企業資金による 医師主導治験の意義

第6回がん新薬開発合同シンポジウム
臨床研究の新時代の幕開け~変化にどう対応するか~
2016/11/25
製薬企業と共同での
研究者主導臨床研究
(医師主導治験)
国立がん研究センター東病院 先端医療科・消化管内科
先端医療開発センター 新薬臨床開発分野
久保木 恭利
アカデミア施設
厚労省/ PMDA
Grant /regulation
シーズ提供
開発支援
共同開発
コアセンター
(国立がん研究センター 先端医療開発センター:EPOC)
整備済み・整備中
埼玉県立がんセンター ・薬事/開発コンサルティング
・データセンター/モニタリング部門
・安全性情報管理
・治験調整事務局
・情報共有基盤(施設内+施設間)
・監査
・個別化医療(ターゲットシークエンス)
・CRC等の教育プログラム
・(企業などからの)資金配分体制
整備計画中
四国がんセンター
・細胞性免疫反応検査(検体処理/保管)
上記以外の参加施設
・愛知県立がんセンター
・兵庫県がんセンター
・九州がんセンター
・九州大学病院
・大阪市立総合医療センター 等
製薬会社
がん研有明病院
治験薬提供
資金提供
共同開発
北海道大学病院
静岡県がんセンター
2
企業資金による契約型医師主導治験独立性の確保:
NCC-EPOC
実施体制
NCC-EPOC
プロトコール・SOP等の作成
モニタリング ・ 調整事務局
契約締結
医師主導治験契約(≒共同研究)
・治験薬提供 ・資金提供 ・秘密保持
・成果物の取扱 ・知財の取扱
・安全性情報の提供
データセンター・登録センター
統計解析 安全性情報管理
監査
総括報告書作成
製薬企業
製薬会社
安全性情報提供
医師主導治験契約
・資金提供(症例ベース)
・治験薬の供給
・安全性情報の提供
・秘密保持 ・知財の取扱
治験薬製造・提供
製薬企業(治験薬提供者)は
・治験薬・資金提供、試験計画承認は行うが、
・試験の実施/結果の解釈には関与しない。
実施施設
実施施設
実施施設
3
NCC-EPOCが管理する未承認薬医師主導治験 (2016/9)
薬剤
No.
対象
phase
資金
Status
備考
企業グローバルRCTへ
(TAGS試験)
1103
TAS-102
胃癌
II
厚労科研費
試験終了
1206
GBS-01
膵癌
II
厚労科研費
試験終了
1205
ペプチドワクチン
小児固形癌
I (FIH)
厚労科研費
試験終了
1207
vandetanib
肺癌(RET)
II
厚労科研費
登録終了
1209
olaparib+ eriblin
乳癌
Ib
厚労科研費
試験終了
1302
regorafenib
GIST
EAP
アクセス事業費
試験終了
1303
BKM120
食道癌
IIa
企業資金
登録終了
1306
GD2
神経芽腫
II
AMED科研費
登録終了
1304
TAS-102+ Bmab
大腸癌
Ib
企業資金
試験終了
1401
cabazitaxel
前立腺癌
EAP
アクセス事業費
試験終了
1402
Neo eriblin
乳癌
II
企業資金
登録終了
1405
vemurafenib
メラノーマ
EAP
アクセス事業費
試験終了
1408
regorafenib
GIST
II
企業資金
試験終了
1406
TDM-812
乳癌
I (FIH)
AMED科研費
登録中
1411
HSP105ワクチン
食道・大腸癌
I (FIH)
AMED科研費
登録終了
1403
LDK378
肺癌(ALK)
II
AMED科研費
登録中
1404
TAS102+Nintedanib
大腸癌
II
企業資金
登録終了
1409
タミバロテン
小児癌
l
AMED科研費
登録終了
1501
PF-05212384
肺癌(SCLC)
II
AMED科研費
登録中
承認
グローバル展開へ
(ALEXANDRIA 試験)
今後の展開につき相談中
4
NCC-EPOC で今年度予定している未承認薬医師主導治験
対象
phase
資金
Status
備考
BBI608+Pembrolizumab
大腸癌
I/II
企業資金
登録開始前
2016/10
開始
Nivolumab +RT
直腸癌
I/II
企業資金
登録開始前
2016/09
開始
CD4抗体
(アカデミアシーズ)
固形癌
I (FIH)
AMED科研費
準備中
今年度開始予定
固形癌
(食道癌)
I
企業資金
準備中
今年度開始予定
大腸癌
II
AMED科研費
準備中
来年度開始予定
薬剤
No.
