その日一日の仕事
が終わり、即現金をもらえることはとても重要、死活問題だった。
一般のお客さん相手の仕事というのは、ほとんどが日銭商売。仕事が終われば、その日にお金がいただける。
一方、業者相手の仕事の場合は、仕事が終わっても、お金の支払いは月末締めの翌月払い、翌々月払い、場合に
よっては2~3ヶ月間支払いが遅れることも十分ある。 しかし、相手業者から支払いが遅れ、収入が入ってこない間も、
仕事を行うための材料費や道具、家賃、食費、電気光熱費など生活費は待ったなし支払わなければいけない。
業者取引する場合、資金繰り(キャッシュフロー)がたいへんなのだ。黒字倒産ということも業者と取引する上で発生する。
「その日にお金がもらえる」、「日銭が稼げる」というのは、それだけで大きな強みなのだ。
私の会社が、お金がなく起業したにも関わらず、銀行やその他諸々の金融機関でお金を借りることなく、無借金で会社
を運営できたのは、個人のお客さん相手、現金収入の「日銭商売」を行ったからだ。だから、私は『仕事が終われば即現金
がもらえる一般家庭のお客さんを相手に仕事をすること』を勧めている。
しかし、私の考えとはまったく違う考え方をする人もいる。「ハウスクリーニングをするなら、一般ご家庭のお掃除では
なく、不動産屋さんに営業し、アパートやマンション引っ越し後の空部屋清掃を専門に行ったほうが良い」と指導する人だ。
たしかに、不動産屋さんに営業し仕事が獲得できれば空き部屋清掃の仕事がもらえる。そうすれば仕事量は増える
だろう。それはそれで結構なことだと思う。しかし、不動産屋さんから仕事をもらうということは、相手が業者なので業者間
取引となる。作業費の支払いは月末締め翌月払い、翌々月払いが基本だ。
しかも、不動産屋さん営業で、空き部屋清掃を専門に行った場合、不動産屋さんの下請け業者だから、不動産屋さんが
常に優位に立った上で仕事をしなければいけない。作業費は不動産屋さんの決めた金額で、かなりシビアな金額を提示
される。掃除の仕上がりも厳しくチェックされ、作業日も不動産屋さんが指定した日時を厳守しなければいけない。
不動産屋さん営業で、空き部屋清掃を専門に行うということは資金繰り的には決して楽ではない。
私の会社も、アパート・マンションの空き部屋清掃は、起業した次月から行っていた。しかし、私の会社は不動産屋さん
の下請け仕事でなく、アパート・マンションの大家さんから直接依頼されていた。したがって、作業費は当社が決めた金額、
作業日時も当社のスケジュールで決め、当然支払いも作業が終わったその日に大家さんから現金でもらった。
それを知った不動産屋さん下請けの掃除屋さんから、よく次のような質問をされた。「不動産屋さんの下請け仕事は
かなり厳しく、うちもアパート・マンション大家さんから直接仕事を獲得したい。でも、どうやって獲得すればいいのかが
わからない。山口さんのところは、どうやって大家さんから直接仕事を獲得しているのですか?」と。
でも実のところ、当社が何かアパート・マンションの大家さん向けに特別な営業をしているかと言えば、まったくといって
いい程、特別な営業などしていなかった。当社がやっていたのは、一般ご家庭のお客さんに広告宣伝しているだけ。
それでもアパート・マンションの大家さんからアパート・マンションの空き部屋清掃の仕事依頼が来た。
さらに、当社は不動産屋さんや工務店さん、その他様々な業者さんと業者間で取引も行っていたが、当社は「日銭
商売」が原則だと業者の皆さん分かった上で当社とお付き合いしてくれていたので、仕事が終わればすぐに現金で
支払ってくれた。
なぜだろうか?
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私が開業当初からずっと一般家庭のお客さんに宣伝してきたことが最大の理由だ。
私が一般家庭のお客さんに宣伝して分かったことだが、一般家庭と私が思っていた家が、実はアパートやマンション
の大家さんの自宅であり、ご主人が不動産屋や工務店、会社の社長さんの自宅だったのだ。
アパートやマンションの大家さんも不動産屋さんも工務店さんも、会社の社長さんも、自宅に帰れば、一般家庭の
ごく普通の人ということだ!
最初のお付き合いはご自宅の掃除だったが、その後、アパートやマンションの空部屋のクリーニング、増改築後の
クリーニング、オフィスのクリーニングなど仕事の依頼が広がっていった。
ポイント6: 近所で商売する
商売するなら商業圏は広範囲、広ければ広いほど良いと考えるかもしれない。しかし、商業圏を広くすると自宅から
作業現場までの移動時間と交通費がかかる。しかも広範囲のお客さんに宣伝するならば高額の広告費が必要となる。
私は開業当初、だいたい1km範囲内のご近所、個人のお客さん中心に仕事をはじめた。最初は『移動時間短縮・
交通費・広告宣伝費削減』が目的だったが、ご近所で仕事を行って重要なことがわかった。
「初めて来る業者は、いったいどんな人が来るのだろうか・・・?」
お客さんは、知らない業者に仕事を依頼するのはとても不安。
そこで、
●近所の業者であれば、直ぐに来てもらえそう。
●近所で仕事をしていれば、“いい加減な仕事”はしないだろう。
●近所で商売しているのだから、不当な料金請求はしないはずだ。
などの理由から
「出来れば近所の業者に来てもらいたい」と考えている!
