シーフェアラーズ ブルテン Seafarers' bulletin International Transport Workers’ Federation 国際運輸労連 no. 22 / 2008 我々の権 利が賭け 事に 日 本 語 ITFの救援活動 Paul Carter/reportdigital.co.uk 海で生きていく人々を助けて ITFのFOCキャンペーン 海事産業におけるITFの活動は、国内の法規や条件、お る基準と同等ながら、より柔軟性のある国際団体交渉協 よび労働組合を回避することを目的にした便宜置籍船 議会(IBF)の枠組みの中で、国際的な団体交渉を行って (FOC)に反対する世界中の船員や港湾労働者の労働組合 によるキャンペーンが中心となっている。 いる。 FOC船の乗組員は、ITFに連絡を取らないよう、厳しく キャンペーンには2つの側面がある。政治面でITFは、 指示されることが多く、中にはITFと連絡を取らないこと 船主と船籍の「真正な関係」を確実にするために、各国 を契約書で約束させられる場合もある。ITF協約に署名を の政府や国際機関と闘っている。産業面で、ITF加盟組合 しながら、実際には乗組員をだまして、それより低い賃 は、あらゆるFOC船において、許容できる最低賃金や社 金を支払う船主もいる。二重帳簿と呼ばれる行為だ。 会基準を確保するために闘ってきた。 FOC船の賃金、労働条件、その他の待遇に不満がある 実際においては、ITF−FOCキャンペーンを推進・管理 場合は、ITFに直接連絡するか(21ページの住所と電話 している船員と港湾労働者の労組の共同組織、ITF公正慣 番号を参照のこと)、世界中の港に配置されているインス 行委員会(FPC)が定めた基準以上の条件に合意するよ ペクター(21∼24ページを参照)に連絡を。 う、ITF加盟組合は求めている。近年、ITFは、成長著し い船会社の大きなグループと、公正慣行委員会が規定す www.itfglobal.org/flags-convenience ITFシーフェアラーズ・ブルテン Q Q Q Q no. 22 / 2008 4-13 短信 ITFのFOC船や基準以下船に反対するキャンペーンのニュースなど 14-17 特集記事フィエスタ・カジノ号と乗組員の権利を賭博に使った雇用主の記事 18-19 フィリピン船員 新たな研究によれば、彼らは苦しくても諦めない。 20 漁船員 「船員というよりも、奴隷のように処遇されている者もいる」スコットランドの ITFインスペクターは語る。 21-24 ITFインスペクター 世界中でITFに連絡するための案内書 25 もう隠れる場所はない ポスター形式の便宜置籍船判定ガイド 26 事実と統計 一目で分る世界の船隊 27-29 組織活動 ITFによる各国の船員労組結成支援ケース・スタディー 30 FAXフォーム 支援が必要な時は、記入してITFに送ってください 31 雇用契約のアドバイス 船員雇用契約書に署名する前に、よく読んで下さい 32-34 海事労働条約 「船員の権利章典」批准に向けた各国政府の説得 35-36 福祉 港湾の船員福祉施設は、海運産業の変化に対応できているのだろうか? 37-39 文化の交差 世界各地の船員の伝統、言語、言い伝え 40 読者からの便り ITFの行動に参加しなかったことを後悔する船長の告白 40-42 船内での健康 慢性病への対処 2008年1月発行 国際運輸労連(ITF) 〒108-0023 東京都港区芝浦3−2−22 田町交通ビル3F 電話:03−3798−2770 FAX:03−3769−4471 Eメール: [email protected] ホームページ: http://itftokyo.org/ 日本語以外の言語(英語、 アラビア語、中国語、ドイ ツ語、インドネシア語、ポ ーランド語、ロシア語、ス ペイン語、タガログ語、ト ルコ語で作成)については、 上記まで、お問い合わせく ださい。 表紙の写真:フィエスタ・カジノ号 のエディー・ゴメス船長(アナ・リ リア・ペレス撮影)。詳細は、14− 17ページへ。 未払い賃金の回収後、ITFに感謝を表明する、漁船アンクサンブル号の乗組員。詳細は、20ページの 「船員なのか、奴隷なのか?」へ。 International TransportWorkers’ Federation 船員の賃金 国際交渉協議会(IBF) 賃金引上げに合意 国際運輸労連(ITF)は、 148カ国、450万人の 国際交渉協議会(IBF)において、大幅 な賃金引き上げと重要な契約条項の改定 が合意され、7万人の船員が恩恵を受ける ことになった。 2007年9月、船主を束ねる合同交渉グ ループ(JNG)とITF代表がロンドンで交 渉し、2008年1月1日から実施される船 員の賃金と労働条件の改定に合意した。 IBF協約は、全世界の3,500隻を超える船 舶に乗組む、あらゆる国籍の約7万人の船 員に適用される。 合意内容には、8%の賃金引き上げと、 海事労働条約(MLC)に沿った契約条項 の改定が含まれている。MLCへの完全適 合を目指して雇用契約を改定したことは 大きな功績であり、IBF協約が海運産業の 最新かつ最善の労働基準を遵守する最前 線に位置することを示すものである。 ITFのスポークスパーソンを務めたブラ イアン・オレルは、今交渉のもう一つの 大きな成果として、先進経済国の部員基 金設置に特に満足しいると述べた。同基 金の設立により、過去20年間で雇用機会 が大きく縮小してきた伝統的海運国の船 員の雇用拡大が促進されることになるだ ろう。「この基金の設立により、IBFが既 存の問題に対して画期的な解決策を提供 し、あらゆる海運関係者に資する全体的 水準の引き上げに貢献できることが証明 された」と、オレルは述べている。 一方、JNG側のスポークスパーソン、 イアン・シャーウッドは、「IBFで合意さ れた施策の中には、船主団体にも魅力的 なものが多数ある。IBF協約を、より効果 的かつ、より柔軟に実施することに合意 できたことは、特に重要であり、最も歓 迎すべき点だ」と、述べた。 Q 交通運輸労働者を代表す る連合体。1896年に結 成され、船員、鉄道、路 面運輸、民間航空、港湾、 内陸水運、水産、観光の 8産業別部会で構成され る。ITFは、国際レベル で交通運輸労働者を代表 し、グローバル・キャン ペーンや連帯活動を通じ て労働者の利益の増進を 図っている。国際労働組 合総連合(ITUC)とと もにグローバル・ユニオ ン・グループを形成する 10の国際産別組織 (GUF)の1つである。 ITFの行動要請 消息不明船の解明に 協力を ITFは、2007年6月にセイシェルに向 けてドバイを出港した後、消息を絶った とされる船に関して、10月に協力を呼び かけた。この船には、14人の船員が乗組 んでいた。 セント・ビンセント・グレナディーン 短 信 籍で、アラブ首長国連邦に拠点を置くザ ンベジ海運が運航する「リーフ・アザリ ア号」は、6月18日にドバイを出港した。 代理店が最後に本船と連絡が取れたのは7 月24日で、その際、本船はソマリア沖に いた。この船にはタンザニア人8人と、 ビルマ人、インド人、パキスタン人が2 人ずつ乗船していた。 ITFは、加盟組織であるパキスタン商船 職員組合の懸念表明を受け、海運会社と 連絡を取り、「情報開示と協力」を呼びか けた。さらに、乗組員の家族に伝えるた めに、行方不明船の捜索に関する更なる 情報を求めた。 ITFアクション・ユニットのフィンレ イ・マッキントッシュは、「まだ多くの質 問に対して回答を得ていないので、会社 側に情報を求めている。行方不明の乗組 員の家族は、何が起きたのか分らずに心 配している。乗組員がどこにいるのか、 捜索のために何がなされるべきかが、目 下の最重要事項である」と、語った。 今までのところ、船が沈没したとか、 海賊の襲撃にあったとかを示唆するよう ➡ サフマリン・テキサス号の乗組員とシュエ・トン・アウンITFインスペクター(左から2人目) 米国における交渉 フィリピン人乗組員の 未払い賃金4万ドルを 確保 米国の船員労組(SIU)に所属する複数 のITFインスペクターは、サフマリン・テ キサス号に乗組む8人のフィリピン人船員 のために約4万ドルの未払い賃金を確保し た。18,030重量トンのサフマリン・テキ サス号は1987年の建造で、ギリシャのピ レウスにあるスイス・マリン社に所有され ている。 本船はITF協約を締結していたが、乗組 員には本来のITF賃金表によるものではな く、フィリピンの賃金が支払われていた。 ITFインスペクターに、本船へ行って船長 や会社と交渉するよう提案した。 ペティパスは交渉を行い、8人のフィリ ピン人乗組員が未払い賃金、27,548ドル を受け取ることになった。さらに、この内 の2人は前の航海から乗船していたため、 当該期間中の未払い分として、12,889ド ルを追加支給された。 サフマリン・テキサス号は、乗組員へ の支払いを行うため、ヒューストン港に 戻ることを認められた。 通常の査察活動 ヒューストン港で通常の査察を行ってい たシュエ・トン・アウンITFインスペクタ ーは、この違いに気付いた。本船がボルチ モア港へ向かうことになっていたため、彼 はボルチモア港のアーサー・ペティパス ITF Seafarers’ Bulletin 2008 5 短 信 FOCキャンペーン ITF承認協約が適用されていない便宜置籍船(FOC)の所有者 船主 国籍 タイドウォーター 朝鮮民主主義人民共和国政府 アーキロドン海外建設 シーコー・ホールディングス オファー・ブラザース・グループ リックマーズ・リードレイ ペーター・ドール・スキファーツKG トランスオーシャン ベルンハルト・シュルテ・グループ 大阪商船三井船舶(Mitsui-OSK) ミャンマー人民共和国政府 ブルボン・グループ 中国外洋海運グループ エゴン・オルデンドルフKG 中華人民共和国政府 スミット・インターナショナル カーニバル ラスカリディス海運 ラムナルコ・グループ ヤンデヌルNV (出所:ITF、2007) ➡ な証拠は無い。 さらに、二隻目の行方不明船が、パキス タン商船職員組合から報告されている。 パナマ船籍でインフィニティ・マリン・ サービス社(在ドバイ)所有の「インフィニ ティ・マリン1号」で、23人の乗組員が 乗船していたと思われる。 パキスタン商船職員組合のシェイク・モ ハマド・イクバル書記長は、「これら便宜 置籍船の所有者は、何の情報も提供しよ うとしない。彼らは、何が起こったのか を解明して行方不明船員の家族を支援す るよりも、保険金の支払いを心配してい るように見える」と、語っている。 未払い賃金 遺棄船員の未払い賃 金を獲得 スペインのサンタンデル港で遺棄され た船員25人が、未払い賃金を獲得した。 パナマ籍貨物船「ミューガング1号」の 乗組員は、ITFとスペインの2つの加盟組 合、ELA-hainbatおよびCCOO支部の介 入により、2006年10月までさかのぼっ 6 ITF Seafarers’ Bulletin 2008 米国 北朝鮮 アラブ首長国連邦 米国 イスラエル ドイツ ドイツ 米国 ドイツ 日本 ビルマ フランス 中国 ドイツ 中国 オランダ 米国 ギリシャ アラブ首長国連邦 ベルギー ITF協約非適用 船舶数 270 161 106 77 66 66 63 62 59 56 54 54 52 51 49 49 46 46 44 42 「船員が本船で受けてきたひどい扱い を、これで少しでも緩和できればと願っ ている」と、ITFインスペクターのモハメ ド・アラチェディは語った。 海賊 ITF、ソマリア沖の 海賊対策を支援 ITFは、ソマリア沖を航行する船舶を悩 ましてきた海賊事件や武装強盗事件に対 処する動きを支援している。 ITFは、ソマリアの海岸近くで発生する 海賊事件や武装強盗事件を国連安全保障 理事会に持ち込むための提案を全面的に 支持している。この提案は国際海事機関 (IMO)の事務局長から出され、ロンドン で6月25∼29日に開催された第98回 IMO理事会で支持された。これが、海賊 行為や武装強盗事件を取り締まるための、 ソマリア連邦暫定政府に対する要請につ ながることが望まれる。これには、乗組 員の生命を危険にさらす海賊行為や武装 強盗事件に対応する船舶が、ソマリア領 海に入ることを認める措置も含まれてい る。この提案は、特に、ソマリアに対し て人道支援を行っている船舶を対象とし ている。 て未払い賃金を獲得した。新しい船主が、 ソマリアでは最近、不安定な状況が続 船員側の要求する9月11日までの賃金満 き、船舶への新たな攻撃が頻発するよう 額−18万7千ユーロ(26万4千ドル)を になっており、報告される事例もうなぎ 支払った。 のぼりである。 24人の船員はカメルーンとガーナに送 ITF船員部長のジョン・ウイットローは、 還され、船長は送還前に、サンタンデル 「ITFは、IMOのこうした取り組みを歓迎 の船員センターで医師の治療を受けてい し、IMO理事会においても、この提案を る。 支持した。船員が攻撃され、身代金の支 払いを目的とした捕虜にされるような事 態が二度と起こらないよう、緊急措置が 採られることを望む」と、コメントして いる。 “これら便宜置籍船所有 者は、何が起こったの かを解明して行方不明 船員の家族を支援する よりも、保険金の支払 いを心配しているよう に見える。” 漁船員 難問を抱えた乗組員 のための勝利 ITFは、漁業統合条約を採択した国際 労働機関(ILO)での票決を、心から歓 迎している。これは、ITFとその加盟組 合が、長年にわたって運動してきたもの である。 投票は、2007年6月に行われたが、 ➡ 受け取った未払い賃金を手にして喜ぶメリーベル号の乗組員 リバプール港での行動 同一船主の所有船舶5隻に、賃金全額支払われる 筆者:トミー・マロイ(英国リバプール 港のITFインスペクター) ギリシャのメリーヴィル・マリタイム 社は、昨年、リバプール港で大いに歓迎 されたが、乗組員の権利を満たすための 支払いが完了するまでは出港できないこ とを知った。 2007年に私が最初に査察を行ったこの会社 の船舶は、スマート号だった。乗組員の主張す る未払い賃金は、合計46,000ドルであったが、 船主は大して抵抗することもなく支払いに応じ た。船内に雇用契約書がなかったため、私は乗 組員全員のITFの雇用契約書を作成した。その当 時、船内にあったのは、船主が同意したITFの賃 金スケールよりも、大幅に低いものであった。 数ヶ月後、リバプールに入港したエヴァンゲ リストリア号でも、同様な問題が明らかになっ た。このときは、16万ドルが払い戻された。 次に入港したのはプリンセス1号で、訪船し た私は会社のポートキャプテンに出迎えられた。 私の査察に対応するため、彼はギリシャから飛 来してきていた。この時は、他の船と異なり、 全ての書類がITF協約の要件通りに作成されてい た。大きな問題ではなかったが、2人のデッキ ボーイと2人のメスボーイが21歳以上(1人は 30歳代)だったので、それぞれ、甲板員とメス ルーム・スチュワードに昇進させて、新しいITF 雇用契約書を作成した。この結果、1人のメス ルーム・スチュワードに支払うべき差額は約 3,000ドルと計算されたが、その他の3人は数 日前に乗船したばかりだった。 さらに数日後、私はレニュアール号に訪船し た。この時も私を出迎えたのは同じポートキャ プテンで、全ての書類が規定通りにそろってい ることを確かめるためにリバプールに飛来して きていた。ところが、時間外労働が正しく記録 されていないばかりか、協約に基づいて支払わ れていないことを、私は発見した。私が計算し た未払い賃金は、13,504ドルであった。乗組 員の大半が数日前に賃金の清算を済まして下船 していなかったら、この金額は大幅に増加して いただろう。会社は、未払い賃金を直ちに支払 う手配をした。 このポートキャプテンによれば、会社の船が あと2隻、リバプール港に4月中に入る予定で あった。彼は、イースターの休日を家族と過ご すことを強く望んでいたが、リバプールに再度、 飛来する必要があることは、ほぼ確実だった。 イースターの数日後に、メリーベル号がリバ プール港に入った。私がギャングウェーに着い たとき、ポートキャプテンは、全てが完璧で何 の問題も発見できないだろう、と保証した。 残念ながら、会社が乗組員の正当な賃金を組 織的にだまし取っている事実を裏付ける証拠が、 本船から提供されていた。私は、支払い総額 89,000ドルの2006年12月31日付け全乗組 員賃金支払いリストを入手していた。これは、 会社が支払っている金額とITF協約に基づいて支 払うべき金額との差額であった。各乗組員が受 け取った金額に署名しており、賃金支払いリス トの末尾には、未払い賃金が一切ないことを確 認する乗組員の宣誓があった。さらに、総額 53,000ドルの3月31日付けの同様な支払いリ ストがあり、これにも全乗組員が受け取りの署 名をしていた。 私はポートキャプテンに、賃金計算書に示さ れている金額を乗組員が受け取ったことも、1 月、2月、3月分の賃金計算書が正真正銘の帳簿 であることも信じていない、と通告した。ポー トキャプテンは、もし乗組員の1人でも計算書 の金額を受け取っていないことを私が発見でき たら、全額を支払う、と言った。この時点で、 私が既に本物の賃金計算書を一式、手に入れて いたことを、彼は知らなかった。私が、この計 算書を彼に示しながら、フィリピン人乗組員を 一人ずつ呼び入れたとき、彼らは勇敢にも受け 取っていない賃金について受領の署名をさせら れたことを証言した。この結果、ポートキャプ テンは、私の計算した未払い賃金の支払いに同 意する他なかった。未払い分の合計は、 96,000ドルに達した。 今のところ、この会社はリバプール港で、 約一年の間に30万ドルを超える支払いを自社船 に行っている。しかし、彼らが支払ったのは、 既に締結した協約に基づいて支払うべき金額で あって、それ以上の金額は1円も負担してはい ないのである。 “会社が乗組員の正当な賃金を組織的にだまし取 っている事実を裏付ける証拠が、本船から提供 されていた。” ITF Seafarers’ Bulletin 2008 7 ➡ ハンブルグのこの病院で、負傷した手の治療を受けたフィリピン人船員のフェデリコ・ア ロガンテ(右)とITFインスペクターのウルフ・クリスチャンセン 海上での負傷 支援の手以 上のもの 一人のフィリピン人船員が海上での事故 により船員職業の喪失に直面したが、 ITFの機敏な介入によって、彼は的確な 治療を受けることができた。 ギリシャ船の操機手であったフェデリコ・ アロガンテは、2007年2月、ハンブルグの ITFインスペクター、ウルフ・クリスチャン センに、事故のため船員職業に二度と戻れな いのではないかと深刻に悩んでいることを連 絡してきた。 4週間前、ロシアのプリモルスクに入港中、 彼は機関室で作業していて梯子から転落し、 左手に負傷した。彼は、プリモルスクの病院 に運ばれ、手をギプスで固定された。 4週間後、本船がハンブルグのドライ・ド ックに到着したとき、この36歳の船員は検 査を受けるために病院に送られた。ハンブル グの医者たちは、アロガンテがロシアの病院 で受けた治療が誤っていることに気付いた。 彼の左手は、ギプスで固定するのではなく、 手術すべきだった。この影響で、彼の左手の 動きは、既に限定されていた。 「アロガンテさんは、将来、船員として就 労する能力が失われるのではないかと深刻に 悩んで、ハンブルグのITF事務所に連絡し、 支援を求めてきたのです」と、クリスチャン センは説明している。 ITFは、アロガンテを市内の労災事故専 門病院に移送するよう、ハンブルグ総合病院 の医師たちに要請した。医師たちも、彼が乗 り組んでいたプロポンティス号の船長も、こ の移送に同意した。ITFは、ハンブルグの本 船代理店にも、この移送計画を通知した。 「アロガンテさんが病院で、いくつかの検 査を受ける間、私は彼に付き添っていました。 彼は手の傷害の専門医による検査を受けた結 果、専門医は手の機能を永久的に失わないよ うにするためには、手術が必要であると判断 しました」と、クリスチャンセンは述べてい る。 アロガンテの手術は成功し、約2ヶ月半の 間、病院において左手の機能回復訓練を含む 治療を受けた。「彼の仲間の乗組員や船員ミ ッションや私自身が、アロガンテさんを定期 的に見舞いました。ギリシャの船主は、彼の 妻が数週間、ハンブルグに滞在できるよう手 配しました」と、クリスチャンセンは語って いる。 長期にわたる病院の治療の後、アロガンテ の手は機能を回復し、船員としての職業を続 けていけるであろう、と医師たちは楽観視し ている。アロガンテは、フィリピンの病院で さらに治療を続けるため5月に本国へ送還さ れたが、彼の手に埋め込まれた金属板を除去 するため、2007年末にはハンブルグの病院 に戻る。 アロガンテは、5月にハンブルグを離れる 前、ITFに一枚のカードを送ってきた。「貴方 が私を援助するために費やした全ての時間 に、心からの感謝を申し上げます」と、彼は クリスチャンセンに伝えた。「貴方は私の第2 の人生の一部であり、私のヒーローです。私 と私の家族全員は、心から感謝を申し上げま す」。 “彼は、将来、船員として就労する能力が失わ れるのではないかと深刻に悩んでいた。” 8 ITF Seafarers’ Bulletin 2008 賛成437票に対し、反対2票、棄権22 票であった。 ITF船員部長のジョン・ウィットロー は、「2年前、ILO漁業条約は、技術的問 題で採択されなかった。定足数に1票足 りなかったのである。それ以来、ITFは、 責任ある使用者や関係政府との対話を通 じ、漁船員の保護のために努力を倍加し てきた。この票決は、漁船乗組員に人間 らしい仕事を実現し、漁業部門の国際的 な最低基準を設定する大きな一歩であ る。さらにまた、違法・未報告・無規制 漁業(IUU漁業)を規制し、漁船で行われ ている最悪の虐待を予防することにもつ ながる。しかし、取り組みがここで終わ ってしまってはならない。我々は、条約 が批准され、実施されることを確保し、 働く場において漁船乗組員の状況が実際 に変化していくようにしなければならな い」と語っている。 6月初め、ITFのデビッド・コックロフ ト書記長はILO総会で発言し、ILO漁業統 合条約を支持し、次のように述べた。 「漁船員にとって、この条約は不可欠で ある。漁業は地球上で最も危険な産業で、 しかも労働条件は最も劣悪なものの一つ となっている。漁船乗組員が組織化を進 めようとしたところ、彼らを海に投げ込 んだ船主の例さえ報告されている」 “漁業は地球上で最も危 険な産業で、しかも労 働条件は最も劣悪なも のの一つとなってい る。” 短 信 福利 東南アジアの プロジェクト、開始 船員の福利施設を大幅に拡大するプロ ジェクトが、東南アジアで開始されるこ とになった。 2007年9月に国際船員福利委員会 (ICSW)がシンガポールで開催した会議 で、船員福利組織の代表者たちが、この 計画に支持を表明した。事業の一環とし て、この地域の船員福利施設を調査、更 新、拡大するために、4年分の資金を供 与する。 基調演説を行ったシンガポールBWシ ッピングのデリック・アトキンソンは、 東南アジア船員のほとんどが、船員福利 団体と全く接触していないことを示す資 料を提出した。ビルマ人船員二人も、同 様の体験を語った。