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骨粗鬆症 Osteoporosis

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骨粗鬆症
Osteoporosis
Q1:骨粗鬆症とは?
A:骨量or骨塩量が減少し,骨の微細構造が破綻をきたした,骨折しやすい状態のことをい
う。高齢になるほど増えるが,圧倒的に女性に多い。骨粗鬆症のベースには,体質的な要素が
あり,これに生活習慣も大きくかかわってくる。我が国の骨粗鬆症患者は,約1,000万人(1996
年)と推定されており,大腿骨頸部骨折は年間約9万人(1997年)と急速に増加している。
Q2:骨粗鬆症が女性に多いのは何故?
A:卵巣機能低下が主因である。エストロゲン(卵胞ホルモン)の減少により閉経後10年
間で10∼20%の骨量が減少するといわれている。特に,閉経後2年以内の時期が一番危な
く,年間約3%も骨量が減るという。ただし,閉経前後にあわてるのではなく,骨量が急激に
増える思春期や,骨量が維持される成人期に,充分骨量を増やしておくべきである。この時期
に最大骨量を高めておけば,閉経後に骨量が減少しても,骨折危険域にはなかなか入らない。
又,中高年以降でも,食生活などに十分注意すれば,骨量の減少スピードを抑えることが可能
である。
Q3:骨量検診機器にはおもにどんなものがあるか?
A:
DXA法
仰向けに寝た状態で,体の下から2種類のX線を照射することで骨量を
(デキサ) 測定。全身だけでなく,腰椎など特定の部分の骨量がわかる。精度は高
いが設備に費用がかかるので,限られた医療機関にしかない。
MD法
手の甲のX線撮影を行い,その画像の濃度を解析し,全身の骨量を推定
する。簡単な方法であるが,脊椎でなく手で測るというのが欠点。
超音波法
かかとの骨である踵骨(しょうこつ)に超音波をあて,骨の中を超音波が
通過する速度などから骨量を測定する。子どもや妊婦に適した方法であ
るが,精度が今一つなのが欠点。
Q4:骨量減少の機序は?
A: 骨を壊して,カルシウムを血液中に送り出しているのが破骨細胞で、副甲状腺ホルモ
ン(PTP)がこれを促進する。この過程を骨吸収という。これとは逆に,カルシウムを血液
中からすくい出して,骨に沈着させるのが骨芽細胞で、甲状腺ホルモン(CT)がこれを促進
する。こちらは骨形成と呼ばれる。
骨の吸収と形成は,健常者では30歳代までは平衡が保たれているため,骨量は維持されて
いる。しかし,40歳代以降では,骨吸収に対して骨形成量がやや少なくなるため,骨量は加
齢とともに減少する。特に女性では,閉経後の10年間は吸収が亢進し,骨量の減少が著明と
なるが,その後は緩やかに減少する。
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Q5:使用薬剤には何があるか?
A:
Ca製剤(アスパラ-CAなど)
Ca剤は低下している血清Ca値を回復させることにより,副甲状腺ホルモン(PTH)の
分泌を抑え,骨吸収作用を抑制する。しかし,Ca剤単独だけでは,骨粗鬆症患者の骨折発現
を抑えることが出来ないので,他の骨粗鬆症治療薬の補助剤としての位置づけになる。
通常,カルシウム製剤の投与により高カルシウム血症を起こすことはまれであるが,他の疾
病(一部の腎不全例など)を伴う場合は高カルシウム血症を起こす可能性がある。また,カル
シウム結石を伴う腎結石患者には禁忌である。後述のビタミンD3製剤との併用で,高カルシウ
ム血症を起こす可能性があるので,年に1∼2回は血清カルシウムを検査した方が良い。また,
心臓疾患などで,ジギタリスなどを含む強心配糖体の薬の投与を受けている場合は,ジギタリ
スの作用を強めるので注意が必要である(医師に申告)。
活性型ビタミンD3製剤(アルファロール,ワンアルファ,ロカルトロールなど)
