2011 年 3 月 産業技術者育成支援研修事業 2009 年度事業評価報告書 財団法人 海外技術者研修協会 (AOTS) はじめに 財団法人海外技術者研修協会(AOTS)は、1959 年に日本で最初の民間ベース による技術協力機関として通商産業省(現・経済産業省)の認可を受けて設立 され、以来、開発途上国の産業人材の育成事業を推進しています。これまでに AOTS が日本に受け入れた研修生数は延べ 15 万 5 千人を超え、これに海外で実施 した研修を含めますと研修生総数は約 33 万 9 千人に達します。このように半世 紀にわたり、国際社会に対する AOTS としての役割を果たしてこられましたのも、 ひとえに日本政府をはじめ、産業界、学界、並びに国民の皆様によるご理解ご 協力の賜物と心より感謝いたしております。 過去 50 年を振返ってみると、特に 1980 年代以降のアジア諸国を中心とした 開発途上諸国の発展は目覚しく、近年では新興国と称され先進国を凌ぐ勢いを 見せる国々もあります。これらの国がこうした発展を遂げた要因のひとつには、 我が国の民間企業の積極的な海外事業展開があり、その過程において AOTS は、 官民パートナーシップに基づき日本政府経済産業省及び民間企業と協力しなが ら現地日系企業及び裾野産業の技術者・管理者の人材育成を推進し、現地産業 の技術レベル向上の一端を担ってまいりました。開発途上国が更なる産業発展、 経済成長を果たしていく中で、人材育成の必要性は今後益々高まっていくこと が予想されます。一方、日本国内では、政府予算の緊縮に伴い ODA 予算が縮減 されるようになり、AOTS は、限られた経営資源で効率的かつ効果的な研修事業 を推進していくことを一層強く求められています。 こうした状況下で、事業評価はさらに重要性を増しておりますが、AOTS では、 従来より「AOTS 研修事業評価システム」(2003 年度導入)において、研修生、 受入企業、その他関連団体の方々から多面的に AOTS 研修事業を評価していただ き、またその評価結果を、産業界、学界等の方々により構成される研修事業審 議会で、様々な見地から検証していただております。また、それらの結果を社 会に広く公開し、国民の皆様への説明責任を果たすとともに、今後の事業運営 にフィードバックして更なる改善に活用いたしております。 本報告書は、2009 年度の産業技術者育成支援研修事業に関する評価結果をま とめたものです。是非ご高閲の上、忌憚のないご意見を頂戴できましたら幸甚 です。 AOTS は民間活力を活かした技術協力機関として、開発途上国の持続的成長に 向けて一層努力する所存です。今後とも格別のご支援とご協力を賜りますよう 何卒宜しくお願い申し上げます。 2011 年 3 月 (財)海外技術者研修協会 理事長 金子 和 夫 目次 はじめに 産業技術者育成支援研修事業の概要……………………….................1 AOTS 研修事業評価システムの概要………………………………....…3 第1章 要旨…………………………..……..……………………………..6 I. 技術研修…………………………………………………………………………………..7 II. 管理研修……………………………………………………………………………….10 III. 海外研修……………………………..………………………………………………...11 IV. 受入研修環境……………………………………………………………………………12 V. 事後評価………………………………………………………………………………...12 VI. 2009 年度事業評価報告書の主な変更点……………………………………..……….13 第2章 技術研修…………………………..………..…………………..14 I. 一般研修の実績…………………………………………………………………………15 II. 一般研修の評価…………………………………………………………………………22 III. 一般研修における日本語研修の評価………………………………………………….33 IV. 実地研修の実績…………………………………………………………………………47 V. 実地研修の評価………………………………………………………………………...51 第3章 管理研修……………………………...………………………….56 I. 管理研修の実績………………………………………………………………………...57 II. 管理研修の評価…………………………………………………………………………61 第4章 海外研修……………………………...………………………….66 I. 「協会企画型」海外研修の実績………………………………………………………...67 II. 「協会企画型」海外研修の評価…………………………………………………………69 III. 「案件募集型」海外研修の実績………………………………………………………...71 IV. 「案件募集型」海外研修の評価………………………………………………………...73 第5章 受入研修環境………………………...………………………….76 I. 受入研修環境(受入研修)の実績……………………………………………………...77 II. 受入研修環境に関する評価……………………………………………………….……78 第6章 事後評価……………………………………………………...….80 I. 概要………………………………………………………………………….…………..81 II. インタビュー結果 ~マレーシア~……………………………………………………..85 III. インタビュー結果 ~フィリピン~……….……………………………….……….……122 IV. インタビュー結果 ~ベトナム~….………………………………………..…….……151 V. まとめ……………………………………………..…………………………………….177 第7章 評価の向上に向けた取り組み……...…………………………178 I. 事業実施・評価等に関するの改善……………………….……...………………...….179 II. 評価制度の改善に向けて……….…………………………………………………….180 外部有識者による2次評価…….……………………….....................177 研修事業審議委員からのコメント………………………………......…178 産業技術者育成支援研修事業の概要 1 産業技術者育成支援研修事業について 本事業は、開発途上国の経済発展を支える産業人材の育成を目的に、AOTS が設立以来半世 紀にわたって国からの資金(ODA)と民間資金を組み合わせて実施している官民連携の研修事 業です。1959 年(昭和 34 年)に本事業(平成 10 年度までの事業名は、海外技術者受入研修事 業)を開始して以来、2009 年度までに約 124,000 名の技術者や管理者、企業経営者等を日本に 受け入れています。また 1977 年度より累計で 71,000 名を超える現場管理監督者等に対し、海外 での研修を行っています。 開発途上国の経済発展には、資本と技術、さらに人材を効率的に投入する必要があります。本 事業は民間企業の海外展開において生まれる技術移転を円滑に行うための人材育成ニーズに 着目し、研修事業を通じて開発途上国の産業人材の育成を図るものです。 経済産業省(METI) 国庫補助(ODA) 受入費 研修実施費 (滞在費、実地研修費など) (講師謝金、教材費など) 事業運営費 AOTS 賛助金 日本企業(受入企業)または現地日系企業等(派遣企業) 2 研修の種類について 本事業は『受入研修』と『海外研修』の 2 つの形態があります。受入研修とは、開発途上国の技 術者や管理者を日本に招聘して行う研修の総称で、海外研修とは、日本から講師を派遣して海 外で行う集団研修です。受入研修は、製造技術等の固有技術の習得を目的とした『技術研修』と、 企業経営や工場管理に必要とされる各種管理技術を学ぶ『管理研修』とに大別されます。海外研 修には、AOTS 自ら企画して実施する『協会企画型』と、企業・団体等の協力機関を募って実施す る『案件募集型』の 2 つの種類があります。 (1) 受入研修 『技術研修』 製造技術等の固有技術の習得を目的とした研修で、AOTS が実施する導入研修(一般研修)と 民間企業の生産活動の現場等における研修(実地研修)を合わせて「技術研修」と言います。この 「技術研修」を通じて専門分野の固有技術が身につくと同時に、日本および日本人に対する理解 が深まることを目指します。 -1- ■ 一般研修 一般研修は、実地研修を円滑に進める上で必要な日本語の習得や日本社会の理解を目的とし た研修です。AOTS の研修センターにおいて、日本語の学習、日本社会や産業・企業文化等を理 解するための講義、演習を行うほか、産業施設の見学や研修旅行等を行います。標準的な 6 週 間コース(J6W)のほか、より高度な日本語力を習得するための 13 週間コース(J13W)、日本語 研修を行わない 9 日間コース(9D:研修生が理解できる外国語での実地研修指導態勢が整って いる場合,A9D:日本語能力が協会の定める一定基準以上の場合)があります。 ■ 実地研修 実地研修は、開発途上国において必要とされる製造技術等の固有技術や各種管理技術につい て、受入企業の協力を得ながら、適切な研修計画に基づいて実践的に習得するための研修で す。 『管理研修』 管理研修は、企業経営や工場管理等に必要な管理手法を習得するため、日本企業の先進的な 事例見学やケース・スタディ、講義、また参加者間あるいは専門家とのディスカッションや演習など を通し、日本企業の高度なマネジメントを学ぶ実践的な研修で、AOTS の研修センターで実施しま す。研修期間は通常 2 週間ですが、コースによって 1 週間や 10 日、あるいは 3 週間以上のもの もあります。管理研修は開発途上国の研修ニーズや国内外の機関からの要望に基づき、経営管 理、生産管理、品質経営、品質管理、物流管理等の分野別に、また、言語別や職位別のコースを 開設しています。 (2) 海外研修 『協会企画型』 協会企画型の海外研修は、現地のニーズや状況等を考慮してプログラム内容を策定・実施して おり、日本企業が多数進出している中国、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、イ ンド、パキスタンの計 8 カ国で実施しています。研修期間は 2 日から 5 日間までを標準とする短期 集中型研修として行われ、職位別に応じたプログラム設計のもと、参加者が職場での実践力や日 本の「ものづくり」マインドを身につけることを目的としています。 『案件募集型』 案件募集型の海外研修は、協力機関となる企業・団体が進出している開発途上国を中心に実 施しています。協力機関となる企業・団体が研修内容・派遣講師等を勘案した研修実施計画を策 定し、AOTS の承認を受けて、現地の海外協力機関とともに参加者を募り研修を実施します。 -2- AOTS 研修事業評価システムの概要 1 AOTS 研修事業評価システムについて AOTS は 1999 年度に外部有識者等で構成された「AOTS 研修事業評価システム委員会」を立 ち上げ、その後 3 年に亘り評価体系の検討・構築を行いました。その審議結果を受け 2002 年度 からは、①評価結果を公開し公益法人として説明責任(アカウンタビリティー)を果たすこと、及び ②研修事業の効果・効率性を高めるために必要な情報を収集することという二つの目的のもと、 「AOTS 研修事業評価システム」を導入、翌年度から運用を開始しています。 評価システムでは、①一貫性の確保、②客観性の確保、③透明性の確保、④継続性の確保、と いう4つの評価指針(表 1)に沿った評価活動に取り組んでいます。 表 1 AOTS 研修事業評価システムにおける評価指針 一貫性 研修の開始前から終了後の時間的な流れの中において適切なタイミングで、適切な評価項目・指 標に基づいて評価する。 客観性 評価結果に客観性を持たせるため、主なステークホルダー(研修生、研修生の受入企業等の研修 実施者側及び研修生派遣企業(研修生の勤務先企業等))を評価者とし、多面的評価に取り組む。 透明性 評価結果のみならず、評価の過程においても可能な限り公開する。 継続性 研修の事後成果に焦点を当てた評価だけではなく、研修の開始前から終了後に至るまでの過程に おいて、モニタリング・評価を日々の業務に取り込み、評価活動に継続性を持たせる。 また、定められた時期に複数の対象者による評価を行っており(表 2)、評価の視点、研修事業 の目指すプロセス・成果を明示するものとして、6 評価項目・24 指標(表 3)を設定しています。評 価結果については年度ごとにまとめられ、外部有識者から構成する研修事業審議会の 2 次評価 を経て、事業評価報告書として発行・公開しています。 表 2 評価時期・評価内容・評価者 評価分類 / 評価時期 事前評価 研修開始前・開始時 中間評価 研修中 評価内容 評価者 案件審査 審査委員会 研修生の初期能力の測定 研修生 モニタリング(研修の進捗確認、意見交換会等) AOTS 直後評価 研修生、受入企業(受入研 研修生の目標達成度・満足度評価、研修環境評価 研修終了時 事後評価 修)、協力機関(海外研修) 研修成果の発現度合い、自立発展性、友好関係、 研修生、研修生派遣企業等 研修終了後 効率性、妥当性等に関する評価 -3- 表 3 評価項目と評価指標 (1)満足度 (D) (13)ソフト面 研修環境 (14)ハード面 (A) (2)目標達成度 研修効果 (3)行動変容度 (15)研修ニーズの発現から研修開始までの時間 (4)業績向上度 (16)研修実施のための時間 (E) (5)部署内での伝達 (17)研修成果を得るための費用 効率性 (6)部署内での活用 (18)費用対効果 (7)部署の業績向上 (19)総費用とミッションの達成度 (8)自社の業績向上 (20)研修内容の研修目的に対する合致度合い (B) 自立発展性 (9)他企業への波及 (21)研修生の資質の適切性 (F) (10)日本との友好関係 (22)実施者側の研修目的と受益者側の研修ニーズの関係 妥当性 (C) (11)第三国との友好関係 (23)研修結果と研修目的の関係 (12)自国への働きかけ (24)各事業の目的と結果の関係 友好関係 2 各研修における評価分類 評価システムを用いることで、いずれの研修においても研修の開始前から事後に至るまで、一 貫性に留意した評価を実施しています。(表 4) 表 4 評価対象と評価分類 対象 技術研修 受入研修 中間評価 直後評価 事後評価 ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ 一般研修 《日本語研修》 実地研修 管理研修 海 外研 修 事前評価 協会企画型 案件募集型 ◎:全件実施 ○:サンプリング実施 3 2009 年度事業評価報告書について 本報告書では、2009 年度に実施した産業技術者育成支援研修事業の実績と、同事業における 各種研修の直後評価、次に受入研修事業に付随する研修環境としての研修センター運営事業の 評価、最後に事後評価として行ったマレーシア、フィリピン、ベトナムの3カ国に対する主要帰国研 修生・関係者インタビュー調査の結果を中心に報告します。 -4- -5- 第 1 章 要旨 -6- Ⅰ 技術研修 (1) 一般研修の実績 年間 75 コース、27 カ国;1,341 名に対して実施。 (昨年度比:11 コース減、389 名減) コース種別では 6 週間コースが全体の 72%、9 日間コース(9D・A9D)が 19%、13 週 間コースが 9%。 国別人数では中国が最多で全体の 29%、続いてタイの 20%、ベトナム 14%、インド 12%、インドネシア 9%、フィリピン 6%の順。アジアが全体の約 95%。 研修業種別人数では「自動車」と「その他電器」が全体の約 55%。一般研修期間が短い ほど「自動車」が多く、長いほど「その他電器」が多い。 「自動車」の研修生はインドからが最多。「自動車」の割合が最も高い国は、インドの他、 インドネシア、タイ等。「その他電器」の割合が最も高い国は、中国、フィリピン、ベトナム 等。 研修生の派遣企業での職位は「技術者」が約半数。 研修生の平均年齢(一般研修開始時)は 28.7 歳、最も多い年齢層は 25~29 歳で全体 の約 45%。一般研修期間が長いほど若年齢の研修参加者が多い。 (2) 一般研修の評価 ○研修生の評価 コース実施直後の目標達成度は 5.98 点(目標値:5.00 点)、達成率は 92%で概ね良 好。 一般研修期間が長いコースほど、目標達成度評点が低くなっている。(13 週間コース: 5.91 点、6 週間コース:5.98 点、9 日間コース:6.02 点) 総合満足度平均は 4.56 点(目標値:4.00 点)、達成率は 98%と高評価。 目標達成度同様、一般研修期間が長いコースほど、総合満足度評点が低い。(13 週間 コース:4.52 点、6 週間コース:4.55 点、9 日間コース:4.61 点) 中国は目標達成度の研修事前段階、事後段階、および総合満足度が他の主要国と比 べて高い。 一般研修の効果があった(実地研修へ円滑に移行できた)と評価した研修生の割合は 全体の約 94%。 一般研修の講義・見学が実地研修への円滑な導入に有益であったと評価した研修生の 割合は全体の約 93%。 しかしながら、コース種別に見ると一般研修の効果、一般研修中の講義・見学の有益度 に関する評価はともに 13 週間コースが最も低く、全体的に国別ではタイ、業種別では 「家庭電器」の評価が低い。その原因を分析し、改善が必要。 -7- ○受入企業の評価 各研修生の一般研修の目標達成度合いについて、受入企業の約 73%が満足と評価。 (不満と評価した割合は、全体の約 1%) 一般研修の目標達成度に対する受入企業の満足度評価は、6 週間コース、9 日間コー スよりも 13 週間コースの方が高い。国別では他の主要国の中ではインドの評価が低 い。 (3) 一般研修における日本語研修の評価 ○日本語講師の評価 研修生の日本語能力のうち「会話(話す)力」に関しては、6 週間コース、13 週間コースと も到達目標を超えたのは、初期値が「2」以上(研修開始前に日本語での簡単な挨拶や 自己紹介ができるぐらいまで学習を行っているレベル)の研修生。 「聴解(聞く)力」、「文法力」はともに初期値が「1」以上の研修生が各コースの到達目標 を達成。 6 週間コースに参加する研修生であっても、実地研修でより高度な日本語能力が必要と される場合は、使用教科書の『新日本語の基礎Ⅰ』で学習する程度の日本語能力を身 につけておくことが求められる。 一般研修中に仮名文字(ひらがな・カタカナ)を使った短文が読み書きできるようになる ためには、初期値で「2」~「3」程度(50~60%の仮名文字を理解していること)が必要。 文字力(漢字)については、文字の定着を重視した学習指導を実施。13 週間コースの場 合、事前に未学習であっても到達値が「5」(100 字程度の漢字を習得)を超えている。 日本語研修時の研修生の積極性については約 93%の研修生が、研修生の学習努力 に関しては約 97%の研修生が期待通り。 ○研修生の評価 総合満足度は平均 4.54 点(目標値:4.00 点)、達成率は約 96%と高い評価。 6 週間コースより 13 週間コースの日本語研修の方が研修生満足度が高い。 国別では中国、ベトナム、インドの満足度が高い。一方、インドネシアの評価が低く、全 体の 1 割強が目標値に達していない。 全体の約 97%の研修生が実地研修中の日常生活には一般研修中の日本語研修が有 益だったと評価。 全体の約 93%の研修生が実地研修の研修現場において一般研修中の日本語研修が 役立ったと評価。 実地研修終了時に調査した一般研修中の日本語研修に対する実地研修での有益度評 価では、タイの評価が低い。 -8- ○受入企業の評価 各研修生の一般研修中の日本語研修について、受入企業の約 6 割が満足と評価。(不 満と評価した割合は、全体の約 6%) 受入企業の満足度評価では 6 週間コースに比べ、13 週間コースの方が評価が高く、13 週間コースの約 75%の研修生について、彼らの日本語学習状況に受入企業は満足し ていると評価。 受入企業の満足度を国別に見ると、マレーシアの評価が極めて低く、全体の 25%(10 名)の評価が「非常に不満」であった。この 10 名はある 1 企業が受け入れた研修生であ り、同社に対する事後ヒアリング、次年度の同社受入研修生に対する実地研修中の訪 問等を行い改善に努めた。今後は早めの問題把握、フォローが行えるよう実地研修中 間評価の取り組みの強化が求められる。 (4) 実地研修の実績 受入企業 229 社、28 カ国;1,498 名に対して実施。 (昨年度比:64 社減、380 名減) 国別人数では中国が最も多く 29%、続いてタイ(19%)、ベトナム(14%)、インドネシア (11%)、インド(8%)、フィリピン(6%)の順。アジアが全体の約 96%。 研修業種は、「自動車」および「その他電器」が多く、全体の約 57%。 研修生の派遣企業での職位は、「技術者」が約 54%。 実地研修開始時の研修生の年齢は 20 歳代が全体の 66%。 実地研修期間は 6 ヶ月以内が全体の約 62%。8~12 ヶ月の研修生も全体の 30%を超 える。平均期間は 166 日(5 ヶ月半)。 (5) 実地研修の評価 ○研修生の評価 実地研修中に教えられた知識・技術の 80%以上を習得した研修生は全体の約 75%。 受入企業による指導内容・方法等に満足した研修生の割合は全体の約 90%。 全体の約 89%の研修生が実地研修の成果に満足している。 ○受入企業の評価 受入企業は約 93%の研修生が実地研修の目的を 7 割以上達成したと評価。 受入企業は全体の 89%の研修生が実地研修に熱心に取り組んだと評価。 ○国別の傾向 インドネシアは実地研修成果の研修生評価および研修目的達成度の受入企業評価が ともに平均より高い。 インドは研修生の自己評価は高いが、受入企業の評価は他の主要国の中では低い。 タイの研修生の実地研修満足度評価は他の主要国のものと比較すると全体的に低い。 -9- Ⅱ 管理研修 (1) 管理研修の実績 年間 57 コース、32 カ国;1,237 名に対して実施。 (昨年度比:2 コース減、40 名増) 国別人数ではタイが最多で全体の 17%、続いてインドの 15%、中国 13%、ベトナム 10%、バングラデシュ 7%、フィリピン 6%、インドネシア 6%、スリランカ 5%の順。アジア が全体の約 91%。 研修生の派遣企業での職位は中上級管理職である「部長」「課長」が全体の約 63%、 次いで、経営幹部層の「社長」「役員」が約 28%。 研修生の平均年齢(管理研修開始時)は 39.7 歳、最も多い年齢層は 35~39 歳で全体 の約 22%。40 歳未満と 40 歳以上の割合は概ね半数。 全 57 コースのうち全ての開発途上国対象コースが 16 コース。その他 41 コースはアジ アの主要各国向けの国別コースが多い。 全体の約 82%が 2 週間コース。1 コース当たりの平均参加者は 21.7 名。 (2) 管理研修の評価 ○研修生の評価 コース実施直後の目標達成度は 7 段階で 5.90 点(目標値:5.00 点)、達成率は 91%で 概ね良好。 コース単位では 57 コース中 56 コースについて目標達成度が目標値を超えた。 目標達成度の目標値に達した研修生が 70%以上のコースは計 55 コース。(50%を下 回る研修生しか目標値に達していないコースは無し。) 総合満足度平均は 4.36 点(目標値:4.00 点)、達成率は 95.6%と高評価。 総合満足度が目標値を超えたコースは 57 コース中 53 コース。 全てのコースで研修生の 7 割以上が総合満足度の目標値を超えた。 -10- Ⅲ 海外研修 (1) 「協会企画型」海外研修の実績 年間 41 コース、11 カ国;1,491 名に対して実施。 (昨年度比:16 コース増、744 名増) 国別人数ではインドが最多で全体の 26%、続いてインドネシアの 15%、タイ 11%、ベト ナム 11%、フィリピン 10%、マレーシア 9%、パキスタン 7%の順。 全体の約 95%が 2 日間ないしは 3 日間コース。 (2) 「協会企画型」海外研修の評価 総合満足度平均は 5.79 点(目標値:5.00 点)、達成率は約 90%で概ね良好。 全てのコースで総合満足度平均が目標値を超えたが、目標値に達しない研修生が 3 割 を超えるコースが 2 コース有り、原因分析を改善を要する。 (3) 「案件募集型」海外研修の実績 年間 33 コース、15 カ国;1,861 名に対して実施。 (昨年度比:13 コース減、400 名減) 国別人数ではバングラデシュが最多で全体の 19%、続いてタイの 14%、インド 13%、 中国 13%、インドネシア 11%、ベトナム 8%、南アフリカ 6%の順。 研修日数は 5 日間が最多。 一週間以内のコースが全体の約 97%。 (4) 「案件募集型」海外研修の評価 研修生の総合満足度平均は 5.97 点(目標値:5.00 点)、達成率は約 92.5%で概ね良 好。 研修生の総合満足度平均が目標値を超えたコースは 33 コース中 31 コース。 目標値に達しない研修生が 3 割を超えるコースは無し。 研修成果に関する協力機関の評価は 6.12 点(目標値:5.00 点)、達成率は 100%。 協力機関が研修成果が高いと評価したコースは 33 コース中 30 コース。 -11- Ⅳ 受入研修環境 (1) 受入研修環境(受入研修)の実績 協会の 4 つの研修センターで行われた受入研修に参加した研修生は、4 センター合計で 一般研修 1,341 名、管理研修 1,237 名の計 2,578 名。 東京・中部研修センターは管理研修が多く、横浜・関西研修センターは一般研修が多か った。東京研修センターは研修生の 7 割が管理研修、3 割が一般研修。 (2) 受入研修環境に関する評価 総合満足度の平均は 5 点満点で 4.67 点(目標値:4.00 点)、達成率は約 98%で良好。 研修センター毎により評価に大きな差異はなく、どの研修センターでも日本で快適に生 活し研修に集中できる環境を提供できている。 研修生の半数以上が、研修センターを「研修に専念するための良い環境であった」と評 価。 Ⅴ 事後評価 マレーシア、フィリピン、ベトナムを対象とした帰国研修生及び関係者に対する研修事業 の意義や効果等に関するインタビュー調査を実施した。 インタビュー対象者はマレーシア 9 名、フィリピン 10 名、ベトナム 10 名の計 29 名。 研修の意義、直接効果、波及効果に関する具体的な成果事例を数多く聴取。2007 年~ 2008 年に、中国、タイ、インドネシア、インド、メキシコで実施した同調査の結果と合わせ て、合計 8 カ国で AOTS 研修が帰国研修生のみならず、所属企業、および各国・地域の 産業の発展に貢献していることが定性的に示された。 -12- Ⅵ 2009 年度事業評価報告書の主な変更点 ①事後評価報告の重点化 (直後評価報告から事後評価報告重視へ) 昨年度実施した「時系列分析」によって、過去 5 年の直後評価の大部分の指標が安定した(あまり 変化のない)結果であった。昨今これまで以上に研修の成果(アウトカム)に関する評価が内外か ら求められていることを踏まえ、研修事後評価報告により重点を置いた構成に変更した。 (報告書における事後評価報告の割合・・07 年度:53 ページ、09 年度:98 ページ) ②目標到達割合の分析 これまでは評点の平均値による分析(例:5 点満点中平均評点が 4.25 点等)が主であったが、 今回は目標値を超えた割合(例:全体の 92%が目標値 4 点を超える等)に主点を置いた分析を行 った。 ③図表の一新・グラフの多用 より分かりやすい報告書に向けて、図表を一新した。また、シンプルなグラフを多用し、できるだ けグラフを見ただけで評価結果が分かるよう改善した。 ④研修実績の明示 これまでは実績の分析(研修生の国、業種等の傾向等)が非常に少なかったため、実績の詳細 を明示するよう変更した。 -13- 第 2 章 技術研修 -14- Ⅰ 一般研修の実績 2009 年度内に終了した一般研修コースは計 75 コースで、研修参加者は 1,341 名であった。 内訳は 6 週間コース(J6W)が最も多く 970 名(72%)、次いで 9 日間コース(9D)が 206 名(16%)、 13 週間コース(J13W)が 121 名(9%)、9 日間コース(A9D)が 44 名(3%)であった。昨年度実績 と比較すると、コース数は 11 コース減(86→75 コース)、研修生数は 389 名減(1,730→1,341 名) であった。 2009 年度一般研修コース数・研修生数実績 コース種別 コース数 研修生数 13 週間コース(J13W) 8 コース 121 名 6 週間コース(J6W) 50 コース 970 名 9 日間コース(9D) 17 コース 206 名 9 日間コース(A9D) (13 コース) 44 名 合計 75 コース 1,341 名 ※ 2009 年度内終了コース ※A9D のコース数は 9D コースの内数 1. 国別の研修生実績 一般研修の研修生出身国は計 27 カ国に亘り、国別では中国が最も多く全体の 29%、続いてタ イ(20%)、ベトナム(14%)、インド(12%)、インドネシア(9%)の順であった。地域としては、アジ アが 1,275 名で全体の 95%と大半を占めている。コース種別では、13 週間コース、9 日間コース (9D)についてはタイが最多であり、またインドからの研修生は 6 週間コース、9 日間(9D)コース への参加のみで 13 週間、9 日間(A9D)コースへの参加はなかった。A9D コースはあらかじめ一 定レベルの日本語能力がある研修生向けに開設しているが、中国が 63%と過半を占めた。 一般研修の研修生実績 (国別) その他,78名, 6% マレー シア 54名, 4% フィリピン 85名, 6% インドネシア 127名, 9% N = 1,341 中国 387名, 29% インド 159名 タイ 12% ベトナム 268名,20% 183名,14% -15- 中国 タイ ベトナム インド インドネシア フィリピン マレーシア その他 一般研修13週間コースの研修生実績(国別) インドネシア マレーシア フィリピン 4名 3% 3名 2% 1名 1% 一般研修 6週間コースの研修生実績(国別) タイ ベトナム 22名, 18% 中国 タイ 46名 39% J13W ベトナム インドネシア フィリピン マレーシア その他 66名 7% 45名 5% 25名 3% 中国 286名 29% インドネシア 117名,12% J6W マレーシア ベトナム 118名, 12% フィリピン 中国 45名, 37% インド 137名,14% 一般研修 9日間コースの研修生実績(国別) タイ 176名 18% 中国 タイ インド ベトナム インドネシア フィリピン マレーシア その他 一般研修 9日間コースの研修生実績(国別) モンゴル,1名,2% タイ 41名, 20% その他 49名, 23% ブラジル 11名, 5% 9D フィリピン 16名, 8% インド 22名 11% ベトナム 34名, 17% 中国 33名, 16% フィリピン 2名, 5% タイ ベトナム 中国 インド フィリピン ブラジル その他 ブラジル 4名, 9% タイ 5名, 11% 中国 ベトナム A9D タイ 中国 23名, 53% ベトナム 9名, 20% ブラジル フィリピン モンゴル 2. 業種別の研修生実績 研修業種は、「自動車」が 37%と最も多く、次いで「その他電器」(産業用電気機器、電子機器、 情報技術等)の 18%、「建設」(7%)、「産業機械」(7%)、「家庭電器」(4%)で、「自動車」と「その 他電器」で全体の 55%を占めた。コース種毎に見ると、一般研修期間が短いコース(9 日間(9D)、 6 週間コース)ほど「自動車」の割合が多く、長いコースほど「その他電器」の割合が多いという特 徴があった。 一般研修の研修生実績 (研修業種別) N = 1,341 その他 364名 27% 家庭電器 60名, 4% 産業機械 92名, 7% 自動車 486名 37% その他電器 245名, 18% 建設業 94名, 7% -16- 自動車 その他電器 建設業 産業機械 家庭電器 その他 一般研修 6週間コースの研修生実績 (研修業種別) 一般研修13週間コースの研修生実績 (研修業種別) その他 22名, 18% 精密機器 12名,10% J13W その他電器 46名 39% その他電器 自動車 建設業 精密機器 その他 建設業 15名,12% 産業機械 50名, 5% 9D 農業機械 16名, 8% 自動車 その他電器 建設業 家庭電器 産業機械 その他 自動車 379名 38% その他電器 170名, 18% 建設業 55名, 6% 一般研修 9日間コースの研修生実績 (研修業種別) 一般研修 9日間コースの研修生実績 (研修業種別) 自動車 74名 35% J6W 家庭電器 54名, 6% 自動車 26名, 21% その他 61名, 30% その他 262名 27% その他 11名, 25% 自動車 産業機械 建設業 農業機械 その他 その他電器 その他電器 22名 50% A9D 建設業 4名, 9% 自動車 建設業 その他 自動車 7名, 16% 産業機械 建設業 20名, 10% 35名, 17% 中国、インド、アセアン主要 4 カ国の業種別実績を見ると、インドでは「自動車」が 126 名と大半 を占めており、「自動車」のみではインドからの研修生が最も多かった。タイは他国に比べ、「自動 車」、「その他電器」、「農業機械」等、業種が多岐にわたる点が特徴的であり、さまざまな業種の 研修生を幅広く受け入れていることが分かる。インド、インドネシア、タイでは「自動車」が、中国、 フィリピン、ベトナムでは「その他電器」が最も多く、日本企業の現地展開の状況を反映した結果と 言えよう。 一般研修の研修生実績 (主要6カ国における各国業種割合 ) 中国 インド 自動車, 92名 産業機械精密機器 36名 22名 その他電器, 110名 その他, 1 27名 重電機器 その他, 17名 16名 自動車, 126名 インドネシア 自動車, 52名 フィリピン 自動車, 13名 タイ 自動車, 81名 ベトナム 自動車, 48名 家庭電器 16名 その他電器, 25名 食品, 17名 建設業, 19名 その他電器 建設業産業機械 家庭電器 36名 13名 18名 19名 その他, 42名 産業機械, 15名 その他機械 23名 農業機械 31名 建設業, 39名 その他電器, 53名 -17- 化学 15名 その他, 13名 その他, 47名 その他, 28名 N = 1,341 自動車 その他電器 建設業 産業機械 化学 家庭電器 その他機械 農業機械 精密機器 重電機器 食品 その他 3. 職位別の研修生実績 研修生の派遣企業での職位では、技術者が 51%と約半数を占めており、課長、専門職、班長、 係長、ライン主任等、中堅管理者の割合も多かった。コース種別では一般研修期間が長いほど技 術者の割合が高く、13 週間コースでは技術者が全体の 65%を占めていた。 一般研修の研修生実績 (職位別) ライン主任 68名, 5% N = 1,341 その他 128名 10% 課長 81名, 6% 専門職 103名, 8% 班長 163名 12% 係長 118名, 9% 一般研修13週間コースの研修生実績 (職位別) 一般研修 6週間コースの研修生実績 (職位別) その他 13名 11% 係 長 7名, 6% 課長 51名, 5% 課長 8名, 7% 専門職 13名,11% J13W 技術者 班長 係長 専門職 課長 ライン主任 その他 技術者 680名 51% 技術者 80名 65% 技術者 専門職 課長 係長 その他 その他 59名 6% 専門職 53名, 5% ライン主任 63名, 6% 係長 100名,10% J6W 技術者 490名 52% 班長 154名,16% 一般研修 9日間コースの研修生実績 (職位別) 一般研修 9日間コースの研修生実績 (職位別) その他 33名, 16% 課長 17名, 8% メカニック 9D 18名,9% インストラクター 23名,11% その他 7名,16% 技術者 専門職 技術者 89名 43% 技術者 班長 係長 ライン主任 専門職 課長 その他 インストラクター 課長 5名,11% メカニック 課 長 その他 A9D 専門職 11名, 25% 専門職 26名, 13% -18- 技術者 技術者 21名 48% 専門職 課 長 その他 4. 年齢別の研修生実績 一般研修開始時の研修生の年齢を見ると、全体平均は 28.7 歳であり、その中で 25~29 歳が 45%と最も多く、20~34 歳の若手技術者・管理者が全体の 86%を占めた。9 日間コース(9D)で は 20 歳代と 30 歳以上の割合が概ね半数ずつであったのに対し、6 週間、13 週間コースでは、20 ~29 歳の割合が 6 割強と一般研修期間が長いほど若年齢の研修参加者が多かった。 一般研修の研修生実績 (年齢別) ⑤40歳以上 58名, 4% N = 1,341 ①20-24歳 265名, 20% ④35-39歳 132名, 10% ①20-24歳 ②25-29歳 ③30-34歳 278名, 21% ③30-34歳 ④35-39歳 ②25-29歳 608名, 45% 一般研修 6週間コースの研修生実績 (年齢別) 一般研修13週間コースの研修生実績 (年齢別) ⑤40歳以上 30名, 3% ⑤40歳以上 6名, 5% ①20-24歳 20名, 17% ④35-39歳 14名, 12% ①20-24歳 J13W ①20-24歳 204名, 21% ④35-39歳 84名, 9% ③30-34歳 192名, 20% ②25-29歳 ③30-34歳 24名, 20% ⑤40歳以上 ③30-34歳 ②25-29歳 ③30-34歳 J6W ④35-39歳 ⑤40歳以上 ④35-39歳 ②25-29歳 57名, 46% ①20-24歳 ⑤40歳以上 ②25-29歳 460名, 47% 一般研修 9日間コースの研修生実績 (年齢別) 一般研修 9日間コースの研修生実績 (年齢別) ⑤40歳以上 1名, 2% ⑤40歳以上 21名, 10% ①20-24歳 30名, 15% ④35-39歳 33名, 16% ④35-39歳 1名, 2% ②25-29歳 ③30-34歳 9D ③30-34歳 52名, 25% ①20-24歳 ②25-29歳 70名, 34% ③30-34歳 10名, 23% ①20-24歳 11名, 25% A9D ④35-39歳 ⑤40歳以上 ①20-24歳 ②25-29歳 ③30-34歳 ④35-39歳 ⑤40歳以上 ②25-29歳 21名, 48% -19- 5. 受入企業規模別の実績 受入企業は計 233 社であり、企業の規模を中小企業基本法第二条1に基づき、大企業と中小 企業に分類すると、企業数では大企業が 133 社、中小企業が 100 社であった。研修生数では大 企業が 1,058 名で全体の 79%、中小企業は 283 名で 21%であった。 一般研修の企業数実績 一般研修の研修生実績 (大企業・中小企業の割合) (大企業・中小企業の割合) N = 233 大企業 133社 0% N = 1,341 中小企業 100社 20% 40% 60% 大企業 1058名 80% 100% 0% 20% 中小企業 283名 40% 60% 80% 100% コース種別に受入企業の規模を分類したところ、6 週間コースでは 43.5%以上が中小企業から の受入であり、他のコースに比べ中小企業の割合が多かった。研修生数では 13 週間コースは全 体の 93%が大企業からの受入であり、他のコースに比べ大企業の割合が多かった。 一般研修の企業数実績 一般研修の研修生実績 (コース 種別、大企業/中小企業の割合) (コース種別、大企業/中小企業の割合) J13W 大企業, 28社 J6W 大企業, 101社 中小企業, 78社 大企業, 25社 9D 中小企業, 14社 大企業, 18社 A9D 0% 1 中小企業 5社 20% 40% 中小企業, 8社 60% 80% J13W 中小企業 8名 大企業, 113名 J6W 大企業, 751名 中小企業 219名 9D 大企業, 158名 中小企業 48名 0% 100% 中小企業 8名 大企業, 36名 A9D 20% 4 0% 60% 80% 100% 中小企業基本法第二条では「中小企業者の範囲」を次のように定義している。 1.資本の額(資本金)又は出資の総額が 3 億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が 300 人以下の 会社及び個人であつて、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第四号までに掲げる業種を除く) に属する事業を主たる事業として営むもの 2.資本の額又は出資の総額が 1 億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が 100 人以下の会社及び 個人であつて、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの 3.資本の額又は出資の総額が 5000 万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が 100 人以下の会社及 び個人であつて、サービス業に属する事業を主たる事業として営むもの 4.資本の額又は出資の総額が 5000 万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が 50 人以下の会社及 び個人であつて、小売業に属する事業を主たる事業として営むもの -20- 国別に受入企業の規模を見てみると、主要 6 カ国ではインドが大企業の割合が多い。一方、フィ リピンについては中小企業の割合が多く、大企業と中小企業の割合が約半分である。 一般研修の企業数実績 (主要6カ国における大企業/中小企業の割合) 中国 大企業, 62社 中小企業, 29社 インド 大企業, 14社 中小企業 3社 インドネシア 大企業, 24社 中小企業, 11社 フィリピン 大企業, 30社 中小企業, 27社 タイ 大企業, 64社 中小企業, 33社 ベトナム 大企業, 48社 中小企業, 28社 その他 大企業, 22社 中小企業 5社 0% 20% 40% 60% 80% 100% 一般研修の研修生実績 (主要6カ国における大企業/中小企業の割合) 中小企業, 86名 大企業, 301名 中国 中小企業 大企業, 151名 インド インドネシア 8名 中小企業 大企業, 109名 18名 中小企業, 42名 大企業, 43名 フィリピン タイ 大企業, 212名 中小企業, 56名 ベトナム 大企業, 119名 中小企業, 64名 その他 大企業, 123名 0% 20% 40% 中小企業 9名 60% -21- 80% 100% Ⅱ 一般研修の評価 1. 目標達成度評価 (一般研修開始時・終了時) (1) 全体の評価 一般研修では、研修生が実地研修に円滑に取り組むために必要な能力と知識の習得度を測る 目標達成度評価を行っている。一般研修の開始時と終了時における研修生の能力や知識の習 得度合いと伸び幅を測定しており、研修直後(コース終了時)の目標評点を 7 点満点中 5 点に設 定している。 研修の事前段階(コース開始時)での目標達成度は 4 点台(33%)や 3 点台(26%)が多く、平 均は 4.09 点であったが、事後段階(コース終了時)では、6 点台(55%)、5 点台(37%)が大半を 占め(平均:5.98 点)、目標達成度が目標値に達成した研修生の割合は全体の 92%であった。 一般研修の評価 コース開始時の目標達成度評価 1点台, 72名, 5% 2点台 174名, 13% 6点台, 59名, 4% N= 1 ,3 4 1 5点台 257名, 19% 7点満点■ 6点台 5点台 3点台 349名, 26% 4点台 4点台 430名, 33% 3点台 2点台 1点台 一般研修の評価 コース終了時の目標達成度評価 2点台, 0人, 0% 1点台, 2名, 0.2% 3点台, 8名, 1% 4点台 91名 7% N= 1 ,3 0 9 ※AOTSの 定める目標値=5.0 7点満点■ 5点台 487名, 37% 6点台 6点台 721名, 55% 5点台 4点台 3点台 2点台 1点台 -22- (2) コース種別の評価 目標達成度評価をコース種別に見ると、コース終了時の評価で高評価(6 点台以上)の割合は 短期間の研修(9 日間コース)の方が多い。コース開始時とコース終了時の伸び幅は、6 週間コー スが最も大きく、平均で 1.95 点伸びていた。 一般研修の評価 一般研修の評価 コース開始時の目標達成度評価(13週間コース) コース終了時の目標達成度評価(13週間コース) 1点台, 2名, 2% 1~3点台, 0人 6点台 7名 6% 2点台 16名, 13% 5点台 32名, 26% 7点満点■ 7点満点■ 6点台 J13W 3点台 30名, 25% N= 121 ※A OTSの 定め る目標値=5.0 4点台 9名 7% N= 1 2 1 5点台 J13W 5点台 53名, 44% 4点台 6点台 6点台 59名, 49% 5点台 4点台 3点台 3点台 2点台 2点台 4点台 34名, 28% 1点台 1点台 一般研修の評価 一般研修の評価 コース開始時の目標達成度評価(6週間コース) コース終了時の目標達成度評価(6週間コース) 1点台, 2名,0.2% 6点台, 42名, 4% 1点台 5 8名 2点台 6% N= 9 7 0 5点台 158名, 16% 129名, 13% N= 940 2点台, 0人 3点台, 7名, 1% ※A OTSの 定め る目標値=5.0 4点台 62名, 7% 7点満点■ 7点満点■ 6点台 J6W 3点台 256名, 26% 6点台 5点台 4点台 3点台 2点台 4点台 327名, 35% 4点台 3点台 2点台 1点台 一般研修の評価 一般研修の評価 コース終了時の目標達成度評価(9日間コース) 1~2点台, 0人 6点台, 6名, 3% 3点台, 1名, 0.4% 5点台 53名, 26% 7点満点■ 5点台 63名, 31% 5点台 4点台 3点台 60名,29% ※A OTSの 定め る目標値=5.0 7点満点■ 6点台 9D N= 205 4点台 18名 9% N= 2 0 6 2点台 25名, 12% 9D 6点台 6点台 123名, 60% 5点台 4点台 3点台 4点台 51名, 25% 3点台 2点台 2点台 1点台 1点台 一般研修の評価 一般研修の評価 コース終了時の目標達成度割合評価(9日間コース) コース開始時の目標達成度割合評価(9日間コース) 1点台, 1名, 2% 2点台 4名,9% N= 43 1~3点台, 0人 6点台 4名, 9% 7点満点■ 5点台 14名, 32% 7点満点■ 5点台 11名, 26% 6点台 A9D ※A OTSの 定め る目標値=5.0 4点台 2名 5% N= 4 4 3点台 3名, 7% 4点台 18名, 41% 5点台 6点台 509名, 54% 1点台 コース開始時の目標達成度評価(9日間コース) 1点台, 11名, 5% J6W 5点台 360名, 38% 5点台 6点台 A9D 4点台 3点台 2点台 1点台 6点台 30名, 6 9% 5点台 4点台 3点台 2点台 1点台 -23- (3) 国別の評価 目標達成度評価を研修生の国別に見てみると、コース開始時では中国やフィリピンの評価が比 較的高く、インドの評価が低くなっている。