「ガイドライン 2005」版 座間市消防署 座間市緑ヶ丘6−1−15 ☎ 046(256)−2211 あなたにもできる『心肺蘇生法』 し ん ぱ いそ せ い ほ う 1「心肺蘇生法(CPR) 」ってなぁに? 「心肺蘇生法(CPR)」とは、倒れている人や怪我をしている人(以下、 「傷病者」という) が「意識が無い」 「呼吸をしていない」 「心臓が動いていない」等と判断された時に、 その傷病者の呼吸、循環を補助し傷病者を「救命」するために行う「手当」です。 「心肺蘇生法(CPR)」を行うにあたっては、まず傷病者を充分に「観察」「判断」し、適 切な手順に従って手当てを行う必要があります。 2「心肺蘇生法」の手順 1)意識の確認 傷病者が発生又は発見したら、まず傷病者の「意識があるのか?」「無いのか?」を確 認します。しかし、そのためには周囲に危険が無いことを確認し、その後傷病者に近づ き「もしもし?」「大丈夫ですか?」等と問いかけながら傷病者の肩を軽く叩きます。 これを『呼び掛け反応』と言います。(図1) 2)応援の要請 傷病者が『呼び掛け反応』に対し、反応(目を開ける、応答する等)が無ければ大声 で「誰か来て!」と応援を求めます。応援者が来たら、「この人意識がありません、119 番をして救急車を呼んでください」と 119 番通報依頼します。(図2)更に応援者が居る 場合は、「※AEDを持って来てください」と依頼します。※AEDはP6参照 (図2) 傷病者発見! (図 1) 「AEDを持って来て下さい!」 ※『AED』自動体外式除細動器 「もしもし、大丈夫ですか?」 「AED を持ってきました!」 1 あなたにもできる『心肺蘇生法』 3)呼吸の確認・気道確保(頭部後屈・あご先挙上法) 次に、傷病者が「呼吸をしているのか?」を確認します。そのためには傷病者の「気 道」(空気の通り道、気管)が閉鎖している場合があるので、『気道確保』を行います。 この時、傷病者のあご先を上方に向け、頭部を後屈させます。これを『頭部後屈・あご先 挙上法』と言います。(図3)『気道確保』が出来たら傷病者の鼻と口に自分の耳を近づ け、胸の動きを観察しながら傷病者の呼吸状態を「目で見て、耳で聞いて、頬で感じ」 10 秒以内に呼吸の有無を確認します。(図4) (図3) (図4) ぜっこん ち ん か 「舌根沈下」している ため気道を確保します 「見て、聞いて、感じて」 『頭部後屈・あご先挙上法』 4)人工呼吸(口対口人工呼吸法) あえ 傷病者の呼吸が「普段どおりではない時」や「喘ぎ呼吸」(死戦期呼吸とも言う)の時 は、『人工呼吸』を実施します。(図5)この際、直接傷病者に口を付けるのでハンカチ 等で傷病者の口を覆い、直接口を付けない方法を用いるのが望ましいです。『人工呼吸』 の方法は『気道確保』を継続しながら傷病者の鼻をつまみ、傷病者の口を自分の口で覆 うようにし、ゆっくりと(約 1 秒間)傷病者の胸が上がる程度の量を 2 回吹き込みます。 (※救助者が出来ない場合は省略可能です) (図5) ⇒ ⇑⇑⇑ 『気道確保』を実施しながら ゆっくりと胸が上がる程度の量を吹き込む (2回) 2 あなたにもできる『心肺蘇生法』 5)心臓マッサージ(胸骨圧迫法・心臓マッサージ) 傷病者に『普段どおりの呼吸』が無かったら『心臓マッサージ』を開始します。 『心臓マッサージ』で圧迫する位置(目安)は、 「胸の真ん中」です。 「胸の真ん中」とは、 概ね乳頭と乳頭を結ぶ線の真ん中ですが、必ずしも圧迫部位を探すために傷病者の衣 服を脱がせる必要はありません。(図7)圧迫方法は圧迫部位を探していた手を探し当 てた手に重ね、傷病者から見て垂直になるよう真上から胸骨が4∼5㎝沈むまで、し っかり圧迫します。 (図8) 『人工呼吸』2 回に対し『心臓マッサージ』30 回の割合で、 1 分間に 100 回のペースで、他の救助者と交代するまで行います。 (図7) 30:2 (図8) 真上から押す。 救助者は疲れてなくても約2分 で交代するのが望ましい。 【心臓マッサージの断面図】 心臓マッサージは・・・ 『強く、速く、絶え間なく!』 胸を押す力と緩める力の割合は1:1 【不適切な例】 肘は曲げない。 垂直に押さなければ 効果はありません。 