課題研究発表会 要旨集 1 HMD の イ ン タ ー フ ェ ー ス の 製 作 2 音声解析による個人の感情の解析 3 会話ができるソフトウェアの製作 4 重心動揺計ソフトの機能強化とオープンソース化 5 画像解析による視線測定システムの構築 6 Android 端 末 を 用 い た 学 校 案 内 AR ア プ リ の 開 発 7 暗号を用いた安全なファイル共有 8 Android 端 末 の カ メ ラ を 用 い た 位 置 情 報 表 示 ア プ リ の 開 発 平 成 23 年 10 月 6 日 東京工業大学附属科学技術高等学校 情報システム分野 P 1 課題名 HMD の イ ン タ ー フ ェ ー ス の 製 作 発表者氏名 鈴木隆介 濱田光 指導教員 都留裕貴 仲道嘉夫 前原大也 吉澤拓巳 渡邉義之 背景・目的 HMD( ヘ ッ ド マ ウ ン ト デ ィ ス プ レ イ )と は ,頭 部 に 装 着 す る デ ィ ス プ レ イ を 指 し ,さ ま ざ 1) まな種類が存在する 。 今 回 は , 生 活 を よ り 便 利 に す る た め の HMD の 製 作 を 目 標 と し , そ の た め の 使 い や す い ユ ー ザ ー イ ン タ ー フ ェ ー ス を 研 究 , 開 発 す る 。 HMD の 形 式 は , ビ デ オ カメラで外の様子を撮影しディスプレイに表示する,ビデオ透過型を採用する。 理論 実 際 に 製 作 す る HMD と そ の イ ン タ ー フ ェ ー ス の 具 体 的 な コ ン セ プ ト ・ 構 成 を 以 下 の よ う に決定した。 ・ Web カ メ ラ で 使 用 者 の 前 方 の 視 界 の 映 像 を 取 得 し ,PC を 用 い て そ こ に 情 報 を 付 加 し て デ ィスプレイに表示する。 ・ 安全を考慮して,視界の全面を覆うことはせずに視界の中心にディスプレイを配置し, 視界の端の部分はそのまま外が見えるようにする。 ・ カ メ ラ 以 外 に 各 種 セ ン サ を 取 り 付 け る こ と で 外 界 の 情 報 を 得 る ,コ ン ト ロ ー ラ 等 で 操 作 する,といった追加機能を搭載する。 ・ ソフトウェアの機能として,現在時刻表示,アラーム機能,地図表示などを搭載する。 方法と結果 HMD は , デ ィ ス プ レ イ に SONY の プ レ イ ス テ ー シ ョ ン ポ ー タ ブ ル (PSP-2000)の 液晶画面とその他部品(図 1 左 )を 使 用 し ,Web カ メ ラ に USB 接 続 で オ ー ト フ ォ ー 図 1 デ ィ ス プ レ イ 部 分( 左 )と HMD を 装 着 し た 様 子( 右 ) カ ス 機 能 を 持 つ ELECOM の UCAM-DLY300TA を 使 っ た 。 最 初 に , サ ン バ イ ザ ー を 基 礎 部 分 と す る 試 作 機 を 製 作 し た が , 不安定だったため現行の二号機を製作した。二号機では,ヘルメットを基礎部分とし,デ ィ ス プ レ イ と Web カ メ ラ は 金 属 部 品 に よ っ て 前 方 に 張 り 出 す 形 で 固 定 し て お り , 各 機 器 は P / P 2 PC と USB 接 続 さ れ て い る ( 図 1 右 )。 ま た , 後 述 の 地 図 機 能 の た め に GT-730FL-S GPS USB ド ン グ ル ロ ガ ー を 搭 載 , こ れ も USB 接 続 さ れ て い る 。 ソフトウェアは C 言語とライセンス フ リ ー の ラ イ ブ ラ リ で あ る OpenCV,DX ラ イ ブ ラ リ ,videoInput を 使 用 し て 作 成 。 Web カ メ ラ で 映 像 を PC に 取 得 し , それをプログラムによって加工・情報 の 付 加 を 行 う 。PC の 画 面 出 力 を PSP に 転 送 す る フ リ ー ソ フ ト の PSPdisp を 使 図 2 ソフトウェアの実行画面(アラーム機能) 用 し HMD に 出 力 ・ 表 示 す る 。 機 能 と し ては現在時刻表示やアラーム機能,地図機能などが搭載されている。アラーム機能はあら か じ め 設 定 し て お い た 時 刻 に な る と デ ィ ス プ レ イ に 表 示 を 出 す 。地 図 機 能 は ,ruby を 使 用 し た プ ロ グ ラ ム に よ り Google map の 地 図 画 像 を 事 前 に 保 存 し て お き , GPS ロ ガ ー に よ っ て 得 た 座 標 周 辺 の 地 図 画 像 を 表 示 す る 。ま た ,カ ス タ マ イ ズ 機 能 に よ り 各 種 情 報 の 表 示 位 置 , 文 字 の 色 等 を 詳 細 に 設 定 可 能 で あ る 。こ れ ら の 操 作 は PC の キ ー ボ ー ド か ,デ ィ ス プ レ イ 側 のボタンによって行うことが出来る。ソフトウェアの実行画面を図 2 に示す。 考察 ハードウェアについては,サンバイザーからヘルメットに変更したことにより,装着の しやすさ,快適さ,画面の見やすさが大きく向上し,問題点が改善された ソフトウェアについては,現在時刻表示に加えてアラーム機能と地図機能が追加され, 本 HMD の 有 用 性 が 高 ま っ た と い え る 。 ま た , デ ィ ス プ レ イ 側 か ら 操 作 可 能 で あ る こ と と カ スタマイズ機能により,各機能が使いやすくなっている。 