日本人の MotoGP に対する関心について

2007/02/03
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成果報告会
比較社会論コース 4 年
レジュメ
川原美樹
日本人の MotoGP に対する関心について
1.問題関心と本論文の目的
二輪モータースポーツの MotoGP は、1959 年から多くの日本メーカーと日本人選手が参
戦し続けるなど、日本が大いに関っているロードレースの世界選手権である。また、世界
的に見ると、テレビ放映網がこれまで以上に拡大したり、メーカー・選手共に参加してい
なかった中国や中東諸国が新たにグランプリの開催地になったりするなど、ここ数年で
MotoGP は更なる発展を遂げている。しかし、日本における MotoGP への関心の低さは甚
だしく、そのことは、テレビ放映網の狭さやグランプリの観客動員数の少なさからも窺い
知ることができる。一方、日本と同じように多くのメーカーや選手が MotoGP に参戦して
いるヨーロッパでは、ライダーが国やマスコミから表彰されたり、MotoGP の選手育成機
関が出来たりするなど、MotoGP がとても注目度の高いスポーツとなっている。
日本とヨーロッパにおいて関心の度合いに大きな差があることを知り、筆者は「長年に
渡って、日本人選手や日本メーカーが多く関っているのに、なぜ日本人の MotoGP に対す
る関心が低いのだろう」と思うようになった。そのため筆者は、MotoGP 参戦歴が長く、
現在の参戦率も高いこの日本において、人々があまり関心を持っていないその要因を解明
したく思った。
要因を解明するにあたって、筆者は以下のような 3 つの仮説をたてた。
「日本人の国民性
そのものがモーターサイクルレースを好むものではないからではないか」、「日本でグラン
プリを開催するにあたっての努力があまりなされていないからではないか」、「日本人のス
ター選手がいないからではないか」という 3 つである。本論文では、これら 3 つの仮説を
検証し、日本人の MotoGP に対する関心が低い理由を明らかにすることを目的とした。
2.調査方法
調査には主に文献やインターネットを活用したが、より現状に即した現実的なものに近
づけるため、MotoGP 参戦メーカーや関連組織などへの聞き取り調査も存分に行った。参
戦メーカーとしては特に、日本で最も長い MotoGP 参戦歴を持ち、F1 にも参戦するホンダ
の方々に話を伺った。また、ホンダのようなフル参戦ではなく、ワイルドカード1によるス
ポット参戦をしているモリワキの方からも話を伺った。
通年参加とは別の、各グランプリに割り当てられた特別参加枠のこと。モリワキは 2003
年よりスポット参戦を始めた。
1
3.論文の構成
まず、第 1 章で MotoGP という競技そのものについて説明した。そして、仮説を検証す
るための材料を提示するため、第 2 章で日本の、第 3 章で日本以外の国々における MotoGP
の現状について事例を豊富に用いて示した。第 3 章では、一般的にモータースポーツ人気
が高いと言われるヨーロッパやアメリカだけに留まることなく、モータースポーツがあま
り根付いていないながらも MotoGP の誘致に成功したアジアの国々や南アフリカなどにつ
いても扱った。この第 2・第 3 章を基にして、第 4 章で仮説を検証した。最後にその結果を
踏まえて、「では、人々の関心を高めるためにはどうすれば良いのか」という提言を、日本
でこのスポーツへの注目度が高まり活性化されることを祈る MotoGP ファンとして行った。
はじめに
序章
第 1 章 MotoGP とは
第 1 節 MotoGP の概要
第 2 節 MotoGP の歴史と現状
第 2 章 日本における MotoGP
第 1 節 現状
第 2 節 モーターサイクル普及の歴史
第 3 章 国外における MotoGP
第 1 節 ヨーロッパ
第 2 節 アメリカ合衆国
第 3 節 アジア
第 4 節 南アフリカ共和国
第 4 章 日本人の MotoGP に対する関心が低い理由
第 1 節 モーターサイクルレースに無関心な国民性
第 2 節 グランプリ開催のための努力の欠如
第 3 節 スター選手の不在
結論
終わりに
参考文献
巻末資料
4.結論
仮説 1:モーターサイクルレースを好む国民性ではないからではないか
ほぼ仮説通りである。そしてこのことは、日本におけるモーターサイクルの普及の仕方
に大きく起因している。
日本人にとってのモーターサイクルとは、ヨーロッパのように昔から自分たちの生活に
根付いているものではなく、「一時的にブームになったもの」に過ぎない。むしろ日本人の
