クリティカル・パスの活用について

都 立 病 院 に お け る
クリティカル・パスの活用について
平成 13 年5月
都立病院クリティカル・パス推進検討委員会
報
告
に
当
た
っ
て
近年、医療技術の進歩、高齢化の進展など医療を取り巻く環境は大きく変化しており、医療提供
体制についても、危機的な医療保険財政や安全性の確保など様々な課題を抱え 、大きな変革の時期
を迎えています。
都民の医療に対するニーズも、多様化、高度化しており、安心して受診できる安全で質の高い医
療の提供が強く求められています。
医療におけるクリティカル・パスは、アメリカにおいて、主に経済的なインセンティブにより普
及してきた手法ですが、インフォームド・コンセントの充実による患者の安心の確保や、医療内容
の明確化、標準化等による医療の質の向上などを目指すために極めて有効な手法です。
これまでも、都立病院では、都民に良質の医療を提供するべく日々努力してきたところですが、
今後、より一層医療サービスの質を高めていくためには、クリティカル・パスの活用を積極的に推
進していくことが必要です。
本委員会は、このような状況を踏まえ、平成 12 年 10 月 4 日に設置され、都立病院における問題
点の把握、推進方策等について、鋭意検討を行ってまいりました。
今回の報告が、各病院におけるクリティカル・パスの取組を進めていくための一助となり、都立
病院が提供する医療サービスの向上につながることを願っています。
平成 13 年
5 月 17 日
都立病院クリティカル・パス推進検討委員 会
委
員
長
関
口
令
安
本委員会は、平成 12 年 10 月 4 日付けで貴職からの依頼を受け、東京都立病院におけるクリティ
カル・パスの活用推進方策について検討を続けてきましたが、その結果を取りまとめましたので、
ここに報告いたします。
平成13年
東京都衛生局病院事業部長
押
元
洋
5 月17日
殿
都立病院クリティカル・パス推進検討委員会
委
副
員
委
員
長
関
口
令
安
長
石
原
通
臣
香宗我部
滋
中
野
透
市
川
容
子
臼
井
史
生
渡
邉
貫
治
岡
田
君
子
佐
藤
幸
子
當
眞
隆
則
熊
川
寿
郎
青
木
歌
子
目
次
1
医療を取り巻く状況
1
2
クリティカ ル・パスとは
1
3
(1) クリティカル・パスの定義
1
(2) 日本におけるクリティカル・パス
2
4
クリティカル・パスの効果
3
(1) 医療の質の向上
3
(2) インフォームド・コンセントの充実
4
(3) 業務の効率化
4
(4) 在院日数の短縮
4
(5) 業務の明確化
4
(6) チーム医療の強化
4
都立病院における取組状況と問題点
4
(1)
取組の経緯
4
(2)
取組状況
5
ア
作成状況
イ
適用状況の把握
ウ
院内推進体制
(3)
問題点
5
5
都立病院における取組方針
6
6
推進に当たっての方策
6
(1) 院内推進体制の整備
6
ア
医師の積極的な関与
イ
院全体としての取組
ウ
院内における活用状況の進行管理
(2) 作成に当たっての留意事項
ア
目的の明確化
イ
対象範囲
ウ
様式
エ
その他
8
7
都立病院全体としての取組
9
8
将来に向けて
10
(1) 情報の発信
10
(2) 都立病院版クリティカル・パスの検討
10
(3) 電子カルテへの応用
10
《コメディカル部門等におけるクリティカル・パス導入による効果》
11
《参考:急性期入院医療定額支払い方式診断群分類一覧》
14
《都立病院クリティカル・パス推進検討委員会設置要項》
21
《都立病院クリティカル・パス推進検討委員会開催状況》
23
1
医療を取り巻く状況
我が国では、長期にわたる経済の低迷と急速な高齢化の進行に伴う老人医療費の伸びを主な要因
として、経済成長と国民医療費の伸びとの不均衡が、ますます拡大している。そのため、医療保険
財政は、赤字基調で推移しており、厳しい状況が続いている。
このような財政の危機的状況の中で、誰もが安心して良質の医療サービスを受けられるよう、医
療制度の抜本改革が急務となっており、薬価制度、診療報酬体系及び高齢者医療制度の見直しを 柱
とする改革が進められている。
その改革の流れの中で、平成 12 年の診療報酬改定では、医療法改正を先取りした形で、急性期と
慢性期の機能分化や病院と診療所の機能分担等の考え方を取り入れながら、基本診療料や手術料を
*
中心に見直しが行われ、包括払いの範囲が拡大された。また、日本における「 急 性期入院医療の診
断群別定額支払い方式」を検討するための試行作業が平成 10 年 11 月から5年計画で開始され、平
成 13 年度からは、試行対象症例と試行対象施設を拡大して行うことになっている。
一方、医療の質的な面では、患者が安心してかかることのできる安全な医療を提供していくため、
医療事故を未然に防止する不断の努力が求められている。
さらに、治療効果が科学的に検証された有用な治療法を確立するとともに、医師が患者に提示す
る個々の治療法の選択肢に科学的な根拠を与え、インフォームド・コンセントの充実などを図るた
注1
めの「科学的な根拠に基づいた医療( EBM )」の重要性が増している。また、患者側からは、患者
の権利として、自分に対して行われる治療内容や費用についての十分な説明が行われることを求め、
レセプト、診療情報等の開示を要求する動きが出てきている。
クリティカル・パスは、これらの医療をめぐる様々な課題に医療の現場で対応していくための具
体的で有効な方法の一つとして、関心を集めている。
* 巻末に診断群分類一覧を添付
2
クリティカル・パスとは
(1) クリティカル・パスの定義
「クリティカル・パス」は、もともと経営工学の製造工程管理法に発しており、アメリカにお
いてポラリス潜水艦の建造やNASAのプロジェクトに用いられた、効率性を追求する工程管理
の手法である。
注2
アメリカでは、1983 年、メディケア にDRG/PPS(診断群別定額前払い方式)が導入され
ると、病院側は、経営戦略として、一定の質を確保しながら、在院日数短縮と費用の徹底した削
減を行うことが必要となった。その流れの中で、
「クリティカル・パス」の手法をボストンの看護
注1:EBM( Evidence Based Medicine )
診ている患者の臨床上の疑問点に関して、①医師などが、関連する医学文献等を探索し、それらを統計学