今 回 製 作 し た HMD は , ボ デ ィ の 大 き さ 等 の 問 題 で , 実 際 に 日 常 生 活 で 使 用 す る の は 現 実 的でない。しかし,地図機能やカスタマイズ機能の実装により,短時間での試用や,視界 を動かせない時など用途に適した状況に限れば,有用で快適に利用できるデバイスとして 機能すると考えられる。 参考文献 1)Head Mounted Display (HMD)の 方 式 http://dse.ssi.ist.hokudai.ac.jp/~onosato/SSI-IS2007/Report/term12/ P / P 3 課題名 音声解析による個人の感情の解析 発表者氏名 坂口僚 柴田龍之介 清水圭一郎 善住大輔 高橋拓朗 高森太郎 指導教員 増田泰治 背景・目的 人 が 話 す 声 か ら 個 人 の 感 情 を 判 定 で き な い か と 思 い ,音 声 解 析 に よ っ て 感 情 判 定 を す る ソフトの製作に取り組むことにした。 理論 入力した音声データから最終的な結果の出力までの概 要 を 図 1 に 示 す 。マ イ ク に 入 力 さ れ た 音 声 デ ー タ は ,プ ロ グラムにより振幅とスペクトルを解析する。スペクトル 解 析 で は Blackman 窓 関 数 に か け て FFT 解 析 を 行 う 。 FFT と は 高 速 フ ー リ エ 変 換 の 略 で ,DFT(離 散 フ ー リ エ 変 換 )の 図 1 X = 本システムの概要 x e ∙ ∆∙ ∆ 計 算 を 高 速 化 し た も の で あ る 。DFT ∆t = x W ∆t l = 1,2, ⋯ , N はスペクトルを調べる作業であり, 次 の 式 に よ っ て 計 算 を 行 う 。 FFT W =e ∙ ∆∙ ∆ =e ∙ / 解 析 を 行 っ た 後 ,音 声 波 形 と ス ペ ク ト ル と い う 観 点 で 各 特 徴 を 調 べ ,そ れ ら の 特 徴 を プ ロ グ ラ ム に し き い 値 と し て 反 映 さ せ , 感情を判定するためのフィルタにかけて最終的な結果を出力する。フィルタの製作手順と し て ,① 音 声 波 形 の 振 幅 の 差 か ら 特 徴 を 抽 出 す る 手 順 を 図 2 に ,② ス ペ ク ト ル か ら ホ ル マ ン ト (ス ペ ク ト ル の ピ ー ク を 持 つ )周 波 数 を 割 り 出 し ,特 徴 を 抽 出 す る 手 順 を 図 3 に 示 す 。現 段 階 で は ,無 感 情 と 喜 び と で そ れ ぞ れ 複 数 人 ず つ 男 女 に も 分 け て 波 形 画 像 を 合 成 し ,そ れ ら を 同 じ 人 数 ず つ 見 比 べ て 共 通 点 を 抽 出 し ,音 声 波 形 は 同 一 人 の 無 感 情 と 喜 び を 1 人 ず つ 見 比 べ て ,そ の 中 で 共 通 した部分を抽出した。 方法と結果 フィルタを製作す 図 2 フィルタの製作手順① 図 3 フィルタの製作手順② る た め に ,51 人 の 被 験者に無感情と喜びというイメージで「ありがとう」と「オムライス」を言ってもらい録 音した。サウンドスペクトログラムを表示するフリーソフト「恋音」を用いてホルマント P / P 4 周波数の変化による「ありがとう」と「オムライス」の喜びの特徴を無感情と比較して調 べ た 。さ ら に 音 声 波 形 に 関 し て は ,音 声 波 形 を 表 示 す る フ リ ー ソ フ ト「 Sound Engine Free」 と 2 つ の 音 声 波 形 を 減 算 し て 特 徴 を 調 べ る 自 作 ソ フ ト 「 Sound Wave Subtraction(図 4,図 5 図 4 Sound Wave Subtraction(減 算 前 ) 図5 Sound Wave Subtraction(減 算 後 ) 参 照 )」を 用 い て 振 幅 に よ る「 あ り が と う (a/ri/ga/to/u)」の 喜 び の 特 徴 を 性 別 ご と に 無 感 情 と 比 較 し て 調 べ た 。 ス ペ ク ト ル の 結 果 を 表 1,音 声 波 形 の 結 果 を 表 2 に 示 す 。 表1 ホルマント周波数の解析結果 スペクトル ありがとう/arigatou/ オムライス/omuraisu/ 無感情 「と/to/」が低い 「す/su/」のパワースペクトルが大きい 考察 現 段 階 で は ,喜 ぶ・無 感 情 の 特 徴 分 析 ま で し か 出 来 て い な い が ,分 析結果を基に各フィルタの製作を 継 続 す る 。分 析 結 果 よ り ,音 声 の 大 喜び 「とう/tou/」がピッチに現れる, 「う/u/」が長母音 「お/o/」の発音が半音高い 表 2 音声波形の解析結果 音声波形 喜び(無感情との違い) 「とう/tou/」の振幅が大きい 「う/u/」の発音が徐々に小さくなる ありがとう 男声 「あり/ari/」に2つの特徴がある /arigatou/ |--- [a] > [i] の場合: 「り/ri/」の[i] 振幅が一番小さい |--- [a] < [i] の場合: 徐々に大きくなり, 小さくなる 女声 「う/u/」の発音が一定の大きさを保つ 男女混声 「が/ga/」の[a] で大きな振幅が生じる き さ に は 個 人 差 が あ り ,音 声 波 形 フ ィ ル タ に 通 す 前 は 音 声 デ ー タ の 最 大 値 を あ る 一 定 値 に 揃 え ,ス ペ ク ト ル フ ィ ル タ に 通 す 前 は FFT 解 析 後 の パ ワ ー ス ペ ク ト ル の 最 大 値 を あ る 一 定 値 に 揃 え る 必 要 が あ る 。