ようこそ7番窓口へ ~全ての業務改善は患者サービス向上に通じる~

ようこそ7番窓口へ
~全ての業務改善は患者サービス向上に通じる~
松 沢
病 院
テーマ名
松沢病院
ようこそ7番窓口へ
~全ての業務改善は患者サービス向上に通じる~
サークル名 患者サービス向上委員会薬剤科分科会
メンバー名 薬剤科 ◎○與田美穂子 川邉東子 服部直美
中村陽子
櫻山智子
灘谷聡昭 井戸澤弘美 寺口勝久
石井正巳
伊藤信
川瀬公一
小黒夏子
1 テーマ選定理由
薬剤科の調剤業務が内服・注射ともに増加し、職員数に限りがあるなかでも、薬剤師
として患者サービスの向上に努めたい。そこで、患者さんがより親しみを感じられる薬剤
科をめざして、患者さんの目に入りやすい薬剤科1階調剤室のハード面を中心に整備を進
めることとした。また、調剤以外の業務に薬剤師が対応できる時間をより多く捻出するた
め、業務整理を行った。
2 現状と問題点
新病棟移設当初、薬剤科1階調剤室は「入院調剤部門」と「外来調剤部門」の2系統
での作業動線を想定した設計になっていた。しかし、2系統で作業するには薬剤師の人数
が伴わず、外来窓口付近に常時薬剤師を配置することができなかった。そのため、薬剤師
は外来患者窓口の様子がわからず、外来患者さんからのクレームやトラブルが生じていた。
また、患者サービスを充実させるには、職員側の精神的余裕も必要である。そのため
にも、慣習化した作業の必要性や意味合いの見直し、効率化が必要と考えられた。
3
改善策
① 1階調剤室のレイアウト変更
薬剤科とSPCが協力して調剤室のレイアウトを変更し、外来患者窓口側に薬剤
師が常駐できる設定にした。一方で、スムーズな動線と安全性を確保できる設定にな
るよう工夫した。また、外来窓口には患者さんの利便性を考慮した荷物台を考案し、
施設係の協力を得て完成、設置に至った。
② 調剤業務のスリム化
実効性の薄い作業は、開始された経緯と現状を鑑みて対応を検討し、作業の廃止
や省力化を行った。施設係の協力を得て台車を作製し、少人数での調剤業務が円滑に
進むように工夫した。薬剤師に限定されない作業については、SPDに業務仕様書の
範囲内で委任した。
4 今後の取り組み(結果)
外来患者さんからは薬剤師の調剤する姿が見えるようになり、会話も増えたことで、
各種苦情は減少している。今後もさらに機能的な調剤室へと改善を続け、安全、確実、効
率的な調剤業務を遂行するとともに、患者サービスの向上に取り組んでいく。
テーマ名
松沢病院
ようこそ7番窓口へ
~全ての業務改善は患者サービス向上に通じる~
サークル名 患者サービス向上委員会薬剤科分科会
メンバー名 薬剤科 ◎○與田美穂子 川邉東子 服部直美
中村陽子
櫻山智子
灘谷聡昭 井戸澤弘美 寺口勝久
石井正巳
伊藤信
川瀬公一
小黒夏子
1 テーマ選定理由
薬剤科の調剤業務が内服・注射ともに増加しており1)、かつ、調剤以外の業務も多く発
生している。この環境の中でも、職員は外来・入院患者さんに対するサービス向上に努め
る必要がある。今回は、外来患者さんの目に入りやすい薬剤科1階調剤室(以下、調剤室)
のハード面の整備を進めることとした。同時に、ソフト面では外来患者窓口での丁寧な対
応を行う時間及び精神的余裕を生み出すため、調剤室内の業務整理を行うこととした。
2 現状と問題点
新病棟移設時、調剤室は「入院調剤部門」と「外来調剤部門」の2系統に分けた作業
動線を想定した設計になっていた。このため、入院窓口側とその対角線上にある外来患者
窓口側の2カ所に調剤薬の最終確認を行う鑑査台を設置していた。しかし、実際は2系統