的な知識等を使い批判的に吟味した上、診ている患者への適用の妥当性を評価し、さらに②その患者の価値
観や意向を考慮した上で臨床判断を下し、③自分自身の専門技能を活用して医療を行うこと
注2:メディケア( Medicare )
アメリカ連邦政府が運営する高齢者と障害者等に対する医療保障制度
婦カレン・ザンダーが「ケア・マップ」という呼称で医療界 に導入した。その後、民間の医療提
注1
供組織であるHMO のシェアの増加とともに、より徹底した経営管理が求められるようになり、
アメリカ全国に普及した。
このような経過により、疾患別・処置別に、患者に対するケア内容を時間の経過を追いながら
記録したスケジュール表を作成すること、又は作成したスケジュール表そのものを意味する言葉
として「クリティカル・パス」が用いられるようになった。
クリティカル・パスの定義は様々であるが、1989 年のマッケンジーによる定義が極めて実務的
な内容であったのに対し、最近では、医療の質に着目した定義がなされている。
マッケンジーの定義
DRGが決めている入院期間内で標準的な結果を得るために、患者に対して最もかかわる医師及び看
護婦が行うべき手順と時間のリスト
阿部俊子の定義
一定の疾患をもつ患者に対して、入院指導、入院時のオリエンテーション、検査、食事指導、安静度、
退院指導などが、ルーティンとしてスケジュール表にまとめてあるもの
スパスの定義
医療チームが共同で作り上げた、患者の最良の管理だと信ずる所を示した仮説
郡司篤晃の定義
医療チームが患者の通常の臨床経過とケアに関する理解を共有することによる、医療と質の効率向上
をするための患者管理システム
参考文献
「クリティカル・パスと病院マネジメント」
(薬事時報社)
「日本病院会雑誌 1999 年 2 月号」
「日本病院会雑誌 1999 年 6 月号」
(2) 日本におけるクリティカル・パス
日本の診療報酬制度に基づく保険支払い方式は、出来高払い制をとっているため、クリティカ
ル・パス導入の経済的インセンティブは、アメリカとは異なっている。しかし、在院日数に連動
した入院基本料の逓減措置や、包括支払い方式の導入を視野に入れた試行、診療の標準化への動
きなどに呼応して、クリティカル・パスへの関心が高まっている。
また、臨床医学の分野でも、これまでのプロセスを重視する医療からアウトカム(成果)を重
視する医療に変わってきていると言われており、これに伴い、クリティカル・パスを、治療結果、
医療資源の効率的活用、患者や職員の満足度等の期待されるべき成果を実現するための重要な経
営手法としてとらえる考え方が出てきている。
なお、平成 12 年度診療報酬改定にもクリティカル・パスの考え方が導入されており、新設され
た「急性期特定病院加算」では、クリティカル・パス方式による患者への説明が適用条件の一つ
となっている。
注1:HMO( Health Maintenance Organization)
アメリカにおける医療供給設備と医療スタッフ、保険者の機能を一本化した医療提供組織。加入者は、会
費を支払い、この組織が指定する病院や診療所で診療を受ける。
青梅市立総合病院及び榊原記念病院では、1990 年代の早い時期からクリティカル・パスが導入
されており、さらに亀田総合病院では、電子カルテ・オーダーシステムと連動させながら使用し
ている。
クリティカル・パスは、ケア内容を縦軸に、時間の経過を横軸にとり、診療・ケアの計画 を二次元
構造で示したものであり、診療者側で使用するためのクリティカル・パスと患者(家族)向けのクリ
ティカルパスがある。下図は、患者(家族)用クリティカル・パスのイメージである。
3
クリティカル・パスの効果
クリティカル・パスを導入することにより、次に述べるような効果をあげることができる。
また、クリティカル・パスの作成に当たって診療活動を見直していく中で、医療サービスの更な
る向上に向けて職員の意識改革を進めるとともに、病院運営全体の活性化を図ることができるとい
う大きな意味を持っている。
(1)
ァ
医療の質の向上
クリティカル・パスを作成することで、疾病ごとの標準的な治療計画が明示され、主治医の
違いによる治療のばらつきをなくしていくことができ、治療の標準化と均質な医療の提供が可
能となる。
ィ
治療の標準化が可能になれば、標準から外れた症例について検討することにより、標準の見
直し、処置や投薬等の内容の再検討等を通じ、医療の質の向上を図ることができる。
(2)
ァ
インフォームド・コンセントの充実
クリティカル・パスを活用してインフォームド・コンセントの充実を図ることにより、患者
は、自己の診療内容、入院中の手術、検査等の予定はもとより、クリティカル・パスの作り方
次第で入院前や外来通院中の処置等まで把握する ことが容易となり、安心感を得ることができ
る。
ィ
診療内容、目標が明確になり、患者が診療に主体的に参加することができるようになる。
ゥ
退院の目安が分かり、退院の準備が円滑にできるようになる。
(3)
業務の効率化
クリティカル・パスを適用した場合に、現実の事例との相違(バリアンス)が生じる可能性が
ある。しかし、そのバリアンスの原因を分析することで、診療の仕組みについてその問題点を明
確にすることができ、業務の改善につながる。
(4)
在院日数の短縮
医療の質の向上、効率的な業務の遂行、インフォームド・コンセントの充実が図られる結果、
効果的治療が可能となるとともに、患者側の理解及び協力が進み、在院日数の短縮につながる。
(5)
ァ
業務の明確化
処置、投薬等の業務の手順が明確になり、各種の処置、検査、服薬指導、栄養食事指導、術
後の麻酔科回診等の漏れを確実に防ぐことができるようになる。
ィ
職員に対する教育効率が上がる。
また、病棟で通常対応していない他の診療科の患者が入院してきた場合でも、適切なケアを
行うことが可能となる。
ゥ
業務の明確化による適切なケアの実施が、結果的に医療事故の防止につながり、安全な医療
の提供を行うことが できる。
(6)
チーム医療の強化
情報の共有化により、職員の意識改革を図ることができ、職種を超えたチーム医療を促進・強
化することができる。
※コメディカル部門等におけるクリティカル・パス導入による効果については、別表(P11)参照
4
都立病院における取組状況と問題点
(1) 取組の経緯
平成6年3月に、病院事業部看護業務検討委員会から「『疾患別入院経過日数別看護業務基準』