音 声 波 形 フ ィ ル タ は し き い 値 に 囲 ま れ た 範 囲 の 音 声 波 形 の 面 積 と , しきい値で囲まれた面積を比較して近似の割合から感情を判定する。スペクトルフィルタ は ホ ル マ ン ト 周 波 数 を 認 識 し ,パ ワ ー ス ペ ク ト ル と 周 波 数 成 分 が 各 し き い 値 の 範 囲 内 に 存 在するかを調べて感情の判定をする。また, 各フィルタは男女別と男女混声のフィルタを 作 る 。 今 後 は フ ィ ル タ の 製 作 と 検 証 を 繰 り 返 し 行 い ,フ ィ ル タ の 認 識 率 の 向 上 を 目 指 す 。 参考文献 1)青 木 直 史 : C 言 語 で は じ め る 音 の プ ロ グ ラ ミ ン グ ,オ ー ム 社 ,P.1~ P.54 (2008) 2)松 下 耕 二 郎 : 信 号 処 理 の た め の プ ロ グ ラ ミ ン グ 入 門 ,技 術 評 論 社 (2009) P / P 5 課題名 会話ができるソフトウェアの製作 発表者氏名 岩永秀美 指導教員 仲道嘉夫 大西旭 笠原悠生人 今野慎太郎 齊藤航平 矢島祐介 背景・目的 より人間に近いソフトウェアの開発として,人間とコンピューターとが一対一で会話で きるソフトウェアの製作を行うこととした。そのために,コンピューターに記憶させるア ルゴリズムについての理解を深め,研究する。尚,会話をする上で用いる言語は日本語を 用いて,相手からの発言と自分の発言は,それぞれキーボードとディスプレイを用いた。 理論 会話では,人間で言う,記憶にあたる部分 と返答を返す部分があり,前者は,会話デー タの収集と,それらをディクショナリーへ格 納することで実装した。ディクショナリーへ の格納方法は三つの手段を考えた。 1。 チ ャ ッ ト な ど で 収 集 し た 会 話 デ ー タ を 図 1: デ ィ ク シ ョ ナ リ ー へ の 格 納 例 そのまま格納する方法。 2。 自 分 の 会 話 か ら 言 語 解 析 を 経 て 品 詞 情 報 を取り出し,その品詞と対応する文章を格納 する方法。この方法例を図 1 に示す。 3。相 手 の 発 言 に 含 ま れ る 名 詞 を カ ウ ン ト し , 相手の発言から名詞を抽出することで,名詞 の数に対応する返答のテンプレートを作成し 図 2: 返 答 方 法 B の 一 例 ディクショナリーへ格納する方法。 同様に,返答の作成は記憶に対応させるこ とを考えて,三種類の方法を考えた。 1. 相 手 の 発 言 に 対 し て ,格 納 し た 会 話 デ ー タ か ら ラ ン ダ ム に 返 答 を 出 力 す る 方 法 。( 返 答方法Aとする) 2。 相 手 の 発 言 に 対 し て 言 語 解 析 を 行 い , 名 詞 P / 図 3: 返 答 方 法 C の 一 例 P 6 を取り出す。更にディクショナリーからその単語が含まれる文章を見つけ出し,出力する 方 法 。 ( 返 答 方 法 B と す る 。) こ の 方 法 例 を 図 2 に 示 す 。 3。相 手 の 発 言 を 受 け ,名 詞 の 数 を カ ウ ン ト す る 。そ の 名 詞 の 数 に 対 応 し た テ ン プ レ ー ト を ディクショナリーから取り出し,テンプレートの中に相手の発言に含まれた名詞を埋め込 む こ と で 返 答 を 完 成 さ せ , 出 力 す る 方 法 。( 返 答 方 法 C と す る 。) こ の 例 を 図 3 に 示 す 。 方法と結果 ソ フ ト ウ ェ ア の 開 発 に は , オ ブ ジ ェ ク ト 指 向 言 語 Ruby を 用 い , 以 下 の 機 能 を 実 装 し た 。 1. キ ー ボ ー ド 入 力 を 通 じ て , 相 手 か ら の 発 言 を 受 け る 。 2。 ソ フ ト ウ ェ ア が , 返 答 方 法 を 選 択 す る 。 3。 選 択 し た 返 答 方 法 に よ っ て , 返 答 を 出 力 す る 。 ディクショナリーへの格納は,理論で示した三つの方法を完成させた。尚,品詞情報の 取 り 出 し 方 は 言 語 解 析 ソ フ ト ( juman と い う フ リ ー ソ フ ト 利 用 ) を 用 い て 行 な っ た 。 同様に,返答の作成方法については,理論で示した三種類の方法を作成した。返答方法 の 選 択 比 率 は , 返 答 方 法 A : B : C に 対 し て 2: 4: 4 で 選 択 す る よ う に し た 。 考察 相手からの発言に対して注目すべき語を抽出し,その名詞に対して辞書を用いる形で返 答することが可能となった。また,ディクショナリーにはその名詞が現れるごとに文章が 記憶されていくため,様々な内容の返答を行う事ができた。しかし,現れていない単語に 対しては,ランダムな返答を返すことしかできない。 データベースはテキストファイルで保存されている。これによりシンプルにデータを管 理 す る こ と が 可 能 と な っ た 。ま た ,Visual Studio を 用 い ,GUI を 作 成 し た 。こ れ に よ り , 使い易いアプリケーションにすることができた。 最 後 に , こ の ソ フ ト ウ ェ ア は Ruby が イ ン ス ト ー ル さ れ て い な け れ ば 動 作 が 出 来 な い 。 このため,今後の展開として,実行ファイルのみで動作が可能にすることが挙げられる。 