オピオイド使用上の注意 - NPO法人 いたみ医学研究情報センター

本邦におけるオピオイドの乱用と依存の予防と治療戦略
タ
議 論
・ オピオイドの役割について考える
・ 慢性疼痛におけるオピオイドの意義について
考える
教 育
・
・
・
・
・
対 策
い
た
報
ン
セ
ー
オピオイドの乱用と依存を知る
乱用と依存を起こし難いオピオイドを知る
慢性疼痛患者について知る
オピオイド適応となる患者を考える
オピオイド適応とならない患者を知る
医
学
研
究
情
・ オピオイドが処方された患者をモニターする
・ 社会におけるオピオイドの氾濫を防ぐ
・ オピオイドの乱用と依存の治療体制を確立する
み
ペインクリニック31:1459-1474,2010
米国と日本のオピオイドへの意識の違い
米国
環境
文化
タ
日本
ン
オピオイドの
・ 社会の印象
普通
悪い
・ 適応
全ての痛み
全ての痛み
・ 合法的な入手
容易
保険の適応内のみ
・ 非合法的な入手
容易
困難
アルコール依存
多い
比較的少ない
非合法麻薬・覚醒剤
氾濫
一部で氾濫
喫煙者
減少傾向
変化なし
社会構造
複雑化
複雑化
鎮痛薬
NSAIDsに警戒感 オピオイドに嫌悪感
医師の処方
安易
躊躇
依存者へイメージ
普通
犯罪者
広告
積極的
消極的
た
い
ー
み
医
学
情
究
研
報
セ
ペインクリニック31:1459-1474,2010
各領域でのオピオイド治療の特徴
対象患者
使用目的
・有害反応(神経
手術を受ける
内分泌反応)の
全ての患者
抑制
麻酔
・術後合併症の予防
がん性疼痛
緩和ケア を訴える全て
の患者
慢性疼痛
た
い
医
厳選された
一部の慢性
疼痛患者
み
研
・抗がん意欲の回復
学
を取り戻す
限られた
期間(超
短期)
呼吸抑制
徐脈,
低血圧など
情
究
・痛みからの解放
・QOLの改善
・QOLの改善
・ADLの改善
・失っていたもの
副作用
報
タ
ン
使用
期間
セ
ー
副作用へ
の対応
人工呼吸
循環作動薬
限られた
嘔気・嘔吐, 制吐薬,下剤
期間(短
便秘,眠気 (消耗性疾患)
から中期)
予測不能 嘔気・嘔吐, 制吐薬,下剤
な期間(中 便秘,眠気, 患者の選定
から長期) 乱用・依存 患者のモニター
ペインクリニック31:1459-1474,2010
ン
セ
ー
タ
慢性疼痛に対するオピオイド治療への欧州疼痛学会の勧告
1. 慢性疼痛の治療は個々の痛みの病態によって異なる。そして,痛みの原因が
いかなるものであっても,その目標は症状緩和である。
報
2. 神経障害性疼痛,侵害受容性疼痛共にオピオイド治療の適応となる。しかし,他に
有効な痛みの緩和手段が見つからない場合にのみオピオイド治療を考慮する。
情
3. オピオイド治療の目的は痛みを緩和することと生活を改善することである。したがって,
オピオイド治療開始時には痛みの緩和と生活改善の両方を評価する必要がある。
研
究
4. 処方医は患者の心理社会的状況を熟知する必要がある。
5. 徐放性のオピオイド製剤を規則正しく投与することが推奨される。
6. オピオイド治療期間中は,痛みの緩和,副作用の程度のみならず,生活の改善の程度
について常に評価する必要がある。
7. オピオイド治療による効果,有害事象のみならずオピオイド治療中止の可能性を明記
した同意書(契約書)の作成する必要がある。
8. オピオイド治療は未来永劫にわたって続ける治療と考えるべきではない。
い
た
み
医
学
Eur J Pain 7:381-386, 2003
慢性疼痛に対するオピオイド治療の使用戦略の基本
タ
ン
【限定された医師】
【厳選された患者】
・ 慢性疼痛に対する知識・
経験を有する。
・ 痛みの原因が明白で
ある。
・ オピオイドの知識・経験
を有する。
学
い
た
み
医
医 師
究
研
・ 薬物依存に対する知識・
経験を有する。
情
報
セ
ー
・ 薬の管理が適切に
できる。
・ 痛みを緩和する目標
がはっきりしている。
信頼関係
患 者
ペインクリニック32:342-352,2011
オピオイドの投与が不適切な患者
・
・
・
・
い
た
み
医
学
研
究
情
報
タ
ン
セ
治療目標がはっきりしていない患者
明らかな心因性疼痛を訴えている患者
他に有効な治療手段がある患者
医師の指導を守れない患者
(薬のアドヒアランス,コンプライアンスが悪い)
・ 過去に薬物あるいはアルコール依存のある患者
・ 重篤な精神疾患患者
・ オピオイド処方を長期に続けるにあたって懸念の
