第 23 号(2010 年 8 月 20 日発行)

第 23 号(2010 年 8 月 20 日発行)
Q:現在、社員の喫煙について何も対応していませんが、一部の非喫煙者からタバコの煙
について苦情が出ています。会社としては、特に何もしなくてよいでしょうか。
A:会社は、受動喫煙について対策を講じる必要があります。特に、このように非喫煙者
から苦情が出ている状況では、会社は安全配慮義務違反として損害賠償請求されるリスク
が高いといえます。完全禁煙又は分煙といった対策が必要と考えます。
1.健康増進法第 25 条
平成 15 年に健康増進法が施行されました。同法 25 条は受動喫煙(室内又はこれに準ず
る環境において他人のたばこの煙を吸わされること)の抑制を次のとおり規定しています。
「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、
飲食店その他多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受
動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない」
2.裁判例の動向
江戸川区(受動喫煙損害賠償)事件(東京地裁平 16.7.12 労判 878 号 5 頁)では、職
場での受動喫煙に対して、初めて使用者(この場合は「区」
)に損害賠償を命じました。同
判決は受動喫煙の安全配慮義務について述べています。ポイントは以下のとおりです。
被告(区)は、原告(被害を受けた職員)が業務係等に配属された当時に、公務の遂行
のために設置した施設の管理又は原告が被告若しくは上司の指示の下に遂行する公務の管
理に当たり、当該施設等の状況に応じ、一定の範囲において、受動喫煙の危険性から原告
の生命及び健康を保護するよう配慮する義務を負っていたというべきである。
また、最近では神奈中ハイヤー(受動喫煙)事件(東京高裁平 18.10.11 労判 943 号 79
頁)でも、同様に受動喫煙に対する安全配慮義務を述べています。こうした裁判例の動向
を考慮しますと、健康増進法は努力義務としていますが、会社は受動喫煙対策を講じる必
要があるといえます。特に、被害を訴えているにも関わらず、放置すると損害賠償請求リ
スクが高まりますので要注意です。
3.会社の対策
会社の対策ですが、厚生労働省の「受動喫煙防止対策について」
(平成 15 年 4 月 30 日 健
発第 0430003 号)が参考になります。具体的な対策として、完全禁煙と分煙について述べ
ています。完全禁煙がリスク管理上望ましいですが、状況に応じて分煙もやむを得ないと
考えます。分煙の場合は、①喫煙場所から非喫煙場所にたばこの煙が流れ出ないよう配慮
し、②喫煙場所と禁煙場所の表示を明確に行うとともに周知し、③室内に喫煙場所がある
場合は、屋外に排気する方法を推進することが有効です。また、就業規則上も「指定され
た場所以外での喫煙を禁ずる」と規定する必要があります。
<ビジネス文書の書き方⑩ ~秩序立てた文書の保存>
パソコンに文書を保存する際には、誰でもが、迅速に、ファイルを探し出して活用でき
る統一化されたルールを設けておくと便利です。
(1)ファイル名のルール化
ファイル名は、できるだけ短く、内容が一目でわかるようにつけます。必要なときにす
ぐに取り出せるように、ファイル名には日付・用件・顧客名・作成者名など文書の性格に
合わせて統一されたルール化をします。特に作成日をつけておくと時系列で文書管理がで
きますので便利です。
<ファイル名の例>
10.08.20 お見積書
10.08.21 ご提案書-○○様
10.08.22 営業会議資料(山田太郎作成)
なお以下の記号は Windows ではファイル名に使用できません。
\
/
:
*
?
“
<
>
|
円マーク
スラッシュ
コロン
アスタリスク
クエスチョン
マーク
引用符
小なり
記号
大なり
記号
バーティカ
ルバー
また、作成したファイルをEメールで添付ファイルにする際、ファイル名が画面に表示
されますので、顧客名には敬称をつけるなど、失礼のないようマナーにも気を配ります。
(2)ファイルはフォルダーを作り整理整頓
人や組織により異なりますが、パソコン内の整理整頓ですから、いつでも・誰が担当に
なってもわかるように系統的に秩序立てたフォルダー管理をルール化するとよいでしょう。
例えば、
・文書の性格(送り状、見積書、報告書、請求書等)
・業務内容(案件別、プロジェクト名等)
・顧客
・担当者(部署、チーム等)
・商品
・日付(○年□月発信分等)
・重要度(極秘、社外秘、部外秘、一般書類等) 等でまとめていく方法があります。
坂本・深津社会保険労務士法人
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代表社員
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