といったものを作成し、業務の標準化を検討すべきである。」との報告が出されており、看護業務
の現場においても、問題意識を持ちながら取り組んできた。しかし、報告書にあるような形での
業務基準の明確化には至らなかった。
また、クリティカル・パスを構成する一つの要素である検査の手順や注意書き等についても、
入院治療の一環としてではなく、個々の検査に関する説明にとどまっていた。
都立病院において、いわゆる「クリティカル・パス」の用語を用いて報告されたのは、平成9
年のテーマ別改善運動において、大久保病院のチームが取り組んだ「多汗症手術のためのクリテ
ィカル・パス」が初めてである。
平成 10 年度には、広尾病院において、院全体としての取組が開始され、その年のテーマ別改善
運動では、この広尾病院の取組事例や、駒込病院の「経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR−BT)
についてのクリティカル・パス」が報告された。各都立病院で取組が具体化してきたのもこの年
度からである。
なお、老人医療センターにおいては、平成 10 年度からクリティカル・パスが導入され、平成
11 年6月に「クリティカル・パス推進委員会」を設置し、全科導入について方針を決定し、積極的
に取り組んできている。
(2) 取組状況
ア
作成状況
平成 12 年 12 月現在、都立病院で作成されたクリティカル・パスは、試行中のものも含め 190
件であり、作成中のものが 21 件ある。ただし、都立病院のクリティカル・パスのうち 19 件に
ついては、患者用がなく診療用のみであり、また、3 件については患者用のみが作成されてい
る。
また、老人医療センター及び多摩老人医療センターでは 100 件が作成され、作成中のものが
8 件ある。
区
都
立
病
作成数
試行中
作成中
院
177 件
13 件
21 件
老人医療センター
100 件
0件
8件
※
イ
分
作成数は延べ件数であり、疾患により重複している。
適用状況の把握
平成 12 年 5 月時点での作成状況調査の結果では、クリティカル・パ スの適用患者数を回答し
てきた病院は少なかったが、平成 12 年 3 月末日時点の調査では、すべての病院から回答があり、
適用状況を把握していることが確認できた。
ウ
院内推進体制
クリティカル・パスに取り組むに当たり、病院全体の組織として各職種をメンバーとする委
員会やプロジェクト・チーム等を設置していたのは、平成 13 年 3 月時点で 16 病院中 13 病院で
あった。ただし、そのうち約半数が平成 12 年度の設置であった。
(3) 問題点
多くの都立病院については、次のような問題点がある。
ァ
病院全体としての取組が徐々に進みつつ あるが、まだ十分な活動がなされておらず、作成状
況も診療科や病棟により偏りがある。
ィ
作成に当たっては、多くの場合、看護部門が中心になっており、診療の中心であるべき医師
の関与が不足している。
ゥ
個々の患者への具体的な医療の提供は、病院内の各職種の様々な連携の中で行われるもので
あるにもかかわらず、薬剤科、栄養科、検査科、放射線科、リハビリテーション科等の部門の
関与が薄い。
ェ
クリティカル・パスを使用していく上で不都合がないかどうかをチェックする体制や作成後
の評価、分析、改善を行う体制が不十分である。
5
都立病院における取組方針
クリティカル・パスは、
ァ
患者に医療内容をわかりやすく説明することができ、その結果、患者が医療内容を十分に理
解した上で治療を受けることができる。
ィ
医療内容を検証しながら作成し、適用し、また改善していくことにより、科学的な根拠に基
づいた安全で良質な医療を提供することができる。
ゥ
導入により、業務の効率化や適切で効果的な治療を行うことで在院日数の適正化が可能とな
る。
等の明確な効果が期待できる。
こうした意味で、クリティカル・パスは、
「東京発の医療改革」における三つの改革方針である「開
かれた医療」「安心できる医療」「無駄のない医療」を都立病院で具体的に実現していくために極め
て有効な方策であり、都立病院として積極的に推進していくこととする。
6
推進にあたっての方策
(1) 院内推進体制の整備
ア
医師の積極的な関与
医師は、治療に関する責任者、また、チーム医療のリーダーとして、患者の治療計画を明確
にしていく必要がある。クリティカル・パスは、患者にかかわる様々な職種の参加により作り
上げていくべきものあるが、作成に当たっては、特に医師が積極的にリーダーシップを発揮し
ていくことが必要である。
イ
院全体としての取組
各病院においてクリティカル・パスの活用を積極的にかつ効果的に推進していくためには、
病院全体としての取組が重要である。
そのため、院長のリーダーシップの下に、病院としての推進委員会を設置し、取組方針を明
確にするとともに、取組の進行管理を行っていくことが重要である。
なお、クリティカル・パスは、患者にかかわる各職種の活動が総合的に集約されたものであ
り、院内の委員会には、医師、看護婦(士)だけでなく、薬剤、検査、放射線、栄養、事務等
の各職種の職員が参加する必要がある。
ウ
院内における活用状況の進行管理
クリティカル・パスについては、院内における作成状況、適用状況、改善状況等を現実の症
例と対照しながら把握し、改善していく必要がある。
また、各科又は各病棟において、作成したクリティカル・パスを現実に適用するに際して問
題はないのか、どのように使われたか、使用した際に問題があったかどうか、問題解決のため
にどのような改善をしたのかなどについて、病院全体の状況を把握し、情報を共有化しながら、
推進していくことが必要である。
このため、進行状況をどの部門で把握するのかを明確にした上で、院内の推進委員会を有効
に機能させていく必要がある。
また、職員へのアンケート調査、院内発表会の実施などを通じて、各職員が他の病棟や科に
おけるクリティカル・パスの活用状況を具体的に把握できるようにすることも有効な取組の一
つと考えられる。
院内マネージメントの手順
クリティカル・パスの作成
試行案(改善案)
院
内
委
員
会
実 施 前 の チ ェ ッ ク
評
価
適
作成状況・適用状況の把握
用
院レベルでの調整・検討
改善状況の把握・評価
バリアンス・問題点の分析
ワーキンググループ等の活動
①
各科、各病棟のワーキンググループ等で検討、作成
②