船員国際調査センタ ー(SIRC)も、港湾における船員福利サ ービスに関する最近の報告書の中で、こ のような実態を立証している。 船主、組合、宗教団体、港湾当局、政 府は、この事業を開始するために、東南 アジア福利委員会を設立する予定だ。こ れは既に、東欧、アフリカ、南米で実施 されているものに倣ったもので、ITF船員 トラストからの資金供与を得て、ICSW の監督の下で実施される。ITF船員トラス トのトム・ホーマーは、「他の地域では、 このような事業が、船員にとって最も重 要なニーズにあわせたサービス・施設の ネットワーク作りに役立っている。東南 アジアでも、同じような成果が生まれる ものと確信している」と、語った。 漁船員 海上の「悲惨な死」 に抗議 ITFは、タイの漁船団に乗っていた39 人のビルマ人漁船員の死に関する声明の 中で、移民労働者への容赦ない搾取を非 難した。これらの漁船員は、新鮮な食べ 物も飲み物も与えられずに、75日間も放 置されていた。船主と船長は、漁船員の 遺体を船から投げ捨てるよう指示した、 とも伝えられている。 インドネシア海域の6隻のトロール船で 働いていた漁船員の恐ろしい死に関して、 2007年4月に開催されたITF水産委員会 が出した声明は、重大な懸念を表明した。 これら漁船員には、許可証が更新される トルコでのストライキ 賃金支払われるまで、船主は乗船できず トルコのトゥズラ港でスカイ・シー 号の乗組員(上の写真)が行ったスト ライキは、現地のITF加盟組合DadDerの支援によって2006年11月に勝 利した後、解除された。12人の乗組員 のうち、10人がストライキに参加し、 50,612ドルの払い戻しを受け取った。 乗組員は、5ヶ月間も賃金の支払い を受けていなかった。特に乗組員のう ちの2人は、9ヶ月間も賃金が未払いと なっていた。Dad-Derは、10月に乗 組員から支援の要請を受けた。本船は、 鉄くずを積んできており、着岸を待っ ていた。 当初、船主は解決に向けて協力する ことを拒否していた。そのため、船長 と機関長を除く乗組員は、Dad-Derの 助言に従って、錨地から港内への移動 を拒否した。乗組員は、舷梯を引き上 げ、ITF以外は何人たりとも乗船を認め までの間、食糧などの補給品が全く与え られていなかった。 生存者と死亡した漁船員の遺族は、正当 な裁きを求めて、3月26日に訴訟を起こ した。 生存者の一人であるソー・モーは、タイ のマハチャイ裁判所で、「食糧も野菜もな く、あるのは匂う米だけだった。私の近 くにも死体があった。怖かったけれど、 どうしていいか分らなかった。とても弱 っていて、歩くことも出来なかったので、 自分も死ぬかもしれないと思った」と、 話した。 ITFは声明の中で、「裁判所の審理によ ない、と宣言した。実際、船主は、乗 船を試みたが、追い払われてしまった。 Dad-Derは、船主と代理店に対し、 一週間以内に支払いが行われなければ、 本船は拘留されるだろう、と警告した。 この結果、代理店は、数日中に全額を 支払う、と連絡してきた。 “乗組員は、舷梯を引き 上げ、ITF以外は何人 たりとも乗船を認めな い、と宣言した。” り、現代の奴隷労働の実態が暴露され、 刑事罰が下ることを望む。加えてITF水産 委員会は、インドネシア政府に対し、自 国水域で、今後、このような驚くべき人 権侵害が行われることのないよう、予防 措置を取ることを要請する。またタイ当 局に対しては、移民労働者に対する容赦 の無い搾取行為に関与した自国民を、し かるべく処罰するよう要請する」と、断 言した。 また、声明は、インドネシアのテュアル ➡ ITF Seafarers’ Bulletin 2008 9 短 信 ITFへの要請 機関室の煤煙を吸ったフィ リピン人船員が発病 ドイツのハンブルグ港に入港中の ギリシャ船主が所有するエヴァンジ ェリア号のフィリピン人船員が、 2007年8月に悲惨な船内環境への 対応について、ITFの支援を求めて きた。 乗組員の大半が医師による健康検査を 必要としている他、一部の乗組員は、船 内、とりわけ機関室の不健康な状況を理 由に、本国送還を求めていた。これに加 えて、この船主は、ITF/PNO(全ギリシ ャ船員連盟)協約を締結していたにも拘 わらず、この協約に規定された賃金を支 払っていなかったのである。しかも、全 ての乗組員が、ITF協約の規定に基づく 乗船契約書を持っていなかった。 ギリシャのヘラス・マリン社は、 2007年2月、この船舶をマルタで買っ たが、その2ヶ月後には機関室でいくつ かの故障が始まった。排気管の不完全な シールのため、機関室には常に煙が漂っ ていた。乗組員は、エヴェンジェリア号 がハンブルグ港に着くまで、4ヶ月にわ たって、この煙を吸っていた。乗組員ら は、ITF事務所に、次のように連絡して きた。「本船の主機関の運転中は、排気管 から一酸化炭素を含む大量の排気ガスが 漏れ出しているため、機関部員は呼吸困 難を感じています」 ITFは直ちに、ハンブルグ港のPSC当 局と港湾保健当局に、本船の非健康的な 状態を通報した。直前の寄港地、アムス テルダム港のPSC当局からの報告に基づ いて、既にハンブルグ港のPSC当局によ って拘留される予定となっていたエヴェ ンジェリア号からは、さらに40件もの欠 陥が発見された。ITFが警鐘を鳴らした 翌朝、港湾保健当局は本船を訪れ、大部 分の乗組員の健康検査を実施した。その 結果、保健当局は「乗組員は煤煙にさら されたため、咳、喉の炎症、黒色の喀痰、 胸部の痛みなどが見られ、医師の検診が 必要である」と勧告した。乗組員のうち 4人は、就労に不適格であると医師によ って診断され、船主の経費負担でハンブ ルグからマニラに送還された。 ITFインスペクターのウルフ・クリス チャンセンは、この他にも治療が必要な 乗組員がいたと指摘し、次のように述べ 10 ITF Seafarers’ Bulletin 2008 た。「大半の乗組員は、明らかに健康検査 を希望していなかったのです。多分、彼 らは健康検査の結果、就労に適さないと 診断され、本国に送還されることを恐れ ていたのです」 荷揚げを終了したエヴェンジェリア号 は、ハンブルグ港で拘留され、機関室の 大規模な修理を実施した。その後のPSC 当局による完工検査によって、機関室に 排気ガスが漏れていないことが確認され た。 本船のハンブルグ入港期間中に港湾保 健当局は、乗組員の健康チェックを2回、 実施した。 ハンブルグ入港中のエヴァンジェリア 号の乗組員が、現行のITF労働協約に基 づく賃金を支給されていないことが判明 したため、ITFは船主に対し、本船がハ ンブルグにいる間に、未払い賃金を支払 うよう求めた。 数回の話し合いの後、船主は要求を受 け入れ、ITFの請求金額がハンブルグの 船主代理店の銀行口座に振り込まれ、本 船に運ばれてきた。2007年の6月分と 7月分の未払い賃金総額28,336ドルが、 ハンブルグで各乗組員に支払われた。 ITFは、さらに今後、現行のITF/PNO 協約に基づいて賃金を支給するよう要求 し、船長はITFの雇用契約書を作成して 各乗組員に配布することを約束した。 “大半の乗組員は、明 らかに健康検査を希 望していなかったの です。多分、彼らは 健康検査の結果、就 労に適さないと診断 され、本国に送還さ れることを恐れてい たのです。” ➡ で、タイ籍の漁船から旅券も無い状態で 下船させられた後、引き続き困難な状況 に置かれているビルマ人漁船員の窮状に も言及している。その地域に住み着いた としても、難民の地位を与えられていな いので、地元の公安当局や移民担当官か らのゆすりなどに遭遇しやすい。それゆ え、インドネシア政府が彼らに対し、難 民の地位を与えるよう、ITFは要請してい る。 海事政策 欧州の 「失われた機会」 ITFの欧州地域組織である欧州運輸労連 (ETF)は、EUの海事政策案が船員に影 響を与える重要な問題を扱っていない、 と批判している。 2007年10月10日に欧州委員会(EC) が採択した、「青書」として知られるEU 総合海事政策は、EUの船員が直面してい る深刻な雇用危機への対応が全く不十分 で、雇用に及ぼす競争の影響を低減させ る対策を講じずに、規制緩和を推進し、 自主規制を大幅に認めるものだ、とETF は主張している。 一方、一定のEU社会指令から船員を除 外する根拠を見直す過程で、社会パート ナーとの協議を行う動きについては歓迎 した。しかし、EU諸国の旗を掲げる船に 乗り組む船員が居住地や国籍により差別 されている問題や、便宜置籍船(FOC) と基準以下船が船員に及ぼす影響に言及 していない等、未解決の問題が残されて いる点に懸念を表明した。 米国 一時上陸の規制緩和 に努力 米国商船委員会は、主な海事コードに 定める国の義務に則り、船員の上陸許可 の取得が、より簡単に行えるよう、米国 政府に対して勧告した。 商船人事問題諮問委員会は、2007年4 月、船員が上陸許可を取りやすくなるよ う、いくつかの勧告を行った。組合代表 や、教会牧師を通じて船員の個人的な面 倒を見てきたアポストルシップ・オブ・ シーを含むシアトルでの会議の参加者は、 牧師や組合代表の訪船が、もっと簡単に 行える必要性を強調した。 勧告は、ITFの報告、「アクセスの拒否」 に含まれている情報を基に作られ、船員 の一時上陸を容易にするためになされる べき国の義務は、国際海事機関(IMO)の国 際船舶・港湾施設安全コード(ISPS)に 述べられている、と指摘している。 勧告は、ISPSコードの主要な側面につ いて見直しを進め、その上で船主や運航 責任者に対し、船舶で働く人や船員にと って一時上陸が得やすく、船員福祉団体 や労組の代表などの訪船者とも会い易く なるよう、仕組みの改善を求めている。 また、もう1つの勧告は、船員の一時上陸 や訪船者へのアクセス改善手続きを盛り 込めなかった「施設安全計画」を承認し ないよう、米国沿岸警備隊に求めている。 会議に参加したITFコーディネーターの ジェフ・エンジェルスは、「米国の沿岸警 備隊が、今回の勧告を考慮してくれるこ とを願っている。船員の一時上陸の権利 が維持され、診療所など陸上福祉関連施 設を利用することが容易になることは基 本である」と、語った。 欧州 北欧の行動週間 改善の継続を目指す 北欧で運航されている船舶の基準以下 の労働条件をターゲットにした、ITFの1 週間に及ぶ行動は圧倒的に成功し、船員 の生活によい影響が継続するものと見込 まれている。 2007年6月8日に終了したITF行動週 間中、ITFインスペクター、港湾労働者組 合、船員組合は、船内での人間らしい条 件を維持することを目指し、便宜置籍船 と自国籍船の査察を行った。行動週間に 北欧FOC 行動週間(2007年6月4∼8日)に行動を起こすヘイシャム(英国)の活動家。多数 のFOC船や基準以下船が査察対象となった。 参加したのは、ベルギー、デンマーク、 エストニア、フィンランド、フランス、 ドイツ、アイルランド、ラトビア、リト アニア、オランダ、ノルウェー、ポーラ ンド、ロシア、スウェーデン、英国であ る。 主な成功例には、ドイツにおける12件 の新たな協約締結が含まれ、ハンブルグ でCMA CGMイグアク号(リベリア船籍) やMSCブレーメン号(リベリア船籍)が ボイコットされたように、その多くは行 動を起こすことにより達成された。フラ ンスのシェルブールでは連帯行動も実施 され、ノルマンディー号がバリケードで 封鎖されたが、アイリッシュ・フェリー 社とケルティック・リンク社が団体交渉 協約について話合いを開始することに合 意したため、バリケードは解除された。 一方、ポーランドでは、組合とパナマ籍 船エレニK号の船主の間でITF協約に関す る協議が行われ、コロンビア・シップマ ネージメント社が、ケープ・フルマー号 (マーシャル船籍)に関するITF団体協約 を締結することを約束した。 ITF海事コーディネーターのスティー “船員の一時上陸の権利が維持され、診療所など陸 上福祉関連施設を利用することが容易になること は基本である” ブ・コットンは行動週間を、「今までにな いこと」と評価した。彼は、「ヨーロッパ 中で何百隻もの船舶が査察され、安全、 未払い賃金、劣悪な労働条件などの問題 が取り上げられた。港湾労働者、組合、 そして国境を超えた仲間から支援を得る ことが出来た。この行動週間は、実施さ れた週を遥かに超えた継続的な効果をも たらしている」と、コメントした。 荷役 船員の荷役を非難 ITFは、2007年5月に、オーストラリ アのケンブラ港で港湾労働者が行うべき 作業に船員が使われたことに対し、怒り を表明した。 イタリア所有でマルタ船籍のバラ積み 船「ケイポ・ノリ号」で、乗組員が本船 クレーンを使っての石膏の荷揚げ作業を 指示されたことから、地元や国際的な労 組から抗議を浴びる結果となった。カナ ダ・スティームシップ・ライン(CSL)が チャーターしたケイポ・ノリ号は、オース トラリア籍でオーストラリア人を乗組ま せた船の代わりにケンブラ港に初めて寄 港したもので、本船荷役ができる船では なかった。 本船に適用されているITF承認協約に文 字通り違反して、フィリピン人乗組員に 対し本船の装置を使って揚げ荷するよう 指示が出された。ITF承認協約は、本船 の乗組員も他の者も、地元の港湾労組の 事前の承諾なしに荷役作業を命じられる ことはない、と定めている。ITF加盟の オーストラリア海事労組(MUA)組合員 ➡ ITF Seafarers’ Bulletin 2008 11 便宜置籍船(FOC)と基準以下船に対するITFキャンペーン 2007年の数字と実績 ➨ 2007年にITFインス ペクターが訪れた船は、 9,545隻であった。平均 すると、年間を通じて、1 時間当たり1隻以上とな る。 ➨ 査察は、世界中の 657港湾で実施された。 ➨ ITFのFOCキャンペ ーン活動によって、 2007年中に回収された 船員の未払い賃金と補償 金の合計は、1660万ド ルを超える。 ➨ITFが実施した査察の 82%は便宜置籍船であ ったが、過去に劣悪な実 績を残した船も特別査察 の対象となった。(25ペ ージのFOCリスト参照) 12 ITF Seafarers’ Bulletin 2008 ➨ 世界43カ国の港湾 ➨ 2007年にITF団体 で、120人のITFインス ペクターが活動してい る。 協約の適用を受けた船員 数は、209,950人であ った(2006年は193, 325人) 。 ➨ 2007年中に、ITF 加盟の船員労組とFOC 乗組員は、FOCキャン ペーンの支援を受けて、 世界4大陸の21カ国で 争議行動を実施した。 ➨ 2007年にITF協約 が適用された便宜置籍船 は、合計9,105隻であ った (2006年は8,161 隻)。 短 信 ➡ が、伝統的に荷役作業を行っている。本 船には、地元のITFインスペクターが乗 組員に接触することを拒否した、という 別の協約違反もあった。 組合を支援するために地域でピケが張 られ、ケンブラ港の労働者への連帯メッ セージがオーストラリア全土から寄せら れた。この事件は、オーストラリア港湾 の働き甲斐のある人間らしい労働条件 に、更に攻撃が加わる前触れではないか、 と懸念されていた。 「世界中のITF加盟組合は、この事件に 驚いている。港湾労働者は、船員の権利 を支援する極めて重要な役割を負ってい る一方で、働き甲斐のある人間らしい仕 事と安全に対する権利も有している。 ITFは、港湾労働者と船員の公正な取り 扱いを求めて闘うMUAとケンブラ港の 地域社会を、全面的に支援している」と、 ITF書記長のデビッド・コックロフトは語 った。 APモラー/マースク 対話を歓迎 デンマークのコペンハーゲンで開かれ ていたデンマークの巨大海運会社APモ ラー/マースク社と22カ国のITF加盟労 組の会議が、2007年4月に終了した。 この会議について、「会社とそこで働く 労働者の双方の利益となることを望む旅 の第一歩」と、ITFは表現している。 2日間にわたって開催されたこの会議 は、デンマークの労組3Fが主催し、32 の労組の代表が出席した。APモラー/マ ースク社のクヌート・ポントピダン先任 副社長は、この会議において挨拶し、会 議終了後の記者会見にも出席した。 会議後に行われた記者会見でITFのラ ンドール・ハワード会長は、「グローバル 経済の時代には、内部の連携をより効果 的に図ることと、労働者にも会社にも利 益となる対話を始める用意があるAPモ ラー/マースクのような主要企業と建設 的な関係を構築することが、労働組合に は必要である。」と、コメントした。 ●船員関係のITF活動や労働組合の 活動についての最新ニュースは、 www.itfglobal.org/seafarers/index. cfm からアクセスできる。 エストニア 船が拘留された後、648,236ド ルが二人の乗組員に配分された 筆者:ヤヌス・クイフ(タリン港の ITFインスペクター) 2006年7月、マルタ籍船アイシス号の 船員から、未払い賃金の苦情を受けた。私 は、エストニアのヤニフェルド海運に連絡 し、未払い賃金と会社の責任について知ら せた。会社は、所有船の一隻を売却して乗 組員の未払い賃金を支払いたい、と回答し てきた。 しかし、何も変わらなかった。2006年 の8月から10月にかけて、私はさらに未払 い賃金についての苦情を受けた。この船が 売却され、ノルディック・シッピング・グ ループが新しい船主となったことを知った のは、10月になってからだった。その後、 この船社は、マルタ船籍のフィオナ号に適 用するITF承認協約をフランスで締結し、エ ストニアに住む乗組員の家族に賃金の未払 い分を支払った。2006年10月までの未払 い賃金総額は、97,161ドルであった。 我々は、フィオナ号とアイシス号の乗組 員に会った。船主の代表、オレグ・バラバ ノフは、所有権と2006年10月4日以降の 未払い賃金の支払いについて、我々に知ら せてきた。 2006年11月には、バラバノフとのミー ティングを数回、開いた。我々は乗組員の 未払い賃金の支払いスケジュールについて 合意し、覚書に調印した。未払い賃金と支 払いに関する覚書について、銀行にも報告 した。 しかし、11月末に我々が銀行から得た情 報によれば、バラバノフが船を買い取るた めの資金は、まだ銀行に入金されていない、 とのことであった。我々は直ちに、フィオ ナ号を差し押さえるよう、弁護士に依頼し た。 こうしてフィオナ号は、2006年12月 15日、11人の船員の未払い賃金、約10万 ドルの担保として差し押さえられた。3日後 にはアイシス号も、27人の乗組員の未払い 賃金、約15万ドルのために差し押さえられ た。 我々は、これらの件を裁判所に提訴し、 2007年1月18日、裁判所は我々に有利な 決定を下した。 これらの船は競売にかけられ、4月23日 にアイシス号、6月4日にはフィオナ号がエ ヴィア海運に売却された。2007年6月まで の未払い賃金が計算され乗組員に支払われ たが、その総額はアイシス号が333,966ド ル、フィオナ号が314,270ドルであった。 “11月末に我々が 銀行から得た情 報によれば、船 を買い取るため の資金は、まだ 銀行に入金され ていない、との ことであった。” 差し押さえられた船の傍らに立つ、 ヤヌス・クイフITFインスペクター ITF Seafarers’ Bulletin 2008 13 エンチャンテ ド・カプリ号 (IMO番号: 7359474)の 元乗組員全員 へのお知らせ ITFは、エンチャンテ ド・カプリ号に関する 米国での訴訟によって 徴収された、関係する 元乗組員のための清算 金を保管しています。 2000年から2001年 にかけて、エンチャン テド・カプリ号に乗船 し、賃金の未払いがあ る元乗組員は、清算金 を受け取る権利を確認 する必要があるため、 直ちにITFに連絡してく ださい。 連絡先は下記の通り: Head of Action Unit ITF ITF House 49-60 Borough Road London SE1 1DR United Kingdom Tel: +44(0)207 403 2733 Fax: +44(0)207 357 7871 Email: [email protected] Internet: www.itfglobal.org メキシコ湾内に係留 されていたカジノ船 の乗組員は、船主が 不正な取引のあげく に、この船の運航を 放棄したため、船内 に取り残されてしま った。アナ・リリ ア・ペレスが報告す る。 米 国の共同企業体、フィエスタ・クル ーズ・ラインが所有するフィエス タ・カジノ号は、メキシコで運航さ れる、この種の船としては最初のものだった。 しかし、燃料、飲料水、食料もない船内に乗 組員が取り残された後、この船はメキシコ湾 で錆びるにまかされている。 国際海事機関(IMO)によって廃船とされ たこの船に残された、主としてメキシコ人か らなる15人の乗組員と米国人のエディー・ナ ルシソ・ゴメス船長は、メキシコ官僚の汚職 と船主による船体放棄の被害者である。 この状況は、フィエスタ・クルーズ・ライ ンとその子会社、トライデント・ゲーム開発 社、MHDエンタープライズLLC社、MHDメ キシカーナ社に対して、乗組員が苦情を申し 立てたことによって発生した。乗組員は、数 ヶ月にわたり賃金を受け取っていなかった。 この船が裁判所による運航差し止め命令の対 象となったため、本船が移動することも、乗 組員が下船することもできなくなった。 現代の海賊 2年前にフィエスタ・カジノ号がメキシコ 領海に到着して以来、この船は汚職の網の目 にはまり込んでいた。 当時の内務大臣はフィエスタ・クルーズ・ ラインに対して、このカジノ船をメキシコの シーフェアラーズ ブルテン Seafarers' bulletin International Transport Workers’ Federation 国際運輸労連 no. 22 / 2008 特集 恥辱の カジノ船 領海内で運航するための免許を与えると約束 していた。ところが、2005年8月、MHD社 が、本船をメキシコ湾岸沖に到着させた際、 運輸通信当局(SCT)が発給した書類と商船 所管当局(DGMM)が発給した航行許可証を 提示したところ、これらは偽造書類であるこ とが発覚した。フアレス港の港長は、関係書 類が偽物であるにもかかわらず、コスメル港 とプラヤ・デル・カルメン港まで航行するこ とを認め、そこでカジノ船としての運航をス タートさせた。 この時点で船主は、フィリピン人を主体と する乗組員に対し、数ヶ月にわたって賃金、 燃料、飲料水、食糧などを供給していなかっ た、とメキシコのエンリケ・ロサノITFインス ペクターは述べている。そのうえ、外国人で “2年前にフィエスタ・カジノ号がメキシコ領 海に到着して以来、この船は汚職の網の目に はまり込んでいた。” 我々の権 利が賭け 事に ITFの救援活動 日 本 語 フィエスタ・カジノ号のエディ ー・ゴメス船長。彼は乗組員と共 に、船主と港湾当局によって事実 上、遺棄された。 あるとの理由で、彼らの上陸は認められなか った。ITFの圧力によって、2006年1月、船 主は乗組員の未払い賃金を支払ったが、その 金額は81,000ドル以上になった。 ところが、3ヶ月後に船長が下船すると、 状況は一段と悪くなった。通商法や国際条約 が港長の介入を規定しているにもかかわらず、 港長は本船の問題に介入することを拒否した。 そこで、ITFが再び手を差し伸べた結果、乗組 員は下船することができた。