特 許 公 報 特許第5771833号

〔実 13 頁〕
特 許 公 報(B2)
(19)日本国特許庁(JP)
(12)
(11)特許番号
特許第5771833号
(45)発行日
(P5771833)
(24)登録日 平成27年7月10日(2015.7.10)
平成27年9月2日(2015.9.2)
(51)Int.Cl.
FI
C12N 15/09
(2006.01)
C12N
15/00
ZNAA
C07K 14/435
(2006.01)
C07K
14/435
A01K 67/04
(2006.01)
A01K
67/04
Z
請求項の数14 (全18頁)
(21)出願番号
特願2010-203556(P2010-203556)
(22)出願日
平成22年9月10日(2010.9.10)
岡本株式会社
(65)公開番号
特開2012-055269(P2012-55269A)
奈良県北葛城郡広陵町大字大塚150番地
(43)公開日
平成24年3月22日(2012.3.22)
審査請求日
平成25年6月19日(2013.6.19)
(73)特許権者 592154411
の1
(74)代理人 100107456
弁理士
池田 成人
(74)代理人 100148596
弁理士
山口 和弘
(74)代理人 100123995
弁理士
野田 雅一
(74)代理人 100113435
弁理士
黒木 義樹
(74)代理人 100140578
弁理士
沖田 英樹
最終頁に続く
(54)【発明の名称】核酸、核酸によりコードされるタンパク質、核酸が導入された組換え生物、及び組換え生物により
作られるタンパク質
1
2
(57)【特許請求の範囲】
核酸
【請求項1】
(g)前記(e)の核酸と90%以上の配列同一性を有
以下の(a)∼(d)のいずれかの核酸。
する核酸
(a)配列番号1又は19の塩基配列を有する核酸
(h)前記(e)の核酸の相補鎖とストリンジェントな
(b)配列番号2又は20のアミノ酸配列を有するタン
条件下でハイブリダイズする核酸
パク質をコードする核酸
【請求項3】
(c)前記(a)の核酸と90%以上の配列同一性を有
配列番号1の塩基配列を有する核酸と95%以上の配列
し、牽引糸タンパク質をコードする核酸
同一性を有する、請求項2に記載の核酸。
(d)前記(a)の核酸の相補鎖とストリンジェントな
【請求項4】
条件下でハイブリダイズし、牽引糸タンパク質をコード 10
以下の(i)∼(l)のいずれかの核酸を含み、配列番
する核酸
号19の塩基配列を有する核酸と90%以上の配列同一
【請求項2】
性を有し、牽引糸タンパク質をコードする核酸。
以下の(e)∼(h)のいずれかの核酸を含み、配列番
(i)配列番号21、23、25、27、29、31、
号1の塩基配列を有する核酸と90%以上の配列同一性
33又は35の塩基配列を有する核酸
を有し、牽引糸タンパク質をコードする核酸。
(j)配列番号22、24、26、28、30、32、
(e)配列番号3、5、7、9、11、13、15又は
34又は36のアミノ酸配列を有するタンパク質をコー
17の塩基配列を有する核酸
ドする核酸
(f)配列番号4、6、8、10、12、14、16又
(k)前記(i)の核酸と90%以上の配列同一性を有
は18のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする
する核酸
( 2 )
JP
5771833
B2
2015.9.2
3
4
(l)前記(i)の核酸の相補鎖とストリンジェントな
アミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ
条件下でハイブリダイズする核酸
酸配列を有する牽引糸タンパク質。
【請求項5】
[X1−X2−X3−(X4)m−(X5)m−(X6
配列番号19の塩基配列を有する核酸と95%以上の配
)m−X7−X8]n(1)
列同一性を有する、請求項4に記載の核酸。
(式中、mはそれぞれ独立に0又は1の整数を示し、n
【請求項6】
は1∼10の整数を示し、X1は配列番号37∼45の
請求項1∼5のいずれか一項に記載の核酸によりコード
いずれかのアミノ酸配列を示し、X2は配列番号46∼
されるタンパク質。
52のいずれかのアミノ酸配列を示し、X3は配列番号
【請求項7】
53∼59のいずれかのアミノ酸配列を示し、X4は配
請求項1∼5のいずれか一項に記載の核酸が導入された 10
列番号49のアミノ酸配列を示し、X5は配列番号60
非ヒト組換え生物。
又は61のアミノ酸配列を示し、X6は配列番号62∼
【請求項8】
64のいずれかのアミノ酸配列を示し、X7は配列番号
請求項1∼5のいずれか一項に記載の核酸が導入された
65∼70のいずれかのアミノ酸配列を示し、X8は配
組換えカイコ。
列番号71∼81のいずれかのアミノ酸配列を示す。)
【請求項9】
【発明の詳細な説明】
請求項7に記載の非ヒト組換え生物により作られるタン
【技術分野】
パク質。
【0001】
【請求項10】
本発明は、核酸、核酸によりコードされるタンパク質、
請求項8に記載の組換えカイコにより作られる絹糸。
核酸が導入された組換え生物、及び組換え生物により作
【請求項11】
20
られるタンパク質に関する。
以下の(m)又は(n)のアミノ酸配列を有する、牽引
【背景技術】
糸タンパク質。
【0002】
(m)配列番号2又は20のアミノ酸配列
クモの糸は、強度と弾性の組み合わせにより優れた強靭
(n)前記(m)のアミノ酸配列と90%以上の配列同
性を有する天然の高性能ポリマーとして知られている。
一性を有するアミノ酸配列
クモには最大7つの特化した腺が存在し、これらは性質
【請求項12】
の異なる多種類のクモ糸を産生するが、中でも、大瓶状
以下の(o)又は(p)のアミノ酸配列を有する、牽引