クリティカル・パス(試行案)の内容は実施前に院内委員会でチェック
③
診療の中で実際に適用
④
診療に適用した結果について、バリアンスや問題点の分析
⑤
クリティカル・パスの評価
⑥
改善案を作成
(2) 作成に当たっての留意事項
具体的な作成及び運用に当たっては、次の点に留意する必要がある。
ア
目的の明確化
(ア) クリティカル・パスを作成する目的を明確にする。患者にわかりやすく説明することと、
医療の提供を安全かつ効率的に行うという2点については、目的として当然設定されるべき
である。
その他のクリティカル・パスの作成による業務改善、診療報酬請求への反映、患者への費
用の説明等の目的についても併せて考えるかどうかにより、作成のための手順及び検討範囲
が異なってくるため、あらかじめ目的を明確化する必要があ る。
(イ) (ア)で述べた患者へのわかりやすい説明と、安全かつ効率的な医療提供という二つの目的の
ためには、一つの疾患に対し、必ず患者(家族)用と診療者用の2種類のクリティカル・パ
スを用意する必要がある。
イ
対象範囲
(ア) 対象患者数を増やしていくことが必要だが、その場合も症例数の多い疾患から優先的に取
り組み、適用対象をできるだけ拡大し、適用結果による改善を効率的に進めていく必要があ
る。
(イ) クリティカル・パスは、入院から退院までの経過が定型化できる疾患のみに適用されるも
のではない。
• 合併症が多く見られる場合は、あらかじめ合併症を加味したクリティカル・パスを準備
する(グループパス)。
• 異なったクリティカル・パスを臨床経過に合わせて適宜組み合わせて使用する(組み合
わせパス)。
• 治療期間の前半又は後半のみに適用し、その他の部分については、臨床経過に合わせて
使用する(混合型パス)。
など、患者の疾患や症状に応じて弾力的に様々な工夫を行えば、クリティカル・パスの汎用
性が拡大する。
クリティカル・パスの類型
1
標準パス
:全経過が極めて定型的である場合に使用する。
標準パス
2
グループパス:痴呆、虚血性心疾患、慢性閉塞性肺疾患、脳血管障害後遺症、糖尿病などそれぞれ
の合併症を加味した複数のパスをあらかじめ準備する。
標準パス
痴呆(+)パス
糖尿病(+)パス
3
組み合わせパス:異なったパスを臨床経過にあわせて運営、組み合わせて使用する。
標準パス
標準パス
標準パス
4
混合型パスⅠ
:経過前半にパスを使用し、後半は他のマネージメントツールを使用する。
パ
ス
5
混合型パスⅡ
:経過前半は他のマネージメントツールを使用し、後半にパスを使用する。
パ
ス
ウ
様式
(ア) 病院として、基本様式を定めるのも一つの方法であるが、個々の疾患により、必要記載事
項が異なることがあるため、様式については、あまり固定的 に考えない方が作成しやすい。
(イ) 既に、一部の都立病院では、クリティカル・パスの様式を複写式にして診療録の一部とし、
また、診療報酬請求のための伝票として使用している例がある。こうした方法は、業務の効
率化や請求漏れ防止に効果が認められる反面、クリティカル・パスに変更や改良が加えられ
た場合に修正がしにくいというデメリットもあるので、クリティカル・パスの完成度、対象
数の多寡も含め、メリット、デメリットを十分考慮したうえでその採否を判断する必要があ
る。
エ
その他
(ア) 初めから、各職種のかかわりをすべて含めるなど、詳細なクリティカル・パスを作成しよ
うとすると、多大な検討時間を要する。このため、まず、基本的なものを作成し、順次改良
を加えていくという方法が取り組みやすい。
(イ) クリティカル・パスを実際に使用していく上で、どのような患者に適用し、また、適用し
ないかについて、適用基準を明確化しておく必要がある。
また、クリティカル・パスには、処置、検査等の実施のチェックをしていくことになるが、
その際の記載方法、チェック方法をあらかじめ明確にしておく必要がある。
(ウ) クリティカル・パスについては、「3
クリティカル・パスの効果」で述べたような効果が
ある反面、診療内容が画一化され、患者の状況に応じた細かな配慮が不足する可能性がある、
との問題も指摘されている。
これを避けるためには、クリティカル・パスをあくまでひとつの基準としてとらえ、これ
に拘束されることなく、患者の状況により、柔軟に対応していくとともに、適用状況を把握
し、クリティカル・パスの内容について不断に改善、改良を重ねていくことが必要である。
(エ) クリティカル・パスの改善や推進を図るため、効果の分析や、院としての評価を行ってい
くことも重要である。このため、ワーキンググループ等での評価・分析とともに、患者満足
度調査や院内の委員会による評価を行っていくことが望ましい。
(オ) クリティカル・パスは、疾患によっては、入院期間中だけでなく、入院前の段階から、退
院後の外来通院、また、地域医療機関へ返送後の経過等も含めたものを作成することが可能
である。こうしたクリティカル・パスは、患者サービスや医療連携の充実にも寄与するもの
であり、積極的に取り組むことが望まれる。
7
都立病院全体としての取組
クリティカル・パスは、本来、各病院の診療や検査の固有の流れに応じて作成されるものであ
り、現段階で都立病院共通のクリ ティカル・パスを作成することは現実的でなく、かえって各病
院における取組を推進する際の妨げともなりかねない。
しかし、クリティカル・パスを効率的に作成し、内容を充実させていくためには、他の都立病
院のクリティカル・パスの進捗状況や内容を知り、相互に参考にすることが望まれる。そのため、
各病院における各科の作成状況を病院事業部が定期的に把握し、それを各病院にフィードバック
していくなど、都立病院全体の取組を推進していく必要がある。
8
(1)
将来に向けて
情報の発信
既に一部の民間病院では、自院の治療実績等をインターネットを利用して発表している例があ
る。治療実績の発表の是非については、現時点で様々な議論のあるところであるが、病院の診療
機能を表す情報の一つとして、クリティカル・パスを外部に発表することは、考慮されるべき事
項であると考えられる。
都立病院においても、各病院において作成されたクリティカル・パスの的確性、信頼性が、一
定の水準に達した際には、単に、病院としての内部の取組として終わらせることなく、患者が医
療機関を選択する際の有効な情報の一つとして、また、日本の医療水準の向上への一助として、
外部に向けて情報を発信し ていくことを視野に入れておくべきである。
