ニューヨーク大都市圏の交通状況と交通計画

5
7
総 合 都 市 研 究 第4
3号
1
9
9
1
ニューヨーク大都市圏の交通状況と交通計画
1.はじめに
2
. ニューヨーク大都市圏の地域構造
3
. ニューヨーク大都市圏の公共交通システム
4
. 自動車交通量予測と交通計画
片倉正彦*
5
. おわりに……都市の開発と交通計画
要
約
ニューヨーク大都市圏の人口と雇用は. 1
9
8
0年代に入ってから増加しており,都市地区
のニューヨークカウンティ(マンハッタン)も 7
0年代の衰退状況から回復してきている。
この地区の雇用者数は常住人口をはるかに上回り
周辺地区から大量の通勤交通がある。
都市圏の公共交通システムは,種々の大量輸送期聞からなる非常に複雑な交通システムを
形成しているが. TheM
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fNewYorkandNew
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nが 2大組織となっている。しかし. P
J
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yが基幹的な交通施設を保有,運営して,この地域の交通と経済開発に実質的に重要
な役割をはたしている。公共交通機関利用客数は全体として 80年代初めまで減少し続けて
きたが. 80年代半ばからわずかに増加する傾向にある O 微増傾向は鉄道によるものでパス
は減少傾向にあり,特にニューヨーク市では地下鉄客の増加とパス客の減少傾向が明かで、
ある。
大都市圏全体としては大部分の交通は乗用車で行われ,交通計画上の主課題は自動車交
通に対する対策である。圏域全体に対して道路交通量予測はあるが,現在,統一的な交通
計画はなく,具体的または実務的な交通改善計画は各地域毎に行われている。道路交通量
予測は,自動車登録台数に基づき,土地利用を加味して算出する自動車トリップエンド数
から,交通量配分モテ寺ルによって推計されている。自動車登録台数や道路交通量はニュー
ヨーク市内でも増加傾向であり,どこでもなお道路交通需要の高いことを示している。交
通計画としては公共交通の優先を掲げているが,既存システムの機能回復,維持改善計画
が主要課題となっており,道路,鉄道等の新規整備計画はない。
ニューヨーク都市圏でも,特に郊外部では自動車依存型社会となってしまっており,都
市開発のあり方は交通施設整備との関係を十分考慮して行うべきことを示している。
*東京都立大学工学部
5
8
総合都市研究
4
3
号 1
9
9
1
で,ここに紹介し,おおかたの参考に供したいと
1.はじめに
思う。
従来のニューヨークの交通に関する文献では,
ニューヨークについては,これまで非常に多く
特に発達した公共交通機関,地下鉄に関するもの
のことが語られている O 恐らく諸外国の都市の中
が大部分で,道路交通について調査分析した資料
でもニューヨークは現在最も多くの文献が出版さ
はほとんど紹介されていなし、。しかし自動車が
れている都市といえるであろう。ところが,地下
日常生活の交通手段となって,完全に自動車化社
鉄の落書きや犯罪が大きく取り上げられたことが
会となってしまったアメリカで,ニューヨークも
あったが,ニューヨークの交通について,交通計
またモータリゼーションの大波の影響を受けない
画研究の立場から紹介した文献資料はロンドン,
ではいられないはずで、ある。人口密度が高く,公
パリなどに比べてあまり多くない。十分な文献調
共交通機関の発達したわが国の都市にとって,
査を行った訳ではないので明確ではないが,筆者
ニューヨークでの自動車交通の状況,その取扱い
の知る限りでは角本了平氏の著作(1)と大阪市大
ーモータリゼーションの対応
出版の書籍 (2)があるのみで,近年の交通専門雑
るに違いない。
は非常に参考にな
誌ではニューヨークの交通に関する記事はほとん
ど見あたらない。その理由の一つにはニューヨー
2
. ニューヨーク大都市圏の地域構造
ク大都市圏についてはこれまで交通計画や都市計
画上のトピックや,新しい大きなプロジェクトが
2
・1 都市圏の範囲
なかったせいであろう。
ニューヨーク市を中心とする地域経済圏域とし
ニューヨークは現在の自動車交通社会
てニューヨーク大都市圏に相当する地域は
(
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) に発達する以前に大規模な
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n
i
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gR
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g
i
o
nと呼ばれ
地下鉄網を整備し公共交通機関を中心とする都
る地域があり,人口,経済,交通等の種々の統計
市体系を完成した都市である。モータリゼーショ
データが収集整理されてきている。
ンに対応した都市を目指した第 2次大戦後の都市
地域計画,特に交通計画は地方行政区域を越え
開発や交通計画では,旧態の都市であるとしてス
た関連地域を対象とする必要があり,連邦政府と
ポットライトをあびることカfなかったのであろ
も密接に関連するため,連邦政府は財政援助をす
うO また, 7
0年代は都市地域の人口,雇用の減少
るに当たって相互に関連する地域を統一的に調整
傾向,経済基盤の低下等から都市の衰退を招き,
し,取り扱う都市圏計画機構 M
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交通網の整備が問題にされることはなかったため
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o
n(MPO)を組織することを要求し
でもあろう。
ている。
しかし大都市地域での自動車交通の問題点一交
ニューヨーク大都市園地域では過去に Connec
通渋滞,騒音等の環境問題ーが大きくなるにつれ
t
i
c
u
t,New]
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y,NewYorkの 3州にまたがる地
て,大都市圏での大量輸送機関の必要性,優位性
域で
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n
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g Commission
が明白になった現在,ニューヨークの交通網は大
(TSRPC)が設立され,土地利用,交通,経済開発
きく注目されて良いところである。
等の地域計画の主体となっていた。これまでその
筆者ははこのたび東京都立大学と C
i
t
yUni
v
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s
i
t
yo
fNewYorkの交流協定による交換研究
員制度によって, 1
9
9
0年 8月後半から 9
1年 1月ま
委員会は 1
9
7
6年と 1
9
8
1年に地域の交通計画に関す
る 報 告 書 (3)(4)を 発 表 し て い る 。 こ の 委 員 会
(TSRPC) の 計 画 区 域 が 先 の T
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S
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-
で CUNYの I
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n
