ピアチェンツァ探訪 街歩きガイドp11-14

ピアチェンツァ県
11
La Mappa della Provincia
❶ ポー川 PO
❷ トレッビア川 TREBBIA
❸ サン・ピエトロ・イン・チェッロ SAN PIETRO IN CERRO
❹ サンタガタ SANT’AGATA
❺ ピアネッロ PIANELLO
❻ アガッツァーノ AGAZZANO
❼ リヴァルタ RIVALTA
❽ グラッツァーノ・ヴィスコンティ GRAZZANO VISCONTI
❾ パデルナ PADERNA
❿ ロッカ・ドルジシオ ROCCA D’OLGISIO
⓫ キアラヴァッレ CHIARAVALLE
⓬ ヴィゴロ・マルケーゼ VIGOLO MARCHESE
⓭ トラーヴォ TRAVO
⓮ カステッラルクァート CASTELL’ARQUATO
⓯ グロッパレッロ GROPPARELLO
⓰ ヴィゴレーノ VIGOLENO
⓱ ヴェレイア VELEIA ROMANA
⓲ ペニチェ山 MONTE PENICE
⓳ ボッビオ BOBBIO
⓴ サルマート SARMATO
県内の市町村
I Comuni del Piacentino
イタリア共和国
ミラノ
ピアチェンツァ
Piacenza
ローマ
AGAZZANO
ALSENO
BESENZONE
BETTOLA
BOBBIO
BORGONOVO
CADEO
CALENDASCO
CAMINATA
CAORSO
CARPANETO
CASTELL’ARQUATO
CASTEL S. GIOVANNI
CASTELVETRO PIACENTINO
CERIGNALE
COLI
CORTE BRUGNATELLA
CORTEMAGGIORE
FARINI
FERRIERE
FIORENZUOLA
GAZZOLA
GOSSOLENGO
GRAGNANO
GROPPARELLO
LUGAGNANO
MONTICELLI
MORFASSO
NIBBIANO
OTTONE
PECORARA
PIACENZA
PIANELLO
PIOZZANO
PODENZANO
PONTE DELL’OLIO
PONTENURE
RIVERGARO
ROTTOFRENO
SAN GIORGIO PIACENTINO
SAN PIETRO IN CERRO
SARMATO
TRAVO
VERNASCA
VIGOLZONE
VILLANOVA
ZERBA
ZIANO PIACENTINO
12
ピアチェンツァ県
います。
ピアチェンツァ県は、ポー川の南側全域に広がっています。
この一帯には、アペニン山脈からの急流が流れ込み、大小
トレッビア渓谷にあ
様々な渓谷を形成しています。
るボッビオ(Bobbio)
今もこの地に残る大規模農家は、肥沃な平地をくまなく農
は、7世紀初頭、アイル
地として利用し続けることで、昔ながらの低地の景観を守っ
ランド出身の聖コロン
ているのです。
バヌスがこの地に開い
たベネディクトゥス派
緩やかな丘陵には特に葡萄畑が多く広がっていますが、そ
の合間にはカシやナラの雑木林
ボッビオ、修道院
修 道 院 の 周 囲 に発 展
も残されています。手つかずの
した村です。中世の雰囲気がそのまま残る村は、現在、避暑
自然が残る緑豊かな山々には、
地として人気を博しています。
氷河期にさかのぼる大小の湖が
あります。
このあたりで最も高い
ペニチェ山(標高1467m)では、
ウィンタースポーツも盛んに行
われています。
ピアチェンツァには旧石器時
ヴェレイア
代から人の往来があり、ローマ
帝国の時代には多くの人たちが定住していました。ピアネッ
ロ市やトラーヴォ市にある考古学博物館には当時の生活を
伝える発掘品が展示され、公園内には新石器時代の住居が
ボッビオ、
ゴッボ橋
再現されています。
また、
ヴァル・ダルダの高台では、
