40代看護師にとっての仕事の意味

The Journal of the Japan Academy of Nursing Administration and Policies Vol. 17, No. 1, PP 57-66, 2013
資料
40代看護師にとっての仕事の意味
The meaning of “work” for nurses in their forties
高柴律子
1)* 佐藤紀子
1) *
Ritsuko Takashiba
2)
2)
Noriko Sato
Key words : nurses in their forties, work, meaning
キーワード:40代看護師,仕事,意味
Abstract
This research aims to assist nurses in their forties who work with great vigor and enthusiasm in their
dispatched work scenes. It aims to do so by using a process to define “nursing care” in collaboration
with such nurses themselves. The method is to select 10 nurses in their forties with more than 20 years
of experience from 3 hospitals in the Kanto region. The next step is to interview these nurses using a
semi-constitutive questionnaire and then analyze the responses qualitatively and inductively. The result
is divided into 15 categories.1. Gain the trust of the patient as an individual.2. Gain motivation by helping the patient.3. Remember episodes and experiences that changed existing beliefs.4. Develop a sudden
awareness of the halfway mark of our lives.5. Comprehend our position by adapting to our age.6. Step
back.7. Work without expectation.8. Recognize the doctor as a colleague.9. Have confidence in our skills
and nursing practices.10. Aim to look after future generations with consideration.11. Continue working
without a title, but with a small wish to acquire one.12. Complain about the chief and head nurse.13. Be
concerned with a sensitive relationship with the head nurses.14. Experience frustration and discontentedness due to the lack of a proper bedside relationship with the patient.15. Understand that lack of
communication is the root cause of all problems.These categories will be converged in to 3 core categories: “Recognizing the patient as an individual acts as a motivational factor,” “Being aware of our own
flexibility with regard to work,” and “Even hardships and discontentedness are motivators rather than
deterrents.”
要 旨
本研究の目的は,40代看護師が配属された職場で活き活きと働き続けることを支援するため
に,40代看護師の経験に焦点をあて,個々の看護師が培ってきた仕事の意味を明らかにする事
である.方法は,関東周辺にある一般病院の3施設に20年以上継続して働き役職に就いていな
い10名を対象に,半構成的質問項目を用いて面接調査を実施し,質的帰納的に分析した.その
結果,15のカテゴリー《患者からひとりの人間として信頼される》
《患者に寄り添えることが
働く力》《今までの考えを変えるほどの出来事や経験》
《気がついたら人生の折り返し》
《自分
の状況を年代に当てはめ納得する》《一歩引いたところに居る》《他者に期待せずに自分から関
わる》《仲間としての医師》《自分の看護実践の自信》《後輩たちを守りながら育てたい,でも
思いやりはもってね》《役職に就かず働き続けたい,でも役職に就きたい気持ちもある》《師長
や看護部長に対する不満》《師長との微妙な関係は辛い》《ベッドサイドで患者とじっくり関わ
れない辛さ》
《世の中ぜ∼んぶコミュニケーション不足》が生成され,3つのコアカテゴリー
〔ひとりの人間として患者に寄り添えるのが働く力〕〔気がつくと柔軟な自分〕〔辛いこと不満
なことも働くバネ〕として収束した.
受付日:2011年6月8日 受理日:2013年3月9日
1) 成田赤十字病院 Japan Red Cross Narita Hospital
2) 東京女子医科大学大学院看護学研究科 Tokyo Women’s Medical University, School of Nursing
*責任著者 Corresponding author: e-mail [email protected]
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Ⅰ 緒 言
Ⅲ 研究方法
我が国は,2006年度の診療報酬改定を契機として
1.研究デザイン
看護師不足が顕在化しており,各施設では看護師の
修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ
確保定着対策に取り組み始めた.しかし,20代・30
(木下,2003)を参照した質的帰納的方法である.
代と同様な勤務形態で夜勤を伴う仕事に従事してい
る40代看護師についてはこれまで焦点が当てられな
2.研究協力者
かった.40代の役職に就いていない看護師(以下40
関東周辺にある一般病院の3施設に勤務する40代
代看護師という)は,看護実践者として長年にわた
看護師10名である.協力者の平均年齢は43.4歳,平
る豊富な経験の蓄積により知識や技術・態度を習得
均経験年数は21.7年,全て女性,面接時間は平均59
しており,患者の複雑・多様化したニーズにも難な
分であった.
く対応できる看護実践の担い手として医療チーム内
でも大きな影響力を持っている.しかし,このとこ
3.データ収集期間
ろ看護管理者を志す者が減少し「今の職位のまま自
2009年9月から11月であった.
分なりに仕事を続けたい」と考える傾向が強くなっ
ている(田村,2006;平井,2001)ことも指摘され
4.データ収集方法
ている.また,加藤(2007)が主張している「看護
研究対象施設より無作為に選出し,その後自由意
の仕事に職業としての意味があると感じている者は
思で同意が得られた看護師に対して半構造化された
職業継続意志が強い」という点は,40代看護師が仕
インタビューガイドに基づいて面接をした.