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g
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o
nであり,ニューヨーク大
に滞在する機会を得た。この機会にニューヨーク
都市圏*と一般に認識されるようになったもので
都市圏の交通状況について若干の資料を得たの
ある。
5
9
片倉:ニューヨーク大都市圏の交通状況と交通計画
亡二ア1ニ~
封
。
,
NEWYORKMETROPOllTANTRANSPORTATIONCOUNCll
NASSAU COUNTY
NEW YORK CITY
PUTNAM COUNTY
ROCKLAND COUNTY
ιK COUNTY
SUFFO
庁Y
WESTCHESTER COU^
図 -1
しかしこの計画区域は東京でいえば,首都圏整
この NYMTCの管轄区域はニューヨーク市と
備区域のような地域で,東京圏に相当するニュー
郊 外 部 の 5郡 (County) の 地 域 で あ り , こ の
ヨーク都市圏については別の観方をすることがで
NYMTCRegionをニューヨーク都市圏とする見方
きる O
もある。
1
9
8
2年 , 連 邦 政 府 の 援 助 切 り 下 げ と 同 時 に
NewJ
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y州の地域は一つの MPO となり,
C
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n
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t州の脱退によって, TSRPCは解消し,
C
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n
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e
c
t
i
c
u
t州は Countyで別々に 6つの MPOを
三つの州は交通計画の再検討を迫られ,より低費
組織した。図 -1は TSRPC地域(大都市圏)と
用でコンパクトな計画作成をはかるようになっ
NYMTC地域(ハッチした部分)を示したもので
た。その結果,都市圏計画機構 (MPO) は細分
ある。
化され,ニューヨーク州の地域は三つの MPOに
以上の経過からわかるように Connecticut州地
分かれた。その中で地域の中心であるニューヨー
区は交通経済的にニューヨーク市と関連があるも
ク市を含むニューヨーク州南下部 (Down-State
のの,地域ごとの独立性も強く(後節で示す自動
NewYork) 地域の MPOとしてニューヨーク都市
車トリップエンドの分布にも表れている),切り
圏交通委員会 TheNewYorkMetropolitanTrans-
離してとらえても良いであろう。それに対し,
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nC
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n
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l(NYMTC)が設立され,そこが
NewJ
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y州の地域は,大都市園地域の中心部
主に TSRPCを引継ぎ,現在も大都市園地域全体
となっているマンハッタンに隣接し,ニューヨー
の統計データを整理している。
ク市との結びつきが密接で,切り離すことは困難
*
G
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rNewYorkM
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aというような語
句は一般的に使われているようではないが,本文では
この地区をニューヨーク大都市圏と呼ぶことにする。
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)の両
である。従って,
NYMTC と NJTCC (
N
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r
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h
MPOの地域を合わせた地域をニューヨーク都市
圏と考えることもできるが,統計データはそれぞ
6
0
総合都市研究
4
3
号 1
9
9
1
の PANYNJの活動地域は“ P
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tD
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s
t
r
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c
t
" と呼ば
れの地域別に整理されている。
ところが一方,このニューヨークとニュー
れ,自由の女神像を中心とする半径2
5マイル円内
ジャージーにまたがる地域では,次節で見るよう
の1
7County (NY-9,NJ-8) である。 PANYNJで
に,ポートオーソリティ (TheP
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はこの地域を NewYork-NewJ
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NewYorkandNewJ
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y以下 PANYNJと略称)
R
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nとして人口,経済状況等の統計データを
が,実質的に大きな力を持って地域のインフラス
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tD
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t
r
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c
tを実質
まとめて整理しており,この P
トラクチャー整備とその運営を実行している。
的なニューヨーク都市圏の範囲と見なすことがで
PANYNJはニューヨーク州とニュージャージー州
きる。
によって設立され,両州から指名される理事で構
成する理事会を持つが,両州政府とは独立の財政
2
2 地域構造(人口,雇用の地域分布)
的に自立した組織として,経済開発,交通インフ
ニューヨーク大都市圏 -TristateRegion
ーにつ
ラストラクチャーの整備運営に活動している。こ
いて人口,雇用状況の面からみた地域構造は,表
表 -1 1
9
8
8VITALSTATISTICS
Population
l
I
'
ageand
Salary
Employment
Resident
Civillian
Labor Force
Une.ployment
Rate (
X
)
Bronx
Kings
New Y
o
r
k
Queens
Richmond
1
.223.(00
2.314.300
1
.5
0
9
.9
0
0
1
.925.100
380.000
213.300
447.200
2.367.000
503.800
14.400
(51.500
917.600
179.600
917.900
165.800
5‘ 5
5
.