ある患者(遠方から通院,家庭環境が不良)
ー
ペインクリニック32:342-352,2011
セ
ン
・ 他に有効な疼痛緩和手段がないことを確認する。
・ 1~2ヶ月の通院状況,薬物療法のアドヒアランス
を確認する。
・ 医師の指導を守れるかどうか確認する。
・ 通院状況を確認する。
・ 痛みによって生じている生活の質の低下について
話し合う。
・ 痛みを緩和する目標を設定する。
・ 心理社会的背景を把握する。
い
た
み
医
学
研
究
情
報
ー
タ
オピオイド開始までの確認事項
ペインクリニック32:342-352,2011
一般的なオピオイド治療開始時の処方
セ
1%リン酸コデイン散 6g/日 (6時間毎に2g内服)
もしくは,
塩酸モルヒネ末 10mg/日 (6時間毎に2.5mg内服)
究
情
報
タ
ン
オピオイド
ー
* 高齢者,体調不良者,体重が少ない患者では半量から開始
研
副作用への対応
学
酸化マグネシウム 750mg/日 (毎食後に250mg内服)
もしくは,
プロクロルペラジン 15mg/日 (毎食30分前に5mg内服)
い
た
み
医
* 酸化マグネシウムは便通状態に応じて増減
* プロクロルプラジンは1~2週間を目安に中止
ペインクリニック32:342-352,2011
ー
コデインあるいは塩酸モルヒネからフェンタニル貼付剤への切り替え
必要に応じて
ン
セ
塩酸モルヒネ
塩酸モルヒネ
塩酸モルヒネ
塩酸モルヒネ
20mg/日
20mg/日
20mg/日
20mg/日
もしくは,
もしくは,
もしくは,
コデイン
コデイン
コデイン
120mg/日
120mg/日
午前8時
午後2時
み
究
120mg/日
研
学
医
情
報
午後8時
タ
もしくは,
中 止
コデイン
120mg/日
午前2時
午前8時
フェンタニル貼付剤
(デュロテップ®MTパッチ)
12.5μg/hr
(2.1mg/3日)
い
た
ペインクリニック32:342-352,2011
・
・
・
・
・
・
い
た
内服状況の確認
痛みの緩和程度の確認
副作用の確認
社会生活活動の確認
精神状態の確認
環境変化の確認
み
医
学
研
究
情
報
ン
セ
ー
タ
オピオイド治療中の重要な観察事項
ペインクリニック32:342-352,2011
オピオイド治療開始とその後について
侵害受容性
神経障害性
情
オピオイド開始
究
研
有効
み
オピオイドによって
QOLが改善し,
副作用に耐えうる
い
た
学
医
継続
報
セ
心因性
オピオイドの
使用は禁忌
無効
中止
痛みが
改善
タ
ン
慢性疼痛
ー
副作用に
耐えれない
オピオイドの
使用は中止
ペインクリニック 31: 663-666, 2010
報
ン
セ
ー
タ
オピオイド治療が中止される理由
1) オピオイドの効果を認めない
2) オピオイドの副作用を許容できない
3) 痛みが緩和もしくは受容できた
4) 痛みを緩和できる他の手段がみつかった
5) オピオイドの乱用,依存の兆候の出現
6) 薬の管理ができなくなった
い
た
み
医
学
研
究
情
ペインクリニック32:342-352,2011
フェンタニル貼付剤のみでの減量は注意が必要
デュロテップ®
MTパッチ
(50μg/時間)
減少幅
12.5μg
12.5μg
減量率 25%
い
た
デュロテップ®
MTパッチ
(25μg/時間)
デュロテップ®
MTパッチ
(37.5μg/時間)
み
医
学
12.5μg
究 50%
研
33%
情
報
タ
ン
セ
デュロテップ®
MTパッチ
(12.5μg/時間)
ー
中止
12.5μg
100%
ペインクリニック32:342-352,2011
オピオイド依存の特徴(4C)
• Control over drug use impaired
ー
ン
タ
セ
• Continued use of a drug despite
harm
報
薬物自身が害であるにも関わらず使用を続ける
情
• Compulsive use of a究
drug
研
薬物使用への強迫観念
学
• Craving for the drug
医
薬物への欲求
み
た
い
薬物の常軌を逸した使用
http://www.ampainsoc.org/advocacy/opioids2.htm
オピオイド依存のトライアングル
環境
ストレス
学
医
疼痛
み
い
た 疾患
研
究
情
報
オピオイド
依存
ン
タ
セ
抑うつ
遺伝
ー
常軌を逸し
た行動: 40%
乱用:
20%
い
た
み
医
学
情
究
研
報
ン
セ
ー
タ
