株式会社日本取引所グループ Oracle Customer Snapshot OTC清算における証拠金シミュレーション・システムの リアルタイム更新を実現、ユーザーアクセス数が10倍に 向上、グローバルレベルで競争力を強化 「中期経営計画の重点課題の1つであるOTC清算ビジネスの拡大に向け、Oracle GoldenGateを導入してOTC清算システムの証拠金シミュレーション 機能を拡充しました。データベース間のリアルタイム連携により、参照する金利情報やポジション情報の鮮度が飛躍的に向上したことで、清算参加者が より精緻な情報をタイムリーに取得できるようになりました。業務オペレーションの短縮化・低コスト化を実現し、競合に対する優位性も得られています」 ― 日本取引所グループ 株式会社東京証券取引所 IT開発部 課長 箕輪 郁雄氏 日本取引所グループは、上場企業時価総額 が世界で3指に入る、アジア最大規模の金融商 品市場インフラを提供する持株会社である。 2013年1月、東京証券取引所グループと大阪 証券取引所との経営統合により誕生し、東京 証券取引所、大阪取引所、日本取引所自主規制 法人、日本証券クリアリング機構の4社から構 成される。2013 ~ 2015年度の中期経営計画 では、 「新しい日本株市場の創造」 「デリバティ ブ市場の拡大」 「取引所ビジネス領域の拡大」 の3つを重要戦略として掲げ、 「アジア地域で もっとも選ばれる取引所」を目指して事業を 推進している。 課題 • 中期経営計画における重要戦略の1つである 「取引所ビジネス領域の拡大」 を受け、取引所 を通さず証券会社の店頭でデリバティブ商 品を相対取引するOTC(Over The Counter) の清算ビジネスの強化を軸に据え、最新のIT 技術を最大限に活用しながら収入源の多角 化実現に取り組む •日本証券クリアリング機構が2011年から稼 動させているOTC清算システムは、取引にあ たり証拠金を事前に預託するため、清算に参 加する大手金融機関や証券会社などに提供 している証拠金のシミュレーション機能の 精度を高め、その利用率を向上させることで OTCビジネスのさらなる活性化を図る • ITを競争力の源泉と位置づけ、中期経営計画 を策定、その に合わせて 「ITマスタープラン」 一環としてリアルタイムのトレーディング 量やポジション情報に基づく証拠金シミュ レーション・システムを構築して、競合相手 である海外の大手取引所に対する優位性を 獲得、激しさを増しつつある国際的な市場間 競争に勝ち抜ける力を備えた、金融商品市場 インフラの確立を推進する • 従来の証拠金シミュレーション機能で使用 していた金利情報やポジション情報は、日次 のバッチ処理により基幹データベースから シミュレーション用データベースに複製さ れた前日のデータだったため、ユーザーであ る金融機関や証券会社が最新の情報を利用 し、より精度の高い金額を算出して顧客に提 示できるよう新たなシミュレーションの仕 組みを導入する ■ OTC(Over The Counter:店頭)清算システム • 既存のシステムでは、ミッションクリティ カルな基幹システムに影響を及ぼさないよ う、基幹データベースからシミュレーション 用データベースに片方向データ送信をおこ なっていたが、この仕組みを変えることな く、シミュレーションに使用する情報の鮮度 を高めながら、セキュリティも担保する方法 を採用する • 今後の市場動向を見据え、プロジェクトの スタートから8か月 (2014年3月から11月上 旬まで) という短期間で新たな証拠金シミュ レーション・システムを稼動させる 導入効果 • Oracle GoldenGateによるほぼリアルタイ ムのデータ同期により、最新の情報に基づ く証拠金のシミュレーションでより精度の 高い金額を計算できるようになり、清算参 加者の金融機関や証券会社がそれまで余分 に準備していた証拠金を運用などに回すこ とが可能になったため、ユーザーからの評 価が高まった • 新システムを構築してシミュレーション機 能の精度が格段に向上したことで、OTC清 日本取引所グループ 株式会社 東京証券取引所 IT開発部 課長 箕輪 郁雄氏 算ビジネスの強化、ひいては将来の拡張性 の道を拓いた • 海外の他取引所が運用する同種のサービス と比較して、情報の鮮度がこれほどリアル タイムに近い証拠金シミュレーション・シ ステムはなく、競合相手に対する優位性を 確立できた • シミュレーション用のデータベースと基幹 データベース間でデータのコンフリクトが 発生した場合も、Oracle GoldenGateのCDR (Conflict Detection and Resolution)機能に よりトラブルを最小化することができた • 従来と同様、基幹データベースとシミュ レーション用のデータベースが相互に独立 した形で、前者から後者に片方向でデータ が送られるため、シミュレーションの実施 による基幹データベースへの影響をゼロに 抑制、また同時に高度なセキュリティも確 保できた • Oracle GoldenGateを導入して、基幹データ ベースとシミュレーション用の外部データ ベースを連携させることにより、多大なコ ストを投じてシステム全体を新規に構築す ることなく、既存の仕組みを活かした証拠 金シミュレーション機能を約8か月で実現 できた オラクル選定理由 従来の手法の延長ではデータをリアルタ イムで同期させることが難しく、また海外の 取引所と同じ技術を使用してシステムを構 築するとコストがかかりすぎるため、ソフト ウェアによる課題解決を前提とした複数の 製品を比較・検討した。その結果、2台のデー タベース間でほぼリアルタイムの同期がお こなえるOracle GoldenGateを導入すること に決定した。またオラクルの提案力や要件 への対応力も高く評価された。 「Oracle GoldenGateの素晴らしいところは、 データベースに格納された情報の『守らなけ ればならない領域』と『外部に出してよい領 域』を完全に分けられるうえに、ほぼリアル タイムに配信することができる点です」 ― 日本取引所グループ株式会社 東京証券取 引所 IT開発部 課長 箕輪郁雄氏 導入プロセス 2014年1月に、新たな証拠金シミュレー ション・システムの検討を開始。社外パー トナー企業のメンバーを含むプロジェクト チームにおいて、バッチ処理の回数増加や ストレージ機能による制御といった複数の 手段を比較・検討したうえで、2014年5月に Oracle GoldenGateの採用を決定し、システ ムの導入を開始。箕輪氏は、 「 システム構築 はトライ&エラーで進め、方針変更も含め柔 軟に対応しながら正解を探っていましたが、 新たに発生した課題に対し、随時オラクルか ら適切なソリューションが提案されたこと がプロジェクトを成功に導いた大きな要因 の1つです」とオラクルの支援を評価する。 プロジェクトに参画した日立ソリューショ ンズ株式会社の村上氏も同様の評価で、2014 年11月にカットオーバーを迎えたあとも、オ ラクルは現場が抱える難しい課題を一緒に 考え、投げかけた質問に俊敏に回答するなど 万全のサポート体制でプロジェクトを支え 続け、障害による停止などのトラブルのない 安定稼動に貢献している。 Oracle Customer 株式会社日本取引所グループ ・URL:www.jpx.co.jp/ ・業種:Financial Services ・年間売上:1,162億5,100万円(2014年3月期) ・従業員数:1,161人(2014年3月末現在) オラクル製品とサービス • Oracle GoldenGate (本事例は2015年3月のものです。) Copyright © 2015, Oracle. All rights reserved. *Oracle と Java は、Oracle Corporation およびその子会社、関連会社の米国およびその他の国における登録商標です。 文中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標である場合があります。 Published June 2015
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