アロフト 錠20mg - 田辺製薬販売株式会社

2007 年 10 月改訂(第 5 版)
日本標準商品分類番号 871249
医薬品インタビュ-フォ-ム
日本病院薬剤師会の IF 記載要領(1998 年 9 月)に準拠して作成
指定医薬品
処方方せん医薬品
筋緊張性疾患治療剤
®
アロフト 錠20mg
®
AROFUTO Tablets 20mg
(アフロクアロン製剤)
剤
規
一
形
格・含 量
般
名
製造・輸入承認年月日
薬価基準収載
・発売年月日
開発・製造・輸入
・発売・提携・
販売会社名
糖衣錠
1 錠中アフロクアロン 20mg 含有
和 名 :アフロクアロン (JAN)
洋 名 :Afloqualone (JAN)
製 造 承 認 年 月 日 :2007 年 3 月 6 日
薬 価 収 載 年 月 日 :2007 年 6 月 15 日
発 売 年 月 日 :1983 年 2 月 3 日
製造販売元:田辺三菱製薬株式会社
担当者の連絡先・
電話番号・FAX 番号
本IFは 2007 年 10 月改訂(第 7 版)の添付文書の記載に基づき改訂した。
IF 利用の手引きの概要-日本病院薬剤師会-
1.医薬品インタビューフォーム作成の経緯
当該医薬品について製薬企業の医薬情報担当者(以下、MRと略す)等にインタ
ビューし、当該医薬品の評価を行なうのに必要な医薬品情報源として使われてい
たインタビューフォームを、昭和 63 年日本病院薬剤師会(以下、日病薬と略す)
学術第 2 小委員会が「医薬品インタビューフォーム」(以下、IFと略す)とし
て位置付けを明確化し、その記載様式を策定した。そして、平成 10 年日病薬学
術第 3 小委員会によって新たな位置付けとIF記載要領が策定された。
2.IFとは
IFは「医療用医薬品添付文書等の情報を補完し、薬剤師等の医療従事者にとっ
て日常業務に必要な医薬品の適性使用や評価のための情報或いは薬剤情報提供
の裏付けとなる情報等が集約された総合的な医薬品解説書として、日病薬が記載
要領を策定し、薬剤師等のために当該医薬品の製薬企業に作成及び提供を依頼し
ている学術資料」と位置付けられる。
しかし、薬事法の規制や製薬企業の機密等に関わる情報、製薬企業の製剤意図に
反した情報および薬剤師自らが評価・判断・提供すべき事項等はIFの記載事項
とはならない。
3.IFの様式・作成・発行
規格はA判、横書きとし、原則として9ポイント以上の字体で記載し、印刷は一
色刷りとする。表紙の記載項目は統一し、原則として製剤の投与経路別に作成す
る。IFは日病薬が策定した「IF記載要領」に従って記載するが、本IF記載
要領は、平成 11 年 1 月以降に承認された新医薬品から適用となり、既発売品に
ついては「IF記載要領」による作成・提供が強制されるものではない。また、
再審査及び再評価(臨床試験実施による)がなされた時点ならびに適応症の拡大
等がなされ、記載内容が大きく異なる場合にはIFが改訂・発行される。
4.IFの利用にあたって
IF策定の原点を踏まえ、MRへのインタビュー、自己調査のデータを加えてI
Fの内容を充実させ、IFの利用性を高めておく必要がある。
MRへのインタビューで調査・補足する項目として、開発の経緯、製剤的特徴、
薬理作用、臨床成績、非臨床成績等の項目が挙げられる。また、随時改訂される
使用上の注意等に関する文書、緊急安全性情報、Drug Safety Update(医薬安全
性対策情報)等により薬剤師自らが加筆、整備する。そのための参考資料として、
表紙の下段にIF作成の基となった添付文書の作成又は改訂年月を記載してい
る。なお適正使用や安全確保の点から記載されている「臨床成績」や「主な外国
での発売状況」に関する項目等には承認外の用法・用量、効能・効果が記載され
ている場合があり、その取扱いには慎重を要する。
目
Ⅰ.概要に関する項目
1.開発の経緯 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2.製品の特徴及び有用性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
Ⅱ.名称に関する項目
1.販売名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
2.一般名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
3.構造式又は示性式 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
4.分子式及び分子量 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
5.化学名(命名法) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
6.慣用名、別名、略号、記号番号 ・・・・・・・・・・ 2
7.CAS 登録番号 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
