『見ちがい 言いちがい』

ベケット・ライブvol.7『見ちがい言いちがい』in TIF
06
<東京国際芸術祭 06>スリーポイント・プロデュース
ベケット・ライブ vol.7
『見ちがい 言いちがい』
2006年
3月22日(水)―26日(日)
下北沢 「劇」小劇場
原作:サミュエル・ベケット
コンセプト・翻訳:宇野邦一
演出:三浦基
出演:鈴木理江子
このたび、私どもスリーポイントでは、標記のとおり公演を実施いたします。
つきましては、公演資料をお送りさせていただきますので、貴誌(紙)にてご紹介
いただけましたら幸いです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
*お問い合わせ、宣伝写真・取材のご依頼等は、下記までお願いいたします。
企画製作=(有)スリーポイント(代表:鈴木理江子)
〒176-0012 東京都練馬区豊玉北5-26-12
Tel: 080-5696-0033(ベケット・ライブ専用) Fax: 03-3991-8060
E-mail: [email protected]
http://www6.plala.or.jp/beckettlive/
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パリのルコック演劇学校に学び、転形劇場で活躍した女優・鈴木理江子が、1999年より続ける
企画「ベケット・ライブ」。日本では上演される機会の少ないサミュエル・ベケットの後期作品
を中心に、手強くも魅惑的なベケットの<ことば>と真正面から向き合い、格闘する。
シリーズ7作目となる今回は、後期の散文『見ちがい言いちがい』(1981年/ベケット75歳の
作品)を一人芝居として構成、舞台化する。
・・・時空を自在に漂うひとつの 眼 が覗き見た、ひとりの老婆の生の断片。カメラ・アイの
ようなその 眼 は、室内にまた野原に出没する老婆を追跡し、見つめる。<見ること>そして
それを<言うこと>への深い問いかけが、通低音のように響く。
――不幸なことに、まるで彼女はまだ生きているみたい――
「ベケット・ライブ」について
『ゴドーを待ちながら』で有名なサミュエル・ベケットですが、後期の作品はあまり知られていま
せん。難解とされ、実験的な要素も強いため上演される機会も少ないのかもしれません。しかし特異
な光を放つ後期の作品には、黙読しただけではわかりにくい、上演を前提としたベケットの計算が書
き込まれており、観る者に多彩な想像をもたらします。
「ベケット・ライブ」は、かつてパリのルコック演劇学校に学び、その後転形劇場で活躍した女優・
鈴木理江子が中心となり、ベケットの後期作品に取り組んでいるシリーズ企画です。
この企画は1999 年、ナディッフ・ギャラリーで始まりました。きっかけとなったのは、ベケット
とその親友の画家ブラン・ヴァン・ヴェルデの共同作品『Texte pour rien 13(反古草紙-13)』で
した。これは、同名のベケットのテキスト1 篇と、ヴァン・ヴェルデのリトグラフ5 枚からなる大き
な挿画本ですが、ギャラリーにこのリトグラフを展示し、鈴木理江子がベケットのテキストを朗読す
るというものでした。(翌年再演)
『vol.3』から『vol.6』までは、ドラマトゥルグ=長島確、演出=阿部初美という気鋭のアーティ
ストの参加を得、緊密かつ実験的な舞台づくりで高い評価を得ました。また、
『vol.5』および『vol.6』
では井出みな子(演劇集団円)が共演者として参加しました。
今回は、フランス文学研究者であり、『見ちがい言いちがい』(書肆山田より刊行)の翻訳者であ
る宇野邦一が新訳およびコンセプト構成を手がけます。また、テキストの綿密な解釈に基づく独自の
作劇に定評のある三浦基を演出に迎え、新たな展開を探ります。
『見ちがい言いちがい』について
見ちがい、そして言いちがい。あなたが、電車の運転手なら、事故につながる。あなたがアナウン
サーだったら、罰金もの。
けれども、見ちがい、言いちがうことは、ただ許されていい過ちであるどころか、必要でさえある。
