My Experience in Canada 医学部 みざわ 生命科学科(’12 入学) 三澤 かずき 和樹 今年の八月にわたしは、カナダに行ってきました。とてもすてきなところでした。英語を 勉強するためにカナダへ来たわたしは、平日は大学で勉強し、休日は遠出をし、たくさんの 経験をしました。そのうちのいくつかをご紹介します。ひとつは、あるすてきな朝の話。も うひとつは、乗馬体験をしたときの話です。 カナダでの滞在の間中、わたしは大学近くの寮の一室で寝泊まりをしていました。三階の 芝生の広場に面する二人部屋でした。ルームメイトは、工学部の中村くんでした。部屋には 東の広場に面する窓が一つあり、そこから目の前には大きな木、そして遠くには大学の建物 が見えます。朝食の時間あたりになると、気持ちの良いくらいまぶしい光が部屋に入ってく る窓です。ある朝、わたしは宿題を残していたので、それを終わらせるために、少し早起き をしました。前の晩、早寝のわたしが寝るとき、部屋にいなかった中村くんは、朝起きてみ ると隣のベッドでぐっすり寝ていました。それを確認した後、布団から出て、机に向かった ときはちょうど地平線がうすぼんやりとし始めたところで、少し肌寒いくらいの気温でした。 宿題のエッセイがひと段落ついて、 机から窓の外を見るとだいぶ外は明るくなっていました。 窓の向こうすぐ近くにある広場の大きな木の枝の葉の緑が光で透けていてきれいだなと、ぼ んやり眺めていると、視界のすみで何か小さなものが枝の上を動いたのです。なんだろうと 思い、じっと目を凝らしているとまたすぐに何かが動きそして止まりました。その正体は一 匹のリスでした。ただそのリスが枝から枝へ忙しそうに動いているのを見つけただけなので すが、そのときの感動はなんとも言葉で表現できないものがありました。まるで、その朝、 その時は、自分とそのリスだけが起きていてこの時間を共有しているかのような(そんなこ とはないと思いますが) 、幸せな時間でした。その後、頑張って一気にエッセイの残りを書 きあげたころには、まぶしい朝の光が部屋に入ってきており、遠くでグースの群れが元気に 鳴いているのが聞こえました。心なしか朝ごはんもいつにも増しておいしかったです。 ある気持ちのいい晴れた休日の午前中に、乗馬体験をしに牧場まで出かけました。牧場で は体格のいいおじさんと元気のいい女性たちが出迎えてくれました。牧場にいる男性は、そ のおじさん一人でした。ほかは全員が女性 で、小さい子から大柄なおばさんまでが協 力して馬やロバの面倒や牧場の案内をし ていました。団体で乗馬体験に来たわたし たちは、人数が多かったので二つのグルー プに分かれ、天井のない大きめの馬車から 牧場のまわりの道をゆっくりと見てまわるのと、乗馬とを入れかわりで体験させてもらいま した。馬車は道路をゆっくりと進み、乗客たちは広い牧草地から吹く心地よい風を感じるこ とができました。わたしたち乗客は途中、ランニ ングをしている二人組が馬車とすれ違ったとき、 わけもなく手を振りあったり、馬車を追い越して いく自動車を見ては馬車の遅さを笑ったりしま した。乗馬では、馬の頭数が乗る人数とちょうど 同じで、わたしはひとまわり大きい、馬車や農作 業用の馬に乗らせてもらいました。牧場のおばさ んにきくと、わたしの乗った馬は、マケンジッド という名前のメスの馬で、「木が好きだから、道 の真ん中を歩かないと、木の枝にぶつかるよ」と いわれました。実際、馬に乗ってみると、たしか に木に向かって行こうとします。しかし、そもそ もマケンジッドは背が高いので、道の真ん中に行 かせても、わたしは枝との格闘になかなか決着を つけられず、苦戦しました。馬車と乗馬のどちらの体験も終わり、それぞれが自由に牧場を 見学しているとき、わたしはおばさんがちょうどマケンジッドの世話をしているのを見つけ、 そちらへ行きました。おばさんは、マケンジッドが自分のいちばんお気に入りの馬だとか、 いちばんたくましくて美しいだとかいろいろ話してくれました。近くで作業をしていた高校 生くらいの女の子にも話しかけてみると、彼女も自分のお気に入りの馬を教えてくれ、毎日 しているように自然にそして元気に馬に話しかけ、なで、キスをしました。彼女の顔は幸せ そうで、その馬が本当に大好きなのだなと思いました。わたしがその馬をなでようとしたら、 手をかまれました。わたしは彼女に「この牧場にいる人たちは、ひとつの家族ですか」とき いてみました。彼女は「ううん、わたしはすぐそこの家に住んでいて、向こうの家に住んで いる家族もいる。でもまあひとつの家族みたいなもの。 わたしはここが大好き。 」と語ってくれました。このと きの彼女の言葉がとても印象に残っています。彼女たち の生活がとてもかけがえのないものに感じられました。 先にも述べましたが、わたしはこのカナダの生活でた くさんの経験や体験をしました。それらはどれも新鮮で、 印象に残るもので、カナダの人、文化、自然を肌で感じ ることができました。おそらく、世界のどこへ行っても、 そのような新鮮な驚きと感動が得られるのだと思います。カナダからの帰り、またどこかへ 旅に出たいなと思いながら、ぼんやり飛行機から雲を見下ろしていました。 この研修を支えてくださったすべての方に感謝しています。ありがとうございます。
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