Ⅲ.有効成分に関する項目
1.有効成分の規制区分 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
2.物理化学的性質 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
3.有効成分の各種条件下における安定性 ・・・・ 3
4.有効成分の確認試験法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
5.有効成分の定量法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
Ⅳ.製剤に関する項目
1.剤形 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
2.製剤の組成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
3.製剤の各種条件下における安定性 ・・・・・・・・ 5
4.他剤との配合変化(物理化学的変化) ・・・・ 6
5.混入する可能性のある夾雑物 ・・・・・・・・・・・・ 6
6.溶出試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
7.製剤中の有効成分の確認試験法・ ・・・・・・・・・ 7
8.製剤中の有効成分の定量法 ・・・・・・・・・・・・・・ 7
9.容器の材質 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
10.その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
Ⅴ.治療に関する項目
1.効能又は効果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
2.用法及び用量 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
3.臨床成績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
1.薬理学的に関連ある化合物又は化合物群・ ・ 10
2.薬理作用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
Ⅶ.薬物動態に関する項目
1.血中濃度の推移・測定法 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
2.薬物速度論的パラメーター ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
3.吸収 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
4.分布 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
5.代謝 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
6.排泄 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
7.透析等による除去率 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
次
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
1.警告内容とその理由 ・・・・・・・・・・・・・・・・・14
2.禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む) ・・・14
3.効能・効果に関連する使用上の注意
とその理由 ・・・・・・・14
4.用法・用量に 関連する使用上の注意
とその理由 ・・・・・・・14
5.慎重投与内容とその理由 ・・・・・・・・・・・・・14
6.重要な基本的注意とその理由及び処置方法 14
7.相互作用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
8.副作用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
9.高齢者への投与 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
10.妊婦、産婦、授乳婦等への投与 ・・・・・・・・・・15
11.小児等への投与 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
12.臨床検査結果に及ぼす影響 ・・・・・・・・・・・・15
13.過量投与 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
14.適用上及び薬剤交付時の注意(患者等に