(2)
都立病院版クリティカル・パスの検討
7で記載したように、クリティカル・パスは、基本的に病院別、疾患別に作成されるものであ
り、各病院での作成数を拡大していくという導入期において、都立病院共通のパスを作成しよう
とすることは現実的ではない。
しかし、各病院の取組が進み、成熟してきた段階で、各病院の同一症例のパス事例を収集し、
都立病院としての標準化や、より質の高い医療の提供に向けた検討を行うことは、将来の課題と
して考慮しておくべきである。
(3)
電子カルテへの応用
現在、都立病院情報システムの再構築に向けた見直しの作業が開始されている。
治療の標準化を目指すクリティカル・パスの手法は、定型的な業務を効率的に処理するコンピ
ューターシステムになじむものであり、システムの再構築には、クリティカル・パスの考え方を
反映させることが望ましい。
クリティカル・パスの検討は、電子カルテの中に何を盛り込むべきかを検討することとほぼ同
様の意味合いを持つものであり、都立病院における電子カルテシステムの導入を見据えながら、
個々のクリティカル・パスを早期に充実させていく必要がある。
コメディカル部門等におけるクリティカル・パス導入による効果
診 療 科 名
診療放射線科
検
査
科
内
容
① 入院後の単純撮影や予約検査の照射録(伝票)が、事前に出される。そ
のため、照射録(伝票)の出し忘れによるトラブルがなくなることにより、
撮影室の効率的運用が可能となり、技師がスムーズに業務を行える。
② 診断確定には MRI 検査が不可欠であるが、直前では、予約が取れない状
況が考えられる。検査予定日が早い段階で明確になっていれば、時間指定ま
ではできないまでも、予定日に検査することが可能である。
① 患者と直接接する機会が少ない部門のため、パスに参画することに
より、患者サービスをより身近な問題としてとらえ、医療従事者と
しての意識が向上する。
② 職種間で情報を共有し、一つの業務(目的)を共有することで自立
性が生まれ、課題に対する責任意識と仕事の満足度が高まる。
また、部門相互の存在を尊重し合うことで、信頼感と一体感が深
められ、協働化への認識が高まる。
③ 臨床検査に関し、検査の適否や回数、間隔の妥当性など科学的根拠
(Evidence)に基づく臨床検査を提案し、医療の標準化に寄与するこ
とができる。
④ 業務を明確化し標準化することにより、作業効果の向上と省力化が期
待できる。
① スケジュールや病態が一目で把握でき、服薬指導や医師・看護婦(士)
への助言等をタイミングよく(日・時間)適切に行うことができる。
薬
剤
科
② クリティカル・パスの内容によっては、使用する薬剤がパターン化して
いるため、患者への説明文書を標準化できる(文書作成に要していた時間を、
患者の説明に充てることができ、説明内容にも漏れがなくなる。)。
③ クリティカル・パスの作成時から参加することで、他の医療チームとの
和が築かれ、医療内容への理解が深まる。
また、患者への医療行為の全容が一目で理解できるとともに、薬
剤管理業務の実施についても理解が得られる。
① これまで以上に、医師、看護婦(士)、検査科等とのコミュニケーショ
ンが取れ、チーム医療推進に役立つ。
② 栄養食事指導計画が作成しやすくなり、円滑な業務運営ができるように
なる。
栄
養
科
③ クリティカル・パスに沿って栄養食事指導が行えるため、入院中の指導件
数が確実に増加する。
④ 指導媒体も統一されるので、指導者間の技術格差が少なくなる。
⑤ 入院から外来へと栄養食事指導の継続性が保たれるようになる。
⑥ 患者に接する機会が多くなり、食事内容に関する情報収集と提供がしや
すくなる。
⑦ 栄養士の研究心が旺盛になる。
事
務
① 平均在院日数の短縮につながる。
また、短い期間に各種処置等を効率よく行うため、平均診療単価の向上に
もつながる。
参 考 資 料
厚生省では、入院期間や診療内容、病院経営管理の変化等を把握し、今後の医
療制度 及び、医療保険制度改革の基礎資料とするため、平成 10 年 11 月から国立病
院等 10 病院で急性期入院医療の定額払い方式の試行を開始した。
その後、平成 12 年 7 月の中医協で試行後1年間の調査の概要が報告され、同年
11 月には、試行の見直しの基本方針が決定された。
これに従い、定額報酬を設定する診断群分類を従来の 183 分類から 267 分類に
拡大、国立病院等 5 民間病院等 5、特定機能病院 1 を定額払いを伴わない形で行う
調査対象病院として追加、DRG 非該当・離脱理由の調査開始、などの見直しが行わ
れ、平成 13 年 4 月 1 日入院分から再試行が行われることとなった。
本資料は、その再試行のための新たな診断群分類である。クリティカル・パス
を作成する疾患を選定していくための参考として掲載する。
急性期入院医療定額支払い方式診断群分類一覧
主要診断群1 神経系疾患
試行診断群
疾
患
名
診
療
行
為
等
分類番号
1001
脳腫瘍(新生物)
手術なし並びに放射線療法及び化学療法なし
1002
脳腫瘍(新生物)
手術なし及び放射線療法又は化学療法あり
1005
脳腫瘍(新生物)
手術あり並びに放射線療法及び化学療法なし
1006
脳腫瘍(新生物)
手術あり及び放射線療法又は化学療法あり
1011
ベル麻痺を除く脳神経障害
手術なし
1012
ベル麻痺を除く脳神経障害
手術あり
1014
上肢の単神経炎
手術あり
1015
くも膜下出血
手術なし及び処置なし
1018
くも膜下出血
手術あり
1021
未破裂脳動脈瘤
手術あり
1022
脳内出血、もやもや病
手術なし、放射線療法なし及び処置なし
1026
脳内出血、もやもや病
手術あり及び放射線療法なし
1028
脳梗塞
手術なし、処置なし及び合併症なし
1029
脳梗塞
手術なし、処置なし及び合併症あり
1030
脳梗塞
手術なし及び処置あり
1031
脳梗塞
手術あり
1036
頭部外傷
手術あり
1038
非外傷性硬膜下出血
手術あり
1039
パーキンソン病
手術なし
主要診断群2 眼科疾患
試行診断群
疾
患
名
診
療
行
為
等
分類番号
2002
白内障
手術あり、麻酔なし、合併症なし及び片眼
2003
白内障
手術あり、麻酔なし、合併症なし及び両眼
2004
白内障
手術あり、麻酔なし、合併症あり及び片眼
2005
白内障
手術あり、麻酔なし、合併症あり及び両眼
