地域で在宅療養者の摂食・嚥下機能評価を多職種のチームで行うための

2011 年度(後期)「在宅医療研究への助成」報告書
【テーマ】
「地域で在宅療養者の摂食・嚥下機
能評価を多職種のチームで行うため
のモデル事業」
申請者:
医療法人
川島医院
川島
理
提出:2013 年 2 月 25 日
【研究の背景と目的】
癌の患者さんであれ非癌の患者さんであれ、終末期における摂食嚥下機能の障害は必須
のものである。高齢者は誤嚥性肺炎を合併し、入退院を繰り返すうちに、安易な胃ろう造
設が行われ、その尊厳が損なわれることが多い。安易な胃ろう造設を避けるためにも、的
確な摂食嚥下機能の評価が求められるが、少なくとも在宅においては機能評価の体制は出
来ていないのが現状である。
今回、われわれは医師・歯科医師・看護師・言語聴覚士・理学療法士・歯科衛生士・栄
養士・介護職等と摂食嚥下機能評価チームを組んで、在宅療養者の摂食嚥下機能の評価を
行った。
適切な摂食嚥下機能評価を行うことにより、その評価に基づく、患者さん一人一人に合
った「口腔ケア」「嚥下リハビリ」「適切な形態の食事の提供」等を実施することにより、
高齢者が誤嚥を防ぎ、できるだけ長く安全に口から食事をとることを可能にする体制を作
ることを目標とした。
【研究の内容】(配布資料や報告書は、参考資料を参照のこと)
1)勉強会
高齢者の摂食嚥下機能を正確に評価することの重要性が十分に認識されているとは言え
ない状況にあると考え、群馬県在宅療養支援診療所連絡会が主催となり、摂食嚥下にかか
わる多職種の方々に講演をお願いし、摂食嚥下障害への理解を深めてもらった。
多職種で先進的に摂食嚥下機能評価に取り組んでいる施設を訪問しての見学会を予定し
たが、そのような施設が少ないため、先進的に摂食嚥下に係わっている方を講師にお招き
して講演会を回数を増やして実施した。
講師の職種は、医師・歯科医師・看護師・歯科衛生士・栄養士と多岐にわたり、みなさ
ん、それぞれの立場で、摂食嚥下に係わっているベテランの方々で、大変勉強になった。
内容及び参加者は、以下の通り
第1回講演会
演題
平成 24 年 4 月 10 日
前橋赤十字病院における摂食嚥下外来について
講
師
前橋赤十字病院
摂食嚥下障害認定看護師(NST 専門療法士)
伊東
歯科衛生士(NST 専門療法士)
高坂
第2回講演会 平成 24 年7月 19日
演題
摂食・嚥下機能評価について
講
師
大川歯科医院院長
大川
延也
先生
七奈子
先生
陽子
先生
第3回講演会
平成 25 年 1 月 10 日
演題 1 嚥下内視鏡による摂食嚥下機能評価の実際(ビデオ供覧)
講師
群馬県在宅療養支援診療所連絡会
副会長
川島
崇
先生
演題 2 摂食嚥下機能評価と在宅における訓練
講師
足利赤十字病院リハビリテーション科部長
第 4 回講演会
演題
馬場
尊
先生
平成 25 年 2 月 8 日
病院から在宅へ~つながろう!口から食べる支援~
講師
地域栄養ケア PEACH 厚木
第1回
第2回
代表
江頭
第3回
文江
先生
第4回
医師
6
13
25
14
歯科医師
7
14
10
5
看護師
18
16
14
25
歯科衛生士
11
12
12
5
介護士
12
6
6
4
言語聴覚士
8
4
21
6
管理栄養士
1
0
5
9
ケアマネ
0
1
2
0
その他
10
6
13
10
合計(人)
73
72
108
78
2)多職種摂食嚥下機能評価視察
多職種で先進的に摂食嚥下機能評価に取り組んでいる施設を訪問しての見学会を開催。
予定では、東京など遠隔地の施設を考えていたが、日程が合わず実現できなかったのが
残念であった。また、県内では、このような先進的な試みをしているところが少なく 2 回
のみであった。
第 1 回:特別養護老人ホーム
第 2 回:前橋赤十字病院
かまくら
摂食嚥下回診
H24 年 10 月 6 日
H24 年 10 月 31 日
3)多職種にて訪問摂食嚥下機能評価の実施
多職種で施設居住者(グループ・ホームや特養など)や在宅療養者を訪れ、摂食嚥下機
能評価を現地に赴いて行った。3 日間で、計 10 名の方の評価を行うことができた。
今回の多職種チームは、初めての合同作業だったため、最初は、試行錯誤で時間ばかり
かかってしまいなかなかうまくいかなかったが、視察をしたり会を重ねることでチームワ
ークもよくなり短時間で評価できるようになった。
反省としては、患者さんの周りを取り囲む形で検査をするので、威圧感があったのでは
ないかと思った(認知症の方、お一人に検査拒否があった)。
予定では、4 回施行を考えていたが、多職種のためチーム内の日程調整や訪問患者さんの
選別などがあり 3 回にとどまった。今後、協力者を増やし、チームを複数作ることも考え
たほうが良いと思われた。
第 1 回:伊勢崎市
平成 24 年 9 月 13 日
第 2 回:前橋市・高崎市
第 3 回:渋川市
平成 24 年 11 月 1 日
平成 24 年 12 月 6 日
【今回の研究で得られたこと】
今回の研究で、嚥下内視鏡の有用性、また、それを利用した多職種協働での訪問による
摂食嚥下機能評価の有用性として、次のような点が認められた
1:患者さん(高齢者)が普段生活をしている場に出向いて摂食嚥下機能評価を行った
ため、日常生活と同じ環境が保てる
2:検査食でなく、日常食している食材・食形態で検査がおこなえる
3:適切な形態の食事の判断
その場でその人にとって、「安全な食事形態」か「危険な食事形態」か判断できる
4:それにより、介護職が日常的に行っている「食事介助」が、場合によっては非常に
危険な行為であることに気づいてもらうことができた
5:各職種の専門家による、「患者さん一人一人に合った食事のアドバイス」が、その場
でできる
看護師:「食事の提供方法」
歯科医・歯科衛生士:「口腔ケア」「ブラッシング」
ST:「嚥下リハビリ」
PT:「食事の提供時の姿勢」
「顔面・頸部の筋マッサージ」
(結語)
1:今回モデル事業で行ってみて、実際に食事を摂取している所を観察して評価する
ことができる嚥下内視鏡検査は、非常に有効であると感じた。
2:多職種協働による評価は、その場で、直接、患者さんのリハビリにつなげること
ができ、さらに有用である。
3:今後は、嚥下内視鏡の評価結果をもとに多職種協働で食事ケア方法を検討するこ
とが一般的になって欲しい
4:問題は、多職種協働による評価に対する診療報酬上の評価がないことにある。現
状では、「医療保険で、往診による嚥下ファイバー施行」のみ認められる。医療保険・介護
保険での報酬の裏付が必要である
5:今回のモデル事業を機会として、摂食・嚥下機能評価のチームを結成して「地域
における嚥下内視鏡を用いた多職種協働による食事ケアの検討」を継続してやっていきた
いと思う
本研究は、「公益財団法人
在宅医療助成勇美記念財団の助成による」
平成 24 年度群馬県在宅療養支援診療所連絡会
講 演 会
日
場
時 平成 24 年 4 月 10 日(火)19時より
所 群馬メディカルセンター「大ホール」
次
第
司会:群馬県在宅療養支援診療所連絡会
理事 川 島
理
1.開
会
2.挨
拶
3.講
群馬県在宅療養支援診療所連絡会
副会長 大 澤
誠
群馬県在宅療養支援診療所連絡会
理事 吉 野 浩
之
演
座
長
演
題
前橋赤十字病院における摂食嚥下外来について
講
師
前橋赤十字病院
摂食嚥下障害認定看護師(NST 専門療法士)
伊 東 七奈子 先生
歯科衛生士(NST 専門療法士)
高 坂 陽 子 先生
-
4.閉
質疑応答
-
会
主
共
催
催
群馬県在宅療養支援診療所連絡会
群馬県医師会
-この講習は公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団の助成を受けています-
群馬県在宅医療支援診療所連絡会 2012.4.10(火)
前橋赤十字病院の概要

診療科 :30科
病床数 :592床
平均在院日数 :12.9日
病床利用率 :91.5 %

施設認定・機能
病院と地域をつなぐ『食の支援』

~当院の現状と連携に必要なetc・・・





一般紹介率 :57.6 %
逆紹介率 : 47.9 %
救急患者数 :62.2 人/日
救急車搬入人数:15.8 人/日
地域医療支援病院、がん診療連携拠点病院
高度救命救急センター、ドクターヘリ設置
基幹災害医療センター、臨床研修指定病院、
日本医療機能評価機構認定病院、
NST稼働認定施設、教育認定施設 など
前橋赤十字病院 栄養サポート室
専従看護師 伊東七奈子
前橋赤十字病院

NST
自己紹介
いとうななこ(○年7月7日 七夕生まれ) O型
名前の由来:誕生日から名づけられました!
現在、大殺界中です。
年明け早々、りんご病、感染性胃腸炎、インフルエンザ・・・
最近は、慢性胃炎の急性増悪が・・・免疫不全状態でした!
自分の栄養療法が必要かもしれません。
NSTはブレイクスルー!現在のまでの経緯
脳外科病棟に勤務していた私は摂食・嚥下障害看護の患者さん
をたくさん看ていました。NSTが院内に発足し、設立当初からNST
に参加しました。その後、消化器病センターに異動し・・・
やっぱり自分の原点に戻って、勉強しようと思い、摂食・嚥下障害
看護の認定看護師になろう!!
なぜ、経口摂取が望まれるのか
• 経鼻栄養チューブや胃廔などの非経口的栄養法は、
長期的には大きな意味での栄養障害になる
• 多様な調理法によってバランス良く栄養を摂取できる
• 早期離床・早期歩行によるリハビリテーションと平行
でき、QOLの改善にもなる
• 非経口摂取代替栄養法が非人間的である
前橋赤十字病院
腸管を使うことはとても大切
経腸栄養をしている腸管の断面は・・・
病院
液体は通過が速い
施設・在宅
蠕動運動が
微弱
尿路結石
意識障害で、ずっと車椅子での生活、栄養剤は十分
おむつを換える際に痛そうにしていたので、検査したら
結石が見つかった。
廃用性委縮
初めは下痢
栄養吸収障害
NST
いずれ便秘
栄養吸収障害
前橋赤十字病院
NST
前橋赤十字病院
NST
1
施設にいるある高齢者
栄養上の問題
1. Alb値が基準値辺りに下がる
2. 電解質のバランスが乱れる(低Na血症、高Ca血症など)
•
•
•
•
老健施設の利用者
転倒して骨折疑いで入院した(個室)
ある夜、普通食をベッド上で30%ほど摂取できた
翌日、パンが提供された ➩ 窒息した





要介護高齢者で、認知症であった
病院では個室であった
歯牙の有無、義歯の有無は確認できていない
食事中の摂取状況は確認できていない
ベッド上の食事であった
3. なのに、高コレステロール血症になる
ふくよかな栄養失調
4. 痩せる(体重減少、肌の艶がなくなる、骨ばる、褥瘡等)
前橋赤十字病院
NST
前橋赤十字病院
施設における事故
NST
経口摂取は難しい、なぜ?
(%)
•
•
•
•
•
•
転倒・転落
外傷
誤嚥・誤飲
離苑(設)
異食
その他
73.3
14
6
5.5
3.1
16.5
前橋赤十字病院
•
•
NST
嚥下リハビリテーションの肝
•
•
•
•
前橋赤十字病院
NST
患者さんがむせています!
その場にいるあなたはどうしますか?
呼吸路の安全性の確保
口腔~咽頭機能の腑活
食物の調整
姿勢
•
•
•
•
リスクマネージメント
前橋赤十字病院
同じ経路を使う呼吸機能を安全に確保する
ことが難しい
非経口摂取代替栄養法からの離脱判定が
難しい
NST
水にとろみをつける
飲水をやめる
とりあえず、今の食事を終了する
ベッドを横にして休んでもらおう
前橋赤十字病院
NST
2
Q:“とろみ”は何故つけていますか?
今日もむせています!
今日のあなたはどうしますか?
A: ムセるから・・・。
食事を継続するかどうか、主治医へ報告する
Q: ムセると、何故“とろみ”をつけますか?
A: ・・・・・。
しばらく経口摂取はお休みして、点滴になる
前橋赤十字病院
NST
確かに!
とろみをつけると、水やお茶を飲んでも
むせなくなることがあります。
前橋赤十字病院
NST
普段患者さんに作っている
“とろみ水”or“とろみ茶”
を作ってみましょう !!
ですが・・・
“とろみ”はムセてしまう患者さんの万能薬
ではないんです。
前橋赤十字病院
NST
前橋赤十字病院
NST
そもそも、とろみって?
とろみをつける上で大切なのは!
• とろみの粘度
• 濃度の時間的変化
• 味
トロミ調整剤のプチ知識①
トロミ剤調整剤は大きく3つに分けられる
・ でんぷん:でんぷん
・ キサンタン系:増粘多糖類
・ グァアガム系:増粘多糖類
たかが“とろみ”、されど“とろみ”
患者に合ったとろみを作ることが大切なんです。
前橋赤十字病院
NST
前橋赤十字病院
NST
3
そもそも、とろみって??
トロミ調整食品の開発動向
増粘本体
分 類
デンプン
αα
デンプン系
その他
キサンタンガム
グアーガム
開発の流れ
デンプン・
グアーガム混合系
グアーガム・
キサンタンガム
混合系
トロミ調整剤のプチ知識②
製品名
トロメリン顆粒
エンガード
Thick&Easy
ムースアップ
スルーソフトS
ハイトロミール
トロミアップA
ノムミール
・でんぷん:
添加量が多く必要。ヨーグルト状では飲み込みやすいが、
ムース状などで型抜きできるようになるとべたつく
トロメリンHi
ネオハイトロミール
トロメリンS
(販売終了)
スカイスルー
トロメリンA
トロメリンEx
キサンタンガム系
●特徴と用途●
つるりんこ
ソフテイア
トロメイクSP
トロミパーフェクト
・グァーガム:豆が原材料
添加量が少なくてもトロミがつく。牛乳でもしっかりトロミがつくが
味に変化があり、多少グァーガムの豆臭さがある。
・キサンタンガム:キサントモナス族(培養するときに出るネバネバ)
透明性に優れ、無臭で付着性が少ない。スプーンですくい
にくさがあり、蛋白や糖分の多いものはトロミがつきにくい。
前橋赤十字病院
最近の増粘剤の傾向
(当院のネオハイトロミールRX)
そもそも、とろみって???
トロミ調整剤のプチ知識③
少量でとろみがつく!
◎キサンタンガム系の増粘剤を添加したもの
<メリット>
(3%)と同じ硬さを得るためには・・・
・ でんぷん系では4.5~5%
 使用量が少なくて済み、コストダウンになる
・ グァーガム系では2~2.5%が必要
 短時間でとろみがつく
◎いろいろなトロミ調整剤があるが、必ずきちんと
計っておく
<デメリット>
◎在宅の人に勧める場合には、毎日使うものだから
経済面も考慮する
 とろみがつくのが速すぎて、ダマになる
前橋赤十字病院
NST
 濃度の微調整がしにくい
濃度が濃くなれば、味は落ち、粘度は増す!
NST
前橋赤十字病院
NST
下手な図ですが!
では、“とろみ”の役割は
図で示すと・・・
とろみを
つけると・・・
• 口から咽頭まで到達する速度を遅くする
水
• 適度なブレーキは喉に送り込む機能、つまり舌や
頬の動き、飲む姿勢など、患者個別による
食道
気管
• 一旦、口の中に入ったら、加速をつけて 咽頭に
流れ込む水分に、 適度なブレーキをかける
ゴックン!
ゴックン!
特に覚醒不良や加齢だと・・・
• 速度が速いと対処ができない
• タイミングが合わない
• ゆっくりすると、自分のペースで
対処できる
前橋赤十字病院
NST
前橋赤十字病院
NST
4
とろみの適正な粘度
嚥下とは ?
高い粘度
体位が30℃以上に挙げられない人
通常1%の濃度
低い粘度
舌運動が低下している重度の患者
は低粘度がよい
Ex)神経筋疾患などで舌の委縮が
著しい患者
前橋赤十字病院
水分や食べ物を口の中に取り込んで、咽頭から
食道・胃へと送り込むこと。
これらの過程のどこかがうまくいかなくなることを
『嚥下障害』と言う。
普段、当たり前にやっている嚥下が
いったんできなくなると・・・
低栄養・脱水や、肺炎になってしまう
ことがある。
NST
摂食・嚥下に関わる器官
摂食・嚥下運動:5期モデル
(食べ物の通り道)
1.認知期(先行期)
のどは、飲食物の通り道で
あると同時に、空気の通り道
(気道)でもあり、両者が
交わっているところである。
そのために嚥下と呼吸の
仕組みの間には高度な協調が
必要である。
2.準備期(咀嚼期)
3.口腔期
随意運動→不随意運動
4.咽頭期
反射運動
5.食道期
蠕動運動
口腔期から食道期までの所要時間 1秒以内
嚥下障害とは 基礎編 http://www.ai-hosp.or.jp/sinryouka/center_riha/enge2/page1.htm, (2011.2.21現在)から引用
摂食・嚥下運動
・先行期(認知期):何をどのくらい、どのように
食べるかを無意識に判断する
時期。
・準備期(咀嚼期):食物を口の中に取り込み、
咀嚼し、唾液と混ぜて飲み込み
やすいように食塊をつくる時期。
嚥下運動
• 口腔期:
食塊を舌によってくちから喉へ
送り込む時期
・ 咽頭期:
食物を喉から食道へ
送り込む時期
・ 食道期:
食塊を食道内から胃へ
と送り込む時期
どこが障害されているのかを見極める
嚥下障害支援サイト スワロー http://www.swallow-web.com/engesyogai/index.html(2011.2.21現在)引用して一部改編
嚥下障害支援サイト スワロー http://www.swallow-web.com/engesyogai/index.html(2011.2.21現在)引用して一部改編
5
摂食・嚥下障害の原因と分類
食べ物の通り道
1.器質的機能障害
①炎症 ②膿瘍 ③外傷・手術 ⑤異物 ⑥奇形⑦瘢痕狭窄 ⑧その他
2.機能的機能障害
①脳血管障害 ②脳腫瘍 ③頭部外傷 ④パーキンソン
⑤筋萎縮性硬化症 ⑥重症筋無力症 ⑦薬剤の副作用
3.心理的原因
①認知症 ②うつ病 ③心身症 ④拒食症
薬剤の副作用(向精神薬、抗コリン剤、鎮静剤など)や、
義歯の問題(合っていない、持っていない)等も摂食・嚥下障害の
原因となり得る
嚥下障害とは 基礎編 http://www.ai-hosp.or.jp/sinryouka/center_riha/enge2/page1.htm, (2011.2.21現在)から引用
ベッドサイドでのワンポイントケア
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
姿勢:頚部前屈位、ベッドアップ30度、60度・・・
口腔環境:義歯の有無、舌の動き、唾液の有無
食形態
スプーンの大きさ(食具)
食べる順番
捕食(食べさせ方)
ゴックン!