フィエスタ・カ ジノ号は、ユカタン州のプログレソ港に移動 し、そこで非合法に入渠が認められ、メキシ コ人船員を雇い入れた。 2006年8月、港長は本船がベラクルスに 入港することを許可した。フィエスタ・カジ ノ号は船籍をパナマからベリーズに変更し、 サクリフィシオ島沖に錨を下ろし、秘密のカ ジノとして営業を開始した。本船は、メキシ コに到着してから12,000海里を移動してい た。 4週間にわたって、海上カジノは、州政府 やSCT当局などの「特別ゲスト」のために営 業した。同じ会社が所有する280人乗りの高 速フェリー「キジバト号」が、賭博客の海上 輸送を行った。2006年10月14日、船長が 休みの日に、キジバト号は座礁してしまった。 15分も経たないうちにメキシコ海軍の小型 ➡ ITF Seafarers’ Bulletin 2008 15 ●争議行為を起こそう と思っていますか? ●先ず、この文章を 読んでください! ITFは、便宜置籍船に乗り組む 船員が、正当な賃金と適正な団 体協約の適用を受けられるよう、 支援することを約束しています。 時には船員が、現地の裁判所 に提訴しなければならないこと もあります。場合によっては、 船舶に対するボイコット行動も 必要です。どのような手段が適 切かは、国または場所によって も異なります。ある国では適切 な行動が、他の国においては全 く不適切なこともあります。 最初に採るべき行動は、先ず、 現地のITF代表に連絡することで す。このITFシーフェアラーズ・ ブルテンに記載されている住所 と電話番号等を参照してくださ い。何らかの行動を採る前に、 現地の助言を必ず得てください。 一部の国においては、船舶 の乗組員によるストライキが、 違法行為となることもあります。 そのような場合には、現地のITF 加盟組合の代表が、状況を説明 します。 多くの国において、労使紛 争での勝利の鍵を握るのは、ス トライキ行動です。この場合に も、現地の助言に基づいて行動 する必要があることは言うまで もありません。多くの国で、船 員には、航行中を除き、入港中 のストライキ権が法律上、認め られています。 あらゆるストライキ行動にお いて重要なことは、規律と安全 を守り、団結を維持することで す。多くの国で、ストライキ権 は基本的人権の一部として、法 律あるいは憲法により保障され ています。 どのような行動を選択する にせよ、事前に現地のITF代表に 連絡することを決して忘れない でください。お互いに協力する ことによって、我々は正義と基 本的権利の闘いに勝利すること ができるのです。 ➡ 恥辱のカジノ船 ボートが駆けつけ、「特別ゲスト」を救出して いった。ところが、高速フェリーの乗組員 (機関士2人、操舵手1人、その他の船員5人) は、15日間にわたって、食糧も、飲料水も、 寝る所もない船内に置き去りにされた。 操舵手のカルロス・アナヤは、次のように 述べた。「船主は、乗組員を人道に反して遺棄 し、運命に任せてしまいました。私たちは、 何もなく、椅子で寝ました。彼らは、時々、 食料と水を持ってきただけで、ほとんど何も してくれませんでした」 高速フェリーがドラマチックな事故を起こ したため、州政府はベラクルス沖にカジノ船 が存在することを認めざるを得なくなった。 商船局のライムンド・マタ・コントレラス次 長は、ゴメス船長に対し、早急に船を放棄す るよう督促した。こうして乗組員は上陸し、 州政府はフェリーを民間埠頭へ移動させた。 州知事は、フィエスタ・カジノ号を塗り直す よう命じ、州政府の権限を使って船籍登録を ベリーズ船籍に変更し、船名も変更した。本 船は、今では、プライベートなイベントに利 用されている。 遺棄された乗組員 2007年2月22日、船舶代理店のロハス・ ベラ商会は、MHDメキシカーナ社の代理とし て行動することを拒否した。座礁したフェリ ーの乗組員を含むフィエスタ・カジノ号乗組 員15人は遺棄され、修理のためガルフ海軍工 場(TNG)に係留された本船に、運命をあず けることになった。 ゴメス船長は港長に援助を求めたが、介入 は不可能であると告げられた。港湾当局の怠 慢が乗組員の問題を増大させた、と船長は主 張している。5月4日、船員たちは、裁判が開 始されるまで、本船を差し押さえることにつ いて、メキシコ連邦仲裁評議会から承認を得 た。この予防的措置のために、船員たちは大 きな犠牲を払わねばならなかった。すなわち、 彼らは上陸することを諦めねばならなかった。 上陸すれば、「本船を放棄した」と見なされ、 結果的に数ヶ月分の賃金を失う可能性があっ たからである。 ようやく船を離れることができるようにな った6月15日まで、彼らは労働組合から差し 入れられるパンと清涼飲料水以外、照明も食 “乗組員は、労働組 合から差し入れら れるパンと清涼飲 料水以外、照明も 食料もない船内で 生き延びなければ ならなかった。” 無料 オンライン船舶情報 ●自分が乗っている船舶の情報を知りたいですか? ●自分の船に、ITF承認協約が適用されているかどうか、 確認したいですか? 料もない船内で生き延びなければならなかった。 このような困難にもかかわらず、1986年にノル ウェーで建造されたかつての豪華船のカーペットや 照明器具類やバーの設備などを維持管理するため に、乗組員は懸命に働いた。フィエスタ・カジノ号 は、2004年までフロリダ沖でカジノ船として運航 されていたが、この頃は、既に、全くの廃船になっ ていた。 船長は、本船の現状を、次のように語った。「私 たちがこの地で経験した日々は、昨日も、それ以前 も、不安と苦悩と心配に満ちています。時速80キ ロの暴風が、我々の船にまともに吹き付けました。 本船は3月14日以来、停電したままです。2006 年11月以降は、一滴の燃料も補給されていないの です。飲料水も食料も全くなくなりました。その上、 賃金は何か月も受け取っていません。港長に本船の 状況を知らせましたが、何の反応もありません。 TNG(ガルフ海軍工場)と港長は、船舶と港湾施 設に関する国際保安コードを無視しており、明らか に、このコードに違反しています。」 エンリケ・ロサノは、SCT当局者の無責任さを 非難し、「SCTの怠慢と不作為は、彼らが共犯者で あることを示しています」と、述べている。 フィエスタ・クルーズ・ライン社での7年を含め て、30年の経験を持つゴメス船長は、「わが国の大 使館も、私の援助要請を無視しました」と語ってい る。彼は2月にフロリダに帰ろうとしたが、出発の 2日前になって、パスポートを移民局の係官に取り 上げられてしまった。ゴメス船長は、本船の紛争が 連邦政府と州政府関係者の汚職に絡み、問題を一層 紛糾させる結果になった、と言う。 「全く恥ずかしい、恥さらしのカジノ船だ」と、 彼は言っている。 筆者のアナ・リリア・ペレスは、メキシコの不正調 査月刊誌「コントラリネア」のジャーナリスト。本 記事は、コントラリネア誌に掲載された記事の要約 である。エディー・ゴメス船長は、その後、マイア ミに送還された。 ●自分の船の詳細な安全記録を入手したいですか? 上記のような場合には、無料のオンライン船舶情報(www. equasis.org)に アクセスして下さい。 このウェブサイトでは、船舶所有者の詳細情報やポート・ステート・コント ロール(PSC)の査察記録などの船舶情報を検索することができます。また、 その船に適用されているITF協約の有無、最新のクルー・リスト、ITFの査察を 受けた最近の日付と港湾名などの情報も入手できます。 このサイトを利用するためには、簡単な無料登録手続きが必要です。 登録方法 ● まず、www.equasis.orgに接続します。 ● 次に、左側のメニューから、Registration(登録)を選択します。 ● 提示された諸条件に同意する場合は、下端のAccept(承認)を選択します。 ● 表示された登録用紙に、ユーザー名、パスワード、氏名、住所、Eメール・ アドレス、その他の情報を入力します。 ● この手続きの後、手続きの完了を確認するメールが届きます。これにより、 船舶検索サービスが利用可能となります。 サービスの活用方法 船舶の検索は、船名、コール・サインまたはIMO登録番号から行うことができ ます。先ず、検索された船舶のメイン・ページが表示されます。 ● 船舶情報−船名、船種、船籍、建造年 ● 管理―所有者の詳細 ● 船級協会 ● 安全・管理 ● P&I保険情報 さらに、トップ・メニューから、以下の情報に接続できます。 ● 証書 ● 査察と配乗―PSCの査察、PSCによる人的要素、ILO条約、ITF情報 ● 履歴―船籍、船舶所有者の履歴など。 プロに聞く 海上生活の 印象 筆者:スティーブン・マ ッケイ(以下に要約した フィリピン人船員の研究 者) 「船員であることは、大い に水死の可能性がある有給の 刑務所暮らしのようなものだ」 これは、船員たちの間では 陳腐な表現かも知れないが、 船員自身が海上生活をこのよ うに表現するのを初めて聞い たとき、海上の生活と労働の 独特な性格を簡潔に捕えてい ることに、私は強い印象を受 けた。 私が、調査員として乗船し たのは、合計2ヶ月半にすぎ ない。しかし、船員たちが、 彼らの生活や家族や仕事など について、孤独で隔離され、 Steve McKay フィリピン人船員 時には危険な環境で、また時 には甲板での作業中に語って くれた言葉によって、私も船 員生活を体験することができ た。船員たちが熱心に私に話 してくれた理由の一つは、彼 らの言葉を私が容易に理解す ることができたためであろう。 私の父は機関員として船に乗 り、2等機関士になるまで35 年以上の海上生活を送り、そ の後に退職した商船船員だっ たのである。 遠く離れた父を持って成長 した私の境遇は、船員の話を 引き出す手がかりとなった。 おそらく、彼らが最も残念 に思うことは、家族の生活を 支えるために家族と離れなけ ればならないという、残酷な 皮肉であろう。船員を選択す ることによって、息子の最初 のことば、娘の結婚式、親の 逝去など、家族にとって重要 な機会を家族とともに持つこ とができなくなる。 しかし、このような苦労に もかかわらず、海上勤務と生 活の真の意義を見出す方法を、 彼らは発見している。風力11 の暴風の中の航海や神経質な エンジンの故障、限られた予 算の中での美味しい食事をひ たすら作ることなど、彼らは 船員のプロフェショナルとし て、誇りを持って自分たちを 「フィリピ人船員」と呼ぶので ある。 苦しい。しかし、諦めない 海 上労働者の約3人に1人は、フ ィリピンの出身である。船員 の最大グループはフィリピン 人であり、海運産業全体では25万人 を超える。サンタクルスのカリフォル ニア大学、スティーブ・C・マッケイ 社会学部准教授が最近実施した学術的 調査では、フィリピン人船員が自分た ちをどのように見ているのかに注目し ている。2003年にフィリピンで100 人の船員に対して行われた、1人当た り2時間の面接調査は、船員がどのよ うにアイデンティティーを形成してい るのかについて、啓発的な洞察を含ん でいる。 永い歴史 マッケイ准教授の調査の主眼は、16世 紀のスペインのガレオン帆船で強制労働者 であった頃からのフィリピン人商船船員の 長い歴史に向けられている。米国が1936 年に、米国籍船での外国人雇い入れを禁止 したため、フィリピン人船員は国際海運か ら一度は姿を消した。けれども1970年代 に入ってから、便宜置籍国への船舶の移籍 18 ITF Seafarers’ Bulletin 2008 フィリピン人船員の補助的な“英雄” 船内で低いランクに留まっている。2000 というイメージに、彼らがどのよう 年の数字では、職員は15%にすぎない。 に挑戦しているのかを、学術的調査 「フィリピン人らしさ」のイメージ が解明する。 フィリピン政府は、フィリピン人船員を と安価な労働力の需要に助けられ、労働市 場におけるフィリピン人船員の数は爆発的 に増加する。米国の基準による英語の訓練 を受け、資格証明書を持つフィリピン人船 員は、海運企業にとって大きな魅力となっ た、と彼は語る。 1980年代のある年には、欧州の船で雇 用されたフィリピン人船員の数が、2,900 人から17,057人に増加した。その後も、 世界の船舶に乗り組むフィリピン人船員の 数は急速に増え続け、2001年には 255,000人を超えた。現在では、国際海 運産業におけるフィリピン人船員は、 28.1%を占める最大グループを構成して おり、毎年20億ドルを本国に送金してい る。この額は、海外で働く全フィリピン人 労働者が公式に送金する外貨総額の約 30%に当たる。 しかしながら、人数や経済的貢献度の重 要性にもかかわらず、フィリピン人船員は 他の国籍の船員と区別するために、大きな 努力を注いできた、とマッケイ准教授は述 べる。国は、船員を含む海外労働者の役割 をバゴン・バヤニ(国の新しい英雄)と賞 賛し、とりわけ船員に対する感謝を表すた め、1995年には国の祝日として「船員の 日」を制定している。 政府と海外就労産業は、「フィリピン人 らしさ」のイメージを形成し、海外労働者 の役割を強化するとともに、国家にとって 極めて重要な外貨送金が続くよう努力して いる、と準教授は語る。船員については、 伝統的なフィリピン独特の「家族の価値」 と男性の役割が強調されている。同時に、 男性の攻撃性の行き過ぎを抑制するため、 犠牲の精神、事後に得られる満足感、不平 を言わずに仲良くやっていく能力などに重 点を置いている。 これに対してフィリピン人船員自身は、 このイメージの束縛を乗り越えて、船内や 歓迎しているが、一部には政府が「英雄」 たことは、フィリピン国家が奨励する「新 たな英雄」ではあるが、従属的な立場の船 などという用語を使うことに批判的な意見 員イメージに挑戦するための新たな意義 もあった。ある船員は、「政府は、私たち を、フィリピン人船員が創造していること を援助してはくれません。私たちをおだて である、とマッケイ准教授は述べた。 て、船員は貴重なんだ、と思わせようとし 彼ら自身の物語を記録する しかしながら、彼らを助けるこれらの方 ているだけなのです」と述べた。 面談したフィリピン人船員は、従順で言 策が、彼らの従属的な立場を持ちこたえて それでも、面接に応じた船員たちは、豊 いなりになる従属的な性格を有するとされ はいるが、労働市場や船内における搾取的 かな経験を持つ冒険家、一家の大黒柱、多 ることに対し、大体は抵抗を示した。それ 関係や露骨な人種差別に、彼らが正面から 彩な性の経験者、親分、父親、そして夫と よりも、彼らの持つ経験、融通性、工夫の 挑戦しているわけではない。 しての地位を高めてくれる「英雄」のイメ 才能などで支えられた仕事へのプライドを ージの利点を享受していた。 表現した。 ある船員は、 「私の住んでいる地方では、 「フィリピン人船員:エスニックな労働市 ある機関士は、彼らの手の器用さと熟練 近所の人たちが、海上で暴風雨に遭遇し、 場での男性社会の構築」スティーブ・マッ 度を、次のように強調した。「私が乗って ケイ著。人種と移民研究ジャーナル(第 命拾いをした物語や、女性についての経験 いたある船では、ドイツ人の一等航海士が 33巻、第2号、2007年5月、617∼ 一緒でした。私たちが修繕しているとき、 や、その他のいろいろな経験についての話 を聞き、その緊張とスリルを分かちたがり、 633ページ)より。 彼は資料を読みながら指示を出します。フ ィリピン人船員たちは、彼を見て笑います。 私をアイドルのように扱いがちです」と語 った。 なぜなら、簡単な故障なのに資料を読んで 彼らの物質的な豊かさも、彼らの地位を いるからです。彼らは資料ばかりを頼りに して、工具を手にしたことがないのです。 」 高めている。一人の船員は、「船員になる ことによって、私は家を建て、車を購入し、 大多数の回答者が強調したのは、彼らが 家財道具を買うことができました。これは、 自国にもたらす各種の利益であった。ある 私の誇りです」と、得意げに語った。 船員は、次のように指摘した。「私たちの 船員職業は、よい結婚相手の条件でもあ 自己犠牲や、私たちが常に他の人々のこと る。既に結婚している若い2等航海士は、 を考えていることで、私たちはバゴン・バ ヤニと呼ばれているのです。家族を援助す 「近頃の女性は、安定した生活を求めてい ます。彼女たちは、船員が既に安定した生 ることが、私たちの生きがいなのです。私 活を手に入れていることを知っているので たちは故国の家族に外貨を送金することに す」と、述べた。 よって、政府をも支援しています。 」 これらの面接調査によって明らかになっ 多くの船員は一般の認識が高まることを 労働市場における従属的な立場を意義付け るため、彼ら自身のアイデンティティーを 築こうとしている。 “家族を援助することが私 たちの生きがいなのです。 私たちは故国の家族に外 貨を送金することによっ て、政府をも支援してい ます” ITF Seafarers’ Bulletin 2008 19 漁船員 船員なのか、奴隷なのか? 一部の海上労働者たちは、奴隷的環 境で耐え忍んでいる。スコットラン ドのITFコーディネーター、ノリー・ マックビカーの報告。 こ のほどスコットランドのウラプールに 入港した漁船、エンクセンバー号のケ ースは、国際労働機関(ILO)が定め た奴隷―強制労働―の諸条件を、全て備えて いた。 2006年10月、6人のインドネシア人漁船 員は、ジャカルタの雇用斡旋業者に一人当たり 500ドルを支払った後、チリ人船長とともに、 スペイン人所有の英国籍漁船、アタラヤ号に乗 船した。このような慣行はインドネシアでは一 般的とされているが、1996年の船員の雇用と 配乗に関するILO条約第176号の明確な違反で ある。嘆かわしいことに、英国政府は、この条 約を、未だに批准していない。 乗組員は、インドネシアで雇用契約書に署 名したが、斡旋業者がコピーを渡すことを拒 否したため、二度と契約書の内容を見ること はなかった。しかも、それが18ヶ月間の契約 で、1ヶ月の賃金が800ポンドであることを 確認するための十分な時間も与えられなかっ た。彼らがスペインで乗船する気になったの は、そのためだった。ところが、その後の10 ヶ月間、彼らが支給されたのは、1ヶ月につ き241ポンドに過ぎなかった。 2007年7月、乗組員は、アタラヤ号が英 国の新たな船主、エルコン・レジャー社に譲 渡された、と告げられた。船名はエンクセン バー号に改められ、船籍もセントキッツ&ネ 船 主と代理店の脅迫行為があったため、 8月17日、我々は乗組員を支援して、 本船を差し押さえた。船主は、それ でもなお、乗組員の賃金と本国送還費用の責 任を拒否した。しかし、8月29日になって、 船主は75,000ドルをITF/船主弁護人の共同 口座に預託したため、本船の差し押さえの解 除ならびに船員の要求についての交渉が可能 になった。 エンクセンバー号は、ウラプール港を出て、 スペインのビゴ港に向かった。船主は、乗組員 のホテルと帰国費用を船主負担で手配した。 私がエンクセンバー号の乗組員の苦情処理 のためにウラプールに滞在中、さらに3人のイ ンドネシア船員から、英国籍船アトランティ ックE号の同様な状況について、苦情が申し立 てられた。相違点は、乗組員が実際に、「総合 賃金月額」315ドルの雇用契約書に署名して いることであった。アトランティックE号の乗 組員の一人は、毎日20時間の労働に耐えられ なかったため、2ヶ月の乗船後、インドネシア に送還されていた。彼は18ヶ月の契約を満了 することができなかったため、彼自身と彼の 交替船員の航空運賃を負担させられていた。 彼は他にも、この職場を得るために雇用斡旋 業者に600ドルを支払っていた。 この事件で、最もうんざりさせられるのは、 EU漁業委員会の鼻先で、現代の奴隷労働が繰 り広げられていたことである。 漁業委員会は、漁船の操業許可の責任を負 っている。操業許可では、漁船の大きさ、機 関の最大出力、魚網のサイズ、漁獲量の規模、 その他の機器を規定しているが、船員または 漁船員の人権と労働組合権についての支援の 表示や、ILOの原則に基づいて強制労働を追 放しようとするEUの意図は、どこをさがして も見当たらない。 “乗組員がITFに語った ところによると、操業 中は毎日平均20時間 労働で、可能な場合の 睡眠時間は2時間に過 ぎず、休息時間は最大 でも僅か4時間であっ た。” ITFによって未 払い賃金を確 保したエンク センバー号の インドネシア 人船員 20 ビスになった。最悪の事態を恐れた乗組員は 詳しい情報を要求したが、この時点での帰国 は契約違反であり、船に留まるのがいやなら 自費で帰国し、交替する乗組員の呼び寄せ費 用も負担しなければならない、と船主に通告 された。 2007年8月、エンクセンバー号がウラプ ールに入港した際、ITFは乗組員の苦情を調 査し、現地の代理店と船主に賃金明細書と雇 用契約書のコピーを要求したが、何の反応も なかった。 乗組員がITFに語ったところによると、操 業中は毎日平均20時間労働で、可能な場合の 睡眠時間は2時間に過ぎず、休息時間は最大 でも僅か4時間であった。洋上での操業は3ヶ 月間続き、操業と操業の間の数日間は、港で の休養に当てられていた。労働時間の記録は 存在しなかった。 機関長は、23ヶ月間で合計1,450ドルを 毎月の賃金から「企業保険」として差し引か れていた、と述べているが、彼の契約書では 合意されていなかった。 8月16日、現地の代理店は、賃金の清算も しないまま、乗組員を無理やりタクシーに乗 せて空港に行かせようとした。船主は、現在 の乗組員が下船しても本船をスペインまで回 航できるよう、3人のポルトガル人船員を送 り込んでいた。 ITF Seafarers’ Bulletin 2008 ITFの連絡先 ITFインスペクター 本部 49/60 Borough Road, London SE1 1DR United Kingdom 電話:+44 20 7403 2733 ファックス:+44 20 7357 7871 テレックス:(051) 8811397 ITF LDNG Eメール:[email protected] ウェブサイト:www.itfglobal.org アフリカ地域事務所 PO Box 66540, Westlands, Nairobi, Kenya 電話:+254 20 44 480 19 ファックス:+254 20 44 480 20 Eメール:[email protected] アフリカ・仏語圏事務所 1450 Avenue Kwame Nkrumah, 11 BP 832,CMS Ouagadougou 11, Burkina Faso 電話:+226 50 301979 ファックス:+226 50 33 31 01 Eメール:[email protected] アラブ地域事務所 PO Box925875, Amman11190, Jordan 電話/ファックス:+962(0)6 569 9448 Eメール:[email protected] アジア太平洋地域事務所 〒108-0023 東京都港区芝浦3-2-22 田町交通ビル3F 電話:03-3798 2770 ファックス:03-3769 4471 Eメール: [email protected] ウェブサイト:http://www.itftokyo.org アジア小地域事務所 12D College Lane, New Delhi 110001, India 電話:+91 112 335 4408 ファックス:+91 112 335 4407 Eメール:[email protected] 欧州地域事務所 欧州交運労連(ETF) Rue du Midi 165, B-1000 Brussels, Belgium 電話:+32 2 285 4660 ファックス:+32 2 280 0817 Eメール:[email protected] 欧州小地域事務所 21/1 Sadovaya Spasskaya, Office 729, 107217 Moscow, Russia 電話:+7 095 782 0468 ファックス:+7 095 782 0573 Eメール:[email protected] ウェブサイト: www.itf.ru 米州地域事務所 Avda. Rio Branco 26-11 Andar, CEP 20090-001 Centro, Rio de Janeiro, Brazil 電話:+55(0)21 2223 0410/2233 2812 ファックス:+55(0)21 2283 0314 Eメール:[email protected] ホームページ:www.itf-americas.org カリブ海小地域事務所 198 Camp Street, South Cummingsburg, Georgetown, Guyana 電話:+592(0)22 71196/54285 ファックス:+592(0)22 50820 Eメール:[email protected] FOCや組合との協約が締結されていない外国船に 乗船中、支援が必要になった場合は、ITFインス ペクターに連絡を。