インドは東アジアや東南アジアよりも日本から遠く、他 の主要受入国に比べ日本人や日本での生活に関する情報を現地で入手しにくいことが影響して いるものと思われる。 一方、コース終了時では中国の評価が比較的高く、タイの評価が若干低いものの、どの国にお いても概ね 9 割程度が目標値を超えており、国地域を問わず一定の成果をあげていることが分か る。 一般研修の評価 コース開始時の目標達成度評価(国別) 一般研修の評価 コース終了時の目標達成度評価(国別) ※AOTSの定める目標値=5.0 中国 3 % 8% 24% 35% 24% 6% 25% 26% 11% 3% インド 7% インドネシア 7 % 16% 27% 14% 22% 2 フィリピン % 12% タイ 3 % 38% 32% 11% 中国 9% 3点台 インド インドネシア 総数 N 387 名 159 名 127 名 4点台 5点台 マレーシア フィリピン 54 名 85 名 6点台 タイ ベトナム 25% 1点台 その他 268 名 183 名 61% 25% 0% ※7点満点※ 54% 39% 12% その他 100% 2点台 50% 3点台 中国 インド インドネシア 78 名 40% 49% 5% ベトナム 3% 75% 58% 35% 11% タイ 4% 31% 50% 2点台 19% 53% 40% 6% フィリピン 3% 49% 40% マレーシア 7% 7% 17% 27% 25% 1点台 18% 29% 19% 0% 6% 32% 60% 33% 5% 26% 30% 10% 9% その他 12% 26% 23% 15% ベトナム 6 % 33% インドネシア マレーシア 6 % 国名 23% 65% 31% 中国 12% インド 380 名 146 名 124 名 75% 4点台 5点台 マレーシア フィリピン 53 名 84 名 100% 6点台 タイ ※7点満点※ ベトナム 265 名 179 名 その他 76 名 (4) 業種別の評価 目標達成度評価を研修業種別に見ると、コース開始時では「産業機械」や「建設」の評価が高く、 「家庭電器」の評価が低くなっている。コース終了時ではどの業種も概ね 9 割程度が目標値を超え ており業種によって大きな差異は見られず、一定の成果が示されている。 一般研修の評価 コース開始時の目標達成度評価(業種別) 一般研修の評価 コース終了時の目標達成度評価(業種別) ※AOTSの定める目標値=5.0 8% 自動車 その他電器 4 % 建設業 6 % 14% 26% 11% 7% その他 4 % 33% 14% 1点台 23% 21% 33% 25% 2点台 3点台 30% 50% 4点台 業種名 自動車 その他電器 建設業 総数 N 486 名 245 名 94 名 22% 5点台 6点台 産業機械 家庭電器 92 名 60 名 その他電器 6% 建設業 4% 10% 75% 自動車 5% 30% 30% 25% 0% 15% 34% 20% 3% 18% 41% 24% 2 産業機械 % 10% 家庭電器 5 % 31% 24% 7% 6% 5% 100% 38% 56% 12% 家庭電器 8% その他 5% 1点台 52% 40% 57% 30% 44% 48% 54% 40% 0% ※7点満点※ 57% 8% 産業機械 2% 35% 25% 2点台 50% 3点台 75% 4点台 5点台 6点台 100% ※7点満点※ その他 自動車 その他電器 建設業 産業機械 家庭電器 その他 364 名 482 名 241 名 93 名 91 名 60 名 342 名 -24- 2. 満足度評価 (一般研修終了時) (1) 全体の評価 一般研修終了時には目標達成度評価に加え、研修内容や指導方法、実施方法等に関する研 修生による満足度評価を行っており、目標評点を 5 点満点中 4 点に設定している。一般研修の総 合満足度に関する評価結果は 5 点(最高点)が 58%、4 点が 40%で、全体平均は 4.56 点であっ た。また、目標値を上回る評価をした者は回答者 1,301 名のうち 1,274 名にのぼり、達成率は 98%であった。 一般研修の評価 研修生満足度 2点, 2名, 0% 3点, 25名, 2% N= 1,301 1点, 0人, 0% ※AOTSの定める目標値=4.0 5点 1 点 4点 517名, 40% (良い) (悪い) 5点 757名, 58% 5点 4点 2点 1点 3点 (2) コース種別の評価 満足度評価をコース種別に見ると、高評価(5 点)の割合は 9 日間コース(9D,A9D)が最も多く、 次いで 6 週間コース、13 週間コースの順となっている。 一般研修の評価 一般研修の評価 研修生満足度(コース種別) 研修生満足度(コース種別) 1~2点, 0人 3点, 2名, 2% 3点, 22名, 2% N= 121 1点, 0人 2点, 1名, 0.1% N= 939 ※AOTSの定める目標値=4.0 ※AOTSの定める目標値=4.0 5点 1 点 4点 52名, 44% J13W 5点 1 点 4点 374名, 40% (良い) (悪い) 5点 63名,54% 5点 4点 2点 1点 3点 -25- J6W (良い) (悪い) 5点 542名,58% 5点 4点 2点 1点 3点 一般研修の評価 一般研修の評価 研修生満足度(コース種別) 研修生満足度(コース種別) 1点, 0人 2点, 1名, 0.4% 3点, 1名, 0.4% 1~3点, 0人 N= 201 N= 44 ※AOTSの定める目標値=4.0 4点 76名, 38% ※AOTSの定める目標値=4.0 4点 15名, 34% 5点 1 点 9D (良い) (悪い) 5点 123名,62% 5点 4点 2点 1点 5点 1 点 (良い) (悪い) A9D 3点 5点 29名, 66% 5点 4点 2点 1点 3点 (3) 国別・業種別の評価 満足度評価を研修生の国別、研修業種別に見てみると、国別では中国の評価が高く、インドネ シア、タイの評価が低くなっている。一方、業種別では「家庭電器」の評価が若干低いものの、目 標値を下回っている評価に関して国別・業種別による明らかな特徴は見られない。 一般研修の評価 研修生満足度(国別) ※AOTSの定める目標値=4.0 中国 24% インド 35% 64% インドネシア 64% 34% マレーシア 37% 61% フィリピン 33% 64% タイ ベトナム 75% 55% 41% 44% 55% 64% 32% その他 0% 25% 1点 2点 50% 3点 4点 75% 5点 100% 1 点 (悪い) 5 点 (良い) 一般研修の評価 研修生満足度(業種別) ※AOTSの定める目標値=4.0 自動車 その他電器 建設業 産業機械 家庭電器 その他 41% 57% 33% 65% 50% 48% 34% 64% 50% 45% 41% 58% 0% 25% 1点 2点 3点 50% 4点 5点 -26- 75% 100% 1 点 (悪い) 5 点 (良い) 3. 一般研修の効果に関する研修生の評価 (実地研修終了時) (1) 全体の評価 一般研修を受講した後に実地研修を行った研修生に対し、一般研修の「効果」に関する評価を 実地研修終了時に行っている。一般研修後、実地研修へ円滑に移行できたかどうかについて、 56%が「そう思う」、38%が「いくらかそう思う」と評価しており、合わせて 94%の研修生がある程 度円滑に実地研修を行うことができたことが分かり、「実地研修や実地研修時の生活を円滑に行 えるよう適応力を付ける」という一般研修の目的は概ね達成していると評価できる。 一般研修の評価 [研修生] Q.一般研修から実地研修へは円滑に移行できた。 1点, 1名, 0% N= 1 ,4 1 4 2点, 10名, 1% 3点, 66名, 5% ※AOTSの定める目標値=4.0 5点=そう思う 4点=いくらかそう思う 3点=どちらとも言えない 4点 536名, 38% 2点=あまりそう思わない 5点 801名, 56% 1点=そう思わない (2) 参加した一般研修別の評価 一般研修の「効果」に関する評価について、参加した一般研修別に見てみると、13 週間コース の評価が最も低いことが分かる。13 週間コースは、実地研修においてより高度な日本語力が必 要とされる研修生を対象としていることから、13 週間コース参加者の評価向上には、より高度で 実践的な日本語学習の実施等が求められていることが伺える。 一般研修の評価 [研修生] 一般研修の評価 [研修生] Q.一般研修から実地研修へ、円滑に移行できた。 (コース種別) Q.一般研修から実地研修へ、円滑に移行できた。 (コース種別) 1点, 0人 1点, 0人 2点, 7名, 1% 2点, 1名, 1% ※AOTSの定める目標値=4.0 3点 14名 8% ※AOTSの定める目標値=4.0 3点 49名 5% 5点=そう思う 5点=そう思う 4点=いくらかそう思う 4点=いくらかそう思う 3点=どちらとも言えない J13W 4点 76名, 43% 5点 87名, 48% 3点=どちらとも言えない 2点=あまりそう思わない 4点 397名,40% 1点=そう思わない -27- J6W 5点 545名,54% 2点=あまりそう思わない 1点=そう思わない 一般研修の評価 [研修生] 一般研修の評価 [研修生] Q.一般研修から実地研修へ、円滑に移行できた。 (コース種別) Q.一般研修から実地研修へ、円滑に移行できた。 (コース種別) 1点, 0人 1~2点, 0人 2点, 1名, 1% 3点, 2名, 1% 3点, 1名, 3% ※AOTSの定める目標値=4.0 ※AOTSの定める目標値=4.0 5点=そう思う 5点=そう思う 4点=いくらかそう思う 4点 38名,22% 4点=いくらかそう思う 3点=どちらとも言えない 4点 11名, 35% 2点=あまりそう思わない 9D 1点=そう思わない 3点=どちらとも言えない 2点=あまりそう思わない A9D 5点 19名, 62% 1点=そう思わない 5点 134名,76% (3) 国別・業種別の評価 一般研修の「効果」に関する評価について、研修生の国別、研修業種別に見てみると、国別で はタイが、業種別では「家庭電器」の評価が相対的に低い傾向がある。 一般研修の評価 [研修生](国別) Q.一般研修から実地研修へ、円滑に移行できた。 ※AOTSの定める目標値=4.0 中国 36% 60% インド 27% 69% インドネシア 38% 60% マレーシア 43% 57% 27% 68% 10% 53% 36% ベトナム 5% 38% 57% その他 6% 24% フィリピン タイ 0% 25% 1点=そう思わない 2点=あまりそう思わない 70% 50% 3点=どちらとも言えない 75% 4点=いくらかそう思う 100% 5点=そう思う 一般研修の評価 [研修生](業種別) Q.一般研修から実地研修へ、円滑に移行できた。 ※AOTSの定める目標値=4.0 自動車 39% 56% その他電器 38% 58% 建設業 34% 64% 7% 31% 61% 11% 46% 43% 4% 37% 58% 産業機械 家庭電器 その他 0% 1点=そう思わない 25% 2点=あまりそう思わない 50% 3点=どちらとも言えない -28- 75% 4点=いくらかそう思う 100% 5点=そう思う 4. 一般研修中の講義・見学の有益度に関する研修生の評価 (実地研修終了時) (1) 全体の評価 一般研修を受講した後に実地研修を行った研修生に対しては、実地研修終了時に一般研修中 の「講義・見学の有益度」に関する評価も行っている。一般研修中に受講した講義や見学等は、 実地研修への円滑な導入に役立ったかどうかについて、58%が「そう思う」、35%が「いくらかそう 思う」と評価しており、合わせて 93%の研修生が講義や見学が実地研修に対して有益であったと 評価している。 このことから AOTS が実施している一般研修の内容(講義・見学等)は企業での円滑な実地研 修の導入に対し、概ね効果があると言える。 一般研修の評価 [研修生] Q.一般研修中の講義や見学は実地研修への導入に役立った。 1点, 1名, 0.1% 2点,6名,0.4% N= 1 ,4 1 0 3点 90名 6.5% ※AOTSの定める目標値=4.0 5点=そう思う 4点=いくらかそう思う 4点 498名, 35% 3点=ど ちらとも言えない 5点 815名, 58% 2点=あまりそう思わない 1点=そう思わない (2) 参加した一般研修別の評価 一般研修中の「講義・見学の有益度」に関する評価結果について、一般研修別に見てみると、9 日間(9D)が最も高く、次いで 6 週間、13 週間となっている。 一般研修の評価 [研修生] 一般研修の評価 [研修生] Q.一般研修中の講義や見学は実地研修への導入に役立った。 (コース種別) Q.一般研修中の講義や見学は実地研修への導入に役立った。 (コース種別) 1点, 1名, 0.1% 2点, 5名, 1% 1点, 0人 2点, 1名, 1% ※AOTSの定める目標値=4.0 ※AOTSの定める目標値=4.0 3点 14名 8% 3点 69名 7% 5点=そう思う 4点=いくらかそう思う 5点=そう思う 4点=いくらかそう思う 3点=どちらとも言えない 4点 72名, 41% J13W 5点 90名, 50% 3点=どちらとも言えない 4点 351名, 35% 2点=あまりそう思わない 1点=そう思わない -29- J6W 5点 572名, 57% 2点=あまりそう思わない 1点=そう思わない 一般研修の評価 [研修生] 一般研修の評価 [研修生] Q.一般研修中の講義や見学は実地研修への導入に役立った。 (コース種別) Q.一般研修中の講義や見学は実地研修への導入に役立った。 (コース種別) 1~2点, 0人 1~2点, 0人 3点, 1名, 3% 3点, 4名, 2% ※AOTSの定める目標値=4.0 ※AOTSの定める目標値=4.0 5点=そう思う 4点 50名, 29% 5点=そう思う 4点=いくらかそう思う 4点=いくらかそう思う 3点=どちらとも言えない 9D 3点=どちらとも言えない 4点 14名, 45% 2点=あまりそう思わない A9D 5点 16名, 52% 1点=そう思わない 2点=あまりそう思わない 1点=そう思わない 5点 121名,69% (3) 国別・業種別の評価 一般研修中の「講義・見学の有益度」に関する評価について、研修生の国別、研修業種別に見 てみると、国別ではインドネシアの評価が高く、タイの評価が低い。業種別では「建設」が比較的 高い一方、「家庭電器」の評価が低くなっている。 一般研修の評価 [研修生](国別) Q.一般研修中の講義や見学は実地研修への導入に役立った。 ※AOTSの定める目標値=4.0 36% 中国 インド インドネシア 68% 30% 69% マレーシア 6% 53% 7% 32% フィリピン 14% タイ 9% ベトナム 60% 29% 41% 61% 49% 37% 26% 64% 28% その他 0% 25% 1点=そう思わない 2点=あまりそう思わない 68% 50% 3点=どちらとも言えない 75% 4点=いくらかそう思う 100% 5点=そう思う 一般研修の評価 [研修生](業種別) Q.一般研修中の講義や見学は実地研修への導入に役立った。 ※AOTSの定める目標値=4.0 自動車 5% 37% 58% その他電器 5% 37% 57% 31% 建設業 産業機械 家庭電器 その他 3% 13% 10% 0% 1点=そう思わない y 69% 34% 61% 46% 41% 31% 59% 25% 2点=あまりそう思わない 50% 3点=どち らとも言えない -30- 75% 4点=いくらかそう思う 100% 5点=そう思う 5. 一般研修の目標達成度合いに対する受入企業の満足度評価 (実地研修終了時) (1) 全体の評価 実地研修の受入企業に対しては、各研修生の一般研修の目標達成度合いに対する満足度評 価を行っている。一般研修の目標の達成度合いに受入企業は満足しているかどうかについて、 19%が「非常に満足」、54%が「かなり満足」と評価している。 一般研修の評価 [受入企業] 実地研修終了時の研修生に対する満足度 1点, 3名, 0.2% 2点, 12名, 0.8% N= 1,368 ※AOTSの定める目標値=4.0 3点 361名, 26% 5点 262名, 19% 5点=非常に満足 4点=かなり満足 3点=普通 4点 730名, 54% 2点=かなり不満 1点=非常に不満 (2) 参加した一般研修別の評価 研修生の一般研修の目標達成度合いに対する受入企業の満足度評価結果を研修生の参加し た一般研修別に見てみると、6 週間、9 日間(9D)コースよりも 13 週間コースの方が評価が高いこ とが分かる。 一般研修の評価 [受入企業] 一般研修の評価 [受入企業] 実地研修終了時の研修生に対する満足度(コース種別) 実地研修終了時の研修生に対する満足度(コース種別) 1点, 2名, 0.2% 2点, 7名, 0.8% 1点, 0人 2点, 1名, 1% 3点 28名, 16% ※AOTSの定める目標値=4.0 5点 41名, 23% 5点=非常に満足 3点 289名, 30% 4点=かなり満足 J13W 5点 166名, 17% J6W 3点=普通 2点=かなり不満 4点 107名, 60% ※AOTSの定める目標値=4.0 5点=非常に満足 4点=かなり満足 3点=普通 2点=かなり不満 4点 515名, 52% 1点=非常に不満 -31- 1点=非常に不満 一般研修の評価 [受入企業] 一般研修の評価 [受入企業] 実地研修終了時の研修生に対する満足度(コース種別) 実地研修終了時の研修生に対する満足度(コース種別) 1~2点, 0人, 0% 1点, 1名, 1% 2点, 4名, 2% 3点 3名 10% ※AOTSの定める目標値=4.0 5点 41名, 23% 3点 40名, 23% 5点=非常に満足 4点=かなり満足 9D ※AOTSの定める目標値=4.0 5点 10名, 33% A9D 3点=普通 5点=非常に満足 4点=かなり満足 3点=普通 2点=かなり不満 2点=かなり不満 4点, 17名, 57% 1点=非常に不満 4点 89名, 51% 1点=非常に不満 (3) 国別・業種別の評価 研修生の一般研修の目標達成度合いに対する受入企業の満足度評価結果を研修生の国別、 研修業種別に見てみる。国別ではインドの評価が比較的低い。業種別では、「その他電器」や「建 設」の研修生に対する評価が高い。 一般研修の評価 [受入企業] 実地研修終了時の研修生に対する満足度(国別) ※AOTSの定める目標値=4.0 中国 インド 23% 53% 58% 8% 30% 49% 20% インドネシア マレーシア フィリピン タイ ベトナム その他 23% 31% 34% 53% 15% 66% 13% 18% 24% 56% 18% 31% 47% 21% 30% 52% 18% 0% 25% 50% 1点=非常に不満 2点=かなり不満 3点=普通 75% 4点=かなり満足 100% 5点=非常に満足 一般研修の評価 [受入企業] 実地研修終了時の研修生に対する満足度(業種別) ※AOTSの定める目標値=4.0 29% 55% 13% 60% 自動車 その他電器 建設業 産業機械 26% 27% 44% 30% 41% 48% 10% 29% 57% 11% 家庭電器 その他 15% 29% 0% 1点=非常に不満 19% 50% 25% 2点=かなり不満 50% 3点=普通 -32- 75% 4点=かなり満足 100% 5点=非常に満足 Ⅲ 一般研修における日本語研修の評価 1. AOTS 日本語能力評価基準 一般研修における日本語研修では、「AOTS 日本語能力評価基準」を定め、日本語能力の到 達目標および学習内容に関する基準を設定している。また、コース開始時の日本語初期能力判 別試験およびコース終了時の最終試験結果等により、「会話(話す)力」「聴解(聞く)力」「文法力」 「文字力」の 4 つの技能を評価している。なお、文字学習については、仮名文字の学習を必須とし、 非漢字圏の研修生には Basic 漢字(非漢字圏の未学習者用教材)、漢字圏の研修生および既習 者等には教科書準拠漢字(使用教科書である『新日本語の基礎Ⅰ』、『新日本語の基礎Ⅱ』、『新 日本語の中級』に準拠した教材)を用いて指導を行っている。ただし、文字学習が全体の学習進 度に悪影響を及ぼすと予想される研修生に対しては文字を紹介するに留め、ローマ字による教科 書で日本語学習を行っている。 ~ AOTS日本語能力評価基準 (2009年度) 1.日本語能力評価 評 価 点 初 級 前 半 0 ~ 初 級 後 半 ~ レ ベ ル 使用 教科書 「新日本語の基礎Ⅰ」 1課~25課 「新日本語の基礎Ⅱ」 基本的な文法(約150文型)・語彙(約1,500語)を習得し、日常生活や 実地研修に役立つ会話ができ、簡単な文章が読み書きできる。 26課~50課 ~ ~ 13 14 N5 (旧4級) N4 (旧3級) 《 J13W標準クラス(*1)の到達目標 》 10 11 15 16 上 級 初歩的な文法(約75文型)・語彙(約800語)を習得し、簡単な会話が でき、平易な文、または短い文章が読み書きできる。 「日本語能力試験」 相当レベル(*2) 《 J6W・ J3Wコース標準クラス(*1)の到達目標 》 5 6 「新日本語の中級」 中 級 会話・聴解・文法 1課~20課 応用的な文法・語彙(約2,700語)を習得し、場面や状況に応じて適切な やりとりができ、読み書きができる。 N3 やや高度な文法・語彙(約6,000語)を習得し、一般的なことがらに ついて会話ができ、読み書きができる。 N2 (旧2級) 高度な文法・語彙(約10,000語)を習得し、日本での社会生活をする 上で必要であるとともに、実地研修に役立つ総合的な日本語能力がある。 N1 (旧1級) 18 (*1)標準クラス・・・・・・・・・・ 初めて日本語を学習し、1日1課の授業進度で学べるクラス。 (*2)日本語能力試験・・・・ 財団法人 日本国際教育支援協会及び独立行政法人 国際交流基金により、 年に2回 国内外で実施される試験。 2009年までは1級~4級の4段階。2010年からはN1~N5の5段階。 -33- 文字能力評価 内容 評価点 仮名文字 文字 平仮名・片仮名を使った短文の読み書きができる 0~5 平仮名・片仮名 (218字) Basic漢字 日本語能力試験4級、3級レベルの漢字を使った 文章の読み書きができる(主として非漢字圏対象) 0~5 Basic漢字 (100字) 教科書 準拠 使用教科書で学習する漢字を使った文章の 漢字 読み書きができる (主として漢字圏対象) 6~10 文字数 Basic漢字 (上記100字を含む300字) 『新日本語の基礎Ⅰ』初級前半レベル約800語の 0~5 漢字423字 『新日本語の基礎Ⅱ』初級後半レベル約1500語の 6~10 漢字666字(上記423字を含む) 『新日本語の中級』中級前半レベル約2700語の 11~13 漢字867字(上記666字を含む) 14~15 日本語能力試験2級(1000字) 16~18 日本語能力試験1級(2000字) 2.学習状況 積極性 学習努力 日本語で積極的にコミュニケーションしようとする意欲 学習課題に日々真面目に取り組む姿勢 1 まったくなかった。 1 まったくなかった。 2 あまりなかった。 2 あまりなかった。 3 普通であった。 3 普通であった。 4 ほぼ期待通りあった。 4 ほぼ期待通りあった。 5 期待通り十分あった。 5 期待通り十分あった。 「日本語学習に関する報告書」において、コース開始時の初期能力(初期値)には「○」を 、コ ース終了時の到達能力(到達値)には「◎」を付けて日本語能力の伸び幅を明示している。一般研 修終了後、同報告書を実地研修先である受入企業に送付し、研修生の日本語能力を報告してい る。下図はその報告書の例(一部抜粋)である。 「日本語学習に関する報告書」の例(一部抜粋) -34- 2. 日本語能力評価 (一般研修開始時・終了時) (1) 会話力(話す力) 日本語の「会話(話す)力」「聴解(聞く)力」「文法力」の 3 技能について、6 週間、13 週間コース ごとに分けてそれぞれの初期値(一般研修開始直後)に応じた到達値(一般研修終了時)と伸び 幅を見てみる。「会話力(話す力)」については、6 週間、13 週間コースとも到達目標(6 週間:「5」、 13 週間:「10」)を超えたのは、初期値が「2」以上の研修生であった。会話力の「2」とは単語の羅 列で簡単な自己紹介程度の日本語が何とか話せる程度であることから、一般研修で日本語を学 習する研修生は、研修開始前に日本語での簡単な挨拶や自己紹介ができるぐらいまで学習を行 っていると、平均的には一般研修中に設定している到達目標レベルにまで達すると言えよう。 日本語研修の評価 [学習成果] 会話力(話す力) J13W コース 日本語研修の評価 [学習成果] 会話力(話す力) J6W コース N= 121 伸び 幅 8.87 8.87 初期値 0 伸び 幅 7.51 8.51 初期値 1 初期値 2 初期値2 初期値 4 初期値 4 初期値 6 初期値 6 初期値 8 初期値 8 初期値 9 初期値 10 初期値 10 初期値 11 初期値 11 0 2 4 6 8 10 12 14 16 初期値 18 伸び 幅 5.13 12.13 初期値 8 初期値 8 初期値 9 伸び 幅 4.25 10.25 初期値 7 初期値 7 伸び 幅 4.75 12.75 伸び 幅 4.72 9.72 初期値, 6 初期値 6 伸び 幅 5.33 12.33 初期値 7 初期値 7 伸び 幅 5.12 9.12 初期値 5 初期値 5 伸び 幅 6.17 12.17 伸び 幅 5.15 8.15 初期値 4 初期値 4 伸び 幅 7.00 12.00 伸び 幅 4.61 6.61 初期値 3 初期値 3 10.91 伸び 幅 6.91 初期値 5 初期値 5 初期値 2 初期値2 伸び 幅 7.35 10.35 初期値 3 初期値 3 4.55 伸び 幅 3.55 初期値 1 10.37 伸び 幅 8.37 伸び 幅 5.11 13.11 伸び 幅 3.83 12.83 初期値 9 初期値 10 伸び 幅 3.44 13.44 伸び 幅 2.00 13.00 初期値 11 0 N = 970 3.49 伸び 幅 3.49 初期値 0 2 4 6 8 10 12 到達値平均 14 16 初期値 18 到達値平均 (2) 聴解力(聞く力) 「聴解力(聞く力)」(到達目標は 6 週間:「5」、13 週間:「10」)については、初期値が「1」以上の 研修生の到達値平均が目標を超えていた。聴解力「1」とは、「○○は▲▲です。」といった文や、 基本的な動詞を使った簡単な文が聞き取れる程度であることから、聴解についても研修開始前に ある程度身に付いていることが一般研修、実地研修を円滑に進める上で理想的であると言える。 日本語研修の評価 [学習成果] 聴解力(聞く力) J13W コース 9.79 初期値 0 伸び 幅 9.79 初期値 1 伸び 幅 9.39 初期値 2 初期値2 伸び 幅 4.09 5.09 初期値 1 初期値 2 初期値2 伸び 幅 9.44 12.44 伸び 幅 7.00 13.00 初期値7 初期値 7 初期値 9 初期値 10 初期値 10 初期値 11 初期値 11 初期値 12 2 4 6 8 10 12 初期値 14 16 18 到達値平均 -35- 伸び 幅 5.28 13.28 伸び 幅 5.00 14.00 初期値 9 初期値 10 伸び 幅 2.00 12.00 初期値 12 初期値 12 0 伸び 幅 4.60 11.60 初期値 8 初期値 8 初期値 9 伸び 幅 4.07 10.07 初期値 7 初期値 7 伸び 幅 5.00 13.00 初期値8 初期値 8 伸び 幅 4.17 9.17 初期値 6 初期値 6 伸び 幅 5.77 12.77 伸び 幅 4.29 8.29 初期値 5 初期値 5 初期値6 初期値 6 伸び 幅 5.32 8.32 初期値 4 初期値 4 初期値 5 伸び 幅 4.85 6.85 初期値 3 初期値 3 伸び 幅 8.00 12.00 初期値4 初期値 4 10.39 N=970 伸び 幅 4.00 4.00 初期値 0 伸び 幅 10.09 12.09 初期値3 初期値 3 日本語研修の評価 [学習成果] 聴解力(聞く力) J6W コース N=121 0 2 4 6 伸び 幅 1.00 13.00 8 10 12 初期値 14 16 18 到達値平均 (3) 文法力 「文法力」に関しては、「聴解力」同様、6 週間、13 週間コースとも到達目標(6 週間:「5」、13 週 間:「10」)を超えたのは、初期値が「1」以上の研修生であった。文法力「1」とは、「○○は▲▲で す。」といった文や、基本的な動詞を使った簡単な構文がわかる程度で、習得語彙数は 200~ 300、文型数は 35~50 程度が身に付いていることが目安である。また、6 週間コースの研修生の うち 13 週間コースの到達目標に達した研修生の初期値は「5」~「6」程度(=『新日本語の基礎 Ⅰ』終了程度)であり、このことは「会話力」「聴解力」についても同様である。よって、6 週間コース に参加する研修生であっても、実地研修でより高度な日本語力が必要とされる者は、初期の段階 で使用教科書である『新日本語の基礎Ⅰ』で学習する程度の日本語能力を身に付けておくことが 望ましい。 日本語研修の評価 [学習成果] 文法力(書く力) J13W コース 9.53 伸び 幅 9.53 初期値 0 初期値, 5 初期値 5 初期値8 初期値 8 初期値 9 初期値 9 初期値 10 初期値 10 初期値 8 伸び 幅 4.00 13.00 初期値 9 伸び 幅 3.00 13.00 初期値 10 初期値 11 初期値 11 初期値 12 初期値 12 初期値 13 初期値 13 0 2 4 6 8 10 12 14 初期値 16 18 伸び 幅 3.25 9.25 初期値6 初期値 7 伸び 幅 5.00 13.00 伸び 幅 5.00 10.00 初期値, 5 初期値 6 伸び 幅 5.85 12.85 初期値7 初期値 7 初期値 5 伸び 幅 6.00 12.00 伸び 幅 4.89 8.89 初期値4 初期値 4 11.00 伸び 幅 6.00 初期値6 初期値 6 伸び 幅 6.18 9.18 初期値3 初期値 3 伸び 幅 8.75 12.75 初期値4 初期値 4 伸び 幅 5.34 7.34 初期値 2 初期値2 伸び 幅 9.17 12.17 初期値3 初期値 3 伸び 幅 4.03 5.03 初期値 1 伸び 幅 9.88 11.88 初期値 2 初期値2 N= 970 伸び 幅 3.69 3.69 初期値 0 伸び 幅 9.13 10.13 初期値 1 日本語研修の評価 [学習成果] 文法力(書く力) J6W コース N=121 伸び 幅 3.77 10.77 初期値7 伸び 幅 4.35 12.35 初期値8 伸び 幅 4.10 13.10 初期値 9 伸び 幅 3.80 13.80 初期値 10 伸び 幅 2.33 13.33 初期値 11 伸び 幅 1.17 13.17 初期値 12 伸び 幅 0.00 13.00 初期値 13 0 2 4 6 8 10 到達値平均 12 14 初期値 16 18 到達値平均 (4) 文字力(仮名文字) 仮名文字(平仮名・片仮名)については必須の学習項目としているが、仮名の学習が全体の進 度に悪影響を及ぼすと考えられる研修生については他の学習項目を優先している。一般研修終 了時点で平仮名・片仮名を使った読み書きが十分できるレベルに達しているためには、初期値で 「2」~「3」程度(50~60%程度の仮名文字が読み書きできるレベル)にあることが理想である。 日本語研修の評価 [学習成果] 文字力(仮名文字) J13W コース 日本語研修の評価 [学習成果] 文字力(仮名文字) J6W コース N= 951 N= 121 伸び幅 5.00 5.00 初期値 0 初期値1 初期値 1 伸び幅 3.43 4.43 初期値2 初期値 2 初期値3 初期値 3 初期値4 初期値 4 初期値 5 初期値 5 0 1 2 3 初期値 初期値 0 伸び幅 2.88 4.88 初期値 2 伸び幅 1.91 4.91 初期値 3 伸び幅 1.00 5.00 初期値 4 伸び幅 0.00 5.00 初期値 5 4 伸び幅 3.87 初期値1 初期値 1 5 伸び幅 2.72 4.72 初期値2 初期値3 伸び幅 1.87 2 3 初期値 -36- 伸び幅 0.00 5.00 初期値 5 1 4.87 伸び幅 0.97 4.97 初期値4 0 到達値平均 3.87 伸び幅 3.28 4.28 4 到達値平均 5 (5) 文字力(漢字) 非漢字圏の研修生には Basic 漢字、漢字圏の研修生および既習者等には教科書準拠漢字と いう異なる教材を用いて指導を行っている。漢字学習については、学習文字数に関する到達目標 ガイドラインを設けてはいるものの、現在では、文字の定着を重視した学習指導を行っている。非 漢字圏の研修生(Basic 漢字)については、13 週間コースの場合、事前に未学習(初期値「0」)で あっても、到達値が「5」(100 字程度の漢字を習得)を超えている。また、6 週間コースでは初期値 が「7」程度、13 週間コースでは「4」程度であれば、到達値がそれぞれ「10」(300 字程度の漢字を 習得)に近い結果となっている。 日本語研修の評価 [学習成果] 文字力(BASIC漢字) J13W コース 日本語研修の評価 [学習成果] 文字力(BASIC漢字) J6W コース N=76 伸び 幅 6.29 6.29 初 期値 0 初期値 0 伸び 幅 4.50 5.50 初 期値 1 初期値3 初 期値 3 初期値 3 伸 び 幅 5 .67 9.67 初期値6 伸び 幅 3.8 9 9.89 初期値7 初 期値 7 初期値8 初 期値 8 初期値 9 初 期値 9 初期値7 初期値 8 伸び 幅 1.0 0 10.00 初期値8 2 4 6 初期値 8 10 0 2 初 期値4 初期値 4 初期値 , 5 初期値 5 初期値 6 初期値 6 初期値7 初期値 7 伸び 幅 4.00 5.00 初期値 1 伸び 幅 6.22 8.22 初期値 2 初期値2 伸び 幅 9.40 12.40 初期値 4 伸び 幅 8.00 13.00 初期値 5 伸び 幅 7.00 13.00 初期値 6 伸び 幅 6.00 13.00 初期値 7 初期値 8 伸び 幅 4.00 13.00 初期値 9 初期値 10 初期値 11 初期値 11 初期値 12 伸び幅 5.86 10.86 初期値, 5 伸び 幅 4.50 10.50 初期値6 2 4 6 8 10 12 14 初期値 16 18 -37- 伸び 幅 6.75 15.75 初期値 9 伸び 幅 4.00 14.00 初期値 10 伸び 幅 1.00 13.00 初期値 12 0 到達値平均 伸び幅 6.69 14.69 初期値 8 初期値 12 0 伸び 幅 4.38 11.38 初期値7 初期値 9 初期値 10 伸び 幅 7.40 11.40 初期値4 初期値 8 初期値 9 伸び 幅 8.23 11.23 初期値3 初期値 3 伸び 幅 9.00 13.00 N= 288 伸び 幅 4.52 4.52 初期値 0 伸び 幅 9.92 11.92 初 期値3 10 日本語研修の評価 [学習成果] 伸び 幅 9.40 10.40 初期値 3 8 到達値平均 文字力(教科書準拠漢字) J6W コース N=46 伸び 幅 8.23 8.23 初期値 2 初期値2 伸び 幅 0.0 10.00 6 初期値 日本語研修の評価 [学習成果] 初期値 1 9.86 伸び 幅 1.0 10.00 4 到達値平均 文字力(教科書準拠漢字) J13W コース 初期値 0 9.88 初期値 10 初期値 10 0 伸び 幅 2.88 伸び幅 1.86 初期値 9 初期値 9 初期 値 10 伸び 幅 2.92 8.92 初期値6 初期値 7 伸 び 幅 1 .00 9.00 伸び幅 3.73 8.73 初期値, 5 初期値 6 伸び 幅 2.4 0 9.40 伸び幅 4.36 8.36 初期値4 初期値 5 初 期値 6 伸び幅 3.31 6.31 初期値3 初期値 4 初 期値 5 伸び 幅 3.61 5.61 初期値2 初期値 2 伸 び 幅 6 .00 9.00 初期値4 初 期値 4 伸び幅 3.33 4.33 初期値 1 伸 び 幅 5 .88 7.88 初期値2 初 期値 2 N = 3 76 伸び 幅 2.73 2.73 2 4 6 8 10 12 14 初期値 16 18 到達値平均 3. 日本語学習状況に関する講師の評価 (一般研修終了時) (1) 研修生の積極性に対する評価 日本語研修中に、研修生は日本語で積極的にコミュニケーションしようとする意欲があったかど うかについて、一般研修終了時に日本語講師が評価を行っている。結果は「期待通り十分あっ た」が 59%、「ほぼ期待通りあった」34%で、合わせて 93%の研修生については積極性が期待通 りであったと評価している。 日本語研修の評価 [学習状況] 研修生の学習努力に対する日本語講師の評価 1点, 0人 2点, 4名, 0.4% 3点, 34名, 3% N = 1,091 評価基準は 別表XXを参照。 5点 4点, 257名, 23.6% 4点 5点, 796名, 73% 3点 2点 1点 (2) 研修生の学習努力に対する評価 研修生は日本語学習の課題に日々真面目に取り組む姿勢があったかどうかについて、日本語 講師が評価を行ったところ、「期待通り十分あった」が 73%、「ほぼ期待通りあった」が約 24%であ り、97%の研修生については毎日真面目に学習課題に取り組んでいたと評価している。 日本語研修の評価 [学習状況] 研修生の積極性に対する日本語講師の評価 1点, 0人 2点, 9名, 1% N = 1,091 3点 69名 6% 評価基準は 別表XXを参照。 5点 4点 374名, 34% 5点 639名, 59% 4点 3点 2点 1点 -38- 4. 満足度評価 (一般研修終了時) (1) 全体の評価 研修生による日本語クラスに対する満足度評価を一般研修終了時に行っており、目標評点を 5 点満点中 4 点に設定している。研修生が参加した日本語クラスの総合満足度に関する評価結果 は 5 点(最高点)が 58%、4 点が 38%で、全体平均は 4.54 点であった。また、目標値を上回る評 価をした研修生は回答者 1,080 名のうち 1,037 名にのぼり、目標値の達成率は 96.0%であった。 日本語研修の評価 研修生の総合満足度 1点, 0人, 0% 2点, 3名, 0.3% N= 1,080 3点, 40名, 3.7% ※ A OTSの 定 め る 目 標 値 = 4 .0 4点 408名, 38% 5 点 1点 (良い) (悪い) 5点 629名, 58% 5点 4点 2点 1点 3点 (2) コース種別の評価 満足度評価を 6 週間、13 週間コースに分けて見ると、13 週間コースの方が 6 週間コースよりも 若干評価が高いことが分かる。 日本語研修の評価 日本語研修の評価 研修生の総合満足度(13週間コース) 研修生の総合満足度(6週間コース) 1点, 0人, 0% 1点,0人,0% 2点,0人,0% 2点, 3名, 0.3% 3点,2名,2% N=121 N=959 3点,38名,4% ※ A OT Sの 定 め る目 標 値 = 4 .0 ※ A OT Sの 定 め る 目 標 値 = 4 .0 4点 45名 37% J13W 5点 74名 61% 5 点 1点 (良い) (悪い) 5点 4点 2点 1点 4点 363名 38% 3点 -39- J6W 5点 555名 58% 5 点 1点 (良い) (悪い) 5点 4点 2点 1点 3点 (3) 国別・業種別の評価 満足度評価を研修生の国別、研修業種別に見てみる。国別では中国、インド、ベトナムの評価 が高い。ベトナムと中国については日本語既習者の割合が他国に比べ多く、インドは少ない特徴 があるが、本評価結果からは日本語満足度と日本語学習歴(既習者の割合)に因果関係は見ら れなかった。一方、タイ、フィリピン、インドネシアの評価が他国と比べ低くなっており、特にインド ネシアは全体の 1 割強の研修生が目標評点に達する評価をしなかったことになる。業種別では 「家庭電器」の評価が低い。 日本語研修の評価 研修生満足度(国別) ※AOTSの定める目標値=4.0 中国 28% 71% インド 31% 68% 55% 33% 51% 47% 8% 45% 47% 7% 49% 44% 25% 74% 48% 48% 10% インドネシア マレーシア フィリピン タイ ベトナム その他 0% 25% 1点 2点 50% 3点 4点 75% 5点 100% 1 点 (悪い) 5 点 (良い) 日本語研修の評価 研修生満足度(業種別) ※AOTSの定める目標値=4.0 自動車 その他電器 建設業 産業機械 7% 家庭電器 その他 5% 0% 36% 59% 36% 61% 44% 55% 32% 61% 56% 42% 37% 58% 25% 1点 2点 3点 50% 4点 5点 -40- 75% 100% 1 点 (悪い) 5 点 (良い) 5. 日本語研修の実地研修中の「日常生活」への有益度に関する研修生評価(実地研修終了時) (1) 全体の評価 一般研修で日本語研修を行った後に実地研修に参加した研修生に対し、日本語研修の効果に 関する評価を実地研修終了時に行っている。ここでは、一般研修中の日本語研修が、実地研修 中の「日常生活」に役立ったかどうかについて尋ねた結果、76%が「そう思う」、21%が「いくらか そう思う」と評価しており、合わせて 97%の研修生が実地研修中の「日常生活」には一般研修中 の日本語研修が一定以上役立ったと評価していることがわかった。 日本語研修の評価 [実地研修生] Q.実地研修中の日常生活において日本語研修は役に立った。 2点, 1名, 0.1% 1点, 0人 N= 1 ,1 7 5 3点, 35名, 3% ※AOTSの定める目標値=4.0 5点=そう思う 4点 252名, 21% 4点=いくらかそう思う 5点 887名, 76% 3点=どちらとも言えない 2点=あまりそう思わない 1点=そう思わない (2) コース種別の評価 日本語研修の実地研修中の日常生活への有益度を参加した一般研修別に見てみると、13 週 間コースの方が 6 週間コースより若干評価が高いことが分かる。 日本語研修の評価 [実地研修生] 日本語研修の評価 [実地研修生] Q.実地研修中の日常生活において 日本語研修は役に立った。 (13週間コース ) Q.実地研修中の日常生活において日本語研修は役に立った。 (6週間コース) 1点, 0人 1~2点, 0人, 0% 2点, 1名, 0.1% 3点, 2名, 1% ※AOTSの定める目標値=4.0 ※AOTSの定める目標値=4.0 5点=そう思う 4点 35名, 20% J13W 3点, 33名, 3% 4点=いくらかそう思う 5点 141名, 79% 3点=どちらとも言えない 2点=あまりそう思わない 1点=そう思わない -41- 5点=そう思う 4点 217名, 22% 4点=いくらかそう思う J6W 5点 7 4 6名 , 75% 3点=どちらとも言えない 2点=あまりそう思わない 1点=そう思わない (3) 国別・業種別の評価 日本語学研修の実地研修中の「日常生活」への有益度評価について、研修生の出身国別、研 修業種別に見てみると、国別では他国に比べインドの評価が高く、タイの評価が低い。業種別で は「家庭電器」の評価が低くなっている。 日本語研修の評価 [実地研修生](国別) Q.実地研修中の日常生活において日本語研修は役に立った。 ※AOTSの定める目標値=4.0 19% 中国 インド 80% 9% 90% 85% 14% インドネシア 34% マレーシア 64% 76% 20% フィリピン 56% 36% タイ 20% ベトナム 77% 69% 25% その他 0% 25% 1点=そう思わない 2点=あまりそう思わない 50% 75% 3点=どちらとも言えない 4点=いくらかそう思う 100% 5点=そう思う 日本語研修の評価 [実地研修生](業種別) Q.実地研修中の日常生活において日本語研修は役に立った。 ※AOTSの定める目標値=4.0 自動車 その他電器 家庭電器 その他 78% 20% 20% 建設業 産業機械 76% 22% y 76% 73% 25% 61% 27% 77% 20% 0% 25% 1点=そう思わない 2点=あまりそう思わない 50% 3点=どちらとも言えない -42- 75% 4点=いくらかそう思う 100% 5点=そう思う 6. 日本語研修の実地研修中の「研修」への有益度に関する研修生評価 (実地研修終了時) (1) 全体の評価 前項5.の研修生評価に対し、ここでは実地研修中の「研修」に役立ったかどうかについて、研 修生に尋ねたところ、62%が「そう思う」、31%が「いくらかそう思う」と評価しており、合わせて 93%の研修生が実地研修中の「研修」時には一般研修中の日本語研修がある程度役立ったと評 価している。 日本語研修の評価 [実地研修生] Q.実地研修中の研修現場において日本語研修は役に立った。 1点, 2名, 0.2% 2点, 16名, 1% N= 1 ,1 7 2 3点, 66名, 6% ※AOTSの定める目標値=4.0 5点=そう思う 4点 359名, 31% 4点=いくらかそう思う 5点 729 名 , 62% 3点=ど ちらとも言えない 2点=あまりそう思わない 1点=そう思わない (2) コース種別の評価 日本語研修の実地研修中の「研修」への有益度を参加した一般研修別に見てみると、13 週間、 6 週間コースともほぼ同じ結果である。 日本語研修の評価 [実地研修生] 日本語研修の評価 [実地研修生] Q.実地研修中の研修現場において日本語研修は役に立った。 (13週間コース) Q.実地研修中の研修現場において日本語研修は役に立った。 (6週間コース) 1点, 2名, 0.2% 1点, 0人 2点, 3名, 2% ※AOTSの定める目標値=4.0 3点 7名 4% 4点 55名, 31% J13W 2点, 13名, 1% ※AOTSの定める目標値=4.0 3点 59名 6% 5点=そう思う 5点=そう思う 4点=いくらかそう思う 5点 112名, 63% 3点=どちらとも言えない 2点=あまりそう思わない 1点=そう思わない -43- 4点 304名, 31% J6W 5点 617名, 62% 4点=いくらかそう思う 3点=ど ちらとも言えない 2点=あまりそう思わない 1点=そう思わない (3) 国別・業種別の評価 日本語研修の実地研修中の「研修」への有益度に関する評価について、研修生の出身国別、 研修業種別に見てみると、国別では他国に比べタイの評価が低い。業種別では「建設」の評価が 高く、「家庭電器」の評価が低い。 日本語研修の評価 [実地研修生](国別) Q.実地研修中の研修現場において日本語研修は役に立った。 ※AOTSの定める目標値=4.0 65% 31% 中国 6% インド 68% 25% 30% インドネシア 66% 54% 39% 7% マレーシア フィリピン 11% タイ 10% 68% 18% 40% 47% 69% 27% ベトナム 13% その他 9% 0% 25% 1点=そう思わない 56% 22% 2点=あまりそう思わない 50% 3点=どち らとも言えない 75% 4点=いくらかそう思う 100% 5点=そう思う 日本語研修の評価 [実地研修生](業種別) Q.実地研修中の研修現場において日本語研修は役に立った。 ※AOTSの定める目標値=4.0 自動車 5% 32% 61% その他電器 6% 33% 60% 24% 建設業 産業機械 家庭電器 8% 13% その他 74% 69% 23% 53% 34% 65% 29% 0% 25% 1点=そう思わない 2点=あまりそう思わない 50% 3点=どち らとも言えない -44- 75% 4点=いくらかそう思う 100% 5点=そう思う 7. 一般研修における日本語研修に対する受入企業の満足度評価 (実地研修終了時) (1) 全体の評価 研修生の AOTS での日本語学習に対する満足度評価を実地研修終了時に受入企業に対して 求めているが、AOTS で行った日本語研修が実地研修を行う上で満足のいくものであったかにつ いて、15%が「非常に満足」、44%が「かなり満足」と評価しており、6 割程度の研修生に対して、 受入企業は一般研修中の日本語研修に満足していることが分かる。 日本語研修の評価 [実地研修受入企業] 実地研修終了時の研修生に対する満足度 1点, 14名, 1% 2点, 54名, 5% N= 1,158 ※AOTSの 定める目標値=4.0 5点 179名, 15% 5点=非常に満足 3点 409名, 35% 4点=かなり満足 3点=普通 4点 502名, 44% 2点=かなり不満 1点=非常に不満 (2) 参加した一般研修コース別の評価 上記(1)の評価結果を研修生の参加した一般研修コース別に見てみると、6 週間コースに比べ 13 週間コースの方が評価が高い。特に、13 週間コースについては、約 75%の研修生について、 一般研修中に行った日本語研修およびその学習成果に受入企業は満足していることが分かる。 日本語研修の評価 [実地研修受入企業] 日本語研修の評価 [実地研修受入企業] 実地研修終了時の研修生に対する満足度(13週間コース) 実地研修終了時の研修生に対する満足度(6週間コース) 1点, 13名, 1% 1点, 1名, 1% 3点 37名, 21% 2点 7名 4% ※AOTSの 定める目標値=4.0 5点 39名, 22% 2点 47名 5点 5% 140名, 14% 5点=非常に満足 4点=かなり満足 J1 3 W 5点=非常に満足 4点=かなり満足 3点 372名,38% 3点=普通 2点=かなり不満 4点 93名, 52% ※AO TSの 定める目標値=4.0 J6 W 3点=普通 4点 409名, 42% 1点=非常に不満 2点=かなり不満 1点=非常に不満 -45- (3) 国別・業種別の評価 一般研修中の日本語研修に対する受入企業の満足度について研修生の国別、研修業種別に 評価結果を見てみる。国別では、マレーシアの評価が極めて低く、マレーシア全体の 25%(40 名 中 10 名)の評価が「非常に不満」であった。これは、ある受入企業(以下、A社)で同時期に受け入 れたマレーシア人研修生全 10 名の評価がすべて「非常に不満」であったことが原因であった。既 にこの時点で、当該研修生 10 名は実地研修を終えて帰国した後であったため、A社への事後ヒ アリングを行った結果、主に研修生の日本語能力に対する不満が評価結果に影響を及ぼしたも のと分かり、その後、日本語講師とともにA社を訪問し、問題点の詳細把握に努めた。今後はより きめ細かく実地研修中の研修生の様子を把握するよう努め、何がしかの問題が生じているようで あれば、実地研修期間中に軌道修正が行えるよう実地研修中の適切なフォローアップや実地研 修中間評価の強化が必要である。 日本語研修の評価 [実地研修受入企業] 実地研修終了時の研修生に対する満足度(国別) ※AOTSの定める目標値=4.0 26% 中国 インド 12% 38% 45% 36% インドネシア 23% 49% 45% 30% 25% 15% 33% 10% マレーシア 47% 47% 7% 34% 44% 12% 42% 37% フィリピン タイ 9% ベトナム 47% その他 17% 44% 0% 25% 50% 1点=非常に不満 2点=かなり不満 3点=普通 6% 75% 総数N 中国 インド インドネシア マレーシア フィリピン タイ ベトナム その他 人数 338名 98名 148名 40名 71名 209名 222名 32名 100% 4点=かなり満足 5点=非常に満足 日本語研修の評価 [実地研修受入企業] 実地研修終了時の研修生に対する満足度(業種別) ※AOTSの定める目標値=4.0 7% 36% 10% 44% 自動車 26% 46% 26% 43% 37% 18% 45% 18% その他電器 建設業 35% 産業機械 家庭電器 5% 39% 41% 25% 2点=かなり不満 14% 41% その他 0% 1点=非常に不満 14% 42% 50% 3点=普通 75% 4点=かなり満足 100% 5点=非常に満足 -46- 総数N 人数 自動車 465名 その他電器 253名 建設業 49名 産業機械 49名 家庭電器 66名 その他 276名 Ⅳ 実地研修の実績 2009 年度内に終了した実地研修は受入企業計 229 社、研修参加者は 1,498 名であった。昨 年度実績と比較すると、受入企業数は 64 社減(293→229 社)、研修生数は 380 名減(1,878→ 1,498 名)であった。 2009 年度実地研修受入企業数・研修生数実績 受入企業数 研修生数 229 社 1,498 名 ※2009 年度内実地研修終了者が対象 1. 国別の研修生実績 2009 年度内に実地研修が終了した研修生の出身国は計 28 カ国で、中国が最も多く全体の 29%、続いてタイ(19%)、ベトナム(18%)、インドネシア(11%)、インド(8%)、フィリピン(6%)の 順であった。地域としては、アジアが 1,431 名で全体の 95.5%と大半を占め、次に中南米の 3.1% (47 名)、アフリカの 0.9%(14 名)の順であった。 実地研修の研修生実績 (国別) その他, 83名,6% N = 1,498 マレーシア, 52名,3% フィリピン, 97名,6% インド 121名, 8% イ ン ト ゙ネ シア 162名 , 11% ベトナム 265名, 18% 中国 430名, 29% タイ 288名, 19% -47- 中国 タイ ベトナム インドネシア インド フィリピン マレーシア その他 2. 業種別の研修生実績 業種別(研修生の研修業種)では、「自動車」が 38%と最も多く、次いで「その他電器」(産業用 電気機器、電子機器、情報技術等)の 19%、「産業機械」(6%)、「家庭電器」(5%)、「建設」 (4%)の順となり、「自動車」と「その他電器」で全体の 57%を占めた。 実地研修の研修生実績 (業種別) N = 1,498 自動車 その他 422名, 28% 自動車 559名, 38% 建設業 59名, 4% その他電器 産業機械 家庭電器 家庭電器 79名, 5% その他電器 290名, 19% 建設業 その他 産業機械 89名, 6% 3. 職位別の研修生実績 職位別(研修生の派遣企業での職位)では、技術者が 54%と約半数を占めていた。また、課長、 専門職、班長、係長など、中堅管理者の割合も多かった。 実地研修の研修生実績 (職位別) ライン主任 メカニック 56名, 4% 82名, 5% 専門職 88名,6% 技術者 技術者 819名, 54% 係長 96名, 6% 課長 100名, 7% N = 1,498 その他 99名 7% 班長 158名,11% 班長 課長 係長 専門職 メカニック ライン主任 その他 -48- 4. 年齢別の研修生実績 実地研修開始時の研修生の年齢を見ると、25~29 歳が 45%と最も多く、次いで 20~24 歳が 21%、30~34 歳が 20%と、34 歳までの若手技術者・管理者が全体の 86%を占めた。 実地研修の研修生実績 (年齢別) N = 1,498 ⑤40歳以上 78名, 5% ①20-24歳 319名, 21% ④35-39歳 134名, 9% ①20-24歳 ②25-29歳 ③30-34歳 306名, 20% ③30-34歳 ④35-39歳 ②25-29歳 661名, 45% ⑤40歳以上 5. 受入企業規模別の実績 2009 年度内に実地研修が終了した研修生の受入企業規模を大企業と中小企業に分類すると、 企業数では、大企業が 147 社で全体の 64%、中小企業が 82 社で 36%であった。研修生数では 大企業が 1,279 名で全体の 85%、中小企業は 219 名で 15%であった。 実地研修の企業数実績 実地研修の研修生実績 (大企業/中小企業の割合) (大企業/中小企業の割合) 大企業 147社 0% 20% 40% N = 229 中小企業 82社 60% 80% 中小企業 219名 大企業 1279名 100% 0% -49- 20% 40% 60% 80% 100% 6. 実地研修期間別の研修生実績 実地研修の期間は、平均すると 166 日であるが、より詳細に見ると、1~60 日(2 ヶ月以内)が 最も多く、次いで 61~120 日(2~4 ヶ月)、121~180 日(4~6 ヶ月)、301~360 日(10~12 ヶ月) の順であった。実地研修期間の全体的な傾向として 6 ヶ月以内の短期間と、10~12 ヶ月の長期 間に二分していることが明らかとなった。 実地研修の研修生実績(実地研修日数) 人数 400 378名 350 300 273名 250 271名 267名 200 202名 150 100 79名 50 28名 0 ①1~ 60日 ②61~ 120日 ③121~ 180日 ④181~ 240日 ⑤241~ 300日 ⑥301~ 360日 ⑦361日 以上 7. 参加した AOTS での集団研修別の研修生実績 実地研修を行う前に研修生がどの類のAOTS集団研修に参加していたかについてみると、約 7 割の研修生が 6 週間コースに参加している。また、管理研修に参加した後に実地研修を行った研 修生は 56 名(4%)であった。 実地研修の研修生実績 (コース種別) ④A9D 32名, 2% ②6W 1,039名 69% ①13W 178名 12% ③9D 176名 12% ⑤管理研修 56名,4% 0% ①13W 20% ②6W 40% ③9D 60% ④A9D -50- 80% ⑤管理研修 ⑥ 一般研修 不参加 ,17名,1% 100% ⑥一般研修不参加 Ⅴ 実地研修の評価 1. 実地研修中に習得した知識・技術に関する研修生の評価 (1) 全体の評価 実地研修の成果について、実地研修で習得した知識・技術の習得度を研修生に自己評価して もらったところ、約 75%の研修生が教えられた知識・技術の 80%以上を習得したと評価している。 実地研修の評価 [研修生] 知識・技術の習得度に対する研修生の自己評価 ⑦ 22名, 2% ⑥ 28名, 2% N= 1 ,4 1 8 ① 78名 6% ⑤ 64名, 5% ④ 242名, 17% ①100% ②90~99% ② 507名,35% ③80~89% ④70~79% ③ 477名, 33% ⑤60~69% ⑥50~59% ⑦50%未満 (2) 国別・業種別の評価 実地研修の評価 [研修生] 実地研修で習得した知識・技術の 知識・技術の習得度に対する研修生の自己評価(国別) 習得度に対する研修生の自己評価 について、国別、業種別に見ると、 8% インド 国別では中国、マレーシア、ベトナ インドネシア ムの評価が比較的高く、インドネシ マレーシア ア、タイの評価が若干低い。一方、 業種別では「その他電器」の評価が 比較的高く、「建設」、「産業機械」が 38% 9.5% 中国 28% 5% 14% 6% フィリピン 5% 5% タイ ベトナム 8% その他 19% 7% 27% 35% 6% 32% 28% 35% 44% 16% 32% 24% 39% 41% 21% 16% 30% 42% 7% 14% 19% 48% 10% 0% 低い。 40% 25% ①50%未満 50% 75% 実地研修の評価 [研修生] ②50~59% ③60~69% ④70~79% ⑤80~89% 100% ⑥90~99% ⑦100% 知識・技術の習得度に対する研修生の自己評価(業種別) 5% 自動車 37% 6% 38% 37% 10% 25% 37% 21% 23% 33% 29% 23% 41% 26% 19% 33% 39% 31% 16% 11% その他電器 7% 産業機械 5% 建設業 家庭電器 7% その他 0% ①50%未満 -51- 25% ②50~59% ③60~69% 50% ④70~79% 75% ⑤80~89% 100% ⑥90~99% ⑦100% 2. 実地研修中の指導内容・方法等に関する研修生の満足度評価 (1) 全体の評価 実地研修を行った研修生に対し、実地研修の満足度に関する評価を行っている。実地研修の 受入企業による指導内容・方法等に満足しているかどうかについて、48%が「そう思う」、42%が 「いくらかそう思う」と評価している。 実地研修の評価 [研修生] 指導内容・方法・研修デザインに対する研修生の満足度 1点, 5名, 0.3% 2点, 34名, 1.7% N = 1 ,4 4 8 ※AOTSの定める目標値=4.0 3点 110名 8% 5点=そう思う 5点 68 4名 4 8% 4点 615名, 42% 4点=いくらかそう思う 3点=どちらとも言えない 2点=あまりそう思わない 1点=そう思わない (2) 国別・業種別の評価 実地研修の評価 [研修生] 実地研修中の受入企業によ 指導内容・方法・研修デザインに対する研修生の満足度(国別) る指導内容・方法等に対する満 足度について国別・業種別に見 てみる。主要 7 カ国の評価を比 較するとインドの評価が最も高 く、タイの評価が最も低い。業種 では全体の 6 割弱を占める「自 動車」と「その他電器」を比較す ると、「その他電器」の方がやや ※ A O T S の 定 め る 目 標 値 = 4 .0 43% イン ド 38% 58% 37% 55% インドネシア マレーシア フィリピン 52% 37% 46% 49% 55% タイ 28% 35% ベトナム 52% 65% 33% その他 0% 25% 1点=そう思わない 50% 2点=あまりそう思わない 3点=ど ち らとも言えない 75% 100% 4点=いくらかそう思う 5点=そう思う 実地研修の評価 [研修生] 評価が高い。それ以外の業種で 指導内容・方法・研修デザインに対する研修生の満足度(業種別) は「家庭電器」の評価がやや低 い。 49% 中国 ※ A OT Sの 定 め る目 標 値 = 4 .0 10% 42% 44% 7% 42% 50% 10% 46% 43% 2 % 39% 54% 10% 59% 30% 40% 53% 自動車 その他電器 産業機械 建設業 家庭電器 その他 5% 0% 25% 1点=そう思わない 2点=あまりそう思わない -52- 50% 3点=ど ち らとも言えない 75% 4点=いくらかそう思う 100% 5点=そう思う 3. 実地研修の成果に関する研修生の満足度評価 (1) 全体の評価 実地研修の満足度に関する研修生からの評価のうち、実施研修での自分の研修成果に満足し ているかどうか関する評価について、41%が「そう思う」、48%が「いくらかそう思う」と評価してい る。合わせて 89%の研修生が実地研修の成果にある程度満足していることが分かる。 実地研修の評価 [研修生] 研修成果に対する研修生の満足度 1点, 1名, 0.1% 2点, 41名, 2.9% N = 1 ,4 4 7 3点 120名 8% ※AOTSの定める目標値=4.0 5点=そう思う 5点 597名 , 41% 4点=いくらかそう思う 4点 688名, 48% 3点=どちらとも言えない 2点=あまりそう思わない 1点=そう思わない (2) 国別・業種別の評価 実地研修の評価 [研修生] 研修成果に対する研修生の満足度(国別) 実地研修の成果に対する自 己評価を国別・業種別に見てみ ると、国別ではインド、インドネ シア、フィリピンの評価が高く、タ ※ A OT S の 定 め る 目 標 値 = 4 .0 インド 3% 4% インドネシア 10% マレーシア イの評価が比較的低い。業種別 については評価の差に大きな違 いが見られない。 54% 8% 中国 5% フィリピン 35% 37% 60% 42% 52% 50% 38% 35% 57% タイ 11% 56% 29% ベトナム 14% 44% 39% 38% 57% 4% その他 0% 25% 1点=そう思わない 50% 2点=あまりそう思わない 3点=どちらとも言えない 75% 100% 4点=いくらかそう思う 5点=そう思う 実地研修の評価 [研修生] 研修成果に対する研修生の満足度(業種別) ※ A OT S の 定 め る 目 標 値 = 4 .0 45% 41% 7% 55% 35% 10% 36% 53% 5% 47% 45% 10% 60% 29% 6% 47% 45% 10% 自動車 その他電器 産業機械 建設業 家庭電器 その他 0% 25% 1点=そう思わない 2点=あまりそう思わない -53- 50% 3点=どちらとも言えない 75% 4点=いくらかそう思う 100% 5点=そう思う 4. 実地研修の研修目的達成度に関する受入企業の評価 (1) 全体の評価 受入企業による実地研修の総合的な評価を行っているが、各研修生の実地研修目的達成度 について、受入企業は 61%の研修生が「80%以上達成」、93%が「70%以上達成」と評価してい る。 実地研修の評価 [受入企業] 研修生の目的達成度に対する企業の評価 1点, 6名, 0.4% 2点, 10名, 0 .6% N= 1 ,4 5 0 3点 93名 6% ※ A OT S の 定 め る 目 標 値 = 4 .0 5点= 80%以上達成 4点 462名, 32% 4点= 70~79% 達成 5点 879名, 61% 3点= 60~69% 達成 2点= 40~59% 達成 1点= 達成度40%未満 (2) 国別・業種別の評価 実地研修の評価 [受入企業] 研修生の目的達成度に対する企業の評価(国別) 各研修生の実地研修目的達 成度に対する受入企業の評価 について、国別・業種別に見て みる。国別ではインドネシア、マ ※ A OTS の 定 め る 目 標 値 = 4 .0 5 点 ,2 4 8 名 (6 1 % ) 4点,111名(27%) 中国 5 点 , 53名 (44%) 4点,58名(48%) インド 4点,44名(27%) 5 点 ,1 1 5 名 (7 1 % ) 4点,14名(27%) 5 点 , 3 6 名 (6 9 % ) インドネシア マレーシア レーシアの評価が高く、インドの 4点,32名(34%) 5 点 , 54名 (58%) フィリピン 評価が低い。インドネシアは実 タイ 地研修成果の研修生自己評価 ベトナム および研修目的達成度の受入 その他 5 点 ,172名 (65%) 4点,77名(29%) 5 点 ,149名(56%) 4点,99名(38%) 5 点 , 52名 (63%) 4点,27名(32%) 企 業評価が ともに 平均より 高 0% 25% 1点= 達成度40%未満 3点= 60~69%達成 75% 4点= 70~79%達成 100% 5点= 80%以上達成 実地研修の評価 [受入企業] い。一方、インドについては研修 研修生の目的達成度に対する企業の評価(業種別) ※ A OT S の 定 め る 目 標 値 = 4 .0 生の自己評価は高いが、受入 5 点 , 3 0 4名 ( 5 6 % ) 4点,182名(33%) 企業の評価は低く、両者の評価 自動車 には隔たりがある。業種別では その他電器 「家庭電器」、「産業機械」の評 建設業 価が高いことが分かる。 50% 2点= 40~59%達成 4点,71名(25%) 5 点 , 1 9 2名 ( 6 9 % ) 4点,23名(39%) 5 点 ,31名(52%) 4点,22名(25%) 5 点 ,63名(71%) 産業機械 5 点 ,51名(71%) 4点,18名(25%) 家庭電器 5 点 , 2 3 8名 ( 5 9 % ) 4点,146名(36%) その他 0% 1 点= 達成度40 %未満 -54- 25% 2 点= 4 0~59 %達成 50% 3点= 60 ~6 9% 達成 75% 4 点= 70 ~79 %達成 100% 5 点= 8 0%以上達成 5. 実地研修中の研修生の取り組み姿勢に関する受入企業の評価 実地研修中の研修生の取り組み姿勢について、受入企業による評価を行ったところ、受入企業 は 55%の研修生が「とても熱心だった」、34%の研修生が「熱心だった」と評価し、全体の 89%の 研修生は実地研修に熱心に取り組んでいたと評価している。 実地研修の評価 [受入企業] 研修生の取り組み姿勢に対する企業の評価 1点, 1名, 0.1% N= 1,4 49 2点, 23名, 2% ※ A OT Sの 定 め る目 標 値 = 4 .0 3点 130名 9% 4点 491名, 34% 5点= とても熱心 5点 804名, 55% 4点= 熱心 3点= 普通 2点= もう少し努力が必要 1点= 問題があった -55- 第 3 章 管理研修 -56- Ⅰ 管理研修の実績 2009 年度に実施した管理研修コースは計 57 コースで、研修参加者は 1,237 名であった。前年 度実績と比較すると、コース数は 2 コース減(59→57 コース)、研修生数は 40 名増(1,197→ 1,237 名)であった。一般研修では研修生数が大幅に減少したが、管理研修は若干増加した。 2009 年度管理研修コース数・人数実績 コース数 研修生数 57 コース 1,237 名 1. 国別の研修生実績 管理研修の研修生出身国は計 32 カ国で、タイが最も多く全体の 17%、続いてインド(15%)、 中国(13%)、ベトナム(10%)、バングラデシュ(7%)、フィリピン(6%)、インドネシア(6%)の順と なっている。地域としては、アジアが 1,124 名で全体の 90.9%と大半を占め、次に中南米の 5.4% (67 名)、アフリカの 1.8%(22 名)と続く。一般研修(27 カ国)と比べより多くの国から研修生を受 け入れている。また、一般研修ではわずかであったバングラデシュ、スリランカ、ネパール(3 カ国 合計:3 名)の人数が管理研修では非常に多いことが分かる(3 カ国の管理研修参加者:196 名)。 管理研修の研修生実績 (国別) ネパー ル 51名, 4% その他, 158名, 13% マレーシア 51名, 4% N = 1,237 タイ 221名, 17% スリランカ 60名, 5% インド 180名, 15% インドネシア 75名, 6% 中国 155名, 13% フィリピン, 79名, 6% ベトナム 122名, 10% バングラデシュ 85名, 7% タイ イン ド 中国 ベトナム バングラデシュ フィリピン インドネシア スリランカ マレーシア ネパー ル その他 -57- 2. 職位別の研修生実績 職位別(研修生の派遣企業での職位)では、課長が 457 名(36%)、部長が 328 名(27%)、社 長が 222 名(18%)等であった。課長と部長が全体の 63%、社長と役員が全体の 28%であった。 一般研修の約半数を占めた技術者は、3 名(0.2%)のみで、一般研修と管理研修間の研修対象 者の違いを表す結果となった。 管理研修の研修生実績 (職位別) N = 1,237 その他 107名 役 員 9% 1 23 名,1 0 % 課長 457名, 36% 社長 222名, 18% 課長 部長 社長 役員 その他 部長 328名, 27% 3. 年齢別の研修生実績 管理研修開始時の研修生の年齢を見ると、35~39 歳が 263 名(22%)と最も多く、次いで 30 ~34 歳(20%)、40~44 歳(20%)と続いている。20 歳代は全体の 10%程度であった。一般研修 の平均年齢が 28.7 歳であるのに対し、管理研修は 39.7 歳と約 11 歳の差があった。 管理研修の研修生実績 (年齢別) ⑦55-60歳 41名, 3% ⑥ 50-54歳 115名 9% ① 25-29歳 126名 10% ②30-34歳 245名, 20% ⑤45-49歳 203名, 16% N = 1,237 ①25-29歳 ②30-34歳 ③35-39歳 ④40-44歳 ④40-44歳 244名, 20% ③35-39歳 263名, 22% -58- ⑤45-49歳 ⑥50-54歳 ⑦55-60歳 4. 研修対象国別のコース実績 2009 年度に実施した管理研修計 57 コースのうち、16 コースが全ての開発途上国対象のコー スであった。次いでタイ対象が 8 コース、インド対象が 7 コース、中国対象が 6 コース、ベトナム対 象が 5 コースなどであった。 管理研修のコース実績(国別) N = 57 コース 16 16 12 12 8 8 7 6 5 4 3 0 各国 タイ イン ド 中国 ベトナム インドネシア その他 5. 研修期間別のコース実績 2009 年度は研修期間が 1 週間から 4 週間までの管理研修を実施した。2 週間が標準となって おり、当年度は全体の約 8 割を占めた。 管理研修のコース実績(期間別) 「4週間」 1コース, 2% 「1週間」 2コース, 4% 「3週間」 7コース 12% N = 57 「1週間」 「2週間」 47コース, 82% 「2週間」 「3週間」 「4週間」 -59- 6. 研修参加者数別のコース実績 2009 年度に実施した管理研修計 57 コースについて、1 コース当たりの参加者数は 21~25 名 が最も多く 20 コース、16~20 名が 18 コース、26~30 名が 12 コースと続いた。全体平均は 1 コ ース当たり 21.7 名であった。 管理研修のコース実績(参加者数) 5 ①15名以下 18 ②16-20名 20 ③21-25名 12 ④26-30名 ⑤31名以上 0 2 4 8 12 -60- 16 20 コース Ⅱ 管理研修の評価 1. 目標達成度評価 管理研修では、一般研修と同様に目標達成度評価を行っている。具体的には各コースの研修 テーマに関する研修生の能力や知識を、コース開始時とコース終了時で測定している。コース終 了時の目標評点を 7 点満点中 5 点に設定しているが、まずコース開始時の目標達成度合い(どの 程度事前の理解や知識があるか)は 4 点台(28%)、3 点台(31%)、2 点台(20%)が多く、平均は 3.67 点であった。これがコース終了時には、6 点台(49%)、5 点台(42%)が大半を占める結果 (平均:5.90 点)となり、目標値に達成した研修生の割合は全体の 91.0%であった。 管理研修の評価 (コース開始時の目標達成度評価) 6点台, 26名, 2% 1点台 98 名 8% 5点台 130名,11% 2点台 241名, 20% N=1,233 ※AOTSの定める目標値=5.0 7点満点■ 6点台 4点台 348名, 28% 5点台 4点台 3点台 3点台 390名, 31% 2点台 1点台 管理研修の評価 (コース終了時の目標達成度評価) 1点台, 1名, 0.1% 2点台, 7名, 0.6% 3点台, 17名, 1.4% N=1,221 4点台 85名 7% ※AOTSの定める目標値=5.0 7点満点■ 6点台 5点台 511名, 42% 6点台 600名, 49% 5点台 4点台 3点台 2点台 1点台 2. 満足度評価 一般研修と同様に管理研修でも満足度評価(目標評点:5 点満点中 4 点)うを実施しているが、 管理研修に対する総合満足度の評価結果は 5 点(最高点)が 41%、4 点が 55%で、全体平均は 4.36 点であった。また、目標値を上回る評価をした者は回答者 1,219 名のうち 1,165 名にのぼり、 -61- 達成率は 95.6%であった。 管理研修の評価 研修生満足度 2点, 4名, 0.3% 3点 49名 4% 1点, 1名, 0.1% N=1,219 5点, 504名, 41% 5点 1点 (良 い ) (悪 い ) 4点 661名, 55% ※AOTSの定める目標値=4.0 5点 4点 2点 1点 3点 3. 管理研修コース別評価結果 下表の管理研修評価結果の表示方法に基づき、60・61 頁に管理研修コースの各コース別評 価結果を示す。 管理研修評価結果の表示方法 評価項目 直後評価 目標達成度 伸び幅 達成率 総合満足度 満足度 達成率 評価結果 6.00以上 5.50以上 6.00未満 研修参加直後の目標達成度の平均値 5.00以上 5.50未満 目標値:5.00以上 4.50以上 5.00未満 4.50未満 2.50以上 2.00以上 2.50未満 研修参加前から研修参加直後の目標達成度の伸び幅 1.50以上 2.00未満 目標値:1.50以上 1.00以上 1.50未満 1.00未満 90%以上 各研修参加者の目標達成度直後評価が目標値(5.00以上 80%以上 90%未満 /7.00)に達した割合 70%以上 80%未満 50%以上 70%未満 目標値:70%以上 50%未満 4.50以上 4.25以上 4.50未満 参加した研修コースに対する総合満足度の平均値 4.00以上 4.25未満 目標値4.00以上 3.75以上 4.00未満 3.75未満 90%以上 各研修参加者の総合満足度が目標値(4.00以上/5.00)に 80%以上 90%未満 達した割合 70%以上 80%未満 50%以上 70%未満 目標値:70%以上 50%未満 -62- 表示方法 A B C D E A B C D E ☆☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆ ☆ なし A B C D E ★★★★ ★★★ ★★ ★ なし 目標達成度の直後評価平均値、コース開始前とコース終了時の伸び幅、達成率、及び満足度 の総合満足度平均値、達成率の計 5 指標の全てで目標値を超える評価を得たコースが 57 コース 中 48 コースあった。 2009 年度管理研修コース別評価結果一覧 目標達成度 対象国 コ ー ス 名 No. 人数 直後評価 伸び幅 達成度 達成率 満足度 総合 満足度 満足度 達成率 1 経営幹部のための品質経営研修コース 〔EPQM〕 (1W) 26名 B C ☆☆☆ B ★★★★ 2 品質経営研修コース 〔PQM〕 (2W) 19名 B C ☆☆☆ B ★★★★ 3 人と組織の問題解決研修コース 〔SHOP〕 (3W) 17名 A D ☆☆☆☆ C ★★★★ 4 企業経営研修コース 〔EPCM〕 (2W) 23名 B C ☆☆☆ B ★★★★ 5 全社的問題解決研修コース 〔CWPS〕 (2W) 13名 B C ☆☆☆ C ★★★★ 〔PQMP〕 (3W) 23名 A C ☆☆☆☆ A ★★★★ 7 実践的生産管理研修コース 〔PPOM〕 (3W) 25名 A A ☆☆☆☆ A ★★★★ 8 実践的問題解決研修コース 〔SPQP〕 (2W) 21名 A A ☆☆☆☆ A ★★★★ 9 利益創出型工場管理研修コース 〔PIPF〕 (2W) 23名 B B ☆☆☆☆ C ★★★ 10 生産管理研修コース 〔PMTC〕 (4W) 18名 A B ☆☆☆☆ B ★★★★ 11 品質管理研修コース 〔QCTC〕 (3W) 24名 A C ☆☆☆☆ A ★★★★ 12 IT経営革新研修コース 〔BIIT〕 (2W) 27名 B C ☆☆☆ B ★★★★ 13 デザインマネジメント研修コース 〔PDM〕 (2W) 19名 C B ☆☆ C ★★★★ 14 品質問題解決演習コース 〔PQPS〕 (2W) 20名 B B ☆☆☆☆ D ★★★ 6 中・上級管理者のための品質経営研修 コース 各国 バングラデシュ ・ネパール 経営幹部のためのリーダーシップ 15 研修コース 〔EPLD〕 (2W) 27名 A C ☆☆☆☆ A ★★★★ 16 品質問題解決演習コース 〔PQPS2〕 (2W) 26名 A B ☆☆☆☆ A ★★★★ バングラデシュ・ネパール 17 トップマネジメント研修コース 〔BNTP〕 (2W) 26名 C C ☆☆☆ D ★★★★ 18 中国生産管理研修コース 〔CNPM〕 (3W) 27名 B B ☆☆☆ A ★★★★ 19 中国物流管理研修コース 〔CNLM〕 (2W) 28名 A C ☆☆☆☆ C ★★★★ 20 中国CSRマネジメント研修コース 〔CNCS〕 (2W) 27名 B B ☆☆☆☆ A ★★★★ 21 中国企業経営研修コース 〔CNCM〕 (3W) 26名 A B ☆☆☆☆ A ★★★★ 22 中国知的財産権研修コース 〔CNIP〕 (3W) 27名 B A ☆☆☆☆ A ★★★★ 23 中国企業経営研修コース 〔CNAQ〕 (2W) 18名 C C ☆ B ★★★★ インド現場改善ファシリテーター 24 養成研修コース 〔INPM〕 (2W) 20名 A A ☆☆☆☆ B ★★★★ 25 インド品質経営研修コース 〔INQM〕 (2W) 22名 C C ☆☆ A ★★★★ 26 インド実践経営研修コース 〔INPC〕 (2W) 12名 D C ☆ C ★★★ 〔INAC〕 (2W) 14名 A A ☆☆☆☆ A ★★★★ 〔INFT〕 (2W) 17名 A B ☆☆☆☆ B ★★★★ 29 インド生産管理研修コース 〔INCI〕 (2W) 22名 B A ☆☆☆ C ★★★★ 中国 インド インドネシア インド自動車部品産業対象生産管理 27 研修コース インドTQMファシリテーター 28 養成研修コース 30 インド中小企業経営研修コース 〔INCI2〕 (2W) 22名 B A ☆☆☆☆ B ★★★★ 31 インド企業経営研修コース 〔INIM〕 (2W) 23名 A A ☆☆☆☆ A ★★★★ インドネシア・リーダーシップ 32 養成研修コース 〔IDLD〕 (2W) 18名 B C ☆☆☆☆ D ★★ 33 インドネシア品質管理研修コース 〔IDQC〕 (2W) 22名 A C ☆☆☆☆ B ★★★★ 34 インドネシア物流管理研修コース 〔IDLM〕 (2W) 18名 B C ☆☆☆☆ C ★★★ -63- 目標達成度 対象国 No. コ ー ス 名 人数 直後評価 伸び幅 達成度 達成率 満足度 総合 満足度 満足度 達成率 35 マレーシア実践的工場管理研修コース 〔MYFM〕 (1W) 20名 B B ☆☆☆☆ B ★★★★ 36 マレーシア環境経営研修コース 〔MYEM〕 (2W) 16名 B A ☆☆☆☆ B ★★★★ 37 ネパール企業経営研修コース 〔NPCM〕 (2W) 28名 B A ☆☆☆ C ★★★ 38 パキスタン生産管理研修コース 〔PKPM〕 (2W) 16名 B C ☆☆☆☆ C ★★★★ 39 パキスタン企業経営研修コース 〔PKCM〕 (2W) 20名 B B ☆☆☆☆ C ★★ 40 フィリピン品質経営研修コース 〔PHQM〕 (2W) 23名 A B ☆☆☆☆ A ★★★★ 〔PHCI〕 (2W) 23名 A B ☆☆☆☆ A ★★★★ 〔LKCM〕 (2W) 34名 B B ☆☆☆☆ B ★★★★ 43 タイ物流管理研修コース 〔THLM〕 (2W) 20名 B A ☆☆☆☆ C ★★★★ 44 タイ・リーダーシップ養成研修コース 〔THLD〕 (2W) 23名 A C ☆☆☆☆ A ★★★★ マレーシア ネパール パキスタン フィリピン 41 フィリピン・プロジェクト&プログラム マネジメント研修コース スリランカ 42 スリランカ企業経営研修コース 45 タイ改善活動実践研修コース 〔THIA〕 (2W) 15名 B B ☆☆☆☆ D ★★★ 46 タイ自立型改善リーダー養成研修コース 〔THPM〕 (2W) 24名 B D ☆☆☆☆ A ★★★★ 〔THAI〕 (2W) 24名 B C ☆☆☆☆ B ★★★★ 48 タイ戦略的経営研修コース 〔THEE〕 (2W) 16名 C B ☆☆ C ★★★ 49 タイ・デザインマネジメント研修コース 〔THDM〕 (2W) 25名 B A ☆☆☆☆ B ★★★★ 50 タイ金型産業生産管理研修コース 〔THDI〕 (2W) 31名 C A ☆☆ C ★★★★ 51 ベトナム工場管理研修コース 〔VNFM〕 (2W) 19名 B B ☆☆☆ C ★★★★ 52 ベトナム改善活動実践研修コース 〔VNIA〕 (2W) 27名 A B ☆☆☆☆ A ★★★★ 53 ベトナム品質管理研修コース 〔VNQC〕 (2W) 22名 A A ☆☆☆☆ B ★★★★ 54 ベトナム企業経営研修コース 〔VNCM〕 (2W) 18名 B D ☆☆ C ★★★ タイ 47 ベトナム ブラジル メキシコ タイ自動車産業生産マネジメント 研修コース ベトナム経営者リーダーシップ 55 研修コース ブラジル・リーンマネジメント 56 研修コース 57 メキシコ・リーン生産方式研修コース 〔VNLD〕 (2W) 22名 A C ☆☆☆☆ A ★★★★ 〔BRLM〕 (2W) 8名 A A ☆☆☆☆ C ★★★ 〔MELM〕 (2W) 23名 A A ☆☆☆☆ A ★★★★ 研修コース合計 57 1175名 -64- -65- 第 4 章 海外研修 -66- Ⅰ 「協会企画型」海外研修の実績 海外研修のうち、AOTS自らが企画して実施する「協会企画型」海外研修コースは計 41 コース で、研修参加者は 1,491 名であった。前年度実績と比較すると、コース数は約 1.6 倍増(25→41 コース)、研修生数はほぼ 2 倍増(747→1,491 名)であった。 2009 年度「協会企画型」海外研修コース数・研修生数実績 コース数 研修生数 41 コース 1,491 名 1. 国別の研修生実績 「協会企画型」海外研修の研修生出身国は計 11 カ国で、インドが最も多く全体の 26%、その他 上位はインドネシア(15%)、タイ(11%)、ベトナム(11%)、フィリピン(10%)、マレーシア(9%)の 順であった。全 11 カ国ともアジア地域の国であった。 協会企画型 海外研修の研修生実績 (国別) 中国, 50名, 3% その他 119名 8% パキスタン 109名, 7% N = 1,491 インド 389名, 26% マレーシア 128名, 9% イ ン ト ゙ネ シア 228名 , 15% フィリピン 142名,10% ベトナム 162名,11% タイ 164名 11% インド インドネシア タイ ベトナム フィリピン マレーシア パキスタン 中国 その他 2. 研修対象国別のコース実績 計 41 コースの 2009 年度「協会企画型」海外研修については、インド対象が最も多く 10 コース、 次いでタイおよびベトナム対象がそれぞれ 6 コース、インドネシア、フィリピン、マレーシア対象が それぞれ 4 コースと続いた。 -67- 協会企画型 海外研修のコース数実績 N = 41 コース 10 10 8 6 6 6 4 4 4 4 3 2 2 0 インド タイ ベトナム インドネシア フィリピン マレーシア パキスタン 2 中国 その他 3. 研修日数別のコース実績 2009 年度は研修日数が 2 日間から 4 日間までの「協会企画型」海外研修を実施した。全体の 95%が 2 日間ないしは 3 日間であった。 協会企画型 海外研修のコース数実績 (コース日数別) 「4日間」 2コ ー ス, 5% 「3日間」 16コ ー ス 39% 「2日間」 23コー ス 56% -68- 2日間 3日間 4日間 Ⅱ 「協会企画型」海外研修の評価 1. 満足度評価 海外研修では研修に関する満足度やカリキュラムの実現度、研修技術の習得度等に関し、研 修生による評価を行っており、目標評点を 7 点満点中 5 点に設定している。評価指標のうち参加し た研修に対する総合満足度評価の結果は 7 点(最高点)が 20%、6 点が 52%、5 点が 19%で、 全体平均は 5.79 点であった。また、目標値の達成率は 90.2%であった。 協会企画型 海外研修の総合評価 (研修生による評価) N=1,399 評価3: 19名, 1% 評価4: 112名 8% 評価2: 4名, 0.3% 7=大変高い 評価7: 274名 20% 評価1: 2名, 0.1% 評価5: 267名 6=かなり高い 5=どちらかと言えば高い 19% 4=高いとも低いとも言えな い 評価6: 721名 52% 3=どちらかと言えば低い 2=かなり低い 1=大変低い 2. 研修生総合評価と達成率 下表の海外研修評価結果の表示方法に基づき、次項に「協会企画型」海外研修の各コース別 評価結果をまとめた。 海外研修評価結果の表示方法 評価項目 研修生 評価結果 6.00以上 参加した研修コースに対する総合満足度の平均 5.50以上 6.00未満 値 総合評価 5.00以上 5.50未満 4.50以上 5.00未満 目標値:5.00以上 4.50未満 90%以上 各研修参加者の総合満足度が目標値(5.00以上 80%以上 90%未満 /7.00)に達した割合 達成率 70%以上 80%未満 50%以上 70%未満 目標値:70%以上 50%未満 表示方法 A B C D E ☆☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆ ☆ なし 総合評価が目標値の 5.00 点以上(A、B、C評価)、かつ達成率が 70%以上(☆☆☆☆、 ☆☆☆、☆☆)の評価を得たコースが 41 コース中 38 コースあった。 -69- 2009年度「協会企画型」海外研修コース別評価結果 実施国 カンボジア 中国 インド No. 研修技術 都市 ラオス マレーシア ミャンマー パキスタン フィリピン タイ ベトナム 研修 研修生 日数 総合評価 達成率 1 企業内物流革新(物流管理) プノンペン 47名 3日 A ☆☆☆☆ 2 工場における産業廃棄物の減量化 青島 37名 3日 B ☆☆☆ 3 工場における産業廃棄物の減量化 大連 13名 3日 A ☆☆☆☆ 4 設備保全活動 デリー 32名 2日 B ☆☆☆☆ 5 設備保全活動 アラウンガーバード 28名 2日 B ☆☆☆☆ 6 現場改善(基礎)1 チェンナイ 38名 2日 B ☆☆☆☆ 7 日本的生産管理諸活動の進め方 デリー 43名 2日 B ☆☆☆☆ 8 日本的生産管理諸活動の進め方 チェンナイ 44名 2日 A ☆☆☆☆ デリー 40名 2日 B ☆☆☆ 10 設備効率化による生産性向上 バンガロール 36名 2日 B ☆☆☆☆ 11 現場改善(基礎)2 チェンナイ 38名 2日 B ☆☆☆ 12 QC的問題解決実践 デリー 46名 2日 C ☆☆☆ 13 QC的問題解決実践 プネ 44名 2日 B ☆☆☆☆ 14 リーダーシップ養成 ブカシ 57名 2日 C ☆ 9 設備効率化による生産性向上 インドネシア 人数 15 リーダーシップ養成 スマラン 56名 2日 C ☆☆☆ 16 品質管理の基礎 ブカシ 57名 2日 C ☆☆ 17 品質管理の基礎 ジャカルタ 58名 2日 C ☆ 18 企業内物流革新(物流管理) ビエンチャン 32名 3日 A ☆☆☆☆ 19 企業内物流革新(物流管理) クアラルンプール 40名 3日 C ☆☆☆ 20 QCストーリーによる問題解決 クアラルンプール 29名 2日 A ☆☆☆☆ 21 QCストーリーによる問題解決 ジョホールバル 30名 2日 B ☆☆☆ 22 生産管理と改善活動 クアラルンプール 29名 3日 B ☆☆☆ 23 縫製企業の新市場開拓に向けた工場革新 ヤンゴン 40名 3日 A ☆☆☆☆ 24 現場改善実践 カラチ 54名 2日 C ☆☆ 25 現場改善実践 ラホール 55名 2日 C ☆☆ 26 管理者としての基礎 ラグナ 44名 2日 B ☆☆☆☆ 27 管理者としての基礎 セブ 24名 2日 A ☆☆☆☆ 28 QC的問題解決思考と実践 カビテ 39名 2日 A ☆☆☆☆ 29 QC的問題解決思考と実践 セブ 35名 2日 A ☆☆☆☆ 30 企業内物流革新(物流管理) バンコク 42名 3日 B ☆☆☆☆ 31 IEの実践的活用1 バンコク 24名 3日 B ☆☆☆☆ 32 グリーンプロダクティビティによる競争力向上 バンコク 28名 3日 A ☆☆☆☆ 33 グリーンプロダクティビティによる競争力向上 アユタヤ 13名 3日 B ☆☆☆☆ 34 IEの実践的活用2 24名 3日 B ☆☆☆☆ 35 日本市場に向けた創造的デザインコンセプト チェンマイ 33名 3日 A ☆☆☆☆ 36 現場改善実践1 ハノイ 29名 3日 A ☆☆☆☆ 37 IEの実践的活用1 ホーチミン 28名 4日 B ☆☆☆☆ 38 現場改善実践2 ハノイ 24名 2日 B ☆☆☆☆ 39 IEの実践的活用2 ホーチミン 26名 3日 A ☆☆☆☆ 40 IEの実践的活用1 ハノイ 28名 4日 N/A N/A 41 IEの実践的活用2 ハノイ 27名 3日 A ☆☆☆☆ バンコク 研修コース合計 41 人数合計 -70- 617名 Ⅲ 「案件募集型」海外研修の実績 海外研修のうち、「企業・団体等協力機関の申請を募って実施する「案件募集型」海外研修コー スは計 33 コースで、研修参加者は 1,861 名であった。内訳は開発途上国で当該国在住の研修生 を対象に実施する通常型が 31 コース・1,814 名、産業高度化が一定程度進んだ国に周辺途上国 の研修生を招聘して研修を行う第三国型が 2 コース・47 名であった。前年度実績と比較すると、コ ース数は 13 コース減(46→33 コース)、研修生数は 400 名減(2,261→1,861 名)であった。 2009 年度「案件募集型」海外研修コース数・研修生数実績 コース型 コース数 研修生数 通常型 31 コース 1,814 名 第三国型 2 コース 47 名 合計 33 コース 1,861 名 1. 国別の研修生実績 「案件募集型」海外研修の研修生出身国は計 15 カ国で、バングラデシュが最も多く全体の 19%、続いてタイ(14%)、インド(13%)、中国(13%)、インドネシア(11%)、ベトナム(8%)といっ た順であった。地域としては、アジアが 1,664 名で全体の 89.4%と大半を占め、その他はアフリカ 6.0%(112 名)、およびヨーロッパ 4.6%(85 名)であった。 案件募集型 海外研修の研修生実績 (国別) マレーシア 81名, 4% その他 226名 12% 南アフリカ 112名, 6% N = 1,861 バングラデシュ 324名, 19% タイ 245名,14% ベトナム 149名, 8% イ ン ト ゙ネ シア 2 0 4 名 ,1 1 % 中国 235名,13% インド 238名,13% -71- バングラデシュ タイ インド 中国 インドネシア ベトナム 南アフリカ マレーシア その他 2. 研修対象国別のコース実績 2009 年度に実施した「案件募集型」海外研修計 33 コースについては、国によるコース数の差 は少なく、タイ対象が 5 コース、次いでバングラデシュ対象が 4 コース、インド、インドネシア、ベト ナム、中国対象がそれぞれ 3 コースであった。 案件募集型 海外研修のコース数実績 コース N = 33 10 8 6 4 5 4 4 3 2 0 3 3 3 2 タイ バングラ デシュ インド インドネシア ベトナム 中国 2 2 フィリピン マレーシア 南アフリカ その他 3. 研修日数別のコース実績 最も多い研修日数は 5 日間で、計 11 コース開催された。次いで 2 日間の計 10 コースであった。 一週間以内(6 日以内)の研修コースが全体の 97%を占めた。 案件募集型 海外研修のコース数実績 (コース日数別) 「8日間以上」 1コー ス, 3% 「6日間」 2コー ス, 6% 「2日間」 10コー ス, 32% 「5日間」 11コ ー ス, 36% 2日間 3日間 4日間 5日間 6日間 8日間以上 「4日間」 4コ ー ス,13% -72- 「3日間」 3コ ー ス, 10% Ⅳ 「案件募集型」海外研修の評価 1. 満足度評価 「協会企画型」海外研修同様行った満足度評価の結果は、7 点(最高点)が 34%、6 点が 39%、 5 点が 20%で、全体平均は 5.97 点であった。また、目標値の達成率は 92.5%であった。 