生活に根付いているのは四輪車のほうであり、人々の関心も長年そちらへ向けられてきた。
昭和 50 年代前半に、モーターサイクルが人々の間に一挙に普及したように思われたが、そ
れは四輪車を持った人が遊びの道具として購入したにすぎなかったのである。つまり、モ
ーターサイクルは人々にとって二次的なものであり、景気が悪化すれば手放してしまう程
度の、関心の低いものだったのである。そのことは、二輪免許制度が短期的に改正された
り、人々がモーターサイクルに対して否定的なイメージを持ったりすることにも繋がった。
そして、そのような二輪免許の取りにくさや否定的なイメージが、人々のモーターサイク
ル離れに拍車をかけたのである。その結果、日本人はモーターサイクルにあまり関心を持
たなくなり、否定的な目で見るようにもなった。そしてそのことが、日本でモーターサイ
クルレースを好む国民性が形成されなかったことに繋がったと考えられる。
仮説 2:グランプリを開催するにあたっての努力があまりなされていないからではないか
仮説のように、「努力がなされていないから」と言い切ることはできない。なぜなら、日
本ではサーキットのみがグランプリ開催に向けて積極的な取り組みを行っているが、実際
にはサーキットだけでは対処しきれない問題も多くあるからである。
程度の差こそあれ、サーキットが質の良いグランプリ開催を目指して、新たな試みを行
ったり様々な改善に取り組んだりしているという事例は見られる。しかし他国の例から分
かるように、経済的な面など、政府の協力がないと実現が難しいものも多く、サーキット
の努力だけでは簡単に改善できない点も多い。そのため、モータースポーツ全般に対する
政府の関与が少ない日本では、いくらサーキットが努力しても、ヨーロッパやアメリカの
ようなレベルのグランプリを開催するのは難しいというのが現実である。さらに日本には、
地理的な問題やタバコ広告の規制など、例え政府の関与があったとしても対処できない、
潜在的に不利な点もある。
仮説 3:スター選手がいないからではないか
ほぼ仮説通りである。しかし、スター選手がいるかどうか以前に、最高峰クラスでチャ
ンピオン争いを出来るぐらいの、実力を持った選手がいないことが問題である。
世界舞台で勝てる強い選手の育成には、運動能力面での訓練だけでなく、言語の習得、
心理面の教育、財政的な支援など、包括的な取り組みが必要となってくる。しかし、日本
にはこのような整った環境はまだ整備されていない。また、それをサポートする政府やサ
ーキットの支えも重要となってくるが、MotoGP に対する政府の関与がほとんどない日本
では、政府の支えなどは見られない。
しかしながら、MotoGP 参戦メーカーや参戦ライダーの中には、育成機関の充実こそが
重要だと考え、スカラーシップ制度を発足させたりヤングライダーの選手権を支援したり
しているものもある。また、多くのマスコミが注目する若手選手の存在などもあることか
ら、将来のスター選手が誕生する可能性も少なくはないと考えられる。
検証の結果、日本人の MotoGP に対する関心が低い理由として、少なくとも「モーター
サイクルを好む国民性ではないから」、「政府の関与がほとんどないから」、「充実した育成
機関が非常に少ないから」という 3 点を挙げることができた。
さらに、この結果を踏まえて「では、人々の関心を高めるためにはどうすれば良いのか」
ということを考えた場合、「充実した育成機関の設立」に最も力を注ぐべきだという結論に
至った。なぜなら育成機関には、「世界舞台で勝てる力を持った、スター選手の誕生に寄与
する」、「日本のモータースポーツ人口を増やし、活性化させる」という 2 つの効用がある
からである。底辺拡大、つまり、「多くのライダーの育成こそが日本のモーターサイクル界
を支える」ということである。
5.課題と反省点
①日本における MotoGP に対する関心の低さがどの程度のものであるかを、もっと具体的
な数値を基に示すべき
→より現実に即したものとなったのでは?
②日本人の MotoGP に対する関心が低いと、今後どのような面でどのような弊害が出るの
かまで指摘すべき
→最初にそのような指摘をしておけば、この研究がもっと意義深いものになっただろうし、
読者ももっと興味深く読めたのでは?
③政府やマスコミを対象にした聞き取り調査を行うべき
→調査対象の多くは MotoGP 参戦メーカーや主催団体などであったため、公平性に欠けた
のでは?
④仮説の検証内容をもっと吟味すべき
→検証段階で多くの要素を詰め込みすぎ、せっかくの事例を有効に活用し切れなかったの
では?
⑤商業主義の影響をもっと考慮すべき
→商業主義による影響をもっと考察すれば、MotoGP におけるスポンサーやメディアの問
題まで浮き彫りにすることが出来たのでは?