事を継続するうえで重要な要因であろう.さらに,
不況が継続している現在は,家庭においても40代看
5.データ分析方法
護師の就労や給与収入への期待はさらに大きなもの
修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチは
に変わりつつあると考えられる.
データを重視しながらも,データを切片化して一
そこで,40代看護師の経験に焦点を当て,培って
語,一文節といった形で細分化してその意味を分析
きた仕事の意味を明らかにすることを目的とした.
するのではなく,データをコンテキストでみて,そ
それにより,同年代看護師の共感が得られ元気に働
こに反映されている対象者の認識や行為,その他の
き続けられるきっかけへと繋がると考えた.
要因を丁寧に分析する方法である.本研究では研究
者がデータを解釈しながら研究協力者個々人の行為
や認識,考えや意図を明らかにすることを目指した
Ⅱ 用語の説明
点からこの方法を用いた.面接後は逐語録を作成し
全体像を要約しつつ「仕事を辞めずに続けてきた原
仕事(Work):個々が職業人として何かを成し遂げ
動力とその理由」,「仕事を続けてきた中で大事にし
るための行動.
てきたもの」を分析テーマに文脈を損なわないよう
経験(Experience):絶えず,そこに新しい出来事
に文章を抽出し,具体例とした.次に分析テーマに
が起こり,自分の中にその成果が蓄積されて未来へ
照らして他のデータからも具体例を抽出し,概念を
向かって開かれた状態.
生成した.その後,概念間の関係を検討しながらカ
意味(Meaning):何かを成し遂げようとしてきた
テゴリー化し,さらにコアカテゴリーを生成した.
中で他との関わりにおいてもつ価値や重要さ.
複数のカテゴリー相互の関係を検討し,簡潔に文章
化したうえで結果図を作成した.なお,分析にあた
り質的研究の専門家によりスーパーバイズを受け
た.
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6.倫理的配慮
に対する不満も奮起剤》としていた.しかし,それ
研究施設の承諾を得て,研究協力者の自由意思が
ら不満と感じる原因の多くは《世の中ぜ∼んぶコ
尊重され断っても不利益を被らないこと,プライバ
ミュニケーション不足》であるとしており,その改
シーや匿名性の保持,研究終了後には速やかにデー
善を期待できずに【自分から関わることを諦める】
タを処分するなどを文書と口頭で説明し同意を得た
方向にも傾きはじめていた.
うえで実施した.
第三の〔気がつくと柔軟な自分〕は,20年間絶え
なお,東京女子医科大学倫理委員会の承認を得て
ず《今までの考えを変えるほどの出来事や経験》と
いる.
の遭遇があり,それら経験を通して自分が変わるし
かないという考え方が培われた.そして《気がつい
たら人生の折り返し》にいた.そこで,人生を振り
Ⅳ 結 果
返り周囲への感謝の気持ちを抱きながら,これから
の方向を探っていた.また,夜勤をし定期的に勤務
34の概念,15のカテゴリーが生成され,3つのコ
異動をしながら続けてこられたのは《自分の状況を
アカテゴリーとして収束され(図)のように関連づ
年代に当てはめ納得する》ことができたからであっ
けられた.以下に導き出されたコアカテゴリーを
た.しかし,その結果《一歩引いたところに居る》
〔 〕,カテゴリーは《 》,概念は【 】,定義は下
立場で他者と関わっていた.特に《後輩たちを守り
線,具体例は「 」で示す.
ながら育てたい,でも思いやりはもってね》と当た
第一のカテゴリーである〔ひとりの人間として患
り障りのない後輩たちの態度への物足りなさや不満
者に寄り添えるのが働く力〕とは,《患者からひと
と,最後まで諦めずに関わって欲しいという願いが
りの人間として信頼される》ことであり,《患者に
込められていた.さらに,40代看護師は,《他者に
寄り添えることが働く力》となっていた.これは
期待せずに自分から関わる》こともできるように
【患者のそばに寄り添えることでのやり甲斐と喜び】
なっており,患者や家族,同僚・上司を巻き込んで
【患者とのたわいもない会話が私の働く力】を感じ
積極的に行動していた.また,医師に対しても関係
ていたからであった.
