News Release - 株式会社 産業革新機構

News Release
2011 年 7 月 21 日
産業革新機構、ソーシャル楽器ベンチャーの立上げを支援
~
新たなアーリー・ステージ・ベンチャーへの投資
~
株式会社産業革新機構(以下「INCJ」)は、Miselu Inc.(以下「Miselu」)
の第三者割当増資を引受け、600 万 US ドルの投資を行うことを決定しました。
Miselu は、米国シリコンバレーにおける複数回の起業経験を持ち、豊富な
現地ネットワークを持つ経営陣により、ヤマハ株式会社(以下「ヤマハ」)、株
式会社 ACCESS(以下「ACCESS」)の協力のもと、Google Inc.(以下「Google」)
の Android を活用したネット対応型のソーシャル楽器を開発し、これまでの楽
器には無かった新たな「楽器演奏体験」を提供することを目指します。同時に、
ソーシャルネットワークとの連携やアプリケーション作成キットの公開など
により、ソーシャル楽器のオープンプラットフォーム構築を目指します。
INCJ は、初期段階の投資として開発資金を供給するとともに、社外取締役
の派遣などにより経営上のサポートを行います。
本件をはじめとして、ソーシャルネットワークやインターネットを活用する
類似領域に対して、INCJ は積極的に案件検討を行っていきます。
今般、株式会社産業革新機構(以下「INCJ」)(東京都千代田区丸の内、代表取締
役社長 能見公一)は、Miselu Inc.(以下「Miselu」)(米国、カリフォルニア州マ
ウンテンビュー市、Founder and CEO 吉川欣也)の第三者割当増資を引受け、600
万ドルの投資を行うことを決定しました。
世界の楽器市場は 1 兆円強で、メイン市場である米・日・欧の先進各国では成
熟化が進んでいますが、新興国では今後も成長が見込まれている巨大市場です。
国別では、米国が 42%、日本が 14%と、日米二カ国が市場の 56%を占めています。
日本企業は高い技術で競争力を維持し、現在も楽器販売では高いシェアを有して
いますが、ネット対応型のソーシャル楽器については、現時点では市場が形成さ
れていない状況です。
Miselu は、米国シリコンバレーにおける複数回の起業経験を持ち、現地のネッ
トサービスやソーシャルネットワークの企業と豊富なネットワークを持つ吉川氏
が 2008 年に設立したソーシャル楽器の販売を目指しているベンチャー企業です。
1
Miselu は、ネット対応型のソーシャル楽器という新たなコンセプトの製品を開
発します。提携先であるヤマハからは楽器や音楽制作に関連する技術の開発協力
を受けます。Miselu は、Android 開発コミュニティーの一員として Google の携帯
電話用 OS である Android 上で、周辺機器を制御できる開発キット(Android Open
Accessory Development Kit)を活用して、ソーシャル楽器の開発を進めていきま
す。開発に際しては、提携先である ACCESS からのサーバやアプリケーションソフ
トの開発協力を受けます。
Miselu は、この開発を通じて蓄積されたソーシャル楽器関連の開発資産・ノウ
ハウを提携企業各社とも共有し、新しい音楽の楽しみ方を提案します。
ネット対応型のソーシャル楽器は、これまで楽器を弾けなかった人でも簡単に
弾けるようになったり、ネットワークを通じて、いつでもどこでも簡単に演奏を
人に聞かせる事ができたり、簡単かつ楽しく、楽器の練習と演奏が行えるこれま
でになかった新たな「楽器演奏体験」の提供を目指します。
Miselu は、楽器向けソーシャルネットワークサービス(SNS)を活用したり、アプ
リケーション開発キット等を公開して外部アプリベンダーを取り込んだ楽器向け
アプリ販売を行ったりといったビジネスモデルを採用することを通じて、ソーシ
ャル楽器のオープンプラットフォームの構築を目指します。既に今年 5 月に開催
された Google の開発者イベントである Google I/O にて製品コンセプトのデモ展
示を行っており、INCJ からの出資をもとに開発体制を強化するなど、量産化に向
けた動きを加速します。
INCJ は、シリコンバレーのベンチャーキャピタルと同様の投資形態を用いて、
初期段階(Series A)の投資として開発資金(600 万 US ドル)を供給します。また、
社外取締役の派遣、開発協力体制の構築等により、経営上のサポートを実施しま
す。
本件の概要については、「別添 1」のとおりです。
INCJ としては、以下の考え方をベースに本件をはじめとする類似領域での積極
的な案件検討を行っていきます(アーリーステージのベンチャー企業や大企業か
