お支払管理態勢への取組み

お支払管理態勢への取組み
保険金等支払管理態勢の強化
保険金等のご請求手続きにあたり、病気やお怪我の内容
から、お客さまがご加入いただいているご契約の保障内容
を確認し、関連する各種給付金等について幅広くご案内
できるよう
「案内システム」
を開発しました。
また、請求可能な給付種類をお客さま自身に確認いただ
くチェックリスト形式の帳票を契約内容通知とあわせて送
付しております。
ご要望に応じた適切な保険金等の請求案内について研修
を実施しています。
給付金支払審査システムの高度化
給付金支払査定の更なる精度向上・効率化を図るため
に、診断書の入力情報を精緻化し、キーワード検索を行う
等により、支払査定判断をシステム的にサポートする対応
を開始しました。
死亡保険金の支払査定事務について、
「 ワークフロー
システム」
を全面稼動させております。
保険金等のお支払いについての点検体制
21
苦 情 対 応 状 況 等に係る経 営 陣 への 報 告および
検討体制
保険金等の苦情の状況について、四半期ごとにCS向上
委 員 会で審 議し、定 期 的に取 締 役 会 等に報 告しており
ます。
外部専門家の委員で構成する「保険金等支払審
議会」での審議
お支払いサービスを一層向上させるため、外部専門家
(大学教授、弁護士、消費者問題専門家など)からの助言を
得て、
それを活かす仕組みとして
「保険金等支払審議会」
を
設置しております。
保険金などの支払査定の判断、妥当性の検証、見直し・
改善、
お客さまのご請求手続きの見直しの方向性等を定期
的に報告し、審議しております。
内 部 監 査 部 門による保 険 金 等 支 払 管 理 体 制の
監査
支払部門が実施した保険金等の支払査定、請求勧奨等
の適切性について内部監査を実施し、監査結果を定期的に
取締役会等に報告しています。
データ編
日常的な支払事務において支払漏れを防止するために
「支払検証システム」
による点検をしています。
また、ご請求時に提出していただいた診断書に書かれて
いる内容を全てデータ化し、他の保険金・給付金の支払
事由に該当する可能性がないかを検索する
「請求勧奨シス
テム」
を活用して支払済事案を点検し、必要に応じて請求
勧奨を実施しています。
保険金等の支払・支払非該当件数(理由別内訳を含む)
等について、半期ごとに取締役会等に報告しております。
CSRを支える経営体制
「死亡保険金ワークフローシステム」の全面稼動
保 険 金 等の支 払 状 況 等に係る経 営 陣への報 告
および検討体制
住友生命のCSR
向上を図っております。
また、全営業職員、拠点事務担当者を対象に、
お客さまの
外弁護士へご相談いただける制度をご用意しております。
年度の業績
保険金等支払管理部門に所属している職員全員が 、
社団法人生命保険協会主催の「生命保険支払専門士」の
試験を受験し、資格取得を目指しています。
さらに、体系的
な査 定 者 教 育の体 制を構 築し、支 払 査 定 能 力の更なる
保険金等のお支払いに関するご相談について、
お客さま
によりわかりやすく丁寧なご説明を行うために、専用の
相談窓口を開設し、専任の担当者が直接お客さまからの
ご相談を受け付けております。
さらに、そのご説明でもご納得いただけない場合は、社
平成
支 払 担 当 者および 営 業 職 員 等 への 研 修および
教育体制について
保険金等のお支払いに関する「相談窓口」
「 社外
弁護士による無料相談制度」について
経営基本方針
ご請求手続き案内の体制について
平成21年度 保険金等のお支払状況について
【a.
保険金等のお支払件数】
【b.
保険金等のお支払非該当件数】
保険金
給付金
合 計
お支払件数
275,530件
2,491,295件
2,766,825件
(注)
1.