5
(
.
3
4.0
(.0
曹 Y
ORKCITY
NE
7.352.700
3.605.700
3.232.400
4.7
262.200
129.100
755.900
135.500
52.900
146.700
674.300
4
8
'
0
.3
0
0
2.6
2.9
3.7
2
.
7
Dutchess
Nassau
Orange
Putnam
Rockland
Suffolk
Westchester
293.500
83.600
265.800
1
.320.800
864.800
1
l0.500
623.100
1
0
4
.9
0
0
18.500
99.700
519.600
413.500
N
.Y
. SUBURBS
4
.(
0
8
.800
1.899.800
2.374.700
3
.
1
.500
11.761
5.505.500
5.607.100
4.0
829.500
838.900
542.200
.700
6
51
558.800
410.700
(62.800
226.300
499.900
4
6
4
.5
0
0
(03.600
245.600
357.700
217.400
250.000
209.000
133.200
269.800
476.400
398.500
270.400
376.600
299.600
225.700
2
4
2
.9
0
0
132.100
267.200
2
.
6
4
.
9
6
.
3
3
.
1
3
.
2
2
.
3
4
.
5
2
.
0
3.9
N
.Y
. STATE
8ergen
Essex
Hudson
Middlesex
Mon.outh
Morri5
Passaic
Somerset
Union
1
.318,100
2
_8
3
.
6
2
.
9
-・・・・ー“ーー---ーーーーーーー司・ーー------ーーー』声ーー------・ー-ー岨・ー・ー・ 4・
・ 4・・ー-・ーーーー・・・ーーーー・・ーーー----------
NEI
' JERSEY
Central Naugatuck
Great Bridgeport
Housatonic Valley
South Central
South Western
Valley
5.020.800
2
.550.800
2.689.400
3
.
5
260.300
307.200
。
1
9
2
.由
5
(1
.800
3
41
.700
81
.800
W2.800
140.200
83.800
273.300
2
0
4
.
.
0
0
0
28.500
119.600
1
51
.500
112.800
282.500
194.30日
(3.000
3
.
5
4
.
1
2
.
8
2
.
9
2
.
1
3
.
0
『・ー-----ーー-----ーー---・._--------・ーーー----・・・・ーーー・・』ーーーーーーーーーーーー--ー』ーーーーーー------ーーーーーーーーー・.
CONNECTlCUT
REGION
1
.725.700
832.600
903.700
3.0
1
8
.508.000
8
.
8
8
8
.9
0
0
9.200.200
3
.
8
片倉:ニューヨーク大都市圏の交通状況と交通計画
1の1
9
8
8年の統計データから以下のことが明ら
6
1
く,周辺地域から労働力がコミューターとして大
かに示されている。全地域は中心部の NewYork
量に流入していることが明らかである O さらに細
市
, NewYork郊外, NewJ
e
r
s
y州地域と Connec
部の各カウンティで比較すると,都心地区の
t
i
c
u
t州地域の 4地域に大別されるが,ニューヨー
NewYorkCounty (
M
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n
h
a
t
t
a
n島)の雇用者数は
ク市地域のみが常住労働力より雇用者数の方が多
常住人口全体よりもはるかに多く,周辺から大量
.•
の
we--e''avaua-守 宅
の通勤人口を受け入れる強力な都心地域となって
いることが明白である。また NewJ
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y1
十
│
と
C
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n
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t州地域にも雇用数が常住労働力を上
回るカウンティが存在し,それぞれの地域で通勤
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N
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C
T
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C
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制
人口を集中させる雇用中心副都心があること
を物語っている。
,
.
4‘
制E
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告
次の図 -2は大都市圏内の雇用数の推移を最近
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I
T
V
1
0年間について表わしたものである O これから地
M
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T
A
N
域の雇用数は少しずつだが着実に増加し,ニュー
D
1878 78 80 81
82 83 84 85 86 87 1888
V
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・
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司
図2
EMPLOYMENT i
(nm
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l
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l
ヨーク大都市圏の経済成長力を示している。また
特に周辺部の NewYork郊外部, NewJ
e
r
s
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y及び
C
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n
n
e
c
t
i
c
u
t州の地域での増加が大きいことがわ
0年
かる O 図 -3は人口の推移を示したもので, 7
代から 8
0年代初めまでは人口の減少ないしは停滞
0年代になって全体的に人口が
状態であったが, 8
増加してきていることが示されている。この傾向
j
j
l
J
:
:
;
:二
日
:
」
は都心地域の NewYorkCounty(
M
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n
h
a
t
t
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n
)にも
あてはまり, 7
0年代減少を続けていた人口は 8
0年
代に入って増加に転じ,徐々に人口を回復しつつ
あることが示されている(図-4)。
侃
一
一
61
1
7
.