腺により産生される牽引糸は、最も強靭なクモ糸として
糸タンパク質。
、医療、航空、衣料等の様々な産業分野における新素材
(o)以下の(o−1)又は(o−2)のアミノ酸配列
の開発において注目されている。
を有し、配列番号2のアミノ酸配列と90%以上の配列 30
【0003】
同一性を有するアミノ酸配列
牽引糸を構成する主要タンパク質として、大瓶状腺スピ
(o−1)配列番号4、6、8、10、12、14、1
ドロイン(Major
6又は18のアミノ酸配列
roin:MaSp)と称されるタンパク質が知られて
(o−2)前記(o−1)のアミノ酸配列と90%以上
おり、これまでに、クロゴケグモ(Latrodect
の配列同一性を有するアミノ酸配列
us
(p)以下の(p−1)又は(p−2)のアミノ酸配列
rodectus
を有し、配列番号20のアミノ酸配列と90%以上の配
ョロウグモ(Nephila
列同一性を有するアミノ酸配列
種々のクモのMaSpタンパク質をコードする遺伝子配
(p−1)配列番号22、24、26、28、30、3
2、34又は36のアミノ酸配列
Ampullate
Spid
hesperus)、ハイイロゴケグモ(Lat
geometricus)、北米ジ
clavipes)等、
列が明らかにされている(非特許文献1、2等)。
40
【先行技術文献】
(p−2)前記(p−1)のアミノ酸配列と90%以上
【非特許文献】
の配列同一性を有するアミノ酸配列
【0004】
【請求項13】
【非特許文献1】Nadia
前記(o)のアミノ酸配列が、配列番号2のアミノ酸配
A.
al.,Blueprint
列と95%以上の配列同一性を有し、前記(p)のアミ
−Performance
ノ酸配列が、配列番号20のアミノ酸配列と95%以上
Full−Length
の配列同一性を有する、請求項12に記載の牽引糸タン
ne
パク質。
,e514
【請求項14】
【非特許文献2】William
以下の一般式(1)で表されるアミノ酸配列、又は前記 50
IV
Ayoub et
for
a High
Biomaterial:
Spider
Dragli
Silk Genes,2007,Issue6
A.
Gaines
et al.,Identification
( 3 )
JP
5
and
Encoding
Silk
Spidroin
Major
Proteins
B2
2015.9.2
6
Characterization
Multiple
5771833
1
of
Genes
Ampullate
in
clavipes,Insect
Nephila
Mol
Biol
酸を含み、配列番号19の塩基配列を有する核酸と70
%以上、好ましくは80%以上の配列同一性を有し、牽
引糸タンパク質をコードする核酸に関する。
(i)配列番号21、23、25、27、29、31、
33又は35の塩基配列を有する核酸
,2008,17(5),465−474
(j)配列番号22、24、26、28、30、32、
【発明の概要】
34又は36のアミノ酸配列を有するタンパク質をコー
【発明が解決しようとする課題】
ドする核酸
【0005】
(k)上記(i)の核酸と90%以上の配列同一性を有
しかし、各産業分野において、優れた物性を有する天然 10
する核酸
繊維に対する需要は高まる一方であり、更なる新素材の
(l)上記(i)の核酸の相補鎖とストリンジェントな
開発が期待されている。
条件下でハイブリダイズする核酸
【0006】
【0011】
そこで本発明は、天然繊維において、優れた物性を有す
また、本発明は、上記核酸によりコードされるタンパク
る新素材を提供することを目的とする。
質に関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
【0007】
上記本発明に係る特定の核酸によれば、従来のMaSp
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ね
タンパク質とは異なる優れた物性を有するMaSpタン
た結果、オオジョロウグモ(Nephila
パク質(牽引糸タンパク質)がコードされ、天然繊維に
pill
ipes)の牽引糸を構成するMaSpタンパク質をコ 20
おける新素材を提供することが可能となる。特に、本発
ードする遺伝子が、従来知られているMaSp遺伝子と
明の核酸によりコードされる牽引糸タンパク質(本発明
は異なる独特の構造を有することを見出し、本発明を完
に係るタンパク質)は、従来のものよりも優れた弾性(
成するに至った。
又は弾力性、伸縮性、伸度、柔軟性)を有し、医療用品
【0008】
、衣料品等をはじめ、様々な産業分野において、弾性が
すなわち、本発明は、以下の(a)∼(d)のいずれか
必要とされる用途に好適に用いられる。
の核酸に関する。
【0013】
(a)配列番号1又は19の塩基配列を有する核酸
さらに、本発明は、上記核酸が導入された組換え生物、
(b)配列番号2又は20のアミノ酸配列を有するタン
及びその組換え生物により作られるタンパク質に関する
パク質をコードする核酸
。本発明の組換え生物によれば、上記核酸によりコード
(c)上記(a)の核酸と90%以上の配列同一性を有 30
される物性の優れた牽引糸タンパク質の大量生産が可能
し、牽引糸タンパク質をコードする核酸
となる。上記組換え生物により作られるタンパク質は、
(d)上記(a)の核酸の相補鎖とストリンジェントな
物性の優れた牽引糸タンパク質を含むことにより、様々
条件下でハイブリダイズし、牽引糸タンパク質をコード
な産業分野で好適に用いられる。
する核酸
【0014】
【0009】
特に、本発明は、上記核酸が導入された組換えカイコ、
また、本発明は、以下の(e)∼(h)のいずれかの核
及びその組換えカイコにより作られる絹糸に関する。本
