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赦し難きを赦す
中沼 尚
戦後70年報道特別番組 BSS山陰放送制作 2015年7月20日放映
加納莞蕾とキリノ大統領
戦争
東京国立近代美術館蔵
雛祭りの昼下がり一冊の本が送られてきた。加納美術館館長の加納佳
世子さんがお父様の加納辰夫(莞蕾)の生い立ちと足跡を書きとめられた「画
家として、平和を希う人として」という本でした。
加納莞蕾に関しては一双会たより第13号55頁および第16号46頁に郷
土の誇る画家として紹介いたしましたが、本書は著者が子供の時お父様と一
緒に過ごした頃の思い出や戦中戦後の苦しい生活などが語られていると同時
にBC級戦犯赦免運動に心血を注ぎフィリピンのキリノ大統領と交わした書簡
などが掲載されています。昭和28年7月108名の戦犯がキリノ大統領の恩赦を
受け帰国した。
キリノ大統領は加納莞蕾の要請にこたえて次の声明を発表した。「私は日
本人戦犯に特赦を与えた 妻と3人の子どもさらに5人の親族を日本人に殺さ
れ彼らを許そうとはよもや思ってもみなかった 私の子どもや国民に恒久の利
益をもたらすであろう日本人に憎悪を受け継がせないためこれを行うのである
結局運命が日本とフィリピンを隣人となさしめた」と。なんという心の広い大統
領であったことか、私たちはこのことを忘れてはいけない。
これをもとにBSS山陰放送が 「許し難きを許す」戦後70年報道特別番組と
して制作し、放映され大きな反響を呼びました。
不自由を知らないで自由を語ることができないと同様に戦争を知らないで
平和は理解することはできません。戦争を体験した私たちはしっかりと後世の
人たちに戦争の体験を語り継ていかねばならない。
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