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なか
やま
氏 名 ・(本 籍 )
中 山
まどか
学 位 の 種 類
博
学 位 記 番 号
理 博 第 2 6 6 1号
学位授与年月 日
平成2
4年 3月 2
7日
学位授与 の要件
学位規則第 4条第 1項該 当
研究科, 専攻
東北大学大学院理学研究科 (
博士課程)数学専攻
学位論文題 目
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(ヒ ドラのパ ター ン形成 をモデル化 した拡散性 および非拡散性種 か らなる系
の数学的解析)
論文審査委員
(
主査)
教
授
高
木
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小
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柳
田 英
論 文
泉
英
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二 (
東京工業大学)
目 次
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論
文
内 容 要
旨
研究の背景
m 程 の水棲生物 であ り,強 い再生能力で知 られている.例 えば,頭部 を切 り取 って も
ヒ ドラとは体長 1c
数 日で新 たな頭部が形成 され る.頭部形成能力 は頭部付近が最 も強 く,足部 にか けて弱 くな る.また,頭部
形成能力 の強 い頭部付近 の組織片 を他 の ヒ ドラの腹部 に移植す ると,やは り数 日で移植箇所 か ら新 たな頭
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ng(
1
95
2
)は,拡散率 の異 なる 2つの化学物質 の
部 が形成 され る.このよ うな頭部形成現象 につ いて,Tu
反応 によ って生成 され る分布パ ター ンと して説 明出来 るので はないか とい うアイデ ィアを提唱 した.Tur
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ngの論文で は,どのよ うな反応であるべ きかを系統的 に考察 していなか ったが, Gi
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)
は活性因子 と抑制因子 と呼ばれ る 2種類 の化学物質 の反応 を記述す る反応拡散 モデルを考えだ した.活性
因子 とは東部形成 を促進す る働 きをす る物質であ り,濃度 の高 いところが頭部形成 の候補地であ る.抑制
因子 は活性因子が増 えす ぎるのを抑制す る作用があ り,活性因子 よ りも早 く拡散す る.また,後 に,Gi
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tモデルに基づ いて,Ma
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)は自身 による実験結果 を用 いて, よ りヒ ドラの特徴 を
捉 えたモデルを提唱 した.これ らは,活性 因子 と抑制因子 に関す る連立偏微分方程式系であ り,それぞれ
の方程式 は線型拡散方程式 に反応 をあ らわす非線形項 を加 えた もの と して構成 されている.
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.(
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)が, よ り生物学的 に自然 とい う観点か ら,細胞上 に固定 された受容体 と結合
近年 ,s
物質 のや りとりで頭部再生現象 を説明す ることを試 みた.そのモデルは,空間変数 に依存す る係数 を含 む
が,Ma
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)は履歴性 を もっ反応項 を導入 して空間変数 を陽 には含 まない新 たなモデル
を提唱 した.具体的には,細胞上 にフ リー レセプター (
受容体)が固定 されてお り,そ こに リガ ン ドと呼ば
れ る化学物質が結合す ると,フ リー レセプ ターはバ ウン ドレセプターとな り,頭部形成 の反応機構がスター
トす るとい うものである.また,フ リー レセプ ター と リガ ン ドは細胞 自身か らつ くられ,それ らの生産率
は,リガ ン ドにつ いて は変数,フ リー レセプ ターにつ いて は定数であ ると仮定す る.モデルの仕組 み は以
下 の とお りであ る:未知函数 は, フ リー レセプ ターの濃度,バ ウ ン ドレセプターの濃度,リガ ン ドの濃度,
リガ ン ドの生産率であ り,これ らは空間変数 と時間変数 に依存す る. リガ ン ドは拡散 す るため,リガ ン ド
に関す る方程式 のみ空間変数 に関す る 2階偏微分 を含む偏微分方程式 とな り.その他 の 3函数 に関 して は
常微分方程式であ る.このよ うに偏微分方程式 と常微分方程式が混在す る系 を以下 で は ODEd
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n系
と呼ぶ ことにす る.また,リガ ン ドには境界 において ノイマ ン境界条件を仮定す る.初期函数 は正で,連続
的微分可能 な函数 とす る.このモデルの大 きな特徴 は,リガ ン ドのみが拡散す ることであ り,従来 さかん
に研究 されて きた活性因子 と抑制因子 に関す るモデル と大 き く異 なる点である.