酸を含み、配列番号1の塩基配列を有する核酸と70%
発明の組換えカイコによれば、上記核酸によりコードさ
以上、好ましくは80%以上の配列同一性を有し、牽引
れる物性の優れた牽引糸タンパク質を含む絹糸の大量生
糸タンパク質をコードする核酸に関する。
産が可能となる。上記組換えカイコにより作られる絹糸
(e)配列番号3、5、7、9、11、13、15又は 40
は、物性の優れた牽引糸タンパク質を含むことにより、
17の塩基配列を有する核酸
従来の絹糸よりも優れた物性、特に、優れた弾性を有す
(f)配列番号4、6、8、10、12、14、16又
るものとなる。
は18のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする
【0015】
核酸
また、本発明は、以下の(m)又は(n)のアミノ酸配
(g)上記(e)の核酸と90%以上の配列同一性を有
列を有する、牽引糸タンパク質に関する。
する核酸
(m)配列番号2又は20のアミノ酸配列
(h)上記(e)の核酸の相補鎖とストリンジェントな
(n)上記(m)のアミノ酸配列と90%以上の配列同
条件下でハイブリダイズする核酸
一性を有するアミノ酸配列
【0010】
【0016】
また、本発明は、以下の(i)∼(l)のいずれかの核 50
また、本発明は、以下の(o)又は(p)のアミノ酸配
( 4 )
JP
7
5771833
B2
2015.9.2
8
列を有する、牽引糸タンパク質に関する。
【0021】
(o)以下の(o−1)又は(o−2)のアミノ酸配列
【図1】NP−牽引糸タンパク質AのcDNA配列を示
を有し、配列番号2のアミノ酸配列と70%以上、好ま
す図である。
しくは80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列
【図2】NP−牽引糸タンパク質Aのアミノ酸配列を示
(o−1)配列番号4、6、8、10、12、14、1
す図である。
6又は18のアミノ酸配列
【図3】ノーザンハイブリダイゼーションの結果を示す
(o−2)上記(o−1)のアミノ酸配列と90%以上
写真図である。
の配列同一性を有するアミノ酸配列
【図4】NP−牽引糸タンパク質BのcDNA配列を示
(p)以下の(p−1)又は(p−2)のアミノ酸配列
す図である。
を有し、配列番号20のアミノ酸配列と70%以上、好 10
【図5】NP−牽引糸タンパク質Bのアミノ酸配列を示
ましくは80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列
す図である。
(p−1)配列番号22、24、26、28、30、3
【発明を実施するための形態】
2、34又は36のアミノ酸配列
【0022】
(p−2)上記(p−1)のアミノ酸配列と90%以上
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施す
の配列同一性を有するアミノ酸配列
るための形態について詳細に説明する。ただし、本発明
【0017】
は以下の実施形態に限定されるものではない。
さらに、本発明は、以下の一般式(1)で表されるアミ
【0023】
ノ酸配列、又は上記アミノ酸配列と90%以上の配列同
本発明は、以下の(a)∼(d)のいずれかの核酸に関
一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質に関する
する。
。
20
(a)配列番号1又は19の塩基配列を有する核酸
[X1−X2−X3−(X4)m−(X5)m−(X6
(b)配列番号2又は20のアミノ酸配列を有するタン
)m−X7−X8]n
パク質をコードする核酸
(1)
【0018】
(c)上記(a)の核酸と90%以上の配列同一性を有
上記一般式(1)中、mはそれぞれ独立に0又は1の整
し、牽引糸タンパク質をコードする核酸
数を示し、nは1∼10の整数を示し、X1は配列番号
(d)上記(a)の核酸の相補鎖とストリンジェントな
37∼45のいずれかのアミノ酸配列を示し、X2は配
条件下でハイブリダイズし、牽引糸タンパク質をコード
列番号46∼52のいずれかのアミノ酸配列を示し、X
する核酸
3は配列番号53∼59のいずれかのアミノ酸配列を示
【0024】
し、X4は配列番号49のアミノ酸配列を示し、X5は
まず、本発明は、配列番号1又は19の塩基配列を有す
配列番号60又は61のアミノ酸配列を示し、X6は配 30
る核酸(a)に関する。配列番号1又は19の塩基配列
列番号62∼64のいずれかのアミノ酸配列を示し、X
は、いずれも、ジョロウグモ属オオジョロウグモ(Ne
7は配列番号65∼70のいずれかのアミノ酸配列を示
phila
し、X8は配列番号71∼81のいずれかのアミノ酸配
パク質の主要成分である大瓶状腺スピドロイン(Maj
列を示す。
or
【0019】
p)と称されるタンパク質(ポリペプチド)をコードす
上記本発明に係るタンパク質は、その独特の構造により
る遺伝子である。本明細書では、配列番号1の塩基配列
、従来の牽引糸タンパク質よりも優れた物性を有するた
を有する核酸によりコードされるタンパク質を、「Np
め、様々な産業分野において好適に用いられる。
−牽引糸タンパク質A」と称し、配列番号19の塩基配
【発明の効果】
【0020】
pilipes)の牽引糸を構成するタン
Ampullate
Spidroin:MaS
列を有する核酸によりコードされるタンパク質を、「N
40
p−牽引糸タンパク質B」と称する。これらの核酸(a
本発明の核酸によれば、優れた物性を有するタンパク質
)は、オオジョロウグモから取得したものであることを
が提供される。また、本発明の組換え生物によれば、優
要さず、配列番号1又は19の塩基配列を有するもので
れた物性を有するタンパク質が大量生産できる。特に、