性が構築でき《仲間としての医師》と思えるように
第二の〔辛いこと不満なことも働くバネ〕とは,
なっており,そのため《自分の看護実践の自信》へ
《ベッドサイドで患者とじっくり関われない辛さ》
と繋げられ自信をもって日々の看護実践を提供して
や師長と同年代であることなどから《師長との微妙
いた.そして,これからも《役職に就かず働き続け
な関係は辛い》と感じながらも,《師長や看護部長
たい,でも役職に就きたい気持ちもある》という相
コアカテゴリー
カテゴリー
世の中ぜーんぶコミュニケーション不足
師長や看護部長に対する不満も奮起剤
患者に寄り添えることが働く力
師長との微妙な関係は辛い
患者からひとりの人間として信頼される
ベッドサイドで患者とじっくり関われない辛さ
ひとりの人間として患者に
寄り添えるのが働く力
辛いこと不満なことも働くバネ
気がつくと柔軟な自分
後輩達を守りながら育てたい
でも思いやりはもってね
役職に就かずに働き続けたい,
でも役職に就きたい気持ちもある
一歩引いたところに居る
自分の看護実践の自信
自分の状況を年代に当てはめ納得する
仲間としての医師
他者に期待せず自分から関わる
気がついたら人生の折り返し
今までの考えを変えるほどの出来事や経験
図.40代看護師にとっての仕事の意味
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反する複雑な思いを抱きながら働き続けたいと考え
2)〔辛いこと不満なことも働くバネ〕
ていた.それぞれについては,以下に具体例を挙げ
師長や部長との距離や関係が難しいという思いを
て説明する。
抱きながら,さらに,やる気をそぐような対応をさ
れていることに不満を抱き,それを引きずり積極的
1)〔ひとりの人間として患者に寄り添えるのが働
く力〕
働き続けてこられた一番の影響力は「患者のそば
に寄り添えて自分が役立っていると実感できること
起剤として働き続けていることを表すものであっ
た.
(1)《師長や看護部長に対する不満も奮起剤》
が嬉しい」という患者との直接的な関わりと自分が
師長や部長に対する日頃の不満を引きずっている
患者に役立つことができた喜びを表すものであっ
ことを示している.
①【師長や部長の一貫性のない説明や対応に不満
た.
(1)《患者からひとりの人間として信頼される》
を引きずりながらも働き続けたい】
働き続けられたのは,患者から看護師としてでは
上司の都合に合わせた対応や元気になれない言葉
なくひとりの人間として信頼されることが原動力と
を聞くと不満や憤りを感じるが,それが反って奮起
なっていたことを示している.具体的には,「患者
剤になるというものであった.具体的には,「新し
様に信頼していただけるというか,仕事人としてで
い事へチャレンジしようとした時に,上司から才能
はなく,人間として信頼していただけることがあっ
がないとか,もう歳だとか,40代に入って今更とか
て,それが非常に今の自分に,原動力になっている
言われて,とても悲しかったんです.だから,何く
ような気がします.」と語られた.
そと思いながら,絶対取ってやるぞ(認定看護師の
(2)《患者に寄り添えることが働く力》
ひとりの人間として信頼されるための具体的な関
わり方を示している.
①【患者のそばに寄り添えることでのやり甲斐と
喜び】
資格)という思いが強くて.」と語られた.
②【自分から関わることを諦める】
大切にされていない感じが強くなり,さらに,人
間関係のトラブル等が改善されずに諦めモードに
なっているというものであった.具体的には,「患
患者が辛い時に一緒に居られて回復を共に喜び合
者さんとの問題は消化できるんですが,今の年齢で
えること,存在を評価してくれることでやり甲斐を
辛いのは,人間関係ですね.患者さんとのことで辛
見出しているというものであった.具体的には,
「辛
いと思うのは一瞬ですよね.ですが,同職種のトラ
い時を一緒に居られることで,喜びを感じたりとか
ブルというのは,ず−っと,溜まっていくものなの
やり甲斐を見出したりするんですよね.」「20,30代
で,一掃はされないですよね.」と語られた.
の頃は何かしてあげることに優越感を感じていたん
60
に関わることを諦めている.しかし,その不満を奮
(2)《師長との微妙な関係は辛い》
ですが,今は何もなくても黙ってそばに寄り添って
師長は自分達に対する関わりが難しいと感じてお
いたいんです.」と語られた.
り,自分達も師長とどのように関わればよいのか
②【患者とのたわいもない会話が私の働く力】
困っていることを示している.具体的には,「40代
患者との会話は治療に必要な情報だけではなく治
は師長さんにとって,目の上のたんこぶ状態じゃな
療に関係ないたわいもない話ができることで,自分
いですけど,あまり出すぎた行動を取ると迷惑にな
たちもその会話に救われ元気が出るというもので
るんですよね.例えば,具合が悪い人がいれば勤務
あった.具体的には,「20代では必要な話だけ,気
調整したりとか,新しい事をやろうとする時も師長
が紛れるような,たわいもない話をしようとは考え
さんの考えることに相反したりするとそれはちょっ
なかったかもしれないですよね.(中略)朝行くと
と,,迷惑な存在になったりとかするので,難しい
『おっはようー』(手を挙げて挨拶する格好)とかし
んですよ.上下関係をはっきりさせながら,スタッ
て,嬉しいですよね.