上記件数は、
お支払理由ごとに集計しております。
2.保険金には満期保険金を含み、給付金には生存給付金や団体年金の
一時金を含みます。
区分
事由
支払事由に非該当
免責事由に該当
告知義務違反による解除
詐欺による無効
不法取得目的による無効
重大事由による解除
その他
合計
保険金
給付金
合 計
1,178件
465件
66件
0件
0件
1件
0件
1,710件
7,367件
277件
305件
0件
0件
1件
0件
7,950件
8,545件
742件
371件
0件
0件
2件
0件
9,660件
組織の概要
区分
(注)
1.上記の件数は、
ご契約単位に集計しています。
2.上表におけるお支払非該当理由のご説明は次のとおりです。
REPORT SUMISEI 2010
19
お支 払 管 理 態 勢 への 取 組み
経営基本方針
平成
年度の業績
21
事由
概要
支払事由に
非該当
約款では、保険金・給付金ごとにお支払いする事由を定めております。ご請求いただいた内容がこのお支払する事由に
該当しない下記のような場合は保険金・給付金のお支払対象となりません。
例)高度障害状態の原因となった事故や疾病が、
ご契約の責任開始前のものであったとき
免責事由に
該当
約款では、保険金・給付金ごとにお支払できない事由を定めております。ご請求いただいた内容がこのお支払できない
事由に該当する下記のような場合は保険金・給付金のお支払対象となりません。
例)責任開始の日から起算して3年以内の被保険者の自殺により、
または保険契約者・被保険者・受取人の故意により、
被保険者が死亡し、死亡保険金を請求されたとき
告知義務違反による
解除
ご契約のときに、故意または重大な過失により告知いただいた内容が事実と異なる場合、ご契約を解除することがあり
ます。
この場合は、解約返戻金を保険契約者にお支払いいたします。
詐欺による
無効
ご契約のときに、保険契約者または被保険者の詐欺行為があった場合、保険契約は無効となります。
この場合は、払い
込まれた保険料は払い戻しいたしません。
不法取得目的による
無効
保険金・給付金を不法に取得する目的で保険契約にご加入された場合、保険契約は無効となります。
この場合、払い
込まれた保険料は払い戻しいたしません。
重大事由による解除
保険金・給付金を詐取する目的で事故を起こすなどの事由があった場合、
ご契約を解除することがあります。
保険金等の支払・支払非該当契約の具体的事例について(平成21年度 第4四半期)
【支払事例】
種類
事案概要
住友生命のCSR
くも膜下出血で器質性認知症となられ、既に早期ケア給付金を2回分お支払いしていたお客さまです。ご提出いただ
いた診断書および当社で実施した事実確認の結果から、見当識障害が継続して180日以上あり、要介護状態Aおよび
B*に該当することが分かりました。
このため、早期ケア給付金を3回分と介護保険金をお支払いし、治療費にお役立て
いただきました。
*要介護状態AおよびB…http://www.sumitomolife.co.jp/news/kaigo_kanwa.html
項目
早期ケア給付金
歩行
歩行器で支えなければ、自分で歩けない状態
一部介助
天井からひもを下げ、
それにつかまらなければ寝返りできない状態
一部介助
上着は自分で着ることができるが、
ズボンは介助してもらわないと着ることが
できない状態
一部介助
衣服着脱
全介助
CSRを支える経営体制
糖尿病で入院されたお客さまです。ご契約に入院保障充実特約を付保されていたため、入院給付金に加え、入院保障
充実給付金もお支払いし、治療費にお役立ていただきました。
子宮頚管ポリープで子宮頚管ポリープ切除術を受けられたお客さまです。入院中の手術ではありませんでしたが、
ご契約に総合医療特約*を付保されていたため、手術給付金をお支払いし、治療費にお役立ていただきました。
手術給付金
*総合医療特約では、公的医療保険制度の対象となっている手術を受けられたとき、入院外で受けた手術であっても給付金を
お支払いする旨、約款上定められております。なお、一部の種類の手術はお支払いの対象外となる手術があります。
【支払非該当事例】
事由
種類
事案概要
データ編
告知義務違反
による解除
死亡保険金
支払事由に
非該当
先進医療
給付金
支払事由に
非該当
白血病で亡くなられたお客さまです。
ご契約に加入される前から、白血病の治療をされていましたが、ご契約に
加入されるときにこの病歴を告知いただいていないことが判明いたしました。よって、告知義務違反により
ご契約は解除として、死亡保険金をお支払いできませんでした。
乳がんのお客さまです。先進医療の指定を受けている医療機関で、先進医療である
「センチネルリンパ節の
検査」
を受けられましたが、厚生労働大臣が定める施設基準に適合する病院ではなかったため、先進医療給付金
をお支払いできませんでした。
※先進医療給付金の支払対象となる先進医療技術名および実施している医療機関は、逐次変更されております。厚生
労働省ホームページにてご確認いただきますようお願いいたします。
手術給付金
リンパ節炎の治療で、
リンパ節摘出生検 *を受けられたお客さまです。ご契約に総合医療特約を付保されて
いましたが、
リンパ節摘出生検は、公的医療保険制度において保険給付の対象となる、医療診療報酬点数
表に手術料の算定対象として定められている手術ではないため、手術給付金をお支払いできませんでした。
*生検は公的医療保険制度において、手術ではなく、検査に分類されております。
組織の概要
保 険 金 等 の お 支 払 い に 関 する「 相 談 窓 口 」に つ い て
【a.
