R-ネット瓦版(第29号)H26/4/1発行 PDF

地方独立行政法人広島市立病院機構
広島市立安佐市民病院
2014 年 4 月 発行
R-ネット瓦版
第 29 号
目 次
1.平成26年度始めのご挨拶 …………………………1
2.トピックス
・胃癌の治療について ……………………………2
・顕微鏡下脊椎脊髄手術の歩みとともに ………2
・日曜小児夜間診療について ……………………3
3.院内の取り組み
・院内クリニカルパス大会のご紹介 ……………4
・心臓病教室を開始しました ……………………4
4.診療科紹介
・外科 ………………………………………………5
・血液内科 …………………………………………6
5.地域医療支援病院データ …………………………7
〒731-0293 広島市安佐北区可部南二丁目1番1号
TEL:082-815-5211代
FAX:082-814-1791
http://www.asa-hosp.city.hiroshima.jp
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広島市立安佐市民病院
2014 年 4 月 発行
平成26年度始めのご挨拶
やらなければならない3大事業とは
新たな年度の始まりに際しまして、一言、ご挨拶
申し上げます。院長に就任し4年が経過し、5年目
が始まりました。この間、皆様より賜りましたご厚
誼、ご支援に心より御礼申し上げます。
DPC対象病院Ⅱ群に指定されました
さて、昨年は当院にとって、嬉しいニュースの少
ない年でしたが、今年に入ってやっと大変嬉しい
ニュースが入りましたので、先ずは、ご報告させて
頂きます。それは、昨年2月末に、当院がDPC対象
病院の医療機関群Ⅱ群になることが厚労省より通知
されたことです。DPC対象病院の医療機関群とは、
Ⅰ群が大学病院本院、Ⅱ群が大学病院本院以外の高
診療密度病院群、Ⅲ群がその他の急性期病院群で、
平成24年にⅠ群80病院、Ⅱ群90病院、Ⅲ群1,335病
院が指定されました。その時、当院はⅢ群でしたが、
今回の改定の結果、平成26年度より当院がⅡ群に
入ったと通知されたのです。ちなみに、平成26年度
の群別病院数は、Ⅰ群80病院、Ⅱ群99病院、Ⅲ群
1,406病院で、DPC対象病院が80病院増加していまし
た。広島県では、Ⅰ群1病院、Ⅱ群2病院、Ⅲ群35
病院でした。最近の当院の実績を見ますと、がん患
者は国に報告する院内がん登録件数では県下第3位、
全身麻酔手術件数も県下第3位、救急車収容件数は
年間3,500件以上等、まずまずの成果を上げること
ができており、これらの実績がⅡ群指定に繋がった
のです。従って、この度の当院のⅡ群指定は、地域
の皆様の日頃の診療に関するご支援の賜物と、心よ
りお礼申し上げます。しかし、地域の中核的拠点病
院としての当院の活動が地域にとって満足のいくも
のになったかと言うと、残念ながらまだまだのよう
で、皆様方から種々のご批判、ご注文を戴いており、
今後、この目標に出来るだけ早くたどりつくよう、
より一層の努力を行ってまいる所存です。そうすれ
ば、2年後の改定においても、再びⅡ群になること
ができると思っています。地域の皆様方には、今後
とも、お力添えの程よろしくお願い申し上げます。
1
さて、今年度は安佐市民病院
がやらなければならない大きな
事業が3つあり、職員にとって
大変忙しい年となりそうです。
その一つが電子カルテの更新で、
今年度、システム構築と機器購
入を行い、27年度秋より運用開始の予定となってい
ます。2つ目は日本医療機能評価機構による3回目
の病院機能評価認定更新の受審です。今年度末を予
定しています。そして3つ目が独法化です。この4
月より、当院は地方独立行政法人広島市立病院機構
広島市立安佐市民病院となり、職員は原則非公務員
となりました。独法化の目的は、経営の効率化・合
理化を図り、今後ますます厳しくなる医療経営環境
の中を生き抜くことであります。大変短い準備期間
で独法化が行われましたので、準備不足は否めない
ところで、現場では具体的に何をどのように変革す
