文部科学省 「高度人材養成のための社会人学び直し 大学院プログラム」 事業選定 「京都大学サービスMBA入門プログラム」 事業 平成26年度 成果報告書 平成27年5月 京都大学経営管理大学院 まえがき この報告書は、平成26年度文部科学省「高度人材養成のための社会人学び直し大学院 プログラム」事業に採択された京都大学経営管理大学院の「京都大学サービスMBA入門 プログラム」事業における平成26年度の取り組みとその成果の概要についてまとめたも のである。 日本のサービス産業は、GDP 比率を 6 割以上に高めつつあるにもかかわらず、その生 産性や競争力の低さ、国際化の遅れが問題となっており、高等教育機関によるサービス関 連の能力開発の対応も十分とはいえない。京都大学経営管理大学院では、こうした日本の 状況の改善を目指し、平成22年度より日本では先駆的な試みとしてサービスマネジメン ト分野での専門職大学での本格的な研究と教育を企図した「サービス価値創造専攻」を設 置した。そして、今回の文部科学省事業の新設に際して、その教育成果の一部を社会人の 専門実務能力教育に役立てる「京都大学サービス MBA 入門プログラム」事業を提案し、 平成26年10月に3カ年事業として採択された。 「京都大学サービス MBA 入門プログラム」事業は、日本のサービス経営能力を向上さ せることを企図して、サービス経営学の専門的な教育研究成果を社会人教育向けに応用す るプログラムである。サービス経営管理能力、先進事例分析基本能力、新規サービス事業 開発基本能力、ツーリズム産業革新能力の開発を目的として作成された。本報告書は、平 成26年度における取り組みとその成果の概要を記したものである。この成果が、日本の サービス経営の競争能力向上に貢献することを期待してやまない。 平成27年5月 平成26年度文部科学省 「高度人材養成のための社会人学び直し大学院プログラム」選定事業 京都大学経営管理大学院「京都大学サービスMBA入門プログラム」 プログラム責任者 京都大学経営管理大学院長 河野広隆 目次 まえがき A.事業概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 Ⅰ.本事業の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 Ⅱ.本事業の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 Ⅲ.実施体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 Ⅳ.平成26年度の活動の目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 B.平成26年度の成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 Ⅰ.産学連携によるプログラム開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 1.プログラム開発委員会の実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 2.産学連携事業推進委員会の実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 3.本年度のカリキュラム改善案・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 4.サービス経営学大学院教育の動向分析・・・・・・・・・・・・・・・・28 Ⅱ.サービス経営学のビデオ教材開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46 1.サービス経営論ビデオ教材開発のねらい・・・・・・・・・・・・・・・46 2.シラバス、スケジュールとタイトル・・・・・・・・・・・・・・・・・46 3.ビデオ教材の作成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 Ⅲ.優良サービス経営企業事例ケース教材開発・・・・・・・・・・・・・・・48 1.優良サービス経営事例ケース教材開発のねらい・・・・・・・・・・・・48 2.おもてなし経営講演シリーズの実施・・・・・・・・・・・・・・・・・48 3.ビデオケース教材の作成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49 4.ケース教材の開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49 Ⅳ.Eラーニングサイトの開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52 1.Eラーニングサイトのねらい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52 2.サイトの仕様・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52 3.サイトの内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52 C.まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 ・・・・・64 D.資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66 Ⅰ.プログラム開発委員会議事録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66 Ⅱ.産学連携委員会議事録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・133 Ⅲ. 『サービス経営論』ビデオ教材各回の概要・・・・・・・・・・・・・・・147 Ⅳ. 『おもてなし経営講演会シリーズ』ビデオ教材の概要・・・・・・・・・・160 Ⅴ.Eラーニングのサイトの仕様・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・169 A.事業概要 1 Ⅰ.本事業の課題 1.サービス産業分野の競争力、生産性における経営課題と大学院教育の課題 日本経済におけるサービス産業は、 GDP 比率を 6 割以上に高めつつあるにもかかわらず、 その生産性や競争力の低さ、国際化の遅れが問題となっており、高等教育機関による能力 開発の対応も発達していない。内閣府の GDP の計算では、75%がサービス業にもかかわら ず、深尾京司(2012)の分析によれば、生産性は、1970 年から 20 年の間で 1.5 倍以下の 上昇しか示しておらず、製造業の半分以下にとどまる。中小企業白書の分析を見ても、IT 投資の遅れ、個人事業、中小企業の多さ、そして労働白書によると女性比率の高さと非正 規雇用の比率の高さがある。さらにサービス産業の企業は一般に経営者や管理職などへの 経営管理能力開発の十分な機会提供が、一部の金融、流通などの大規模企業に限られてお り、競争力や生産性を高める上で支障となっている。 図A-1 製造業と非製造業の生産性(TFP)の推移(日本) (出所)深尾京司, 2012,『「失われた 20 年」と日本経済』、 日本経済新聞出版社。 サービス企業の経営管理層を担う人材の教育や再教育を担う大学院は、観光分野を除い てきわめて少なく、米国コーネル大学ホテル学部の大学院などの海外先進国事例に比べて も余り十分に展開していないものの、サービス産業界から高いニーズがある(経済産業省 商務情報政策局, 2014)。サービス産業においては、次世代の経営者人材の育成・確保に大 きな課題を抱える企業が6割にのぼる(日本生産性本部 2008 年調査) 。ことに、マーケテ ィング、IT 導入企画能力、新規事業開発能力、戦略策定能力、リーダーシップの面で、課 題を持っている(経済産業省商務情報政策局, 2014)。大学卒の管理職キャリア人材は、製 造業に比しても、こうした能力開発の問題を持っており、社会人の学び直しの機会提供が 必要である。 2 図A-2 ビジネスの高付加価値化を図るための課題 (サービス産業の経営者へのアンケート) (出所)日本生産性本部「平成 20 年度サービス産業生 産性向上支援事業」報告書。 2.京都大学経営管理大学院のサービス経営学コースの取り組み 京都大学大学院経営管理大学院は、2014年度に西日本第 1 位評価(『日本経済新聞』 2014 年 7 月 1 日)を受けたビジネススクールである。そこに、サービス価値創造プログラ ムでは、日本のサービス分野の国際競争力向上とおもてなしサービスの国際展開に関する 研究教育を行うことを企図して2010年に開設されて、サービス産業のコンテクストを ふまえたその領域の経営管理人材の能力開発に必要な、サービス経営学などの科目を展開 してきた。経営管理大学院はサービス分野で経営や管理を担う大卒の社会人を対象にした サービス分野の経営学基礎と優秀事例を体系的に学び、経営管理能力開発を図る公開講座 として大学の部局独自の履修証授与プログラムを設置する(大学院単位履修は行わない)。 本プログラムでは四つの取り組みを行う。第一に、サービス経営に特化した経営学、マー ケティング、先進事例分析、新規事業開発、IT 活用などの体系的な知識に触れる機会を提 供する。第二に、経済産業省の「おもてなし経営企業選」 、サービス産業生産協議会の「ハ イサービス日本300選」などにおけるサービス企業の優秀経営事例などを厳選して取り 上げた事例ベースの講義を展開し、体系的なハーバードケースメソッドによるケース教材 の開発を行う1。その際に国際的な視点からビデオ教材も含めて行い、Eラーニングなども 1 経済産業省おもてなし企業経営選受賞企業の選考基準および先行企業は次参照: 3 活用しながら、学外でも学習できる体制を展開することを行う。その際に、サービス産業 の主要団体(日本小売業協会、日本観光振興協会など)や、関西地域の経済団体(関西経 済連合会、京都商工会議所など)のサービス分野の実務家代表者や、IT 企業やベンチャー キャピタリストなどの実務家と連携しながら、教育内容を実務的に改革、関西を中心とし て次世代経営者層の受講を促進する。第三に、サービス産業での新規ブランドや事業の開 発について、サービスベンチャーに対応する能力の開発も行う。第四に、受講者のうち意 欲ある次世代経営者層に対してMBA教育に関するキャリアカウンセリングを行い、を受 ける経営管理大学院におけるサービス価値創造プログラム入学を支援する。 http://omotenashi-keiei.go.jp/。また、サービス産業生産性協議会の「ハイ・サービス日本 300選」は次参照。http://www.service-js.jp/。 4 Ⅱ.本事業の目的 本プログラムは、京都大学経営管理大学院で、サービス経営学に関する入門科目を受講 することにより、大学独自の履修証を授与する履修証授与プログラムである(大学院科目 としての単位認定は行わない)。サービス経営の特性とやり方を理解する上で、基礎となる 経営理論のコンセプト、事業開発手法、IT 活用などについて学び、サービスやツーリズム 産業における先進事例を実務からから学ぶ。これを通じて、サービス経営に関わる次世代 経営者や管理者の経営管理能力の基礎を養う研修プログラムである。 本プログラムでは、大きく次の 4 つの能力の開発機会の提供を行う。 (1)サービス経営管理能力 日本生産性本部 2008 年調査では、サービス産業企業で 6 割が痛感していることが次世代 経営者の不足である。中小零細が多く離職率の高さと訓練費用不足に悩むサービス産業で は、企業内での OJT による経営者や管理職の人材(経営管理人材)の開発は厳しい状況に ある(2012 年厚生労働省調査)。能力的には、以下の基本的な内容の開発が必要とされて いるので展開する。(経済産業省商務情報政策局 2014 年報告書) ① 新規事業企画基礎能力:サービスにおける新規事業戦略を企画するプロセスを理解す る能力の基礎。 ② マーケティング基礎能力:マーケティング活動のプロセスやニーズを理解し、新たな 顧客経験をデザインする能力の基礎。 ③IT 活用基本能力:サービス・マネジメント理論を理解した上で、最新サービス経営への IT 導入事例を学習し、その競争力・生産性向上への効果を理解する能力の基礎。 (2)先進事例分析基本能力 国際的な視野を持ち、サービス先進事例に関する情報収集・分析能力が不足しており、 国際的な競争力や生産性を高める能力が不十分である。先進的なビジネス事例の収集と分 析をする能力の基本を学ぶ。 (3)新規サービス事業開発基本能力 新規のサービスブランド企画を実習ケースにして、新規のサービス事業企画を作成する基 本プロセスを経験し、新規事業開発プロセスを理解する基本的能力の習得を目指す。背景 としては、総務省 2012 年の経済センサスによれば、サービス業全般に 7.0%の事業所減が 続いており、新規事業開発能力不足があることへの対応がある。 (4)ツーリズム産業革新基礎能力 希望の受講生に対しては、ツーリズム産業における先進事例を学習し、そのサービス・ イノベーションの特質について理解する基礎能力を身につける。背景として、京都は世界 的な観光都市であるが、ツーリズムのあり方が変わり、サービスへの期待も、通過型、受 動的なものから、交流型、能動的なものへと変わり、観光産業も、サービス・イノベーシ ョンする能力が求められていることがある。 5 従って、下記のように科目を展開する。 図表A-3 京都大学サービス MBA 入門プログラムにおける開講科目一覧 6 Ⅲ.実施体制 本プログラムでは、京都大学経営管理大学院サービス価値創造専攻の持つ「サービス経 営」に関する基本カリキュラムを産学連携で高度化、実践化する形で展開する。①サービ ス産業に関わる地域や全国の経済団体、主要企業からなる「京都大学サービスMBA入門 プログラム産学連携事業推進委員会(「協議の場」:以下略称「事業推進委員会」) 」による 評価・改善・指導・実施支援を受けて、②学内外の産学連携の教育担当者により構成され カリキュラム開発をする「プログラム開発委員会」において授業カリキュラムを企画・立 案して、それを③京都大学経営管理大学院サービス価値創造専攻のプログラム事務局にお いて、平成27-28年に実施する。 (1)産学連携事業推進委員会(「協議の場」)の役割 事業推進委員会は、産業界からは、関西経済連合会、大阪商工会議所、京都商工会議所 の代表企業、日本小売業協会、日本観光振興協会、サービス産業生産性協議会の担当者お よび株式会社サイバーエージェント等から成る産学関係者の「協議の場」である。主に下 記の4つの役割を果たす。 1)カリキュラムの評価・改善:本プログラムのカリキュラムの内容や教材に対して専 門的な実務家として専門的な意見を述べ、評価を行い、その改善や高度化を進める。 2)プログラムの会員等への推奨:自分の団体・企業に対して、サービス産業に関わる 会員企業に対して、広く本プログラム事業を推奨して、その広報について内部広報媒体 や諸行事での紹介を通して、幅広く参加を呼びかける。特に関西経済連合会、大阪商工 会議所や京都商工会議所から会員企業への紹介がなされる。 3)カリキュラムにおける科目内容・教材開発の支援:サービス産業における優良事例 についての概要の紹介や事例企業担当者の紹介、そのビジネスモデルの優秀性の業界内 評価情報の提供を通じて、授業内容や教材開発の支援を行う。特にサービス産業生産性 協議会からは、ハイサービス日本 300 選企業等での、優秀企業の事例分析の成果紹介が 行われ、ケース教材づくりに結びつけられる。また日本観光振興協会からも観光経営優 良事例の紹介や教材づくりへの協力が行われる。 4)新規事業開発の手法や実習機会の提供:新規事業開発に関して、株式会社サイバー エージェント等の支援企業から、成果を上げている独自手法の紹介やその実習機会の提 供が行われる。 (2)プログラム推進委員会の役割 その元で、産学連携のプログラム開発委員会が実施カリキュラムを作成、改善、実施す る。この委員会は、京都大学経営管理大学院教員を初めとして、サービス産業生産性協議 7 会、サイバーエージェント、チームクールジャパン等の産業界関係者が実践的な教育プロ グラムを提案し、学外からは大阪市立大学、龍谷大学等のサービス経営の教員を交えて下 記の活動を行う。 1)プログラム実施体制の企画立案、実施、調整:プログラムの全般的な企画立案を行 い、事業推進委員会に諮問、調整したり、京都大学経営管理大学院との実施調整を行っ たりする。プログラムの全体の進捗管理も行う。また、e ラーニングのためのシステム 開発を行う。 2)各科目での授業内容の企画、教材の開発、実施:科目毎に、授業内容の企画立案、 教材の開発、実施、評価の実施を行う。特に、優秀企業事例について、協力を得られた 企業を中心にビジネス・ケース教材の開発を行う。その際に、日英米のビジネス・ケー スの流通エージェントより入手する優秀ビジネス・ケースを参照・活用しつつ、企業情 報データベースにより経営情報を分析しながら開発する。またサービス産業のアジア展 開事例についてもの検討も行う。 3)各科目での受講成績の評価判定、履修証授与:各科目における成績評価や判定につ いての基準作りを行い、実際の評価判定を行う。特に実務能力面への効果を慎重に評価 する。最終的に、全科目における受講者の評価判定を統合して、履修証授与についての 判断を行う。 4)プログラムの実施状況の報告と改善実施:授業内容の企画立案を行ったり、授業実 施についての各段階が終わる毎に、実施状況について事業推進委員会へ報告し、評価を 受ける。また、京都大学経営管理大学院サービス価値創造先行FDミーティングに報告 し、そこでの授業改善への指摘や評価を受ける。これらを元に授業改善を実施する。 (3)産学の協力 産学の協力としては、産業界側は、本プログラム事業に対する支援や評価、改善指導、 実際の授業への先進事例や実習機会提供などを行う。そして、それを受けて、京都大学経 営管理大学院の側は、プログラムやカリキュラムの企画立案、実施、調整、改善や関連す る教材などの教育環境の整備を実施する。 1)プログラム、カリキュラムの企画立案 2)受講者の募集、選定 3)カリキュラム実施、報告 4)ケース教材開発 5)新規事業開発実習機会提供 8 (4)プログラム実施主体としての京都大学経営管理大学院 京都大学経営管理大学院では、本プログラム事務局を設置して、サービス経営に関わる 社会人に対する公開講座として、1年に1回3~6ヶ月程度開催する。