残留の有無(口腔残留、咽頭残留)
呼吸状態、疲労、姿勢のくずれ
前橋赤十字病院
正しいベッド上座位
ベッドアップ30度、頚部前屈位が
重力を利用して誤嚥しにくくなる体位
正しい車椅子上座位
足底を小枕などで
安定させる
下手な図ですが!
ベッドの角度を下げると
重力
立ったまま食事介助をすると
顎が上がって誤嚥しやすい
頚部の前屈は、
3横指くらいが
適切な角度
コピー用紙などを
使って、簡単に
角度を設定できます
1.正しい姿勢
NST
1.患者と介助者の姿勢
ベッドサイドに座って、
患者と同じ目線で行う
嚥下障害とは 基礎編 http://www.ai-hosp.or.jp/sinryouka/center_riha/enge2/page1.htm, (2011.2.21現在)引用して一部改編
気管に
入りやすい体位・・
気管まっしぐら!
前橋赤十字病院
NST
6
下手な図ですが!
ベッドの角度を下げたら、必ず頚部前屈位
水
頚部前屈位ってどうやるの?
意外とできていない!! 重力
重力
頭
①食塊が重力の作用で
咽頭後壁側を流れやすい
②たとえ嚥下反射が惹起しなくても、
咽頭に食物が残っていても、
量が少なければ咽頭内に溜まる
(気管に入りにくい)
唇と耳を結んだ線がベッドと平行になるように!
前橋赤十字病院
1.食事の姿勢
NST
テーブルは上肢
に合った高さ
足底がついている
☆可能であれば・・・
フットレストでなく、
床につける
NST
1.車椅子のポジショニング
顎を引き
目線は前
体幹の傾き
がない
前橋赤十字病院
体幹の傾きがない
体幹の傾きがない
腰が背もたれ
についている
座面に深く
腰をかける
股関節、膝関節は
90度程度に保つ
股関節、膝関
股関節、膝関節は
節は90度程度
90度程度に保つ
に保つ
麻痺側の
アシスト
足底の位置
足底の位置
悪い姿勢の例
2.口腔環境:義歯の有無
3. 食形態 嚥下食とは・・・
咀嚼や食塊形成困難を補い、咽頭残留や誤嚥の少ないもの
・ 密度が均一である(凝集性が高い)
・ 適当な粘度があり、バラバラになりにくい
・ 口腔や咽頭通過の際に変化しやすい
(変形性が高い)
・ べたつかず、粘膜にくっつきにくい
(付着性が低い)
前橋赤十字病院
NST
7
嚥下食ピラミッド
ゼリー
Level
水ようかん、卵料理
0
Level 1
食物繊維が少なく粘膜への付着性が低い食品。
ゼリーで固めたものが中心
嚥下
訓練食
ねぎトロ、茶碗蒸し
Level 2
フォアグラ、ムース
Level 3 移行食
こしあん、
かぼちゃの軟らか煮
3. 食形態、適切ですか?
重力だけで咽頭部をスムーズに通過する
動性をもつ食品でゼラチンゼリー食
Level 4 介護食
食物繊維が多く、粘膜付着性が高い
ゼラチン寄せが中心
ピューレ、ムース状の食品で
汁物にとろみをつける
嚥下よりも咀嚼を重視した食事
刻むよりも「一口大」や
「かたちあるもの」が理想
Level 5 通常食
一般健常食と同等の食事
前橋赤十字病院
• 嚥下障害の患者は水分にむせる
→タイミングがつかめないまま喉に送り込まれる
• 危険なきざみ食
→ばらばらになりやすく、食物をまとめにくい
・ お粥は難しい食品
→米粒と重湯が不均一で、ミキサーにかけるとでんぷん
になり、固くなって危険
・ 寒天の食品は不適切
→体温で溶けない
NST
3. 食形態、適切ですか?
3. きざみ食とは?
常食や軟食の副菜をきざむことにより、咀嚼が不十分
でも飲み込めるような形態にした食事の総称である。
→つまり咀嚼を補うためには有効だが、まとまりが
悪いために食塊形成が難しく誤嚥などの原因となる
「きざみ食」という同一の名称を使っていても
それぞれの施設により、食形態の硬さ、大きさ、
食形態の時間的な変化に注意する
・ 食事時間が長くなると唾液中のアミラーゼが
お粥のデンプンを分解し、水分が多くなる
・ ゼラチンゼリーは30℃で溶解し、体温でも
溶けるので長所だが、夏は食べているうちに
溶けて「水」となり誤嚥しやすくなる
粘度などに隔たりがあることが問題視されている
食形態の時間的な変化に注意する
4.スプーンの大きさ(食具)
食事時間が長くなると唾液中のアミラーゼが
お粥のデンプンを分解し、水分が多くなる
お茶づけにして
食べさせて
いませんか
介助するスプーン
(口に入れるスプーン)
と粥を小分けにする
スプーンを分ける
スプーンの
ボール部が
小さくて浅い
ほぼ平らが理想
スプーンの
ボール部が
大きくて深い
前橋赤十字病院
NST
8
4.スプーン選びはとっても大切!
適切なポジショニングをしても、
一口量が多かったら
下手な図ですが!
食塊
重力
・大きくて深いので口唇でとりにくい
・一口量が10g以上になってしまう
食道の入り口から
溢れて
気管に入りこむ
危険性が高い
・1回量が守られる
・1回量は2g程度
誤嚥
前橋赤十字病院
NST
6.捕食(食べさせ方)
5.食べる順番
☆食べ始めは・・・
優しい食品から食べる(誤嚥しにくい食べ物)
ゼリー状のもの
➩➩➩ 難易度のもの(ベタベタするもの)
➩➩➩ ゼリー状のもの
前橋赤十字病院
ゼリーのとり方
スライスゼリー
口唇でゼリーをとる
唇を閉じようと必死
深くて、口輪筋の力
のある人でなければ
とれない
NST
前橋赤十字病院
NST
6.捕食(水分の取り方)
ゼリーはスライス状にとって介助する
口唇が水に触れる
ことなく、喉に送り
込まれる
首が後屈してしまう
前橋赤十字病院
NST
9
7.ゴックン!の確認をしよう
7.ゴックン!の確認をしよう
★ 喉仏の上がる距離をみる:喉頭挙上位を確認する
目視ではなく指を当てて確認:指を超えられるかが目安
★ 顎を挙げないように・・・
舌骨部
舌骨部
咽頭隆起
咽頭隆起
2本の指で、軽く触れる
前橋赤十字病院
NST
加齢による喉頭下垂でスタートラインが下がる
1-2椎体下がると言われている
ゴール!!
ゴールに達すると
食道が最大限に開く
筋力が低下している上に、
長距離を走らなくてはいけないので、志半ばで引き返す
→そのため、全ての食べ物が通らないうちに食道が閉まる
嚥下は0.6秒と言われていて、食べ物が通るまで待ってくれない
☆咽頭残留はこれだけが原因で起こるわけではないが・・・
NST
前橋赤十字病院
NST
口腔に残留する場合の介助方法
8.残 留
取り込み、咀嚼、食塊形成、送り込みの障害
咽頭残留
または
対処は:
交互嚥下、複数回嚥下
NST
→食物が喉に残る(これを咽頭残留)
筋力が低下している上に、
長距離を走らなくてはいけないので、志半ばで引き返す
通常の
→そのため、全ての食べ物が通らないうちに食道が閉じる
スタートライン!!
→食物が喉に残る(これを咽頭残留)
☆咽頭残留はこれだけが原因で起こるわけではないが・・・
高齢者のスタートライン!!
口腔残留
前橋赤十字病院
見るポイント
喉頭挙上(喉仏のあがる距離)
前橋赤十字病院
2本の指で、軽く触れる
「あ~!」と声を出してもらう
➩ガラガラ声の有無を確認する
前橋赤十字病院
●姿勢の調整
●体幹角度の検討(頸部前屈位で30度~90度)
●食物の調整:
(水分)状態によってゼリー/増粘剤入り水
(食事)ゼリー食,少量からスタート(スライス)
●介助法:食塊を奥舌へ介助
スプーンでの介助法,スプーンの選択(Kスプーン)
●嚥下方法:
交互嚥下,複数回嚥下,
Kポイント刺激(送り込み)
NST
10
咽頭に残留する場合の介助方法
●姿勢の調整
体幹角度の調節(頸部前屈30度~スタート)
一側嚥下などの検討
●食物の調整:(水分)ゼリー(スライス)
(食事)ゼリー食(スライス)より開始
●介助法:摂食ペースの配慮,一口量に注意
●嚥下方法:
頸部突出法,頸部回旋横向き嚥下,
交互嚥下,複数回嚥下,など
交互嚥下、複数回嚥下の効果
1回の交互嚥下
または複数回嚥下でクリア
交互嚥下の目的と方法
1.嚥下しにくいものと嚥下しやすい食塊が交互に
入ることで咽頭残留の除去に有利に働く
2.粥などの粘性の強い食品や水分が少ない食品で
咽頭残留の可能性がある場合はゼリーや水分を
交互に与えると口腔や咽頭がクリアになる
*食事の最後はトロミ茶またはゼリーで終了する
9.呼吸状態、疲労、姿勢のくずれ
• 必ずSPO2でモニタリングをしながら行う
(嚥下時無呼吸)
• 3%低下したら、一旦中止する
• 食事時間は30分を目安にする(疲労はむせ
を引き起こす)
• 疲労により姿勢が崩れる➩誤嚥のリスク
• 面倒がらず、姿勢をその都度直す
前橋赤十字病院
ベッドサイドでわかる
摂食・嚥下障害を疑う症状
•
•
•
•
•
•
•
•
•
Wet hoarseness(湿性嗄声)
よくむせるようになる(特に水分)
夜間の咳、痰の増量
繰り返す発熱・肺炎
食事時間の延長、食が細い、こぼす
食物の好みの変化、食欲の低下
食事中・食後に咳き込む
体重減少・痩せてきた
咽に違和感・残留感がある
NST
患者さんがむせています!
その場でどう対処しますか?
• 水にとろみをつける ➩適切な濃度のとろみ
• 飲水をやめる ➩本当に水分でむせているのか
• とりあえず、今の食事を終了する➩本当にとりあえず
• ベッドを横にして休んでもらおう ➩誤嚥の危険性を高める
この患者さんは、何でむせているのか?
水分?食べ物?
いつむせているのか? 食べる時、食べた後
前橋赤十字病院
NST
11
誤嚥の分類
分類
今日もむせています!
定義
今日はどうしますか?
7. 正常範囲・・臨床的な問題なし
食事を継続するかどうか、主治医へ報告する
6. 軽度問題・・主観的問題を含め、何らかの軽度の問題がある
5. 口腔問題・・誤嚥はないが、主として口腔期障害により摂食に問題がある
一般医療機関や在宅で直接訓練可能
4. 機会誤嚥・・ときどき誤嚥する。もしくは咽頭残留著明で臨床上誤嚥を疑う
いつ食べ始めるのか、もうずっと食べられないのか?
義歯を外す、ずっと外す➩筋力が落ち、廃用が進む
次に食べる機会がやってきた時にはもう食べられる
体力は残っていない ➩それでも食べてみる ➩むせる
➩誤嚥 ➩誤嚥性肺炎 ➩チューブ栄養 ➩PEG?
3. 水分誤嚥・・水分は誤嚥するが、工夫した食物には誤嚥しない
一般医療機関で直接訓練可能
2. 食物誤嚥・・あらゆるものを誤嚥し、嚥下できないが呼吸状態は安定
専門医療機関で慎重に直接訓練可能
1. 唾液誤嚥・・唾液を含めて全てを誤嚥し、呼吸状態が不良
困難
前橋赤十字病院
しばらく経口摂取はお休みして、点滴になる
NST
前橋赤十字病院
NST
摂食・嚥下外来
そんな時は!
専門的な嚥下機能評価が必要です!
当院の摂食・嚥下外来を受診して頂ければ、
VFやVEなど客観的な評価ができます♡
◆
・
・
◆
・
◆
診療内容
嚥下障害患者に対する嚥下評価と栄養アセスメント
訓練内容や栄養療法の指導
診療時間
毎週木曜日午前:外来、嚥下造影検査(VF)午後:訪問診療
担当スタッフ:各職種1名ずつ
歯科医師、看護師、言語聴覚士、歯科衛生士
摂食・嚥下障害認定看護師
2009年度
2010年度
前橋赤十字病院
外来
270
294
病棟診療
273
357
計(例)
543
651
NST
前橋赤十字病院NST
前橋胃ろうネットワークでも
摂食・嚥下障害患者さんを支えられるような
システムを構築中です
食事の進め方
前橋赤十字病院
NST
前橋赤十字病院 NST
12
前橋胃ろうネットワークで行った出張嚥下評価
そして・・・、胃廔だけでなく
少しでも長く安全に食事が食べられるように
ネットワークで『食の支援』でつなく連携ができればと
考えています
在宅の先生や医療スタッフの方々は
どこに尋ねたらいいのか、誰に聞いたら分かるのか、
食べることについて評価してくれる施設、動ける人はいないのか
・・・とお困りのことが多くあると思います。
施設ごとの食事を開示して、転院や在宅でもスムーズに同様の
食事が提供できるように・・・嚥下機能評価や訓練、評価に合った
食形態を提供できるような連携を作っていきたいと思います。
前橋赤十字病院 NST
前橋赤十字病院 NST
当院を活用して下さい!
NST(栄養支援チーム)があなたの栄養状態をサポートします
“健康の回復は十分な栄養とともに”
当院では栄養に関する専門チーム(NST)が栄養評価、栄養管理、栄養療法を行なっています。
対象は栄養状態に問題のある患者さん、食事摂取ができない患者さん、手術のため栄養管理が必要
な
患者さんなどです。主治医の依頼により患者さんの栄養支援をさせていただきます。
前橋赤十字病院 NST
おわり。
前橋赤十字病院
NST
13
2013/1/21
まずは自己紹介
歯科衛生士こんなことに係っています
群馬県在宅療養支援診療所連絡会 H24.4.10
急性期病院の
歯科衛生士が思う事
ーつなげよう♡食・べ・るー
前橋赤十字病院
歯科衛生士
高坂 陽子
前橋赤十字病院 NST
当院の入院時スクリーニング
1.口腔ケアスクリーニング抽出患者の口腔ケア実施
2.病棟における口腔ケア及び摂食機能療法の実施
3.消化器外科周術期における
口腔ケア・衛生指導・嚥下訓練
4. PEGパス
5.摂食・嚥下外来
6.栄養サポート外来
7.糖尿病(週1回)・
母親教室(月1回)
8.病棟カンファレンスの実施(脳外科・消化器)
9.消化器・脳外科・循環器・呼吸器NSTラウンド参加
10.各学会等への参加、発表
前橋赤十字病院
NST
入院時スクリーニング・再評価
栄養
栄養 褥瘡 口腔
褥瘡
について
全入院患者に対し
病棟看護師が施行
口腔
スクリーニングと再評価は、3項目とも全て看護師が行う
前橋赤十字病院 NST
口腔ケアの評価方法
前橋赤十字病院
NST
口腔ケア計画書
(病棟看護師が施行しスコア化)
評価
観察項目
あり(軽度)
あり(重度)
ー
口唇部のみ
口腔内まで
•口臭
ー
15cmで感知
30cmで感知
•舌苔
ー
舌 の 1/2
舌全体
• 口腔清掃不良
ー
食残少
食残多
•痰汚染
ー
漿液性
粘黄性
• 口腔乾燥
スコア
なし
0点
1点
2点
前橋赤十字病院 NST
前橋赤十字病院 NST
1
2013/1/21
1. 口腔状態の評価(乾燥)
点数
評価内容
観察方法
2. 口腔状態の評価(口臭)
点数
評価内容
0 : 指が抵抗なく
口角から入る
0 : 感じない
(15cmの距離で)
1 : 指にやや抵抗がある
(口唇乾燥)
1 : 感じる
(15cmの距離で)
2 : 指に抵抗がある
(口腔内乾燥)
2 : ウッと感じる
(30cmの距離で)
前橋赤十字病院 NST
3. 口腔状態の評価(舌苔)
点数
評価内容
観察方法
前橋赤十字病院 NST
4. 口腔状態の評価(口腔清掃)
点数
評価内容
0 : なし
可動良好
0 : 食物残渣、なし
1 : あり、舌の1/2
可動あり
1 : 食物残渣、少し
(麻痺側確認)
2 : あり、舌全面
可動不良
2 : 食物残渣、多い
(麻痺側確認)
前橋赤十字病院 NST
評価内容
観察方法
前橋赤十字病院 NST
歯科衛生士による
口腔ケア施行例の経時的変化
5. 口腔状態の評価(痰)
点数
観察方法
観察方法
スクリーニング開始
摂食機能療法開始
早期スクリーニング対応
0 : なし
1 : あり、奨液性
(指にやや抵抗あり)
NST稼動
2 : あり、粘黄性
(指に抵抗あり)
前橋赤十字病院 NST
前橋赤十字病院 NST
2
2013/1/21
摂食・嚥下外来 開設
摂食・嚥下外来患者の推移
・2006年4月、開設
330
・毎木曜日 午前:外来、VF、午後:訪問
320
310
・
・
・
・
歯科医師(摂食・嚥下専門):1名
言語聴覚士(産休中)
: 1名
訪問看護師
: 1名
その他、必要時に消化器専門医、
管理栄養士, 歯科衛生士など
300
290
280
270
260
250
2008年
2009年
摂食・嚥下外来風景
2010年
2011年
VF検査
毎週木曜日PM1:00~
退院前にVF検査
嚥下カンファレンス
DH
Ns
Dr
DH
Dr
DH
ST
DH
摂食嚥下
認定看護師
食べる体位、食形態、一口量をVF検査で決定してやっと退院!