参考文献 1), 黒 橋 ・ 河 原 研 究 室 , http://nlp.ist.i.kyoto-u.ac.jp/ 2), 秋 山 智 俊 , 恋 す る プ ロ グ ラ ム , 毎 日 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ズ ,( 2005) 3), Microsoft Visual Studio, http://www.microsoft.com/japan/msdn/vstudio/ 4), オ ブ ジ ェ ク ト 指 向 ス ク リ プ ト 言 語 Ruby, http://www.ruby-lang.org/ja/ 5), 久 保 秋 , 作 り な が ら 学 ぶ Ruby 入 門 , ソ フ ト バ ン ク ク リ エ イ テ ィ ブ (2009) P / P 7 課題名 重心動揺計ソフトの機能強化とオープンソース化 発表者氏名 阿部悠汰 指導教員 石川幸治 成田瑞稀 馬場一輝 藤井敬之 吉野悠里 背景・目的 今回作成している重心動揺計ソフトは接骨院で捻挫の治癒具合などを調べることを目的 と し て い る 。 市 販 の 重 心 動 揺 計 は 非 常 に 高 価 ¹⁾で あ る が , 今 回 使 用 す る バ ラ ン ス Wii ボ ー ド 2 ⁾は 本 体 の 導 入 コ ス ト が 安 価 で 済 み , PC と の 接 続 も 簡 単 で 問 題 発 生 時 に も す ぐ に 対 応 できる。 3) 昨年度に開発された重心動揺計ソフトウェア で は WiimoteLib と い う ラ イ ブ ラ リ フ ァ イ ル を 使 用 し て い る 。 WiimoteLib は 他 者 が 作 成 し た た め ソ フ ト ウ ェ ア の 管 理 の 点 で 問 題 が あ っ た 。 そ の た め WiimoteLib と 同 機 能 の 構 成 フ ァ イ ル を 作 成 す る 。 ま た , す で に こ の ソ フ ト ウ ェ ア を 利 用 し て い る 方 か ら , デ ー タ ID を 登 録 す る 機 能 , 重 心 の 移 動 範 囲 の 面 積 を 計 算 す る 機 能 ,ア プ リ ケ ー シ ョ ン の ウ ィ ン ド ウ を 拡 大 縮 小 す る 機 能 , 必要な円を選択して表示させる機能の追加,データ閲覧のための専用アプリの作成という 改善・拡張の要望があった。 昨年度のソフトウェアを元にしてハード・ソフトへの理解を深めつつ要望を実現し,使 いやすく改善していく。 理論 重心動揺計には4つのセンサが付いており,それぞれ の荷重に応じた電圧値を計測している。それぞれが取得 し た 電 圧 値 を V ~ V! と し ,セ ン サ 間 の 縦 の 距 離 を d,横 の 距離を w とすると座標を求める式は右のようになる。 また,移動範囲の面積計算のために座標から面積を 求 め る 式 を 用 い た 。 式 は 左 の 通 り で あ る 。 x ,y は 検 出 し た 座 標 の う ち ,外 周 を 構 成 す る 点 の 座 標 の 値 で あ る 。 方法と結果 ユーザーから依頼された4つの機能を追加した。1つ目がウィンドウの拡大縮小機能, 2 つ 目 が ID 登 録 機 能 , 3 つ 目 が 円 表 示 の 選 択 ボ タ ン , 4 つ 目 が 移 動 範 囲 の 面 積 計 算 機 能 である。面積計算の概要を以下に示す。 P / P 1. 計 測 し た 座 標 の う ち x,y 方 向 に そ れ ぞ れ 最 大 ・ 最 8 y 小 の 点 を 検 出 す る 。図 1 で は x,y そ れ ぞ れ 最 大 の 点を○,●とする。 2. 原点から見て○,●の2点を結んだ直線(実線) の 外 側 に あ る 点 の 中 か ら ,cosθの 値 が 最 も 小 さ い θ 点 ▲ を 検 出 。▲ の 座 標 を 記 憶 し ,同 様 の 処 理 を ▲ x を基準に行い,●と▲が一致するまで繰り返す。 3. x,y 最 小 の 点 も 含 め て , 同 様 の 処 理 を 行 い , 外 周 を 構 成 す る 点 の 座 標 x ,y を 求 め る 。 4. 0 図 1 面積計算概要図 x ,y の 値 か ら 面 積 を 計 算 す る 。 加 え て , 既 存 の ソ フ ト で は WiimoteLib と い う 構 成 フ ァ イ ル を 使 用 し て い た も の を , 必 要な機能に絞った構成ファイルを作成し,それに置き換えた。主な機能のうち,接続に関 し て は ,Wii ボ ー ド の ID を 照 合 し て 接 続 機 器 の 判 別 を 行 う 。値 の 受 信 に 関 し て は ,他 の 処 理 を 行 う た め に 非 同 期 で 行 っ て い る 。そ う し て 取 得 し た デ ー タ を 必 要 な 処 理 ご と に 分 別 し , 重心の計算を行う。 こ れ ら の 機 能 を VisualC#で 作 成 し た 結 果 , 問 題 な く 動 作 す る こ と が 確 認 で き た 。 考察 この結果から,依頼者から要望された機能を搭載することによって,ソフトウェアの機 能 強 化 を 行 う こ と が で き た と 考 え る 。 ま た , 中 身 の 分 か ら な か っ た WiimotoLib の 動 作 を 解析し,同等の機能を持った自作の構成ファイルに置き換えることにより,中身の明らか なソフトウェアにできたと考える。 