OBP-301
(もともとアカデミアシーズ)
+α
Trastuzumab+Perutuzuma
b
* 来年度以降開始に向け他数試験考案中
5
企業治験ではなく、なぜ医師主導治験で?
1. 希少がんに対する未承認薬
2. 企業が展開しにくい、希少フラクションに対する未承認薬
3. 異なる企業同士(もしくはアカデミアシーズとの)の未承認薬
を用いた併用療法
4. 未承認薬を使用した外科治療や放射線治療を含む集学的
な治療
5. 企業が特許期限などの問題で開発資金の回収が難しいと
判断している治療薬,未承認薬
6. 複数の希少フラクションに対して複数の企業の薬剤を展開
し, 当たりをみるプログラム
科学的根拠に基づいた臨床効果を証明し、
企業へ導出し、承認申請を目指す
6
企業治験ではなく、なぜ医師主導治験で?
1: 希少がんに対する未承認薬
→小児がん、肉腫、造血器腫瘍の一部など
7
企業治験ではなく、なぜ医師主導治験で?
2: 企業が展開しにくい、希少フラクションに対する
未承認薬
→RET陽性肺癌など (LURET study)
8
企業治験ではなく、なぜ医師主導治験で?
3:異なる企業同士(もしくはアカデミアシーズとの)の
未承認薬を用いた併用療法
→TAS-102(Taiho)+Bevacizumab(Chugai), TAS102(Taiho)+Nintedanib(Boeringer),
BBI608(DSP)+Pembrolizumab(MSD),
OBP-301+α (X社)
9
3:異なる企業同士(もしくはアカデミアシーズとの)の
未承認薬剤を用いた併用療法
1) C-TASK FORCE (TAS-102 with Bevacizumab for mCRC) : EPOC 1304
TAS-102: 未承認薬(⇒治験中に承認): 国内企業
試験終了
Bevacizumab:承認薬:国内企業
2) N-TASK FORCE (TAS-102 with Nintedanib for mCRC) : EPOC 1404
TAS-102: 承認薬: 国内企業
登録終了
Nintedanib: 未承認薬(欧州にて肺癌で承認):外資企業
3) SCOOP (BBI608 with Pembrolizimab for mCRC) : EPOC 1503
BBI608: 未承認薬(全世界で未承認): 国内企業
Pembrolizimab: 未承認薬(欧米にて他癌種で承認): 外資企業
登録開始
10
C-TASK
FORCE
治験実施体制
(2014.2-2015.7)
自ら治験を実施する者
国立がん研究センター
東病院
吉野 孝之
がん研有明病院
篠崎 英司
静岡がんセンター
山崎 健太郎
四国がんセンター
仁科 智裕
研究資金提供者
業務委嘱
効果安全性評価委員会
東京慈恵会医科大学内科学講座; 相羽 恵介
愛知県がんセンター中央病院; 室 圭
国立がん研究センター東病院; 後藤 功一
画像中央判定委員
委員長1名、医員2名
バイオマーカー測定
大鵬薬品工業(株)
・SRL
・G&Gサイエンス
●土原 一哉 (NCCHE)
大鵬薬品工業との共同研究契約
受諾
治験調整委員会
大鵬薬品工業(株)
試験薬提供者
吉野 孝之(NCCHE):委員長
久保木 恭利 (NCCHE): 事務局
