症例 2:40歳台、女性

第46回日本医学放射線学会秋季臨床大会
イメージインタープリテーションセッション
2010年9月19日 17:15-19:15
パシフィコ横浜メインホール
症例 2
40歳台、女性
発熱・関節痛
さて診断は?
画像所見
•  胸椎と腰椎の正面像では傍脊椎靱帯に骨化が
みられ, 側面像では終板の破壊が強く, その周
囲に骨硬化を伴う.椎間関節に骨硬化がを認め
る. •  仙腸関節では骨硬化がみられ, 左右差ははっき
りしない. •  恥骨結合にも軽度の骨硬化とerosionがある.大
腿骨大転子・小転子と坐骨結節に靱帯付着部
症による骨性突起. •  手関節, 手根骨間, 手根骨ー中手骨間, MP関節, PIP関節, DIP関節には関節裂隙の狭小化と関節
周囲の骨のerosionが著明で、骨吸収と骨の短縮
を認め, 骨硬化も伴う. 指関節ではpencil-­‐cup-­‐in変
形を認める. オペラグラス変形を認める.
恥骨結合にも軽度の骨
硬化とerosionがある.
仙腸関節に骨硬化があ
り, 一部erosionもあり, 仙
腸関節炎を認める.
頸椎側面像では椎体に
syndesmophyteがあり、椎
間関節に強直がみられる.
鑑別診断
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関節リウマチ 変形関節症 Reiter症候群 乾癬性関節炎 強直性脊椎炎 多中心性細網組織球症 痛風 仙腸関節炎の鑑別
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慢性関節リウマチ 強直性脊椎炎 乾癬性関節炎 Reiter症候群 腸疾患関連関節症:UC, Crohn病 硬化性腸骨骨炎 化膿性/結核性関節炎 変形性関節症 痛風や副甲状腺機能亢進症.
仙腸関節炎
•  仙骨と腸骨の間の滑膜関節.
•  関節腔:若年者は2 5mmで, 40歳以降は加齢とともに
線維化, あるいは線維軟骨形成により閉鎖. •  AS:両側性, 対称性.腸骨側のerosion. 関節腔の見かけ
状開大.関節周囲の骨濃度の低下. 骨性強直. •  Reiter症候群の60%, 乾癬性関節炎の10 25%, ASより
erosionと反応性骨硬化は著明だが, 骨強直は少ない. 両側, 非対称性. •  腸炎合併による関節炎はASと区別つかない両側性, 対
称性. 脊椎
•  AS: Romanus lesion(椎体辺縁のerosionによる小さ
な欠損), squaring phenomenon(椎体の角がとれ
て四角にみえる), shiny corner(欠損部周囲の骨硬
化), 線維輪外側部と前縦靭帯の骨化
(syndesmophytosis)が生じる.靱帯骨化は薄く, 対
称性. Andersson’s lesion(椎体や椎間板接合部の
erosion). 椎間関節の変化. •  Reiter症候群や乾癬性関節炎では, ASと異なり, Romanus lesionや椎体の方形化は少ない. syndesmophyteは厚く, 非対称性. 四肢関節
•  ASでは股関節, 肩関節以外は稀. •  乾癬性関節炎では手足の関節が侵されることが
多い. 末梢関節炎はRAに類似し, 骨浸食と. 骨形
成,骨膜反応がみられる.骨のerosionは関節近傍
から始まり, 後にpencil-­‐in-­‐cup変形. オペラグラス
様変形. 軟部組織腫脹:指列全体が侵され, ソー
セージ様指. •  Reiter症候群では足や膝関節に炎症性変化が起
きる.
長崎大学 上谷雅孝先生のご厚意による
長崎大学 上谷雅孝先生のご厚意による
長崎大学 上谷雅孝先生のご厚意による
診断:乾癬性関節炎
オペラグラス様変形が著明な症例.
この点では多中心性細網組織球症と鑑別必要.
乾癬. オペラグラス様変形
手背の皮疹
乾癬
乾癬性関節炎
•  皮膚の乾癬に合併する関節炎(5 7%). 皮膚病変に先
行することもある(15 30%). HLA-­‐B27としばしば関連. 関節炎の85%に皮膚病変がある. •  手・足(DIPを含む)に好発し, 50%程度は仙腸関節と脊
椎(胸椎と腰椎)が侵される. •  両側性で多発性するが, 非対称性の分布. •  手・指関節は3/4で関節炎が生じ, 主にDIP/PIPを侵す
もの, 単一の指列を侵すもの, RAと区別できないもの, がある. 手指の指節間関節に骨浸食, 骨形成が混在
し, 腱鞘にも炎症を認め, 骨膜反応を伴うこともある. 指趾はソーセージ様. •  仙腸関節炎は10 25%で生じ, ASよりerosionと反応
性骨硬化は著明だが, 骨強直は少なく. 両側, 非対
称性となる. •  脊椎では, 椎体の方形化(前方の脊椎炎は前縁の
直線化を来す), 傍脊椎の靱帯骨化と靱帯骨棘形
成(線維輪の外側線維の骨化), 椎間関節の増殖性
骨関節症. •  指節間関節, 踵骨, 坐骨結節, 大転子と小転子, 内
側顆/外側顆, 膝蓋骨, 頸骨近位部の付着部症. •  治療:非ステロイド性抗炎症薬(NSAID), ステロイド, MTX, シクロスポリン, TNF-­‐α遮断剤など.
関節炎の症状により, 5型に分類
•  Group1:古典的な乾癬性関節炎.最初にDIP関節, 次
にPIP関節が侵される. 爪の病変. •  Group2:オペラググラス変形を伴うムチランス型関
節炎. 指節間関節,中手指節関節のerosionによる高
度の破壊. Pencil-­‐in-­‐cup変形. 仙腸関節炎. •  Group3:対称性関節炎. DIP関節とPIP関節の強
直.RAと区別くかないものも. •  Group4:非対称性小関節炎. DIP, PIP, MCP関節. •  Group5:強直性脊椎炎型の脊椎関節症. ムチランスとは
•  手足を切断する, 不具にする. •  RA患者のオペラグラス様の短縮に対してはじ
めは報告された. •  RA:2 5%. 乾癬性関節炎:5% 多中心性細網組織球症:45%
ムチランス型関節炎でオペラグラ
ス変形を来した乾癬性関節炎を
呈示した.