環境負荷低減と常陽、もんじゅの 果たすべき役割

NSF講演会
環境負荷低減と常陽、もんじゅの
果たすべき役割
平成27年11月19日
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
高速炉研究開発部門
次世代高速炉サイクル研究開発センター長
上出 英樹
講演内容
1.高速炉の必要性について
2.高レベル放射性廃棄物の減容と有
害度低減に向けて
3.高速炉を利用した環境負荷低減へ
の取組み
4.常陽、もんじゅの現況
5.まとめ
1
1.高速炉の必要性について
2
高速炉サイクル技術保有の今日的意義
対策を先送りせず、着実に進める取組
 使用済燃料問題
 我が国は約17,000ト
ンの使用済燃料を保管
(ガラス固化体で約
25,000本相当の高レ
ベル放射性廃棄物)
 処分地選定調査に着
手できていない
 原子力発電及び廃炉
に 伴 って 使 用 済 燃 料
及び放射性廃棄物は
発生し続ける
 使用済燃料問題の解決に向けた取組の抜本強化
 持続可能性と不確
実性への対応
①高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた取組の抜本的
強化
②使用済燃料の貯蔵能力の拡大
③放射性廃棄物の減容化・有害度低減のための技術開発
 資源の有効利用、高レ
ベル放射性廃棄物の
減容化・有害度低減
等の観点から核燃料サ
イクルの推進が我が国
の基本的方針
 将来の不確実性に備
えた幅広い選択肢の
確保が我が国のエネル
ギー安全保障上からも
重要
 核燃料サイクル政策の推進
①再処理やプルサーマル等の推進
 回収プルトニウム等の有効利用(高速炉等の研究開発)
 もんじゅ:国際的研究拠点として世界の研究成果の集約
②エネルギー安全保障上からの中長期的な対応の柔軟性
 不確実性への柔軟な対応、戦略的柔軟性を持つ対応
ウラン資源を使いきるまでの年
数
∼数千年
我が国のエネルギー安全保障(ウラン資源の有効活用)への貢献と
高レベル放射性廃棄物の減容と有害度低減(環境負荷低減)が可能な
<高速炉サイクル技術の保有が重要>
当面の
研究開発の
方向性
∼100年
軽水炉
利用の場合
【環境負荷低減】
高速炉
利用の場合
出展:Uranium 2009: Resources, Production
and Demandより原子力機構作成
 高速増殖炉技術の成果の取りまとめ
 廃棄物の減容及び有害度の低減
 高速増殖炉/高速炉の安全性強化
「常陽」、「もんじゅ」等を活用した
段階的な研究開発が必要不可欠
単位発電量当たりの高レベル放射性
廃棄物の発生体積(相対値)
【ウラン資源の有効利用】
<廃棄物発生量の低減>
1
0.8
0.6
処分体積が、
約7分の1に減
0.4
0.2
0
軽水炉 軽水炉再処理
FBR再処理
使用済燃 (ガラス固化
(ガラス固化体)
料
体)
3
「30GWe一定」の解析結果(天然ウラン需要量)
1.0
Ⅱa−③全量直接処分
0.8
0.6
0.4
Ⅱa−①全量再処理
0.2
0.0
2010 2030 2050 2070 2090 2110 2130 2150
天然ウラン累積需要量(万トンU)
天然ウラン年間需要量(万トンU/年)
 「全量再処理」では、高速炉の実用化以前においては、六ヶ所再処理工場で回収されるPuをプルサーマ
ルで利用することにより、「全量直接処分」に比べ、天然ウランの年間需要が節約される。
 さらに、高速炉の実用化以降においては、ウラン消費量は減少し、 2087年以降ウラン資源輸入の必要
が無くなり、ウランの輸入なしに原子力発電が可能となる。
 「全量直接処分」に比べ、累積需要量は2150年時点で約45万トン少なくなることが見込まれる。
80
60
Ⅱa−③全量直接処分
低減効果
40
Ⅱa−①全量再処理
20
0
2010 2030 2050 2070 2090 2110 2130 2150
西暦(年度)
天然ウラン年間需要量の比較
2012/04/27
西暦(年度)
天然ウラン累積需要量の比較
原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会(第13回)
4
同じ発電電力量に対する高レベル廃棄物の
放射能による潜在的な有害度*
使用済燃料の潜在的有害度の減衰
同じ量の発電に必要
な天然ウランの放射
線による潜在的な有
害度(最大値)
処理後経過時間
*高レベル放射性廃棄物と人間との間の障壁は考慮されておらず、高レベル放射性廃棄物の実際の危険性では
なく、潜在的な有害度を示している。使用済燃料の1年目の潜在的な有害度を1とした相対値。
5
地層処分される高レベル放射性廃棄物等の
減容・潜在的有害度の低減効果の比較(概略値)
技術的選択肢
比較項目
再処理リサイクル
直接処分
軽水炉サイクル
1.1m
放射性物質をガラスの素地
に溶け込ませ、固定化
0.8m
被覆管
1.7m
4.8m
燃料
ペレット
処分時の
廃棄体イメージ
高速炉サイクル
燃料棒の断面
燃料集合体
燃料棒
分子レベルでのガラスの構造
鉄製
オーバーパック
ステンレス容器に内蔵した
ガラス固化体
キャニスター(スウェーデンの例)
発生体積比※1
1
約1/4
約1/7
潜在的有害度の低減※2
10万年
8千年
300年
1
1/3
1/4
(天然ウラン並)
処分面積比※1
※1 数字は原子力機構の概算例。 直接処分時のキャニスタを1としたときの相対値。
※2 100万kWe原子力発電所を1年間運転するために必要な天然ウラン量(約180トン)の潜在的有害度と等しくなるまでの期間。
出典:原子力政策大綱、原子力委員会新計画策定会議技術検討小委員会基本シナリオの核燃料サイクルコスト資料(2011)、
NUMO 高レベル放射性廃棄物地層処分の技術と安全性「処分場の概要」、原子炉安全専門審査会等
6
2.高レベル放射性廃棄物の減容と
有害度低減に向けて
7
背
景
 原子力を利用する上で、放射性廃棄物の処理処分の負担軽減が課題
 100万キロワット級の原子力発電所からは毎年約20トンの使用済燃料が発生