佐藤 暁洋 (NCCHE)
大鵬薬品工業(株)
中外製薬(株)
治験調整委員会事務局
薬物動態測定
国立がん研究センター早期・探索臨
床研究センター臨床試験支援室
大鵬薬品工業(株)
Genentech
●望月 信夫 (NCCHE)
登録/モニタリング/安全性情報/データセンター/統計解析
国立がん研究センター早期・探索臨床研究センター臨床試験支援室
データマネージャー担当者 長谷川裕美代表
統計担当者 野村尚吾
モニター・治験調整事務局担当者 福谷美紀代表
監査業務機関
国立がん研究センター 早期・探索臨床研究センター臨床試験支援室
監査代表者 桑木多佳子
11
N-TASK
FORCE
治験実施体制
(2015.7- on going)
自ら治験を実施する者
国立がん研究センター東病院 久保木 恭利
四国がんセンター 仁科 智裕
がん研有明病院 篠崎英司
静岡県立がんセンター 山崎 健太郎
埼玉県立がんセンター原 浩樹
北海道大学病院 小松嘉人
研究資金提供者
業務委嘱
受諾
治験調整委員会
効果安全性評価委員会
委員長: 相羽 恵介: 東京慈恵会医科大学内科学
講座 腫瘍・血液内科 教授
委 員: 佐藤 温 : 弘前大学大学院 医学研究科
腫瘍内科学講座 教授
委 員: 仁保 誠治 : 独立行政法人国立がん研究セ
ンター東病 呼吸器内科 医長
吉野 孝之(NCCE):委員長(代表)
久保木 恭利 (NCCE): 事務局
佐藤 暁洋 (NCCE)
治験調整委員会事務局
国立がん研究センター研究支援センター
研究企画部 企画支援室
日本ベーリンガーイン
ゲルハイム(株)
試験薬提供者
大鵬薬品工業(株)
日本ベーリンガーイン
ゲルハイム(株)
薬物動態測定
大鵬薬品工業(株)
日本ベーリンガーイン
ゲルハイム(株)
登録/モニタリング/安全性情報/データセンター/統計解析
及び監査業務機関
国立研究開発法人国立がん研究センター 研究支援センター
12
SCOOP
治験実施体制
(2016.10 – on going)
自ら治験を実施する者
国立がん研究センター
東病院
久保木 恭利
四国がんセンター
仁科 智裕
がん研有明病院
篠崎 英司
業務委嘱
埼玉県立がんセンター
原 浩樹
受諾
効果安全性評価委員会
委員長
香川大学医学部臨床腫瘍学講座;
辻 晃仁 教授
委員
静岡県立がんセンター; 山崎 健太郎 医長
国立がん研究センター東病院; 葉 清隆 医長
Collaboration Research
研究資金提供者
大日本住友製薬(株)
治験調整委員会
吉野 孝之(NCCE):委員長(代表)
久保木 恭利 (NCCE): 事務局
川添 彬人(NCCE):事務局
佐藤 暁洋 (NCCE)
治験調整委員会事務局
Translational Research
免疫TR分野(NCC EPOC)
大日本住友製薬(株)
北海道大学病院
小松嘉人
国立がん研究センター研究支援セン
ター研究企画部 企画支援室
試験薬提供者
大日本住友製薬(株)
MSD
薬物動態測定
• FRONTAGE INC.
登録/モニタリング/安全性情報/データセンター/統計解析
及び監査業務機関
国立研究開発法人国立がん研究センター 研究支援センター
13
企業治験ではなく、なぜ医師主導治験で?