『疲れてんじゃないの,寝て
フとの距離を取って,病棟を良くしなければいけな
行きなさい』とか,そんなこと言って患者さんと話
いので.上は上で辛いんですけど,この微妙な年代
せたのが良かったですね.」と語られた.
は年代で,辛いですよね∼.」と語られた.
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(3)《ベッドサイドで患者とじっくり関われない
辛さ》
説明をしなくちゃいけなく,苦手だなぁ∼と思って
接すると空回りして上手くいかないんですよ.結局
患者と関われるベッドサイドが好きで,その時間
は,そういう時って自分が変わるしかないじゃない
が短く十分な関わりができないことがとても辛いと
ですか.だから,
『Aさん,分かんないのに知って
感じていることを示しており,《患者に寄り添える
いるふりしちゃってすみません.だから,昨日勉強
ことが働く力》と対極する概念であった.具体的は,
してきました』って言ったら,『だと思ったよ』っ
「動けない方が多くてナースコールが凄い鳴るんで
て言われたんですよ.」と語られた.
すよ.呼びたくて呼んでいるのに(中略)ベッドサ
③【自分が居なくても回るんだ】
イドで話をきけないというのが一番辛いですね.」
自分が居なければ病棟が回らないと糸を張り詰め
と語られた.
た時期を乗り越えられると気持ちが楽になり働き続
(4)《世の中ぜ∼んぶコミュニケーション不足》
けることができると感じられたというものであっ
考えている事を相手に上手く伝えるためには日頃
た.具体的は,「切迫で入院するまで,『自分がいな
のコミュニケーションが大切であるが,今は不足し
い と 困 る だ ろ う 』 と 思 っ て い た ん で す. そ れ が
ていると感じていることを示している.具体的は,
『あっ!私がいなくても回るんだ』.そしたら凄く気
「世の中ぜーんぶコミュニケーション不足ですよ
が楽になって,まぁ悲しかったですけど,自分がい
ね!(口調が強い).ニアミス的なことって絶対コ
なくても回るって思えば,無理しなくていいとわか
ミュニケーション不足が絡んでいるんですよね!
り(仕事が)続くと思うんです.」と語られた.
『あっ,いつもだったら聞くのに一声かけなかった』
④【切り替えをしないと続かない】
とか,『いつもこうだからこうだ』と思いました.
仕事とプライベートの切り替えが上手くできてい
とか,そこに声かけがないから,全部に波及して
る時は辛いことがあっても続けられるというもので
困ったもんですよね!」と語られた.
あった.具体的は,「家に帰って仕事の続きのこと
を考えるのは,お風呂に入った瞬間,トイレに入っ
3)〔気がつくと柔軟な自分〕
た瞬間だけで後は忘れていますよ.そういう切り替
40代になったからこそ味わう身体的・心理的変化
えをしないと続かなかったんですよね.」と語られ
を体感しながら看護職を続けてきた中で,自然に変
た.
化したと思われる気持ちを表すものであった.
(1)《今までの考えを変えるほどの出来事や経験》
⑤【自分や自分の家族に置き換えて考える】
様々な判断を求められる時,「もしも自分だった
今までの自分の考えに影響を与えた印象に残る出
ら,家族だったらどうする」と考え行動していると
来事や経験を示している.
いうものであった.具体的は,
「患者さんに『あっ
①【転機となった出来事や経験】
ちに行ってちょうだい』って言われるのも辛いで
様々な出来事や経験が,今までの生き方や仕事に
す.昔だったら,そういうことを言われちゃうと
対する姿勢に影響を与えているというものであっ
ショックで看護師としてできないのかなぁと思って
た.具体的は,
「学生の時,胃全摘の患者さんを受
いたんですが,今は,その患者さんの心理的なこと
け持ち,(中略),学生のやることは一切拒否で『来
を考えたら,自分だったらやっぱりやだなぁと思う
ないでくれ』
,それからは外で見るだけの実習でし
んで,そういう風に思えるようになったんですね.」
た.その時に主任さんが『信頼関係ができてないと
と語られた.
成り立たない仕事よ』ということを教えてくれまし
(2)《気がついたら人生の折り返し》
て,信頼関係が一番大切だということを学びました
ちょうど人生の折り返しに来ていると実感し今ま
ね.」と語られた.
でのことを振り返り,これからの進む道を思案して
②【自分が変わるしかない】
いたことを示している.