 我が国は大量の使用済燃料を保管(約17,000トン)
◎ 原子力機構では、廃棄物処分の負担軽減を目指し、核燃料サイクルの研究
開発とともに、「分離変換技術」の研究開発を進めてきた
 2013年9月、文部科学省は「もんじゅ研究計画」を取りまとめ、廃棄物の減容・
有害度低減等を目指した研究開発を「もんじゅ」の3つの役割の一つとした
 2013年11月、文部科学省は「群分離・核変換技術評価作業部会」において、
加速器駆動システムを中心とした研究開発について推進の方向性を示した
 2014年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」では、「高速炉や、加速
器を用いた核種変換など、放射性廃棄物中に長期に残留する放射線量を少
なくし、放射性廃棄物の処理・処分の安全性を高める技術等の開発を国際的
なネットワークを活用しつつ推進する」などの方向性が示された
8
軽水炉内でのウラン燃料の転換
新燃料 1tU
(PWR 4.5%濃縮ウラン)
燃焼度 45GWD/tU
比出力 38MW/tU
そのまま
10
ウラン235
(45kg)
中性子捕獲
6
核分裂
29
使用済み燃料 1tU
(取り出し後4年冷却)
10
ウラン235
6
ウラン236
29
プルトニウム
中性子捕獲
29
17
10
核分裂
そのまま
再処理時の
廃棄対象
核分裂生成物
(46kg)
17
プルトニウム
他のTRU核種
マイナーアクチノイド
10
1
0.2
ウラン234
主なマイナーアクチノイド
ウラン238
(955kg)
926
そのまま
926
ウラン238
核種
半減期
Np-237
214万年
Am-241
432年
Am-243
7,370年
Cm-244
18.1年
ORIGEN-2 Ver.2.1の計算結果。
棒グラフ中の数字の単位はkg。
(四捨五入の関係で合計があわな
い場合がある)
9
分離変換技術(Partitioning & Transmutation)
使用済燃料
U、Pu
エネルギー資源として有効利用
高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)として地層処分
従来技術
分離変換技術の適用例
MA(Np、Am、Cm)
核変換による短寿命化
FP、MA
群分離
ゴミの分別
再処理
白金族(Ru、Rh、Pd等)
発熱性元素(Sr、Cs)
その他の元素
MA:マイナーアクチノイド
・長期リスクの低減:
FP:核分裂生成物
利用
ゴミの資源化
ゴミの焼却
焼成体として冷却(又は利用)後に地層処分
高含有ガラス固化体として地層処分
目標
廃棄物の潜在的有害度の総量を大幅に低減
・処分場のコンパクト化:
発熱の大きい核種を除去
・放射性廃棄物の一部資源化:
希少元素の利用(白金族、希土類など)
10
使用済燃料の潜在的有害度の減衰
1.E+09
10億
使用済燃料
高レベル廃棄物
分離変換導入
天然ウラン9トン
1.E+08
1億
潜在的有害度(Sv)
1.E+07
1,000万
1.E+06
100万
10万
1.E+05
1万
1.E+04
短縮
1,000
1.E+03
100
1.E+02
1.E+01
10
潜在的有害度:
各放射性核種の人
体への影響(線量
換算係数)で重み
づけた指標。放射
能(ベクレル)を被
ばく(シーベルト)に
換算。
短縮
1.E+02
100
1.E+03
1,000
1.E+04
1万
1.E+05
10万
1.E+06
100万
1.E+07
1,000万
処理後経過時間(年)
11
核変換の方法
マイナーアクチノイドの核分裂反応の例
Np-237
中性子
(T1/2=214万年)
Mo-102
(T1/2=11分)
Tc-102
β線
(T1/2=5秒)
Ru-102
(安定)
β線
核分裂反応
長寿命のものも10%以下
ではあるができてしまう
中性子のエネルギー
が高いほど、核分裂
が起こりやすくなる
中性子
I-133
β線
(T1/2=21時間)
Xe-133
β線
(T1/2=5日)
Cs-133
(安定)
・原子核に入り込みやすい中性子を使うのが有効
・マイナーアクチノイドは高速中性子で核分裂させるのが効率的
・高速中性子の供給方法:
高速炉 → 高速炉サイクル利用型
加速器 → 核変換専用サイクル型(階層型)
12
3.高速炉を利用した環境負荷低
減への取組み
13
高速炉サイクル利用型の特徴
エネルギー生産とウラン資源の有効利用を達成しながら、MAを核変換し、
放射性廃棄物に含まれるPu、MAを最小化
炉心の変更により、MAを核変換しながら、Puの増殖にも、Puの燃焼にも利
用可能
社会ニーズに応じて役割を変えられる(Pu増殖、持続、TRU管理)
核分裂での減損相当分のU
新燃料
軽水炉燃料サイクルとのやりとり
燃料製造
再利用分
高レベル放射性
廃棄物等
高速炉
使用済燃料
再処理
地層処分
14
社会ニーズに応じた
高速炉サイクルの役割
代表例
Puの外部への
供給
Pu増殖
モード
Pu増加分
U減損、Pu装荷分、 U減損
(発電規模増加
MA
分
に利用)
持続
モード
TRU管理
モード
なし
なし
自己で再利用
投入
意義、ねらい
Puストックなしで
高速炉発電規模を拡大
(高速増殖炉開発当初)
U減損
PuとMAは不変
U減損
分
将来の持続的エネルギー源
U資源を最大利用
(エネルギー基本計画)
U、Pu、MA減少
U、Pu、
MA減
少分
軽水炉サイクルの
TRU量調整・廃棄物低減
(エネルギー基本計画)
注)表中示したサイクルのモード概念は代表例
15
高速炉サイクル利用型で確認すべき事項
FMF
燃料開発及び
照射試験:
AGF
燃料製造:
・遠隔製造技術の開発
・対応可能な燃料組成範
囲の判断
・MA含有MOX燃
料、高Pu富化度
MOX燃料等の系
統的な照射試験
Pu富化度
MA濃度
常陽
炉特性・炉システム:
・高速炉プラント技術の成立
性確認
・MA含有炉心の特性取得
もんじゅ
高速炉
Pu-3
燃料製造
高速炉サイクル
による
廃棄物減容等
の評価
燃焼率
再処理:
再処理
除染率
回収率
全体システム評価:
・各分野の情報の統合と有望な
システム概念の絞り込み
・廃棄物減容化・有害度低減の
効果の確認
・MA分離プロセスの
開発と性能評価
・実現可能なプロセ
ス概念の構築
CPF
16
もんじゅ研究計画が対象とするサイクル概念と試験規模
システム像
高速炉
Puサイクル
Pu燃焼
高次化Pu利用
必要技術
炉システム
炉心
燃料開発
工学規模施設 小規模施設
利用可能*
利用可能*
改造必要
改造必要
Pu燃焼
高次化Pu利用
もんじゅ
もんじゅ
もんじゅ
もんじゅ
MOX炉心特性
高Pu,高次化効果
Am, Np含有効果
Cm, Am, Np含有効果
常陽 燃材施設
もんじゅ
常陽
燃材施設
もんじゅ 燃材施設
もんじゅ
MOX燃料開発
高Pu,高次化効果
Am, Np含有効果
Pu施設
転換施設
MOX燃料製造
高Pu,高次化効果
もんじゅ
常陽 燃材施設
Cm, Am, Np含有効果
Pu施設
AGF
遠隔燃料製造(GB)
Pu施設
遠隔燃料製造(セル)
CPF
MOX再処理
高Pu,高次化効果
CPF
研究開発施設
Pu燃焼
高次化Pu利用
Na冷却システム
CPF
再処理
高速炉
全MAサイクル
もんじゅ
Pu-3
燃料製造
高速炉
Amサイクル
もんじゅ成果とりまとめ
NUCEF
MA分離
CPF
NUCEF
Cm取扱い付加
廃棄物減容等のための研究
* 試験設備整備は必要
17
もんじゅ研究計画の廃棄物減容・有害度低減研究
「もんじゅ」等を活用
した研究開発
①燃料製造
技術
◎照射試験燃料製造
システム概念実現に
必要な基盤技術
○MA-MOXペレット製造
○製造プロセス高度化
○簡素化ペレット法開発
○遠隔製造設備開発
○挙動評価・設計手法開発
○長寿命炉心材料開発
◇FPターゲット
◇MAターゲット
②燃料開発及
び照射試験
◎照射試験燃料設計
③炉特性・
炉システム
◎もんじゅ性能試験、運転
データ
○炉心特性評価手法開発
④再処理技術
◎照射後試験試料を用い
た再処理試験
○MA分離プロセス開発
○溶解・抽出の基盤研究
◎もんじゅ・常陽照射試験
(照射後試験を含む)
基礎研究
○基礎物性測定
○データベース整備
○シミュレーション
○核データ微分測定
○核データ積分測定
○炉心概念検討
○新抽出剤研究
全体システム評価 ◎技術成立性、減容・有害度低減効果についての評価
◎、○:均質サイクルの課題又は均質/非均質サイクル共通の課題
◇:非均質サイクル特有の課題
18
①燃料製造技術(研究計画)
研究開発・基盤技術開発・基礎研究
照射試験燃料製造
ペレット製造プロセス技術
・MA含有率増加
・Pu富化度増加
実績と現状技術
製造プロセスの高度化
・発熱対策
・高線量下検査技術
・乾式リサイクル技術
東海Pu施設で18tHMの
高速炉MOX燃料製造
【MOX燃料組成範囲】
・Pu30%
・崩壊生成Am2%
・軽水炉U燃料由来Pu
【プラント概念】
・グローブボックスに収納
・遠隔自動運転
・直接保守
組成範囲拡大
基礎物性
測定・研究
製造遠隔化
遠隔製造に適合した製造
プロセス開発
・簡素化ペレット法
設備の保守・補修性向上
遠隔製造設備技術
概念実現に必要な技術
均質MAサイクルMOX
燃料製造
【MOX燃料組成範囲】
・Pu40%
・MA5%
・軽水炉MOX燃料由来Pu
【プラント概念】(注)
・セルに収納
・遠隔自動運転
・遠隔保守
(注)MA組成によっては、グロー
ブボックス、直接保守の可能
性もある。
19
①燃料製造技術(遠隔燃料製造に向けた開発)
当面の技術開発
遠隔燃料製造に適した製造プロセス
(簡素化ペレット法)の開発
燃料製造自動化設備の改良高度化
Am含有MOX燃料製造に段階的に適用
完全遠隔燃料製造に向けて(将来)
遠隔保守に対応した設備技術、プロ
セス技術
Cm含有の影響確認
遠隔燃料製造用の燃料製造プロセス開発
モリブデン皿
パーツフィーダ
研削装置
外径・重量・高さ検査装置
外観検査装置
ペレット搬送の不具合を解決することにより設備信頼性向上が期待されるペレット研削・検査工程設備内でのペレットの流れ
20
②燃料開発及び照射試験(研究計画)
研究開発・基盤技術開発・基礎研究
実績と現状技術
核データ
○「常陽」614体、「もんじゅ」
287体のMOX燃料装荷
基礎物性
測定・研究
・約700W/cm
・約144GWd/t
○「常陽」103体、海外
照射ピン49本のMOX
燃料の照射後試験
○MA-MOX燃料照射
・「常陽」(Am-1, B14)
・仏(SUPERFACT)
・米(AFC)
○高Pu-MOX燃料照射
・仏(CAPRIX1)
・米(HEDL/ANL 08)
○ターゲット燃料
概念検討段階
概念実現に必要な技術
もんじゅ燃料照射挙動確認
(成果とりまとめ)
燃料挙動評価・設計手法
MOX照射データ蓄積・設計手法整備
照射試験(M1-4, J1-4)
・ヘリウム効果
・被覆管内面腐食
・溶融限界線出力等
組成範囲拡大の照射挙動への影響
長寿命炉心材料
燃料性能向上
FPターゲット開発
非均質サイクル、FP短寿命化
【均質サイクル】
○実規模MOX燃料集合体の
照射データに基づくMOX燃
料設計手法整備
○上記の適用範囲を拡大
(Pu40%, MA5%,
軽水炉MOX燃料由来Pu)
○燃料性能向上
○廃棄物減容等に関する効
果の見通し
【非均質照射】
○ターゲット寿命、有効性評価
技術整備
21
②燃料開発及び照射試験(Am含有MOX燃料の照射試験)
Amを最大5%含有するMOX燃料の常陽短期
照射試験により、燃焼初期のAmの挙動データ
を取得し、Am含有効果は小さいことを確認した。
3%Am-MOX
5%Am-MOX
200mm
炉心中心
3%Am-MOX
43 kW/mで10分間照射
出力
今後、燃焼度、線出力等のデータ出力範囲を
拡張するとともに、もんじゅでの実規模照射に
より、Am含有MOX燃料が炉内使用期間中を
通じて問題なく使用できることを確認する。
被覆管
燃料ペレット
・直径: 6.52 mm
・直径: 7.5 mm
・O/M比: 1.95, 1.98
・肉厚: 0.4 mm
・密度: 93 %T.D.