案件募集型 海外研修の総合評価 (研修生による評価) N=1,670 評価3: 27名, 1.7% 評価4: 95名 6% 評価2: 2名, 0.2% 7=大変高い 6=かなり高い 評価1: 1名, 0.1% 評価5: 327名 評価7: 567名 20% 34% 5=どちらかと言えば高い 4=高いとも低いとも言えない 3=どちらかと言えば低い 評価6: 651名 2=かなり低い 39% 1=大変低い 2. 研修成果に対する協力機関の評価 「案件募集型」海外研修では協力機関による評価も実施している(目標評点:7 点満点中 5 点)。 研修の成果に関する総合評価結果の全体平均は 6.12 点、目標値達成率は 100%であった。 案件募集型 海外研修の総合評価 (協力機関による評価) 評価4: 評価3: 評価2: 評価1: 0 0 0 0 コース コース コース コース N=33 7=大変高い 評価5:3コース 9% 評価7: 7コース 21% 6=かなり高い 5=どちらかと言えば高い 4=高いとも低いとも言えない 3=どちらかと言えば低い 評価6: 23コース 2=かなり低い 70% 1=大変低い -73- 3. 海外研修コース評価一覧(案件募集型) 「案件募集型」海外研修の各コース別評価結果一覧を次項に示す。評価結果の表示方法は次 の通りである。 海外研修評価結果の表示方法 評価項目 評価結果 6.00以上 参加した研修コースに対する総合満足度の平均 5.50以上 6.00未満 値 総合評価 5.00以上 5.50未満 4.50以上 5.00未満 目標値:5.00以上 4.50未満 90%以上 各研修参加者の総合満足度が目標値(5.00以上 80%以上 90%未満 /7.00)に達した割合 達成率 70%以上 80%未満 50%以上 70%未満 目標値:70%以上 50%未満 研修生 大変高い かなり高い どちらかと言えば高い 高いとも低いとも言えない どちらかと言えば低い かなり低い 大変低い わからない 実地した研修コースの研修成果 協力機関 総合評価 目標値:5以上 表示方法 A B C D E ☆☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆ ☆ なし 7 6 5 4 3 2 1 0 研修生の総合評価が目標値の 5.00 点以上(A、B、C評価)、達成率が 70%以上(☆☆☆☆、 ☆☆☆、☆☆)、かつ協力機関の総合評価が 5 点以上(7、6、5)の評価を得たコースが 33 コース 中 31 コースあった。 2009年度「案件募集型」海外研修コース評価一覧 1)通常型 実施国 No. 研修技術 42名 研修生 総合評価 達成率 ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆ 協力機関 評価 ダッカ 46名 3日 チッタゴン 45名 3日 チッタゴン 48名 5日 ダッカ 51名 5日 4 最新織布機械の保守・管理 ダッカ オフショア開発プロジェクトマネジメン 南京 5 ト 咸陽 6 経営に役立つ知的財産権保護と活用 遵義 歯科技工材料及び人工歯の使用方 上海 7 法 50名 2日 30名 10日 C ☆☆☆☆ 80名 2日 80名 2日 B B ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ 5 45名 3日 A ☆☆☆☆ 7 2 縫製工場における生産管理 3 工業用ミシンの保守・管理 中国 ダッカ 人数 A A B A A A C 1 工業用ミシンの保守・管理 バングラデシュ ナラヤンガンジ 研修 日数 42名 5日 都市 -74- 5日 6 6 6 5 6 実施国 No. 研修技術 ミャンマー フィリピン タイ ベラルーシ トルコ 2日 51名 4日 4日 スマラン 44名 5日 ジャカルタ 44名 5日 流体機械および空調設備の省エネル ブカシ ギー スラバヤ 24名 4日 18名 4日 バンドン 42名 5日 スマラン 32名 5日 ビエンチャン 30名 14 工業用ミシンの保守・管理 バリュ-・ストリ-ム・マッピング(VS クアラルンプール 15 25名 M) 電力ケーブル工事技術とケーブル接 クアラルンプール 16 56名 続技術 ヤンゴン 33名 バイオエネルギー産業のサプライ 17 チェーンマネジメント マンダレー 35名 5日 2日 B ☆☆☆☆ 6 7 4日 A ☆☆☆☆ 6 3日 ☆☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆ 12 バンコク 55名 2日 ハノイ 44名 5日 ホーチミン 48名 5日 33名 2日 A A B B C C D D C A A C 24名 5日 B ☆☆☆ 31名 5日 A ☆☆☆☆ 3日 18 溶接管理技術者養成 マニラ 36名 6日 19 溶接管理技術者養成 セブ 25名 6日 20 製品製造における初期管理 バンコク 40名 2日 21 ロスとコストのマトリックスツリー バンコク 40名 2日 22 品質保全 バンコク 55名 2日 23 リーン生産方式 バンコク 55名 2日 25 縫製工場における生産管理 南アフリカ 2日 32名 ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ 協力機関 評価 45名 24 ローコスト・オートメーション ベトナム 30名 達成率 チェンナイ 13 縫製工場における生産管理 マレーシア 5日 リーンプロダクションのための改善技 チェンナイ 術 デリ- 11 工業用ミシンの保守・管理 ラオス 40名 研修生 総合評価 デリ- 9 10 縫製工場における生産管理 インドネシア ティルプール 人数 A A B B B B A A C A B A A 8 工業用ミシンの保守・管理 インド バンガロール 研修 日数 40名 5日 都市 26 変革型リーダーの養成 ハノイ オフショア開発プロジェクトマネジメン ハノイ 27 ト ラステンバーグ 28 現場の問題解決・改善技法 火力発電設備の予防保全と環境改善 ヨハネスブルグ 29 技術 30 工業用ミシンの保守・管理 ミンスク 81名 4日 A ☆☆☆☆ 31名 5日 31 縫製工場における生産管理 36名 5日 B A ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ イスタンブール 7 6 6 6 6 6 7 6 6 6 6 6 6 6 7 5 6 7 6 6 6 1814名 研修コース合計 31 2)第三国型 実施国 タイ ブルガリア No. 研修技術 1 エネルギーの効率的利用法 2 鉱山廃水処理1 鉱山廃水処理2 研修コース合計 2 都市 バンコク ソフィア 研修 研修生 日数 評価 29名 8日 B 人数 18名 47名 -75- 5日 5日 A A 研修生評価 (目標値達成率) ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ 協力機関 評価 6 7 第 5 章 受入研修環境 -76- Ⅰ 受入研修環境(受入研修)の実績 産業技術者育成支援研修事業によって 2009 年度に日本に受け入れた研修生のうち、当年度 内に一般研修および管理研修を終了した研修生は合計 2,578 名であった。内訳は一般研修が 1,341 名(52%)、管理研修が 1,237 名(48%)とほぼ半数ずつで、それぞれ東京、横浜、関西お よび中部の各研修センターにおいて開催された受入研修に参加した。研修センター別に見てみる と、東京、中部の両研修センターでは管理研修が多く、横浜、関西は一般研修が多かった。特に 東京研修センターは 7 割以上の研修生が管理研修参加者であった。 研修種別による実績(四館合計) 管理研修 1237名 48% 一般研修 1341名 52% 研修種別による実績(TKC) 一般研修 120名, 27% 一般研修 管理研修 研修種別による実績(YKC) 一般研修 管理研修 一般研修 524名, 64% 管理研修 329名, 73% 研修種別による実績(CKC) 研修種別による実績(KKC) 管理研修 300名, 39% 一般研修 管理研修 管理研修 295名, 36% 一般研修 管理研修 管理研修 313名, 58% 一般研修 473名, 61% -77- 一般研修 224名, 42% 一般研修 管理研修 Ⅱ 受入研修環境に関する評価 1. 満足度評価 (1) 全体の評価 AOTS では研修生が研修に集中し、所期の目的を達成することができるよう、宗教や食事、生 活習慣の違いによる心身の負担を軽減し研修生が快適に過ごせる生活環境の提供が必要不可 欠な要素であると捉えている。そこで AOTS では研修センターはもう1つの我が家“Home Away From Home”としての役割と機能を担うべきであると考え、食堂での食事制限のある研修生への 対応や、個室の提供、共有スペースの充実、休日・夜間を含めた研修生からの相談等にも力を注 いでいる。 受入研修の環境面に関する評価については、一般研修終了時に研修生による総合満足度評 価を行っており、目標評点を 5 点満点中 4 点に設定しているが、評価結果は 5 点(最高点)が 68%、4 点が 30%で、全体平均は 4.67 点であった。また、目標値の達成率は 98.4%であった。 研修環境の評価 研修生による総合満足度 2点, 0人, 0% 3点, 39名, 2% 1点, 0人, 0% N= 2,41 4 5 点 1 点 4点 714名, 30% (良い) (悪い) ※ A OT Sの 定 め る目 標 値 = 4.0 5点 1,661名, 68% 5点 4点 2点 1点 3点 (2) センター別/研修種類別の評価 総合満足度評価を研修センター別、および研修種類別に見てみる。本評価結果は研修センタ ーの立地・アクセス、センターでの滞在期間などの影響を受けると思われるが、一般研修に比べ 管理研修の方がやや低い評価が散見される程度で、研修センターの違いによる明らかな評価結 果の差異は見受けられない。総合満足度の目標評点の達成率から見て、どの研修センターにお いても日本で快適に生活し研修に参加できる環境が提供できていると言えよう。 -78- 研修環境の評価 [総合満足度] センター別・研修種類別(一般研修/管理研修) ※ A OT S の 定 め る 目 標 値 = 4 .0 100% 75% 5点 80.8% 5点 59.4% 5点 71.5% 5点 66.3% 5点 73.4% 5点 62.3% 5点 68.0% 5点 71.7% 5点 4点 3点 50% 4点 36.8% 25% 0% 3点 3点 3.8% 0.4% / \ 3点 4点 2.0% 17.2% \ 一般 研修 管理 研修 4点 28.1% 一般 研修 TKC N= 一般研修 管理研修 4点 33.0% 4点 3点 3点 26.4% 0.7% 0.2% / \ 管理 研修 一般 研修 YKC TKC YKC 99名 313名 4点 35.9% 4点 28.9% 3点 3点 3.1% 1.8% / \ 管理 研修 一般 研修 KKC KKC 491名 279名 4点 26.0% 3点 2.3% / 管理 研修 CKC CKC 425名 287名 220名 300名 2. 研修センターの生活についての満足事項 受入研修環境に関する評価について、「研修センターでの生活についてどのような事柄に満足 しているか」という質問を行ったところ、半数以上の研修生が「研修コースに専念するために良い 環境であった」と答え、研修施設としての AOTS の研修センターの機能に満足していることが分か った。また、研修センター内における交流に関しては、「他の国の研修生と交流するための良い機 会となった」が、同じ国の研修生との交流よりも満足度が高いことから、研修センターが研修生に 対して日本での滞在をサポートする機能を果たすとともに、国際交流・相互啓発の場としても機能 していると言える。 研修環境の評価 (研修センターでの生活に関する印象) 53.8% 研修コースに専念す る ために良い環境であった。 49.5% 日本の生活に適応す る ために良い環境であった。 44.0% 他の国の研修生と交流す る 良い機会となった。 42.0% 日本人と交流す る 良い機会となった。 40.3% 同じ国の研修生と交流する 良い機会となった。 その他 0.0% 3.7% 10.0% 20.0% 30.0% -79- 40.0% 50.0% 60.0% 第 6 章 事後評価 - 80 - Ⅰ 概要 1. 目的 開発途上国において社会的に重要な地位にあり、高い見識を有する帰国研修生及び関係者か ら、産業技術者育成支援研修事業の意義と効果について意見を聴取し、今後の産業人材育成ニ ーズや AOTS への期待について示唆を得る。 2. 調査対象国 マレーシア、フィリピン、ベトナム マレーシア、フィリピン、ベトナムは、産業技術者育成支援・受入研修事業による受入研修生数 の多い順で上位国であり、これらの国と日本は近年一貫して緊密な経済関係を築いており、貿 易・投資額も極めて大きいことから調査対象国とした。なお、同様の調査を 2007 年度には中国、 タイ、インドネシアを、2008 年度はインド、メキシコを対象国として実施している。 3. 調査員、調査時期 (1)マレーシア: AOTS 経営戦略室事業戦略・評価グループ 古橋 美穂 2010 年 3 月 5 日~12 日 (2)フ ィリ ピン : AOTS 経営戦略室事業戦略・評価グループ 三谷 知 2010 年 3 月 15 日~18 日 (3)ベ ト ナ ム : AOTS 経営戦略室事業戦略・評価グループ 江口 健一郎 2010 年 3 月 9 日~13 日 4. 主なインタビュー項目 項目 ●帰国研修生 (1) AOTS 研修参加の経緯 (2) AOTS 研修で印象に残ったこと (3) AOTS 研修で学んだこと (4) 帰国後の活躍と成果 (5) 帰国後の成果がもたらした直接効果と波及効果 (6) 現在の産業人材育成ニーズ (7) AOTS に対する今後の期待 - 81 - ○関係者 5. 調査対象者 ●帰国研修生、○関係者 (1) マレーシア (インタビュー日時順に掲載) 氏名 ● Dato’Koay Kar Huah 氏 ● Lee Kam Fong 氏 所属・役職 (インタビュー当時) インタビュー日 研修 年度 元ペナン州行政責任者 (公共事業・ 2010 年 公益事業・運輸担当大臣) 3月5日 JABIL CIRCUIT SDN BHD. 2010 年 [2002] Human Resources Manager 3月5日 [2005] 2010 年 [2003] 3月8日 ※ [1985] AOTS クアラルンプール同窓会 (Persatuan Alumni AOTS ● Yang Chor Leong 氏 Malaysia: PAAM) 会長 Strategic Alliance Resources (ASIA PASIFIC) SDN.BHD. Executive Director ● Tan Sri Datuk Zainal Abidin Sulon 氏 元マレーシア工業開発庁 (Malasia Industrial Development Authority:MIDA) 長官 2010 年 3月8日 [1988] SUMITOMO ELECTRIC ● Theodore K. C. Wong 氏 SINTERED COMPONENTS (M) 2010 年 SDN. BHD. 3月9日 [1993] General Manager AEON CO. (M) BHD. ● Irene Khor Kim Ean 氏 JUSCO Bandar Sunway Store, Store manager ● ● Huang Ser Seong 氏 J. K. Wire Harness Sdn. Bhd. 2010 年 [2004] 3 月 10 日 [2008] 2010 年 General Manager, Factory 3 月 11 日 Md. Salikon Bin Sarpin MSC Cyberport Sdn. Bhd. 2010 年 氏 Executive Vice Chairman 3 月 11 日 [2009] [2000] 自動車機件貿易/Perniagaan ● Richard Eng Soi Tee 氏 Alat-alat Ganti Kereta Jidosha 2010 年 Richaard Importer and Exporter 3 月 12 日 Enterprise, Owner ※貿易投資円滑化等協力研修事業ロジスティクス研修コースに参加 - 82 - [1981] (2) フィリピン (インタビュー日時順に掲載) 所属・役職 氏名 インタビュー日 (インタビュー当時) 研修 年度 Toyota Autoparts Philippines, Inc ○ 菊池 一哉 氏 Director, Division Manager 2010 年 Treasury & Comptrollership 3 月 15 日 ‐ Division Philippine Chamber of Commerce ○ Crisanto S. Frianeza 氏 and Industry 3 月 15 日 Secretary General ○ Victoria S. Licuanan 氏 ○ Evelyna C. Avila 氏 ● Myrna T. Yao 氏 ● AL V. Daos 氏 ● Juanito M. De Vera, Jr. 氏 ● Ng Kar Choon 氏 ○ 石原 篤 氏 ○ 藤井 伸夫 氏 2010 年 Asian Institute of Management 2010 年 3 月 15 日 Dean Bangko Sentral ng Pilipinas 2010 年 3 月 16 日 Assistant Governor Richwell Trading Corporation 2010 年 3 月 16 日 Chief Operating Office Philippine Electric Corporation 2010 年 Production Head Philippine Electric Corporation 3 月 16 日 Head, Operations Support Group Ergo Contracts Philippines, INC. 2010 年 3 月 17 日 Chief Executive Officer TAKUMA TEC Philippines, Inc. 2010 年 3 月 17 日 President フィリピン日本人商工会議所 2010 年 3 月 18 日 副会頭 ‐ ‐ ‐ [2007] [2006] [2006] [2009] ‐ ‐ (3) ベトナム (インタビュー日時順に掲載) 氏名 ● Vo Quoc Thang 氏 所属・役職 (インタビュー当時) インタビュー日 研修 年度 Dong Tam Group 2010 年 [2005] Chairman 3月9日 [2006] - 83 - ● Vu Thi Thu Hang 氏 ● Nguyen Minh Tri 氏 ● Dao Anh Tuyet 氏 ● Pho Duc Thuy Tien 氏 ● Nguyen Tat Phuoc 氏 ○ Huynh Mui 氏 プラスベトナム工業株式会社 2010 年 執行役員 情報管理部 部長 3 月 10 日 2010 年 資生堂ベトナム有限責任会社 2010 年 タンロン技術学院 ジェクト委員会 経済技術部長 KOVA Paint Co., Ltd. ● ○ Ngo Sy Quang 氏 Nghiem Vu Khai 氏 ‐ 3 月 11 日 学院長 Nguyen Viet Vuong 氏 [2009] 3 月 10 日 ハノイ市建設局ハノイ博物館建設プロ ● [2005] [2003] 3 月 12 日 [2006] [2005] 2010 年 General Director [2006] 3 月 12 日 ベトナム社会主義共和国 国会議員 国会科学技術環境委員会 副会長 越日友好議員連盟 2010 年 副会長 [2007] 2010 年 ‐ 3 月 13 日 (4) 調査対象者数一覧 マレーシア フィリピン ベトナム 計 ●帰国研修生 9名 4名 8名 21 名 ○関係者 ‐ 6名 2名 8名 計 9名 10 名 10 名 29 名 - 84 - Ⅱ インタビュー結果 ~マレーシア~ 調査日:2010 年 3 月 5 日 元ペナン州行政責任者 (公共事業・公益事業・運輸担当大臣) Dato’Koay Kar Huah 氏 1985 年度 AOTS 管理研修参加 経歴 1971 年、マラヤ大学卒業後、Motorola 社へエンジニアとして入社。その後、藤倉電線(現、㈱フジ クラ)との合弁会社である Federal Cable 社で工場長を務める。1985 年に AOTS 生産管理研修 コース(PMTC)へ参加し、生産管理技術を学ぶ。帰国後は品質保証マネージャー等を歴任。 1995 年ペナン州政府青年・競技担当大臣、1999 年に同公共事業・公益事業・運輸担当大臣に 就任し、2008 年まで 3 期にわたり大臣を務める。現在は、建築資材のサプライヤー企業、および LED 製品の製造・販売企業を経営している。 AOTS との出会い 私が AOTS と出会ったのは、1985 年ごろ、当時藤倉電線株式会社(現、株式会社フジクラ)との 合弁会社であった Federal Cable 社で工場長(Factory manager)をしていたときです。すでに AOTS の研修に参加し AOTS ペナン同窓会で活動をしていた友人から、AOTS についてや日本 での研修について、応募方法など、詳しく教えてもらいました。日本で、政府からの資金サポート を受けながら、生産管理技術が学べるという AOTS のプログラムは非常に魅力的に感じました。 そして私は 1985 年、AOTS の PMTC コース(生産管理研修コー ス)に応募し、参加する機会を得たのです。 藤倉電線時代の Dato' Koay 氏 - 85 - PMTC コースで学んだこと PMTC コースでは中部研修センターに 6 週間滞在しながら工場管理について学びました。具体 的には、5S やカイゼン、TPS、QC などの管理技術を包括的に学ぶことができました。当時私は工 場長として、生産計画、生産調整、品質管理、メンテナンス、在庫管理など、工場の全ての責任を 負っていましたので、研修で学んだ管理技術はどれも非常に役立つ内容ばかりでした。特に印象 的だったのが、複数の日本企業を見学してまわる研修旅行です。教室で知識を学ぶだけではなく、 日本の工場を見学しながら実際に日本企業でどのように学んだ管理技術が使われているのかを この目で見ることができたおかげで、教室で学んだことをより深く理解することができたと思います。 さらに研修の一環として、現場を見学した後に自分なりの改善提案をレポートにまとめ、発表をす るという課題も出されました。これはとても実践的で帰国後自社で実践するためのよい練習となり ました。このように PMTC コースは業務に役立つ有意義な研修であり、一生の経験になったとい えます。 研修中の思い出 研修旅行を通して日本の様々な地域が見られたことも、日本社会を理解する上でとても良い経 験になったと思います。当時来日前に私が持っていた日本の印象は、東京や大阪、名古屋などの 発展した都市のイメージでした。しかし研修旅行で地方都市や移動中の田園風景などを目にし、 日本にもこうした田舎の部分があるのだと思い、とても親近感を得たことを覚えています。 工場見学で今でもよく覚えていることは、日本人作業員の真面目な勤務態度です。ある工場で、 機械のひとつひとつの工程を、1、2、と声に出し指さし確認をしながら作業をされている方がいま した。私はてっきり、新人作業員が手順を覚えるために声に出しながら作業をしているのだと思い ました。しかし、その方に話しを聞くと、実は勤続 10 年のベテランの作業員だということがわかりま した。この職場では、安全確認のために必ず声に出して作業をすることが決められており、そのル ールを 10 年目のベテラン作業員もきちんと順守していたのでした。私の国でもし同じ規則があっ たとしても、たいていの人は作業に慣れるとすぐにそのような規則は忘れてしまいます。まして 10 年間も続けるなどということはありえません。私はこの時、こうした規則を作業員一人一人がきち っと守ることによって、日本の高い品質は作られているのだと強く感じました。私はこのような日本 人作業員一人一人の行動規範・意識の高さに非常に感銘を受け、マレーシアはこうした仕事に対 する意識を大いに学ぶべきだと強く感じたことを覚えています。 滞在中の日本での生活も、非常に思い出深いものでした。私は中華系マレー人ですので、日本 人に間違われることがよくありました。ある食堂で他の研修生と食事をしていたときにも、となりの テーブルの男性が日本語でたくさん話しかけてきました。私は、「はい、はい、」とうなずいていまし たが彼の話していることがよく理解できません。その男性は、私が日本人でないとわかると、とて もびっくりしていました。そのとき、私はこの日本語を覚えたのです:「私は日本人ではありません」。 こうした日本の人々とのふれあいも私には非常に楽しい思い出です。日本人はとてもフレンドリー だと思います。 - 86 - 研修旅行にて、日本の文化に触れる (中央が Dato’ Koay 氏) 帰国後の活動 日本から帰国後、私はすぐに学んだ管理技術を社内で共有し、自社の現場に取り入れる努力 をしました。初めのうちは、日本から持ち帰った新しいアイデアを従業員に受け入れてもらうのに 時間がかかりましたが、歩みは遅くとも少しずつ理解を得ながらアイデアを浸透させていきました。 そして、徐々にわが社の生産性・品質は向上し、結果として利益の増加という形で成果が現れて きたのです。日本で学んだことを現地に適応させていくことは、少しずつではありますが職場に非 常に有益な変化をもたらしてくれました。 また、帰国後は他の帰国研修生とも経験を共有し、交流を深めるため、AOTS のペナン同窓会 へ参加し活動を始めました。以来今日まで、定期的なミーティングへの参加、また同窓会主催の セミナーへも積極的に参画しています。昨年(2009 年)には、クアラルンプール同窓会と協力し、 AOTS の巡回セミナー1のスキームを活用して、日本から専門家を招聘した廃棄物管理のセミナ ーを実施しました。マレーシアでも環境に対する意識が年々高まっており、AOTS だけでなく様々 な団体によってセミナーやイベントが各地で行われています。またマレーシア政府も環境関連の 規制を整え始めています。こうした社会状況の中、マレーシアの同窓会が日本と協力をして環境 意識の啓蒙的セミナーを実施することは、マレーシア社会への貢献という意味でも非常に有意義 であったと思います。 また私自身も、地球環境を守ることは非常に重要なことだと思っています。例えば、工場からの 排水に有害物質が入っていたら、川を汚染し、そこに生息する魚も汚染され、ひいてはそれを食 べる人間にも甚大な被害がおよびます。このようなことは決して起こしてはいけません。AOTS も 2009 年に環境方針2を作成されたと聞きましたが、大変すばらしいことだと思います。こうした各自 の活動ひとつひとつがやがて良い結果を導くのだと思います。 AOTS 同窓会からの申請に基づき、日本から講師を派遣しセミナーを実施する AOTS の 同窓会支援事業。毎年 4-5 プログラムほど開催。詳細は、AOTS ホームページに記載。 (http://www.aots.or.jp/jp/about/dosokai/kyouryoku.html) 2 、AOTS が「環境に優しい研修専門機関」となるため、事業活動から生じる環境への負荷 低減と環境保全活動を積極的に実施することを定めた方針。詳細は、AOTS ホームページ に記載。(http://www.aots.or.jp/jp/env/091028/091028.html) 1 - 87 - マレーシア産業界への AOTS の貢献 AOTS はこれまで累計 10,000 人近くのマレーシア研修生を受け入れてこられ、近年では、一般 研修へ年間約 100 人、管理研修へ約 40 人のマレーシア人を受け入れていると聞きます。この数 字からも分かる通り、AOTS はマレーシア経済の発展に、技術者・管理者育成の面で非常に大き な貢献をしていただいていると感じています。これまでは、私が参加した研修も含め、生産管理や 品質管理など、製造に関する研修が多かったと思いますが、これからのマレーシアの経済発展に は、研究開発やブランディング・マーケティングの分野での能力向上が求められていると思います。 AOTS にもぜひこの分野での人材育成に積極的なご協力をいただきたいです。マレーシアには、 日本のトヨタやパナソニックのように世界的に名が知られている企業がほとんどありません。マレ ーシアの更なる発展のためにも、こうしたグローバル企業の育成が重要だと考えます。そのため に、日本の経験を共有してもらいたいと思います。また、技術や知識を本当に学ぶためには、その 背景にある国の文化や人々の行動様式、勤労態度などをよく理解することが重要です。そのため にも、ぜひ日本に行って学ぶ、というスキームは維持していただきたいです。 おかげさまでマレーシア経済は順調に発展を続けてきました。今後もぜひ引き続き、マレーシア の人材育成のために協力を継続していただきたいと心から願っています。 1985 年中部研修センターの前で - 88 - 調査日:2010 年 3 月 5 日 JABIL CIRCUIT SDN BHD. Human Resources Manager Lee Kam Fong 氏 2002 年度,2005 年度 AOTS 管理研修参加 経歴 1981-1995:高校教師(英語・マレー語) 1995-2007:VARITRONIX (M) Sdn. Bhd.にて Training & Development Section Head、HR Manager を歴任。 2002:AOTS SHOP コースへ参加。 2005:AOTS PCCM コースへ参加。 2006:マレーシアでの WNF セミナー 3 にて現地講師を務める。(Leadership development seminar)同年、VARITRONIX 社のマレーシア撤退後、IQ グループ勤務、コンサルタントとして 活躍後、現職に就く。 2007:エジプトでの WNF セミナーにて講師を務める。 “Thanks to ‘Kaizen’, I had a multitude of doors opened towards success in my life.” (2008.5.19. Lee Kam Fong in Ex-AOTS’participant’s success story report) 私のこれまでのキャリアを振り返ると、AOTS の研修を通じて、多くの学びの機会を与えられ、人 生の成功へのステップを踏み出すことができました。AOTS には本当に感謝しています。 「成功者」への道 私の初めての仕事は高校の英語・マレー語の教師でした。教師をしながらも、新聞やテレビでみ かけるいわゆる「成功者」の人たちを見て、私もいつか彼らのような「成功者」になりたいと野心を 抱いていました。しかし、当時は小さな二人の子供たちを立派な大人に育てることが私の最優先 事項でしたので、高校教師をしながら育児に没頭している日々でした。子供たちが高校を卒業し、 手がかからなくなった頃、私は一大決心をしました。それは、産業界への転職という大きなチャレ 3 AOTS 同窓会から自主的に提唱された開発途上国の自助努力と相互協力による南南協力活 動。詳細は、AOTS ホームページに記載(http://www.aots.or.jp/jp/about/dosokai/wnf_j.html) - 89 - ンジをするということです。「成功者」のほとんどは教育分野ではなく産業界の人々でした。ですか ら私もいつまでも教師を続けていては、夢である「成功者」にはなれないと思い、転職活動を始め たのです。 転職は非常に困難なものでした。教育分野に 14 年近くもいた人材は産業界では使い物になら ないと判断する企業が多く、企業求人に片端から応募しても、不採用が続きました。簡単な事務 職ですら職を得ることができなかったのです。そこで私は 1 年ほどパートタイムの仕事をしながら、 ビジネスに関する勉強を続けました。そしてようやく、液晶ディスプレイの製造企業である VARITRONIX 社が研修コーディネーターおよび事務職として私を採用してくださいました。給料 は教師の頃と比べると低かったですが、問題ではありませんでした。私はやっとチャンスをつかむ ことができたのです。 初めの仕事は、ISO9000 のための Operator Certificate Program を企画立案することでした。 初めてのことだらけでしたので、たくさんの本を読んで勉強しながらプログラムを作り上げました。 このプログラムは結果的に社内外で大変好評でした。特に主要取引先であった Motorola 社から の信頼を得るための、ひとつの大きな要素となったことは間違いありません。社内でも研修コーデ ィネーターとしての能力が評価され、その後、私はスーパーバイザー、オフィサー、班長(Section Head)、課長(Section Manager)、人事部長(HR Manager)と順調に昇進していきました。 AOTS との出会い AOTS と出会ったのは、人事部長をしていた 2000 年の頃でした。当時、他社の人事責任者とも 横のネットワークを持っていましたので、その中の知人から AOTS の研修を薦められました。研修 プログラムはすばらしく、何より日本国政府より補助金がでるため安価な費用負担で参加できると いわれましたが、その時私は「ただより高いものはない」と思い、プログラムに対し少し疑いを持っ ていました。その後もその知人は研修を強く薦めてくれましたが、あまり興味がわかないまま日々 の業務に忙殺されていき、AOTS の存在自体を忘れていました。そして 1-2 年後、偶然にも新聞 で AOTS 研修の広告をみつけ、改めて調べてみることにしたのです。調べてみると、参加者の評 価が高く、価値のある研修であることがわかりました。そして、まずは VARITRONIX 社の財務担 当者を EPCM(企業経営研修コース)に派遣しました。その後、何人かのマネージャーを派遣した 後、2002 年に私自身が SHOP(人と組織の問題解決コース)に参加する機会を得たのです。 SYMLOG との出会いと研修の成果 私は 2002 年 CKC で実施された SHOP2 コースに参加しました。SHOP コースは社内の人的・ 組織的な問題解決のために主要な役割を果たすことのできる人材の育成を目的としたコースで、 世界 9 カ国から 20 人の、主に人事担当者が参加していました。研修では、主にディスクローズ・ シミュレーション、チームアセスメント、行動変容理論、改善マネージメントなどを講義・演習を通じ て学びました。また、トヨタ自動車や三洋電機、小松製作所などへ企業訪問もしました。SHOP の プログラムはどれをとっても非常にすばらしいもので、一言では言い尽くせないほどの多くの学び - 90 - を与えてくれました。何といっても、様々な国の参加者と議論を重ね、問題を分かち合い、共に学 ぶという経験は何物にも変えがたい貴重な経験となりました。また、SHOP コースで一番印象に 残っているのは、SYMLOG(System for the Multiple Level Observation of Groups)という集 団行動管理手法です。 帰国後は、AOTS で学んだことをできる限り応用し、周囲に広める努力をしました。手始めに、 CEO、GM と改善のコンセプトを共有し、このアプローチは必ず我が社に利益をもたらしてくれると 熱心に説得しました。また中間管理職、ラインリーダー・ワーカー向けには研修報告会を行い、同 コンセプトを共有しました。新たなコンセプトは、初めはなかなか受け入れてもらえませんでしたが、 続けるうちに共感してくれるスタッフが徐々に増え、社内に広まっていきました。ちょうどその頃は、 わが社としても、市場競争力を高めるため改善や改良が求められている時期でしたので、それを 達成するためにも、社員全員が一丸となって同じ目標に向かって努力することが求められていた のです。こうした意味でも、改善活動は非常に適切なコンセプトでありツールでもありました。作業 現場やオフィスでは小さな改善が継続的に行われるようになり、次第に社員の考え方も前向きに 変化していきました。また、改善活動の推進と並行して、私は SYMLOG を使った管理職研修を CEO に提案し、採用され、実施しました。 そして、これら改善活動の取り組みが本社からも評価され、同様の教育を中国工場でも展開す ることになりました。私は責任者として中国に派遣され、マレーシアと同様に、管理職・技術者・ス ーパーバイザー・リーダー等すべてのスタッフと改善のアイデアを共有し、浸透させることに努め、 中国でも結果を残すことができました。 いくつかのプロジェクトで結果を出すことができた頃、私は自分のさらなる能力向上の機会を模 索していました。その頃、私は SHOP コースで学んだ SYMLOG について、さらに知識を深めたい と思っていました。そこで、SHOP コースでお世話になった先生から、アメリカ・サンディエゴの大学 が提供している資格認定研修プログラムを紹介していただき、SYMLOG の研修に参加しました。 私の上司は非常に協力的で、初めは会社が費用を負担し派遣してくれるというありがたいお話を もらいました。しかし、これは私の個人的な関心であり、個人の能力向上を目的としたものでした ので、休暇取得のみを許可してもらって、自費で参加しました。あの時、暖かく理解しサポートして くれた VARITRONIX 社の経営陣には、今でも大変感謝しています。 また 2005 年には、AOTS の PCCM(国際管理研修コース)に参加をする機会を得ました。 PCCM では、異文化環境における国際企業経営の手法や日本企業での経営活動の事例につい て学びました。ここでも多様なバックグラウンドを持つ講師・参加者とのディスカッションを多いに楽 しむことができました。サンディエゴでの経験や PCCM を通じて、私の管理職としての視野は大き く広がり、その後携わった海外グループ会社関連業務や外国人従業員の採用業務などへ大いに 生かされたと確信しています。研修での学びを業務に最大限発揮することで、会社に、そして社会 にも大きく貢献できたのではないかと感じています。 - 91 - AOTS ペナン同窓会での活躍 その後も、私の社会に貢献したいという気持ちは大きくなっていきました。PCCM コースから帰 国した後、私は AOTS ペナン同窓会のドアをたたきました。同窓会のメンバーとなり、自分の得た 知識・経験を社会へ還元したいと思ったからです。同窓会の会長および役員の方々は皆さん優秀 で、特に人材育成に関して非常にクリエイティブでしたので、大いに刺激を受けました。2006 年に は、WNF(World Network of Friendship)プログラムのスキームを活用し、ペナン同窓会主催 の Leadership development seminar を開催し、エジプト、タイ、ベトナム、インド、ナイジェリア、 ミャンマー、バングラデシュ、から、合計 30 名近い参加者を受け入れました。私は、ボランティアで セミナー講師として参加させてもらいましたが、参加者との知的交流・文化交流は非常に楽しくエ キサイティングな経験でした。翌年、大変光栄なことに、セミナーに参加していたエジプト同窓会の 方から、同セミナーをエジプトで開催するよう誘われ、実施しました。 また、セミナー講師としての経験を生かして、ペナン同窓会が中産連と協力して実施した改善セ ミナーにも参加させていただきました。私は、改善のコンセプトがペナン社会に広がり多くの企業・ 社会がよい結果をあげていることに加え、自分の得た知識を生かして社会に貢献できていること を肌で感じることが何よりの喜びでした。AOTS の研修で学び、業務を通して実践してきた経験を、 社内・社外、そして国外にまで伝えることができ、とてもうれしく感じています。また同時に、これら の貴重な経験全てが私の糧となり、可能性を切り開いてくれたと確信しています。 2006 年 WNF セミナーで講師を務める。 2007 年 AOTS 海外研修。中産連から講師が 派遣され、Lee 氏も現地講師を務める。 2006 年 7 月、12 年間勤め上げた VARITRONIX 社は、中国工場への生産集中に伴い、マレ ーシア工場を閉鎖いたしました。上司・同僚に恵まれ、共に成長をさせてもらった職場でしたので、 非常に残念でした。その後は、IQ グループ、コンサルタントを経て、現在、JABIL 社の HR マネー ジャーとして働いています。 AOTS には、本当に多くの学びの機会を与えていただき、また、私の人生における成功へのス テップを踏み出させていただき、大変感謝しています。参加した2つの研修コースで指導してくださ った先生方、企業の皆様、また、同窓会の皆様にも心からお礼を申し上げたいです。セミナー講 - 92 - 師をさせていただいたときも、AOTS クアラルンプール事務所スタッフ、同窓会メンバーの皆様に サポートをしていただいたからこそ、チャレンジすることができたのだと思います。 マレーシアは、まだリーダーシップやモチベーション、人材管理スキルなどの“ソフトスキル”を持 った HR マネージャーが不足しています。AOTS には今後とも、優秀なマネージャーを育成する機 会を提供し続けていただきたいと心から願います。 - 93 - 調査日:2010 年 3 月 8 日 AOTS クアラルンプール同窓会 (Persatuan Alumni AOTS Malaysia: PAAM) 会長 Strategic Alliance Resources (ASIA PASIFIC) SDN.BHD. Executive Director Yang Chor Leong 氏 2003 年度 AOTS管理研修参加※ ※貿易投資円滑化等協力研修事業ロジスティクス研修コース 経歴 1970 年代:ヤンマーマレーシア社(海洋エンジン製造) 1978-1986:マレーシア松下電器にて Senior Materials Executive 1987-1990:FACB Industries(M)にて工場長 1999-2000:PDL Co.,Ltd(New Zealand)にて Quality Co-ordinator 2001-2004:R&R Industrial Products(M) Sdn.Bhd., Senior manager 2000-現在:Strategic Alliance Resources (ASIA PASIFIC) SDN.BHD., Executive Director また現在、マレーシアにおける物流の産業団体である Malaysian Institute of Purchasing & Materials Management(MIPMM)の副会長(1st Vice president)も勤めている。 私のキャリアは日系企業のヤンマーディーゼルから始まり、その後、松下電器で 12 年資材調 達・物流を主に担当していました。その後、数社を経て起業し、現在は脱臭剤、防臭剤、冷蔵産業 抗菌クリスパー等を製造する Strategic Alliance Resources(ASIA PASIFIC) Sdn. を経営して います。主な取引先は、マレーシア、タイ、インドネシアの松下電器グループ、およびマレーシア政 府水産省で、後者では漁業コンテナーに弊社の製品が利用されています。 AOTS との出会いと同窓会活動への参加への思い: AOTS と関わりをもつようになったきっかけは、2004 年2月に横浜研修センターで実施された ENLM コース(貿易投資円滑化等協力研修事業ロジスティクス研修コース)への参加でした。こ の研修はアジア 6 カ国 29 名の企業・大学・産業団体等で物流に携わっている人を対象に、物流 関連の管理能力向上を目的とした研修で、私は、MIPMM の代表として参加しました。 物流は松下電器時代に散々鍛えられた自分の専門分野であるため、講義の内容そのものは、 すでに知っている内容も多かったです。しかし、日本での実際の物流業務を見る機会はこれまで ありませんでしたので、さまざまな施設の見学は本当に衝撃的でした。日本通運株式会社では、 選別、梱包、発送など、すべてのプロセスが効率的かつスピーディーに作業が進められていまし - 94 - た。リサイクル工場(グリーンサイクル)の見学も印象的です。当時、マレーシアはリサイクルに対 する関心は低かったので、廃棄物が再利用されていくまでの工程、またこうした産業が成り立って いることへの驚きを感じました。また横浜港の見学も有意義でした。港湾がどう運営されているか、 多くの荷物を的確に裁いている様子は目を見張るものでした。また、コースの運営も AOTS の担 当者が、時間に厳しく、まじめに誠意ある態度で運営しており、大変好感を抱きました。 全てをマレーシアに応用することは難しいですが、学ぶことはいつもとても有意義なことです。 バックグラウンドの多様な参加者たちとの交流はとても充実していました。実務者もいたので各国 の情報交換をすることもできました。2 週間はあっという間に過ぎましたが、多くの経験を共有でき たと思います。本当に貴重な経験となりました。帰国後は、MIPMM へ報告するとともに、発表会 を行って習得した知識・経験をメンバーと共有・広めることに努力しました。 また、私は、このような貴重な経験をさせてもらった AOTS には、自分にできる協力を惜しみなく する義務があると強く感じています。そこで、恩返しの意味も込め、クアラルンプール同窓会活動 への参加を始めたのです。 私は、よく若い人に、学びは一生であると言っています。また、NGO など、自分のビジネス以外 の活動に参加することも強く薦めています。会社での仕事は会社が求める仕事をしているに過ぎ ませんが、NGO などの活動は、自分がやりたいことをやることができます。やりたいことをやる分、 本当に得るものが多いのです。AOTS の同窓会活動も、多くの人に出会い、学ぶことが非常に多 いです。 現在の同窓会活動 現在 、私 は AOTS クアラル ンプー ル同窓会 (PAAM)の会長を勤めています。PAAM は AOTS 制度を利用して日本で研修を受け、帰国後クアラル ンプールに戻った研修生たちのグループが中心と なって 1985 年に結成されました。クアラルンプール だけでなく、ジョホール・サバ・サラワクの 3 支部を 持ち、各支部にて定期的な会合が行われています。 現在の PAAM の活動4は、主に、日本語教室、セミ ナー、Tea talk、大学生向け Kaizen セミナー等の 運営・開催です。日本語教室は、事務所建物の 3 2009 年度巡回セミナー「廃棄物減量化・減容化 による環境保全」の様子(PAAM 同窓会主催、 AOTS 協力) 階の教室で、定期的に開催するレギュラーコース、 および、企業等の要望に対して開設する特設コースがあります。指導は日本人講師が行っていま す。 2009 年は、前述に加えて、高校生向けの Kaizen セミナーを、在マレーシア日本国大使館の協 力を得て、試験的に開催しました。まずは同窓会内で案を練り、教育省へプログラムを提案、プロ 4 詳細は PAAM ホームページを参照:http://www.aots.org/ - 95 - グラム実施の許可をもらいました。そして、このプログラムでは対象校の先生方と共に指導をする ため、まずはその先生方に対して指導を行いました。その後、その先生方と協力して、2000 人の 高校生を対象に、kaizen を身近なもので体験してもらいながら学ぶプログラムを行いました。