るのか、暗中模索の状態です。今後、一つずつ着実
に変えて行かなければなりません。その作業が今始
まったばかりと言うところです。
地域に根差した中核病院として
実は4つ目があるはずでした。それは皆様にご心
配をおかけしている病院の建替えです。行程は基本
構想まで進みましたが、建替え場所が現地か、河戸
移転かで、地域住民の意見も割れ、病院事業局は説
明会等で両案の説明を何回も行うこととなりました。
やっと昨年度末の議会において河戸への移転建替の
基本計画作成予算が市議会に提出されました。しか
し、議決で賛否同数となり、議長裁量により否決さ
れてしまいました。今後の見通しは不明ですが、残
念ながら計画が遅れることは間違いありません。現
在、建築業界は東日本大震災後の再建と、東京オリ
ンピック関連の工事で、大変な人手不足となってい
るようで、公共工事の受注が困難な状況です。立派
な病院をできるだけ安価に建てるためには、多少は
遅れるほうが良いのかも知れないと、前向きに考え
るようにしています。
以上申し上げましたように、今年度は当院にとっ
て、今までにない変革や更新の年となります。この
ような機会を利用して、今まで以上に地域医療に貢
献し、地域に根差した中核病院としての機能を充実
させなければなりません。そのためにも、皆様方の
温かいお力添えを戴きますようお願い申し上げる次
第です。皆様方のご健勝を祈念いたし、年度始めの
ご挨拶といたします。
(病院長 多幾山 渉)
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トピックス1
胃癌の治療について
はじめまして。外科の加納です。2013年
ループ)の参加施設(全国で55施設)で、日々患者さんのメリッ
4月に当院に赴任し、胃癌外科を中心に診
トになる治療開発に真剣に取り組んでおります。
療を行っております。若輩者ですが、今回
この様な広島県内でも有数の胃癌拠点病院である当院に
自己紹介も含め胃癌の治療について少し
赴任以来、120余りの手術症例を平林副院長とともに担当させ
報告させて頂きます。
て頂いております(図2)。
胃癌治療は、最近10年余りで大きく変化してきました。胃内
消化管手術を担当するようになって10年余りになりますが、非
視鏡による粘膜剥離術(ESD)は、器機の進歩により、大きな早
常に充実した日々を送っております。これも一重に治療を私共
期胃癌に対して内視鏡下に一括切除が可能となりました。ま
に任せて頂きました地域の先生方のお蔭です。今後は急性期
た、内視鏡治療の適応外病変に対して腹腔鏡補助下の胃切除
を担当する当院において、外来部門縮小、緩和ケアを必要とさ
が、違和感なく通常の開腹手術と同じ様に行われるように
れる患者さんへの対応が限られてくる状況が予想されるため、
なってきました(図1)。さらに切除不能・再発胃癌であっても、
今以上の地域連携による強い絆の構築が必要になって来ると
分子標的薬が使える症例では生存期間の中央値が18か月ま
思われます。本稿が胃癌治療を通じて、強い絆の輪をさらに広
で伸びてきました。この様に胃癌の治療は、内視鏡診断・治療
めていくきっかけになれば幸いに存じます。
医、病理医、腫瘍内科医および外科医がチームとなって治療
最後になりましたが、患者さんが満足のゆく胃癌治療が受
を行わないと最良の結果が得られない時代となりました。幸
けられるよう、精一杯努力して参ります。今後ともどうぞよろし
い当院は国指定のがん連携拠点病院、さらに胃癌の治療開発
くお願い致します。
(外科部長 加納 幹浩)
を行うJCOG(厚労省の科研で運営されている日本臨床研究グ
図1 腹腔鏡下胃切除
図2 当院の胃癌手術症例数
■胃癌
■うち腹腔鏡手術
ETHICON ENDO-SURGERY社「症例FILE LADGをわかりやすく理解するために」より
トピックス2
整形外科紹介
顕微鏡下脊椎脊髄手術の歩みとともに
当科は開設以来、本邦で最も早く顕微
患者さんも特に珍しくありません。こうした高齢者の手術を安
鏡下脊椎脊髄手術を開始し、ほぼ全ての