平成21年度
「相談窓口」
ご利用状況】
合計
利用件数(利用率)
217件
(2.3%)
保険金
48件
フリーダイヤル案内件数
9,557件
1,624件
【b.
主な支払非該当理由ごとの相談件数】
給付金
169件
7,933件
※対象となるお客さま:保険金・給付金をお支払いできなかったお客さま
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約款上の状態
浴槽に出入りできず、ベッドの上で身体をふいてもらわねばならない状態
寝返り
入院保障充実給付金
お客さまの状態
入浴
REPORT SUMISEI 2010
○:入院・通院・手術給付金支払事由非該当
○:障害給付金支払事由非該当
○:告知義務違反による解除
○:運動器損傷・顔面損傷給付金支払事由非該当
○:入院・通院・手術給付金免責事由該当
○:高度障害保険金支払事由非該当
○:早期ケア給付金支払事由非該当
○:特定疾病保険金支払事由非該当
67件
34件
25件
25件
11件
20件
8件
6件
お 支 払 管 理 態 勢 への 取 組み
社 外 弁 護 士 に よる 無 料 相 談 制 度 に つ い て
経営基本方針
【a.
「社外弁護士による無料相談制度」
ご利用状況】
平成21年4月∼平成22年3月
件数
3件
【b.
「社外弁護士による無料相談制度」
具体的事例】
(平成19年1月∼)
事由
データ編
組織の概要
高度障害
保険金
【事案の概要】
昭和58年6月に解約されたお客さまから、昭和52年11月に高度障害状態に該当していたとの理由で、平成20年11月に高度障害
保険金の支払いと支払手続き遅延に伴う損害賠償金の支払いのご請求がありました。高度障害保険金をお支払いした後、損害賠
償金のお支払いはできないとご説明しましたがご了承いただけず、社外弁護士との相談をご希望されました。
【お客さまの主張】
保険料の集金担当者が、毎月自宅を訪問しながら被保険者が高度障害状態に該当していた事実を把握せず、保険金請求の案内を
しなかったことについて、高度障害状態になった当時に保険金を受け取っていれば得られたはずの利益を損害賠償してもらう必要
がある。
【住友生命の主張】
被保険者が高度障害状態であったことを知ってから、
すみやかに必要書類をご案内して高度障害保険金をお支払いしており、当社
に遅延損害賠償責任はないと考える。
【社外弁護士の対応状況】
社外弁護士は、
お客さまの主張に対して、
「特別な事情がある場合は別として、保険会社に対して被保険者の健康状態を常に把握
することに法的な義務を課すとなると、莫大な時間とコストがかかるものであろうし、現実的ではないと考える。」旨を説明した。
以上の説明に対して、
お客さまは納得されず、保険金等支払審議会での審議を希望された。
【保険金等支払審議会での審議結果】
当社に保険金の請求案内まで行うべき法的な義務までは認められず、特段の事情も認められないことから、不法行為は成立せず、
慰謝料請求にも応じる必要はない。
CSRを支える経営体制
支払事由に
非該当
災害入院
給付金
【事案の概要】
歩道橋から転落し給付金を請求された事案
【お客さまの主張】
転落したとき目撃者がなく、本人の記憶もないのに、重大な過失なのか。無意識に家の縁側から庭に降りるつもりで、歩道橋から落
ちたのではないか。万一のときに役立つのが生命保険ではないのか。
【住友生命の主張】
受傷の状況より、歩道橋(高さ約6m)から柵(高さ約1.