3
2013/1/21
重症急性膵炎の症例
発症26病日:舌の尖端1/4切除
下顎前歯部4本抜歯
発症46病日:人工呼吸器を離脱
発症55病日:一般病棟に転出
VFで嚥下評価
結果:舌による送り込み不良とス
ピーチカニューレによる喉頭挙上
制限の可能性もあり、梨状窩に軽
度の残留を認めた。
対応:①舌の運動の強化、②舌の
運動を補えるような義歯の調整③
梨状窩の残留に対しては、複数回
嚥下や交互嚥下を指導
摂食・嚥下外来にて
嚥下食の試食
前橋赤十字病院
NST
口腔リハビリテーション
舌の運動強化を中心に
舌筋強化訓練やセルフケア
に向けた自力での歯磨きの
獲得と含嗽訓練を行った。
その他、機能的口腔ケアの
継続と吸引チューブ咬み訓練
で咀嚼強化訓練も実施した。
前橋赤十字病院 NST
口腔ケア実施風景
発症174病日目:PEG施行
経口摂取:ペースト食とし、
残りはPEGから注入した。
本人と家族が在宅経腸栄養を
安全にできるよう、前橋胃ろう
ネットワークのPEGファイルに
沿って指導を実施。
前橋赤十字病院
人工呼吸器患者の口腔ケア
前橋赤十字病院 NST
NST
ガーゼガムの作り方
口腔機能回復と刺激唾液と満足感
前橋赤十字病院 NST
4
2013/1/21
ポジショニングと舌体操
ここまで急性期病院はかかわることができません!!
在宅や介護施設での継続を連携していく必要があります!!
前橋赤十字病院 NST
前橋赤十字病院 NST
前橋赤十字病院 NST
前橋赤十字病院 NST
消化器外科周術期口腔ケアの推移
全身麻酔件数と
周術期口腔ケア実施件数の推移
(例)
(例)
488
395
407
385
394
歯科衛生士が関わるのは全体の7分の1
消化器以外
DH介入口腔ケア
8月より稼働
NST稼働
93
1
3
(年)
(年)
前橋赤十字病院 NST
5
2013/1/21
2010年4月~2011年3月に栄養サポート外来を
受診した33例のうち、2回以上受診した21例を対象
栄養サポート外来
◆診療内容
年齢・性別・原疾患
・在宅栄養管理(経口、経腸、経静脈)の必要な患者の栄
養アセスメントと栄養療法の指導
・平均年齢:63.3歳
◆担当スタッフ
・外科医師
:1名
・看護師
・管理栄養士
:1名
:1名
・歯科衛生士
◆2010年度実績
:1名
・食道がん術後
・膵頭十二指腸切除術
・大腸がん術後
・胃がん術後
・高度肥満
・パーキンソン症候群
・慢性閉塞性肺疾患
計
・延べ受診患者数 :126名
・性別(男/女):14/7
症例数(%)
原疾患
◆診療時間
・毎週木曜日 午後
8 (38)
3 (14)
2 (9)
5 (24)
1 (5)
1 (5)
1 (5)
21
前橋赤十字病院 NST
前橋赤十字病院NST
口腔状態
地域連携で経口摂取出来る喜びを!!
21例中義歯装着が必要な13例のうち
義歯のトラブルがある症例:9例(42.8%)
義歯のトラブル
不適合
・ 歯周病による歯牙の動揺
・ 緩くてガタつく
未使用
・ 何度作成しても合わない
・ 違和感が強く入れておけない
未作成
・ 残根多数で未治療
・ 自然脱落のまま放置
・かかりつけ医の先生方との連携が必要です。
例(%)
4 (45)
1
3
2 (22)
1
1
3 (33)
1
2
9
・普段からの診療で口腔管理の重要性を伝えていただきたい。
・予定手術の場合は積極的に歯科治療をお願いします。
・退院後の医科歯科のケア・フォローを連携していけるように。
前橋赤十字病院 NST
前橋赤十字病院 NST
ご静聴ありがとうございました。
前橋赤十字病院 NST
6
平成 24 年度 第2回 群馬県在宅療養支援診療所連絡会
講 演 会
日 時 平成 24 年7月 19日(木)19時より
場 所 群馬メディカルセンター「大ホール」
次
第
司会:群馬県在宅療養支援診療所連絡会
理 事 川 島
1.開
会
2.挨
拶
3.講
群馬県在宅療養支援診療所連絡会
会 長 小笠原
一
理
夫
演
座
長
群馬県在宅療養支援診療所連絡会
副会長 大 澤
演
題
摂食・嚥下機能評価について
講
師
大川歯科医院
院 長
-
4.閉
大
川
延
質疑応答
-
也
誠
先生
会
主
共
催
催
群馬県在宅療養支援診療所連絡会
群馬県医師会
-この講習は公益財団法人
在宅医療助成 勇美記念財団の助成を受けています-
2013/1/21
群馬県在宅療養支援診療所連絡会/群馬県医師会
摂食・嚥下機能評価について
高齢化とともに口から食事を取
ることが難しい人が増えている
「口から食べるから元気になる」
東京都開業
大川延也
2012.7.19
施設高齢者の関心事
1位
特別養護
食事
老人ホーム 44.8%
老人保健
食事
48.4%
施設
(n=1324)
老人病院
食事
(n=362)
40.0%
療養型病院 食事
(n=50)
55.1%
(愛知医報:1998)
2位
3位
行事参加
28.0%
家族訪問
40.0%
家族訪問
25.3%
行事参加
35.2%
家族訪問
39.4%
家族訪問
55.1%
テレビ
28.3%
テレビ
30.0%
食べられない人とは?
•
•
•
•
•
•
•
「むせ」る(お茶や食事でむせる)
タン(痰)がからむ
食事を食べこぼす
食事のため込み (飲み込まない)
歯がなくて食べられない (義歯があわない)
歯が痛い、歯が粘膜にささる
食欲がわかない
経管栄養にした後の肺炎の発症率にはかな
りのばらつきがみられ、誤嚥による肺炎の発
症を抑えられるわけではなく、その後のケア
が重要である。(FinucaneTE)
急性期には3~4割の嚥下障害が認められる
が慢性期まで残存するのは1割に満たない
(才藤ら)
病院等での評価において退院時、転院時に経口
摂取ができないと判断された場合でも、その後回
復していくことを念頭におき、継続した評価とその
結果に基づいた対応を続けていくことが必要
在宅での摂食・嚥下評価
(誰が評価するのか?)
• 嚥下障害のスクリーニングテスト
• 外部観察・診査(聴診、触診、視診 etc)
• VE検査 (嚥下内視鏡による)
だから刻み食、とろみ食、胃ろう?
1
2013/1/21
嚥下障害のスクリーニングテスト
①反復唾液嚥下テスト
同時に外部診査
• 喉頭挙上を触診
30秒で3回以上が正常。のど仏の動きをみる
• 嚥下音を聴診
②改訂版水飲みテスト
冷水3ccを口に含ませ、飲み込ませる
嚥下するか?むせないか?呼吸が乱れてないか
③食物テスト
約4gのプリンを口に入れ、上記と同様に評価
刻み食は食べやすいのか?
• 嚥下後の呼気音を確認
①安全な食形態の選択
②間接訓練によるリハビリ
③直接訓練による機能向上
ー患者さんの変化を求めてー
刻み食は固形物+水分
正常な咀嚼機能と嚥下機能が必要
したがって嚥下障害ある方の食形態ではない!
症例 (81歳)
H23年8月30日初診
• H19年10月 左視床出血 右マヒ
• H23年1月 右大腿骨頸部骨折
• 4年間 経管栄養 (エンシュア 5本/ day)
この4年間経口摂取なし (要介護5)
家族の希望としてお楽しみ程度でも 口から
食べられれば、、、、
(主訴)
経口摂取が可能か?もし可能ならどんな物が、
廃用
検査結果
• 嚥下機能には問題なし
• 4年間経口摂取していなかったので、最初は
ゼリー、とろみをつけて上唇でぬぐうように
一口量に注意して直接訓練していく。
• 間接訓練としては頬、口唇、舌のリハビリ
特に右側を強化する
• まず、上顎旧義歯を改造装着していく
2
2013/1/21
ADL・QOL 向上
• 体重が増えてきた 53.2kg 53.8kg
• アイスクリーム1カップは簡単に食べる
捕食の仕方よくなり、嚥下反応早く、ムセ(-)
• 23年1月骨折以来歩いていなかったが
移乗: ベット
車いす
トイレ
先週は介助つきでトイレに歩いて行った
• はっきりした声、発音ができるようになった
“あ い う え お”
“は~い“
“おはよう” “ありがとう“ etc,etc
症例:79歳
男性
• 診断: 脳梗塞左片麻痺 脳血管性認知症
高血圧
• 2007年 2月 脳梗塞入院(東大和病院)
• 構音障害・嚥下障害があり、3月胃瘻造設
• 5月退院、訪問診療となる
• 生活状況:妻、長男と3人暮らし。妻の介護に
対する不安が大きく、また体調不良から施設
への希望が強い
奥さんはこのような状態の人は自宅で介護は
困難ではないかと思っている。
• 投薬:ワーファリン(1) 1T
バッファリン81 1T
デパケン
4.5mg
• コミュニケーションはとれる(最初は)
• 総入れ歯ははずれやすく、食事が難しい
• 体幹機能低下歩行困難、車いす(1時間)
• 12月肺炎発症からいっきにレベルダウン
• 家族の介護負担増大
今後の方針(希望)
• 週1回、歯科衛生士による口腔ケア・リハビリ
を導入していく
• 非常に難しいが、下顎にも総義歯を作製する
• それにともない食形態の向上、発音・発語の
向上を望む(ST の参入ができれば、、、、)
• さらなるADL・QOLの向上を時間をかけて
目指していく
• 2回目のVE検査を行う
初回訪問時現症
• 車いすレベル、端座位不可、立位不可、
起き上がり全介助、車いす移乗全介助
寝返り全介助 (要介護5)
• 食事は一部介助にて経口摂取(要1時間)
• 残りミキサーにかけて胃瘻より注入、水分は胃
瘻から
• 入れ歯はあわない、会話時に落ちる、
臥床時入れ歯が落ちて口をふさぐ。
• 排尿は尿器で行うが排尿まで30分要す
PT(理学療法士)によるアプローチ
体幹機能低下の向上をめざす
• 座位バランスの向上、座位時間の延長(車い
すで長く座っていられなかった)
耐久性、体力の向上
デイケアへつなげる(デイで座っていられるだ
けの体力をつける)
• トランスファーの介助量軽減(家族の介護負
担の軽減)
3
2013/1/21
全身的アプローチ
• 訪問看護師による全身看護ケアと家族の精神
的サポートケア
歯科的アプローチ
• がたがたの入れ歯を安定させる
• 義歯(装具)ができたら食べるための口づくり口
腔ケア・口腔リハビリ(家族への指導)
• 摂食・嚥下評価
VE検査
装具(義歯)ができたら
食べるための口づくり
“口腔リハビリ”
研究では
検査結果は?
• 無歯顎者における歯周病原因菌の存在部位
無歯顎者の口腔内では舌背及び義歯が
歯周病原性細菌の温床になっている
2009.老年歯科学会
東京歯科大学口腔科学研究センター
安井・竜・櫻井・石原
安全・安心な嚥下のためには
食形態のレベルを下げた方が良い
ゼリーとの交互嚥下が望ましい
患者のQOLは低下
義歯の顎位が左側前方偏位
さらに低位咬合
• 麻痺側の舌・頬・口唇を中心に口腔周囲筋の
リハビリ強化
• 義歯を新製し、偏位した顎位および咬合高径
を改善する。
現在の機能にあわせた装具をつくる
リハビリをして原疾患が
治るわけではない
廃用症候をなくすことが大切
私はあきらめない!
4
2013/1/21
運動機能
障害の程度
廃用症候群の出現
軽度
歯医者がつくる廃用症候群
リハビリ
責任重大
重度
経過
症例 (92歳) 女性
H19年11月施設近くの歯科医院にて義歯装着
1ヵ月以上たつのに義歯落ちる、うまく噛めない
半月位前から活気なく、しゃべらなくなった。
また食べこぼしたり、手から物をよく落とす。
痙攣のような不随意運動も見られ全体的に
レベルが落ちてきている。
人間は1年で1%の筋力がおちる
スタッフ会議では「この年齢では仕方ない、病院
に入院させよう」という意見が大勢をしめた。
「寝かせきり」にしたら「寝たきり」になる
しかし担当看護師だけは・・・
研究では
• 無歯顎者における歯周病原因菌の存在部位
無歯顎者の口腔内では舌背及び義歯が
歯周病原性細菌の温床になっている
2009.老年歯科学会
東京歯科大学口腔科学研究センター
安井・竜・櫻井・石原
廃用症候群では
1日で2%の筋力が落ちる
東北大学医学部付属病院 内部障害リハビリテーション科
上月正博 教授
今後の目標
バナナボート食で食形態の目安
①やわらかバナナ
②やわらか刻み状食
③やわらかつぶし状食
④ペースト
⑤ペースト+ヨーグルト
5
2013/1/21
戻る力のある人に、手遅れ
にならないうちに
家族、ケアスタッフとの協働
口から食べられない人には
神経難病の口腔ケア
研究では
• 口腔ケアが要介護高齢者の免疫機能に及ぼ
す影響
要介護高齢者の対する口腔ケアは、NK活性を上昇させる
ことが明らかになった。
口腔ケアの効果としては口腔細菌の減少よりも
免疫機能の向上が寄与しているものと考えられる。
2009.老年歯科学会
東京医科歯科大学大学院歯学総合研究科
高齢者歯科学分野
山田・星野・植松
口腔ケアの重要性
• 装具としての義歯・歯 (歯科医の役割り)
• 食べられる口づくり
多職種・家族の
• 誤嚥性肺炎の予防
協力が必要
H24年2月6日
大川先生こんばんは。いつも父を気にかけてくださり本当にありがとうござい
ます。
実は昨日体調悪化しまして救急搬送され昨夜の23時過ぎに亡くなりました。
自宅が好きな父だったので夜中の3時頃自宅に帰りました。とても穏やかな顔
と言われます。
亡くなってからのケアをモアブラシでしました。大川先生と守部さんにお会いで
きて 口腔ケアで、あんなに気持ちの良いリラックスした顔が作れる時間を過ご
せてとっても幸せでした。父のあの表情が物語っています。
今もその時のような表情をしています。
大川先生の口腔ケアの取り組み方や患者さんに対する接し方に本当に感動
しました。
父を見て下さり本当にありがとうございました。出会いに感謝しています。
神経難病の口腔ケア
• 肺炎予防(口腔清掃 = 破壊と回収)
• 不快症状の緩和
疼痛、乾燥、首、肩のこり、審美 etc
• 表情の変化
頭、顔面の皮膚を軟らかく
安心・安全な嚥下をするために!
生きることを支援するために!
気持ちよくしてあげましょう!