ヴェレイ
15世紀までの間に度重なる改修が行われた修道院内に
ア
(Veleia Romana)
(1-5
は、12世紀につくられた《善と悪の戦い》
と月暦を表す床モ
世紀)の考古学発掘現場
ザイクが残されています。また、周辺には市立博物館と聖コ
を見ることができます。
こ
ロンバヌス博物館もあります。地元の名所は、11の不規則な
こは、かつてリグーリア人
アー チ が 並 ぶゴッボ 橋 で
が居住していた地域で、
す(イタリア語で「こぶ」の
そこにあったローマの自
意)。現存する最古の記録は
12世紀のものですが、これ
由都市を発掘する作業が
1760年以降続けられてい
グロッパレッロ城
るのです。発掘品の一部は改築されたばかりの収蔵館に展
はそれ以前に造られたもの
と考えられます。
リヴァルタ
(Rivalta)は、
トレッビア川
示されています。
県内では、数多くの古城が今も居城として使われており、
上流の河口に広がる平野に
そのうちの「パルマおよびピアチェンツァ公国の古城協会」
ある要塞村落です。15世紀
に属する11の城が一般公開されています。アガッツァーノ
の典型的な築城様式の城に
(Agazzano)、ボッビオ(Bobbio/p.11地図⓳)、カステッラル
円塔がそびえています。周
クアート(Castell’Arquato/p.12地図⓮)、
グラッツァーノ・ヴィ
辺には宿泊施設や使用人
スコンティ
(Grazzano Visconti/p.11地図❽)、グロッパレッロ
の家々、厩舎が並び聖マル
ティヌス教会もあります。ピアチェンツァ市の南にあるグラッ
地図❾)
、リヴァルタ
(Rivalta/p.11地図❼)
、
ロッカ・ドルジシオ
ツァーノ・ヴィスコンティ公園(Grazzano Visconti)は、多くの
(Rocca d’Olgisio/p.11地図❿)、サン・ピエトロ・イン・チェッ
観光客を惹きつけています。20世紀初頭にジョゼッパ・ヴィス
ロ(San Pietro in Cerro/p.12地図❸)、サルマート
(Sarmato/
コンティ・ディ・モドローネは、一家が所有していた14世紀の
p . 1 1 地 図 ⓴ )、ヴィゴレ ーノ
古 城を改 修し、周 囲 の
村全体を中世へとタイ
(Vigoleno/p.12地図⓰)。
大半の城は、いにしえの姿を
ムスリップさせました。
今もとどめる村の中に築かれ
昔ながらの職人工房が
ており、城と村が一体となって
軒を並 べる村で は、中
歴史の至宝を形成しています。
世の衣装を身にまとっ
現に、ボッビオ、カステッラルク
た 住 民 たちが、訪 れる
人たちを遠い昔へとい
アート、ヴィゴレーノは「イタリ
オルジシオ要塞(ロッカ・ドルジシオ)
13
リヴァルタ城
(Gropparello/p.11地図⓯)、パデルナ(Paderna/pp.11-12
アで最も美しい村」に選ばれて
グラッツァーノ・ヴィスコンティ村
ざないます。
La Provincia
テスク美術の影響を受
けたフレスコ画(キリス
ト磔刑図)で有名な礼
拝堂と煉瓦造りの三連
窓が美しい、司教座聖
ヴィゴレーノ
堂参事会集会所もあり
ます。双方とも、ぜひ訪れていただきたい場所です。
カステッラルクアート
そのままもう少しオンジーナ街道を北へ進むと、ヴィッラ
アルダ渓谷のカステッラルクアート
(Castell’Arquato)で
ノーヴァのサンタ・アガタ(Sant’Agata)に着きます。
ジュゼッ
も、中世の雰囲気をいたるところで楽しむことができます。市
ペ・ヴェルディの別荘には、当時の家具や遺品が残され、
ヴェ
庁舎広場では、歴史を再現する催しや地元のお祭りがおこな
ルディの作曲活動や暮らしの一端を垣間見ることができます。
われています。ヴィスコンティ要塞、ロマネスク時代の教会、
ゴシック時代の執政官宮殿といった歴史的建造物が、市庁