今後の展望として,利用者の拡大が望まれるため,多くのユーザーに使用してもらい, 多くのデータサンプルをとる。その際に利用するユーザーから改善案を集め,より使いや すいユーザーインターフェースの構築に努める。 ま た , 使 い 方 を 記 し た マ ニ ュ ア ル を html 化 し て , web 上 に 公 開 し , 新 機 能 の 追 加 や 仕 様変更などがあった場合,その都度更新していく。 参考文献 株式会社 , http://www.hu-tech.co.jp/contents/main.htm 1) ヒューテック 2) Wii Fit 3) 「 重 心 動 揺 計 の 研 究 」 , 平 成 22 年 度 課 題 研 究 , http://www.nintendo.co.jp/wii/rfnj/balance/index.html P / P 9 課題名 画像解析による視線測定システムの構築 発表者氏名 木村文吾 指導教員 石川幸治 都築悠介 東正雪 福澤優 背景・目的 我々は,物事を処理する時にどこを見ているのかを知ること が で き れ ば ,Web ペ ー ジ デ ザ イ ン や ,医 療 な ど に 役 立 つ と 考 え,視線を測定することに興味を持った。既存の視線測定法 では,特殊な機材や道具が必要である。そこで,我々は比較 的安価なカメラを用いて,眼球の運動を撮影した画像から視 図 1 瞳孔とプルキニエ像 線を求め,画面に表示するシステムの製作を試みた。 理論 視 線 測 定 に は 角 膜 反 射 法 ( 1 ) ( 2) を 用 い た 。 こ れ は , 近 赤 外 線を角膜に照射してできるプルキニエ像(図1)と呼ば れる反射像を用いて視線を測定する方法である。 図 2 我 々 の カ メ ラ で は ,カ メ ラ か ら 目 ま で の 距 離 を 測 る こ 座標系 とができない。そのため座標系の取り方を工夫し,カメラのレンズを原点として,座標軸 の X 軸 と Z 軸 を 目 に 対 し て 45°に な る よ う に , Y 軸 は 地 面 と 垂 直 に な る カ メ ラ 座 標 系 を 設 定 し( 図 2 ), 距離を計測することで代用する。計測する際は,水 平 方 向 と 垂 直 方 向 を そ れ ぞ れ 測 り , 水 平 を Mx, 垂 直 を My と す る と 計 測 し た 点 の カ メ ラ 座 標 系 で の 位 置は( 2 2 Mx, My, 22 Mx)と な る 。 カ メ ラ で と っ た プ ル キ ニ エ 像 の 座 標 を (Xu,Yu),カ メ ラ 座 標 系 で の 位 図 3 置 を (Ux, Uy , Uz) , 同 じ よ う に 瞳 孔 の 中 心 を そ れ ぞ れ (Xp,Yp),(Px,Py,Pz) と す る 。回 転 行 列 を F と す る と (Ux,Uy, T (Ux, Uy,Uz ) 2 2 T = Mx, My, Mx + F ( Xu , Yu,0 ) 2 2 (Px, Py, Pz ) 2 2 T = Mx, My, Mx + F ( Xp, Yp,0 ) 2 2 T T Uz), (Px, Py, Pz)は , そ れ ぞ れ 右 の よ 眼球断面図 T うに表すことができる。円弧状の角膜の 中 心 を 角 膜 曲 率 中 心 と 言 い , そ の 半 径 ( 角 膜 曲 率 半 径 ) を R( 平 均 的 な 7.8 ㎜ と す る ) と P / P 10 し , R と (Ux, Uy, Uz)を 用 い る と , 角 膜 曲 率 中 心 C は 右 の よ う に な り , こ の 角 膜 曲 率 中 心 と 瞳 孔 中 心 を 結 ぶ 直 線 を 視 線 ベ ク ト ル と す る( 図 3 )。モ ニ タ と 視 線 ベ ク ト ル の 交 点 が 注 視点となる。 - a b エッジ → = グレースケール 図4 c 差分 d 二値化 瞳孔輪郭の抽出 瞳孔中心やプルキニエ像の座標は画像処理により求める。具体的には,図 4 のように, エッジを検出した画像とグレースケールの画像の差分を取り,差分を二値化することによ り,瞳孔輪郭を抽出できる。この中心を求めることより,目的座標を得ることができる。 方法と結果 前述の理論を基に実際に視線を測定するソフトウェアを作成し,四隅と中心を被験者が 注視し,実際の注視点と求めた注視点とのズレを確認する実験を行った。その結果,表示 される座標が画面左上部に偏ってしまい被験者の意識していた注視点と異なる場所が求ま った。X 軸方向は画面両端を見たときに違いがみられたが,Y 軸方向は下を向いたときに まぶたが瞳孔に重なり検出できなくなってしまった。 考察 安定して瞳孔中心とプルキニエ像を検出できているときの検出結果は,X 軸方向の傾向 はわかることから,距離などの計測や角膜の屈折による誤差などが影響していると考えら れるが,調整を繰り返すことで補正が可能と思われる。また,Y 軸方向はカメラとモニタ の相対位置を工夫する必要がある。 参考文献 (1) 眼球形状モデルに基づく視線測定法 http://www.brl.ntt.co.jp/people/takehiko/papers/image2002.pdf (2) 瞳孔抽出のための高速楕円検出法 http://www.vision.cs.chubu.ac.jp/04/pdf/pupil01.pdf (3) 詳解 画像処理プログラミング C 言語で実装する画像処理アルゴリズムのすべて 著者 昌達 慶仁 出 版 年 月 2008/3/27 出版社: ソフトバンククリエイティブ P / P 11 課題名 Android 端 末 を 用 い た 学 校 案 内 AR ア プ リ の 開 発 発表者氏名 大山洋介 指導教員 西澤吉郎 白井友基 細岡晟 村上大和 背景・目的 Android と は Google 社 が 開 発 す る 携 帯 端 末 用 OS の 事 で あ り ,カ メ ラ や セ ン サ な ど の ハ ードウェアを機種に関係なく統一的に扱うことができる。 