ご近所の知り合いから紹介されて電話したという客さんは、決まって次のような話しをした。
「仕事は頼みたいけど、家の中に入ってやる仕事でしょう、、、知らない業者や遠方から来る業者は不安だから、
なかなか頼めないのよねぇ。
○○さんに相談したら「掃除だったら、近所でやっている山口さんの所がいいんじゃないって、おたくの電話番号を
教えてくれたの。」とのこと。
非常にありがたい言葉である。
ご近所で仕事をすれば、お客さんが自ら宣伝してくれ、ご近所のお客さんを紹介してくれる。次から次とご近所で
「紹介の輪」が広がっていくのだ。私はご近所で仕事を行い、ロコミ威力のすごさを痛感した。
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では一般家庭のお客さんをターゲットに仕事をすれば、月どの位の収入になるのだろうか?私が開業して 1 年目
を迎えていたころの月収支を参考に説明してみよう。
ハウスクリーニングの収支計算を見る場合、特に注目してもらいたいのは「売上げに必要な経費の金額」だ。
一般の商売でも、必要経費が売上げの1割~3割、パーセットだと10%~30%、これぐらいであれば、かなり率の良い
仕事ではないだろうか。しかし、ハウスクリーニングの必要経費はそれ以下、売り上げの1割、10%を切っている。
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1日のタイムスケジュール
例1
9:00
10:00
11:00
12:00
13:00
14:00
15:00
レンジフード清掃(途中休憩20
休
憩
浴室+洗面所+トイレ清掃
分)・チラシ配り
移
動
(途中休憩20分)
16:00
17:00
18:00
●午前中レンジフード清掃終了後、時間があったので近所でチラシ配りをする。
●レンジフード清掃(18,000 円)、浴室+洗面所+トイレ清掃(26,000 円)
●経費は、レンジフードの洗剤代が 250~300 円、浴室~トイレ清掃で 700 円ぐらい
例2
9:00
10:00
11:00
12:00
一般浴室全体清掃
休
憩
(途中休憩20分)
移
動
13:00
14:00
2時間定期
清掃
15:00
16:00
17:00
18:00
17:00
18:00
チラシ配り
見積り
●一般浴室全体清掃(23,000 円)、2時間定期清掃(10,000 円)
●午後、見積りと、時間があったので近所でチラシ配り
●経費は浴室用洗剤代が 500 円ぐらい、定期清掃洗剤代・備品で約 200 円
例3
9:00
10:00
11:00
ガラス・サッシ・網戸清掃
12:00
休
憩
(途中休憩20分)
13:00
14:00
15:00
16:00
ガラス・サッシ・網戸清掃の続き
見積
(途中休憩20分)
●一日かけて一般家庭のガラス・サッシ・網戸清掃(35,000 円)
●経費は洗剤代 150~200 円
例4
9:00
10:00
11:00
マンションの水まわり・窓サッ
シ・網戸清掃(途中休憩20分)
12:00
休
憩
13:00
14:00
15:00
16:00
17:00
18:00
マンションの水まわり・窓サッシ・
網戸清掃(途中休憩20分)
●一日かけて3DKマンションの水まわり・窓・サッシ・網戸清掃(50,000 円)
●妻(アルバイト 10,000 円)に手伝ってもらう。その他経費は 1,500~2,000 円
◎1 日の売上が 30,000 円~50,000 円、月稼動日数はだいたい18日~23日。売上は 650,000 円~850,000 円。
◎経費は洗剤代とブラシ等の消耗品代で、売上に対して1/10以下。その他諸経費を売上から差引いて計算すると、
月収入が 52 万円~74 万円。(自営なので、経費の中に生活費の一部が含まれている可能性が大きいので、
厳密に計算すれば、実際の月収入はもう少し多くなっていると思う。)
◎一般家庭での仕事は、スタートが朝9:00、終了は遅くても夕方6:00まで。私が自宅を出るのは8:40ごろ、自宅に
帰ってくるのは遅くとも6:30。毎朝食・夕食ともに自宅で家族と一緒に食べ、自分の余暇時間も十分取れていた。
この数字を見て、儲かるのか儲からないのかは各自の判断に任せたいが、一般的な30~40代のサラリーマンの
月収に比べれば多いほうではないだろうか。会社内の煩わしい人間関係もなく、自分の能力次第で仕事ができる、
これこそが自営業ならではの醍醐味ではないかと思う。
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各掃除個所の単価、作業時間参考資料の一部
(その他の見積り、見積算定方法の詳しい説明はハウスクリーニング開業・営業ガイドに記載)
作 業 内 容
価 格
時 間
換気扇レンジフード(分解クリーニング)
1台
15,000~20,000 2~3.5
台所全体クリーニング
セット
23,000~40,000
4~6
浴室全体クリーニング(ユニット~一般)
一式
8,000~25,000
2~3
浴室+洗面所+トイレ
セット
20,000~40,000
3~6
マンションの水まわり・窓サッシ・網戸パック
セット
40,000~65,000
8~12
定期清掃(毎週 1~2回 定期的に掃除)
1人
9,000~15,000
2~3
アパート・マンション空部屋清掃(ワンルーム・1k)
セット
15,000~30,000
4~8
アパート・マンション空部屋清掃(2DK)
セット
25,000~45,000
6~12
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