加齢とともに腸管からのカルシウム吸収力は低下するが,これにはカルシウムの吸収を助け
るビタミンDの作用低下もかかわっている。即ち,腸管におけるビタミンD受容体の数が減る
だけでなく,腎臓でのビタミンDの活性化が減少する。ビタミンDの活性型はカルシトリオー
ルであるが,我が国では,カルシトリオールの製剤と,そのプロドラッグであるアルファカル
シドール製剤が使用されている。骨芽細胞にもビタミンD受容体があることから,骨形成に直
接働いているようであるが,まだ明らかにされてない点が多い。
このようなことから,活性型ビタミンD3の製剤は,カルシウム不足が主体の老年者の骨粗鬆
症などに適している。副作用としては,長期使っていると,高カルシウム血症をきたすことが
あるので,血清カルシウムの定期的な検査が必要である。尚,ロカルトロールは高カルシウム
血症,ビタミンD中毒症状を伴う患者においては血清カルシウム値をさらに上昇させるので禁
忌である。
エストロゲン製剤(エストリールなど)
カルシトニンの分泌を促進して骨吸収を抑制し,腸でのカルシウム吸収を促進し,腎臓では
ビタミンDの活性化を促進する。さらに,骨に対しては,骨を形成する骨芽細胞に作用して,
直接的な骨形成作用があるとされている。閉経直後に最も適しているが,閉経後の期間及び年
齢に関係なく骨量増加効果は認められるので高齢者にも使用できる。
副作用として,悪心,嘔吐,食欲不振などがみられるので,食後に服用した方が良い。また,
乳房痛,乳房緊満感,性器出血が現れた場合は減量するか中止をする。副作用の軽減のために,
3週間服用して,1週間休薬するなどの間欠服用や黄体ホルモン製剤と組み合わせて使用する
こともある。これにより子宮内膜がんを増加させるリスクを回避できる。
エストロゲン依存性腫瘍(乳癌,性器癌など)およびその疑いのある患者には禁忌である。
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乳癌のリスクが高い女性には他の治療薬を考慮する。又,エストロゲンは凝固因子を増加させ,
血栓形成傾向を促進するおそれがあるため,血栓性静脈炎,肺塞栓症またはその既往のある患
者には禁忌である。
我が国では骨粗鬆症の適応症があるのは,エストリオールだけであるが,骨量増加効果は保
険適応のない結合型エストロゲンの方が強い。
イプリフラボン製剤(オステンなど)
骨吸収を直接抑制する作用と,エストロゲンを介してカルシトニンの分泌を促進し,骨吸収
を抑制する作用がある。特に閉経早期の女性に対して効果が期待できる。また,骨芽細胞の増
殖分化を促進する作用もあり,骨吸収と骨形成の両方に作用すると考えられている。
閉経後および老人性骨粗鬆症に使用可能で,骨量増加も認められている。ただ,後述のビス
フォスフォネート製剤などに比べ作用が緩徐で,カルシウム製剤との併用が多い。
相互作用として,エストロゲン製剤,テオフィリン製剤やクマリン系抗凝固剤の作用を増強
するので,注意が必要である。
副作用は胃不快感,食欲不振,嘔気などを認めることがあるが,一般に軽微で服用を続けて
いる内に消失することが多いという。
ビスフォスフォネート製剤(ダイドロネル)
ビスフォスフォネートは骨に特異的に吸着する。そして,破骨細胞に取り込まれ,その働き
を抑えるために,骨吸収を強力に抑える。最近になって,骨芽細胞への作用を介して破骨細胞
を抑える機序も報告されている。ただ,骨に吸着した本剤の半減期は長く,長期間にわたって
蓄積する可能性があるため,投与法も,2週間投薬して,10∼12週休薬という間欠投与が
されている。
現在のところ,最強の骨吸収抑制作用を有し,骨量の増加,骨折発生の抑制,疼痛の改善が
認められている。
この薬剤は食事や他の薬剤の影響を受けやすいので,食間投与がされる。食品では,牛乳や
乳製品のような高カルシウム食品,薬剤ではカルシウム,鉄,マグネシウム,アルミニウムな