あれば、人工合成やゲノムライブラリー又はcDNAラ
本発明の組換えカイコによれば、優れた物性を有する絹
イブラリーから取得したものでもよく、これらをPCR
糸が大量生産できる。本発明により提供される牽引糸タ
で増幅したものや制限酵素で切り出したものであっても
ンパク質又は絹糸は、特に、優れた弾性を有するものと
よい。
なる。このように、本発明によれば、天然繊維において
【0025】
、弾性等の物性に優れた新素材を提供することが可能と
本発明の核酸は、配列番号2又は20のアミノ酸配列を
なる。
有するタンパク質をコードする核酸(b)であってもよ
【図面の簡単な説明】
50
い。配列番号2又は20のアミノ酸配列は、いずれも、
( 5 )
JP
9
5771833
B2
2015.9.2
10
オオジョロウグモのMaSpタンパク質が有するアミノ
【0029】
酸配列である。具体的には、配列番号2のアミノ酸配列
代表的には、ストリンジェントな条件は、塩濃度が約1
は、上記Np−牽引糸タンパク質Aが有するアミノ酸配
.0M
列であり、配列番号20のアミノ酸配列は、上記Np−
8.3で約0.01∼1.0MのNa
牽引糸タンパク質Bが有するアミノ酸配列である。
の塩)であり、そして温度は、短いヌクレオチド(例え
【0026】
ば、10∼50ヌクレオチド)については少なくとも約
また、本発明の核酸は、牽引糸タンパク質(MaSp)
30℃、そして長いヌクレオチド(例えば、50ヌクレ
をコードするものであれば、配列番号1又は19の塩基
オチドより長い)については少なくとも約60℃である
配列を有する核酸と90%以上の配列同一性を有する核
。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドのよう
酸(c)であってもよい。上記配列同一性は90%以上 10
な不安定化剤の添加によって達成され得る。本明細書に
であればよいが、93%以上であることが好ましく、9
おけるストリンジェントな条件として、50%のホルム
5%以上であることがより好ましく、98%以上である
アミド、1MのNaCl、1%のSDS(37℃)の緩
ことが更に好ましい。
衝溶液中でのハイブリダイゼーション、および0.1×
【0027】
SSCで60℃での洗浄が挙げられる。
さらに、本発明の核酸は、牽引糸タンパク質をコードす
【0030】
るものであれば、配列番号1又は19の塩基配列を有す
また、本発明の核酸は、以下の(e)∼(h)のいずれ
る核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリ
かの核酸を含み、牽引糸タンパク質をコードするもので
ダイズする核酸(d)であってもよい。本明細書におい
あれば、配列番号1の塩基配列を有する核酸と70%以
て、核酸の「相補鎖」とは、核酸の塩基間の水素結合に
上の配列同一性を有する核酸であってもよい。上記配列
基づいて対合する核酸配列(例えば、Aに対するT、G 20
同一性は70%以上であればよいが、75%以上である
に対するC)をいう。また、「ハイブリダイズ」とは、
ことが好ましく、80%以上であることがより好ましく
上記相補鎖間で起こる相補的結合、又は一本鎖核酸分子
、85%以上であることが更に好ましく、88%以上で
間の塩基対相互作用の形成を意味する。
あることが特に好ましい。
【0028】
(e)配列番号3、5、7、9、11、13、15又は
本明細書において、「ストリンジェントな条件」とは、
17の塩基配列を有する核酸
標的配列に対して相同性を有するヌクレオチド鎖の相補
(f)配列番号4、6、8、10、12、14、16又
鎖が標的配列に優先的にハイブリダイズし、そして相同
は18のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする
性を有さないヌクレオチド鎖の相補鎖が実質的にハイブ
核酸
リダイズしない条件を意味する。ストリンジェントな条
(g)上記(e)の核酸と90%以上の配列同一性を有
件は配列依存的であり、そして種々の状況で異なる。よ 30
する核酸
り長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリダイズ
(h)上記(e)の核酸の相補鎖とストリンジェントな
する。一般に、ストリンジェントな条件は、規定された
条件下でハイブリダイズする核酸
イオン強度およびpHでの特定の配列についての熱融解
【0031】
温度(Tm )より約5℃低く選択される。Tm は、規定
上記配列番号3、5、7、9、11、13、15又は1
されたイオン強度、pH、および核酸濃度下で、標的配
7の塩基配列は、配列番号1の塩基配列のうち、本発明
列に相補的なヌクレオチドの50%が平衡状態で標的配
の優れた物性を有する牽引糸タンパク質をコードする上
列にハイブリダイズする温度である。「ストリンジェン
で重要な特徴を有する配列である。このような特徴的配
トな条件」は配列依存的であり、そして種々の環境パラ
列を有する核酸を含むことによって、配列番号1の塩基
メーターによって異なる。核酸のハイブリダイゼーショ
配列を有する核酸と70%以上の配列同一性しか有しな
ンの一般的な指針は、Tijssen(Tijssen 40
い核酸であっても、配列番号1の塩基配列を有する核酸
(1993)、Laboratory
と同様に、本発明の優れた物性を有する牽引糸タンパク
ques
Technni
In Biochemistry
Molecular
And
With
Nucleic
Probes
Part
I、第2章「Overvie
w
of
principles
ization
of
and
nucleic
acid
Acid
配列番号4、6、8、10、12、14、16又は18