ITFインスペクターと連絡が 取れない場合は、ITF本部のアクション・ユニッ トか、最寄りのITF事務所(左の連絡先を参照) に連絡を。 ARGENTINA Buenos Aires ●Roberto Jorge Alarcón* Tel/Fax: +54(0)11 4331 4043 Mobile: +54(0)911 4414 5687 Email: [email protected] Rosario ●Rodolfo Vidal Tel/Fax: +54(0)341 425 6695 Mobile: +54(0)911 4414 5911 Email: [email protected] AUSTRALIA Fremantle ●Adrian Evans Tel: +61(0)8 9335 0500 Fax: +61(0)8 9335 0510 Mobile: +61(0)401 692 528 Email: [email protected] Melbourne ●Matt Purcell Tel: +61(0)3 9329 5477 Fax: +61(0)3 9328 1682 Mobile: +61(0)418 387 966 Email: [email protected] Sydney ●Dean Summers* Tel: +61(0)2 9267 9134 Fax: +61(0)2 9267 4426 Mobile: +61(0)419 934 648 Email: [email protected] Townsville ●Graham Bragg Tel: +61(0)7 4771 4311 Fax: +61(0)7 4721 2459 Mobile: +61(0)419 652 718 Email: [email protected] BELGIUM Antwerp ●Joris De Hert* Tel: +32(0)3 224 3413 Fax: +32(0)3 224 3449 Mobile: +32(0)474 842 547 Email: [email protected] ●Marc Van Noten Tel: +32(0)3 224 3419 Fax: +32(0)3 224 3449 Mobile: +32(0)475 775 700 Email: [email protected] Zeebrugge ●Christian Roos Tel: +32(0)2 549 1103 Fax: +32(0)2 549 1104 Mobile: +32(0)486 123 890 Email: [email protected] BRAZIL Paranaguá ●Ali Zini Tel/Fax: +55(0)41 3422 0703 Mobile: +55(0)41 9998 0008 Email: [email protected] Rio de Janeiro ●Luiz Fernando Duarte de Lima* Tel: +55(0)21 2233 2812 Fax: +55(0)21 2283 0314 Mobile: +55(0)21 9480 5336 Email: [email protected] ●Airton Vinicius Broto Lima Tel: +55(0)21 2233 2812 Fax: +55(0)21 2283 0314 Mobile: +55(0)21 9480 5337 Email: [email protected] Santos ●Renialdo Donizete Salustiano de Freitas Tel/Fax: +55(0)13 3219 1843 Mobile: +55(0)13 9761 0611 Email: [email protected] CANADA Halifax ●Gerard Bradbury Tel: +1(0)902 455 9327 Fax: +1(0)902 454 9473 Mobile: +1(0)902 441 2195 Email: [email protected] Hamilton ●Mike Given Tel: +1(0)905 227 5212 Fax: +1(0)905 227 0130 Mobile: +1(0)905 933 0544 Email: [email protected] Montreal ●Patrice Caron Tel: +1(0)514 931 7859 Fax: +1(0)514 931 0399 Mobile: +1(0)514 234 9962 Email: [email protected] Vancouver ●Peter Lahay* Tel: +1(0)604 251 7174 Fax: +1(0)604 251 7241 Mobile: +1(0)604 418 0345 Email: [email protected] Turku ●Jan Örn Tel: +358(0)9 613 110 Fax: +358(0)9 739 287 Mobile: +358(0)40 523 3386 Email: [email protected] FRANCE Dunkirk ●Pascal Pouille Tel: +33(0)3 28 66 45 24 Fax: +33(0)3 28 21 45 71 Mobile: +33(0)6 80 23 95 86 Email: [email protected] Le Havre ●François Caillou* Tel: +33(0)2 35 26 63 73 Fax: +33(0)2 35 24 14 36 Mobile: +33(0)6 08 94 87 94 Email: [email protected] Marseille ●Yves Reynaud Tel: +33(0)4 91 54 99 37 Fax: +33(0)4 91 33 22 75 Mobile: +33(0)6 07 68 16 34 Email: [email protected] St Nazaire ●Geoffroy Lamade Fax: +33(0)2 40 22 70 36 Mobile: +33(0)6 60 30 12 70 Email: [email protected] Sète ●Stéphanie Danjou Fax: +33(0)1 48 51 59 21 Mobile: +33(0)6 27 51 35 78 Email: [email protected] INDIA Calcutta ●Chinmoy Roy Tel: +91(0)332 459 7598 Fax: +91(0)332 459 6184 Mobile: +91(0)98300 43094 Email: [email protected] Chennai ●K Sree Kumar Tel: +91(0)44 2522 3539 / 5983 Fax: +91(0)44 2526 3343 Mobile: +91(0)44 93 8100 1311 Email: [email protected] Haldia ●Narain Chandra Das Adhikary Tel: +91(0)32 2425 2203 Fax: +91(0)32 2425 3577 Mobile: +91(0)94 3451 7316 Kandla ●MLBellani Tel: +91(0)28 3622 6581 Fax: +91(0)28 3622 0332 Mobile: +91(0)98 2522 7057 Email: [email protected] Kochi ●Thomas Sebastian Tel: +91(0)484 233 8249 / 8476 Fax: +91(0)484 266 9468 Mobile: +91(0)98950 48607 Email: [email protected] Mumbai ●Kersi Parekh Tel: +91(0)22 2261 6951 / 6952 Fax: +91(0)22 2265 9087 Mobile: +91(0)98205 04971 Email: [email protected] ●Hashim Sulaiman Tel: +91(0)22 2261 8368 / 8369 Fax: +91(0)22 2261 5929 Mobile: +91(0)9967 218893 Email: [email protected] Tuticorin ●DM Stephen Fernando Tel: +91(0)461 2326 519 / 2339 195 Fax: +91(0)461 2311 668 Mobile: +91(0)94431 59137 Email: [email protected] Visakhapatnam ●BV Ratnam Tel: +91(0)891 2502 695 / 2552 592 Fax: +91(0)891 2502 695 Mobile: +91(0)98481 98025 Email: [email protected] Q CHILE Valparaiso ●Juan Luis Villalon Jones Tel: +56(0)32 221 7727 Fax: +56(0)32 275 5703 Mobile: +56(0) 9250 9565 Email: [email protected] COLOMBIA Cartagena ●Miguel Sánchez Tel: +57(0)5 666 4802 Fax: +57(0)5 658 3496 Mobile: +57(0)3 10 657 3399 Email: [email protected] CROATIA Dubrovnik ●Vladimir Glavocic Tel: +385(0)20 418 992 Fax: +385(0)20 418 993 Mobile: +385(0)98 244 872 Email: [email protected] Rijeka ●Predrag Brazzoduro* Tel: +385(0)51 325 343 Fax: +385(0)51 213 673 Mobile: +385(0)98 211 960 Email: [email protected] Sibenik ●Milko Kronja Tel: +385(0)22 200 320 Fax: +385(0)22 200 321 Mobile: +385(0)98 336 590 Email: [email protected] ESTONIA Tallinn ●Jaanus Kuiv Tel/Fax: +372(0)6 116 390 Mobile: +372(0)523 7907 Email: [email protected] FINLAND Helsinki ●Simo Nurmi* Tel: +358(0)9 615 202 55 Fax: +358(0)9 615 202 27 Mobile: +358(0)40 580 3246 Email: [email protected] ●Ilpo Minkkinen Tel: +358 (0)9 615 202 53 Fax: +358 (0)9 615 202 27 Mobile: +358 (0)40 728 6932 Email: [email protected] GERMANY Bremen ●Ali Memon* Tel: +49(0)421 330 3333 Fax: +49(0)421 330 3366 Mobile: +49(0)171 571 2388 Email: [email protected] Hamburg ●Ulf Christiansen Tel: +49(0)40 2800 6811 Fax: +49(0)40 2800 6822 Mobile: +49(0)171 641 2694 Email: [email protected] ●Udo Beyer Tel: +49(0)40 2800 6812 Fax: +49(0)40 2800 6822 Mobile: +49(0)172 971 0254 Email: [email protected] Rostock ●Hartmut Kruse Tel: +49(0)381 670 0046 Fax: +49(0)381 670 0047 Mobile: +49(0)171 641 2691 Email: [email protected] GREECE Piraeus ●Stamatis Kourakos* Tel: +30(0)210 411 6610 / 6604 Fax: +30(0)210 413 2823 Mobile: +30(0)69 77 99 3709 Email: [email protected] ●Antonios Maounis Tel: +30(0)210 411 6610 / 6604 Fax: +30(0)210 413 2823 Mobile: +30(0)69 44 57 0910 Email: [email protected] ICELAND Reykjavik ●Bergur Thorkelsson Tel: +354(0)551 1915 Fax: +354(0)562 5215 Mobile: +354(0)860 9906 Email: [email protected] IRELAND Dublin ●Ken Fleming Tel: +353(0)1 874 3735 Fax: +353(0)1 874 3740 Mobile: +353(0)87 647 8636 Email: [email protected] ISRAEL Haifa ●Michael Shwartzman Tel: +972(0)4 852 4289 Fax: +972(0)4 852 4288 Mobile: +972(0)544 699 282 Email: [email protected] ITALY Genoa ●Piero Luigi Re Tel: +39(0)10 25 18 675 Fax: +39(0)10 25 18 683 Mobile: +39(0)335 707 0988 Email: [email protected] Leghorn/Livorno ●Bruno Nazzarri Tel: +39(0)58 68 25 251 Fax: +39(0)58 68 96 178 Email: [email protected] Naples ●Paolo Serretiello Tel/Fax: +39(0)81 26 50 21 Mobile: +39(0)335 482 706 Email: [email protected] Palermo ●Francesco Saitta Tel/Fax: +39(0)91 32 17 45 Mobile: +39(0)338 698 4978 Email: [email protected] ➡ Continued on reverse of map ITFインスペクター 世界の海で船員 を支援 国 際 運 輸 is Reykjavik +354(0)551 1915 U european sub-re R cdn gb itf head office R Vancouver +1(0)604 251 7174 U Hamilton +1(0)905 227 5212 Montreal +1(0)514 931 7859 Seattle U U Halifax +1(0)902 455 9327 U U +1(0)206 633 1614 usa Portland U U New York +1(0)718 832 6600 (ext 240) +1(0)503 347 7775 U Baltimore +1(0)410 882 3977 Los Angeles U +1(0)562 493 8714 New Orleans U Morehead City +1(0)252 726 3033 +1(0)504 581 3196 Houston U U +1(0)713 TampaU 659 5152 +1(0)321 UMiami 784 0686 +1(0)321 783 8876 mex Rb european regional office (etf) Haifa U +972(0)4 852 4289 il R hkj arab world e Las Palmas +34(0)928 467 630 U Manzanillo +52(0)314 332 8834 U U Veracruz +52(0)229 932 1367 U San Juan +1787(0)783 1755 pr bf R U Cartagena +57(0)5 666 4802 Panama City pa +507(0) 264 5101 U african francophone office ngr R caribbean sub-regional office co Lagos U +234(0)1 793 6150 gu eak african regional office R U Mombas +254(0)41 ITF HEAD OFFICE london +44 (0)20 7403 2733 br interamerican regional office Santos +55(0)13 3219 1843U RU Rio de Janeiro +55(0)21 2233 2812 U Paranaguá +55(0)41 3423 5005 INTERAMERICAN REGIONAL OFFICE rio de janeiro +55 (0)21 2223 0410 CARIBBEAN SUB-REGIONAL OFFICE georgetown +592 (0)22 71196 ra Valparaiso U +56(0)32 221 7727 rch Rosario +54(0)341 425 6695 U U Buenos Aires +54(0)11 4331 4043 za U Durban +27(0)31 909 1087 Cape TownU +27(0)21 461 9410 EUROPEAN REGIONAL OFFICE brussels +32 (0)2 285 4660 EUROPEAN SUB-REGIONAL OFFICE moscow +7 495 782 0468 より詳しいITFインスペクターの連絡先一覧は www.itfglobal.org/seafarers/msg-contacts.cfm Q Q Q rus Mosjøen U s fin Gävle U Turku U St Petersburg Oslo U U U Stockholm U Helsinki Tallinn Porsgrunn U est U Gothenburg U Stavanger U Aberdeen U lv URiga Helsingborg U U Klaipeda lt Liverpool Rostock U irl Gdynia Hamburg U U USzczecin DublinU gb U nl U Bremen pl BristolU Tilbury U Rotterdam U UZeebrugge U b Antwerp ua Dunkirk U d Le HavreU Odessa U USt Nazaire n 輸 労 連 f Trieste ro hr U Constanta RavennaUURijeka U U Sibenik Bilbao U Marseille Genoa U U Dubrovnik U i Sète U U Livorno U Istanbul p Rome e U U Lisbon Barcelona Naples U tr U Taranto U Valencia U gr U Piraeus PalermoU U Algeciras Vigo U rus egional office Vladivostock +7(0)423 251 2485 U Aberdeen +44(0)1224 582 688 Chiba +81(0)50 1291 7326 asia/pacific regional office RU Tokyo +81(0)35 410 8330 j UU Seoul+82(0)2 716 2764 Yokohama +81(0)45 451 5585 UU UOsaka +81(0)66 612 1004 Inchon rok U +82(0)32 881 9880 Pusan +82(0)51 469 0401/0294 d office Naples +39(0)81 26 50 21 U ind Mumbai +91(0)22 2261 6951 Odessa +380(0)482 429 901 Antwerp +32(0)3 224 3413 Oslo +47(0)22 825 835 Barcelona +34(0)93 481 2766 Palermo +39(0)91 32 17 45 Bilbao +34(0)94 493 5659 Taipei U +886(0)2251 50302rc UTaichung Calcutta +91(0)332 459 7598 U +886(0)2658 4514 UHaldia +91(0)32 2425 2203 Kandla +91(0)28 3622 6581 U Algeciras +34(0)956 657 046 Piraeus +30(0)210 411 6610 asian sub-regional office R Mosjøen +47(0)75 175 135 UVisakhapatnam +91(0)891 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OFFICE new delhi +91 (0)11 2335 4408/7423 Sibenik +385(0)22 200 320 Stavanger +47(0)51 840 549 Stockholm +46(0)8 791 4100 Szczecin +48(0)91 423 97 07 Istanbul +90(0)216 347 3771 U Sydney +61(0)2 9267 9134 ASIA/PACIFIC REGIONAL OFFICE tokyo +81 (0)3 3798 2770 St Petersburg +7(0)812 718 6380 Tallinn +372(0)6 116 390 Klaipeda +370(0)46 410 447 Melbourne +61(0)3 9329 5477 U Taranto +39(0)99 47 07 555 nz Wellington +64(0)4 801 7613 U Le Havre +33(0)2 35 26 63 73 Tilbury +44(0)20 8989 6677 Lisbon +351 (0)21 391 8150 Trieste +39(0)40 37 21 832 Liverpool +44(0)151 639 8454 Turku +358(0)9 613 110 Valencia +34(0)96 367 1263 Livorno +39(0)58 68 25 251 Vigo +34(0)986 221 177 Marseille +33(0)4 91 54 99 37 Zeebrugge +32(0)2 549 1103 ITFの連絡先 ITFインスペクター ➡ Ravenna ●Giovanni Olivieri* Tel: +39(0)54 44 23 842 Fax: +39(0)54 45 91 852 Mobile: +39(0)335 526 8464 Email: [email protected] Rome ●Carla Marchini Tel: +39(0)64 42 86 317 Fax: +39(0)64 40 29 91 Mobile: +39(0)335 644 9980 Email: [email protected] Taranto ●Gianbattista Leoncini Tel/Fax: +39(0)99 47 07 555 Mobile: +39(0)335 482 703 Email: [email protected] Trieste ●Paolo Siligato Tel/Fax:+39(0)40 37 21 832 Mobile: +39(0)348 445 4343 Email: [email protected] Riga ●Norbert Petrovskis Tel: +371(0)7 073 436 Fax: +371(0)7 383 577 Mobile: +371(0)29 215 136 Email: [email protected] LITHUANIA Klaipeda ●Andrey Chernov Tel/Fax: +370(0)46 410 447 Mobile: +370(0)699 28198 Email: [email protected] MEXICO Manzanillo ●Honorio Alberto Galván Aguilar Tel: +52(0)314 332 8834 Fax: +52(0)229 931 6797 Mobile: +52(0)1 314 122 9212 Email: [email protected] Veracruz ●Enrique Lozano Tel/Fax: +52(0)229 932 1367 / 3023 Mobile: +52(0)1 229 161 0700 Email: [email protected] Mobile: +507(0)66 178 525 Email: [email protected] PHILIPPINES Cebu City ●Joselito O Pedaria Tel: +63(0)32 256 16 72 Fax: +63(0)32 253 25 31 Mobile: +63(0)920 970 0168 Email: [email protected] Manila ●Rodrigo Aguinaldo Tel: +63(0)2 536 82 87 Fax: +63(0)2 536 82 86 Mobile: +63(0)917 811 1763 Email: [email protected] Q JAPAN 千葉 ●藤木茂 全国港湾労働組合協議会 〒144-0052 東京都大田区蒲田 5-10-2 TEL +81 (0)50-1291-7326 FAX +81 (0)3-3733-2627 Mobile +81 (0)90-9826-9411 Email [email protected] 大阪 ●田口雅彦 全日本海員組合 〒559-0033 大阪市住之江区南港中 8-1-34 TEL +81 (0)6-6612-1004 FAX +81 (0)6-6612-7400 Mobile +81 (0)90-7198-6721 Email [email protected] 東京 ●山下昭治* 全日本海員組合 〒106-0032 東京都港区六本木 7-15-26 TEL +81 (0)3-5410-8330 FAX +81(0)3-5410-8336 Mobile +81 (0)90-3406-3035 Email [email protected] 横浜 ●大堀二三男 全日本海員組合 〒221-0044 神奈川県横浜市神奈川 区東神奈川1-9-10 TEL +81 (0)45-451-5585 FAX +81 (0)45-451-5584 Mobile +81 (0)90-6949-5469 Email [email protected] KENYA Mombasa ●Juma Khamis Tel: +254(0)41 2495 244 Fax: +254(0)41 2495 117 Mobile: +254(0)721 738053 Email: [email protected] KOREA Inchon ●Kwang-Jo Ko Tel: +82(0)32 881 9880 Fax: +82(0)32 884 3228 Mobile: +82(0)11 440 4611 Email: [email protected] Pusan ●Sang Gi Gim Tel: +82(0)51 469 0401 / 0294 Fax: +82(0)51 464 2762 Mobile: +82(0)11 585 2401 Email: [email protected] ●Bae Jung Ho Tel: +82(0)51 463 4828 Fax: +82(0)51 464 8423 Mobile: +82(0)11 832 4628 Email: [email protected] Seoul ●Hye Kyung Kim* Tel: +82(0)2 716 2764 Fax: +82(0)2 702 2271 Mobile: +82(0)11 441 1232 Email: [email protected] LATVIA NETHERLANDS Rotterdam ●Ruud Touwen* Tel: +31(0)10 215 1166 Fax: +31(0)10 423 3933 Mobile: +31(0)65 331 5072 Email: [email protected] ●Ed Booister Tel: +31(0)10 215 1166 Fax: +31(0)10 423 3933 Mobile: +31(0)65 331 5073 Email: [email protected] ●Debbie Klein Tel: +31(0)10 215 1166 Fax: +31(0)10 423 3933 Mobile: +31(0)65 318 2734 Email: [email protected] ●Aswin Noordermeer Tel: +31(0)10 215 1166 Fax: +31(0)10 423 3933 Mobile: +31(0)65 333 7522 Email: [email protected] NEW ZEALAND Wellington ●Kathy Whelan* Tel: +64(0)4 801 7613 Fax: +64(0)4 384 8766 Mobile: +64(0)21 666 405 Email: [email protected] NIGERIA Lagos ●Henry Akinrolabu Tel/Fax: +234(0)1 793 6150 Email: [email protected] NORWAY Mosjøen ●Pål Aanes Tel: +47(0)75 175 135 Fax: +47(0)75 176 558 Mobile: +47(0)48 246 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Juan ●Felipe García-Cortijo Tel: +1787(0)783 1755 Fax: +1787(0)273 7989 Mobile: +1787(0)410 1344 Email: [email protected] ROMANIA Constanta ●Adrian Mihalcioiu Tel: +40(0)241 618 587 Fax: +40(0)241 616 915 Mobile: +40(0)722 248 828 Email: [email protected] RUSSIA St Petersburg ●Sergey Fishov* Tel/Fax: +7(0)812 718 6380 Mobile: +7(0)911 096 9383 Email: [email protected] ●Victor Soloviov Tel/Fax: +7(0)812 714 9732 Mobile: +7(0)812 965 5224 Email: [email protected] Vladivostock ●Petr Osichansky Tel/Fax: +7(0)423 251 2485 Mobile: +7(0)423 270 6485 Email: [email protected] SOUTH AFRICA Cape Town ●Cassiem Augustus Tel: +27(0)21 461 9410 Fax: +27(0)21 462 1299 Mobile: +27(0)82 773 6366 Email: [email protected] Durban ●Sprite Zungu* Tel/Fax: +27(0)31 909 1087 Mobile: +27(0)82 773 6367 Email: [email protected] SPAIN Algeciras ●José M Ortega Tel: +34(0)956 657 046 Fax: +34(0)956 632 693 Mobile: +34(0)699 436 503 Email: [email protected] Barcelona ●Joan Mas García Tel: +34(0)93 481 2766 Fax: 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Email: [email protected] Stockholm ●Carl Tauson* Tel: +46(0)8 791 4100 Fax: +46(0)8 212 595 Mobile: +46(0)70 59 26 896 Email: [email protected] ●Annica Barning Tel: +46(0)8 454 8405 Fax: +46(0)8 411 6940 Mobile: +46(0)70 57 49 714 Email: [email protected] TAIWAN Taichung ●Sanders Chang Tel: +886(0)2658 4514 Fax: +886(0)2658 4517 Mobile: +886(0)955 415 705 Email: [email protected] Taipei ●Huang Yu-Sheng* Tel: +886(0)2251 50302 Fax: +886(0)2250 61046 / 78211 Mobile: +886(0)933 906 398 Email: [email protected] TURKEY Istanbul ●Muzaffer Civelek Tel: +90(0)216 347 3771 Fax: +90(0)216 347 4991 Mobile: +90(0)535 663 3124 Email: [email protected] UKRAINE Odessa ●Nataliya Yefrimenko Tel: +380(0)482 429 901 / 902 Fax: +380(0)482 429 906 Mobile: +380(0)503 366 792 Email: [email protected] UNITED KINGDOM Aberdeen ●Norrie McVicar* Tel: +44(0)1224 582 688 Fax: +44(0)1224 584 165 Mobile: +44(0)7768 652 257 Email: [email protected] ●Neil Keith Tel: +44(0)1224 582 688 Fax: +44(0)1224 584 165 Mobile: +44(0)7748 841 939 Email: [email protected] Bristol ●Bill Anderson Tel/Fax: +44(0)151 427 3668 Mobile: +44(0)7876 794 914 Email: [email protected] Liverpool ●Tommy Molloy Tel: +44(0)151 639 8454 Fax: +44(0)151 346 8801 Mobile: +44(0)7764 182 768 Email: [email protected] Tilbury ●Chris Jones Tel: +44(0)20 8989 6677 Fax: +44(0)20 8530 1015 Mobile: +44(0)7921 022 600 Email: [email protected] UNITED STATES Baltimore ●Arthur Petitpas Tel: +1(0)410 882 3977 Fax: +1(0)410 882 1976 Mobile: +1(0)443 562 3110 Email: [email protected] Houston ●Shwe Tun Aung Tel: +1(0)713 659 5152 Fax: +1(0)713 650 8629 Mobile: +1(0)713 447 0438 Email: [email protected] Los Angeles ●Stefan Mueller-Dombois Tel: +1(0)562 493 8714 Fax: +1(0)562 493 7190 Mobile: +1(0)562 673 9786 Email: [email protected] Miami ●Hans Saurenmann Tel: +1(0)321 783 8876 Fax: +1(0)321 783 2821 Mobile: +1(0)305 360 3279 Email: [email protected] Morehead City ●Tony Sacco Tel/Fax: +1(0)252 726 9796 Mobile: +1(0)252 646 2093 Email: [email protected] New Orleans ●Dwayne Boudreaux* Tel: +1(0)504 581 3196 (ext 7) Fax: +1(0)504 568 9996 Mobile: +1(0)504 442 1556 Email: [email protected] New York ●Enrico Esopa* Tel: +1(0)718 832 6600 (ext 240) Fax: +1(0)718 832 8870 Mobile: +1(0)201 417 2805 Email: [email protected] Portland ●Martin Larson Fax: +1(0)503 286 1223 Mobile: +1(0)503 347 7775 Email: [email protected] Puerto Rico See separate listing for Puerto Rico Seattle ●Lila Smith Tel: +1(0)206 533 0995 Fax: +1(0)206 533 0996 Mobile: +1(0)206 818 1195 Email: [email protected] ●Jeff Engels* Tel: +1(0)206 633 1614 Fax: +1(0)206 675 1614 Mobile: +1(0)206 331 2134 Email: [email protected] Tampa ●Tony Sasso Tel: +1(0)321 784 0686 Fax: +1(0)321 784 0522 Mobile: +1(0)321 258 8217 Email: [email protected] *Denotes ITF Coordinator ANTIGUA AND BARBUDA BAHAMAS BARBADOS BELIZE BERMUDA BOLIVIA BURMA/MYANMAR CAMBODIA CAYMAN ISLANDS COMOROS CYPRUS EQUATORIAL GUINEA FRANCE (second register) GEORGIA GERMANY (second register) LEBANON LIBERIA GIBRALTAR HONDURAS MALTA MARSHALL ISLANDS JAMAICA 便宜置籍船(FOC)の隠れ場所などどこにもない MAURITIUS MONGOLIA NETHERLANDS ANTILLES NORTH KOREA PANAMA SÃO TOMÉ & PRÍNCIPE SRI LANKA ST. VINCENT & THE GRENADINES TONGA VANUATU 上記はITFによりFOCに指定された船籍 これに加え、個別にFOC指定されている船舶もある ITF HOUSE, 49-60 BOROUGH ROAD, LONDON SE1 1DR TEL: +44 (0)20 7403 2733 FAX: +44 (0)20 7357 7871 EMAIL: [email protected] INTERNET: WWW.ITFGLOBAL.ORG 世界船腹統計 旗国別船腹量 (上位35カ国) 所有国別世界船腹量 (上位35カ国) (2007年1月1日現在) 順位 国 名 1 (総トン数:2007年1月1日現在) 船舶隻数 総トン数 総トン数(100万トン) (100総トン以上) (100万トン)(前年1月1日) パナマ* 7,183 155.0 141.8 平均 船齢 順位 国 名 18 1 ギリシャ 3,084 100.6 17 船舶隻数 総トン数 (1000総トン以上) (100万トン) 平均 船齢 2 リベリア* 1,907 68.4 59.6 12 2 日本 3,330 99.8 9 3 バハマ* 1,402 40.8 38.4 15 3 ドイツ 2,965 62.1 8 4 マーシャル諸島* 853 32.8 29.2 10 4 中国 3,184 44.9 20 5 香港(中国) 1,179 32.7 29.8 12 5 米国 1,763 39.1 18 6 シンガポール 2,079 32.2 31.0 11 6 ノルウェー 1,810 34.6 16 7 ギリシャ 1,455 32.0 30.1 23 7 香港(中国) 689 27.7 13 8 マルタ* 1,294 24.8 23.0 17 8 韓国 1,041 20.9 17 9 中国 英国 3,695 23.5 22.2 23 9 856 20.1 14 10 キプロス* 971 19.0 19.0 14 10 デンマーク 783 17.1 12 11 ノルウェー(NIS) 617 14.8 14.2 16 11 台湾 574 16.5 13 12 日本 6,731 12.8 12.8 15 12 シンガポール 13 イタリア 1,566 12.6 11.6 22 13 ロシア 14 英国 1,598 12.1 11.2 20 894 11.4 11.5 16 米国 6,437 11.1 17 韓国 2,820 10.5 360 8.6 15 ドイツ 18 マン島(英国) 19 バーミューダ(英国)* 20 インド 21 デンマーク(DIS) 22 ロシア 794 15.8 15 2,157 14.0 23 14 イタリア 739 13.2 16 21 15 スイス 370 10.7 15 11.0 26 16 インド 456 8.8 18 9.3 25 17 ベルギー 226 7.4 14 8.4 9 18 トルコ 874 7.1 19 136 8.4 7.3 13 19 サウジアラビア 150 6.7 16 1,181 8.4 8.1 19 20 オランダ 739 6.5 13 421 8.2 7.8 17 21 スウェーデン 346 6.4 15 3,656 8.0 8.3 23 22 マレーシア 357 6.2 16 23 アンチグア・バーブーダ* 1,086 7.9 7.2 11 23 フランス 309 5.8 11 24 マレーシア 1,101 6.4 5.6 16 24 イラン 184 5.8 16 25 セント・ビンセント* 1,064 6.1 5.9 25 25 アラブ首長国連邦 366 5.0 22 26 オランダ 1,258 5.8 5.7 17 26 インドネシア 793 5.0 23 475 5.2 5.3 22 27 カナダ 340 4.6 25 28 フィリピン 1,840 5.1 5.2 29 28 スペイン 349 3.5 18 29 トルコ 1,184 4.8 5.0 25 29 クウェート 68 3.1 18 30 インドネシア 4,271 4.3 4.3 22 30 ブラジル 151 2.9 21 31 スウェーデン 564 3.9 3.8 32 31 クロアチア 110 2.7 37 1,461 3.4 3.3 26 32 オーストラリア 85 2.5 16 33 ケイマン諸島(英国)* 157 2.9 2.8 15 33 フィリピン 256 2.2 24 34 タイ 789 2.9 3.0 25 34 ウクライナ 445 2.2 25 35 台湾 628 2.8 3.2 25 35 タイ 298 1.9 23 94,936 721.9 675.1 22 39,209 703.3 22 27 イラン 32 ノルウェー 世界合計 出所:ロイズ海運統計/*印は便宜置籍国(FOC) 26 ITF Seafarers’ Bulletin 2008 世界合計 出所:ロイズ海運統計 労働組合を立ち上げる 海図のない海域で、労働 組合を組織する方策は? それまで船員組合が存在 しなかった4ヵ国で、船員 組合の発足をITFがどのよ うに支援したかを、国際船 員組合育成プログラム (ISUDP−ITF)のマー ク・デービスが報告する。 