どを多く含むミネラル入りビタミン剤,制酸剤を含む胃腸薬により,吸収が低下してしまうの
で2時間あけるなどして同時服用を避ける。おもな副作用は消化器症状(腹部不快感,下痢,
嘔気,胸やけ,食欲不振)である。
腎排泄のため,重症の腎機能障害があれば禁忌である。
ビタミンK2製剤(グラケー)
作用機序はまだ不明な点があるが,実験的には,骨芽細胞に直接作用して,骨量を増加させ
るとともに,骨吸収抑制作用も有しているという。ヒトでの効果はまだ検討すべき余地があり,
3,000例を目標に薬剤疫学試験が進行中である。
- 3 -
臨床的には,アルファカルシドールとほぼ同等の骨量増加と骨折予防効果が認められている。
但し,ビタミンK2は,肝臓での血液凝固因子の合成を促進し,止血作用があるため,静脈血栓
や心筋梗塞,脳塞栓症で,抗凝血薬のワルファリンを服用している人には禁忌である。
蛋白同化ホルモン製剤(メテノロンなど)
古くから骨粗鬆症の治療に有効であるといわれている。最近では,閉経後の骨粗鬆症や副腎
皮質ホルモンの長期服用による骨粗鬆症に対して,骨量増加や脊椎圧迫骨折の発生率を低下さ
せるといわれている。また,筋力の増強効果があるので,老人の骨粗鬆症の予防薬や治療薬に
期待されている。
しかし,副作用として声のかすれ,多毛,頭部の脱毛が多くみられ,GOTやGPTの上昇
も起こることがあるので,あまり使用されていない。
Q6:患者へのチェックは?
A:
成分
カルシウム
ビタミンD3
商品
アスパラ-CA
アルファロール
ワンアルファ
ロカルトロール
エストロゲン
イプリフラボン
ビスフォスフォネート
エストリール
オステン
ダイドロネル
ビタミンK2
グラケー
チェック項目
ビタミンD3剤投与を受けているか
尿量,水分摂取は十分か
カルシウムを過剰摂取してないか
同種の薬剤を服用していないか
尿路系結石の有無
既往歴(乳癌)
消化性潰瘍の有無
服用時間を守っているか
高カルシウム食品(牛乳など)と同時摂取していないか
消化性潰瘍の有無
ワルファリン服用の有無
血栓症の病歴の有無
参考図書
薬局 Vol.48,No.11(1997),Vol.50,No.1(1999),Vol.51,増刊号(2000)
各社添付文書
担当:祖父江
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薬剤一覧 (注射を除く)
成分(代表的な商品)
カルシウム製剤
L−アスパラギン酸カルシウム
(アスパラ−CA-田辺)
グルコン酸カルシウム
(カルチコール-大日本)
乳酸カルシウム
リン酸水素カルシウム
製剤
錠:200mg
末
末
末
用法,用量
禁忌症
高カルシウム血症の患者
腎結石のある患者
1日1200mg 分2∼3 重篤な腎不全のある患者
* 1日1∼5g 分3
* 1回1g 1日2∼5回
1日3g分3
*:骨粗鬆症の保険適応は認められていない
慎重投与
活性型ビタミンD3製剤を投与
中の患者
ジギタリス製剤を投与中の患
者
高カルシウム血症があらわれ
やすい病態の患者
高カルシウム血症又はビ 妊婦,授乳婦
活性型ビタミンD3製剤
タミンD中毒症状を伴う患 小児
アルファカルシドール
(ワンアルファ-帝人) 錠:0.25,0.5,1μg 1日1回0.5∼1μg 者(ロカルトロール)
液:0.5μg/mL
(アルファロール-中外) カプセル:0.25,0.5,1μg 1日1回0.5∼1μg
液:0.5μg/mL
散:1μg/g
カルシトリオール
カプセル:0.25,0.5,1μg 1回0.25μg1日2回
(ロカルトロール
-日本ロシュ)
エストロゲン製剤
エストリオール
1日2mg 分2
(エストリール-持田) 錠:0.5,1mg
結合型エストロゲン
(プレマリン-旭化成, 錠:0.625,1.25mg * 1日0.625mg
日本ワイスレダリー)
エストラジオール貼付剤
TTS:1枚2mg