4. 未承認薬を使用した外科治療や放射線治療を含
む集学的な治療
→Nivolumab+RT+ope, LDK378+ope
14
VOLTAGE
【目的】
カペシタビンを用いた術前CRTを行った切除
可能局所進行直腸癌患者を対象として、そ
の逐次治療としての抗PD-1抗体薬であるニ
ボルマブ単独療法と手術治療の安全性・有
効性・POCを検討する。
【Primary endopoint】
MSS症例の pCR rate
【症例数】
第Ib相部分:3-6例、第II相部分:44-47例
合計:50例
【参加予定施設】
国立がん研究センター東病院
北海道大学病院
登録予定期間:2016年6月~2017年12月
研究予定期間: 2016 年 6 月~全登録症例
の中央病理判定終了時
15
治験実施体制
自ら治験を実施する者
国立がん研究センター東病院
坂東 英明
北海道大学病院
小松 嘉人
効果安全性評価委員会
委員長: 弘前大学 佐藤 温 先生
委 員: 帝京大学ちば総合医療センター
幸田 圭史 先生
委 員: 東京大学 大庭 幸治 先生
病理中央判定委員会
委員長:がん研有明病院病理部 河地 洋先生
委 員:Department of Pathology, Pellegrin University
Hospital, Bordeaux,
Anne Rullier 先生
委 員:北里大学病院 病理部 吉田 功先生
手術中央判定委員会
業務委嘱
受諾
治験調整委員会
吉野
伊藤
坂東
塚田
佐藤
孝之 (NCCHE): 代表
雅昭 (NCCHE): 副代表
英明 (NCCHE): 事務局
祐一郎 (NCCHE): 事務局
暁洋 (NCCHE)
治験調整委員会事務局
国立がん研究センター東病院
臨床研究支援部門 臨床研究支援室
放射線治療判定委員会
国立がん研究センター東病院
放射線品質管理室に設置
研究資金提供者
小野薬品工業
試験薬提供者
小野薬品工業
委員長:札幌医科大学 教授 竹政 伊知朗 先生
委 員:岩手医科大学 講師 大塚 幸喜 先生
委 員:京都府立医科講師 中西 正芳 先生
登録/モニタリング/安全性情報/データセンター/統計解析
バイオマーカー研究
●西川 博嘉 (EPOC-免疫TR)
●小野薬品工業
小野薬品工業との共同研究契約
国立がん研究センター臨床研究支援部門
データマネージャー担当者:長谷川裕美
統計担当者: 野村尚吾
モニター担当者: 福谷美紀
監査業務機関
国立がん研究センター研究支援センター
監査代表者 桑木多佳子
16
17
企業治験ではなく、なぜ医師主導治験で?
5. 企業が特許期限などの問題で開発資金の回収
が難しいと判断している治療薬
→HER2陽性大腸癌に対する抗HER2薬など
18
HER2陽性切除不能・再発大腸がん
(3) 医師主導治験
試験概要




HER2陽性切除不能または再発結腸・直腸癌患者を対象とした
トラスツズマブ及びペルツズマブ同時併用療法の
有効性・安全性を評価する多施設共同臨床第II相試験
HER2陽性**大腸がん
標準化学療法不応・不耐
20歳以上
ECOG PS 0-1
トラスツズマブ
登録
【HER2陽性**】 以下のうちいずれかを満たす
• HER2 IHC: 3+
• HER2 IHC: 2+ かつ HER2 FISH: HER2/CEP17 ≥2.0
(初回8mg/kg, 維持6mg/kg)
+
ペルツズマブ
(初回840mg, 維持420mg)
3週毎 PDまで継続
HER2陽性切除不能または再発結腸・直腸癌患者を対象として、
トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法の有効性と安全性を評価する。
 主要評価項目:奏効割合(ORR)
 副次的評価項目:無増悪生存期間(PFS)、
治療成功期間(TTF)、病勢制御割合(DCR)、
全生存期間(OS)、有害事象発生割合、
前化学療法の有効性
 予定登録数:29例※
 予定参加施設:7施設
 試験期間:登録期間2年、追跡期間1年
※奏効割合の期待値:30%、閾値:10%
有意水準片側 5%、検出力:80%を想定し、
目標症例数を29例と設定
19
産学連携全国がんゲノムスクリーニング(SCRUM-Japan)患者レジストリ
を活用した HER2陽性の切除不能・再発大腸がんを対象にした医師主導治験
 SCRUM-Japan GI-SCREEN による消化器がんのゲノムスクリーニング
システム及びSCRUM-Japan 患者レジストリ等の基盤を利用して、
希少フラクションであるHER2陽性大腸がんの医師主導治験を実施する。
 本研究内で得られたデータをSCRUM-Japan 患者レジストリに還元し、
希少フラクションであるHER2 遺伝子増幅を有する大腸がん患者の
ヒストリカルデータを作成する。
 HER2陽性大腸がんに対する標準治療の確立
 SCRUM-Japan 患者レジストリ等の基盤を利用した、希少フラクションに
対する医師主導治験を行うモデル及び体制基盤の構築
 希少フラクションのヒストリカルデータを作成する基盤の構築
本邦における早期治療開発促進
20
企業治験ではなく、なぜ医師主導治験で?
