国際化について思うこと 一橋大学国際・公共政策大学院 前原康宏 2012年9月18日 2012/9/18 1 目次 • 私が印象に残った3つの体験 – 「象」の絵 – 日本銀行の金融政策発表文 – 英語の学習 • 大学の国際化 – 大学教育の世界的な流れ – 日本の留学生受入計画(10万人⇒30万人) – 大学の国際化 – グローバル人材育成戦略 2012/9/18 2 あなたは幼稚園の先生だとします。お絵描きの時間に 園児が以下のような象の絵を描きました。先生の立場 から園児A、B、Cに対して、どのようなコメントをします か? A 2012/9/18 B C 3 以下の日本銀行の金融政策に関する発表をどのように英語 に訳しますか? 2000年8月11日ゼロ金利解除 • 日本銀行は、1999年2月にゼロ金利政策を導入。 • デフレ懸念が払拭されるまでゼロ金利政策を継続すると説明。 • 最近の日本経済の状況をみると、ゼロ金利政策解除の条件としてきたデ フレ懸念の払拭が展望できるような情勢に至ったと考えられる。 • 従って、無担保コールレートを0.25%前後になるように誘導する。 • 今回の措置は、経済の改善に応じて金融緩和の程度を微調整する措置。 • 今回の措置実施後も、コールレートは0.25%という極めて低い水準にあり、 金融が大幅に緩和された状態は維持される。 2012/9/18 4 私が英語の学習で感じたこと 『Plain Englishのすすめ』(ケリー伊藤氏) • “Detach ideas from words.” – 言葉の表面上の意味にとらわれることなく、その文が表現している本 質的な意義をくみ取ることが肝心。 – 以下の例文をどう英語に訳しますか? 例1:「特別な場合を除いて、誰でもこの建物に入ることができます」 例2:「老若男女を問わず、どなたでも参加できます」 例3:「この道は車は入れません」 2012/9/18 5 大学教育の世界的な流れ 1970年代 大学教育における米国の優位性の拡大 1980年代 教育交流の重要性の認識向上 欧州におけるエラスムス計画の推進 日本における留学生10万人受入計画 1990年代 留学生「市場」の世界的な拡大 欧州におけるボローニャ宣言と高等教育圏構想 2000年代 資金や学生の獲得競争が激化 豪州は留学交流の教育を輸出産業化 日本における留学生30万人受入計画 日本におけるグローバル30 2012/9/18 6 エラスムス・ソクラテス計画とボローニャ宣言 • エラスムス計画(ERASMUS: European Region Action Scheme for the Mobility of University Students): – 1987年からスタートしたEUにおける学生の流動化を促進する計画。 – 1994年に同種の他の計画と統合され、ソクラテス計画となり、更に 2007年からはEU生涯学習計画に統合された。 • ボローニャ宣言: – 1999年に、欧州高等教育圏を2010年までに構築することを宣言。 • 容易に価値が分かり比較可能な学位制度の確立 • 学部課程と大学院課程という2つの周期の整備 • 欧州の教育機関の間の単位互換制度の導入 • 学生、教員、研究者、大学職員の自由な移動の促進 • 大学教育の質的保証に向けての協力 2012/9/18 7 日本の留学生10万人受入計画 • 「21世紀初頭に留学生受け入れの規模を先進諸国並み(10 万人)にする計画」(1983年8月、21世紀への留学生政策に 関する提言、中曽根内閣) – 目標は、2003年時点で達成(1983年10,428人⇒2003年109,508人) – わが国と諸外国相互の教育、研究水準を高めることについては、一 定の効果があった。他方で、学業成績など質が低下しており、留学目 的である学位を取得できない者や不法残留者が増加(2005年1月、 総務省の評価) 2012/9/18 8 (2008年7月29日発表) ⇒グローバル13 2012/9/18 9 海外から日本への留学生数の推移 2012/9/18 10 日本から海外への留学生の推移 2012/9/18 11 留学生の数の不均衡 留学生数(シェア、%) (海外⇒日本、2011年) 留学生数(シェア、%) (日本⇒海外、2009年) 中国 87,533 (63.4) 15,409 (25.7) 韓国 17,640 (12.8) 台湾 4,571 (3.3) 2,142 (3.6) 米国 1,456 (1.1) 24,842 (41.5) 英国 n.a. 3,871 (6.5) オーストラリア n.a. 2,701 (4.5) 2012/9/18 989 (1.7) 12 大学の国際化における3つの要素 • 通用性: 大学の基本的な機能が、国籍・民族・文化を異に する世界に対して、認識や評価の面で承認され 、受け入れられ、理解されているか。 • 交流性: 国籍・民族・文化を異にする人間関係の交流・交 渉の活発化、および外国人研究者との交流や共 同研究、留学生の受入れや派遣において、その ための付き合いのルールの確立ができているか。 • 開放性: 異質な文化を背景とする者を、制度のみならず意識の レベルで、自国の者と対等な立場で、グループないし は構成員として組織に受け入れているか。 (出所:喜多村和之「大学教育の国際化」) 2012/9/18 13 東京大学の国際化に向けた動き • 「よりグローバルに、よりタフに」学生を育成するため、新たな 達成目標の下、多様な体験・個性を尊重する考え方に立っ て、総合的な教育改革を推進することが必要 <教育システムの改革> 1. 学部段階の秋季入学への移行 − 春季入学を廃止して全面移行(大学院段階は引続き検討) 2. ギャップタームの導入 − 4月から約半年のギャップタームを設定し、各種の体験活動を促進 3. 優秀な学生への対応 − 大学院教育への早期のアクセスを可能化 2012/9/18 14 大学に問われていること ⇒ 国際化を進めることは、内なる改革を進めること • 教育のグローバル化は実現できるのか? • 大学にgovernanceは存在するのか? • 改革に耐えるような組織になっているのか? 2012/9/18 15 グローバル人材育成戦略 (2012年6月4日、グローバル人材育成推進会議) • グローバル人材の概念に含まれる3つの要素(8頁): 要素Ⅰ: 語学力、コミュニケーション能力 要素Ⅱ: 主体性、積極性、チャレンジ精神、協調性、柔軟性、責任 感、使命感 要素Ⅲ: 異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー 2012/9/18 16
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