2009
斜視等
手術あり及び麻酔なし
2010
斜視等
手術あり及び麻酔あり
2011
裂孔原性網膜剥離
手術なし
2012
裂孔原性網膜剥離
手術あり
2014
緑内障
手術なし
2016
緑内障
手術あり
主要診断群3 耳鼻咽喉科疾患
試行診断群
疾
患
名
診
分類番号
3001
末梢性顔面神経麻痺
3003
非化膿性中耳炎
手術あり
療
行
為
等
3005
慢性化膿性中耳炎、中耳真珠腫
手術あり
3006
めまい症候群及び前庭系のその他の障害(前庭に限局)
3008
突発性難聴
3010
鼻中隔彎曲症
手術あり
3011
慢性副鼻腔炎
手術なし
3012
慢性副鼻腔炎
手術あり
3013
扁桃又はアデノイド の慢性疾患
手術なし
3014
扁桃又はアデノイドの慢性疾患
手術あり
3015
扁桃周囲膿瘍
手術なし
3016
扁桃周囲膿瘍
手術あり
3018
声帯又は喉頭のポリープ
手術あり
3020
唾石症
手術あり
3022
鼻骨骨折
手術あり
3023
鼻骨骨折以外の顔面骨骨折
手術なし
主要診断群4 呼吸器系疾患
試行診断群
疾
患
名
診
療
行
為
等
分類番号
4001
気管・気管支及び肺の原発性悪性新生物、続発性悪性新生物
手術なし並びに放射線療法及び化学療法なし
4002
気管・気管支及び肺の原発性悪性新生物、続発性悪性新生物
手術なし並びに放射線療法なし及び化学療法あり
4003
気管・気管支及び肺の原発性悪性新生物、続発性悪性新生物
手術なし並びに放射線療法あり及び化学療法なし
4004
気管・気管支及び肺の原発性悪性新生物、続発性悪性新生物
手術なし並びに放射線療法及び化学療法あり
4006
気管・気管支及び肺の原発性悪性新生物、続発性悪性新生物
手術あり及び併用手術なし
4008
気管・気管支及び肺の原発性悪性新生物、続発性悪性新生物
手術あり及び併用手術なし
4010
自然気胸
手術なし
4011
自然気胸
手術あり
4013
上気道感染
処置なし
4015
インフルエンザを除くウィルス性肺炎
処置なし
4017
細菌性肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎
処置なし
4018
細菌性肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎
処置あり
4019
その他の下気道感染症
処置なし
4021
喘息
処置なし
4023
間質性肺疾患
処置なし
4025
慢性閉塞性肺疾患
処置なし
主要診断群5 循環器系疾患
試行診断群
疾
患
名
診
療
分類番号
5001
急性心筋梗塞
手術なし
5002
急性心筋梗塞
手術あり
5005
狭心症及び慢性虚血性心疾患
手術なし及び合併症なし
5006
狭心症及び慢性虚血性心疾患
手術なし及び合併症あり
行
為
等
5007
狭心症及び慢性虚血性心疾患
手術あり及び合併症なし
5008
狭心症及び慢性虚血性心疾患
手術あり及び合併症あり
5009
狭心症及び慢性虚血性心疾患
手術あり
5010
心筋症
手術なし
5014
徐拍性不整脈
手術なし
5015
徐拍性不整脈
手術あり
5016
頻拍性不整脈
手術なし
5017
頻拍性不整脈
手術あり
5020
弁膜症
手術なし
5022
弁膜症(単弁疾患)
手術あり
5026
急性心膜炎及び心筋炎
手術なし
5029
大動脈瘤及び解離
手術なし
5031
大動脈瘤及び解離
手術あり
5034
大動脈瘤及び解離(非破裂性)
手術あり
5037
末梢血管疾患(動脈系)
手術なし
5039
静脈炎及び血栓静脈炎
手術なし
5045
心室中隔欠損
手術なし
主要診断群6 消化器系疾患、肝臓・胆道・膵臓疾患
試行診断群
疾
患
名
診
療
行
為
等
分類番号
6001
食道の悪性新生物
手術なし、中心静脈栄養なし並びに放射線療法及び化学療法なし
6002
食道の悪性新生物
手術なし、中心静脈栄養なし及び放射線療法又は化学療法あり
6003
食道の悪性新生物
手術なし、中心静脈栄養あり並びに放射線療法及び化学療法なし
6004
食道の悪性新生物
手術なし、中心静脈栄養あり及び放射線療法又は化学療法あり
6018
胃の悪性新生物
手術なし、中心静脈栄養なし及び放射線療法なし
6019
胃の悪性新生物
手術なし、中心静脈栄養なし及び化学療法あり
6020
胃の悪性新生物
手術なし、中心静脈栄養あり及び化学療法なし
6021
胃の悪性新生物
手術なし、中心静脈栄養あり及び化学療法あり
6024
胃の悪性新生物
手術あり
試行診断群
疾
患
名
診
療
行
為
等
分類番号
6027
胃の悪性新生物
手術あり及び化学療法なし
6028
胃の悪性新生物
手術あり及び化学療法あり
6029
胃の悪性新生物
手術あり及び化学療法なし
6030
胃の悪性新生物
手術あり及び化学療法あり
6031
結腸の悪性新生物
手術なし、中心静脈栄養なし及び化学療法なし
6033
結腸の悪性新生物
手術なし、中心静脈栄養あり及び化学療法なし
6037
結腸の悪性新生物
手術あり
6040
結腸の悪性新生物
手術あり及び化学療法なし
6041
結腸の悪性新生物
手術あり及び化学療法あり
6042
直腸・直腸S状結腸移行部及び肛門の悪性新生物
手術なし、中心静脈栄養なし及び化学療法なし
6043
直腸・直腸S状結腸移行部及び肛門の悪性新生物
手術なし、中心静脈栄養なし及び化学療法あり
6044
直腸・直腸S状結腸移行部及び肛門の悪性新生物
手術なし、中心静脈栄養あり及び化学療法なし
6048
直腸・直腸S状結腸移行部及び肛門の悪性新生物
手術あり
6049
直腸・直腸S状結腸移行部及び肛門の悪性新生物
手術あり及び化学療法なし
6050
直腸・直腸S状結腸移行部及び肛門の悪性新生物
手術あり及び化学療法あり
6053
肝及び肝内胆管の悪性新生物(続発性を含む。
)
手術なし、中心静脈栄養なし及び化学療法なし
6054
肝及び肝内胆管の悪性新生物(続発性を含む。
)
手術なし、中心静脈栄養なし及び化 学療法あり
6055
肝及び肝内胆管の悪性新生物(続発性を含む。
)
手術なし、中心静脈栄養あり及び化学療法なし
6057
肝及び肝内胆管の悪性新生物(続発性を含む。
)
手術あり
6058
肝及び肝内胆管の悪性新生物(続発性を含む。
)
手術あり
6060
胆嚢の悪性新生物
手術なし、中心静脈栄養なし及び化学療法なし
6072
肝外胆管の悪性新生物