本論文 の 日的
本論文で は,リガ ン ドの生産率 に対す る方程式 を単純化 した方程式系 に対す る初期 -境界値問題 を考察
0年 に Ma
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a博士が来 日され た際 に,20
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年 に発表 されたモデルの特徴 を
す る. これ は,201
保 ちっっ簡略化 された ものである.本論文 で は, この単純化 されたモデルを取 り上 げ,すべての正 の時刻
に対 して解が存在す るか どうか,存在す る場合,解 は有界であるか,について明 らかにす るとともに,狭義
-
9 3
1
単調増加 (もしくは減少)な定常解 の構成を行 う.数値 シ ミュレーションで は,解 に不連続性が生 じるよ
うな現象が観察 されてお り,全ての種が拡散す る通常の反応拡散方程式系 とは違 った振 る舞 いをす ること
が予想 され る. そのため,ODEdi
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on系 に対す る厳密 な理論 を構築 し,解の滑 らか さなどの基本性質
を明 らかにす ることが重要である.
本論文 の構成
第 1章では序文 として,問題の背景 とモデル,設定 した仮定 と主結果の紹介を行 う.
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aモデルの解 の存在 と正則性 について述べ る.ODEdi
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on系 の解 の存在
第 2章で は Ma
については Ra
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)の結果があるが,Ma
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aモデルは境界条件があること,解 の
正則性 について も考察 したいことを踏 まえて,偏微分方程式 については Gr
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n函数を用 いて積分方程式で
解 を表示 し,常微分方程式 について も解公式か ら,積分方程式で解を表示 した.これ らの積分公式を満 た
す解 (
軟解)の存在 と一意性 については,縮小写像の原理を用 いて証明す る.軟解 は連続函数の範囲で構
成す る.
軟解の正則性 については, 初期函数が連続的微分可能 な ら,解 も連続的微分可能 とな り,結局,古典解
となることが明 らかになった.したが って,シ ミュ レー ションで,有限時刻で解が不連続 にな って しまう
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on系の解 としては,存在す る限 り滑 らかである.
ように見えるのは,見かけ上の ことであ り,ODE-
なお, この章では Gr
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n函数の陽な表示を用いる都合か ら,空間変数 は一次元 と仮定 した.
第 3章では,初期 一境界値問題 の解 の有界性 について述べ る.フ リー レセプター,バ ウン ドレセプター
の濃度 については方程式の形状か ら直ちに真 に正であ り,かつ上か らも有界であることが分か る.なお解
の上界 は初期函数 に依存す る.リガ ン ドの濃度 と リガ ン ドの生産率 については,領域 の内点 においては最
大値原理 により,境界上で は,Fr
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nの境界値定理 (
1
958
) を用 いて,正であ り上か ら有界であること
を証明す る.
第 4章では,定数定常解 に収束する初期函数の取 り方 について議論する.ただ し, フ リー レセプターと
バ ウン ドレセプターの濃度 は準定常状態であると仮定す る.このとき, フ リー レセプターの濃度 とバ ウン
ドレセプターの濃度 は共 に リガ ン ドの濃度 と リガ ン ドの生産率を用 いてあ らわす ことがで き,それぞれを
リガ ン ドの濃度 と リガ ン ドの生産率 に関す る方程式 に代入す ると,問題 は リガ ン ドと リガ ン ドの生産率の
二つの未知函数か らなる ODEdi
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on系 に対す る初期 一境界問題 に帰着 される.この場合,リガ ン ドと リ
ガ ン ドの生産率 に関 して比較原理が成立す る.つまり,リガ ン ドと リガ ン ドの生産率の初期函数 の大小関
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m を考察す る.逮
係 は初期 一境界値問題の解の大小関係 に遺伝す る.次 に,拡散率を 0とした ki
当な仮定の下で,この常微分方程式系 は,第-象限 に 3個の平衡点を もち,中央の平衡点 は鞍点,端二つ
は安定な平衡点 となる.またその うちの一つ は原点である.鞍点 の周 りでの線形化行列 と固有方程式 につ
いて考察す ると,第一象限 は鞍点 の安定多様体 によって,原点を含む領域 と含まない領域 に分 け られ るこ
とがわか る.さらに,khe
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m の解 は,初期値が原点 を含む領域 の中にある場合 には原点 に収束 し,
初期値が原点を含 まない領域 にある場合 にはもう片方の安定な平衡点 に収束す る.この事実 と比較定理か
ら,初期 一境界値問題 の解 も同様 に,初期函数が原点 を含む領域 に含 まれ ると原点 に収束 し,原点 を含 ま
ない領域 に含 まれるともう片方の定数定常解 に収束す ることが示 される.注意 として,これは定数 に解が
収束す るための初期函数のとり方 の十分条件であって,必要条件ではない.