6
2013/1/21
“患者さんのよろこびは我がよろこび”
• 今もっているかもしれない能力を引き出す
• 何もしなければ進行+廃用
• 廃用部分をなくしていければ、
元気と
やる気と
勇気を
与えてくれる
《ありがとう》
7
平成24年度群馬県在宅療養支援診療所連絡会
第3回講演会
日 時 平成25年1月10日(木)19時
場 所 群馬メディカルセンター 2階「大ホール」
司 会 群馬県在宅療養支援診療所連絡会
副会長 大 澤
誠
次
1.開
会
2.挨
拶
3.講
演
座長
第
群馬県在宅療養支援診療所連絡会
群馬県在宅療養支援診療所連絡会
会長
夫
誠
演題 1「嚥下内視鏡による摂食嚥下機能評価の実際」
講師 群馬県在宅療養支援診療所連絡会
副会長
川 島
崇
先生
演題 2「摂食嚥下機能評価と在宅における訓練」
講師 足利赤十字病院リハビリテーション科
部長
馬
尊
先生
4.閉
質
疑
応
答
大
一
澤
-
副会長
小笠原
場
-
会
主催:群馬県在宅療養支援診療所連絡会
共催:群馬県医師会
-この講習は公益財団法人
在宅医療助成
勇美記念財団の助成を受けています-
2013/1/22
症例 K・R 男
「嚥下内視鏡を用による
摂食嚥下機能評価の実際」
症例の紹介
2013年1月10日
在宅療養支援診療所連絡会
副会長
川島 崇
症例 I・T 女
• (摂食・嚥下機能の状況)
経口摂取するも誤嚥性肺炎を繰り返し、経管栄養となってい
る。経口では何も食べていない。痰からみがひどい状態。
• (検討課題)経管栄養であるが本人の食への気持ちが強い
ので、経口摂取が可能かどうか判断をお願いしたい
•
↓
• とろみ水:咽頭残留(-)喉頭侵入(少量)誤嚥(有)
• ゼリー:咽頭残留(中等以上)喉頭侵入(中等以上)誤嚥(中
等以上)
S21年7月6日生 (66才)
• (主病名)脳梗塞 (右麻痺)
• (現病歴) 反復する誤嚥性肺炎
入院
H24.5.7~22 6.7~22 6.25~7.31 7/19peg造設、
H24.8.誤嚥性肺炎、尿路感染症 (H24.8.2~8.14入院)
• (介護度)要介護4
• (ADL)
• 食事:経管栄養、
• 排泄:オムツ交換、入浴:中間、移乗:介助、移動:全介助
• 意志疎通:言語障害あり。意思表示はジェスチャーが主
•
•
•
•
•
•
S5年3月30日生 (83才)
(主病名)アルツハイマー病、脳梗塞
(介護度)要介護5
(ADL)
食事:全介助、
排泄:オムツ交換、入浴:機械浴、移乗・移動:全介助
意志疎通:認知症により意志疎通困難
経口での食事摂取は不能
症例
• (摂食・嚥下機能の状況)
口の中にため込んでしまい、のどに流れてしまう感じで飲み
込まれる。副食にとろみを強くしないと口から流れ出てしまう。
つばにむせてしまう
(検討課題)
徐々にムセも多くなり、飲み込みが悪くなっている。経口摂取
が継続できるように安全に食べられる方法を検討したい
• (改善点)
上手に送り込めないので、摂食時の姿勢をファーラー位(半
座位. 上半身を45起こした体位)にして送り込みをアシストする
舌の動きが悪いため、食前に舌を動かすようなリハビリをした
り口腔内のストレッチをしたりしてから摂取したほうがよい。(今
回モアブラシを紹介しました。)
K・K
男 S14年1月4日生 (73 才)
(病名)脳梗塞後遺症、潰瘍性大腸炎、症候性てんかん、
脳動静脈奇形、肝障害、前立腺肥大症、逆流性食道炎
(病歴)
脳動静脈奇形術後による左上下肢の片麻痺に加え、平
成13年3月、脳梗塞(右不全片麻痺)発症したため歩行障
害がさらに著明になった。同年6月に急性胆のう炎を発症
し、廃用の進行により車椅子対応になり、認知機能の低
下はすすみ、意欲減退発語も乏しくなった。
平成10年頃から潰瘍性大腸炎の治療もしている。
1
2013/1/22
ADL
摂食・嚥下機能の状況
• (介護度)要介護4
• (ADL)ほぼ全介助
• 基本動作もほぼ介助を要し、自力での座位保持困難で、立
ち直り反応も見られない。右上肢は随意運動可能(ブルンス
トロームステージ:上肢・手指ともにⅣ~Ⅴ)。左上肢と両下
肢は実用的な運動は困難。体幹機能は低く、頭頸部~背部
~下肢と伸筋群の筋緊張亢進が見られる。車イス座位では、
バックレストに寄りかかり頭頸部は伸展位をとりやすい。
• 覚醒度にむらがあり傾眠傾向のときもある。注意散漫もある。
• 水分はむせてしまうため、トロミ又はゼリーにしている。主食
はお粥で、副食は普通食を摂取している。覚醒状態のよい
時は口頭での促しでスプーンを用いて自力摂取可能である
が、それ以外は介助にて摂取している。
• 注意散漫のため、嚥下時も頭頸部が伸展位をとりやすいた
め口頭での促しを必要とすることが多い。
• 通所リハビリ利用時の食事では、周囲が気になり注意がそ
れてしまう。痰のからまりがあり、必要時は吸引を行なってい
る。通所リハビリでの歯磨きは介助にて行なっている。
• (コミュニケーションは会話のキャッチボールは難しいが、簡
単な意思の疎通は可能である。)
症例 T・M 女
T4年3月31日生 (97才)
• 病名:認知症、気管支喘息、イレウス、左大腿骨骨折
• 要介護5
• (ADL)車椅子に座っているだけで、その他全介助。声かけ
に返事はあるが、発話内容は不明。現在ADLはほぼ全介助
状態
2
目 次
群馬県在宅療養支援診療所連絡会
講 演 会
1. 摂食嚥下障害とは
摂食嚥下機能評価と在宅における訓練
2. 嚥下の運動学
– プロセスモデル
3. 摂食嚥下の評価
– JSDRの摂食・嚥下障害の評価(簡易版)
– 嚥下内視鏡検査・嚥下造影
4. 嚥下訓練
⾜利⾚⼗字病院リハ科 ⾺場 尊
摂食嚥下
• 必要物質を体内に取り込むための運動機能
– 麻痺,形態異常で機能低下
– 不用で機能低下(廃用)
– 過負荷の法則
– 運動学習理論
機能増強・改善
摂食嚥下障害の治療の目標
1. 食べ物を口に入れる:捕食
2. 咀嚼する:食塊形成
3. 嚥下する:食塊を、気道ではなく食道に入れる
– 嚥下運動そのものは単純で機能は1つ
– 運動効率や容姿は不問
– ただし、嚥下を見て直達できない。
ICIDH (国際障害分類), WHO; 1980
ICIDH (国際障害分類), WHO; 1980
• 機能障害:臓器レベル
• 機能障害:臓器レベル
– 例)脊髄損傷で対麻痺(下肢麻痺)
• 能力低下:個人レベル
– 例)脳幹障害で咽頭麻痺
• 能力低下:個人レベル
– 例)下肢麻痺で歩行障害
– 例)咽頭麻痺で嚥下障害
• 社会的不利:環境レベル
• 社会的不利:環境レベル
– 例)歩行困難で復職困難
– 例)嚥下困難で会食参加困難
1
各レベルに対するリハ的対応
リハビリ訓練の3つ戦術
• 機能障害へ
– 筋力訓練,可動域訓練,促通訓練
– 例)Shaker ex., 頚部可動域訓練、アイスマッサージ?
• 廃用予防
• 能力低下へ
– 運動学習→健側機能の使用:頚部回旋、SGSなどの応用
– 道具の使用→経管栄養
• 社会的不利へ
• 健側強化・機能回復
• 運動学習
– 環境調整
– 例)嚥下調整食
リハビリの3つ戦術
• 廃用予防
廃用症候群と摂食嚥下障害
• 意欲の低下
• 口腔・咽頭衛生の不良
• 健側強化・機能回復
• 嚥下関連筋群の筋力低下
• 運動学習
• 顎、頚部可動域制限
嚥下の廃用
1日の嚥下回数、500から800回
1食、100から150回
唾液は1日、1000mlから1500ml
リハビリの3つ戦術
絶飲食・経管栄養
気管内挿管・口呼吸
• 廃用予防
1日の嚥下回数
は??
• 運動学習
• 健側強化・機能回復
2
健側強化・健側使用
• 代償法
• 姿勢調整法
SGS
SSGS
EffS
Mendelshon
リハビリの3つ戦術
• 廃用予防
• 健側強化・機能回復
• 運動学習
バイオフィードバック
運動学習とフィードバック
• フィードバックなしに学習は成立しない
– 目標とそれを行う方法・行動法
– その方向に、向いているか否か
• 外的フィードバック
– 他者がコーチする
• 内的フィードバック
– 自らの感覚器で知覚する
• 生体現象を物理現象に変換して感覚させる
– 視覚
– 聴覚
– 触覚・温痛覚
• 筋収縮
– 筋電図
• 咽頭・喉頭の運動
嚥下内視鏡
ヒトの嚥下の2様式
• 液体嚥下: drinking
• command swallow:命令嚥下
• Four stage model
• 咀嚼嚥下: eating
• chew-swallow complex:咀嚼嚥下連関
• Process model
• stage II transport
液体嚥下:4期モデル
口腔送
口腔準備期 り込み 咽頭期
期
食道期
咀嚼嚥下:プロセスモデル
Stage I
transport
Processing
Stage II transport
Pharyn
geal
Esophageal
3
嚥下反射開始直前の食塊位置(31歳,女性)
Stage II Transport
咀嚼され嚥下可能な状態になった食
液体
命令嚥下
(口腔)
液体
咀嚼嚥下
(下咽頭)
コンビーフ
咀嚼嚥下
(口腔咽頭)
混合
咀嚼嚥下
(下咽頭)
物(食塊)を,
能動的に咽頭(喉頭蓋谷)へ
輸送すること
嚥下反射直前の食塊先端位置
ヒトの咀嚼嚥下
武田斉子ら:咀嚼が食塊の咽頭進行に及ぼす影響.リハ医学,2001
OC
UOP
液体
VAL
HYP
• 元来のほ乳類の嚥下
– 喉頭蓋谷に食塊を進行させる
半固形物
• Stage II transport
混合物
%
0
20
40
60
100
XrayPのランドマーク
OC: Oral Cavity
UOP: Upper Oropharynx
80
OC
UOP
VAL: Valleculae
VAL
HYP: Hypopharynx
HYP
硬口蓋後端
下顎骨下縁
– 喉頭蓋谷は中咽頭
• 液体は下咽頭へ落ちる
– 咽頭期嚥下運動の性能が非常に重要
• 嚥下反射はどのようにコントロールされているの
か?
喉頭蓋
ヒトの液体嚥下
• 生理的な経管栄養
最も誤嚥しやすいものは?
• 液体と固形物の混合物
– 誤嚥を防ぐため,咽頭を短時間,完全な食物
道(管)にする.
– 短時間に一気に流し込む.
味わいの問題
4
摂食・嚥下障害の評価(簡易版)
•
•
•
•
最低限診ておくべきポイントを示す
結果を一枚の表とする
JSDR認定士が施行できるレベルとする
未評価は空欄として,理由を余白の部分の部分に記載
する
• 他施設などに紹介する場合の共通理解の一助にする
2. 食事
• 摂取姿勢
– 端座位
– 座位が可能でもベッド上はBed up
• 摂取方法
– 監視:声かけなど
– はじめは自力摂取で途中から介助の場合は矢印で記載する。
• 飲食中のムセ
– 実際の摂食場面を観察する.
– まれ:食事中1,2 回,頻回:3 回以上
• 流涎
– 多量:食事場面以外でも常時
– 唾液が飲み込めない場合はそのように記載する。
4. 口腔
• 義歯
– 「不要」歯が揃っており義歯が必要のない場合
– 「要」義歯が必要な場合
– 「適合」がたつき,痛みなどのなく義歯を使用
– 「不良」不具合を訴えながらもなんとか義歯を使用
– 「なし」義歯装着が望ましいが装着なし
• 衛生状態(口腔)
– 「不良」食物残渣,剥離上皮や粘着物の付着
– 「不十分」食物残渣はないが歯垢や歯石が目立つ
– 「良好」ほとんど歯垢や歯石が見られない
1. 認知
• 意識レベル
– 周囲に気配りができていれば「清明」
– 何も刺激を与えないで開眼しなければ「傾眠」
• 意思表示
– 手段を問わない。
• 従命
– 具体的に「グー,チョキ,パーをしてください」「口をとがら
せてください」など
– 失行があればその旨を記載する。
• 食への意欲
– 食べられないことと食欲がないことを区別する
3. 頚部
• 頸部可動域
– 前屈(屈曲)正常は60度
• 少し動く:軽い会釈程度
– 後屈(伸展)正常は50 度
• 少し動く:多少顎が上がる程度
– 回旋 正常は60度
• 少し動く:顎が多少振れる程度
5. 口腔咽頭機能
• 口角下垂:口唇を閉鎖させた状態で口角下垂の有無を評価する.
• 軟口蓋運動(/ ア/ 発声時):/ ア/ 発声時の軟口蓋の挙上運動を評価
する.
– 「不十分」挙上が少ない場合あるいは口蓋垂の偏位を伴う場合
• 咬合力
– 「十分」普通食。「不十分」軟食
• 舌運動:口を軽く開けた状態で舌をできるだけ前に出させる
– 「十分」下唇より前下方に出せる
– 舌尖の偏位がある場合は偏位している方向を記載する.
• 口腔感覚異常
– こよりなどで上唇,下唇,舌に軽く触れる
5
6. 発声・構音
7. 呼吸機能
• 発声
– 声帯振動を伴う発声を「有声」伴わない発声を「無声」
• 湿性嗄声:咳払い後に澄んだ声が出るかを確認する.
– 「軽度」食後などに時々聞かれる
– 「重度」常にゴロゴロ
• 構音障害「パンダのたからもの」
– 「軽度」聞き取りにくいことばがあるが内容が推測できる
– 「重度」内容の推測が困難
• 開鼻声 / アー/ 発声時
– 「重度」鼻にかかった感じが強く,/ ンー/ のように聞こえてしまえば
とする.
• 呼吸数:正常呼吸数は12 から15 回毎分
– 視診で胸郭を観察
– 鼻孔付近に指を置いて,呼気を数える
– 聴診器を用いて呼吸音を数える
• 随意的な咳
– 「十分」大きな吸気のあとに爆発的に「ゴホン」、「咳払い」腹筋が
しっかりと収縮
– 「不十分」腹筋は収縮するが,しっかりとした発声なし
– 「不可」腹筋の収縮がほとんどなし
• 指示理解の問題で,評価困難な場合は,「不十分」としてその他の欄に
その旨を記載する.
8. スクリーニング
• RSST(反復唾液嚥下テスト)
– 人先指で舌骨,中指で甲状軟骨を触知した状態で空嚥下
を指示し,30 秒間の回数を数える(原法は触診)
– 聴診器で嚥下音の確認と触診を併用すると正確になる.
– 喉頭隆起が完全に中指を乗り越えた場合に1 回と数え,
30 秒間に3 回未満の場合にテスト陽性,すなわち問題あ
りとする.
• 誤嚥症例を同定する感度は0.98,特異度は0.66
– テスト陰性3であれば誤嚥の確率はかなり低い
– テスト陽性のときに実際に誤嚥する確率は75% 程度
9. 脱水・低栄養
• 皮膚・目・口の乾燥
– 皮膚の張り具合、かさつき
– 涙の減少し,眼球結膜,角膜が潤いがない状態
– 唾液分泌減少は脱水によっても起こり,口唇がかさかさと乾燥し,
口の中の潤いがなくねばねばした状態
• るいそう(痩せ)
– 基本的には服を着たままの状態で可能な範囲で臨床的に評価する.
• その他
– 最近の体重減少,脱水と関連したデータ(尿素窒素の上昇),低栄養を示すデー
タ(アルブミンの低下など)など,把握できている関連情報があれば,その他に記
載する.
8. スクリーニング
• MWST(改訂水飲みテスト)
– シリンジで冷水を3 ml 計量
– 利き手でシリンジを持ち,逆手の指を舌骨と甲状軟骨上に置く.
– 口腔底にゆっくりいれて嚥下するように指示する.
– 嚥下を触診で確認する.
– 嚥下が起こったあと,「エー」などと発声させ湿性嗄声を確認
– むせ、湿性嗄声がなければ,反復嚥下を2 回行わせる.
• 記載:MWSTを施行した場合は,3 ml に印をつける。
– 3 ml 以外の量を使用した場合は,その量を明記
– MWST を行ってから,より負荷の大きい水飲みテストを行った場合
には,その他に記載
– MWST で評価不能となった場合は,その旨をその他に記載
嚥下内視鏡検査の目的
評価
• 咽頭期の機能障害の診断
• 器質的障害の評価(耳鼻科)
治療
• 嚥下手技・姿勢調整法の効果の確認
• バイオフィードバック
説明・教育
• インフォームド・コンセント
6
VE で観察できる咽頭・喉頭の解剖
VE で観察できる咽頭・喉頭の解剖
右
左
背側
咽頭後壁
耳管咽頭筋
梨状窩
咽頭喉頭蓋襞
披裂間切痕
喉頭蓋
咽頭後壁
披裂
喉頭蓋谷
吸気時
発声時
軟口蓋
舌根
声帯
観察ポイント
VE の実際(1):
観察点 1
nasopharynx
→鼻腔閉鎖機能の評
価
軟口蓋
観察点 2(高位置)
oropharynx
→咽頭・喉頭蓋の評価
喉頭蓋
喉頭蓋谷
披裂襞
観察点 3(低位置)
posterior to the epiglottis
→喉頭・声帯の機能評価
声帯
上咽頭側壁の収縮:左右差の有無にも留意
吸気時
発声時
-鼻腔・咽頭観察 -
1. 総鼻道へファイバーをすすめながら鼻腔内を観察
2. 軟口蓋の挙上(収縮)を発声時、嚥下時で評価
→ 液体などを飲ませ、鼻腔内への逆流を観察
3. 高位置で喉頭蓋谷や梨状窩などの咽頭や、奥舌を観察
→器質的疾患、炎症、浮腫など
→粘膜の性状、食物残渣、唾液・分泌物の貯留と性状、自然
嚥下の頻度,咽頭腔の広がり具合(左右差)など
・喉頭蓋谷は、舌を突出させると観察しやすい.
・頭部伸展させると、咽頭腔の観察がしやすい.
VE の実際(2):
鼻咽腔の観察
仮声帯
- 喉頭の観察 -
1. 低位置で喉頭前庭の観察
• 分泌物の性状と貯留の程度
• 自然嚥下前後の唾液の喉頭内侵入の有無
2. 喉頭蓋,被裂間切痕,仮声帯,声帯
• 構造,色調,浮腫の有無
• 息こらえによる喉頭閉鎖能力の観察
3. 声帯・被裂の動き
• 発声・痰の喀出機能の評価
4. 嚥下時の喉頭の動き
• ホワイトアウトまで
7
VEの実際(3):
- 喉頭閉鎖 -
VE の実際(4):誤嚥・喉頭侵入の評価
内視鏡検査では、嚥下の瞬間の観察はできないため,
息こらえによる 喉頭閉鎖の機能を評価する.