留意すべき必須事項等)・・・・・・・15
15.その他の注意 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
16.その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
Ⅸ.非臨床試験に関する項目
1.一般薬理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
2.毒性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
Ⅹ.取扱い上の注意等に関する項目
1.有効期間又は使用期限 ・・・・・・・・・・・・・・・・18
2.貯法・保存条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
3.薬剤取扱い上の注意点 ・・・・・・・・・・・・・・・・18
4.承認条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
5.包装
6.同一成分・同効薬 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
7.国際誕生年月日 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
8.製造・輸入承認年月日及び承認番号 ・・・・18
9.薬価基準収載年月日 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
10.効能・効果追加、用法・用量変更追加等
の年月日及びその内容・・・・・・・・・・18
11.再審査結果、再評価結果公表年月日及び
その内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
12.再審査期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
13.長期投与の可否 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
14.厚生労働省薬価基準収載医薬品コード ・・・・・19
15.保険給付上の注意 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
ⅩⅠ.文献
1.引用文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
2.その他の参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
ⅩⅡ.参考資料
主な外国での発売状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
ⅩⅢ.備考
その他の関連資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
Ⅰ. 概
要
に
関
す
る
項
目
1.開発の経緯
長年にわたり、田辺製薬では Quinazoline あるいは Quinazolinone 誘導体の研究をして
きた。そしてある種の 6-aminoquinazolinone 誘導体に強い筋弛緩作用のあることが判
明し、多数の誘導体、関連化合物が合成され、スクリーニングの結果、アフロクアロン
が見出された。
2.製品の特徴及び有用性
・ 動物実験において筋緊張異常亢進の改善作用が認められている。
① マウスによる筋弛緩作用。
② ネコによる脊髄反射電位抑制作用。
③ ラットの実験的固縮緩解作用。
・ 脊髄切断ネコによる実験において、神経-筋接合部に対する作用は認められなかった
・ 内服後速やかに吸収され、効果を発揮する。
1)
。
総症例 15,884 例中、副作用が報告されたのは 413 例(2.6%)で、主な副作用は発疹 0.40%、
脱力感 0.33%、ふらつき・めまい 0.32%、眠気 0.29%であった。(再審査終了時)
1
Ⅱ. 名
称
に
関
す
る
項
目
1.販 売 名
(1)和 名:アロフト® 錠 20mg
(2)洋 名:Arofuto®Tablets 20mg
(3)名称の由来:成分の一般名による。
2.一 般 名
(1) 和 名(命名法):アフロクアロン(JAN)
〔第 15 改正 日本薬局方収載〕
(2)洋 名(命名法):Afloqualone(JAN)
3.構造式又は示性式
4.分子式及び分子量
C16 H14 N3 OF:283.30
5.化学名(命名法)
6-Amino-2-fluoromethyl-3-(2-tolyl)- 3H-quinazolin-4-one(IUPAC)
6.慣用名、別名、略号、記号番号
HQ-495
7.CAS 登録番号
56287-74-2
2
Ⅲ.有
効
成
分
に
関
す
る
項
目
1.有効成分の規制区分
指定医薬品、処方せん医薬品
2.物理化学的性質
(1)外観・性状:
白色~淡黄色の結晶又は結晶性の粉末である。
においはなく、光によって徐々に変化する。