例え ば、教室を整理整頓し、前後を比較し kaizen の効果を理解してもらうようなプログラムです。この セミナーは大好評で、地元の新聞にも取り上げられました。2010 年にもまた 1-2 校で実施したいと 考えています。ただし、このプログラムを実施するには人手が必要なので、協力してくれる人員を 確保することが現在の課題です。またこの活動を同窓会のほかの地域支部にも奨励していきたい と思っています。ノウハウや教材は今回我々で用意することができましたので、希望する支部には 喜んで提供をするつもりでいます。 このように、同窓会では、会員がこれまで AOTS の研修や仕事を通じて養ったスキル・経験をさ らに波及させていけるように努力を続けています。私を含め、役員はみなボランティアで活動に参 加していますので、会員の活動への参加を継続的に確保することは少々難しい面もあります。し かし、会員がただ集まり、話し合いだけして何も行動に移せないのでは、まったく意味がありませ ん。そこで我々は、各役員が 1 年間の行動計画・企画を作成し、定期的に活動が維持できるよう に工夫しています。前述の、高校生向け Kaizen セミナーもこうした企画の中から生まれました。 AOTS 同窓会に限らず、NGO などの会合はただ集まり、十分な意見交換をすることなく、終わる ことがよくあります。それは時間の無駄です。多くの人を巻き込むのは努力を要しますが、お互い に密なコミュニケーションをとり、それぞれの限られた時間を有効活用しながら、同窓会活動をこ れからも進めていきたいと思っています。 大変喜ばしいことに、こうした活動が評価され、2009 年 11 月、PAAM は日本の外務大臣賞を 受賞することができました。この名誉ある賞を励みに、今後も活動を続け、日本・マレーシアの友 好親善に貢献していきたいと思います。 外務大臣賞授与式にて 堀江駐マレーシア特命全権大使(左から 2 番目)と同窓会役員メンバー(左から 3 番目が Yang 氏) 授与された賞状は PAAM 事務所 に飾られている - 96 - 今後の同窓会活動と AOTS との協力関係への展望 マレーシアには今後も専門的教育が必要です。多くの方が言うように、R&D や環境経営等の 分野での能力向上は必要だと思います。マレーシアは人件費も上がり、もはや製造拠点としての 魅力が少なくなってきています。実際に工場で働くワーカーの 8,9 割はインドネシアやベトナムか らの出稼ぎ外国人労働者になってきているのです。現在のマレーシア産業は、確実に変化が求め られています。今後は、より高い技術を身につけ、高付加価値の製品・サービスを提供できる能力 が不可欠になってくるでしょう。物流分野では、国内にとどまらず国際的に通用する知識、経験を 得ることが今後の成長には重要です。マレーシア限定の知識、システムでは国外への発展性は 低いので、マレーシア、UK、日本…とどこででも通じる能力を得る必要があります。物流業界の 国際化が今後ますます求められてくるのだと言えます。 AOTS、同窓会を取り巻く環境、各国の経済状況は目まぐるしく変化をしています。この変化に 対してお互いに協力して対応していくことがとても重要だと考えます。AOTS クアラルンプール事 務所は 2010 年 3 月末で閉鎖されますが、同窓会事務所は変わらずここにあります。AOTS クア ラルンプール同窓会は、引き続き AOTS とは強固な協力関係を築き、マレーシア産業界へ貢献し ていきたいと思います。 日本訪問時の Yang 氏 - 97 - 調査日:2010 年 3 月 8 日 元マレーシア工業開発庁 (Malasia Industrial Development Authority:MIDA) 長官 Tan Sri Datuk Zainal Abidin Sulon 氏 1988 年度 AOTS管理研修参加 経歴 1984-1988:マレーシア外務省書記官 1988-2002:マレーシア工業開発庁長官 現在は引退されている。 1988 年:TOPS(トップマネージメントセミナー)へ参加 日本との関わりと AOTS との出会い 外務省に所属していたころから、業務上日本と関わる機会はたくさんありました。また、工業開 発庁に移ってからも、マレーシアの産業促進、外国資本の投資誘致が主な仕事でしたので、日本 企業と仕事をする機会も多かったです。 AOTS のプログラムへは、MIDA から勧められ、1988 年 TOPS(トップマネージメントセミナー) に参加しました。仕事の関係で日本へ訪問したことは何度もありましたが、研修目的での訪日は 初めてでした。日本での研修はとても有意義でした。いくつかの企業に訪問し、多くの人に出会い ました。また、他の様々な国から参加された、日本と関わりの深い参加者とのディスカッションが特 に興味深かったのを良く覚えています。 当時マレーシア政府は、ルックイーストポリシーを掲げ、日本・韓国を経済発展のベンチマーク としていました。日本から日本人の企業管理のやり方、働き方、勤労意識等を学び、マレーシア経 済を発展させたいと当時のマハティール首相が始めた政策です。そして私の仕事は、外国資本に 対しマレーシアへの投資を PR すること、そして、マレーシア人に対して外国資本が求める能力・ 労働文化への理解を広めることでした。TOPS コースで学んだ知識は、まさに日本を理解するた めに非常に役立ちました。 そういえば、TOPS コースの時は滞在が研修センターではなく都内のホテルでしたが、AOTS の元研修生はいつでも研修センターに宿泊することができると聞いています。これは良い制度で - 98 - すね。私も機会があったらぜひ宿泊してみたいです。 帰国後の活躍 帰国後の 1980 年代後半から 90 年代には、多くの日本企業からマレーシアへ投資が行われま した。私が長官を務めていた MIDA は、投資を希望する外国企業の窓口となる組織で、申請を受 けたプロジェクトの内容をチェックし、許可を与えるのが仕事です。そのため、研修で得た日本企 業に関する知識が業務でも非常に役立ちました。当時は多くの日本企業が進出してきましたが、 松下、ソニー、日立、その他関係部品企業など電機電子産業の投資が非常に活発でした。日本 からの投資は外国投資の中でも常にトップ5に入っていました。当時のマレーシアは投資先として 非常に有望で、日本を含め多くの外国企業が関心を持っていたのです。経済は 2 桁成長をしてお り、アジアの虎と呼ばれた時期もあります。 研修参加後は、AOTS クアラルンプール同窓会の活動にも参加しました。一時期、同窓会会長 を務めさせていただいたこともあります。同窓会会員の多くは、企業の経営者や管理者の方々で すので、彼ら日本経験者・帰国研修生が確実につながり、ネットワークを築くことが非常に重要だ と思います。そして、そのネットワークをベースに、各自がさらに成長し、マレーシア経済の発展に 貢献していくことが大変重要なのです。1990 年代は特に、役員ミーティングや Annual dinner meeting など定期的な会合も活発にしていました。また日本の AOTS からの訪問も多かったよう に記憶しています。 マレーシア経済発展における AOTS の貢献と今後の期待 AOTS の研修プログラムはマレーシアの政策に沿ったすばらしいものだと思います。大勢のマ レーシアの若者を外国へ送り、経験を積ませ、帰国してマレーシアの経済発展に貢献する。これ がマレーシアが描いていた戦略でした。日本はこの戦略を熱心にサポートしてくれたと思います。 AOTS は多くのマレーシア人を受け入れ、日本の労働文化、規範、技術、カイゼン・5S 等すべて のアイデアを学ぶ貴重な機会を与えてくれました。AOTS はマレーシアの人材育成において大い なる貢献をしてくれたと思います。 現在のマレーシアは、先進国入りを目指し経済開発の努力を進めています。私が MIDA にい たときは、投資誘致に成功し、経済も好調でした。私たちは、マレーシア産業における資本の理想 的な割合は「マレーシア資本:外国資本=60:40」と考えていますが、現在はその逆の割合になっ ています。我々が現在抱える大きな課題は、マレーシア企業がこれからいかに力をつけていくか にあります。将来的に理想値に近づけるために、多くの起業家を育成していかなければなりませ ん。また、これまでは製造業の発展が目覚しかったですが、これからはより高付加価値のついた サービスセクターを重点的に育成していくべきだと考えます。このような視点で、マレーシア政府は マレーシア企業の支援を進めており、MIDA も投資誘致、国内外での投資セミナー等を実施し、 マレーシア経済発展のための努力をしています。 また、マレーシアはマハティール首相のころから、南南協力の重要性を説いてきました。途上国 - 99 - 同士が協力し、互いに発展することが大切だと思います。MIDA では、他の開発途上国向けのプ ログラムも毎年実施しています。これは 10 日間のプログラムで、各国の投資促進担当官を招聘し、 マレーシアの経験を共有しながら、自国でどのような経済発展を遂げたいのか意見交換を行いま す。また、プログラムを通じて広い人的ネットワークを築き、良好な協力関係を築いています。この ネットワークがベースとなり、例えば、マレーシアとバングラデシュの担当官が協力し、各国の企業 のマッチングに成功した事例もあります。 AOTS はこの 50 年の間、マレーシアに対し大きな貢献をしてくれました。今後は上述のような 新たな分野での人材育成においても協力を期待しています。今でも多くのマレーシア人は日本を ベンチマークとしてみています。昨今の経済状況はあまり良くありませんがが、これまでのサクセ スストーリーから学ぶことはまだまだ多いと思います。また、日本には高い技術力があります。こ の高い技術力を実践的に学べる機会を今後も継続して提供していただきたいと考えます。これか らは R&D も重要になってくるでしょう。例えば、大学同士のジョイントプログラムなども有効だと思 います。日本には今後このような分野での協力を期待していますし、AOTS にも何らかの形でご 協力いただきたいです。 現在日本では、ODA 予算が削減され、経済的に厳しい状況にあると聞いています。今後は、 現地の政府や関係機関とパートナーシップを結び、負担を共有しながら協力関係を続けていくこと も新たな協力の形として有効なのではないでしょうか。今後さらなる経済協力を進め、共に発展す ることを期待しています。 和やかにインタビューに応じる Zainal 氏 - 100 - 調査日:2010 年 3 月 9 日 SUMITOMO ELECTRIC SINTERED COMPONENTS (M) SDN. BHD. General Manager Theodore K. C. Wong 氏 1993 年度 AOTS管理研修参加 AOTS 研修への派遣 SUMITOMO ELECTRIC SINTERED COMPONENTS 社(以下、SESC 社)では、1990 年 代に AOTS 研修への派遣が始まり、生産、IT、人事、会計など、さまざまな部門の社員が AOTS スキームを通じて派遣されました。管理研修は、テーマもさることながら、2 週間という長さが、初 めて訪日する社員にとって日本の様子を知るのにちょうどよい期間でした。一方一般研修は、 AOTS での日本語研修中に基本的な日本語を学びながら、生活に慣れることができましたので、 その後の実地研修へ向けての良い準備期間となっていました。 研修生を派遣する目的は、もちろん、日本で研修分野、技術について新たな知識・経験を得ると いう点がありますが、加えて日本の文化を知り、体感してくることも目的のひとつでした。なぜ日本 人はあんなに勤勉に働くのか?その背景にある理由は何なのか?本当にそこまで働く必要があ るのか?・・・など、日本の職場に身をおくことで見えてくることを感じとり、考えてくることにも重点 を置いています。そのため、生産部門のみならず、さまざま部門から人を派遣したのです。派遣さ れる人の選抜については、1)経験年数、2)本人の能力・やる気、を基準に選んでいます。日本で 研修を受けた人々は、今では社内のリーダーとして活躍してくれています。 EPCM(企業経営研修コース)への参加 私の場合は、上述のような社内選抜とは少し異なりました。多くの研修生が派遣されていく中、 私も研修に参加したいと切に願っていましたので何度も上司に懇願しました。しかし、なかなか OK をいただけませんでした。そこで、1993 年に上司に内緒で EPCM コースの申し込みをし、参 加資格を得た上で、上司に直談判をして参加の許可をもらったのです。 EPCM コースでの講義・グループディスカッションは非常に内容の濃いものでした。一部の講師 は通訳つきだったため、深く理解をすることが難しかったですが、矢作恒雄先生のように英語で直 接指導してくださった講義は非常に有意義でした。いくつかのケーススタディを使ってディスカッシ ョンを行いましたが、ケースの内容は今でもよく覚えています。また、研修中の企業訪問もすばら しかったです。 - 101 - EPCM コースを通じて、タイ、インド、インドネシア、等々、いろいろな国からの研修生と交流を 持つことができたことも、とてもエキサイティングな経験でした。インドからの参加者に、その後マ ルチスズキ社の社長となった Jagdish Khattar 氏もいました。彼をはじめ、非常に能力の高い参 加者同士で、お互いの会社の経営状況などについて意見交換し議論することができたことは、大 変な刺激でした。私は、4-5 名の参加者とよく行動を共にしていましたが、彼らとのやり取りも本当 に貴重な経験でした。研修が終わると毎日外に出て、銀座、渋谷、新宿、原宿…と、東京の様々 な場所へ出かけました。恐らく、我々のグループは非常に活発でうるさいグループだったと思いま す。講義や企業訪問では、ほんとに多くの質問をさせてもらいました。時には、日本人はあまり聞 かないような質問、核心をついた質問も多くしていたと思います。例えば、スズキへ訪問した際に は、「なぜ外国人トップは役員になれないのか?」と聞きましたが、スズキの方は返事に困ってい ました。 また、AOTS の担当者(中島氏、小川氏)が非常に協力的だったのが印象的です。担当者は、 必要以上に行動を規制することはせず、参加者を敬い、かつスムーズな運営をしてくれていました。 時々似たような研修で、厳しく行動が管理されるようなところもありますが、そんなことは全くありま せんでした。もちろん集合時間に厳しい等のことはありましたが、それは最低限必要なことです。 彼らは必要以上の規制はしませんでしたので、とても心地よく研修に参加できました。 もちろんグループのメンバーも協力的だったことも確かです。AOTS に全てを頼りっぱなしにす るのではなく、参加者同士でチームワークよく、お互いをサポートしながら行動していたと思います。 団体行動をしていて遅れる人がいたら、気付いた人がお互いに声を掛け合うなどフォローしあって いました。 「日本的経営なんて無い」 日本に行ったことは私にとって、非常によい経験となりました。研修を通じて、より深く日本を理 解することができましたし、またその日本のやり方をマレーシアに合う形で適応させる重要性も理 解することができました。 例えば、私は日本の稟議システムをいつもストレスに感じていました。稟議が回覧されるのに時 間がかかり、意思決定がなされる前にビジネス環境が変わってしまうこともしばしばあったからで す。しかし、決断までに時間がかかるが、関係者の合意を得ているので実行するのは早いという 利点はあると思います。つまり、決断と実行までの時間のバランスが大切なのだと思います。稟議 の重要性もわかりますが、場合によってはトップダウンが必要なときもあります。私は、日本で深 めた知識を、マレーシアの実態にあうように適応させながら、実行するよう心がけています。 EPCM コース中の講義で、主任講師であった矢作恒雄先生がおっしゃったことが大変印象的 でした。「日本的経営なんてものはない。ただ西欧の経営手法を日本のやり方に応用しただけ だ。」…正にその通りだと思います。どのようなやり方でも、その国、その会社にあったやり方に適 応させることが必要なのだと思います。 また弊社では、マレーシアでは珍しく、家族手当も採用しています。妻の所得が一定額以下の - 102 - 場合は、一定の扶養手当を支給しています。また子供に対しても、支給対象としています。手当は あまり高額ではありませんが、いくらかの助けにはなっていると思います。こうして日本の良い制 度を取り入れ、多くのスタッフに長く快適に働いてもらえるよう努力しています。 企業訪問での集合写真 (前列右端が Theodore 氏) 日本企業での経験 SESC 社に入社する以前、私の日本企業でのキャリアは、佐藤工業という建設会社で Administrator officer として始まりました。日本企業で働くことを希望していたわけではなく、仕 事内容に惹かれて入社しました。クアラルンプール、ランカウイ、ペナンなどの拠点を歴任し、プロ ジェクトを推進しました。当初は、日本人スタッフと協働でしたが、ランカウイの現場の時期の途中 から、日本人が現場からいなくなりローカルスタッフ中心で作業が進められるようになりました。そ の後、建設ブームがスローダウンし始めた 1989 年に SESC 社へ転職をしました。 意図せず入社した日本企業でしたが、佐藤工業での経験は日本企業を理解するのに非常に良 い経験となったと思います。特に、日本の会計システムを理解できたこと、また、「顧客第一」の姿 勢を理解することができたことは、今の仕事にも役立っています。「顧客第一」と言う概念は当時 のマレーシアにはあまりありませんでした。私は今でも、自社のスタッフに対し、「自分たちの給料 を払うのは会社ではなく、顧客である」と説明しています。 同窓会活動 帰国後は、クアラルンプール同窓会の活動に参加しました。以前は役員会に参加していた時期 もありますが、現在は多忙のため、残念ながら参加することができません。参加していて感じたこ とは、活動そのものはすばらしいのですが、ボランティアベースであり、かつ、会員が活動に参加 - 103 - した場合の直接的なメリットが少ないので、少しずつ人が減っていってしまうということです。恐らく、 元研修生個人をターゲットにするのではなく、企業ぐるみで同窓会の活動に巻き込んでいくことが 必要かもしれません。いい例として、「盆踊り」大会が挙げられます。様々な企業がスポンサーとし て参加し、従業員も参加してくれています。一人一人を巻き込もうとするのは、少し大変です。これ からの同窓会活動を維持していくためにも、もっといい形の関係性を築く必要があると思います。 今マレーシア製造業に必要なこと SESC 社では、数年前から AOTS 研修への定期的な研修生派遣を見合わせています。状況に よって、品質管理など研修に単発で派遣することは現在もありますが、以前のような定期的派遣 は停止しています。 その理由はいろいろありますが、ひとつは派遣されるスタッフによって、研修の効果に差が出て しまったからです。これは、会社側の責任でもありますが、派遣前の準備や心構えが十分ではなく、 日本に行ったことそのものに満足してしまい、しっかりと学んでこない人が出てきたからです。もち ろん、熱心に学んで高い研修効果を得たものもいましたが、トータルで見たときに全体的な研修効 果が期待より低かったため、社長の判断により停止となりました。 また、AOTS の研修はどちらかというと、一般的な管理手法や技術を学んだり、他社の参加者 と交流したりと、視野を広げるには適した研修だと思います。そのため、弊社での現場ニーズとは 合わなくなってきたことも理由のひとつです。 弊社は、創業から 20 年ほど経ち、創業時からいるスタッフは、20 年間の経験を蓄積してきまし た。そのため、現地のレベルが上がり、日本から新しい技術を習得することが難しくなってきたの です。弊社に限った話ではないかもしれませんが、日本から駐在員としてくる日本人スタッフは、 中堅レベルである場合が多く、最近では現地スタッフと経験年数に大差がない場合も出てきまし た。できれば、経験豊富なベテランスタッフが駐在し、さらに高度な技術を移転してもらいたいとい うのが、現地の希望なのです。恐らくこれは、多くのマレーシア日系企業が直面している問題だと 思います。欧米企業では、現地の幹部候補者を本社に一定期間配属し、経験を積ませて、現地 に帰し、技術移転をはかっている企業も多いと聞きます。このような長期的かつ効果的なやり方を、 日本企業も取り入れたほうが良いと思います。 私は、MAJAICO プロジェクトにも自動車部品関連団体の一員として参加していますが、やはり 中でも一番現場がメリットを享受できたプロジェクトは、専門家派遣でした。日本から自動車関連 技術の専門家が派遣され、企業内で指導を行うものです。こうした、直接的かつ高度な技術指導 が、今我々が必要としているものです。他の研修もありましたが、内容のレベルが基本的で易しす ぎるため、訪日研修であまり新たに学ぶことがなかった、というスタッフもいました。マレーシア製 造業のレベルは、恐らく外から見る以上にすでにある程度高いレベルにあるといえます。研修を 計画する際には、現場の本当のレベル・ニーズに合った研修を提供していただきたいと思います し、また我々も積極的に働きかけ、お互いの認識のずれを埋めていく努力をしていきたいと思いま す。 - 104 - 今マレーシアは近隣諸国との激しい競争にさらされています。弊社の例で言えば、マレーシア・ タイ・インドネシアの 3 拠点がありますが、主要顧客である自動車メーカー、自動車部品メーカーに 関しては、タイに生産および研究開発拠点が集中しています。マレーシアは国内自動車メーカー の保護政策により、外国から参入しづらい環境となってしまったのです。そのため、現在マレーシ アは少し中途半端な位置づけにあると思います。日本のように高い技術はないが、労働集約型産 業が発達するほど人件費ももう安くはありません。恐らく、他国との生産調整として位置づけてい る企業も多いのではないでしょうか。 とはいえ、あまり悲観的になってはいけません。マレーシア人として、今後マレーシアは変わって いかなければいけないと強く感じています。例えば、技術力を高めて R&D センターを目指すなど、 さらに一歩上を目指し、変化していかなければならないのです。これまでのように、外資、外国の 親会社に依存していてはだめです。シンガポールが良い例だと思います。昔のシンガポールは、 安い人件費・コストを武器に、製造業の生産拠点として発展しましたが、コストの高騰で製造業が 衰退しました。しかし、彼らは逆境をもろともせず、サービス産業の中心地として変化を遂げ、 ASEAN 経済の中心地として大成功をしているではありませんか。 マレーシアの更なる発展のために、今、革新的な思考が求められています。日本が過去どのよ うにイノベーションを進めてきたか、日本からぜひ学ぶべきだと思います。また、現状の産業レベ ルを押し上げるにはどうしたらいいか、これがマレーシアに今必要な視点です。新たな技術、研究 開発の能力向上が必要です。マレーシアは日本と更なる信頼関係を築き、企業同士は、誠実な 技術提携・技術移転を進めるべきです。日本企業はなかなか技術を共有してくれないので、韓国 や中国など他の企業とのアライアンスを結ぶマレーシア企業も増えています。日本企業には、マ レーシア企業を「競争相手」としてではなく、ぜひ「パートナー」としてみていただきたいと思います。 来日中に、日本人同僚の娘さんと。 - 105 - 調査日:2010 年 3 月 10 日 AEON CO. (M) BHD. JUSCO Bandar Sunway Store, 店長 Irene Khor Kim Ean 氏 2004 年度,2008 年度 AOTS技術研修参加 経歴 2003 年 AEON CO. (M) BHD.に入社。 2004 年 AOTS 技術研修で来日。帰国後、農産物(果物、野菜)担当のセクションリーダーに。その 後、グループリーダー(農産、水産、畜産担当)、Assistant manager for grocery & non-food division を歴任。 2007 年マレーシア全土の JUSCO の中から、best executive に選ばれる。 2008 年 AOTS 技術研修へ 2 度目の参加。 帰国後は、ラインマネージャー、副店長、と昇進し、2010 年 1 月に現職となる。 2 度の技術研修 私は、2004 年と 2008 年の 2 回、AOTS の技術研修に参加し、AEON で実地研修を受けまし た。1回目は、セクションリーダー向けの訪日研修でした。社内で書類試験、面接による厳しい選 抜があり、100 人以上の候補者の中から 10 人が選ばれました。日本への派遣前には、AOTS ク アラルンプール同窓会(PAAM)の日本語教室にて、3 ヶ月の日本語研修を受け、その研修の最 終試験で 90 点以上を取らないと、派遣される資格がもらえないという高いハードルが課されまし た。日本語は難しく、私ははじめのうちは 75 点くらいしかとれませんでした。しかし先生が適切に 厳しく指導してくれたおかげでキャッチアップすることができ、最終的には 90 点以上、しかも上位 3 名に入り、無事日本に行くことができたのです。 2 回目の研修は、マネージャー向けの研修でした。このときも、社内選抜がありましたが、こちら の選抜のほうが、さまざまな部門の優秀な人ばかりが候補者となるので、倍率は低いものの、質 が問われる選抜でした。私は一生懸命自分をアピールし、その甲斐あって 2 度目の研修の機会を 得ることができたのでした。 会社が研修生に期待することも、1 回目・2 回目では大きく異なります。1 回目の研修のときは、 会社は研修生に対し、日本人の働き方や文化、時間管理、お店の様子(どのように魅力的なディ スプレイを日本ではしているか等)など、基本的な日本の状況を理解することを期待して派遣して - 106 - います。一方、2 回目は、マネージャー向けなので、日本ではどのように店舗のマネージメントをし ているか、その how to の部分を学ぶこと、そして、学んだことをマレーシアに展開することを期待 して研修生を送っています。すなわち、日本の管理手法を学び、マレーシアへ移転する役割が私 に期待されていたのです。 日本で学んだこと 日本語の学習はとても楽しかったです。研修中は YKC,KKC,TKC に滞在しましたが、全ての センターがとても快適で、思い出深い経験です。 日本語のクラスはレベル分けされ、また研修生のニーズにあった教材が提供されていてとても 効果的でした。1 回目の YKC で勉強したときは、日本の生活や文化理解に役立つようなコンテン ツを盛り込んだベーシックな日本語でした。一方 2 回目は、もう少し上級レベルで、記事を読んだり、 会話に重点がおかれたりと、その時のレベルにあった学習内容が工夫されていました。 朝から晩まで勉強し、しかも毎日試験があり、とても大変でしたが、日本語の勉強は本当に充 実していて楽しかったです。先生方は本当にきめ細かく指導をしてくださいました。生徒一人一人 の能力をよく把握し、個別にフォローアップをしてくれたり、追加の課題を与えてくれたりと、各自の 弱い部分・遅れている部分を重点的にサポートしてくれました。 一般研修中は、日本語だけでなく、工場見学や研修旅行、日本社会理解の講義などがあり、日 本の基礎的な知識を得るのにとても役立ちました。特に、リサイクル工場への見学はとても興味 深かったのを覚えています。日本は環境意識が高く、エコフレンドリーな製品も多いです。マレー シアはまだ環境に対する意識が低いので、とても啓発的な見学でした。 ジャスコでの実地研修は、1 回目は都内、2 回目は埼玉県の店舗で行われました。実地研修で 一番勉強になったことは、「スタッフをよく理解すること」ということです。指導してくださったマネー ジャーは、新しいスタッフが来たときは、2 ヶ月くらい先輩と一緒に作業をさせてその人の強み・弱 みを把握してから、その人の能力にあった部門を任せるようにしていたのです。その結果、個人の 作業の効率が上がり、全体の効率も上がります。まさに適材適所のマネージメントをされていまし た。私も現在マレーシアで、同じように取り組んでいます。 指導員のマネージャーと共に。(2004 年 1 回目の研修参加時 - 107 - また、私に対する研修の指導方法も、とても的確でした。例えば、ひとつの商品棚の陳列を担 当したとき、1 回目はマネージャーが一緒に説明をしながら作業をしてくれました。そして 2 回目は、 1 回目の経験を生かして、自分ひとりで作業をさせてもらいました。こうすることで、お互いのアイ デアを交換しながら、ノウハウを学ぶことができます。はじめからガイダンスなしで作業をするので は学ぶことも少ないですし、逆に全てつきっきりで作業を教えるのでは、その人の自立性が養わ れません。こうした指導の仕方は大変効果的だと思いました。 日本での生活も、とても楽しく過ごすことができました。日本語研修中は、休日に日光やディズ ニーランドなど観光地にも行くこともありました。しかし、実地研修が始まってからは、他のショッピ ングモールへ行き、マレーシアと比較して調査することもよくしていました。競合相手の店舗にいく こともあれば、いろいろなイオングループの店舗を見てまわることもありました。特に、新しくできた 越谷 Lake town はとても印象的で、ただの大型ショッピングモールではなく、環境にやさしく、教 育的な要素も含んだ新しいコンセプトのショッピングモールです。こうした新たな取り組みも含め、 日本の店舗を知ることはとても勉強になりました。 また、日本の「顧客第一」主義も日本にいったからこそ、感じ取れる部分が非常に大きかったと 思います。日本人のお客様の期待はマレーシア人の期待とは大きく異なります。ジャスコは日本 人のお客様も多いですので、日本人のお客様にも満足してもらうために、ニーズを理解することが 大切です。その点で、日本で学んだ「顧客第一」のレベルの高さは、とても役立っています。例え ば、ある商品がサプライヤーのミスで届かないとします。恐らくこれまでのマレーシア店員の多くは、 サプライヤーのせいで商品がありません、と言い訳をするだけで対応を終えると思います。しかし、 私は違います。原因は何にせよ、店に商品が無いという事実は事実ですから、お客様には、まず 商品が店に無いことを謝罪し、店舗に届き次第お客様の自宅へお送りするようにします。別の例 では、ご購入いただいた商品の中身が痛んでいた場合、もちろん、売り場では見つけられないも のですが、こちらも、謝罪し新しい商品と交換いたします。こういった対応は、日本人のお客様に は当たり前のことなのかもしれません。しかし、マレーシア人のお客様には、期待以上の誠意ある 対応と感じることが多いのです。そして、ジャスコに対し好感を抱いていただき、またご来店いただ けるようになるのです。 日本人の求める水準は高いですが、それを学び実行することで研修を受けたスタッフも高い水準 のサービスを提供することができるようになります。そしてマレーシアで展開することで、競合との 差別化をすることができると思っています。 研修実施店舗の同僚と共に。 (2008 年 2 回目の研修時。後列中央 が Irene 氏) - 108 - AOTS 研修・来日研修の意義 もし AOTS スキームがなく、ジャスコが独自に研修をするとしたら、日本語学習や、生活面での サポートなど、もっと会社側の負担が大きかったかもしれません。特に日本語学習については、 AOTS は外国人への日本語研修の経験が豊富なので、それぞれの研修生の能力にあった指導 をしてくれていました。日本語研修は非常に重要で、日本語研修がなかったら、実地研修は難し いと思います。店舗のマネージャーはほとんど英語が話せませんので、日本語で理解する必要が あります。実際、日本語のおかけでジャスコでの研修を円滑に進めることができましたし、日本語 でよく理解できない場合には電子辞書を使ったり、図を書いたりしてコミュニケーションをとってい ました。 また言語だけでなく文化交流、生活へのサポートなど、研修生が充実した研修を行える為のサ ポートも AOTS がしてくださったと感じています。センターの受付スタッフの方々も、外国人対応の プロフェッショナルでした。皆さんとてもフレンドリーでしたので、滞在中は私も小さなことでも質問 をさせてもらったり、話を聞いてもらったりしました。会社の人とは別の第三者的な立場で話すこと ができる人がいることはとてもよかったと思います。やはり、世界中どこにいても、コミュニケーショ ンはとても重要だと思います。 製造業のように作業やインストラクションを介して学ぶものとは異なり、ジャスコは接客や日々 のコミュニケーションが重要な学びの要素です。時には、お客様は私がマレーシア人とはわからず 話しかけてくることもあります。日本語がわかれば、実際にお答えしながら経験をすることができま す。また日本人ではないとお客様が気づくと、そこからまたコミュニケーションが広がります。そうし た意味でも、日本語能力の習得は、実地研修にとってとても大事なのです。 また、あえて訪日して研修を行う意義も大いにあると思います。ジャスコ全体にとっては、日本 での研修は新入社員へのモチベーションとなります。競合他社のうち、海外に派遣して現地での 労働環境や意識、企業文化から学ばせる会社は、コスト的な理由から少ないようです。そのため、 ジャスコにとっては、新入社員が入社企業を選択する際のメリットのひとつとなりますし、また、研 修が入社後のキャリアパスのいい指標となっているのです。コストはかかりますが、ジャスコは日 本での研修を通じて社員一人一人を育てることに重点を置いています。利益第一ではないところ が従業員として誇りに感じるところです。 実務面でも、訪日研修の効果が現れてきます。日本を理解しているスタッフがいない場合、いく ら日本人マネージャーがきてマレーシア人スタッフに説明しても意図が明確に伝わりにくいと思い ます。現在は継続的な来日研修のおかげで、マレーシア人マネージャーの約半数は訪日研修の 経験者となりました。そのため、日本人が伝えることをきちんと理解できるローカル人材がいます。 そして私たちが、さらに日本を知らないローカルスタッフに翻訳して伝えることが可能なのです。 また、研修生は帰国後、日本での写真を見せたり、説明をしたりして、現地のローカルスタッフ に日本で学んだことを紹介・説明しています。一緒に働きながら、日本で学んだことを伝えている のです。研修生派遣の第 1 陣は 2004 年に派遣され、これまでに 9 組が選抜され派遣されました。 - 109 - 派遣されたのは約 90 人ですが、研修効果を享受したのは現地のジャスコスタッフ何百人にも及ん でいます。日本を知る社員が増えることで、ジャスコマレーシア全体の基盤も強化できてきている のではないかと感じています。 日本で学んだことを現地スタッフに伝えるときは、伝え方にも工夫をしています。日本とマレーシ アは環境も文化も異なりますので、日本でのやり方がそのまま 100%移転できるわけでは決して ありません。できるだけ反発がおきないように、かつ効果的に、現場にあったターゲットを設定して、 少しずつ導入をすすめるようにしています。例えば、日本では 1 時間でできる作業を、マレーシア 人だって 1 時間でできるはず、と押し付けることはしません。今、2 時間かかっているのなら、1.5 時間に短縮しよう、という目標を立て、一緒に新しいやり方を試しながら、スタッフのやる気を引き 出すように心がけています。 従業員は急な変化は受け入れてくれません。日本と同じレベルをマレーシアに要求するのは難し いですが、それに近づける努力をしています。 新たなチャンレジ 店長になって数ヶ月が経ちました。ここ Sunway Store は 2 年前にオープンした大型ショッピン グモール内の店舗です。すでに利益を上げていますが、現状を維持発展させていくことが私の課 題のひとつです。他スーパーとの競争だけでなく、テナントとの競争も厳しいです。例えば、このモ ールにはパンやドーナッツを売っている店舗が8つあります。顧客のニーズは何か、ジャスコの強 みは何かをリサーチし、1 個あたりの価格を下げたり、ハッピーアワーなどを設定するなどして、他 社との差別化を図っています。 また、店舗・スタッフ全体のマネージメントも大きなチャレンジです。以前は、自分の担当する売 り場、スタッフのみに目を配ればよかったですが、店長になってからは店舗全体の管理、本部との やり取り、またスタッフの福利厚生にまで気を配らなければいけません。責任は重大です。例えば、 モールは夜の 22 時 30 分に閉店しますが、公共交通機関も 22 時 30 分に終了してしまいます。 本当は 22 時 30 分まで営業したいのですが、スタッフが帰宅できなくなりますので、ジャスコは 22 時に閉店しています。こうした細かいところまで考えて、マネージメントをしなければならないので す。 今は店長になったばかりですが、今後のビジョンとしては、3 年後を目指して周囲から信頼され る一人前の店長になるように努力したいと思っています。そしてその後は、新規オープン店のプロ ジェクトにチャレンジしたいです。現在の店舗はすでに軌道に乗っている状態から任せられました。 次は、一から店舗を作り上げていくことにぜひチャレンジしたいです。今までとは違う経験となり、 さらにステップアップすることができると信じています。 - 110 - 調査員の質問に答える Irene 氏 AOTS への期待 AOTS の研修制度では、製造業の企業の参加が多いと思います。しかし、われわれのようなサ ービス業の人材育成にも AOTS 制度は非常に有益です。製造業は恐らく、高い技術力とそれをい かに正確に効率よくガイドラインにしたがって作業が進められるか、という能力が必要とされると 思います。一方、ジャスコのようなサービス業では、常に状況は変わり、スタッフには高い判断能 力が求められます。顧客ごとに問題・状況は異なるため、問題解決の方法も異なります。自分で 考え、フレキシブルに行動できる柔軟性が重要なのです。この通りやれば良いというガイドライン はありません。そのため、日本での研修を通じて、経験を積むことがその人の能力向上に大いに 役立っています。このすばらしい制度は、ぜひ今後も継続していってほしいと思います。 また、研修内容では、環境意識の啓蒙につながるようなプログラムを継続して提供していただき たいと思います。最近は徐々に一般的になってきましたが、マレーシアはあまりエコに対する関心 が高くありません。私は一般研修中にリサイクル工場を見学し、日本の進んだリサイクルの取り組 みを見学をすることができ、非常に刺激をうけました。また、ごみの分別の実習も非常に興味深か ったです。現在ジャスコでは No plastic bag day を設けて、環境への取り組みを進めていますが、 このような活動は今後ますます進めていくべきだと思っています。AOTS にはさまざまな国から、 多くの研修生がやってきます。この AOTS の強み・機会を生かして、環境意識の啓蒙に更なる貢 献をしてほしいと思います。日本は環境保護の取り組みが進んでいる国としても有名なので、 AOTS にはその優位性を生かして、世界的な課題解決に対してぜひ積極的な取り組みを進めて いただくことを期待しています。 - 111 - 調査日:2010 年 3 月 11 日 J. K. Wire Harness Sdn. Bhd. General Manager, Factory Huang Ser Seong 氏 2009 年度 AOTS 管理研修参加 経歴 1988-1992:千葉大学留学。(電子工学専攻) 1992-1994:日本の住友電装(Sumitomo Wiring Systems Ltd.)にて勤務 1994-現在:J.K.Wire Harness Sdn. Bhd. 日本との関わり 私の日本との関わりは大学時代、千葉大学に留学したことから始まります。日本留学のきっか けは、すでに日本に留学中の友人とマレーシアで食事をしていた時に、日本では学びながらアル バイトができるので、トータルで留学費用が安く抑えられると聞いたことです。欧米の大学は、学費 も高いし、アルバイトも学内でしかできないので、コストが高くかかります。当時日本も何でも高い というイメージがありましたが、実はそうではないことを知り、また、学費も奨学金を得ることができ たので、日本行きを決めました。 1 年間の日本語教育の後、大学へ 4 年間通うというプログラムでしたが、日本に住み始めた当 初は、まったく日本語が話せず非常に苦労しました。レストランに行ってもメニューを理解すること ができず、試しに注文してみておいしい料理が出てきた時には、同じ料理を 1 週間注文し続けるこ ともありました。最終的には無事に日本語を習得し大学を卒業することができたのですが、留学初 期の苦しい経験を振り返るとそのような苦労もとても良い思い出です。また、滞在中感じたことは、 日本人は一般的にマナーが良くやさしい国民性だと思います。そういった日本への愛着もあり、卒 業後は日本に残り、日本企業へ就職することにしました。 住友電装では、先輩技術者やインストラクターにつき技術指導などをしてもらいました。インスト ラクターの中には、親切に教えてくれる方もいれば、厳しい方もいました。しばらく働いているうち に、少しずつ日本で働くことについて違和感のようなものを感じるようになりました。日本企業は専 門的な知識を持った社員が多かったのですが、マレーシア人である自分は専門といえるほどの知 識も経験もありません。このまま数年日本で働いてからマレーシアに帰ったとしても使い物になら ないのではないかと不安になりました。また、日本の厚生年金制度は 10 年以上日本で働かない - 112 - と年金が支給されないと知り、当時、10 年以上も日本で働く気持ちになれなかったので、思い切っ て帰国を決めました。そして、上司に退職したいと相談したときに、マレーシアの合弁企業で引き 続き働かないかと声をかけていただき、1993 年から、現在勤めている J.K. Wire Harness で働 かせていただくことになったのです。合弁会社自体は、1983 年から創業していましたが、私は日 本および日本企業での経験から、多くの日本の労働文化をここ J.K. Wire Harness に持ち込むこ とができた、日本とマレーシアの橋渡しができたのではないか、と思っています。 企業経営研修コース(EPCM)への参加と成果 J.K.Wire Harness 社からは、2005 年から AOTS の管理研修コースへ社員を派遣し始めしま した。私個人は、2009 年の EPCM(経営管理研修コース)へ参加の機会を得ました。EPCM につ いては、当時の AOTS クアラルンプール事務所長の市川氏から、良いプログラムだと強く勧めら れていましたので、以前から関心がありました。本当は 2009 年以前に参加する予定でいましたが、 業務が忙しくなりなかなか参加できなかったのです。そしてようやく 2009 年に参加することができ ました。 研修プログラムは最高でした。講義も最高、見学も最高、参加者との交流も大変すばらしいも のでした。講義では特に、主任講師である矢作恒雄先生による経営戦略の講義は非常に興味深 かったです。日本がガラパゴス化している話や日本が経済回復に向けていかに努力をしているか、 など日本の現状をよく理解することができました。また、講師や参加者との意見交換も活発で有意 義な時間を過ごすことができました。企業訪問は、トヨタ自動車や、東海部品工業、林原へ行きま した。すべての企業が印象的でしたが、特に、東海部品工業は非常にオープンで、工場内の写真 も自由にとらせていただきました。来訪者の写真撮影は禁止している企業が多い中、見学を快く 受け入れてくださったホスピタリティーに大変感謝しています。また、林原では社長とお会いする機 会がありました。研修生からの様々な質問にお答えいただきましたが、特に印象的だったのは、 社員の福利厚生についてです。林原は、社員を非常に大事にしている印象を受けました。充実し た研究開発施設や、社員向けの立派な食堂施設など、働きやすい環境を積極的に整えられてい ると思います。これは、マレーシアでも見習うことができる点だと思いました。 EPCM コースのような管理研修の良いところは、その分野の専門家が長年の経験から得たエ ッセンスを、短期集中的に学べることだと思います。実際の経験を元にまとめられた知識ですので、 非常に説得力があります。それを短い時間に学び、キャッチアップすることができるので非常に効 率的です。 また、2 週間の東京研修センターでの生活は快適でした。もともと日本に何年も住んでいたので、 特に困ることもありませんでした。研修の空いた時間を利用して、他の参加者とレインボーブリッ ジやお台場など東京見学を楽しんだり、ラーメンを食べにいったりもしました。研修後はできれば、 親会社への訪問をしたかったのですが、すぐに帰国しなければならなかったのが残念でした。日 本の親会社経由で申し込みをすると、管理研修後にも実地研修が行えると後から聞きましたので、 次回の派遣からはそのやり方も検討したいと思います。 - 113 - 帰国してから半年ほど経ちましたが、学んだ知識は、特に人材管理上で役立っていると感じま す。帰国後は、他のスタッフ向けに「マレーシア人の考え方を変えるには?(How to change Malaysian people thinking?)」といった内容の研修を行い、学んだ知識を共有しています。こ うした研修を通じて、全社員の 20-30%程度の人々に、学んだことを直接伝えることができたと思 います。 6 名の AOTS 帰国研修生 我が社からは、私以外に管理研修へ 3 名、一般研修へ 2 名の計 5 名の社員が AOTS の研修 へ参加しています。帰国後は彼ら全員が各担当部署で非常によく働いてくれています。もちろん 派遣する段階で優秀な人材を選んでいるので、研修効果が無いわけがないのですが、それでも 経営陣の期待に十分答えた成果をそれぞれが出してくれています。例えば、昨年 AOTS の成功 事例にも選んでいただいた Mr. Yap Wai Luen5は、AOTS の研修で生産性向上について学びま した。研修後は職場で積極的に改善活動を推進してくれ、彼は今では新入社員向けの研修の講 師としても活躍しています。他の研修経験者もみな優秀で、日本の進んだやり方に刺激を受けて、 それを職場に取り入れようと積極的に活動をしてくれています。 同じ研修でも、日本側のパートナーである住友電装は専門的な知識を提供してくれます。一方、 AOTS の研修は人材管理や問題解決、生産管理など、やや一般的な内容で、社内研修とはまた 違った質の研修ですので、どちらも異なるメリットを得ることができます。また、日本で研修を受け られる適切なスキームは AOTS の他にあまりありませんし、AOTS が提供する研修は我々のニ ーズに合っていますので、今後も我が社としては、研修テーマや実施時期のタイミングが合えば、 継続して社員を派遣したいと思っています。大勢を派遣するのは難しいですが、社内の人材育成 の一環として組み込み、AOTS の研修参加が社員のモチベーションとなるように位置づけていま す。そして、社内で選ばれ派遣された者が、開眼し、さらに成長してくれることを期待して研修へ派 遣しています。 また、我々の顧客にはトヨタ自動車などの日系企業が多くあります。直接的に、生産性を挙げろ とは言われませんが、厳しくコスト削減を要求されることはよくあります。そのため、部品サプライ ヤーとしては、生産性を挙げ、生産コストを抑える工夫が求められています。そのヒントを学ぶた めの努力のひとつが、AOTS 研修の活用です。研修によって新しい風を社内に持ち込むことを期 待して、参加者を派遣しています。研修テーマについてのリクエストや提案は今のところ特にあり ません。これまで提供されたプログラムはどれもすばらしいものでしたし、今後も継続してほしいと 思っています。 2009 年度 AOTS 帰国研修生による活動成功事例報告においてベスト・プラックティス 10 件のひとつに選ばれる。