全に行うために、低侵襲な手術を行うことで通常は問題無い
脊椎脊髄手術を手術用顕微鏡下に行っ
のですが、いざ問題が起こった場合、麻酔科、集中治療部など
ています。手術用顕微鏡の利点は明るく
バックアップ体制がしっかりしていることは必須と考えて診療
拡大された三次元的視野が得られること
を行っております。
であり、肉眼での手術や内視鏡手術より
さて、当院では従来から、外来初診は原則として紹介状の
も安全で確実な手術が可能です。
ある患者さんのみとさせて頂いており、そのためにご迷惑をお
その脊椎顕微鏡手術の研修のために国内外から多くの脊
かけすることも多いかと存じます。
椎外科医を受け入れており、2013年度には海外からの長期見
ただ、保存治療の患者さんで外来が忙殺されることは総合
学者を7名受け入れました。
病院が本来果たすべき役割とは異なると思いますので、引き
2013年の全手術1,093件中脊椎・脊髄疾患の手術が819件
続きご紹介のほどよろしくお願いいたします。しかし、緊急を
(75%)で、中心となるのは頚椎症性脊髄症や腰部脊柱管狭
要する場合は、外来にお電話を頂けましたら出来るだけ速や
窄症などの変性疾患です。脊髄腫瘍の手術も数多く行ってお
かに対応いたします。
り、最近は骨粗鬆症性椎体骨折に対する椎体形成術も積極
今後とも何卒よろしく
的に行っています。
お願い申し上げます。
近年では、膝、股関節の関節鏡手術、人工関節手術も積極
(副院長・整形外科
的に行っています。若年者のスポーツ障害に対しては関節鏡
真鍋 英喜)
手術を中心に、高齢者に対しては関節鏡や人工関節手術を症
状に応じて選択しています。
手術用顕微鏡
これらの疾患は基本的に加齢性疾患ですので、80歳以上の
2
手術風景
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トピックス3
日曜小児夜間診療について
広島市北部の基幹病院
夜間のみの統計)は2012年度675人、2013年度
として果たすべき役割の
(4月~12月末)383人で、入院数(割合)はそれ
一つに小児救急医療があ
ぞれ133人(19.7%)、107人(27.9%)となってお
ります。当院ではその一
り、小児日曜夜間受診の多くが軽症例である
環として、2003年度より
ことが明らかとなりました。お子さんの急な
日曜日の18:00~22:00時
発熱などに対して強い不安を抱いておられる
にお子さんを対象に夜間
ご家族の皆さんのご様子が伺われます。当院
診療を実施しています。
ではこうした皆さんのご不安に対して、職員
今年で12年目を迎えます。2005年12月に電子
一同これからも真摯に対応させていただきた
カルテの稼動以降のデータを基に、8年間
いと存じます。
(2006~2013年)の実績についてご報告致しま
受診された患者さんの地域別の検討では(表
す。今後の日曜夜間診療実施に向けて皆様方
3)、例年、安佐北区55~60%、安佐南区25~
のご指導を賜れば幸甚に存じます。
30%で当院の近隣にお住まいの患者さん方の受
年間受診者総数は例年約1,000人ですが、
診が多いことが分かります。一方では実数は
2007年は2,751人と多かったのが特徴的でした
少ないのですが、東区、安芸高田市、山県郡
(表1、各年のデータ集計は4月から翌年3
などの安佐地区周辺地域からも当院をご利用
月までとしています)。どの時間帯も万遍な
いただいていることが分かりました。
く受診されていますが、20:00時までの時間帯
地域の皆様方のお役に立てますよう、これ
がやや多いようです(表2)。入院の割合は、
からも職員一同責任を果たしてまいりたいと
受診者総数に対して2.5~5.9%と比較的少な
存じます。これからもどうぞよろしくお願い
く、軽症例の多いことが分かります。ちなみ
致します。
に、時間外に受診された小児患者総数(平日、
(副院長・小児科 和合 正邦)
表1 日曜小児夜間診療受診者数(2013年度は4∼12月までの統計)
表3 患者地域別
表2 診療受付時間
3
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院内の取り組み
