Basel University Biozentrum でのマイコースプログラムについて 医学部医学科4回生 矢野直子 <所属研究室> 高次脳形態学教室 <研修場所> University of Basel の Biozentrum、Prof.Arber の研究室にてポスドクの佐藤 大祐さんにお世話になった。 <期間> 2011 年 8 月 15 日 2011 年 10 月3日まで <活動内容> ① 日本出国前 一度海外留学をしてみたいという希望が以前からあったのと部活の先輩方 が自主研やマイコースを海外で行っておりその話を聞いていたので、マイコ ースという短い期間ではありましたが海外に行ってみることにしました。今 年はマイコースを海外で行う人が多かったようで、武田先生に紹介していた だこうとお願いしに行ったときには、すでに例年の研修先は埋まってしまっ ていました。しかし、武田先生のご尽力のおかげで無事バーゼル大学で研修 を行わせていただくことになりました。私は 8 月までは部活もあり毎日ラボ に行くことができず、また金子先生に週2ぐらいで来るよりは2週間程毎日 来た方がいいとう言われたこともあり、日本では7月に高次脳形態学教室に 2週間ほど通わせていただきました。短い期間でしたので多くのことはでき ませんでしたが、この2週間で学んだことは大変役に立ちました。知識不足 でお世話になった佐藤さんにはいろいろと基本的な質問ばかりしてしまいま した。もう少し長く日本のラボで勉強できていたらもっとよかったと思いま す。 ② 実験内容 基本的には佐藤さんの実験を見せていただいたり、手伝わせていただく形 でした。 生後まもないマウスの筋肉に RabiesVirus を注射し、後日 spinal cord を取り出します。Spinal cord を固定し、スライスしたのち染色し、共焦 点顕微鏡などを用いて、rabies virus の発現の様子を確認し、プログラムを利 用してデータ化する作業を主にやらせていただきました。詳しくは教務に提 出のレポートに書こうと思います。 ③ 生活 a. 宿泊 宿泊先は秘書の方が Student house を用意してくださいました。 Student House 外観 Guest house より安く、家賃はひと月480フラン+部屋を出た後のクリ ーニング代で、物価の高いスイスではかなり安い方だと思います。下の写 真のように中庭があり皆くつろいだりパーティーをしたりと、とてもいい 雰囲気でした。 Student House 中庭 シャワー、トイレ、キッチンは共同でしたが、キッチンは今年 6 月に改装 したばかりということで(次頁の写真)かなりきれいで使い安かったです。 初めこそ私の人見知り気質でなじむのが大変でしたが、寮はいい人ばかり で、最後は皆でご飯を食べたりしゃべったりととても楽しかったです。研 究室ではやはり年上の方が多いこともあり、他愛もない話などはなかなか できなかったのですが、寮では同じ年代の子がたくさんいたので、寮に住 めたのはとてもよかったです。アジアから来ている子も多く、日本からの 留学生も住んでいましたし、他にもスイス内出身の子やドイツ出身の子な ど様々な文化に触れることができたのも大変貴重な経験になりました。 Student House のキッチン 困ったことは寮の子が助けてくれたので特にトラブルといったトラブ ルはなかったように思います。ヨーロッパの若者は英語が話せる子が多い ですが、やはり彼らも母国語ではないため、ゆっくりと話してくれますし、 こちらが話すのもじっくりと耳を傾けてくれるので、コミュニケーション はとりやすかったです。もっとすらすら話せたらいいなと思うこともあり ましたが、皆の優しさと、こちらの伝えたいという気持ちで何とかなった 気がします。おもしろかったのは、母国語によって英語の発音が全く違う ことです。日本人は発音が悪いとよく言われますが、ヨーロッパ諸国の人 もばっちりなまっていて、特にフランス語圏の人の英語はフランス語にし か聞こえませんでした。一方ドイツ語圏の人は一単語ずつはっきりと発音 してくれるので大変聞き取りやすかったです。そう言った意味でも気後れ せずに英語を話せましたし、留学初心者にヨーロッパはおすすめです。