め ぐみっ子くらぶ 通信

弱視の子どもを応援する会
No.5
めぐみっ子くらぶ 通信
2005 年 1 月発行
皆さま楽しい冬休みを過ごされたことと思います。お雑煮を食べながら「日本人で良か
ったナァ」としみじみ思うのは私だけでしょうか?
今年も会員の皆さまと、共に勉強し、共に成長していきたいと思っております。また、
子ども達の成長を皆で喜び合える会にしていきたいと考えています。多忙な日々を送り
ながらの子育てですが、めぐみっ子の仲間に会うとホッとできるような、そんな会を作
っていきましょう! 今年もよろしくお願いします。
第4回定例会報告
12月4日にクリスマス交流会を行いました。子ども達と一緒にゲームを楽しんだ後、
各家庭で見えにくさをカバーするために工夫している物を持ち寄って、情報交換を行い
ました。
第一部のゲーム大会では、赤と黒のビニールテープを貼り見えやすくしたペットボト
ルをピンにして、ボーリング大会を行いました。ボールの大きさや投げる場所でハンデ
ィを付け、大人も子どもも一緒になって倒れたピンの本数を競い合いました。イス取り
ゲームでは、子ども達が流れてくるクリスマスソングに耳を傾け、必死にイスを取り合
っていました。集まった家族全員で楽しい時間を過ごしました。
第二部では、
「我が家のひと工夫自慢」と題し、実物を見せながら各家庭で工夫してい
る物(事)を紹介し合いました。
<家庭での工夫>
○歯ブラシに輪ゴムをかけておき、触るとすぐ選べるようにしている。
○シャンプー・リンスはわざと違うメーカーの物を買い、ボトルの形を全く違った形の
ものにして一目で分かるようにしている。
(市販の物は触って区別できるように工夫さ
れているが、この方が分かりやすい。)
○洋服のたたみ方を工夫し、部屋着と外出着を分けている。
○靴下のかかとに色が付いている物を選び、前後を分かりやすくしている。
○靴下の前にボタンを付けたり、先に縫いとりをして、前後を分かりやすくしている。
○靴下をそのままはけるように、両足の前と前を合わせてたたんでいる。
○食べ物と食器の色が似ていると、何が入っているのか、どの位残っているのか分かり
にくいので、食器の色を反対色にしている。
<幼稚園・学校生活での工夫>
○持ち物に名前を書くとき、本人が見やすい色を決めておき同じ色で書く。
○他人の物と区別しやすいように、わざと派手な色やデザインを選ぶ。
○体操服やスモックには、背中の下の方(服を着るときに握る場所)に2つの色の違う
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ボタンを付けている。(右手で赤、左手で黄色などボタンを触って着るようにすると、
前後裏表を間違わずに着られる。)
○学校でそろいの体操服などは、モコモコペン(字を書いてドライヤーをあてると書い
た字が膨らみ、触ると字の形が分かる)で名前や印を書く。
○お弁当用の箸は、2本がつながったピンセット型のものを持たせている。
(普通の箸だ
と1本が転がって落としやすいが、これだと転がらないし、落ちても探しやすい)
○バトミントンのシャトルに色を付け、見やすくしている。
○家庭科で針の糸通しが困難なので、生協のカタログで見つけた「らくらく糸通し」を
利用している
○テスト時は書見台を使えないので(後ろの子に答案用紙が見える)、低いイスを使用し
て机と顔の距離を縮めることによって対応している。
書見台を使用するならば、一番後ろの席に移動したり机を後ろ向きにしてテストを受
ける方法があります。
<その他>
○白黒反転カレンダーを住友生命から購入して使っている(大活字のカレンダーよりか
なり安いが、ゴシック体ではない文字が含まれている)
○インキューブ4階「スタディローム」で購入した虫観察用のレンズ付きケースを活用
して、小さな虫などの観察をしている。
(蓋が半凸レンズで、底にはミリ単位の目盛り
付き、通気孔もある)
○字や文章の練習用に、大活字のロービジョンルーズリーフを使っている。(線の太さ・
枠の大きさを選んで指定できる。1枚ずつなので書きやすく、ファイルに綴じるとノ
ートのようにまとめることもできる。)
○めぐみっ子くらぶで作成した白黒反転カードでひらがな・カタカナを練習している。
<定例会に欠席されていた会員の方から電話でひと工夫を教えて頂きました>
○バッグなどは同じ色の物を買う。(自分のカラーを決める。)
○水筒のコップと筒の部分に同じ色のテープを貼る。
○外出先で傘立てから自分の傘を見つけだすのが大変なので、取っ手にカラーテープを
貼る。
