1 - 日本通所ケア研究会

特集1
デイの特徴を生かした運動器機能向上プログラム
1 3 神経難病の方に対する
運動リハビリテーション
(医)川瀬神経内科クリニック
通所リハビリテーション かわせみ
川瀬 弓子
通所リハビリテーション かわせみ とは
川瀬神経内科クリニック通所リハビリテー
ションかわせみ(以下、かわせみ)は、神経難
病、特にパーキンソン病・脊髄小脳変性症・脳
血管障害後遺症の会員様(ご利用者)に対する
運動リハビリテーションを目的に、2003年1月
より活動を開始した川瀬神経内科クリニック
(以下、当院)の通所リハビリテーション事業
事業所概要
名称:(医)川瀬神経内科クリニック
通所リハビリテーションかわせみ
1日定員:20 名
スタッフ数:9 名 介護職 6 名
(
看護職 1 名
PT 2 名
)
所です。
かわせみでは、理学療法士の運動プログラム
はもちろん、パーキンソン病の運動障害に対す
るリハビリテーションとして体を動かす腹臥位
ヴィヴ
ラ
ヴィ
療法やvive la vie体操、「頭を使い五感を生か
し、楽しむ!」がテーマの樫の森プログラム
(「樫の森」とは認知症を対象とした当院の通
所リハ施設)を行い、会員様に「あれをした
い!これもしたい!」と感じてもらいながら、
ADL向上を目指しています。
Vol.154 月刊デイ 61
かわせみのプログラム
かわせみでは、下記のようなプログラムを実施しています。
〈かわせみプログラム〉
〈樫の森プログラム〉
●
腹臥位療法 ● 室内レク
●
vive la vie体操
● 音楽活動
(
●
有働尚子先生創案の音楽運動療法。
パーキンソン病の方を対象にしたテン
ポの早い体操です
個別の運動指導
(
寝返り、起き上がり、四つ這いからの
立ち上がり、ストレッチ など
●
筋トレ
●
歩行訓練
(
片足立ち、もも上げ歩行、バランス歩
行、横歩き、後ろ歩き など
●
段差昇降
●
バランス訓練
)
)
● ミュージックケア
● シアター
● カラオケ
● 園芸
● 料理
● 造形
● お出かけ
)
上記のようなプログラムを週替わりで行っています。
積極性をリハビリ効果につなげる運動プログラム
神経内科併設の通所リハとして、当院で会員
一人ずつ号令をかけて声を出してもらいなが
様の有病率の高い、パーキンソン病の方のリハ
ら行うので、発声練習にもなります。
ビリを継続して行っています。
また、午後から行っている樫の森プログラム
かわせみには、軽度~重度のさまざまな症状を
もリハビリとしての役割を持っています。プロ
持つ方が参加されているため、単なる筋トレだけ
グラムを立案するスタッフが週替わりで各々の
でなく、個別の運動指導を実施し、日常生活の
得意分野のプログラムを提供しています。音楽
中で必要な動作である寝返り、起き上がり、四つ
や造形で発揮される集中力や想像力。ミュー
這いからの立ち上がり、自宅でも行えるストレッ
ジックケアや室内レクリエーションで見られる
チなどを継続して行っています。また、かわせ
協調性。お出かけの際の意外な行動力など、ど
みの独自性が高いものとしては、腹臥位療法や
のプログラムでも共通して、楽しみながら体を
vive la vie体操(音楽運動療法)があります。
動かす姿が見られます。
これらは、介護スタッフごとに個性や視点が
このように、ご自身でやってみたいと思う積
違うため、その都度変化があり、マンネリ化
極性が、いつの間にかリハビリ効果につながっ
することなく楽しんでいただけます。また、
ています。
62 月刊デイ Vol.154
特集1
デイの特徴を生かした運動器機能向上プログラム
腹臥位療法
かわせみでは、以下のような腹臥位療法を行っています。
長枕を用いた半腹臥位
腰が曲がっている場合の腹臥位療法
【姿勢のとり方】
【姿勢のとり方】
① 顔の下にはタオルを厚めに敷いておきます。
① 頭には硬めの小さい枕を使用します。
体格に合わせて、肩に負担がかからないようにし
ます。
② 枕やタオルで鼻と口がふさがらないようにします。
③ マヒがある場合はマヒ側を上にします。
② 腰が曲がっている、関節が硬いなどで体が浮いてしま
うときは枕、
クッション、座布団などで隙間を埋めます。
③ 足関節の部位にクッションや座布団、丸めたタオル
などを当て、関節が伸びきらないようにします。
④ U字型枕などを用いて、顔を横に向けなくても楽に
呼吸ができるようにします。
④ マヒ側の腕で長枕を抱くようにします。
⑤ 骨盤を下向きにします。
⑤ 肘をはった形にし、手のひらを下向きにします。
⑤ 骨盤下向き
U字型枕
① 硬めの
小さい枕
② 鼻と口が
塞がらないように
(窒息注意!)