のアミノ酸配列を有するタンパク質は、それぞれ、上記
hybrid
probe
濃度(または他
【0032】
配列番号3、5、7、9、11、13、15又は17の
the strategy
ay」、Elsevier,New
される。
of
+
質をコードすることが可能となる。
Biology−Hybridi
zation
+
Na 未満であり、代表的には、pH7.0∼
塩基配列によりコードされるタンパク質である。
ass
【0033】
York)に見出
上記核酸(g)において、核酸(e)との配列同一性は
50
90%以上であればよいが、93%以上であることが好
( 6 )
JP
11
5771833
B2
2015.9.2
12
ましく、95%以上であることがより好ましく、98%
生物を示す。形質転換される対象となる被組換え生物と
以上であることが更に好ましい。
しては、特に制限はなく、昆虫、動物、植物、微生物等
【0034】
を用いることができるが、昆虫を用いることが好ましい
また、本発明の核酸は、以下の(i)∼(l)のいずれ
。好適な昆虫としては、カイコ(Bombyx
かの核酸を含み、牽引糸タンパク質をコードするもので
i)、クワコ(Bombyx
あれば、配列番号19の塩基配列を有する核酸と70%
天蚕(てんさん)(Antheraea
以上の配列同一性を有する核酸であってもよい。上記配
i)、柞蚕(さくさん)(Antheraea
列同一性は70%以上であればよいが、75%以上であ
nyi)等が挙げられる。なかでも、カイコガ科に属す
ることが好ましく、80%以上であることがより好まし
るカイコ、クワコ等が好適に用いられ、特に、カイコを
く、85%以上であることが更に好ましく、88%以上 10
用いることが好ましい。
であることが特に好ましい。
【0040】
(i)配列番号21、23、25、27、29、31、
本明細書において、「カイコ」とは、カイコガ属カイコ
33又は35の塩基配列を有する核酸
(Bombyx
(j)配列番号22、24、26、28、30、32、
の品種であっても、実用商品化された実用品種であって
34又は36のアミノ酸配列を有するタンパク質をコー
もよい。
ドする核酸
また、「組換えカイコ」とは、遺伝子組換えにより外来
(k)上記(i)の核酸と90%以上の配列同一性を有
遺伝子がカイコ染色体に導入され、形質転換されたカイ
する核酸
コを示す。遺伝子組み換えは、例えば、トランスポゾン
(l)上記(i)の核酸の相補鎖とストリンジェントな
を用いる方法により行うが、外来遺伝子をカイコに導入
条件下でハイブリダイズする核酸
20
mor
mandarina)、
yamama
per
mori)をいう。カイコは、実験用
できる方法であれば制限はなく、エレクトロポレーショ
【0035】
ン等の他の方法によって遺伝子組み換えを行ってもよい
上記配列番号21、23、25、27、29、31、3
。
3又は35の塩基配列は、配列番号19の塩基配列のう
【0041】
ち、本発明の優れた物性を有する牽引糸タンパク質をコ
本明細書において、「絹糸」とは、カイコ(Bomby
ードする上で重要な特徴を有する配列である。このよう
x mori)により吐糸される繊維であり、繭を構成
な特徴的配列を有する核酸を含むことによって、配列番
し、フィブロインタンパク質を主成分とするものである
号19の塩基配列を有する核酸と70%以上の配列同一
。フィブロインタンパク質は、大小2つのサブユニット
性しか有しない核酸であっても、配列番号19の塩基配
(H鎖及びL鎖)からなる。
列を有する核酸と同様に、本発明の優れた物性を有する
【0042】
牽引糸タンパク質をコードすることが可能となる。
30
本明細書において、「オオジョロウグモ」とは、ジョロ
【0036】
ウグモ属オオジョロウグモ(Nephila
配列番号22、24、26、28、30、32、34又
pes)をいい、オオジョロウグモの産地は特に限定さ
pili
は36のアミノ酸配列を有するタンパク質は、それぞれ
れない。
、上記配列番号21、23、25、27、29、31、
【0043】
33又は35の塩基配列によりコードされるタンパク質
また、本発明は、以下の(m)又は(n)のアミノ酸配
である。
列を有する、牽引糸タンパク質に関する。
【0037】
(m)配列番号2又は20のアミノ酸配列
上記核酸(k)において、核酸(i)との配列同一性は
(n)上記(m)のアミノ酸配列と90%以上の配列同
90%以上であればよいが、93%以上であることが好
一性を有するアミノ酸配列
ましく、95%以上であることがより好ましく、98% 40
【0044】
以上であることが更に好ましい。
上記アミノ酸配列(n)において、上記(m)のアミノ
【0038】
酸配列との配列同一性は90%以上であればよいが、9
また、本発明は、上記本発明の核酸が導入された組換え
3%以上であることが好ましく、95%以上であること
生物及びその組換え生物により作られるタンパク質に関
がより好ましく、98%以上であることが更に好ましい
する。特に、本発明は、上記本発明の核酸が導入された
。
組換えカイコ及びその組換えカイコにより作られる絹糸
【0045】
に関する。
また、本発明は、以下の(o)又は(p)のアミノ酸配
【0039】
列を有する、牽引糸タンパク質に関する。
本明細書において、「組換え生物」とは、遺伝子組換え
(o)以下の(o−1)又は(o−2)のアミノ酸配列
により外来遺伝子が染色体に導入され、形質転換された 50
を有し、配列番号2のアミノ酸配列と70%以上の配列
( 7 )
JP
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同一性を有するアミノ酸配列
式(1)中、mはそれぞれ独立に0又は1の整数を示す
(o−1)配列番号4、6、8、10、12、14、1