上記の二つの委員 会の開催、FD活動の実施、教材の開発と管理、改善、受講者の募集、受入、授業実施、 履修支援、履修評価、履修証発行を行うと共に、本プログラムの広報活動も実施する。 Ⅳ.平成26年度の活動の目標 京都大学経営管理大学院は、文部科学省「高度人材養成のための社会人学び直し大学院 プログラム」採択事業「京都大学サービスMBA入門プログラム」事業において、このよ うな実践的なサービス経営学の社会人向け短期集中講座を整備するために、平成26年度 は、次の目標を設定した。 (1)事業推進委員会による事業評価、改善指導 (2)プログラム開発委員会によるカリキュラムの開発と改善による 4 科目シラバス作成 (3)e ラーニング用ウェブサイト 1 件の構築 (4)サービス経営論ビデオ教材及び e ラーニング資料について 14 回分の試作と評価 (5)優良企業経営事例紹介を行う講演会8回実施と8本程度のケース教材作成 さらには、採択時における審査講評を受けて、産業界のサービス教育のニーズと実際の 教育形態の分析を行うために、下記の取り組みも実施した。 (6)海外先進事例に見る実践的なサービス経営学大学院プログラムの研究 次の章からは、その取り組みの成果を示したい。 参考文献 経済産業省商務情報政策局, 2014, 『サービス産業の高付加価値化に関する研究会報告書』 深尾京司, 2012,『「失われた 20 年」と日本経済』日本経済新聞出版社。 9 B.平成26年度の成果 10 Ⅰ.産学連携によるプログラム開発 1.プログラム開発委員会の実施 a.プログラム開発委員会の活動概要 プログラム開発委員会は、平成 26 年度(2014 年度)は、産学の委員が連携しながら、3回 にわたって、サービス経営に関する産業界のニーズに応えるカリキュラムと教育内容につ いて集まり、討議を行い、下記の成果を得た。 (1)第1回プログラム開発委員会 ・日時:平成 26 年(2014 年)11 月 12 日(水)午後 4 時~6 時 ・場所:京都大学百周年時計台記念館2階 会議室Ⅳ ・概要:プログラムの基本案が示され、講義系科目「サービス経営論」、「サービス産業事 例分析」、 「ツーリズム産業論」と演習系科目「新規サービスブランド開発ワークショップ」 の開発が産学連携の元で進められることが確認された。また、経済産業省実施「おもてな し経営企業選」事業の説明がされ、 「サービス産業事例分析」は、ここより講演企業を選ぶ こととなった。 (2)第 2 回プログラム開発委員会 ・日時:平成 27 年(2015 年)1 月 28 日(水)午後 4 時~6 時 ・場所:京都大学 総合研究2号館3階 ケーススタディ演習室 ・概要:サービス産業生産性協議会湯浅氏より、 「ハイサービス日本 300 選」企業の代表と 特徴が示された。これも参照しながら、 「サービス産業事例分析」は、講演企業を選ぶこと なった。またサイバーエージェント社小澤氏より同社の新規事業開発手法が説明され、こ れを演習系科目「新規サービスブランド開発ワークショップ」にはとりいれることとなっ た。 (3)第3回プログラム開発委員会 ・日時:平成 27 年(2015 年)3 月 16 日(月)午後 1 時~3 時 ・場所:グランフロント大阪ナレッジキャピタルカンファレンスルーム c06 ・概要:社会人教育用のEラーニングサイトについて、その先進サービス企業がんこフー ドサービス株式会社新村猛副社長より、運用例についての説明があり、その経験を取り込 むこととなった。また、平成 27 年度(2015 年度)のスケジュール概要が示され、講義系 2 「サービス産業事例分析」は 10-12 月に京都市のJR京都駅前キ 科目「サービス経営論」、 ャンパスプラザ京都にて、金曜日夜間に、演習系科目「新規サービスブランド開発ワーク ショップ」は主に京都大学にて同時期に月 1 回程度土曜日に開講することすることとなっ た。また、4 科目のシラバスの大枠が決まった。 11 b.議事録概要 ⅰ.第 1 回プログラム開発委員会 日時:2014 年 11 月 12 日(水)午後 4 時~6 時 場所:京都大学百周年時計台記念館2階 会議室Ⅳ 出席者: 委員長 京都大学経営管理大学院 教授 若林 直樹 副委員長 京都大学経営管理大学院 教授 若林 靖永 副委員長 京都大学経営管理大学院 特定准教授 前川 佳一 外部委員 株式会社チームクールジャパン 代表取締役兼代表パートナー 古我 知史 外部委員 株式会社サイバーエージェント 採用育成部マネージャー 小澤 政生 外部委員 大阪市立大学大学院経営学研究科 山田 仁一郎 内部委員 京都大学経営管理大学院 教授 原 内部委員 京都大学経営管理大学院 特定講師 鈴木 智子 事務局他 京都大学吉田地区文系部局URA室 小川 正昭 事務局他 京都大学経営管理大学院 企画室 加藤 康子 事務局他 京都大学経営管理大学院 若林研究室 桑原 徳子 事務局他 京都大学経営管理大学院 企画室 佐野 具子 事務局他 京都大学経済学研究科経済学専攻 田原 慎介 准教授 室長 原教授秘書 博士後期課程 議事録: Ⅰ.議題 1. 本事業とプログラム開発委員会の活動の概要 12 (資料1、2) 良憲 ・若林直樹教授から本事業の内容説明があった。 2.開発する4科目の概要 (資料3) ・若林直樹教授から、既存3科目の現状と新規開発1科目の説明があった。 ・古我知史氏から、新規開発科目「サービスブランド開発 WS」の進め方について、大企 業の新規事業 WS の具体例をもとに提案(4チームでの WS の後、最終日にプレゼンテー ションでまとめ、期間は4か月がベスト)があった。 ・前川佳一特定准教授から、 「サービス産業事例分析」を経営者講演シリーズとすることが 報告された。 また、「ツーリズム産業論」について講演者のメンバー案について報告があった。 「ツーリズム産業論」講義のみ、前期開講。 ・山田仁一郎氏から評価の仕方について、質問があった。 若林直樹教授から、小テスト・作業課題を予定するとの意見があった。 3.おもてなし経営選についての概要説明 (資料4) ・鈴木智子特定講師から、経済産業省「おもてなし経営企業選」についての説明があった。 4.予算執行についての方針 (資料5) ・若林直樹教授から、予算執行についての説明があった。 5.今後の進め方 (資料6) ・若林直樹教授から、今後の委員会での議題について説明があった。 (1) 次回開催日時 2015 年 1 月 28 日(水)16:00-18:00 (2) 開催場所の件 未定(学内もしくは京都市内) (3) 連絡先の件 外部委員のご自宅住所について、源泉徴収時の為、事務局佐野具子が、管理すること が承認された。 (4) メーリングリストの件 開発委員メンバーの 2 次アドレスを事務局が作成することとなった。 (5)経営ケース推奨の件 若林直樹教授から、経営ケース提案のお願いがあった。 6.その他 ・新規開発科目「サービスブランド開発 WS」の期間・開催場所についての議論があった。 13 若林直樹教授からの提案:大阪駅ナレッジキャピタル等オープンスペースを利用する。 以上 ⅱ.第 2 回プログラム開発委員会 日時:平成27年(2015 年)1 月 28 日(水)午後 4 時~6 時 場所:京都大学 総合研究2号館3階 ケーススタディ演習室 出席者: 委員長 京都大学経営管理大学院 教授 若林 直樹 副委員長 京都大学経営管理大学院 教授 若林 靖永 外部委員 龍谷大学経営学部 秋庭 太 外部委員 株式会社チームクールジャパン 代表取締役兼代表パートナー 古我 知史 外部委員 株式会社サイバーエージェント 採用育成部マネージャー 小澤 政生 外部委員 がんこフードサービス株式会社 取締役副社長 新村 猛 外部委員 大阪市立大学大学院経営学研究科 山田 仁一郎 外部委員 サービス産業生産性協議会 湯浅 勝浩 内部委員 京都大学経営管理大学院 教授 原 内部委員 京都大学経営管理大学院 講師 山内 裕 内部委員 京都大学経営管理大学院 特定講師 鈴木 智子 内部委員 京都大学経営管理大学院 特定助教 平本 毅 事務局他 京都大学吉田地区文系部局URA室 小川 正昭 事務局他 京都大学経営管理大学院 若林研究室 桑原 徳子 事務局他 京都大学経営管理大学院 企画室 佐野 具子 事務局他 京都大学経済学研究科経済学専攻 田原 慎介 准教授 准教授 事務局長 14 室長 博士後期課程 良憲 議事録: Ⅰ.議題 (1) 今回の作業課題について 若林直樹教授から説明があった。 (2)ハイサービス300選事業について(資料1) 湯浅勝浩氏から、サービス産業について・サービス産業生産性協議会についてハイ サービス日本 300 選・今後の活動についての発表があった。 (3)サイバーエージェントでの新規事業開発例について(資料2) 小澤政生氏から、新規事業への取り組みついての紹介があった。 (4)プログラムの実施概要案について(資料3) (5)開発4科目のシラバス案について(資料3) 授業実施概要と4科目の内容について、若林直樹教授から計画案が発表され、授業 展開(曜日・時間帯・講義場所)につて、外部委員からの活発な意見、提案があっ た。 (6)ケース開発について(資料4) ケース教材作成について、若林直樹教授から資料4に基づいて説明があった。 15 (7)研究費に関する打合せ 無し。次回委員会へ持越し。 (8)今後の進め方(今年度日程調整) 次回(第3回)プログラム開発委員会の日程候補日について、決められた。 また、若林直樹教授から開催場所を大阪駅周辺とする案内があった。 ⅲ.2014 年度第 3 回プログラム開発委員会 日時:平成27年(2015 年)3 月 16 日(月)午後 1 時~3 時 場所:グランフロント大阪ナレッジキャピタルカンファレンスルーム c06 出席者: 委員長 京都大学経営管理大学院 教授 若林 直樹 副委員長 京都大学経営管理大学院 教授 若林 靖永 外部委員 龍谷大学経営学部 秋庭 太 外部委員 株式会社チームクールジャパン 代表取締役兼代表パートナー 古我 知史 外部委員 がんこフードサービス株式会社 取締役副社長 新村 猛 外部委員 大阪市立大学大学院経営学研究科 山田 仁一郎 外部委員 サービス産業生産性協議会 湯浅 勝弘 内部委員 京都大学経営管理大学院 教授 原 内部委員 京都大学経営管理大学院 特定教授 碓井 誠 内部委員 京都大学経営管理大学院 講師 山内 裕 内部委員 京都大学経営管理大学院 特定講師 鈴木 智子 内部委員 京都大学経営管理大学院 特定助教 平本 毅 事務局他 京都大学吉田地区文系部局URA室 小川 正昭 事務局他 京都大学経営管理大学院 大学院掛長 小屋敷 事務局他 京都大学経営管理大学院 企画室長 櫻木 恵子 事務局他 京都大学経営管理大学院 若林研究室 桑原 徳子 事務局他 京都大学経営管理大学院 企画室 佐野 具子 事務局他 京都大学経済学研究科経済学専攻 田原 慎介 准教授 准教授 事務局長 16 室長 博士後期課程 良憲 浩 議事録: Ⅰ.議題 1.授業実施と4科目の概要 (資料1) ・若林直樹教授から、授業日程・場所の確定等、授業展開についての説明があった。 ・各科目の講義概要・評価について内部委員と外部委員の議論があった。 2.ケース教材の開発 (資料2、3) ・資料に基づき、若林直樹教授から今年度の報告と、次年度の予定が報告された。 3.E ラーニングシステム事例紹介 ・新村猛氏から、がんこフードサービスでの E-ラーニングシステムの紹介を実際のサイト を投影しながら説明があった。 4.今後の進め方 ・若林直樹教授と委員メンバーの間で、募集開始前の5月と、講義開始前の9月にプログ ラム委員会を開催することが話し合われた。 Ⅱ.報告事項 ・湯浅勝浩氏からサービス産業生産性協議会主催「日本サービス大賞」の応募受付開始の 案内があった。参加者に資料配布があった。 17 ・会議終了後、ナレッジキャピタルナレッジサロンの見学があった。 (参加自由) ■次回会議予定 2015年5月 ・9月(詳細未定) 18 2.産学連携事業推進委員会の実施 a.委員会実施の概要 産学連携事業推進委員会は、まず持ち回りで、本事業の主旨と各団体・企業の協力内容 について、若林直樹委員から事前説明と持ち回り審議を行った。そして下記の日時に第 1 課委員会を開き、プログラム開発委員会により作成された授業案やプログラム事業案につ いて検討を行い、改善を行った。 (1) 持ち回り審議の実施 下記の日時に、参加する企業・団体の担当者を訪問して持ち回り審議を実施した。京都 大学からはすべて若林直樹教授が訪問し、実施した。そして、本事業の方向性について産 業界委員会ら高い評価を得るとともに、産業界側の社会人教育のニーズに関するフィード バックを得た。 訪問先 日・場所 用務内容 がんこフードサービス株式会社 2014 年 11 月 20 日 プログラム説 副社長 新村猛氏 大阪市淀川区本社 明・改善指導 三和実業株式会社 2014 年 11 月 21 日 プログラム説 大阪市中央区本社 明・改善指導 株式会社キャリエール・インターナショナル 2014 年 12 月 19 日 プログラム説 代表取締役社長 京都市中京区本社にて 明・改善指導 2014 年 10 月 23 日 プログラム説 東京都千代田区協会 明・改善指導 公益社団法人日本観光振興協会 2014 年 12 月 18 日 プログラム説 人事育成担当部長 東京都港区協会 明・改善指導 サービス産業生産性協議会 2014 年 10 月 29 日 プログラム説 部長 東京都渋谷区協議会 明・改善指導 株式会社サイバーエージェント 2014 年 12 月 5 日 プログラム説 執行役員人事本部長 京都大学芝蘭会館 明・改善指導 株式会社京阪流通システムズ 2014 年 12 月 1 日 プログラム説 代表取締役社長 大阪市中央区本社 明・改善指導 代表取締役会長 松本 孝氏 田中 誠二氏 日本小売業協会 専務理事 野沢 岡部 義裕氏 田中 剛氏 清氏 曽山 哲人氏 上野正哉氏 (2)2014 年度第1回産学連携事業推進委員会 ・日時:2015 年 2 月 4 日(水)午後 1 時~3 時 ・場所:京都大学 百周年時計台記念館 2 階 19 会議室Ⅳ ・概要:サービス産業生産性協議会野沢清氏より、ハイサービス日本 300 選事業の説明が 行われて、日本の代表的なサービス企業が紹介された。そして、第 1,2 回のプログラム開 発委員会のカリキュラム案、プログラム案を検討し、産業界のニーズを元に改善すること となった。 b.議事録 ⅰ.2014 年度第1回産学連携事業推進委員会 日時:2015 年 2 月 4 日(水)午後 1 時~3 時 場所:京都大学 百周年時計台記念館 2 階 会議室Ⅳ 出席者: 委員長 京都大学経営管理大学院 院長 河野 広隆 コーディネーター 京都大学経営管理大学院 教授 若林 直樹 コーディネーター 京都大学経営管理大学院 教授 若林 靖永 外部委員 株式会社京阪流通システムズ 上野 正哉 外部委員 株式会社キャリエール・インターナショナル代表取締役社長 田中 誠二 外部委員 株式会社サイバーエージェント執行役員 曽山 哲人 外部委員 サービス産業生産性協議会 野沢 清 外部委員 三和実業株式会社 松本 孝 外部委員 公益社団法人日本観光振興協会人材育成担当部長 田中 剛 外部委員 日本小売業協会 岡部 義裕 事務局他 京都大学吉田地区文系部局URA室 小川 正昭 事務局他 京都大学経営管理大学院 大学院掛長 小屋敷 事務局他 京都大学経営管理大学院 企画室長 櫻木 恵子 事務局他 京都大学経営管理大学院 若林研究室 桑原 徳子 事務局他 京都大学経営管理大学院 企画室 佐野 具子 代表取締役社長 人事本部長 部長 代表取締役 会長 専務理事 20 室長 浩 議事録: Ⅰ.議題 (1) 本事業の 概要説明 ≪資料1≫ ・資料 1 に基づき、若林直樹教授から本事業の説明があった。 (2) ハイサービス300選企業の概要説明 ・野沢清氏から、SPRING 設立の背景・ハイサービス日本 300 選・今後の活動について 説明があった。 ・300 選選考企業業種について、選考基準についての質疑応答があった。 (3) 本プログラムの実施概要について (4) 本プログ ラムの主要科目について ≪資料2≫ ≪資料2≫ ・若林直樹教授から、授業展開案、各科目の概要についての説明があった。 ・授業時間帯、場所についての議論があった。 ・新規ブランド開発ワークショップのグループワークについての提案が、外部委員から あった。 (5) サービス講演シリーズとケース教材の作成について ≪資料3≫ ・若林直樹教授から、目標値、ケース教材概要について説明があった。 また、今年度開催された「京都大学おもてなし経営講演会シリーズ」の報告があった。 21 (6) その他 ・若林直樹教授から、来年度「産学連携事業推進委員会」開催日程について連絡があっ た。 第1回:2015年5月開催予定 第 2 回:2016年2月開催予定 22 3.本年度のカリキュラム改善案 a.概要 プログラム開発委員会、産学連携事業推進委員会の議論を経て、産業界のニーズに従い、 次のような方向で、講義系 3 科目(「サービス経営論」、 「サービス産業事例分析」 、 「ツーリ ズム産業論」(選択)、演習系1科目(「新規サービスブランド開発ワークショップ」)のシ ラバスの基本案をまとめた。なお、開講時間、時期については、実施場所等の調整を経て、 平成 27 年度(2015 年度)に詳細を決定することとした。 b.シラバス概要案 (1)サービス経営論 (a)担当:実務家を含めた複数教員 (b)授業の概要・目的 サービスは、顧客の価値を一緒に作り出すビジネスである.そのために、サービスの マネジメントには、独自の経営原理が存在する。この授業では、サービスの本質、 マーケティングの特性、サービスのデザイン、生み出す組織作り、イノベーション の仕組みについての基本的なマネジメントの考え方を理解する。ここでは、サービ ス事業戦略企画能力、サービスマーケティング基礎、サービス事業IT活用能力の 基礎を理解する。 (c)授業計画と内容 サービスにまつわる経営論について、京都大学サービス価値創造プログラム所属教員 を中心に、オムニバス形式で、開講する。 ⅰ.サービスとは何か 1.サービスとそのマネジメント 2.サービスの生産性 ⅱ.サービス・マーケティングの基本 3.サービス・マーケティング(1) 4.サービス・マーケティング(2) 5.顧客満足度の分析 ⅲ.顧客の価値を一緒に作る 6.顧客との共同での経験デザイン 7.サービスのデザイン ⅳ.