③、
④ マヒ側を上に
健側
患側
vive la vie 体操
Vive la Vie体操の「Vive la Vie」
とは
フランス語で「人生万歳!」
という意味
があり、
フランスで行われていたパー
キンソン病の方を対象とした音楽療
法をベースに、有働尚子先生がアレ
ンジして作られた音楽運動療法です。
この運動は1分間に120拍程度のリ
ズムに乗って体を弾ませたり、ひねっ
たりします。
このスピードに合わせる
ことで、パーキンソン病の症状である
「筋固縮」の改善に効果があるとさ
れており、実際に会員様に実施した
ところ、
「体が軽くなった」
「すっきりす
る」
といった感想をいただきました。
また、ゆったりとした音楽の部分で
は、柔軟性や背すじを伸ばすように意
識する運動を行います。かわせみで
はこのプログラムを、集団プログラム
として継続して実施しています。
Vol.154 月刊デイ 63
書類例 ①
● 利用初回に実施し、その後も評価の際に使用しています。
● その会員様に提供しているプログラムを、今後も継続して提供するかどうかの指標とします。
かわせみプログラム評価スケール
整理番号
プログラム名
会員氏名
評価日
様
年 月 日 曜日
評価者
1 リハビリ後、気分・表情が良くなっている
0 いいえ
1 はい
2 楽しんでいる様子・言動がある
0 いいえ
1 はい
3 穏やかに過ごしている
0 いいえ
1 はい
4 自分・他人の気分を盛り上げようとする
0 いいえ
1 はい
5 人を楽しませようとする言動・行動がある
0 いいえ
1 はい
6 苦手なことにも手を出せた
0 いいえ
1 はい
7 緊張していない
0 いいえ
1 はい
8 自分の症状を理解した上でリハビリに取り組んでいる
0 いいえ
1 はい
9 とにかくやってみる、やっている
0 いいえ
1 はい
10 周りに気遣い・心遣いをしている
0 いいえ
1 はい
合計
点
2009.12 作成
64 月刊デイ Vol.154
「お役立ちツール CD10 月号」に
収録しています
「お役立ちツール CD10 月号」に
収録しています
鍛えた
声かけ
説明
流れ
声かけ 待機
説明
開始
水分
結果
発表
14:00
14:05
14:15
14:40
14:55
走らせる
大胆に
水曜日
1人ずつ前へ ・司会
紙コップを ・進行
押し出す ・1人3個
紙コップを押す
・最終合計点
待機
を見る
・介助
・盛りあげ
・移動
・水分
実演
場所作り
転がる
一緒に
笑う
高得点
ギリギリ
遠くで
止まれば
¥1,000
土曜日
金曜日
ナ
キ
会
100
200
300
ビ
配置図:ホール・食堂・その他
カラオケ
木曜日
ナイト:□□
勢い
9月
笑い
8月
ビショップ:△△
水モノ
力を
合わせよう
会員動き キング動き スタッフ動き
紙コップ、
ゴルフ球
タイム
厚紙台紙
準備品
予 算
腕力と
ゲーム勘
1 年間
大胆に走らせる
火曜日
月曜日
( 樫の森/かわせみ )
PT、OTコメント
ねらい
内容
AM/PM
涼しさ
7月
お隣さんとくっつこう
6月
キング:○○
大げさに!
!
プログラム名 ギリギリランニング
絵を見る
内容・ねらい
元気
5月
繋がりをつくろう!
!
イメージ
4月
全体
月間テーマ
年間テーマ
11月
積極的
あの人とくっつこう
・足下注意
・落下
その他・注意点
・得点記入
・移動介助
ナイト役割・関わり方
・盛りあげ
の弱い方の介助
・紙コップを押す力
ビショップ役割・関わり方
思い
浮かべよう
想像力
10月
個人 広げよう
1月
3
2月
3月
冬の遊び
大胆に
冬を広げよう 自分広げよう
19 ( )
月 ∼ 月 日
3 24 ( )
土
月 日
正月
デッサン
デザイン
備考
いろいろなことが起こるのですね。西部劇のバーカウン
ターのイメージでしたか?
4 月 日 印
10
事務長
試行錯誤のゲームだったようですが、日によって結果の違
いがあるのは、何の加減だったのでしょうか。ちょっと力
加減が難しいゲームだったようです。
3 月 日 印
28
看護
今一度工夫をして、今度こそ会員様の力加減でゲームが行
えるようにできるといいなぁ。
4 月 日 印
2
介護
上手にできるように、会員さんたちも力加減を変えたりし
て、考えるように取り組んでいました。たまには、そうい
うのも良いかと思います。
3 月 日 印
29
PT/OT
紙コップのすべり具合は良かったが、会員さんが手を離す
という動きが難しかった様子。途中から坂道を作ったら良
い具合に改善されました。
3 月 日 印
26
自己評価
感謝祭
楽しみ
12月
23
3
レクリエーション
○○
プログラムシート 樫の森・かわせみ 平成 年度 月 担当プログラム 担当者: 院長印
特集1
デイの特徴を生かした運動器機能向上プログラム
書類例 ②
● それぞれのプログラムを担当するスタッフの計画・役割・評価などを記載しています。
● この書類を使うことによって、よりよいプログラムを実施します。
Vol.154 月刊デイ 65