私の視覚にも、私の言葉にも、とらえがたいものが、たしかにある。それに気づくことは、視覚と言
葉の驚くべきパフォーマンスに、もう一度驚くことである。そして、見ることと言うことのあいだに
埋もれてしまっているものに、触れることでもある。ベケットが、演劇のためでなく、あくまで書き
言葉の作品として作り上げたこの作品は、演劇の構成要素を、きびしくテストする試みでもある。舞
台の上で見られ、聞かれるものと、書かれた言葉の間には、果てしない距離がある。ベケットが、見
ること言うことについて投げかけた破壊的な問いは、演じる身体と、演じられる言葉の間に広がる暗
がりについての問いでもありうる。俳優と演出家は、一見目立たないけれど、もっとも難しい課題に
挑戦することになる。
(宇野邦一)
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●ベケット・ライブ 上演記録●
Vol.6『クァクァ』
05.2月2-6日 「劇」小劇場
演出:阿部初美 翻訳:長島確
●
出演:鈴木理江子 井出みな子
袋ひとつを持ち泥の海を這い進む主人公が、<ピム>と呼ばれる何者かと出会い別れるまでを語る、ベケ
ット最後の長編小説『事の次第』。句読点の一切無い独特の文体で書かれた、この特異なテキストに秘め
られた可能性を、二人の俳優の身体と声を通し舞台化。
Vol.5『あしおと』
04.3月24-28日 「劇」小劇場
演出:阿部初美 翻訳:長島確
●
出演:鈴木理江子 井出みな子
一筋の明かりの中を繰り返し「歩む女」と闇から聞こえる「声」。2人の対話もそれぞれが語る物語も、
足音のリズムに寄り添いながら進行する。ベケットが「ペイシング・プレイ」(歩く劇)と呼んだ静かな
緊張感に満ちた作品。
Vol.4『ロッカバイ』
03.3月19-24日 plan B
演出:阿部初美 翻訳:長島確
●
出演:鈴木理江子
揺り椅子に座った一人の老女。声が聞こえ、椅子が揺れる。その声に唱和する老女。子守唄かもしれない
声はやがて止み、椅子も止まる。「老女」と「声」と「椅子」のセッションとも言える,ベケットの晩年
に輝く作品。
Vol.3『わたしじゃない』
02.3月20-24日 アトリエMODE(現、アトリエ春風舍)
● 出演:鈴木理江子
演出:阿部初美 翻訳:長島確
「口を舞台にのせられるだろうか?顔の部分は隠し、しゃべり続ける口だけを。」ベケットのこの驚くべ
き着想によって生まれた、暗闇に浮かんだ口が機関銃のようにしゃべり続けるという度肝を抜かれるよう
な作品。
Vol.2 『テキスト・フォア・ナッシング13』
00.6月2-4日 ナディッフ・ギャラリー
演出:藤田康城 翻訳:鈴木理江子(協力:吉田加南子)
●
出演:鈴木理江子
『反古草子13』の再演。ベケットが真の朋友である画家ブラン・ヴァン・ヴェルデに宛てた『テキスト・
フォア・ナッシング13』。「声」と「わたし」をめぐる存在論的でスリリングなテキストを、かすかな気
配として身体化する。
Vol.1『反古草子13』
1999.5月21-23日 ナディッフ・ギャラリー
演出・出演:鈴木理江子 翻訳:片山昇
ベケットと画家ブラン・ヴァン・ヴェルデが共同で製作したリトグラフ5枚組の挿画本『反古草子13』。
ギャラリーにこのリトグラフを展示し、ベケットの同名のテキストを肉声化する試み。
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vol.6 『クァクァ』
vol.5 『あしおと』
撮影/宮内勝
撮影/宮内勝
vol.4 『ロッカバイ』
vol.3 『わたしじゃない』
撮影/宮内勝
vol.2 『テキスト・フォア・ナッシング13』
撮影/宮内勝
vol.1 『反古草子13』
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●プロフィール●
鈴木 理江子(すずき・りえこ) 出演
スリーポイント主宰。1948年生まれ。
70∼72年、ジャック・ルコック演劇学校(パリ)に在籍。打楽器奏者ツトム・ヤマシタらとパリでの活動
を経て、74∼88年劇団転形劇場(太田省吾主宰)に在籍し、中心的女優として『水の駅』など多数の舞台