舎を囲みます。以前「聖霊病院」だった16世紀の建物は現在、
ピアチェンツァ一帯を旅
地質学博物館になっており、ナガスクジラや化石などの350-
することは、美食の伝統が
250万年前の発掘物から、ピアチェンツァ一帯の歴史を学ぶ
息づく郷土料理の味を堪能
ことができます。
することでもあります。
そこから数 キ ロ 先 に 、ヴィゴロ・マルケーゼ( V i g o l o
地域の食品で最も有名
Marchese)教会と洗礼堂があります。洗礼堂の洗礼盤は古
なのは、昔ながらの製法で
手作りされた完全無添加の
代ローマの柱頭を再利用したものです。ポー川流域のロマ
ネスク様式を伝える重要な中世建築です。パルマ県とピア
DOPのサラミ類
サラミ類です。その内、コッ
パ(coppa)、サラミ
(salame)、パンチェッタ
(pancetta)の3つ
チェンツァ県 にまた が
るスティローネ州 立 公
は、EUのDOP(保護原産地保証)認証を取得しています。
また
園(Parco regionale
チーズでは、
グラーナ・パダーノ
(Grana Padano)やプロヴォ
dello Stirone)は、自然
ローネ・ヴァルパダーナ(Provolone Valpadana)が同認証を
学・地学・先史民俗学の
取得しています。
観点できわめて重要な
ワインに関しても、ピアチェンツァは、
グットゥルニオの赤
ワイン、モンテロッソやオルトゥルゴ、
トレッビアニーノ、マル
施設です。公園内には、
中 世 の 村ヴィゴレーノ
ヴィゴロ・マルケーゼ
(Vigoleno)が、昔の姿そのままに保存されています。石壁で
ヴァジアの白ワインを始め、17種類ものDOC(原産地統制呼
称)
ワインを誇っています。
囲まれた村には、12世紀の城や、15世紀のフレスコ画で飾ら
ピアチェンツァには数多くの名物料理があります。例えば
れたロマネスク様式の聖ゲオルギウス修道院が残されてい
プリモ・ピアット(パスタ、リゾッ
ます。
ト、スープ 類 )に は 、アニョロッ
かつてパッラヴィチーノ国の首都だったコルテマッジョー
ティ( 肉 詰 め パ スタ)入りス ー
レ(Cortemaggiore)は、四角い土地に道が直角に交錯す
プ、リコッタとほうれん草入りの
る、ルネサンス様式の都市です。聖母恩寵教会(Collegiata
トルテッリ、ピザレイ・エ・ファゾ
di S.Maria delle Grazie)には多くの美術品が展示されてい
(pisarei e fasö:小さなニョッキ
ます。ルネサンスに活躍した画家パルミジャニーノの父フィ
と豆のソース)、ボンバ・ディ・リー
リッポ・マッツォーラによる祭壇画が見どころです。
また、サン
ゾ(ライス爆弾)、セコンド・ピアッ
ティッシマ・アヌンツィアータ教会には、ポルデノーネによる
ト
(メインディッシュ)
としては、鴨
フレスコ画や宗教行列時に使用した旗が保存されています。
のロースト、牛すね肉のオーブン
キアラヴァッレ・デッラ・コロンバ
低地の田園地帯には、聖
焼き、馬肉の煮込み、ロバ肉の煮
べルナルドゥスが開院し、14
込み、
トリッパ、タスト(卵やひき
世紀初頭に改修された中世
肉、野菜をつめた子牛の冷製パ
の僧院、キアラヴァッレ・デッ
テ料理)が名物です。デザートに
ラ・コロンバ(Chiaravalle
は、
ラッテ・イン・ピエディ
(ゼラチ
della Colomba)がありま
ン不使用のミルクプリン)、
アーモ
す。
ここには二重の円柱で支
ンドのタルト、栗のタルト、チャン
えられたアーチが連なる回
ベッラ、そして伝統的なジャムの
廊があり、その前には、
グロ
タルトなどがあります。
DOCワイン
トルテッリ
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