院内クリニカルパス大会のご紹介
今年度のクリニカルパス大会は、「これから
のクリニカルパスと口腔ケア」というテーマで、
1月31日に開催いたしました。これまで運用し
てきた「腹部大動脈人工血管置換術パス」にお
いて、手術前から口腔ケアを開始することを加
えてバージョンアップしたパスの運用状況と評
価を、病棟看護師と歯科衛生士の立場から報告
しました。この周術期口腔機能管理により期待
される効果は、術後合併症予防や術後食生活の
支援、治療成績の向上などです。口腔ケアをク
リカルパスに導入することでケア向上と標準化
がはかられ、チーム医療としての情報共有など
医科・歯科連携が確実に行われるようになった
との成果がありました。
今後は、その他の周術期や化学療法のクリニ
カルカルパスに口腔ケアの導入を広めていき、
総合的なケアの向上、標準化へ向けてクリニカ
ルパスを発展させていきたいと思います。
(クリニカルパス委員会 看護師長 古川 明美)
安佐市民病院はクリニカルパスを導入し14年
過ぎました。当院では作成されたクリニカルパ
スは、関係職種で構成されるクリニカルパス委
員会が認定する体制をとっており、今や認定さ
れたパスが200余り稼働しています。
現在、クリニカルパスの利用率は50.2%、約
半数の入院患者さんがクリニカルパスを使用
していることになります。クリニカルパス委
員会では、パスの運用状況を周知してよりよ
いパスへ発展させる目的で、毎年1回「院内
クリニカルパス大会」を開催しています。そ
の大会も、2001年に第1回を開催してから今
年度で第13回となりました。
心臓病教室を開始しました
日不安な事ばかりですが、講演会に参加して不
安を取り除くことでき、安心を頂くことができ
て良かった」との感想を頂きました。介護支援
専門員からは「わかりやすい言葉で日常生活の
注意点など理解しやすかった」と大変好評でし
た。そして「毎回の出席を目指します」との意
見も頂きました。
近年、高齢化社会に伴う循環器疾患患者は増
加しています。循環器疾患は、自己管理が患者
の病状や予後を左右する疾患です。患者が自己
管理をするためには継続した教育が必要で、同
時に患者の自己管理状況を確認し相談窓口とな
る場が必要です。患者や家族、そして医療関係
心臓病教室の目標は、患者の自己管理や患者
に関わる支援者のサポート力の向上に繋がる継
続的な教育を提供する事です。指導にあたるの
は、医師・看護師・薬剤師・栄養士・理学療法
士の6職種で行います。専門職として患者の目
線にたち、実際の生活に役立つ指導を目指して
います。指導方法は講義と生活相談です。5疾
患(心不全・心筋梗塞・不整脈・狭心症・高血
圧)をテーマとし、毎月1つの疾患について医
師とコメディカルの講義と看護師による生活相
談を行います。
平成26年1月16日の第1回目の心臓病教室に
は61名の参加がありました。参加内訳は患者・
家族37名、地域の医療・介護従事者24名(介護
支援専門員15名、看護師3名、検査技師4名、
MSW1名、その他1名)でした。テーマは「心
不全ってどんな病気?」と題して、医師からは
「心不全ってなあに?」薬剤師からは「この薬
は何のため?」慢性心不全看護認定看護師から
は「この時期のお風呂の入り方や感染予防な
ど」の講義を行いました。患者さんからは「毎
心臓病教室風景
4
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一緒に勉強しましょう。
何でもご相談に乗ります。
者も対象に継続的な教育を行い、心疾患患者の
予備軍である高血圧・動脈硬化などの患者に対
しても早期から予防的介入に役立つ心臓病教室
でありたいと考えています。
先生方の患者さんで、指導が必要な患者さん
の参加をお待ちしております。
(心不全サポートチーム)
地域からのご参加も受け付けております。
《心臓病教室》
日 時:毎月第3木曜日 15時∼16時
場 所:安佐市民病院3階講堂
お問合せ先:安佐市民病院 医療連携室
電 話:082-815-5211㈹