6.参考文献
文献
バレンティーノ=ロッシ・エリンコ=ボルギ共著
西村章訳
『バレンティーノ=ロッシ自叙伝―What if I had never tried it』
ウィック・ビジュアル・ビューロウ、2006 年 9 月
小関和夫『国産二輪車物語モーターサイクルのパイオニア達』三樹書房、2005 年 9 月
中川真美「国籍変更するスポーツ選手とその理由」
富山大学人文学部国際文化学科比較社会論コース 2004 年度卒業論文(未公開)
Edwin Habraken
‘The Community of Motocross in Japan: What Makes the Engine Thick?’
Leiden University Centre for Japanese Studies, Graduation Thesis 2004
桂木洋二『欧米日・自動車メーカー興亡史』グランプリ出版、2004 年 8 月
富塚清『日本のオートバイの歴史』三樹書房、2004 年 6 月
Future Foresight Group, The Economic Impact of Phakisa Freeway in 2002/03,
Presentation of results, May 2003
Garry Whannel, Media Sport Starts, London: Routledge, December 2001
井上俊・亀山佳明編『スポーツ文化を学ぶ人のために』世界思想社、1999 年 10 月
ジョージ=H=セージ
深澤宏訳『アメリカスポーツと社会―批判的洞察』
不味堂出版、1997 年 4 月
社団法人日本自動車工業会編『モーターサイクルの日本史』山海堂、1995 年 10 月
サントリー不易流行研究所編『スポーツという文化』TBS ブリタニカ、1992 年 8 月
中村敏雄・出原泰明・等々力賢治共著
『現代スポーツ論―スポーツの時代をどうつくるか』大修館書店、1988 年 6 月
佐藤郁哉『暴走族のエスノグラフィー―モードの叛乱と文化の呪縛』
新曜社、1984 年 10 月
ウェブサイト
○MotoGP に関る組織
Federation Internationale de Motocyclisme
‘Federation Internationale de Motocyclisme official website’
http://www.fim.ch/en/
2007 年 1 月 28 日確認
Dorna Sports ‘The official MotoGP Website’
http://www.motogp.com/en/motogp/index.htm 2007 年 1 月 28 日確認
財団法人日本モーターサイクルスポーツ協会「MFJ Online Magazine」
http://www.mfj.or.jp/ 2007 年 1 月 28 日確認
○MotoGP 参戦メーカー
本田技研工業株式会社ウェブサイト
http://www.honda.co.jp/
2007 年 1 月 14 日確認
株式会社モリワキエンジニアリングウェブサイト
http://www.moriwaki.co.jp/japan2006/mainmenu.html
2007 年 1 月 14 日確認
ヤマハ発動機株式会社ウェブサイト
http://www.yamaha-motor.co.jp/index.html
2007 年 1 月 14 日確認
日本ミシュランタイヤ株式会社ウェブサイト
http://www.michelin.co.jp/
2007 年 1 月 14 日確認
○グランプリ開催サーキット
株式会社モビリティランド「ツインリンクもてぎ」
http://www.twinring.jp/index.html 2007 年 1 月 14 日確認
Phakisa Major Sport Events and Development Corporation ‘Phakisa Freeway’
http://www.phakisa.com/Index.htm
2007 年 1 月 14 日確認
○ニュース
Eurosport ‘The best of MotoGP’
http://www.eurosport.com/motorcycling/ 2007 年 1 月 28 日確認
Media24 ‘Wheels24.co.za’
http://www.wheels24.co.za/Wheels24/Home/
2007 年 1 月 28 日確認
株式会社イデア「AUTOSPORT Web」http://www2.as-web.jp/ 2007 年 1 月 28 日確認
合同会社 IntelliMark「二輪ロードレースニュース IntelliMark」
http://www.intellimark.co.jp/
中日新聞「F1 エクスプレス」http://f1express.cnc.ne.jp/
2007 年 1 月 28 日確認
2007 年 1 月 14 日確認
○その他
自由民主党モータースポーツ振興議員連盟ウェブサイト
http://www.jimin-ms.com/
2007 年 1 月 14 日確認
日本テレビ放送網株式会社「日テレ G+」
http://www.ntv.co.jp/G/index.html 2007 年 1 月 14 日確認