ま た AR と は ,拡 張 現 実 を 意 味 す る Augmented Reality の 略 称 で あ り ,周 囲 の 環 境 に 対 して情報を付加する技術のことを指す。 本 研 究 で は , 近 年 注 目 さ れ て い る AR を 用 い た ア プ リ ケ ー シ ョ ン を 作 成 す る こ と を 目 標 と し , そ れ を 動 作 さ せ る 環 境 と し て , カ メ ラ や セ ン サ を 容 易 に 扱 う こ と の で き る Android 端末が適切であると考えた。また,このアプリケーションの具体的な内容を,学校の施設 に 対 し て AR を 行 う も の と 設 定 し , 屋 外 だ け で は な く 屋 内 で も 動 作 す る こ と を 技 術 的 な 目 標とした。 理論 AR を 行 う 方 法 と し て は , カ メ ラ か ら の 画 像 を 処 理 し て 対 象 物 を 検 出 す る 方 法 と , セ ン サ 等 を 用 い て 対 象 物 の 相 対 位 置 を 推 定 す る 方 法 が あ る 。本 研 究 で は Android 端 末 に よ る リ アルタイムでの画像処理は処理量が大きすぎると考え,後者の方法を選択した。 対象物の相対位置を推定するには,端末と対象物の絶対座標,カメラの向きを把握する 必要がある。端末の向きは傾きセンサにより,東西南北・上下方向の絶対的な傾きを取得 す る こ と が で き る 。ま た ,対 象 物 の 絶 対 座 標 は 予 め 計 測 し 保 存 し て お く こ と で 使 用 で き る 。 端末の絶対座標については,以下の3つの方法を用いて測定することとした。 一 つ 目 は GPS を 用 い た 方 法 で あ る 。殆 ど の Android 端 末 は GPS 機 能 が 搭 載 さ れ て お り , 端末の経度と緯度の計測を容易に行うことができる。ただし,電波の届きづらい屋内では この情報を取得することができない。 二つ目は画像比較を用いた方法である。これは,端末のカメラを用いて撮影された画像 と,予め撮影されている複数の画像を比較し,最も近いと判断された画像に対応した座標 を 端 末 の 位 置 で あ る と 推 定 す る 方 法 で あ る 。 こ れ に は , 予 め 場 所 に 固 有 の 物 体 (表 札 等 )の 画像から特徴量を抽出し,絶対座標と対応づけて保存しておく必要がある。本研究では, 局 所 的 な 幾 何 学 的 変 化 と 明 度 変 化 に 強 い HOG(Histograms of Oriented Gradients) 1 ) を 用 P / P 12 いた画像の特徴量の抽出を行うこととした。また,得られたデータはサーバに保存するこ ととした。 三つ目は加速度センサを用いた方法である。このセンサと傾きセンサの情報と合わせる ことで,端末の速度と移動距離を計算することができる為,事前に上記二つの方法で絶対 座標を取得しておくことで,屋内に入った後でもある程度の位置の測定が可能である。 方法と結果 案内情報や写真,画像の特徴量のデータに つ い て は ,PHP を 用 い た 管 理 シ ス テ ム を 作 成 し , 端 末 や PC か ら 情 報 を サ ー バ に ア ッ プ ロ ード・編集を行えるようにした。 画像比較については,端末内での特徴量の 図 1 抽出,サーバへのアップロード,サーバから 実行中の画面 ダ ウ ン ロ ー ド し た 複 数 の 特 徴 量 の 比 較 機 能 を 実 装 す る 事 が 出 来 た 。 8 冊 の 書 籍 の 画 像 (256 ×256px, グ レ ー ス ケ ー ル )に 対 し , 微 小 な 傾 き や ノ イ ズ を 加 え て 撮 影 し た 40 枚 の 画 像 を こ の 機 能 で 比 較 し た 結 果 , 95%に 当 た る 38 枚 に つ い て 正 し く 判 別 す る こ と が で き た 。 加速度センサを用いた移動距離の測定については,移動した軌跡の概形は取得する事が 出来たが,センサの微妙なノイズで加速度が変化するために誤差が非常に大きく,移動距 離は適切に算出する事が出来なかった。 AR 機 能 の ほ か に ,Google Maps を 用 い て 案 内 情 報 を 地 図 上 で 表 示 す る 機 能 も 実 装 し た 。 考察 屋 内 で の AR を 行 う 為 の 基 本 的 な 機 能 に つ い て は 実 装 す る こ と が で き た 。 し か し 現 在 の 仕 様 で は , 端 末 の 位 置 の 特 定 が 誤 差 の 大 き い GPS や 加 速 度 セ ン サ に 依 存 し て い る た め , これらより確実な端末の位置の特定方法,またはこれらを組み合わせて精度を高める方法 について研究する必要がある。 