5
司
I
1
9
7
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一一一一……….....一一… 1
.
ー
目
1蜘
ι
1~11
臨
1釦 1 捌
1臨
a
1鰯
1鉱7
3 ニューヨーク大都市圏の公共交通シス
ー,
1
郵 アA
花自白
図 3 POPURATION
TRI-STATEREGION
3
1 公共交通運営組織
ニューヨーク大都市圏はアメリカ合衆国で最も
単位・百万
平.
8
公共交通の発達した地域であり,公企業,私企業
7
.
7
1
・
ー
ー
7
.
6-
0の公共輸送機関の運営が行われ,
を合わせて約 5
7
.
5
非常に複雑なシステムを形成している O 運行機関
7
.
4
には国内最大の組織から数台の車両を運行する小
7
.
3
7
.
2
さな組織まであるが,この都市圏で重要な役割を
7
.
1
担う最大の組織は, TheM
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y(MTA)と NewJ
6
.
91
6
.
8
1
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7
8 1
9
7
9 1
9
8
0 1
9
8
1 1
9
8
2 1
鉛3 1
鈴4 1
鈴5 1
9
9
8 1
9
9
7 1
9
9
8
花同
図 4 POPURATION
NEWYORKCITY
p
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N
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)である O そのほかに多数の独
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fNewYorkand
立の私企業と P
NewJ
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r
s
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y(PANYNJ)カf
ある。 PANYNJはニュー
6
2
総合都市研究
ジャージーとニューヨークの都心
重要な路線となっている
(CBD)
4
3号
1
9
9
1
も重要な運輸組織である。その地下鉄システムは
を結ぶ
PAT H (Port Authority
米国最大の都市高速鉄道であり,また
NYCTAの
Trans-Hudson Transit System) を運営し,また空
パスシステムもニューヨーク市全域を運行し,米
港,橋,
国最大のシステムであろう。
トンネル等の地域の基幹的交通施設を所
郊外鉄道機関には
有,運営している。
ニューヨーク都市圏の交通システムを考える場
合
,
Rail Road (MNCR)
TheMetro-North Commuter
と The Long Island Rail Road
(LIRR)がある。 MNCRは 3本の路線を持ちニュー
M T A と N]T
ransitの 2大組織に加えて,こ
CBD の GrandCentral Terminal ~R から,
の地域の交通に実質的に重要な役割を果たしてい
ヨーク
る PANYNJの存在は絶対に忘れてはならないも
ニューヨーク市北側の郊外部とコネティカット州
のであろう。
の NewHaven とを結んでいる。
The Metropolitan Transportation Authority
LIRRは米国最大
の郊外鉄道で,ロングアイランドにある各郊外地
域から通勤客をニューヨーク市の 4ターミナル,
(MTA)
主としてマンハッタン中心部の
M T Aは交通機関を直接運行しているものでは
PennStationに運
ぶ路線である。
なく,その傘下の 6つの運行機関を行,財政的に
管理運営する組織である。次の図一 5は M T A と
The Triborough Bridge and Tunnel Authority
その運行機関との関係及ぴ各運行機関の行うサー
(TBTA)は交通運行機関ではなく,ニューヨーク
ビスの概要を示したものである。
市内の有料の橋とトンネルの運営,管理を行って
この中で,
The NewYorkCityTransitAuthor-
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入源として重要な役割を果たしている。
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もう一つの総合的な地域交通システムである
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tも MTAと同様に直接交通機関を運行
ビスの他は Manhattanと各地区とを結ぶ急行パ
するのではなく,下部組織の運行機関の傘の役割
スを運行しており,各社ともニューヨーク市から
を果たしているものである。図 -6に NJTransit
援助を受けている。
ニューヨーク州の郊外部やニュージャージー州
の組織構成を示す。
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や町が運営したり,補助したり,いろいろと複雑
おり, NJTransitBusOperationsはパスの運行が
な運営状況にあり,郡(カウンティ)によって異
主体であるが,ライトレールの Newark市地下鉄
なっている。ニュージャージーの私パスは Man
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nのポートオーソリテイパスターミナルまで
(NewarkC
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れぞれニュージャージー州にある郊外部から
Newarkと Hobokenを通って Manhattanに連絡す
る路線となっている。この Hoboken及び Newark
急行パスを運行しているものがあり, PANYNJか
らパス車両の貸与を受けている。
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と Manhattanとの聞に PANYNJの運営する鉄道
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にもニューヨーク州とニュージャージー州を連絡
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t以外の公共交通運行機関は
する 4本の橋と 2つのトンネルを所有,運営し,
図一 7に示されているものがある。各機関はそれ
両州の交通上重要な役割を呆たしている。これら
ぞれ独立に運営しているのであるが,この図では
の有料施設の通行料金は PATHの鉄道経営の赤
総合都市研究
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図 7 OTHERTRANSITSERVICES
字を補填する重要な収入源となっている。
さ ら に Port Authority Bus Terminal,Journal
PANYNJは JFK, Newarkの国際空港を含む 4
Square Ttansportatin Center,George Washington
つの空港と 2つのヘリポートを保有し,西欧最大
Bridge Bus Station の 3 つ の パ ス タ ー ミ ナ ル と
:
湾をはじめ,コンテナーターミナ
のコンテナー港i
NewYorkUnionMotorTruckTerminalのトラッ
