7章 性別役割分業意識と子育て参加頻度との関係 1.性別役割分業意識 父親の性別役割分業意識に関する主な 3 項目として、1.経済的に支えることは夫の役割である、 2.男性は外で働き、女性は家庭を守るべきである、3.子どもが 3 歳くらいまでは母親は仕事を持 たず育児に専念すべきである、という質問でたずね、全くそうでない~かなりそうである、の 5 段階で回答を求めた。 (1) 「経済的に家族を支えることは夫の役割である」という意識と子育て頻度との関係 ① 未就学児 経済的に家族を支えることは夫の役割であるという意識と、未就学児に対する子育て頻度(子 どもの食事の世話)を図 7-1 に示す。経済的に家族を支えることは夫の役割であると思う人ほど 子どもの食事の世話をする頻度は少なく、そう思わない人ほど頻度が多い。この結果から父親の 稼得役割意識は、子どもの食事世話をする頻度を少なくしていることが示された。他では、子ど もの着替えや身支度をする、遊び相手になる、おむつやトイレの世話、本の読み聞かせにも同様 の傾向が見られた。子どもと一緒にお風呂に入ること(図 7-2)も同様の傾向は見られるものの、 他に比べてその傾向は弱く、子どもとのお風呂は父親の役割となっていることがうかがえた。 図 7-1 経済的に家族を支えることは夫の役割である意識と子どもの食事の世話をする頻度との のクロス集計 毎日 週に5-6回 かなりそうである 37 まあそうである 43 67 あまりそうでない 20% 週に1-2回 107 120 46 111 91 20 47 26 2 2 40% 全くない 64 336 16 12 0% 33 26 19 全くそうでない p<.001 18 118 どちらでもない 週に3-4回 10 60% 7-1 10 3 80% 100% 図 7-2 経済的に家族を支えることは夫の役割である意識と子どもの食事の世話をする頻度との クロス集計 毎日 週に5-6回 かなりそうである 67 まあそうである 157 どちらでもない 72 週に3-4回 29 52 89 36 20 全くそうでない 7 5 0% 20% 19 270 64 21 全くない 92 179 あまりそうでない p<.05 週に1-2回 33 76 22 7 40% 60% 29 24 4 9 1 80% 100% ② 小学生以上 経済的に家族を支えることは夫の役割であるという意識と宿題や習い事の面倒を見る頻度との クロス集計の結果を図 7-3 に示す。経済的に家族を支えることは夫の役割であると思う人ほど子 どもの宿題や習い事の面倒を見る頻度は少ない。他の項目では、同様の傾向はなく、父親の稼得 役割意識と小学生以上の子育て参加との間にはあまり関係性がないことが考えられた。小学生以 上になると、日常的な子どもへの世話役割は少なくなるものの、休みの日に外で遊ぶなど、世話 的なかかわりではない父親の子育て参加の質が重要になってくるであろう。 図 7-3 経済的に家族を支えることは夫の役割である意識と宿題や習い事の面倒を見る頻度との クロス集計 毎日 週に5-6回 かなりそうである 週に3-4回 週に1-2回 全くない 7 7 14 72 20 まあそうである 1214 48 148 51 どちらでもない 7 あまりそうでない 1 13 16 4 全くそうでない p<.01 55 3 8 2 0% 20% 16 0 40% 60% 2 1 80% 0 100% (2) 「男性は外で働き、女性は家庭を守るべきである」という意識と子育て頻度との関係 ① 未就学児 男性は外で働き、女性は家庭を守るべきであるという意識と子どもの食事の世話をする頻度と のクロス集計の結果を図 7-4 に示す。父親が男性は外で働き、女性は家庭を守るべきという伝統 的性別役割分業意識を強く持つほど、子どもの食事の世話をする頻度が少なく、反対に平等的な 分担意識を持つ父親ほど多く行なっていることが明らかになった。他の項目も同様に一貫した傾 向が見られた。 7-2 図 7-4 男性は外で働き、女性は家庭を守るべきであるという意識と子どもの食事の世話をする 頻度とのクロス集計 毎日 週に5-6回 かなりそうである 4 週に3-4回 1 3 13 まあそうである 33 8 どちらでもない 103 53 97 63 25 70 あまりそうでない 全くそうでない 30 50 0% p<.05 週に1-2回 7 86 20% 39 245 113 163 18 21 40% 全くない 54 63 60% 22 80% 100% ② 小学生以上 男性は外で働き、女性は家庭を守るべきであるという意識と子どもと一緒に家で過ごす、遊ぶ 頻度とのクロス集計の結果を図 7-5 に示す。父親が男性は外で働き、女性は家庭を守るべきとい う伝統的性別役割分業意識と、父親が子どもと一緒に家で過ごす、遊ぶ頻度とは一貫した傾向は ないことが明らかになった。他の項目では、有意な結果は得られなかった。この結果からも小学 生以上の子育て参加は、質的に未就学児の世話役割を含む子育てとは異なる特徴があり、頻度だ けではなく、かかわりの質や内容といったものも重要であることが考えられた。 図 7-5 男性は外で働き、女性は家庭を守るべきであるという意識と子どもと家で遊ぶ、過ごす 頻度とのクロス集計 毎日 週に5-6回 かなりそうである 2 まあそうである 1 37 あまりそうでない 28 9 11 0% 8 8 5 25 全くそうでない 週に1-2回 8 18 どちらでもない p<.01 週に3-4回 20% 全くない 2 61 7 43 125 10 20 67 4 6 40% 3 60% 7-3 13 0 80% 100%
© Copyright 2024 Paperzz