サービスを生み出す組織のマネジメント 8.サービス組織における人的資源管理 9.プロデューサーとその役割 23 ⅴ.サービスを創造する 10.サービスにおける新規事業開発 11.サービスにおけるIT戦略 12.サービスのイノベーション ⅵ.代表的サービス産業でのサービス・マネジメント・モデル 13.流通産業でのサービス・マネジメント 14.ツーリズム産業のサービス・マネジメント 15.ヘルスケア産業のサービス・マネジメント (d)履修要件 特になし。 (e)成績評価の方法・基準 各回の基本項目の理解度テスト及び小レポート (f)その他 教科書は使用しない。参考書等は 授業中に紹介する。講義についてはEラーニング サイトで復習、補修が可能。 (2)サービス産業事例分析 (a)担当:実務家を中心とした複数教員 (b)授業の概要・目的 サービスのビジネスモデルは刻々と進化し、国際的な競争を行っている。国際的な視 野を持ち、サービス先進事例、特におもてなしのあり方に関する情報収集と分析能 力を高めることが、国際的な競争力や生産性を高める上で必要である。代表的なサ ービス経営事例に関して、経営者や現場担当者から講演をしてもらい、そのビジネ スモデルの特徴と競争力を分析する。E-learning 教材や海外の先進事例も用いる。 ここでは、サービス先進事例分析能力の獲得を目指す。 (c)授業計画と内容 まず、先進事例を分析する能力の基礎であるケースメソッドの基本的なやり方を学ぶ。 そのあと、経済産業省「おもてなし経営企業選」、サービス産業生産性協議会「ハイ サービス日本 300 選」企業などを含めた日本を代表する先進サービス事業を展開し ている実務家より、そのビジネスモデルの特徴と事業実施の実践についてのオムニ バス講演を 14 回程度行う。 ⅰ.ケース分析とは ⅱ.代表的サービス企業のビジネスモデル 講演予定企業は下記の通り。 24 イオン株式会社 Leave a Nest Co. Ltd. がんこフードサービス株式会社 サイバーエージェント リクルート ワタベウェディング H2O リテーリング 全日空 ライフネット生命 愛媛トヨタ自動車販売など ⅲ.まとめ (d)履修要件 特になし。 (e)成績評価の方法・基準 各回の基本項目の理解度テスト及び小レポート (f)その他 教科書は使用しない。参考書等は 授業中に紹介する。講義についてはEラーニング サイトで復習、補修が可能。 (3)ツーリズム産業論 (a)担当:実務家を中心とした複数教員 (b)授業の概要・目的 ツーリズム産業のトップマネジメントや学識経験者を客員講師として招聘し、理論面 とともに実務面からもツーリズム産業の実態を理解し、今後のツーリズム産業のあ り方を論じることを目的とした講義を展開する。 21 世紀に入り、旅行者のニーズ変化、旅行スタイルが大きく変わる中で、関連業界 はもとより、観光地などの旅行サービスの供給構造にも大きな変化がみられる。 「ニ ューツーリズム」と呼ばれるエコ・ツーリズム、グリーンツーリズム、ヘルスツー リズム、産業観光等新しい形態が生まれている。まさに産業界全体が曲がり角と言 える状況を迎えており、これに対応できる人材育成を目指す。 E-learning 教材や海 外の先進事例も用いる。 ここでは、ツーリズム産業革新能力の基礎の獲得を目指す。 (c)授業計画と内容 以下、すべて予定で、変更の可能性あり 25 各回の予定 1 ガイダンス 2 ゲスト:地方自治体関係者 3 ゲスト:日本政府観光局 4 ゲスト:大規模旅館 5 ゲスト:LCC エアライン 社長 6 ゲスト:長距離バス会社 社長 7 ゲスト:航空会社 幹部 8 ゲスト:旅行会社 幹部 9 ゲスト:WEB 旅行会社 会長 幹部 10 ゲスト:旅行関連研究所 研究員 11 ゲスト:地域づくり団体 代表 12 ゲスト:国際展示会場 館長 13 ゲスト:テーマパーク 幹部 14 ゲスト:観光業界著名人・学者 15 期末まとめ (d)履修要件 特になし。 (e)成績評価の方法・基準 各回の基本項目の理解度テスト及び小レポート (f)その他 教科書は使用しない。参考書等は 授業中に紹介する。講義についてはEラーニング サイトで復習、補修が可能。 (4)新規サービスブランド開発ワークショップ (a)担当:実務家を含めた複数教員 (b)授業の概要・目的 総務省 2012 年の経済センサスによれば、サービス業全般に7%事業所減で、新規事 業開発能力不足が見られる。新規のサービスブランド企画を実習ケースにして、ビジネ スプランを作成する基本プロセスを経験し、新規事業開発プロセスを理解する基本的能 力の育成をする。 (c)授業計画と内容 4 日間の演習形式で、グループに分かれて、新しいサービスブランドを立ち上げるビジ ネスプラン作りを体験する。 26 1)目的:4 日間でブランドとなる新たなサービス事業の開発行う。 2)特色:事業開発手法の講義とチーム実習を中心に、事業開発過程体験。 3)チーム実習手法:チームを編成して、新規事業開発を実習。 4)ケースメソッド:代表的新規事業開発事例に基づく討議中心 5)講師陣による指導:市場性・規模性他のチェック項目等を踏まえた事業計画指導。 6)新規事業投資決定経験:現職ベンチャー・キャピタリストから投資決定評価と指導 次のスケジュールで実施する。 第 1 日:事業開発概論とチーム構築 第 2 日:事業計画作成とケース議論 第 3 日:事業仮説の作成と展開 第 4 日:投資決定と事業計画発表 (d)履修要件 特になし。 (e)成績評価の方法・基準 各回の基本項目の理解度テスト及び小レポート (f)その他 教科書は使用しない。参考書等は 授業中に紹介する。講義についてはEラーニング サイトで復習、補修が可能。 27 4.サービス経営学大学院教育の動向分析 (1)サービス関連の大学院社会人教育の代表的な国際動向 サービスビジネスは、消費者の感覚やビジネスモデルの変化が激しく、グローバル 化も進んでいるので、近年ますますビジネススクール教育の必要性が高まり、そうし た面での大学院教育の対応が求められている。サービスに関する国際競争力を持つに は、サービス経営学について体系的に学び、産学連携で実践的なマネジメント能力を 構築する経営管理修士(MBA)大学院教育プログラムの整備が必要となっている。 そして、近年は、社会人が、短期間に、特定のビジネス領域についての研修を集中的 に行うことのニーズが世界的に拡大している。そうした面で、短期集中型の社会人研 修講座である Executive MBA コース(経営学修士(専門職)学位取得コース)や短期 集中研修セミナーが続々と開設されている。企業実務家向けの短期研修プログラムの開 発も進めている。さらに、ハーバード大学ビジネススクールの近年のビジネススクール教 育プログラム研究によれば、企業の経営者や経営者候補であるエグゼクティブを短期間(3 ヶ月から 6 ヶ月程度)で、より現代の実務動向への研究に結びついた形で研修を行うエグ ゼクティブMBA教育プログラムが、現代のビジネスクールの主流となっている1。サービ ス経営学の大学院プログラムもこうしたサービスのエグゼクティブMBA教育プログラム や短期研修プログラムの開発が主となっている。京都大学経営管理大学院では、こうした 研究調査に基づき、大阪商工会議所、京都商工会議所及びその主要サービス企業と共に、 その会員企業向けの短期社会人講座「京都大学サービスMBAプログラム」を 2015 年秋よ り開発提供する予定となった。こうした意識で、本プログラムでのカリキュラム開発の 動向についての分析を行った。その代表的な事例として、①専門職大学院教育プログ ラム型、②社会人向短期集中研修セミナーについて検討してみた。①の代表事例とし て、米国コーネル大学、中央フロリダ大学の例を取り上げてみたい。②の事例として、 シンガポール経営大学サービスエクセレンス研究所の例を取り上げてみたい。 (2)優良事例の研究 A.コーネル大学ホテルスクール2 1)概要 ・名称:CORNELL UNIVERSITY SCHOOL OF HOTEL ADMINISTRATION ・プログラム名称:Master of Management in Hospitality (MMH) ・所在地:アメリカ合衆国ニューヨーク州イサカ 1Datar, Srikant et al., 2010, Rethinking the MBA: Business Education at a Crossroads, Cambridge, MA: Harvard Business School Press,ch.2. 2 この概要の作成に当たっては、田尾桂子氏にご協力いただいた。以下、中央フロリダ大 学も同様。またコーネル大学ホテル大学院の事例については、卒業生の川井徹也氏、吉田 直子氏に資料情報提供をして頂いた。 28 ・創設:1922 年(ビジネス・スクールの創設は 1973 年) ・在籍学生数:ビジネス・スクール(MMH)約 60 名 ・教員数:約 60 名(常勤) 、約 10 名(非常勤) 図表B-Ⅰ-1 2)スクールの概要 コーネル大学ホテル・スクールの Master コーネル大学ホテル大学院 of Management in Hospitality(以下、MMH プログラムと記す)は、ホスピタリティ産 業に特化した大学院として唯一 AACSB(The Association to Advance Collegiate Schools of Business)から正式に認 可を受けている大学院である。ホスピタリ ティ産業の成長と競争力の獲得のためには 管理職の養成が必要だとの考えからスター トしたプログラムは、創設以来、実業界とスタットラー財団から資金援助を受けて運 営されおり、実質的には、財務面・運営面ともにコーネル大学からは独立している。 MMH プログラムが創設された 1970 年代は、ホスピタリティ産業においてチェーン 化が著しく進行していた時期に重なる。したがって、プログラムの内容も複数店舗を いかに管理するかの教育に主眼が置かれていた。現在は、ホスピタリティ産業を取り 巻く環境変化に対応して、不動産や財務、IT(情報通信技術)に関する教育を強化し ている。プログラムの名称も、より経営を重視していることを反映して、「Master of Professional Studies in Hotel Administration」から「Master of Management in Hospitality」 に改められた。およそ半数が米国外からの留学生であるビジネス・スクールの学生は、 プログラム修了後、ホスピタリティ産業のリーダーとして世界各地で活躍している。 3)カリキュラムの基本的な学習目的 MMH プログラムは、MBA と同等のビジネススキルを備え、さらに、ホスピタリテ ィ産業特有の分野である料飲管理や施設開発、不動産投資などにも精通した人材を育 成することを目標としている。カリキュラムは毎年 5 月にスタートし、13 カ月間(3 学期)の教育を受ける。2004 年度入学者までは 2 年制プログラムであったが、2005 年 度には 1 年制プログラムに変更された。 カリキュラムは、理論と実務の同時進行を強く意識した内容である。サービス・ス タッフを養成するのではなく管理経営者を育成する目的から、ホスピタリティ産業の 経営者として適切な意思決定が行なうためのトレーニングが豊富な学習内容である。 MMH プログラムは、ホスピタリティ産業のリーダーから助言を受け、実業界に必要 29 とされるスキルや能力をつねに確認しながら、カリキュラムを柔軟に更新してきた。 近年は、ホテルビジネスに関わる人材にとって不動産の知識は不可欠という認識から、 財務的資産としてホテルを理解するための科目が著しく増加している。 4)基本的な科目の編成 2014 年度における MMH プログラムの科目編成は以下の通りである。 ①必修科目 入学を許可された学生は、キャンパスで授業が始まるまでの期間、オンライン授業 準備コース(online pre-courses)を受講する。オンラインコースで受講するのは、 「財務管 理(Financial Management)」、「財務報告書の分析(Financial Statements)」、「統計を用いた 意思決定(Statistical Decision Making)」の 3 科目である。 修了要件単位数は、合計 48 単位である。必修科目から 29 単位、専門科目から 15 単 位、自由選択科目 4 単位を履修しなくてはならない。学生は、これらの 48 単位の履修 とともに、各学期に行なわれる「キャリア開発プログラム(Professional Development Program)」と、冬期休暇中に実施される「実地研修(Externship)」に参加する(図表B -Ⅰ-2) 。 図表B-Ⅰ-2 MMH プログラムの修了要件 必修科目(Required core course credits) 29 単位 専門科目(Concentration elective credits) 15 単位 自由選択科目(Free elective credits) キャリア開発プログラム Professional Development Program 4 単位 計 48 単位 エクスターンシップ(実地研修) Externship MMH プログラムの必修科目を、図表B-Ⅰ-3にまとめた。一般的ビジネス・ス クールの MBA プログラムと大きな違いはなく、分析能力やコミュニケーション能力 の向上を目指した科目構成である。しかしながら、MMH プログラムの最大の特徴は、 授業で取り上げられる事例の多くがホスピタリティ産業だということである。また、 ホスピタリティ産業界で活躍する人材から就職に関するアドバイスを受ける「リーダ ーシップ育成プログラム(HADM7970-Leadership Development Program)」や「キャリア 開発(Professional Development)」などの科目も必修である。 30 図表B-Ⅰ-3 MMH プログラムにおける必修科目 単位数 Semester Ⅰ(a) 5 月-7 月 コーポレート・ファイナンス HADM7230-Corporate Finance 3 管理会計 3 HADM7240-Managerial Accounting キャリア開発 Professional Development - Semester Ⅰ(b) 7 月-8 月 オペレーション・マネジメント HADM7030-Operations Management 3 サービス・マーケティング HADM7430-Marketing Management for Services 3 リーダーシップ育成プログラム HADM7970-Leadership Development Program 1 (LDP) Semester Ⅱ 8 月-12 月 専門科目 Concentration Electives 5 自由選択科目 Free Electives 2 経営者によるレクチャー・シリーズ HADM6100-MMH Distinguished Lectures 1 Series 組織論 HADM7110-Organizational Behavior 3 施設の開発と立案 HADM7510-Properties Development and Planning 3 マネジメント・コミュニケーション HADM7610-Management Communication 3 キャリア開発 Professional Development 12 月-1 月 Intersession エクスターンシップ(実地企業研修)Externship グループ・プロジェクト HADM7950-Master Class 1 (自由参加) Semester Ⅲ 1 月-5 月 専門科目 Concentration Electives 10 自由選択科目 Free Electives 2 人的資源管理論 HADM7820-Human Resources Management 3 ホスピタリティ産業における競争戦略 HADM7144-Competitive Strategies for the Hospitality Industry 3 31 ②専門科目の特徴 2 学期目(Semester Ⅱ)以降は専門コースに分かれ、各コースが設定する科目を履修す る。コースは、「マーケティング専攻」、「オペレーション/レベニュー・マネジメント 専攻」、「不動産ファイナンス専攻」の他に、いずれにも該当しない学生のために「自 由選択コース」がある(図表B-Ⅰ-4) 。以下に、各専門コースの特徴と科目をまと めた。 図表B-Ⅰ-4 MMHにおける 4 つの専門コース オペレーション専攻 マーケティング専攻 レベニュー・ 不動産ファイナンス 専攻 自由選択コース マネジメント専攻 (a)マーケティング専攻 マーケティング専攻は、おもに、ホテルやクルーズ会社、旅行会社、レストラン、 マーケティング会社で、マーケティングやコンサルティング業務、あるいは、市 場調査に携わりたいと考える学生のためのコースである。マーケティングの基本 を習得し、IT(情報通信技術)やソーシャルメディアの発達など市場を取り巻く 環境変化についても理解を深める。マーケティング基礎科目から 9 科目以上に加 え、マーケティング補完科目および基礎科目から 6 単位以上を履修する。 