ル,マリンターミナル,漁港などこの地域の 8つ
クターミナルを運営し,このニューヨーク都市圏
の重要な港湾施設を所有し,運営している。
(NY-NJMetropolitanArea) の重要な交通拠点施
RAPIDTRANSITANDSUBURBANRAILFACIL
lTIES AsofDecember3
1,
1988
表 -2
EJectrified
Revenue
Route-Miles
Rapid Transit
NonElectrified
Revenue
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41
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NonElectrified
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Electrified
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と
- - NON~ELECτRlflED SERVICεs
にこァーしニ~
- - NEWYORKMETROPOL
lτANTRANSPOf
司τATIONCOUNCll-
図 8 NEWYORKMETROPOL
lTANTRANSPORTATIONCOUNCIL
設をほとんどすべて管理していることになる。
3
3 乗車旅客数の推移
そのほかに地域経済開発の拠点として, Wor
1d
この地域の公共交通機関利用客数の推移をこの
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rの建築物施設と
3つのイ
は異なるが,全体としては 8
0年代初めまで減少し
ンダストリアルパークを所有,運営しており,ま
続けてきた公共交通機関利用者数が, 8
0年代半ば
さにこの地域の総合的な地域(経済)開発機関と
からわずかに増加してきている傾向にある。次の
なっている。
図 -9は交通機関(モード)別にこの傾向を表し
たもので,パスは減少を続けており,微増傾向は
3
・2 鉄道路線網
鉄道によるものであることがわかる。図ー 1
0,図
表 -2 は ニ ュ ー ヨ ー ク 大 都 市 圏 (TSRPC
-11は主要な交通運行機関別の傾向を示してい
R
e
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n
) の都市高速鉄道の路線延長,電化延長,
る。これらの図からも最近鉄道が微増し,パスは
駅数を示したものである。郊外鉄道はまだ電化さ
減少傾向にあることが明らかである。特にニュー
れていない区聞が多く残っており,上の郊外鉄道
ヨーク市の NYCTAでは地下鉄旅客の増加傾向と
の路線図(図-8) で細い線が非電化区間を示し
パス旅客の減少傾向がはっきり示されている。な
ている。
お利用客数は増加したが,運行車両数の増加等の
6
6
総合都市研究
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図1
2
サービスの改善によって運行費用も増加してお
り,全体として交通機関の経営状況は負債が増加
プにおける乗用車交通のシェアは最も大きいだけ
し,悪化を続けているのは変わらない(図一 1
2参
でなく,今なお増加しつつある。この地域でも,
照
)
。
自動車交通に対する対策が交通計画上の主課題で
あり,地域全域としては具体的なプロジェクトで
4
. 自動車交通量予測と交通計画
は道路計画,とくに維持改善計画が中心となって
いる O
公共交通機関がよく発達しているニューヨーク
大都市圏
(Tri-State Region)
においても,人の
移動の大部分は乗用車で行われている。全トリッ
この地域では 1
9
6
3年にホームインタビュー調査
がなされて以来,パーソントリップ調査も,
OD
調査も行われていないので,詳細なトリップデー
片倉:ニューヨーク大都市圏の交通状況と交通計画
6
7
タは得られないが, 1
0
年毎のセンサス時にサンプ
ニューヨーク市も 8
0年以後は増加を続けて,過去
リング(12%) で通勤交通のデータが収集されて
の値を上回ったばかりでなく,最近年は経済成長
いる(ちなみに 1
9
9
0年はセンサス年)。
に応じて他の地域よりも急激な成長率 (
2.1%増)
地域全体の交通計画はこれまで TSRPC (3州
地域計画委員会)によって行われてきたが (3)(4)
9
8
8年には 2
0
0
万台を越えた。
を示し, 1
1
9
8
2年の TSRPC解消後はその後継機関となった
諸活動にとって,道路ネットワーク上最も重要で
交通量データについては,この大都市園地域の
NYMTC (ニューヨーク都市圏交通委員会)が,
この地域の統計データの整理と,道路交通量予測
を行っている。具体的な交通計画,あるいは実務
DAILYTRAFFICONRIUERCROSSING
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) は分割された各機関によって,そ
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1
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'
1
.2寸
タントを中心に大都市圏全域についての将来予測
や計画を行っているようである。
ここでは現在最も整理されたデータのある
NYMTCのレポート (5)によってその道路交通量予
測と交通計画について紹介する。
-"'--金一ー合ー--i>
~__-ð;
二
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自 .8 -1全ホ.,.~.:.六..十:-4;'-:-:-:-:",:'::':
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4
1 自動車登録台数と道路交通量の推移
きびしい状況にある主要渡河リンクの合計日交通
0
年間の自動車登録台数の推移は図← 1
3に
この 1
量 (ADT) を示した(図 1
4
)。これらの渡河リ
示すように一貫して増加を続けてきており,大都
ンクは地域の中心部 M
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a
nへの到達,通り
9
8
8年に 1千万台を越えた。 1
9
7
0
市圏域の台数は 1
抜け,あるいはバイパスするためのリンクで,多
年代に人口の減少から自動車台数も減少を見た
くは橋梁区間,一部はトンネル,フェリーである。
この図から渡河交通量も増加を続けてきており,
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5年から頭打ちの傾向を示しているものの, 8
8年
はまた伸びており,道路交通需要の高いことが明
らかであろう。
10
4
・2 道路交通量予測
串
大都市圏全域の交通量予測に関するデータは,
1
9
7
9年に TSRPCによる技術中間報告“ Highway
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"(6)がある。 1
2
0
1
5年まで 5年おきに,自動車登録台数と白動車
トリップエンド数の予測値が用意されている。各
地区の自動車交通量データすなわち日走行車両マ
イル (
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l-VMT) や平均旅
行速度はこの車両トリップエンド数をインプット
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Speed