呼吸時の喉頭開大
披裂襞の閉鎖と前方傾斜
(arytenoid anterior tilting)
声帯の閉鎖(途中)
Aspiration
Penetration
嚥下前あるいは嚥下後の観察
VFでわからない誤嚥
嚥下造影の目標
透視は全てを写しださない
50%バリウム嚥下後
• 直接訓練の計画を立てること
– 運動を評価する
• 誤嚥や残留の要因を検討
• 病態診断
– 有効な姿勢・嚥下法を検討
• 治療志向
– リスク管理
• 不顕性誤嚥の診断
50%バリウムと米飯嚥下後
運動学的評価
• 物の位置変化の追跡による評価
– 座標と時間
• 距離・所要時間(速度・加速度)
– 軌跡・軌道
• 物体と物体の位置
– 喉頭と食塊→誤嚥
– 姿勢変化と食塊→食物道の変化
嚥下造影の特徴
• 体内を可視化
– 造影剤・臓器の動き
– それらの位置関係の時系列による変化がみれる
– 2次元・透過像
• 録音
– 環境音・披検者の反応と声・検者の音声
– 被験物質の情報,湿性嗄声など
• 透視室内の出来事である
– 実際の食事場面ではない
8
VEとVF
嚥下造影の終了判断基準
• リハビリテーションを計画するのに必要な情報を
取得したら終了
– 嚥下障害の病態の理解
– 直接訓練が可能な状態かの判断
– 直接訓練を施行する条件
• 食形態・姿勢・嚥下法
以上がわかったら,直ちに終了
– 被曝量を可能な限り少なくする工夫
VF
VE
被曝
あり
なし
携行性・実際の食事の評価
不可
良
優
極一部可
咽頭期運動の評価
優
極一部可
誤嚥の同定
優
優
食道の評価
良
不可
唾液貯留・軟部組織の評価
可
優
咽頭残留の評価
良
優
運動学的・鳥瞰的評価
優
可
準備期・口腔期の評価
直接訓練
非直接訓練
• 口腔ケア
• 間接訓練
– 筋力訓練
– 可動域訓練
– 呼吸訓練
• 嚥下手技、姿勢調整法を理解することが前提
– VFで評価検討することが望ましい。
• 食環境を整える
– 食事に集中できる環境
– リスク管理
• 食形態、一口量、ペースを守る
– とろみ食品の規格化、適切な食具
• 声をかけて良いとき、悪いときを理解する
9
日摂食嚥下リハ会誌 15(1)
:96–101, 2011
101
摂食・嚥下障害評価表
年 月 日
名前 ID. 年齢 歳 男 ・ 女 身長 cm 体重 kg
血圧 / 脈拍 回/分 SpO2 % (ルームエア ・ O2 投与 %)
主訴ないし症状
原因疾患 / 基礎疾患
栄養方法
関連する既往歴
経口摂取:常食 ・ 粥 ・ きざみ ・ その他( ) 絶食
水 分 : トロミなし ・ トロミ付き ・ 禁
補助(代替)栄養
なし・経鼻経管・胃瘻・点滴・その他
意識
意思表示
従命
食への意欲
座位耐久性
清明 ・ 不清明 ・ 傾眠
発声
有声 ・ 無声 ・ なし
良 ・ 不確実 ・ 不良
湿性嗄声
なし ・ 軽度 ・ 重度
良 ・ 不確実 ・ 不良
構音障害
なし ・ 軽度 ・ 重度
開鼻声
なし ・ 軽度 ・ 重度
あり ・ なし ・ 不明
その他:
その他:
2. 食事
7. 呼吸機能
摂取姿勢
椅子・車椅子・端坐位・bedup( )
摂取方法
自立・監視・部分介助・全介助
飲食中のムセ なし ・ まれ ・ 頻回
口腔内食物残留
なし ・ 少量 ・ 多量
流涎
なし ・ 少量 ・ 多量
その他:
呼吸数
随意的な咳
回 / 分
十分 ・ 不十分 ・ 不可
その他:
8. スクリーニングテスト
反復唾液嚥下テスト
喉頭挙上 回 /30 秒
十分 ・ 不十分 ・ なし
改訂水飲みテスト(3 ml,
ml)
3. 頸部
頸部可動域
十分 ・ 不十分 ・ 不可
6. 発声・構音(気切:無・有[カフ:無・有])
1. 認知
制限なし・ 少し動く ・ 不動
その他:
1.嚥下なし,むせる and/or 呼吸切迫
2.嚥下あり,呼吸切迫(silent aspiration 疑い)
3.嚥下あり,呼吸良好,むせる and/or 湿性嗄声
4.嚥下あり,呼吸良好,むせなし
4. 口腔
義歯(不要・要)
適合 ・ 不良 ・ なし
5.4.に加え,追加空嚥下運動が 30 秒以内に 2 回可能
衛生状態(口腔)
良好 ・ 不十分 ・ 不良
その他:
その他:
9. 脱水・低栄養
皮膚・眼・口の乾燥
なし ・ 軽度 ・ 重度
3 横指・2 横指・1 横指以下
るいそう
なし ・ 軽度 ・ 重度
なし ・ あり (右・左)
その他:
5. 口腔咽頭機能
開口量
口角下垂
軟口蓋運動
(/ ア / 発声時)
十分 ・ 不十分 ・ なし
咬合力
十分 ・ 不十分 ・ なし
舌運動 挺舌
十分・下唇を越えない・不能
偏位
なし ・ あり (右・左)
口腔感覚異常
なし・あり(部位: )
その他:
評価者氏名 / 職種
10.まとめ:
治療方針:指導のみ・外来訓練・入院訓練・他院へ紹介・他
11.検査
VF
済( / )・予定( / ,未定)
VE
済( / )・予定( / ,未定)
平成24年度群馬県在宅療養支援診療所連絡会
第4回講演会
日 時 平成25年2月8日(金)19時
場 所 群馬メディカルセンター 2階「大ホール」
司 会 群馬県在宅療養支援診療所連絡会
理事 川 島
理
次
1.開
会
2.挨
拶
3.講
演
第
群馬県在宅療養支援診療所連絡会
会長
小笠原
一
夫
座長
群馬県在宅療養支援診療所連絡会
理事
吉
浩
之
演題
病院から在宅へ~つながろう!口から食べる支援~
講師 地域栄養ケア PEACH 厚木
-
4.閉
質
疑
代表
応
答
江
野
頭
文
江
先生
-
会
主催:群馬県在宅療養支援診療所連絡会
共催:群馬県医師会
-この講習は公益財団法人
在宅医療助成
勇美記念財団の助成を受けています-
訪問栄養指導を始めたきっかけ
病院から在宅へ
∼つながろう!口から食べる支援∼
?素朴な疑問
『なぜ、良くなって退院した患者たちは、
また再入院してくるのだろうか。』
病院栄養士時代に訪問栄養指導の仕組みがあった
地域栄養ケアPEACH厚木
管理栄養士 江頭 文江
http://www.taberukenri.com/
フリーで活動するチャンスがあった
事業内容
地域栄養ケアPEACH厚木
(地域栄養ケアセンター)
『 事業理念 』
『医療・福祉機関との連携を重要視し、疾病の予防・治療に関わる地域住民
に対し適切な栄養管理を提供する』
P ・・・ Perfect
E ・・・ Eating
A ・・・ And
C ・・・ Comfortable
H ・・・ Health
∼最適な食環境と快適な生活をめざして∼
薬局での定期栄養サポート
項目
実施場所(事項)
対象者
頻度
概要
訪問栄養指導
居宅
依頼のあった利用者
月2回
介護保険、医療保険
外来栄養指導
(一般栄養指導)
診療所(4診療所)
診療所に受診する患者
月1-3回
主な対象疾患;糖尿
病、高血圧症、高脂
血症、高尿酸血症等
離乳食教室
集団栄養指導
診療所(1診療所)
診療所に受診する患者
月2回
調剤薬局での
栄養サポート
調剤薬局(1薬局)
薬局の窓口にこられた
患者
月2回
栄養講座や食事相談
福祉施設に対する栄
養ケアマネジメント
介護保険施設(5施設)
入所者及び施設職員
月1-4回
NCMシステム構築と
実施に関する助言
食事指導
幼児への食育活動
保育園(2施設)
保育園職員及び園児,
保護者
月1回
厨房会議や職員研修
会、子育て支援事業
地域住民及び医療
福祉関係者への栄
養教育
地域支援事業
ヘルパー対象の栄養講座
あつぎ食支援ネットワーク
厚木医療福祉連絡会
地域住民
ヘルパー等
栄養士、他職種等
医療福祉関係者
適宜
年数回
月1回
適宜
PEACH栄養講座
第1・2回「摂食・嚥下機能が低下したときの食事∼楽しく作ろう!介護食∼」
第3回「基本に戻ろう!糖尿病食にでも応用できるバランスの良いメニュー作り」
第4回「困った、これだけしかない!常備菜で作るメニュー」
第5回「活用しよう!何にでも使える保存食」
第6回「噛みにくい・飲み込みにくいときの食事の対応」
第7回「より重度な摂食・嚥下障害者への食事の対応∼ミキサー食∼」
第8回「500kcalの食事ってどのくらいの量だろう?」
第9回「安全にかつ美味しく食べていただくための食事介助方法」
第10回「低栄養予防の食事」
第11回「腎機能が低下したときの食事ケア」
第12回「電子レンジを活用した簡単メニュー」
第13回「炊飯器や電子ポットを用いたパッククッキング」
第14回「高齢者へのやさしい食事づくり」
第15回「減塩調理の工夫」
第16回「食中毒∼在宅での調理支援の注意∼」
第17回「低カロリーで満足メニュー」
第18回「調理っておもしろい!小学生のための料理」
第19回「対象者にあわせた食事量∼カロリー計算してみよう∼」
第20回「時間短縮!∼電子レンジを活用した調理法∼」
第21回「食欲不振を解決できるか!∼濃厚流動食の活用法∼」
第22回「なぜ、きざみ食はだめなの?∼頭で理解して舌で感じよう!嚥下食の極意∼」
第23回「目に見えない食中毒菌の恐ろしさ∼在宅支援でもできること
第24回「おいしくごはん、みんなで楽しく作ってみよう」
第25回 「効率よく調理しよう!∼メニューと調理手順を考える∼」
1
訪問栄養指導の実績
地域栄養ケアの現状
診療報酬、介護報酬の中でも、訪問栄養指導の実績は乏しく、全国で1800件程度しかない
病院でのNST(栄養サポートチーム)、介護保険施設での
NCM(栄養ケア・マネジメント)等、栄養管理への関心が高
くなる中で、地域や在宅でもシームレスな栄養管理を展開し
ようと、訪問栄養士を求める声は高くなってきている。
一方で、診療所での管理栄養士の配置率は低く、地域にお
いて外来でも在宅でも栄養支援は十分ではない。地域にはフ
リーで活動する管理栄養士は存在する(多くは保健所等で把
握)が、その多くは保健所や市町村での母子保健、生活習慣
病予防・支援、介護予防など、保健的介入が多く、必ずしも
在宅医療に携わる管理栄養士としてのスキルをもっているか
というと、そうでもない。
日本栄養士会 特定分野認定制度
在宅訪問管理栄養士
平成23年度、日本栄養士会は、特定分野認定制度のひとつ
として、「在宅訪問管理栄養士」という認定制度を作った。
初年度は、訪問栄養指導実践者を中心に研修会を開催し、
40名を認定した。
次年度からは、事前学習、ファーストステップともにeラーニングでの研修とし、すでに700名以上の参加者があ
り、平成24年12月に実施されるセカンドステップ(研修
会)前には約500名のファーストステージ修了者がいるとの
こと。
外来
79%
入院
80%
集団
N=6,863
36%
日本栄養士会全国病院協議会栄養部門
実態調査2006年9月より
5%
在宅訪問
0
20
40
60
80
管理栄養士
少し前のデータだが、
現状は全く変わっていない・・・
100
0.3%
介護給付費実態調査2008年1月より
歯科衛生士
17.2%
医師・歯科医師Ⅰ
27.4%
薬剤師
20.0%
医師・歯科医師Ⅱ
35.1%
総実績;約610,000件
日本栄養士会で進めている栄養ケア・ステーション
栄養ケア・ステーションは、全国の管理栄養士、栄養士が
地域や医療機関に対して栄養支援を行う拠点である。
地域に顔の見える管理栄養士、栄養士を増やすため、
2008年4月から都道府県に1箇所設置。今後は市町村に1拠点
を目指しているが、現在は47都道府県のレベル。
栄養指導や栄養教育の社会的認知度を高めるため、日本栄
養士会では様々なサービスを提供できる管理栄養士、栄養士
の人材育成をしている。
日本栄養士会HPより
訪問栄養指導実施の仕組み
∼病院管理栄養士が訪問栄養指導を行う場合∼
訪問栄養指導を実施するための仕組み
ひとつの病院の中で、
指示、報告、請求のすべての作業が完結する
2
実施手順(訪問栄養指導の流れ)
訪問栄養指導実施の仕組み
∼フリーの管理栄養士が訪問栄養指導を行う場合∼
訪問栄養指導の依頼
指示書の作成(医師)
複数の診療所と契約する
契約内容は、それぞれの施設により
異なり、契約条件により、
指示、報告、請求が行われる
管理栄養士
他職種からの情報収集
2週間に一度となる訪問は
毎回モニタリングを兼ねる
訪問栄養指導の実施
回目以降の流れ
各診療所にて保険請求(契約)
日程調整
医師への報告
医師・
介護支援専門員等への報告
指示 ⇔ 報告
栄養介入が必要な人を
他職種が
すでにスクリーニングしている
2
栄養アセスメント
(問題点の抽出)
栄養ケア計画作成・実施
報告書の作成
摂食・嚥下機能との関連要因
誤嚥性肺炎予防のアプローチ
(複数回答可) N=158
1.不顕性誤嚥(むせのない誤嚥)
2.侵襲の改善
・誤嚥量の軽減
・誤嚥物の性質改善
・口腔内細菌数の減少
・胃食道逆流の予防
3.抵抗力のアップ
・免疫力の向上
・喀出力の改善および呼吸理学療法
(人)
江頭他;JOURNAL OF THE JAPAN DIETETIC ASSOCIATION Vol52.NO10 2009
居宅における3つの栄養アセスメント
Tree of home nutritional assessment
□ 栄養アセスメント
(臨床所見、身体計測、生化学検査、食事摂取量調査、生活環境、心理状態)
□ 摂食・嚥下機能アセスメント
(口腔機能、麻痺の有無、高次脳機能、
摂食姿勢、食物形態、一口量、食具、食事介助の有無、食事時間、むせの有無)
□ 食生活アセスメント
編野原幹司:認知症患者の摂食・嚥下リハビリテーション、2011、南山堂
簡易栄養状態評価表
(Mini Nurtritional Assessment-Short Form=MNA)
A) 過去3ヶ月間で食欲不振、消化器系の問題、そしゃ
く、嚥下困難などで食事量が減少しましたか?
B) 過去3ヶ月間で体重の減少がありましたか?
C) 自力で歩けますか?
D) 過去3ヶ月間で精神的ストレスや急性疾患を経験し
ましたか?
E) 神経・精神的問題の有無
F) BMIまたはふくらはぎの周囲長(cm)
(食材購入,調理,配膳,喫食,後片付け,ごみ出し,食環境衛生状況,経済力)
3
摂食・嚥下障害の栄養アセスメントのポイント
摂食場面での評価・観察とアプローチ
1.栄養状態はどうか
適切な栄養補給ができているか(経口のみ?経管栄養併用?)
1回の食事摂取量は不足はないか
1日の食事回数は何回か
栄養補助食品の利用はあるか
2.どのような食形態で食べているか
とろみの使用はあるか
誰がどのように準備しているのか
食べ始めから食べ終わりまで、安全な食事であるか
3.食事以外の摂食条件や口腔ケアはできているか
食形態
摂食条件を整えて、
ベストな食形態を選択する
口腔内・嚥下関連器官
体幹、姿勢
気道のクリアランス
バイタルサイン、呼吸、覚醒、栄養状態
栄養補給
必要栄養量の決定と
摂取栄養量の充足率の把握
食品や料理の栄養価
効率よい栄養補給
市販介護食品の理解
(栄養価、病態栄養特性、食形態特性)
経腸栄養の知識(栄養剤、投与法等)
嚥下障害患者をもつ家族の声
「食事ができないと思うと、炊飯や調理のときのにおいも、気にしてしまいます。」
「家族と同じ食事を食べたがるので、私たち家族は台所でこっそり食べてます。」
「使う食材も限られちゃって、なんだか私たちも栄養失調になりそうです。」
「ミキサー食と指導されましたが、なんとなく食べられそうです。実際もう食べてい
ますよ・・・。」
「とろみ剤、簡単にいいますが、実はつけるのがめんどくさいんです。」
「ほんとに、大変なんです、調理が。昔はこの年になったらもう家事は卒業させても
らったのに、いつまでやらなきゃいけないんですか?」
在宅摂食・嚥下障害者の食支援の課題
1.十分な食事量を摂取できない
・ 使用食材の制限
・ 摂取量の減少(活動量の低下、排便コントロール不良)
・ 水分摂取の減少(定期的な時間の確保が困難、むせによる拒否)
2.適切な食形態を提供できない
・ 食材の理解や選択の困難
・ 調理が複雑
・ 本人の機能以上の食形態の進行
・
〃
食形態の停滞
3.適切な食環境を整えにくい
・ 口腔ケアの不足
・ 姿勢や一口量の不調整
・ 見守り・介助ができない
4
初回訪問時の介護者の訴え
70歳 男性
多発性脳梗塞
「退院指導はしてもらいました。
理解していたつもりなんですけどね、なんだかうまく固ま
らないんです。」
退院時の申し送りでは、
食形態は、
酵素入りミキサー粥、ペースト状
お茶ゼリー
3つの白い粉の理解、できてる?
「食べられそうですよ、
時々むせたりはしますど・・・。」
食形態の工夫
食材の選択
調味料の選択
調理器具、調理法の選択
ゲル化剤など嚥下調整食特有の
食品の理解
安定した嚥下調整食提供のための
品質管理
食材の特徴を知る
加熱しても軟らかく
なりにくいもの
硬いもの
ナッツ類
さくらえび・ごま
炒り大豆
焼肉・生野菜
噛みにくい
厚みのないもの
酸っぱいもの
焼き海苔
わかめ
レタス・きゅうり
酢の物
加熱調理
煮もの
和え物
液状のもの
パサパサしたもの
パン
ふかし芋・ゆで卵
焼き魚・凍豆腐
水・お茶
清まし汁
味噌汁
繊維の強いもの
パラパラと
まとまりにくいもの
青菜類・ごぼう・筍
蓮根・かんきつ類の房
パイナップル
きざみ食
ふりかけ・佃煮
長ネギ
飲み込み
にくい
適度な水分
オムレツ
フレンチトースト
つなぎ
肉団子・ハンバーグ
和え物(白和え、
ごまあえ、ヨーグルトあえ)
切り方
摂食・
嚥下機能を助ける
蒲鉾・こんにゃく
貝類・いか・ハム
油揚げ・きのこ類
長ネギ・白滝
調理の工夫
蛇腹切り,隠し包丁
繊維を断つ
適切な食材の
選択
油脂
ポテトサラダ
ネギトロ
スイートポテト
とろみ
ポタージュ
カレー・シチュー
あんかけ料理
咀嚼機能を引き出す
細かく刻まない
一口大
5
とろみ調整食品の分類と特徴
分
類
デンプン系
トロメリン(三和化学研究所)
シック&イージー(フレゼニウス)
エンガード(協和発酵)
ムースアップ(フードケア)
デンプン +増粘多糖類
グアガム系
増粘多糖類
キサンタンガム系
トロミアップA(日清オイリオ)
スルーソフト(キッセイ)
スルーソフトリキッド(キッセイ)
強力スカイスルー(キッセイ)
エンガード5(協和発酵)
ハイトロミール(フードケア)
トロミクリア(ヘルシーフード)
トロミスマイル(ヘルシーフード)
トロミパワースマイル
(ヘルシーフード)
ソフティア(ニュートリー)
ソフティアS(ニュートリー)
トロメリンEX(三和化学研究所)
スルーキングI(キッセイ薬品工業)
トロミパーフェクトPure(日清オイリオ)
トロメイクSP(明治乳業)
お茶用トロメイク(明治乳業)
つるりんこ(クリニコ)
つるりんこパワフル(クリニコ)
エンガードセレクトⅡ(協和発酵)
ネオハイトロミールⅢ(フードケア)
ネオハイトロミールR&E(フードケア)
ネオハイトロミールスリム(フードケア)
・温度によって粘度の発現がばらつく
・少量で粘度がつき経済的
・使用量が多くなると付着性が極端に増す。
・経時変化が大きい
・味が変わる
・透明感がある。
・付着性が少なく、凝集性がある。
・味、臭いが少ない
・温度によって粘度発現がばらつく
・経時変化が少ない
・粘度の安定が早い
商
品
名
特
・粘度の安定が早い
・安定性に劣る(唾液中や味噌中の酵素
の影響を受ける)
・量が必要・味、においが変わる
徴
キサンタンガム系の分類
分類
パワータイプ
スタンダードタイプ
マイルドタイプ
食物繊維の
配合
約40%
約30%
約23%
商品名
ソフティアソーパーゾル
つるりんこPowerful
トロミパワースマイル
ネオハイトロミールⅢ
ソフティア
ネオハイトロミール
ソフティアS
スリム
つるりんこ
トロミスマイル
ネオハイトロミールR&E
トロミパーフェクト
トロメイクSP
スルーキング
トロミクリア
エンガードセレクトⅡ
嚥下食ピラミッド
難
増粘多糖類
難易度
増粘剤
寒天
でんぷん
易
L0
グレープゼリー
L1
プリン・ミルクゼリー
L2
サーモンムース
L3
全粥・ポタージュ
マッシュポテト
嚥下食
L4
鶏だんご、かぼちゃ軟煮
りんごコンポート
介護食
L5
米飯、天ぷら
五目豆・ひじき
普通食
嚥下訓練食
ゼラチン
ユニバーサルデザインフード
(金谷節子:2004、一部改変)
在宅栄養ケアに影響する環境・心理因子
(介護する側の問題)
介護力
性別
医療や福祉の専門家が
常にそばにいるわけではない
意欲
経済力
年齢
しかし一方で、在宅ケアは、
精神力
理解度
社会環境
究極の個別対応ができる環境がある
6
摂食・嚥下障害者の介入後の転帰
在宅摂食・嚥下障害者への
介入目的別分類
N=158
不明
12.0%
機能改善
19.0%
悪化
14.6%
QOL改善
12.6%
維持
41.8%
予防型
加齢による嚥下機能低下.食べ方の注意や口腔ケア時に間接
訓練的介入を行うことで改善可能なタイプ.