患者との関係が円滑にいかない場合には自分が態
①【仲間や家族の支えがあるから続けられる】
度を変えるべきだと考えているというものであっ
辛いことがあっても家族や共に働く仲間の支えが
た.具体的は,「一番苦手とするストーマのケアの
あったから働き続けることができたと考えていると
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いうものであった.具体的は,「とてつもないミス
ベーションを自分で持ち続けるための工夫はもちろ
をした時,家族に『辞めてもいいかなぁ∼』と相談
んしますよね.この年ですから.けれども権限委譲
しました,,続かないんだったらしょうがないけ
されているわけではなく,でも役割はあって,,(中
ど,,と言うだけで.(職場でも)誰も責めないんで
略)何か悶々としている時がありましたね.師長や
すね.逆に一生懸命みんながフォローしてくれて,,
主任がいなければ代行もするし,でも,普通にやっ
だから,なおさら,自分だけメソメソしてたらみん
たり一生懸命やっても褒められることもないんです
なに申し訳ないなぁ∼と(いう気持ちが)生まれま
よ.怒られない,褒められない(笑う)っていうん
した.(中略)師長さん,主任,同僚,みんなが支
ですか.だから微妙な立場.」と語られた.
えてくれたような気がします.」と語られた.
②【人生の折り返し地点にいるからこれからの方
向を探っている】
勤務異動先で同僚から,「説明しなくても分かっ
ているだろう」と思われたり,「分かりません」と
40代を人生の折り返し地点と捉え,定年までの残
言えない辛さがあること.また,長年働いているの
された時間をどのように進むか希望を抱きながら進
にも関わらず知らないことの多さに不安を感じてい
む道を探っているというものであった.具体的は,
るというものであった.具体的は,「40代になると
「39ぐらいから,そろそろ人生の折り返し地点だ
できて当たり前,一生懸命やっていることでも上か
なぁって,今後,何を大切に生きていくのか,ぼち
ら評価されないし,失敗すると怒りはしないですけ
ぼち考えていかないといけないなぁ∼と考えました
ど何か言われたりすると,空しくなってくる感がど
ね.30の時は思いませんでした.(中略)結局,原
んどん深まってきて,,.」と語られた.
点に戻って『今,私に出来ることをこの場所でやろ
う』と思いました.」と語られた.
③【昔やっていたこと,出来なかったことをやり
たい】
③【体力の衰え】
体力の衰えを実感しているというものであった.
具体的は,「(深夜の時)朝の仕事が多くなるとだん
だん早く動けなくなり,採血とか何で採れないんだ
若い時代に熱中したことや悔しい思いをしたこと
ろうとか,こんな事で失敗なんかしなかったのにと
を,今の年代になったからこそ,再チャレンジした
思いましたね.(中略)若い子はおむつ交換とかも,
いと考えるというものであった.具体的は,「昔は
サーッと終われるのに,私はそれについていけない
山登りが好きで山登りに行くために仕事をしていた
なぁと思って,全然,駄目なんですよね.
」と語ら
みたいな,槍ヶ岳に登るところまで行ったんですけ
れた.
ど,台風が来ているから中止になってしまい,あれ
(4)《一歩引いたところに居る》
から10年以上過ぎちゃって,,今,登りたいと思っ
明確な役割を命じられていないため積極的に参加
ているんですよ.やっぱり新しい事をチャレンジす
しなくてもよい立場だと部外者のように捉えている
るより,昔やっていたことをまたやりたいという思
ことを示している.
いが強いかもしれない.」と語られた.
(3)《自分の状況を年代に当てはめ納得する》
①【一歩引いて周囲に気を配れるから楽しめる】
スタッフの一番の年長者として後輩や上司に気を
自分の置かれている立場や身体の変化を実感し,
配りながら,一歩引いたところから客観的な立場で
その状況を受け入れながら仕事を続けていこうと
関わっていることが楽しいと感じているというもの
思っていることを示している.
であった.具体的には,「スタッフの一番上で何と
①【発言力はあるけど,怒られない,褒められな
い】
なく板挟み的な,下からと上からも言われるという
立場なんですけど,そんな時こそ『楽しもう!』
(中
自分達の意見に反対する者は殆どいなく,褒めら
略)私の役割は人の様子をみて自分はどう動いたら
れ,怒られることもなく中途半端な立場であり本当
この手術室がいい感じに回るかということを考える
に必要とされているのだろうかと考える年代である
ことです.」と語られた.
というものであった.具体的は,「40代の人って宙
ぶらりんなんですよ.役割認識っていうか,モチ
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②【出来て当たり前,だから辛さや不安がある】
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②【若い頃は角張っていたなぁ∼】
若い頃は荒々しく角張っていたが,それを経験出
来たおかげで困難にもくじけずに乗り越えられ働き
あった.具体的には,「30代前半は当たり障りなく
続けてこられたと感じているというものであった.
先生達やスタッフとも上手くやって,患者さんには
具体的には,
「20代の前半の角張ってた時期があっ
何となく通り一遍で理想論は言えるんですよ,勿
て良かった,そういう時期があったから今があると
論.オペ前訪問に行って問題挙げて計画立案はいい
思うんですよ.角張ってて欲しい3年目から6年目
んですよ.けれども,『この人が何で手術しなけれ
ぐらいが優しすぎて何でもイエスマンなんですよ
ばいけなくなったんだろう』っていう目で見ない
ねぇ∼.文句じゃなくて正当な批判をして欲しい.