第 5章では,初期 一境界値問題の非定数定常解の構成を行 う.定常問題では, 2種類の レセプターの濃
度 はどち らも, リガ ンドと リガ ン ドの生産率を用 いて表す ことがで き,問題 は, リガ ン ドと リガ ン ドの生
産率 に関す る 2元連立方程式 に帰着 され る. リガ ン ドの生産率 に対する方程式を解 いて, リガ ンドの生産
-9
4-
率を リガ ン ドの滑 らかな函数 として表示す ることがで きる. しか し,その表示函数 は 3つあるので,その
うちの リガ ン ドの生産率が最 も小 さいものと最 も大 きいものを選 び,予め指定 した リガ ン ドの値 (
切換え
値 と呼ぶ) に くらべて小 さい リガ ン ドに対 しては生産率 も小 さい方 を取 り,大 きい リガ ン ドに対 しては生
産率が大 きい方を選ぶよ うにす る. こうして, リガ ン ドについての,不連続 な非線形項を もっ二階常微分
方程式 に対す る境界値問題 を解 くこと帰着す る. この問題 の単調増加 (もしくは減少)な連続的微分可能
な解を構成す る.この とき,
切換え値 は適切 な範囲の中で任意 に選ぶ ことがで きるので,単調 な定常解 は無
限個構成で きる.さ らに, リガ ン ドの拡散係数が 0に近づ くときの定常解の漸近形 を求める.なお,切換
え値の取 り方 については第 5章の他 にも第 6章 にて実際の数値計算 を行 って検証す る.
-
95 -
論文審査の結果の要 旨
Tu血 gが提唱 した 「
拡散誘導不安定化」 とは,異なる拡散率をもっこつの化学物質が反応 し,拡散する
場合,空間的に非 自明な構造が自律的に形成 されることがあり得 るという現象である. この原理 に基づい
て, ヒドラの頭部発生に関与す る活性因子 とそれを制御する抑制因子の二種の化学物質か らなる非線型拡
散方程式系が提唱された. このモデルはヒドラの頭部再生実験や移植実験を説明するものとして40年近 く
にわたって研究 されてきた.
近年,細胞表面 に固定 された受容体 に結合基が結びっ くと,頭部形成のための一連の反応が始 まるとい
う考えに基づいた数理モデルが提唱されるようになった.受容体 は非拡散性であり,結合基 は拡散性の物
質である. したが って, このようなモデルは常微分方程式 と拡散方程式か らなる連立方程式 として記述 さ
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aが提唱 した受容体 一結合基 モデルの数学的解析 を行 ったもの
れる.本博士論文では,Ma
である.
同 じく, 常微分方程式 と拡散方程式 の連立方程式 と して, 神経パ ルスの伝達 を記述す る Hodgki
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HughNa
gumo方程式系 は研究の歴史が長 いが, もっぱ ら進行波解の存在や安定性
Huxl
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y方程式系や Fi
に興味の中心があり,定常解が重要 になる Ma
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aモデルとは,異なる. そこで本博士論文 は,
初期一境界値問題の解の存在,一意性,滑 らかさ,漸近挙動など,基本的な性質を厳密に証明 し,さらに,
定常解の構成を行 った.
提唱されてか ら数年 しか経たない新 しいモデルで,その解の性質 は数値解の様子をみて判断するしかな
か ったが,本博士論文は,解の性質を厳密に明かに し,数値解の振舞いが必ず しも連続系の解の振舞いを
正確に反映 していないことを示すなど, この方程式の系統的な研究に堅固な基礎付 けを与えるものと評価
できる.
以上のように,本論文 は,著者が自立 して研究活動を行 うに必要な高度の研究能力 と学識を有すること
を示 している. したが って中山まどか提出の博士論文 は,博士 (
理学)の学位論文 として合格 と認める.
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6-