機能向上型
脳血管障害など原疾患による嚥下機能障害がある.積極的な
嚥下訓練を行うことで、機能改善するタイプ.
機能維持型
摂食・嚥下障害または中度以上の機能低下があり、今後著し
い改善は期待できないが、訓練を行うことで現在の摂食・嚥下
機能を維持できるタイプ.
リスク軽減型
誤嚥性肺炎の既往があり、肺炎にならないことを目的に訓練を
行うタイプ.
終末型
終末期において、最後までおいしく口から食べられるように介
入するタイプ.
2000江頭
江頭他;JOURNAL OF THE JAPAN DIETETIC ASSOCIATION Vol52.NO10 2009
終末期に対応した栄養ケア
多視点からの栄養アセスメント
『患者・利用者・在宅療養者…』
呼び方は違えど、みんな、つながっている!
診療所(外来)
病院(入院中)
嗜好に合った料理や少量でも満足できる
メニューの提案
誤嚥を防ぐ安全な食形態の提案
介護者のための精神的栄養ケア
施設(入所中)
地域(在宅療養中)
『つながる』ためには、
『口から食べる』で、地域がつながる
病院側と受け皿(施設や在宅)の
両方の環境が整っていることが重要
7
NST・嚥下連絡票
退院前の合同カンファレンス
退院前、食事時間の
病棟訪問による情報交換
神奈川摂食・嚥下リハビリテーション研究会
NST・嚥下連絡票の実際
8
在宅で管理栄養士が行う食の支援
個々の身体及び生活状況に対応している
誤嚥や窒息なく安全であること
簡単であること
おいしいこと
*食事は生活に密着している。
だからこそ継続できる支援を行う必要がある
短時間!手抜き!のひと工夫
『パッククッキング』ってなに?
食材をポリ袋に入れて電気ポットで加熱調理する調理法です
別称:家庭版真空調理法
1.電子レンジの利用
2.まとめて作って冷凍保存
3.お手軽調理の技
4.レトルト食品や加工食品など市販食品の活用
5.パッククッキング(家庭版真空調理法)の活用
*電気ポットは容量に合わせて1/3の水を入れます。
3リットルの電気ポットなら水は1リットルです。
*ポリ袋(「高密度ポリエチレン製」「食品包装用」の無地でマチのないもの)を使います。
*1袋に入れる量は1∼2人分を目安にします。
*ポリ袋に食材を入れて中の空気をしっかり抜きます。
*加熱すると袋がふくらむので、入り口の方でしっかりと結び、中の
食材を均一に広げます。
*1台の電気ポットに入れるパックの数は、3パックまでです。
3リットルの電気ポットでは600gまでが目安です。
まずは1パックからやってみましょう。
*出し入れの際はやけどに注意しましょう。
江頭文江:『在宅生活を支える!これからの新しい嚥下食レシピ』三輪書店より
「口から食べる」アプローチ
リハビリテーション
口腔ケア
食具
いかにトータルでの
一口量
食べ方
支援ができるか
姿勢管理
いつでも、どこでも、
どんな人でも
食べることを楽しみたい!
厚木市広報平成21年11月1日号より
呼吸リハビリ
テーション
栄養管理
(食事介助法)
食べる速さ
食事形態
9
第一回 多職種摂食嚥下機能評価視察
日時 H24 年 10 月 6 日 14 時~16 時 30 分
場所 特別養護老人ホーム かまくら
医師 2 人歯科医師 2 名看護師 2 名言語聴覚士 1 名歯科衛生士 3 名管理栄養士 3 名薬剤師 2
名 患者・家族会 1 名 その他施設の看護師や介護士、栄養士等のスタッフ
見学内容
摂食嚥下チームのスタッフは白衣に着替えスタッフ全員で、部屋やホールのところで摂食嚥下
評価を行なった。
① 施設のスタッフより初めに簡単な患者紹介
歯科衛生士、言語聴覚士、看護師が
② アイスマッサージ(スポンジやガーゼを使用して行う)*この時舌の動きも観察
③ 水のみテスト (氷水の使用)
④ 聴診
⑤ トロミ水のテスト(必要があれば)
⑥ フードテスト(ゼリー)
医師、歯科衛生士、言語聴覚士、看護師が
⑦ VE(今回は 3 例)
⑧ どうしたらよいか口頭で施設の方に説明 という流れで行なっていた。
評価用紙は、摂食嚥下学会の評価表を使っていた。
人によっては、管理栄養士が栄養状態について評価していた。
評価後は声を長く出す練習をしたり、歌を歌ったり呼吸訓練のアドバイスをしたり、マドパーの内
服時間を検討してはどうかなど的確なアドバイスを行なっていた。
感想
他職種が集まることで、個々の専門性の視点で評価していた。摂食嚥下チームのスタッフは、
無駄な時間がなく 2 時間半で 8 名の評価をしていて驚いた。
初めは、映像を観ることが出来ずVEの結果もどのようになっているのか分からなかったが、後
半はTVが設置されてVEの映像を観る事ができて結果も分かりやすかった。
施設の摂食嚥下評価に興味のあるスタッフがたくさん集まっていたが、介護スタッフに分かるよ
うな解説があったらもっと良かったと思う。例えば、聴診の音を実際に聞かせたり、VEの映像を
見せたりしながら詳しい解説があるともっと分かりやすかったのではないかと思う。
嚥下するまでの時間がかかるからゆっくり少量ずつの介助が必要だ、一回の嚥下では食べ物
が飲み込めないのでカラ嚥下を 2 回くらい行なうことも必要だ等、スタッフが誤嚥しないようどうし
たら良いのか根拠づけて「なぜ?」を詳しく考えられるような、理解できるような説明があったらさ
らに分かりやすかったように思う。介護スタッフは、解剖等も理解していないので、どこが気管で
そこが食道なのか図や本を見せながら説明できたらより分かりやすいのではないかと思った。
それらをすることにより、摂食嚥下評価がただ評価されるだけではなく、どう評価されているのか
分かることで、実際に食事介助するスタッフの意識も高まり、介護スタッフの啓発を受けることに
も繋がると考えた。
また、理学療法士がいて姿勢の評価が出来たらもっと良かった。今回は、車椅子で座位の評
価だったが座位で摂取が難しい方には、居室にてBedでのギャジアップの角度や姿勢の指導が
出来たらさらによかったのではないかと感じた。
この経験を参考に次の摂食嚥下評価につなげて行きたい。
摂食嚥下回診視察
H24年10月31日(水) 15時30分~17時30分
場所
前橋赤十字病院
見学内容
各病棟から依頼があり摂食嚥下に問題のある患者様を摂食嚥下チームが、毎日回診し食形
態や摂食訓練等をどのようにすすめるのか方針を決めて行く。
今回は、実践的なケアや訓練方法と摂食嚥下チームからの病棟スタッフやケアスタッフへ
の伝達方法を学んだ。
学んだ事を以下にまとめる。
・口腔ケアに必要な物品を家族に用意してもらうためリストを書いたプリントを渡してい
た。(スポンジやオーラルバランス等)
・退院時は、患者様 1 人 1 人のトロミのつけ具合を家族や施設スタッフが分かるように指
導していた。(お茶なら何g、オレンジジュースなら何g等具体的に)
・食事が摂取できるかどうか判断が難しい場合は、ゼリーのみの摂取にして摂食嚥下の認
定看護師が何日か直接訓練に入っていた。その後食事が可能となったら、病棟看護師に
引き継ぐような仕組みを作っていた。
・間接訓練が必要な人は摂食嚥下チームが作成したプリントを基に看護師が間接訓練を行
っていた。すべての看護師が間接訓練を知っているのかは分からないが回診した時の病
棟看護師は行っていた。間接訓練(顔面マッサージ、口腔ケア、首や肩の運動、発生練習
パタカラ等)
・呼吸訓練では歌を歌う事を勧めていた。「桃太郎さん
桃太郎さん」が息継ぎをしないで
ゆっくり歌えるようになると、飲み込みに必要な呼吸の維持が出来る等具体策を出して
指導していた。
・男性9秒、女性は7秒くらい続けて息を吐き出せると誤嚥の予防になるとも言っていた。
・病院のカップ180ccに対して、スティックトロミ剤1本以上のトロミをつけなけれ
ばならない場合はトロミ剤を勧めずゼリータイプの食形態を勧めていた。
・ベッドでの食事摂取の姿勢については、枕とクッションを使いポジショニングを決めそ
の姿勢を写真に撮りアドバイスを入れたものと一緒に患者様のベッドの所に置いていた。
感想
病院の電子カルテで入院時にすべての患者様の口腔、栄養、褥瘡について評価をすること
でスタッフが摂食嚥下について考える事が出来ているのだと感じた。また摂食嚥下チーム
があることで病棟によって温度差はあるものの摂食嚥下に対するケアのレベルや質が向上
しているのだと思った。
第一回摂食嚥下機能評価
症例No1
平成24年9月13日
施行日
男
K・K
○・女
S
M T ○
14 年
1 月
4 日生 (
実施場所:在宅療養(通所リハビリ利用中)
平成
24 年
9
月
13 日
氏名
73 才)
(主病名)脳梗塞後遺症
(副病名)潰瘍性大腸炎、症候性てんかん、脳動静脈奇形、肝障害、前立腺肥大症、逆流性食道炎
(内服薬)
フリバス、ランソプラゾール、酸化マグネシュウム、ヒダントールF、サラゾピリン、デパケン
シロップ、ブロムヘキシン酸塩シロップ、エレンタール
(現病歴)
脳動静脈奇形術後による左上下肢の片麻痺に加え、平成 13 年 3 月、脳梗塞(右不全片麻痺)発
症したため歩行障害がさらに著明になった。同年 6 月に急性胆のう炎を発症し、廃用の進行によ
り車椅子対応になり、認知機能の低下はすすみ、意欲減退発語も乏しくなった。
平成 10 年頃から潰瘍性大腸炎の治療もしている。
(介護度)要介護 4
(ADL)
現在ADLはほぼ全介助状態。
基本動作もほぼ介助を要し、自力での端座位保持も困難で、立ち直り反応も見られない。右上肢は
随意運動可能(ブルンストロームステージ:上肢・手指ともにⅣ~Ⅴ)。左上肢と両下肢は実用的
な運動は困難。体幹機能は低く、頭頸部~背部~下肢と伸筋群の筋緊張亢進が見られる。車イス座
位では、バックレストに寄りかかり頭頸部は伸展位をとりやすい。
車イス座位での不良姿勢をとりやすい因子として、下肢の柔軟性低下も考えられる。特に両足関節
(足部含む)が硬く、背屈が-30°で足部を矢状面状で膝軸よりも前方に投げ出したような状態
の足底接地であり、足部への荷重は困難(ルームシューズで補高してあるが、難しい)。足部が膝
軸よりも前方に位置することで、骨盤は後傾位をとりやすくなり、体幹のバックレストの寄りかか
りを助長していると考えられる。
覚醒度にむらがあり傾眠傾向のときもある。注意散漫もある。
(摂食・嚥下機能の状況)
水分はむせてしまうため、トロミ又はゼリーにしている。主食はお粥で、副食は普通食を摂取し
ている。覚醒状態のよい時は口頭での促しでスプーンを用いて自力摂取可能であるが、それ以外は
介助にて摂取している。
注意散漫のため、嚥下時も頭頸部が伸展位をとりやすいため口頭での促しを必要とすることが多
い。
通所リハビリ利用時の食事では、周囲が気になり注意がそれてしまう。痰のからまりがあり、必
要時は吸引を行なっている。通所リハビリでの歯磨きは介助にて行なっている。
(コミュニケーションは会話のキャッチボールは難しいが、簡単な意思の疎通は可能である。)
(その他)
本人が食べたい物トマト、ヨーグルト、パイン、かまぼこ、ホウレンソウ、もやし、納豆、そぼ
ろ
(検討課題)
食形態の検討
嚥下ファイバー実施
嚥下ファイバー
食材
口腔内の観察
(嚥下食材と嚥下状態)
プリン:咽頭残留(-)喉頭侵入(-)誤嚥(-)
トマト:咽頭残留(-)喉頭侵入(-)誤嚥(-)
うどん・てんぷら:咽頭残留(少)喉頭侵入(-)誤嚥(-)
(改善点)
刻んで種を取っていたトマトがそのままでも摂取可能がわかった
うどん・てんぷらは、少量摂取で、後からとろみのお茶で残留を流し込めば良好
食事摂取時は食事と水分(とろみ付き)の交互嚥下が効果的である
一口量を少なくすることでむせることなく摂取できることが分かった
症例No2
氏名
T.A
男・女
M T S 17 年
9 月 19 日生 (
67 才)
実施場所:住宅型有料老人ホームサービスハウス縁
(主病名)前頭側頭型認知症
(副病名)糖尿病 てんかん
(内服薬)ボグリボースOD、マイスリー、ベンザリン、センノシド、バレリン、マグミット
(現病歴)
平成 8 年より、前頭側頭型認知症のため、入退院を繰り返していた。H22 年 7 月より精神科病
院を退院し、住宅型有料老人ホームに入所する。その後H24 年 4 月肺炎にて入院し、1 ヶ月で退
院。5 月に大井戸診療所初診(訪問診療)。施設では自閉的な生活を送っており、他者との接触は
殆どなく過ごしている。こだわり、無為、自閉はあるものの安定した生活を送っている。
(介護度)要介護 5
(ADL)
日中は、車椅子で生活している。足で車椅子を漕ぐが、手を使って自操することはない。膝は伸
びないが、車椅子からベッドまでの移乗は可能。
一度の説明では、理解が難しいので繰り返しの説明が必要。
尿閉あり、膀胱留置カテーテルを挿入している。
身体リハビリは行なっていない。
(摂食・嚥下機能の状況)
むせがみられ、液体は摂取出来ずトロミをつけている。主食は全粥で副食は刻み食。
勢いよく食べ物を摂取してしまうため、一口量を調節して全介助にて食事を摂取している。むせ
が多い。
咀嚼するとき、口を閉じる事が出来ずくちゃくちゃ音を立てながら摂取する。「う」の口が作れ
ない。涎が多い。義歯を使用している。
モアブラシを利用し口腔リハビリをしている。
(その他)
ジュースが飲みたい。どのくらいトロミをつけたら良いのか知りたい。
(検討課題)
食形態の検討
嚥下ファイバー実施
口腔内の観察
嚥下ファイバー
とろみ作成
(嚥下食材と嚥下状態)
プリン:咽頭残留(多)喉頭侵入(あり)誤嚥(-)
もやし:咽頭残留(あり)喉頭侵入(あり)誤嚥(あり)
本症例では、喉頭蓋谷への残留多く、また、喉頭侵入や誤嚥も多く認められた
いままで食べていた食材もかなり危険なものがあることがわかった
また、左の梨状か からのみ食道に流入。右側は通過せず
(改善点)
食事摂取時の体位の工夫(右大臀部の下にバスタオルをまるめて入れる、少し左側より介助する
と姿勢が崩れない)
食材の変更(食事は、刻み食をエレンタールのゼリーミックスを使用したゼリー食に変更した
また水分は、ポカリゼリーを作り摂取するように変更した。)
*ポカリゼリーは 1 リットルのポカリゼリーに対してゼラチン 10g を溶かし固めたもの)
(その後)
食形態の変更を試みたが、その後誤嚥性肺炎になり入院した。
食べる意欲があり、自分の意志も伝えることの出来る方なので、ご本人やご家族と相談した結果、
今後胃婁増設予定となった
第 2 回摂食・嚥下機能評価
平成 24 年 11 月 1 日
1、 前橋地区
石倉ホーム(和が家)は、古い養蚕農家を利
用したとても温かみのある古民家です。
ここで、認知症の方が共同生活をする、
『最
期を畳の上で過ごしたい』との願いをかなえ
られる路地裏のホスピスです。好きな時間に
起きていただき、好きな時間にお風呂に入り、
好きな時間に休むというその人らしく自由に生活できる場所です。
(症例 1)K.T 90 才
アルツハイマー
(介護度)要介護4
(ADL)
・歩行不可 ・会話自分から発することはほとんどなし、拒否の時だけ「イ
ヤだよ」
・オムツ
・2人対応 ・一人で食事を摂取することもあるが介助することもある
(摂食・嚥下機能の状況)
・トロメリン使用(飲み物)
・上下入れ歯
・おかゆ時々常食
・つかえているような咳をする
(評価)嚥下ファイバーを試みようとしたが、強い拒否にあいファイバー挿入
できず断念
(症例2)M.T
97 才
認知症
(介護度)要介護5
(ADL)
・車イスに乗っているのみ
・返事はするが言っていることは不明、こちらから話すことはいくらかわかる?