『この人このオペに来るのに一番困る事って何だろ
静か∼にしているんですよ.いざ,やってみて,
『何
とかさんが言ったから』っていうのは,卑怯だな
∼って感じですよ.」と語られた.
③【学生は臨床で揉まれて学んで欲しい】
う』,普通の話し言葉で考えていない.」と語られた.
(6)《他者に期待せずに自分から関わる》
後輩指導や病棟運営などにおいては一歩引いたと
ころにいるが,患者に関することや同僚の人間関係
看護学生時代に患者や看護師と大いに関わり,コ
に関することは積極的に関わっていることを示して
ミュニケーションを学ぶことが大事であると考えて
いる.
いるというものであった.具体的には,「腹部大動
脈のオペ予定の患者さんが下血になり延期になった
①【患者や同僚との辛い人間関係には自分から関
わる】
んです.そしたら,『私手術しない患者さんはいり
患者や看護師同士の人間関係が円滑にいかない時
ません』って,教員も『オペを見せてあげたい』.
などは,一歩引いた立場ではなく自分から積極的に
その患者さんの気持ちはどうなるの!(中略)学生
関わっていくというものであった.具体的には,
「仕
がその目標を達成できればいいんですよ.(中略)
事で辛い人間関係って色々ありますけど,これは時
3年生になったら(患者との)辛いコミュニケー
間が解決するんだなぁ∼とか,,,ぐずぐず思ってい
ションもあってもいいじゃないですか.何処で,揉
られないんですよ.嫌だなぁと思ったら自分からわ
まれてくるのかなって,揉まれる場所がない.だか
ざと関わっちゃうんですよね.そうするとあまり嫌
ら1年目の離職率が9.3%も当たり前じゃない.
」と
じゃなくなるんです.」と語られた.
語られた.
(5)《後輩たちを守りながら育てたい,でも思い
やりはもってね》
後輩たちに対する要望と激励を示している.
①【後輩を守りながら育てたい】
②【上司や家族を巻き込んで進める】
家族や同僚・上司を巻き込みながら進めていくこ
とが必要と感じているというものであった.具体的
には,「脳外の患者さんは自分で『連れて帰ってく
れ』って言えないから大変なんですよ.言えたら家
自分が経験した辛い思いを後輩にさせないように
族の頑張りも違うんですけど,,.だから,今までは
見守りながら個々人に合わせた関わり方をしている
身体の向きを変える時『外でお待ち下さい』って
というものであった.具体的には,「(後輩には)ミ
言っていたことを『ちょっと力を貸してもらえます
スとか起こして辛い思いをさせたくないので,させ
か』っていうとこから介入していかないと駄目なん
ないためにはどうしたらいいか?って,考えていま
ですよね.」と語られた.
す.(中略)完璧な人はいないですから,下にも完
(7)《仲間としての医師》
璧は求めません.だから,ちっちゃな失敗だったら
40代になると医師の立場や考えも理解できるよう
してもいいんです.ただ,同じ失敗をしなければい
になり,共に働く仲間として受け入れられるように
いんです.」と語られた.
なったことを示している.
②【通り一遍の対応ではなく普通の感覚で思いや
りをもって欲しい】
①【窮地を乗り越えた仲間としての医師】
医師と共に緊迫した時間を乗り越えられた連帯
後輩達は当たり障りなく患者や同僚・医師に対応
感,その後の労いの言葉に喜びを感じているという
しているように感じられるので,もっと思いやりを
ものであった.具体的には,「先生から労いの言葉
持って最後まで諦めずに関わって欲しいと感じてお
をかけてもらったりとか評価してもらったりするこ
り,物足りなさや不満を抱いているというもので
とは殆どないんですけど,集中治療室で,医療事故
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ではないんですけど,それに近いケースで家族が見
理部門だと認識しているので,そういうトラブルが
守る中,一晩ずーっと先生と,いっぱいフロアーは
ないと,患者さんケアのことで聞くことはないです
あるんですけど,かなり緊迫した時間を過ごして最
よね.」と語られた.
後は亡くなられたんですけど.その時間を過ごした
あとに『本当にありがとうございました』(中略)
がけている】
『協力してくれてありがとう』という言葉を先生か
患者や家族,後輩の話しを聞くことが大事と考え
ら言って頂けたときは本当に涙がでるほど嬉しかっ
ているというものであった.具体的には,研究者か
たです.」と語られた.
ら「患者の話を聞くことで鎮痛剤を使用する間隔が
②【やる気につながる医師の関わり】
延びるけれど,看護師にとって聞くことは重くない
医師の態度や言葉からやる気につながる時がある
ですか」との質問に「重いですよ.だけど,,,自分
というものであった.具体的には,「朝の引き継ぎ
が何とかやってあげたいという思いになるんです
を医師が看護師の情報も得たいということで一緒に
よ.」と語られた.