32 図表B-Ⅰ-5 マーケティング専攻の履修科目 マーケティング補完科目 Complementary Skills 3 コーポレート・コミュニケーション マーケティング基礎科目 Marketing 単 Enrichment 位 市場調査 (HADM 3430- Marketing Research) 3 (HADM 3640- Corporate Communication) ホスピタリティ商品の販売 3 ホスピタリティ産業における起業入門 (HADM 4420- Understanding and Managing Hospitality Sales) ホスピタリティ商品の価格付けと分析 3 (HADM 4460- Hospitality Pricing & Analysis) ホスピタリティ産業における流通 グローバル・マーケティング (HADM 4144- Introductory Hospitality Entrepreneurship) 起業のためのビジネス・プラン (HADM 4145- Developing a Hospitality Entrepreneurship Business Plan) 3 ホスピタリティ産業における不動産開発 (HADM 4470/6470- Managing Hospitality Distribution) 3 3 3 (HADM 4570-Project Management for Hospitality Real Estate Development) 3 イールド・マネジメント (HADM 6405- International Marketing) 3 (HADM 6050- Yield Management) 顧客のサービス経験とマーケティング 3 レストランのレベニュー・マネジメント (HADM 6450- Services Experience Management and Marketing) 消費者行動 3 (HADM 6060- Restaurant Revenue Management) 3 ホスピタリティ産業とフランチャイズ (HADM 6470- Consumer Behavior) 3 (HADM 6101- Franchising in the Hospitality Industry) ホスピタリティ産業とメディアの発達 3 ホスピタリティ産業における交渉 (HADM 6471- Hospitality Marketing with Evolving Media: Social, Mobile, and Search) ブランド管理 3 (HADM 6110- Negotiations in the Hospitality Industry) 3 起業と経営 (HADM 6480- Brand Management) 3 (HADM 6130- Entrepreneurial Management) マーケティング・コミュニケーション (HADM6490-Integrated Communications) 単 位 3 Marketing (b)オペレーション専攻/レベニュー・マネジメント専攻 ホテルやレストラン、カジノ、スパなどの運営プロフェッショナルを養成するコ ースである。オペレーション専攻とレベニュー・マネジメント専攻に分かれて科 目を履修する。いずれの専攻であっても必修科目から 2 科目を履修する必要があ るが、それ以外は各自の進路に合った科目を履修する。 33 図表B-Ⅰ-6 オペレーション専攻/レベニュー・マネジメント専攻の履修科目 必修科目(2 科目以上) レベニュー・マネジメント(上級) 2 レストランのレベニュー・マネジメン ト (HADM 6000 -Advanced Revenue Management) イールド・マネジメント (HADM 6060-Restaurant Revenue Management) 3 ホスピタリティ企業の運営とコンサルテ ィング (HADM 6050- Yield Management) オペレーション専攻 Operations Management Specialization 3 レストランの経営 (HADM 3740- Fundamentals of Database Management and Data Analysis) ホスピタリティ商品の価格付けと分析 3 レストランの起業 3 ケータリングとイベントの運営 3 レストランの開発 2 フードザ―ビスの設備設計 3 スパおよびスパ併設ホテル・リゾート の経営 - サービスのクオリティ管理 3 (HADM 6030- Quality Systems and Processes) 1-4 カジノ運営入門 (HADM 6990- Graduate Independent Research) データ分析(ジョンソン MBA の科目履 修) 3 (HADM 6020- Spa and Spa Hotel and Resort Development and Management) (HADM 6110-Negotiations in the Hospitality Industry) 自主研究 4 (HADM 4530- Foodservice Facilities Design) (HADM 6010- Data Driven Analytics) ホスピタリティ産業における交渉 3 (HADM 4510- Restaurant Development) (HADM 4770/6770- Advanced Business Modeling) データ分析 3 (HADM 4340- Catering and Special Events Management) (HADM 4760-Visual Basic for Applications:End-User Programming) ビジネス・モデリング上級 3 (HADM 4301- Restaurant Entrepreneurship) (HADM 4470- Managing Hospitality Distribution) 情報処理 3 (HADM 3350- Restaurant Management) (HADM 4460- Hospitality Pricing and Analysis ホスピタリティ産業における流通 3 (HADM 6070- Hospitality Operations and Consulting) レベニュー・マネジメント専攻 Revenue Management Specialization データ分析 基礎 2 1 (HADM 6080 -Introduction to Casino Operations) - 航空産業のサービスと経営 (NBA 6390- Data Driven Marketing) (HADM 6090-Airline Service and Management) - グローバル経営 3 3 (HADM 6160- International Management) ケース・スタディ(レストラン経営) - (HADM 6310- Case Studies in Restaurant Management) 34 3 (c)不動産ファイナンス専攻 不動産ファイナンス専攻は、ホテル不動産投資信託やファンドのアセット・マネー ジャー、ウォール・ストリートの企業財務分析専門家や融資の専門家、あるいは、独 立してホテルを開発しようと計画している学生などを対象にしている。必修科目 6 単 位のほか、基礎科目から 6 単位以上、補完科目から 3 単位以上を取得することが求め られる。 図表B-Ⅰ-7 不動産ファイナンス専攻の履修科目 必修科目(6 単位) 不動産の基本 (HADM6200 Principles of Real Estate) ホスピタリティ産業の不動産ファイ ナンス 3 不動産基礎科目(6 単位以上) (HADM6210Hospitality Real Estate Finance) 3 不動産補完科目(3 単位以上) Real Estate Enrichment Complimentary Skills レストラン開発 3 ホスピタリティ企業の設備設計 4 (HADM 4510 Restaurant Development) ホテル開発 (HADM 4570 - Hotel Development) 3 (HADM 3510 - Hospitality Facilities Design) 不法行為とリスク管理 (HADM 3860 - Tort Law and Risk Management) 3 不動産法 (HADM 4870 - Real Estate Law) 3 ホスピタリティ・アセット・マネジメント (HADM 6220 - Hospitality Asset Management) 証券化と金融商品 (HADM 6250 - Securitization and Structured Financial Products) 不動産開発 (HADM 6255 - Real Estate Development) 2 不動産ファイナンスと投資 (HADM 6280 - Real Estate Finance and Investments) 証券・ファンド投資 (HADM 6271- Investment in RE Securities & Funds) 不動産開発の手順(都市計画研究科科目) (CRP 5320 – Real Estate Development Process) 交渉と紛争解決(産業労働関係学研究科科目) (ILROB 5790 - Negotiation and Conflict Resolution) 財務諸表分析(ジョンソンビジネススクール科 目) (NBA 5061 - Comprehensive Financial Statement Analysis) 投資とポートフォリオ管理(ジョンソンビジネ ススクール) (NBA 5420 – Investment and PortfolioManagement) 3 3 3 3 3 3 3 税と意思決定 (HADM 4220- Taxation and Management Decisions) フードサービスの設備設計 (HADM 4530: Food Service Facilities Design) ビジネス・モデリング上級 (HADM 6770 - Advanced Business Modeling) 3 ホスピタリティ産業とフランチャイズ (HADM 6101- Franchising in the Hospitality Industry) ホスピタリティ産業における交渉 (HADM 6110 - Negotiations in the Hospitality Industry) 財務分析 (HADM 6240- Analysis of Financial Statements) 3 コーポレート・ファイナンス上級 (HADM 6260 - Advanced Corporate Finance) 債券投資分析 (HADM 6270 - Fixed Income Analysis) 3 事業経済性評価の方法 3 3 2 3 3 3 (HADM 6275- Valuation) 3 投資分析とポートフォリオ管理 (HADM 6290 - Investment Analysis and Portfolio Management) 35 3 持続可能なグローバル企業(ジョンソンビジネ ススクール) (NBA 6030 - Global Sustainable Enterprise) 1.5 ホスピタリティ産業における持続可能な企業 4 交渉術(ジョンソンビジネススクール科目) (NBA 6660 Negotiations) デリバティブ入門(ジョンソンビジネススクー ル科目) (NBA 6730 – Introduction to Derivatives, Part I) 3 (HADM 6500/6501- Sustainable Global Enterprise in the Hospitality Industry: Practicum) 計量経済学入門(応用経済学研究科科目) (AEM 4110– Introduction to Econometrics) - 3 1.5 (d)自由選択コース 自由選択コースの学生は、MMH および学部のプログラム(HADM4000 以上)か ら 15 単位以上、科目を履修する。 ③実践的技能を習得するための科目 MMH プログラムは、基本的には座学が中心である。ホテル・スクールの学部生は、 隣接するスタットラー・ホテルにおいて、宿泊や料飲などのオペレーションを実地に 体験する。また、学内の調理施設では、調理実習科目を履修することもできる。MMH プログラムの学生もこれらの科目を履修することは可能であるが、大学院での実践的 プログラムの中心は、実在するホテルに対して行なうコンサルティング業務である。 授業では、チーム・プロジェクトとして、授業で得た知識や理論を活用しながら現実 の経営課題に取り組むことが多い。例えば、特定のホテル開発案件について、市場分 析や人件費率計算を行ない、経営の課題を明らかにする。そして、課題や解決策をホ テルの総支配人やホテル・オーナーに示し、実務家とともに議論するのである。 学部科目の「ワイン入門(HADM4300 Introduction to Wine) 」は、MMH プログラム の学生も履修することが多いホテル・スクールの人気科目である。学生は、コーネル 大学特製のワイングラスを持参し、ワイン・テイスティングを行う。毎学期、約 700 人が受講している。 (4)サービス経営に関する科目 MMH プログラムの授業では、ホスピタリティ産業が事例として取り上げられるこ とが多いことは前述した通りである。2 学期目以降の専門科目では、さらにホスピタ リティ産業にフォーカスした科目が幅広く提供されている。とくに、オペレーション 専攻/レベニュー・マネジメント専攻であれば、レストラン、ケータリング・サービス、 スパ、航空産業などに特化した科目を履修することになる。ホスピタリティ産業に特 徴的な経営課題を取り上げた科目も豊富である。例えば、イールド・マネジメント(Yield Management) や レ ス ト ラ ン の レ ベ ニ ュ ー ・ マ ネ ジ メ ン ト (Restaurant Revenue 36 Management)、顧客のサービス経験とマーケティング(Services Experience Management and Marketing)、フランチャイズ(Franchising in the Hospitality Industry)などの科目である。 他にも、ホスピタリティ企業を対象にした不動産投資に関する科目や、マネジメント 契 約 や フ ラ ン チ ャ イ ズ 契 約 の 締 結 に 必 要 な 交 渉 術 (Negotiations in the Hospitality Industry)などの科目も履修できる。 5)産学連携科目の内容 産業界との連携は、MMH プログラムにおいて非常に活発である。コーネル大学ホ テル・スクールは、卒業生、修了生の結束が強いことでも知られており、世界各地に 活動的な「コーネル会(Cornell Hotel Society)」が存在する。また、現役の学生が卒業生 を招待する「エズラ・コーネル」も毎年開催されている。ホテル・スクールには、ホ スピタリティ産業に携わる実務家が年間およそ 250 人来校しており、現役学生のメン ターとして個人的に相談に乗ったり、授業のゲストスピーカーとして登壇している。 MMH プログラムで提供される主要な産学連携プログラムを、以下に記した。 a)Dean’s Distinguished Lecture Series 1928 年に、 「Lectures on Hotel Management」という名称でスタートした伝統ある科目 である。秋学期開講科目であり、毎週、ホスピタリティ産業のリーダーや今後活躍が 期待されるベンチャー企業のリーダーなどがゲスト・スピーカーとして招聘されてき た。他学部生や地域住民も聴講でき、講演終了後は、コーヒー・アワーが設けられて いる。ゲスト・スピーカーのおよそ半数は、ホテル・スクールの卒業生か修了生であ る。マリオットやハイアットなど主要なホテル企業の経営者や話題のカリスマシェフ など業界の著名人をはじめ、近年では、不動産投資信託や不動産投資の専門家が講演 を行なうことも多い。2014 年に登壇したゲスト・スピーカーは、以下である(図表B -Ⅰ-8) 。 37 図表B-Ⅰ-8 2014 年度に登壇したゲスト・スピーカー ゲスト・スピーカー 所属 業種・役職 Mr. Harry Macklowe Macklowe Properties 不動産開発・創業者 Mr. Ronald T. Harrison Marriott International ホテル運営・建築部門代表 Mr. J. Allen Smith Four Seasons Hotels & Resorts ホテル運営・CEO Mr. Rob Rush LRA Worldwide サービスコンサルティング・創業者 Mr. Harris Rosen Rosen Hotels & Resorts, Inc. 独立系ホテルチェーン・代表 Mr. Keith Barr Intercontinental Hotels Group ホテル運営・グローバル戦略担当 Mr. Anthony Turano Turano Baking Company 製パン・代表 Ms. Maribeth Bisienere Walt Disney Parks & Resorts テーマパーク・副社長 Mr. Kevin Jacobs Hilton Worldwide ホテル運営・副社長兼最高財務責任者 Mr. Da Dong Ma Shanghai Gu Yin Real Estate 不動産投資・創業者 Company Mr. Teddy Zhang HUBS1 ホテルオンライン予約・創業者 Ms. Stacy Fischer-Rosenthal Fischer Travel Enterprises ラグジュアリー旅行・代表 Ms. Angella M. Reid The White House ホワイトハウス管理責任者 b)Dean’s Discussion Forum in Hospitality Management MMH プログラムの学生には、 前述の Dean’s Distinguished Lecture Series 講演会の後、 ゲスト・スピーカーとのより親密な交流の時間が与えられる。それが、この科目であ る。20 名前後の学生がゲスト・スピーカーと質疑応答を交わし、産業の課題について 議論する。 c)Leadership Development Program 2 日間にわたって行なわれる、リーダーシップ能力を開発することを目的にした科 目である。MMH の学生は、グループに分かれチームで活動するが、その過程を実業 界のリーダーたちが観察する。2 日目に、これらの活動内容に関して面談が行なわれ、 評価が与えられる。学生にとっては、チームワークやリーダーシップ、プレゼンテー ションについて、建設的助言が得られるとともに、進路や将来のキャリアプランにつ いて相談できる貴重な機会になっている。 38 d)Professional Development 学生の就職活動支援を目的とする科目である。学生は、ホテル・スクールの教員や スタッフ、キャンパスを訪れた産業界のリーダーと話し合いながら、将来希望する職 種に求められる知識や技能を理解し、対策を立てる。履歴書の書き方や求人情報の収 集方法についても指導される。 e)MMH Externship 冬期休暇中に行なわれる実地研修であり、必修科目である。通常、学生は、指定さ れた企業に 2 週間以上滞在し、実際のプロジェクトに参加する。