・Pu富化度: 30 wt.%
・Am含有率: 3,5 wt.%
手動停止
出力
時間
45 kW/m
で24時間照射
時間
Am-1短時間照射試験の設計仕様と照射条件
10分間照射
24時間照射
Am-1短時間照射試験のペレット横断面の金相写真
Am-1短時間照射試験後の中心空孔部周辺のU、Pu、Amの濃度分布
(注)照射が進むにつれ、ペレットの組織変化が進行し、中心空孔が拡大
22
②燃料開発及び照射試験(もんじゅ、常陽での照射試験)
略
号
照射試験名
目的
概要
M1
MOX燃料集合体の
照射試験
「もんじゅ」燃料設計妥当性確認、Am含
有MOXの定常照射での挙動、He効果の
確認
長期保管中にAmが蓄積したMOX集合体の照射試験。
低燃焼度と中燃焼度の2体実施
M2
高次化Pu-MOX燃料の
照射試験
高次化Pu-MOX燃料の照射挙動確認、
He効果の確認
「ふげん」MOX燃料から回収された高次化Puを原料とした
MOX燃料の照射試験
M3
GACID-1先行照射試験
MA含有MOX実規模燃料ピンの照射挙
動確認
MA含有MOX燃料ピンを含む燃料集合体の照射試験
M4
GACID-1照射試験
MA含有MOX実規模燃料ピンの照射挙
動確認(MA濃度、燃料仕様、燃料製造
方法がM3と異なる)
米国MA原料を仏国でMOX燃料ピンに加工し、「もんじゅ」
燃料集合体に組み込み、照射、照射後試験を実施
J1
Am-1長期照射試験
MA含有MOX燃料の被覆管内面腐食等
の燃焼依存挙動データ取得
照射中のAm5%-MOX燃料ピン、Am2%-Np2%-MOX燃料ピ
ンを継続照射し、燃焼度蓄積
J2
Am-1短期高出力試験
MA含有MOX燃料の燃焼初期における
元素再分布、組織変化等の挙動データ
取得
Am5%-MOX燃料ピン、Am2%-Np2%-MOX燃料ピンの
短期高線出力試験の第2回目として、前回よりもさらに高い
線出力で照射
J3
MA含有高Pu-MOX
燃料の系統的試験
高Pu富化度条件で燃料組成、燃料仕様
パラメタの照射挙動への影響についての
データを系統的に取得
Am、Np、Pu含有率、O/M比、ペレット密度、ペレット/被覆管
間ギャップをパラメタとして、燃焼初期溶融限界出力試験
(PTM)と長期定常照射試験を実施
J4
GACID-1先行照射試験
ペレット密度の影響についてのデータ取
得とM3試験との比較によりスケール効
果を評価
試験パラメタのペレット密度以外は主な燃料ペレット仕様が
M3と同じMA含有MOX燃料ピンの照射試験
23
②燃料開発及び照射試験(MA含有MOX燃料の評価計画)
J1, J3, J4
M1∼M4
J2
J3
J2
J3
M2∼M4
J3
M1∼M4
24
③炉特性・炉システム(研究計画)
研究開発・基盤技術開発・基礎研究
実績と現状技術
【MOX炉心】
○「常陽」614体、「もんじゅ」
287体のMOX燃料装荷
・「常陽」で軽水炉使用済
燃料由来のPuを利用
核データ
測定
「もんじゅ」性能試験、
運転データ
照射試験(核種分析)
照射試料再処理試験
炉心特性評価手法
実機MOX炉心特性、Pu/MA燃焼特性
【Na冷却発電プラント】
○各国で運転実績蓄積
○FaCTでMA均質サイクル
実用プラント概念研究
【核変換炉心概念研究】
○MA均質サイクル炉心
の設計例多い
○Pu燃焼炉心の設計
例少ない
「もんじゅ」性能試験、
運転、保守データ
実機発電プラント運転経験
Pu/MA燃焼炉心概念検討
核変換炉心概念
概念実現に必要な技術
【MA含有MOX炉心】
○均質サイクル炉心の
特性、燃焼特性及び
炉心安全性評価
○核変換積分検証
【Na冷却発電プラント】
○「もんじゅ」での運転
性能確認、運転・保守
経験蓄積
【核変換炉心概念研究】
○核変換炉心(各モー
ド)の概念の絞り込み
25
③炉特性・炉システム(研究の手順)
「もんじゅ」等を活用
した研究開発
システム概念実現に
必要な基盤技術
○炉心概念検討
・原子力エネルギー
利用シナリオに柔軟
に対応可能なPu・MA
燃焼炉心概念を検討
◎「もんじゅ」性能試験、運転データ
・高次化Pu及びAmを含むMOX炉
心の炉物理特性
・実機でしか得られない温度特性
及び燃焼特性データ
◎「もんじゅ」・「常陽」照射試験
・高Pu富化度、高次化Pu、MA含有
MOX燃料の照射後試験データ
(燃料設計評価データ、核種組成
変化)
・炉心安全性評価: 受動的炉停止
機構の適用性やシビアアクシデン
トにおける事象推移を評価
基礎研究
○核データ微分測定
・高速中性子領域にお
けるMAの捕獲反応
断面積の高精度測定
○核データ積分測定
・「常陽」を用いた高次化
Pu、MAのサンプル等照
射(核種組成変化)
・測定データの高精度化
技術開発
○炉システム概念検討
・プラントへの影響評価
・高発熱燃料の取扱い方法検討
○Pu・MA燃焼炉心の特性把握(5年程度)
(「もんじゅ」性能試験、「常陽」サンプル等
照射データを活用)
○Pu・MA燃焼システムの具体化(10年程度)
(「もんじゅ」運転・照射試験データを活用)
26
④再処理技術(研究計画)
研究開発・基盤技術開発・基礎研究
実績と現状技術
概念実現に必要な技術