慢性疼痛患者のオピオイド乱用と依存のリスク
依存:
2% - 5%
慢性疼痛患者
Pain Medicine 6: 432-442, 2005
オピオイド依存患者の危険因子
•
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•
い
た
学
医
み
研
究
情
報
タ
ン
薬物濫用の既往
薬物濫用の家族歴
若年者(45歳未満)
若年時の性行為依存
精神疾患
薬物使用の一般化
心理的ストレス
多数の薬物の濫用
生活周囲の環境が悪い(家族等のサポートが弱い)
タバコ(禁煙困難)
薬物やアルコールの薬物依存のリハビリ歴
オピオイドへの関心
痛みによる機能障害
痛みの過度の訴え
原因不明の痛みの訴え
セ
ー
Avoiding opioid abuse while managing pain (Webster LR & Dove B)より
乱用に好まれるオピオイドランキング
商品名
一般名
オキシコンチン®
Avinza®
Actiq®
Methadone®
Dilaudid®
MSコンチン®
カディアン®
オキシコドン
モルヒネ
フェンタニル
メサドン
ハドロモルフォン
モルヒネ
モルヒネ
オキシコドンとアセト
アミノフェンの合剤
ハイドロコドンとアセ
トアミノフェンの合剤
フェンタニル
ペンタゾシンとナロ
キソンの合剤
Percocet®
Vicodin®
デュロテップMTパッチ®
Talwin NX®
み
い
た
報
究
情
ン
セ
12.5
10.03
8.88
8.58
8.45
8.31
7.55
7.44
―
7.38
徐放
6.55
―
6.13
ブトルファノール
速放
5.72
ブプレノルフィン
フェンタニル
―
徐放
5.45
2.50
研
ー
タ
乱用指数
―
学
医
Stadol
Nasal Spray®
Suboxone®
デュロテップパッチ®
速放 or 徐放
徐放
速放+徐放
速放
徐放
速放
徐放
徐放
Harm Reduction Journal 3: 1-11, 2006
依存形成とオピオイドの剤形
速放
製剤
徐放
製剤
い
た
医
み
弱
究
研
学
情
報
ー
タ
セ
ン
強
臨床緩和医療薬学(日本緩和医療薬学会編)より
オピオイド依存の兆候
ン
タ
•
•
•
軽微な兆候 •
•
•
•
高用量のオピオイド処方への欲求
激しい疼痛がないにもかかわらず薬を貯めたがる
特定の薬物の処方希望
他の機関からの同様の薬物の入手
許容を超える量へ増量
痛み以外の症状の緩解のための不適正使用
処方医の予測に反した薬の精神効果の出現
•
•
•
•
重篤な兆候 •
•
•
•
•
処方薬の転売
処方箋の偽造
他人からの薬物の入手
経口薬の注射の為の液状化
医療機関以外からの処方薬物の入手
紛失のエピソードの多発
不法薬物の同時使用
警告にも関わらず,度重なる内服量の増加
風貌の変化
い
た
学
医
み
研
究
情
報
セ
ー
Avoiding opioid abuse while managing pain (Webster LR & Dove B)より
慢性疼痛とオピオイド依存患者の特徴
不治の…
治療が絶対必要
究
タ
ン
慢性疼痛 オピオイド
依存




報
情
セ




対処方法が上手でないことが多い


医




生物学的,精神的,社会的治療が必要
精神疾患の存在が多い
学
雇用上の問題が多い
み
研
常軌を逸した薬の使用が多い
い
た
ー
ペインクリニック 31: 663-666, 2010
糖尿病とオピオイド依存患者の特徴
い
た
学
み
医
究
研
報
情
治療のために投薬が必要
生活スタイルを変える必要がある
患者と一緒に病気を考えなければならない
血液,尿などの定期的検査が必要
治療には患者の同意が必要で,時には
カウンセリングが必要
否定が治療を障害することがある
治療へのコンプライアンスが低い
セ






タ
ン
糖尿病
慢性疾患
潜在的に致死に至る可能性がある
ー
オピオイド
依存


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




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

ペインクリニック31:1459-1474,2010
米国における不必要なオピオイド処方
不必要な処方
い
た
み
研
学
医
究
情
報
タ
ン
セ
ー
慢性疼痛への処方
緩和ケアガイドブック2008版(日本医師会編)より改変