* 2日毎1枚(2枚まで増
(エストラダーム
量可)
-ノバルティス)
M:1 枚0.72mg * 2日毎1枚
エストロゲン依存性腫瘍
の疑いのある患者
血栓性静脈炎や肺塞栓症
のある患者,又はその既
往歴のある患者
本剤に対し過敏症の既往
歴のある患者
妊婦,又は妊娠している可
能性のある婦人
相互作用
ニューキノロン系抗
菌薬,テトラサイク
リン系抗生物質
ジギタリス製剤
カルシウムイオンとキレート
を形成し血中濃度を低下さ
せるので同時服用しない。
ジギタリス製剤の作用を増
強するおそれがある。異常
が認められた場合はジギタ
リス製剤の減量もしくは中止
をする。
マグネシウム含有 高マグネシウム血症を起こ
製剤
すおそれがある。
高カルシウム血症に伴う不
ジギタリス製剤
整脈があらわれるおそれが
ある。
カルシウム製剤
高カルシウム血症を起こす
ことがある。
ビタミンD及びその 高カルシウム血症を起こす
誘導体
ことがある。
肝障害のある患者
イプリフラボン
子宮筋腫のある患者
心疾患,腎疾患のある患者, 血糖降下薬
又はその既往歴のある患者
てんかんの患者
糖尿病患者
思春期前の少女
子宮内膜症又はその既往歴
のある患者(エストリール,エ
ストラダーム)
エストロゲン作用を増強させ
る可能性がある。
血糖降下薬の作用を減弱さ
せることがある。
成分(代表的な商品)
イプリフラボン製剤
(オステン-武田)
製剤
用法,用量
禁忌症
慎重投与
相互作用
消化性潰瘍又はその既往歴 エストロゲン製剤
のある患者
テオフィリン製剤
エストロゲン作用を増強させ
る可能性がある。
血中テオフィリン濃度が上昇
することがある。
クマリン系抗凝血 抗凝固作用が増強するとの
剤
報告がある。
食品,特に牛乳や 2価あるいは3価の金属イオ
重篤な腎障害のある患者 腎障害のある患者
ビスフォスフォネート製剤
消化性潰瘍又はその既往歴 乳製品のような高 ンと錯体を形成するため併
骨軟化症の患者
エチドロン酸二ナトリウム
用は避け,2時間あける。
カルシウム食
錠:200mg
1日1回200mg食間, 妊婦,又は妊娠している可 のある患者,腸炎の患者
(ダイドロネル-住友)
カルシウム,鉄,マグネシ
14日間服用し10∼12 能性のある婦人
ウム,アルミニウムのよう
小児
週間休薬
な金属を多く含むミ
本剤に対し過敏症の既往
ネラル入りビタミン
歴のある患者
剤又は制酸剤
ワルファリンカリウム投与
ワルファリンカリウ ワルファリンの作用を減弱す
ビタミンK2製剤
中の患者
ム
るので併用しないこと。
メナテトレノン
カプセル:15mg 1日45mg 分3
(グラケーカプセル
-エーザイ)
アンドロゲン依存性腫瘍 前立腺肥大のある患者
蛋白同化ホルモン等
副腎皮質ホルモン 耐糖能の低下がみられるこ
及びその疑いのある患者 心疾患,腎疾患のある患者 剤
メテノロン
とがある。
妊婦,又は妊娠している可 肝疾患のある患者
(プリモボラン
1日10∼20mg
錠:5mg
クマリン系等抗凝 これらの作用を増強すること
癌の骨転移のある患者
能性のある婦人
-日本シェリング)
分2∼3
血剤
がある。
肝障害のある患者(メサノ 高齢者
スタノゾロール
血糖降下剤(メサノ 血糖降下作用が増強又は減
1日4∼6mg
ロン,マクロビン,ウインス 糖尿病の患者
(ウインストロール
錠:2mg
ロン,マクロビン) 弱することがある。
小児(ウインストロール) インスリン(メサノロ 血糖降下作用が減弱するこ
分1∼3
トロール)
-山之内)
思春期前の患者(メサノロン, ン,マクロビン) とがある。
メスタノロン
マクロビン)
1日10∼30mg
(マクロビン-帝国臓器) 錠:10mg
分1∼3
(メサノロン-持田)
錠:200mg
1日600mg 分3
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