(2)溶解性:
アセトニトリルにやや溶けやすい。
エタノール(99.5)にやや溶けにくい。
水にはほとんど溶けない。
(3)吸湿性:なし。
(4)融点(分解点)、沸点、凝固点:融点:約 197℃(分解)
(5)酸塩基解離定数:pKa:約 2.65
(6)分配係数:
クロロホルム層の
水層の
緩衝液の pH アフロクアロンの量(%) アフロクアロンの量(%) 分配係数
1.15
93.1
6.9
14
3.00
約 100.0
0
∞
5.00
約 100.0
0
∞
第1液(pH1.2)
95.3
4.7
20.3
第2液(pH7.5) 約 100.0
0
∞
(7)その他の主な示性値:
旋光性はなし。
吸光度: E1%1cm(λmax 231nm)≒1160
E1%1cm(λmax 310nm)≒546
[溶媒:無水エタノール]
3.有効成分の各種条件下における安定性
温度:安定である。
湿度:安定である。
光 :室内散光下、褐色瓶では、36 ケ月後も変化を認めなかったが、無色瓶では、
6 ケ月後に外観の変色と透過率(T%)の低下を認めた。
太陽光線下では、褐色瓶では 2 ケ月保存後からわずかな外観の変色と透過
率の低下を認めた。
3
4.有効成分の確認試験法
日本薬局方「アフロクアロン」による。
5.有効成分の定量法
日本薬局方「アフロクアロン」による。
4
Ⅳ. 製
1.剤
剤
に
関
す
る
項
目
形
(1)剤形の区別及び性状:
アロフト錠 20mg
剤
形 糖衣錠
規 成分
1 錠中
格
含量
性
状
サイズ
外 観
アフロクアロン 20mg 含有
白色の糖衣錠
直径:7.9mm 厚さ:4.2mm 重さ:0.21g
(2)製剤の物性:
硬 度:約 6kg/cm2 以上
崩壊性:日局/一般試験法/崩壊試験法(2)錠剤により試験を行う時、
これに適合する。
(3)識別コード:TA 007(錠剤表面)
2.製剤の組成
(1)有効成分(活性成分)の含量:1 錠中アフロクアロン 20mg 含有
(2)添加剤:日薬連発第 712 号(平成 13 年 10 月 1 日付)に基づき、添加物全成分を記載。
アラビアゴム、カルナウバミツロウ、サラシミツロウ、酸化チタン、ジメチルポリ
シロキサン、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、タルク、炭酸カルシウム、
トウモロコシデンプン、二酸化ケイ素、白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、Dマンニトール
3.製剤の各種条件下における安定性
・長期保存試験
性
状
外 観
イニシャル
白色の糖衣錠
室温 褐色瓶 白色の糖衣錠
遮光
24 ケ月 PTP*
白色の糖衣錠
内部
白色
白色
確認試験
適
適
含 量(%)
99.4~100.2
99.1~ 99.8
白色
適
98.9~100.7
*橙赤色のPTP
5
・過酷試験
イニシャル
40℃ 褐色瓶
遮光 (密栓)
12 ケ月
PTP*
室温 褐色瓶
遮光 (開放)
75%RH
24 ケ月 PTP*
40℃ 褐色瓶
遮光 (開放)
75%RH
6 ケ月
PTP*
褐色瓶
(密栓)
室内
散光
PTP*
12 ケ月 無色
透明瓶
(密栓)
性
状
外 観
内部
白色の糖錠
白色
40℃
温度・
湿度
25℃
75%RH
500
Lux
室
温
光
含量(%)
99.4~100.2
淡褐色
白色
適
99.1~100.2
微淡褐色
白色
適
99.2~100.2
白色
白色
適
99.4~99.8
白色
白色
適
98.5~99.5
微淡褐色
白色
適
99.2~101.8
微淡褐色
白色
適
100.5~101.0
白色
白色
適
99.2~101.8
白色
白色
素錠表
面微
淡褐色
適
100.5~101.0
98.6~99.0
白色
・開封後の安定性
保存期間
保 存 条 件
温度
確認試験
適
性状
イニシャル
6 ケ月
白色の糖衣錠
イニシャル
6 ケ月
イニシャル
90 万
Lx・hr
120 万
Lx・hr
白色の糖衣錠
変化なし
変化なし
白色の糖衣錠
変化なし
表面が
微淡褐色
適
含
量
99.8%
98.7%
硬
度
5.9kg
6.3kg
崩壊
試験
4-5 分
5-7 分
99.8%
100.3%
98.9%
99.1%
5.9kg
6.1kg
5.9kg
5.9kg
4-5 分
5-7 分
4-6 分
4-6 分
98.4%
5.8kg
3-7 分
備
考
遮光気
密容器
開放
気密
容器
気密
容器
4.他剤との配合変化(物理化学的変化)
資料なし
5.混入する可能性のある夾雑物
薄層クロマトグラフ法において、夾雑物は認められていない。
6.溶出試験
日本薬局方外医薬品規格アフロクアロン 20mg 錠溶出試験により試験を行う時、
これに適合する。
6
7.製剤中の有効成分の確認試験法
①芳香属第一アミンの定性反応
②紫外線照射により発生する青色蛍光による確認
③吸光度測定法
④薄層クロマトグラフ法
⑤高速液体クロマトグラフ法
8.製剤中の有効成分の定量法