。すなわち、繰り返し単位ごとに、X4、X5又はX6
6又は18のアミノ酸配列
で表されるアミノ酸配列を有する場合と、有しない場合
(o−2)上記(o−1)のアミノ酸配列と90%以上
とがある。
の配列同一性を有するアミノ酸配列
【0053】
(p)以下の(p−1)又は(p−2)のアミノ酸配列
式(1)中、X1は配列番号37∼45のいずれかのア
を有し、配列番号20のアミノ酸配列と70%以上の配
ミノ酸配列を示し、X2は配列番号46∼52のいずれ
列同一性を有するアミノ酸配列
かのアミノ酸配列を示し、X3は配列番号53∼59の
(p−1)配列番号22、24、26、28、30、3
2、34又は36のアミノ酸配列
いずれかのアミノ酸配列を示し、X4は配列番号49の
10
アミノ酸配列を示し、X5は配列番号60又は61のア
(p−2)上記(p−1)のアミノ酸配列と90%以上
ミノ酸配列を示し、X6は配列番号62∼64のいずれ
の配列同一性を有するアミノ酸配列
かのアミノ酸配列を示し、X7は配列番号65∼70の
【0046】
いずれかのアミノ酸配列を示し、X8は配列番号71∼
上記アミノ酸配列(o)において、配列番号2のアミノ
81のいずれかのアミノ酸配列を示す。
酸配列との配列同一性は70%以上であればよいが、7
【0054】
5%以上であることが好ましく、80%以上であること
また、本発明に係るタンパク質は、上記一般式(1)で
がより好ましく、85%以上であることが更に好ましく
表されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有す
、88%以上であることが特に好ましい。
るアミノ酸配列を有するタンパク質であってもよい。上
【0047】
記配列同一性は、90%以上であればよいが、93%以
同様に上記アミノ酸配列(p)において、配列番号20 20
上であることが好ましく、95%以上であることがより
のアミノ酸配列との配列同一性は70%以上であればよ
好ましく、98%以上であることが更に好ましい。
いが、75%以上であることが好ましく、80%以上で
【0055】
あることがより好ましく、85%以上であることが更に
図1は、オオジョロウグモのMaSpタンパク質の1種
好ましく、88%以上であることが特に好ましい。
であるNP−牽引糸タンパク質AのcDNA配列を示す
【0048】
図である。図1に示す遺伝子配列は、配列番号1の塩基
また、上記アミノ酸配列(o−2)において、上記(o
配列と同じである。
−1)のアミノ酸配列との配列同一性は90%以上であ
【0056】
ればよいが、93%以上であることが好ましく、95%
図2は、図1に示す遺伝子配列(配列番号1の塩基配列
以上であることがより好ましく、98%以上であること
)を有する核酸によりコードされるNP−牽引糸タンパ
が更に好ましい。
30
ク質Aのアミノ酸配列を示す図である。図2に示すアミ
【0049】
ノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列と同じである。
同様に、上記アミノ酸配列(p−2)において、上記(
【0057】
p−1)のアミノ酸配列との配列同一性は90%以上で
また、図4は、オオジョロウグモのMaSpタンパク質
あればよいが、93%以上であることが好ましく、95
のほかの1種であるNP−牽引糸タンパク質BのcDN
%以上であることがより好ましく、98%以上であるこ
A配列を示す図である。図4に示す遺伝子配列は、配列
とが更に好ましい。
番号19の塩基配列と同じである。
【0050】
【0058】
さらに、本発明は、以下の一般式(1)で表されるアミ
図5は、図4に示す遺伝子配列(配列番号19の塩基配
ノ酸配列を有するタンパク質に関する。
列)を有する核酸によりコードされるNP−牽引糸タン
[X1−X2−X3−(X4)m−(X5)m−(X6 40
パク質Bのアミノ酸配列を示す図である。図5に示すア
)m−X7−X8]n
ミノ酸配列は、配列番号20のアミノ酸配列と同じであ
(1)
【0051】
る。
上記一般式(1)で表されるアミノ酸配列は、[X1−
【0059】
X2−X3−(X4)m−(X5)m−(X6)m−X
図2又は図5に示すように、配列番号1又は19の塩基
7−X8]で表される繰り返し単位をn個有する。繰り
配列を有する核酸によりコードされる牽引糸タンパク質
返し単位の数(n)は特に制限されないが、1∼10で
は、下記一般式(2)によって表されるアミノ酸配列か
あることが好ましく、2∼9であることがより好ましく
らなる。
、3∼8であることが更に好ましく、特にn=8である
[(α)(V)(β)]q
ことが好ましい。
【0060】
【0052】
50
(2)
上記一般式(2)で表されるアミノ酸配列は、[(α)
( 8 )
JP
15
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(V)(β)]で表される繰り返し単位をq個有する。
ngineering
繰り返し単位の数(q)は特に制限されず、1∼100
roteins,2004,p.2
であればよいが、1∼10であることが好ましく、2∼
【0066】
9であることがより好ましく、3∼8であることが更に
また、図2又は図5に示す牽引糸タンパク質の(V)領
好ましく、特にq=8であることが好ましい。
域(準結晶領域)には、親水性アミノ酸が豊富に含まれ
【0061】
ている。表1に示すように、図2又は図5に示す牽引糸
上記式(2)において、(α)は、2∼4個のGGXを
タンパク質は、従来公知の北米ジョロウグモ(Neph
連続的に有するグリシンリッチな配列からなり、非結晶
ila
性α−ヘリックス構造を形成する無定型領域を示す。(
ephila