株式会社フジテレビジョン「Formula1 World Championship」
http://www.fujitv.co.jp/index.html 2007 年 1 月 14 日確認
外務省ウェブサイト
http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html 2007 年 1 月 14 日確認
2007/02/03
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成果報告会
比較社会論コース 4 年
資料
川原美樹
1.本論文内での用語の規定
2.MotoGP とは
3.MotoGP における日本の関り
4.日本におけるモーターサイクル普及の歴史
1.本論文内での用語の規定
モーターサイクル――オートバイ(autobicycle)とは和製英語である為、英語圏本来の呼び方
であるモーターサイクル(motorcycle)に統一する
アメリカ――アメリカ合衆国を指す
アジア――日本以外のアジアを指す
南アフリカ――南アフリカ共和国を指す
2.MotoGP とは
①概要
正式名称:『FIM 世界ロードレース選手権シリーズ MotoGP』
主催機関:FIM
(Federation Internationale de Motocyclisme,国際モーターサイクリズム連盟)
運営会社:DORNA(Dorna Sports SL,ドルナスポーツ社)
※DORNA はテレビ放映権と独占的商業権を所有
競技内容:ロードレース専用に開発されたモーターサイクルでサーキットを走り、速さを
競うもので、四輪の F1 と並び称される。世界十数箇所(2006 年は 17 箇所)を
転戦してワールドチャンピオンを争う。排気量により MotoGP(990cc)クラス、
250cc クラス、125cc クラスの 3 クラスに分かれている。全クラスに、ライダー
チャンピオンシップ、マニュファクチャラー(メーカー)チャンピオンシップ
がある。グランプリは 3 日間かけて行われ、1 日目と 2 日目に公式予選が、3 日
目に決勝レースが行われる。
初開催年度:1949 年(F1 の初開催年度は 1950 年)
②グランプリ開催地
(表 1)それぞれの国で 1949 年∼2006 年までに開催されたグランプリの延べ1回数
地域
アジア
アフリカ
ヨーロッパ
正式国名
インドネシア共和国
2
カタール国(2004 年初開催)
3
中華人民共和国(2005 年初開催)
2
トルコ共和国(2005 年初開催)
2
日本国
29
マレーシア
16
南アフリカ共和国
10
アイルランド共和国
22
イタリア共和国
71
オーストリア共和国
24
オランダ王国
58
グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国
58
スイス連邦
22
スペイン
79
チェコ共和国
36
ドイツ連邦共和国
68
ハンガリー共和国
2
フィンランド共和国
21
フランス共和国
50
ベルギー王国
41
20
アメリカ合衆国
10
1
アルゼンチン共和国
10
ブラジル連邦共和国
14
ベネズエラ共和国
オセアニア
7
ユーゴスラビア連邦共和国
カナダ
南アメリカ
6
スウェーデン王国
ポルトガル共和国
北アメリカ
グランプリ開催延べ回数
オーストラリア
3
18
(出典:筆者作成)
1
スペイン、イタリアなどでは、1 シーズンに数箇所でグランプリが行われているため。
3.MotoGP における日本の関り
①MotoGP 参戦ライダー
MotoGP クラス:全 19 人中 2 人
250cc クラス:全 28 人中 4 人
125cc クラス:全 39 人中 1 人
※3 クラスとも 2006 年シーズンのデータ
(表 2)1949 年∼2006 年までの国別ライダーチャンピオン獲得数2
国
500cc/990cc
350cc
50cc/80cc
合計
イタリア
18
23
2
72
イギリス
17
9
4
1
44
スペイン
1
5
12
12
30
アメリカ
15
2
ドイツ
250cc
125cc
8
21
13
17
2
7
3
4
16
3
2
13
オーストラリア
6
1
1
ローデシア3
1
5
2
8
4
スイス
日本
1
2
4
4
8
7
┋
┋
┋
┋
┋
┋
┋
合計
58
34
58
58
28
236
(出典:筆者作成)
②MotoGP 参戦メーカー
MotoGP クラス:全 6 メーカー中 4 メーカー
250cc クラス:全 4 メーカー中 1 メーカー
125cc クラス:全 6 メーカー中 1 メーカー
※3 クラスとも 2006 年シーズンのデータ
現在開催されているのは 990cc クラス、250cc クラス、125cc クラスのみであるが、過去
には 500cc クラス、350cc クラス、80cc クラス、50cc クラスも開催されたことがあるため、
項目に含めている。次の表 3 に関しても同様である。また、日本以下の 8 カ国については
省略する。
3 1953 年に結成されたローデシア・ニアサランド連邦のことで、現在のザンビア共和国、
ジンバブエ共和国、マラウイ共和国にあたる。
2