3 あなたにもできる『心肺蘇生法』 3「※小児・乳幼児の心肺蘇生法」手順 ※ここで言う小児とは約 1 歳以上、約 8 歳未満を言う。 1)意識の確認 成人の方法と同様に『呼び掛け反応』を確認します。 2)応援の要請 成人の方法と同様に『応援の要請』を実施します。但し、通報と同時又は先(救 助者が 1 人の場合)に2分間の『小児・乳幼児の心肺蘇生法(CPR) 』を実施 してください。 3)呼吸の確認 成人の方法と同様に『気道確保』、『呼吸の確認』を実施します。 4)人工呼吸(口対口人工呼吸) 成人の方法と同様に『人工呼吸』(口対口人工呼吸)を実施します。 5)心臓マッサージ(胸骨圧迫法・心臓マッサージ) 『心臓マッサージ』については成人と方法が異なります。圧迫位置は基本的に成 人と同様で、乳頭間を結ぶ胸骨上となり、乳幼児では乳頭間を結ぶ胸骨直下となり ます。又、圧迫方法は小児が片手となり、乳幼児にあっては中指と薬指の 2 本となります。圧迫する深さは胸の厚み約 1/3 で、回数は成人と同様に 1 分間/ 100 回のペースで 30 回実施します。(図 10)(図 11) (図 10)小児の圧迫方法 (図 11)乳幼児の圧迫方法 小児・乳幼児の場合は…まず、 2 分間の「心肺蘇生法」を実施! 4 あなたにもできる『心肺蘇生法』 傷病者発見(発生)! 周囲の状況を確認! 小児・乳幼児の場合は「CPR」を (2 次的災害状況) 2 分間実施してから通報! 意識の確認 ※「AED」については 1 歳以上 「呼び掛け反応」 大声で叫ぶ、助けを求める 反応なし!⇒ 回復体位※にして 様子を見守りながら 専門家の到着を待つ 「意識が無いので、119番通報を!」 「AED」を持って来てもらう 呼吸をしている 気道確保を実施 呼吸を確認 呼吸をしていない!(10 秒以内に確認) ※回復体位 「普段どおりの呼吸」が無ければ「心肺停止」とみなす 人工呼吸を実施 感染防護具を使用することが望ましい 胸が上がる程度 ※人工呼吸が出来ない場合は省略可能 心臓マッサージ開始 胸骨圧迫 30 回+人工呼吸 2 回 「AED」が到着、専門家が到着 または傷病者が動くまで実施 30:2 「AED」到着! 「AED」の使用手順に従い操作する 傷病者に誰も触れていない事を確認し、電気ショックをかけること 電気ショックが必要無ければ、直ちに「CPR」を再開する 小児の場合は「小児用パッド」を使用し、1 歳未満には使用しない 5 あなたにもできる『心肺蘇生法』 「心肺停止」状態の傷病者は心臓が痙攣した状態(以下『心室細動』という)に陥 っている場合があります。そこで、その『心室細動』という状態を取り除くのは「電気 ショック」が最も効果的です。この「電気ショック」(以下「除細動」という)をかけ る機械を『自動体外式除細動器・AED』と言います。(図 12)この機械は電源を入れる と、救助者が行う「AED」操作方法を、音声にてガイダンスを実施します。 ①傷病者周囲の確認 傷病者の周囲に「水」 「金属」が無いことを確認します。 (図 12) ⇓ ②「AED」の電源を入れます ⇓ ③「AED」ケーブルの確認 電気が流れるケーブルが正しく接続されているか確認します。 ⇓ ④傷病者衣服の取り除き ⇓ ⑤傷病者に電極パッドを装着(図 13) この時、傷病者の胸部に「汗」「胸毛」「貼付薬」「金属」「ペースメーカー」が無いこと を確認して下さい。 (図 13) ⇓ ⑥「AED」の自動解析 電極パッドを装着すると「AED」は自動的にその傷病者に 「除細動」が必要か解析します。この時、「患者に触れないで 下さい」とメッセージが流れますので傷病者には誰も触れな いように注意して下さい。(図 14) ⇓ ⑦「除細動」を実施 「AED」から「除細動が必要です」のメッセージがあると充電を開始します。充電が完了 すると「通電ボタンを押して下さい」とメッセージが流れますので、再度傷病者に誰も触 れていないことを確認し、通電ボタンを押して「除細動」を実施して下さい。(図 15) (図 14) (図 15) 「あなたよし! わたしよし!」 「除細動」を掛ける時は 「除細動!」と声を掛 けること 6
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