詳細は、AOTS ホームページに掲載: http://www.aots.or.jp/50th/success/pdf/success_03.pdf 5 - 114 - 今後の AOTS への期待 マレーシア自動車産業に対する日本からの技術協力でいえば、主なものに MAJAICO プロジ ェクトがあります。こちらは、自動車産業に焦点を絞ったプロジェクトで多面的な支援が行われて います。そのため、企業側から見ると、AOTS のスキームはその周辺プログラムのひとつという位 置づけにあります。AOTS が自動車産業向けに研修を企画するのであれば、既存の MAJAICO の政策と同じ方向性で、研修を開発してくれるとさらに有益かもしれません。 また、帰国研修生のネットワークについていうと、参加した研修コースを越えた集いを AOTS 主 導で企画していただけたら良いと思います。同窓会独自でも企画は可能かもしれませんが、集客 を考慮すると AOTS 主催のほうが魅力的なのではないかと思います。IT、生産管理、品質管理、 経営管理、いろいろなテーマの研修経験者が集い、交流する機会があると、お互いにさらに学び、 成長することができるのでとても有益だと思います。同窓会は主要メンバーに活動が限られがち ですので、普段参加していないような元研修生も参加しやすいような、例えば一年に一回の忘年 会などが良いかもしれません。 また、最近 AOTS がイニシアティブをとり、Facebook を活用した交流が始められたと聞きました。 私は個人的には Facebook はあまり好きではないので利用していませんが、マレーシアでも若い 世代を中心に流行しているので、面白いアイデアだと思います。 繰り返しになりますが、我が社から参加した研修生は皆、AOTS 研修を通じてとても有意義な経 験をさせていただきました。今後も、マレーシアの現場のニーズにあった研修の提供を続けていた だきたいと願っています。 インタビューを受ける Huang 氏 - 115 - 調査日:2010 年 3 月 11 日 MSC Cyberport Sdn. Bhd. Executive Vice Chairman Md. Salikon Bin Sarpin 氏 2000 年度 AOTS 管理研修参加 経歴 1973-77:マラヤ大学経済学学士 1978-81:横浜国立大学大学院経営学修士 1981-84:Texcttem Corporation (personnel manager, and administration) 1984-90: Philips Electronics (personnel and administration) 1991-95: Motorola Malaysia (personnel and administration) 1995-2000: Pioneer Technology (General Manager, Director; personnel and marketing) 2000-:現在:Johor Govornament (State Executive councilor, ) 2000:AOTS EPCM コースへ参加 2002-現在:State Industrial Development, Entrepreneurs, Small and Medium Scale Industries, Science and technology Committee chairman 現在: -President, THE Johor Iskandar Malaysia Chambers of Commerce and Industry -Executive Vice President, MSC Cyberport Sdn. Bhd. -Chairman, Johor branch, PAAM 同窓会ジョホール支部現会長 日本との関わり 私はマラヤ大学卒業後、横浜国立大学大学院へ留学しました。大学時代に参加したセミナーで 留学経験のある先輩から日本での様子を聞き、同期の学生がアメリカやイギリスの大学院へ進む 人が多い中、私は日本に強く惹かれ留学を決めました。 当時は、駒場東大に住んでいたので、毎日横浜国大まで 2 時間近くかけて電車で通学していま した。日本語の勉強はとても大変でしたが、当時は在住の外国人も少なく英語を話せる日本人も - 116 - 少なかったので、一所懸命勉強しました。日本社会で強く印象に残っているのは、先輩後輩の上 下関係が厳しかったことです。学校でも後輩は先輩を敬い、ある種のヒエラルキーができて、私も そのヒエラルキーに適応するように心がけていました。また、日本人のすばらしいところは、勉強も 仕事もみな一生懸命なところだと思います。 留学後マレーシアに帰ってからは、Philips Electronics, Motorola Malaysia, Pioneer technology などに勤めました。またフマキラーや東海精機など多くの日本企業と仕事もしました。 在職中に川崎の工場で技術研修を受けたこともあります。その後、1999 年にジョホール州の政治 家になり、産業発展、投資促進の仕事に携わりました。政府の仕事には、民間企業での経験が大 いに役立っています。もちろん日本での経験・得た知識も、日本企業とやり取りをする上で非常に 役立ちました。過去には、ジョホール州政府の大臣にもなった経験がありますが、現在では官民 連携 IT 産業促進事業の中核組織である、MSC Cyberport の役員をしています。 自己研鑽のための研修 私は、昔から常に自分を磨き、より高い能力を身に着けたいと思い努力をしています。これまで にもイギリスやアメリカ、中国、フィリピン、マレーシアなどさまざまな研修に参加してきました。 AOTS の EPCM コース(企業経営研修コース)に参加したのも、当時 Pioneer Technology の役 員をしていた時に経営者向けの研修プログラムを探していたところ、EPCM コースの情報を見つ け、大変おもしろそうなプログラムでしたので、参加をしました。 EPCM コースへの参加は、私にとって非常に有意義な経験になりました。経営戦略については、 主任講師である矢作恒雄先生から、いくつかのケースに基づいたディスカッションを通じて勉強し ました。また、生産管理や財務などの勉強もしました。コンテンツもすばらしいですが、何より、講 師や他の参加者とのディスカッションが大いに勉強になりました。EPCM コースは経営者向けの 研修ですので、参加者のほとんどはすでに豊富な知識と経験を持っています。そのため、深い意 見交換・議論を進めることができ、とても有意義でした。 また、会社訪問ではいくつかの日本企業を見学しましたが、トヨタ自動車の見学をよく覚えてい ます。実は私は研修以外でも日本に行くときが何回もあり、トヨタ自動車にも何回か訪問したこと がありました。しかし、毎回行くたびに、品質管理やカンバン、工場管理など、新しい発見があり、 新たな知識を得ることができます。 同窓会活動について AOTS 研修から帰国後は、ジョホール支部の活動にも参加しており、現在、支部の会長を務め ています。同窓会活動には、二つの良い点があると思います。ひとつは、同窓会活動を通じて、マ レーシアに限らず様々な国の友人が増えることです。そしてもうひとつは、その友人を通じて、産 業界の様子を伺い知ることができることです。私は政治家ですが、民間企業での経験を生かして、 民間の良いところを取り入れながら、より実践的な政策を進めたいと考え活動をしてきました。政 治の世界だけで生きてきた政治家たちは、弁が立つが理論的過ぎることが多いです。私はそうは - 117 - なりたくありません。そうした意味でも、AOTS の研修生は民間の技術者、経営者が多いため、彼 らとのつながりを維持できることはとても有益だと考えます。 AOTS の貢献 AOTS はこれまでマレーシアの人材育成に大いなる貢献をしてくれました。産業技術の習得と いう面で、AOTS のような技術研修制度は非常に重要です。これまでもこの制度が大いに活用さ れ、マレーシア企業へ技術移転がなされてきたと思います。これからも日本のリソースを活用して、 マレーシアへの人材育成への協力を継続していただきたいと思います。 また、今後はお互いより一層の努力をして、適切な人材育成プログラムを提供するべきと考え ます。ジョホールバルの主要産業は長年にわたり製造業でした。しかし、昨今ではマレーシアはす でに人件費が高騰していますので、労働集約型の製造拠点が中国、ベトナム、インドネシアなど の他国へ移転が進んでいます。今後は、技術力を高め他国に負けない強みを持たなければいけ ません。例えば、日本とパートナーを組み、ジョホールバルに研修センターをつくって人材育成拠 点にすることもひとつの良いアイデアかもしれません。MSC Cyberport では、現在マレーシアに おける IT 産業のハブとなることを目指して、国内外の IT 企業の誘致を強化しています6。著名な 米 IT 企業の誘致も決まり、事業は順調に進んでいます。こうしたジョホールバルのリソースを活 用しつつ、日本・AOTS とも協力しながら、マレーシアのさらなる経済発展に貢献していければと 考えています。 6 MSC Cyberport Sdn. Bhd ホームページ:http://www.cyberport.my - 118 - 調査日:2010 年 3 月 12 日 自動車機件貿易/Perniagaan Alat-alat Ganti Kereta Jidosha Richaard Importer and Exporter Enterprise Owner Richard Eng Soi Tee 1981 年度 AOTS 技術研修参加 経歴 Technical College で自動車技術を習得後、1975 年より Borneo Motors (M) Sdn. Bhd.にて自 動車保守・整備業務に従事。1981 年社内の技術指導者養成のため、AOTS 技術研修へ参加。 1993 年に自動車機件貿易を立ち上げ、中古自動車部品の輸出入および修理・メンテナンスを行 っている。 AOTS 研修への参加 私は Borneo Motor に在職中の 1981 年にトヨタ自動車の受け入れで AOTS 一般研修へ参加 しました。今の自分があるのは、本当にトヨタ自動車や AOTS のおかげです。心から感謝していま す。 当時、Borneo Motor はマレーシアにおけるトヨタの代理店をしており、私は修理・メンテナンス の技術者として働いていました。マレーシア国内の各支店から合計 16 名の候補者が本社に集め られ、筆記試験と面接により日本へ派遣する参加者の選抜試験が行われました。私は当時 26 歳 で一番若い候補者で、周りは経験豊富な先輩ばかりでしたので、恐らく自分は選ばれないだろうと 思っていました。試験を終え会社に戻ってから上司に報告するときも、今年はだめかもしれないが 来年またトライさせてほしいと報告をしていたのです。しかし、数日後結果が届き、幸運にも 2 番目 の成績で合格し日本へ行く切符を手にいれることができました。 来日直後は、AOTS 中部研修センター(CKC)で 3 週間の日本語研修を受けました。初めての 訪日、初めての日本語学習で、初めは非常に苦労したことを覚えています。簡単な会話ができる ようになるまで時間がかかりましたが、日本語の先生が毎日熱心に指導をしてくれたおかげで日 常会話に困らない程度になりました。日本語研修が終わると、約 2 ヵ月半トヨタ自動車にて実地研 修が行われました。 トヨタの工場での実地研修は、新たに学ぶことが非常に多かったです。特に、日本人の勤勉さ、 - 119 - 規律正しさには、強い刺激を受けました。またこの研修には、さまざまな国からの研修生が一緒に 参加しており、彼らといい関係性を築き共に学びあうことは難しくもあり楽しい経験でした。例えば こんなエピソードがありました。日本人の指導員はとても厳しく、熱心な指導のあまり、時には研修 生に対し大声で注意することもありました。ある時、アフリカからの研修生が教えられた通りではな く、自己流のやり方で作業をやっていました。それを見た指導員が注意をしたところ、その研修生 は腹を立て大変な口論になり、非常に険悪なムードになってしまいました。私は急いで仲裁に入り、 こう言いました。「すみません。少し聞いていただけますか。我々は日本に学びに来ている。自国 にはない、異なる技術を学びに来ているのだから、研修生は指導されたとおり素直に試してみるこ とが大切なのではないだろうか。その上で、疑問・更なる提案があれば共有し、お互いの技術を高 めていけば良いと思います。」指導員も、研修生たちも私の話を聞いてくれ、納得してくれました。 この出来事があってから、指導員・研修生の間でとても和やかな雰囲気が出来上がり、お互いに 学びあう姿勢が生まれました。「マレーシアではこうしている。」「タイでは・・・」「私の国では・・・」と いう風に、日本で技術を学ぶだけではなく、それぞれの持っている知識・経験も同時に共有しなが ら、学びあうことができたのです。これは非常に有意義な経験でした。 技術の積極的な波及 帰国後、私は職場の同僚に惜しみなく学んだ技術を伝える努力をしました。日本のやり方になじ めない人、積極的に取り入れようとする人、など受け取り側の反応は様々でしたが、良い技術は 極力理解してもらえるように丁寧に説明を重ね受け入れてもらう努力をしました。インド系の同僚 も多かったので、タミル語を勉強し彼らにはタミル語で説明するなどの工夫も行い、徐々にですが 受け入れてもらえるようになりました。結局、Borneo Motor にはその後 10 年間勤め上げ、その後 ダイハツに転職し 2 年間勤務しました。そして 1993 年には、これまでの経験を生かし、2組のマレ ーシア人パートナーと共に、日本からの中古自動車部品の輸入販売・修理を行う合弁会社「自動 車機件貿易」を設立しました。この合弁会社でも私は技術者として、AOTS で学んだ知識・経験を フルに活用することができました。また日本の様子を知っていることも、技術者として強みのひとつ でした。その後この合弁会社のパートナーが撤退し、今では私がオーナーとして経営を担っていま す。また 2009 年には別会社「Richaard Importer and Exporter Enterprise」を設立し、日本に 限らず、中国や他国からの中古部品を輸出入するビジネスを始めました。例えば、中国からマレ ーシアに輸入した部品を、再度シンガポールに輸出するといったビジネスです。最近では特に重 機の部品に対するニーズが高く、適切なサプライヤーを探しているところです。 上記 2 社以外にも、私は求められれば技術的な協力を惜しみなく提供しています。そのひとつ が、PUSPAKOM という元国営の自動車車検場です。マレーシアでは商用車両の車検が半年に 1 回義務付けられており、この PUSPAKOM が一手に検査を引き受けています。私はジョホール にある PUSPAKOM で時々技術サポートをしています。 - 120 - (左)技術支援をしている PUSPAKOM 車検場 (右)車検場の説明をする Richard 氏と AOTS KL 事務所職員 日本との交流と同窓会活動への参加 日本での経験は私にとって一生の思い出です。今でも日本とつながりを持ち続けたいと思い、 いろいろな活動に参加しています。ひとつは、ヒッポファミリークラブの活動です。2009 年 10 月に は、横須賀で日本人家庭にホームステイをさせていただき、日本人家族との交流を楽しませてい ただきました。私は中華系マレーシア人なので、北京語、広東語、福建語、客家語などいくつかの 方言を話すことができます。今度また日本に行く機会があれば、中国語のたくさんの方言を教えな がら交流ができたらいいと思っています。 また、AOTS クアラルンプール同窓会ジョホールバル支部の活動にも、役員として参加していま す。私は AOTS の研修を通じて多くのことを学ぶことができ、大変感謝をしています。今の自分が あるのも、研修を通じて日本で技術を学ぶことができたおかげだと感じています。だから私は、そ の恩返しとしてできるだけの協力・貢献をしていきたいと考えています。私は経営者なので、比較 的時間が自由に使えます。来年度は支部の副会長にもなる予定ですので、今後とも積極的に AOTS 同窓会にも貢献をしていきたいと思います。 - 121 - Ⅲ インタビュー結果 ~フィリピン~ 調査日:2010 年 3 月 15 日 Toyota Autoparts Philippines, Inc Director, Division Manager Treasury & Comptrollership Division 菊池 一哉 氏 Toyota Autoparts Philippines, Inc の概要 Toyota Autoparts Philippines, Inc(以下、TAP 社)は、1990 年 8 月 3 日にマニラから約 40Km 南方の Laguna に設立されました。資本金 10 億ペソ、従業員約 800 名で、主に、自動車 の手動変速機及び等速ジョイントを生産しています。 これまで、全従業員を対象に、職位別教育を施し、日本、タイなどへの独自の海外研修も実施 しています。1997 年から定期的に AOTS 研修を利用しており、これまで派遣された研修生実績は 合計88名に上ります(内、1998 年度のアジア危機時期時に受入れた 34 名含む)。 一般的な社員教育に対する方針と活動内容 当社では、Mission Statements の中にある人材育成方針に基づき、全従業員を対象にした 階層別の教育をしております。研修コンテンツは、トヨタウェイという会社の考え方を理解するもの から、QC7 つ道具や QC サークル、改善といった生産現場で活用するもの、管理者に対しては、 行動変容研修等も提供しております。海外研修も行っており、AOTS 研修のほかにも、日本やタイ のマザー工場での研修等も実施しています。 まず、全従業員に対して、Basic Education Skill Training をテーマとした内部研修を実施し、 その後、2 週間の其々の分野における強化研修があります。 AOTS 研修活用の価値 まず、TAP社の独自研修とAOTS研修の違いを説明します。TAP 社で独自に行うのは直接的 に生産技術に関係するものが中心です。例えば、タイのマザー工場へ派遣しての研修は、短期間 の間に、その時に必要な技術を学んで帰るだけです。その一方で、AOTS のプログラムでは、もっ - 122 - と広い視野で日本の文化的側面や、技術の背景までを学べる内容が取り入れられており、これは TAPにとっても非常に重要な要素だと考えております。ご存じの通り、トヨタグループは日本企業 ですが、グローバル化した企業の戦略の中でも、日本的なものの考え方を背景とした管理方法を 採用しています。そのため、現地の従業員にとって、こうした理解が非常に重要となります。そうい う意味で、AOTSの研修の意義は大変大きいといえます。 AOTS の研修については、帰国後 2 週間以内に必ず、Final Report でアクションプランをまと めてトップマネジメントに報告する必要があります。さらに、6 ヶ月後、もう一度、その結果をトップ マネジメントに報告することになるので、学んだことがどの程度定着しているかを図ることができま す。 さらに言えば、AOTS 研修生として派遣されるのは、全てトレーナーとなる人材であるため、帰 国後は、全ての参加者が同僚や部下に学んだ経験を伝えることになります。これは技術移転を促 進するうえで、大変なインパクトがあります。中には、規模の大小を問わず、サプライヤーからの 要請で生産性向上について、AOTS で学んだトレーナーが講師として指導することも有ります。そ の結果現地産業界に対して、技術が波及していくという効果も生まれます。 また、AOTS 研修では、異なる国、会社からの参加者もきており、その交流の中から付加価値 が生まれています。AOTS での研修が終わった後でも、違う背景を持つ友人を多く作り、帰国後も 連絡を取りながら、様々なベンチマークやベストプラクティスを実践することが可能となります。 帰国研修生インタビュー 1998 年現場リーダー当時、AOTS 研修制度の下日本へ派遣され、現在スーパーバイザーとし て引き続き現場で活躍しているマルセロ氏に AOTS 研修の価値と、AOTS 研修がどのような効果 を生み出しているかを伺った。 まず、AOTS研修の印象についてお話します。研修に関しては、AOTS での一般研修と工場で の実地研修の 2 段階がありました。一般研修では、日本の文化や日本人の働き方、モチベーショ ン、問題解決の仕方など様々なことを学びましたが、特に、日本人の仕事に対して誠実に取り組 む姿勢が強く印象に残っています。実地研修では、日本で得た多くの先進的な技術をリストアップ し、現地に帰ってからどうやれば適用できるかを常に現地の上司に報告し、多くの改善をすること ができました。 当時、一般研修担当者であ った吉岡 AOTS マニラ事務 所長(左)と、思い出の写真を 持つマルセロ氏(中央) - 123 - 帰国後、継続的な活動が認められた結果、スーパーバイザーに昇進することができました。ス ーパーバイザーに昇進したことで、仕事には責任感が増し、より深く、広い目で業務を見る立場に なりました。その目から見ても、AOTS で学んだ経験は、今でも非常に役立つものです。例えば、 一般研修では、自社の従業員のほかに、背景の全く異なる会社、国の人々と一緒に研修に取り 組みます。そのため、チームで成果を挙げることを常に考えなければなりません。そうして学んだ 問題解決手法や、日本人も含めて、背景の異なる人とのコミュニケーションの取り方などは、今で も多くの場面で役立っています。 また、継続的に送られてくる機関紙「研修」を受け取ったら、いつも大変うれしい気持ちになり、 日本で研修していた当時のことを思い出すと同時に、モチベーションの維持につながっています。 このように、研修が終わった後でも継続的な情報交換ができる環境を作っていただいているところ も魅力の一つです。 Toyota Autoparts Philippines 社(TAP 社)にて 一番左:菊池氏 左から 3 人目:マルセロ氏 左から 2,4,5 人目:TAP 社の人材育成部門責任者 右から 2 名は、AOTS 職員 - 124 - 調査日:2010 年 3 月 15 日 Philippine Chamber of Commerce and Industry Secretary General Crisanto S. Frianeza 氏 Philippine Chamber of Commerce and Industry の概要 Philippine Chamber of Commerce and Industry(以下、PCCI)は、フィリピンにおいて、フィ リピンの民間企業全体の要望を反映させることのできる唯一の公的な代表組織です。発祥は 1903 年に遡りますが、商業会と工業会が統一された形で 1978 年に商工会議所として設立されま した。会員企業に対して以下の 3 つの活動を主に行っております。1.ビジネス環境整備を目的と した政府への働きかけ、2.現地企業に対するインターナショナルネットワーク作り、3.現地企業 に対する各種サービスの提供です。現在、1,010 社の会員企業がおりますが、2010 年中にさらに 30 社増える予定です。 AOTS・JETROとの連携による人材育成機能の強化 数年前より、PCCI 内部で、フィリピン国内の人材育成を強化したいとの機運が高まり、JETRO の協力の下、Philippine Chamber Development Institute(以下、PhilCDI)を設立し、人材育 成に向けた取り組みを開始しました。この取り組みは、大きく分けると、地方の商工会議所のマネ ジメント能力及びキャパビル向上と、会員企業に対するマネジメント能力向上の二つに分けられま す。2006 年度にはマスタープランを作成し、2007 年より 3 ヵ年の行動計画に沿って進めておりま す。2010 年からはフェーズⅡとして、会員企業に対する研修を拡充すると同時に、PhilCDI を通 じた零細・中小企業等の支援等を計画しております。 これらの人材育成機能強化に当たっては、AOTSマニラ事務所長及びJETRO派遣専門家の 方々のアドバイスが大変参考になりました。さらに、実際の事業実現に当たっては、様々な場面で AOTSの協力が欠かせませんでした。例えば、2007 年度から 2008 年度にかけては、上級の商 工会議所マネジメント研修をマニラ、セブ、ミンダナオの 3 箇所で計7回実施実現できました。これ は、フィリピン全土にある 108 の地方商工会議所の中から選抜された 30 機関の役員、幹部人材 を対象とした人材育成教育でした。この研修は、外部に対する提言や会員へのサービス提供の - 125 - 面で大いに役立つ内容でした。さらには、ASEAN各国の商工会議所のマネジメント能力向上を 目的とした 2 週間の幹部人材育成の来日研修が行われ、PCCIの幹部も参加することができ、商 工会議所機能を高度化させるためのノウハウを多く習得することができました。 09PHCIコースの実現 こうした協力関係の中でも、特筆すべきは、2009 年度PHCIコースの実現です。コースの実現に 当たっては、地方商工会議所が持つ様々な人材育成ニーズと電気電子、機械、食品、家具業界 等からヒアリングした結果を、PhilCDI を通じPPCIが集約した結果、建設業界から発案のあった プロジェクトマネジメントに係る人材育成を最も具体的なニーズの一つとして採用しました。その後、 AOTSマニラ事務所と協議を重ね、新設の AOTS 研修としてプログラムを作り上げました。このプ ログラムによって、実際の現地ローカル企業のニーズに基づき現地のニーズにフィットしたプログ ラムを AOTS と共に実現するに至りました。 こうした経験を踏まえ、今ではPCCI内部で研修実施のためのニーズサーベイを行い、その結 果をもとに、PCCI が行うセミナーや研修テーマを設定することにしています。AOTSマニラ事務所 やフィリピン日本人商工会議所にもご協力いただき、日系現地企業に対するアンケートや企業訪 問によるニーズ調査も行いました。 この様な活動は、他の支援者とは全く異なる、極めてユニークなパートナーシップの形です。他 の支援機関の場合、現地ニーズと直接関係のない事業の実施を求めてくることもあるのですが、 AOTSはフィリピン産業界のタイムリーなニーズを拾い上げて、本当に現地産業界に必要で役に 立つ研修を実現してくれます。さらに特筆すべきは、これは単発プロジェクトではないため、価値 の高いと思われる事業に対しては改善を進めながら継続して実施ができるという点です。長期的 な人材育成を考えると、極めて効果が高いものであると確信しています。 インタビュー風景 Crisanto 氏(左) - 126 - AOTSに対する今後の期待 まず、PCCI が集約した地方商工会議所が持つ現地企業ニーズと AOTS のスキームを適合さ せる形で継続した研修の企画作成と提供をお願いしたいと思います。継続的に現地のニーズを吸 い上げたオープンな形での支援を行っていただければ、時期や産業界の要望に適った研修が可 能と考えています。例えば、09PHCIに関しては、基本的な内容を中心にカリキュラムをコンパク トにまとめていましたが、プロジェクトマネジメントの需要が高い主要な産業に焦点を絞って、見学 先や講義コンテンツもその産業に焦点を合わせ、ポイントを踏まえたカリキュラムを編成すれば、 より研修効果が高まるのではないかとの声が挙がっております。 また、PCCIでは、これまでの AOTS や JETRO との取り組みを通して、会員企業の人材育成ニ ーズに対するサービス提供と中小企業の育成サポートの一環としてセミナーやフォーラム、研修 を提供すると共に、実施プロセスについても PCCI が主導的に実施できるようにはなってきました。 ですがまだ、その得た知識や技術が当地の企業や産業界に普及し、現地に根付くためには、更 なる工夫が必要と考えています。 特に、幅広い人材育成を行うために、現地トレーナーの育成が必要であると考えております。フ ィリピンの現状にあったカリキュラムを編成し、それに対して標準教材を作成しました。それら教材 を活用しながら指導ができるトレーナーを数多く育成する計画です。そのためには、現地で指導で きる人材が十分に育っておりません。特に、知的財産や 3R、物流といった高度な分野においては、 フィリピン国内で指導できる人材が非常に限られています。AOTSの来日研修で、このような人材 を育成し、帰国後に、彼らが指導者として活躍できる流れを作っていくことができたらと考えていま す。フィリピン国内におけるPCCIの研修では、前述のような「リソースパーソン」による指導を通し て、人材育成の効果が個人単位で留まらず、社会全体に波及することを期待しています。 - 127 - 調査日:2010 年 3 月 15 日 Asian Institute of Management Dean Victoria S. Licuanan 氏 Asian Institute of Management 及び Executive MBA Program の概要 Asian Institute of Management(以下、AIM)は、The Association to Advance Collegiate Schools of Business (AACSB)に国際的に認知されているアジア有数のビジネススクールです。 1968 年の設立時から、Harvard Business School とのパートナーシップを持ち、指導に当たって は Harvard Business School のケーススタディ手法を取り入れております。Time 社出版の Asiaweek Magazine においては、アジア太平洋地域の経営幹部教育で最高の評価を得ており ます。 最も特徴的なプログラムは、Executive MBA Program(以下、EMBA)です。学生を対象とし た、伝統的に行われている MBA プログラムとは異なり、参加者は全て、企業から派遣された経営 幹部、上級管理職者です。入学の条件として、最低でも 6 年間の勤務経験と 3 年以上の管理監督 者としての経験を要求しておりますので、一般的なMBAプログラムの平均年齢が 27 歳なのに対 して、EMBAは平均 35-36歳です。 EMBAでは、企業管理者に組織変革を促すため、戦略的な思考、ビジネス思考、体系思考、チ ーム思考の 4 つの要素を取り入れています。これらの要素向上のため、440 の実際のケーススタ ディセッションに加えて、180 の Strategic Management Project(SMP)のセッションを設けてい ます。 参加者は 1 ヶ月のうち 1 週間をAIMでフルタイムの集中教育を行い、残りの時間は会社で業務 を行いながら、学んだ内容を適用することになります。さらに、EMBA 修了の条件として、18 ヶ月 の期間内で、所属する企業で何らかの成果を挙げることを課していることは、一般の MBA コース と異なる点です。上述のようなプログラムを実施した結果、参加者は学んだことを実践的に自社で 適応することができ、派遣企業はその効果を目で見て感じることができます。 - 128 - Asian Institute of Management (AIM)外観 09PHQMコースの実現 AOTSとの関係は長いものがあり、1997 年から 2005 年度までAOTSとのコラボレーションによ り、PHED という企業家向け経営研修コースを来日研修として実施してきました。また、AOTS登 録講師でいらっしゃる稲葉エツ先生も、以前は、AIMの Faculty メンバーのお一人でした。 諸般の事情により、AOTSとの活動は暫く休止されておりましたが、2009 年度から再び、案件形 成型管理研修として、09PHQMコースが実現したことを大変喜んでおります。 2009 年度のコースに関しては、TQM活動に対する基本知識の取得とトップとしてTQM推進を 実践する上での役割理解に焦点を当てたプログラムの企画・開発をAOTSと共同で行い、2009 年 10 月に実現しました。 本研修については、EMBAのカリキュラムの一つであるオペレーションマネジメントの一環という 位置づけです。指導教授であるドミンゴ氏が、主に、日本の生産管理手法とツールについて、2 週 間にわたって20セッションを用いて指導しておりますが、内容はいずれも基本的なものに留めて おります。一方、日本のオペレーションマネジメントは、他国と比べ非常に高い水準を持つ分野で あるとのことから、来日研修で学ぶ内容は先進である日本のTQMをテーマとすることを提案しま した。さらには、TPMやJITについて学ぶ時間を取り入れてほしいという要望もいたしました。この ように、現地からの要望にも最大限の注意を払い、日本での最高級の研修を実現してくれるAOT Sに、本当に感謝しております。 参加対象者は、EMBAプログラムに参加している方並びに卒業生が中心でした。いずれも、現 地産業界の主要企業においてトップマネジメントとして活躍されている方々です。勿論、TQMも既 - 129 - に自社で適用しているという参加者もおりましたが、研修が終わって帰ってくると、それ以上に日 本から学ぶことが大きかったと感銘しておりました。EMBAのセッションの単なる繰り返しではなく、 企業で実際に行われている多くのアイデアを提供いただきました。例えば、目で見る管理でいえ ば、ビデオを活用して作業を説明するビジュアルマニュアルなど、現在、日本企業が実際に活用し ている事例を知ることができました。当地フィリピンでは、「理論より実践」、「よりシンプルで分かり やすいもの」が重要視される傾向にあります。企業であれば社員に対して言葉で見聞きさせるより も、映像や写真を用いて簡単に示すやり方が好まれます。視覚的にアピールする手法の方がより 簡単にしかも具体的にポイントを理解してもらうことができるからです。そう言った意味で、”Visual Control Management”は、帰国後すぐ自社に適用できるノウハウとしてとても参考になりました。 また、同コースの講師が紹介した「How to Smile “1 to 10”」という事例は、産業分野を問わず適 用できるもので、サービス産業から来た参加者も帰国後すぐに役立てられるものでした。その他、 工場見学先となったパナソニック電工創研㈱では、QCサークルをどのように適用できるかという ことについて、生産現場における実例を視覚的に分かりやすく詳細に学ぶことができました。多く の参加者は、書物に書かれている作業標準書が、日本の工場内では全ての機械に張り出されて いて、その徹底振りに驚きました。また、ある参加者は、アメリカ系の企業から転職し、現地の日 系企業に勤務しているのですが、アメリカ企業ではTQMの考え方は十分に浸透していなかったの とは対照的に、勤務先日系企業では、帰国後、学んだことを即実行に移し、企業内で Employee Creative Idea Program を取り入れました。 2 週間という時間的な制約もあり、具体的な生産管理手法については、学ぶ時間が十分ではな かったかもしれません。しかし、参加者は全て現地のトップマネジメントですので、上記のコンセプ トを学ぶことができれば、帰国後、自社で応用することは難しいことではありません。TQM に関す る深い専門的な技術論を持たない、背景の異なる参加者達が、それぞれにTQMコンセプトを学 び、参加者同士で議論し、研修の最後に個々のアクションプランを発表することで、帰国後自社に 戻り、「改善システム」や「TQM」を導入改善する等、アクションプランに記載したことを実践するこ とでより高く具体的な効果を生みだされました。企業によってはこれまでのトップダウンからボトム アップの動きも見え始める等組織に新しい動きが見え、”STEP”, “PROCESS”, “PROTOCOL” を意識して仕事をするようになったことでよりシステマチックに業務を遂行できるようになってきた 事例も参加者の企業で確認されています。さらには、来日研修中は、AOTSの研修センター食堂 からも学ぶことができました。徹底したごみの分別は大変印象に残っています。 このような経験は、フィリピンにいて、専門書を読むだけでは決して得られないものです。そのた め、AOTS研修は、大変価値の高いものであると考えています。 AOTSに対する今後の期待 先ほど述べたように、現地産業界の経営幹部に関しては、AOTS研修で来日して、実際の日本 の生産管理を学ぶことが有益であると考えています。是非とも、継続的なコース企画、開発、実施 をお願いしたいです。中間管理者、監督者に関しては、現地で具体的な手法を学ぶ方が効果的で - 130 - すので、フィリピンで現地研修を行っていただけると有難いです。 時期については、EMBAでオペレーションマネジメントのセッションを終えた後が、参加者が基 礎知識を持って来日研修に臨めます。今回実施した 10 月前後が、温暖な気候で、快適に研修を 受けることができるため、最も有難いです。 内容に関しては、今年度と同様、TQMの適用が最も関心が高いテーマですので、同内容の研 修を引き続き実施できればと考えています。環境マネジメントについても、非常に興味深いテーマ です。TQM活動を土台としながら、環境マネジメントについても取り入れるという形であれば、独 自性のある面白いプログラムになるのではないでしょうか。 また、フィリピンの現地産業界にAOTS研修はまだまだ知られておりません。AIMは独自で、現 地企業 100 社でされたHRカウンシルを有しており、AOTSフラグシップコースへの直接申し込み を進めていますが、AOTS研修の良さは十分に知られていない現状です。AOTSでも、現地産業 界への積極的なプロモーションが必要でありますし、AIMがお役に立つことがあればいつでもお 手伝いいたします。 Asian Institute of Management (AIM)にて 前列中央:Victoria 氏 後列:09PHQM コース参加者の皆さん 前列左右は AOTS 職員 - 131 - 調査日:2010 年 3 月 16 日 Bangko Sentral ng Pilipinas Assistant Governor Evelyna C. Avila 氏 Bangko Sentral ng Pilipinas の概要 Bangko Sentral ng Pilipinas(以下、BSP)は、1949 年 1 月 3 日に設立された The Central Bank of Philippines を引き継ぐ形で、1987年のフィリピン憲法の規定に則り、1993 年 7 月 3 日にフィリピン共和国の政府金融管理機関として設立されました。 BSPの主目的は、国内価格を安定させ、持続的な経済発展を維持することです。また、国貨 の安定と兌換性を保持することも大きな目的です。BSPは、貨幣、預金、クレジットの分野での 方向を示し、銀行運営及びノンバンク金融機関等準銀行機能を有する機関の管理を行っており ます。 BSPの主な機能としては、次のものが挙げられます。 1. 流動性管理。BSP は、価格安定性を維持するという主目的のために、通貨供給に影響を 与える金融政策を実行しています。 2. 通貨発行。BSPは、国貨の発行に対して独占的な権利を与えられています。BSPが発 行する硬貨と紙幣に関しては、全て政府からの保証が与えられ、法定通貨と認定されま す。 3. 最終的貸付。BSP は、流動性政策のための金融機関への割引、融資、増資を行ってい ます。 4. 金融統制。BSP は、銀行に対する統制及び、準金融機能を持つノンバンクに関する定期 的な監査を行っています。 5. 外貨保有管理。BSP は、フィリピンペソの国際的な安定と兌換性を保持するために外国 通貨の総需要に対応可能な十分な引当金の維持を図ります。 6. 為替方針決定。BSP は、フィリピンの交換レート方針を決定します。現在、BSP は、中央 銀行の役割は市場の状況を、秩序を保ち保証するという、市場中心の外貨交換レート方 針を忠実に守ります。 - 132 - 7. その他の活動。BSP は、銀行、金融アドバイザー、政府の公的保管人として政府機能の 一部や手段として機能しています。 AOTS 研修コースとの関わり 1990 年代に、BSPの以前の経営幹部がAOTS研修に参加したのが、初めての機会でした。そ の後、少し時間をおいて、改めて2003年より、様々なAOTS管理研修プログラムに、継続的に経 営幹部、上級管理職者を派遣しております。現在までに 10 名以上の参加者がおります。 BSPの特徴として、紙幣・硬貨の発行業務も行っており、その製造部門を自社で持っております。 紙幣や硬貨の製造コストは政府からの資金負担がありますので、工程内での無駄を取り除き、生 産性を向上させることができれば、直接的に政府に対して貢献できることになります。 AOTSの研修プログラムは、BSPにとって、大変時宜に適ったものが提供されています。例えば、 我々が、独自の Quality Management System の導入を図る際には、タイムリーにAOTSの品 質経営のプログラムに派遣することができました。さらに、2009 年には、全体的なプロジェクト管 理が必要だと考えていたところに、PHQMというフィリピン人管理職者を対象としたプログラムに、 プロジェクト責任者を派遣することができました。このように、こちらのニーズに合わせて、経営幹 部を派遣できることは大きな魅力です。 他の研修機関のプログラムもあるのですが、内容が専門技術に偏りすぎていたり、形式的なも のであったりするものも多いです。そうした中で、AOTSの研修は、日本企業をベンチマークしな がら実践的な経営管理を学べる非常に有意義な機会です。特に、我々は、紙幣・硬貨の製造にお いては、品質管理や生産管理といった製造業と同様の管理手法が必要となるからです。 AOTS 研修参加者に よる帰国後の成果報 告会 AOTS研修の成果 AOTS研修を受けて帰国した経営幹部・上級管理職者は、日本で学んだことをそれぞれの部門 で十分に生かして業務に取り組んでいます。AOTS研修から帰国した参加者には、帰国後の成 果報告セミナーを実施してもらうことを課しています。そのセミナーを通じ、何を学んできたか、ど のように仕事に活かしていくかということを報告してもらうことで、単に学習内容の報告ではなく、 学習内容の実務への反映とノウハウの定着のさせ方を、他の経営幹部、管理職者に対して発表 - 133 - してもらうことをねらいとして行います。そうすることで研修の成果を個人のものにするのではなく、 組織的な財産としてとらえ、部門の壁を越えて、共有、活用し、生産性効率を恒常的に改善してい きたいと考えています。 日本的な経営管理手法には、多くの優れた点があると考えています。問題解決にあたっては、 対処療法ではなく、QC7 つ道具等の品質問題解決ツールを用いて、問題の真因を論理的に突き 止め問題を解決するアプローチを取ることがその一つです。こうしたアプローチを生産現場に導入 することで、パスポートの生産部門においても、日々の業務を、チェックシート等を用いてそこに記 載された数値やグラフから具体的に現状を目視により把握できるようになりました。その結果、問 題がある場合でもそれら問題の種類が文字なのか、色なのか、あるいは問題が色などの「にじ み」に起因するのか、「かすれ」に起因するのかというように、何が原因となっているのかも特定し、 明らかできるようになりました。今ではそれら問題点の解決法も問題の属性に応じ最適のものを 選択できるようになっています。5Sについても、AOTS研修での工場見学などを通して、日本的な 士気の上げ方を学んだおかげで、帰国後自分の部署で5S を導入した後、目で見える形で改善の 成果を出すことができました。宗教や地域文化の面で異なる背景があるとしても、管理職者として の役割や考え方は共通のものです。 もちろん、日本のやり方をそのまま取り入れるのではなく、当地フィリピンに適合した形で応用す る活動もありました。例えば、多くの日本の工場では、実際の業務を開始する前に、皆で体操をし て、その後、朝礼で前日の進捗と問題を把握するという活動をしています。フィリピンではキリスト 教信者が多数でありますので、体操する箇所をお祈りに変える形をとりました。今では、全ての製 造工程において、毎日続けてられています。その結果、管理職者は現場で日々発生する問題を 把握することができ、作業者は些細な問題でも常に管理職者に報告できるため、現場でのコミュ ニケーションが格段に良くなり、現場で直面する様々な問題の事前把握や解決に大きな効果が上 がっています。 AOTSに対する今後の期待 先ほど申しました通り、当行の経営幹部・管理職者の人材育成にとって、AOTS研修は、大変重 要な機会と考えておりますので、継続的な研修機会の提供をお願いしたいです。また、これまでは、 製造工程の管理職者が中心でしたが、HR部門等に属する経営幹部にとっても大変有益な機会と なりますので、より幅広い職制を対象としたプログラムを増やしていただければ非常に有難いと思 っております。 BSP 社より AOTS 管理研修に 参加したお二人 - 134 - 調査日:2010 年 3 月 16 日 Richwell Trading Corporation Chief Operating Officer Myrna T. Yao 氏 2007 年度 AOTS 管理研修参加 Richwell Trading Corporation の概要 当社は、1980 年より、靴や日用品の貿易より業務を開始し、Quezon 市の Quezon 通りに事務 所と倉庫を構えております。Goodyear Tires 社のフランチャイズ販売代理店としても活動し、フィ リピンにおいては、最大の代理店の一つとなりました。さらに、1982 年 7 月には、バービー人形の 製造で世界的に知られる、アメリカ Mattel Toys 社の独占契約販売代理店として契約を結びまし た。この時代には、おもちゃは贅沢品とされており、輸入も難しい状況でしたので、ビジネスを軌道 に乗せる道のりは大変困難なものでしたが、徐々に市場に浸透していき、良いマーケティング戦 略が導入できるようになりました。 その後、Grosby K.P.Footwear, Inc との契約を得て、Dunlop shoes の単独代理店契約を締 結し、1986 年からは、日本の最高級のベビー用品製造業であるピジョン社との独占販売代理店 となりました。1989 年には、姉妹会社を通して、バービー人形製造のライセンスを得て、輸出も開 始いたしました。ライセンス事業にも力を入れており、フィリピンにおけるバービーのマスターライ センサーとして、市場に認知されていると同時に、ディズニー、くまのプーさん、セサミストリートの ライセンスも保持しております。 このような数々の事業を通して、良い品質の製品を適切な価格で供給した結果、幼児・子供用 靴の分野では、現在、フィリピン最大のシェアを誇っています。我々の強みは、顧客やサプライヤ ーとの関係だけでなく、製品マーチャンダイズや販売スタッフの専門性にあります。マネジメントチ ームは、結果重視で、刻々と変化する市場ニーズを満たすべく絶え間なく技術を向上させておりま す。 07EPCM研修コースについて 当社では、ピジョン社との取引など、日本企業とも長い付き合いがありますので、かねてより、日 本企業のものの考え方や日本的管理の実践方法を学びたいと思っておりました。そんな折、フィリ - 135 - ピン商工会議所(PCCI)から、当コースの紹介を頂き、参加を決定いたしました。 これまで、アメリカでの経営者研修プログラムに参加した経験がありましたが、アメリカのコース と比較すると、日本では多くの情報提供、特に実際の現場で学ぶ機会が多いことがたいへん有意 義でした。指導陣は、実務上の経験豊富な方々で構成されており、本で読むだけでは得られない、 会社をどのように運営していけば良いかということを学べました。