参考文献 1) 藤 吉 弘 亘 :"Gradient ベ ー ス の 特 徴 抽 出 -SIFT と HOG-", 情 報 処 理 学 会 研 究 報 告 CVIM160, pp.211-224(2007) 2) 安 生 真 ,, 柴 田 文 彦 , 藤 枝 崇 文 :”初 歩 か ら わ か る Android 最 新 プ ロ グ ラ ミ ン グ ”, 株 式 会 社 イ ン プ レ ス ジ ャ パ ン (2010) 3) "Android Developers", http://developer.android.com/ P / P 13 課題名 暗号を用いた安全なファイル共有 発表者氏名 石井拓馬 指導教員 近藤千香 小嶋陸大 後藤公太 福江正伍 背景・目的 私 た ち は 近 年 注 目 さ れ て い る P2P 技 術 と ,そ れ に 伴 う 安 全 性 の 問 題 を 考 慮 し て ,暗 号 を 用 い た 安 全 な フ ァ イ ル 共 有 シ ス テ ム を 作 成 す る こ と を 目 標 と し た 。た だ し ,通 信 を 行 う 相 手 と は 実 際に面識があるという前提で研究を進めている。 理論 我々はシステムの操作をより視覚的に す る た め , GUI を 備 え た フ ァ イ ル 通 信 ソ フ ト 「 Intock」 を 開 発 し た (図 2)。 ・暗号について 1,暗 号 方 式 は ElGamal 暗 号( 公 開 鍵 暗 号 ) と Camellia 暗 号 ( 共 通 鍵 暗 号 ) の 2 つ を 使用したハイブリッド暗号方式を採用し た 。こ の 方 式 で は ,ま ず ElGamal 暗 号 を 用 いて「共通鍵」を共有する。次からは両者が 図 1 ElGamal の 仕 組 み 得 た 「 共 通 鍵 」 を 用 い て Camellia 暗 号 で 暗 号 通 信 す る 。こ の 方 式 の 利 点 は 共 通 鍵 暗 号 の 計 算 の 容 易 さ と ,公 開 鍵 暗 号 の 鍵管理の容易さを組み合わせることが 出来る点である。 2, 暗 号 で は 受 信 し た 情 報 が 第 三 者 に よ って改ざんされていないか確認しなけ れ ば な ら な い 。そ こ で 送 信 す る 情 報 に 特 有 の「 署 名 」を と り つ け る こ と で ,改 ざ ん の 有 無 を 判 定 で き る よ う に し た 。も し 情報と署名を見比べて改ざんされている P / 図 2 Intock の 動 作 画 面 P 14 場 合 は , 受 信 を 拒 否 す る 。 今 回 は ElGamal 暗 号 の 応 用 で あ る ElGamal 署 名 を 製 作 し 実 装 し た 。 3, 一 般 的 な ElGamal 暗 号 で は , 強 度 を 保 つ た め 非 常 に 大 き な 桁 数 の 演 算 が 必 要 で あ る 。 こ の 研 究 で は 512bit( 十 進 数 に し て 154 桁 ) の 自 然 数 を 用 い た 。 こ の よ う な 演 算 を 多 倍 長 整 数演算と呼ぶ。今回は加減乗除などの演算を一つずつ定義し,実装した。この演算の内容が, 計算時間を大きく左右する。 ・通信について 多人数で並列して通信を行うために,ファイルは事前に分割して通信を行う。通信方法は TCP(Transmission Control Protocol)通 信 と し た 。こ れ は ソ ケ ッ ト と 呼 ば れ る デ ー タ の 通 り 道 を 通 信 者 間 で 繋 げ る こ と で 通 信 す る 方 法 で あ る 。こ の 方 法 で 分 割 し た フ ァ イ ル を 送 信 し ,送 信先で結合する。 方 法 と結 果 作 成 し た ソ フ ト の 通 信 速 度 を 計 測 し た 結 果 を 表 1 に 示 す 。 Intock は 100MB の フ ァ イ ル を 送 信 す る の に 平 均 13.7 秒 か か っ た 。こ れ は ,同 条 件 で Skype を 使 っ て 計 測 し た 結 果 の 16.5 秒 を 上 回っている。 表 1 Intock と 他 の フ ァ イ ル 通 信 ソ フ ト と の 通 信 速 度 の 比 較 Intock Skype 100MBを送信するのに掛かった時間 通信速度 13.7秒 7.2MB/秒 16.5秒 6.1MB/秒 ElGamal 暗 号 の 安 全 性 の 根 拠 と な る 離 散 対 数 問 題 を 効 率 よ く 解 く ア ル ゴ リ ズ ム は 見 つ か っ て い な い 。 512bit の 鍵 を 使 用 し た ElGamal 暗 号 を 総 当 り 攻 撃 で 解 く と 仮 定 し た 場 合 , 東 工 大 に あ る ス ー パ ー コ ン ピ ュ ー タ ー TSUBAME2.0 を 用 い て も 1.09*10^112 年 程 度 か か る 為 ,ElGamal 暗 号は安全であると言える。 考察 現 段 階 で は ElGamal 暗 号 は 充 分 に 安 全 で あ る が ,将 来 量 子 コ ン ピ ュ ー タ が 作 ら れ て し ま う と ElGamal 暗 号 も 解 か れ て し ま う 可 能 性 が あ る 。 そ れ を 防 ぐ た め に , 量 子 コ ン ピ ュ ー タ で 解 け な いと言われている楕円曲線暗号,ナップサック暗号にも挑戦したい。 