「スタチン製剤が肺腺癌患者に及ぼす影響について の後ろ向き解析」研究

「スタチン製剤が肺腺癌患者に及ぼす影響について
の後ろ向き解析」研究へのご協力のお願い
1.研究の目的と意義
当院では、患者様の診療とともに、診療の向上を目指す研究を行っています。この研究は、
既存のお薬が肺癌の治療に利用できるかについて調べます。これが分かれば、抗癌剤・免疫療
法と異なる、患者様に身体的負担が軽い、新しい治療薬の糸口になります。
肺癌は正常な肺とは異なる代謝“解糖”を利用して、エネルギーを得ます。この際、肺癌は
乳酸を産生しますが、細胞膜にあるモノカルボン酸トランスポーター (MCT)を利用して、この
乳酸を排出していることが考えられております。この部位を阻害することが可能となれば、エ
ネルギー利用を低下させ、癌を抑制できる可能性があります。近年、高脂血症剤であるスタチ
ン製剤がこの部位を阻害することが報告されており、肺癌におけるその影響を調べるためにこ
の研究を企画しました。
2.研究の方法
この臨床研究は、
平成 19 年 1 月 1 日から平成 27 年 3 月 31 日までに群馬県立がんセンター呼
吸器内科において治療したⅣ期肺腺癌患者を対象とします。これまでの診療情報を利用し、こ
の臨床研究に適格な患者を調べます。スタチン製剤を内服している肺腺癌患者とスタチン製剤
を内服してない肺腺癌患者で、全生存期間(治療開始日からお亡くなりになった日まで)を調
べ、比較します。その際、以前に採取した肺組織において、MCT がどの程度発現しているかを
免疫組織化学染色して調べ、全生存期間のへの影響を調べます。
これまでの検査・手術等で採取した組織と診療情報を用いる研究ですので、患者様の負担は
ありません。研究結果は対象となった患者様の診療には利用しませんので、結果をご本人にお
伝えすることはありません。研究は平成 29 年 3 月まで行い、終了後は、集めた標本やデータは
適切に破棄します。
3. 個人情報とプライバシーの保護について
対象となる患者さんのデータや標本などは個人が特定できないよう匿名化して管理し、個
人情報を保護します。また、今後の肺癌の診療に役立つよう、結果を学会や論文で発表しま
すが、その際も個人を特定できないようにします。
この研究への協力を希望されない場合は、主治医または下記へその旨お伝え下さい。
その場合でも、今後の診療には何も影響はありません。
連絡先 群馬県立がんセンター呼吸器内科
研究責任者 藤本 栄
電話: 0276-38-0771