研修センターでの生活も快適で、 日本料理もおいしくいただき、病気をすることもなく、過ごすことができました。 特に、HRD の考え方と手法については、当社に大いに適用ができるアイデアを頂きました。当 社では、1,200 名の従業員がおりますが、多くは、Shoe Mart(SM)等のフィリピンの大手商業施 設で勤務しています。さらに、クリスマスシーズンになると、おもちゃ販売等に従業員を 300 名程度 増やさないとならないため、1,500 名にまで増えます。そのため、絶えず、新人の教育、管理、監 査、人事管理をする必要があります。商品は次々と変化し、新しいものが市場に送り出されます ので、新しい技術やセールスノウハウを販売員に教育しなければなりません。また、販売員につ いても、年齢制限を26歳と設定していることから、常に新人を受入れている状況にあり、社内教 育の一環として彼ら新入社員を教育していくことも重要であることを改めて認識しました。時間が いくらあっても足りないくらいの状況の中、教えていただいた、具体的な人材育成のアプローチは、 非常に役立つものです。 また、マネジメントポリシーや戦略は、最も学習したかったコンテンツでもありました。実際にこれ ら関連講義から将来に向けて、会社はどのような方向に進んでいくべきか、他社の動向を把握す る為にすべきことは何かということについて多くの重要な示唆を与えていただきました。会社には ライフサイクルがあり、さらに事業を拡大させていくためには大いに役立つ考え方です。現在、娘 がアメリカで経営学を学んでおりますので、その考えと日本の考えを統合させて、自社の将来の 事業につなげていきたいと考えています。 日本式のマネジメントは、リスクを十分に検討し、その結果、意思決定に少し時間がかかりすぎ ているのではないかとの印象を受けました。フィリピンや中国の企業は、企業家や経営者がもっと リスクを負ってでもビジネスチャンスを創出しようとする傾向があります。当社で、日本企業と同じ ような意思決定をしていては機会を逃してしまう恐れがあると感じました。企業家はすべからくリス クテイカーであるべきと考えています。 しかし、同時に、日本企業は、いまだ強い国の経済力を背景に、非常に良い製品を作ることに 優れています。対してアメリカ企業にはマーケティング戦略に強みがあると認識しています。当社 は双方の強みを学び、良い製品を、良いマーケティング方針をもって、事業を拡大させていきたい と考えています。 AOTSに対する今後の期待 今回の研修では、日本企業を見学し、アメリカ式のマネジメントとの比較をすることができました。 しかし、これからはアメリカだけでなく、タイ、中国等の企業を含んだグローバル競争の時代が始 まっています。そういった意味で、グローバルに活躍する多国籍企業の運営を見る機会が得られ - 136 - れば、さらに有益であったでしょう。 また、一つ一つのケースをより具体的にしていただければよいと思います。例えば、中国での市 場進出をテーマとするような方法です。07EPCMでは、国もビジネス分野も会社規模も異なる背 景の経営管理者が参加しておりましたので、仕事に関連付けられる具体的なディスカッションをす ることにやや困難に感じました。事前に、参加者の背景を合わせていただければ、共通の認識を もって、議論を行うことが可能になったでしょう。また、自分自身が中小企業経営者であることから、 中小企業向けの同コンテンツや EPCM の各コンテンツを更に掘り下げたプログラムがあると良い と思います。AOTS には、今後も参加者がプログラム終了前に各自の次の課題を見つけられるよ うな示唆の多いプログラムを提供・創出してほしいと思います。 インタビュー風景 中央:Yao氏 - 137 - 調査日:2010 年 3 月 16 日 Philippine Electric Corporation Production Head AL V. Daos 氏 (左) 2006 年度 AOTS 管理研修参加 Head, Operations Support Group Juanito M. De Vera, Jr. 氏 (右) 2006 年度 AOTS 管理研修参加 Philippine Electric Corporation の概要 Philippine Electric Corporation(以下、PHILEC)は、エネルギー資源開発、製造、金融、建 設、エンジニアリング、貿易、商業サービス等の様々な事業を手がける First Philippine Holdings Corporation 傘下の主要企業です。1969 年の創業以来、アメリカの General Electric 社や Cooper Power System 社、日本の日立など世界のリーディング企業の技術協力を強みとし て、多岐に渡る変電圧機を製造しています。 TQC活動も当社を支える大きな活動のひとつで、顧客ニーズを満たす信頼性のある製品を保 証しています。これらの活動により、製造だけでなく、メンテナンスからトラブルシューティングにい たるまで、短納期で顧客の要望と仕様に応じることができる高能率的な技術サービスを誇ってい ます。 AOTS 管理研修コースについて Daos 氏:日本的な管理方式と知識を学んで、当社に取り込むことを目指して、06PMTCに派 遣されました。主任講師の岩山先生をはじめとした先生方は、みな実務経験の豊富なプロフェッシ ョナルでした。事例の中は、職場で応用できるものが豊富で、実際に現場で適用したチャート、モ ジュールも多々あります。研修時代に得たマトリックスは、今でも活用しています。研修は、極めて 体系立てて行われており、その講義、見学で何を学ぶかということを常に理解しながら参加するこ とができました。教室は、空調が完備され、プロジェクターなど視覚設備も充実していて、極めて快 適でした。また、生活に関しても、多国籍料理が用意されており、イスラム教徒であってもまったく 問題ありませんでした。 De Vera 氏:当時のGMが退職したことで、新しいポジションにつくことになったのですが、AOT Sマニラ事務所に人材育成について相談したところ、PIPFを紹介していただき、参加することにな - 138 - りました。研修では、専門家のご講義や工場見学を通して、極めて実用的な知識を得ることができ ました。特に、日本的経営管理の実践を見られたことは有意義でした。プログラムを通じて、他国 の管理者達と活発なグループ議論が行われたのも大変魅力的でした。中でも、参加者がCEOと CFOとなって企業運営をシミュレートする、マネジメントゲームという演習が印象に深く残っていま す。参加者が交流を通して、お互いにインスピレーションを得、また友情も生まれました。当時の 仲間とは、今でもインターネット上のフェイスブックを通して、連絡を取り合い、業務上の問題解決 の情報シェアを行っております。 AOTS管理研修の成果 Daos 氏:帰国後、まず、不良を出さないために、工程内検査等の様々な検査システムの導入 を試みました。その結果、品質に自信のある職場になりました。さらに、組織が生き残るための変 化の重要性を学ぶことができましたので、それを部下に伝えました。実際に日本式の手法を自社 にそのまま導入することは、文化的相違により、必ずしも100%達成できなかったものもありまし た。但し、自社に合うようにアプローチを工夫することで導入できたものも数多くあります。 De Vera 氏:私は、まず3Sからステップアップさせる形で、5Sを導入しました。また、日本のサ クセスストーリーについて議論した内容をもとに、7つの無駄を削減する提案を行いました。さらに、 数年前に機械の更新をしましたが、まだ残っている古い設備をいかに保全するかという課題に対 しては、PIPFで学んだ予防保全の考え方を取り入れました。この予防保全には、オペレータ一人 一人の問題解決能力が欠かせないため、オペレータが問題解決できるように教育をしました。現 在、6シグマや、在庫改善のための新たなプロジェクトに取り組んでいますが、こうした経験が土 台となり、品質や生産性効率が向上し、質の高い製品を生産ロスやムダを抑えて生産可能になっ た為、コスト削減も進み、当社の生産態勢は順調に改善が進んでいます。また、検査工程ではこ れまで行っていた全数検査を一定の期間不良が出なければ、抜取検査に変更する等の工夫も行 っています。 日本では、生産管理手法だけでなく、品質を維持するための人材育成の重要性やその方法を 学ぶことができました。わが社も、投資家からは教育重視を強調されていますので、非常に納得 できるものであります。地道に取り組みを続けた結果、UKにベースのあるIIP(Investors in People)という認証を受けるに至りました。これは、まだフィリピンでは10社程度しか認証されてい ません。昨今、IMS(Integrated Management System)や National Quality Award US を受 賞することもできましたが、これらもAOTSでの研修の波及効果といえるでしょう。 - 139 - インタビュー風景 左側前:Daos 氏 左側後:De Vera 氏 AOTSに対する今後の期待 Daos 氏:人材育成はますます重視されており、我が社からもこれからも参加者を派遣したいと 考えています。AOTSには、事業環境に対応した現地企業のニーズに沿った研修を続けていただ きたいです。 De Vera 氏:技術革新のスピードも、以前より、ますます速くなっています。研修プログラムには、 最新のベストプラクティスを用意していただければ、さらに有益な研修となるのではないでしょう か。 - 140 - 調査日:2010 年 3 月 17 日 Ergo Contracts Philippines, INC. Chief Executive Officer Ng Kar Choon 氏 2009 年度 AOTS 管理研修参加 Ergo Contracts Philippines, INC.の概要 ERGO CONTRACTS PHILIPPINES, INC. (以下、ECPI)は、エルゴ製品のライセンスメ ーカーとして1985年に設立されました。現在、ECPI は、シンガポール、マレーシア、台湾、タイ、 上海、香港、オーストラリア、アメリカに製造及び販売拠点ネットワークを持つ Ergo グループに属 しており、「Ergo」ブランドは、フィリピンにおける人間工学的な椅子製造業として先駆的役割を果 たしています。当社の椅子は、Shoe Martをはじめとしたフィリピン国内の最新の映画館や、コ ールセンターなどの職場に多く使用されています。 ECPI のミッションは、競争的な価格で総合的な顧客満足を得られることのできる、品質の高い オフィス家具を製造、販売することです。アジアにおける、オフィス家具分野でのリーディングサプ ライヤーになることを目指しています。品質保証には力を入れており、開発、製造、販売の全ての ステップで、国際的に要求される、品質及び耐久性基準を高い水準で満たしています。 09PHQMについて 何より強調したいのは、AOTSの提供したこのプログラムは、これまで受けた多くの研修の中で も最高のプログラムであったということです。30年前に、Asian Institute of Management(AI M)のMBAプログラムを受講したこともありましたし、アメリカのスタンフォード大学での研修にも 参加したことがあります。また、1970年代に、富士山の麓のJETROスクールで日本人の考え方 や文化を学んだこともありました。しかし、これほど実用的なプログラムを受けることができたのは 初めてでした。PHQMでは、日本が40年以上かけて培ってきた経験と成功体験を共有し、会社 の経営、問題解決、マインドセットなどをどう進めていけばよいのかが理解できました。AOTSに は、2週間という非常に限られた時間の中で、途上国の経営者に対して、品質経営の分野におい て、極めて効果的なプログラムを提供いただいたことに本当に感謝しています。 参加のきっかけは、以前に学んでいたAIMより、日本でTQMの研修を受けられるという情報を メールで得たことです。日本は、品質の分野で一番の成功を収め、品質を最も強みとしています。 その日本では、品質管理をどのように実践しているかに大変興味がありました。また、今回のプロ - 141 - グラム参加を通じ、日本では、企業が単に利益を追求するだけではなく、従業員が仕事にプライド を持ち、品質にこだわったものづくりをしています。その背後にあるものが何かを知りたくて参加を 決めました。私は、この点が日本を成功に導いた要因ではないかと考えています。 日本滞在中、印象的だったことの一つは、日本の街はどこもきれいであったということです。プ ログラム参加をきっかけとして、自社に5S を導入することになりましたが、日本では TKC(AOTS 東京研修センター)だけでなく、北千住駅周辺もスーパーの中も清潔でした。日本では、すぐそこ が5S 実践の場となっています。 フィリピンでも、TQMのプログラムを実施することはありますが、一方的に講師が持っている知 識を話すだけで臨場感に欠ける傾向にあります。AOTSの研修は、生産性向上に係る成功への プロセスや TQM 推進者等の実体験等をリアルに追体験できるという意味で大変有意義でした。 実際に、企業でTQM活動を推進していた方々が、自らの経験を惜しみなく提供してくださいました。 その際には、単なる成功話ではなく、推進するに当たっての問題点に関しても全て答えてください ました。このような経験の共有が、研修には最も大切であると感じると共に、AOTS 研修参加の意 義、良さを感じています。 インタビュー風景 左:Ng 氏 09PHQMの成果 研修後に、具体的に取り入れた活動例としては、PDCAサイクルに基づいた管理、無駄チャー ト、スキルチャートを挙げたいと思います。 まず、これから導入する新しい事象についてトップマネジメントはそのコンセプトを理解すると共 に全容を社員に示し、個々の改革の推進は中間管理職層の社員に推進者となって職場に導入す るよう決めました。PDCAサイクルを職場でまわすために、常にデータを取るという習慣が身につ きました。これまでは、データをそれほど取っていませんでしたが、TQMでは、常にデータを取り、 何が悪いかということを統計的に判断します。 無駄チャートは、会社を改善するのに最も良い方法です。5つの無駄について、従業員に説明 し、3つの主要な無駄を洗い出し、どのように解決するかを共有しています。この活動を通じて、従 業員は職場内での様々な問題に対して、当事者意識を持つことができるようになりました。そして、 - 142 - 当事者意識を持ちながら、データに基づいた議論をすることができるようになりました。 次に、スキルチャートですが、全ての作業について、経験なし・研修中・助けがあれば仕事がで きる・自分ひとりで仕事ができる・教えられる、の5段階に分けたチャートを作り職場の各セクション の壁に張り出しました。これにより、従業員の能力が、誰の目から見ても把握できるようになりまし た。 これらの活動の基盤として、目で見る管理マニュアルを作成しました。マニュアルでは、特に、 何をしたらいけないのかを写真を加えてわかりやすくしたため、作業者への指導がこれまでよりも 迅速に進むようになりました。また、講義で学んだ、笑顔の作り方を目と口の動きを分けて表した スマイルチャートを事務所に導入したところ、スタッフの関心も高く、外部に対するサービス品質の 向上につながっています。 様々な活動の結果、職場全体で品質についての意識が非常に高まり、特に、工場の現場は非 常に喜んでいます。 さらに、この素晴らしい研修を、企業幹部にも受講させるべきだと考え、工場長を、その後の09 PHCI(プロジェクトマネジメントコース)に参加させました。そして、工場長を中心として、全社的な 5S活動を、事務所と工場の両方で開始しました。現在では、全社的な5S監査も始まりました。次 に、QCサークルの設立を行いました。QCサークルに関しては、以前、日系企業で勤務していた スーパーバイザーを講師として、QCサークルメンバーに対するTQMの考え方とQC7つ道具の研 修を行いました。帰国後、わずか5ヶ月で、スタッフの意識も大きく変わり、生産工場も含め、職場 にも様々なボードが張り巡らされ、管理された状態となりました。こうして良い傾向が職場の随所 で見られるようになりましたが、これら表やデータは飾りではありません。仕事に活用されて初め てその効果が発揮されるものです。掲示されることに満足するのではなく、職場でそれらデータが 情報としてどのように活用されているのか、マネジャーと共に実務に生かすよう努力を積み重ねて いるところです。また、グループでチームワークを持って仕事をしてもらうために、報奨金制度も導 入しました。まだまだ活動は始まったばかりですが、このような取り組みを始めたことに顧客も感 謝してくれています。200名を越える作業者がいるので、全員に浸透するには時間がかかります が、必ず、やり遂げたいと考えています。 事務所内の隅々に改善 ボードを掲示 - 143 - 個々人の職場机でも TQM 活動の基盤となる 5S が実践されている 今後のAOTS研修への期待 TQM活動を実現するためには、トップ一人だけの力では困難です。そのため、できるだけ多くの シニアマネジャーを教育して、すばらしい品質経営活動に、全社的に取り組みたいと考えています。 そのためには、今後も、是非、他のシニアマネジャー達をAOTSの管理研修に参加させたいと考 えています。それと同時に、TQMが上から強制されるものではないボトムアップの活動であること を理解してもらうためには、現場のスーパーバイザーレベルの教育も必要です。スーパーバイザ ーレベルのスタッフを日本に派遣して研修させるのは、コスト的に難しいので、こちらは、是非、フ ィリピン現地での実施をお願いしたいです。日本では、全ての階層でTQMを理解することが成功 につながりました。我々も、この日本での成功モデルを取り入れなければなりません。 また、残念なことですが、この素晴らしいAOTSの研修は、まだ十分にフィリピン国内で知られて おりません。正直に言うと、私も、これまで国内外の数々の研修を受けてきましたが、AOTSという 存在を知りませんでした。これから、更に現地産業界に対する広報活動にも力を入れていただけ ると幸いです。 - 144 - 調査日:2010 年 3 月 17 日 TAKUMA TEC Philippines, Inc. President 石原 篤 氏 TAKUMA TEC Philippines, Inc.の概要 TAKUMA TEC Philippines, Inc.(以下、TTP社)は、1996 年に、某日系設計会社によりフィリ ピン中心部のマカティ市に設立されました。2001 年に、尼崎に本社のあるタクマエンジニアリング 株式会社に譲渡され、現在はタクマグループの海外での設計及びエンジニアリング業務の拠点と して活動しています。主に、ボイラー、焼却炉、エネルギー、排水処理等のエネルギー・環境プラ ントおよび単体機器の設計業務を主に行っております。 フィリピン人技術者に対する教育とAOTS研修 TTP社では、AOTS 研修とJODC専門家派遣制度の両輪でのフィリピン人技術者に対する教育 を進めています。 我々の中心業務は、日本語図面を設計・製図することです。会社の規模、従業員数を考えると、 駐在員の数を極力抑えないと会社が成り立ちません。そのため、まず、現地で核となる人材に対 して、AOTS研修でしっかりと日本語を学んでもらい、それからOJTで技術的な指導をしています。 AOTS研修で学ぶと、日本の文化や習慣も身につけてきますので、この点が非常に大きいです。 日本語に関しても、殆ど話せない状態から、意思疎通をかなりの部分で図れる水準まで向上しま すので、指導するのに非常に役に立ちます。帰国後は、JODC 専門家派遣制度によって派遣さ れた日本人技術者が現地で指導をする時にもかなりの理解をしてくれ、技術移転が円滑に進み ます。さらに、出張者が、一般的な仕事で来比する際にも、容易に指導することが可能です。 海外での仕事では、言葉と習慣の違いが大きな障壁になります。フィリピン人技術者が日本で 勉強することと同時に、日本人が海外での経験を積むことも重要です。ですので、AOTS、JODC の両制度を活用することで、相乗効果を生み出し、効率的に言語や文化障壁を軽減し事業の円 滑化を図りたいと考えています。 AOTS研修の具体的な成果としては、納期を守り、リーダーのチェックレベルが上がることにより、 ミスが減ることが挙げられます。派遣された研修生は、帰国後にリーダーやサブリーダーに昇進 するレベルの人材なので、大変高い効果が期待できます。日本に派遣される前には、納期を延ば - 145 - さないと仕事が終わらないような状態が続くことも有りました。しかし、帰国後には、無理な納期が あっても、AOTS 研修にこれまで参加したリーダー格のスタッフによる図面のチェック能力の向上 等により、会社としてその厳しい条件に対応できる力が着実についてきました。 AOTS研修後の人材育成上の工夫 AOTSでの研修を受けた者の中では、延べ 20 名中 14 名と 7 割の社員が仕事を続けています。 これは、フィリピン国内では定着率が非常に高い部類に入ります。給料だけでは、彼ら専門性の 高い設計技術者を引きとめることはできませんので、TTPでは、AOTS研修を受けた後でも、3 か 月程度の短期出張で日本へ派遣する仕事も用意しています。彼らの動機づけにもつながっており、 日本に対する魅力を感じてくれているのではないでしょうか。 日本語学習に対する動機づけも行っています。例えば、日本語検定試験の合格者へは手当を 加算しています。現在、CADエンジニアでは、3 級(いずれも旧制度)が 2 名、4 級が 7 名おります。 準 2 級を目指して学習している従業員も 2 名います。これら手当は確実に日本語学習に対する動 機づけにつながっていると感じています。 日本語能力も含めた実務レベルは人によって異なるのですが、これは、実務の多寡に左右され る感触です。実務で、実際の工程の関連や考え方を取り入れながら研修を受けるほうが、より高 い効果が期待されるのですが、金融危機のあおりで仕事が激減したこともあり、なかなか目標通 りには達成できません。 今後の人材育成について 現在行っている 3 か月出張ベースのOJTを 1 年間の企業内転勤にして、日本語レベルをもっと 上げてもらい、日本からの仕事のまとめ役になって現地で指示する人材を育てたいと考えていま す。そうすると、日本からの出張を極力抑えることが可能となります。 また、本当は、チーフリーダー的な役割の人材を、短期間、日本へ派遣して、管理職者としての 教育を試みたいとも考えていますが、昨年から経営的に厳しい状態が続いているため、費用の面 でまだ踏みきれていません。業績が回復する時期が来れば、是非検討したいと思います。 帰国研修生インタビュー 2008年度に、AOTS 研修制度の下、日本へ派遣され、現在 Junior Engineer として引き続き 現場で活躍している Joel Brian Atanacio Tayam 氏に AOTS 研修の価値と、AOTS 研修がど のような効果を生み出しているかを伺った。 AOTSで研修した日々は今でも忘れられないもので、まだまだ新鮮に思い出が蘇ります。異な る国、文化、背景を持つ人たちと大勢で学び、友人となれるような機会は滅多にありません。日本 にいる間は、できるだけ土日は外出するようにしました。特に、土曜日は教会に通い、そこで知り 合った友人を通して、日本人の生活を学ぶこともできました。 - 146 - 2008 年度の AOTS 研修に参加した Tayam氏 研修センターでは、受付、食堂、スタッフ、そして日本語の先生の皆さんの全ての皆さんに良く していただき、今でも何名かの先生とはメールで連絡を取り合っています。 日本語については、来日当初、全く話すことができませんでしたが、AOTSでの一般研修と技 術研修の 8 か月を通じて、話すことができるようになりました。 一般研修では、日本語のほかにも日本人の生活習慣や考え方等、日本で経験することすべて を学ぶことができました。特に、初めて日本へ行く人には最高のプログラムです。また、心配する ことがあったら、すぐに担当者に相談することもできました。 日本語の基本と丁寧形を教えていただきましたが、センターを出た直後は、わからない単語も 多く、日本人の話すスピードも速く、最初は、やや戸惑いました。特に、英語ができる指導員の方 も日本語で話をしてきて、びっくりしました。しかし、問題解決について、絵を描いて丁寧に説明し て下さいましたし、こちらも電子辞書を用いて何とか理解をすることができました。 日本の企業に対しては、何でも時間通りという印象です。非常に規則正しく、仕事に集中してい ます。日本人は仕事が趣味でないかと、感じることも有りました。 帰国後は、仕事のチェックに具体的な成果を上げることができました。技術研修中は、正確で迅 速なチェックが行えるように、毎日 2 時間の講義と 6 時間のチェックが続きましたが、そのおかげで、 何をチェックすればよいのか深く理解できるようになりました。日本へ行く前を 100%とすると、現 在は、200%のパフォーマンスが挙げられています。また、これらの経験を同僚にも伝えることが できました。スタッフ同士、チームワークを持って働いているため、日本でしてきた経験を共有する というと、殆どの方がついてきてくれました。 インタビュー風景 右から 1 人目:石原氏 右から 2 人目:Tayam 氏 右から 3 人目:TTP社 Executive Adviser の八木氏 - 147 - 調査日:2010 年 3 月 18 日 フィリピン日本人商工会議所 副会頭 藤井 伸夫 氏 フィリピン日本人商工会議所の概要 フィリピンに進出している会員企業相互の親睦を図るとともに、企業の円滑な活動のため、 1973 年に設立された非営利団体です。主な活動内容は、日系企業に対する各種情報提供活動 です。また、現地で操業する上で、経営上の障害となっている事柄に対しては、協力して解決に当 たっています。日系企業を法人会員、日系企業に属していない日本人を個人会員、フィリピン人を 賛助会員としております。現在、合計で 528 件の会員がおり、内訳は、法人493、個人16、賛助 会員19となっています。 AOTS研修が在比日系企業に果たしている役割 2003年より、AOTSの協会企画型海外研修のスキームを活用して、定期的に現地日系企業の 日本人駐在員を対象とした研修を行っております。最近の日本人駐在員に感じることは、日本で 十分な管理者としての経験のないままに派遣されていることが多いということです。特に、中小企 業では、基礎的な教育を受けないままにいきなりフィリピンで現地工場の責任者として赴任する人 たちも少なくありません。大企業であれば、一度、日本に戻って勉強するということも可能なのでし ょうが、中小企業にはそこまでの余裕がありません。そのため、現地日本人駐在員の間でも、基 本的な管理方法を教えてほしいというニーズは大変強いものがあります。 これまでも、現地JETROや民間コンサルタント企業によるセミナーが開かれておりましたが、そ の多くはテーマが特化された専門的すぎるもの或いは費用が高額なものでした。そんな状況の中、 AOTSは、我々のニーズをもとに内容を考え、コスト的にも最高の研修を提供してくれています。 私の知る限りでも、最も実績の上がっている日本人駐在員に対する教育は、AOTS研修しかあり ません。小手先のニーズに頼ったものではなく、ファンダメンタルを重視したものであると同時に、 実践でも役立つ内容であるものとしても評価しています。 AOTSの良いところは、官と民間の雰囲気を併せ持ち、ファンダメンタルを押さえてくれるところ です。個々の専門的な事例については、現地コンサルタントが助言することはありますが、基礎的 な内容を理解していないと応用が利きません。換言すると、枝葉の解決にはなるが、根本の解決 にはならないということです。AOTSが幹の情報を提供してくれていれば、問題の解決も早めるこ - 148 - とが可能です。 インタビュー風景 右側前:藤井氏 右側後:フィリピン日本人商 工会議所事務局長の林氏 在比日系企業における今後の研修ニーズ 引き続き重要な内容は、新任管理職を対象にした基本的なコンテンツでしょう。長くフィリピンで 仕事をしている日本人を見ていても、一番欠けているのはその基本であると感じています。 もちろん、進出企業の分野によって異なることも有ります。特に、製造業と、商社・銀行・BPO・IT 分野等の違いとしては、前者が組織力を重視する一方で、後者は基本的に個人の能力で勝負し ます。それでも、駐在員は、個々の技術的な要求ではなく、現地従業員をマネジメントしながら組 織としてパフォーマンスを求められるため、その根幹部分は共通であると考えています。ただし、 切り口は若干異なるかもしれません。例えば、製造業の管理職は、特殊な能力を持っているわけ ではありませんが、自分の持つ専門技術から、幅を広げて全体をみる必要があります。会議の進 め方や工程の進捗管理、税務の仕組み等の管理職としての基本を知っていると、現場で具体的 な課題に直面した時に大いに役に立ちます。それに対して、ITやBPOといった専門知識で業務を 行う分野では、異文化マネジメントやトータルマネジメントの考え方などが有用です。 AOTSに対する今後の期待 まず、現在の日本人対象の研修に関してですが、予算の制約などで難しいのかもしれませんが、 本当は、もう少し、異なるテーマを交えてトータルで研修をやってもられればと思います。現地駐在 員にも、其々の興味や苦手にしている分野があるのですが、現地では相談できる場所がありませ んし、日本に帰ってから基礎教育してくれるという機会も有りません。例えば、労務はわかるが経 理の基本的な仕組みを知りたいというときに何か提供してくれるところがありません。その他、品 質管理、生産管理等の分野別に定期的な講座があれば、非常に役立ちます。 フィリピン人の中間管理者層を教育する場合、その上の日本人が知らないということに驚くこと があります。現場改善にしても、時折、フィリピン従業員のほうが日本人の知識を上回っているこ とがあります。そのような逆転現象が発生している会社を複数見てきています。日本人が理解して くれないため、現場改善や品質管理の諸活動がなかなか業務に反映されないという悩みを抱えて いるフィリピン人管理者もいます。そうした文脈からも、日本人に対する研修のほうが現地日系企 業に与える影響は大きいのではないかと感じています。 - 149 - フィリピンで製造業が集積している場所として、ルソン島では、首都近郊のラグナ、バタンガス、 北のクラーク、スービック、海側地域として独立しているカビテ、セブ島では、マクタン工業団地、そ してダバオが挙げられます。これらの地域での研修展開が考えられますが、日本人駐在員を対象 とする場合は、多くが居住しているマカティでも良いかもしれません。その場合のターゲットですが、 自前で出来てしまう大手企業ではなく、人材育成までは手の回らない中小企業に力点を置いた研 修展開をしていただければと思っています。 AOTSによる受入研修に関しては、非常に評判が高いことも知っています。しかし、お金と時間 がかかることと、人が抜ける間にどのように乗り切ればいいのかで二の足を踏んでいる企業が多 いのが現状です。正直なところ、コア人材が業務を抜けることなく、指導を受けられ、生産性の改 善するJODC 専門家派遣制度により魅力を感じる企業も多いです。IT分野等の個人の能力向上 が会社の将来の利益貢献に直結すると確信の持てる企業であれば、多少のリスクをとった派遣 が可能でしょうが、製造業では、そのリスクを取るのがなかなか難しいというのが現状です。 一方で、管理職者に対しての、2 週間程度の短期研修であれば、十分に可能性はあります。中 小企業であっても管理職者の人材育成にはお金も使います。実際、関係会社のタイやマレーシア に派遣することも有ります。テーマとしては、方針管理や戦略、部門間の垣根を問題解決には需 要があるでしょう。他流試合をしないと、人間は成長しません。AOTS の受入管理研修の場合は、 工場見学も有りますし、コンテンツとして非常に魅力的です。 最後に、これは日本政府へのお願いとなるかもしれませんが、単に予算を削るというばかりでは なく、AOTS、JODC、OVTA等の公的制度をもっと有機的に組み合わせた援助を行っていただき たいということです。昨今、日本社会の中では現地日系企業に対する支援の必要性が浸透してい ない印象ですが、この現地でひしひしと感じていることは、中国、韓国の攻勢に日本は勝てるのか ということです。日本企業のことを一番考えて活動してくれているAOTS の予算が大幅に削減され るということは、100 年の大計を誤っているのではないかと危惧しています。日本政府の支援撤退 と同時に、中韓が官民一体となった支援攻勢をかけています。特に、韓国は、中国沿海部からフィ リピンへの進出が顕著となり、厳しい人材獲得競争が始まりました。このままいけば、フィリピンは 中国と韓国に席巻されるのが明白です。日本の中小企業、特に製造業が息を吹き返すには海外 に出るしかありません。そこでどんな支援が必要か、政府によるテコ入れも必要であると感じてい ます。同時に、AOTSにも、他団体と連携した、より効果的な支援を期待しています。 フィリピン日本人商工会議所にて 左から 1 人目:林氏 左から 2 人目:藤井氏 右 2 名はAOTS職員 - 150 - Ⅳ インタビュー結果 ~ベトナム~ 調査日:2010 年 3 月 9 日 Dong Tam Group Chairman Vo Quoc Thang 氏 2005 年度,2006 年度 AOTS 管理研修参加 ドンタム株式会社の活動について ドンタム株式会社(以下「ドンタム」)は創業以来 40 年以上の歴史の中で、建築物の外装及び 内装分野の製造販売、および投資事業において成果を挙げてきました。比較的簡単な技術を用 いてスタートしたわが社ですが、日々の技術革新を怠らず、現在ではインテリア業界においてベト ナム国内で最大の製品製造企業となりました。ベトナム国内の建物をはじめ、世界各国の建物に いたるまで、最新の一貫生産方式を用いながら商品を提供しています。わが社は、「お客様の希 望、要求への理解を怠らず、品質に適ったサービスを提供し、皆様の夢を実現できるように休ま ずにいつも労働精神を高め、創造力を築き、お客様と末永くお付き合いさせていただく」ことを目標 としています。 これまでインテリア関係の商品製造・販売の分野において、ベトナム国内及び世界各国にサー ビスを提供し好評を得てきましたが、あわせて他の分野への投資活動も行ってきました。技術の 新興国に数えられるベトナムは、現在、経済ならびに生活水準が飛躍的に上昇するのに伴い、臨 海設備や住宅への投資計画が増加しています。こうした流れの中、ドンタムは工業団地や住宅な どの不動産市場への投資を実施しており、今後とも力強い企業としてより一層活躍していきたいと 思っています。 わが社は社会発展を 1 つの企業目標に掲げており、事業を通じて労働者の生活を応援し、社 会発展への貢献を心がけています。また、これまでこうした目標に基づき、ベトナム国内の大都市 から地方に至るまで様々な社会貢献活動を行っており、ベトナム国内で社会的信頼を築いてきま した。今後の活動にも期待が寄せられていると自負しています。こうした取り組みや国家共同運営 事業に向けた努力が評価され、大変光栄なことに私は共産党、国家、各省より表彰を受けること ができました。ベトナムの若手ビジネスマンの模範となるよう引き続き努力しているところです。 私はドンタムの発展がベトナム社会の発展へ貢献することを強く信じています。また、ドンタム の社員はお客様のニーズを尊重し、心からのサービスを提供できる者であると思っています。以 - 151 - 上の信念、およびドンタムの成功はすべて社員の力によって決まるという考え方から、積極的に 人材育成活動を行い、勤勉で、情熱、学習意欲、想像力に富み、技術に習熟した社員を育てるよ う心がけています。 AOTS管理研修の参加について 私は過去 2 度 AOTS の管理研修コースに参加しました。1回目は 2005 年 5 月に東京研修セ ンターで実施されたベトナム中小企業経営研修コース(VNSM)です。この研修の目的は日本企 業の経営理念と経営戦略、人的資源の活用、QCDF を改善する生産マネジメント、市場競争優位 を獲得するマーケティングについて学ぶことで、参加者が自社の経営の問題点を把握し、課題解 決のためのアクションプランを作成できるようになることでした。2 回目は 2007 年 1 月に関西研修 センターで行われたベトナム企業経営研修コース(VNCM)です。この研修ではブレイクスルー思 考について勉強しました。 AOTS 管理研修で印象に残ったこと 研修はそれぞれ 2 週間と期間こそ長くはありませんでしたが、たくさんの経験や知識を身につけ ました。1 回目の研修では日本の優秀企業の事例を通じて、企業経営のあるべき姿を考察でき、 わが社が抱えている経営的な問題を把握することができるようになりました。2 回目の研修では主 任講師の日比野省三先生から当時の私にとってまったく新しい考え方であったブレイクスルー思 考についてたくさんのことを教わりました。ブレイクスルー思考について今でもよく覚えていること は、過去の事実ではなく目的からスタートするということです。その目的の目的の目的は何かとい うように徹底的に目的を追求することで問題解決を図ることです。 AOTS の研修に参加し非常に印象に残っていることは、日本人の仕事の仕方(高い労働倫理 観、時間厳守、勤勉さ)、および研修中に訪問したどの企業も美しい施設で、設備や道具が完璧 に整理整頓されていたことです。また、日本は工場内だけではなく、生活の中でも5S を取り入れ ているということです。例えば電車に乗る際は整列乗車をし、電車の中では静かにするというのも 私の目から見ると、これは5S だと思い感銘を受けました。 帰国後の成果 ベトナムに戻ってからドンタムの経営全般に渡って、研修で習得した管理技術の知識や技法を 活かしています。AOTS の研修に参加したことにより、経営者の心構えとして、「ネガティブな面を 考えるのではなく、ポジティブな面を考えることが成功の第一歩である」という信念を持つことがで き、それをわが社の経営に活かしています。 日本的生産管理手法である5S や改善は非常に良いシステムです。当社の各工場でも帰国後 すぐに5S を導入、実践し、本社でも5S の看板を掲示して、日常的に5S を意識する取り組みを継 続して行っています。5S の導入にあたっては、最初は面倒くさいという意見が従業員から多数挙 がり困難も多かったですが、やがて従業員は徐々に慣れていき、今では各工場で普及しています。 - 152 - また、1 回目の研修に参加し、実践的に知識を吸収できる AOTS 研修の素晴らしさを実感し、そ の後は出来る限り多くの従業員も研修に参加できるような方針を立てています。 日本での研修を通じて、日本人に対し非常に良い印象を得たことをきっかけに、この 2 年程で たくさんの日系企業と取引を開始しています。その中でも、現在日本の住宅メーカーと共同で大き なプロジェクトを進めているところです。また、わが社には複数の日本人幹部社員がいます。現在、 わが社の取締役副会長のうちの一人は日本人です。 インタビューに答える Thang 氏 他社や地域への波及 2 回目の研修を受けて帰国したあと、ほどなくして日比野先生にベトナムに来ていただきました。 そして、ドンタム本社のある Long An 省の省機関や企業向けにブレイクスルー思考の講演を依頼 し実現しました。また、Long An 省の経営者等を日本に派遣するプログラムも行っています。さら に、現在は他の現地ローカル企業の中で5S を実践したい企業に対するアドバイスやコンサルティ ングも行っております。ベトナム全土で5S を実践できれば確実により速いスピードで国が発展して いくことでしょう。 AOTS に対する今後の期待 ドンタムにはこれまで AOTS の受入研修に参加した人が私以外にも十数名いますが、彼らの 帰国後の様子を見ていると研修参加の効果が大きいことが分かります。AOTS の研修は様々な テーマのプログラムが用意されており、業務内容や専門性、能力に応じ研修を選択できるので、 社員の人材育成において非常に有用です。私自身も、今後魅力的なプログラムがあれば、是非も う一度参加したいと思っています。AOTS には今後も継続的により良いプログラムを提供してもら いたいです。そうすることで、わが社はより多くの社員を日本に派遣し育成することができます。そ れらの研修を受けた社員がベトナムに戻り、日本での経験をより多くの従業員に伝えることで、そ れが自社だけでなく他社に波及し、ベトナムの産業界の発展につながっていくと思います。そのよ うな一連の流れが今後しっかり構築されることこそが、今のわが社と私にとっての理想です。 - 153 - 調査日:2010 年 3 月 10 日 プラスベトナム工業株式会社 執行役員 情報管理部 部長 Vu Thi Thu Hang 氏 2005 年度 AOTS 管理研修参加 AOTS 研修参加の経緯 私は 1996 年、日本語の通訳としてプラスベトナム工業株式会社に入社しました。会社に入って からは生産技術や生産管理、品質管理、経理にいたるまでいろいろなことを勉強しました。やがて 得た知識にしたがって仕事も難しくなりました。ただ日本語の通訳をするだけではなく、いろいろな ところから情報を得て、それらをよく分析し、書類にまとめ関係者に配信することが主な業務となり ました。その後、2004 年に情報管理部のマネージャーに昇格しました。それによって更に仕事が 難しくなりました。情報を得て分析して、計画を作って会社に提案します。そのような業務に携わっ ている中で、経営の知識をより深め、経験を積むために 2005 年 6 月~7 月に渡って開催されたA OTSの企業経営研修コース(EPCM)に参加申し込みをしました。 参加した管理研修について 私が参加した 2005 年度企業経営研修コースは参加者が計 26 名で、世界 12 カ国から来た研 修生で構成されていました。このコースは英語で実施されましたが、私は学生時代英語を勉強し たものの、社会人になってからはあまり使う機会がなかった関係で、他の参加者の堪能な英語に 当初は面食らってしまいました。最初はそのような環境の中で自信がなかったのですが、コース中、 毎日グループディスカッションを重ねるうちに、徐々に自信がついて、最後には皆と自由に意見交 換ができるようになりました。また、大学で勉強をしていたときは、グループでディスカッションをす ることはほとんどありませんでしたので、初めていろいろな国の人たちと意見交換をしたことは非 常に良い経験でした。ベトナムにいては決してできることのないこの体験を通じて、同じことでも、 国の文化によって皆のものの見方、考え方がまったく違うことを実感することができました。 一番印象に残った研修内容 ある日、主任講師の矢作恒雄先生(慶應義塾経営大学院教授)が、翌日のディスカッションのテ ーマを私たちに与えました。それは、「ある会社がもうすぐ倒産します。もしあなたがその会社の社 - 154 - 長なら、どうしますか? A 案:資本金を増やす、B 案:生産性を上げる、どちらを選ぶか良く考え て、グループの人たちとディスカッションをして、最後にみんなの意見を出してください。」というもの でした。私たちのグループは良く考え、A 案を選ぶか B 案を選ぶか皆で話し合い、結局 A 案を選 ぶということで翌日どうしてそれを選んだのか理由を説明しました。一通り各グループの発表が終 わったあと、先生からの講評・解説の際に、先生が A 案でも B 案でもない、A と B を含めた C 案 の意見を出したのでした。この一連の出来事を通じて、(先生に)言われた通りに考えるだけでは なくもっと良い方法があるか考えてみることが必要で、目の前にあることに拘らないで、今までな かったことや他の選択肢があるかどうかも考えることが重要であると実感しました。帰国後仕事に 戻ってからは、問題が発生し解決するためにはどうすればよいか考える際には、今までの方法は 別にして、もっと良い方法があるかどうかいつも疑問を持つようにしています。本当に有益で貴重 な経験をしたと思っています。 研修期間中の思い出 研修中の一番の思い出は、やはり初めていろいろな国の人たちと話をして、友達になったことで、 今でも非常に大事な思い出です。また、研修には 2 泊 3 日の研修旅行がありましたが、その中で 日光に行きました。日光には昔からの建築物(寺社仏閣)がきちんと残っていることに大変驚きま した。現在ベトナムでは昔からの遺産はほとんどなくなってしまって、歴史を深く勉強しようと思っ ても容易ではありませんが、日光にある建物はほとんど昔のままの形で残っており、日本人が歴 史や遺産を大事にしていることに感銘を受けました。私は研修コースが終わってから京都にも行 きましたが、京都もほんとうにきれいなところでした。このように日本人が遺産を大事にする姿に、 私は日本人の意志の強さを感じます。 帰国後の変化 現在、会社での所属部署は研修参加前と同じですが、与えられる業務と会社からの要求は当 然のことながら高くなりました。そしてもっとも大きな変化と言えば、やはり私自身がAOTSの研修 コースに参加したことで、以前に比べていろいろなことで自信を持てるようになったということです。 研修での最初のグループディスカッションで自信がなく皆の意見を聞いているだけだった状況から、 これでは駄目だと自分の殻を破ったことは、今考えると私自身にとってのターニングポイントだっ たと思っています。今でもAOTSでの経験を若い従業員に伝える活動をしており、「自信を持って 仕事をしてください。自分の意見をどんどん会社に伝えてください。」ということをよく言っていま す。 AOTS研修の効果 プラスベトナム工業では 2004 年以降、私を含め約 80 名のベトナム人技術者・管理者がAOTS の研修に参加しています。研修は各社員のモチベーションを確かに向上させ、研修成果は所属部 署・企業全体に広がって、企業の業績向上にまでつながっています。具体的な一例ですが、品質 - 155 - 管理に関して私が入社した当時は、日本から製品のちょっとした小さな傷に関するクレームがあっ た際にその旨をこちらの品質管理の担当者に伝えると、「こんな小さな傷でも何でクレームになる のだろうか」と言われることや、「日本人はいつも厳しい。こんな小さな傷はわからないじゃないで すか」といった意見を聞くことが多かったです。いくら説明してもなかなか品質に関する考え方を変 えてはくれませんでした。しかし、その後彼らのうち数名がAOTSの研修に参加し品質管理の勉 強をしてからは、このようなやり取りは一切無くなりました。私は、彼らがただ単に日本でQCの知 識を身に付けたからではなく、彼らが日本に行って、研修で知識を得るとともに日本で売っている ものや日本人の生活を見たことで、はじめて自分たちが求められている品質に対する考え方が変 わったのではないかと思っています。つまり来日研修が故の変化であると考えています。 今後の研修生に対するアドバイス これから AOTS の研修に参加するわが社の従業員を含めたベトナム人の産業技術者に対して、 私の経験からアドバイスをするとすれば、まずは自信を持って研修に参加してくださいということを 言いたいです。私自身もそうですが、多くのベトナム人は恥ずかしがりやの性格の人が多く、また 他の国の人との文化交流の機会もベトナム国内ではあまりありませんので、自分の意見を初めて 会った外国人になかなか言うことができません。また、せっかく日本に行くのですから、日本の文 化や生活をよく見てみると、日本人の考え方や仕事の仕方の特徴が分かってくるということもアド バイスしたいです。 