クロロホルムで抽出し、無水カフェインを内部標準物質として高速液体クロマト
グラフ法により定量する。
9.容器の材質
PTP:ポリ塩化ビニル、アルミ箔
瓶(褐色のガラス)
10.その他
資料なし
7
Ⅴ.治
療
に
関
す
る
項
目
1. 効能又は効果
○下記疾患における筋緊張状態の改善
頸肩腕症候群、腰痛症
○下記疾患による痙性麻痺
脳血管障害、脳性麻痺、痙性脊髄麻痺、脊髄血管障害、頸部脊椎症、後縦靭帯
骨化症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、外傷後遺症
(脊髄損傷、頭部外傷)、術後後遺症(脳・脊髄腫瘍を含む)、その他の
脳脊髄疾患
2.用法及び用量
アフロクアロンとして、通常成人 1 日量 60mg(3 錠)を 3 回に分けて経口投与する。
年齢、症状により適宜増減する。
3.臨床成績
(1)臨床効果:
一般臨床試験及び二重盲検比較試験において、痙性麻痺及びその他の筋緊張亢進状
態に投与され、いずれにおいても有用性が認められている。
疾患名
痙
性
麻
その他の
筋緊張状態
痺
脳血管障害
脳性麻痺
痙性脊髄麻痺
脊髄血管障害
頸部脊椎症
後縦靭帯骨化症
多発性硬化症
筋萎縮性側索硬化症
脊髄小脳変性症
外傷後遺症(脊髄損
傷、頭部外傷)
術後後遺症
その他の脳性疾患
その他のミエロパチー
計
頸肩腕症候群
腰痛症
計
総
計
有効率(%)
改善以上
43.8
75.0
26.3
100.0
39.3
29.6
50.0
33.3
18.2
35.9
やや改善以上
73.3
91.7
78.9
100.0
78.6
59.3
66.7
66.7
45.5
69.9
24
25.0
6
33.3
17
35.3
475 例(131 例) 40.0%(38.2%)
73
42.5(41.9)
170
51.8(47.5)
75.0
33.3
58.8
72.4%(75.6%)
74.0(74.2)
81.8(77.5)
395 例(136 例)
870 例(267 例)
74.7%(76.5%)
73.4%(76.0%)
症例数
176
24
19
3
56
27
6
3
11
103
8
46.1%(49.3%)
42.8%(43.8%)
(2)臨床薬理試験:認容性試験
健常成人 10 名に対し本剤初回 10mg、1 週間後 20mg 又は 40mg を各単回投与した
が、一般症状、血圧、脈拍数及び臨床検査所見に影響は認められなかった。
また、5mg、20mg を 1 週間の間隔で単回投与及び 1 回 20mg を 1 日 3 回 7 日間投与
した結果も単回投与と同様の結果であった。
[神戸成美ら:薬理と治療 6(6)282~292(1978)]
[井奥匡彦:薬理と治療 6(6)277~281(1978)]
[社内資料]
注)本剤の用法・用量は 1 日 60mg を 3 回に分けて経口投与する。
(3)探索的試験:用量反応探索試験
資料なし
(4)検証的試験:
1)無作為化平行用量反応試験:資料なし
2)比較試験:
全国 72 施設で、514 例について実施された 3 種の二重盲検比較試験の結果、
頸肩腕症候群及び腰痛症における筋緊張状態の改善に対し有用性性が認めら
れている。
また、全国 70 施設で、475 例について実施された 2 種の二重盲検比較試験の
結果、脳血管障害、頸部脊椎症等の神経疾患に伴う痙性麻痺に対して、有用
性が認められている。
3)安全性試験:資料なし
4)患者・病態別試験:資料なし
(5)治療的使用:
1)使用成績調査・特別調査・市販後臨床試験:資料なし
2)承認条件として実施予定の内容又は実施した試験の概要:資料なし
9
Ⅵ.
薬 効 薬 理 に 関 す る 項 目
1.薬理学的に関連ある化合物又は化合物群
塩酸トルペリゾン、バクロファン、クロルメサノン、メフェネシン
2.薬理作用
(1)作用部位・作用機序:
脊髄から上部の中枢にかけての広範囲の部位に作用して、筋緊張亢進状態を緩解
させる。
(2)効力を裏付ける試験成績:
①筋弛緩作用
マウスに対する筋弛緩作用は、回転棒法、懸垂法及び傾斜板法により、塩酸
トルペリゾンの 10 倍の作用をもつことが認められている 1)。
・マウス:経口投与
方法
薬物
アフロクアロン
塩酸トルペリゾン
クロルメザノン
メフェネシン
筋 弛 緩 作 用 ED50 (mg/kg)
回転棒法
懸垂法
傾斜板法
22.4
20.7
19.3
200 以上
200 以上
200 以上
221.6
207.5
156.2
497.8
527.3
551.2
②脊髄反射電位に対する作用
脊髄切断ネコに対し、5mg/kg 以上の静脈内投与において、多シナプス、単シ
ナプス反射電位を用量依存的に抑制する。
特に多シナプス反射経路に対する抑制が強い 2)。
③実験的固縮緩解作用
ラット除脳固縮(γ-固縮)及び虚血性除脳固縮(α-固縮)に対する緩解作用 ED50
(経口投与)は、それぞれ 17.2 及び 25.7mg/kg である。
特にγ-線維系に対する選択性が高い 2)。
10
Ⅶ.