V)は、GX含有率の高い準結晶領域を示し、(β)は 10
酸を多く含む。これにより、本発明によって得られる牽
、アラニン又はトレオニンを豊富に含み、βプリーツシ
引糸タンパク質は、吸湿性が高いものになると考えられ
ートを形成する結晶領域を示す。
る。また、牽引糸タンパク質の結晶化度が低いことも、
【0062】
吸湿性を増加させる要因になっていると考えられる。
上記(α)及び(V)に含まれるXは、グルタミン、ア
【0067】
ラニン、セリン、ロイシン、プロリン、チロシン等であ
さらに、図2又は図5に示す牽引糸タンパク質の(β)
る場合が多いが、これらに限定されず、ほかのアミノ酸
領域(結晶領域)には、ポリアラニンの合間に、トレオ
であってもよい。また、Xは同一のアミノ酸である必要
ニン、アスパラギンなどの極性アミノ酸が含まれている
はない。
。本発明によって得られる牽引糸タンパク質は、このよ
【0063】
うに極性アミノ酸が豊富なポリアラニン(Poly(A
以下、図2又は図5に示す牽引糸タンパク質が有する独 20
))モチーフを有することによって、優れた強靭性を有
特な分子構造と、それによって得られる牽引糸タンパク
するものになると考えられる。
質の物性について説明する。
【0068】
【0064】
なお、極性アミノ酸が豊富なポリアラニン(Poly(
まず、図2又は図5に示す牽引糸タンパク質の(α)領
A))モチーフが糸に強靭性を付与することは、以下の
域(非結晶性無定型領域)においては、4個のGGXが
文献にも記載されている。
連続して配列している。このような配列により、牽引糸
・Glareh
はα−ヘリックス構造を形成する。α−ヘリックス構造
elf−assembly
は、通常、繊維中で曲がった状態で存在するが、引っ張
k proteins
られることによって繊維軸に沿って直鎖状構造に変わる
by
。このように、外部からの応力に対してα−ヘリックス 30
10,vol.465,p.1
構造が大幅に伸展することにより、繊維に弾性が付与さ
・J.M.GOSLINE,et
れる。一方、従来公知のクモ牽引糸タンパク質(MaS
ECHANICAL
p)には、4個のGGXが連続して配列する構造は見ら
R SILKS:FROM
れない(非特許文献1、2等参照)。以上のことから、
ENCE
(α)領域において4個のGGXが連続して配列する独
ON,1999,p.3299
自構造を形成することによって、本発明によって得られ
【0069】
る牽引糸タンパク質は、弾性(又は弾力性、伸縮性、伸
また、表1に示すように、図2又は図5に示す牽引糸タ
度、柔軟性)が優れたものになると考えられる。
ンパク質は、従来公知の北米ジョロウグモ(Nephi
【0065】
la
なお、GGX繰り返しモチーフが糸に弾性を付与するこ 40
phila
とは、以下の文献にも記載されている。
アミノ酸を含む。このように分子内に大量に存在する極
・Cheryl
Y.Hayashi
Evidence
m
Silk
from
cDNA
turalBasis
et
clavipes)や日本産ジョロウグモ(N
clavata)と比べて親水性アミノ
Askarieh
et al.,S
ofspider
sil
is controlled
apH−sensitive
relay,20
al.,THE
DESIGN
M
OF SPIDE
FIBROIN
TO MECHANICAL
SEQU
FUNCTI
clavipes)や日本産ジョロウグモ(Ne
clavata)に対して、約2倍の極性
al.,
性アミノ酸残基は、外部からの応力に対して、分子を応
力の方向に沿って規則的に配列し、分子間の作用力を大
Struc
Elasticity
and
Modular
der
Silks,1998,p.779
・Thomas
p
Flagellifor
for the
of
of synthetic
Nature
of
のとする。特に、分子間の水素結合が、糸繊維の強度増
Spi
Scheibel,Spider
ilks:recombinant
加に役立っていると考えられる。
【0070】
s
synthesi
s,assembly,spinning,and
きくすることによって、牽引糸を優れた強度を有するも
e 50
表1に、オオジョロウグモ(Nephila
pes)、北米ジョロウグモ(Nephila
pili
cla
vipes)、日本産ジョロウグモ(Nephila
( 9 )
JP
17
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18
clavata)のMaSpタンパク質における極性ア
312−017)を用い、キュベットとしては0.1c
ミノ酸及び親水性アミノ酸の含有率(%)を示す。なお
mサイズのものを用いた。
、極性アミノ酸の含有率は、N(Asn)、C(Cys
【0077】
)、Q(Gln)、S(Ser)、T(Thr)及びY
まず、キュベットを予め氷上で冷やしておき、コンピテ
(Tyr)の含有率を示し、親水性アミノ酸の含有率は
ントセル(>10
、R(Arg)、N(Asn)、D(Asp)、Q(G
融かした後、1μlのcDNAライブラリー溶液をチュ
ln)、E(Glu)、H(His)、K(Lys)、
ーブに添加した。この混合液をキュベットの底に一様に
S(Ser)及びT(Thr)の含有率を示す。
なるように移した。エレクロポレーションの条件は、電
【0071】
1
0
cfu/μg)50μlを氷上で
圧2.5kV、パルスコントローラー(R2
【表1】
10
−
7
)20
0Ω、キャパシタンス25μFとした。パルスを一回か
け、可能な限り素早く1mlのSOC培地(2%
cto
east
tryptone,0.5%
extract,10mM
KCl,10mM
Ba
Bacto
y
NaCl,2.
