スライド 1

日本の伝統工芸を工学的に取り扱い現代に活かす
指導教官:村田雅人助教授
富岡宏匡・広瀬浩一・萩野貴信・宮川麻子
背景・目的
伝統工芸品【漆・竹製品・和紙・織物・紐など】
伝統工芸産業の生産額
(億円)
これらは意匠性のみでなく、日本独特の文化に基づく、優れた機能・技術を有する。
6000
4000
4837
3844
4928
5406
3902
4626
2784
2000
0
昭和49年
にもかかわらず、現代においては衰退しつつある
昭和54年
昭和58年
昭和62年
平成3年
平成7年
平成10年
本研究では、伝統工芸の一例として、和紙を取り上げる
「伝統工芸の良さを伝え,それを継承,保存また,応用すること」を目的とする.
和紙とは
洋紙が木材パルプを原料とするのに対し、和紙はコウゾ、ミツマタ、ガンピなど、繊維が長い靭皮材料を原料としている。
本研究では、この繊維が長い原料であるという点が和紙の多くの特徴を生んでいるので、和紙の定義は「靭皮材料を用いてつくる紙」ということにした。
和紙の特徴
天然素材である
独特の風合い・温かみを持つ
洋紙に比べ、耐久性が高い
湿度を調節する
臭いの元を吸着する
紫外線をカットする
光を和らげる
和紙の長所
和紙には洋紙にない長所が多くあり、以下にその特徴をあげる
天然素材、風合い
強い
繊維を活かしたデザインができ、
癒し効果が期待できる
調光性
調湿性
光が和紙を通ると、
やわらかい光になる
洋紙と比べてやぶれにくい
有害物質吸着
5リットルの容器に和紙5gとアンモニア、ホルムアルデヒドそ
れぞれ3リットル封入したときの濃度変化(ppm)
0h
2h
24h
アンモニア
40
5.5
5.5
ホルムアルデヒド
15
0.2
0.2
どちらもかなりの量を吸着していることがわかる
グラフの中心あたりを見ると、外気温度が上昇すると、ビニル壁紙は気温の
上昇とともに湿度が下がるが、和紙の壁紙は変化がなく、和紙の壁紙は湿
度を一定に保つ効果があることわかる
【参考】ホルムアルデヒドの室内規制濃度:0.8ppm
和紙を壁紙に
和紙衰退の要因としては、
コスト面で洋紙に劣ることや生活の洋風化が挙げられる。
・和紙の風合いを活かす
・需要が多いところ
和紙を活かすには?
我々は、 伝統工芸の良さを現代に伝えるため一般家庭に広く普及させ、生活空間
に取り入れていくことが必要であると考えている。
和紙を壁紙に利用!
和紙のよさを活かし、かつ大量の使用が見込まれる利用法として、和紙を壁紙に利
用することに着目した。
壁紙産業の現状と和紙の壁紙の問題点
日本壁装協会まとめ
平成16年度 壁紙出荷量
塩化ビニル系
プラスチック系
左図より、日本では壁紙はほとんどビニルクロスであ
ることがわかる(欧米では紙壁紙のシェアが約50%)。
これは価格が安いことと、耐久性がすぐれているた
め張替えを頻繁に行わなくてもよいことが理由だと
考えられる。
また、業者にとってビニルクロスのほうが施工性がよ
いことも理由のひとつである。
無機質系
紙系
ビニルクロスと和紙壁紙の比較
繊維系
その他
和紙壁紙
ビニルクロス
耐久性
塩化ビニル系89%
紙系(和紙を含む)1.3%
よい
よい
悪い
わるい
A
AA
AB
B
C
D
S
SS
~1099円
1100円~1299円
1300円~1599円
1600円~2199円
2200円~2699円
2700円~3699円
3700円~5300円
5700円~
(数)
2500
ビニルクロス
紙壁紙
その他
2000
1500
1000
500
A
AA BB
B
C
D
S
SS
(クラス)
これに対して、和紙の壁紙では以下のように手漉きにも機械漉きにもそれぞれ問題がある
日本と欧米の比較
手漉き
欧米
張替え
業者まかせ
左図は社団法人日本インテリアファブリック
ス協会に登録されている主要なインテリア
メーカーが扱っている壁紙の価格帯別の分
布である。
壁紙はA級からSS級まで価格帯別に区分
されており,横軸に価格帯,縦軸に壁紙の
種類をとっている。
グラフより壁紙の価格帯はほとんど,AA級
(1100~1299円)に集中していることがわ
かり、この価格が一般家庭に普及させる際
の目安になる。
【種類と価格帯】
0
環境
日本
壁紙の価格帯とその分布
・高価である
・様々なデザインのものが存在する
自分達で張替え
13年
5年
機械漉き ・十分に安価である
・デザインのバリエーションが少ない
平均張替え年数
提案
上記の現状から、価格が高くなり、耐久性もビニルクロスに比べて弱い和紙壁紙は
すぐには売れないと考えられる。そこで和紙壁紙を普及させるためのフローを提案する
手漉き和紙を高級な壁紙として販売する。
一般家庭への普及を目指す
【ターゲット】
【ターゲット】
オフィスの待合室、応接室など高級感を必要とする場所
オフィスプランニング会社などとの提携を模索
(癒しのオフィスを提案)
表面コーティングで、耐火性を付加
(消防法に対応)
機械漉き和紙を使用して、価格の低い壁紙を販売する。
人が目にする場所に壁紙を用いることによって、
一般の人の認知度を高める。
普及のためのプロモーションをおこなう
一般家庭 (リフォーム、新築)
機械漉きを改良することによって、デザインのバリュ
エーションを増やす
(複数層を漉けるようにする)