【MOX燃料再処理】
・「常陽」ピン72本、海外
試験ピン11本のMOX燃
料を対象に再処理試験
を実施(MA含有量∼
1.5%程度)
「もんじゅ」、「常陽」照射
試験燃料の再処理試験
溶解・抽出の基盤研究
・溶解性、残渣性状
・抽出性、溶媒劣化
MA-MOX、高Pu-MOX燃料の再処理特性
【MA分離】
・抽出剤の選定(TODGA,
R-BTP)
・Am,Cm回収率(95%以上)
・FP除染係数(概ね100以上)
新抽出剤
創成研究
MA分離プロセスデータ蓄積
MA分離プロセス開発
・抽出クロマトグラフィー
・溶媒抽出
【MA-MOX、高Pu-MOX
燃料再処理】
・フローシート具体化
【溶解・抽出】
・溶解性、残渣挙動
・抽出性
【MA分離】
・MA回収率
・除染性能(DF)
・廃液発生量
・分離フローシート
27
④再処理技術(研究の手順)
「もんじゅ」等を活用
した研究開発
システム概念実現に
必要な基盤技術
「常陽」
「もんじゅ」
「常陽」
照射後試験の試料を
用いた再処理試験
・MA高含有MOX燃料による
分離性能確証
(「もんじゅ」燃料処理廃液)
CPF(核燃料サイク
ル工学研究所)
基盤データの取得
・創成抽出剤の評価
・担体構造の最適化
・データ取得試験での改良
・スラッジ挙動、溶解挙動、 抽出
分離性能
(コールド、常陽使用済燃料廃液)
基礎研究
NUCEF (原子力科学研究所)
新抽出剤研究
MA抽出剤の創成
・MAとLnの回収剤
・MAとLnの分離剤
(コールド、トレーサRI等)
○MA分離プロセスデータ蓄積、 MA-MOX・高Pu-MOX燃料の再処理特性(5∼6年程度 )
・MA分離回収フローシートの構築
・高Am含有・高Pu富化度MOX燃料の溶解・分離性能把握
・シミュレーションコード反映への基礎データ取得
○照射済燃料によるMA、高Pu-MOX燃料の再処理フローシート検証(10年程度)
28
SmART(Small Amount of Reused fuel Test)Project
CPF
AGF
NUCEF
MA,
LLFP
Remote
Fabrication
Partitioning
Irradiated
samples
Fuels
Targets
Transmutation
JOYO
Monju
SF from
LWR, FR
PIE
Irradiated
samples
J-PARC
FMF
AGF
29
4.常陽、もんじゅの現況
30
高速実験炉「常陽」
初臨界
:1977年
運転開始 (MK-Ⅰ, 増殖炉心) :1978年
〃
(MK-Ⅱ, 照射炉心) :1983年
〃
(MK-Ⅲ, 高度化炉心) :2004年
中央制御室
主冷却器建家外観
回転プラグ
「常陽」の役割
主送風機
•高速増殖炉の基礎・基盤技術の実証
•燃料、材料の照射試験
•将来炉の開発のための革新技術の検証
「もんじゅ」や
JSFRへ反映
31
「常陽」の炉心の高度化のあゆみ
50/75MWt
Mark-II
炉心
100MWt
Mark-III
炉心
140MWt
×1015n/cm2.s
高速中性子束(>0.1MeV)(n/cm2・s)
Mark-I
炉心
4.5
×1015
MK-III炉心
4.0
3.5
3.0
MK-II炉心
2.5
2.0
1.5
1.0
6 5 4 3 2
1 0 1 2 3 4 5
列番号
6
MK-III炉心の主な仕様
炉心燃料集合体の最大装荷体数
85
21
制御棒
照射試験用集合体
照射試験用集合体の最大装荷体数
炉心燃料集合体
遮へい集合体
炉心燃料領域等価直径
80 cm
反射体
内側炉心燃料集合体
炉心燃料領域高さ
50 cm
ブランケット燃料集合体
外側炉心燃料集合体
ウラン濃縮度
核分裂性プルトニウム富化度 (内側/外側)
最大線出力密度
∼18 wt%
∼16/21 wt%
420 W/cm
32
「常陽」の燃料交換機能の一部阻害の概要
2007年5月からの定期検査中に、炉内燃料貯蔵ラックに移送した照射試験装置の回収の
際に、試料部の切離しが不十分のまま回転プラグを運転したため、試験部が炉内燃料貯蔵
ラック上に突き出て変形し、炉心上部機構(UCS)下部が損傷
33
「常陽」の燃料交換機能の復旧工程
Items/JFY
2012
2013
2014
v
第15回定期検査
2015
2016
NRAによる安全審査
復旧工事完了▼
ホールドダウン軸
UCS交換
炉心上部構造
(UCS) 交換
新UCSの製作
UCS
回転プラグ搭載機器の再設置
旧UCSとMARICO-2の回収
及び新UCSの設置を完了
MARICO-2
回収
MARICO-2回収装置の製作
MARICO-2
回収装置
MARICO-2
MARICO-2回収
移送用ポット
34
高速実験炉「常陽」の照射試験再開に向けた状況
 実験装置のトラブルの復旧作業を終了
炉容器内【高放射線(最大300Gy/h)、
高温(約200 ℃ )】の観察・補修技術開発
• 高耐放射線性ファイバスコープ等による炉内観察
• 大型炉内構造物(炉心上部機構約16.5 t)の交換
• 遠隔装置による実験装置の回収
ワイヤジャッキ
キャスク
仮
設
架
台
ドアバルブ