【実施例】
5mM
MgCl2 ,10mM
M
【0072】
gS04 ,20mM
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明
え、溶液を懸濁した。懸濁液を培養チューブに移し1時
する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるもの
間から1時間半培養後、抗生物質(アンピシリン)、I
ではない。
PTG及びX−Galを含むLBプレート(1%
【0073】
cto
グルコース)をキュベット内に加
tryptone,0.5%
Bacto
y
供試動物としては、7月に採集したオオジョロウグモ( 20
east
Nephila
いた。プレートにできた白色コロニーをLB(+アンピ
pilipes)の雌成虫を用いた。
extraxt,0.5%
Ba
NaCl)にま
【0074】
シリン)培地に植菌させ、588個の組換えプラスミド
(RNA抽出)
をランダムに選択し、FlexiPrep
Total
アマシャム社製)を用いて精製した。
la
RNAは、オオジョロウグモ(Nephi
pilipes)の大瓶状腺から準備した。生理
食塩水(NaCl
0.75%)中でクモの大瓶状腺を
T
M
Kit(
【0078】
(シークエンスと配列の比較解析)
解剖し、1mlのTRIZOLを添加し、よく砕いた。
インサートの配列は、「ABI
懸濁液は200μlのクロロホルムで分離し除去した。
tic
水層を別のチューブに移し、同量のイソプロパノールを
ロジーズジャパン(株)製)とT7primerを使用
加えRNAを沈殿させた。沈殿物を75%エタノールで 30
しシークエンスした。DNAとアミノ酸配列のコンピュ
リンスし、−80℃で保存した。その後、7500rp
ーター分析は、「Genetyx
m、4℃にて5分間遠心分離し、8分間真空乾燥したの
(株)ゼネティック製)と「Sequencher
ち、RNase−free
.14」(Demoversion)(Gene
waterに溶解した。5
analyzer
Prism
gene
3100」(ライフテクノ
package」(
4
Co
5℃で10分間RNAを溶解した後、サンプルとして使
des社製)を用いて行った。配列の比較はタンパク質
用した。
のデータベースに対してExPASy
Proteom
サンプルをアガロース電気泳動することにより、RNA
ics
www.exp
が抽出できたことを確認した。
asy.org)のSIB
【0075】
k Serviceにより相同性分析を行った。
(cDNAライブラリーの構築)
【0079】
G−キャッピング法による大瓶状腺のcDNAライブラ 40
(糸腺特異的発現を証明する実験)
リーの合成と構築は、タカラバイオ株式会社に委託した
MaSp(major
。ライブラリーベクター(pDNR−LIB)は約50
roin)は名前の通り、大瓶状腺で発現するとされて
μlのTEに溶解した。
いる。本発明の遺伝子が大瓶状腺で働いていることを証
【0076】
明するため、cDNA配列の3’末端(アミノ酸配列の
(クローニングとシークエンス)
C末端)配列を用いてプローブを作成し、クモの四種類
高い確率で形質転換を行うため、エレクトロポレーショ
糸腺(鞭状腺、管状腺、大瓶状腺、小瓶状腺)から抽出
ン法を用いた。DNA溶液としては、準備されたcDN
したRNAとノーザンハイブリダイゼーション実験を行
Aライブラリー溶液を用い、コンピテントセルとしては
った。図3は、ノーザンハイブリダイゼーションの結果
、Invitrogen社製「Electro
を示す図である。図3のレーン1∼4には、順に、鞭状
T
M
DH12S
T
M
MAX
Cells」(Cat.No.18 50
server(http;/
BLAST
Networ
ampullate
spid
腺、管状腺、大瓶状腺、小瓶状腺から抽出したRNAを
( 10 )
JP
19
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20
流した。この結果より、本発明の遺伝子(核酸)は、オ
【0081】
オジョロウグモの大瓶状腺で特異的に発現していること
【表2】
が分かった。また、転写物質の分子量は約3∼4kbで
あると推測される。
【0080】
(牽引糸の物性評価)
【0082】
オオジョロウグモの牽引糸と、従来公知のクモの牽引糸
表2に示されるように、オオジョロウグモの牽引糸は、
の物性を比較するため、それぞれの伸度(弾性率)を測
従来公知のクモの牽引糸と比べて、優れた弾性を有する
定した。伸度の測定は、測定前日から、20℃、RH6
ことが明らかとなった。すなわち、本発明の核酸が、優
5%で24時間放置し、吸湿量をバランス状態にした2 10
れた弾性を有する牽引糸タンパク質をコードするもので
0mmの各牽引糸をサンプルとして、20℃、RH65
あることが示された。
%で引張り速度20mm/minの条件のもと、引張試
【産業上の利用可能性】
験機「Tensilon
【0083】
Toyo
UTM−III−100」(
Baldwin社製)を用いた伸度試験によ
本発明により提供される牽引糸タンパク質は、弾性等の
り行った。従来公知のクモとしては、日本産ジョロウグ
物性に優れる天然繊維であるため、医療、航空、衣料等
モ(Nephila
の様々な産業分野における新素材として、好適に用いら
clavata)及びナガコガネ
グモ(Argiope
bruennichi)を用い
れる。
た。結果を表2に示す。
【図1】
【図4】
( 11 )
【図5】
【図2】
JP
【図3】
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( 12 )
【配列表】
0005771833000001.app
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( 13 )
JP
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2015.9.2
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フロントページの続き
(74)代理人
100126653
弁理士
(72)発明者
木元
克輔
趙 天福
奈良県北葛城郡広陵町大塚150番地の1
(72)発明者
奈良県北葛城郡広陵町大塚150番地の1
(72)発明者
岡本株式会社内
王 玉軍
中垣
岡本株式会社内
雅雄
長野県上田市古里1666−7
審査官
(56)参考文献
伊達
利奈
特表2008−506409(JP,A)
特表2005−502347(JP,A)
国際公開第2005/068495(WO,A1)
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C12N
15/00−15/90
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
DWPI(Thomson
Innovation)