【マドン 2.1 インプレッション】レースでも十分戦えるポテンシャルを備えたアルミロード 2013 年モデルより、上位機種譲りのテクノロジーが搭載され「マドン」という名を継承したトレックが誇る アルミロードバイク、マドン2シリーズ。これまでもコストパフォーマンスバイクの高いバイクとして人気が高 かった2/1シリーズですが、2013 年モデルは以前にも増してその走り、外観に大きく磨きをかけ新登場しまし た。 そのマドン 2 シリーズの走りのパフォーマンスを検証するため、私、マーケティング野口が 12 月 8 日に千葉 県袖ケ浦サーキットで開催された 6 時間耐久ロードレース「東京エンデューロ」にマドン 2 シリーズで参戦し、 その際に感じた走行性能をご説明致します。 <以下レポート> 毎年 12 月恒例である、ファンライド主催「東京エンデューロ」6 時間耐久レースに同じくマーケティングの田 辺修一と 2 名でエントリー。カテゴリーは「コーポレーションカップ」と呼ばれる企業対抗の部。田辺は自転車 歴こそ 1.5 年ほどだが、普段から自分と一緒に走っていることで、今では登りでは自分も負けてしまうほどに成 長著しく、来年の目標は乗鞍トップ 10 入りだ。今回使用したバイクは、マドン 2.1 の Viper Red/Black Titanite カラー。さすがに通常スペックのままでは耐久レースといえども優勝を目指すには少し分が悪いのと、いつも使 用しているパーツ構成に近づけることでよりフレーム性能を感じることが出来るのではないかと、ホイールをア イオロス5チューブラーに、クランクはスラムレッド+ローターリング、シートポストとサドルは RXXXL にチ ームイシューサドル、ブレーキキャリパーをシマノ 105 のスペックに変更。見た目の第一印象は「カッコいい」 の一言。重量は 2.1(54cm)で実測 8.7 キロだったが、一部パーツ交換後の重量は 7.4 キロ(ペダルなし)まで 下げることに成功。実際レース会場でも一般のお客様から「2 シリーズでもすごく格好いいですね!!」という 声をいただく。 レースのコースレイアウトは、普段カーレースが開催されるサーキットなので大きな起伏はないものの、それで もしっかりと踏まなければいけないポイントが 2 か所ほど。全体的にフラットで平均スピードもそれなりに高く なりそうなレイアウトだが、この日はあまりの強風で通常よりもアベレージが低くなると容易に予想出来た。 通常のロードレースとは違いエンデューロレースなので駆け引きというよりは、常に先頭グループにいることを 意識しつつ、バイクの性能を感じることに集中しながら周回を重ねる。交代のタイミングや下がりすぎた集団か ら一気に前に上がるために、何度かスプリントもしながらその性能を試す。追い風区間では時速 50 キロに到達 することもしばしば。レースは強風のため 1 時間短縮となり 5 時間となったが「コーポレーションの部」では見 事に優勝することが出来た。レースにも十分に対応出来るパフォーマンスを持つバイクであることが証明できた が、これは通勤・通学・週末のサイクリングなどをされる方に最適であるのはもちろん、「楽しく走る耐久レー スなら十分なバイク」というポイントもおススメして頂きやすいのではないだろうか。 さて肝心なその走りの性能だが、それぞれのポイントごとに説明したいと思う。 乗り心地:通常のアルミロードバイクに見受けられがちなガチガチ感はなく、むし ろカーボンロードバイクのように細かな衝撃も上手く吸収してくれて いる印象。アルファアルミニウムは、主に 6061 アルミを使用し、適材 適所で 6011、6066 アルミも採用している。カーボンバイクと同じよう に、アルミ素材の特徴を上手く活かし、適材適所で性質の異なるアルミ を使用、またチューブ形状までも計算され作りだされた効果である。こ のアルミであっても快適性の高い 2 シリーズは、これからスポーツバイ クを始める方にもおススメしやすいバイク。 