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New York
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3.960
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3.775
3
9
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2
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7
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1
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Kings
2
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3
4
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5
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9
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1
3
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2
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Queens
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3
6
.
3
7.563
15.4
3
.5
7
3
9
.
8
Richmond
1
.5
0
6
41
.1
2.187
1
8
.
4
1
.125
.5
11
a
表 -4 EstimatedD
a
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yVMTi
nthousands(
O
O
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)andAverageSpeed(mph)
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4
VMT
Speed
VMT
New York
4.767
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2
.2
4.672
Bronx
4.119
3
7
.
9
2.805
Kings
3
.1
9
8
3
2
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6.300
Queens
8.201
37.4
Richmond
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:Speed
ー
'
8
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17
一
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・
VMT
:Speed
6
.
8
1.175
1
6
.
3
1
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9
.
7
1
2
.
2
3.001
8
.
5
1
4
.4
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9
.
3
5
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1
0
.
3
15.
I
Source: Highway Evaluation Model (
H
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M
)
; 5/31/90 a
n
d 6/1/90
c
o相l
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u
t
e
rr
u
n
s
.
データとして,交通量配分モデルを用いたコン
計するものである。 AZTAP は CATS (Chicago
ビュータ計算結果の推定値として求められてい
AreaTransportationStudy) で用いられたモデル
る
。
の改良版とのことであるが,局部の地域を詳しく
上 の 表 -3, 4はその例として道路種類別に日
推定するため任意の地域範囲や道路ネットワーク
車両マイル (VMT) と平均旅行速度をニューヨー
を指定できる交通シミュレーションプログラム
ク市の各カウンティについて推計した結果を示し
パッケージである O これらの配分モデルの詳細に
たものである。ニューヨーク市全体では日車両マ
ついては明らかではないが, AZTAPがメッシュ
イル (VMT)は1990年
, 2015年で,それぞれ 50,
624,
データを基本として任意のスタデイエリアに適用
58,
364千台マイルとなる。 1985年 の 推 計 値 が
できることのほかは,重力モデルを基本とする事
47,
132千台マイルであったので,過去 5年間の年
で,従来の交通量配分モデルの方法と変わらない
間伸び率, 1
.5%に対し, 1990年から将来 25年間
ものと思われる。従って,車両走行台マイル
の伸ぴ率は年 0.55%と予測していることになる。
交 通 量 配 分 モ デ ル に は Highway Evaluation
(VMT) は,現在値も含めてすべて自動車トリッ
フoエンド数から推計値(計算値)として求められ
Model (HEM) と Adaptable Zone Transportation
ており,
AssignmentPackage(AZTAP)がある。 HEMは車
重要なものとなっている。
両台マイル (VMT) の推計値をニューヨーク州
道路局で提供している州段階の広域 VMTデータ
(コントロールデータ)に整合するようにして推
トリップエンド数の推計方法が基本的に
結論的にいうと,地区の土地利用状況を加味す
るものの,自動車トリップエンド数は車両登録台
数に基づいて算出される需要量として求められ,
片倉:ニューヨーク大都市圏の交通状況と交通計画
フローダイアグラム
6
9
道路交通量予測プロセス
図-15
ノfーソントリップデータに基づき交通機関分担率
単位のレベルで集計した値を求めて,コントロー
(または交通機関選好率)を考慮、して求められた
ルトータルで補正したうえで,平方マイル単位の
ものではない。すなわちトリップエンド数の予測
メッシュデータに分配している。推計結果の例と
は現在の自動車保有及び利用傾向に基づいて純粋
1
6に
, 2
0
1
5年のトリッフ。エンド分布図を
9
8
0
年
, 1
9
9
0年と変化はない。
示す。分布の状況は 1
の需要量として求められており,そこには自動車
して図
交通の発生を抑制したり,コントロールする考え
ニューヨーク市のほかニュージャージー州にも広
は含まれていない。
範囲の交通集中地点がみられ,コネテイカット州
図 -15はこの将来予測の方法のフローダイヤグ
ラムを示したものである。人口データにより車両
では地区中心毎に小さな高密度地点がある。
なおトリップ発生率の値は, 1
9
6
3年のホームイ
登録台数を求め,それに車両あたりトリップ発生
ンタビ、ュー調査を基準に,全米の車両あたり年間
率(ニューヨーク市 2
.