薬 物 動 態 に 関 す る 項 目
1.血中濃度の推移・測定法
(1)治療上有効な血中濃度:
資料なし
(2)最高血中濃度到達時間:
健康成人男子にアフロクアロン 20mg を経口投与したとき、血漿中濃度は 1 時
間後に最高に達する。
血漿中濃度の半減期は、約 3.3 時間である 3)。
(3)通常用量での血中濃度:
常用量(20mg)を 1 日 3 回 2 週間連続投与しても、投与後 1 時間における血漿
中濃度は、1 回投与時と差はなかった。
(2)を参照。
(4)中毒症状を発現する血中濃度:
資料なし
2.薬物速度論的パラメーター
(1)吸収速度定数:資料なし
(2)バイオアベイラビリティ:
アフロクアロン 20mg 単回経口投与時(ヒト:n=5)3)
パラメーター
Mean ± SD
37.9 ± 9.7
Cmax (ng/mL)
1.29 ± 0.93
Tmax (hr)
3.34 ± 1.37
T1/2 (hr)
345 ± 80
AUC 0~∞(ng・hr/mL)
(3)消失速度定数:資料なし
(4)クリアランス:資料なし
(5)分布容積:資料なし
(6)血漿蛋白結合率:資料なし
3.吸収
資料なし
(参考)
ラットに 20mg/kg を経口投与したとき、1時間以内に投与量の 90%以上が
消化管から吸収された(吸収半減期:17 分)8)。
4.分布
資料なし
(参考)
マウスに 3H-アフロクアロン 20mg/kg を経口投与時
・組織内放射能濃度のピーク:投与後 15 分~30 分
11
・ピーク時の分布状態
:
肝>腎>副腎>血漿>肺>心>脳~他の臓器
・経時的推移
:血中濃度の推移にほぼ平行して低下 9)。
(1)血液-脳関門通過性:
通過する。
(参考)
マウス、ラットの脳内濃度は、血中濃度とほぼ同程度であった。9)
(2)胎児への移行性:
通過する
(参考)
マウス、ラットにおいて、投与後早期から胎盤を通過し、胎児に中程度
移行し、そのピーク時は投与後 1 時間で、母獣の骨格筋の濃度と同程度で
あった 9)。
(3)乳汁中への移行性:
移行する
(参考)
授乳中のラットにおいて、経口投与後早期に乳汁中に分泌され、乳児に
移行したが、その量は少なかった 10)。
(4)髄液中への移行:資料なし
(5)その他の組織への移行性:資料なし
5.代謝
(1)代謝部位及び代謝経路:肝臓
N-アセチル化に続く側鎖の水酸化と生成した水酸基のグルクロン酸あるいは
硫酸抱合化である。
(参考)
ラットにアフロクアロン 20mg/kg を経口投与したとき、血漿中代謝物
として、未変化アフロクアロンの他に 5 種の代謝物が検出され、同定
された。尿中代謝物として、アフロクアロンを含めて 17 種の代謝物が
同定あるいは構造が推定された。尿中に未変化アフロクアロンとして
排泄される割合は非常に少なく、大部分は代謝されて排泄された。
(2)代謝に関与する酵素(CYP 450 等)の分子種:資料なし
(3)初回通過効果の有無及びその割合:資料なし
12
(4)代謝物の活性の有無及び比率:
活性の有無は資料なし。
アフロクアロン経口投与後 32 時間までに 21.9%が排泄された。
主要な代謝物とその割合は下記の通り。
・未変化体及びその抱合体は、全体の 52.8%であった。
化合物
%
アフロクアロン
16.1
アフロクアロン抱合体
36.7
N-アセチル体
1.8
N-アセチル-ヒドロキシメチル体
30.3
N-グルコイル体
4.6
N-グルコイル体の抱合体
2.3
N-グルコイル-ヒドロキシメチル体
8.3
(5)活性代謝物の速度論的パラメーター:資料なし
6.排泄
(1)排泄部位:資料なし
(2)排泄率:
経口投与後 32 時間までに 21.9%が尿中に排泄された。
(参考)
ラットに経口投与したとき、24 時間までに 55%が胆汁中に排泄され、
その一部は再吸収される(腸肝循環)。
24 時間までに経口投与した 48.3%が尿中に、39.5%が糞中に排泄され、
72 時間までの総排泄率は 94.1%であった 8)。
(3)排泄速度:資料なし
7.透析等による除去率
(1)腹膜透析:資料なし
(2)血液透析:資料なし
(3)直接血液灌流:資料なし
13
Ⅷ.安 全 性 (使 用 上 の 注 意 等)に 関 す る 項 目
1.警告内容とその理由
該当事項なし
2.禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)
禁忌(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
3.効能・効果に関連する使用上の注意とその理由
