「創エネ・蓄エネ・省エネ」製品づくりに

ごあいさつ
社会のニーズに応える高機能なコンデンサの開発と
「創エネ・蓄エネ・省エネ」
製品づくりに努めています。
“真のグローバルプレーヤー”に向けて
グループ一丸となって
「考働」
します
現在、長期化する円高や欧州の財政・金融危機に端を
発した経済環境の悪化によって、世界経済の減速感が
強まっています。その一方で、中国をはじめとする新興国の
経済成長とも相俟って企業間競争の舞台は新興国市場へと
シフトしており、とりわけコスト競争は激化の一途をたどっ
ています。その結果、日本の製造業の競争優位は大きく揺
らぎ、私たち部品メーカーにもその波が押し寄せています。
こうした厳しい状況のなかを勝ち抜いていくためには、
国や地域ごとの生活文化や市場ニーズ、競争相手、生産・
販売方法などのさまざまな相違点を的確に捉え、戦略や
対応をスピーディに最適化することができる“真のグロー
バルプレーヤー”
でなければなりません。
ニチコングループでは“真のグローバルプレーヤー”と
なるべく、従業員一人ひとりが知恵と情熱を結集して
「考働※」
しており、海外での生産体制・販売網の強化をはじめ、国・
地域ごとのコンプライアンスの徹底を図り、
「不良ゼロ」を
方針とする品質管理やグローバル人材の育成などの施策
に強い意志と実行力をもって取り組んでいます。
代表取締役会長
(CEO) 武田 一平(右)
※ 考働:
「しっかり考えて成果のでるように働くこと」
を意味する当社造語
代表取締役社長
(COO)荒木 幸彦(左)
社会からの要請がますます高まる
「創エネ・蓄エネ・省エネ」
技術に
注力しています
一方、世界では持続可能な低炭素社会の実現に向けて、
CO 2 排出量削減や再生可能エネルギーの活用など環境
負荷低減への取り組みが進んでいます。
ニチコングループは、
「地球との共生」
「人と環境に優しい
社会」を目指すという環境理念のもと、従来から積極的に
環境保全活動を推進しており、焼却時にダイオキシンが発
生する恐れのあるポリ塩化ビニル(PVC)の使用中止や
タンタル固体電解コンデンサやフィルムコンデンサの鉛
(Pb)
フリー化、臭素系難燃剤を含まないタンタル固体電解
3
社会・環境報 告 書
2012
コンデンサ外装樹脂への切り替えなどをいち早く実践して
道の駅や金融機関などに導入されており、災害発生時など
きました。
の非常用電源としても活用可能です。
また、地球温暖化の一因といわれる石油・石炭など化石
また 2012 年 7 月には、同様の技術を活用した、山梨県
燃料の消費を抑えるため、化石燃料に代わる新たなエネル
米倉山メガソーラーPR 施設「ゆめソーラー館やまなし」
に納
ギーの開発や導入促進の動きが加速しているなか、
「創エ
入した「創エネ」
&
「蓄エネ」型エネルギーマネジメントシス
ネ・蓄エネ・省エネ」技術・製品への社会的要請がこれまで
テムが、
「一般社団法人日本電設工業協会 再生可能エネル
以上に高まってきています。
ギー促進賞」を受賞しました。これは、系統電力を使うこと
ニチコングループでは、創業以来コンデンサを核に培っ
なく、太陽光発電や水力発電など再生可能エネルギーのみ
てきた技術をベースとして、エネルギー・環境に関する多様
を電力源とする自立運転を実現したシステムです。通常時
な技術を磨き、この分野における事業基盤を着々と固めて
の使用電力を再生可能エネルギーで賄えるのはもちろん、
きました。いまや「創エネ・蓄エネ・省エネ」は私たちの得意
停電時の電力供給や EV への急速充電も可能であることか
分野であると自負しています。たとえば 2009 年に電気自
ら、災害発生時などの非常用電源としても活用できる理想
動車(EV)向け充電器一体型 DC-DCコンバータの供給を
的なシステムです。
開始したほか、産官学連携による低炭素・ゼロエミッション
このほか、世界最小・最軽量の EV 向け超小型急速充
社会構築の実証実験にも参加するなど、業界内でも先駆的
電器や世界初の V2H(Vehicle to Home)
システム
「EVパ
な取り組みを積極的に進めてきました。
ワーステーション」
(P7-8 参照)、家庭用蓄電システム「ホー
さらに2010 年 3 月には、こうした動きを一層活性化させ
ム・パワー・ステーション」
(P9-10参照)の開発・商品化にも
ていくため、環境関連のパワーエレクトロニクスビジネスを
成功しました。なお、EV 向け製品の技術の高さは納入先の