(表 3)1949 年∼2006 年までの国別マニュファクチャラーチャンピオン獲得数
国(メーカー数)
500cc/990cc
350cc
250cc
125cc
日本(4)
イタリア(11)
34
15
37
19
14
17
スペイン(2)
合計
23
7
116
30
1
81
3
9
12
11
12
1
ドイツ(4)
4
イギリス(3)
4
8
2
アメリカ(1)
2
1
オーストリア(1)
合計(26)
50cc/80cc
57
33
57
57
1
28
2324
(出典:筆者作成)
③MotoGP と F1 への関りの比較
(表 4)MotoGP と F1 の比較5
MotoGP
F1
1963 年(鈴鹿サーキット)
日本での初開催年度
1976 年(富士スピードウェイ)
3 ヶ所 29 回
日本での延べ開催数
3 ヶ所 24 回
(∼2006 年)
1959 年(ホンダ)
日本メーカー
1965 年(ホンダ)
初参戦年度
1959 年
34 回(現在 33 連勝中)
日本人選手初参戦年度
日本メーカーによる
1976 年
0回
年間チャンピオン
獲得数(∼2006 年)
7回
日本人選手による年間
0回
チャンピオン獲得数
(∼2006 年)
CS;全クラス放送(決勝中心)
地上波;関東地区のみ深夜に
日本でのテレビ放送
(2006 年)
CS;予選・決勝とも全戦生中継
地上波;全戦ほぼ生中継
(筆者作成)
合計が表 2 では 236 となっているのに対し、表 3 で 232 となっているのは、1954 年の
500cc、350cc、250cc、125cc の 4 クラスにおいて、マニュファクチャラーチャンピオンが
認められなかったためである。
5「日本メーカーによる年間チャンピオン獲得数」の項目の MotoGP については、最高峰ク
ラス(MotoGP クラス)に関しての数値を使用する。
4
4.日本におけるモーターサイクル普及の歴史
(表 5)モーターサイクル普及に関る主な出来事
年
日本での出来事
1883(明治 16)
世界での出来事
ダイムラーがガソリンエンジンを完
成させる
1887(明治 20) 東京や横浜などの商事会社が、ヨー
ロッパやアメリカからのモーターサ
イクルの輸入を開始
1907(明治 40)
マン島 TT レース開始
1908(明治 41) 島津が日本で初めてガソリンエンジ
ン作りに成功
1910(明治 43) モーターサイクルの専門輸入商が出
来始める
1914~1918
第一次世界大戦の間にモーターサイ
(大正 2~6)
クル産業が世界的に急成長
1919(大正 7)
ヨーロッパでスクーターの生産が開
始
1928~1930
(昭和 3~5)
不況の影響でモーターサイクル事業
が伸び悩む
1930(昭和 5) モーターサイクルが軍用自動車に指
定される
1936(昭和 11) ハーレーダビッドソンの国産化に成
功
1937~1945
戦局悪化に連れてモーターサイクル
(昭和 12~20) の生産が停頓、その後停止
1946(昭和 21) 運搬用器具の自転車やリヤカー、ス
クーターの生産が開始
1949(昭和 24)
1950~1951
MotoGP 開始
多数のモーターサイクルメーカーが
(昭和 25~26) 出来る
1953(昭和 28) 地方有志主催の草レースが行われる
ように
1955(昭和 30) 浅間火山レース開始
1958(昭和 33) メーカー間でモーターサイクルの性
能向上競争が激化
ドイツ、イタリア、フランスでモペッ
トが驚異的に普及
1959(昭和 34) ホンダが MotoGP を始めとする世界
の著名レースに参戦開始
1960(昭和 35) 日本のモーターサイクルの輸出が活
発に
1961(昭和 36) MFJ 設立
1962(昭和 37) 鈴鹿サーキットが完成し、世界公認
に
1964(昭和 39) 道路交通法改正による免許区分の合
理化がなされ、モーターサイクルの
生産量も上昇
1960’
各社ともアジア、中南米、アメリカ
などへの輸出・海外工場設立を開始
1970’
各社とも現地生産に積極的に取り組
むように
(出典:筆者作成)
(表 6)二輪車・乗用車・トラックの保有台数の推移
年
二輪車(台数)
乗用車(台数)
トラック(台数)
1966(昭和 41)
8,239,109
2,833,253
4,798,961
1969(昭和 44)
8,808,961
6,933,737
7,733,403
1972(昭和 47)
8,607,560
12,531,151
9,230,385
1975(昭和 50)
8,752,980
17,236,326
10,089,051
1978(昭和 53)
10,045,622
21,279,694
11,904,903
1981(昭和 56)
13,091,427
24,612,277
13,955,848
1984(昭和 59)
17,353,659
27,144,050
16,240,899
1987(昭和 62)
18,636,466
29,478,368
19,162,538
1990(平成 2)
17,771,787
34,924,213
21,324,848
(出典:社団法人日本自動車工業会編『モーターサイクルの日本史』
山海堂、1995 年 10 月、167 ページをもとに筆者作成)