と は言っても英語のスキルはヨーロッパの学生達の方がはるかに高く、自分 の勉強不足を痛感しました。いつか英語圏の国に行って、もっと英語スキ ルをあげたいものです。 b. 平日 9時 19 時ぐらいまでラボに行き、買い物をして 8 時頃帰る(スイスの スーパーは 8 時には閉まってしまいます)生活でした。寮と Biozentrum が歩いて5 10分ぐらいの距離だったのでとても便利でした。 c. 休日 土日はラボは休みだったので、同じくマイコースで海外に来ている友人 とヨーロッパを旅行しました。特にスイスのバーゼルはドイツ、フランス との国境付近に位置していますし、空港も近くにあるので旅行しやすかっ たです。パリ、ローマ、フランクフルト、あとはスイス内をいろいろと旅 行することができました。島国の日本とは違い、電車一本で外国に行ける のは不思議な感じでした。国々で全然雰囲気が異なっており、とてもおも しろかったです。現地の人とのふれあいや、他の旅行者とのふれあいなど、 普段経験できないようなことをたくさんすることができました。海外に行 く人は、出不精にならず、積極的にいろいろな所に行ってみると良いと思 います。 d. スイスについて とにかく治安がよいです。特にバーゼルは本当に治安がよく、街もきれ いで安心して生活することができました。電車も定刻に到着、出発します し、(これはスイス人も誇りに思っているようでした)あまり衣食住に困 窮している人は少なかったような印象です。スイスは物価がとても高いで すが、(ドイツでスイスで売っているジュースが半額以下で売られていた ときはびっくりしました)そのぶん賃金も良いらしく、そういったことも 治安の良さにつながっているのかもしれません。バーゼルに関しては、ス ーパーなどでは英語が通じないこともありますし、手続きの書類は基本的 にドイツ語でした。しかし基本的にはなんとか英語が通じますし、皆親切 なので英語が分からなくてもなんとか理解しようと心を砕いてくれまし た。ドイツ語が少しでもわかればもっとなじめたのかもしれません。 スイスは賃金が高いと書きましたが、その分ヨーロッパの中では特に勤 勉なことで有名な国のようです。とは言っても、5時を過ぎると夏であれ ばライン川のほとりで多くの人が涼んでいたり、泳いでいたり、街では仕 事を終えた様な人々が食事を楽しんでいたりと、オンとオフがはっきりし ているようでした。日曜日はカフェなどの飲食店以外は百貨店でさえ完全 休業だったのも、ヨーロッパに行って驚いたことのひとつです。 スイス人はよくハイキングに行くようで、本格的なハイキングセットを 持っている人がほとんどらしいです。休日に電車に乗ると、旅行者だけで なく地元の人もリュックを背負って家族や友人とハイキングに出かけて いる様子が特徴的でした。 食事は自炊ができたこともあり不自由はしませんでした。外食は大変高 いので(夕食であれば1食最低2000円はすると思います)自炊ができ ない環境だと大変かもしれません。スーパーでは野菜や果物は基本的に量 り売りで自分の欲しい分だけ新鮮な野菜や果物を買うことができますし、 乳製品がとてもおいしいですし、日本より安いぐらいです。肉類は高めで、 サンドイッチなど加工品になると人件費の関係か急に値段があがります。 色とりどりの野菜や果物、種類豊富な乳製品などスーパーの食材は大変充 実しており、毎日のスーパー通いが楽しくてたまりませんでした。 ④ 最後に 今回、マイコースを海外で過ごせたことは自分自身にとって本当にいい 経験となりました。海外の研究室の様子を見れたことはもちろんのこと、短 い期間ではありましたが海外生活の実態を実際に感じられたこと、自力でト ラブルを解決する経験ができたことなど、言葉では言い表せない程得るもの がありました。将来の可能性も広がった様な気がします。今回の経験を自分 の糧とし、これからも精進して行きたいと思います。最後になりましたが、 海外に行くにあたりお世話になりました武田先生、バーゼルでお世話になっ た佐藤さん、Prof.Arber、RoseMarie をはじめとするラボの皆さん、そして 今回出会った全ての人に心からの感謝を述べたいと思います。本当にありが とうございました。
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