統括する「NECST(Nichicon Energy Control System
自動車メーカー様からも評価され、数々の表彰をいただい
Technology)プロジェクト」を発足させました。併せて、東
ています。
京・名古屋・西日本の各支店にも環境関連ビジネスの専門
今後もニチコングループは、めまぐるしく移り変わる世界
部署を設置し、
「創エネ・蓄エネ・省エネ」関連事業の強化を
市場の動きにグローバルな視点で迅速かつ柔軟に対応し
図っています。2011 年度からスタートした中期 3ヵ年経営
ながら、中核であるコンデンサの高機能・高品質化を目指
計画「DASH2200※」のなかでも NECST プロジェクトの推
すことはもとより、
「創エネ・蓄エネ・省エネ」を指向する製
進を掲げており、再生可能エネルギーの発電システムや電
品づくりに引き続き邁進いたします。このような企業活動を
気自動車(EV)用の急速充電器、ハイブリッド車(HV)、産業
通じて、持続的かつ健全な成長・発展を目指すとともに、
機器や家電用製品に幅広く用いられ省エネに寄与するイン
より豊かな社会の実現に貢献していきたいと考えています。
バータの関連分野をターゲットとして、製品開発や事業化
そして、お客様をはじめ取引先様、従業員、株主・投資家、
に力を注いでいます。
地域社会など、あらゆるステークホルダーの皆様に対する
※ DASH2200:
「Do your best」
「Active mind」
「Speed & flexibility」
「High level challenge」
の頭文字をとり、
社内目標として2014年度に
連結売上高2,000億円、営業利益200億円を目指している
社会的責任を果たし、皆様からの信頼と満足が得られる
よう健全で透明性の高い CSR 経営に全力をあげてまい
ります。
電気自動車向け急速充電システムをはじめ
技術開発の成果が着実に現れています
本報告書では、ニチコングループの環境保全および CSR
に対する考え方や活動を報告しています。ご一読いただき、
皆様からのご意見をお寄せいただければ幸いに存じます。
2011 年度からは、これらの取り組みを着実に進めてき
た成果が形となって現れつつあります。2011 年 7 月には、
2012 年 10月
ニチコンが納入した名神高速道路吹田サービスエリア(上
り)の「創エネ」
&
「蓄エネ」型急速充電システムが「2011 年
度電設工業展製品コンクール」で「環境大臣賞」を受賞しま
ニチコン株式会社
代表取締役会長
(CEO)
した。このシステムは、独自の電力変換技術によって太陽光
発電で得た電気を蓄電し、電力会社から供給される電力(系
統電力)と合わせて EV に充電するというものです。すでに
代表取締役社長
(COO)
社会・環境報告書
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報告組織の概要
プロフィール
会社概要
事業拠点
社 名 ニチコン株式会社
国内販売拠点
英 文 名 NICHICON CORPORATION
東京支店/東北営業所、北関東営業所、長野営業所
本 社 所 在 地 〒604−0845 京都市中京区烏丸通御池上る
名古屋支店
設 立 1950 年(昭和 25年)
8月1日
西日本支店/岡山営業所、福岡営業所
資 本 金 14,286百万円
(2012年3月31日現在)
連 結 売 上 高 107,658百万円
(2012年3月期)
国内製造拠点
従 業 員 数 連結6,901名
(2012年3月31日現在)
電源センター
ニチコン製箔株式会社
連結子会社数 24社
(国内10社、海外14社)
ニチコン草津株式会社
ニチコン亀岡株式会社
ニチコン長野株式会社
ニチコン大野株式会社
ニチコンタンタル株式会社 ニチコン岩手株式会社
事業内容
ニチコンワカサ株式会社
エレクトロニクス機器に不可欠な電子部品
「コンデンサ」
を開発・製造・販売しています。
日本リニアックス株式会社
海外拠点
コンデンサは電気を蓄え、蓄えた電気を放出する部品で、あ
NICHICON(AMERICA)CORP.
らゆるエレクトロニクス機器に使われています。
NICHICON(AUSTRIA)GmbH
ニチコンは「デジタル家電機器」
「自動車・車両関連機器」
NICHICON(HONG KONG)LTD.
「エコ関連機器」
「情報通信機器」を重点市場に、機能・バリエー
ションともに多彩な製品を提供するコンデンサメーカーとし
NICHICON(SINGAPORE)PTE. LTD.