診療科紹介 外 科
R-net瓦版をお読みの
皆様、安佐市民病院 外
科 向田秀則と申します。
当院外科は開院以来「最
良の医療を誠意を持って
患者様に提供する」を基
本理念に、各種癌の診療
と救急外科の診療を2本
柱として発展してきました。今回は外科の診療
実績と診療体制、最近取り組んでいる新しい治
療法について紹介させて頂きます。
1.診療実績:手術症例数は年々増加し2011年
には 1,100 件 を超え、2012年度は表に示
したように1,164例の手術を行いました。
このうち緊急手術は197例、悪性腫瘍は550
例で、徐々に増加しています。また、『可
能な限り小さな創で手術を』との趣旨で、
約50%の541例に胸腔鏡•腹腔鏡下の手術を
行いました。
2.診療体制:3月までは多幾山院長、平林副
院長を含め16名で外科診療を担当していま
したが、20年間の長きに渡って肝胆膵外科
を担ってきた佐伯修二先生が退職いたしま
した。4月から後任として県立広島病院か
ら小橋俊彦先生(肝胆膵外科学会高度技能
専門医)が赴任し、更に2名増員して総勢
18名となりました。これにより今まで以上
に外科治療の内容を充実させ、手術数を必
要とする患者さんへの迅速な対応が可能と
なるように以下の改善を行いました。
○外来枠を増加(月、水、金は4診体制)
外来担当医についてはホームページを参照
ください。
○手術枠を増加
紹介いただいた患者の手術までの待機日数
は平均18日でしたが、さらに短くできる体
制をとる予定です。
3.最近取り組んでいる新しい治療法
診療内容も患者高齢化にともない、病状に
応じた適切な医療を心掛け、体に優しく、
術後も出来るだけ機能を維持できるような
様々な工夫を行っています。
① 胃癌の手術は、約半数が腹腔鏡下手術です。
また、胃粘膜下腫瘍は、過不足なく病変を
確実、安全に切除するために腹腔鏡と胃内
視鏡を合同で行う胃局所切除術(LECS:レッ
クスといいます)を行っています。
② 大腸癌は185例と県内有数の症例数ですが、
約70%は腹腔鏡下の手術です。最近では、
臍部の1カ所の切開創で行う単孔式内視鏡
手術(TANKO)も増加しています。難易度の
高かった直腸癌もその7割は腹腔鏡です。
また、従来であれば直腸を切断して人工肛
門を造設していた症例に、適応があれば肛
門括約筋を可能な限り温存し、永久人工肛
門を回避する手術を積極的に取り入れてい
ます。
③ 肝胆膵領域は、特に癌の患者さんが57例と
急増し、腹腔鏡下肝切除、腹腔鏡下膵体尾
切除を始めました。また、胆石症患者には
単孔式内視鏡手術を積極的に行っています。
④ 乳癌領域では、約8割の症例では出来る限
りきれいな小さな創で乳房温存手術を行っ
ています。また、乳房再建術も積極的に取
り組んでいます。
⑤ 呼吸器領域では、ほぼ全例に胸腔鏡を使用
5
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緊密な連携を構築し、地域の医療の充実に努力
していく所存です。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
(外科主任部長 向田 秀則)
した手術を施行しています。
⑥ 食道癌はこれまで約10cmの小開胸での胸部
操作を行っていましたが、早期癌症例では
完全内視鏡下の食道切除と再建を行ってい
ます。
※2012年においては、全手術数は1,204例で、うち、緊急、
鏡視下、悪性疾患関連の手術数は下表のとおりです。
緊急手術
180例
541例
鏡視下手術
(全手術数の44.9%)
550例
悪性疾患関連手術
(全手術数の45.7%)
胃癌
106例
185例
大腸癌
(結腸癌127例、直腸癌58例)
53例
肝胆膵癌
(肝癌17例、胆道癌9例、膵癌27例)
乳癌
108例
肺癌
70例
食道癌
18例
その他の癌
10例
地域の患者さんの治療は地域全体で見守る
『地域包括ケア』を確立すべく、当院で手術さ
れた患者さんについては、かかりつけの先生と
外科外来診療担当表
月
火
水
木
金
1診