ホスピタリティ企業 の意思決定がどのように行なわれ、また、戦略がどのように執行されるのか、学生が 直接体験するための科目である。 図表B-Ⅰ-9 過去に行なわれた研修 テーマ (テーマと研修先) 場所(研修先) レベニュー・マネジメン J.W. Marriott Bangkok (Thailand); Outrigger Enterprise (Hawaii); ト The Dorechester Collection (London) オペレーション Breakers in Palm Beach (Florida) マーケティング Carnival Cruise Lines (Florida) 商品開発 National Restaurant Association (Washington, D.C.) アセット・マネジメント Panpacific Hotels Group (Singapore) 不動産ファイナンス Four Seasons Singapore; Intercontinental Hotels Group in Atlanta (Georgia); Kumsung Baekjoe Company (South Korea) f)MMH Master Class 任意参加の科目であり、冬期休暇中の 3 日間で行われる。卒業生がマネージャーを 務めるホスピタリティ企業に身を置き、現場の経営者やスタッフと様々な課題を話し 合いながら、コンサルティングを行う。これまで、クルーズ会社やラスベガスのカジ ノ企業、高級レストランなどで実施された。例年、MMH プログラムの学生のおよそ 半数が参加している。 (6)ターゲットとなる対象者 入学要件の 1 つが、実務経験 3 年以上であることからも理解できるように、ホテル や旅行などホスピタリティ産業ですでに十分な実務経験があり、さらに高い職位を目 39 指す人材をターゲットにしたカリキュラムである。金融機関や不動産などホスピタリ ティとは異なる分野の経験者には、入学前までにホスピタリティ産業で 1 年以上就労 することを推奨するなど実務経験を重視しており、ホスピタリティ産業における将来 のリーダーをターゲットにする姿勢は明確である。 B.中央フロリダ大学 1)概要 ・教育機関名:UNIVERSITY OF CENTRAL FLORIDA ROSEN COLLEGE OF HOSPITALITY MANAGEMENT ・プログラムの名称:Master of Science in Hospitality and Tourism Management ・所在地:アメリカ合衆国フロリダ州オーランド ・創設:2004 年 ・在籍学生数:学生総数 3,000 名(うち大学 図表B-Ⅰ-10 中央フロリダ大学 ローゼン・カレッジ 院生約 80 名) ・教員・スタッフ:約 80 名 ディズニーランドなどのレジャー施設や会 議場、多様な宿泊施設や飲食店に囲まれた立 地であるため、観光産業の最先端を学ぶこと ができる教育環境である。 広大なキャンパスには、200 席のダイニン グ・ルームとバーの他、ビールやワインの蒸留施設など実習施設が完備されている。 学部には、イベント・マネジメント専攻(B.S., Event Management)、ホスピタリティ・ マネジメント専攻(B.S., Hospitality Management)、レストラン・フードサービス専攻(B.S., Restaurant and Food Service Management)の 3 つの専攻がある。 また、修士課程に加えて、 フロリダ州では唯一、ホスピタリティ分野の博士課程(Ph.D., Hospitality Management) を有する大学院である。 2)カリキュラムの基本的な学習目的 ホスピタリティ産業全般に対する理解を深め、経営者に必要とされる知識と技術を 習得することを目的としている。カリキュラムはホスピタリティ産業全般を扱ってお り、学習の対象は宿泊施設やレストランに限らず、テーマパークやアトラクション、 イベントプランニングなどにフォーカスした科目も充実している点に特徴がある。学 生は、論文選択コースと、コースワークのみで論文は執筆しないコース(nonthesis 40 option)に分かれて科目を履修する。研究活動も活発な大学院であるため、研究職に就 くことや博士号取得を目指す学生には、修士論文の執筆が必須である。ホスピタリテ ィおよび観光産業の経営者やリーダーを目指す学生は実務を重視したコースワークに 取り組む。プログラムは 2 年制である。 3)基本的な科目編成 いずれのコースを選択しても、修了には 33 単位が必要である。このうち 18 単位を 必修科目から取得する。論文コースを選択した学生は、必修科目に加えて選択科目(9 単位)と修士論文(6 単位)を履修する。論文コースを選択しない学生は、選択科目 から 15 単位を取得しなければならない。 ①必修科目(18 単位) 修士論文の有無にかかわらず、必修科目から 18 単位を取得しなければならない。必修 科目は、以下の通りである。 図表B-Ⅰ-11 必修科目 必修科目 18 単位 単位 ホスピタリティとサービス組織 HMG 6245 Managing Hospitality and Guest Services 3 Organizations ホスピタリティ企業の財務分析 HMG 6477 Financial Analysis of Hospitality Enterprises 3 ホスピタリティ・観光の戦略マーケティング HMG 6596 Strategic Marketing in Hospitality 3 and Tourism ホスピタリティ産業の人材開発 HMG 6228 Critical Issues in Hospitality Human Resources 3 ホスピタリティ・観光の戦略的課題 HMG 6296 Hospitality/Tourism Strategic Issues 3 ホスピタリティ・観光調査におけるデータ分析 HMG 6585 Data Analysis in Hospitality 3 and Tourism Research 論文コース(Thesis Option) 15 単位 単位 論文なしコース(Nonthesis 単位 Option) 15 単位 ホスピタリティ・観光調査法 HMG 6586 3 Research Methods in Hospitality and Tourism 選択科目(下記参照) 合計 15 修士論文 HMG 6971 Thesis 6 選択科目(下記参照) Electives chosen from the 合計 6 list below 41 ②選択科目 論文コースは、以下の選択科目から 9 単位を、論文なしコースは 15 単位を取得しな ければならない。 図表B-Ⅰ-12 選択科目 選択科目 単 位 フード・サービス・オペレーション FSS 6365 Management of Food Service Operations 3 宿泊施設の運営 HMG 6251 The Management of Lodging Operations 3 国際観光経営 HMG 6710 International Tourism Management 3 ホスピタリティ・観光調査法 HMG 6586 Research Methods in Hospitality and Tourism 3 ホスピタリティ産業のための訓練・開発 HMG 6227 Advanced Training and Development in the 3 Hospitality Industry ホスピタリティ起業論:コンセプト創出と資金調達 HMG 6291 Hospitality Entrepreneurship: 3 Concept Creation to Capitalization ホスピタリティと観光の情報通信技術 HMG 6446 Hospitality/Tourism Information Technology 3 バケーション・オーナーシップ・リゾートの販売戦略 HMG 6529 Vacation Ownership Resort 3 Sales Management デスティネーション・マーケティングの基礎 HMG 6566 Principles of Destination Marketing 3 and Management ホスピタリティ・観光産業のブランド管理 HMG 6533 Hospitality/Tourism Industry Brand 3 Management ホスピタリティ・観光の法と倫理 HMG 6608 Hospitality/Tourism Law and Ethics Seminar 3 ホスピタリティ・観光企業のフィジビリティ・スタディ HMG 6476 Feasibility Studies for the 3 Hospitality/Tourism Enterprises コンベンション・センターの経営 HMG 6319 Convention Center Management 3 ホスピタリティと観光のリスク管理 HMG 6636 Hospitality/Tourism Risk Management 3 レストラン経営のケース・スタディ HMG 6267 Case Studies in Restaurant Management 3 バケーション・オーナーシップ・リゾートの計画 HMG 6347 Advanced Vacation Ownership 3 Resort Planning コンベンションと会議の販売とサービス HMG 6528 Convention and Conference Sales and 3 Services 旅と観光の経済 HMG 6707 Travel and Tourism Economics 3 観光産業の分析 HMG 6738 Tourism Industry Analysis 3 42 メガ・イベント HMG 6756 Mega-Events 3 イベント管理 HMG 6797 Event Administration 3 ホスピタリティ・観光企業における組織のコミュニケーション HMG 6247 Organizational Communication in Hospitality/Tourism Enterprises 3 ③医学専攻学生(MD)のための科目編成 セントラル・フロリダ大学の医学部生は、本プログラムをダブル・ディグリー(double degree)として履修することができる。医学部生は、本プログラムで学ぶことにより、 ホスピタリティやサービスの概念およびそのビジネス・モデルを理解し、医療現場で 活かすことができる。修了要件単位数などは、ホスピタリティ・マネジメント専攻の 大学院生と同じであるが、選択科目は上記に加えて、以下の 2 科目も履修することが 可能である。 医療現場における心理面での課題 BMS 6050Psychosocial Issues in Healthcare(4 単 位) 研究方法と調査実習Ⅱ BMS 6911 Focused Inquiry and Research Experience II (5 単位) 4)サービス経営に関する科目 他大学のホスピタリティ・マネジメント専攻が、宿泊施設や料飲関係を対象にした 科目を中心に提供しているのに対し、本プログラムは、ホスピタリティをより広義に 捉え、幅広い領域をカバーした科目編成になっている。サービス経営に関しても、フ ロリダ州オーランドという立地特性を活かして、バケーション・オーナーシップ・リ ゾートやコンベンションの管理や販売戦略、さらにはイベント運営に特化した科目が 提供されている。前述したように、医学部生がホスピタリティやサービス経営を理解 するためのコースを特別に設置している点もユニークである。 5)産学連携科目の内容 産業界、とくにオーランドの周辺企業から実務家がゲストスピーカーとして招聘さ れる機会は多く、産学連携は活発に行なわれている。大学院生にとって、 「ホスピタリ ティ・観光の戦略的課題(HMG 6296 Hospitality/Tourism Strategic Issues)」が、プロ グラムの集大成となる重要な科目という位置づけである。この科目を通じて、学生は ホスピタリティ産業のリーダーに会い、実際の現場を想定した戦略を考案し、提示す る。この科目で課される課題に取り組むためには、学際的知識や企業の管理職レベル の分析能力が必要であり、非常に高度な内容となっている。 43 6)カリキュラムの対象者 本カリキュラムの対象者は、他大学のホスピタリティ・マネジメント関係のプログ ラムに比べて多様である。ホテルなどの宿泊施設や外食産業において管理職クラスへ 昇格を希望する学生や実務者ばかりでなく、イベントや会議場などの運営企業や医療、 福祉の現場で指導的立場になる人材も対象にしている。いずれにしても、修了者は 2~3 年以内に管理職(senior management)に昇格していると報告されているように、ホスピタ リティ産業のリーダー育成を目的としている。また、フロリダ州の企業に勤める人材 や、フロリダ州に就職を希望する学生を最大のターゲットとしており、グローバルに 活躍する人材育成と同時に、地元フロリダ州に貢献できる人材育成も重視している。 入学前の実務経験は必ずしも求められてはいないが、学部での専攻がホスピタリテ ィ・ビジネスやビジネス専攻でない場合は、所定の科目(ゲスト・サービス関連の科 目と会計科目)を履修しなければならない。 C.シンガポール経営大学サービスエクセレンス研究所 1)概要 ・教育機関名:Institute of Service Excellence at SMU ・プログラムの名称:企業実務家向け短期研修プログ 図表B-Ⅰ-13 シンガポール顧客満足度指数 ラム ・所在地:シンガポール ・創設:2010 年創設 ・在籍学生数:無し。 2)プログラムの基本的な特徴 2010 年にシンガポール経営大学ビジネススクール 内に設置された研究所であり、シンガポール政府の国 家プロジェクトとして、サービス顧客満足度調査と経 営能力向上を目指している。特にシンガポール顧客満 足度指数調査は、この研究所の中心プロジェクトとな っている。また、産学コンソーシアムを持ち、数多く の企業会員を持っている。 (出典)シンガポール経営大学サ ービスエクセレンス研究所 HP 3)プログラムの基本的な学習目的 シンガポールのサービス産業のサービス品質、顧客 44 満足度の向上を目的にしているので、 産学連携でサービス研究教育プロジェクトを推進し、サービス企業の管理職、経営者のサ ービス管理能力を高める取組を行っている。そうした実務家向けのエグゼクティブ教育プ ログラムの開発を行っている。具体的には、短期研修プログラム、研修ワークショップ、 シンポジウム、セミナーを提供している。 4)主な対象者 これは、コンソーシアム加盟のサービス企業(シンガポールもしくは東南アジアに立地) の経営者、管理職である。政府のサービス産業開発政策プログラムである。あくまでも、 社会人短期研修を中心としている。 5)基本的な教育サービス 実務家向けのエグゼクティブ教育プログラムが中心で、2 日から 1 週間程度の短期研修 プログラムが主である。具体的には、管理職研修、サービスイノベーション、顧客経験、 満足度分析、戦略、人事管理等の研修プログラムを提唱している。また、サービスの企画 立案をするデザインワークショップを行っている。ここでは、満足度分析の成果やそれに 基づく顧客経験デザインを一緒に作り込む過程を体験させる。 6)サービス経営学代表科目 企業研修に特化しているので、体系的な専門科目はない。特徴的な研修テーマとしては、 サービス産業における管理職能力の特性、従業員との協力、アジア文化の分析がある。ま た、代表的な実践技能科目としては、満足度分析と応用や、顧客経験デザイン、満足度分 析チャートの活用法などがある。 サービス経営学を代表する科目としては、管理職研修、サービスイノベーション、顧客 経験、満足度分析、戦略、人事管理などがある。 45 Ⅱ.サービス経営学のビデオ教材開発 1. サービス経営論ビデオ教材開発のねらい 講義「サービス経営論」は、平成22年(2010年)度の京都大学経営管理大学院サ ービス価値創造専攻開設時から、サービス経営学の基本を学ぶ授業として展開されてきた。 主には、サービス経営の特性、サービス・マーケティングの基本、サービス戦略のあり方、 サービス組織の経営の特性、無形資産の管理、IT 戦略活用、公共経営の特徴などを講義し てきた。こうした教育内容について、社会人教育に対して E ラーニングで活用し、サービ ス経営学の予習、復習、そして発展を支えるために、ビデオ教材化をはかることとした。 また、将来的には、ビデオ教材を用いて、現在世界で主流となっている大学授業の MOOK 型の授業の展開についても検討を行った。 平成27年度(2015年度)における講義「サービス経営論」は、社会人教育に対応 するために、基礎編を心がけるカリキュラムのデザインへと改善することとなっている。 そのために、平成26年度(2014年度)は、従来の高度な大学院での講義を収録して、 どちらかというとサービス経営学の発展編のビデオ教材化を意図した。つまり、平成26 年度の基礎編を踏まえて、さらにサービス経営学の議論を深める受講者のために、応用編 として位置づけるために、ビデオ教材化を行った。 2.シラバス、スケジュールとタイトル 平成26年度(2014年度)のサービス経営論は、サービス経営学の主要トピックを 網羅した。大学院での授業であるので、専門的ではある。すでに述べたように、経営学理 論、マーケティング論、戦略論、おもてなし論や公共サービスの経営論など幅広く含んで いる。特別講義として新興国を代表するベトナム経済のサービス科の特別授業をベトナム 国家大学ハノイ校経済経営大学学長 Nguyen Hong Son 教授よりしてもらった。以下の14 回のビデオ教材の作成を行った。 