て、業界をリードしています。
NICHICON(TAIWAN)CO., LTD.
NICHICON(THAILAND)CO., LTD.
製品一覧
NICHICON ELECTRONICS TRADING(SHANGHAI)CO., LTD.
導電性
アルミ
高分子アルミ固体
電解
電解コンデンサ
コンデンサ
タンタル
コンデンサ
固体電解
応用関連
コンデンサ
機器
プラスチック
フィルム
コンデンサ
NICHICON(MALAYSIA)SDN. BHD.
NICHICON ELECTRONICS(WUXI)CO., LTD.
NICHICON ELECTRONICS(TIANJIN)CO., LTD.
FPCAP ELECTRONICS(SUZHOU)CO., LTD.
NICHICON ELECTRONICS(SUQIAN)CO., LTD.
電力・
機能
機器用
コンデンサ モジュール
WUXI NICHICON ELECTRONICS R&D CENTER CO., LTD.
売上高
地域別売上高比率
製品部門別売上高比率
電子機器用コンデンサ 71.5%
119,567
105,914 107,658
90,000
NICHICON ELECTRONICS(INDIA)PVT. LTD.
スイッチング
電源
(百万円)
120,000
NICHICON ELECTRONICS TRADING(SHENZHEN)CO., LTD.
正特性
サーミスタ
電気
二重層
コンデンサ
91,456
84,484
アルミ電解コンデンサ
タンタル固体電解コンデンサ
フィルムコンデンサ、正特性サーミスタ
“ポジアール ”
電力・機器用
コンデンサおよび
応用関連機器/
その他 11.6%
30,000
0
2008/3 2009/3 2010/3 2011/3 2012/3(年月)
社会・環境報 告 書
2012
フィルムコンデンサ
コンデンサ応用関連機器
コンデンサ主要原材料
日本 46.1%
欧州 6.2%
イギリス、
フランス、
オーストリア等
回路製品 16.9%
スイッチング電源
機能モジュール
60,000
5
株式会社酉島電機製作所
2012 年 3月
米州 5.8%
アメリカ、
ブラジル、
メキシコ等
アジア 41.9%
中華圏、韓国および
ASEAN諸国
2012 年 3月
代表製品
アルミ電解コンデンサ
搭載される商品例
酸化アルミニウムを誘電体とするコンデンサで、多くの電気
を蓄えることができる一般的なコンデンサです。
ニチコンは高容量・高品質の電極箔と信頼性の高い電解液
を材料に、長年蓄積した生産技術を駆使し、世界トップクラス
のシェアを獲得しています。
タンタル固体電解コンデンサ
希少金属であるタンタルの酸化物を誘電体とするコンデン
搭載される商品例
サです。
小形で多くの電気を蓄えることができるのが特長で、身近な
ものでは、スマートフォン、タブレット端末、デジタルカメラな
どに使用されています。
回路製品
交流電流を直流に変換して回路に送り込むスイッチング電源
や、基板上に電子部品を実装した電子回路である機能モジュー
コンではコンデンサに次ぐ新市場・新ビジネスとしてこれらの
環境・エネルギー分野に注力しています。
ルを製造しています。
搭載される商品例
スイッチング電源は、情報通信機器・事務機器などに使用さ
れ、機能モジュールは携帯電話用バッテリーモジュールや自動車
用センサーモジュールとして使用されています。
近年はEVの普及に貢献する車載用充電器や超小型急速充電
器、またV2Hシステムや家庭用蓄電システムなどを開発。ニチ
電力・機器用コンデンサ
ビルや工場などの受変電設備に用いられ、電力ロスを低減さ
設置される施設例
せる進相コンデンサや、パワーエレクトロニクスと呼ばれる半
導体電力変換装置を支える各種コンデンサを製造しています。
ニチコンの製品は、環境対応、安全性と信頼性の高さに定評
があります。
総資産
当期純利益
(百万円)
(百万円)
5,000
180,000
2,500
2,660
1,277
1,157
150,000
0
120,000
-2,500
90,000
-5,000
60,000
-6,040
-12,500
-15,000
-14,565
2008/3 2009/3 2010/3 2011/3 2012/3(年月)
従業員数
(人)
8,219
8,000
153,989
139,150
125,546 128,153 130,789
6,000
7,315
5,437
6,901
4,998
4,000
2,000
30,000
0
0
2008/3 2009/3 2010/3 2011/3 2012/3(年月)
2008/3 2009/3 2010/3 2011/3 2012/3(年月)
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