○外出先で靴を脱ぐ時は、洗濯ばさみなどでセットにして留めておく。または、一番最
後に退席する。
○消しゴムを落としたら探すのが大変だしなので、常に2~3コ筆箱に入れておく。
○いつも行く場所では、誰だかわからなくてもとにかく挨拶する。
(クリスマス会・情報交換の様子)
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その他の情報として、あいあいセンターの西先生より、
11月14日に行われたアナミ主催のシンホジウムで紹介
された、漢字練習ソフト「ニタジー君」を実演して頂きま
した。「右」「左」や「大」「犬」など、似たような漢字の
違いを意識しながら、ゲーム感覚で勉強できるソフトです。
弱視児にとって苦手とされる漢字の勉強を手助けしてくれ
るものとして、とても興味深いものでした。ソフトはあい
あいセンターで貸し出しして下さいます。西先生・佐々木先生にお尋ね下さい。
以上、身近な問題における様々な工夫や、役立つ情報がたくさん出されました。それ
ぞれ視力の状態や年齢によって工夫すべき点は変わってくると思いますが、どれも感心
させられ、また参考となるものばかりでした。更に、今回は親子一緒という事もあって、
会員同士の顔がよく見え、とても有意義な定例会となりました。
(谷元)
シンポジウム報告
11月14日、ロービジョンを考えるシンポジウム「視覚障害児・者のITを考える」
に参加してきました。(ロービジョン研究会アナミ主催)
北筑前養護学校の川原先生の講演の後、パソコン体験や福祉機器の展示、新しく建て
変わった福岡国立視力障害センターの施設見学が行われました。
<講演「弱視の方のためのコンピューター教材」>
川原先生は北九州盲学校で盲・弱視教育に携わられてきた方で、そこで培われた、パ
ソコンを使った教材作成についてのノウハウを紹介されました。
教材を作られるにあたっては、まず、その子にとっての見えにくさを理解し、どうい
う視点で対応すれば解決できるのかを第一に考えられるそうです。その上で、その子ど
もに見やすい文字サイズやフォント、文字色と背景色のコントラストを組み合わせて教
材を作っていくとのことでした。
でも、
「その子にとって見やすい環境」の中でしか見る経験が無いと、社会に出たとき
に困ってしまうことになります。そこで、道路標識などに使用されている青背景に白文
字や黄背景に黒文字、公共機関の時刻表などに使用されている黒背景に赤文字や黒背景
に緑文字など、一般的によく使われている色の組み合わせも教材の中に取り入れ、単眼
鏡で見る練習なども行い、その子が社会に出ても順応していけるように配慮して作って
おられたそうです。
あと、子ども向け教材の作成のポイントとしては、その子にとってどういう演出をす
れば興味をひくかを考えることだそうです。音をつけたり、絵を点滅させてみたり、電
車を走らせてみたりなどなど・・・。教材例の中には、似た漢字を見比べて正解を選ぶ
とファンファーレが鳴るもの、視力測定を楽しく練習するためにアンパンマンなどのキ
ャラクターを使ったものなどがありました。
先生の教材は、すべてパワーポイント2003という一般のスライド作成用のソフト
を使っているとのことでした。このソフトは、文字の大きさを自由に変えたり、背景や
文字の色などを自由に設定したり、絵や音をつけることも簡単な操作でできたりするの
で便利だとのことです。
最後に先生はアイデア次第で何でも作れますよ。とおっしゃっていらっしゃいました。
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<パソコン体験>
体験では、
「ホームページリーダー」や「メールリーダー」といった、視覚障害者向け
のソフトを利用したパソコン体験ができました。
これらのソフトを使うと、拡大した文字(白黒反転もできる)で、弱視の方にも見や
すいように画面表示されると同時に、キー操作や書かれている内容を音声でも読み上げ
てくれるようになっています。また、打ったキーも音声で一字一字ガイドしてくれるの
で、インターネット上の検索や、メール等の文章作成も行えるようになっています。
実際に、このセンターの利用者の方々が使用しているところを見せてもらいましたが、
慣れた方はとてもスムーズに操作されていました。その中の男性が「パソコンがあるか
ら本当に助かるんだよ。」とふと話して下さいましたが、視覚障害者にとってパソコンは、
コミュニケーション、瞬時の情報収集の手段として、私たち以上にその果たす役割は大
きいのだと、改めて感じました。
<施設見学>