らのスピンアウト案件などとの連携を想定)。
日本企業は音・映像を記録し再現する際の「本物らしさを実現」するハードウ
ェア技術を追求することで新たなカテゴリーを創り出す事が強みでした。しかし、
世界の潮流はデジタル化・ネット化・ソーシャル化の進展により各種ネットサー
2
ビス、ソーシャルネットワークとの連携・利活用する「共有するネット技術」に
価値基準が変化し、日本の多くの企業はこの新たな潮流への対応が遅れている状
況にあります。
INCJ ではこうした認識を踏まえ、現在の潮流である「共有するネット技術」へ
の対応と、中期的な方向性として「更なるリアル空間のデジタル化」という仮説
を持ちつつ、こうした領域に対して積極的に投資検討を行っていきます。
この「ソーシャル・コンシューマー・エレクトロニクス」領域で取り組みにつ
いては、「別添 2」のとおりです。
Miselu
Inc.について
Miselu は、ネット対応型のソーシャル楽器などの製造、販売を中心とした事業
展開を行っています。Miselu Inc.についての詳細は http://www.miselu.com/を
ご参照ください。
・設 立 : 2008 年 4 月
・所在地 :米国、カリフォルニア州、マウンテンビュー市
・代 表 :Founder and CEO
よしなり
吉川 欣也
株式会社産業革新機構(INCJ)について
INCJ は、2009 年 7 月にオープンイノベーションの推進を通じた次世代産業の育
成を目指して、法律に基づき設立された会社です。総額 8000 億円超の投資能力を
有しており、革新性を有する事業に対し出資等を行うことで産業革新を支援する
ことをミッションとしています。
INCJ は、投資・技術・経営等で多様な経験をもつ民間人材によって運営されて
おり、法令に基づき、当社内に設置している産業革新委員会にて、政府の定める
支援基準に従って投資の可否の判断を行い、日本の産業革新に資する投資を実施
いたします。
INCJ では、これまでに合計 14 件・総額約 580 億円の投資決定を発表しています。
当面、環境エネルギーにも関連するエレクトロニクスやITの分野、バイオ・ラ
イフサイエンス分野、水ビジネス・原子力発電等インフラ関連分野などにおいて、
知財ファンドによる先端的な基礎技術の事業展開、ベンチャー企業等の事業拡大、
技術等を核とした事業の再編・統合、海外企業の買収等による積極的な海外展開
などに対してハンズオン投資を行ってまいります。(詳細は「別添 3」参照)
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(本発表資料のお問い合わせ先)
(株)産業革新機構 企画調整室
東京都千代田区丸の内 1-6-5
檜山・望月
丸の内北口ビル 22 階
電 話: 03-5218-7200(大代表)
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大手有力企業との連携により、ネット対応型のソーシャル楽器ビ
ジネスのグローバル展開を図るアーリーベンチャー企業への投資 <別添1>
【案件の概要】
●ソーシャルネットワークと連携することで新たな価値を生み出す
ネット対応型のソーシャル楽器を開発し、グローバル展開を図る
Miselu Inc.への投資
【案件の意義(投資インパクト)】
●アーリー・ステージ・ベンチャー企業へ投資
●日本の技術を活用し、グローバルで盛り上がるネット化、
ソーシャル化のダイナミズムを取り込むことを狙う
●新たな分野であるソーシャル楽器におけるオープンプラット
フォームの構築を目指す
【会社概要】
●日米において複数回の起業・事業立上の成功体験を持つ経営
陣が設立したベンチャー企業
●日本の大手楽器会社とソフト開発会社などとの強い連携により、
新たな価値を生み出すネット対応型のソーシャル楽器を開発
①ネット接続によりSNSと深く連携、②シェア/学習などを容易と
するアプリケーション群、③他社のソフト開発を容易とする開発
キットの提供、④タッチスクリーンによる優れたインターフェース
民間
VC/事業会社
• 出資(6百万ドル)
• 経営上のサポート
• 出資(検討中)
Miselu ネット対応型ソーシャル楽器開発 PJ
Android
Community
(Google 社提供)
Android
OS及び
ADK(*1)
活用
楽器・音楽
関連の資産、
新しい音楽
の楽しみ方
の提案
楽器・
音楽制作
関連技術
開発協力
ソーシャル
楽器対応
サービスと
の連携
Android
開発ノウ
ハウの
提供
アプリ
ケーション
ソフト
開発
タッチ
スクリーン
【INCJの役割】
●開発プロセスに必要な資金を開発段階初期から供給することで