H26年5∼11月 : 炉心上部機構の交換、実験装置の
回収を完了
H27年6月
: 作業に伴い取り外した機器の再設置
を完了。通常状態に復旧
仮設ピット蓋
炉心上部機構の引抜作業
 新規制基準への対応
 H28年度に設置変更許可を申請予定
 再稼働後は、放射性廃棄物減容化・有害度低減、仏国の実証炉
(ASTRID)の開発協力に関する照射試験等を予定
35
もんじゅの安全性-新規制基準への対応
(1)
(2)
(3)
(4)
新規制基準の概要
新規制基準への対応例
安全への取組み方針の設定
もんじゅの敷地内破砕帯の調査状況
36
もんじゅの経緯
改革の継続と
再生への取組
平成26年4月 エネルギー基本計画(閣議決定)
平成25年9月 もんじゅ研究計画(文部科学省)
平成26年12月 保安措置命令に
(平成27年2月補正) 対する結果報告
平成25年5月 規制委員会から保安措置命令
性能試験再開
平成24年11月 保守管理上の不備
・平成24年8月 IVTM落下に係る復旧完了
・平成23年6月 IVTM引抜実施
・平成22年8月 IVTM落下事象発生
IVTM:炉内中継装置
平成22年7月 炉心確認試験の終了
初臨界
平成22年 5月 性能試験再開
平成19年 8月 改造工事完了
平成17年 3月 改造工事着手
平成7年12月 ナトリウム漏えい事故
平成7年 8月 初送電
平成6年 4月 初臨界
IVTM復旧作業
(1) 新規制基準概要
東京電力福島事故を踏まえ、平成25年7月に原子炉等規制法が改正され、
大幅に安全性が強化された。「新規制基準」と呼ばれており、設計基準が
強化されると共に、炉心損傷に至る可能性のある重大事故に関する基準が
新設された。
電気設備
格納容器破損防止対策
炉心損傷防止対策
<従来の規制基準>
重大事故(炉心損傷)に至
らない状態を想定した設計
上の基準(設計基準)
最終ヒートシンク熱輸送設備
信頼性に対する考慮
信頼性に対する考慮
火災に対する考慮
自然現象に対する考慮
津波に対する考慮
耐震に対する考慮
火災に対する考慮
自然現象に対する考慮
設計基準強化
最終ヒートシンク熱輸送設備
意図的航空機衝突対策
重大事故基準新設
<新規制基準>
津波に対する配慮
耐震に対する配慮
38
(2)新規制基準への対応例 [1/4]
電源車
森林火災
消火水タンク
電源設備(新設予定)
(新設予定)
ディーゼル発電設備(既存)
防火帯
(新設予定)
原子炉建屋
ター
ビン
建屋
竜巻
電源車
(新設予定)
∼海∼
重大事故時の
緊急時対策所
 電源の強化
(新設予定)
 緊急時対策所の設置
 消火水タンク新設
 自然ハザード対策
(森林火災対策、竜巻対策)
電源車
(新設予定)
海水
ポンプ
海水ポンプエリア
竜巻防護ネット
∼海∼
(新設予定)
39
(2)新規制基準への対応例 [2/4] [内部溢水対策]
・水漏えい検出器や堰の設置
・水密扉化
・被水防護カバーの設置
・水源の耐震補強 など
1次系Naポンプ
中間熱交換器
原子炉容器
溢水源の除去
(耐震補強)
止水措置
[内部火災対策]
・火災感知器、消火設備の増設
・難燃性ケーブルの使用
早期検知のための
・火災時の系統隔離の強化 など 火災感知器多様化
煙感知
器
堰の設置
2F
防護対象
水密扉化
炎感知器
防護対象
新設予定
防護対象
ドレン逆流防
止弁の設置
難燃性ケーブルの使用
排水設備
40
(2)新規制基準への対応例 [3/4]
[空気冷却器の健全性確保(自然ハザード対策)]
 竜巻→風圧による物理的影響の評価(荷重)
 火山噴火→空気取り入れフィルターの影響評価
(閉塞)
評価に基づき必要な対策を講じる
空気冷却器
(崩壊熱の最終出口であり、
安全上重要な機器。)
1次系Naポンプ
中間熱交換器
原子炉容器
空気冷却器への竜巻
による風圧(荷重)
構造健全性を評価
し必要な補強策。
火山灰によるフィル
ターの閉塞を評価
予備フィルターの
設置などの対策。
41
(2)新規制基準への対応例 [4/4]
[重大事故への対応強化]
→電源喪失時への対策(検討例)
 様々な条件下での自然循環による除熱性能の評価
 自然循環除熱時の対応手段(アクシデントマネジメント策)の具体化。
 もんじゅには主冷却系とは別に、メンテナンス時に用いる1ループ構成のメンテナンス
冷却系が設けられている。このメンテナンス冷却系を重大事故時の高温条件で使用でき
るような対策を行う。
42
(3)安全への取組み方針の設定 [1/2]
[背景]
 東京電力福島原子力発電所事故(H23年3月)
 新規制基準の施行(H25年7月)
 原子力規制委員会委員長からの要請(H26年
10月)
●「もんじゅ安全対策ピアレビュー委員会」にて、安全への取組み方針を検討
し、「安全への要求事項」としてまとめた。(H26年7月 原子力規制委員会へ提出及
びプレス公開)
要求事項(抜粋)
内 容(抜粋)
ナトリウム冷却  ナトリウム漏えい、ナトリウム・水反応に関する十分な対応策を講じ
る
炉特有事象
 従来の設備対応の妥当性及び設計基準を超える重大事故への進
展の恐れについて検討し、必要に応じて設備対応等を実施する
著しい炉心損傷  原子炉停止失敗及び除熱失敗に起因する事象について、必要な設