46 図表B-Ⅱ-1 収録を行った平成26年度サービス経営論のスケジュール 第1回 10 月 3 日(金) 全体イントロダクション 原良憲教授 第2回 10 月 10 日(金) サービス・マーケティング1 若林靖永教授 第3回 10 月 17 日(金) サービス・マーケティング2 若林靖永教授 第4回 10 月 24 日(金) サービス無形資産管理 江尻良特別教授 第5回 10 月 31 日(金) サービス消費者行動論 鈴木智子特定講師 第6回 11 月 7 日(金) ベトナムにおけるサービス部門の発 ベトナム国家大学ハノ 展:外資企業の投資機会について イ校経済経営大学学長 Nguyen Hong Son 教授 第8回 11 月 14 日(金) サービス戦略論 椙山泰生教授 第9回 11 月 28 日(金) サービス問題解決思考 末松千尋教授 第 10 回 12 月 5 日(金) おもてなしサービス 前川佳一特定准教授 第 11 回 12 月 12 日(金) 交通サービス経営 宇野伸宏准教授 第 12 回 12 月 19 日(金) サービス公民連携 石原克治特別教授 第 13 回 1 月 9 日(金) 松井啓之教授 第 14 回 1 月 21 日(水) 公共サービス、NPO 小林潔司教授 第 15 回 1 月 23 日(金) サービス組織 若林直樹教授 ITサービス・クラウド化社会 ※第 7 回は、平成 26 年 11 月 21 日(金)に日本貿易振興機構総務部総務課課長北川浩伸氏 より「日本のサービス産業:グローバル展開の背景と動向」も行ったが事情により未収録。 3.ビデオ教材の作成 この14回をサービス経営論発展編としてビデオ教材化した。そして、それをEラーニ ングサイトに平成26年度(2014年度) 「サービス経営論」ビデオ教材として掲載した。 図表B-Ⅱ-2 サービス経営論のビデオ教材例 47 Ⅲ.優良サービス経営企業事例ケース教材開発 1.優良サービス経営事例ケース教材開発のねらい 平成 27(2015)年度における「サービス産業事例分析」 、 「ツーリズム産業論」では、 優秀サービス経営事例の実務担当者からの講演を、ビジネスケース教材化して、授業 に活用することを目指している。平成 26(2014)年度は、その準備として、優秀サー ビス経営企業事例8社の実務化を招いて講演会を実施し、①ビデオ教材の作成ととも に、②ケース教材の作成を 8 点実施することとした。そして、それを E ラーニングサ イト(教員・受講者のみに利用制限)で利用することを行った。 2.おもてなし経営講演会シリーズの実施 平成 26(2014)年度は、優秀サービス経営事例のビデオ教材化、ビジネスケース教 材化の準備として、経済産業省「おもてなし経営企業選」 、サービス産業生産性協議会 「ハイサービス日本 300 選」企業などの優秀サービス経営企業事例の 8 社の実務家を 招いた「おもてなし経営講演会シリーズ」を、鈴木智子講師、若林直樹教授で主催し た。以下は、その講演会シリーズの①ビデオ教材の作成とともに、②ケース教材の作 成を 8 点実施することとした。そして、それをEラーニングサイト(教員・受講者の みに利用制限)で利用することを行った。 図表B-Ⅲ-1 第5回おもてなし経営講演会シリーズで講演する株式会社レック 代表取締役 高橋泉氏 48 図表B-Ⅲ-2 おもてなし経営会シリーズの企業及び講師 回 日付 第1回 平成 26 年 企業名 実務家名 株式会社細尾 取締役 細尾真孝氏 株式会社スーパーホテル 経営品質部 山本健策氏 株式会社王宮 専務取締役 橋本明元氏 10 月 30 日 (木) 第2回 11 月 20 日 (木) 第3回 11 月 27 日 道頓堀ホテル (木) 第4回 12 月 4 日 ヨリタ歯科クリニック 院長 寄田幸司氏 株式会社レック 代表取締役 三星テキスタイルグループ 代表取締役社長 1 月 29 日 株式会社リンクアンドモチベ 執行役員 (木) ーション 2 月 24 日 くもん学習療法センター (木) 第5回 12 月 11 日 髙橋泉氏 (木) 第6回 平成 27 年 岩田真吾氏 1月8日 (木) 第7回 第8回 副代表 樫原洋平氏 伊藤眞治氏 (火) 3.ビデオケース教材の作成 上記の 8 回の講演会についてすべての回で、ビデオケース教材を作成した。これを 平成 27(2015)年度からのサービス産業事例分析の関連ビデオ教材として活用するこ とを考えている。 なお、こうしたビデオ教材の各回の概要については、巻末の「Ⅳ. 『おもてなし経営 講演会シリーズ』ビデオ教材の概要」に掲載した。 4.ケース教材の開発 また上記の 8 回の講演会についてすべての回で、ビジネスケース教材を作成した。これ は、ハーバード大学ビジネススクールを中心としたビジネススクールの実務家教育で用い られているケースメソッドを用いたものである。基本的に、ある企業や事業でのビジネス モデルやそれに関する意思決定について、その文脈も含めて記述し、実務家出身や実務志 49 向の学生たちのディスカッション・ベースのビジネス教育手法で利用するものである3。こ うした教育手法は、こうした学生たちに多くの実務的な示唆を与える効果があるとされる。 ただし、協力企業との情報保守契約の関係から、一般にその内容が公開できない。下記 に作成したケースのタイトルのみあげる。なお、これは、Eラーニングサイトおよび京都 大学経営管理大学院ビジネスケース教材サイト(研究科内利用可能)に掲載する。 図表B-Ⅲ-3 回 第1回 おもてなし経営会シリーズに基づくビジネスケース 企業名 タイトル 株式会社細尾 著者名 株式会社細尾 田原慎介・ -西陣織の伝統的技術と素材を活かし 若林直樹 たグローバル展開- 第2回 第3回 第4回 第5回 株式会社スーパーホテル スーパーホテル 高井圭吾・ ―顧客満足と生産性の両立― 若林直樹 道頓堀ホテル 舟津昌平・ テル ―小さなホテルの生き残り戦略― 若林直樹 ヨリタ歯科クリニック ヨリタ歯科クリニック 高井計吾・ ―ワクワク楽しい歯科医院― 若林直樹 株式会社レック 田原慎介・ ―女性起業家による業界革新がもたら 若林直樹 株式会社王宮 道頓堀ホ 株式会社レック した企業の持続的成長― 第6回 三星テキスタイルグルー 三星テキスタイル 高井圭吾・ プ ―地方の中小企業が,世界に進出する 若林直樹 ために― 第7回 第8回 株式会社リンクアンドモ 株式会社リンクアンドモチベーション 高井計吾・ チベーション -One for All, All for One- 若林直樹 くもん学習療法センター 株式会社日本公文教育研究会 くもん 田原慎介・ 学習療法センター ―高齢者を取り巻 若林直樹 く社会問題への新規事業を通した対応 ― 3 Ellet, William, 2007, The Case Study Handbook, Cambridge, MA; Harvard Business School Press. 50 図表B-Ⅲ-4 おもてなし経営会シリーズに基づくビジネスケース 51 Ⅳ.Eラーニングサイトの開発 1. Eラーニングサイトのねらい 本プログラムでの受講者は、社会人であるので、業務の関係上、必ずしも、全て の授業に対して、出席することはできない。そこで、受講者の予習・復習・発展学習 を支援するために、京都大学内に、Eラーニングを行うウェブサイトを設けることと した。このEラーニングのサイトは、次のようなサービスを提供する。 ①授業に関するビデオ教材を提供する ②授業に関する資料(PDF等)や関連情報を提供する ③授業に関する理解度を確認する小テスト、小レポートを行う ④特に講演授業に関するブログのスペースを作り、受講者の意見交換を促進する ⑤授業に関する教務連絡事項を掲載する ⑥本プログラム履修に関連する教材(過去の講演、授業ビデオ)やケース教材の提供 を行う 社会人の学習支援としての受講者のみが利用するEラーニングサイトを、株式会社 エクザム(京都市)の協力を得て、平成 26(2014)年度に構築を行った。その試験利 用は、平成 27(2015)年度前半に行う。 2.サイトの仕様 主に、受講生サービス面では次のような仕様となっている。 ①講義系科目「サービス経営論」の教材ページ ②講義系科目「サービス産業事例分析」の教材ページ ③講義系科目「ツーリズム産業論」の教材ページ ④演習系科目「新規サービスブランド開発ワークショップ」の教材ページ ⑤教務情報連絡ページ Eラーニングサイトの詳細な仕様は、 「D.資料 Ⅴ.Eラーニングのサイトの仕様」 に示す。 3.サイトの内容 Eラーニングサイトには、平成 27(2015)年 3 月末現在では、平成 26(2014)年度大学 院授業の「サービス経営論」14 回分と、平成 26 年度「おもてなし経営講演会シリー ズ」8 回分のビデオ教材及び関連教材が、掲載してある。その概要については、「D. 52 資料」の「Ⅲ.『サービス経営論』ビデオ教材各回の概要」及び「Ⅳ.『おもてなし経 営講演会シリーズ』ビデオ教材の概要」に掲載した。参考にされたい。 平成 27(2015)年度では、「サービス経営論」、「サービス産業事例分析」、「ツーリ ズム産業論」での新規ビデオ教材及び関連教材(講演者の承諾を得た資料のみ)が掲載さ れる予定である。 図表B-Ⅳ-1 平成26年度サービス経営論のビデオ一覧 第1回 10 月 3 日(金) 全体イントロダクション 原良憲教授 第2回 10 月 10 日(金) サービス・マーケティング1 若林靖永教授 第3回 10 月 17 日(金) サービス・マーケティング2 若林靖永教授 第4回 10 月 24 日(金) サービス無形資産管理 江尻良特別教授 第5回 10 月 31 日(金) サービス消費者行動論 鈴木智子特定講師 第6回 11 月 7 日(金) ベトナムにおけるサービス部門の発 ベトナム国家大学ハノ 展:外資企業の投資機会について イ校経済経営大学学長 Nguyen Hong Son 教授 第8回 11 月 14 日(金) サービス戦略論 椙山泰生教授 第9回 11 月 28 日(金) サービス問題解決思考 末松千尋教授 第 10 回 12 月 5 日(金) おもてなしサービス 前川佳一特定准教授 第 11 回 12 月 12 日(金) 交通サービス経営 宇野伸宏准教授 第 12 回 12 月 19 日(金) サービス公民連携 石原克治特別教授 第 13 回 1 月 9 日(金) 松井啓之教授 第 14 回 1 月 21 日(水) 公共サービス、NPO 小林潔司教授 第 15 回 1 月 23 日(金) サービス組織 若林直樹教授 ITサービス・クラウド化社会 (注)第 7 回の特別講義は事情により未収録。 53 図表B-Ⅳ-2 おもてなし経営講演会シリーズのビデオ一覧 回 日付 第1回 平成 26 年 企業名 実務家名 株式会社細尾 取締役 細尾真孝氏 株式会社スーパーホテル 経営品質部 山本健策氏 株式会社王宮 専務取締役 橋本明元氏 10 月 30 日 (木) 第2回 11 月 20 日 (木) 第3回 11 月 27 日 道頓堀ホテル (木) 第4回 12 月 4 日 ヨリタ歯科クリニック 院長 寄田幸司氏 株式会社レック 代表取締役 三星テキスタイルグループ 代表取締役社長 1 月 29 日 株式会社リンクアンドモチベ 執行役員 (木) ーション 2 月 24 日 くもん学習療法センター (木) 第5回 12 月 11 日 髙橋泉氏 (木) 第6回 平成 27 年 岩田真吾氏 1月8日 (木) 第7回 第8回 副代表 (火) 4.サイトの利用の流れ サイトの利用フローは、次のような流れになっている。 トップページからのログイン ↓ 科目選択 ↓ 講義の回の選択 ↓ 講義教材の選択、閲覧 大まかなフローイメージは次ページより示す。 54 樫原洋平氏 伊藤眞治氏 図表B-Ⅳ-3 Eラーニングサイトのフロー 55 56 57 58 59 60 61 62 63 C.まとめ 64 平成26年度の活動のまとめ 京都大学経営管理大学院「京都大学サービスMBA入門プログラム」事業は、平成 26 (2014)年度においては、平成 27(2015)年度からの授業プログラム開始を準備するため に、社会人向けの授業の研究・改善・準備作業を実施した。実践的なサービス経営学の社 会人向け短期集中講座を整備するために、平成 26(2014)年度は、次の取り組みを行った。 当初に設定した平成 26 年度目標以上のものを達成した。 (1)産学連携事業推進委員会による事業評価、改善指導 (2)プログラム開発委員会によるカリキュラムの開発と改善、4 科目シラバス作成 (3)e ラーニング用ウェブサイト 1 件の構築 (4)サービス経営論ビデオ教材及び e ラーニング資料について 14 回分の試作と評価 (5)優良企業経営事例紹介を行う講演会8回実施と8本程度のケース教材作成 (6)海外先進事例に見る実践的なサービス経営学大学院プログラムの研究 ただ、産学連携の委員会は、産業界の委員の多忙のために、開催日程を苦慮した。こう した面から委員会形式に限らず、京都大学事業事務局は、各産業委員との連携について改 善を行いたい。 平成 27(2015)年度は、前年度の成果と反省を踏まえて、第 1 期の受講生を募集し、授 業を開始したい。 65 D.資料 66 Ⅰ.プログラム開発委員会議事録 i.第 1 回プログラム開発委員会 日時:2014 年 11 月 12 日(水)午後 4 時~6 時 場所:京都大学百周年時計台記念館2階 会議室Ⅳ 出席者: 委員長 京都大学経営管理大学院 教授 若林 直樹 副委員長 京都大学経営管理大学院 教授 若林 靖永 副委員長 京都大学経営管理大学院 特定准教授 前川 佳一 外部委員 株式会社チームクールジャパン 代表取締役兼代表パートナー 古我 知史 外部委員 株式会社サイバーエージェント 採用育成部マネージャー 小澤 政生 外部委員 大阪市立大学大学院経営学研究科 山田 仁一郎 内部委員 京都大学経営管理大学院 教授 原 内部委員 京都大学経営管理大学院 特定講師 鈴木 智子 事務局他 京都大学吉田地区文系部局URA室 小川 正昭 事務局他 京都大学経営管理大学院 企画室 加藤 康子 事務局他 京都大学経営管理大学院 若林研究室 桑原 徳子 事務局他 京都大学経営管理大学院 企画室 佐野 具子 事務局他 京都大学経済学研究科経済学専攻 田原 慎介 准教授 室長 原教授秘書 博士後期課程 議事録: Ⅰ.議題 1. 本事業とプログラム開発委員会の活動の概要 ・若林直樹教授から本事業の内容説明があった。 67 (資料1、2) 良憲 2.開発する4科目の概要 (資料3) ・若林直樹教授から、既存3科目の現状と新規開発1科目の説明があった。 ・古我知史氏から、新規開発科目「サービスブランド開発 WS」の進め方について、大企業 の新規事業 WS の具体例をもとに提案(4チームでの WS の後、最終日にプレゼンテーシ ョンでまとめ、期間は4か月がベスト)があった。 ・前川佳一特定准教授から、「サービス産業事例分析」を経営者講演シリーズとすることが 報告された。 また、「ツーリズム産業論」について講演者のメンバー案について報告があった。 「ツーリズム産業論」講義のみ、前期開講。 ・山田仁一郎氏から評価の仕方について、質問があった。 若林直樹教授から、小テスト・作業課題を予定するとの意見があった。 3.おもてなし経営選についての概要説明 (資料4) ・鈴木智子特定講師から、経済産業省「おもてなし経営企業選」についての説明があった。 4.予算執行についての方針 (資料5) ・若林直樹教授から、予算執行についての説明があった。 5.今後の進め方 (資料6) ・若林直樹教授から、今後の委員会での議題について説明があった。 (1) 次回開催日時 2015 年 1 月 28 日(水)16:00-18:00 (2) 開催場所の件 未定(学内もしくは京都市内) (3) 連絡先の件 外部委員のご自宅住所について、源泉徴収時の為、事務局佐野具子が、管理すること が承認された。 (4) メーリングリストの件 開発委員メンバーの 2 次アドレスを事務局が作成することとなった。 (5)経営ケース推奨の件 若林直樹教授から、経営ケース提案のお願いがあった。 6.その他 ・新規開発科目「サービスブランド開発 WS」の期間・開催場所についての議論があった。 若林直樹教授からの提案:大阪駅ナレッジキャピタル等オープンスペースを利用する。 以上 68 (資料1) 平成26年度「高度人材養成のための社会人学び直し大学院プログラム」 京都大学サービス MBA 入門プログラム 事業概要 1.事業概要 本事業は、サービス産業における経営管理能力開発を目的とした、サービス経営に関す る社会人向けのビジネス高等教育に関する履修証を発行する経営管理能力講習プログラム である。サービス産業で働く次世代の経営者や管理職を担う人材を対象にして、主に 6 ヶ 月間という期間で、マーケティング、IT活用戦略等の先進のサービス経営理論の基本コ ンセプトと国内海外の優秀経営事例の特徴を金曜日の昼夜開講や e ラーニングで学び、4 ヶ 月集中開講でのチームベースドラーニングで新規サービスブランド事業開発の実践能力を 学習する。 2.事業成果の目標 (1)組織としての目標 ・サービス分野での優秀企業事例の網羅 ・今後のサービス教育研究の拠点形成 ・優秀事例蓄積を活用した企業研修プログラム事業開発 (2)主要な成果目標 1)平成 27、28 年度での社会人講座「京都大学サービス MBA 入門プログラム」開講 ・各年度 15 名 4 ヶ月程度(後期予定) 2)3 科目の改善/提供(サービス経営論、サービス産業事例分析、ツーリズム産業論 (もしくは相当科目)と 1 科目(新規サービスブランド開発 WS)の開発/提供 3)E ラーニングシステムの開発 a)ビデオ教材の作成と活用(サービス経営論とサービス事例分析、ツーリズム産業 論) b)ブリーフ・ビジネスケース教材(A4版 5 ページ程度)の作成 企業担当者講演の議事録より作成 c)関連ビジネスケースの開発 4)産学連携の事業推進委員会でのカリキュラム改善のPDCAサイクルの実施 (2)各年度の目標値 ・平成26年度 1)年1回の産学連携事業推進委員会による事業評価、改善指導 69 2)3 回程度のプログラム開発委員会によるカリキュラムの開発と改善による 4 科目の シラバス作成 3)e ラーニング用ウェブサイト 1 件の構築 4)サービス経営論ビデオ教材及び e ラーニング資料について 14 回分の試作と評価 5)優良企業経営事例紹介を行う講演会8回実施と8本程度のケース教材作成 ・平成27年度 1)年 2~3 回程度の事業推進委員会、プログラム開発委員会における改善活動の議事 録1点 2)e ラーニング用ウェブサイトへの各種教材の実装と保守管理作業の実施報告書 1 点 3)受講者 15 名の選定と、受講実施、9 人程度の履修証授与 4)サービス経営論のビデオ教材の修正と追加 16 回分 5)サービス産業の優良企業経営事例 20 回の授業実施とケース教材化、一部ビデオ教 材 10 点。 ・平成28年度 1)年 2 から3回程度の事業推進委員会による事業評価、改善指導の実施 2)プログラム開発委員会によるカリキュラムの実施、受講者による評価の実施、その 見直しに関する実施報告書 1 点の作成 3)e ラーニング用ウェブサイトへの各種教材の実装と保守管理作業の実施報告書 1 点 4)受講者 15 名の選定と、受講実施、10 人以上の履修証授与 5)サービス経営論のビデオ教材の修正と 5 回分の追加 6)サービス産業の優良企業経営事例等に関する授業 20 回の実施とケース教材 20 点 の作成 7)優良企業経営事例のビデオ教材 10 点と授業ビデオ教材 10 点の新規開発 3.実施体制 70 4.スケジュール (1)平成 26 年度 プログラ 産学連携事 ビデオ教 ビデオ教材 Eラーニン ム開発委 業推進委員 材作成(サ +ケース教 グシステム 員会 会(コンソー ービス経 材 開発 シアム) 営論) 交渉 10/3 より 〇 企画 11 〇 〇 〇 12 〇 〇 〇 1 月一杯 〇 ビデオ教材 月 10 1 第1回 第2回 第1回 その他 事務局 投入、試運 転 2 ハーバード 研修 3 第3回 次年度ケー ス授業交渉 (2)全体 具体的な取組 26年度 27年度 28年度 (1)事業推進委員会による 1918(千円) 事業評価、改善指導 (2)プログラム開発委員会の カリキュラム開発、実施改善 8378(千円) (3)経営優良事例講演実施、ケ ース教材、ビデオ教材試作 6044(千円) (4)e ラーニング用ウェブサイ トの開発 1458(千円) (5)同サイトの保守 854(千円) (6)プログラム受講者の 5760(千円) 案内、募集、選定、受講 (7) 主要科目のビデオ教材作成、 修正、保守 6400(千円) (8)優良企業経営事例のケース 4392(千円) 教材化 (9)プログラム報告書作成 合計金額 231(千円) 12989(千円) (3)最終年度 公開成果報告会(サービスシンポ2016を予定) 71 12392(千円) 12396(千円) 5.予算 (1)大枠 平成 26 年度 約 1300 万円(うち間接費10%) 平成 27 年度 約 1300 万円前後(同上、受講料収入 60 万円程度込み) 平成 28 年度 約 1300 万円前後(同上) (2)使途 1)事務局経費 2)委員会開催費用 3)Eラーニング開発経費 ①E ラーニングシステム開発 ②ビデオ教材開発 ③ケース教材開発経費 4)教材開発経費 ①図書費 ②定期雑誌経費 事業構想、サービス革新などの 10 誌程度購読開始) ③企業データベース:帝国データバンクCOSMOSNET 20 万円程度 ④日経テレコン無制限版:20 万円程度(記事 500 件程度) ⑤調査旅費(国内・海外) ⑥ケースメソッド研修費用 6.実施体制 (1)事務局体制の設定と予算管理 (2)実施体制 産学連携事業推進委員会 | プログラム開発委員会 本委員会 内部 WG | 事務局 (4)各科目の開発担当チーム 1)講義系 a)サービス経営論:〇若林直樹、原、平本 b)サービス事例分析:〇鈴木、前川、若林 72 おもてなし経営選 c)ツーリズム産業論:〇前川、若林 2)演習系 a)サービスブランド開発WS:若林+非常勤(山田、秋庭、古市) (5)履修証制度の構築 1)講義系いずれか2科目+ワークショップ1科目の履修で履修証 2)金曜日の午後・夜間+毎月1回土曜日 3)サービス産業事例分析 (6)各先生の活動経費設定 旅費、図書費等での枠設定;集中購買形式 7.平成 26 年度の具体的取り組み (1)「サービス経営論」のビデオ教材化 1)収録チーム:平本+佐野+TA(尹) 2)スケジュール 第1回 10 月 3 日 第2回 10 月 10 日 サービス・マーケティング1 (若林靖) 第3回 10 月 17 日 サービス・マーケティング2 (若林靖) 第4回 10 月 24 日 サービス無形資産管理 (江尻) 第5回 10 月 31 日 サービス消費者行動論 (鈴木) 第6回 11 月 7 日 第7回 11 月 14 日 サービス戦略論 第8回 11 月 21 日 日本サービス産業の国際化 全体イントロダクション (原) ベトナムサービス経済の現状(Nguyen Hong Son 先生) (椙山) (日本貿易振興機構(ジェトロ)生活文化・サービス産業部 生活文化産業企画課課長北川浩伸 ) 第9回 11 月 28 日 第10回 12 月 5 日 おもてなしサービス 第11回 12 月 12 日 交通サービス経営 (宇野) 第12回 12 月 19 日 サービス公民連携 (石原) 第13回 1月9日 第14回 1 月 21 日 公共サービス、NPO (小林) 第15回 1 月 23 日 サービス組織 サービス問題解決思考(末松) (前川) ITサービス・クラウド化社会 (松井) (若林直) (2)鈴木先生授業でのおもてなし経営選ビデオケース教材化の件 10/30(木) 西陣 細尾 73 11/20(木) スーパーホテル 11/27(木) 道頓堀ホテル 12/4(木) ヨリタ歯科 12/11(木) 1 月 8 日? レック ファミリーマート (3)前川先生と次年度ツーリズム産業論の開講とビデオケース教材化の交渉 (4)下記3科目の次年度に向けた内容改善の件 ・サービス経営論(若林) ・サービス産業事例分析(おもてなし経営選の組み込み) ・ツーリズム産業論(相当科目) 74 (資料2) 【以下略】 75 (資料3) 平成26年度「高度人材養成のための社会人学び直し大学院プログラム」 京都大学サービス MBA 入門プログラム プログラム開発について 1.プログラム開発 (1)プログラム開発委員会のミッション (2)各科目の開発担当チーム 1)サービス経営論:〇若林直樹、原、平本 サービス経営学 2)サービス産業事例分析:〇鈴木、前川、若林+湯浅 おもてなし経営選+ハイサービス 300 選企業講演会シリーズ 3)ツーリズム産業論:〇前川、若林 日本観光振興協会の提供によるツーリズム産業優秀経営事例講演シリーズ 4)サービスブランド開発WS:若林+非常勤(山田、秋庭、古我)+小澤 (3)履修証制度の構築 1)サービス経営論:金曜日午後(開講形式の検討) 2)サービス産業事例分析:金曜日夜間 3)ツーリズム産業論相当科目の設定 4)ワークショップ1科目:毎月1回土曜日 (4)各先生の開発経費設定 旅費、図書費等での枠設定;集中購買形式 2.今年度の現在進行中の作業 (1)「サービス経営論」のビデオ教材化 1)収録チーム:平本+佐野+TA(尹) 2)スケジュール 第1回 10 月 3 日 第2回 10 月 10 日 サービス・マーケティング1 (若林靖) 第3回 10 月 17 日 サービス・マーケティング2 (若林靖) 第4回 10 月 24 日 サービス無形資産管理 (江尻) 第5回 10 月 31 日 サービス消費者行動論 (鈴木) 第6回 11 月 7 日 第7回 11 月 14 日 全体イントロダクション (原) ベトナムのサービス経済発展 (Nguyen Hong Son、VNU) サービス戦略論 76 (椙山) 11 月 21 日 第8回 「日本サービスの国際化」(日本貿易振興機構(ジェトロ)生 活文化・サービス産業部生活文化産業企画課課長北川浩伸 ) 11 月 28 日 第9回 サービス問題解決思考(末松) 第10回 12 月 5 日 おもてなしサービス 第11回 12 月 12 日 交通サービス経営 (宇野) 第12回 12 月 19 日 サービス公民連携 (石原) 第13回 1月9日 第14回 1 月 21 日 公共サービス、NPO (小林) 第15回 1 月 23 日 サービス組織 (前川) ITサービス・クラウド化社会 (松井) (若林直) (2)鈴木先生授業でのおもてなし経営選ビデオケース教材化の件 10/30(木) 西陣 11/20(木) スーパーホテル 11/27(木) 道頓堀ホテル 12/4(木) ヨリタ歯科 12/11(木) 1/8 ? 細尾 レック ファミリーマート (3)前川先生と次年度ツーリズム産業論の開講とビデオケース教材化 (4)下記3科目の次年度に向けた内容改善の件 ・サービス経営論(若林) ・サービス事例分析(おもてなし経営選の組み込み) ・ツーリズム産業論(相当科目) 3.各科目の今年度の現状 ※3ページ以降にシラバス掲載 (1)サービス経営論(若林) (2)サービス産業事例分析(前川) (3)ツーリズム産業論(前川) (4)新規サービスブランド開発 WS(新規開設) 4.今後の取り組み ・科目の見直し ・来年度の科目内容の開発 ・開講に向けた準備 77 【参考 2014年度のシラバス例】 (1)サービス経営論 (英 訳) サービス経営論 Service Innovation Management (配当学年) (曜時限) 1.2 金2 (備考) (他研究科聴講) 否 (所属部局) 経営管理大学院 (単位数) (教室) (職 名) 教授 2 単位 (開講期) 後期 MM 講義室 (授業形態) 講義 (科目区分) 専門科目 (氏 名) 若林 直樹 (指定プログラム) S (学期) 2・4 (神戸大学との相互履修) 否 (授業の概要・目的) 本授業では、サービスというフィルターでとらえた社会全体のふるまいを、経営論として理解し、課題認識能 力、コミュニケーション能力、情報活用能力の向上などにより、新しい価値を創造できる人材(サービス・クリ エイティブクラス)を育成することを目標とする。このため、人や社会を深く理解する方法を身につけ、文理融 合の知識を活用してサービスの経済・社会的価値を引き出し、人や社会に還元できる人材育成を行う教育の一環 として開講する。受講者が目的意識をもって今後の専門領域を深耕でき、卒業後に実践的な応用ができることを めざす。授業は、オムニバス形式により、広義のサービス経営に関する内容の講義を行う。経済のサービス化・ 情報化の中で、キーマネジメントを志向する学生等を対象とする。 (授業計画と内容) サービスにまつわる経営論について、サービス価値創造プログラム所属教員を中心に、オムニバス形式で、開講 する。 1.イントロダクション 2.サービス・マーケティング1 3.サービス・マーケティング2 4.サービス消費者行動 5.サービス組織行動 6.サービス人的資源管理 7.サービス戦略論 8.サービス戦略的会計 9.サービス・オペレーション 10.サービス設計 11.サービスの公民連携 12.サービスのプロジェクト・マネジメント 13.知識活用による情報サービス・マネジメント 14. サービスコンピューティング 15. まとめ 以下の共通コンセプトなどを中心に習得し、サービス経営を多面的に理解する。 ・ サービス・ドミナント・ロジック (若林靖、原): 産業をサービスの観点から捉えて再構築 ・ サービス・バリューチェーン、プロフィットチェーン (鈴木、末松、 若林直): オペレーション、モジ ュール化、企業間連携 ・ サービス精神・理念 (日置、若林直): 真実の瞬間、逆ピラミッド型組織、サービス精神としての経営 理念 ・ サービスの経済学、収益化・ビジネスモデル (松井): 長期関係顧客による収益化 ・ 情報サービスの特性 (松井、末松): 情報の非対称性、知識サーチ、クラウドコンピューティング、 ア ウトソーシング ・ 公共サービスの特性 (石原、小林、宇野): PPP、正統性、アカウンタビリティ、交通サービス ・ サービス品質属性・評価 (若林靖、前川): 探索品質、経験品質、信頼品質 ・ サービスのリテラシー (原): 利用者視点での価値創出方策、無形資産(サービス・情報)の活用能力 ※()内は、担当予定教員 (履修要件) サービス価値創造プログラム関連科目の履修が望ましいが、本科目単独でも受講可能。 (成績評価の方法・基準) 出席・授業参加状況(20%)、レポート課題(80%) (教科書) 使用しない (参考書等) 授業中に紹介する (関連 URL) http://www.si.gsm.kyoto-u.ac.jp/ (その他(授業外学習の指示・オフィスアワー等)) 随時受け付ける。 (電子メールにて事前連絡要。 e-mail: [email protected] ) ※オフィスアワー実施の有無は、KULASIS で確認してください 。 78 (2)サービス産業事例分析 (所属部局) 経営管理大学院 (科目 サービス産業事例分析 名) (英 訳) (配当学年) 2 (単位数) 2 単位 (曜時限) (教室) MM 講義室 (備考) 月2 (科目区分) 実務科目 (他研究科聴講) 可 (職 名) 特定准教授 非常勤講師 (氏 名) 前川 佳一 山川 義徳 (開講期) 前期 (授業形態) 講義 (指定プログラム) S (学期) 3 (神戸大学との相互履修) 可 (授業の概要・目的) サービス価値創造プログラムの一環として開講(サービス産業の統合的フレームワークと事例の理 解)。 本講義では、産業のサービス化とサービス領域の拡大を前提とし、広義のサービスにおける価値創造 の方法について理解するためのフレームワークと事例を学生に提供することを目的とする。 (授業計画と内容) 製造業の成功モデルに翳りが見えたり、サービス産業化することを余儀なくされるなど、ビジネス環 境は変化を求められている。そうした中、ビジネスパーソン(その候補生)が新しい提案をするに際 し、体系的なサービス創造を理解するための理論と事例を提供することで、その創造的な取り組みを 支援するのがねらいである。 講義の枠組みや、予定しているケースの例などは下記のとおり。 また、ゲストスピーカーを招く予定であるが、詳細は未定。 1. イントロダクション ― サービスとは 2. サービス特性とサービス領域の拡大① (例:ホスピタリティとサービス) 3. サービス特性とサービス領域の拡大② (例:科学的方法とサービス) 4. サービス特性とサービス領域の拡大③ (例:サービスの研究開発) 5. 伝統的産業のサービス ① (例:老舗) 6. 伝統的産業のサービス ② (例:旅館) 7. 伝統的産業のサービス ③ (例:製造業のサービス志向) 8. 中間まとめと演習① 9. ビジネスプラットフォームの開発 ① (例:商店街連合の組織化) 10.ビジネスプラットフォームの開発 ② (例:電鉄会社の新規事業) 11.適合的組織の開発 ① (例:航空会社の権限移譲) 12.適合的組織の開発 ② (例:サービスの表舞台と裏舞台) 13.サービスのグローバリゼーション① (例:雑貨品のグローバル展開) 14.サービスのグローバリゼーション② (例:学習塾のグローバル展開) 15.ラップアップと演習② 以上 (履修要件) サービス・マネジメント系科目の並行履修が望ましい(サービス経営論、サービス創出方法論、サー ビスモデル活用論、サービス原論)。 (成績評価の方法・基準) 成績評価は以下の順に考慮して決定する予定である。 ① 前半と後半の終わりの演習(レポート発表、または小テスト形式) 50% ② 授業への貢献(よい質問をすることなど) 25% ③ 出席(出席回数が 2/3 に満たない場合は自動的に不可となる) 25% (教科書) 使用しない (参考書等) (その他(授業外学習の指示・オフィスアワー等)) 随時受け付ける。(電子メールにて事前連絡要。e-mail: [email protected]) ※オフィスアワー実施の有無は、KULASIS で確認してください 。 79 (3)ツーリズム産業論 (所属部局) 経営管理大学院 (科目名) ツーリズム産業論 (英 訳) Lectures on Tourism Industry (配当学 年) 1.2 (単位数) (曜時限) 月4 (教室) (備考) (他研究科聴講) 可 (職 名) 特定准教授 2 単位 (開講 期) 前期 第三教室 (授業形 態) 講義 (科目区分) 実務科目 (氏 名) 前川 佳一 (指定プログラム) S (学期) 1・3 (神戸大学との相互履修) 可 (授業の概要・目的) ツーリズム産業のトップマネジメントや学識経験者を客員講師として招聘し、理論面とともに実務面からもツー リズム産業の実態を理解し、今後のツーリズム産業のあり方を論じることを目的とした講義を展開する。 21 世紀に入り、旅行者のニーズ変化、旅行スタイルが大きく変わる中で、関連業界はもとより、観光地など の旅行サービスの供給構造にも大きな変化がみられる。「ニューツーリズム」と呼ばれるエコ・ツーリズム、グ リーンツーリズム、ヘルスツーリズム、産業観光等新しい形態が生まれている。まさに産業界全体が曲がり角と 言える状況を迎えており、これに対応できる人材育成を目指す。 (授業計画と内容) 以下、すべて予定で、変更の可能性あり 各回の予定 1 ガイダンス 2 ゲスト:京都市長 3 ゲスト:日本政府観光局 4 ゲスト:大規模旅館 会長 5 ゲスト:LCC エアライン 社長 6 ゲスト:長距離バス会社 社長 7 ゲスト:航空会社 幹部 8 ゲスト:旅行会社 幹部 9 ゲスト:WEB 旅行会社 幹部 10 ゲスト:旅行関連研究所 研究員 11 ゲスト:地域づくり団体 代表 12 ゲスト:国際展示会場 館長 13 ゲスト:テーマパーク 幹部 14 ゲスト:観光業界著名人・学者 15 期末まとめとテスト (履修要件) 特になし (成績評価の方法・基準) 毎回の講義に対してレポートを課す予定で、その回数と内容により成績評価する。 また、期末にテストを行い、成績評価の対象とする可能性もあり。 (教科書) 使用しない (参考書等) 授業中に紹介する (その他(授業外学習の指示・オフィスアワー等)) ※オフィスアワー実施の有無は、KULASIS で確認してください 。 80 (資料4) (資料5)略 81 (資料6) 今後の進め方 2014年11月12日 1.今年度のプログラム開発委員会 (1)2015年 1 月下旬もしくは 2 月上旬 第2回委員会 ・個別カリキュラム改善案提案 ・サービス産業生産性協議会の 300 選事例紹介 ・サイバーエージェントにおける起業促進事例紹介 (2)2015年3月上旬 第3回委員会 ・改善案最終決定 ・実施スケジュール議論 ・がんこフーズ e-learning 事例紹介 2.今年度の産学連携事業推進委員会 (1)2015年1月第1回 3.議論する点 (1)次回開催日時の件 (2)開催場所の件 (3)連絡先の件 (4)メーリングリストの件 (5)経営ケース推奨の件 82 ⅱ.