2
3,郊外部 3.
4
4トリップ
走行距離の推計データ等からニューヨーク市,郊
/日/乗用車)を乗ずる方法で,車両別に各地区
外部分とも現在最大利用状況に達していると仮定
の発生量を求める。それを建築物床面積密度の
て定めたものであり,都市部,郊外部の自動車利
データによって交通集中量を分配して各地区のト
用に対する限界値として,わが国の将来交通量推
リップエンド数を求める。まず,カウンティ(郡)
定にも参考になろう。
7
0
総合都市研究
4
3
号 1
9
9
1
2
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∞
∞
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問
RANGE
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図 -16
4
3 交通計画,交通改善プログラム
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nCou町 i
l(NYMTC)が圏域中心部 (Manhattan)
ニューヨーク大都市圏の交通計画は T
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を 含 む 下 部 ニ ュ ー ヨ ー ク 州 都 市 園 地 域 (The
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) につ
て 1975年 9月に出版された“ M
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y
,, (
3
)を原点としている。それ以来毎年改訂再確
いて新しい総合的な計画を準備中である。その暫
定交通計画として NYMTCは1989年 9月 TSRPC
9
8
1年には TSRPCによって 2
認を加えており, 1
のT
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nの 改 訂 版 に 相 当 す る 報 告 書
度目の報告書が出版された。 1982年 TSRPCが解
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"(7)を作成した。この報告書の対
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消した後は,分割したそれぞれの地域の M
象地域は NYMTCの圏域内のみであるが,ニュー
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n (MPO) が調
ヨーク大都市圏の中心地域 (CBD) を含み,現在
整機関となり,各地域,各機関毎に具体的な交通
この都市圏に対する最新の交通計画を代表してい
改 善 計 画 (TIP… T
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n Improvememt
るものである。この計画は,地域内の各部分地域
Program) をたてているが,圏域全体についての
の管轄機関 (
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) や主要交
まとまった計画は発表されていない。現在
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通運行機関である MTA (TheM
TSPRCの業務の多くを引き継ぎ事実上の後継組
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) が作成した計画を積み上げ
織となった NewYorkM
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-
るプロセスで作成されたものである。報告書は基
片倉:ニューヨーク大都市圏の交通状況と交通計画
7
1
本的な総合目標と交通システムに対する計画上の
3
0
となり,私企業は車両の取得,運行,維持に 6
特定目的を整理して示し,この交通計画の基本的
億ドルの出費が必要と見積もられている。
な概念や特質を示した上で,短期的,及び長期的
この計画案 (
M
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-M
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y)の具体的プロジェ
に交通施設や交通運用を改善する具体的な提案を
クトに表れているように現在の交通計画上の主要
行っている。
三つの総合目標を 1
0項目の特定目的を挙げて整
な動きは現実の問題の解決,対策であって,個々
の交通機関・組織の個別対応であるとしてよいだ
理しているが,この計画内容の本質的な考え方は,
ろう O むしろ 7
0年代までの交通機関の悪化に対し
既存交通システムの機能回復,改良,維持計画で
て,その機能回復が主体であって,将来を展望し
ある。新規路線の建設設置よりは現状の改善に重
た全体としてのガイドラインの基づくものはほと
点をおくことを第 1としており効率向上のための
んどないといえる O
TSM (
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) の活
動及び環境改善をこの計画の本質 (
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)と
5
. おわりに……都市の開発と交通計画
してとりあげている。従って,道路,鉄道等の新
設はほとんどなく,既存システムのインフラスト
ニューヨークは自動車交通の発達以前に都市の
ラクチャーの機能回復(リハビリテーション)と
骨格構造がほほ完成した都市である。自動車交通
交通施設の近代化,高度化及び交通システム全体
が非常に発達してしまったアメリカ社会にあっ
の総合化を図る改善計画が,主要な課題となって
いる。
て,それ以前に建設された都市交通施設がどう使
われているか,又道路交通状況がどうなっている
全体的な整理として各目的別に判断基準項目
かを知りたいというのが本調査の出発点であっ
(
c
r
i
t
e
r
i
a
),現状,ターゲット及び¥今後 5年間
た。当初,道路の自動車交通はおそらく一種の平
の優先プロジェクトとその後の将来プロジェクト
衡状態あるいは飽和状態に達しており,公共交通
に対する資本投与項目と運営上の戦略事項を一覧
機関の改良が進んでいるか,または新たな改善,
表として記載している。その内容は特に目新しい
整備計画があるのではないかと予想していた。も
事項もなく,細部にわたるのでここでは省略し,
しそうであれば,ニューヨークの交通状況のデー
特定計画目的としてあげられている項目を以下に
タは今日急激なモータリゼーションによって,道
示す。
路交通が飽和状態になってきた東京をはじめとす
① 既存システムの保全
るわが国の大都市の都市交通施設整備に非常に有
②
用な参考となるであろう。