該当事項なし
4.用法・用量に関連する使用上の注意とその理由
該当事項なし
5.慎重投与内容とその理由
該当事項なし
6.重要な基本的注意とその理由及び処置方法
反射運動能力の低下、眠気等が起ることがあるので、本剤投与中の患者には自動
車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
7.相互作用
(1)併用禁忌とその理由:該当事項なし
(2)併用注意とその理由:該当事項なし
8.副作用
(1)副作用の概要:
総症例 15,884 例中、副作用が報告されたのは 413 例(2.6%)で、主な副作用
は発疹 0.4%、脱力感 0.33%、ふらつき・めまい 0.32%、眠気 0.29%で
あった。(再審査終了時)
1)重大な副作用と初期症状:該当事項なし
2)その他の副作用:
副作用が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
0.1~5%未満
精神神経系
消化器
0.1%未満
ふらつき・めまい
眠気
頭痛
悪心、食欲不振、
腹痛、胃部不快感
嘔吐、下痢、口渇、
便秘、腹部膨満感、
胃炎
皮 膚
光線過敏症
過敏症
発疹、そう痒感
その他
脱力感、倦怠感
14
浮腫、耳鳴、頻尿、
口内炎
(2)項目別副作用発現頻度及び臨床検査値異常一覧:資料なし
(3)基礎疾患、合併症、重症度及び手術の有無等背景別の副作用発現頻度:資料なし
(4)薬物アレルギーに対する注意及び試験法:資料なし
9.高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意すること。
10.妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上
まわると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中の投与に関する安全性
は確立していない。〕
2)授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止
させること。〔授乳中の投与に関する安全性は確立していない。〕
11.小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
12.臨床検査結果に及ぼす影響
資料なし
13.過量投与
資料なし
14.適用上及び薬剤交付時の注意(患者等に留意すべき必須事項等)
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導す
ること。〔PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜に刺入
し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発すること
が報告されている。〕
15.その他の注意
資料なし
16.その他
資料なし
15
Ⅸ.
非 臨 床 試 験 に 関 す る 項 目
1.一般薬理
①消炎作用
ラットのカラゲニン浮腫に対し、10mg/kg 以上の経口投与において、用量依存
性の消炎作用を示す 6)。
②鎮痛作用
マウスを用いた酢酸ライジング法において、10mg/kg 以上の経口投与で用量依
存性の鎮痛作用を示す 7)。
2.毒性
(1)単回投与毒性試験:
LD50 (mg/kg)
ICR 系マウス
雄
雌
Wistar 系ラット雄
雌
経口
556
397
249
260
皮下
784
591
1090
823
腹腔内
439
272
394
385
(2)反復投与毒性試験:
・Wistar 系ラットに 3、12、50 及び 200mg/kg/日 6 ケ月間経口投与において、
3 及び 12mg/kg 投与群においては、一般症状及び血液、尿、病理組織学的
所見において、対照群と比較し有意な変化は認められなかった。
50mg/kg 以上の投与群で、筋弛緩作用、正向反射消失作用、軽度の体重増加
抑制及び摂水量の増加(休薬で消失)が、さらに 200mg/kg 投与群では死亡
が認められた。
ビーグル犬 1、4、16 及び 50mg/kg/日 1 ケ月間強制経口投与で、1及び 4mg/kg
投与群においては一般症状及び血液、尿、病理組織学的所見において、対照
群と比較し有意な変化は認められなかった。
16mg/kg 以上の投与群で筋弛緩作用及び前立腺の萎縮(休薬で消失)が、さら
に 50mg/kg 投与群では死亡が認められた 5)。
・Wistar 系ラットに 3、8、20、50mg/kg/日 6 ケ月間経口投与、ビーグル犬に