備対応及び操作・管理・体制面の対応からなるアクシデントマネジメ
の防止
ント策を講じる
もんじゅ安全対策ピアレビュー委員会
格納機能喪失
の防止
 溶融燃料による原子炉容器破損の可能性が実質上除外されるよう
に適切なアクシデントマネジメント策を講じる
水素対策
 想定外の水素爆発を防止するため、水素濃度の測定、水素の外部
への排出、意図的な小規模な水素燃焼等の対応策を既存設備等を
活用し講じる
中央制御室
緊急時対策所
 設計においては、ナトリウム冷却高速炉における事故の特徴に鑑み
たソースタームを想定し、遮蔽、換気等の設備を設計する
43
43
(3)安全への取組み方針の設定 [2/2]
「安全への要求事項」の妥当性について、以下の視点でチェックを行った。
(1) 国際的な高速炉安全性の考え方との比較 → 国際レビュー (H27年)
(2) 第3者による客観的、公正な評価 → 国内レビュー(H27年)
国際レビューと国内レビューの結果(抜粋)
(1) 国際レビュー結果(米国、仏国、
露国、中国、韓国、欧州連合):高
速炉安全における最新の国際的な考
え方とも一致しており、適切である。
(2) 国内レビュー結果:東京電力福島
事故の教訓やNa冷却高速炉の特徴を
十分に考慮しており、妥当である。
国際レビュー会合 H27年5月
(H27年9月 原子力学会発表及びプレス公開)
原子力機構は今後「安全への要求事項」 に基づいて、設備改造
や事故対応体制を整備するなどして安全性の更なる向上を行う。
44
(4) もんじゅ敷地内の破砕帯調査の状況
○新耐震指針を踏まえた原子力施設の耐震性の再評価(平成20年3月∼平成22年3月)において、破砕帯は、連続
せず活断層ではないこと、近くの活断層が動いたときに動いていないことを確認。
○東北地方太平洋沖地震(平成23年3月)を踏まえた原子力安全・保安院指示(平成24年8月)に基づき、敷地内破
砕帯に関する追加調査・再追加調査を実施。
○先般10月7日の原子力規制委員会有識者会合において、「敷地内破砕帯が最近活動した可能性は低い」との見解
で一致。一方で、年内に有識者の現地確認を実施することも決定。並行して原子力規制庁は評価書案のとりまとめ
を開始。海域及び陸域沿岸部(敷地外)の地形や地質データの説明方法は更なる精査要。
追加調査の実施
敷地内破砕帯の性状調査
敷地内破砕帯の活動性調査
L-2リニアメント※1の調査
地盤変動解析による評価
敷地南方山地の破砕帯調査
白木-丹生断層の性状と活動性
写真
(破砕部拡大)
追加調査結果の報告書を原子力規制委員会に提出(平成25年4月30日)
• 敷地内破砕帯には活動的であることを示す痕跡は認められない
• 白木−丹生断層に引きずられて敷地内破砕帯が動くこともないと評価
原子力規制委員会有識者会合にて審議、更なる追加調査の指示(平成25年9月25日)
再追加調査の実施
敷地内破砕帯、敷地周辺の陸域・海域のデータ拡充のための追加調査

追加調査結果の報告書を原子力規制委員会に提出(平成26年3月28日)
• 追加の調査結果でも敷地内破砕帯には活動的であることを示す痕跡は認められない
• 陸域及び海域の調査から、白木-丹生断層以外に活断層に関連する構造は認めれない
 原子力規制委員会有識者会合で説明・審議(平成26年12月4日、平成27年3月6日、10月7日)
 継続対応中(敷地内に新しい活動は無い、年内に現地確認予定、評価とりまとめ開始)
もんじゅ敷地内破砕帯
・ 最も新しい破砕帯でも、地下
深部で形成された古い時代の
地質構造と推定される
※1 リニアメント
地表に認められる直線的な地形(線状
模様)のこと。地下の断裂状況(断層や
地層中の割れ等)を反映している場合
もあることから、活断層調査では注目
される。
45
もんじゅ-保守管理上の不備への対応
46
(1) 保安措置命令等に対する対応の経緯
平成21年
1月:保全プログラムを導入(保全の計画、実施、評価及び改善の活動に必要なプロセスを規定)
炉内中継装置の落下や東日本大震災等の影響により数次にわたってプラント工程を変更。
その際、点検工程への影響を十分に検討しなかったこと等により、保全計画に定めた点検期限を超過する機
器が発生、また、必要な手続である不適合管理を十分に実施しなかった。→保守管理上の不備
平成24年11月:保守管理上の不備を原子力規制庁に報告し、公表。
平成24年12月:原子力規制委員会から、保安措置命令及び報告徴収を求められた。
平成25年 1月:保安措置命令に対する結果報告等
平成25年5月、原子力規制委員会から、以下の評価を受けた。
・組織的要因等の根本原因分析結果及び再発防止対策について対応が不十分。
・未点検機器の点検及び保全計画の見直しに係る作業が完了しておらず、未だ法令違反状態は是正されていない。
平成25年
5月:原子力規制委員会から、36条 保安措置命令及び 37条 保安規定変更命令
平成25年10月∼
原子力機構改革/もんじゅ改革
もんじゅ改革第1ステージ(平成25年10月∼平成26年9月)
もんじゅ改革第2ステージ(平成26年10月∼平成27年3月)