参考文献 1)岡 本 栄 司 著 : 暗 号 理 論 入 門 ,共 立 出 版 株 式 会 社 ,P116~120(2002 年 ) 2)岡 本 龍 明 著 山 本 博 資 著 : 現 代 暗 号 ,産 業 図 書 ,P118,119(2007 年 ) 3)JAVADOC http://download.oracle.com/javase/1.4.2/docs/ P / P 15 課題名 Android 端 末 の カ メ ラ を 用 い た 位 置 情 報 表 示 ア プ リ の 開 発 発表者氏名 篠田陽介 指導教員 西澤吉郎 篠原巧 須ヶ崎聖人 鈴木竜一 鳥村尭伸 背景・目的 現 在 , Android 端 末 を は じ め と す る ス マ ー ト フ ォ ン が 普 及 し つ つ あ り , そ の 端 末 上 で 動 作 す る ア プ リ ケ ー シ ョ ン に 興 味 を 持 っ た の で ,自 分 た ち で 開 発 し て み よ う と 思 っ た 。ま た , 現 在 ま で の C 言 語 の 学 習 を 他 の 言 語 に も 活 か し た い と 思 っ て い た と こ ろ ,Android 端 末 が Java 言 語 を 用 い て い る こ と を 知 っ た 。そ こ で ,発 展 性 が 高 く ,様 々 な 応 用 が 効 き ,社 会 と の 関 連 性 が 高 い AR( 拡 張 現 実 )の ア プ リ ケ ー シ ョ ン を 開 発 し て い こ う と 決 め た 。そ の 際 , 私 た ち は Android 端 末 と サ ー バ を 用 い て ,端 末 の 画 面 に リ ア ル タ イ ム で 現 在 地 の 周 辺 情 報 を 付 加 す る よ う な AR ア プ リ ケ ー シ ョ ン の 研 究 , 開 発 を 行 う こ と と し た 。 理論 こ の ア プ リ ケ ー シ ョ ン の 動 作 と し て は ,① Android 端 末 の GPS モ ジ ュ ー ル や 傾 き セ ン サ を用いて緯度や経度,端末の向いている方向を取得し,その位置データをサーバにネット ワークを介して送信する。②サーバのデ ータベースには,建物の緯度・経度や名 称,詳細情報が格納されており,送られ たデータとデータベース上のデータを参 照・比較し,合致する情報があれば位置 データから双方間の角度をサーバ上で計 図 1 アプリケーションの仕組み 算し,その値と建物情報の文字列を端末へ返す。③返された角度をもとに端末の向いてい る方角を計算し,端末上の画面に建物についての情報を表示する,という仕組みである。 方法と結果 建物と端末との角度計算は,緯度・経度の値からアークタンジェントを用いて北からの 角度を算出している。また,建物と端末との距離計算には,端末の緯度・経度の値とサー バ上の建物の緯度・経度の値の差から三平方の定理を用いて算出している。そして,計算 した角度と距離から三角形の比を用いて,端末の向いている向きが変わる毎に画面上の情 報を随時更新している。計算した角度と距離の値を用い,図 2 の左上にあるような画面上 P / P 16 に端末のいる地点と建物との位置関係 を描画する機能を加えた。その他にも 画面上に表示する情報をアイコンとし て表示し,そのアイコンをタッチする と画面下部にポップアップでタッチし た建物の詳細情報を表示する,という 改良を加えた。中間発表時に問題とな っていたデータベースにある情報量が 図 2 アプリケーションの実行画面 少 な い 問 題 に つ い て は , Yahoo API の 地 図 検 索 機 能 に 登 録 さ れ て い る 山 手 線 主 要 駅 周 辺 と 本 校 周 辺 の 約 1600 の 建 物 に つ い て デ ー タ ベ ー ス 化 を 行 い , 解 決 し た 。 画面上にアイコンを付加する際,実際の建物に対し画面上のアイコンが少々ずれること が あ る 。こ れ は 端 末 の GPS モ ジ ュ ー ル の 精 度 や GPS に よ っ て ,屋 外 で も 最 大 10m の 誤 差 が生じるためである。また,建物の詳細情報を取得する際,最大 1 分の時間がかかってい る。 考察 画 面 上 に 付 加 す る ア イ コ ン の ズ レ は ,GPS の 更 新 頻 度 を 増 や し 位 置 デ ー タ の 誤 差 を 極 力 減らし,ズレを少なくした。それに加えて,スムージング技術を用いることで描画時の誤 差も少なくした。建物の詳細情報を取得する際,その時々にそれぞれの建物の詳細情報を 端末のローカル上にログファイルとして保存しておくことが出来れば,初期段階での通信 速度は変わらないが,アプリケーションの起動を繰り返すことで徐々に通信速度を高速に することが出来ると考えられる。データベース上の情報は,国土交通省国土政策局による 国土数値情報を利用してデータベース化することが可能であるので,データベースの更な る 拡 大 は 容 易 で あ る 。建 物 名 と 緯 度 ・経 度 の 値 は デ ー タ ベ ー ス 化 し た が ,ま だ 詳 細 情 報 が な いデータが数多く存在するので,一つ一つの詳細情報をどのように構築していくかという 問題が残っている。これについては,アプリケーション上から詳細情報をユーザがアップ ロード出来るようにすれば,詳細情報のデータベース化は容易になると考えられる。 参考文献 1 )安 生 真 ,他:”初 歩 か ら わ か る Android 最 新 プ ロ グ ラ ミ ン グ ”,ImpressJapan 2 ) ジ ョ ゼ フ ・ オ ニ ー ル : ” 独 習 Java 第 4 版 ”, 翔 泳 社 (2010) (2010) 3 ) 柏 岡 秀 男 : ” PHP ハ ン ド ブ ッ ク ”, ソ フ ト バ ン ク ク リ エ イ テ ィ ブ (2011) P /
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