・全介助
(摂食・嚥下機能の状況)
・おかゆ、キザミ、とろメリン
・むせる
・歯根が2、3本残っているのみ
(評価)はっきりした誤嚥は、認めないが、入れ歯がないため、口腔内の圧力
が十分に上がらず、咽頭への送り込みの遅延が見られた
2、 高崎地区
次に、同様な形態をとるグループホームひびきを訪問
(症例 1)H.T 90 才
アルツハイマー病
(副病名)脳梗塞(80才頃)
心筋梗塞伴性不全
(介護度) 要介護2
(ADL)
・車イスを自走にて移動
・排泄自力
・食事摂取自力
・入浴一部介助
(摂食・嚥下機能の状況)
・常食、時々むせる
・常に咳をしている→原因がわからず、今回何かわかったらよいと家族より
(評価)誤嚥なし。通常食している携帯でむせることなく食事摂取可能
改訂水飲みテスト
(症例 2)K.I 72 才
アルツハイマー型認知症
(介護度)要介護 4
(ADL)
・全介助
・こちらが話すことに反応なし
・発語なし
(摂食・嚥下機能の状況)
・最近、食事摂取時むせ込むことがある
・首周囲から肩にかけて筋拘縮あり
・ほとんど歯なし 義歯なし
(評価)反応はあまりよくないが、何とか嚥下可能。誤嚥も認めなかった。
首の筋硬縮は、マッサージにより改善。定期的なマッサージが有効
(症例 3)M.W 70 才 アルツハイマー
(介護度) 要介護5
(ADL)
・全介助
・歩行のみOK
(摂食・嚥下機能の状況)
・軟食、時々むせる
・時々口の中に食事をふくませたままのことあり
(評価)誤嚥なし。通常食している携帯でむせることなく食事摂取可能
第三回摂食嚥下機能評価
平成24年12月6日
症例No7
K・R
S
M T ○
21 年
実施場所:特養 永光荘
氏名
7
男 ・女
○
月 6 日生 (66 才)
(主病名)脳梗塞 (右麻痺)
(副病名)
(内服薬)アシバン錠、酸化マグネシウム、タムソロリン塩酸塩口腔内崩壊錠、チクロピゾン塩酸
塩顆粒
(現病歴)H24.5.誤嚥性肺炎 (H24.5.7~22 入院)、H24.6.誤嚥性肺炎 (H24.6.7~22 入院)、H24.6.
誤嚥性肺炎 (H24.6.25~7.31 入院)、7/19peg 造設、H24.8.誤嚥性肺炎、尿路感染症
(H24.8.2~8.14 入院)
(介護度)要介護 4
(ADL)
食事:経管栄養、排泄:オムツ交換、入浴:中間、移乗:介助、移動:全介助
意志疎通:言語障害あり。意思表示はジェスチャーが主
(摂食・嚥下機能の状況)
経口摂取するも誤嚥性肺炎を繰り返し、経管栄養となっている。経口では何も食べていない。
痰からみがひどい状態。
(その他)
(検討課題)経管栄養であるが本人の食への気持ちが強いので、経口摂取が可能かどうか判断をお
願いしたい
(嚥下食材と嚥下状態)
とろみ水:咽頭残留(-)喉頭侵入(少量)誤嚥(有)
ゼリー:咽頭残留(中等以上)喉頭侵入(中等以上)誤嚥(中等以上)
(改善点)
経口摂取は難しいので、保湿剤等で味を楽しんでもらう。またアイスマッサージ等でも味を楽
しんでもらう
症例No8
I.T
男・女
S
5 年 3 月 30 日生
M T ○
実施場所:特養 永光荘
氏名
(83 才)
(主病名)アルツハイマー病、脳梗塞 (80 歳頃)
(副病名)
(内服薬)グラマリール錠、フェンラーゼ配合カプセル、レミニール OD 錠、ラキソベロン内服液
(現病歴)
(介護度)要介護 5
(ADL)
食事:全介助、排泄:オムツ交換、入浴:機械浴、移乗・移動:全介助
意志疎通:認知症により意志疎通困難
(摂食・嚥下機能の状況)口の中にため込んでしまい、のどに流れてしまう感じで飲み込まれる。
副食にとろみを強くしないと口から流れ出てしまう。つばにむせてしまう
(その他)
(検討課題)徐々にムセも多くなり、飲み込みが悪くなっている。経口摂取が継続できるように安
全に食べられる方法を検討したい
(嚥下食材と嚥下状態)
エンゲリード (坐位):咽頭残留(不可)喉頭侵入(不可)誤嚥(不可)
プリン(坐位):咽頭残留(不可)喉頭侵入(不可)誤嚥(不可)
ヨーグルト(坐位):咽頭残留(中等以上)喉頭侵入(少量)誤嚥(-)
プリン (ファーラー位):咽頭残留(少量)喉頭侵入(少量)誤嚥(-)
問題なし?
(改善点)
上手に送り込めないので、摂食時の姿勢をファーラー位にして送り込みをアシストする
舌の動きが悪いため、食前に舌を動かすようなリハビリをしたり口腔内のストレッチをしたり
してから摂取したほうがよい。(今回モアブラシを紹介しました。)
(その後)
症例No9
氏名
K・S
S
23 年
M T ○
実施場所:特養 永光荘
男・女
11 月 20 日生
(64 才)
(主病名)脳梗塞後遺症
(副病名)高血圧、DM
(内服薬)ポラビックス、アマリール、パリエット、ミカルディス
(現病歴)H13.5.28DM、H13.6.11 高血圧症、H15.12.15 脳梗塞
(介護度)要介護 2
(ADL)
左麻痺 (左利きであった為、右手での苦労有り)、食事:スプーン・フォークにて自立
更衣:一部介助、整容:歯磨き、洗顔自立。髭剃りはそり残しがあり全介助。
排泄:排尿自立。排便一部介助 (拭き取り、下衣の上下)
入浴:移動時の転倒要注意にて一部介助。洗身一部介助、洗髪全介助
移動:杖歩行自立。外出時は必要に応じて車椅子使用
意志疎通:やりとり可能。わずかに構音障害あり
(摂食・嚥下機能の状況)
涎が口から流れやすくなっている。左側口腔内に食べ物が残ってしまう。
むせの回数が増えてきている。食物の形態によっては飲み込みにくい。
麺類は口からこぼれてしまう。
(その他)以前より症状が徐々に増えてきていることに本人も気づいている
(検討課題)年齢も 64 歳と若く、食べることを楽しみとしているので、おいしい物をそのままお
いしく食べ続けられるよう悪化を防ぎたい。自分で行える適切な訓練を検討していく
(嚥下食材と嚥下状態)
ゼリー:咽頭残留(-)喉頭侵入(-)誤嚥(-)
プリン:咽頭残留(-)喉頭侵入(-)誤嚥(-)
ヨーグルト:咽頭残留(少量)喉頭侵入(少量)誤嚥(-)
水:咽頭残留(-)喉頭侵入(-)誤嚥(-)
問題なし?
(改善点)嚥下機能に問題はない。口腔機能の低下(麻
痺の影響)に対してリハを行うと良い。
(その後)
症例No10
氏名
H.A
T
M ○
S 13 年
実施場所:特養 永光荘
男・女
6 月 5 日生 (88 才)
(主病名)脳梗塞、認知症 (H16)
(副病名)
(内服薬)アムロジピン口腔内、ファモチシン口腔内、ユベラ N 顆粒、アルファタロシドール酸、
シモニール OD 錠、メユバウミン顆粒
(現病歴)脳梗塞、腰椎圧迫骨折、十二指腸潰瘍、H16 胃潰瘍、H20DM、H24.10 肺炎
(介護度)要介護 5
(ADL)
食事:全介助
排泄:オムツ交換
移乗・移動:全介助
意志疎通:認知症により意志疎通困難
(摂食・嚥下機能の状況)傾眠状態のためなかなか食べられない
(検討課題)ムセがありなかなか食べられない。安全に食べられるよう介助方法を検討したい
(嚥下食材と嚥下状態)
水:咽頭残留(-)喉頭侵入(-)誤嚥(-)
ゼリー:咽頭残留(中等以上)喉頭侵入(中等以上)誤嚥(-)
プリン (坐位):咽頭残留(少量)喉頭侵入(少量)誤嚥(-)
ゼリー (ファーラー位):咽頭残留(中等以上)喉頭侵入(中等以上)誤嚥(-)
水(ファーラー位):咽頭残留(-)喉頭侵入(-)誤嚥(-)
(改善点)
坐位とファーラー位で違いなし。覚醒をあげる必要有り。家族からは胃瘻等の希望はないため、
食べられそうな時に、食べられるだけ食べる。
口を開けたまま飲み込んでいるため口輪筋を鍛えるような口腔リバビリを食前に行なうと良い。
(蝶のような形の物を紹介しました。)
摂食嚥下評価 基本情報
ID
1
評価日 氏名
H24.9.13
K/K
生年月日 年齢 性別
S14.1.4
73
男
主病名
脳梗塞後遺症
副病名
潰瘍性大腸炎、症候性てんか
ん、脳動静脈奇形、肝障害、前
立腺肥大症、逆流性食道炎
2
H24.9.13
T/A
S17.9.19
67
男
前頭側頭型認知症 糖尿病 てんかん
3
H24.11.1
T/M
T4.3.31
97
女
認知症、気管支喘
息、イレウス(H15)
4
H24.11.1
T/H
T8.5.21
93
男
アルツハイマー病、
心筋梗塞、慢性心不全
脳梗塞 (80歳頃)
5
H24.11.1
I/K
S15.8.21
72
女
6
H24.11.1
W/M
S17.5.17
70
女
7
8
H24.12.6
H24.12.6
K/R
I/T
S21.7.6
S5.3.30
66
83
男
女
左大腿骨骨折
内服
現病歴
介護度
ADL
摂食嚥下機能
現在ADLはほぼ全介助状態。
基本動作もほぼ介助を要し、自力での端座位保持も困難
で、立ち直り反応も見られない。右上肢は随意運動可能
(ブルンストロームステージ:上肢・手指ともにⅣ~Ⅴ)。左
上肢と両下肢は実用的な運動は困難。体幹機能は低く、
頭頸部~背部~下肢と伸筋群の筋緊張亢進が見られる。
車イス座位では、バックレストに寄りかかり頭頸部は伸展
脳動静脈奇形術後による左上下肢の片麻痺に加え、平成13年
位をとりやすい。
フリバス、ランソプラゾール、酸化 3月、脳梗塞(右不全片麻痺)発症したため歩行障害がさらに著
車イス座位での不良姿勢をとりやすい因子として、下肢の
マグネシュウム、ヒダントールF、 明になった。同年6月に急性胆のう炎を発症し、廃用の進行によ
サラゾピリン、デパケンシロップ、 り車椅子対応になり、認知機能の低下はすすみ、意欲減退発語 要介護4 柔軟性低下も考えられる。特に両足関節(足部含む)が硬
く、背屈が-30°で足部を矢状面状で膝軸よりも前方に
ブロムヘキシン酸塩シロップ、エレ も乏しくなった。
投げ出したような状態の足底接地であり、足部への荷重は
平成10年頃から潰瘍性大腸炎の治療もしている。
ンタール
困難(ルームシューズで補高してあるが、難しい)。足部が
膝軸よりも前方に位置することで、骨盤は後傾位をとりや
すくなり、体幹のバックレストの寄りかかりを助長していると
考えられる。
覚醒度にむらがあり傾眠傾向のときもある。注意散漫もあ
る。
水分はむせてしまうため、トロミ又はゼリーにし
ている。主食はお粥で、副食は普通食を摂取し
ている。覚醒状態のよい時は口頭での促しでス
プーンを用いて自力摂取可能であるが、それ以
外は介助にて摂取している。
注意散漫のため、嚥下時も頭頸部が伸展位を
とりやすいため口頭での促しを必要とすること
が多い。
通所リハビリ利用時の食事では、周囲が気にな
り注意がそれてしまう。痰のからまりがあり、必
要時は吸引を行なっている。通所リハビリでの
歯磨きは介助にて行なっている。
(コミュニケーションは会話のキャッチボールは
難しいが、簡単な意思の疎通は可能である。)
日中は、車椅子で生活している。足で車椅子を漕ぐが、手
を使って自操することはない。膝は伸びないが、車椅子か
平成8年より、前頭側頭型認知症のため、入退院を繰り返してい
らベッドまでの移乗は可能。
た。H22年7月より精神科病院を退院し、住宅型有料老人ホー
ボグリボースOD、マイスリー、ベ
一度の説明では、理解が難しいので繰り返しの説明が必
ムに入所する。その後H24年4月肺炎にて入院し、1ヶ月で退
要介護5
ンザリン、センノシド、バレリン、マ
要。
院。5月に大井戸診療所初診(訪問診療)。施設では自閉的な生
グミット
尿閉あり、膀胱留置カテーテルを挿入している。
活を送っており、他者との接触は殆どなく過ごしている。こだわ
身体リハビリは行なっていない。
り、無為、自閉はあるものの安定した生活を送っている。
むせがみられ、液体は摂取出来ずトロミをつけ
ている。主食は全粥で副食は刻み食。
勢いよく食べ物を摂取してしまうため、一口量を
調節して全介助にて食事を摂取している。むせ
が多い。
咀嚼するとき、口を閉じる事が出来ずくちゃく
ちゃ音を立てながら摂取する。「う」の口が作れ
ない。涎が多い。義歯を使用している。
モアブラシを利用し口腔リハビリをしている。
酸化マグネシウム、フルニトラゼ
パム
要介護5
フエブリク?、ネオシウムカプセル
要介護2 車椅子自走にて移動。食事、排泄自立。入浴一部介助
その他
検討事項
本人が食べたい物ト
マト、ヨーグルト、パイ
ン、かまぼこ、ホウレ 食形態の検討
ンソウ、もやし、納豆、
そぼろ
ジュースが飲みたい。
どのくらいトロミをつけ
食形態の検討
たら良いのか知りた
い。
車椅子に座っているだけで、その他全介助。声かけに返事 歯根が2~3本残っているのみ。おかゆ、きざ
はあるが、発話内容は不明
み、トロメリン。むせる
常食。時々むせる。常に咳をしているが原因不
明。
ミキサー食、とろみ、入れ歯無し。嚥下の途中で
むせ有り。
アルツハイマー病
ネオドパール、ビシプール、マラス
クマ
脳梗塞 (右麻痺)
アシバン錠、酸化マグネシウム、
タムソロリン塩酸塩口腔内崩壊
錠、チクロピゾン塩酸塩顆粒
アルツハイマー病
9
H24.12.6
K/S
S23.11.20
64
男
脳梗塞後遺症
10
H24.12.6
H/A
T13.6.5
88
女
脳梗塞、認知症
(H16)
高血圧、DM
要介護5 全介助。歩行可能。
軟食。時々むせる。時々口の中に食事を含ませ
たままででいることあり
食事:経管栄養
排泄:オムツ交換
入浴:中間
要介護4
移乗:介助
移動:全介助
意志疎通:言語障害あり。意思表示はジェスチャーが主
経口摂取するも誤嚥性肺炎を繰り返し、経管栄
養となっている。経口では何も食べていない。
痰からみがひどい状態。
経管栄養であるが
本人の食への気
持ちが強いので、
経口摂取が可能
かどうか判断をお
願いしたい
グラマリール錠、フェンラーゼ配合
カプセル、レミニールOD錠、ラキ
ソベロン内服液
食事:全介助
排泄:オムツ交換
要介護5 入浴:機械浴
移乗・移動:全介助
意志疎通:認知症により意志疎通困難
口の中にため込んでしまい、のどに流れてしま
う感じで飲み込まれる。副食にとろみを強くしな
いと口から流れ出てしまう。つばにむせてしまう
徐々にムセも多く
なり、飲み込みが
悪くなっている。経
口摂取が継続でき
るように安全に食
べられる方法を検
討したい
ポラビックス、アマリール、パリ
エット、ミカルディス
左麻痺 (左利きであった為、右手での苦労有り)
食事:スプーン・フォークにて自立
更衣:一部介助
整容:歯磨き、洗顔自立。髭剃りはそり残しがあり全介助。
要介護2 排泄:排尿自立。排便一部介助 (拭き取り、下衣の上下)
入浴:移動時の転倒要注意にて一部介助。洗身一部介
助、洗髪全介助
移動:杖歩行自立。外出時は必要に応じて車椅子使用
意志疎通:やりとり可能。わずかに構音障害あり
涎が口から流れやすくなっている
左側口腔内に食べ物が残ってしまう
むせの回数が増えてきている
食物の形態によっては飲み込みにくい
麺類は口からこぼれてしまう
H24.5.誤嚥性肺炎 (H24.5.7~22入院)、H24.6.誤嚥性肺炎
(H24.6.7~22入院)、H24.6.誤嚥性肺炎 (H24.6.25~7.31入院)、
7/19peg造設、H24.8.誤嚥性肺炎、尿路感染症 (H24.8.2~8.14
入院)
H13.5.28DM、H13.6.11高血圧症、H15.12.15脳梗塞
アムロジピン口腔内、ファモチシン
口腔内、ユベラN顆粒、アルファタ 脳梗塞、腰椎圧迫骨折、十二指腸潰瘍、H16胃潰瘍、H20DM、
ロシドール酸、シモニールOD錠、 H24.10肺炎
メユバウミン顆粒
要介護5
食事:全介助
排泄:オムツ交換
移乗・移動:全介助
意志疎通:認知症により意志疎通困難
傾眠状態のためなかなか食べられない
年齢も64歳と若く、
食べることを楽し
みとしているので、
以前より症状が徐々 おいしい物をその
に増えてきていること ままおいしく食べ
に本人も気づいてい 続けられるよう悪
化を防ぎたい。自
る
分で行える適切な
訓練を検討してい
く
ムセがありなかな
か食べられない。
安全に食べられる
よう介助方法を検
討したい
摂食嚥下評価 聖隷式質問紙
ID 氏名 生年月日 年齢 性別 回答者
1. 肺 炎 診 2. 体 重 減 3. 飲 み 込 4. 食 事 で 5. 水 分 で 6. 痰 か ら 7. 喉 に 食 8. 食 事 速 9. 硬 物 食 10. 口から 11. 口 腔 内 12. 胃から 13. 胸に食 14. 夜 間 15. 声 の
断あり
少
みにくい むせ
むせ
み
物残留
度遅延
べにくい
こぼれる 食物残留 逆流
物残留
咳
かすれ
1
K/K
S14.1.4
73
男
看護師
A. 繰り返す C. なし
A. しばしば
A. しばしば A. しばしば A. しばしば
B. ときどき A. たいへん C. なし
2
T/A
S17.9.19
67
男
介護士
A. 繰り返す A. 明らかに A. しばしば
A. しばしば A. しばしば B. ときどき
B. ときどき C. なし
3
T/M
T4.3.31
97
女
管理者
C. なし
C. なし
A. しばしば