プラスベトナム工業株式会社にて 右から 2 番目:Hang 氏 左から 2 番目:プラスベトナム工業㈱ 芹川社長(インタビュー当時) 左右はAOTS職員 - 156 - 調査日:2010 年 3 月 10 日 資生堂ベトナム有限責任会社 Nguyen Minh Tri 氏 Dao Anh Tuyet 氏 Pho Duc Thuy Tien 氏 Nguyen Tat Phuoc 氏 2009 年度 AOTS 技術研修参加 参加した研修の背景 2010 年 2 月のベトナムにおける新工場竣工に向けて採用された従業員のうち、コアとなり、現 地従業員を指導する立場の中堅技術者、計 15 名が技術研修に参加(2009 年 5 月~9 月)。来日 直後は AOTS 関西研修センター(KKC)で開催された一般研修6週間コースを受講し、その後日 本国内工場で約 3 ヶ月の実地研修に参加。実地研修中は AOTS 横浜研修センター(YKC)に宿 泊。 研修参加前の経歴と来日直前の意気込み Tri 氏:資生堂に入社する前は日系自動車部品製造企業に勤めていました。技術部に所属し、機 械設備の管理を約 8 年間担当していました。その企業に入る前には木材加工の技術習 得のため、約 1 年間の来日研修を経験しています。その時は千葉県で研修を受けました。 この研修を受ける前に6ヶ月ほど日本語を勉強しまして、その後も日系企業で働いていた 関係で日本語を使う機会は随分前からありましたので、今回の来日にあたっては日常会 話程度の日本語は話せました。資生堂に入る前は化粧品についての知識がまったくなか ったので、どのように化粧品を製造するのかを知りたく、また、今回日本に行くのは10年 ぶりでしたので、日本はこの10年でどのように変化したかについて大変興味がありまし た。 インタビューに答える Tri 氏 - 157 - Tuyet 氏: 資生堂に入る前は、外資系製造企業のQC部門に勤務していました。私は今回の研 修以前に日本へ行ったことがなく、また日本語も勉強したことがありませんでした。資 生堂に入社し日本で研修を受けることが決まり、それを最初に聞いたときはとてもう れしく、また不安に思うことはまったくありませんでした。「たった 5 ヶ月の研修期間な ので是非行ってみたい」と心が躍りました。来日研修にあたっては、日本語を勉強し たいと思うと同時に、日本は非常に発展した国ですから、どういう国なのか、また日本 人はどういう人なのかなどを知りたいと意気込んでいました。 Tien 氏: 私は Tuyet さんとは別の外資系製造業の会社に勤めていました。そこでは品質保証部 門で約2年間働きました。私も Tuyet さんと同じく今回の研修が初めての来日で、日本 語はまったく分かりませんでしたが、日本で研修を受けられることにとてもワクワクして いました。私も日本はどのような国か、日本人、日本の生活や風土などを知りたいと同 時に、今まで私が携わっている仕事である品質管理について、例えば日本企業は製品 のパッケージング検査をどのように行っているのか知りたいと思っていました。 Phuoc 氏: 私は資生堂入社以前、日系企業の技術部門で働いていました。私は大学卒業後、最 初の勤務先が日系企業でしたのでそこで初めて日本語を勉強し、次の会社も日系企 業だったたため、継続して日本語を使っていました。化粧品の生産・製造技術に関し ては、資生堂入社前はまったく知りませんでしたので、今回の研修では新しいことを 勉強したいという意気込みを持っていました。また、日本人のやり方も日本の国につ いても少しわかっていましたが、もっと日本のことを知りたいと思っていました。家族と 離れることは少し不安でしたが、日本に行けることはとてもうれしかったです。 一般研修で学んだこと・印象、研修センターでの生活 Tri 氏: 一般研修中の一番の思い出は、初めていろいろな国の人たちと一緒に勉強したことと、 先生方が非常に熱心であったことです。一般研修では日本語だけでなく、日本の生活 や現場改善などの仕事のやり方についても勉強しました。また、6週間の最後には成果 発表を日本語で行いました。ベトナムではこれまで日本語を使うときは話すことだけでし た。これまであまり機会がなかった書くことや読むことについても勉強できましたし、これ まで8年間日本人と仕事上接してきてある程度分かっていた日本や日本人の習慣につ いて、系統的に復習し足りない知識の補充をすることができ非常に良かったです。生活 環境については、私たちは一般研修中の関西研修センターでの滞在に加え、実地研修 中は横浜研修センターに宿泊しましたが、研修センターではベトナムでよく食されている 空心菜を食べることができ、とてもうれしかったです。また、月に1回誕生日パーティー - 158 - などもあり、日本での生活は非常に楽しくあっという間に過ぎました。研修センターの近 くの観光スポットに皆で行くようなイベントも思い出します。特に研修センター付近で開 催された夏祭りに参加し、盆踊りを踊ったことは非常に印象深く、いつまでも忘れないと 重います。 Tuyet 氏: KKCでの一般研修について全体的な印象としては、初めて日本語を勉強したこと、皆 でがんばって日本語を話すのでクラスが活発であったこと、それから研修旅行に行っ たことが挙げられます。また、一般研修中に勉強した日本人の生活の仕方、仕事の 仕方については、その後の工場での実地研修の際に存分に活かす事が出来ました。 6週間の研修では、初めての日本語学習で一から勉強したわけですが、6週間後に は道を尋ねるといった簡単な日常のやり取りができるようになったおかげで、ある程 度日本語を話せるという自信を持って実地研修に取り組むことができました。また、ク ラスの皆で一緒になってチームとして取り組むことも今までにない経験でとても勉強 になりました。生活面については、研修担当者や研修センターの受付の人は英語を 話すことができましたので、いざというときは大変助かりました。 インタビューに答える Tuyet 氏 Tien 氏: 私にとっては初めて家族と離れた生活でしたので、一般研修開始当初は家族のことを いつも考えていました。しかし先生方、他の研修生の皆さんと親しくなったおかげで、家 族のことを思いふける回数が減りました。また、一般研修の講義で日本の防災につい て演習を交えて勉強しましたが、実地研修の期間中に実際に地震があり、その際に勉 強した知識を活かせたので非常に良かったと思いました。一般研修の期間ですが、私 にとってはもう少し長ければよかったと思いました。なぜなら、一般研修は日本語だけ ではなく、ほかの内容についても勉強しますので、全体的に見ると日本語学習への負 荷が高いと思いました。しかし本当に6週間の一般研修は役に立ちました。 - 159 - Phuoc 氏: 以前別の会社に勤務していた際に日本で研修を受けたときは、来日してすぐ工場で 研修を受けましたが、今回AOTSの研修では実地研修の前に導入のための講義な どを受けることができ、今まで私が知らないことを勉強するチャンスがたくさんありまし た。例えば、日本語以外にも日本人の生活、仕事のやり方や性格まで勉強すること ができて、とてもよかったです。6週間の日本語学習は練習や宿題がたくさんあり疲 れましたが、先生方が熱心に導いて下さったので、何とか乗り切ることができました。 先生方の熱意は深く心に刻まれています。 実地研修について Tri 氏: 私は機械関係の専門研修を受けたのですが、設備について幅広く勉強し、知識・技術を 身につけることができました。 Tuyet 氏: 私の専門研修内容は品質検査でして、日本で研修した製品の検査(色等)は、今の仕 事に直接役立っています。帰国後、ベトナムの工場と日本の実地研修先の工場では 気候が違うため、日本で勉強したことがこちらではまったく同じわけではないというこ とを理解しました。実地研修中、指導者の方々は通常の仕事をやりながら私たちの 指導にあたられており、彼らにとっては仕事が倍になったわけですが、それでも熱心 に教えてもらえたことに感銘を受けました。 Tien 氏: 私は品質管理のうちパッケージングを専門としていましたが、研修のときはほかの人と 一緒に検査全般の勉強をしました。そのときまではやったことがなかった色や匂いなど の検査について勉強できたので非常に面白かったです。また、指導員や他の従業員の 方々は私たち研修生の生活面についても関心を払ってくれまして、例えば日曜日に行 きたいところに連れて行ってもらったりもしました。 インタビューに答える Tien 氏 - 160 - Phuoc 氏: 私の本来の専門は機械設備ですが、ご存知の通り、機械設備保全は製造工程管理 の一部でして、実地研修では製造に関する幅広い知識を吸収することができました。 化粧品の製造工場は私にとっては新しい環境でした。専門用語も多く、最初は難しか ったですが、現場で日本人の指導者に聞きながら理解を深めました。 研修成果と帰国後の活動 Tri 氏: 研修を受けて、帰国後、技術面もそうですが、特に自分の専門知識が深くなったことが実 感できました。また、他の従業員に機械の運転技術を教えると同時に、彼らが日系企業 で働くということに慣れるために、日本人の仕事のやり方についても説明をしました。 Tuyet 氏: 日本での研修で一番理解を深めたことは、日本人の仕事のやり方です。まずは計画 を立てること、仕事を進める際は Step by Step で、時間を良く守るといったことです。 Tien 氏: 家族のもとを離れて4ヶ月外国で生活をしたことが自信になりました。仕事面では専門 の勉強をするとともにほかの技術の勉強もでき、今回の研修機会は非常に貴重なもの でした。従業員のうち限られた一部の人しか今回の研修に参加できなかったわけです ので、選抜されたということは自分にとって大いに自信になりました。 Phuoc 氏:化粧品の製造技術を勉強することができ、帰ってベトナムの工場で働くことに対し、より 積極的な気持ちになりました。また、研修参加前にある程度日本語ができましたが、 今回改めて日本語を勉強し、自分の日本語能力についても自信が増しました。 インタビューに答える Phuoc 氏 - 161 - これからの意気込みとアドバイス Tri 氏: 今後AOTS研修に参加する予定の研修生に対しアドバイスをするとすれば、一般研修で はいろいろな勉強をし、その内容は多く、課題がたくさんありますが、日本には研修を受 けに来たという心構えをしっかりと持っておくことが必要だということを言いたいです。 現在は工場の本格稼動に向けてテストをしている段階ですので、細かな問題がいろい ろ発生していますが、今回研修に参加した研修生を含めた従業員全員が自己を啓発し、 努力し、良いアイディアを出して解決しなければならないと思います。また、会社の方針 である安全と品質の徹底が大事であると思います。世界的に有名な「資生堂」という会 社のベトナムでの知名度の更なる向上と、特に品質においてはトップになることを目標 にがんばりたいと思います。 インタビュー風景 Tuyet 氏: AOTSの関係者に是非ともお伝えしたいのですが、私のように研修開始時に日本語を 知らない人はある程度日本語を勉強してから実地研修に移ることで専門技術がより 効果的に習得できるのは確かなことです。 今後についてですが、私たちは団結して工場の立ち上げを成功させたいと思います。 この工場で製造される製品には「made in Vietnam」という文字が刻まれます。成功 が資生堂の評価向上のみならずベトナムの名誉にもなりますので、全従業員が努力 する必要があります。 - 162 - Tien 氏:私から追加で今後の研修生に対しアドバイスするとすれば、住居や食事はAOTSの研 修規則で定まっていますので、生活面については何の心配もないということです。 日本で研修を受けて帰国した後は、私は会社にどのような貢献ができるかをよく考えま した。そしてまずは自分の業務に対し努力して取り組むことから始め、その姿を他の従 業員に見てもらい参考にしてもらおうと考えています。 Phuoc 氏:もし日本に研修に行くのであれば、AOTSの研修に参加したほうが良いということを他 の従業員に伝えたいです。 私は、帰国後、研修で習ったことを活かし、グループディスカッションをよく行い、意見 を持ち合って問題を解決する取り組みを行っています。現在、工場の本格稼動の最 終準備のために日本の親会社から専門知識を持ったエキスパートがこちらに来てご 指導頂いておりますが、やがて生産が開始する頃には専門家たちも日本に帰ってし まいますので、来日研修で学んだことを十分に活用し、自分たちで頑張れるよう努力 していきます。 - 163 - 調査日:2010 年 3 月 11 日 タンロン技術学院 学院長 Huynh Mui 氏 これまでの略歴 私は 1962 年(昭和 37 年)に初めて日本を訪れ、以来日本とは長い関係が続いています。国費 留学生として最初は千葉大学で勉強し、その後東京大学大学院に入りました。東大では当初駒 場にある駒場留学生会館におりましたが、1966 年頃本郷に移りまして、そこで数年間新星学寮7 に下宿しました。それ以降、東大大学院生および研究員として 1977 年まで日本におりました。 当時、新星学寮やその周辺に住んでいる人とは盛んな交流がありました。「ブーさんを守る会」8 の本拠地が寮にありましたし、その後のベトナム人留学生支援の会も寮に拠点がありました。 1965 年 2 月のアメリカによる北ベトナム爆撃(北爆)開始の数日後、アメリカ大使館前に行き抗議 デモをおこないましたが、それも寮で集まって計画しました。つまり当時のベトナム人留学生にとっ て新星学寮とは大変な存在で多方面に影響がありました。 寮を基礎にしてアジア学生文化協会が設立され、その後穂積五一先生(初代AOTS理事長)が 中心となり、1959 年AOTSが設立されました。そのような背景の中で、新星学寮やアジア学生文 化会館(ABK)が起点となり、私は当時 ABK 別館にあったAOTSとつながりをもつようになりまし た。AOTS事業に関して直接携わることはほとんどありませんでしたが、研修生に対する私の関 心は当時からありまして、研修生とは何かをよく考えていたものでした。 ベトナムに戻ってからは、ハノイ大学で数学者として教鞭を執りました。主な研究分野は代数的 位相幾何学で、次世代を担う若者の育成や後進の指導にあたりました。その後、1986 年にベトナ 7 AOTS初代理事長の穂積五一氏主宰の学生宿舎。 (東京都文京区) 1967 年(昭和 42 年)ベトナム人留学生のブー・タット・タンさん(東京大学経済学部) が 65 年の米軍ベトナム北爆開始直後の抗議デモがもとで強制送還されそうになった事件。 東大を中心に守る会が結成され、数日で全国から 10 万を超える嘆願書が集まった。大河内 東大総長(当時)も法相に面会、善処を申し入れ、3 年後に特別在留許可を与えられた。 8 - 164 - ム政府が打ち出したドイモイ政策9により、ベトナムの国自体が大きく変化をし始めたころ、私は土 木協会の中に土木工学応用数学・情報科学センター(CAMICE)という組織を立ち上げました。こ のセンターのおかげで、他国と接触する機会が増え、私やベトナムの若い数学者はセンターの名 前で西側諸国へ行けるようになり、各国との研究交流活動や数学国際会議への出席が可能にな りました。また、当時ハノイで非常に数が少なかったコンピュータについて研究したい数学者や土 木学者を集めてクラブ活動のようなものをやりました。 その後、1994 年にタンロン大学の学長になったあと、2001 年にタンロン技術学院という日本で いう短大にあたる教育機関を設立しました。タンロン技術学院を作ろうと思い立ったきっかけです が、私がタンロン大学の学長を務めているときに、多くの卒業生が就職した外資系企業の様子を よく聞いてみると、企業の中で彼らが要求されるものが大学教育の枠の中には無く、それらは学 問というよりスキルの側面が強いと感じ、何らかの職業的資質のあるベトナム人学生を育てて世 の中に送りたいと思ったからです。2000 年頃になるとベトナムでの日系企業の産業活動が本格 化し、それ以降は日系企業の求める若手産業人材の育成に向けた教育に力を入れています。私 はタンロン技術学院について、学生と企業の一つの架け橋であると思っており、学生が社会人に なる前に何かしらの技術を身につけてもらう場であると考えています。以上のように、私はベトナ ムに帰国した後の最初の約 15 年間は研究者として、その後の約 15 年は教育者としてこれまで活 動してきました。 Mui 氏が学院長を務めるタンロン技 術学院の前にて Mui 氏(左)とAOTS職員 1986 年(昭和 61 年)12 月の第 6 回ベトナム共産党大会で提起された社会主義路線の見 直し、産業政策の見直し、市場経済の導入、国際協力への参加等に向けた政策。 9 - 165 - AOTS研修制度について 私はベトナムに進出している日系企業に対して、AOTSの研修制度を多いに利用すべきだと進 言しています。ただ、制度を上手に活用するためにはある程度事前準備をした方がより高い効果 につながるため、なるべく最低限の日本語を教育した上で日本に研修生を送った方が良いとアド バイスしています。私は日本の企業で仕事をする以上は日本語ができないとだめだと考えていま す。それは、日本企業に入社した優秀なベトナム人が、日本語の資料が読めなく聞こえてくる言葉 がわからないため、結果的に上司とは身振りでしかコミュニケーションが取れず人間関係が築け ないことに起因し、入社1~2年で辞めてしまう現状を数多く見ているからです。私は日系企業に 対し日本語のできないエンジニアは定着率が低いことを常々申し上げています。ある日系自動車 製造企業が日本語を多少勉強した従業員をAOTS制度を使って日本に派遣し、ベトナムでの人 材育成に成功している事例を知っておりますが、これについても日本語が重要な要素になってい ると思います。 AOTS研修制度の特に良いところは、日本語を勉強する間に日本の社会や日本人の仕事の仕 方を学ぶところだと思います。これらの点は私が留学生時代に必要性を感じたことと重なっていま す。上記の日系自動車製造企業もAOTS研修制度の最も有用な点の一つは、日本人のものの考 え方を理解してもらうために役立つとおっしゃっています。 ベトナムの産業発展に向けて 日本とベトナムは、各々の言語を比較するとお互いに漢字文化圏ということが言えます。ベトナ ム語は文字としては漢字を使いませんが、言葉の構成上は漢字の要素が入っていますので、日 本語とベトナム語には「中国語の影響を受けた言葉が入っている」という共通点があります。また、 仏教や儒教に大きな影響を受けたというのも共通項で、お互いに分かり易い側面があるというこ とも言えます。つまりベトナムと日本は文化的、歴史的に見てもある意味非常に近い存在なのだと いうことです。 私には今のベトナムの若い人たちは、第二次世界大戦後 1950 年代の日本人の学生と同じよう に見えます。あの頃の日本人学生は今のベトナム人学生と同様理工系が好きで、文科系はあま り人気がなかったかと思います。現在、ベトナムでは理工系の学生が圧倒的に多く、産業発展の 大きな戦力であると考えています。 現在のベトナムは国自体にしっかりとした経済的基盤があるとは言えません。私たちは質の高 い持続的な発展を目指していますが、どのようにすればよいかは大きな問題です。まずはどうや って国内の産業を発展させ、今後どのような道を進むべきかをよく考え、その上で着実に力を付け ていけるような土台を作ることが必要不可欠です。今のベトナムはそういった重要な局面に立って いると思っています。 - 166 - AOTSに対する今後の期待について AOTSは現在まで約50年間に渡り、途上国の人材育成に貢献されておりますが、これまでの 研修実績を考えるとAOTSは日本と途上国、特にアジア諸国をつなぐ架け橋と言える代表的な機 関です。現在は企業のグローバル化に伴い、研修ニーズが多様化しておりますが、AOTSにはこ れまで同様、これからも人材育成の中心的な存在として先駆的な活動に取り組んでもらうことを期 待します。 インタビュー風景 Mui 氏(左) - 167 - 調査日:2010 年 3 月 12 日 ハノイ市建設局 ハノイ博物館建設プロジェクト委員会 経済技術部長 Nguyen Viet Vuong 氏 2003 年度,2006 年度 AOTS 管理研修参加 AOTS研修参加時の背景と現在の仕事 私は 2004 年と 2007 年の 2 度AOTSの管理研修に参加しましたが、研修参加当時は Industrial Construction Company 社という建設会社に勤務しておりました。私が Industrial Construction Company 社に入社したのは 1975 年でして、それ以降ずっとこの会社で勤務し、 2002 年から 2008 年までは代表取締役を務めました。2回目のAOTS研修参加後の 2008 年に Industrial Construction Company 社は他の 20 余りの企業と合併し、ハノイ市建設局傘下の UDIC 社という総合商社になりました。この出来事をきっかけに、私は Industrial Construction Company 社を退職し、ハノイ市建設局で公務員として働くようになりました。現在はハノイ市建設 局に属するハノイ博物館建設プロジェクト委員会の経済技術部長を務めております。ハノイはちょ うど今年遷都 1000 年の記念の年でして、ハノイ博物館の建設はこのイベントのメインプロジェクト となっています。プロジェクト自体は 2008 年 5 月 19 日にスタートし、私は 2009 年 2 月 1 日から 携わっていますが、現在の予定では今年の 10 月に博物館が完成することになっています。 1度目のAOTS研修 1 回目の研修は、2004 年 3 月に中部研修センター(CKC)で開催された「ベトナム改善活動実 践研修コース(VIIA)」でして、当時の勤務先が所属していたベトナム建設業協会からAOTSで実 施されるこの研修コースの情報を教えてもらったことが参加のきっかけでした。このコースは5Sや PMといった現場改善活動に関する知識や、それらの具体的な活用方法を習得することにより、 参加者の品質や生産性に対する意識を変革し、帰国後、現場のリーダーとして活躍するための管 理能力向上を図るための研修でした。研修の中で一番印象に残っていることは、このコースのメイ ンテーマであった5Sです。私は研修に参加する以前は、5SやKAIZENといった言葉を聞いたこ とがなかったのですが、これらの活動は比較的小さなことで、資金もほとんどかからないにもかか わらず、実践する上で非常に覚え易く、大きな効果が期待できるものと感じました。また、研修中 は計6社の日本企業を訪問し成功事例として見学をさせていただきましたが、どの会社も清潔で - 168 - あり、機械や道具の片付け方が素晴らしかったことをよく覚えています。各工場では機械の置き場 をきちんとテープでマーキングされていたことが私にとってはとても新鮮な光景でした。 日本の印象 2004 年の 1 回目の研修が私にとっての初めての日本訪問だったのですが、日本はとても清潔 な国だと思いました。先日、ミスワールドの日本代表の女性がインタビューの中で、「日本で一番 誇れるものは(清潔な)公共トイレです」とおっしゃっている場面を見ましたが、それはまさにその通 りだと思います。私はそれまでにいろいろな国に行きましたが、日本の環境、特に公共物の清潔さ には大変驚きました。また、研修の合間の週末に行った買い物もよく覚えています。私は技術者 ですので、世界ナンバーワンの技術大国である日本で最新の人気電化製品を見ることができとて も有意義でした。今では、液晶テレビは一般的ですが当時はまだ珍しく、私は 20 インチの液晶テ レビを買ってベトナムまで持って帰りました。また、そのときはまだハノイには1台も無かっただろう 食器洗浄機も大きな荷物となりましたが、がんばって持って帰りました。 帰国後の成果 帰国後は日本で習得した知識や管理技法をできるだけ多く活用する取り組みを行っています。 いくつか具体的な事例を挙げますと、まず建設工事のプロジェクトにおいて改善が必要なところは すべて写真にとって、きちんと赤いペンでその要改善箇所をマークし管理するようにしました。また、 すべての作業員に分かりやすいように作業管理表を設け、やるべき作業は緑色でマークし、あく まで参考にして欲しいものは黄色を使い、指示が一目でわかるような取り組みも行いました。さら に、日本での研修中に訪問した見学先の工場内の写真を、参考としてスタッフに見せる機会を今 でも定期的に設けています。写真の光景は現在のベトナムにはあまりないものですが、これが理 想的な姿であり、それに向けてまずは日本人のやり方を真似てみようと常々言っています。これら の取り組みを踏まえて私が感じていることは、ベトナムにおいて日本的管理手法を浸透させること はそれほど難しいことではないということです。まずは自分が手本としてやって見せて、私のやる ことが本当に良いことでそれに結果が伴えば、必ず現地のベトナム人は私の示したやり方に倣っ てやってくれます。 2度目のAOTS研修 2回目に参加した研修は、2007 年 1 月に関西研修センター(KKC)で行われた「ベトナム企業 経営研修コース(VNCM)」です。再度AOTSの研修に参加しようと思った経緯は、研修コースの テーマである「ブレークスルー思考」が経営トップの立場として非常に勉強になると思ったからです。 この研修で最も強く印象に残っていることは、企業をより良く変えるための1つの考え方として「ブ レークスルー思考」というものがあり、それを活用して成功を収めている日本企業がいくつもあるこ とを知ったことです。私は今でもそのときに習った考え方を念頭に置きながら、時には研修で配布 された教材を見返し、業務に取り組むようにしています。また、この研修の参加者はベトナム全土 - 169 - から集まったさまざまな業種の経営者でしたが、帰国後約 3 年経った今でも各々の仕事内容は異 なりますが、時々集まって互いの親睦を深めています。博物館建設プロジェクトにも私以外にこの コースの参加者がいます。 これからのベトナム社会に求められること ベトナム社会、特に私の普段の仕事先である工事現場を改善するためにもっとも重要なことは、 一歩ずつ小さいことから始めるという考え方です。これは私自身の見解ですが、ベトナム人の多く の企業経営者は大きなことばかりを口にし、小さいことはほとんど気にしない傾向があると思いま す。私はこの前出席したある会議で集まったリーダーたちにも申し上げたのですが、小さいこと、 ちゃんとできることからまずはよく考えて、そして実行に移すことが改善の第一歩であると思ってい ます。小さいことがひとつずつ積み重なると大きいことになります。小さいことをやるというのは具 体的に細かいことを考えることです。そして計画を立て、できるだけ綿密な準備を行うことは私が 過去2度に渡り日本で研修を受けた際に習得した成功のための秘訣です。 - 170 - 調査日:2010 年 3 月 12 日 KOVA Paint Co., Ltd. General Director Ngo Sy Quang 氏 2005 年度,2006 年度,2007 年度 AOTS 管理研修参加 所属企業について 私が代表取締役を務める KOVA Paint 社は KOVA グループに属し、防水ペインティングを主 な業務としています。KOVA グループは、9 つの企業で構成され、主事業の防水ペインティングの 他にも、スイッチや家庭用の電気用品製造販売、住宅団地等の建設、建築物の内装関係や旅行 会社まで他分野に渡っており、拠点はベトナム国内だけではなく、ラオス、カンボジア、シンガポー ルにもそれぞれ会社があります。 AOTS研修について 私はこれまで 3 度に渡りAOTSの研修に参加しました。1度目は 2005 年 11 月に横浜研修セン ター(YKC)で行われた「ベトナム建設プロジェクト管理研修コース」、2 度目は 2007 年 1 月に関西 研修センター(KKC)で実施された「ベトナム企業経営研修コース」、そして 3 度目は同じく関西研 修センターで 2007 年 10 月に行われた「ベトナム工場管理研修コース」です。 1 度目の研修はベトナム人を対象にした建設プロジェクト管理に関するテーマの研修でして、当 時の私の業務に直接関係する研修内容でした。その当時は現在と比較するとベトナム国内には 大きな建設工事がほとんどありませんでしたので、来日研修でいろいろな先生から講義を受け、 日本の建設プロジェクトにおけるマネジメントの考え方や手法に基づいて工程管理が標準化され ていることを学び、さらに実際の工事現場を見学させてもらい、それらが実践されていることを目 で見て確認できたことで大変勉強になりました。このときが初めての日本訪問だったのですが、日 本という国はすごく近代的で、また秩序ある社会だというイメージを持ちました。また、日本での研 修ではいろいろ勉強になりましたが、特にグループワークをはじめとした研修方法が素晴らしいと 思い、AOTSの研修に大変良い印象を受けました。 2度目に参加した研修のテーマはブレークスルー思考でした。この研修に参加した前後では私 の仕事に対する考え方が大きく変わりました。コース参加前は以前と同じ方法を真似てやることが 自分の中で習慣化されていましたが、コース参加後は自分のやり方で、最短で成功を収めるよう - 171 - に常に考えて仕事に取り組むようになりました。 3度目の研修は工場管理に関する研修でしたが、ちょうどその当時、わが社で QC 工程表を作 成していましたので、より効果的、効率的な生産管理・工場管理手法への理解を深めるために参 加しました。研修で習った管理手法は自分の工場の改善や、不良品の減少のためにすぐ活用で きそうな実践的な内容が盛りだくさんでして、特に「目で見る管理」は素晴らしいと思いました。ベト ナムの工場ではほとんど皆、自分の目でチェックせず、極端に言えば勝手にやることが多い状況 でしたので、この手法はとても勉強になり、帰国後自分の工場でも実践しました。 私はもともと大学で教鞭を執っていた関係で、研究の過程でオーストラリアやドイツ、アメリカ等 で研修を受講したことがありますが、2005 年に初めて日本に行って研修プログラムに参加し、文 化をはじめとした日本人とベトナム人の共通点があることが分かり、さらに研修方法が他の国で 受けたものより素晴らしく、より良い成果を挙げられると感じたことが、私が3回もAOTS研修に参 加した大きな理由です。研修はすべて参加費自己負担がありましたが、研修で得た知識と研修費 用を比べても十分妥当であると思っています。日本滞在中の生活についてですが、計3回の AOTS 研修参加で約1ヶ月半 AOTS の研修センターに滞在しましたが、センターでの生活や人間 関係はとても満足いくものでした。 研修の効果 KOVA Paint として、研修の効果をさらに高めるためには、私が経営者として明確なビジョンを 打ち出すことがまず重要ですが、活動の中心となる従業員たちがそのビジョンをよく理解しサポー トしてくれる必要があろうと思いました。そのため、2007 年には副社長と現場の監督者の2名に日 本での研修に参加してもらいました。また、わが社のスタッフ約30名をハノイで開催されたAOTS の海外研修コースに派遣しました。さらに、習得した知識を社内に展開していくために、過去3度A OTS研修に参加した私の経験を活かして、研修で使用した教材に基づいて私が講師となり毎年 社員向けの研修を行っています。その結果、わが社の生産性や不良率は大きく変化しました。例 えば不良率ですが、2004 年が約 3.5%であったのに対し、2008 年は約 1.5%になり、同時期の生 産性は倍になりました。わが社は同業他社よりも改善活動を実施しており、よく整理・整頓がされ ていて不良率も絶対的に少ないことを自負しているのですが、そう思えるのもわが社がAOTSの 研修制度を活用し、社内の人材育成を積極的に行っているからです。 ベトナム現地企業に必要なこと 私の考えではベトナムの企業経営者にとってもっと必要なものが3つあると思います。1つ目は 経営管理の観点で、もう少し長い目で物事を考えること、2つ目はもう少し作業を標準化し、自分 の従業員の能力を100%引き出すこと、3つ目は最も良い方法を考え出し、それを徹底的に実行 するという確固たる信念を持ち続けることです。また、ベトナムの工場に5S や改善の考え方を導 入して実践していくのに必要な要素は、経営者の考え方をまず改善することだと思っています。そ の上で現場にワーキンググループを作って全社的な運用を心掛けることによって、初めてその企 - 172 - 業に取り組みが根付いていくと思います。 AOTSに対する今後の期待 これからも民間企業で働く管理者を対象とした研修を提供し続けて頂きたいと思います。開発 途上国の産業発展への協力には、その国の官へのサポートと、民へのサポートが考えられると思 いますが、一民間企業の管理者の立場から申し上げると、AOTSの民間企業を対象とした研修は、 習得した知識を実際に現地企業で実践し易く、非常に効果的かつ効率的な協力であると思ってい ます。また、参加費の自分負担分があることによって、参加者の少しでも多くのことを得ようという 意識にもつながります。それから、AOTSの研修に参加できる機会は限られており、誰でも参加で きるわけではありませんので、できれば、AOTSには研修参加者が習得した知識を現地企業の従 業員に展開する際のアドバイスや、そのような場合に使用できる教材の開発を期待しています。 そうすることによって、研修の効果が何倍にもなると思います。今後また機会がありましたAOTS の研修に再度参加したいですし、これからもわが社の従業員にAOTS研修に参加できる機会を 提供し続けたいと思います。 インタビュー風景 Quang 氏(左) - 173 - 調査日:2010 年 3 月 13 日 ベトナム社会主義共和国 国会議員 国会科学技術環境委員会 副会長 越日友好議員連盟 副会長 Nghiem Vu Khai 氏 日本への留学とその後の活動 私は1988年、当時の日本政府文部省(現在の文部科学省)の国費留学生として奨学金をもら い日本へ行きました。同年、同様のベトナム人国費留学生は3人だけでしたが、その翌年は5名 になり、その後徐々に増え、1991年、92年はそれぞれ10人だったと思います。私が聞いている 情報によると、現在日本政府による国費留学生だけでおおよそ80人から100人ぐらいいるとのこ とです。そのような中で、国費、私費、企業等いろいろな奨学金をもらっている在日本のベトナム 人留学生は現在2800人ぐらいと言われており、この20年間急増しています。これは非常にうれ しいことです。近年日本へのベトナム人留学生が大幅に増えていることは、ベトナムと日本が戦略 的なパートナーシップ関係にあり、経済、外交、科学、教育、文化面等さまざまな側面で連携関係 が築かれている証であると思っています。 1988年当時のベトナムでは、日本に行くということは容易に考えられないことでした。ベトナム は当時アメリカと外交関係が無く国交正常化されていなかったため、それはベトナムと日本との関 係にも大きな影響を与えていました。その後、1992年~93年頃に日本政府は対ベトナムODA を再開しましたが、私はちょうどその当時日本に留学していた関係で、ベトナムの大臣や国会議 員など多くの主要人物に日本国内で会いました。 留学を終えてベトナムに帰ったのが1994年ですので、今では16年ほど歳月は流れましたが、 その間私はずっと日本に大きな関心を持っています。2001年、ホー・チ・ミン氏の誕生日である5 月19日に元日本留学生協会を作りまして、私は初代の会長を務めました。この協会は越日友好 協会の一部でして、日本とベトナムの特に教育や人材育成に関する様々な活動をしています。 人材育成の重要性 今、多くのベトナム人が日本のことを大切な存在として考えています。日本でも、「日本人はベト ナムが好き」と言われているようですので、このような関係はお互いにとって非常に素晴らしいこと - 174 - だと思います。私の考えでは、国家間が良好な関係を築く上で、人材育成というのは非常に重要 な意味を持っていると思っています。つまり人材育成を通して国と国の橋を作るということは大変 重要であると認識しています。私自身が日本でのさまざまな経験から、いつも日本という国を自分 の心に留め、日本に対する愛情をもっているように、日本に留学した人や、日本の言葉や文化を 勉強した人は、世の中のさまざまな状況が変わろうとも日本との関係を忘れないものだと思いま す。そのように、国家間の人材育成とは経済面以外にも政治的・文化的・社会的にいろいろなプラ スの効果をもたらすものだと思います。 私は親交のある日本の国会議員がたくさんいますが、現在のベトナムと日本両国の多方面での 協力関係の中で、人材育成を含めた教育に関する連携はまだ少なく、同分野においてもっと促進 を図るべきだという話をよくすることがあります。ベトナムに対するODA援助の昨年度第1位(金 額ベース)は日本でして、約 15 億米ドルの支援をしていただきましたが、今後はそのODAの中で も人材育成に関する援助の割合を増やしてもらえればと願っています。 また、人材育成と言ってもさまざまな分野・対象がありますが、一番重要だと思っているのは、 (民間)企業の人材育成です。従業員の知識・技術力の向上が今のベトナム産業界の一番の課 題だからです。日本と同じような技術レベルに到達するには現状から判断するとすぐには困難だ とは思いますが、少なくとも ASEAN の他国と同じようなレベルにまで向上することを目指し、その ための人材を育てることが本国の喫緊の課題です。 ベトナム産業に対するAOTS事業の効果と最近の関心事 以上のように、私自身は人材育成の重要性を誰よりも認識していると思っていますが、その中 で、AOTSがこれまでベトナムの日系企業・現地ローカル企業の産業人材向け研修を数多く実施 してくれたことにはほんとうに感謝しています。AOTSの研修コースを通じてベトナム国内にある 日系企業と現地企業がうまく協力できるような環境を作り出せていると思っており、それは今では ベトナム産業の発展に欠かせないものです。もう一つAOTS研修の大きな成果としては、各企業 で働いているベトナム人従業員たちが自分自身で努力して能力向上を図るという考え方が広まっ たことです。 最近、私は若い世代への教育に対し非常に関心を持っています。私は元国会議員の Tran Kim Phuong 氏と共に、この度 ASEAN College という短期大学を作り、2010 年 10 月に開校す る予定となっています。この学校を作る際、AOTSハノイ事務所長からいろいろなアドバイスをもら い協力頂きました。この学校では日本への留学や日本人専門家を講師としてこちらへ招聘するこ となども広く検討しています。 AOTSへのアドバイス 最近のベトナム人には、たとえ経済的・文化的な制約があろうとも、新しいこと・良いことを勉強 したいという前向きな気持ちを持っている人が多いです。また、世界ではベトナム人のことを「Gold (金)」という表現で表すことがあるように、ベトナムの労働人口は総人口の約 50%と多くこれから - 175 - も増加傾向にあります。つまり、ベトナムには大きな産業人材育成需要があると言えます。 そのような中で、今後AOTSには新しい研修実施方法について考えて頂きたいと思っています。 例えば、導入研修はできるだけベトナム国内で実施し、その後来日研修を行えば費用面での節約 が図れ、より多くの研修生を受け入れることができるのではないかと思います。また、ベトナム国 内でAOTSの活動に関する広報をもっと盛んにやってもらえればと思います。欧米の同様な団体 は積極的な広報活動を行っていますが、AOTSもベトナム人たちにより分かり易く事業の宣伝をし てほしいです。ベトナム人は日本製品や日本の文化や教育、品質に対し、高い関心と信頼を持っ ています。先日、私はベトナム中部 6 県へ視察に行き、現地にある企業の環境に対する取組状況 をヒアリングしましたが、そこでも日系企業の環境対策を高く評価していました。宣伝活動の促進 によって、AOTSへの理解者や研修参加者が急増すると思います。 今後の研修生に対するメッセージ 日本留学時、ある先生から日本の明治時代の文化についてお話を聞く機会がありました。その 際、「和魂洋才」という言葉を教えてもらったことを今でも鮮明に覚えています。日本の精神世界を 大切にしつつ西洋の技術を受け入れ、両者を調和させて発展させるという意味のこの言葉のよう に、これからAOTSの研修を受けるベトナム人たちは、是非とも若者が持っている学び成長したい という積極的な気持ちと、日本のものづくりの精神を融合させながらがんばってほしいと思います。 そのためにも研修を通じて日本のものづくりの哲学を是非とも彼らに勉強してもらいたいです。 インタビュー風景 Khai 氏(右) - 176 - V まとめ マレーシア、フィリピン、ベトナムを対象として、計 29 名の帰国研修生および関係者にインタビュ ーした結果、各国に対する AOTS 研修の意義と効果について、概ね高い評価を得ることができ た。 研修の意義については、開発途上国の技術者・管理者が日本で研修を受けることは、彼らにこ とのほか大きなインパクトを与え、固有専門分野の技術や知識を習得するだけではなく、その後 の意識や行動に対して長期的な影響をもたらしていることがわかった。 帰国後の直接効果については、研修で得られた成果を職場で活用することで、企業の成長や雇 用の創出等に結びついた形で現れている。また、波及効果に関しては、裾野産業の人材育成活 動による現地技術レベルの向上や一国の品質管理活動の普及や運用等、広範囲な分野に現れ ている。 また、帰国研修生が各国において結成している AOTS 同窓会が、AOTS 研修参加という共通の 経験に基づき、地域社会や国際社会への貢献活動を行っている具体的な事例を具体的に確認す ることができ、AOTS 同窓会が AOTS 研修による貴重な副次効果であることを改めて確認できた。 AOTS 同窓会は、当協会の目的を共有するイコール・パートナーとして重要な組織であり、今後 AOTS 同窓会との協力関係をさらに強化し、世界各国で草の根レベルでの活動が広がることが 国際益という観点からも極めて有意義なことと言える。 このように AOTS 研修に参加することで、研修生は日本という異国の環境下で、開発途上国に とってベンチマークの一つである日本の発展モデルと、それを支える日本人・日本社会について の理解を深め、また他の研修生との交流等を通じて、自己・組織・祖国・国際社会等を見つめ直し、 意識や行動に変化が生じ、それが帰国後の活動にさまざまな形で影響を及ぼしていることがわか った。 - 177 - 第 7 章 評価の向上に向けた取り組み - 178 - Ⅰ 事業実施・評価等に関する改善 AOTS では、より効果的・効率的な事業実施に向けて、事業とその評価に関する様々な改善を 行っている。2009 年度は主な取り組みとして、『J6W/J13W 改訂委員会[評価]』を 8 ヶ月かけて 計 6 回開催し、一般研修 6 週間コース(J6W)および 13 週間コース(J13W)の日本語研修に関す る評価システムの一部改訂を行った。 (1)実施概要:一般研修(J6W、J13W)中の日本語研修に関して、試験内容、試験方法等評 価体系を検討委員会において検討し、研修の重点を理解度重視から行動重視 に移行させ、委員会で提案された内容、仕様に基づき新たな試験を開発し、運 用することとした。 (2)委員構成:AOTS契約日本語講師(T、Y、K、C地区) AOTS経営戦略室、研修部、日本語教育センター、各研修センター研修グループ (3)議事経緯:第 1 回 現在の研修目標と評価基準、評価報告書、改訂方針の確認 第 2 回 能力記述文(CDS)による評価の検討 第 3 回 定着確認(各課評価)、文字学習(漢字圏・非漢字圏)の検討 第 4 回 最終試験、最終報告書の検討、作業部会の仕様確認 (作業部会) 既存試験改訂、新規問題作成 横浜研修センターで実施するJ6Wコースにて先行実施 第 5 回 先行実施結果の報告、評価ツール開発状況 (作業部会) 部分修正 第 6 回 今年度の成果と課題(既習者の目標設定と評価法、読み/書き目標) (4)成果物:(委員会より) ①J6W及びJ13Wに対する能力記述文(CDS)評価(案)及び展開仕様 ②定着度を測る各課の技能別テストの配分(案)及び展開仕様 ③最終試験構成(案)及び作成仕様 ④文字(仮名・漢字)学習の目標設定 ⑤既習者に対する学習目標 (作業部会より) ①能力記述文(CDS)による日本語研修目標 ②各課活動(技能別)/各課クイズ(言語知識確認テスト)配分表 ③タスク型試験 ④各課技能別確認テスト ⑤各課言語知識確認テスト ⑥最終筆記試験(語彙表現文法・読解・聴解) - 179 - Ⅱ 評価制度の改善に向けて AOTS では事業評価の基本理念として、「一貫性の確保」、「客観性の確保」、「透明性の確保」、 「継続性の確保」の 4 理念を掲げている。これらの基本理念をもとに、評価手法、評価項目、評価 基準を含めた評価システム全般を予め明確に定め、これを実施することで、事業評価に一貫性を 持たせるとともに、研修事業に適切な評価結果を反映させるために、評価システムにはできる限 り客観性を担保することを念頭に置いている。 また、研修事業の健全な発展を実現するため、評価システム自体を誰にも分かるものとし、評 価結果のみならず評価の過程についても可能な限り公開することで、事業自体の透明性を確保し、 さらに、事業の実施部門にとって評価結果を後の事業の企画立案に反映させやすい継続性のあ る方法で評価を行うことを心掛けている。 2003 年度より運用が開始されている AOTS 研修事業評価システムは、部分的な改定を継続 的に行いながら、今も開発が続いているものであるが、これまでの見直しによって現行の評価シ ステムから上記の基本理念が欠落されていないか、各評価対象の直後評価で AOTS が定める目 標値は妥当かどうか、より客観的、効果的、効率的に評価が行われているか等を検証することが 重要である。 また、必要に応じて評価結果を更に分析し、目標値に到達しない項目の特徴やその原因究明 に注力することで事業改善によりつなげることができる。そして、評価結果から明らかとなった改 善が求められる事項が関係各部署に本当に浸透したか、それらを改善するための具体的な対策 を練り実行できたか、その結果が評価結果にどれぐらい反映できたか、という一連の改善活動を 一層明確に示すことで、AOTS 研修事業の透明性がより確保され、説明責任の履行にも繋がって いく。 事業評価のさらなる発展のためには、個々の研修の詳細を検証するようなミクロレベルの評価 に留まらず、研修生が AOTS の研修によって得た知識・技術の現地での活用度・普及度等、研修 実施後の研修生の実態、研修の効果・成果をより明らかにしていくようなメゾレベル・マクロレベル の評価を強化していくことが重要である。同時に、評価システムを有効に運用するためには、情報 発信、情報収集、情報分析さらには情報保管のためIT技術を活用し、情報の送り手、受け手両方 の負荷が極力少なくなるような対応が求められる。そして省力化したところを新しいプログラムの 評価に充てる、あるいは、新しい評価システムの検討をすすめる等、同じ人材・予算・時間等でよ り多種多様な評価に取り組むことで、全体として評価が豊かになり、さらなる事業の発展につなが るようなメッセージ性の高い評価をが導き出すことに努めていきたい。 - 180 - 財団法人 海外技術者研修協会 The Association for Overseas Technical Scholarship [AOTS] 経営戦略室 事業戦略・評価グループ 2011 年 3 月 〒120-8534 東京都足立区千住東 1 丁目 30 番 1 号 電 話 03-3888-8260 F a x 03-3888-8428 E - m a i l [email protected] ホームページ http://www.aots.or.jp
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