2m)
を乗り越えて左足から落下したことによる受傷と判断せざるを得ず、
「重大な過失」
にあたる。
また、
もし意思能力がない精神状態であった場合は、
「精神障害の状態を原因とする事故」
となり、
いずれも
約款に定めらている事由により免責となる。
【社外弁護士の対応状況】
客観的状況等から歩道橋から落下したことは認定でき、故意、
または重大な過失により免責となる可能性が高い。
また、無意識に転
落した場合は、別の免責事由に該当する可能性がある。訴訟になれば免責が認められる可能性がかなり大きい。但し、保険会社側
にさらに第三者加害の可能性がないこと等の立証を求め、和解勧告となることも可能性として考えられないではない。
以上をお客さま宛説明したところ、
「和解の可能性があるかを確認して欲しい」
との申出があったため、住友生命に和解の可能性に
ついて照会した。
住友生命から、事件性が無いと確認していること等より、第三者加害の可能性は極めて考えにくく、和解は出来ないとの回答が
あったため、
お客さまへ伝えた。
お客さまは、
これまでの説明に納得出来ないため、保険金等支払審議会での審議を希望された。
【保険金等支払審議会での審議結果】
受傷状況から、歩道橋から柵を乗り越えて左足から落下したものと考えられる。柵を乗り越えて落下すれば怪我をするのは理解
できることであり、今回の行為は「重大な過失」
に該当するものと判断される。
もし、柵を乗り越えたときに、意識がもうろうとしていたなど、転落後の危険を予測できない状態であれば、
「精神障害の状態を原因
とする事故」
と判断せざるを得ない。
第三者加害の可能性については、警察でそのような事実を把握していない点と、受傷状況等からみて考えにくい。
本人の記憶もなく、目撃者もいない状況だが、十分に事実確認を実施しており、上記いずれかのお支払いできない場合に該当する
と判断せざるを得ない。
住友生命のCSR
免責事由に
該当
高度障害
保険金
【事案の概要】
認知症により自分の意思では歩くことができない状態であることから、高度障害保険金を請求された事案
【お客さまの主張】
認知症による徘徊は自分の意思で歩いているわけではなく、障害物を避けることも出来ない。
これは高度障害状態の一つである
「中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの」
にあたる。
【住友生命の主張】
自分の意思で歩いているわけではないものの、
自力で歩くこと自体はでき、約款に定められている高度障害状態「中枢神経系・精神
または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの」
には該当しない。
【社外弁護士の対応状況】
当該保険の性格上、高度障害の認定は約款に定められている
「中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に
介護を要するもの」
という文言をそのままに判断してなされるべきであり、客観的に自力で歩くことができる状態であるため支払事
由に該当すると判断することは難しいと思われる旨を説明。
※約款上、
『「常に介護を要するもの」
とは、食物の摂取、排便・排尿・その後始末、
および衣服着脱・起居・歩行・入浴のいずれもが
自分ではできず常に他人の介護を要する状態をいいます。』
と定められております。
21
年度の業績
支払事由に
非該当
災害入院
給付金
【事案の概要】
自宅4階のベランダから転落し入院給付金を請求された事案
【お客さまの主張】
夫と口論になり、
ついカッとなってしまいベランダから転落したことによる入院。免責事由に該当すると言われても、長年掛けてきた
保険から給付されないのは納得がいかない。
【住友生命の主張】
自ら柵を乗り越えて飛び降りた結果入院したものであり、約款上、災害入院給付金をお支払いできない場合として定められている
「故意または重大な過失」
に該当するためお支払いの対象にはならない。
【社外弁護士の対応状況】
自ら飛び降りる意図があったかどうかは主観的な問題であり断定することは難しいが、通常人の注意を払えば落ちることがない
状況下で、結果的に柵を越えて転落したという客観的な状況から、少なくとも約款に定められている
「重大な過失」
はあったと判断
せざるを得ない旨を説明。
平成
免責事由に
該当
事案概要
種類
※お客さまの同意が得られた事例につきまして掲載しております。
REPORT SUMISEI 2010
21