に出演。88年以降も太田省吾の演出作品や海外のプロジェクトに多数出演。また、松本修、平田オリザな
どの演出作品にも客演。
99年よりスリーポイントを主宰し、「べケット・ライブ」を開始。『vol.3 わたしじゃない』『vol.4 ロ
ッカバイ』『vol.5 あしおと』『vol.6 クァクァ』で多くの反響を得る。
最近ではほかに『現代能 ベルナルダ・アルバの家』(岡本章演出)、『ヤジルシ―誘われて』(太田省
吾演出/新国立劇場)に出演。また、美術展『ブラン・ヴァン・ヴェルデ展』(東京:草月美術館)を企画・
開催。
訳書に『ベケットとヴァン・ヴェルデ』(みすず書房:共訳)。
宇野 邦一(うの・くにいち)
コンセプト・翻訳
1948 年生まれ。
76∼83 年、パリ第8大学で学び、アルトーについての博士論文を提出。現代フランス文学思想を中心軸
にして、批評的エセーを書く。現在は立教大学文学部教授。
著書に『アルトー 思考と身体』(白水社)、『ドゥルーズ 流動の哲学』(講談社)、『ジャン・ジュネ』
(以文社)、『破局と渦の考察』(岩波書店)、『 単なる生 の哲学』(平凡社)、訳書にベケット『伴侶』
『見ちがい言いちがい』(書肆山田)、ドゥルーズ『フーコー』『襞』(河出書房新社)などがある。
三浦 基(みうら・もとい)
演出
地点主宰。1973 年生まれ。桐朋学園大学演劇科・専攻科卒。
99 年より 2 年間、文化庁派遣芸術家在外研修員としてパリに滞在する。帰国後、地点の活動を本格化。
05 年 4 月より、創作拠点を京都へ移す。
テキストの綿密な解釈に基づく独特の作劇を展開。主な演出作品に『Jericho』
『沈黙と光』
(作:松田正
隆)
、
『三人姉妹』
『かもめ』
(作:アントン・チェーホフ)
、
『雌鳥の中のナイフ』
(作:デイヴィッド・ハロワ
ー)など。
――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――
サミュエル・ベケット(Samuel BECKETT) 原作
1906 年アイルランド生まれ。89 年パリにて没。小説家・劇作家。
代表作に、小説『モロイ』
『マロウンは死ぬ』
『名づけえぬもの』
、晩年の散文『伴侶』『見ちがい言いち
がい』、戯曲『ゴドーを待ちながら』『勝負の終わり』など。晩年にしたがいその作品は簡素なまでにそぎ
落とされ、美しく透徹した世界を描き出す。
69 年ノーベル文学賞受賞。画家ブラン・ヴァン・ヴェルデと親交を結ぶ。
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スリーポイント・プロデュース
ベケット・ライブ vol.7
『見ちがい言いちがい』
<東京国際芸術祭
06>
■スタッフ・キャスト
原作
コンセプト・翻訳
演出
サミュエル・ベケット
宇野邦一
三浦基
出演
鈴木理江子
舞台監督=浜村修司
照明=高原文江+真昼
映像=山田晋平
演出助手=村川拓也
制作協力=田嶋結菜(地点) 制作=山下陽子
企画・製作=スリーポイント
芸術文化振興基金助成事業
■上演時間
2006年3月22日(水)
23日(木)
24日(金)
25日(土)
26日(日)
19:30開演
19:30
19:30
15:00
15:00
*開場は開演の30分前
■料金
一般前売 3,200 円
一般当日 3,500 円
学生前売 2,200 円
学生当日 2,500 円
*全席自由・税込み (学生券はスリーポイントでのみ取り扱い/要学生証)
■チケット発売
2月20日(月)
■チケット取り扱い
・スリーポイント
・チケットぴあ
・下北沢「劇」小劇場
080-5696-0033
0570-02-9999
0570-02-9988 (Pコード:366-554)
03-3466-0020
■お問合せ
スリーポイント 080-5696-0033
E-mail:[email protected]
http://www6.plala.or.jp/beckettlive/
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