6. 複数の希少フラクションに対して複数の企業の薬
剤を展開し、当たりをみるプログラム
→いわゆるbasket trial, umbrella trialと言われるもの
I-SPY, I-SPY II, Lung MAP, MyPathwayなど
21
薬剤
22
治験開始への準備
-企業への企画(コンセプト)提案1. 医療者側(医師)と企業が win-winの関係になるコンセプトが重要
•
医療者:患者への利益
•
企業:開発戦略(予算、経済性、特許など)
 お互いが描くroad mapが合致する必要がある
 育薬に対するお互いの思いを一緒にする必要がある
= 医師主導治験後の展開
2. 魅力的なトランスレーショナル研究
•
日本には各分野でトップクラスの基礎研究者がいる
 企業主導の治験では行えない、実施しづらい付随研究も医師主導治
験であれば研究者間の協力で実施可能
 新たなscience newから新たな開発戦略を描き出せる可能性
23
薬剤
24
企業との協議
1.
企業、担当者によって医師主導治験に対する理解、サポート形態
は様々
•
開発治験への理解
•
国外からの治験薬輸入、それに対する対応
•
安全性情報の取り扱い、報告体制 (SAE, SUSAR, AESIなど)
•
多施設への対応
25
企業側から見た医師主導治験に対する期待と課題/不安
期待
•
希少疾患での治験
•
未承認薬+未承認薬あるいは未承認+既承認の併用治験
(企業同士では交渉等で治験実施までに時間を要してしまうため)
•
国内のみならず, 更なるグローバル展開を意識した医師主導治験
•
NGSやバイオバンクを活用した治験
•
開発の初期段階での新しいコンビネーションレジメンなどの可能性を検討
•
承認前の段階から,企業側で開発の優先順位の低い適応症について,POC試
験を実施
•
企業治験では実施しにくい生体サンプル採取を組み入れた試験でバイオマー
カーなどを探索する試験を実施
•
複数の企業が関係する臨床試験を中立的立場から実施
26
企業側から見た医師主導治験に対する期待と課題/不安
不安
•
•
医師主導治験実施母体によって, 医師主導治験の質や考え方のバラツキが大
きく, 臨床研究との相違点の理解不足が存在する
 計画書がGCPやICHガイドラインを遵守し、科学的及び倫理的に問題なく作
成されているか?
 モニタリング等でデータの品質が担保されているか?
アカデミアの人材が不足しておりCROへの委託が多くなる結果, 費用が企業治
験並に高騰し, 結果として企業が医師主導治験への投資を行わず, 期待される
薬剤の開発が希少疾患へ及ばなくなってしまう懸念
•
症例数の少ない適応症が中心となるため,インターグループ試験や,国際共同
試験を積極的に進める必要があること
•
支援にあたって企業は薬剤特許満了までの期間を考慮するため, 早期からの
研究立案と提案が必要となる(企業側の支援意思決定の観点)
27
TAKE HOME MESSAGE
 多くの企業がアカデミア主導の治験へのサポートにも積極的に参入。よりよい治療
戦略を, より早く開発していく事が重要であり, 企業シーズといえども, 治療開発に
企業主導, アカデミア主導の垣根は無くなりつつある.
 異なる企業同士の治療薬併用や異なるmodalityとの併用, POC/TR研究が医師主
導治験には期待されている。希少がん, フラクションに対しては将来的に国際共同
試験の立ち上げができる組織構築も期待される.
 企業シーズは, 企業の開発戦略に大きく依存しているため, 医師主導治験後の
road map (時にグローバル的視点で)が描けていないと, 単なる研究者のための研
究になってしまいかねない。医師主導治験考案の時期から, また治験実施中の間
も常に, 企業と情報交換を行い, 先につながる育薬をしていく事が必要である.
 調整事務局にかかる運営負担は人材面, 金銭面で非常に大きい。企業によって社
風やポリシーが異なるが, よりフレキシブルにサポートしていただく事を期待する
と同時に日本における医師主導治験に関わる更なる人材育成, 確保が必要であ
る.
28
ご清聴ありがとうございました