A. しばしば A. しばしば A. しばしば
4
T/H
T8.5.21
93
男
管理者
B. 一度だけ C. なし
B. ときどき
B. ときどき B. ときどき
5
I/K
S15.7.21
72
女
6
W/M
S17.5.17
70
女
管理者
C. なし
B. ときどき B. ときどき
7
K/R
S21.7.6
66
男
介護士
A. 繰り返す A. 明らかに
8
I/T
S5.3.30
83
女
看護師
C. なし
A. 明らかに A. しばしば
A. しばしば A. しばしば A. しばしば
A. しばしば A. たいへん A. たいへん A. しばしば A. しばしば
9
K/S
S23.11.20
64
男
本人
C. なし
C. なし
B. ときどき B. ときどき
C. なし
10
H/A
T13.6.5
88
女
A. 明らかに C. なし
B. ときどき
B. 一度だけ A. 明らかに A. しばしば
A. しばしば B. ときどき
B. わずかに
A. しばしば
C. なし
C. なし
C. なし
C. なし
B. ときどき B. わずかに A. たいへん B. ときどき
C. なし
C. なし
B. ときどき
C. なし
C. なし
A. しばしば
B. ときどき B. わずかに B. わずかに C. なし
C. なし
C. なし
C. なし
C. なし
C. なし
B. ときどき
C. なし
C. なし
C. なし
C. なし
C. なし
B. ときどき
A. たいへん
C. なし
A. しばしば A. しばしば B. ときどき
A. たいへん B. ときどき
C. なし
A. たいへん A. たいへん A. しばしば A. しばしば
A. たいへん B. わずかに A. しばしば A. しばしば
A. しばしば A. たいへん
A. しばしば A. しばしば
A. しばしば B. わずかに
B. ときどき
C. なし
C. なし
B. ときどき
B. わずかに
摂食嚥下評価 兵頭の嚥下内視鏡スコア
1. 喉頭蓋谷や梨状陥 2. 声門閉鎖反射や咳反
3. 嚥下反射の惹起性
凹の唾液貯留
射の惹起性
4. 着色水嚥下による
咽頭クリアランス
ID
氏名
生年月日
年齢
性別
1
K/K
S14.1.4
73
男
0. 唾液貯留がない
2. 反射が惹起されない
ことがある
2
T/A
S17.9.19
67
男
3. 唾液貯留が高度
で、吸気時に喉頭腔
へ流入する
3. 着色水が梨状カ陥凹に 3. 着色水残留が高
3. 反射の惹起が極めて
達してもしばらくは嚥下反 度で、喉頭腔に流入
不良
射が起きない
する
3
T/M
T4.3.31
97
女
0. 唾液貯留がない
2. 反射が惹起されない
ことがある
4
T/H
T8.5.21
93
男
0. 唾液貯留がない
5
I/K
S15.7.21
72
女
6
W/M
S17.5.17
70
7
K/R
S21.7.6
8
I/T
9
10
1. 着色水が喉頭蓋谷に達 0. 嚥下後に着色水
するのが観察できる
残留なし
1. 着色水残留が軽
2. 着色水が梨状カ陥凹に 度であるが、2~3回
達するが観察できる
の空嚥下でwash out
される
梨状陥凹など 咳反射・声 嚥下反射の 咽頭クリアラ
の唾液貯留
門閉鎖反射 惹起性
ンス
0. 正常
3. 高度障害
0. 正常
0. 正常
0. 正常
誤嚥
随伴所見
なし
無し
3. 高度障害 3. 高度障害 3. 高度障害
高度
2. 中等度障
1. 軽度障害
害
なし
0. 正常
0. 正常
0. 喉頭蓋や披裂部に少
1. 着色水が喉頭蓋谷に達 0. 嚥下後に着色水
し触るだけで容易に反
するのが観察できる
残留なし
射が惹起される
0. 正常
0. 正常
0. 正常
0. 正常
なし
0. 唾液貯留がない
0. 喉頭蓋や披裂部に少
1. 着色水が喉頭蓋谷に達 0. 嚥下後に着色水
し触るだけで容易に反
するのが観察できる
残留なし
射が惹起される
0. 正常
0. 正常
0. 正常
0. 正常
なし
女
0. 唾液貯留がない
0. 喉頭蓋や披裂部に少
1. 着色水が喉頭蓋谷に達 0. 嚥下後に着色水
し触るだけで容易に反
するのが観察できる
残留なし
射が惹起される
0. 正常
0. 正常
0. 正常
0. 正常
なし
66
男
2. 中等度の唾液貯留
3. 着色水が梨状カ陥凹に 3. 着色水残留が高
3. 反射の惹起が極めて
があるが、喉頭腔へ
達してもしばらくは嚥下反 度で、喉頭腔に流入
不良
の流入はない
射が起きない
する
S5.3.30
83
女
0. 唾液貯留がない
3. 反射の惹起が極めて 0. 着色水の咽頭流入がわ 0. 嚥下後に着色水
不良
ずかに観察できるのみ
残留なし
0. 正常
3. 高度障害
0. 正常
0. 正常
なし
K/S
S23.11.20
64
男
0. 唾液貯留がない
0. 喉頭蓋や披裂部に少
0. 着色水の咽頭流入がわ 0. 嚥下後に着色水
し触るだけで容易に反
ずかに観察できるのみ
残留なし
射が惹起される
0. 正常
0. 正常
0. 正常
0. 正常
なし
H/A
T13.6.5
88
女
0. 唾液貯留がない
3. 着色水が梨状カ陥凹に
3. 反射の惹起が極めて
0. 嚥下後に着色水
達してもしばらくは嚥下反
不良
残留なし
射が起きない
0. 正常
0. 正常
なし
2. 中等度障害 3. 高度障害 3. 高度障害 3. 高度障害
3. 高度障害 3. 高度障害
高度
摂食嚥下評価 日本摂食嚥下リハ学会 評価
ID
氏名
1
K/K
2
T/A
生年月日 年齢 性別
S14.1.4
S17.9.19
73
67
男
男
体温 体温 脈拍 脈拍
血圧前
前 後 前 後
栄養方
SPO SPO 法:
血圧後
2前 2後 経口摂
取
栄養方
法:
水分
36.4 36.6
136/70
トロミ付き
37.1 37.0
78
93
76
100
142/96
106/62
104/56
95
98
96
95
きざみ
きざみ
トロミ付き
2. 食事:
補助
1. 認知: 2. 食事: 2. 食事: 2. 食事:
3. 頚部:
座位耐 1. 認知: 1. 認知: 1. 認知:
口腔内 2. 食事:
(代替)
食への意 摂取姿 摂取方 飲食中
頚部可動
久性 意識
意志表示 従命
食物残 流涎
栄養
欲
勢
法
のムセ
域
留
なし
なし
十分
十分
清明
清明
良
良
良
不良
あり
あり
車椅子
車椅子
全介助
全介助
頻回
頻回
なし
少量
なし
なし
制限なし
少し動く
5. 口腔
5. 口腔
4. 口腔:
咽頭機
4. 口腔: 4. 口腔:
咽頭機
衛生状
能:
義歯
義歯
能:
態
口角下
開口量
垂
不要
要
なし
適合
不十分
良好
3横指
3横指
あり左
なし
5. 口腔
咽頭機
能:
軟口蓋
運動
十分
十分
5. 口腔 5. 口腔
5. 口腔
咽頭機 咽頭機
咽頭機
能:
能:
能:咬合
舌運動 舌運動
力
挺舌
偏位
十分
十分
不十分
下唇を
越えな
い
あり左
なし
5. 口腔
咽頭機
能:
その他
口腔感
覚異常
なし
なし
口腔ジスキ
ネイジア
6. 発
声・構
音:
発声
6. 発
声・構
音:
湿性嗄
声
6. 発
声・構
音:
構音障
害
有声
軽度
軽度
有声
軽度
なし
7. 呼吸
6. 発
7. 呼吸
機能:呼
声・構
機能:
吸数
音:
随意的
(回/
開鼻声
な咳
分)
なし
22 不十分
なし
26 不十分
8. スク
リーニン
グテスト:
反復唾
液嚥下テ
スト (回
/30秒)
2
不可
8. スク
リーニン
グテス
ト:
8. スクリーニングテスト:
反復唾 改訂水飲みテスト (3ml,
液嚥下 ml):
テスト:
喉頭挙
上
不十分
その他
3. 嚥下あり、呼吸良好、むせ
る and/or 湿性嗄声
4. 嚥下あり、呼吸良好、むせ
不十分
なし
嚥下までの時間がかなりかか
る。半分は外にこぼれた。咳反
射不十分。
9. 脱水・
低栄養: 9. 脱水・
皮膚・
低栄養:
眼・口の るいそう
乾燥
重度
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
3
T/M
T4.3.31
97
女
85
143/95
97
粥
トロミなし
なし
十分
清明
良
良
あり
車椅子
全介助
なし
なし
なし
制限なし
なし
なし
良好
3横指
なし
十分
なし
十分
なし
なし
有声
なし
軽度
なし
1
十分
4. 嚥下あり、呼吸良好、むせ
なし
4
T/H
T8.5.21
93
男
72
152/84
95
常食
トロミなし
なし
十分
清明
良
良
あり
椅子
自立
まれ
なし
なし
制限なし
要
適合
良好
3横指
なし
十分
十分
十分
なし
なし
有声
なし
なし
なし
2
十分
5. 4. に加え、追加空嚥下運動
が30秒に2回可能
十分
4. 嚥下あり、呼吸良好、むせ
なし
なし
なし
十分
5. 4. に加え、追加空嚥下運動
が30秒に2回可能
なし
なし
ミキサー
トロミ付き
食
5
I/K
S15.7.21
72
女
64
118/61
96
6
W/M
S17.5.17
70
女
85
125/103
98
7
K/R
S21.7.6
66
男
37.1
76
125/102
94
92
8
I/T
S5.3.30
83
女
36.3
76
108/73
97
96
9
K/S
S23.11.20
64
男
36.4
87
190/102
97
97
10
H/A
T13.6.5
88
女
37.2
90
93
102/54
97
96
なし
十分
不清明
不確実
不確実
あり
椅子
全介助
頻回
少量
なし
少し動く
なし
なし
良好
3横指
なし
十分
十分
十分
なし
なし
無声
なし
なし
なし
軟食
トロミなし
なし
十分
清明
良
良
あり
椅子
全介助
まれ
少量
なし
制限なし
要
なし
良好
3横指
なし
十分
十分
十分
なし
なし
有声
なし
なし
なし
peg
禁
胃瘻
十分
清明
良
良
あり
車椅子
不可
不可
不可
なし
制限なし
不要
なし
不良
3横指
あり左
十分
不十分
十分
あり右
なし
有声
なし
重度
なし
24
不十分
不十分 不可
なし
なし
なし
十分
清明
不良
不良
あり
車椅子
全介助
頻回
なし
少量
少し動く
不要
なし
不十分
1横指以
下
なし
十分
不十分
不可
なし
不可
なし
不可
不可
不可
20
不十分
不十分
4. 嚥下あり、呼吸良好、むせ
なし
なし
なし
なし
十分
清明
良
良
あり
椅子
自立
まれ
少量
なし
制限なし
要
適合
良好
3横指
あり左
不十分
十分
十分
あり左
あり
有声
なし
なし
なし
22
十分
十分
4. 嚥下あり、呼吸良好、むせ
なし
なし
なし
良好
1横指以
下
不可
4. 嚥下あり、呼吸良好、むせ
なし
なし
なし
きざみ,ミ
トロミ付き
キサー
常食
トロミなし
ペース
トロミ付き
ト、かゆ
なし 不十分
傾眠
不良
不良
不明
車椅子
全介助
頻回
多量
なし
少し動く
不要
なし
なし
不可
不可
不可
不可
不可
なし
不可
不可
不可
2
15
不可
1
不可
摂食嚥下評価 日本摂食嚥下リハ学会 内視鏡評価 機能構造評価
ID 氏名
鼻腔
生年月日 年齢 性別 衛生状
態
鼻腔
出血
軟口蓋
軟口蓋
軟口蓋 発声時 軟口蓋 嚥下時 咽頭腔
咽頭腔
発声時 左右差 嚥下時 左右差 衛生状
出血
態
(麻痺
動き
(麻痺
動き
側)
側)
咽頭腔
唾液貯留
1
K/K
S14.1.4
73
男
良
無
不良
無
不良
無
良
無
無
2
T/A
S17.9.19
67
男
良
無
良
無
良
無
不良
無
中等量以上 3
T/M
T4.3.31
97
女
良
無
良
無
良
無
良
無
4
T/H
T8.5.21
93
男
良
無
良
無
良
無
良
5
I/K
S15.7.21
72
女
良
無
良
無
良
無
6
W/M
S17.5.17
70
女
良
無
良
無
良
7
K/R
S21.7.6
66
男
良
無
良
有右
8
I/T
S5.3.30
83
女
良
無
不可
9
K/S
S23.11.20
64
男
良
無
10
H/A
T13.6.5
88
女
良
無
咽頭腔
発声時
壁の動
咽頭腔
きの左
部位
右差
(麻痺
側)
咽頭腔
喉頭
喉頭
喉頭
嚥下時
喉頭 披裂部
咽頭腔
前庭
前庭
壁の動
披裂部 左右差
White
唾液貯 唾液の
きの左
(麻痺
動き
out
誤嚥
留
右差(麻
側)
痺側)
喉頭
声門
動き
喉頭
声門
左右差
(麻痺
側)
無
無
有
無
無
良
無
良
無
有右
有右
有
有
有
良
無
良
無
無
無
無
有
無
無
良
無
良
無
無
無
無
無
有
無
無
良
無
良
無
良
無
無
無
無
有
無
無
良
無
良
無
無
良
無
無
無
無
有
無
無
良
無
良
無
不良
無
良
無
少量
無
無
有
有
無
良
無
不良
無
不可
不可
不可
良
無
無
無
無
有
無
無
良
無
良
無
良
有左
良
有左
良
無
無
無
無
有
無
無
良
無
良
無
不可
不可
不可
不可
良
無
少量
不可
不可
有
有
無
良
無
良
無
全体
全体
全体
摂食嚥下評価 日本摂食嚥下リハ学会内視鏡評価 摂食嚥下時
咽
食品
頭
ID 氏名 生年月日 年齢 性別 の種
残
類
留
喉
部 頭
位 侵
入
無
喀
出
誤
嚥
咽
食品
喀
頭
の種
出
残
類
留
喉
部 頭
位 侵
入
ヨーグ
梨状
ル ト 少量
無
窩
(L3)
喀
出
誤
嚥
咽
食品
喀
頭
の種
出
残
類
留
トマト
きざみ 少量
(L4)
喉
部 頭
位 侵
入
喀
出
誤
嚥
咽
食品
喀
頭
の種
出
残
類
留
喉
部 頭
位 侵
入
無
トマト
スライ
無
ス種有
り (L4)
無
1
K/K
S14.1.4
73
男
プリン
無
(L1)
2
T/A
S17.9.19
67
男
中等
お茶
プリン
量以 全体 少量 不可 少量 不可 (プラ
(L1)
上
ス)
3
T/M
T4.3.31
97
女
プリン
無
(L1)
無
無
おか
ゆ+
無
きざみ
無
無
ヨーグ
少量
ルト
無
無
4
T/H
T8.5.21
93
男
ヨー
無
グルト
無
無
プリン
無
無
無
ブドウ
無
ゼリー
無
無
5
I/K
S15.7.21
72
女
プリン
無
(L1)
無
無
ヨーグ
無
ルト
無
無
ゼリー 無
無
無
6
W/M
S17.5.17
70
女
ゼ
リー
無
無
無
プリン
無
無
ヨーグ
ルト
無
無
7
K/R
S21.7.6
66
男
とろ
み水
無
8
I/T
S5.3.30
83
女
エン
ヨーグ 中等
可
ゲ
プリン
無
不可 不可 不可 不可 不可 不可
不可 不可 不可 不可 不可 不可 ルト 量以 全体 少量
自発
リード
(坐位)
(坐位) 上
(坐位)
9
K/S
S23.11.20
64
男
ゼ
リー
女
水 (坐
無
位)
10
H/A
T13.6.5
88
無
無
ゼ
リー
少量 不可
無
無
無
少量 全体 少量 不可 少量 不可
無
無
ぶどう
ジュー
少量 全体 少量 不可 無
ス (と
ろみ)
無
誤
嚥
咽
食品
喀
頭
の種
出
残
類
留
喉
部 頭
位 侵
入
無
トマト
ス ライ
無
ス 皮
なし
無
桃
(10mm 少量 全体 少量 不可 無
角)
エンゲ
無
リード
無
ゼリー
無
鉄火
無
丼
おかゆ
(ミキ
無
サー)
喀
出
無
無
無
無
水
無
無
無
無
水
無
無
無
無
喀
出
誤
嚥
食
品
調
整
効
果
無
無
有
無
有顕
性
誤
嚥
手
技
効
果
方針
2回目の嚥下反射が弱い
ため量を減らし、お茶と交
互に食べる
左側の方が嚥下しやすい
問題ないが嚥下反射が
遅いため食事はゆっくり
無
無
良好。特に問題なし
無
無
無
口腔内にヨーグルトやお
かゆが残るため2回嚥下
が必要。食物形態で注意
が必要。
有顕
性
経口摂取は難しいので、
保湿剤等で味を楽しんで
もらう。またアイスマッ
サージ等でも味を楽しん
でもらう
プリン
(ファー
少量 全体 少量 不可 無
ラー
位)
無
上手に送り込めないの
で、摂食時の姿勢を
ファーラー位にして送り込
みをアシストする
無
嚥下機能に問題はない。
口腔機能の低下(麻痺の
影響)に対してリハを行う
と良い。
無
坐位とファーラー位で違
いなし。覚醒をあげる必
要有り。家族からは胃瘻
等の希望はないため、食
べられそうな時に、食べら
れるだけ食べる
おかゆ
(ミキ
無
サー)
無
プリン
無
可
ヨーグ
少量 全体 少量 要指 無
ルト
示
水
無
中等
中等
ゼリー
量以 全体 量以 不可 無
(坐位)
上
上
プリン
少量 全体 少量 不可 無
(坐位)
ゼリー
中等
中等
(ファー
量以 全体 量以 不可 無
ラー
上
上
位)
無
体
位
効
果
無
中等
中等
中等
可
量以 全体 量以
量以 不可
自発
上
上
上
無
喀
出
無
無
無
水
(ファ
無
ーラー
位)
無
無