ASTE Vol.A21 (2013) : Annual Report of RISE, Waseda Univ. 中心窩を有する広視野センサの開発 研究者 清水 創太 (理工学研究所 客員主任研究員) 研究代表者 長谷部 信行 (理工学研究所 教授) 1.研究課題 本プロジェクトは,積載重要,スペース,消費エネルギー量の制限,情報通信速度のボトルネッ クの軽減・解消を目指した多機能的利用可能なセンサ開発を目的とするプロジェクトである.衛星 や小惑星探査用の探査機は仕様上の制限から上述の問題の解決が至上命題である.研究室では,放 射線,赤外線,可視光等の複数の帯域におけるリモートセンシングを可能とする多機能センサの開 発を目指している.本プロジェクトはその中でも特に可視光帯域にフォーカスを当てたセンシング 技術確立に寄与する研究内容となっている.また,人間や鳥の視覚機能に知見を得ているため,平 行してこれら生物の視覚機能のメカニズムの解明や検証実験を並行して実施している. 2.主な研究成果 2013 年度の取り組みの成果は,大きく以下の 2 つがあげられる.(1)前年度から科研費を用いて 継続して実施された広角中心窩センサ研究と(2)公益財団法人 JKA からの研究補助金を得て実施さ れた特殊広角レンズを用いたセンサの開発である. 前者は広角中心窩センサを多機能的利用可能な可視域視覚センサとして月面探査ローバーに搭 載するという計画のもとに韓国・KIGAM との国際共同研究に基づいて遂行された.また,広角中 心窩センサのさらなる小型化・省エネルギー化ひいては高機能化を目的としたノンメカニカル化の 取り組みを実施した.月面探査ローバーへの応用研究は,視線入力デバイスとの組み合わせにより 利便化を図ったシステムの構築と考察を目的として研究室学部生の卒業研究テーマとして実施さ れ,学生本人による 2014 年 3 月の国内学会発表の機会を提供し,大きな教育的な効果が得られた. 研究成果はその後さらに進捗され,2014 年度 4 月及び 10 月の国際学会発表及び国内 Journal に投稿 される予定である. 後者の特殊広角レンズを用いたセンサの開発は,当該財団から 3 年連続して採択されている研究 テーマの一環であり,2013 年度はドライブレコーダ用の視覚センサとして交通事故の起こり易い夕 暮れ時に撮影された動画像の品質を向上させることを目的として実施された.特殊な広角光学系を 設計・試作し,その成果を 2014 年 3 月の国内学会で発表を行っている. 3.共同研究者 N.A. 4.研究業績 ASTE Vol.A21 (2013) : Annual Report of RISE, Waseda Univ. 4.1 学術論文 1) Sota Shimizu, Taro Suzuki, Masaya Ogawa, Yuzo Shibayama, Yoshiyuki Fukazawa, Takumi Hashizume, Disaster Back-up Support using GIS Contents Composed of Images from Satellite and UAV, Field and Service Robotics , Springer (2014), 査読有 2) Sota Shimizu, Yoshiaki Tanazawa, Takumi Hashizume, Development of Wide Angle Fovea Telescope, IEEJ Transaction on Industrial Applications, Vol.3, No.4, Sec. D (2014.4) , 査読有 3) Sota Shimizu, Takumi Kadogawa, Shuu-ichi Kikuchi, Takumi Hashizume, Quantitative Analysis of Tennis Experts' Eye Movement Skill, Proc. of IEEE AMC (2014.3) , 査読有 4) Sota Shimizu, Yoshiaki Tanzawa, Takumi Hashizume, Development of Wide Angle Fovea Telescope -Lens Design and Production of Prototype-, Proc. of IEEE AMC (2014.3) , 査読有 5) Sota Shimizu, Nobuyuki Hasebe, Kazutaka Nakamura, Kyeong Ja Kim, Yi Re Choi, Eung Seok Yi, Hiroki Kusano, Hiroshi Nagaoka, Multi-purpose Use of Wide-Angle Fovea Vision System for Planetary Exploring Rover, Proc. of ISRS (2014.4) 6) Sota Shimizu, Takumi Kadogawa, Masayuki Naito, Takumi Hashizume, Hiroki Kusano, Hiroshi Nagaoka, Nobuyuki, Hasebe, Yoshiaki Tanzawa, A study on Color Information Corrected in Human Brain-Measurement and Evaluation of Color Propagation-, Proc. of IECON (2014.10) (reviewed) 7) Sota Shimizu, Nobuyuki Hasebe, Kazutaka Nakamura, Kyeong Ja Kim, Yi Re Choi, Eung Seok Yi, Hiroki Kusano, Hiroshi Nagaoka, Multi-purpose Wide-Angle Vision System for Remote Control of Planetary Exploring Rover, Proc. of IECON (2014.10) (reviewed) 8) Sota Shimizu, Takumi Hashizume, Shuu-ichi Kikuchi, Nobuyuki Hasebe, Hiroki Kusano, Mona Lisa might be displeased? -Emotion Propagation from Central Field of View to Periphery in the Brain-, Proc. of the 10th anniversary of France-Japan and 8th Europe-Asia Congress on Mechatronics (2014.11) (reviewed) 4.2 解説・著書 4.3 招待講演 1) Wide Angle Fovea Sensor which can Change Attention Points and Magnification without Mechanical Parts Future Optics : Omni, Uni Towards Multi, KIGAM, 2013 年 7 月 17 日 2) テニス熟練者のアイムーブメントスキルの定性的・定量的検証, 電気学会東京支部連合研究会 2013, 東京電機大学北千住キャンパス,2013 年 9 月 3 日 3) 液晶広角中心窩レンズの開発, 第 2 回高度センサ応用による環境・機械・生体の計測制御技術創生に 関する協同研究委員会,早稲田大学西早稲田キャンパス 55 号館 S410 号教室,2013 年 10 月 25 日 4.4 受賞・表彰 4.5 学会および社会的活動 1) 電気学会研究調査委員会「高度センサ応用による環境・機械・生体の計測制御技術創生に関する協同研究 委員会」技術委員長, 20132) 電気学会 産業計測技術委員会委員, 20123)広角中心窩望遠鏡の開発,讀賣新聞夕刊平成 25 年 10 月,公益財団法人 JKA 平成 26 年度補助金募集広告内 にて 4)広角中心窩望遠鏡の開発,公益財団法人 JKA 平成 26 年度補助金募集ちらし,平成 25 年 10 月,日本機械学 ASTE Vol.A21 (2013) : Annual Report of RISE, Waseda Univ. 会誌,電気学会誌,応用物理学会誌に折り込みチラシ. 5.研究活動の課題と展望 中心窩を有する広視野センサは注目点を変化させる仕組みが必要であり,従来これをメカニカル な機構に依存してきた.そのため,システムが大掛かりになり,小型化,ひいては省エネルギー化 において大きな不利点であり,普及促進のためにはこれを解決する必要があった.そのため,メカ ニカルな可動部を要さない注目点移動システムの開発が課題であり,これを実現する展望として光 学機能性材料に着目している.
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