開発スピード向上
●大企業とのハブとなることで、連携を促進
●社外取締役の派遣等により、経営上のサポートを実施
(製品イメージ)
アプリ開発パートナー等の外部パートナー企業を呼び込む
(*1): ADK=Android Open Accessory Development Kit
Innovation Network Corporation of Japan (INCJ)
1
「ソーシャル・コンシューマー・エレクトロニクス」領域での
取り組み方針


<別添2>
日本企業は音・映像を記録し再現する際の「本物らしさを実現」するハードウエア技術を追求することで新たなカテゴリーを創り
出す事が強みであったが、デジタル化・ネット化・ソーシャル化の進展により「共有するネット技術」に価値基準が変化し、日本の
多くの企業はこの新たな潮流への対応が遅れている状況
現在の潮流である「共有するネット技術」への対応と、中期的な方向性として「更なるリアル空間のデジタル化」という段階を踏
むというイノベーション進化の仮説を持ちつつ、以下のような領域に対して積極的に投資検討を行う
投資領域
段階的なイノベーションの進化
日本がこれまで
強みのあった産業
ハ
ー
ド
ウ
エ
ア
進 過去
化
に 本物らしさを実現
よ
る
付
加 音・映像などより
価 高品質なハード
ウェア技術の進
値 化による付加価
今後拡大が期待される
新規産業
中期的な方向性
更なるリアル空間のデ
ジタル化
ク
ラ
ウ
ド
側
Contents
Cloud
service
Network
Enabler
汎用クラウドサービス
専用クラウドサービス
iTunes
Android Market
Facebook等
音楽・楽器サービス
映像関連サービス
地域情報サービス
ヘルスケアサービス等
連
動
連
動
Application
端
末
側
OS or
Middle SW
HW set / UI
現在
共有するネット技術
センサーや駆動機
構などの発展でク
ラウド側とハードウ
エアがより緊密に
連動する事に付加
価値が変化
汎用端末
専用端末
Smart Phone
PC
Tablet
上記サービスと連動
した機器
Users
“Big Data”
サーバ群
ネットワーク
デジタル化・ネット化・
ソーシャル化の進展に
より情報の共有や交流
に付加価値が変化
値を追究
ネットワーク化・ソーシャル化がもたらす付加価値
Innovation Network Corporation of Japan (INCJ)
クラウド側のサービスと機
器が連動する事で付加価
値を提供するビジネス形態
エージェント、レコメンデー
ション、Easy of Use、成長
・学習、癒し、シミュレーシ
ョン・再現
一部のData
蓄積、処理
端末
入出力インターフェース
データ処理
×
センサー
駆動機構
ソーシャルグラフ
クラウド側に蓄積する大量
のデータ(”Big Data”)を処
理して活用するビジネス形
態
センサーや駆動機構など
の発展でクラウド側とハー
ドウエアがより緊密に連動
するビジネス形態
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投資実績と当面の投資の方向性
事業
ステージ
投資セグ
メント
アーリー
ステージ
<別添3>
エレクトロニクス・IT (環境エネルギー関連等)
バイオ・ライフサイエンス
知財ファンド 複数のテーマ・領域ごとに知財ファンド
ライフサイエンス
知財ファンド「LSIP」
を組成・支援することを検討中。
インフラ系 (水・鉄道・原子力等)
その他
(バイオマーカー・ES/幹細胞・がん・アルツハイマー)
ソーシャル楽器
ベンチャー
企業等
Miselu Inc.
次世代エレクトロニク
ス技術ベンチャー
(フラッシュメモリ)
材料加工 工具
中村超硬
(ダイヤモンドソーワイヤー)
バイオベンチャー
(創薬以外)
革新的航空サービス
(LCC)
バイオベンチャー(創薬)
環境エネルギー技術ベンチャー
水ビジネスのグローバル展開
豪州水事業
(抗がん剤DDS)
(小型風力発電機)
(リチウムイオン電池)
ものづくり技術
環境エネルギー技術の切り出しベンチャー
事業の
再編・統合
製薬メーカーの研究開発
パイプラインの切出し
(電源コア・電流センサ)
エレクトロニクス・IT、環境・エネルギー
関連のグローバル展開
衆智達
チリ水事業
(自動車部品加工)
国際原子力開発
分析機器
(NMR)
(パワーデバイス)
Innovation Network Corporation of Japan (INCJ)
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