29ページでは、トルコ における組織活動がどのよ うに行われたかを、アフメ ット・デルミサールが詳細 に解説する。 上の写真:トルコのDad-Der組合活動家によ る野外のキャンペーン 海 事産業の労働者を保護するために は、これまで以上に、労働組合が 不可欠な要素である。ITFはその 活動の核心を、「グローバルな組織化」と 表現している。とは言うものの、これまで 船員組合が存在していなかった国に、どう すれば船員組合を立ち上げることができる のだろうか? 労働組合組織を新しく、成功裏に結成する普 遍的な法則は存在しない。各国には、それぞれ 独自の法的枠組みや政治的環境がある。しかし、 共通のアプローチ(目的達成のための準備・手 順)はある。これらは、新たな海事関係労組の 結成を、マレーシア、スリランカ、チモール、 トルコで成功に導いたITF-ISUDPの活動を通じ て形成されたものである。 マレーシア 1997年当時、マレーシアには約10,000人 の船員がいたが、マレーシア籍船における劣悪 な賃金や労働条件にも拘わらず、船員組合は存 在しなかった。けれどもマレーシアには、組織 活動の基盤があった。それは、ITF加盟組合協議 会が活動していたこと、労組のナショナル・セ ンターであるMTUC(マレーシア労働組合会議) の政治的影響力があったこと、さらには一部の ITF加盟労組が海員組合の結成支援に積極的だっ たことなどである。 MTUC、マレー半島運輸労組、ポートケラン 港湾労組などの支援によって、マレー半島船員 組合(MSU)は1997年末までに登録手続きを 完了した。企業別組合を法律で規定しているマ レーシアにおいては、MSUは例外的な労働組合 である。 2003年にITF加盟組合となったMSUは、約 800人の船員を組合員とし、ラフィーク・ラム ➡ “しかし、共通のアプロー チ(目的達成のための準 備・手順)はある。これ らは、新たな海事関係労 組の結成を、マレーシア、 スリランカ、東チモール、 トルコで成功に導いた ITF-ISUDPの活動を通 じて形成されたものであ る。” ITF Seafarers’ Bulletin 2008 27 労働組合を立ち上げる 最初のステップ ● 国内担当者と国際担当者の所管事項 を明確にする。資金・人材のギャップ を埋めるために組織活動を調整し、教 育計画を立案し、組織活動に着手する。 国内労組の中央組織(ナショナルセン ター)の役割は、その能力、組織プロ ジェクトへの参加意欲の大きさによっ て変化する。 ● 組織担当者や教育担当者となる国内 の労働組合活動家を確保する。 ● 利用可能で有益な関連労働組合教育 プログラムなどが、国内、小地域内ま たは地域内において存在するか否かに ついて、情報を入手する。 ● 他の産業部門の適切な労組との永続 的な連携または指導的な関係を確立す ることによって、新たに発足した労組 の前進を確実にする。 “14,000人の海上労働 者がおり、高度に組織さ れた港湾労働組合があ り、船舶における搾取が 深刻であったにもかかわ らず、マレーシアと同様、 スリランカにも船員独自 の労働組合は存在してい なかった。” 28 ITF Seafarers’ Bulletin 2008 ➡ ーがフルタイムの組織担当事務局長として活動 している。ラフィークは、マレーシアにおける ITF便宜置籍船反対キャンペーンの最前線で活動 してきた他、最近ではITF・FOCインスペクタ ーとしての訓練も完了した。MSUは、マレーシ ア海事局とのユニークな協力関係を確立してい るため、船舶に関する紛争を有利に解決するこ とが期待されている。 新しい労働組合を立ち上げるための資金はITF が提供したが、2007年末までにはMSUが完全 に財政的に自立することが予定されている。 スリランカ 14,000人の海上労働者がおり、高度に組織 された港湾労働組合があり、船舶における搾取 が深刻であったにもかかわらず、マレーシアと 同様、スリランカにも船員独自の労働組合は存 在していなかった。ITFは以前、一般労組内に船 員部門を設立しようと努力したが、不成功に終 わっていた。 2005年10月、ITF加盟労組のJSSが、船員 を組織することを計画した。JSSは既に港湾労 働者を組織していたため、港湾の組合員は港湾 に立ち入り、訪船するための「保安許可証」を 所持していた。そこで、元船員の活動家であっ たランジャン・ペレラに、組織活動の任務が与 えられた。 一般の組合員や組合の中心的メンバーとなり 得る船員を集めて、2006年中に労働組合創立 のためのセミナーが3回開催された。参加者が、 幾つかの部門を持つ一般労組ではなく、船員独 自の組合を求めていることは、明白であった。 JSSは、この要望を尊重し、作業委員会を作っ た船員組合の規約を起草した。その結果、 2006年にスリランカ船員組合(NUSS)の登 録が承認された。 2007年4月、ITFはNUSSの加盟申請を承認 した。JSSの支援のもとに、NUSSは現在、約 1,000人の組合員を擁している。ランジャン・ ペレラは、ITFインスペクターとしての訓練を受 けている。 東チモール 2000年に東チモールがインドネシアからの 分離独立を果たしたとき、オーストラリア海事 労組(MUA)は、最優先事項が船員労組の結成 であると考えた。独立以前、豊かな資源に恵ま れたチモール海の石油/天然ガス産業は、インド ネシア領東チモールとオーストラリアの排他的 参入権を確保するために規制されていた。しか し、オーストラリア政府は、この規制を緩和し た。MUAは、この新しい国家の発展を加速する ためには、石油/天然ガスによる収入の公正な分 配を要求することが重要であり、そのためには、 新独立国東チモールのオフショア産業労働者 (石油/ガス関連労働者)の組合を、MUAの北の パートナーとして組織し、労組研修や職業訓練 を実施していくことが重要であると認識した。 MUAが組織活動家のミック・キリックを 2002年、首都のディリに派遣する一方、 ISUDPは、海事関係労組を結成するための MUA/ITFプロジェクトの統合・調整を行った。 2003年には、現地の労働組合センター組織、 KSTLの支援のもとに、チモール海事運輸労組 (UMTTL)の結成総会が開催された。組織人員 約80人のこの労働組合は、2004年にITF加盟 組合となった。 2004年から2005年にかけて、国際労働機 関(ILO)はUMTTLの組織を強化するための資 金を供与した。2005年以降、スウェーデンの 労働組合センターLO/TCOは、不穏な社会情勢 という困難な状況のなかで、労働組合を拡大強 化するための資金を提供した。この資金提供は、 2009年まで継続される。 パウリノ・デコスタ書記長の運営のもとに、 UMTTLの組織人員は350人に増加した。ディ リの港湾における数人のUMTTL組合員の悲劇 的な死亡事故の後、UMTTLは、インドネシア の専門家をジャカルタ国際コンテナ埠頭労組 (SPJICT)から招いて、2007年7月、港湾労 働者の職業安全と健康に関するセミナーを開い た。UMTTLは、組織活動を一段と促進するた め、SPJICTとMUAの連帯支援を得ることが可 能になった。 トルコ 大半が民営化された海運産業にはトルコ国旗 を掲げた1,000隻以上の船舶と約60,000人の 船員がいたにもかかわらず、トルコで船員組合 が活動していなかったのは意外であった。 しかしながら、2001年に、海事大学の講師 や民間部門の船員組合活動家の大きなチームが、 船員を代表する組織を結成する意図でITFと会っ たとき、変化が始まった。2002年4月には、 スウェーデンのITF加盟船員組合SeKoが、労働 組合組織を育成する目的で、イスタンブールに トルコ船員連絡センターを設置するためのスポ ンサーとなることに同意した。 連絡センターは、労組教育や組織活動の指導 を行った。これが呼び水となって、海事専門教 育のカリキュラムに労働組合教育を含めること となり、Dad-Der(海事従事者連帯組合)が結 成された。 Dad-Derは、2006年にITF加盟組合となっ た。2006年から2007年にかけての徹底的な チーム作業により、80隻以上の船舶と約 1,500人の船員をカバーする団体協約が締結さ れた他、トルコの港湾で発生する船員の紛争に 連帯と支援を提供するためのネットワークが誕 生した。この新しい労組に重要な助言や政治的 な支援を提供する役割を、SeKoが現在も果た している。 夢から現実へ 組合活動家や組合員への研修は、DAD-DERの成功の大きな要因だ。 ト ルコで法律が改正され、労働組合の組 織化が可能になった一年後の2004年 にDAD-DERは設立され、2006年に はITFに加盟した。しかし、トルコの船員の間に 連帯意識を育もうと活動を開始したのは、10年 も前だった。 きっかけは、海事大学の16人の同級生の集い だった。仲間が集まり、船員の組合をつくるこ とを夢見ていたが、1980年の軍事クーデター により、法律が組合の設立を阻む最大の要因と なった。特に新しい組合の設立は、厳しく制限 された。 当時、夢を語る以外にできたことと言えば、 海上で問題を抱える船員を助け、彼らの訓練に 全力を傾けることくらいだった。しかし、この 船員の支援活動の中で、ITFとも緊密に協力する ようになった。1999年から2006年までの間、 たくさんの船員を援助し、連帯のネットワーク を改善するなど、多くを成し遂げてきた。しか し、新たな船員たちが同じ問題を抱えている現 実を見ると、状況を改善するには至らなかった わけだから、何も成果が上がってこなかったと も言える。 守れない約束は仲間や組合員にしないように 心がけてきたが、2004年のDAD-DERの設立 が転機になった。組合設立後は、計画をきちん と立て、ステップ・バイ・ステップで進んでき た。現在では、組合員数は1,800人まで増えた。 そのうち少なくとも400人が活動家で、我々と 絶えず連絡を取り、現状を把握し、現場の様子 について組合に連絡してくれるし、どのような 行動を取ればいいか、組合に助言を求めてくる。 彼らが新しい組合員を勧誘し、船主に対する要 望を組合に教えてくれる。 組合の主戦力はボランティアや最前線の活動 家であり、長年一緒にやってきた仲間だ。「チー ム」と呼ばれている役員は、最年長が38歳と若 く、エネルギッシュで、大義に身を捧げている 者ばかりだ。皆、船員としての経験はかなり長 く、教育水準も高い。各人が、海運業界に広い ネットワークを持っている。 DAD-DERの「役員チーム」は、船員の状況 を改善しようと力の限りを尽くしている。船員 の権利や国際労働運動について、意識を高める ための訓練も実施している。支援と力を強化す るために、できるだけ多くの活動家を育成して ボランティアの集まりが、いかにして設立間もないトルコ海事従 業員連帯組合(DAD-DER)を、仲間うちの夢物語から連帯行動 を実施する力ある組織へと成長させたか、DAD-DERのアフメッ ト・デミルサール書記長が語る。 “ 組合の主戦力はボラン ティアや最前線の活動 家であり、長年、一緒 にやってきた仲間だ。” いる。重要なのは、血気盛んな若者に、大きな 全体像から判断して適切な行動を取る忍耐力を 学ばせることだが、一方、彼らの燃え盛る情熱 の炎を消すことがあってはならない。大学講師 の中にも活動家がいるのは幸運だと思う。彼ら の協力なくしては、ここまでたどり着くことが 不可能だった。 組合のために活動してきた仲間は、これまで 何でもやってきたが、現在、組合の組織再編を しながら、よりプロフェッショナルな組織を目 指している。組合の責務は、組合の運営、協約 締結、訓練、訪船活動と大きく分けて4つある。 2006年11月から2007年9月の間に、 DAD-DERの協約班は、約90の協約を締結した。 同じ期間に、二重帳簿を2割減らすことに成功 し、90隻の協約船に乗り組む部員の賃金は7割、 職員の賃金は3割引き上げられた。 現在、DAD-DER /ITF ナショナル協約作成の ために努力しているが、これは我々にとって非 常に重要な前進である。同協約により、定期的 に浮上してくる問題に、より系統だった解決策 を見出すことで、FOC船に乗り組むトルコ人船 員の条件が改善されることを願っている。 組合の訓練班は、一連の訓練プログラムを実 施している。2007年には、活動家のための組 合内訓練を毎月行い、船員のための屋外セミナ ーを2回、協約船での現場訓練を1回、マルマ ラ地方でILOの港湾局規則に関する30分の説明 会を1回、新しいナショナル協約に関する船主 を対象としたセミナーを1回行った。 機関長をしている同僚の一人が、地元のイン スペクターと活動家グループを束ねている。基 準以下船が多い黒海沿岸地域に問題が頻発し、 インスペクターたちは未払い賃金回収のための ストや苦情処理に、大半の時間を費やしている。 2007年1月から8月の期間に、インスペクター のチームが回収した未払い賃金は80万米ドルに 上る。 組合は、組合員が雇用契約にサインする前に、 乗船後の状況、船舶所有者の状況、乗船中に船 主が不法行為を行った場合は保護される権利を 有している事などを組合員に確実に知らせるよ うにしている。一般的に、私たちは、組合の活 動があるからこそ、ITF協約締結船だけでなく、 全ての船舶に乗り組む船員の賃金や労働条件が 改善されていると確信している。 現在、福祉サービスの提供は行っていないが、 2008年の第一四半期中には、船員に対する福 祉サービスが最も必要とされているトゥズラ地 域に、小さなインターネット・カフェを開設す る予定だ。 今やるべきことは、ボランティアで活動して いる仲間を、有給の組合職員にしていくことだ。 現在、組合は、5人の役員にしか賃金を支払え ていない。ボランティアの援助があったからこ そ、組合の活動能力は大幅に拡大してきたが、 ボランティアにも生活があるため、賃金をもら って働く必要がある。それが、長期プロジェク トの計画を立て難くしている。 組合の立ち上げから間もない頃は、ボランテ ィアとともに活動を進めるのは容易だった。期 待もそれほど大きくなかったため、どのような 小さな成果であっても、「ゼロの状態」と比較す れば大きな成果と言えたからだ。しかし、今、 組合は、ボランティアの熱意を失うことなく、 組合をよりプロフェッショナルな組織へと成長 させていかなければならない。 ITF Seafarers’ Bulletin 2008 29 国際運輸労連(ITF) 支援が必要ですか? それなら、このファックスを送ってください。 宛名:ITFアクション・ユニット(Fax:+4420-7940-9285, +4420-7357-7871) 支援要請について 貴方の連絡先 氏名(秘密事項として処理されます) 電話 職名(例:AB船員) 国籍 船舶の詳細 船名 船の種類 船籍 IMOナンバー 現在の位置 次の入港地とETA 乗組員数と国籍 積荷の種類・数量 船主名・オペレーター名 問題について 内容(なるべく詳しく) どの位の期間、その問題を抱えていますか? 船内に共通の悩みを持っている者がいますか?(詳しい状況) 貴方の乗船期間は? どのような支援が必要ですか?(例:未払い賃金の回収、本国送還など) Steve McKay 契約書にサインする前の注意事項 雇用契約に関するITFの助言 Q 船員は、ITFが承認する団体協約に準拠した契約を締結していれば、ほぼ間違いなく適切な労働条件を約束される。 そうでない場合は、次の項目をチェックしてみよう。 A A 必ず文書による契約を交わしてか ら、就労すること。 白紙の契約書、または内容が具体 的ではない、もしくは聞き慣れな い条件を含んでいる契約書には、絶対に サインしないこと。 契約にサインする前に、団体交渉 協約(CBA)についての記述があ るか確認する。もしあれば、その条件に ついて完全に理解し、写しを取って契約 書と共に保管しておくこと。 A 時間外労働手当の支給方法とレート が契約に明示されているか、確認す ること。基本労働時間を超過した場合に 支払われる一律の時給と、時間外手当と して毎月支給される一定額を明示してい る場合とがある。いずれにしても、規定 内の残業時間を超えた場合の時間給は、 明確に規定されなければならない。ILOの 規定では、時間外手当は最低「1.25×通 常の時間給」で計算すべきである、とさ れている。 A 1ヶ月に取得できる有給休暇日数が 契約に明示されているか、確認する 契約の有効期限が明示してあるか、 こと。ILOの規定では、有給休暇は年間 確認する。 30日(月2.5日)を下回らないこととさ れている。 船主の一方的な意思で雇用期間を 変更できる内容を含んだ契約書に 賃金、時間外手当、有給休暇が、そ は、サインしないこと。雇用期間のいか れぞれ別項目に分かれて規定されて なる変更も、双方の合意なしに行っては いるか、確認すること。 ならない。 上下船の費用の一部を船員に負担さ 基本給および基本労働時間(例え せる内容を含む契約書には、絶対に ば、週40時間、44時間、48時間 サインをしないこと。 など)が契約に明示されているか、常に 確認すること。国際労働機関(ILO)が 契約期間中、船主が賃金の一部を留 規定する基本労働時間は、最長週48時 保できる内容を含む契約書には、サ 間(月208時間)である。 インしないこと。船員は毎月末に、その 月の給料全額を受け取る権利を有する。 A A A A A A 労働者が自ら選択する労働組合へ の加入、連絡、相談もしくは組合 の代表となることを禁じる条項を含む契 約書には、サインしないこと。 A 個々の労働契約には、各種手当て が必ずしも詳細に明示されている わけではないため、以下の場合に、どれ だけ補償金が支払われるか、確認してお く必要がある。(書面の契約書か、契約 上の権利として認めさせるのが望まし い) ● 契約期間中の疾病、障害 ● 死亡(近親者への補償額) ● 船舶の喪失 ● 船舶の喪失による私物の喪失 ● 契約満了前の解雇 A A A 契約書は、サインした後、必ず写 しを取り、保管すること。 自らの意思で締結した労働条件、 契約書、協約は、いずれも、条件 の如何に関わらず、ほとんどの司法権の 下において、法的拘束力を持つことを認 識しておくこと。 A ITF Seafarers’ Bulletin 2008 31 2 006年2月、海運産業は、「船員の 適切な雇用条件を確保するために必 要な、あらゆる最低基準を包括する ILO海事統合条約の採択」という歴史的一 歩を歓迎した。これにより、明確な文言 で書かれた船員の「権利章典」が遂に完 成し、54以上の国際水準が近代化され、 一方で、新条約実施のための証明書発行 と証明書の検査システムも導入された。 また、条約の技術面の修正を簡潔に行う 手続きも明記されている。すなわち、条 約の修正が容易になったため、現状への 適応も容易になった。 しかし、他のILO条約と同様、海事統合 条約(MLC)も、直ちに実施されること にはならない。一定の加盟国による批准 という発効要件、即ち、この場合は世界 の船腹量の少なくとも33%を占める、最 低30カ国による批准という条件が満たさ れるのを待たなければならない。 この記事を執筆中の現在、世界船腹量の 10%に相当する便宜置籍国のリベリアだ けが同条約を批准している。一方、批准に 向けて、より綿密に準備を進めている国も 多い。 欧州議会の議員は2007年3月に、EU 加盟国の批准目標を2008年とする計画を 推進することについて投票したが、批准が いつになるかは定かではない。 各国政府、使用者、ITF率いる労働組合 を代表するILOのソーシャル・パートナー は、できるだけ速やかな批准に向け、活動 を継続している。ILOのクレオパトラ・ド ンビア・ヘンリーILO国際労働基準局長が 言うところの「質の高い海運業界にとって 不可欠な要素」を新たに創出しようとする 機会は、まだ失われていない。ソーシャ ル・パートナーは、「ハイレベル」ミッシ ョンを、主要海運国やMLCに関心の高い 国が主催する地域セミナーに派遣し、各国 政府や産業界のトップたちと議論を進める ことに専心してきた。 発効要件を満たす批准が確保されれば、 海事統合条約を批准していない旗国の船舶 であっても、優遇されることはなくなる。 あらゆる国の船舶が、批准の有無に関わら ず、検査を受け、基準を満たしていないと 判断されれば、拘留の対象となり得る。 各国の批准のプロセスと平行し、ITFと その欧州組織である欧州運輸労連(ETF) は、MLCの主要条項のうち、現行のEU規 則に包含されていないものをEU規則に取 り入れるため、欧州船主協会(ECSA)と 交渉を展開している。この交渉で合意され た全ての条項がEU指令に盛り込まれるこ とになり、MLCを批准していない欧州の 港においても拘束力を持つことになる。 32 ITF Seafarers’ Bulletin 2008 ILO海事統合条約 広範な批准を 革新的な海事統合条約が、その可能性を最大限に発 揮し、全世界の船員の生活が改善されるよう、組合 は懸命に活動を続けている、とケイ・パリスは報告 する。 変化の見通し 上述の通り、条約を実際に実施するため、 海運関係者が目に見える努力を続けている ことから、海運産業のあらゆる利害関係者 は、海事統合条約が海運産業を改善する極 めて大きな可能性を秘めていると感じてい ることは明らかだ。 ファン・ソマビアILO事務局長は、「労 働の世界における画期的な進展」として海 事統合条約を歓迎している。ECSAのディ エルク・リンデマンは、「この条約は、労 働条件についての国際条約に存在する穴を 埋めるものになるだろう。労働条件に対す る配慮は不可欠だ」と、述べた。 国際海事機関(IMO)のエフシミオス・ E・ミトロポウロス事務局長は、MLCの採 択により、IMOの安全、訓練と職務基準、 環境の3大条約*に続き、労働基準が海運 規制の第4の柱へ高められた、と評価する。 証明書システムの下に、船主は、旗国が 承認する「海事労働証書」と「海事労働適 合宣言書」を携帯しなければならない。後 者は、条約を実施する上で関係する国内法 が、航海を通して適切に実施されるよう、 船主が計画を立て、提示することが求めら れている。