で作業するには薬剤師の人数が伴わなかった。その結果、薬剤師は処方箋枚数が多い入院
窓口側の鑑査台で作業を行うことが多くなり、外来患者窓口側に薬剤師を常時配置するこ
とができなかった。そのため、外来患者窓口前で薬の受け渡しを待つ外来患者さんからは
調剤室内の薬剤師の姿が見えず、入院窓口側で作業する薬剤師からは外来患者窓口の様子
がわかりにくくなっていた。この影響で、外来患者さんからは待ち時間の長さなどに対す
るクレームが生じたり、窓口でトラブルが起こった際に対応が遅れる、という問題点があ
った。
また、薬剤師の人数に限りがある状況であっても、患者サービスをより向上させるた
めには、時間的、精神的な余裕が必要である。調剤室で従前から継続されている作業の中
には、実効性が疑問視されるものも少なくないため、薬剤師、SPDともに作業内容を見
直す必要性があった。
3
改善策
調剤室のハード面の整備、及びソフト面で各種業務の内容や手順の見直しを行った。
① 調剤室のレイアウト変更2)
薬剤科とSPCが協力して調剤室のレイアウトを大幅に変更した。
(1)メインとなる鑑査台を入院窓口側から外来患者窓口側に変更し、薬剤師が外来
患者窓口側に常駐する体制とした。このことで、外来患者さんから薬剤師の姿が
常に眼に入るようになり、窓口対応も円滑に行えるようになった。入院窓口では
SPDと臨時職員(事務)とが主に対応し、必要時に薬剤師が対応する体制を継
続した。
(2)6台ある錠剤台を斜め方向に配置し、調剤室内の見通しを改善した。外来患者
窓口側のメイン鑑査台から入院窓口近辺までの様子がわかるようにした。調剤室
内の死角を減らすことにより、複数の薬剤師で分担している調剤がスムーズに行
えているかどうかが互いに確認できるようになった。
(3)サブ鑑査台は入院窓口側に設置した。(2)同様、サブ鑑査台からも外来患者窓口
付近の様子がわかるため、外来窓口でトラブルなどが起こった時に即座に応援に
入るなどの必要な対応ができ、速やかに安全性も確保できる体制になった。
(4)薬剤科の外側のレイアウトについても検討した。施設係の協力で、外来患者窓
口に患者さんの利便性を考慮した荷物台を作製し、設置した。3)多くの患者さん
が調剤薬の受け渡し時に手荷物置き場として利用されており、好評を得ている。
② 調剤業務のスリム化
調剤業務の効率化に繋がる事案を検討・実行した。また、作業の目的と必要性の
根拠が薄い作業を洗い出し、開始された経緯と現状を鑑みて対応を検討した。この
うえで、作業の廃止や省力化を行った。薬剤師に限定されない作業については、業
務仕様書の範囲内でSPDに委任した。
(1)入院処方の全薬袋に調剤印を押印していたが、他病院や関係部署に確認のうえ、
一部の薬袋(1枚目の薬袋、糖尿病薬薬袋、水剤など)のみに押印する方法に変
更した。4)なお、外来と退院処方は、従来通り全薬袋に調剤印を押印している。
(2)外来窓口側にメイン鑑査台が移動したことにより、鑑査が終了した調剤薬を入
院窓口に搬送する距離が長くなった。このことに対し、施設係の協力によりコン
パクトな台車を作製し、調剤室内の調剤薬搬送に利用することにした。台車は調
剤薬を入れるカゴが置けること、下段に重い調剤薬を置けること、調剤室内をス
ムーズに移動できること、を条件に大きさを設計した。5)この台車の利用により、
調剤薬をまとめて搬送できるようになり、搬送業務が合理化された。
(3)調剤室では散剤→錠剤一包化→内用外用剤の計数調剤という三段階の調剤を行
っており、調剤の流れに従って、順次該当箇所に処方箋と薬袋を移動させる必要
がある。この移動作業は薬剤師のみで行っていたが、SPDにも委任した。6)