加速感: BB86.5(※1)により踏み込んだ分だけしっかりとその力を 受け止めてくれ、くせがなく素直にペダリングを推進力に変 換してくれるフレーム。また E2(※2)ヘッドチューブもハ ンドルを振った際にしっかりとその力を受け止めてくれ、 レ スのいい加速を感じることが出来た。正直実業団レベルでの ロードレースやクリテリウムとなると、さらに高いレベルで のスプリント力が必要となるため、 さらにハイエンドのカー ボンロードがお勧めなのは当然だが、今回出場した耐久レー スを走るには十分である。 高速巡航:マドン 2 シリーズの最も得意とする特徴がこの高速巡航 ではないかと思う。走行中に KVF(※3)の効果を体感する ことは難しいが、それでもその効果があるんだろうなと思 わせるほど安定した高速巡航が可能であった。 集団内で平 均 40~45 キロの走行においても余裕のある対応が出来た。 ハンドリング性能:トレックのロードバイクはすべて同じジオメト リーを採用しているため、今回テストした H2Fit のマドン 2 シリーズは、普段7シリーズの H2 に乗る自分にとってまったく違和感を感じなか った。シートアングル、ヘッドアングル、フォ ークオフセット、BB ドロップなどはメーカーに より違いがあるが、トレックの Race Proven Geometry(レースで実証されたジオメトリー) は数々のプロ選手のフィードバックを基に決定した万人受けするジオメトリーを採用して いる。そのため、コーナーリングや集団内での前後左右の動きに対しても非常に素直で思い 通りに操ることが出来た。特に強風によりコーナーリングであおられることもしばしば発生 したが、瞬時にその体制を立て直すような動きでも自分の意思通りにコントロール出来た。 総合評価:1台目のロードバイクとしては非常におススメしやすいテクノロジーが搭載され、2.1 の価格が 149,000 円と考えるとこれまで以上にコストパフォーマンスが高いバイクだと改めて感じた。少しの パーツ交換でそのルックスと走りのパフォーマンスも大きく向上させることが出来るため、普段は通 勤やサイクリング用として、またホイール交換することでレースバイクとしての提案も出来るのはで はないかと感じる。この価格帯で KVF や BB86.5、ケーブル内蔵、E2 ヘッドチューブなどが搭載さ れ、それだけでも十分に価値のあるフレームに 105 のドライブトレインがアッセンブルされるという 買いの一台ではないだろうか。12 月 10 日に発売された人気の情報誌「モノマックス」でも、自転車 部門・ロードバイクにおいて最優秀賞を頂いたおススメモデル。 ① BB86.5 上位機種で使用する BB90 のアドバンテージをプレスフィット BB にて再現した BB86.5。従来の 68 ㎜幅に 比べ、フレーム剛性を高められている。 ② E2 ヘッドチューブ 上側 1-1/8(オーバーサイズ)、下側 1.5inch からなるヘッドチューブ形状をトレックでは E2 ヘッドチューブ と呼ぶ。フォークからヘッドチューブにかけたフロントエンド部はコーナーリング、ダンシングした際の走 りの性能に大きく関与。 ③ KVF(Kammtail Virtual Foil) もともとは、スピードコンセプトのフレーム用に開発され、新マドンの登場と共にロードフレームにも採用。 Kammtail の由来は、1893 年ドイツ生まれの「ウニボルト・カム」という自動車における空力学者の名前。 彼の技術に自転車業界で最も早く着眼し、フレーム形状に落とし込んだのがトレックの開発陣。自動車の世 界でもプリウスのように後端を切り落としたような形状になっているのは同じ考え方。 野口忍 トレック・ジャパン(株)マーケティング 1973 年 8 月 3 日生(39 歳) 主な戦歴 2000 年、2002 年、2003 年アジア大陸 MTB 選手権大会 2004 年全日本 MTB 選手権大会 クロスカントリー優勝 クロスカントリー優勝
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