食肉衛生検査 食用として獣畜(牛・馬・豚・めん羊・山羊)をと殺・解体する施設を「と畜場」といい、 「と畜場法」によって規制されています。食品衛生上の危害の発生防止および処理工程の 適正化のため、と畜場の施設・設備に基準が設けられ、衛生管理責任者を設けて都道府県 知事の設置許可を得なければならない。さらに、都道府県職員から知事が任命した「と畜 検査員(獣医師) 」が法に基づいて 1 頭毎の検査を行い、合格したものだけが食肉として流 通することになっています。 検査は、生体検査、解体前検査、解体後検査、内臓検査、東部検査に分けられており、 肉眼的に異常を見つけ、さらに、病原体の培養検査、動物薬や農薬の残留検査を実施し、 安全が確認されたものだけに「合格印」が押され、その後、部分肉にカットされます。こ のような一連の作業の過程で汚染が広がることのないように、施設・設備の衛生管理や従 業員の適正な取り扱いを点検して指導するのも「と畜検査員(獣医師)」の役割です。 2011 年には全国で牛 1,175,991 頭(鹿児島県内 105,379 頭、9%) 、豚 16,514,874 頭(鹿 児島県内 2,639,913 頭、16%)がと殺され、検査で合格したものが販売(一部は輸出)され ました。これだけの頭数を県内 7 ヶ所の検査所(知覧、串木野、阿久根、大口、末吉、志 布志、鹿屋)に配置されている非常勤を含む 177 名の「と畜検査員(獣医師) 」が検査して いるのです。一人当たり年間に牛 595 頭、豚 14,915 頭検査していることになります。 鹿児島県内における牛のと殺頭数の推移 鹿児島県内における豚のと殺頭数の推移 日本の食料自給率はカロリーベースで 39%しかなく、世界人口増による食 料不足が予測される中で懸念材料となっています。自由化の波で農業が圧迫さ れていますが、安定した国内生産を維持するため、農水省は輸出促進対策を行 っています。農産物の輸出は地域の収入となり、地域振興に役立っています。 その一環として、鹿児島県の黒牛と黒豚の輸出に取組んでおり、欧米を含む衛 生基準を満たすことが必要とされています。そのため、「と畜場」の施設・設備、 作業工程、食肉検査は国際水準を維持することが求められ、 「と畜検査員(獣医師) 」 は作業員を含めた技術向上に励んでいます。 国際水準の衛生管理は、安全性を確保するため作業工程を重点的に管理する 方法で、HACCP システムと呼ばれています。そのシステムを厚労省が検査して 認証する仕組みができており、現在、鹿児島県内の「と畜場」は認証を取得して います。
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