(4)散剤やバラ錠の空き瓶を廃棄する際は、悪用防止のためにSPDが薬品名をマ
ジックで塗りつぶしていた。しかし、院内の廃棄物処理状況を確認したところ、
PFI導入後は廃棄物を部外者が立ち入ることのできない場所に保管しており、
安全性が担保されていることが判明したため、この作業を廃止した。7)
(5)散剤瓶には薬品請求時に使用するカードが輪ゴムで留められており、調剤時に
バーコードを読み込む際や蓋を開閉する際に邪魔になり、円滑な秤量調剤の妨げ
になっていた。そこで、カードを挟み込むクリップを散剤瓶の棚に設置、カード
や有効期限・ロット番号などの記録紙を挟み込むこととし、円滑な調剤が行える
と同時に在庫管理もできるようにした。8)
(6)錠剤自動分包機に対応するための繁用薬のバラ錠製品の購入やカセッターを新
たに5品目追加し、錠剤一包化調剤の効率化を図った。
(7) 薬剤師が行っていた錠剤自動分包機の分包紙とインクリボンの補充をSPD
に委任した。
(8) 電話の初期対応の一部をSPDと臨時職員(事務)に委任した。調剤薬の出来
上がりの問い合わせなど、薬剤師以外の職員が対応できる案件への対応を任せる
ことにより、薬剤師が医師からの問い合わせや疑義照会、調剤業務、患者対応に
専念できる体制を作った。
(9)定時薬の最終チェック後の払い出し準備作業をSPDに委任し、払い出し形態
も袋からカゴを利用する方式に変更した。
4 今後の取り組み(結果)
外来患者さんからは薬剤師の調剤する姿が間近に見えるようになり、直接会話する機
会も増えている。このことにより、各種苦情にも速やかに対応できるとともに、その頻度
も減少している感触がある。また、荷物台や窓口の小さな置物の設置9)が患者さんの薬剤
科への印象を柔らかくする効果も引き出しているようである。今後もさらに機能的な調剤
室になるよう、改善を続ける予定である。
また、外来患者さんへの対応を充実させつつも、調剤業務の省力化により、入院患者
さんへの薬剤管理指導業務の件数を増やすことができている。10)今後も、業務改善を進
めて安全で確実かつ効率的な調剤業務を遂行していくと同時に、患者サービスの向上に取
り組んでいきたい。
<資料>
1)処方箋枚数の推移
枚
80000
70000
60000
50000
40000
30000
20000
10000
0
注射
内用外用
2)調剤室のレイアウト変更図
~変更前~
~変更後~
サブ鑑査台
メイン鑑査台
錠剤台
錠剤台
電子カルテ
電子カルテ
メイン鑑査台
サブ鑑査台
~変更前~
①外来患者待合から薬剤師が見えない
②メイン鑑査台から外来患者窓口が見えない
~変更後~
③外来患者待合から職員の姿が見える
④メイン鑑査台から入院窓口の様子がわかる
入院窓口
⑤サブ鑑査台から外来患者窓口近辺の様子がわかる
外来窓口
3)外来患者さん用荷物台の作製
~左横に傘をかけることができる~
4)薬袋への調剤印押印数の変更
全薬袋に押印
5)台車の作製
調剤薬や重いダンボールを乗せ、
搬送に利用する。
一部薬袋に押印
6)散剤台用処方箋・薬袋搬送用置き場
散剤台からどのポジションに搬送すればよいのか、
SPDが判断できる。
7)廃棄する薬品瓶の薬品名塗りつぶし廃止
薬品名を塗りつぶして廃棄していた
そのまま廃棄
8)散剤瓶用カードホルダーの設置
カードを輪ゴムで留めていた
カードホルダーを利用
9)外来患者窓口の置物~季節ごとに変更される~
10)薬剤管理指導業務件数の推移
1800
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
0