最後に会場となっていた福岡国立視力障害センターの施設見学がありました。国立の
視力障害センターは、福岡を含め全国で5ヶ所(函館・塩原(栃木)・埼玉・神戸)の、
主に成人してから視力が下がった方のための生活訓練、技能訓練(あんま・鍼・マッサ
ージ師の資格取得、パソコン操作、点字訓練など)の施設です。福岡は今年11月に改
築したばかりで、真新しい施設内は、視覚障害者への様々な配慮や工夫が見られました。
例えば、4階建ての施設は、覚えやすくするため、全フロア同じ造りにしてあるそう
で、廊下には、全て手すりが設けられ、手すりには部屋の出入り口などの開口部がわか
るよう、突起物で印が付けられていました。また、各部屋の入り口には、黒地に白文字
で教室名の書かれた少し大きめのプレートが目線の高さに取り付けてあり、白い扉に黄
色の取手と見分けやすいものとなっていました。さらに、階段では、蹴上げの部分と踏
み面の部分の色を変え、コントラストをつけて段がとても分かりやすくしてありました。
上記以外でも細かな部分で色々工夫がされていると思いますが、私が感じたのは、こ
れらの配慮や工夫は、晴眼者である私たちにとっても、見易く、便利で、また美しいと
いう事です。こうしたバリアフリーが世の中にもっと浸透していって欲しいものだと思
いました。
(田中・谷元)
Q&Aコーナー
(前回の質問)目の病気以外のケガや入院に備えて保険に入りたいのですが、皆さんは
どうされているのでしょうか?また、メガネ等を壊されたときの保険はありますか?
(回答1)目の病気以外のケガや入院に備えて、エフコープ生協の『CO-OP 共済たすけあ
い(シ゛ュニア18コース)』という保険に9歳の時から加入しています。(掛金は千円
の月払い)実は、最近この保険の世話になってしまったのです。
自宅の子供部屋で、色鉛筆を使ったあとそのまま床に置いていて、その事を忘れてい
た娘が暗闇で踏みつけてしまい、足の中指の付け根あたりに鉛筆が刺さったのです。鉛
筆芯の大きさの穴があき出血したので、消毒して翌日医者にかかりました。近所の外科
に10日ほど通ったのですが治りが遅いため、別の大きな整形外科を紹介されレントゲ
ンを撮ると、大きな芯が中に刺さったままになっており、取り除いてから快方に向かっ
ています。保険証を見ると災害通院で日額2千円出るとの事で、今回は保険に加入して
いて助かりました。
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やはり目が見えづらいので薄暗い部屋の中でよく見えなかったと言っており、今回の
ような事態になりましたが、まさしく保険に加入していて良かったなと思っています。
病気はもちろんのこと、入院や手術などにも対応出来る保険に加入すべきだと感じま
した。
(回答2)幼稚園で遊んでいる時、メガネが折れてしまいました。幼稚園児総合保障制
度の保険に加入していたので問い合わせしてみましたが、自分のメガネに対しては保険
を使えないとの回答でした。この保険は、傷害保障(けがや病気での入院・通院費)と
賠償保障(相手にけがを負わせたり、物を壊した場合の保障)の内容でしたので、自分
が転んでメガネを壊しても、保障の内容にはあてはまらないとの事です。
従って、破損の原因に相手がいる場合なら、相手の保険で保障してもらえます。
(相手
が保険に加入していた場合)また、見えにくさから、ぶつかったりしてけがをさせてし
まうことも考えられますので、このような保険に加入しておいたほうが良いかもしれま
せん。
(回答3)A保険会社に目の疾患を持つ人の保険加入について問い合わせをしてみまし
た。保険会社のシステムとして、保険加入者が加入途中で失明した場合、その後の保険
料を請求せずに保険内容を保障する事になっているそうです。従って、失明する可能性
がある疾患を持っている人に対しては、保険会社のリスクが高くなるという理由から、
現在のシステムでは残念ながら加入できないそうです。しかし、皆さんもCM等でご存
知だと思いますが、50才からどんな人でも入れます・・・って言うのを聞かれたこと
があると思います。この保険は目の疾患があろうと体のどこかが悪かろうと、誰でも入
ることができるそうです。そして、この50才という年齢も次第に引き下げられるので
はないかと言われているそうです。現在のシステムでは生命保険加入は無理かもしれま
せんが、将来的に絶対に無理だということもなさそうです。
(今回の質問)
年齢と共に動くスピードが上がってきて、危険がとても増えてきています。何かいい
配慮はないでしょうか?