第 2 回プログラム開発委員会 日時:平成27年(2015 年)1 月 28 日(水)午後 4 時~6 時 場所:京都大学 総合研究2号館3階 ケーススタディ演習室 出席者: 委員長 京都大学経営管理大学院 教授 若林 直樹 副委員長 京都大学経営管理大学院 教授 若林 靖永 外部委員 龍谷大学経営学部 秋庭 太 外部委員 株式会社チームクールジャパン 代表取締役兼代表パートナー 古我 知史 外部委員 株式会社サイバーエージェント 採用育成部マネージャー 小澤 政生 外部委員 がんこフードサービス株式会社 取締役副社長 新村 猛 外部委員 大阪市立大学大学院経営学研究科 山田 仁一郎 外部委員 サービス産業生産性協議会 湯浅 勝浩 内部委員 京都大学経営管理大学院 教授 原 内部委員 京都大学経営管理大学院 講師 山内 裕 内部委員 京都大学経営管理大学院 特定講師 鈴木 智子 内部委員 京都大学経営管理大学院 特定助教 平本 毅 事務局他 京都大学吉田地区文系部局URA室 小川 正昭 事務局他 京都大学経営管理大学院 若林研究室 桑原 徳子 事務局他 京都大学経営管理大学院 企画室 佐野 具子 事務局他 京都大学経済学研究科経済学専攻 田原 慎介 准教授 准教授 事務局長 83 室長 博士後期課程 良憲 議事録: Ⅰ.議題 (1) 今回の作業課題について 若林直樹先生から説明があった。 (2)ハイサービス300選事業について(資料1) 湯浅勝浩氏から、サービス産業について・サービス産業生産性協議会についてハイ サービス日本 300 選・今後の活動についての発表があった。 (3)サイバーエージェント様での新規事業開発例について(資料2) 小澤政生氏から、新規事業への取り組みついての紹介があった。 (4)プログラムの実施概要案について(資料3) (5)開発4科目のシラバス案について(資料3) 授業実施概要と4科目の内容について、若林直樹先生から計画案が発表され、授業 展開(曜日・時間帯・講義場所)につて、外部委員からの活発な意見、提案があっ た。 (6)ケース開発について(資料4) ケース教材作成について、若林直樹先生から資料4に基づいて説明があった。 (7)研究費に関する打合せ 無し。次回委員会へ持越し。 (8)今後の進め方(今年度日程調整) 次回(第3回)プログラム開発委員会の日程候補日について、決められた。 また、若林直樹教授から開催場所を大阪駅周辺とする案内があった。 84 (資料1) 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 (資料2) 98 99 100 101 102 103 104 105 106 (資料3) 107 108 A.授業展開 109 B.各科⽬の概要 110 111 112 113 C.評価と能⼒認定 114 (資料4) ケース教材作成について 京都大学サービス MBA 入門プログラム・プログラム開発委員会 2015 年 1 月 28 日 1.目標値 (1)平成26年度 ・優良企業経営事例紹介を行う講演会8回実施と8本程度のケース教材作成 (2)平成27年度 ・サービス産業の優良企業経営事例 20 回の授業実施とケース教材化、 一部ビデオ教材 10 点。 (3)平成28年度 ・サービス産業の優良企業経営事例等に関する授業 20 回の実施とケース教材 20 点作成 ・優良企業経営事例のビデオ教材 10 点と授業ビデオ教材 10 点の新規開発 2.今年度のケース教材作成の流れ (1)ケース教材の概要 1)概要 115 ・講義録を中心に作成して、テーマとなるサービス製品、ビジネスモデルの特徴 ・京大ビジネスケース教材のフォーマットを使う ・MS-Word にて 5-6 ページ 2)構成 1.はじめに サービス、ビジネスモデルの主要なテーマ 2.会社の概要 概要、主力分野、産業の特徴、競争の概況 3.サービスもしくはビジネスモデルの特徴 4.競争力と課題 (2)種類 1)講演者授業のケース教材化 a)担当チーム 教員(若林直樹、鈴木)+院生チーム b)流れ ①講演の際のノートの作成と資料収集 ②補足企業情報収集 日経テレコン無制約版、企業HP、企業関係書籍資料収集による情報収集 ③ケース教材案作成 ④教員のチェック ⑤講演者のチェック ⑥リリース 2)プロジェクトメンバーによる独自ケース教材作成 (3)今年度「京都大学おもてなし経営講演会シリーズ」 10/30(木) 西陣 11/20(木) スーパーホテル 11/27(木) 道頓堀ホテル 12/4(木) ヨリタ歯科 細尾 12/11(木) レック 1/8 三星テキスタイル 1/29 公文教育研究会 2/16 リンクアンドモチベーション 116 ⅲ.2014 年度第 3 回プログラム開発委員会 日時:平成27年(2015 年)3 月 16 日(月)午後 1 時~3 時 場所:グランフロント大阪ナレッジキャピタルカンファレンスルーム c06 出席者: 委員長 京都大学経営管理大学院 教授 若林 直樹 副委員長 京都大学経営管理大学院 教授 若林 靖永 外部委員 龍谷大学経営学部 秋庭 太 外部委員 株式会社チームクールジャパン 代表取締役兼代表パートナー 古我 知史 外部委員 がんこフードサービス株式会社 取締役副社長 新村 猛 外部委員 大阪市立大学大学院経営学研究科 山田 仁一郎 外部委員 サービス産業生産性協議会 湯浅 勝弘 内部委員 京都大学経営管理大学院 教授 原 内部委員 京都大学経営管理大学院 特定教授 碓井 誠 内部委員 京都大学経営管理大学院 講師 山内 裕 内部委員 京都大学経営管理大学院 特定講師 鈴木 智子 内部委員 京都大学経営管理大学院 特定助教 平本 毅 事務局他 京都大学吉田地区文系部局URA室 小川 正昭 事務局他 京都大学経営管理大学院 大学院掛長 小屋敷 事務局他 京都大学経営管理大学院 企画室長 櫻木 恵子 事務局他 京都大学経営管理大学院 若林研究室 桑原 徳子 事務局他 京都大学経営管理大学院 企画室 佐野 具子 事務局他 京都大学経済学研究科経済学専攻 田原 慎介 准教授 准教授 事務局長 117 室長 博士後期課程 良憲 浩 議事録: Ⅰ.議題 1.授業実施と4科目の概要 (資料1) ・若林直樹教授から、授業日程・場所の確定等、授業展開についての説明があった。 ・各科目の講義概要・評価について内部委員と外部委員の議論があった。 2.ケース教材の開発 (資料2、3) ・資料に基づき、若林直樹教授から今年度の報告と、次年度の予定が報告された。 3.E ラーニングシステム事例紹介 ・新村猛氏から、がんこフードサービスでの E-ラーニングシステムの紹介を実際のサイト を投影しながら説明があった。 4.今後の進め方 ・若林直樹教授と委員メンバーの間で、募集開始前の5月と、講義開始前の9月にプログ ラム委員会を開催することが話し合われた。 Ⅱ.報告事項 ・湯浅勝浩氏からサービス産業生産性協議会主催「日本サービス大賞」の応募受付開始の 案内があった。参加者に資料配布があった。 118 ・会議終了後、ナレッジキャピタルナレッジサロンの見学があった。 (参加自由) ■次回会議予定 2015年5月 ・9月(詳細未定) (資料1) 119 Ⅱ.授業展開 120 Ⅲ.各科⽬の概要 121 122 123 124 125 126 Ⅳ.評価と能⼒認定 127 128 129 130 (資料2) ケース教材作成について 1.目標値 (1)平成26年度 ・優良企業経営事例紹介を行う講演会8回実施と8本程度のケース教材作成 (2)平成27年度 ・サービス産業の優良企業経営事例 20 回の授業実施とケース教材化、 一部ビデオ教材 10 点。 (3)平成28年度 ・サービス産業の優良企業経営事例等に関する授業 20 回の実施とケース教材 20 点作成 ・優良企業経営事例のビデオ教材 10 点と授業ビデオ教材 10 点の新規開発 2.2015年度「京都大学おもてなし経営講演会シリーズ」 西陣 細尾・スーパーホテル・道頓堀ホテル・ヨリタ歯科・レック・三星テキスタイル・ 公文教育研究会・リンクアンドモチベーション 131 3.次年度ケース企業候補案 以下はすべて検討案である。 (1)ツーリズム産業論 日本政府観光局、岐阜県商工労働部 ハイアット、星野リゾート、JR西日本、JAL,KNT オリエンタルランド、USJ、 プリンスホテル、JTB総研 (2)サービス産業事例分析(おもてなし経営講演会シリーズ2015) ①「ハイサービス300選」 がんこ寿司フーズ/ワタベウェディング/ルネサンス/カメラのキタムラ ②「おもてなし経営選」 株式会社キャリエールなど4社程度 ③大手サービス経営事例 H2O リテーリング/サイバーエージェント/リクルート/QB ハウス ④海外事例 コールド・ストーン・クリーマリー ⑤特別講義 サービス業のアセットマネジメント(トーマツ/川井氏) (資料3) 132 Ⅱ.産学連携事業推進委員会の議事録 ⅰ.2014 年度第1回産学連携事業推進委員会 日時:2015 年 2 月 4 日(水)午後 1 時~3 時 場所:京都大学 百周年時計台記念館 2 階 会議室Ⅳ 出席者: 委員長 京都大学経営管理大学院 院長 河野 広隆 コーディネーター 京都大学経営管理大学院 教授 若林 直樹 コーディネーター 京都大学経営管理大学院 教授 若林 靖永 外部委員 株式会社京阪流通システムズ 上野 正哉 外部委員 株式会社キャリエール・インターナショナル代表取締役社長 田中 誠二 外部委員 株式会社サイバーエージェント執行役員 曽山 哲人 外部委員 サービス産業生産性協議会 野沢 清 外部委員 三和実業株式会社 松本 孝 外部委員 公益社団法人日本観光振興協会人材育成担当部長 田中 剛 外部委員 日本小売業協会 岡部 義裕 事務局他 京都大学吉田地区文系部局URA室 小川 正昭 事務局他 京都大学経営管理大学院 大学院掛長 小屋敷 事務局他 京都大学経営管理大学院 企画室長 櫻木 恵子 事務局他 京都大学経営管理大学院 若林研究室 桑原 徳子 事務局他 京都大学経営管理大学院 企画室 佐野 具子 代表取締役社長 人事本部長 部長 代表取締役 会長 専務理事 133 室長 浩 議事録: Ⅰ.議題 (1) 本事業の 概要説明 ≪資料1≫ ・資料 1 に基づき、若林直樹教授から本事業の説明があった。 (2) ハイサービス300選企業の概要説明 ・野沢清氏から、SPRING 設立の背景・ハイサービス日本 300 選・今後の活動について 説明があった。 ・300 選選考企業業種について、選考基準についての質疑応答があった。 (3) 本プログラムの実施概要について (4) 本プログ ラムの主要科目について ≪資料2≫ ≪資料2≫ ・若林直樹教授から、授業展開案、各科目の概要についての説明があった。 ・授業時間帯、場所についての議論があった。 ・新規ブランド開発ワークショップのグループワークについての提案が、外部委員から あった。 (5) サービス講演シリーズとケース教材の作成について ≪資料3≫ ・若林直樹教授から、目標値、ケース教材概要について説明があった。 また、今年度開催された「京都大学おもてなし経営講演会シリーズ」の報告があった。 (6) その他 ・若林直樹教授から、来年度「産学連携事業推進委員会」開催日程について連絡があっ た。 第1回:2015年5月開催予定 第 2 回:2016年2月開催予定 134 (資料1) 「高度人材養成のための社会人学び直し大学院プログラム」 「京都大学サービスMBA入門プログラム」 エグゼクティブ・サマリー Ⅰ.提案者概要 1.提案者:国立大学法人京都大学 経営管理大学院 2.事業名称:京都大学サービスMBA入門プログラム 3.プログラム種類:大学独自の修了証の履修プログラム (京都大学経営管理大学院長発行修了証) 4.連携先企業等名: 関西経済連合会、大阪商工会議所、京都商工会議所、日本小売業協会、日本観光振興協会、 サービス産業生産性協議会、株式会社サイバーエージェント(計7団体・企業) Ⅱ.教育課程の概要 1.本プログラムの考える主な経営課題 ・小売/観光/サービスの産業を主対象にサービス経営能力開発プログラムの開発と普及 ・ケース・メソッドに基づくサービス産業の優秀経営事例の実践的な分析と応用 ・低下が著しい新規開業や新規事業開発の基礎能力について次世代経営者・管理職で開発 ・世界的観光都市京都を中心とした先進的観光ビジネスモデル事例の分析と実践 2.目的 京都大学経営管理大学院で、サービス経営学に関する入門科目を受講することにより、サ ービス経営に関わる次世代経営者の基礎的経営能力の実践的習得を行う公開講座形式の教 育プログラムである。これを通じてサービス MBA 進学へのステップアップを促進する。 3.習得する能力 (1)サービス経営管理能力 サービス経営、特に戦略、マーケティング、IT 活用の基本を理解し実践できる基礎能力 ①サービス事業戦略企画基礎能力:事業戦略のプランニング ②サービスマーケティング基礎能力:ブランドと顧客ロイヤルティの獲得。 ③サービス事業 IT 活用基本能力:サービス経営への IT 導入を立案する基礎能力 (2)先進事例分析基本能力 ハーバードなどの先進的ビジネス・スクールで一般のケース・メソッドを用いた国際的な 視野を持ち、サービス先進事例に関する情報収集・分析能力の強化 (3)新規サービス事業開発基本能力 135 新規のサービスブランド企画に関するビジネスプランを作成する能力。 (4)ツーリズム産業革新基礎能力 先進事例を学習し具体的なサービ ス・イノベーションを構想する能力 4.教育方法・内容 ★プログラムの特徴 ・優秀サービスビジネスケースを用 い経営者との対話をベースにした先 端的経営手法の実践的習得 ・サービス経営の基本原理の理解 ・社会人学習支援のための E-learning ウェブシステムにおい て、ビジネスケース教材と映像資料 などを活用し、ソーシャル・メディ アによる学習者の対話を促進し実践的理解 ・チームベースでのサービスブランド新規開発プロセス体験学習 ・サービス MBA プログラム進学を軸にしたキャリアアップのカウンセリング 5.授業期間:約6ヶ月間 (2015年度~) 6.履修認定:講義系2科目(サービス経営論、サービス事例分析)と演習系1科目履修 7.履修資格:大学独自の履修証の授与(京都大学経営管理大学院長発行) 8.社会人受講への配慮: ・ウェブシステムでの E-learning とソーシャル・メディア機能による対話促進 ・金曜日の昼夜/土曜日を中心としたコンパクトな受講体制 9.受講生募集:基本的には一般応募形態 1期15名 連携経営団体所属会員企業(サービス、小売、観光)から13-14名 一般からの1-2名 10.受講料:合計(4万円:検定料1万円+受講料/教材費3万円) 136 Ⅲ.実施体制 1.実施体制 ①協議の場:産学連携事業推進委員会:産業界との研修内容の協議 ②プログラム開発委員会:産学連携でのプログラム開発 2.産学連携の進め方と役割分担 (1)プログラム、カリキュラムの企画立案:連携団体から会員企業のニーズに基づく評 価 (2)受講者の募集、選定:連携団体から小売、観光、サービス産業の会員企業、特に幹 事企業など有力企業からの受講を働きかける (3)カリキュラム実施、報告:産業団体からの評価 (4)ビジネスケース教材開発:各団体より優秀経営事例企業の提案や企業側担当者の紹 介 (5)新規事業開発実習機会提供:サイバーエージェント等などの IT、小売、観光産業優 秀企業での新規事業開発機会提供 3.事業計画での主な取り組み (1)産学連携によるサービス経営教育プログラム開発 (2)経営実践志向のサービス経営論の改善とビデオ教材化 (3)優秀サービス経営事例についてのビジネスケース作成(一部ビデオ化を含む) (4)E-learning システムの開発による社会人及び遠隔地受講者の受講支援の充実 (5)新規サービスブランド開発のチームベース教育法授業の開発 4.事業期間終了後の普及計画 (1)公開講義による受講料ベー スでの本プログラムの継続と発展。 (2)経営管理大学院を中心に関 連社団法人 KBRC を事務局とし 137 て、小売、サービス、観光産業の有力サービス企業数社とより研修プログラム共同開発事 業コンソーシアムを形成し、本プログラムについての継続開発資金提供を受けてリーズナ ブルな持続的事業展開を行う。 (3)事業報告書による基礎サービス MBA プログラムの社会的普及 (4)ビジネスケース教材開発に関する小売、観光、サービス産業の企業との共同開発事 業と内外のビジネス (資料2) Ⅰ.事業概要 138 Ⅱ.授業展開 139 Ⅲ.4 科⽬の内容 140 141 142 143 Ⅳ.能⼒評価⼿法 144 (資料3) ケース教材作成について 1.目標値 (1)平成26年度 ・優良企業経営事例紹介を行う講演会8回実施と8本程度のケース教材作成 145 (2)平成27年度 ・サービス産業の優良企業経営事例 20 回(内 10 回ツーリズム産業論)の授業実施と ケース教材化、一部ビデオ教材 10 点。 (3)平成28年度 ・サービス産業の優良企業経営事例等に関する授業 20 回(内 10 回ツーリズム産業論) の授業実施とケース教材化、一部ビデオ教材 10 点 2.ケース教材概要 1)種類 ①講演におけるビジネスモデルのケース化 (こちらを主とする) ②教員個人によるケース研究 2)概要(①を主として) ・講義録を中心に作成して、テーマとなるサービス製品、ビジネスモデルの特徴 ・京大ビジネスケース教材のフォーマットを使う 2)構成 1.はじめに サービス、ビジネスモデルの主要なテーマ 2.会社の概要 概要、主力分野、産業の特徴、競争の概況 3.サービスもしくはビジネスモデルの特徴 4.競争力と課題 3.今年度「京都大学おもてなし経営講演会シリーズ」 10/30(木)西陣 細尾 11/20(木)スーパーホテル 11/27(木)道頓堀ホテル 12/4(木)ヨリタ歯科 12/11(木)レック 1/8(木)三星テキスタイル 1/29(木)公文教育研究会 2/24(火)リンクアンドモチベーション 146 Ⅲ.『サービス経営論』ビデオ教材各回の概要 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 Ⅳ.『おもてなし経営講演会シリーズ』ビデオ教材の概要 160 161 162 163 164 165 166 167 168 Ⅴ.Eラーニングのサイトの仕様 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 平成 26-28 年度 文部科学省「高度人材養成のための社会人学び直し大学院プログラム」 採択事業 「京都大学サービスMBA入門プログラム」事業 平成 26 年度成果報告書 2015 年 5 月末日発行 ○プログラム責任者:京都大学経営管理大学院長 河野広隆 ○連絡先:京都大学サービスMBA入門プログラム事務局 住所 〒606-8501 京都市左京区吉田本町 京都大学経営管理大学院企画室 電話:075-753-3535/FAX:075-753-3529 E-mail:[email protected] ○編集担当者:若林直樹、佐野具子、桑原徳子
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