手術なし、中心静脈栄養なし及び化学療法なし
6074
肝外胆管の悪性新生物
手術なし、中心静脈栄養あり及び化学療法なし
6084
膵の悪性新生物
手術なし及び中心静脈栄養なし
6085
膵の悪性新生物
手術なし及び中心静脈栄養あり
6098
胃の良性新生物
手術なし
6099
胃の良性新生物
手術あり
6103
大腸(結腸、直腸)の良性新生物
手術あり
6107
胃・食道静脈瘤
手術又は処置あり
6108
胃・十二指腸潰瘍
手術なし
6109
胃・十二指腸潰瘍
手術あり
6112
胃・十二指腸潰瘍
手術あり
6113
胃炎及び十二指腸炎
手術なし
6115
急性虫垂炎
手術なし
6117
急性虫垂炎
手術あり
6118
急性虫垂炎
手術あり
6121
鼠径ヘルニア
手術あり
6124
閉塞、壊疽のない腹腔のその他のヘルニア
手術あり
6128
潰瘍性大腸炎
手術なし
6130
虚血性腸炎
手術なし
6132
腸重積
手術なし
6135
ヘルニアの記載のない腸閉塞(腸重積以外)
手術なし
6137
ヘルニアの記載のない腸閉塞(腸重積以外)
手術あり
6138
劇症肝炎、急性肝不全(慢性肝疾患の急性憎悪を含む。)
手術なし及び処置なし
6141
アルコール性肝障害
手術なし
6143
B型慢性肝炎
手術なし及びインタ ーフェロン療法なし
6144
B型慢性肝炎
手術なし及びインターフェロン療法あり
6146
C型慢性肝炎
手術なし及びインターフェロン療法なし
6147
C型慢性肝炎
手術なし及びインターフェロン療法あり
6149
その他の慢性肝炎
手術なし
6151
肝硬変
手術なし
6155
急性肝炎、薬剤性肝障害、その他の肝障害
手術なし
6157
胆石症
手術なし
6158
胆石症
手術あり
試行診断群
疾
患
名
診
療
行
為
等
行
為
等
分類番号
6159
胆石症
手術あり
6161
胆石症
手術あり
6162
胆石症
手術あり
6164
胆嚢水腫、胆管炎等
手術なし
6166
急性膵炎、慢性膵炎
手術なし及び処置なし
主要診断群7 筋骨格系疾患
試行診断群
疾
患
名
診
分類番号
7002
脂肪腫
手術あり
7003
結合組織及び軟部組織のその他の良性新生物
手術なし
7004
結合組織及び軟部組織のその他の良性新生物
手術あり
7006
骨及び関節軟骨の良性新生物
手術あり
7007
慢性関節リウマチ
手術なし
7008
慢性関節リウマチ
手術あり
7010
股関節症、膝関節症
手術あり
7011
膝内障、膝の関節及び靱帯の脱臼、捻挫及びストレイン
手術なし
7012
膝内障、膝の関節及び靱帯の脱臼、捻挫及びストレイン
手術あり
7013
肩及び上腕の骨折
手術なし
7014
肩及び上腕の骨折
手術あり
7016
肩甲帯の関節及び靭帯の脱臼、捻挫及びストレイン、肩の障害
手術あり
7017
前腕の骨折
手術なし
7018
前腕の骨折
手術あり
7019
大腿骨骨折
手術なし
7020
大腿骨骨折
手術あり
7021
下腿の骨折(足首を含む。
)
手術なし
7022
下腿の骨折(足首を含む。
)
手術あり
7024
下腿の筋及び腱の損傷
手術あり
7026
足の骨折(足首を除く。)
手術あり
7031
多部位の骨折
手術なし
7033
椎間板ヘルニア等の脊椎疾患
手術なし
7034
椎間板ヘルニア等の脊椎疾患
手術あり
7036
骨髄炎
手術あり
療
主要診断群8 皮膚・皮下組織の疾患
試行診断群
疾
患
名
診
療
行
為
等
診
療
行
為
等
分類番号
8001
急性膿皮症
8002
帯状疱疹
8004
ウイルス性急性発疹症
8005
皮膚良性腫瘍(上皮系又は間葉系)
8011
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎を除く湿疹又は皮膚炎群、潰瘍を伴わな
8012
手術なし
い静脈瘤性症候群
アトピー性皮膚炎を除く湿疹又は皮膚炎群、潰瘍を伴わな
8013
手術あり
い静脈瘤性症候群
8015
紅斑症
8016
結節性多発動脈炎等
8017
皮膚潰瘍、褥瘡又は潰瘍を伴った静脈瘤性症候群
8019
薬疹又は中毒疹
8020
水疱瘡
8022
膠原病又はその類縁疾患
手術なし
主要診断群9 乳房の疾患
試行診断群
疾
患
名
分類番号
9001
乳房悪性腫瘍
手術なし並びに放射線療法及び化学療法なし
9002
乳房悪性腫瘍
手術なし及び放射線療法又は化学療法あり
9003
乳房悪性腫瘍
手術あり
9005
乳房良性新生物
手術あり
主要診断群 10
内分泌・栄養・代謝に関する疾患
試行診断群
疾
患
名
診
療
行
為
等
分類番号
10001
糖尿病(糖尿病性昏睡及び糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)
インスリン注射なし及び合併症なし
10002
糖尿病(糖尿病性昏睡及び糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)
インスリン注射なし及び合併症あり
10003
糖尿病(糖尿病性昏睡及び糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)
インスリン注射あり及び合併症なし
10004
糖尿病(糖尿病性昏睡及び糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)
インスリン注射あり及び合併症あり
10007
甲状腺の悪性新生物
手術あり
10009
甲状腺の良性新生物
手術あり
10010
甲状腺腫を伴う又は伴わない甲状腺中毒症
手術なし
主要診断群 11
腎・尿路系疾患及び男性生殖器系疾患
試行診断群
疾
患
名
診
分類番号
11001
腎腫瘍
11003
腎孟・尿管腫瘍
11005
尿路結石症
化学療法なし
手術なし
療
行
為
等
11006
尿路結石症
手術あり
11007
膀胱腫瘍
手術なし
11009
膀胱腫瘍
手術あり
11010
尿道狭窄
11011
前立腺肥大症
11012
前立腺悪性腫瘍
手術なし
11013
前立腺悪性腫瘍
手術あり
11014
男性生殖器炎症性疾患(陰茎及び包皮を除く。
)
11015
陰茎及び包皮の疾患(悪性腫瘍を除く。)
11016
陰嚢内疾患(悪性腫瘍及び炎症疾患を除く。
)
11019
先天性男性生殖器異常(停留精巣、尿道下裂)
11020
ネフローゼ症候群