やっていたことがあったんですよ.そうすると自分
③【師長から期待されている感覚】
達も自分の意見を言って認められたり,逆に責めら
病棟運営の役割の多くは若い人達が任されて自分
れたりとかあったんですけど,良かったですね.」
達に依頼されることは少なくなっているので,師長
と語られた.
から期待されている感覚が嬉しく感じられていると
③【若い時と違って医師とは直接対決しないが言
いなりにもならない】
いうものであった.具体的には,
「師長から『あの
子ちょっとこの人から色々言われて大変みたいだか
若い時は自分達の意見を受け入れてもらうために
らちゃんとみてて』って言われたりすると,(その
強引で感情的なところがあったが,今は相手が受け
子が)何かきつい言われ方とかしていないかと『み
入れてくれるような対応が出来るようになったとい
てなきゃ,』って思い,自分は言っちゃいけない側
うものであった.具体的には,「今日も辞めたいこ
にいましたね.」と語られた.
とがありました.今日は先生との戦いですね.(中
略)若い時みたいに,ボン!ボン!言わないですよ.
(9)《役職に就かず働き続けたい,でも役職に就
きたい気持ちもある》
その分,胃がクル!クル!,キー!キー!!って痛
役職に就きたくない,就きたいという気持ちが相
くなりますよね.ぐーっと堪えます.ここまで出た
反していることを示している.
けどこれを言ったらやっぱり最後じゃないけど,ホ
ントにぶつかっちゃうと思えば止められます.(中
①【役職に就かずに続けたい,でも役職に就きた
い気持ちもある】
略)確かに若いときは止められませんでした.」と
役職に就いていない状態で続けたいと思う反面,
語られた.
同僚や後輩が役職に就いて活躍している姿が少し羨
(8)《自分の看護実践の自信》
ましく感じたり,自分が若い時に描いていた役職の
看護師を続けてきた中で培ってきた技などから
年代になり役職に就いてみたい気持ちが多少あると
日々の看護実践に対しての自信があることを示して
いうものであった.具体的には,
「責任あるポジショ
いる.
ンには就きたくないなぁ∼.今みたいに現場で働い
①【患者のケアなら任せてね!師長はみんなを
引っ張って】
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②【患者や家族,同僚や上司の話を聞くことを心
ていたい.責任が大きくなって,残業とかもどうし
たって多くなって,すると子供との時間が少なく
師長は指導力を発揮して病棟をまとめて欲しいと
なって,夫の負担がもっと多くなると仕事を続けら
思い,そのかわり患者ケアに関しては私達に任せて
れなくなるかも知れない.(F)」「今回の異動の時
欲しいと考えているというものであった.具体的に
に,師長から,(部長は)それなりのポストは考え
は,
「(師長に看護は)求めません.管理を求めます.
てくれているから.それイコール主任としての立場
まずはみんなをまとめて引っ張ってく力が一番だと
で働きなさいって,私は取ったんですけど,ふたを
思いますね∼.師長さんというのは苦情の処理だっ
開けてみたら,結局,スタッフなんですよ.
」と語
たり,困ったことがあったら聞く時とか,あとは管
られた.
日看管会誌 Vol. 17, No. 1, 2013
②【生活のためだけど看護師も好き】
いもない会話が私の働く力】になっていた.野口
仕事を続けているのは生活のためと考えていた
(2002)が主張している「無知の姿勢」で患者に関
が,それだけではなく看護という仕事が好きだと再
われるようになったからではないだろうか.相手の
認識したというものであった.具体的には,「最初
関心に寄り添い患者が語ったことをもっと深く知り
は,そんな看護師をずーっと続けようなんて思って
たいという姿勢で聴いていた.そのため,一人ひと
いなかったんですけど,生活のためと言いつつ辞め
りの患者・家族に適した柔軟性のある看護が提供で
なかったのは,やっぱり,性分に合っていたんだと
き,入院生活の質の向上だけでなく,退院後の生活
思います.」と語られた.
へと円滑に移行できる援助へとつながっていたこと
が窺えた.これは,長年にわたり様々な経験を積み
重ねながら〔気がつくと柔軟な自分〕に変化した結
Ⅴ 考 察
果であると考えられる.
「20代,30代ではできなかっ
た」という語りからも積み重ねてきた経験の大切さ
1.ひとりの人間としての40代
を確認できたと考える.
岡本(2003)も「40歳代を中心とする中年期は,
─中略─,若い頃に設定した『自分の人生の夢』と
3.学び続けられる職場環境
その達成度について問い直される時でもある」と述
40代看護師は,リーダーシップを発揮してみんな
べているように,【人生の折り返し地点にいるから
を引っ張って行く立場から後輩の成長を支援する立
これからの方向を探っている】が,まさに人生後半
場【後輩を守りながら育てたい】へと変わっていた.