つまり、船長は、継続的に条約 が遵守されていることを証明するために、 絶えず記録しなければならない。また、問 題が生じた際は、船内、陸上を問わず、速 やかな解決を促す手続きも用意されてい る。 英国のNAUTILUS船員組合(以前の英 国船舶職員組合(NUMAST))の書記長 で、ITF船員部会の議長を務めるブライア ン・オレルは、海事労働条約を「船員のた めの権利章典」として、真っ先に歓迎した。 新条約の主な条項 ● 船内の働き甲斐がある 人間らしい労働・生活条 件を保障する雇用契約に は、船員と船主または船 主代理人の双方が署名し なければならない。 ● 全ての船員は、雇用契 約および適用される労働 協約に従い、賃金の全額 を支払われる。 ● 最長労働時間は、 「いか なる24時間についても 14時間」、「いかなる7日 間についても72時間」と する。 ● 船内および港において、 船員が迅速に医療サービ ● 船員の疾病、傷害、船 スを受けられることを担 舶の難破、支払い不能、 保しなければならない。 売船などの場合における ● 効果的実施と遵守を確 船員の送還コストは、船 保するための施策には、 主が負う。 労働基準遵守の証明制度 ● 適切な大きさの居室お も含まれる。海事労働証 よび適切な暖房、換気、 書と海事労働適合宣言書 衛生設備、照明、病室を は、旗国が発給し、寄港 提供するなど、居住設備 国検査のために船内に備 と娯楽設備については、 え置かれなければならな 特定の要件を満たすこと。 い。 Rob Bremner/reportdigital.co.uk 船員の権利 パートナーは、特に船腹量を多く保有する 国の批准を奨励し、支援することを決めた。 そのため、ITFの海事関係組合の代表も、 フィリピン、パナマ、ロシアなどの主要国 へのミッション(調査団)や、日本、アル ゼンチン、ブルガリアで行われた各地域の セミナーに参加してきた。 各国へのミッションの派遣は、現在も行 われている。各国政府は、必要な法制面の 変更を実施する準備があることを示してお り、ミッションは、これまでのところ、概 ね成功している。 推進力を維持して 海事統合条約は、働き甲斐のある人間らしい労働条件を保障する雇用契約の締結を義務付け ている。 「自分たちの権利を理解し、その権利を 享受するためには、どうすればよいのかを、 船員自身に理解してもらいたい。また、権 利が受けられない場合、船員は、その状況 を正す権利を有していることを理解しても らいたい。ここで言う権利とは、定期的に 賃金を受け取る権利、必要な場合は本国に 送還される権利、適切な休暇を取る権利、 通信手段にアクセスする権利、苦情を申し 立てる権利などのことだ」と、オレルは言 う。 欧州の情勢 EU指令の適切な文言をめぐり、ECSA と最近交渉を行った後、オレルは次のよう に報告した。「交渉では、労使双方が、中 央協定に海事統合条約の主な要素を盛り込 む方向で努力することに力を注いだ。この 中央協定は、後にEU指令の文言の基礎を 成すことになる」 EU指令(前頁の囲み記事を参照)によ り、海事統合条約は、欧州において、特に、 EU加盟国がこの条約を批准しなかった場 合には、特別の「強制力」を持つことにな る。しかし、労働組合は、EU指令が発効 する前に、海事統合条約が発効要件を満た せるよう、先ずILO加盟国に条約を批准さ せようと懸命に活動している。 「EU指令が発効すれば、EU加盟国はこ れに従わざるを得ないのだから、それで十 分であり、MLCの批准は必要ないと考え る国があるかもしれない。しかし、EU諸 国出身の船員の多くが、EU指令の適用を 受けない外国船で働いている」と、オレル は述べる。 EU指令の文言について合意することに より、欧州における海事統合条約の主要な 項目の取り込みと実施が、さらに裏付けら れることになる、とオレルは言う。「何よ りも、ソーシャル・パートナーは、これら の条項をEU指令に盛り込む意欲があるこ とを、EU加盟国に明確に伝えることがで きる」 批准に向けての前進 一方で、あらゆる利害関係者が、条約を 批准する必要性について、高い意識を持ち 続けなければならない。既存のILO海運関 係条約を批准し、実施するに当たり、各国 政府が抱えてきた問題を克服しようとする 動きが、海事労働条約を推進する原動力の 一つとなった。海事統合条約は、船員の権 利を明記する一方で、ILO加盟国が国内法 の枠組みの中で、働き甲斐のある人間らし い労働条件を実施する方法に一定の柔軟性 を持たせることにより、既存の諸条約に伴 う問題を解決しようとしている。 もちろん、加盟国が法制面で乗り越えな ければならない問題は依然として多い。例 えば、全ての船舶が出航前に、船員の賃金、 居住設備、休憩設備などの項目において、 最低基準を満たしていることを証明する証 明書を国から取得しなければならないが、 旗国は証明書を発給する権限をどの機関に 与えるべきなのか?また、寄港国はどの機 関に証明書の検査を実施する権限を与える べきなのだろうか? 海事統合条約の批准に乗り出した国は、 解決しなければならない法制上の問題に多 数、直面している。政労使のソーシャル・ 2007年2月に行われた最初のミッショ ンの一つが、パナマ・ミッションである。 パナマには7千隻の船舶登録があり、最大 の旗国の一つとなっている。ミッションを 受け入れた後、パナマ政府は、海事統合条 約を速やかに批准できるよう、法制面、行 政面、運航面での変更を伴う行動計画を実 施すると約束した。一方、ILOは規範を設 定し、「協議および訓練のためのメカニズ ムを構築する」上で必要な技術的支援を提 供する、とパナマ政府に約束したが、パナ マ政府が条約批准に前向きだったことは明 らかである。 パナマ・ミッションに参加したITF米州 間地域事務所のアントニオ・フリッツ部長 は、「パナマ政府がやる気を出したのは、 世界最大の船舶登録国であるという国益だ けではない。平等な労働条件を生み出すこ とで、船員の雇用機会が大幅に拡大する可 能性がある、とパナマ船員組合が見ている ことも一因だ」と、述べる。 「海運産業は、不当競争を防ぐため、世 界共通の基準に合意する必要がある。労働 コストは、通常、コスト削減の主な対象で あり、しばしば、安全は二の次と考えられ がちだが、パナマ当局も船員を搾取する従 来のシステムが、確実に変化していること を理解したようだ。パナマ船員組合は、パ ナマ籍船に乗組むパナマ人船員の数を増や すための機会として、MLCを捉えている。 これまでのパナマ政府の政策とは異なる視 点だ」と、フリッツは語る。 海事統合条約が、労働供給国の経済にど のような影響を及ぼすのかについて、世界 最大の労働供給国、フィリピンで懸念が広 がっている。条約の主目的は、悪徳船主や 悪徳用船主を根絶し、船員を保護すること であるから、労働供給国への影響は、それ ほど大きくはないかもしれない。ILOのフ ィリピン・ミッションに参加したブライア ➡ ITF Seafarers’ Bulletin 2008 33 船員の権利 “条約が批准されないうち は、フィリピン人船員の 需要は依然として高いだ ろうが、条約が発効すれ ば、船主はMLCに適合 した方法で、船員を募集 せざるを得なくなるだろ う。” ➡ 広範な批准を目指して ン・オレルは、最低労働基準の実施が、比 類なき最大の船員供給国にとって何を意味 するのかについて、明確に説明してくれた。 「条約が批准されないうちは、フィリピ ン人船員の需要は依然として高いだろう が、条約が発効すれば、船主はMLCに適 合した方法で、船員を募集せざるを得なく なるだろう。海事労働証書を発行する旗国 が責任を負うことになり、船主は船員の募 集が適切に行われていることを確認せざる を得なくなる。MLCを既に批准し、MLC に適合した船員募集メカニズムが既に確立 している別の国に行く方が単純に楽だと考 える船主が増えるかもしれない。そうなっ た時、世界最大の船員供給国としてのフィ リピンの地位が、揺らぎ始める可能性があ る」と、オレルは述べる。 しかし、フィリピン政府は、全ての運輸 関係当局をILOミッションとの会談に参加 させ、MLC批准を促進する決意の固さを 明確に示した。ミッションの訪問により、 フィリピン政府は、MLCで求められる新 基準を自らの船舶が満たせそうもないと懸 念するフィリピン船主のロビーイングに対 して、より強い立場で対応することができ た。 「実際、MLCが関係するのは外航海運だ けで、一部、群島間の運航にも適用される 場合はあるものの、木造船を含む内航船の 多くは適用外となる。これで、条約批准の 大きな障壁はなくなる」と、オレルは述べ る。 ロシアへのミッション派遣 ILOのロシア・ミッションも、ロシア連 邦運輸大臣、国際協力広報局長、連邦大統 領府顧問など、ロシア政府の高官と会談し、 ロシア政府の条約批准に向けた明確な政治 的意思を感じることができた。しかし、条 約の実施に当たっては克服すべき問題が多 く、問題克服には5年ほどかかることが予 測される。 連邦運輸大臣が行動計画を策定している が、先ず、ロシアが批准している既存の ILO条約を実施する仕組みを創る必要があ るなど、多数の問題が浮き彫りになった。 例えば、「募集および職業紹介」に関する ILO第179号条約の場合、この条約を監督 する省庁が存在しない。つまり、同条約を 遵守するかどうかは任意であり、マンニン グ会社が適切に管理されていない。MLC の募集に関する条項に適合するためには、 34 ITF Seafarers’ Bulletin 2008 この問題を乗り越えなければならない。ま た、ロシア連邦は、重要な旗国および寄港 国であるとともに、労働供給国でもあるこ とを考慮する必要がある。 旗国および寄港国による検査システムに 課せられた多数の訓練要件も、難しい問題 であることが判明した。それにもかかわら ず、ロシアの船主はMLCの支援を表明し ており、ロシア議会の下院も支持を約束し た。ロシア議会下院の労働社会政策委員会 委員は、ILOミッションとの会談の後、 MLCの早期批准と実施を求める勧告を採 択した。この勧告は、大統領に提出される 予定である。 ロシア・ミッションに参加したITFのジ ョン・ウィットロー船員部長は、「非常に 有益かつ生産的なミッションだった。この ミッションにより、いくつものドアが開か れ、ロシアの条約批准に必要な措置が促進 されることになろう。船員の身分証明書に 関するILO第185号条約を実施するために ロシア連邦政府が講じると約束した手法 は、非常に優れたものだ」と、述べた。 他のグローバル産業の労働組合も、海事 統合条約の行方、すなわち、この条約によ り、世界貿易の9割を担う120万の船員を 保護するための極めて公平かつ効果的な規 則体系が、いかに発展していくかを見守っ ている。ソーシャル・パートナーが抱いた 希望が実現するなら、経済問題の中心に労 働者の権利を据えた壮大なグローバル・シ ステムを各国のレベルで実施するという基 本原則から、労働組合が学べる点は多いだ ろう。 *IMOの3大条約とは、海上における人 命の安全のための国際条約(SOLAS)、 船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準 に関する国際条約(STCW) 、船舶からの 汚染防止のための国際条約(MARPOL) である。 ケイ・パリスは、2007年12月までの、 ITF機関誌「トランスポート・インターナ ショナル」の編集者。 福祉サービス 船員の命綱 港湾をベースとする福祉サ ービスは、船員の在港時間 の短縮や航海期間の拡大な どによる要求の変化に対応 でき な く な っ てい る 、 と ITF船員トラストの報告書 は伝えている。 海 運産業界の競争の激化は、入出港 間隔の短縮、乗組員の少数化、一 時上陸の短縮となって現れている が、さらに、船員が必要としている福祉 施設へのアクセスの制限などが船員を圧 迫している。 この不快な状況は、ITFのためにカーディフ 大学国際船員調査センターが行った、一年間 に及ぶ調査によって明らかにされた。「港湾を ベースとする船員福祉サービス」(この報告書 は、www.itfglobal.org/seafarerstrust/welfarerpt.cfm からダウンロードする ことができる)は、船員福祉サービスへの要 望に関する調査の4,000人の回答をまとめた ものである。 この調査によれば、多くの船員は海上で過 ごす時間が長くなったため、港湾にある従来 型の船員福祉施設を利用できる時間は減少し ていることが明白となった。 同時に、使用者側も、このような変化に見 合った船員福祉サービスの開発を怠ってきた。 福祉業務と業務形態 新たに導入された労働慣行と不適切な交通 手段のため、船員の一時上陸は大幅に短縮 されている。 大多数(72%)の船員が、現在の契約によ る乗船期間中、船員福祉スタッフの訪船はな かった、と答えた。また、外部からの訪船者 に会った船員も、ほとんどいなかった。彼ら の福祉サービスに対する要求や期待は、現行 業務の枠を超えるものであった。82%の船員 は、舷門の近くまで来ることのできる移動式 船員センター(小規模な店舗と電子メールな どのサービス)のアイデアに、積極的な反応 を示した。 回答者の所属は100社以上に及び、各社の 方針の相違により、船員福祉に対する要求も 多岐にわたるものであった。一般的に船社は、 船員福祉について非常に狭い視野しか持って いないため、彼らの提供する福祉は限られた 娯楽設備が中心となっていた。けれども、こ の種の福祉の提供体制にも、大きな相違がみ られた。ある船社の場合には、一隻当たり、 毎月150ドルを福祉基金として、DVDやスポ ーツ用品に当てていたが、他の船社では、時 間外手当または他の手当の中から、強制的に 船内福祉基金を徴収していた。 この調査で得られた各社の方針、船主や会 社の代表者との面談などの分析は、「福祉サー ビスの提供コストと利益の微妙なバランス」 を示唆していた。 港湾の福祉施設 多くの船員は港湾の船員センターの活動を 高く評価していたが、港湾地域を徒歩で移動 することの危険性、保安警備の強化などの点 から、船員センターまでの無料輸送を要望し ていた。船員たちが名前を挙げた最も良い船 員センターは、英国、西ヨーロッパおよび北 アメリカの港湾のキリスト教系船員センター であった。最悪とされたのは、黒海地方やイ ンド亜大陸のセンターであった。一般商店や カラオケ・バーなどのある商業センターの利 用が多く、特に無料の交通手段が提供される 場合に、船員の利用が増加している。 接触を保つ 部員の大多数は、海上でのEメールの利用を、 今でも認められていない。家族や友人との重 要な唯一の接触手段を失っているのである。 船内でEメールの利用が可能であると回答した 船員は、16%に過ぎなかった。部員の場合に は、僅か3%であった。さらに、Eメールの利 用が許されている場合でも、回数やメッセー ジの長さが制限されたり、プライバシーがな い場合や受信あるいは送信に料金の支払いが 必要なケースも見られた。手紙は最も経済的 な選択肢ではあるが、彼らは手紙を書くため の十分な時間がないため、Eメールのほうが魅 力的であると回答している。船主との面談で ➡ ITF Seafarers’ Bulletin 2008 35 福祉サービス 船員の命綱 ➡ ➨港に船員センターがあることは重要だ。電話をかけ られるのが何よりもうれしい。他の船の乗組員と会う こともできる。 明らかになったことは、彼らが、船内のEメ ールを通じて故郷の家族と船員がいつでも接 触できるよりも、船員が故国のニュースを知 らない方が好ましい、と考えていることであ る。ある船社の代表は、「彼らは、故国にい る家族の出来事について、悩んでしまうので す」と、語った。 ➨ 私が利用している唯一の連絡手段は衛星電話だが、 一時上陸 ➨上陸は非常に重要だ。ストレスを発散できる唯一の 一時上陸は、船員の肉体および精神を健康 に保つために、極めて重要である。しかしな がら、一時上陸は、海運産業の状況変化の影 響を最も強く受けている。報告書によれば、 64%は、かなりの期間、一時上陸がない、 と回答した。また、一時上陸したと回答した 船員のうち、36%は、平均して僅か2時間し か上陸できなかった、と答えている。 一時上陸ができない主な理由は、入出港の 間隔が短いこと、船員のための交通手段が得 られないこと、港についての情報が得られな いこと、ISPSコード(国際船舶港湾保安コ ード)による上陸制限があること、などであ る。船社の代表らも、船員の一時上陸が制限 される理由にISPSコードを挙げているが、 彼らは異口同音に、一時上陸が船員の福祉に とっては重要である、と答えている。 船員の要望 多くの船員が福祉の改善に必要な事項とし て挙げたのは、陸上の福祉施設(通信、ショ ッピング、信仰のための施設など)に行くた めの交通手段、船員福祉スタッフの訪船、寄 港地の情報、船員福祉の必要性とISPSコー ドの実施のバランス、船内Eメールの利用な どであった。 デビッド・コックロフトITF書記長は、ITF 船員トラストの事務局長をも兼務している が、「船員トラストは、大規模な建設プロジ ェクトへの支援から、頻繁な訪船に伴う小規 模な移動業務への支援へと軸足を移した」と、 語っている。 その他、船員トラストは、できる限り多く の船員が利用できる福祉プロジェクトにする ため、船内通信設備の設置と、ISAN(国際 船員支援ネットワーク)による無料電話サー ビスの奨励を目標に掲げている。 報告書の全文(英語のみ)は, www.itfglobal.org/seafarers-trust/welfarerpt.cfm で閲覧できる。 36 ITF Seafarers’ Bulletin 2008 非常に高い。船内にEメールはあるが、チーフオフィサ ーでさえ、仕事目的でしか使えない。私用で使うこと はできない。 手段だ。船内では奴隷のようだ。他の人と触れ合い、 違う顔を見ることが必要だ。 ➨コンテナ1個につき、1ドルのラッシング料をもら う。ラッシング料の10%が毎月、本船の福利基金に当 てられている。 ➨一般的に、船員には、カウンセリングが必要だ。全 ての船員が必要としているわけではないが、フィリピ ン人船員には特に必要だ。カウンセリングは、われわ れの精神生活の一部だ。 ➨ 孤独感を解消するためには、訪船が必要だ。「元 気?」 「ここでの生活はどう?」 「何か問題はない?」 と、声をかけてもらいたい。 ➨公衆電話のない港は多い。ISPSコードの導入前は、 携帯電話の行商人がやってきて、1分1ドルで電話を かけさせてくれた。しかし最近、彼らを見かけること はない。われわれにとって、家族と連絡を取ることは 非常に難しい。特に、2∼3時間滞在するだけの港か ら連絡を取るのは難しい。 ➨われわれの海上生活をより良くできるものは非常に 少ない。家族の声を聞くと、お金では買うことのでき ない幸福感を味わえる。 Illustrations by Clive Wakfer 文化の交差 もし、貴方が海事産業で働 けば、異なる文化を背景に した船員に、恐らく頻繁に 出会うことになるだろう。 ここに掲載したのは、主要 な海運国(中国、英語圏諸 国、フィリピン、アイスラ ンドおよびロシア)の船乗 りの伝統の香りを読者に味 わっていただくために選ん だ、幾つかの事例、物語、 言葉やその他の文化的断片 である。リポーターは、ヤ スミン・プラブダス。 中国 中国には、7千年以上の船乗りの長い伝統が ある。その最盛期は明朝時代(1368∼1644) であった。今日では、中国に50万人以上の船 員がいる。 中国の船乗りの英雄「鄭和」の伝説 鄭和は明朝時代の人。彼は、27,000人の船 員が乗り組む300隻の船団を率いて、1405 年から1433年の間、アジアからアフリカにか けて、30カ国以上へ航海したと言われている。 彼の通ったルートは西太平洋とインド洋を結ぶ 航路で、西はペルシャ湾からマダガスカルに及 んだ、と考えられている。鄭和の航海は、コロ ンブスのアメリカ大陸発見に先立つこと、87 年前と記録されている。 いくつかの中国船員の言い伝え ●1尺の帆を上げれば、10尺の風が受けられる ● 大きな船は、大きな借金の上を航海する ● 古い木を使って、新しい船を造るべからず ● 浜辺の決意は、世界の海につながる ● 小さい船に、重い貨物は積めない フィリピン フィリピンは世界最大の船員国で、現在、約 25万人の現役船員が、あらゆるタイプの船舶 に乗り組んでいる。船員は、フィリピンの海外 労働者の15%に過ぎないが、海外労働者の中 で最大のドルの稼ぎ手である。 余暇活動 フィリピン人船員は、一般的に: ●フットボールよりも、バスケットボールを好 む ●スヌーカーよりも、ビリヤードを好む フィリピンの神話 遠い昔、大地、空、海は3人の神が治めてい た。空の支配者だった太陽神には、ルナ(月) という名の美しい娘がいた。ある日、彼女が道 を歩いていると、その道は彼女を国の外へと導 いた。彼女は歩き続けて、空と海が接している ところに着いた。 彼女がまわりの美しい風景に見とれている と、突然、声が聞こえた。その声は、「おまえ は、どこから来たのか?一番美しい人よ」と、 たずねた。彼女があたりを見回すと、一人の若 い男が微笑んでいた。彼女は、「私の名はルナ。 太陽神の娘です」と、答えた。「私の名はマー ル。私は海神の息子です。わが王国にようこ そ!」と、彼は答えた。まもなく、2人は親友 になった。彼らは、大変、面白い話を、お互い に伝え合った。そしてルナの帰る時間がきたと き、彼らは、出来るだけ多く会おう、と約束し た。彼らは、何度も会い続けた。そして、とう とう恋に落ちた。 ある日のこと、彼との密会を楽しんだ後で、 ルナは喜びでいっぱいになって空の国に帰っ た。彼女は、あまりにも幸せだったので、彼女 の秘密を一人の従姉に話してしまった。従姉は、 ルナの幸せと美しさに嫉妬して、その秘密を太 陽神に告げた。太陽神は、神の掟に娘が背いた ことに腹を立てて、彼女を庭に閉じ込め、海神 に使いを送り、彼の息子のマールが神の掟に背 いたことを伝えた。海神は、息子のマールを海 辺の洞窟に閉じ込めた。 ルナは、マールと再会したい、と願った。あ ➡ ITF Seafarers’ Bulletin 2008 37 文化の交差 漁師たちは、今でも、ル ナ(月)が昇るたびに海 が荒れると信じている。 「海が荒れるのは、マー ルが洞窟から脱出しよう としているからだ」と、 彼らは言う。 ➡ る日のこと、彼女は苦労して庭から抜け出した。 彼女は、彼との密会の場所へと急いだ。洞窟の 中のマールからは、彼女の姿が水に写っている のが見えた。彼が洞窟から出ようとしたため、 海が荒れた。ルナは長い間、待ち続けたが、マ ールはとうとう来なかった。彼女は、深い悲し みとともに家に帰った。彼女は、その後も何度 か彼との密会の場所に行ったが、マールが現れ ることはなかった。 漁師たちは、今でも、ルナ(月)が昇るたび に海が荒れる、と信じている。「海が荒れるの は、マールが洞窟から脱出しようとしているか らだ」と、彼らは言う。 