1、3、10、20、30mg/kg/日 6 ケ月間経口投与において、血液所見で対照群に
比較して有意な変化は認められないが、ラット 20mg/kg 以上の投与量群で、
摂水量の増加と尿量の増加が、また、イヌ 20mg/kg 以上で前立腺の萎縮が、
さらに 30mg/kg で死亡の発現が認められた 4)。
(3)生殖発生毒性試験:
胎児に及ぼす影響は「医薬品の安全確保の方策について」(厚生省の通達によ
る)に準じて Wistar 系ラット、日本白色種ウサギを用いて検討した結果、催
奇形作用は認められない 5)。
・妊娠前及び妊娠初期投与試験
Wistar 系ラットに 12.5、25、及び 50mg/kg を経口投与した。
雄/雌の生殖能力、生殖細胞、胚及び胎児への影響は認められなかった。
・器官形成期投与試験
Wistar 系ラットに 12.5、25、及び 50mg/kg を経口投与したが、催奇形
作用は示さず、出産児に対する影響は認めなかった。
日本白色種ウサギに 12.5mg/kg または 25mg/kg を経口投与したが、催
奇形作用は認めなかった。
・周産期及び授乳期投与試験
Wistar 系ラットに 12.5、25、及び 50mg/kg を経口投与した。そのうち
12.5mg/kg 投与群において、母体、分娩、哺育及び出産児の生後発育に対
する悪影響は認められなかった。
16
(4)その他の特殊毒性(抗原性、依存性等):
依存性:認められない。
抗原性:示さない
変異原性:認められない
17
Ⅹ. 取 扱 い 上 の 注 意 に 関 す る 項 目
1.有効期間又は使用期限
有効期間: PTP、瓶 包装 54 ケ月(使用期間)
使用期限:外箱、容器に使用期限を表示
2.貯法・保存条件
室温保存
開封後は光を避けて保存のこと
3.薬剤取扱い上の注意点
指定医薬品、処方せん医薬品(注意-医師等の処方せんにより使用すること)
4.承認条件
該当しない
5.包装
100 錠 (10 錠× 10) PTP
1000 錠 (10 錠×100) PTP
2100 錠 (21 錠×100) PTP
500 錠
瓶
6.同一成分・同効薬
同一成分:アイロメート錠、アロストーワ錠
同効薬 :塩酸トルペリゾン、バクロフェン
7.国際誕生年月日
資料なし
8.製造・輸入承認年月日及び承認番号
承認年月日:2007 年 3 月 6 日 〔販売名変更:アロフト→アロフト錠 20mg〕
(旧承認年月日:1982 年 10 月 7 日)
承認番号:21900AMX00231
9.薬価基準収載年月日
2007 年 6 月 15 日
10.効能・効果追加、用法・用量変更追加等の年月日及びその内容
効能・効果追加:1987 年 5 月
内容:下記疾患における筋緊張状態の改善
頸肩腕症候群、腰痛症
11.再審査結果、再評価結果公表年月日及びその内容
再審査結果公表年月日:
平成 2 年度(その 2)1991 年 3 月 6 日
品質再評価結果公表年月日:平成 15 年度(その 2)2003 年 9 月 25 日
12.再審査期間
1982 年 10 月 7 日~1988 年 10 月 6 日(終了)
18
13.長期投与の可否
平成 14 年 3 月 8 日付厚生労働省令第 23 号及び平成 14 年 3 月 18 日付厚生労働省告示
第 99 号に基づき、投薬期間に上限が設けられている医薬品に該当しない。
14.厚生労働省薬価基準収載医薬品コード
1249008 F 1215
15.保険給付上の注意
資料なし
19
ⅩⅠ.
文
献
1.引用文献
1)
2)
3)
4)
5)
6)
7)
8)
9)
10)
落合喬ら :Jpn J Pharmacol 31 491 (1981)
落合喬ら :Jpn J Pharmacol 32 427 (1982)
三浦勇二ら:臨床薬理 16 649
(1985)
武下政一ら:基礎と臨床 17 991
(1983)
田辺製薬社内資料
落合 喬ら :日薬理誌 78 359 (1981)
落合 喬ら :日薬理誌 78 347 (1981)
大塚峯三ら:応用薬理 22 243 (1981)
大塚峯三ら:応用薬理 22 257 (1981)
大塚峯三ら:応用薬理 22 265 (1981)
2.その他の参考文献
該当資料なし
20
[文献保管番号]
[19910091]
[19910092]
[19910095]
[19910099]
[19910093]
[19910094]
[19910098]
[19910096]
[19910097]
ⅩⅡ.
参
考
主な外国での発売状況
該当しない
21
資
料
ⅩⅢ.
備
その他の関連資料
該当資料なし
22
考