向田
小橋
小橋
向田
池田
2診
吉満
加納
多幾山
吉満
恵美
3診
船越
平林
船越
船越
平林
4診
恵美/池田
大森
伊富貴
中島亨
診療科紹介 血液内科
血液内科は、平成21年4月
から血液内科として独立しま
した。もともと3人体制で診
療していましたが、スタッフ
が1名辞職したあと遺憾なが
ら広島大学から医師補充がな
く、その後レジデントクラス医師補充もなくな
り、しばらく田中1名で診療せざるを得ない時
期が1年7ヶ月続きました。この間は他科(主に
呼吸器内科)の先生方の多大な協力をいただきま
した。平成25年4月からは木原医師の赴任によ
り現在は2人体制となっています。
担当疾患は血液内科疾患全般ですが、入院の
多くは血液悪性腫瘍です。無菌室は、完全無菌
室が2ベッドから3ベッドに増えました。加え
て簡易無菌ブース1台、新しく購入していただ
いた空気清浄機数2台を稼働しており、特に強
い抗がん剤治療を行う白血病治療で使用してい
ます。マンパワーの問題もあり、造血幹細胞移
植に関しては現在当院では実施しておらず、主
に市内中心部の病院にお願いしています。
血液疾患は血球細胞の肉眼目視が重要です。
優秀な臨床検査技師の方々と協力して、顕微鏡
で標本をdiscussionしながら診断を行っていま
す。
数年前の知識では時代遅れになってしまうこ
とが多く、常に世界の最先端の情報から知識を
updateするよう努力しています。またこちらか
ら情報発信も積極的に行うべく、臨床研究、国
内国際学会発表や論文発表、講演も心がけてい
ます。
広島県は安佐市民病院以北には血液内科を標
榜している病院がありません。責任の大きさを
感じております。今後も地域の先生方のご指導
ご協力をいただきながら、信頼される医療に努
める所存です。これからもどうぞよろしくお願
い申し上げます。
血液内科医師紹介
田中英夫(主任部長):昭和59年広島大学卒
専門:慢性骨髄性白血病
血液専門医&指導医、日本血液学会代議員、日本内
科学会地方会評議員&指導医、日本臨床腫瘍学会暫
定指導医、広島大学非常勤講師、広島大学臨床教授
木原香織(医師):平成20年滋賀医科大学卒
専門:血液内科疾患全般
(血液内科主任部長 田中英夫)
血液内科外来診療担当表
内科4診
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月
火
水
木
金
田中
田中
木原
田中
田中
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平成25年度(4月〜1月)地域医療支援病院データ
紹介率・逆紹介率
救急来院患者数
医療機器共同利用および外来予約件数
病床利用状況(月平均)
がん診療連携拠点病院からのお知らせ
医療連携室からのお知らせ
患者サロンのご案内
今年度より、
「地方独立行政法人広島市立病院機構 広島市
がん患者さんやご家族の方々の 心のケア を目的に開設しておりま
立安佐市民病院」として再スタートを切ることになりました。従
す。がんと診断され不安、疑問、悩みなどお持ちの方が、
ご自由に情報を
来よりご愛顧いただいた「R−ネット瓦版」も心機一転、医療・
得ていただく場所となっています。サロン内には図書、医療情報誌、写真
集、詩画集など備えており、DVDの鑑賞もできます。
また、
月1回の「お
しゃべり会」
「研修会」
も開催しております。
院内のがん相談員が担当しています。地域の先生方からもぜひ、お気
軽にご案内ください。
介護連携、院内のトピックス、診療科紹介、地域・医療支援病院
データなどの情報満載で引き続き発行して参りたいと思います。
地域の皆さまからの投稿も受け付けておりますので、どうぞ
今後ともよろしくお願いいたします。
『R‐ネット瓦版』編集長
和合 正邦
広 島 市 立 安 佐 市 民 病 院 広 報 委員会
〒731-0293 広島市安佐北区可部南2丁目1-1
TEL:082-815-5211(代)
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