安全と治安の改善
① 財政安定性の確保
ところが以上に述べたように,ニューヨークの
④ 環境悪化の低減
都市地域においても自動車交通は今なお増加傾向
⑤ 交通輸送の統合化
@ 高度化システムの要素
を見せ,必ずしも飽和状態に達したとはいえない。
⑦ 最適な交通機関の選択の推進
共交通の大規模な改善,整備計画を有しているわ
③
けではない。
交通混雑の低減
@ 効率性と性能の増進
⑬ 効率的な土地利用の支援
また公共交通機関の優先策をとってはいるが,公
都心地域で公共交通網の発達していたニュー
ヨークでもやはり都市圏全体としては道路交通が
具体的な計画プロジェクトとしては各地域毎に
中心となっており,特に郊外地域では低密度居住
改良計画事業をリストアップし,それに必要な費
の完全な自動車依存型社会を形成している。その
用の見積りを示している。今後 5年間の交通改善
ため,ピーク時間帯の通勤交通には道路交通混雑
計画 (
T
I
P
) としては,政府関連機関では公共交
のためやむなく公共交通機関を利用するが,それ
通機関に 3
2億ドル,道路に 3
0
億ドルの費用が必要
以外の交通には自動車を利用するライフスタイル
7
2
総合都市研究 43号 1991
となっている O その結果,公共交通機関は部分的
や発展の源泉となっているようにも思われる。一
にしか利用されず,経営の改善は進まない。また
方,郊外部の膨張や自動車交通の混雑は,少なく
都市地域での自動車利用が制約されてくると,都
とも道路施設について,その供給能力から交通需
市活動が郊外地域に立地するようになっており,
要をコントロールする都市開発が必要ではないか
郊外部の道路交通混雑が強まってきている。郊外
と思わせる。
部の開発は道路交通に依存する形態となっている
今後,都市開発のあり方について,特に地域地
ので,今後いっそう郊外地域の道路交通混雑が激
区制度については,交通需要の量と質を交通施設
化することが明らかである。住民の需要に沿って
の供給能力とのバランスを考慮して制御する方法
フリーウェイの延伸,整備が進み,時間距離が短
を含めた検討が必要であると思うものである。
縮されればされるほど,遠距離の低密度の住宅地
開発が拡大する。それがまた雇用中心や業務地区
の交通混雑を悪化させる結果となっている O これ
はちょうど東京都市圏の鉄道網について鉄道の延
参考文献
l.角本了平,
1
9
8
7
都市開発と交通運輸システムとの相互作用関係
2
. 大阪市立大学経済研究所,
1
9
8
7
は明かな事実であり,非常によく問題とされるこ
とである。しかし,郊外部の住宅地開発にしても,
都心業務地区の再開発にしても,都市活動の交通
3
.T
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gCommission,
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YorkTSRPC,
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gCommission,
1
9
8
1
チャーは,その整備に多額の費用と長い期間を必
要とする。そして都市開発に当たっては先行的に
整備するべきとされている。しかし都市の交通施
5
. NYMTCS
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t(
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n
),
1
9
8
9
設に関していえば,これまで多くの場合,需要に
を予測してはいるのだが,需要追従には違いない。
ば,その供給能力を越えて立地することがある。
IREGIONAL TRANSPORTATION STATUS
1
9
8
8
J NewYorkM
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.Bergman),
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9
8
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これに対し住宅や,産業の立地は比較的自由に
短期間に可能なため,ある程度の交通施設があれ
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ろうか。もちろん交通計画にあっては,新規需要
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J New
ランスについて,総合的にかつ定量的に十分検討
道路や大量輸送機関などのインフラストラク
I
世界の大都市 4 ニューヨーク j
東京大学出版会
需要をトータルな交通施設の供給処理能力とのバ
された計画はほとんどない。
-21世紀に向かつてー」
晃i
羊書房,ほか
伸と東京都心部の混雑と類似した関係といえよ
つ
。
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都市交通
IHIGHWAYTRAVELFORCAST 1
9
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ニューヨークの都心部マンハッタンの都市活動
や変貌を観るとき,自由な都市開発は都市の活力
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片倉:ニューヨーク大都市圏の交通状況と交通計画
KeyWords (キー・ワード)
Transpo同a
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nSystems(交通輸送システム), NewYorkM
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ク大都市圏), R
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pTrend (公共交通利用傾向), RapidT
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t (都市高速鉄道),
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t (道路交通量予測), T
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n (交通改善計画), AutomobileDependence(自動車依存),
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UrbanDevelopment (都市開発)
7
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総合都市研究
7
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