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カルチャー教室から
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カルチャー教室コーディネーター 楢崎 悠也
今月号はざっくばらんに始めてみます。カルチャー教室は、月に 2 度の 1 時間半から 2 時間の習
い事、大事件や劇的な成長は滅多にありません。本人の意思による余暇の有効活用の建前ですが、
大きな熱意や努力のもと行われているかというと実際はそうでもなく、
「ルーティーン(お決まりの
流れ)」の意味合いが強いと捉えています。ただ、確かな熱意を感じる場面もあります。安部さんは
「さをり教室」、野尻くんは「音楽クラブ」、大久保くんは「テニス教室」です。
大久保くんはとても控えめで、自分から「~したい」との自発的な意思表示は余りしませんし、
昼食を受け取る列でも後方に位置します。葦の会の中心はオレ
だと言わんばかりに、何事も 1 番手に名乗りを挙げる和也く
んと比較すると差は歴然(2 人とも「自閉症」と言われる障碍
ですが全く似ていません)。そんな大久保くんがテニスの時ば
かりは、2 人の先生の前で、和也くんの隣にスっと位置をとる
のです。ケース一杯のボールを 10 分かけて打ち終わり、ボー
ルを拾って「今度はラケットで出すよー」と再開する時も、や
はり一番前にいます。葦の会の中心を自負する男は場合によっ
て先生を選り好みますが、大久保くんはそういうことはしません。そこは譲ります。一方、順番待
ちをする間に和也くんがフラッとすると、すかさず前に詰めます。専門的(内輪?)な話で今一理
解しづらいかもしれませんが、これは本当にスゴいことなのです。
さて、年に 1 度は小欄に載せていますが、本来の「テニス」とは程遠い、打ちっぱなしゴルフに
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近いテニス教室です。でも、
「好きこそ物の上手なれ」のことわざは知的障碍者にも当てはまり、大
久保くんだけでなく、他の人も少しずつは上達しています。ボールが隣のコートに飛んでいくこと
は減りましたし、自分の近くへ来たボールだけを返すのではなく、飛んでくるボールへ「自分が近
づく」というルールへの理解も始まっています。テニス教室が他のどんな場面とも違うのは、1対
1が強制的に反復されること。調子の良い時も悪い時もいつ
だって1対1が定期的にあれば、効果的なタイミングを逃し
ません。そうして本来の「テニス」へ少しずつ近づいていき
ます。ちょっとしたラリーなら、何人かは 10 回近く続けら
れるようになりましたから。
「障碍者の大会もあるらしいよ、みんな出したいよね」と
先生の 1 人。いやいやそれは無理でしょ…と思っていると、
「5 年やってここまできたから、もう 5 年後には出られるん
じゃない?」の言葉が続きました。的確な将来設計を建てられる理解は頼もしい限りです。
(自分も
付き合う気持ちがないと言えない言葉ですしね!)ただ、心配事が 1 つ。テニス教室の平均年齢は
楽勝の 40 代…。普通に考えて、それほどの余裕はありません。月に 2 度の 1 時間半から 2 時間程
度の習い事、その1回1回今年度も大切に過ごしていきたいものです。
カルチャー教室
習 字
4月
今後の予定
9日、23日
水彩画 4月11日、25日
音 楽 4月 3日、17日
陶 芸 4月12日、26日
さをり 4月 5日、26日
テニス 4月13日
※音楽クラブ「ぶる~すかい」が13日(日)『春のふれあいコンサート』に出演します。
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