をどのように生きていこうかと考えている40代看護
これは,シャイン(1991)が「一定の閉鎖期間後,
師の姿であった.つまり,看護師としてのこれまで
外界に対して自己を再開放する.部下や他の成人に
の人生を振り返り,これから先,自分は誰のために
対して自分を役立てるようになる」と述べているよ
存在し他者の役に立つことができるのかを問い続け
うに,自分達がこれまでに習得した知識・技術・態
るものであった.
度を惜しみもなく後輩達に役立てようとしている姿
であることが理解できた.また,病棟運営における
2.40代看護師にとって働く原動力
役割の多くは後輩達に任されており,そのためか,
看護師たちは,ベッドサイドで【患者のそばに寄
積極的な関わりをする立場ではなく何処か部外者の
り添えることでのやり甲斐と喜び】を感じていた.
ような《一歩引いたところに居る》立場で関わって
その関わりから得られた患者 / 家族との信頼関係
いる.それは,
【出来て当たり前,だから辛さや不
は,単に看護師としてではなく《患者からひとりの
安がある】
「一生懸命やっていることでも上から評
人間として信頼される》ことだった.これは,まさ
価されないし,失敗すると怒りはしないですけど何
に,佐藤(2007)が「『看護師の臨床力』という考
か言われたりすると,むなしくなってくる感がどん
え方は,看護師がその役割を遂行していく能力を指
どん深まって」との語りや【発言力はあるけど,怒
すと考えがちであるが,─中略─看護師という役割
られない,褒められない】ということから,自分達
を超えたところでの関係性を保持していることで
の存在意義にむなしさや不安を感じていることが窺
あった」と述べているように,患者から仕事人では
えた.このむなしさがやり甲斐や喜びを上回ること
なく《ひとりの人間として信頼される》ことが,働
がないように支援する必要性を感じた.そこで,太
くうえでの揺るぎない原動力となっていた.そのた
田(2007)が主張しているように人間のやり甲斐や
め,〔辛いこと不満なことも働くバネ〕にしていた.
喜びの背後には承認欲求が介在していることを忘れ
また,患者が辛い時にこそ一緒に居られて回復を共
ず,役職に就いている・いないに関わらず,互いに
に喜び合えることや,何もなくてもそばに寄り添っ
認め合う職場環境づくりの重要性が示唆されたもの
ているだけでやり甲斐を感じていた.身体的情報に
と考える.
関する会話だけではなく,少しでも気が紛れるよう
にと考え会話していた.そのような【患者とのたわ
日看管会誌 Vol. 17, No. 1, 2013
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Ⅵ 結 論
られるような関係性の構築に組織全体で取り組む
必要性が示唆された.
1)40代看護師が働き続けてこられた原動力は〔ひ
とりの人間として患者に寄り添えるのが働く力〕
謝辞:本研究に協力してくださった看護師の皆様に
であった.
心より感謝申しあげます.この研究は,東京女子医
2)長年に渡り働き続けている中で,辛いことに遭
科大学大学院看護学研究科修士論文の一部に加筆修
遇したり上司に不満等を抱いても,その〔辛いこ
正を加えたものであり,第14回日本看護管理学会年
と不満なことも働くバネ〕として奮起し自分の看
次大会にて研究成果の一部を発表した.
護実践に自信を持って働いていた.
3)〔ひとりの人間として患者に寄り添えるのが働
く力〕〔辛いこと不満なことも働くバネ〕とする
■引用文献
ことができるようになったのは,長年に渡る経験
木下康仁(2003).グランデッド・セオリー・アプローチの実践,
弘文堂,東京.
野口裕二(2002)
.物語としてのケア ナラティブ・アプローチ
の世界へ,医学書院,90-106,東京.
太田肇(2007).お金より名誉のモチベーション論,東洋経済新
報社,33-55,東京.
岡本衣代,井上富美,福島綾(2003)
.看護師の職務継続につな
がる内的要因─看護体験からの自己の成長に焦点をあてて
─,看護管理,34,3-5.
佐藤紀子(2008)
.看護師の臨床の「知」
実践の中で看護師を
育 て る 語 り( ナ ラ テ ィ ブ ) の 力, 看 護 学 雑 誌,72(4),
310-316.
シャイン,E. H. /二村敏子・三善勝代訳(1991).キャリア・
ダイナミクス(第10版),白桃書房,30-50,東京.
の積み重ねにより〔気がつくと柔軟な自分〕に変
化できた結果であった.
4)患者に対しては常に積極的な関わりをしている
が,後輩や上司に対しては部外者のような《一歩
引いたところに居る》立場で関わっていた.
5)自分達の立場や役割が師長や後輩に認められて
いないと実感しむなしさを感じ《一歩引いたとこ
ろに居る》立場であったことが窺えた.そのため,
承認し合える環境の中で,それぞれの思いが伝え
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