処置なし
11022
慢性腎炎症候群、慢性腎不全
手術なし及び処置なし
11023
慢性腎炎症候群、慢性腎不全
手術なし及び処置あり
11026
腎臓の感染症
手術なし
11028
腎臓以外の尿路感染症
主要診断群 12
女性生殖器系疾患及び産褥期疾患・異常妊娠分娩
試行診断群
疾
患
名
診
療
行
為
等
分類番号
12002
子宮頚の悪性新生物
手術なし及び放射線療法又は化学療法あり
12003
子宮頚の悪性新生物
手術あり
12006
子宮頚の悪性新生物
手術あり並びに放射線療法及び化学療法なし
12009
子宮体部の悪性新生物
手術なし及び放射線療法又は化学療法あり
12012
子宮体部の悪性新生物
手術あり並びに放射線療法及び化学療法なし
12013
子宮体部の悪性新生物
手術あり及び放射線療法又は化学療法あり
12014
卵巣その他の子宮附属器の悪性新生物
手術なし並びに放射線療法及び化学療法なし
12015
卵巣その他の子宮附属器の悪性新生物
手術なし及び放射線療法又は化学療法あり
12018
卵巣その他の子宮附属器の悪性新生物
手術あり並びに放射線療法及び化学療法なし
12019
卵巣その他の子宮附属器の悪性新生物
手術あり及び放射線療法又は化学療法あり
12020
子宮平滑筋腫
手術なし
12023
子宮平滑筋腫
手術あり
12024
卵巣良性新生物
手術なし
試行診断群
疾
患
名
診
分類番号
12025
卵巣良性新生物
手術あり
12026
卵巣良性新生物
手術あり
12028
生殖器脱出症
手術あり
12029
子宮内膜症
手術なし
12031
子宮内膜症
手術あり
12032
卵巣その他の子宮附属器の炎症性疾患
手術なし
療
行
為
等
12035
卵巣・卵管及び広間膜の非炎症性疾患
手術なし
12037
卵巣・卵管及び広間膜の非炎症性疾患
手術あり
12038
子宮外妊娠
手術なし
12040
子宮外妊娠
手術あり
12041
流産
手術なし
12042
流産
手術あり
12043
妊娠早期の出血
12044
妊娠・分娩・産褥に合併する高血圧
手術なし
12045
妊娠・分娩・産褥に合併する高血圧
手術あり
12046
早産又は切迫早産
手術なし
12047
早産又は切迫早産
手術あり
12050
胎児の位置異常
手術あり
12051
骨盤軟部組織及び臓器の異常
手術なし
12052
骨盤軟部組織及び臓器の異常
手術あり
12054
羊膜腔及び羊膜に伴うその他の問題
手術あり
主要診断群 13
血液・造血器・免疫臓器の疾患
試行診断群
疾
患
名
診
療
行
為
等
分類番号
13001
赤血球系疾患
手術なし
13004
アレルギー性紫斑病
手術なし
13006
凝固異常症以外の出血性疾患
手術なし
13009
急性白血病
手術なし及び 15 歳以上
13015
非ホジキンリンパ腫
13016
多発性骨髄腫及び免疫系悪性新生物
13017
白血病以外の白血球疾患
主要診断群 14
新生児疾患
試行診断群
疾
患
名
診
療
行
為
等
診
療
行
為
等
分類番号
14001
低出生体重児
処置なし
14002
低出生体重児
処置あり
14003
新生児黄疸、新生児仮死、新生児一過性多呼吸(低出生体重児を除く。)
処置なし
主要診断群 15
小児疾患
試行診断群
疾
患
名
分類番号
15001
ウイルス性腸炎
合併症なし
15002
ウイルス性腸炎
合併症あり
15003
細菌性腸炎
15 歳未満
15005
熱性けいれん
15006
ウイルス性髄膜炎
15010
川崎病
※厚生労働省告示第七十七号(抜粋)
都立病院クリティカル・パス推進検討委員会設置要綱
(設置目的)
第1
都立病院における効果的なクリティカル・パスの作成及びその活用を推進することを目的と
して、都立病院クリティカル・パス推進検討委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
(検討及び報告)
第2
委員会は、都立病院におけるクリティカル・パスに関し次の事項について検討
し、その結果を病院事業部長に報告する。
(1) 作成の意義
(2) 作成上及び運用上の留意点
(3) 活用推進の方策
(4)
その他必要な事項
(構成)
第3
委員会は、病院事業部長が指名する別表「都立病院クリティカル・パス推進検
討委員会委員名簿」に定める者により構成する。
(委員の任期)
第4
委員の任期は、本委員会設置の日から第 2 条の規定により病院事業部長に報告する日までと
する。
(委員長等)
第5
委員会には委員長及び副委員長を置き、別表「都立病院クリティカル・パス推
進検討委員会委員名簿」に定める者とする。
2
委員長は、委員会を主宰する。
3
委員長に事故があるときは、副委員長がその職務を代理する。
(委員会の召集等)
第6
2
委員会は委員長が召集する。
委員会は、必要に応じて委員会に委員以外の者の出席を求め、又は他の方法で意見を聴取す
ることができる。
(庶務)
第7
委員会の庶務は、衛生局病院事業部経営企画課において処理する。
(附則)
第8
この要綱に定めるもののほか、委員会の運営に関して必要な事項は、委員長が
別に定める。
附
則
この要綱は、平成12年10月4日から施行する。
別表
都立病院クリティカル・パス推進検討委員会委員名簿
委 員 長
豊島病院長
副委員長
大久保病院
広尾病院
大久保病院
副院長
内科部長
庶務課長
関口
令安
石原
通臣
香宗我部
滋
中 野
透
大塚病院
薬剤科長
市川
容子
駒込病院
栄養科長
臼井
史生
荏原病院
診療放射線科技師長
渡邉
貫治
墨東病院
看護科長
岡田
君子
府中病院
看護科副科長
佐藤
幸子
當眞
隆則
清瀬小児病院
検査科技師長
老人医療センター
免疫輸血科医長
熊川
寿郎
老人医療センター
看護部看護教育科長
青木
歌子
(病院順)
※
役職は、平成 13 年 3 月 31 日現在
都立病院クリティカル・パス推進検討委員会開催状況
開催回
開
催
日
程
第1回
平成 12 年 10 月 17 日
検
討
内
容
・ 作成の意義(目的)
・ 都立病院における現状及び課題
・ 取組状況調査表の検討
第2回
平成 12 年 11 月 28 日
・ 作成・活用にあたっての留意点、方
策
第3回
平成 13 年 3 月 6 日
第4回
平成 13 年 4 月 5 日
・ 取組状況の確認
・ 報告書(たたき台)の検討
・ 報告書(案)の検討