アンケート報告
入会時に家族会員に行ったアンケートより、体験談や悩み事を紹介していきます。弱視児やその
家族をとりまく問題を浮き彫りにしたいと思います。皆様のご意見をお聞かせ下さい。
質問内容
回答内容
今、困っている事や心配事はありますか?
○弱視学級と通常学級の交流のタイミング
○学習面全般
○漢字の勉強
○通常学級で楽しくやっていけるか心配
○校内で矯正ができない事を理解してもらえない事
○学校や園で、先生の目がいき届いているのか?事故が起きないか?
○これから見えにくいことをどの様に受け入れていくのか・・・
○将来の進路(職業、結婚など)
これまでめぐみっ子で取り組んできた内容も含まれていますが、一つでも心配事を減ら
せたら・・・と思います。ご意見・アドバイスをお願いします。
5
会
員
紹
介
家族会員、応援会員からの自己紹介コメントを掲載します。
ご協力よろしくお願いいたします。
家族会員 Aくん(中2)
先天性無虹彩症 視力は両眼0.1です。サングラス等は学校に事情を話して許可を
もらい、春日東中に通学しています。クラブ活動はしていませんが、詩吟とゲートボ
ールそれと博多スターズ(障害者ボーリング)で元気にやってます。親からは目のこ
とは一つの個性だと言われています。春日第三団のボーイスカウトにも幼稚園から入
隊して現在もシニアスカウトとして活動しています。野外の活動でサングラスははな
せませんが、なるべく野外活動で心身をきたえたいと、がんばっています。
応援会員 山田敏夫先生
めぐみっ子くらぶの皆様、はじめまして、大島眼科の山田です。学生時代に盲学校で
ボランティア活動を始めてから今年で37年になります。年齢ばかり重ねてしまい力
はなにもありませんが、教えていただきながら活動したいと思っています。宜しくお
願いします。
新家族会員 紹介
Bくん(4才)網膜ジストロフィー … 前原市にお住まいです
Cちゃん(6才)視神経萎縮・視野狭窄 … 福岡市にお住まいです
次回定例会
日時:2月8日(火)10:30~それぞれ都合の良い時間まで
場所:ふくふくプラザ 2階 201号研修室(中央区荒戸3丁目3番39号)
地下鉄「唐人町」から徒歩7分 「大濠公園駅」から徒歩10分
西鉄バス「九州女子高校前」からすぐ 「黒門」から徒歩5分
内容:拡大教科書ボランティアの方々との交流
拡大教科書作りのお手伝いをさせて頂きます。(折り作業や糊つけ作業など)
各自お弁当をご用意下さい。
九州女子高校前
(ふくふくプラザの売店でも
西公園
販売しています)
九州女子高校
ボランティアの皆さんと一緒
ふくふくプラザ
に昼食をとりながら、拡大教
科書についていろいろお話を
黒門バス停
至 天神
聞いてみましょう。
至
発行者
代 表
西新
唐人町駅
大濠公園駅
めぐみっ子くらぶ
池内 理恵子
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