平成26年12月:保安措置命令に対する報告書及び保安規定変更認可申請を提出(平成27年2月2日補正)
平成27年3月、6月の保安検査で保安規定違反を指摘され、保全計画の見直しが不十分である等の指導。
安全機能の重要度分類の再整理作業結果を9月の保安検査で報告できず、平成27年9月30日、原子炉等規制法
第67条に基づく報告徴収を求められた(同年10月21日に報告書を提出)。
47
(2)もんじゅ改革の継続と再生への取組み
基本方針
●「もんじゅ改革」の定着に向け、新たな視点を加味
●保全計画見直し、不適合管理改善、未点検設備解消
RCAに基づく
組織要因
●旧36条報告書を適切に補正
●より高い安全・安心に向け、新規制基準対応を推進
集中改革及びその後の改革において実施の対策
①管理機能が ➢ 支援組織「もんじゅ運営計画・研究開発センター」を新設
不足
➢「業務管理表」導入によるマネジメント強化
➢ 運営管理、品質保証、プラント保全部の業務管理スパンの適正化 等
②チェック機 ➢ 品質保証担当の所長代理、品質保証担当者(各課)を配置し体制強化
能が不足
➢ 是正処置プログラム(CAP)の導入
➢ ISO外部研修の受講拡大によるQMS理解促進
➢ QMS推進体制強化のため品質保証活動経験者を採用
➢ 所内内部監査を改善・実施
③保全に係
る技術基盤
の整備が不
足
➢ 専従チームによる保全計画の見直し、技術根拠の整備 加速
➢ 実務経験者採用による体制強化
➢ 電力からの指導的技術者の配置
改革の定着に向け理事長主導による
新たな視点の加味
➢ ライン統率強化のため各階層の責任・
権限を明確化
➢ 実行する組織になるよう組織のMVS*1
を明確化・共有
➢ 的確な業務管理・フォローのためKPI*2
による管理・見える化を推進
KPIの例:現場照合の完了率
対象機器
崩壊熱除去のための5系統
(1次主冷却系・2次主冷却
系・補助冷却系・原子炉補機
冷却水系・原子炉補機冷却海
水系)
+5系統以外のクラス1機器
➢ 機構職員を電力の原子力発電所に教育派遣
➢ 保守管理業務支援システムの導入と継続的な改善
➢ 業務生産性向上のためIT化・システム化を推進
④安全最優先 ➢ もんじゅを理事長直轄組織としガバナンス強化
の意識と取組
➢ 経営層と現場第一線職員との直接対話
が不足、安全
➢ マネジメントレビューの改善・強化 等
文化の劣化
*1: Mission / Vision / Strategy,*2:Key Performance Indicator
➢ 積極性・コスト・時間等の意識改革の
ため理事長訓示、講話、階層別懇談会を
実施
➢ モチベーションの維持向上のため
理事長メッセージを職員に発信
48
(3) 保安措置命令への対応 [1/2]
安全確保の為に必要なこと= 従来からの改善活動
(ポイント−1)
(即刻解決すべき点
=保安措置命令への対応)
ー>① 「保全計画」の見直し
ー>② 未点検機器の解消
ー>③ RCA分析からの対策実施と評価
保全計画見直し専従チーム
(ポイントー2)
(継続的な改善点=QMS改善活動)
ー>① 保守管理体制と品証体制の定着 (自律的なPDCA)
ー>② 継続的な安全確保の体制整備
−>③ 軽水炉を上回る安全要求に応える改善活動
49
(3) 保安措置命令への対応 [2/2]
理事長の民間からの視点
(ポイントー3)
潜在する根本的な課題
今後運転までを担うためにも解決せねばならない課題
人材、リソース(資金)面の課題、 職員の資質・力量面(視野、コスト感覚、危機感・
スピード感の不足、モチベーション、指示待ち、同じミスを繰り返し 他)
 保守管理業務のIT化・システム化
 オールジャパン体制での根本的課題への取組み
・オールジャパン体制で短期集中チームを組織。
・保安規定通りに業務を実施しているか 自主的に「プロセス総合チェック」を実施。
・加えて、早期進捗が必要な「保全計画改定」や「保全の有効性評価」などを実施。
 職員の教育システムの充実
オールジャパン体制(計 100名規模体制)
JAEA もんじゅ選抜、JAEA 他 地区、プラントメーカ、電力(既派遣)
50
5.まとめ
高速炉はU、Pu及びMAを原子炉燃料の原料として利用できる優れた核特
性を有し、Pu及びMAのリサイクルを可能とする技術を開発することにより、
U資源利用率の大幅な向上とともに廃棄物減容・有害度低減に大きく貢献
できる可能性がある。
エネルギー基本計画においては、米仏等との国際協力を進めつつ高速炉
の開発に取り組むとともに、「もんじゅ研究計画」に示された高速増殖炉開
発の成果とりまとめ、廃棄物減容・有害度低減研究、安全性強化研究を行う
こととされている。
これらにより、高速炉による廃棄物減容・有害度低減の効果と実現性を明ら
かにして、我が国の核燃料サイクル推進及び使用済燃料問題の解決に貢
献するとともに、将来の第4世代高速炉開発に反映可能な成果が得られる
と期待できる。
「もんじゅ」はその研究開発の要であり、MAの主要元素であるAmを多く含
有するMOX炉心の特性確認やAm含有MOX燃料の照射試験、高速炉で
のMAリサイクルの積分的な実証データの取得を含めてその運転が必要で
ある。
51