よく使われるフィリピンの言葉 アパット=船長 へぺ=チーフ ヘペ・クビエルタ=チーフメート(1等航海士) ヘペ・マキニスタ=チーフエンジニア(機関長) マエストロ・アモ=ボースン(甲板長) マキナ=エンジン クビエルタ=デッキ パボール=港 エストレボール=左舷 タリ=ロープ バルデヨ=甲板/船倉の洗浄 カルガダ=貨物 カイン=食べる プエルト=港/バース カイビガン=友人 カバヤン/カババヤン=同胞 クムスタ=今日は/ハロー マアロン=大波/悪天候 ワラング・サホド=無給 ワラング・ペラ=金がない ヨシ=シガレット 38 ITF Seafarers’ Bulletin 2008 アラク=蒸留酒/ワイン/アルコール アイスランド アイスランドの基礎を建設した海の英雄への 敬意を捧げるための「船員の日」ほど、アイス ランド人に強い影響を与えている伝統はない。 アイスランドの「船員の日」の歴史は、首都 レイキャビックおよび隣接するハフナルフョド ルの船員組合が協力して、「船員の日」評議会を 設立した1937年に遡る。その目的は、「1年の うちの1日をアイスランドの船員のために捧げ て記念する」ことであった。第1回目の「船員 の日」は1938年に挙行されたが、それ以降は 毎年6月の第1日曜日と定められている。「船員 の日」は、今ではアイスランド社会の一部とな っており、1987年には憲法に定められ、11日 しかないアイスランドの祝日の1つとなってい る。 アイスランド国民は、この日、建国の基盤と なった産業に敬意を捧げる。アイスランドの海 辺の町や村では、祝賀行事が行われる。行事の 中では、船乗りの仕事が披露される他、海上で 命を失った船員や退職した船員、ならびに海運 産業の開拓者に対する賞賛や敬意が示される。 この他、ボート競漕、船舶展示会、ダンス大会、 コンサートなどの明るい雰囲気の行事も行われ る。この日は、全ての漁船が操業を休んで港内 に係留され、乗組員は家族、友人や一般市民と ともに祝日を楽しむ。 「船員の日」評議会の役割は、1939年に拡大 された。評議会は、船員を可能な、あらゆる方 法で支援したい、と希望した。船員の負担は過 大であり、平均寿命が比較的短いことを遺憾に 思った。「船乗りの負担を軽減するために、評議 会はレイキャビックで老人ホームの建設と運営 に着手し、1957年には船員老人ホームを開設 した」と、「船員の日」評議会のG・ハルヴァル ドソン議長は述べている。「1977年には、ハフ ナルフョドルにも新たに船員老人ホームが開か れた。これらのDASホームは、アイスランドの 老人保護事業の先駆者だ。現在、700人が、こ れらのホームで生活している」 ロシア ロシアの船員の伝統は、17世紀末のピョート ル大帝の時代に始まる。今日、ロシア船員の数 は、12万人を超えている。 ロシアの特別な祝日 6月16日、ロシアの人々は、ネプチューン (海神)の日を祝う。伝統によれば、初めて赤道 を越えた船乗りは、秘儀の洗礼を受けることに なっている。新参の船員は、海水に浸たされる か、水泳プールに放り込まれる。その後、哀れ な船乗りは、機械油がたっぷり塗られた船倉を、 這って通り抜けなければならない。この儀礼を 通過した船員は、ネプチューンの印章と儀礼の 修了証を授与される。彼が次に赤道を通過する 場合は、この儀礼修了証を示すことによって、 儀礼は免除される。 商船船員と内陸水運労働者は、7月の第1日 曜日が祝日となっている。 船員のために乾杯 ロシアでは一般的に、宴会などにおいて船乗 りのための乾杯が行われる。この乾杯は通常、 宴会の主要な乾杯の後に行われる。 ロシアのことわざ ウォッカ抜きのビールは、風に向かって金を 捨てるようなものだ。 よく使われるロシアの言葉 プリヴェット= ハロー ロシーア= ロシア カク・デラ?= お元気ですか? ドルーグ= 友人 ダズヴィダーニャ= さよなら カピタン= 船長 シェフ= チーフ ポールト= 港 ポイディオム・ヴィピエム= 飲みに行きまし ょう ウォッカ= ウォッカ/アルコール ピヴォ= ビール バスキー= ドル ヤスミン・プラブダスは、ITFニュース・オン ラインの編集者。 英語圏の船員 船員のスラング オーストラリア、英国、ニュージーラ ンド、米国などの英語圏出身の船員は、 船員独特のスラングを使っている。これ らには、言葉のリズム(韻律)に合わせ たスラングが多い。以下は、その例であ る。 ● オールドマン= 船長 ● ハリーテート= 航海士(メート) ● ジンジャー・ビア= 機関士(エンジニア) ● レッキー= 電機士 ● スパーキー= 通信士 ● バブリング・ブルック= 司厨手(コック) ● クラム・キャッチャー= 司厨員(ス チュワード) ● スケーリーバック= AB/甲板部員 ● ドンキーマン= 操機長 ● ファイアメン= 機関部員(複数) ● チャネルズ= 休暇前の気分 ● スターボード・リスト= 飲みすぎた 船員が持つもの ● ポンプ・ザ・ビルジ= トイレに行き たい ● ゴーイング・アショア・ギア= 上陸 用服装 ● ピット= ベッド ● ドービー= 洗濯 ● ジョブ・アンド・ノック= 仕事を早 く済ませて休暇を得たとき ● ベル・ツー・ベル= 通常の労働時間 ● リングボルト= 船内にいるべきでな い人または物 ● ドッキング・ボトル= 申告済み酒類 ● ブラック・パン= 夜食(午後10時 ごろ) ● カウボーイ・ヒッチ= 誤った/でた らめな結び目 海の仕事歌(シャンティー) これらの歌は、船乗りの日々の仕事の 辛さを紛らわせるために歌われていた。 この種の歌には、“呼びかけと応答”形 式の歌詞があり、通常は乗組員全員が参 加して歌われていた。 この伝統は、英国/アイルランドおよ びアフリカ/カリブ海の文化から発展し たものである。これらの歌詞は、船乗り たちが異なる文化と接触することによっ て発生したもので、アイルランドのメロ ディーがアフリカやポリネシアのリズム と混じり合い、さらにアメリカの物語が 溶け込んだものもある。 シャンティーは、その時に行う仕事に 合わせて歌われていた。例をあげると… ショート・ホール/ショート・ドラグ・シャンティー 手早く行う仕事、帆を絞ったり、巻き 上げたりする際に歌われた。 ロング・ドラグ・シャンティー 帆の展 張作業のような、時間のかかる力仕事 に合わせて歌われた。各節の終りのコ ーラス部分で、船員は帆綱を引く手を 休めることができた。 キャプスタン・シャンティー 錨の上げ下 ろし作業のように、錨綱を一定のリズ ムで繰り出したり、巻き上げたりする 仕事の際に歌われた。 フォクスル・シャンティー 仕事の終わ る夕方に歌われた。一般的なテーマは、 恋愛、冒険、戦いまたはユーモアであ った。 ホエーリング・シャンティー 捕鯨船乗組 員によって歌われた。 ITF Seafarers’ Bulletin 2008 39 手紙 ITFに援助を求めなかったのは、私の誤りでした 私は、キャプテン・カルラモフ号 (旧船名ストレリツ)の元船長です。 6月の末に、日本の新潟港でITFが訪 船してきました。本船乗組員の行動に、 私は参加しませんでした。残念ながら、 オペレーターのドラカール・マリン社 と船主のSVS海運貿易会社の約束を、 私は信じていたのです。 本船は、2007年6月30日に、不十 分なディーゼル・オイルと僅かな食糧を 持って新潟港を出ました。私が出港する 決心をしたのは、新潟港のPSCで重大 な欠陥が発見され、新潟港に長期間 (25日間)滞在することになったため、 船主の財政状態が危機に瀕していること を理解していたためです。その後、船名 が変更され、船籍も変わりました。日本 では燃料とディーゼル油が高価なので南 千島またはサハリンで本船の燃料を補給 したい、とのカムチャツカのペトロパブ ロフスクの船主、SVストロクルヤ社 (実際には、会社はベリーズに登記され ていました)の提案に、私は同意したの です。 本船が北海道の北東端に着いたとき、 船主は私に二つの選択肢を示しました。 第一は、北千島まで行き、「はしけ」か らディーゼル油の補給を受けること。第 二は、サハリンのアニヴァ湾まで行くこ と。これは2日半の航海の延長を意味し ました。 私は、第一の選択肢を拒否しました。 危険が多すぎたからです。悪天候の海に、 「はしけ」を出す人はいません。私は燃 料補給のため、アニヴァ湾に向かいまし た。私の見るところでは、より長い航海 を選択するのは恥と思うだろう、と船主 が勝手に想像していたようです。私は7 月3日に、カムチャツカのペトロパブロ フスクで病気のため下船したい、との申 請を船主に送りました。 燃料補給については、私の判断が正し かったようです。本船は北千島へ向かう 途上、悪天候に遭遇し、3日半にわたっ て避難しなければなりませんでした。7 月13日の夕刻、カムチャツカのペトロ パブロフスクに到着したとき、アニヴァ 湾で補給したディーゼル油15mt(メト リックトン)のうち8mtが残っていま した。計画では8日間の航海のはずが、 14日間かかってしまったのです。この ため、食糧も清水も不足していました。 7月14-15日、船長の交代がありま 40 ITF Seafarers’ Bulletin 2008 した。ペトロパブロフスクで下船する予 定の乗組員の正当な賃金を清算するとの 船主の約束は、オペレーターの文書によ る保証があるにもかかわらず、無視され ました。契約書の変更も、ありませんで した。 日本に滞在中、船主は頻繁に私に電話 してきました。ところが、ペトロパブロ フスクに着いたときには、私に電話する 時間は1分たりともなかったのです。船 長を交代した後、私はもはや無用の存在 で、彼は私の賃金に関する約束など完全 に忘れてしまったのです。 私がカムチャツカのペトロパブロフス クで乗船したとき、出港まで1日しかな かったので、書類手続きを完了する時間 がありませんでした。このような事情の ため、私は賃金や条件を、船主との口約 束で済ますことに同意したのです。 けれども、韓国の浦項港に着いたとき、 ドラカール・マリン社は契約書に私の署 名を求めてきました。契約書が期待を裏 切るものであったため、私は署名を拒否 しました。本船がペトロパブロフスクに 戻ったときに、船主と話し合う計画でし た。ところが、航海予定が1ヵ月ではな く、3ヵ月もかかってしまったのです。 私は契約および賃金について船主と話し 合おうと、あらゆる努力をしましたが、 すべて無駄に終わりました。 乗組員と行動を共にして、もっと早く ITFの支援を要請すべきでした。私が間 違っていました。このような状況で、 ITFが私を援助できないことは理解して います。今では、私がこれまで関係を持 った船主とオペレーターには、全く誠意 がなかったのだ、と実感しています。 敬具 (氏名はITFが留保しています) キャプテン・カルラモフ号元船長 “このような状況で、ITF が私を援助できないこ とは理解しています。 今では、私がこれまで 関係を持った船主とオ ペレーターには、全く 誠意がなかったのだ、 と実感しています。” 何 度も再発を繰り返すのが、多くの病 気のパターンである。私たちは、生 活習慣を変えるとか、他の病気のた めの治療方法を試すなど、なんとかしてこの ような病気と付き合っていかなければならな い。このような健康状態の場合には、船内の 仕事に必要な適切な体調の維持に影響が及ぶ かも知れない。症状が再発すれば、仕事の要 求に対応できなくなることもあり得る。 このような症状を持った男性あるいは女性 の船員は、国内の海事当局の承認を得た医師 によって、いくつかのやり方の一つにより、 活動を制限されるかも知れない。例えば、突 然に倒れる危険性がある場合には、海上の勤 務は恐らく禁止されるであろう。多くの場合、 当初の症状が軽減すれば、時間の経過ととも に、危険性も減少する。(例:一部の心臓疾 患) このようなケースでは、船員の体調によっ ては勤務中に倒れ、船舶の損傷や沈没が想定 され、勤務に就くことが永久に禁止されるか、 あるいはその他の症状よりも長い期間、制限 を受ける可能性もある。 歯の痛み、胆石、腎臓結石、ヘルニアまた は消化器系の潰瘍などの合併症を含む多くの 症状は、一定の期間内あるいは数時間内に発 症する。この場合には、治療によって症状が 治まるまで、遠洋航海の勤務は禁止されるべ きである。しかし、沿岸区域での限定的勤務 は、恐らく可能であろう。このような症状の 一般的な症例を、以下に述べる。 発作と失神 海上でのてんかん性の発作や痙攣は、この 病気を持つ人にとって大きなリスクであり、 痙攣を起こした人、または再び痙攣を起こす かも知れない人を看護する他の乗組員にとっ ても、重大な負担となる可能性がある。 その人が、船舶の安全にとって重要な業務 に就いていれば、船舶は危険にさらされるこ とになる。過去の痙攣は、再発の予報となる。 過度のアルコール摂取、頭部の負傷、脳外科 手術、一部の薬物などは、リスクを増大させ る。 一般的な問題のひとつは、ある人が失神し、 その場にだれも居合わせなかった場合、明白 海上の健康維持 再発を繰り返す 慢性病に注意しよう 英国海上沿岸警備庁のティム・カーター医学顧問が、厳密な健康診 断、適切な治療および効果的な予防措置によって、再発症状に起因 するリスクを最小限に止める方法を検討する。 な原因が不明なことである。原因は、単純 な失神、心臓疾患あるいは発作かもしれな い。 徹底的な臨床調査が不可欠である。明白 かつ治療可能な原因が発見されなければ、 一定期間の海上勤務の休止が、再発のケー スにおいては通常、必須である。 糖尿病 糖尿病の患者にとって、安全のために不 可欠な業務への適性判断は、単純ではない。 ホルモンの1種であるインシュリンは、体細 胞へのブドウ糖の取り込みを調整している。 糖尿病の場合、インシュリンが不足するた め、細胞が必要とする必須の栄養素が欠乏 する。このため、短期的および長期的問題 が発生する。インシュリンの深刻な不足は、 若い時から始まることがある。けれども、 多くの症例では、相対的な不足が中年にな ってから現れる。前者の場合、ほとんどが 注射によるインシュリンの補充を必要とす る。後者の場合、少なくとも初期には、食 事療法と体重管理による治療が可能なケー スが多い。ただし、このケースにおいても、 内服薬やインシュリン注射による補助が必 要な場合もある。糖尿病自体にも、インシ ュリン注射にも、副作用の可能性がある。 急性で未治療の重い糖尿病は、数時間ま たは数日で昏睡状態を起こすことがある。 特に急性でなくとも、細胞に吸収されなか 左:陸上での定期的な歯の検査に よって、海上での歯や歯茎に関す る苦痛の発生を避けることができ る。 右:糖尿病の検査 ったブドウ糖は、尿中に排出される。結果 として、尿量が増加し、のどが渇くことに なる。長期的には、血管の損傷が発生し、 心臓や動脈の疾患、足指の壊疽、失明の危 険が増大する。 効果的な治療によって、短期的な問題を 予防し、長期的な病状の深刻化を遅延ある いは軽減することが可能である。けれども、 インシュリンの場合には、支払わねばなら ない対価も覚悟しなければならない。血中 のブドウ糖の適正な管理は、循環するブド ウ糖の不足を招き、内分泌の平衡失調を起 こす可能性が増大する。これが、大量のブ ドウ糖を消費し、僅かな備蓄しかできない 脳に急激な影響を与える恐れがある。ブド ウ糖の欠乏が深刻になれば、虚脱状態や失 神の恐れがある。また、軽度の不足の場合 でも脳の機能に障害が発生し、行動パター ンや理解力が変化することもある。このよ うな欠乏は、ブドウ糖またはグルカゴン(ホ ルモンの一種)を注射することによって治療 できる。グルカゴンには、インシュリンの 効果を中和する作用がある。 船員の仕事への適性に、この複雑な条件 が、どのような影響を与えるのだろうか? 一般的に、インシュリン治療を必要とす る人は、海上勤務には不適であると考えら れている。その理由は、緊急の応援態勢が 得られない場合における低血糖症の影響が、 重大な結果を生み出しかねない潜在的可能 性をもっているためである。 インシュリンの過剰投与による理解力あ るいは行動能力の減損は、安全に関係する 業務の遂行上、判断力に影響する恐れがあ る。さらに、食物とインシュリンのバラン スを注意深く維持しなければならないが、 変化する作業スケジュール、緊急事態の発 生あるいは船酔いの場合などには、これが 困難となる。食事療法(薬剤の併用の有無 に関係なく)で治療を受けている人は、通 常、勤務可能と考えられるが、病状の進行 状況を監視するために、同一の医師による 一層頻繁な健康診断を受ける必要がある。 これに加えて、足、目、心臓に影響のある 合併症がないことを確認するために、これ らの器官の検査を受けることが重要である。 結石 結石は、胆のう、腎臓、膀胱などに形成 されるが、これらの臓器につながる細管に 結石が詰まったりした場合、突如として疝 痛が現れる傾向がある。これらの結石は、 感染症の原因ともなりやすい。 結石形成のメカニズムは、胆汁と泌尿器 の場合で異なる。尿結石の形成は、多くの 水分を取ることによって減少させることが できるが、熱帯性気候のもとでは脱水症状 が一般的であるために、この種の結石は一 層重大な問題となる。 陸上の結石患者の場合、症状が継続する か、あるいは手術が必要かどうかを確認す るために、一定期間、経過を観察する。こ の方法は、母港の近辺で勤務する船員にの み適用できるが、医療施設から遠く離れた 船員には適切ではない。発病の初期におい て、信頼のおける徹底的な治療の実施を確 保することが重要である。長期にわたって 症状が現れることのない、制約のない体調 であることを確認したうえで、証明書の発 給が可能となる。 ヘルニアと消化器潰瘍 結石の場合と類似した基準が適用される。 ヘルニアおよび消化器潰瘍は、時には予知 可能だが、潜在的には深刻な合併症状が現 れることもある。陸上においては緊急事態 に対する対応も可能であるため、治療の遅 れは許容できるが、船員の場合、完全な治 療を受けるには大きな制約があるため、遅 れを許容する余地はない。 歯科 歯の健康は小さな問題と思われがちであ るが、歯痛や口腔の痛みは海上における緊 急医療のありふれた対象であり、場合によ っては多大なコストがかかる航路の変更を ➡ ITF Seafarers’ Bulletin 2008 41 ➡ 必要とすることもある。 ヨーロッパの北海ガス油田のオフショア産業で は、救急ヘリが運んだ患者の大多数は歯科の患者 であった。歯科治療を伴う定期検診は、緊急事態 の発生件数を大幅に削減するであろう。歯の問題 は、船員個人が責任を持つべき問題ではあるが、 改正された健康基準によれば、以前に求められて いた認可を受けた医師による歯および歯茎の検査 ではなく、現在では、船員は過去12ヵ月以内に 歯科医の検診を受け、必要な治療を完了したとの 文書提出が要件となっている。これによって、休 暇中においても乗船を前提とした計画性が求めら れることになり、乗船時の通知のみでは、検診の 欠如が大きな問題の原因となりかねない。 こ れらは、症状の再発が予見可能な状況に おいて、体調の適合を決定できる方法の 幾つかの例に過ぎない。 健康状態と仕事に対する適性を検討する際に は、幾つかの側面を考慮に入れなければならない。 その一部は、乗組員と船舶の安全に関係している。 すなわち、視力の低下、ブリッジでの突然の就労 グルジア船員組合が組織した第3回国際船員スポーツ・フェスティバルは、2007年10月24 不能状態、緊急事態への対応能力、感染を拡大す 日にグルジア港で開催された。バトゥーミ海事アカデミーでは、実習生、バトゥーミ港の港 る危険などである。その他、コスト、航路変更ま 湾労働者、マルタ籍船ゾグラフィア号乗組員らが参加したが、サッカーと卓球に人気が集ま たは救助要請のリスク、陸上での早急な治療の確 った。港湾チームとゾグラフィア号チームのフットボール試合は、7対2で港湾チームが勝利 保などがある。船員が、発病するリスクを適切な した。 バトゥーミ港のITF代表、メラブ・チジャヴァゼによれば、乗組員たちは、組合が寄贈した 予防的助言によって減少させ、船員としての経歴 フットボール用Tシャツ、記念品、スポーツ・シューズなどの商品を授与された。その後、 を充実させるとともに、海上での急病の発生の恐 れを少なくすることは可能であることを、最後に 参加者は地区の船員クラブで開かれたパーティーに招かれ、グルジア・ビールを楽しんだ。 指摘しておきたい。 グルジアにおける健康維持活動 この記事は、英国のITF加盟船舶職員労組、ノ ーティラスUKの機関紙“テレグラフ”に掲載さ れたものである。 “船員が、発病するリスクを 適切な予防的助言によって減 少させ、船員としての経歴を 充実させるとともに、海上で の急病の発生の恐れを少なく することは可能である。” 42 ITF Seafarers’ Bulletin 2008 海難事故 船員が知っておくべきこと! あなたの船が海難事故に巻き込まれた場合、事 故に関する取り調べが行われたり、関係国によっ て拘束されたりした際に、船員を公正に扱うため の国際ガイドラインがあることを知っておこう。 このガイドラインの名称は、「海難事故の際の船 員の公正な処遇に関するIMO/ILOガイドライン」 である。 ガイドラインは、港湾国、沿岸国、船籍国、船 員の出身国および船主に対し、船員を公正に処遇 するよう義務付けている。 このガイドラインに基づくあなたの権利を理解 しておくことが重要である。これによって、もし 海難事故の後に、あなたが尋問または拘留された 場合、何をなすべきか、どのように自分の権利を 守るべきかを知ることができる。 あなたの船が関係する海難事故について尋問を受ける 場合 ■ あなたが必要と考えるなら、尋問に答える前に、ある いは港湾国、沿岸国、船籍国の調査員に対して供述を 行う前に、弁護士を要求すべきである。なぜなら、こ れらの回答や供述は、将来の刑事またはその他の法的 手続きにおいて、あなたに不利な材料として利用され る可能性があるからである。 ■ 会社/労働組合に連絡し、助言と支援を求めること。 ■ 質問の内容を、必ず完全に理解すること。 公正な処遇に関するガイドラインの詳細は www.itfglobal.org/fairtreatment または www.marisec.org/fairtreatment にアクセスしてください。 ■ 何らかの点についてあなたが理解できない場合 ・当局に対し、質問を中止するよう求めること。 ・必要なら、通訳の支援を要求すること。 まず、あなた自身の利益を守ることが重要である。そ のためには、会社、労働組合あるいは弁護士から受けた 助言を守るべきである。情報を提供するように助言を受 けた場合には、捜査員に対し、誠実に真実を述べること が重要である。 海難事故の際には、あなた自身の利益を守ろう。 公正な処遇に関するガイドラインを読もう。 自分の権利をよく理解しよう。 疑問があれば、助言を求めよう! ITF Seafarers’ Bulletin no. 22/2008 International Transport Workers’ Federation ITFのホームページでは、便宜置籍船反対キャンペーンや船員の労働条件向 上キャンペーンなどの最新情報を満載しています。人権や船員の労働組合権を 侵害されている労働者を支援する連帯の輪を広げましょう。 ITF船員トラスト、女性の問題、ITFの法的援助、教育サービスに関する 情報も、オンラインでアクセスできます。 海運関係のITF活動や国際的な交通運輸労働組合運動に関する助言、情報、 ニュースを閲覧したい場合は、www.itfglobal.org へ。 Steve McKay www.itfglobal.org
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